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特許7441921非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7088 20060101AFI20240222BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20240222BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240222BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240222BHJP
   G01N 33/15 20060101ALI20240222BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20240222BHJP
   A61P 7/02 20060101ALN20240222BHJP
【FI】
A61K31/7088
A61K31/713
A61K48/00
A61P1/16
G01N33/15 Z
G01N33/50 Z
A61P7/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022168271
(22)【出願日】2022-10-20
(62)【分割の表示】P 2018566469の分割
【原出願日】2017-06-28
(65)【公開番号】P2023002696
(43)【公開日】2023-01-10
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】16176755.3
(32)【優先日】2016-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500431380
【氏名又は名称】ドイチェス クレープスフォルシュングスツェントルム シュティフトゥング デス エッフェントリッヒェン レヒツ
【氏名又は名称原語表記】Deutsches Krebsforschungszentrum Stiftung des oeffentlichen Rechts
【住所又は居所原語表記】Im Neuenheimer Feld 280, 69120 Heidelberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】ヘイケンワールデル,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ツェンダー,ラース
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー,アヒム
【審査官】春田 由香
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-533166(JP,A)
【文献】Fujita, K. et al.,Effectiveness of antiplatelet drugs against experimental non-alcoholic fatty liver disease,Gut,2008年,Vol.57, No.11,p.1583-1591,doi:10.1136/gut.2007.144550
【文献】Zein, C. O. et al.,Pentoxifylline improves nonalcoholic steatohepatitis: a randomized placebo-controlled trial,Hepatology,2011年,Vol.54, No.5,p.1610-1619,doi:10.1002/hep.24544
【文献】Cauwenberghs, N. et al.,Antithrombotic effect of platelet glycoprotein Ib-blocking monoclonal antibody Fab fragments in nonhuman Primates,Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology,2000年,Vol.20, No.5,p.1347-1353,doi:10.1161/01.atv.20.5.1347
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 48/00
A61K 45/00-45/08
A61K 39/00-39/44
A61K 38/00-38/58
G01N 33/00-33/98
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血小板の凝集又は活性化の阻害剤を含む、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療又は予防用医薬であって、
前記阻害剤が、Gp1bの阻害剤であり、
前記阻害剤が、アンチセンス核酸であり、
前記アンチセンス核酸が、RNA干渉誘導核酸であり、
前記RNA干渉誘導核酸が、Gp1b mRNA配列に相補的な配列を含む、
医薬。
【請求項2】
Gp1b mRNA配列に相補的な配列を含む前記RNA干渉誘導核酸が、siRNA、miRNA、及び/又はLNA構築物である、請求項1に記載の医薬。
【請求項3】
前記治療は、NASHの軽減又は進行の低減である、請求項1に記載の医薬。
