IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アマダの特許一覧

特許7441920工作機械の作業者支援装置及び作業者支援方法
<>
  • 特許-工作機械の作業者支援装置及び作業者支援方法 図1
  • 特許-工作機械の作業者支援装置及び作業者支援方法 図2
  • 特許-工作機械の作業者支援装置及び作業者支援方法 図3
  • 特許-工作機械の作業者支援装置及び作業者支援方法 図4
  • 特許-工作機械の作業者支援装置及び作業者支援方法 図5
  • 特許-工作機械の作業者支援装置及び作業者支援方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】工作機械の作業者支援装置及び作業者支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240222BHJP
【FI】
G06Q50/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022167660
(22)【出願日】2022-10-19
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】岡本 亮太
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-259119(JP,A)
【文献】特開2010-108033(JP,A)
【文献】特開2021-026645(JP,A)
【文献】特開2014-206880(JP,A)
【文献】特開2006-251917(JP,A)
【文献】特開2019-057099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械で作業している作業者を識別する個人識別部と、
加工プログラムを実行することにより、前記工作機械の動作を制御する制御部と、
前記工作機械が行っている作業の種別を、前記制御部が実行している前記加工プログラムに基づいて検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記作業に対する前記作業者の経験値を示す経験値情報を、前記作業者の個人識別情報と対応付けて経験値データベースに蓄積する蓄積部と、
前記作業者の個人識別情報に対応付けられた、前記検出部が検出した前記作業の経験値情報を、前記経験値データベースから取得し、取得した前記経験値情報に基づいて、前記作業に関する助言を示す情報を出力する助言制御部と、
を備える工作機械の作業者支援装置。
【請求項2】
前記作業に関する助言を表示する表示部を更に備える
請求項1に記載の作業者支援装置。
【請求項3】
前記助言制御部は、
前記検出部が検出した前記作業に関する助言を出力するか否かの閾値を示す情報を助言データベースから取得し、
前記経験値情報及び前記閾値に基づいて、前記作業に関する助言を示す情報を出力するか否かを判断する
請求項1または2に記載の作業者支援装置。
【請求項4】
前記経験値情報は、前記検出部が検出した前記作業を前記作業者が実施した累積回数を示す情報を含み、
前記閾値は、前記作業に関する助言を出力する前記累積回数の閾値である
請求項3に記載の作業者支援装置。
【請求項5】
前記助言制御部は、
前記累積回数が前記閾値より小さい場合に、前記作業に関する助言を示す情報を出力する
請求項4に記載の作業者支援装置。
【請求項6】
前記経験値情報は、前記検出部が検出した前記作業を前記作業者が実施した累積回数と、前記検出部が検出した前記作業を前記作業者が実施した累積時間と、前記検出部が検出した前記作業を前記作業者が前回実施した時から今回実施した時までの経過時間と、前記検出部が検出した前記作業に関する助言を前記表示部が表示した累積表示回数とを示す情報を含み、
前記助言制御部は、
前記作業者の個人識別情報に対応付けられた、前記検出部が検出した前記作業の前記累積回数、前記累積時間、前記経過時間及び前記累積表示回数に基づいて、前記検出部が検出した前記作業に対する前記作業者の熟練度を算出し、
前記熟練度が前記閾値より小さい場合に、前記作業に関する助言を示す情報を出力すると判断する
請求項2に従属する請求項3に記載の作業者支援装置。
【請求項7】
前記作業に関する助言を示す情報は、前記作業に関する助言に対応するピクトグラムの情報を含む
請求項2に記載の作業者支援装置。
【請求項8】
前記表示部は、前記作業に関する助言に対応するピクトグラムを表示し、
前記助言制御部は、
前記表示部により表示された前記ピクトグラムが選択されたことを示す情報を受信した場合に、前記作業に関する詳細な助言を示す情報を出力する
