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特許7441910圧力調整機能を備えた冷凍凝固手術システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】圧力調整機能を備えた冷凍凝固手術システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/02 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
A61B18/02
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022150345
(22)【出願日】2022-09-21
(62)【分割の表示】P 2020552317の分割
【原出願日】2019-04-17
(65)【公開番号】P2022171938
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】62/663,808
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】303039785
【氏名又は名称】バイオコンパティブルズ ユーケー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ペロン、テッド
(72)【発明者】
【氏名】モーガン、ショーン
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-500675(JP,A)
【文献】特表2015-509791(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0163538(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0059364(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/02
A61M 25/00 ― 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術システムの圧力調整システムであって、熱伝達媒体源から処置具に供給される熱伝達媒体の圧力を調整する、圧力調整システムにおいて、前記処置具は前記手術システムに接続可能であり、前記圧力調整システムは、
前記熱伝達媒体源から前記処置具への熱伝達媒体の流れを調整する圧力制御バルブに動作可能に接続可能な制御システムを備え、前記制御システムは、
前記圧力制御バルブの出口又はその下流において、前記熱伝達媒体の圧力に対応する信号を受信し、
前記圧力が最小圧力設定値以下か否かを判定し、
前記圧力が前記最小圧力設定値以下であると前記制御システムが判定した場合は、前記圧力制御バルブを開状態にするために第1の信号を送信し、
前記圧力が最大圧力設定値を超えているか否かを判定し、
前記圧力が前記最大圧力設定値を超えていると前記制御システムが判定した場合は、前記圧力制御バルブを閉状態にするために第2の信号を送信するように構成される、圧力調整システム。
【請求項2】
前記制御システムは、前記圧力制御バルブが閉状態に作動された後、前記圧力が前記最大圧力設定値を超える第1の圧力まで増加するか否かを判定し、前記第1の圧力と前記最大圧力設定値の差に等しいオフセットをもって前記最小圧力設定値を調整するように構成される、請求項1に記載の圧力調整システム。
【請求項3】
前記制御システムは、前記圧力制御バルブが閉状態に作動された後、前記圧力が調整された前記最小圧力設定値以下であると判定した場合、前記圧力制御バルブを開状態に作動させるために第3の信号を送信するように構成される、請求項2に記載の圧力調整システム。
【請求項4】
前記制御システムは、前記圧力制御バルブが開状態に作動された後の経過時間を測定し、前記経過時間を所定の時間と比較するように構成される、請求項1に記載の圧力調整システム。
【請求項5】
前記制御システムは、前記経過時間が前記所定の時間を超える場合、前記圧力制御バルブを閉状態に作動させるために前記第2の信号を送信するように構成される、請求項4に記載の圧力調整システム。
【請求項6】
前記制御システムは、前記経過時間が前記所定の時間を超える場合、フォルト条件を示す第4の信号を送信するように構成される、請求項4に記載の圧力調整システム。
【請求項7】
前記圧力制御バルブは、バルブアクチュエータと協働可能であり、前記バルブアクチュエータは、前記制御システムからの制御信号に応答して、前記バルブを開状態及び閉状態に作動させる、請求項1に記載の圧力調整システム。
【請求項8】
前記アクチュエータがソレノイドを含む、請求項7に記載の圧力調整システム。
【請求項9】
前記圧力制御バルブの前記出口又はその下流で前記熱伝達媒体の圧力を測定するように構成された圧力トランスデューサをさらに備える、請求項1に記載の圧力調整システム。
【請求項10】
1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに以下のステップを実行させる命令を格納した非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記ステップは、
少なくとも1つのクライオプローブが凍結操作又は解凍操作を実行しているか否かを判定するステップと、
前記少なくとも1つのクライオプローブが凍結操作を実行している場合、冷凍凝固手術システムの少なくとも1つのクライオプローブに流体連通可能な圧力制御バルブを開くことにより、熱伝達媒体が前記圧力制御バルブを通して前記少なくとも1つのクライオプローブに供給される結果、極低温膨張及び凍結のうちの少なくとも一方を生じるようにする、ステップと、
前記少なくとも1つのクライオプローブが解凍操作を実行している場合、前記少なくとも1つのクライオプローブに流体連通された前記圧力制御バルブを、圧力トランスデューサによって測定された圧力に基づいて繰り返し開閉することにより、前記圧力制御バルブを通して供給される前記熱伝達媒体の圧力が、前記熱伝達媒体から生成される極低温膨張及び凍結のうちの少なくとも一方に対応する圧力よりも低くなるように、前記圧力制御バルブを作動させる、ステップと、からなり、
前記1つ以上のプロセッサと通信可能な制御システムが、対応する前記圧力制御バルブに流体連通されたそれぞれの前記圧力トランスデューサによって測定された圧力に基づいて、他の圧力制御バルブとは無関係に各圧力制御バルブを作動させる、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記制御システムは、前記圧力トランスデューサによって測定された圧力が最小圧力設定値以下であると判定した場合は、対応する前記圧力制御バルブを開状態にし、前記圧力トランスデューサによって測定された圧力が最大圧力設定値を超えていると判定した場合は、対応する前記圧力制御バルブを閉状態にするように構成され、
前記制御システムは、前記圧力制御バルブが閉状態に作動された後、前記圧力トランスデューサによって測定された圧力が前記最大圧力設定値を超える第1の圧力まで増加するか否かを判定し、前記第1の圧力と前記最大圧力設定値の差に等しいオフセットをもって前記最小圧力設定値を調整するように構成される、請求項10に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサにさらに、前記制御システムが、前記圧力制御バルブが閉状態に作動された後、前記圧力トランスデューサによって測定された圧力が調整された前記最小圧力設定値以下であると判定した場合、前記圧力制御バルブを開状態に作動させるために第3の信号を送信させる、請求項11に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサにさらに、前記圧力制御バルブが開状態に作動された後の経過時間を測定させ、前記経過時間を所定の時間と比較させる、請求項10に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサにさらに、前記経過時間が前記所定の時間を超える場合、前記圧力制御バルブを閉状態に作動させるために第2の信号を送信させる、請求項13に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサにさらに、前記経過時間が前記所定の時間を超える場合、フォルト条件を示す第4の信号を送信させる、請求項13に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記圧力制御バルブは、バルブアクチュエータと協働可能であり、前記バルブアクチュエータは、前記制御システムからの制御信号に応答して、前記バルブを開状態及び閉状態に作動させる、請求項10に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記アクチュエータがソレノイドを含む、請求項16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサにさらに、前記圧力制御バルブの出口又はその下流で前記熱伝達媒体の圧力を測定するように圧力トランスデューサに指示させる、請求項10に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
クライオプローブ内の圧力を調整する方法において、
少なくとも1つのクライオプローブが凍結操作又は解凍操作を実行しているか否かを判定する工程と、
前記少なくとも1つのクライオプローブが凍結操作を実行している場合、冷凍凝固手術システムの少なくとも1つのクライオプローブに流体連通可能な圧力制御バルブを開くことにより、熱伝達媒体が前記圧力制御バルブを通して前記少なくとも1つのクライオプローブに供給される結果、極低温膨張及び凍結のうちの少なくとも一方を生じるようにする、工程と、
前記少なくとも1つのクライオプローブが解凍操作を実行している場合、前記少なくとも1つのクライオプローブに流体連通された前記圧力制御バルブを、圧力トランスデューサによって測定された圧力に基づいて繰り返し開閉することにより、前記圧力制御バルブを通して供給される前記熱伝達媒体の圧力が、前記熱伝達媒体から生成される極低温膨張及び凍結のうちの少なくとも一方に対応する圧力よりも低くなるように、前記圧力制御バルブを作動させる、工程と、からなり、
制御システムが、対応する前記圧力制御バルブに流体連通されたそれぞれの前記圧力トランスデューサによって測定された圧力に基づいて、他の圧力制御バルブとは無関係に各圧力制御バルブを作動させる、方法。
【請求項20】
前記制御システムからの制御信号に応答して、前記圧力制御バルブを開状態及び閉状態に作動させる工程をさらに備え、
前記圧力制御バルブは、バルブアクチュエータと協働可能である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧力調整機能を備えた冷凍凝固手術システムに関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍凝固手術システムは、標的組織(腫瘍など)の冷凍焼灼に使用できる。例えば、冷凍手術の間、外科医は、クライオプローブを患者の解剖学的構造体の標的領域又はその近傍に配置することによって、患者の解剖学的構造体の標的領域を冷凍焼灼するためのクライオプローブなどの1つ以上の処置具を配備し得る。一例では、クライオプローブは、圧力下で供給される熱伝達媒体又は流体のジュール・トムソン(J-T)効果を利用して、冷却を生じる。加圧した低温流体がJ-Tオリフィスを通過するときに膨張するため、クライオプローブの先端付近の組織を冷凍焼灼するのに必要な温度以下の温度が生じる。膨張した低温流体とクライオプローブの外壁との間の熱伝達をアイスボールの形成に使用することができ、その結果、組織を冷凍凝固することができる。