【請求項4】
前記治療は、NASHの肝硬変への進行の低減、失速又は逆行である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項5】
前記治療は、NASHの肝細胞癌(HCC)への進行の低減、失速又は逆行である、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項6】
前記治療は、肝硬変及び/又はHCCを発症する危険性があるNASH患者におけるHCCの予防である、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項7】
前記治療は、NASHを発症する危険性がある患者において実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項8】
前記NASHを発症する危険性がある患者は、糖尿病患者、肥満患者、又はメタボリックシンドローム若しくは別の代謝障害を患う患者である、請求項7に記載の医薬。
【請求項9】
治療される対象は、アルコール性肝臓障害、薬物性肝臓障害、慢性活動性肝炎、肝脂肪症及び肝細胞アポトーシスからなる群から選択される状態を有さない、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項10】
前記治療される対象は、炎症性脂肪肝を患う、請求項9に記載の医薬。
【請求項11】
化合物がNASHの治療に対して活性を有するかどうかを同定する方法であって、Gp1bを発現する細胞を、候補化合物と接触させることと、該タンパク質を発現し、かつ該候補化合物と接触させていない対照細胞と比較して、前記タンパク質の発現、安定性及び/又は活性を決定することとを含み、該候補化合物との接触時の該タンパク質の発現、安定性及び/又は活性の低減は、該候補化合物がNASHの治療に対して活性を有することを示し、前記候補化合物がアンチセンス核酸であり、前記アンチセンス核酸がGp1b mRNA配列に相補的な配列を含むRNA干渉誘導核酸である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)と関連付けられる疾患の治療のための細胞構成成分による血小板の活性又は凝集能力を標的とする新規化合物を提供する。本発明は、肝硬変及び肝細胞癌(HCC)の発症を回避するように、NAFL(非アルコール性脂肪肝)の進行段階である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療するのにこれらの化合物を提供する。さらに、本発明の化合物を含む医薬組成物、及び新たなNASH治療薬(therapeuticals)をスクリーニングする方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
セデンタリーライフスタイルと組み合わされた高いカロリー摂取(例えば、高脂肪、高フルクトース及び高グルコース食による)等のこの数十年にわたるライフスタイルの変化により、体重過多、並びに腹部肥満、インスリン抵抗性、筋緊張亢進及び脂質異常症を特徴とするメタボリックシンドロームの発生率が増加している。最新のWHO癌報告では、この先20年以内に癌発生率が2倍になると予想されており、その大半が、高カロリー摂取、喫煙及びセデンタリーライフスタイル等の修正可能な危険因子に起因している(非特許文献1)。肥満と癌発生率との間で、強い関連性が十分確立されており、25を超える肥満度指数(BMI)は、幾つかの癌を発症する危険性を大幅に増加させる(非特許文献2)。身体の最も重要な代謝臓器である肝臓は、高カロリー摂取、体重過多、セデンタリーライフスタイル及び結果として生じる病態(メタボリックシンドローム)の慢性状態によって強く影響を受ける。
【0003】
NAFL及びNASHを含む幾つかの肝疾患を含む非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、世界中で最も頻発している肝疾患であり、体重過多及びメタボリックシンドロームの臨床所見である。NAFLは、数十年続くことがあり、また肝臓の優勢大滴性脂肪症(predominantmacrovesicular steatosis)を特徴とする慢性疾患である。NAFLの有病率は、世界規模で増加しつつある(非特許文献3)。現在は、9千万人のアメリカ人及び4千万人のヨーロッパ人が、NAFLDを患っている。発展途上国も、NAFLDの症例の激しい上昇を示していることは興味深いことであり、これは工業化及び付随する「西洋のライフスタイル」の結果を反映している。相当数のNAFL患者が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、線維症、続いて肝細胞癌(HCC)を発症する。同時に、NASHを患う人々の総数は、米国及びヨーロッパで増加している。その結果として、肥満、脂肪症及び脂肪性肝炎は、西洋諸国でHCC発生率の上昇に起因して、ますます注目されている(非特許文献4)。それを踏まえて、先進工業諸国におけるHCCの最も一般的な病因は、現在では慢性ウイルス感染(例えば、B型肝炎及びC型肝炎ウイルス)から肥満に切り替わっており、米国では、HCCを、最も迅速に増加するタイプの癌としており、同様の傾向が、ヨーロッパで観察されている(非特許文献5)。
【0004】