請求項7に記載の作業者支援装置。
【請求項9】
工作機械で作業している作業者を識別し、
加工プログラムを実行することにより、前記工作機械の動作を制御し、
前記工作機械が行っている作業の種別を、実行している前記加工プログラムに基づいて検出し、
検出した前記作業に対する前記作業者の経験値を示す経験値情報を、前記作業者の個人識別情報と対応付けて経験値データベースに蓄積し、
前記作業者の個人識別情報に対応付けられた、検出した前記作業の経験値情報を、前記経験値データベースから取得し、
取得した前記経験値情報に基づいて、前記作業に関する助言を出力して、前記作業者に提示する
工作機械の作業者支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の作業者支援装置及び作業者支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、工作機械における作業者の熟練度を評価する情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6775701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の情報処理装置は、工作機械で作業している作業者を識別し、識別された作業者が工作機械で行った作業内容情報に基づいて、作業者の作業の熟練度を示す評価スコアを出力する。しかしながら、特許文献1の情報処理装置は、作業者に工作機械ごとの評価スコアを提示するだけであって、作業者が作業ごとに、自身の評価スコアに応じた作業の改善方法を把握することはできない。工作機械の作業者が、作業ごとに、自身の熟練度に応じて作業を改善することができる作業者支援装置の登場が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、作機械で作業している作業者を識別する個人識別部と、加工プログラムを実行することにより、工作機械の動作を制御する制御部と、前記工作機械が行っている作業の種別を、前記制御部が実行している前記加工プログラムに基づいて検出する検出部と、記検出部により検出された前記作業に対する前記作業者の経験値を示す経験値情報を、前記作業者の個人識別情報と対応付けて経験値データベースに蓄積する蓄積部と、記検出部が前記作業の種別を検出した時に、前記作業者の個人識別情報に対応付けられた前記作業の経験値情報を前記経験値データベースから取得し、取得した前記経験値情報に基づいて、前記作業に関する助言を示す情報を出力する助言制御部と、備える工作機械の作業者支援装置である。
【0006】
本発明の一態様は、工作機械で作業している作業者を識別し、作業の種別ごとに、作業に対する作業者の経験値を示す経験値情報をデータベースに蓄積することができる。工作機械が行っている作業を検出した時に、作業に対する作業者の経験値情報に基づいて、作業者に対し作業に関する助言を提示することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、作業者が作業毎に、自身の熟練度に応じて作業を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る作業者支援装置を含む工作機械の構成例を示す図である。
図2図2は、図1に示した記憶装置に備えられた経験値データベースの記憶内容の一例を示す図である。
図3図3は、図1に示した記憶装置に備えられた助言データベースの記憶内容の一例を示す図である。
図4図4は、図1に示した表示部に表示される表示画面の一例を示す図である。
図5図5は、図1に示した表示部に表示される表示画面の一例を示す図である。
図6図6は、一実施形態に係る作業者支援装置を含む工作機械の一動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態に係る作業者支援装置は、少なくとも、個人識別部、検出部、蓄積部、助言制御部を備える。
【0010】
個人識別部は、工作機械で作業している作業者を識別する。検出部は、工作機械が行っている作業の種別を検出する。蓄積部は、検出部により検出された作業に対する作業者の経験値を示す経験値情報を、作業者の個人識別情報と対応付けて経験値データベースに蓄積する。助言制御部は、検出部が作業の種別を検出した時に、作業者の個人識別情報に対応付けられた作業の経験値情報を経験値データベースから取得し、取得した経験値情報に基づいて、作業に関する助言を示す情報を出力する。なお、一実施形態に係る作業者支援装置は、作業に関する助言を表示する表示部をさらに備えてもよい。