【0003】
冷凍凝固手術システムでは、低温流体は、凍結過程においては組織を凍結させる圧力でクライオプローブに供給され、解凍過程においては組織を解凍するためにより低い圧力で供給され得る。冷凍焼灼処置の間、凍結及び解凍の1回以上のサイクルがあり得る。
【0004】
冷凍凝固手術システムは、1つ以上の低温流体源に接続された1つ以上のクライオプローブを有する。このようなシステムは、共に譲渡された特許である特許文献1、及び特許文献2に記載されており、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第8,066,697号
【文献】米国特許出願公開第2010/0256620A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのようなシステムは、高圧及び低圧の低温流体用に別個の供給及び圧力制御システムを与えているため、比較的重く、かさばり、生産コストが高くなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示されるシステム及び方法は、手術の処置中に処置具と患者の処置具周囲組織との間で熱を伝達するための低温流体(液体/気体)などの熱伝達媒体を提供する。本明細書に開示されるシステム及び方法は、手術の処置の間の熱伝達媒体の圧力調節を可能にする。
【0008】
一実施形態では、圧力調整システムは、圧力制御バルブを通り処置具に向かう、熱伝達媒体の通過を可能にするために開状態に作動させることができる圧力制御バルブを含む。圧力制御バルブは、熱伝達媒体の圧力制御バルブを通る通過を制限するように、閉状態に作動させることができる。圧力調整システムは、1つ以上の制御アルゴリズムに従って圧力制御バルブの作動を制御する制御システムを含むことが好適である。
【0009】
さらなる実施形態は、圧力制御バルブを作動させて開状態及び閉状態にするための第1の制御アルゴリズムを提供する。制御アルゴリズムは、例えば、制御システムによって実行することができる。制御システムは、第1の制御アルゴリズムに従って、熱伝達媒体の圧力が最小設定点圧力よりも低いかどうかを判定し、そうである場合、第1の信号をバルブアクチュエータに出力して圧力制御バルブを開くことができる。制御システムは、第1のアルゴリズムに従って、熱伝達媒体の圧力が最大設定点圧力を超えているかどうかも判定し、超えている場合には、第2の信号をバルブアクチュエータに出力して圧力制御バルブを閉じることができる。
【0010】
さらなる任意の実施形態では、圧力制御バルブが閉じられた後、圧力は減少しない場合があり、減少する前に初期には増加し続ける場合がある。このような任意の実施形態では、制御アルゴリズムは、第1の制御アルゴリズムと実質的に同じステップを実行できるが、さらに、圧力制御バルブが閉じた後で、熱伝達媒体の圧力が第1の圧力に達し、及び/又は第1の圧力を超えたか否かを決定する、第2の制御アルゴリズムを含み得る。この場合、第2の制御アルゴリズムは、オフセットによって最小圧力設定点を有利に調整することができる。
【0011】
さらなる任意の実施形態では、オフセットは、第1の圧力と最大圧力設定点との差に等しくすることができ、最小圧力設定点は、計算されたオフセットにほぼ等しい量だけ下げることができる。
【0012】
第2の制御アルゴリズムによれば、圧力制御バルブが閉じた後、かつ圧力制御バルブが次に開く前に、熱伝達媒体の圧力が最小圧力設定値の調整値に対応する、第2の圧力以下であるか否かを判定することによって、次のバルブを開くための調節をすることができる。その場合、第2の圧力は、第3の信号を送信して圧力制御バルブを開く。
【0013】
さらなる任意の実施形態では、第1の圧力は、任意選択で、最大圧力設定点よりも高い。そのような実施形態は、事実上、圧力制御バルブの開閉が制御システムの影響(例えば、組み込み遅延、圧力遮断など)を含むことを可能にし、熱伝達媒体の圧力を概ね所望の公称圧力に等しく制御することを可能にする。
【0014】
さらなる任意の実施形態では、第2の信号に応答して圧力制御バルブが閉じられていない場合、制御システムは、フォルト状態を自動的に示すことができる。
そのような任意の1つの実施形態では、圧力制御バルブが開いた後の経過時間を所定の時間と比較することができる。圧力制御バルブが所定の時間を超えて開いたままである場合、圧力制御バルブを閉じることができ、及び/又はフォルト条件を生成することができる。好適には、所定の時間は、第1及び/又は第2のアルゴリズムに従って制御されたときに圧力制御バルブが開いたままである時間よりも長くすることができる。
【0015】
さらに好適な実施形態では、フォルト条件がない場合、圧力制御バルブは、第1の期間、開いた状態にある。そのような実施形態では、所定の時間は第1の持続時間よりも長い。
【0016】
冷凍凝固手術システムなどの手術システムは、使用時に熱伝達媒体を供給源から処置具に運ぶために接続される、上記のような具体化された圧力調整システムを含むことができる。
【0017】
さらなる実施形態では、1つ以上の冷凍凝固手術の処置(冷凍焼灼、極低温凍結に続く解凍、焼灼など)を実施するための圧力調節システムを備えた冷凍凝固手術システムが提供される。冷凍凝固手術システムは、遠位操作先端が遠位部分に設けられている少なくとも1つのクライオプローブを有することができる。クライオプローブは、冷凍凝固手術手順を実行するための熱伝達媒体を受け取ることができる。圧力制御バルブは、クライオプローブに流体連通することができ、クライオプローブに供給される熱伝達媒体の圧力を調節して、クライオプローブの少なくとも遠位部分の間の均一な熱伝達を可能にすることができる。
【0018】
任意に、熱伝達媒体の圧力調整は、凍結操作後の解凍中にのみ実行できる。そのような実施形態では、制御システムは、例えば、オペレータ入力に基づいて、冷凍凝固手術システムが凍結操作、解凍操作、又は焼灼操作を実行しているかどうかを決定することができる。
【0019】
さらなる実施形態では、熱伝達媒体は、遠位端で極低温状態にあり、凍結操作中にクライオプローブの周囲の組織を凍結及び/又は極低温で冷凍凝固することができる。熱伝達媒体は、解凍操作(又は焼灼操作)の間、遠位先端で極低温状態にない可能性がある。
【0020】
任意の実施形態では、熱伝達媒体はアルゴンであり得る。熱伝達媒体は、1つ以上の圧力制御バルブの上流にて約3500psi(約250バール)の圧力にあり、クライオプローブの遠位先端に到達すると、約3500psiの圧力から膨張してアイスボールを生成し、又は組織を冷凍凝固する。
【0021】
さらなる任意の実施形態では、熱伝達媒体はアルゴンであり得、約1000psi~約4000psiの圧力から出発して、約200psi(約14バール)~約1000psi(約70バール)の圧力に調節され得る。そのような実施形態では、圧力制御バルブの上流のアルゴンの圧力は3500psiであり、圧力調整が本明細書で開示される制御アルゴリズムの1つ以上を使用して実行されるとき、約200psi~約1000psiの間の圧力となり得る。
【0022】
さらなる任意の又は追加の実施形態では、複数のクライオプローブをそれぞれ(例えば、マニホールド設計によって)圧力制御バルブに接続することができる。このような実施形態では、各クライオプローブは、他のクライオプローブに相対して独立して動作可能であり、制御システムは、各クライオプローブに対応する最大圧力設定点及び最小圧力設定点を決定し、対応する最大圧力設定点と最小圧力設定点に基づいて、各クライオプローブに接続された圧力制御バルブを開閉することができる。
【0023】
さらなる任意の実施形態では、各圧力制御バルブは、例えば、ソレノイドバルブなどの電気的に作動可能である。このような場合、制御システムは各圧力制御バルブと電気的に接続されている。
【0024】
さらなる任意の実施形態では、各クライオプローブは、解凍動作中に熱を与えるための電気ヒータを含む。そのような場合、熱伝達媒体は、解凍動作中に電気ヒータによって生成された熱を分配することができる。
【0025】
さらなる任意の態様では、閉状態で圧力制御バルブを通って流れる熱伝達媒体の量は、開状態で圧力制御バルブを通って流れる熱伝達媒体の量よりも少なく、したがって、制御アルゴリズムに従って圧力制御バルブを開閉することは、実際には、圧力制御バルブを通って流れる熱伝達媒体の圧力を変えることができる。
【0026】
圧力調整システムは、さらなる任意の態様では、熱伝達媒体の圧力を測定及び/又は監視するための圧力トランスデューサを含むことができる。任意の実施形態では、圧力トランスデューサは、圧力制御バルブの出口又は出口の下流に配置することができる。
【0027】
一実施形態では、手術システムは、熱伝達媒体の供給源から処置具に運ばれる熱伝達媒体の圧力を、凍結過程での凍結を引き起こすための圧力と、解凍過程での解凍のためのより低い圧力とで調節する圧力調節システムを備える。圧力調整システムは、圧力制御バルブと、バルブを開状態及び閉状態に作動させるアクチュエータとを備えるバルブデバイスを含み、開状態では、バルブは、熱伝達媒体を処置具に流出させ、閉鎖状態では、バルブは処置具への熱伝達媒体の流れに抵抗する。また、手術システムは、開状態及び閉状態へのバルブの選択的作動を引き起こすためにバルブデバイスに動作可能に接続されたコントローラを備え、解凍過程において、コントローラは、バルブデバイスの下流にある熱伝達媒体について判定された圧力に応答して作動を引き起こし、判定された圧力が下限設定圧力値よりも低い場合にバルブを開状態にし、判定された圧力が上限設定圧力値よりも高い場合にバルブを閉状態に作動させることにより、凍結を引き起こすための圧力よりも低い、解凍圧力を時間の経過とともに伝えるために、複数の設定圧力値の間で繰り返すように生じさせる。
【0028】
この圧力範囲は、例えば圧力センサによって、圧力が範囲を超えていると判断された場合、調整値によって調整することができ、その後、調整値は、複数の解凍圧力サイクルにわたって減少させることができる。解凍中に、凍結を引き起こさないように流体圧力が調整されるとき、ヒータは、凍結組織を解凍するための熱エネルギーを伝達するために流体を加熱することができる。
【0029】
1つ以上の例の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】非限定的な例示的実施形態による手術システムを示す概略図。
図2】非限定的な例示的な実施形態による冷凍凝固手術システムを示す概略図。
図3】非限定的な例示的実施形態によるクライオプローブの断面正面図。
図4】非限定的な例示的実施形態による圧力調整システムを示す概略図。
図5図4の圧力調整システムの下流の接続を示す概略図。
図6】非限定的な例示的な実施形態による制御システムの様々な構成要素を示す概略図。
図7】非限定的な例示的な実施形態による、圧力を調整するための制御アルゴリズムを示すフローチャート。
図8】非限定的な例示的な実施形態による、圧力を調整するためのさらなる制御アルゴリズムを示すフローチャート。
図9図7及び図8の制御アルゴリズムが実装されたときに圧力トランスデューサによって測定された熱伝達媒体の圧力を示すグラフ。
図10】非限定的な例示的な実施形態による、圧力を調整するためのさらなる制御アルゴリズムを示すフローチャート。
図11】非限定的な例示的な実施形態による、圧力を調整するためのさらなる制御アルゴリズムを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1を参照する。流体源54から処置具56に供給される熱伝達媒体又は流体の圧力を調整するための圧力調整システム52を備える手術システム50の例が示されている。冷凍焼灼手術システムでは、処置具は、冷凍過程で冷凍を引き起こす圧力で、及び解凍過程で解凍する低圧で流体を受け取るための冷凍焼灼プローブである。