今日、慢性脂肪症がどのようにしてNASHへと発展するか、またどの因子がNASHからHCCへの移行を制御するかについて、依然として詳細に理解されていない。同時に、NASHを治療するのに効率的な治療法は存在せず、末期HCCに対する治療の選択肢は限られており、患者の寿命をほんの3ヶ月~6ヶ月間延ばすに過ぎない(非特許文献6)。NASHの発病及び肝疾患の進行段階へのその進行に多数の経路が関与することは、明らかになってきている。これらの経路は、NASHを患う患者の種々のコホートにおいて様々であり得る。治療様式に着手する前に、どの経路がNASH及びNASH駆動型HCCの発症に関わっているかを理解することが重要である。実際に、NASHは、西洋諸国では殆どの症例においてメタボリックシンドロームと関連付けられるが、例えば、アジア諸国ではより低いBMIでも現れることがあり、多くの患者が、インスリン抵抗性を有さないようである。これらの観察により、更なる遺伝的因子が疾患の進行に潜在的に関与していることが示唆される(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Stewart and Wild, 2014
【文献】Calle and Kaaks, 2004
【文献】Loomba et al., 2013
【文献】White et al., 2012
【文献】AmericanCancerSociety, 2007
【文献】Villanueva et al., 2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
明らかに、肝硬変及びHCCへのNASHの進行を標的とする新規治療アプローチへの要求は、殆ど満たされていない。したがって、本発明の目的は、この目標に向けて新規治療標的を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、高カロリー食における肝臓の炎症並びに肝細胞代謝に対する血小板の悪影響を阻害するように、血小板の活性化及び凝集能を変更させることによって解決される。したがって、本発明は、第1の態様において、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療又は予防における使用のための血小板の阻害剤を提供する。
【0008】
本発明における血小板阻害剤はまた、抗血小板薬又は血小板凝集阻害剤とも称され、血小板の活性、増殖又は凝集を阻害することが当該技術分野で知られている任意の作用物質から選択され得る。かかる化合物の例は、凝集を阻害することによって、又は血小板の接着若しくは顆粒分泌によって、血小板の機能を阻害する作用物質である。本発明において使用する抗血小板剤として、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、スリンダク、インドメタシン、メフェナム酸塩(mefenamate)、ドロキシカム、ジクロフェナク、スルフィンピラゾン、ピロキシカム等の各種既知の非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)、及びそれらの薬学的に許容される塩又はプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。別の実施の形態において、抗血小板剤は、IIb/IIIaアンタゴニスト(例えば、チロフィバン、エプチフィバチド、及びアブシキシマブ)、トロンボキサン-A2-受容体アンタゴニスト(例えば、イフェトロバン)、トロンボキサン-A2-シンテターゼ阻害剤、PDE-III阻害剤(例えば、ジピリダモール)、及びそれらの薬学的に許容される塩又はプロドラッグである。別の実施の形態において、抗血小板剤(又は血小板阻害因子)という用語は、ADP(アデノシン二リン酸)受容体アンタゴニストを指し、それは1つの実施の形態において、プリン受容体P2 Yi及びP2 Ynのアンタゴニストである。1つの実施の形態において、P2 Yi2受容体アンタゴニストは、チクロピジン、クロピドグレル、又はそれらの組合せ、及びそれらの薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグである。
【0009】
本発明の幾つかの好ましい実施の形態において、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療又は予防における使用のためのGp1b、GPV、GPIX、第8因子、又はNbeal2の阻害剤を提供する。上記タンパク質呼称は、括弧内の下記タンパク質名称GpIb(糖タンパク質Ib)、GpV(糖タンパク質V)、GPIX(糖タンパク質IX)、第8因子(又は第VIII因子;FVIII)、及びNbeal2(ニューロビーチン様タンパク質2)に関して使用される。
【0010】