【0011】
以下、一実施形態に係る作業者支援装置及び作業者支援方法について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一あるいは同等の部位、又は構成要素には、同一の符号を付している。
【0012】
図1は、一実施形態に係る作業者支援装置を含む工作機械の構成例を示す図である。図1に示すように、工作機械は、情報処理装置10と、加工機本体20と、表示部30とを備える。
【0013】
本実施形態において、工作機械は、ワークに曲げ加工を施すことが可能な曲げ加工機(プレスブレーキ)であるものとする。なお、工作機械は、レーザ加工機であってもよく、旋盤等の切削機械や研削機械であってもよく、工作機械は、作業者による作業を伴う工作機械であれば特に限定されるものではない。
【0014】
加工機本体20は、情報処理装置10と接続され、情報処理装置10によって制御される。本実施形態において、加工機本体20は、作業者40が保持(支持)するワークに対して曲げ加工を施すことが可能である。曲げ加工機である加工機本体20の一般的構成は公知であるため、詳細な説明は省略する。加工機本体20は、ワークを上型(パンチ)と下型(ダイ)とで挟んで折り曲げる。加工機本体20は、例えば、ワークに対してV曲げ、ヘミング曲げ、切り起こし曲げ等の曲げ加工を施すことが可能に構成される。
【0015】
加工機本体20は、操作部21を備える。操作部21は、例えばタッチパネルで構成されており、作業者40から加工機本体20に対する各種の操作を受け付ける。操作部21は、例えば、作業者40からログイン情報及び加工機本体20の設定、ワークの材質、加工の種類、加工条件等の加工情報を受け付ける。操作部21は、受け付けた各種の情報を、情報処理装置10へ送信する。
【0016】
情報処理装置10は、制御装置11と、記憶装置12と、メモリ(図示せず)とを備え、これらの構成要素が図示しないバスなどを介して電気的に接続されている。
【0017】
記憶装置12は、加工機本体20の制御及び作業者支援に必要な各種の情報やデータベースを格納する。記憶装置12は、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体である。記憶装置12は、加工プログラム121と、経験値データベース122と、助言データベース123とを備える。加工プログラム121、経験値データベース122、助言データベース123の各々の詳細については、後述する。
【0018】
加工プログラム121は、工程ごとに加工機本体20の動作を定めたプログラム(加工データ)である。加工プログラム121には、例えば、加工における工程の順番、曲げ作業の工程における曲げの種類、段取り作業工程における金型の状態等の情報が含まれる。
【0019】
経験値データベース122は、加工機本体20が行う作業内容を示す情報と、各作業に対する作業者40の経験値を示す経験値情報とを、作業者40の個人識別情報に対応付けて記憶する。図2は、経験値データベース122の記憶内容の一例を示す図である。図2の例においては、経験値情報は、作業者40がこれまでに各作業を実施した累積回数を示す情報である。2において、経験値データベース122は、作業内容を示す情報と、作業者40が各作業を行った累積回数とを、作業者40の個人識別情報である作業者ID対応付けて記憶する。
【0020】
助言データベース123は、加工機本体20が行う各作業に関する助言を示す情報と、各作業に関する助言を出力するか否かの閾値を、各作業内容を示す情報と対応付けて記憶する。図3は、助言データベース123の記憶内容の一例を示す図である。図3の例においては、値は、各作業に関する助言を出力する累積回数の閾値である。図3において、助言データベース123は、各作業に関する助言を示す情報と、各作業に関する助言を出力する累積回数の閾値を、各作業内容を示す情報に対応付けて記憶する。
【0021】
制御装置11は、例えば少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、例えば、CPU(中央処理装置:Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(特定用途向け半導体:Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせ等によって構成され得る。
【0022】
制御装置11は、記憶装置12などに記憶されている様々なプログラムをメモリに読み込んで、プログラムに含まれる各種の命令を実行する。メモリは、AM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。