【0032】
流体源は、必要な圧力下で流体を収容するための加圧容器、又は遠隔源から必要な圧力で流体を供給するための病院内の供給ラインであり得る。圧力調整器は、流体ライン58,60によって流体供給源と処置具とに接続するように構成され、流体を供給源から処置具に搬送する圧力を調節するためのものである。圧力調整器は、バルブ62と、バルブを作動させる開状態及び流体の流れを制限する閉状態にバルブを作動させるためのバルブアクチュエータ64とを含んでなるバルブ構成を備える。圧力トランスデューサ又はセンサ66は、バルブの下流にある処置具に流れる流体の圧力を判定又は測定するように構成され、判定された圧力に対応する信号を出力するためにコントローラに動作可能に接続される。
【0033】
圧力調整システムのコントローラ68は、制御ライン70によって圧力調整器に接続される。極低温又は凍結過程では、コントローラはバルブを作動させて開状態にし、処置具で極低温を発生させるのに適した圧力(極低温発生圧力)で流体の流れを可能にする。この圧力は、一般に、流体がシステムで圧力損失を受けて貯蔵されるのと同じ圧力であり得る。解凍過程では、コントローラは圧力調整器を制御して、処置具への流体の流れが極低温発生圧力よりも低い低圧になるようにする。圧力が低いと、手術プローブによって印加される温度が低下する。
【0034】
コントローラは、制御ライン72によって圧力トランスデューサに接続され、トランスデューサによって判定された圧力に対応する圧力トランスデューサ66からの出力を受け取るように構成される。コントローラは、判定された圧力に応答してバルブ62の選択的作動を引き起こす。
【0035】
解凍過程において圧力を低減するために、コントローラ68は、凍結を引き起こす圧力(極低温発生圧力)よりも低い一定の圧力を、時間をかけて伝達すべく、複数の設定点圧力の間のサイクルにある一定の解凍圧力を生成するために、それぞれ最小設定点及び最大設定点の圧力値でバルブ62を開状態と閉状態に作動する。時間の経過に伴う目標圧力は、平均有効圧力であり、下限と上限の設定点圧力値の間にある。設定圧力値は、流体圧力が極低温発生圧力よりも低く、選択された熱伝達媒体及びシステムの他の特性に依拠するように事前に決定される。少なくとも下限の設定値は極低温発生圧力よりも低く、好適には下限の設定値及び上限の設定値圧力値の両方が極低温発生圧力よりも低い。
【0036】
圧力が設定圧力値(又は許容圧力値の範囲)を超えた場合、特に解凍中に流体圧力が必要以上に高い場合、システム動作の間に設定圧力値をコントローラによって調整できる。解凍圧力サイクルで圧力が上限設定値を超えた場合、補正のために圧力値の調整が行われる。以下に詳しく説明するように、この過剰圧力の原因にはいくつかの理由がある。
【0037】
一例では、コントローラは、解凍圧力サイクル中に圧力が上限設定値圧力値を超えた場合、調整値によって下限設定値圧力値を調整し、調整された下限設定値の圧力値でバルブを開状態に作動させるように構成される。この調整により、解凍圧力サイクル中に圧力が下限設定点圧力値よりも低い圧力まで低下し、上限設定点圧力値を超える圧力を補正できる。下限設定点圧力値と調整済み設定点圧力値の間の調整は、過圧と上限設定点圧力値の間の差に等しくてもよい。
【0038】
別の例では、コントローラは、圧力が前の解凍圧力サイクル中に上限設定点圧力値を超えた場合には、1つの解凍圧力サイクルにわたり一定の調整値によって上限設定点圧力値を調整し、調整された上限設定値の圧力で、バルブの閉状態の作動を引き起こすように構成される。上限設定点圧力値への調整は、過圧と上限設定点圧力値との差に等しくてもよい。
【0039】
調整値は複数の解凍圧力サイクルの間に減少することにより、時間の経過とともに、調整された上限及び下限設定点圧力値は、目標解凍圧力を上限及び下限設定値の圧力値の目標平均値として生成するための上限及び下限設定点圧力値に合うようになる。好適には、一方又は両方の調整値は、前の連続したサイクルと比較して1サイクル減少する。図9のグラフは、調整の間の圧力サイクルの例を示し、有効平均圧力は、所望の圧力又は目標の公称圧力と徐々に一致している。
【0040】
処置具56には、供給管74を含む。供給管内の加圧された流体は、ジュール・トムソン膨張を受けて、処置具の膨張領域76へと入り、冷却を引き起こす。流体圧力が十分に高い場合、膨張により組織を凍結するのに適した温度が生じる。処置具は、解凍過程中に供給管内の流体を加熱するためのヒータ78を有する。解凍中、流体は低圧に調整され、実質的な冷却は行われないが、そうしないと、ヒータによって供給される熱が妨げられるからである。コントローラ68は、制御ライン80によってヒータに動作可能に接続されている。解凍が必要な場合、コントローラはヒータに信号を出力して加熱する。
【0041】
供給管74は、処置具の内側ハウジング壁から間隔をもって配置されることで流体通路82を画定し、流体を流体供給源に再循環させるか、又は大気もしくは収容場所に排出するために、流体を膨張領域から排出84へと運ぶ。
【0042】
以下の説明において、より詳細な説明及び上記の例又は他の例に含まれ得る多数の修正を含む、冷凍凝固手術システムなどの手術システムのさらなる例を記載する。例えば、以下に記載する圧力調整システム200に関する本発明の任意の態様は、上記の圧力調整システム52にも、同様に制御システム68,310にも適用される。
【0043】
図2を参照する。手術システムのための圧力調整システム200が示されている。手術システムは冷凍凝固手術システムであり得る。しかしながら、圧力調整システム200は、冷凍凝固手術システムに限定されないことを理解されたい。
【0044】
(システム全体)
図2は、冷凍凝固手術システム10の概略図である。システムの部品は、システムのハウジング12の内部にコンパクトに格納することができる。冷凍凝固手術システムは、1つ以上の流体源14を含む。流体源14は、冷凍凝固手術中に熱伝達の媒体又は流体を供給することができる。例えば、熱伝達媒体は、アルゴン、窒素、空気、クリプトン、CO、CF、キセノン、及び他の様々なガスなどの流体とすることができる。一例では、流体源14は、単に加圧容器又はキャニスタであり得る。特定の有利な態様では、冷凍凝固手術システム10は、携行可能なデスクトップコンソールの形態であり得る。そのようないくつかの有利な態様では、システムは、約22.7kg(50ポンド)未満(例えば、約20kg(44ポンド))の重量を有してもよい。したがって、そのようなシステムは、手術室にコンパクトに配置することができ、それによって必要なスペースを減らすことができる。
【0045】
図2に示される冷凍凝固手術システム10は、流体源14から処置具(図3に示される)に供給される熱伝達媒体の圧力を調整することができる圧力調整システム200を含む。図2から分かるように、圧力調整システム200は、流体源14と流体連通している1つ以上の圧力制御バルブを含む。圧力調整システム200は、以下でさらに説明するように、1つ以上のアルゴリズムに従って圧力制御バルブS,S,S,S,Sの作動を制御するための制御システム310を含む。
【0046】
図2を引き続き参照する。熱伝達媒体は、以下でさらに説明するように、流体源14から流体源出口16を介して圧力調整システム200に向かって搬送することができる。流体源14内の熱伝達媒体は、所望の圧力をはるかに超える圧力であり得る。例えば、流体源出口16における熱伝達媒体の圧力は、約3500psi(約240バール)、又は約1000psi(約69バール)~約4000psi(約275バール)の範囲であり得る。流体源14は、例えば約5000psi(約350バール)~約7000psi(約480バール)など、流体源出口16での圧力より有意に高い圧力の熱伝達媒体を収容する加圧容器又は容器(例えば、ガスシリンダー)であり得る。したがって、圧力調整器を含めることによって、熱伝達媒体の圧力が所望のレベルまで低下する。圧力調整器のすぐ下流(例えば、流体がクライオプローブに向かって移動するとき)の熱伝達媒体は、流体源出口16での圧力よりも低い圧力であり得る。例えば、場合によっては、圧力調整器は、熱伝達媒体の圧力を約4000psi(約275バール)未満(例えば、約3500psi又は240バール)に低下させることができる。必要に応じて、圧力トランスデューサは、流体源14の熱伝達媒体の圧力を測定するために圧力調整器に流体連通され得る。
【0047】
図2に示されるシステムは、「閉ループ」タイプであり得る。そのようなシステムの1つは、「冷凍凝固手術用の閉ループシステム」と題された共通に譲渡された出願に記載されており、米国特許第9,078,733B2号として付与され、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。閉ループシステムの実施形態では、外科処置(例えば、冷凍凝固手術)が完了した後、熱伝達媒体は周囲に排出されない。代わりに、熱伝達媒体は、流体チャネル(図5に示すチャネル1、チャネル2、チャネル3、チャネル4など)から流体源14に(例えば、戻り経路によって)戻される。方向制御バルブ(例えば、逆止バルブ)は、意図された方向以外の方向への熱伝達媒体の流れ(例えば、クライオプローブ100に向かう流れ又はクライオプローブ100からの戻り流)を低減及び/又は防止するために使用され得る。
【0048】
(クライオプローブ)
上記のように、処置具は、図3に示されるクライオプローブ100などのクライオプローブ100であり得る。クライオプローブ100は、細長いほぼ円筒形の中空体、すなわちプローブシャフト102を備える。シャフトは、内部コンポーネント(トロカールなど)を示すために断面図で示されています。プローブシャフト102には、システムを配備している間に患者の組織を貫通するために、流体又は制御接続よりも遠位の部分106に配置された操作先端104が形成されている。結合器具108は、遠位部分106の反対側の近位部分110に配置されている。結合器具108は、以下でさらに説明されるように、制御システム310及び/又は流体源に接続するためのピン111を備える。
【0049】
プローブシャフト102は、患者の組織への配備を可能にするために、実質的に小さい断面のものであり得る。一例では、プローブシャフト102は、約2.1ミリメートルの外径を有する。プローブシャフト102の他の寸法も考えられる。
【0050】
例えば、プローブシャフト102は、約1.5ミリメートル~約2.4ミリメートルの外径を有することができる。さらに、操作先端部104は、軟組織を貫通すべく、(例えば、クライオプローブ100の近位部分に対して)折り曲げることができるように、可撓性材料から作製され得る。
【0051】
図3からわかるように、クライオプローブ100は、操作先端104に高圧熱伝達媒体を供給するために、その長さ方向に概ね沿って延びる供給管112を有する。供給管112は、プローブシャフト102内で同軸/同心に配置することができる。供給管112は、プローブシャフト102の外面にて遠位部分106上のアイスボールを形成するための熱伝達媒体(例えば、低温流体)を供給するように構成され得る。場合によっては、供給管112は毛細管であり得る。
【0052】
クライオプローブ100は、図3に示されるように、クライオクーラーを含み得る。例えば、供給管112は、ジュール・トムソンオリフィス114で終端することができる。ジュール・トムソンオリフィス114は、ジュール・トムソンオリフィス114を出る熱伝達媒体が、遠位部分106、特に手術用先端を冷却するために、膨張室にて膨張することを可能にするように、手術用先端104の近くに配置できる。熱伝達媒体が膨張室内で膨張すると、それは急速に冷却され、遠位部分の外面及び操作先端部104上に異なる形状及び/又はサイズのアイスボールを形成する。膨張室内の膨張した熱伝達媒体は、入ってくる熱伝達媒体よりも低温である。熱伝達媒体の急速な膨張の結果として形成されるアイスボールは、組織(例えば、腫瘍)を凍結及び/又は焼灼することができる。