「Gp1b、GPV、GPIX、第8因子、又はNbeal2の阻害剤」は、それぞれ、Gp1b、GPV、GPIX、第8因子、又はNbeal2の哺乳動物相同体、好ましくはヒトGp1b、GPV、GPIX、第8因子、又はNbeal2のアンタゴニストである。本明細書中で使用する場合、「Gp1b、GPV、GPIX、第8因子、又はNbeal2の阻害剤」という用語は、Gp1b、GPV、GPIX、第8因子、又はNbeal2の発現又は活性の量又は比率の減少に影響を及ぼす物質を意味する。かかる物質は、例えば、Gp1b、GPV、GPIX、第8因子、又はNbeal2に結合することと、Gp1b、GPV、GPIX、第8因子、又はNbeal2の発現又は活性の量又は比率を減少させることとによって、直接作用することができる。Gp1b、GPV、GPIX、第8因子、又はNbeal2アンタゴニストはまた、例えば、Gp1b、GPV、GPIX、第8因子、又はNbeal2とリガンドとの相互作用を低減又は防止するように、Gp1b、GPV、GPIX、第8因子、又はNbeal2に結合することによって、Gp1b、GPV、GPIX、第8因子、又はNbeal2に結合し、それを修飾することによって、例えば部分の除去又は付加によって、及びGp1b、GPV、GPIX、第8因子、又はNbeal2に結合し、その安定性を低減することによって、Gp1b、GPV、GPIX、第8因子、又はNbeal2の発現又は活性の量又は比率を減少させることができる。また、Gp1b、GPV、GPIX、第8因子、又はNbeal2アンタゴニストは、例えば、調節タンパク質又は遺伝子領域機能を調節して、Gp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2の発現又は活性の量又は比率の減少に影響を及ぼすように、調節分子又は遺伝子領域に結合することによって、間接的に作用することができる。したがって、Gp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2アンタゴニストは、Gp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2の発現、安定性又は活性の量又は比率の減少をもたらす任意のメカニズムによって作用することができる。
【0011】
Gp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2アンタゴニストは、例えば、ポリペプチド、ペプチド、ペプチド模倣体(peptidomimetic)、核酸、炭水化物又は脂質等の天然に存在するか、又は天然に存在しない巨大分子であり得る。さらに、Gp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2アンタゴニストは、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、ミニボディ(minibody)、二価抗体、単鎖抗体(scFv)、可変領域断片(Fv又はFd)、Fab又はF(ab)2等の抗体、又はその抗原結合断片であり得る。Gp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2アンタゴニストはまた、Gp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2に特異的なポリクローナル抗体であり得る。さらに、Gp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2アンタゴニストは、天然に存在する巨大分子又は小有機若しくは無機分子の部分的に又は完全に合成の誘導体、類似体又は模倣体(mimetic)であり得る。
【0012】
抗体であるGp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2アンタゴニストは、例えば、Gp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2に結合して、Gp1b、GpV、GpIX、第8因子、若しくはNbeal2リガンドへの結合を阻害するか、又はGp1b、GpV、GpIX、第8因子、若しくはNbeal2の発現若しくは活性の量若しくは比率が減少するようにGp1b、GpV、GpIX、第8因子、若しくはNbeal2の発現若しくは活性を調節する分子の活性を変更させる抗体であり得る。本発明の方法において有用な抗体は、モノクローナル抗体若しくはポリクローナル抗体若しくはそれらの断片を含む天然に存在する抗体、又は単鎖抗体、キメラ抗体、二価抗体、相補性決定領域グラフト化(CDRグラフト化)抗体及びヒト化抗体若しくはそれらの抗原結合断片を含むが、これらに限定されない天然に存在しない抗体であり得る。
【0013】
核酸であるGp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2アンタゴニストは、例えば、アンチセンスヌクレオチド配列、RNA、DNA、RNA/DNA、又はLNA分子、又はアプタマー配列であり得る。アンチセンスヌクレオチド配列は、細胞内のヌクレオチド配列に結合して、それぞれ、Gp1b、GpV、GpIX、第8因子、若しくはNbeal2の発現のレベルを調節することができるか、又はGp1b、GpV、GpIX、第8因子、若しくはNbeal2の発現又は活性を制御する別の遺伝子の発現を調節することができる。同様に、触媒リボザイム等のRNA分子は、Gp1b、GpV、GpIX、第8因子、若しくはNbeal2遺伝子、又はGp1b、GpV、GpIX、第8因子、若しくはNbeal2の発現若しくは活性を制御する他の遺伝子に結合して、その発現を変更させることができる。アプタマーは、分子標的に結合することが可能な三次元構造を有する核酸配列である。
【0014】