【0023】
制御装置11は、機能的な構成例として、個人識別部111、加工機制御部112、作業検出部(検出部)113、経験値蓄積部(蓄積部)114、助言制御部115を備える。
【0024】
個人識別部111は、操作部21から送信されたログイン情報を受信する。個人識別部111は、操作部21から受信したログイン情報を用いて、加工機本体20で作業している作業者40を識別する。個人識別部111は、識別した作業者40の個人識別情報を、経験値蓄積部114及び助言制御部115に送信する。個人識別情報は、例えば、作業者IDまたは作業者名である。なお、個人識別部111は、加工機本体20の作業エリアを撮影するように設置されたカメラにより撮影された作業者40の画像から、作業者40を識別してもよい。この場合、作業者40を識別するための画像処理アルゴリズムには、任意の画像処理プログラムが採用される。作業者40を識別する方法は、特に限定されるものではない。
【0025】
加工機制御部112は、操作部21から送信された加工情報を受信する。加工機制御部112は、加工機本体20の操作部21から受信した加工情報に対応する加工プログラム121を記憶装置12から読み込んで加工プログラム121を実行することにより、加工機本体20の動作を制御する。加工機制御部112は、加工プログラム121が終了した場合に、加工プログラム121をメモリから破棄する。
【0026】
作業検出部113は、加工機制御部112が実行している加工プログラム121に基づいて、加工機本体20が行っている作業の種別を検出する。作業検出部113は、例えば、加工プログラム121の情報から曲げ作業の工程及び加工機本体20のストロークを検出した場合には、加工プログラム121の情報から曲げの種類を特定して、「V曲げ」、「ヘミング曲げ」、「切り起こし曲げ」等の作業の種別を検出する。作業検出部113は、例えば、加工プログラム121の情報から段取り作業の工程を検出して、金型取付け位置にバックゲージが移動したことを検出した場合には、加工プログラム121の情報から金型の状態を特定して、取り付ける金型が裏付けであることを検出する。
【0027】
経験値蓄積部114は、作業検出部113が検出した作業に対する作業者40の経験値情報を、作業者40の個人識別情報と対応付けて、経験値データベース122に蓄積する。経験値蓄積部114は、例えば、作業検出部113が検出した作業を作業者40がこれまでに実施した累積回数、すなわち、個人識別部111が作業者40を検出した際に、作業検出部113が当該作業を検出した累積回数を、作業者40の個人識別情報と対応付けて、経験値データベース122に蓄積する。
【0028】
助言制御部115は、作業者40の個人識別情報に対応付けられた、作業検出部113が検出した作業の経験値情報を、経験値データベース122から取得し、取得した経験値情報に基づいて、作業検出部113が検出した作業に関する助言を示す情報を出力する。より具体的には、助言制御部115は、作業検出部113が検出した作業に関する助言を出力するか否かの閾値を示す情報を、助言データベース123から取得する。助言制御部115は、取得した経験値情報と閾値に基づいて、作業に関する助言を示す情報を出力するか否かを判断する。
【0029】
助言制御部115は、例えば、作業者40の個人識別情報に対応付けられた、作業検出部113が検出した作業を作業者40が実施した累積回数を示す情報を、経験値データベース122から取得する。この場合、助言制御部115は、作業検出部113が検出した作業に関する助言を出力する累積回数の閾値を示す情報を、助言データベース123から取得する。助言制御部115は、取得した累積回数が取得した閾値より小さい場合に、作業検出部113が検出した作業に関する助言を示す情報を出力すると判断する。一方、助言制御部115は、取得した累積回数が取得した閾値以上の場合には、作業検出部113が検出した作業に関する助言を示す情報を出力しないと判断する。
【0030】
例えば図2及び図3に示す例において、助言制御部115が、作業者40の個人識別情報である作業者ID「001」に対応付けられ、作業検出部113が検出した「切り起こし曲げ」の作業を作業者40が実施した累積回数「50」を示す情報を、経験値データベース122から取得したとする。この場合、助言制御部115は、「切り起こし曲げ」の作業に関する助言「切り起こし曲げの寸法補正(±は同じ)」を出力する累積回数の閾値「100」を示す情報を、助言データベース123から取得する。このとき、経験値データベース122から取得した累積回数「50」は、助言データベース123から取得した閾値「100」より小さいため、助言制御部115は、助言「切り起こし曲げの寸法補正(±は同じ)」を示す情報を出力すると判断する。