【0053】
ジュール・トムソンオリフィス114などの例示的なクライオクーラーが示されているが、極低温デュワー、スターリングタイプクーラー、パルスチューブ冷凍機(PTR)、ギフォードマクマホン(GM)クーラーは、本発明の範囲にあるものと考えられる。さらに、すでに簡単に上記したように、冷却に使用できる低温流体には、アルゴン、液体窒素、空気、クリプトン、CF、キセノン、又はNOが含まれる。
【0054】
操作先端104の外面は、患者の組織からの熱を効果的に伝導するため、金属又は金属合金などの、高い熱伝導率を有する材料で形成することができる。ステンレス鋼はそのような材料の適切な例である。
【0055】
再び図3を参照する。組織解凍及び/又は焼灼を容易にするために、必要に応じてプローブシャフト102内にヒータ116を設けることができる。加熱器116は、冷却及びアイスボール形成後に作動して、凍結組織を解凍することができる。任意選択で、ヒータ116は、手術手順の完了後に作動して、そこからのクライオプローブ100の離脱を容易にすることができる。本明細書において、「解凍」又は「解凍する」との用語は、複数の凍結操作の間にアイスボールを解凍する、又はクライオプローブ100の離脱を容易にするためにヒータ116を操作するという2つの過程のいずれかを交換可能に指すことがある。
【0056】
解凍過程の間に供給管112を通って運ばれるときの熱伝達流体を加熱するためにヒータ116が設けられる。熱伝達媒体は、オリフィス114から膨張するときに、熱伝達媒体が特定の場合に(以下に記載する)極低温に達しないような条件(圧力、温度、位相など)にあってもよい。代わりに、これらの条件での熱伝達媒体は、組織を解凍するために、遠位部分108及び操作先端に熱を伝達するように機能する。熱伝達媒体は、それ自体、解凍に十分な温度であってもよく、又は示されるように、温度を上げるためにヒータ116によって加熱されてもよい。
【0057】
電気ヒータ116は、クライオプローブ100の遠位部分106の加熱を促進するために、供給管112及びプローブシャフト102と同軸に提供され得る。
あるいは、電気ヒータ116は、クライオプローブ100の遠位部分106を加熱するために、クライオプローブ100の他の場所に配置され得る。電気ヒータ116は、抵抗ヒータ116とすることができ、電気ヒータ116は、そこを流れる電流及び電気ヒータ116の電気抵抗に比例する熱を生成する。そのような場合、プローブは、電流をヒータ116に流すための電力源に接続するように配置される。
【0058】
図3の例からわかるように、供給管112とプローブシャフト102の内壁との間の環状領域は、膨張室から膨張した熱伝達媒体を運ぶために膨張室と流体連通する戻り管腔118を規定する。閉ループシステムの例では、熱伝達媒体は、各手術処置の後に流体源に戻される。あるいは、システムは「開ループ」構成で動作し、使用後に周囲に排出することができる。
【0059】
(熱伝達媒体の特性)
システムの特定の例では、熱伝達媒体は、圧力調整システム200に入るとき、初期状態であり得る。初期状態は、初期圧力と初期温度で定義できる。初期圧力及び初期温度は、熱伝達媒体が膨張(例えば、オリフィス114を通るジュール・トムソン膨張)を受けるときに、熱伝達媒体の圧力及び温度の両方が低下し得るようなものであり得る。しかしながら、熱伝達媒体が初期圧力よりも大幅に低い圧力から膨張する場合、圧力の低下は、温度の(例えば、極低温への)低下を伴わない場合がある。したがって、極低温状態で遠位部分108に熱伝達媒体を提供することが望ましい場合、圧力調整システム200に入る熱伝達媒体の圧力は、初期圧力から実質的にさらに低減する必要がないであろう。しかしながら、極低温状態ではない熱伝達媒体が遠位部分108に提供される場合、熱伝達媒体の圧力は、圧力調整システム200によって初期圧力から実質的に低減され得る。
【0060】
上記のように、システムの例では、熱伝達媒体の初期圧力が十分に高い場合、熱伝達媒体は膨張を受け、冷却される。熱伝達媒体の膨張は、熱伝達媒体の温度が極低温に低下するように熱伝達媒体を十分に冷却することができる。説明を簡単にするために、この十分に高い初期圧力を「極低温圧力」と呼ぶが、媒体(気体又は液体などの熱伝達媒体のタイプ、膨張前の熱伝達媒体の温度など)や、システムの他の特性に応じて変化するものである。したがって、凍結過程の間、圧力調整器は、システムに固有のいくつかの圧力損失(例えば、圧力調整器と処置具の間)があることを考慮して、極低温圧力で熱伝達媒体を供給するように構成される。
【0061】
解凍中、熱伝達媒体の圧力は、それが極低温圧力よりも低くなるように調整される。好適には、圧力は、安全マージンをもって極低温圧力よりも低くなるように調整される。説明を簡単にするために、この圧力を「非極低温圧力」と呼ぶ。非極低温圧力からの熱伝達媒体(例えば、凍結過程と同じ媒体及び同じ特性の下)の膨張は、極低温に到達するのに十分なだけ、熱伝達媒体の温度を低下させない場合がある。
【0062】
一例では、極低温圧力は約3500psi(約240バール)であり、熱伝達媒体はアルゴンであり得る。生成される極低温は、約150ケルビン未満、好適には120~150ケルビンの範囲であり得る。凍結過程では、アルゴンが供給管112を離れると、アルゴンは極低温圧力から膨張して冷却を引き起こし、極低温状態に達する。解凍過程において、アルゴンの供給圧力は、約1000psi(約70バール)未満、好適には約700psi(約48バール)未満の非極低温圧力に調整される。アルゴンがこの圧力から膨張すると、その温度が大幅に低下して極低温に到達することはない(又は一般に一定のままである)。アルゴンは、150Kを超える、好適には273Kを超える温度のままであり得、特にヒータ116によって加熱された場合に増加し続け得る。
【0063】
これに関して、クライオプローブ100は、解凍(又は焼灼)過程の間に熱伝達媒体を受け取ることができる。この時点で、ヒータ116は、プローブシャフト102に熱を供給して、凍結組織からのプローブシャフト102の離脱を容易にする。したがって、そのような実施形態では、熱伝達媒体は、プローブシャフト102の表面領域全体にわたってヒータ116によって生成された熱を均一に分配して、プローブシャフト102上の様々な点と周囲の組織との間の均一な熱伝達率を可能にすることができる。。そのような実施形態は、組織からのプローブシャフト102の離脱を容易にする。
【0064】
図2を再び参照すると、熱伝達媒体は、流体源14から熱伝達媒体の圧力を調整するための圧力調整システム200に運ばれる。所望の圧力の熱伝達媒体を供給管112に供給することができるように、1つ以上のクライオプローブを圧力調整システム200の下流に(例えば、流体がクライオプローブに向かって移動するときに)流体連通して配置することができる。圧力調整システム200は、熱伝達媒体が冷凍凝固手術の手順における特定の部分の間は極低温状態にあり、冷凍凝固手術手順の他の特定の部分の間は非極低温状態になるように、熱伝達媒体の圧力を調整することができる。
【0065】
例えば、クライオプローブ100は、凍結サイクルの間は極低温状態で熱伝達媒体を受け取ることができる。したがって、圧力調整システム200は、以下に記載するように、凍結サイクル中、供給管112を出る熱伝達媒体が極低温圧力(例えば、アルゴンの場合は3500psi)であることを確実にするように構成することができる。さらに、クライオプローブ100は、解凍操作(及び/又は焼灼操作)の間は非低温状態で熱伝達媒体を受け取り、クライオプローブ100とクライオプローブ100の周囲の組織との間の熱交換を可能にすることができる。したがって、圧力調整システム200は、以下により詳細に記載するように、圧力調整システム200の下流(及び流体がクライオプローブに向かって移動する時)、及び/又は熱伝達媒体が供給管112を出る時点で、圧力調整システム200の下流で熱伝達媒体の圧力を非極低温圧力よりも低い(例えば、アルゴンの場合、1000psi未満)ことを確実にするように構成することができる。有利には、上記のように、解凍動作(又は焼灼動作)中に非極低温状態で熱伝達媒体を提供することにより、解凍動作(又は焼灼動作)中にヒータ116によって生成された熱を均等に分配して、解凍サイクル(及び/又は焼灼)において、プローブシャフト102及び周囲組織(例えば、プローブシャフトの長さにわたるプローブシャフトの温度によって特徴付けられる)を均一にすることができる。このような実施形態は、冷凍焼灼が完了すると、クライオプローブ100の取り外しの容易さを改善し得る。
【0066】
(圧力調整システム)(圧力制御バルブへの共通の入口)
図4は、圧力調整システム200の詳細を示す概略図である。図4では、様々な構成要素を接続する実線は、流体連通(例えば、機械的結合)によって圧力調整システム200の構成要素に結合された流体ライン、又はダクト204(例えば、管)であり得る。
【0067】
図4に見られるように、圧力調整システム200は、バルブコントローラによって制御される複数の圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)を含む。バルブコントローラは、圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・Sなど)に統合できる。バルブコントローラは、電気信号及び/又は命令を受信することができる電気/電子回路(例えば、ダイオード、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プリント回路基板(PCB)プロセッサなど)を含んでなることができる。バルブコントローラは、必要に応じて、電圧を印加したり電流を流したり、電圧をオフにして圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)を開状態と閉状態の間で動かす電磁アクチュエータを有していてもよい。
【0068】
一実施形態では、圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)は、マニホールド設計の形態で構成及び配置することができ、分配マニホールド210と呼ばれることがある。図2を再び参照すると、一例によれば、分配マニホールド210は、システムハウジング12内に収容することができる。
【0069】
一例では、図4に示すように、分配マニホールド210は、各圧力制御バルブS,S,S,S及び複数のバルブ出口214a,214b,214c,214d・・・214hの上流に共通のマニホールド入口212を任意選択で有することができる。各バルブ出口(214a,214b,214c,214d・・・214h)は、対応する圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)の下流にある(例えば、流体がクライオプローブに向かって移動する向きにおける下流)。以下により詳細に記載するように、1つ以上のクライオプローブは、対応する流体チャネル(216a,216b,216c,216d・・・216n)を介して、各バルブ出口(214a,214b,214c,214d・・・214n)に流体連通している。4つの圧力制御バルブが示されているが、本発明の範囲内で追加の又はより少ないバルブを想定できることを理解されたい。さらに、圧力制御バルブを配置及び配置するために、マニホールド設計以外の構成もまた、本発明の範囲内に想定できるものである。
【0070】
図4に示すように、共通マニホールド入口212は、熱伝達媒体を供給する流体ライン16に流体連通され得る。マニホールド入口の流体接続は、マニホールド入口が流体源14と直接又は間接的に流体連通することを可能にすることができ、したがって、そこから直接的又は間接的に熱伝達媒体を受け取る。