また、核酸であるGp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2アンタゴニストは、RNA干渉法における使用のための二重鎖RNA分子であってもよい。RNA干渉(RNAi)は、サイレンシングされる遺伝子に対して配列が相同的な二重鎖RNA(dsRNA)によって開始される転写後RNA分解による配列特異的遺伝子サイレンシングのプロセスである。RNAiに適した二重鎖RNA(dsRNA)は、19個のRNA塩基対を形成する標的とされる遺伝子に相当し、各3'末端に2つのヌクレオチドのオーバーハングを残す約21個の近接ヌクレオチドのセンス鎖及びアンチセンス鎖を含有する(Elbashir et al., Nature 411:494-498 (2001)、Bass, Nature 411:428-429 (2001)、Zamore, Nat. Struct. Biol. 8:746-750 (2001))。約25個~30個のヌクレオチドを有するdsRNAもまた、RNAiに首尾よく使用されている(Karabinos et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98:7863-7868 (2001))。dsRNAを、当該技術分野で既知の方法によって、in vitroで合成して、細胞に導入することができる。既に述べたように、アンチセンス核酸は、siRNA、shRNA、miRNA、LNA構築物等であるが、これらに限定されない、好ましくはGp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2 mRNA配列に相補的な配列を含むRNA干渉誘導核酸である。かかる構築物は、当該技術分野で既知であり、当業者による作製が容易である。
【0015】
さらに、別の選択肢は、Gp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2の遺伝子に突然変異を導入するCRISPR/Cas9又は類似の遺伝子編集アプローチの使用である。したがって、かかるCRISPR遺伝子編集構築物は、それらがGp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2の発現、安定性又は機能を弱めるのに使用される限りにおいて、Gp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2アンタゴニストという用語に含まれるであろう。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態は、本発明のNAFLDとしての非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に関する。したがって、NAFLDの治療は、NASHを患うが、NAFLを患わない患者群、したがって、NAFLDのより進行した形態を既に発症した患者を包含することは、本発明において好ましい。したがって、本発明の阻害剤を用いて治療されるのに好適な患者群は、肝臓における脂肪及び炎症の兆候、また場合によっては損傷を示す患者である。幾つかの実施の形態において、本発明において治療される患者は、肝硬変又は肝細胞癌(HCC)の兆候を患わない患者である。しかしながら、他の実施の形態は、本発明により治療される患者が、肝硬変及び/又はHCCの兆候を既に示すことを提供する。好ましくは、本発明の阻害剤は、肝硬変及び/又はHCCを発症する危険性があるNASH患者におけるHCCの予防である治療における使用のためのものである。
【0017】
本発明においてNAFLD(好ましくは、NASH)を発症する危険性がある患者は、本発明の使用のための阻害剤の恩恵にとって好ましい対象である。かかる危険性がある患者は、例えば、糖尿病患者、肥満患者、又はメタボリックシンドローム若しくは別の代謝障害を患う患者である。
【0018】
最も好ましくは、本発明において治療される対象(患者群)は、下記のアルコール性肝障害、薬物性肝障害、慢性活動性肝炎、肝硬変、肝臓癌、肝脂肪症及び肝細胞アポトーシスからなる群から選択される状態を有さない。
【0019】
本発明は、治療されるNAFLD、特にNASHの軽減又は進行の低減を提供する。したがって、本発明は、NAFLD、好ましくはNASHの治療を提供する。本発明の阻害剤は、NASHの肝硬変への進行、及び/又はNASHの肝細胞癌(HCC)への進行を低減、失速又は逆行させるのに使用されることが好ましい。したがって、本発明における治療は、NASHのNAFLDの非NASH状態への軽減が好ましい。
【0020】
本発明の別の態様において、本明細書中で上述するような非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療又は予防における使用のための医薬組成物が提供され、医薬組成物は、血小板の阻害剤又はGp1b、GpV、GpIX、第8因子、若しくはNbeal2の阻害剤(本明細書中で上述するような)及び薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を含む。
【0021】
本明細書中で使用する場合、「薬学的に許容される担体」という言語は、医薬投与に適合しているあらゆる溶媒、可溶化剤、充填剤、安定剤、結合剤、吸収剤、基剤、緩衝剤、潤滑剤、徐放性ビヒクル、希釈剤、乳化剤、保湿剤、潤滑剤、分散媒、コーティング剤、抗細菌剤又は抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等を含むと意図される。薬学的に活性な物質のためのかかる媒質及び作用物質の使用は、当該技術分野で既知である。任意の従来の媒質又は作用物質が、活性化合物と不適合性である限りを除いて、組成物におけるその使用が意図される。補足剤もまた、組成物に組み込むことができる。或る特定の実施の形態において、薬学的に許容される担体は、血清アルブミンを含む。
【0022】