【0031】
助言制御部115は、作業検出部113が検出した作業に関する助言が複数ある場合には、作業に関する助言の各々について、同様の処理を行う。例えば図2及び図3に示す例において、「切り起こし曲げ」の作業に関する他の助言「切り起こし曲げの曲げ速度注意」を出力する累積回数の閾値「30」より大きいため、助言制御部115は、助言「切り起こし曲げの曲げ速度注意」を示す情報を出力しないと判断する。各作業に関する助言は一つであっても複数であってもよく、各作業に関する助言を出力するか否かの閾値は同じ値に設定されてもよいし、助言毎に異なる値に設定されてもよい。
【0032】
助言制御部115は、作業に関する助言を示す情報を出力すると判断した場合には、作業に関する助言を示す情報を表示部30へ出力する。なお、作業に関する助言を示す情報は、作業に関する助言に対応するピクトグラムの情報を含んでもよい。
【0033】
表示部30は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又はその他の表示機器である。表示部30は、助言制御部115から出力された作業に関する助言を表示する。図4は、表示部30により表示される表示画面31の一例を示す図である。図4に示すように、表示部30は、表示画面31の上側の範囲311に、作業に関する助言に対応するピクトグラムを並べて表示してもよい。
【0034】
なお、表示画面31はタッチパネルで構成されてもよく、表示画面31に表示されたピクトグラムを選択する操作をタッチ操作で受け付けてもよい。助言制御部115は、表示部30により表示されたピクトグラムが選択されたことを示す情報を受信した場合に、作業に関する詳細な助言を示す情報を出力してもよい。
【0035】
図5は、表示部30により表示される表示画面31の一例を示す図である。図5に示すように、表示部30は、表示画面31の上側の範囲311に、作業に関する助言に対応するピクトグラムを並べて表示してもよい。表示部30は、表示部30により表示されたピクトグラムが選択された場合に、表示画面31の中央の範囲312に、作業に関する詳細な助言を示す情報を表示してもよい。ピクトグラムは、助言の種類に応じて色分けして表示されてもよい。作業に関する助言を表示部30に表示する方法及び配置については、特に限定されるものではない。
【0036】
以下、本実施形態に係る作業者支援装置を含む工作機械の一動作例について、図6を参照して説明する。
【0037】
図6のステップS1において、加工機本体20の操作部21は、作業者40からログイン情報を受け付ける。操作部21は、受け付けたログイン情報を、情報処理装置10に送信する。情報処理装置10の個人識別部111は、操作部21から送信されたログイン情報を受信する。
【0038】
処理はステップS2に進み、個人識別部111は、操作部21から受信したログイン情報を用いて、加工機本体20で作業している作業者40を識別する。個人識別部111は、識別した作業者40の個人識別情報を、経験値蓄積部114及び助言制御部115に送信する。
【0039】
処理はステップS3に進み、加工機本体20の操作部21は、作業者40から加工情報を受け付ける。操作部21は、受け付けた加工情報を、情報処理装置10に送信する。情報処理装置10の加工機制御部112は、操作部21から送信された加工情報を受信する。
【0040】
処理はステップS4に進み、加工機制御部112は、操作部21から受信した加工情報に対応する加工プログラム121を記憶装置12からメモリへ読み込む。処理はステップS5に進み、加工機制御部112は、加工プログラムを実行することにより、加工機本体20の動作を制御する。
【0041】
処理はステップS6に進み、作業検出部113は、加工機制御部112が実行している加工プログラム121に基づいて、加工機本体20が行っている作業の種別を検出する。
【0042】
処理はステップS7に進み、経験値蓄積部114は、作業検出部113が検出した作業に対する作業者40の経験値情報を、作業者40の個人識別情報と対応付けて、経験値データベース122に蓄積する。その後、処理はステップS13に進む。
【0043】
また、ステップS7の処理と並行して処理はステップS8に進み、助言制御部115は、作業者40の個人識別情報に対応付けられた、作業検出部113が検出した作業の経験値情報を、経験値データベース122から取得する。助言制御部115は、例えば、作業者40の個人識別情報に対応付けられた、作業者40が作業検出部113により検出された作業を実施した累積回数を示す情報を取得する。