【0071】
(クライオプローブへの流れと戻りの流れ)
図5は、処置を実施するために2つ以上の処置具を使用できるように、複数の冷凍凝固処置具に接続するためのシステムの例を示す。図5は、各バルブ出口(214a,214b,214c,214d)の接続を示す。図示された実施形態では、各流体チャネル(216a,216b,216c,216d,・・・216n)は、2つのサブチャネル(216a-1,216a-2,216b-1,216b-2,216c-1,216c-2,216d-1,216d-2)に接続され、それぞれがクライオプローブ100と流体連通可能である。したがって、図示された実施形態に従って1つの圧力制御バルブ(図3に示されるS,S,S,S・・・S)は、2つのクライオプローブに流体連結され得る。それぞれの圧力制御バルブについて、追加の、又はより少ないクライオプローブ(S,S,S,S・・・S)があることも、本発明の範囲に想定される。サブチャネルは、分配マニホールド210及びその構成要素を冷凍プローブ100の近位結合器具108に接続するように、流体ポート又はコネクタの形状に構成することができる。例えば、サブチャネルは、近位結合器具108の近位ピン111と係合して接続することができるコネクタで終端することができる。有利には、サブチャネルに流体接続可能であることに加えて、近位結合器具108は、クライオプローブ100を制御システム310と(例えば、BNCタイプの電気コネクタ及び/又は電気ケーブルを介して)電気的に接続して、制御を可能にすることができることにより、システム310は、冷凍凝固手術の前又はその最中にクライオプローブ100と電気的に通信する。
【0072】
圧力調整システムは、例えば図4を参照して説明されるように、様々な任意の流れ調整部品を有していてもよく、流体ライン204内の圧力が圧力の限界値に到達し、及び/又はそれを超える場合に、熱伝達媒体を運ぶ流体ライン204の過剰な圧力を軽減するなど、様々な目的で圧力制御バルブに入る熱伝達媒体の所望の特性を確実にすることができる。圧力の制限値は、動作条件及び安全上の考慮事項に基づいて選択できる。圧力調整システム200はまた、圧力調整システム200に入り、流体ライン204によって運ばれる熱伝達媒体の圧力を監視するために、流体ライン204に流体連通された圧力トランスデューサを任意に含み得る。さらに、必要に応じて、圧力調整システム200は、圧力トランスデューサに流体連通され、(例えば、流体がクライオプローブに向かって移動するにつれて)下流に配置され得る乾燥剤を含み得る。必要に応じて、各流体チャネル216a,216b,216c,216d(図3ではバルブ出口214a,214b,214c,214dに流体連通されているように示される)は、1つ以上の乾燥剤(例えば、シリカゲル又は他の乾燥剤又は乾燥機)に流体連通してもよい。さらに、いくつかの場合において、各サブチャネルは方向制御バルブを有し、熱伝達媒体が意図した方向以外(例えば、下流からクライオプローブ100に向かって、又は戻り経路を介してクライオプローブ100から流体源14に向かって)に流れる可能性を低減又は防止することができる。
【0073】
上記のように、システムは閉ループシステムとすることができ、それによって熱伝達媒体は使用後に排出されず、代わりに流体源14に戻される。図5は、一実施形態によるそのような1つの戻り流れ部分300を示す。図5からわかるように、戻り流れ部分300は、マニホールドとして構成することもでき、いくつかの実施形態では、戻りマニホールド304と呼ぶことができる。戻りマニホールド304は、戻り流サブチャネル(302a-1、302a-2、302b-1、302b-2、302c-1、302c-2、302d-1、302d-2)を有することができる。特定の非限定的な実施形態では、戻り流サブチャネル(302a-1、302a-2、302b-1、302b-2、302c-1、302c-2、302d-1、302d-2)の数は、流れサブチャネルの数(216a-1,216a-2,216b-1,216b-2,216c-1,216c-2,216d-1,216d-2)と等しくてもよい。各戻り流サブチャネルは、流体接続ポートの形態とすることができ、クライオプローブ100の戻り管腔118と流体連通することができる。
【0074】
(ソレノイド/バルブ制御)
例えば図1、2及び4に示されるような圧力制御バルブは、システム制御(例えば、コントローラ68又はシステム制御310)からの出力に応答してバルブの作動を引き起こすためのバルブ制御又はアクチュエータに関連付けられる。バルブ制御は、バルブシートとの選択的係合のためのバルブ部材の移動を引き起こすか又は可能にするソレノイドを含み得る。バルブ部材がバルブシートと係合すると、バルブを通る流れが制限され(閉鎖状態)、解放された流れが許される(開放状態)。バルブコントローラは、一例では、制御システムからの出力信号に応答して、ソレノイドに電位を与えるために、制御システムと通信する(例えば、信号及び/又は命令を受信する)電気制御回路を含むことができる。他のタイプのバルブが、本発明の範囲内で企図される。
【0075】
圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)を作動させて圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)を閉状態と開状態の間で動かす。開状態では、共通のマニホールド入口から受け取った熱伝達媒体は、圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)を通って流れ、バルブ出口(214a,214b,214c、214d,・・・214n)を介して圧力制御バルブを出て、バルブ出口(214a,214b,214c、214d,・・・214n)に流体連通されたクライオプローブ100(複数可)に向かって流れる。圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)は、それらが(例えば、制御システム310から送信される電気信号又は命令によって)積極的にエネルギーを与えられて閉状態から開状態に移動するまで、通常閉状態であり得る。
【0076】
特定の態様では、開状態及び閉状態のそれぞれにおいて、圧力制御バルブは、完全に開いた状態及び完全に閉じた状態であってもよく、又はそれぞれ部分的に開いていて部分的に閉じていてもよい。本明細書で使用される場合、「閉鎖」、「閉鎖する」、「閉鎖した」(又はその変形)又は「閉鎖状態」という用語は、部分的閉鎖状態及び/又は完全閉鎖状態の両方を含み得る。さらに、「開放」、「開いている」、「開いていた」(又はその変形)、又は「開いた状態」という用語は、部分的に開いた状態及び/又は完全に開いた状態の両方を含むことができる。特定の実施形態では、閉状態で圧力制御バルブを通って流れる熱伝達媒体の量は、圧力制御バルブが開いているときに圧力制御バルブを通って流れる熱伝達媒体の量(例えば、流量)より少なくてもよい。圧力制御バルブが閉じているときに圧力制御バルブを通って流れる熱伝達媒体の量(例えば、流量)は、約ゼロに対応し得る。圧力制御バルブが開いている場合、熱伝達媒体の量(流量など)はゼロより大きくなることがある。
【0077】
(圧力トランスデューサ)
再び図1、2及び4を参照する。圧力調整システム52,200は、流体の圧力を決定するための1つ以上の圧力トランスデューサ、又はセンサを含み得る。制御システムは、圧力調整システムの動作を制御するためにトランスデューサからの出力を受け取るように配置されている。以下において、トランスデューサに関するより詳細な説明を簡単にするために、図2及び4に示されるトランスデューサが参照されるが、この説明の任意の態様は、図1のセンサ66に等しく適用される。各圧力トランスデューサ(PT,PT,PT,PT,・・・PT)は、対応する又は関連付けられた圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)に流体連通している。いくつかの実施形態では、圧力トランスデューサ(PT,PT,PT,PT,・・・PT)は、各圧力制御バルブの出口に設けることができる。他の実施形態では、圧力トランスデューサ(PT,PT,PT,PT,・・・PT)は、各圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)よりもさらに下流に設けることができる。場合によっては、バルブ出口(214a,214b,214c,214d・・・214h)とクライオプローブの本体の近くの下流の間で圧力が大幅に変化しないことがある。したがって、圧力トランスデューサ(PT,PT,PT,PT,・・・PT)の位置は、圧力制御バルブ(S,S,S,Sなど)の下流の適切な位置になるようにカスタマイズできる。
【0078】
圧力トランスデューサ(PT,PT,PT,PT,・・・PT)は、対応する圧力制御バルブ(S,S,S,S...)の下流(例えば、流体がクライオプローブに向かって移動するとき)の熱伝達媒体の圧力を測定できる。圧力トランスデューサ(PT,PT,PT,PT,・・・PT)は、熱伝達媒体の瞬間圧力を測定できる。あるいは、圧力トランスデューサ(PT,PT,PT,PT,・・・PT)は、例えば、所定のサンプリング周波数で所定の間隔にわたって熱伝達媒体の圧力をサンプリングすることによって、所定の間隔にわたる熱伝達媒体の時間平均圧力を示す圧力測定値を提供することができる。このような場合、圧力トランスデューサ(PT,PT,PT,PT,・・・PT)が圧力データを収集する時間間隔は、データ収集のサンプリングレートと同様に調整できる(以下でさらに説明する)。以下の説明は、圧力トランスデューサ(PT,PT,PT,PT,・・・PT)を使用して性能を制御するための圧力フィードバックを提供することに関するものであり評価されるべきものだが、圧力トランスデューサは、凍結サイクル中に性能を制御するために(例えば、アイスボールのサイズや形を調整するためなど)圧力フィードバックを提供する場合がある。さらに、圧力トランスデューサ(PT,PT,PT,PT,・・・PT)は、熱伝達媒体の圧力の形の出力、及び/又は熱伝達媒体の圧力を示す出力(例えば、電気信号、電圧など)を提供することができる。圧力トランスデューサ(PT,PT,PT,PT,・・・PT)によって提供される信号を調整するために、1つ以上の信号調整回路(例えば、アナログデジタル変換器、フィルタ324など)を任意で設けることもできる。
【0079】
(制御システムと回路)
制御システムは、凍結又は解凍状態のいずれかで処置具を操作するために、冷凍凝固処置具に供給される熱伝達媒体の流れを制御するように構成される。本明細書で説明するように、コントローラは、圧力バルブ装置の作動を制御し、少なくとも解凍状態では、作動を制御するために関連づけられた圧力トランスデューサからの出力に応答する。制御システムのさらなる詳細は、特に図2及び4を参照して以下に説明されるが、より一般的に他の実施形態に適用される。
【0080】
前述のように、各圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)は、熱伝達媒体が冷凍プローブ100を通って選択的に流れることができるように、少なくとも1つの冷凍プローブ100に流体接続可能である。したがって、システムの特定の実施形態は、圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)のバルブコントローラを制御するための制御システム310も含む。Sn).制御システム310は、システムの様々な構成要素を備えた、プロセッサ、ゲートアレイ(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ、FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は電気通信のマイクロコントローラ(図1に破線で示す)の形態のコントローラであり得る。制御システム310には、圧力制御バルブ(S,S,S,S,・・・)のバルブコントローラの動作を制御するように構成され、又はプログラムすることができる電気回路及び/又は電子回路が含まれ得る。Sn).制御システム310は、圧力トランスデューサ(PT,PT,PT,PT,・・・PT)と動作可能に通信することができ、そこから測定された圧力(又は圧力を示す信号)を受け取ることができる。