本発明の医薬組成物は、その対象とされる投与経路と適合性であるように配合される。投与経路の例として、非経口、例えば髄腔内、動脈内、静脈内、皮内、皮下、経口、経皮(局所)及び経粘膜投与が挙げられる。より好ましくは、投与経路は、治療される対象の肝臓を直接標的とする経路である。
【0023】
治療用途では、組成物は、上述するようなNAFLDを既に患う患者に、該疾患及びその合併症の症状を治癒又は少なくとも部分的に停止するのに十分な量で投与される。医薬組成物の適切な投与量は、幾つかの十分に確立されたプロトコルのいずれか1つに従って容易に決定される。例えば、動物研究(例えば、マウス又はラット)は、体重1キログラム当たりの生理活性剤の最大耐容量を決定するのに一般的に使用される。概して、試験される動物種の少なくとも1つは、哺乳動物である。動物研究の結果を外挿して、例えばヒト等の他の種における使用に関する用量を決定することができる。また、何が有効用量に相当するかは、疾患又は状態の性質及び重篤性、及び患者の健康の全身状態に依存する。
【0024】
予防用途では、例えば、Gp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2アンタゴニストを含有する組成物は、肝疾患に罹りやすいか、又はそうでなければ肝疾患の危険性がある患者に投与される。かかる量は、「予防上有効」量又は用量であると定義される。この使用において、正確な量は、患者の健康状態及び体重に依存する。
【0025】
治療上及び予防上の処置の両方において、医薬組成物中に含有されるアンタゴニストは、所望の応答が達成されるまで、数回投薬で又は単回用量として投与することができる。処置は通常モニタリングされ、再度の投薬は、必要に応じて投与することができる。本発明の化合物は、p1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2の不活性化が必要とされる場合にはいつでも、確立された投薬レジメンに従って投与され得る。
【0026】
製品の1日投与量は、成人1人当たり1日につき0.01 mgから1000 mgまで広範にわたって様々であり得る。好ましくは、組成物は、治療される患者への投与量の対症調節のため、0.01 mg、0.05 mg、0.1mg、0.5 mg、1.0 mg、2.5 mg、5.0 mg、10.0mg、15.0 mg、25.0 mg、50.0 mg、100 mg、250mg及び500 mgの有効成分を含有する。薬剤は通常、約0.01mg~約500 mgの有効成分、好ましくは1 mg~約100 mgの有効成分を含有する。薬物の有効量は通常、1日につき0.0002 mg/体重kg~約20mg/体重kg、特に1日につき約0.001 mg/体重kg~10 mg/体重kgの投与量レベルで供給される。しかしながら、任意の特定の患者に対する特定用量レベル及び投薬の頻度は多様であり得て、用いる特定化合物の活性、代謝安定性、及び当該化合物の作用の長さ、年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与様式及び時間、排出速度、薬物の組合せ、特定の状態の重篤性、並びに宿主が受けている治療法を含む様々な要因に依存することが理解されよう。
【0027】
経口、舌下、皮下、筋内、静脈内、経皮、局部又は直腸投与用の本発明の医薬組成物において、有効成分は、単独で又は別の有効成分と組み合わせて、単位投与形態で、従来の医薬支持体との混合物として、動物及び人間に投与することができる。適切な単位投与形態は、錠剤、ゲルカプセル、粉末、顆粒及び経口懸濁液又は溶液等の経口経路形態、舌下及び口腔内投与形態、エアロゾル、植込錠(implant)、皮下、経皮、局所、腹腔内、筋内、静脈内、真皮下、経皮、髄腔内及び鼻腔内投与形態、並びに直腸投与形態を含む。
【0028】
投与の適切な単位形態は、経口摂取される錠剤、ゼラチンカプセル、粉末、顆粒及び溶液又は懸濁液等の経口投与用の形態、舌下及び口腔内投与形態、エアロゾル、植込錠、皮下、筋内、静脈内、鼻腔内又は眼内投与用の形態、並びに直腸投与用の形態を含む。
【0029】
本発明の医薬組成物において、有効成分は概して、1日投与に関して、投薬単位当たり0.5 mg~1000 mg、好ましくは1 mg~500mg、より好ましくは2 mg~200 mgの上記有効成分を含有する投薬単位として配合される。
【0030】
錠剤の形態の固体組成物を作製する場合、ラウリル硫酸ナトリウム等の湿潤剤を、任意選択で微粒子化した有効成分に添加することができ、続いてそれを、シリカ、ゼラチン、デンプン、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、アラビアゴム等の医薬ビヒクルと混合する。錠剤は、スクロースで、各種ポリマー又は他の適切な物質でコーティングすることができ、そうでなければ錠剤は、長期又は遅延活性を有するように、また既定量の有効成分を連続的に放出するように処理することができる。
【0031】
ゼラチンカプセルの形態の作製物は、有効成分を、グリコール又はグリセロールエステル等の希釈剤と混合することと、得られた混合物を、軟質又は硬質ゼラチンカプセルに注ぐこととによって得られる。
【0032】
シロップ又はエリキシルの形態の作製物は、好ましくはカロリーを含まない甘味料、防腐剤としてのメチルパラベン及びプロピルパラベン、香味料、並びに適切な着色料と一緒に、有効成分を含有することができる。
【0033】