【0044】
処理はステップS9に進み、助言制御部115は、作業検出部113が検出した作業に関する助言を出力するか否かの閾値を示す情報を、助言データベース123から取得する。助言制御部115は、例えば、作業検出部113が検出した作業に関する助言を出力する累積回数の閾値を示す情報を、助言データベース123から取得する。
【0045】
処理はステップS10に進み、助言制御部115は、ステップS8で取得した経験値情報とステップS9で取得した閾値に基づいて、作業に関する助言を示す情報を出力するか否かを判断する。助言制御部115は、例えば、ステップS8で取得した累積回数が、ステップS9で取得した閾値より小さい場合に、作業検出部113が検出した作業に関する助言を示す情報を、表示部30へ出力すると判断する。作業に関する助言を出力しないと判断した場合(ステップS11でNO)には、処理はステップS13に進む。一方、作業に関する助言を出力すると判断した場合(ステップS11でYES)には、処理はステップS12に進み、助言制御部115は、作業に関する助言を示す情報を表示部30へ出力し、処理はステップS13に進む。
【0046】
ステップS13において、加工機制御部112は、加工プログラム121が終了したか否かを判断する。加工プログラム121が終了した場合(ステップS13でYES)には、処理はステップS14に進む。一方、加工プログラム121が終了していない場合(ステップS13でNO)には、処理はステップS6に戻る。
【0047】
ステップS14において、加工機制御部112は、加工プログラム121をメモリから破棄する。処理はステップS15に進み、加工機本体20の操作部21は、作業者40からログアウト操作を受け付ける。操作部21は、ログアウト操作の情報を、情報処理装置10に送信する。情報処理装置10は、操作部21からログアウト操作の情報を受信して、図6の処理を終了する。
【0048】
(作用効果)
以上説明したように、本発明の一実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0049】
一実施形態に係る作業者支援装置は、工作機械で作業している作業者40を識別し、作業の種別毎に、作業に対する作業者40の経験値を示す経験値情報を経験値データベース122に蓄積することができる。工作機械が行っている作業を検出した時に、経験値データベース122から、検出した作業に対する作業者40の経験値情報を取得して、経験値情報に基づいて、作業者40に対し作業に関する助言を提示することができる。作業者40は、作業毎に、自身の経験値に応じた助言を確認することができる。これにより、作業者40が作業毎に、作業に対する自身の熟練度に応じて作業を改善することができる。
【0050】
また、一実施形態に係る作業者支援装置は、作業に対する作業者40の経験値情報と、作業に関する助言を出力するか否かの閾値に基づいて、作業に関する助言を示す情報を出力するか否かを判定するため、作業者40の経験値に応じて作業者40に提示する助言を判断することができる。これにより、作業者40は、自身の経験値に応じて必要な助言を確認することができる。また、作業者40の熟練度が高い作業に対して、作業者40に不要な助言を表示することを低減できる。
【0051】
経験値情報は、作業検出部113が検出した作業を作業者40が実施した累積回数を示す情報を含んでもよく、閾値は、作業に関する助言を出力する累積回数の閾値であってもよい。この場合、作業者支援装置は、作業者40が作業を実施した累積回数に基づいて、作業に関する助言を出力するか否かを判断できる。これにより、作業者支援装置は、作業者40が各作業を実施した累積回数のみを蓄積すればよく、作業者40の全ての作業履歴情報を蓄積するよりもデータ量を削減できる。
【0052】
一実施形態に係る作業者支援装置は、作業に関する助言を表示する表示部30を更に備え、表示部30は、作業に関する助言に対応するピクトグラムを表示してもよい。作業に関する助言をピクトグラムにより表示することにより、作業者40に作業に関する助言があることを視覚的に提示できる。
【0053】
表示部30は、作業に関する助言に対応するピクトグラムを表示し、助言制御部115は、表示部30により表示されたピクトグラムが選択されたことを示す情報を受信した場合に、作業に関する詳細な助言を示す情報を出力してもよい。作業者40が作業に関する詳細な助言を選択して確認することができ、より作業を改善することができる。
【0054】
なお、本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0055】