【0081】
図2を再び参照すると、特定の有利な態様では、制御システム310は、システムハウジング12内に収容され、圧力調整システム200と電気的に接続することができる。さらに、制御システム310は、バルブ出口(214a,214b,214c,214d,・・・214n)に接続されたクライオプローブと電気的に接続することもできる。さらに、制御システム310は、センサ、タイマー、アナログ/デジタル変換器、有線又は無線通信回路などを含み、かつ/又はそれらと電気通信することができる。さらに、制御システム310は、外部ディスプレイ、及びオペレータ入力を受け取るための入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、タッチスクリーンなど)に動作可能に接続することができる。代替的に、制御システム310は、システムに接続可能な外部コンピュータであり得る。このような場合、外部コンピュータは、以下でさらに説明するように、1つ以上の制御及び/又は外科的ステップを実行するように、コンピュータ可読命令を有するか、及び/又はプログラムすることができる。
【0082】
図6は、一実施形態による圧力調整システムの様々な構成要素を示す概略図である。この説明では、1つ以上の信号調整コンポーネント320と電気通信している1つ以上の圧力トランスデューサ(PT,PT,PT,PT,・・・PT)を備える圧力調整システム200を参照する。一例では、信号調整コンポーネント320は、圧力トランスデューサ(PT,PT,PT,PT,・・・PT)によって測定されたアナログ電気信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器322を含むことができる。サンプリングレートや、圧力測定を行う継続時間(例えば、凍結、解凍、又は焼灼サイクルの期間)などの測定パラメーターは、必要に応じて設定できる。
【0083】
図6を引き続き参照すると、1つ以上のフィルタ324を、信号調整コンポーネント320の一部として任意で提供することができる。フィルタ324は、有利には、測定ノイズを低減し、かつ/又は圧力測定のアンチエイリアシングを提供することができる。
【0084】
上記及び図4を参照すると、制御システム310は、圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)と電気的に接続することができる。したがって、制御システム310は、圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)に電気信号を送って、それらを開状態から閉状態に、又はその逆に切り替えることができる。制御システム310は、動作条件に基づいて電気信号を圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)に送信することができる。
【0085】
一例では、制御システム310が、(例えば、オペレータ入力に基づいて)凍結操作が実行されるべきであると決定した場合、制御システム310は、圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)に信号を送出し、それらを開状態に移行させ、及び/又は圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)を所定の期間(例えば、凍結操作の期間に対応)の間、開状態に維持することができるこれにより、流体源14からの熱伝達媒体がバルブ出口(214a,214b,214c,214d,・・・214n)を通ってクライオプローブ100に流れることが可能になる。
【0086】
別の例では、解凍(又は焼灼)操作が実行されるべきであると(例えば、オペレータ入力に基づいて)制御システムが決定する場合、制御システム、例えばシステム310は、圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)に、所定のアルゴリズムに従って開状態及び/又は閉状態の間を繰り返し移行するように信号を送ることができる。これにより、(例えば、凍結操作と比較して)より低い圧力で熱伝達媒体を流体源14からクライオプローブに分配することが可能になる。
【0087】
図4,5を引き続き参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、各クライオプローブ100は、他のクライオプローブに対して独立して動作可能であり得る。したがって、制御システム310は、他の圧力制御バルブとは無関係に各圧力制御バルブを作動させることができる。したがって、制御システム310は、各圧力制御バルブに対応する冷凍プローブ100への熱伝達媒体の流れを選択的に制御するように、各圧力制御バルブを選択的に作動させることができる。さらに、以下でさらに詳細に記載するように、制御システム310は、特定の期間にわたって各バルブを作動させて、熱伝達媒体を極低温又は非極低温状態で供給することができる。このような実施形態は、有利にも、異なるタイプのクライオプローブ(例えば、異なるプローブシャフトの外径、及び/又は異なる凍結/解凍特性を有する)が同一の冷凍焼灼システムに接続され、なおかつ互いに独立して制御されることを可能にし得る。
【0088】
前述のように、制御システム310は、圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)を開状態又は閉状態に移行するために、各圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)に電気信号を送る。解凍サイクルの間、制御システム310は、開示された制御アルゴリズムの1つに従って開状態と閉状態との間で繰り返し切り替えるために、電気信号を圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)に送ることができる。さらに有利な実施形態では、制御システム310は、各圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)を互いに選択的かつ独立して作動させることができる結果、各クライオプローブ100が他のクライオプローブから独立して動作可能になる。
【0089】
一例では、図2及び5を参照すると、第1のクライオプローブ100aが凍結動作を実行するとき、第2のクライオプローブ100bはいかなる動作も実行しないかもしれないが、第3のクライオプローブ100cは解凍動作を実行する。制御システム310は、第1の冷凍プローブ100aと流体連通している第1の圧力制御バルブSに第1の信号を送信して、凍結動作の持続時間の間、開状態を維持することができる。制御システム310は、第2のクライオプローブ100bと流体連通している第2の信号を第2の圧力制御バルブSに送信して閉じたままにし、第3の信号を第3の圧力制御バルブSに送信して、圧力トランスデューサPT3によって測定された圧力(又は圧力を示すデータ)が所定の圧力範囲内にない場合には、開状態と閉状態を繰り返し切り替えることができる。
【0090】
上記のように、特定の実施形態では、熱伝達媒体は、特定の冷凍凝固手術手順(例えば、凍結)のためにクライオプローブ100の供給管112を離れるとき、極低温状態にあり、冷凍凝固手術手順(例、解凍/焼灼)における他の特定の場合、非極低温状態にあり得る。本発明の有利な態様では、圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)は、凍結過程の間、開いた状態のままである。しかしながら、圧力制御バルブは、解凍サイクルの間、繰り返し開閉されてもよい。以下に説明するように、圧力制御バルブの開閉を繰り返すと、バルブ出口(214a,214b,214c,214d,・・・214h)の下流で(例えば、流体がクライオプローブに向かって移動するときに)圧力が低下する可能性がある点が評価される。
【0091】
そのようないくつかの実施形態では、解凍(又は焼灼)の間、圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)は、熱伝達媒体の圧力が所望の圧力設定点(例えば、第2の圧力未満)になるまで繰り返し開閉することができる。第2の圧力未満の圧力から膨張するとき、熱伝達媒体は、解凍操作中にアイスボールが形成されないように、非極低温状態にあることが有利であり得る。
【0092】
一例では、冷凍プローブの寸法及び/又は、凍結/解凍特性に基づく時、熱伝達媒体がアルゴンである場合、圧力設定点は、約200psi(約15バール)~約1000psi(約70バール)、例えば、約500psi(約35バール)であり得る。したがって、圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)は、解凍/焼灼過程中に開閉して、圧力設定点の範囲(例えば、約200~1000psi、又は15~70バール)で所望の圧力を効果的に達成することができる。
【0093】
上記のように、圧力制御バルブは、熱伝達媒体の所望の圧力を達成するために開閉することができる。1つ以上の制御アルゴリズム(以下により詳細に記載する)を使用して、各圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)などの開閉を制御できる。
【0094】
(制御アルゴリズム)
(アルゴリズム1-オンオフ制御)
以下に説明するように、制御システム(例えば、システム68又は310)は、制御システムによって実行されると、制御システムに、例えば、図7,8に例示されるステップを実行させる制御アルゴリズムを含むコンピュータ可読記憶媒体を含む。図7は、非限定的な例示的実施形態による、解凍サイクル(又は焼灼)中に熱伝達媒体の圧力を調整する制御アルゴリズム600を示す。本明細書に記載されるステップ(例えば、アルゴリズム600、700、900及び1000)は、少なくとも1つの圧力トランスデューサ(例:PT1)によって測定された圧力に基づいて、少なくとも1つの圧力制御バルブを介して少なくとも1つの流体チャネル(例えば、S1)における圧力を調整するために使用され得る。必要に応じて、すべての流体チャネルの圧力は、各圧力トランスデューサ(PT,PT,PT,PT,・・・PT)によって測定された圧力に基づき、少なくとも各圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)を同時に及び/又は順次制御することによって調整できる。
【0095】
ステップ602で、圧力トランスデューサ(例えば、PT)は圧力を測定し、測定された圧力(又はそれを表す電気信号)を制御システム310に送信する。制御システム310は、ステップ604で、測定された圧力(又はそれを表す電気信号)を受け取り、それを最小又は下限圧力設定点と比較する。測定された圧力が最小圧力設定値よりも低い場合、ステップ606で、制御システム310は信号をバルブコントローラに送信して圧力制御バルブを開く。制御システム310は、バルブが開いているときに圧力を(圧力トランスデューサから受け取った圧力を介して)監視し続け、ステップ608で、圧力が最大又は上限圧力設定値に到達及び/又は超過するかどうかを判定する。制御システム310が、測定された圧力が最大圧力設定点値に到達及び/又はそれを超えると判断した場合、ステップ610において、制御システム310は、信号(又は命令)をバルブコントローラに送信して圧力制御バルブを閉じる。