水分散性粉末又は顆粒は、分散媒又は湿潤剤、又はポリビニルピロリドン等の懸濁化剤と、また甘味料又は矯味剤(taste correctors)と混合された有効成分を含有することができる。
【0034】
直腸投与は、直腸温度で融解する結合剤、例えばココアバター又はポリエチレングリコールを用いて作製した坐剤を使用して達成される。
【0035】
非経口、鼻腔内又は眼内投与は、薬理学的に適合性の分散媒質及び/又は湿潤剤、例えばプロピレングリコール、ブチレングリコール又はポリエチレングリコールを含有する、水性懸濁液、等張生理食塩水溶液又は滅菌及び注射可能溶液を使用して達成される。
【0036】
したがって、共溶媒、例えば、エタノール等のアルコール又はポリエチレングリコール若しくはプロピレングリコール等のグリコール、及びTween(商標)80等の親水性界面活性剤を使用して、静脈内経路により注射可能な水溶液を作製することができる。有効成分は、トリグリセリド又はグリセロールエステルによって可溶化されて、筋内経路によって注射可能な油状溶液を作製することができる。
【0037】
経皮投与は、有効成分がアルコール溶液の形態で存在する多層状パッチ又はリザーバを使用して達成される。
【0038】
吸入による投与は、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン又は任意の他の生物学的に適合性の噴霧剤ガスと一緒に、例えばトリオレイン酸ソルビタン又はオレイン酸を含有するエアロゾルを使用して達成される。
【0039】
有効成分はまた、任意選択で1つ以上の担体又は添加剤を有するマイクロカプセル又はミクロスフェアとして配合することもできる。
【0040】
慢性治療の症例で有用な持続放出形態の中で、植込錠を使用することができる。これらは、油状懸濁液の形態で、又は等張媒質中のミクロスフェアの懸濁液の形態で作製することができる。
【0041】
さらに、上記課題は、化合物が、NAFLD、好ましくはNASH(及び上述するような特定の医療適応症を指す)の治療に対して活性を有するかどうかを同定する方法によって解決され、上記方法は、Gp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2からなる群から選択されるタンパク質を発現する細胞を、候補化合物と接触させることと、タンパク質を発現し、かつ候補化合物と接触させていない対照細胞と比較して、上記タンパク質の発現、安定性及び/又は活性を決定することとを含み、ここで、候補化合物との接触時のタンパク質の発現、安定性及び/又は活性の低減は、候補化合物が、NAFLDの治療に対して活性を有することを示す。
【0042】
候補化合物は、アンチセンス核酸、CRISPR-Cas9様遺伝子編集構築物、抗体若しくはその抗原結合断片、ウイルス構築物、小分子、ペプチド、リボザイム、又は組換えタンパク質から選択されることが好ましい。概して、本発明のスクリーニング方法に関して、本明細書中で規定するようなGp1b、GpV、GpIX、第8因子、又はNbeal2の任意の潜在的な阻害剤を候補化合物として使用してもよい。
【0043】
ここで、添付の図面及び配列を参照して、本発明について下記実施例で更に記載するが、これらに限定されない。本発明の目的で、本明細書中に引用する参照文献は全て、それらの全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】マウスにおけるコレステロール食-高脂質食(CD-HFD)が、ヒトNASH及びNASHにより誘発されるHCC病態を再現する図である。
図2】CD-HFDが、ヒトNASHの炎症プロファイルを再現する図である。
図3】CD-HFDの6ヶ月時のNASHを患うマウスの肝臓における活性化の兆候としての血小板の増加及び凝集の図である。
図4】末梢血のフローサイトメトリーによって分析される血小板の活性化及び蓄積能力の分析の図である。
図5-1】血小板凝集阻害剤であるアスピリン/クロピドグレル(clopidogrel)(Asp/Clop)の処置は、血小板凝集体の能力を低減して、NASH及び異常肝脂質代謝を防止する図である。
図5-2】同上
図6】Aps/Clpで処置したマウスにおける肝内免疫細胞の量の低減の図である。
図7】血小板の活性/凝集を阻害することにより、HCCの数が低減される図である。
図8-1】COX1、COX2阻害剤は、CD-HFD時に脂肪症又はNASH発症を阻止しない図である。
図8-2】同上
図8-3】同上
図9】チカグレロルは、NASH及びHCC発症を阻止する図である。
図10】Nbeal2-/-マウスは、NASH発症を示すマーカーの発生を欠如する図である。
図11】GP1b-/-マウスは、脂肪症及びNASH発症を欠如する図である。
図12-1】ヒトにおける抗血小板療法が、NASH及びHCCを治療する図である。
図12-2】同上