上述した実施形態においては、経験値情報として、作業者40がこれまでに各作業を実施した累積回数を示す情報を用いる例について説明した。しかしながら、経験値情報は、作業者40が各作業を実施した累積時間を示す情報であってもよく、作業者40が前回作業を実施した時から今回作業を実施した時までの作業毎の経過時間を示す情報であってもよく、表示部30が作業に関する助言を表示した累積表示回数を示す情報であってもよく、複数の情報の組合せであってもよい。経験値情報は、各作業に対する作業者40の経験値を示す情報であれば、特に限定されるものではない。
【0056】
例えば、経験値情報は、作業検出部113が検出した作業を作業者40が実施した累積回数と、作業検出部113が検出した作業を作業者40が実施した累積時間と、作業検出部113が検出した作業を作業者40が前回実施した時から今回実施した時までの経過時間と、作業検出部113が検出した作業に関する助言を表示部30が表示した累積表示回数とを示す情報を含んでもよい。この場合、経験値蓄積部114は、累積回数と、累積時間と、経過時間と、累積表示回数とを、作業者40の個人識別情報と対応付けて、経験値データベース122に更に蓄積する。
【0057】
また、この場合、助言制御部115は、作業者40の個人識別情報に対応付けられた、作業検出部113が検出した作業の累積回数、累積時間、経過時間及び作業に関する助言の累積表示回数に基づいて、作業検出部113が検出した作業に対する作業者40の熟練度を算出してもよい。熟練度は、累積時間が長いほど高くなり、経過時間が短いほど高くなり、表示回数が多いほど高くなるように算出されればよく、算出方法は特に限定されるものではない。この場合、閾値は、各作業に関する助言を出力する熟練度の閾値であり、助言制御部115は、熟練度が閾値より小さい場合に、作業に関する助言を示す情報を出力すると判断する。
【0058】
作業に対する作業者40の熟練度を複数の経験値情報から算出し、熟練度に基づいて、作業に関する助言を示す情報を出力するか否かを判定することにより、より適切に作業者40の経験値に応じた助言を提示することができる。
【0059】
また、例えば、記憶装置12の加工プログラム121、経験値データベース122及び助言データベース123は、無線又は有線のネットワークにより情報処理装置10と接続された一又は複数のサーバー上に格納されてもよい。加工プログラム121は、作業者40が操作部21を操作することにより作成されてもよい。この場合、新規に作成された加工プログラム121は情報処理装置10のメモリに書き込まれ、加工機制御部112は、書き込まれた加工プログラムを実行することにより、加工機本体20の動作を制御する。加工プログラム121の実行が終了した場合には、加工機制御部112は、書き込まれた加工プログラム121をメモリから破棄する。また、新規に作成された加工プログラム121は、記憶装置12に保存されてもよく、無線又は有線のネットワークにより情報処理装置10と接続されたサーバー上に保存されてもよい。
【0060】
表示部30は、加工機本体20に含まれてもよく、情報処理装置10に含まれてもよい。表示部30は、作業者40が工作機械で作業している時に確認できる位置に配置されればよい。
【0061】
作業に関する助言は、ピクトグラム以外の画像、動画、及びテキスト等により表示部30に表示されてもよい。さらに、作業に関する助言は、マイクスピーカを用いて音声により出力されてもよい。
【0062】
助言制御部115は、経験値情報に基づいて、出力する助言の内容を変更してもよい。
【符号の説明】
【0063】
40 作業者
111 個人識別部
113 作業検出部(検出部)
114 経験値蓄積部(蓄積部)
115 助言制御部
122 経験値データベース
【要約】
【課題】作業者が作業毎に、自身の熟練度に応じて作業を改善することができる工作機械の作業者支援装置を提供する。
【解決手段】作業者支援装置は、個人識別部111、検出部113、蓄積部114、助言制御部115を備える。個人識別部111は、工作機械で作業している作業者40を識別する。検出部113は、工作機械が行っている作業の種別を検出する。蓄積部114は、検出部113が検出した作業に対する作業者40の経験値を示す経験値情報を、作業者40の個人識別情報と対応付けて経験値データベース122に蓄積する。助言制御部115は、作業者40の個人識別情報に対応付けられた、検出部113が検出した作業の経験値情報を、経験値データベース122から取得し、取得した経験値情報に基づいて、作業に関する助言を示す情報を出力する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6