【0096】
制御アルゴリズム600の例示的な実施例では、圧力調整システム200は、周期的な間隔で圧力トランスデューサから圧力を受け取ることができる。例えば、圧力トランスデューサは、所定のサンプリングレート(例えば、2kHz)で圧力をサンプリングし得、測定された圧力を制御システム310に送信し得る。サンプリングレートは、エイリアシングを最小化(又は排除)し、十分な数の圧力測定値を生成するように選択できる。
【0097】
制御システム310は、測定された圧力を最小及び最大圧力設定点と比較することができる。測定された圧力が圧力設定点以下である場合、制御システム310は、信号又は命令をバルブコントローラに送信して、圧力制御バルブを開く。その間、圧力トランスデューサは、その所定のサンプリングレートで圧力測定値を生成し続け、制御システム310に送る。次に、制御システム310は、測定された圧力を監視し続け、測定された圧力が圧力設定点の範囲内(例えば、最小圧力設定点より高く、最大圧力設定点未満)であるかどうかを判定する。
【0098】
最小圧力設定点及び最大圧力設定点は、クライオプローブのタイプ及びその凍結/解凍性能に基づく値に設定されてもよい。最小圧力設定値と最大圧力設定値は、両方とも同じ値でも異なる値でもよい。設定点間で圧力サイクルが発生すると、設定点と設定点の値の間に有効平均流量圧力が生成され、有効平均流量圧力からの膨張が起きても、熱伝達媒体の温度が極低温とはならないので、解凍過程に適する。
【0099】
任意追加の実施形態では、制御アルゴリズム600は、任意追加のステップ612を含むことができ、それにより、制御システム310は、圧力制御バルブが開いた後の経過時間を追跡し、ステップ614で経過時間を所定の時間と比較する。経過時間が所定の時間を超える場合、任意追加のステップ616で、制御システム310は、所定の時間が経過した場合に流体チャネル(216a,216b,216c,216dの1つ以上)にフォルトが生じたことを示すフォルト信号を生成することができる。任意追加のステップ618で、制御システム310は、信号(又は命令)を送信して、圧力制御バルブを閉じることができる。
【0100】
制御アルゴリズム600の実施例では、圧力制御バルブは、測定された圧力に基づいて開閉することができる。バルブは、第1の持続時間(例えば、30ミリ秒)の間開いたままであり得、その時点で、圧力トランスデューサによって測定された圧力は、最大圧力設定点に到達し得る。制御システム310は、通常、バルブを閉じるための信号を送ることができる。しかしながら、圧力調整システム200にフォルトがあり、制御システム310が圧力制御バルブを閉じるのに失敗した場合、制御システム310は、バルブが開いてからの経過時間を監視し続けることができる。経過時間が所定の時間(例えば、2秒)を超える場合、制御システム310は、圧力制御バルブを閉じ、及び/又はフォルト信号を送ることができる。そのような実施形態は、制御システム310が圧力を調整できない場合に、追加の安全性を提供することができる。
【0101】
(アルゴリズム2-設定値が変化するオンオフ制御)
図8は、別の非限定的な例示的実施形態による、解凍/焼灼サイクル中に熱伝達媒体の圧力を調整する制御アルゴリズム700を示す。制御アルゴリズム700は、制御アルゴリズム600と実質的に同様であり得る。一例では、制御アルゴリズム700は、(圧力トランスデューサによって測定されるような)圧力が常にバルブの開閉に瞬時に応答するわけではない場合に実装され得る。したがって、いくつかのそのような例では、圧力設定値に達したときにバルブが閉じられた後でも、(圧力トランスデューサによって測定された)圧力が上昇し続ける場合がある。制御アルゴリズム700は、そのような影響に対処して、一貫した安定した圧力を提供することができる。
【0102】
ステップ702で、圧力トランスデューサは圧力を測定し、測定された圧力(又はそれを表す電気信号)を制御システム310に送信する。制御システム310は、ステップ704で、測定された圧力(又はそれを表す電気信号)を受け取り、それを最小圧力設定点と比較する。測定された圧力が最小圧力設定点以下である場合、ステップ706で、制御システム310は信号をバルブコントローラに送信して圧力制御バルブを開く。制御システム310は、バルブが開いているとき(圧力トランスデューサから受け取った圧力を介して)圧力を監視し続け、ステップ708で、圧力が最大圧力設定点に達したか、及び/又は、最大圧力設定点を超えたかを判断し得る。制御システム310が、測定された圧力が最大圧力設定点に到達し、及び/又はそれを超えたと判断した場合、ステップ710で、制御システム310は、信号(又は命令)をバルブコントローラに送信して圧力制御バルブを閉じる。この時点で、(圧力トランスデューサによって測定された)圧力は、低下し始める前に、上昇し続ける場合がある。任意追加のステップ712で、制御システム310は、圧力が低下し始める前の圧力の値を第1の圧力と比較することができる。(圧力トランスデューサによって測定された)圧力が(圧力制御バルブが閉じられた後に)第1の圧力に達し、及び/又はそれを超えた場合、任意追加のステップ714において、制御システム310は、最小圧力設定点が(図9で説明するように)望ましい公称圧力からの偏差が小さくなるように、オフセット又は調整する。
【0103】
ステップ714で、制御システム310は、オフセットを計算し、オフセットに対応する量だけ最小圧力設定点を調整することができる。一例では、オフセットは、第1の圧力と最大圧力設定点との間の差であり得る。この例では、最小圧力設定値は、オフセットの量だけ調整(低下)できる。したがって、次のサイクルでは、新しく下げられた、又は調整された最小圧力設定値に達するまで、圧力制御バルブが開かないことができる。次に、最大設定値からのオフセットは、調整された設定値間の圧力範囲が初期設定値と比較して小さくなるように、後続のサイクルで調整することもできる。
【0104】
いくつかの有利な実施形態では、第1の圧力は、最大圧力設定点よりも高くすることができ、第2の圧力は、最小圧力設定点よりも低くすることができる。追加及び代替の実施形態では、第1の圧力及び第2の圧力は、解凍(又は焼灼)サイクル全体にわたって一定でなくてもよく、圧力制御バルブが開閉されるたびに調整されてもよい。さらなる追加及び代替の実施形態では、第1の圧力及び第2の圧力は、次第に、時間の経過とともに、それぞれ最大圧力設定点及び最小圧力設定点に等しくなり得る。そのような有利な実施形態では、圧力制御バルブが閉じられた後、(圧力トランスデューサによって測定される)圧力は最終的に単調に(最初は増加し、その後減少するのではなく)減少し得る。このようにして、設定ポイントの1つ又は両方に対して行われた調整は、圧力サイクルにわたって減少し、あるサイクルを後続のサイクルと比較することにより、調整がゼロに近づき、有効圧力が目標公称圧力と一致する。
【0105】
制御アルゴリズム700の例示的な実施態様では、圧力制御バルブは、測定された圧力及び圧力設定点に基づいて開閉することができる。圧力が最小圧力設定点未満である場合、制御システム310は、圧力制御バルブを開くための信号を送信することができる。圧力は増加し続け、最終的には最大圧力設定値に達することがある。制御システム310は、圧力制御バルブを閉じるための信号を送ることができる。制御システム310からの信号に応答したバルブの開閉の遅延、閉塞などの影響により、圧力トランスデューサによって測定された圧力は、例えば圧力が再び減少し始めるまで、第1の圧力まで増加し続ける場合がある。第1の圧力は、最大圧力設定値より大きい場合がある。したがって、制御システム310は、圧力が第1の圧力に達した及び/又はそれを超えた場合に最小圧力設定点に達したときに、圧力制御バルブを開かない場合がある。制御システム310は、圧力制御バルブが再び開かれる前に、圧力が第2の圧力に達するまで待つことができる。圧力が第2の圧力に達すると、圧力制御バルブを開ける。
【0106】
最小圧力設定点は、例えば、熱伝達媒体としてアルゴンを含む一例では、約450psi(約30バール)であり得る。この例では、最大圧力設定点は、例えば、約500psi(約35バール)であってよい。第1の圧力は、例えば、約550psi(約38バール)であり得る。したがって、圧力が約550psiの第1の圧力に達した、及び/又はそれを超えた場合には、制御システム310は、約450psiの最小圧力設定点に達したときにも圧力制御バルブを開かない場合がある。この例では、圧力は、約400psi(約28バール)の第2の圧力に達するまで減少し続ける。圧力が第2の圧力に達すると、圧力制御バルブを開ける。
【0107】
制御システム310は、バルブ設定の直前又は直後のそれぞれの圧力設定値の測定された圧力と、最小値及び最大値との間のオフセットに基づいたバルブ開閉の後続のサイクルにおける測定された圧力に基づいてバルブの開閉に対応する第1の圧力及び第2の圧力の値を動的に調整し得る。さらに、以下でさらに説明するように、制御システムは、それと動作可能に通信しているクライオプローブのタイプに基づいて、最小及び最大圧力設定点を決定することもできる。
【0108】
別の例では、制御アルゴリズム700によると、圧力は、圧力調整の1サイクルの後の後続のサイクル中では、第1の圧力ほど高くは到達しない可能性がある。圧力制御バルブが閉じられた後、圧力は、例えば、第3の圧力といった、より低い値に達し得る。したがって、次の後続のサイクルでは、制御システム310は、圧力制御バルブが開かれる前に、圧力が例えば第4の圧力に達するまで待機することができる。いくつかの任意の有利な実施形態では、開閉時の圧力は、最終的にはそれぞれ最小圧力設定点及び最大圧力設定点に収束する可能性がある。制御システム310は、サイクルの様々な時点で測定された圧力と、測定圧力と最小及び最大圧力設定値の間のオフセットとに基づいて、バルブの開閉に対応する第1の圧力、第2の圧力、第3の圧力、及び第4の圧力(及び後続の圧力)の値を動的に調整する。さらに、以下でさらに説明するように、制御システムは、それと動作可能に通信しているクライオプローブのタイプに基づいて、最小及び最大圧力設定点を決定することもできる。
【0109】
熱伝達媒体としてアルゴンを用いるいくつかのそのような例では、最大圧力設定点が約500psiの場合、第1の圧力は約550psi、最小圧力設定点は約450psiであり、第2の圧力は約400psi、第3の圧力は約525psi(約36バール)で、第4の圧力は約475psi(約33バール)である。
【0110】
制御システム310は、通常、信号を送ってバルブを閉じることができる。しかしながら、圧力調整システム200にフォルトがあり、制御システム310が圧力制御バルブを閉じるのに失敗した場合、制御システム310は、バルブが開いてからの経過時間を監視し続けることができる。経過時間が所定の時間(例えば、2秒)を超える場合、制御システム310は、圧力制御バルブを閉じ、及び/又はフォルト信号を送ることができる。そのような実施形態は、制御システム310が圧力を調整できない場合に、追加の安全性を提供することができる。
【0111】
図9は、圧力制御バルブの開閉に応じた圧力トランスデューサデータの例を示す。時間tに、圧力トランスデューサは圧力データの収集を開始する(例えば、それぞれ制御アルゴリズム600及び700のステップ602,702によって示されるように)。時間tにおいて、(図9において実線で示される)圧力トランスデューサによって測定された圧力は、(例えば、それぞれ制御アルゴリズム600及び700のステップ604,704によって示されるように)最小圧力設定点よりも低く、制御システム310は、(例えば、それぞれ制御アルゴリズム600及び700のステップ606,706によって示されるように)圧力制御バルブを開くための信号(又は命令)を送る。圧力トランスデューサによって測定された圧力が増加し始める。時間tにおいて、圧力トランスデューサによって測定された圧力は、(例えば、それぞれ制御アルゴリズム600及び700のステップ608,708によって示されるように)最大圧力設定点に到達する。この時点で、制御システム310は、信号(又は、例えば、それぞれ制御アルゴリズム600及び700のステップ610,710によって示されるような命令)を送信して、圧力制御バルブを閉じる。
【0112】
いくつかの任意の実施形態では、圧力トランスデューサによって測定された圧力は、圧力制御バルブが再び開かれるまで、圧力制御バルブの閉鎖に続いて単調に減少し始めることがある。あるいは、他の任意の実施形態では、圧力トランスデューサによって測定された圧力は、圧力制御バルブが閉じられた後、時間tで減少するまで(図9の破線によって示されるように)増加し続ける。
【0113】
いくつかのそのような任意の実施形態では、圧力トランスデューサによって測定された圧力は、時間tで第1の圧力に到達及び/又はそれを超えることができる。そのような任意の実施形態では、上述のように、制御システム310は、圧力が最小圧力設定点よりさらに低く低下し続けることを可能にし、圧力制御の次のインスタンス中にバルブが開いた時に最大圧力設定点を超える圧力の可能性を低減することができる。したがって、圧力(圧力トランスデューサによって測定される)は、時間tで第2の圧力(最小圧力設定点未満)に低下することができ、その時点で圧力制御バルブが再び開かれる。
【0114】
図9はまた、実線として所望の公称圧力を示している。所望の公称圧力は、サイクル平均圧力とすることができ、また、圧力制御バルブの下流(例えば、クライオプローブの供給管内又はその下流にある時)の熱伝達媒体の圧力とすることができる。所望の公称圧力は、時間をかけて概ね一定のままであり得る。
【0115】
また、図9に破線で示されているのは、有効平均圧力である。有効平均圧力は、単一のサイクルにわたるサイクル平均を表すサイクル平均値であってもよい。前述のように、バルブの開閉の遅延、物理的な閉塞などの影響により、トランスデューサによって測定された圧力は、バルブの開閉に瞬時に反応せず、バルブが閉じた後も上昇し続ける場合がある。したがって、有効平均圧力は、所望の常圧を中心に振動することがある。時間の経過とともに、制御システムがバルブの開閉を調整して、測定された圧力がそれぞれ最小圧力と最大圧力の設定値に対応するようにした結果(例えば、図8のアルゴリズム700に示されているように)、図9に示すように、有効平均圧力は収束して(バルブの開閉の数サイクルにわたって)所望の公称圧力に達し得る。
【0116】
(アルゴリズム3-針のタイプに基づく圧力設定値レベル)
図10は、非限定的な例示的実施形態による、解凍サイクル中に熱伝達媒体の流れを制御する方法900を示す。方法900は、異なるタイプのクライオプローブ(例えば、プローブシャフトの異なる外径、及び/又は異なる凍結/解凍特性を有する)が独立して制御されることを有利に可能にすることができる。このような場合、上記の圧力設定値は異なる場合がある。したがって、方法900は、特定のプローブタイプについて、凍結及び/又はアイスボール形成を伴うことなく、解凍(又は焼灼)中に効果的な熱分布を提供するために熱伝達媒体を供給しなければならない圧力設定点を決定できる。
【0117】
ステップ902で、制御システム310などの制御システムは、(例えば、プロセッサを介して)各流体チャネル(216a,216b,216c,216d,・・・216n)に接続されたクライオプローブに関する情報を読み取ることができる。情報は、クライオプローブ上の電子回路(例えば、チップ)に格納されてもよい。制御システム310は、ステップ904で、クライオプローブに関する情報に基づいて、それぞれのチャネルの圧力設定点を決定することができる。一例では、任意選択で、異なるタイプのクライオプローブの圧力設定点は、事前に(例えば、実験的に)決定され、制御システム310との動作通信(例えば、有線又は無線)でメモリ又はストレージに格納され得る。あるいは、別の例では、別のオプションとして、圧力設定点を経験的に決定することができる。
【0118】
ステップ906で、制御システム310は、制御アルゴリズム(例えば、上述した、例えば、制御アルゴリズム600又は制御アルゴリズム700又はその変更例)に従って、圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)を作動させ、ステップ904で決定された圧力設定点を使用することができる。例えば、最大及び最小圧力設定点の値は、ステップ904で制御システム310によって決定され、制御アルゴリズム600又は700と併せて使用されてもよい。任意追加的に、図8に関して上述したように、図10のアルゴリズムはまた、測定圧力が概して所望の有効圧力に対応するように、動作中に圧力設定点を動的に調整することもできる。
【0119】
任意追加の実施形態では、方法900が制御アルゴリズム700と共に使用される場合、制御システム310は、対応する流体チャネルに接続されたクライオプローブのタイプ及び/又はその凍結/解凍特性に基づいて、各流体チャネル(216a,216b,216c,216dの1つ以上)についての最大圧力設定点、最小圧力設定点、第1の圧力及び第2の圧力の1つ以上を決定及び設定することができる。
【0120】
方法900の実施例は、以下の通りである。第1のクライオプローブ100a及び第2のクライオプローブ100bは、第1の流路216a及び第2の流路216bに接続される。制御システム310は、(例えば、以前のデータ、実験、経験的方法に基づいて)第1のクライオプローブ100aの圧力設定点が約500psiであり、第2のクライオプローブ100bの圧力設定点が約450psiであることを決定し得る。このような場合、制御システム310は、第1の流路216a内の圧力が約500psiになるように、制御アルゴリズム(600、700又は1000)に従って第1の流路216aに流体連通された第1の圧力制御バルブS1を作動させることができる。制御システム310はまた、第2の流路216b内の圧力が約450psiとなるように、(第1の圧力制御バルブとは独立に)第2の圧力制御バルブS2を作動させることができる。方法900の追加又は代替の実施も企図される。
【0121】
(アルゴリズム3-デューティサイクリング(従来の説明))
図10は、非限定的な例示的な実施形態による熱伝達媒体の圧力を調整する制御アルゴリズム1000を示す。この方法は、開示された実施形態のいずれかによる冷凍凝固手術システムで実行することができる。この方法は、機械可読(又はコンピュータ実行可能)命令の形であり、制御システム310に提供される(例えば、メモリにプログラムされる)ことができる。ステップ1002で、制御システム310は、(例えば、ステップ1001で受け取られたユーザ入力に基づいて)冷凍手術システムが解凍(又は焼灼)操作、あるいは凍結操作のいずれを実行すべきかを判定することができる。制御システム310は、例えば、オペレータ入力に基づいてそのような決定を行うことができる。システムが凍結サイクルを実行しようとしていると制御システム310が判定する場合、オプションとして、制御システム310は、(オペレータの入力又は記憶されたプログラム設定に基づいて)どのクライオプローブが凍結操作を実行するかを決定できる。ステップ1006で、制御システム310は、圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)と電気的に通信し、圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)を閉状態から開状態へ切り替える電気信号を送信することができる。有利には、このステップで、制御システム310は、どの圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)が凍結操作を実行するクライオプローブに対応するかを決定し、それらの圧力制御バルブ(S,S,S,Sなど)を選択的に作動させることができる。あるいは、制御システム310は、すべての圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)を作動させることができる。さらに有利な態様では、制御システム310は、圧力トランスデューサ(PT,PT,PT,PT,・・・PT)からの圧力測定データを監視することにより、凍結性能を制御し、凍結のパフォーマンスを調整するすることができる。例えば、制御システム310は、所望の凍結パフォーマンス(例えば、アイスボールのサイズで示される)に達した時に、圧力制御バルブ(S,S,S,S・・・S)を閉じる(及び/又は繰り返し開閉する)ことができる。
【0122】
冷凍凝固手術システムが解凍動作(又は焼灼)を実行することを制御システム310が判定した場合、制御システム310はステップ1008で、圧力制御バルブに接続されている圧力トランスデューサ(PT,PT,PT,PT,・・・PT)から圧力測定データを受け取る。ステップ1010で、制御システム310は、圧力制御バルブの下流で(例えば、流体がクライオプローブに向かって移動する向きの下流)測定された圧力が所定の圧力範囲内であるか否かを判定する。上記のように、所定の範囲は、第2の圧力よりも低くすることができる(例えば、熱伝達媒体が非極低温状態にあるよりも低い)。制御システム310が、圧力が所定の圧力範囲内にないと判定した場合、ステップ1012で、制御システム310は、圧力制御バルブの開状態と閉状態との間で切り替わるように、圧力制御バルブを繰り返し作動させる(例えば、電気信号を送信することによって)。制御システム310は、圧力制御バルブの下流の(例えば、流体がクライオプローブに向かって移動する向きの下流)圧力が所定の圧力範囲内になるまで、このステップを実行することができる。
【0123】
制御アルゴリズム1000の有利な態様では、制御システム310は、解凍プロセス(又は焼灼)中にいくつかの繰り返されるサイクルにわたって圧力制御バルブを作動させることができ、各サイクルにおいて、圧力制御バルブは第1の時間間隔のうちは開状態にあり、第2の時間間隔の間は閉状態にある。第1及び第2の時間間隔は、圧力制御バルブの下流の所望の圧力をもたらすように選択することができる。いくつかの追加の実施形態では、圧力制御バルブは、凍結操作に対応する期間、開状態にあることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の圧力制御バルブの圧力制御バルブが閉じたままである時間に対する、1つ以上の圧力制御バルブの圧力制御バルブが開いたままである時間の比は、約5%~約80%の間にある。
【0124】
本発明による実施形態は、いくつかの利点を提供する。実施形態は、凍結及び解凍(又は焼灼)操作の両方に単一の熱伝達媒体を使用する能力を提供し、それによって追加の流体源の必要性を排除する。さらに、熱伝達媒体を使用して解凍サイクル(又は焼灼)中に熱を分配することにより、クライオプローブ内のヒータによって生成された熱をより均一に分配して、クライオプローブの長さに沿った各地点で測定された温度が大幅に変化しないようにすることができる。特定の実施形態は、追加の圧力調整器又はソレノイドを使用することなく、広範囲にわたって熱伝達媒体の圧力を調整することを可能にする。開示された実施形態のいくつかは、コンパクトで効率的にパッケージされた冷凍焼灼システムを提供する。
【0125】
非限定的な実施形態が説明されてきた。これらの及びさらなる実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11