図13】抗血小板療法が、血小板の活性化/凝集、サイトカイン放出及び血小板/免疫細胞の相互作用を低減する図である。(a)ND、CD-HFD及びCD-HFD/Asp-Clo下でのマウスの肝臓抽出物におけるADPのレベル(データは、2つの異なる独立した実験(各群当たりn=10のマウス)からプールされた)。*P<0.05、**P<0.01、スチューデントt検定。(b)異なる群(2つの独立した実験(各群当たりn=5のマウス)を代表する)由来のマウス肝臓抽出物における酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって測定されるプロトロンビン。**P<0.01、スチューデントt検定によって決定される。(c)肝臓抽出物におけるサイトカインの分析。肝臓タンパク質抽出物の正規化した量を、ND、CD-HFD及びAsp-Cloで処置したCD-HFD給餌マウスにおいて分析した(データは、2つの独立した実験からプールされる、各群当たりn≧10)。有意性は、スチューデントt検定によって決定された、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。(d)ND、CD-HFD給餌及びAsp-Cloで処置したCD-HFD給餌マウス(各群当たりn=4のマウス)の肝臓における血小板/B細胞の相互作用の代表的な共焦点顕微鏡写真及び定量化を示す。類洞は、青色で表し、血小板は、緑色で表し、B細胞は、赤色で表す。スケールバーは、50 μmを表す。単独の血小板数及びB細胞に隣接する血小板の定量化を、フォーカスオブビュー(focus of view)(FOV)で示す(1群当たりn=4のマウス)。血管内事象の可視化のために、また写像性を高めるために、類洞レンダリングの透明度を50%に設定した。また、Movie S3及びMovie S4を参照のこと。(e)関心領域(ROI)における血小板/CD8+T細胞の相互作用に関する、(d)に関して可視化したのと同じマウスであるND、CD-HFD給餌マウス、及びAsp-Cloで処置したCD-HFD給餌マウスの肝臓由来の代表的な共焦点画像。類洞は、青色で表し、血小板は、緑色で表し、CD8+T細胞は、赤色で表す。スケールバーは、50 μmを表す。単一血小板数及び血小板/CD8+T細胞の定量化を、フォーカスオブビュー(FOV)で示す((d)に関して使用したのと同じマウス)。a~eに関して、両側の対応のないスチューデントt検定を統計学的分析に使用した:*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。
【実施例
【0045】
実施例1:ヒトNASH及び続くHCC発症に関する第1の研究マウスモデル
実際に、当該アプローチにより、本発明者らは、メタボリックシンドロームにおけるNASHの慢性モデルを研究することが可能であり、NASH又はHCC発症の素因となる化学的発癌物質又は遺伝子突然変異の非存在下で、C57BL/6マウスにおいて、続くHCCを誘発した。CD-HFD給餌マウスは、ヒト患者において観察される幾つかの長期にわたる病態:腹部肥満、体重過多、インスリン抵抗性、肝臓損傷、活性酸素種(ROS)の生産、線維症、肝ミトコンドリア損傷、脂質異常症及びNASHを示す。さらに、HCCは、CD-HFD開始の12ヶ月後に発症し、組織学的に、遺伝学的に、及び形態学的に、ヒトHCCと類似していた(図1)。マウスにおけるコレステロール食-高脂質食(CD-HFD)は、ヒトNASH及びNASHにより誘発されるHCC病態を再現する。(図1A)雄正常食給餌(ND)及びCD-HFD給餌C57BL/6マウスにおける体重の変化(development)。(図1B)6ヶ月齢の雄ND及びCD-HFD C57BL/6マウスで実施した腹腔内ブドウ糖負荷試験。(図1C)肝臓損傷を反映する雄C57BL/6マウスにおける血清アミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルの定量化。(図1D)6ヶ月齢のND及びCD-HFD C57BL/6マウスの肝臓に関するMRI分析。T1(ファストローアングルショット[FLASH])OUT相:暗色が脂肪症を示す。T2 TurboRareは、CD-HFDマウスにおける皮下及び腹部脂肪の増加並びに肝脂質の蓄積(明領域)を可視化する。(図1E)HCCを指す矢印を伴う、12ヶ月齢のND、HFD、又はCD-HFDC57BL/6マウス由来の肝臓の肉眼検査及び病理組織検査。スケールバー:5 mm。T:腫瘍。NT:非腫瘍。***P=0.001。(F)NASHを示す12ヶ月齢のCD-HFD C57BL/6肝臓及びヒト肝臓の代表的なH&E染色。マロリーデンク体(赤色矢印)、風船様肝細胞(ballooned hepatocytes)(茶色矢印)、及び神経膠細胞集合(青色矢印)の蓄積は、ヒトNASHの病態(右側の画像)に類似している。スケールバー:50 μm。
【0046】
ヒトNASHの幾つかの病態生理学的態様を再現するこのマウスモデルは、本発明に関する基盤を提供し、本発明者らは、NASHの生物学的特徴(biology)及び発症並びにNASHからHCCへの移行を研究することが可能となる。とりわけ、このマウスモデルを使用して、CD8+T細胞及びNKT細胞が、メタボリックシンドローム中に活性化されるようになり、サイトカインを介して肝細胞と相互作用して、肝脂質代謝を変更させて、NASH及びHCCを引き起こすことを初めて実証する。CD8+及びNKT細胞活性化の同一プロファイルが、ヒトNASH肝臓において見いだされ、本発明者らのモデルの臨床的関連を強調している(Wolf et al., Cancer Cell, 2014)。
【0047】
正反対の結果が、実験的に誘導されたNASHにおける免疫細胞の役割に関する短期間のin vivoでの実験の枠組みにおいて過去に公開されている(Martin-Murphy et al., 2014、Lynch et al.,2012、Bhattacharjee et al., 2014)。とりわけ、これらのモデルは、メタボリックシンドロームを欠如しており、通常数週間のみ、食餌を続けた。対比して、C57BL/6マウスにおいて肥満、メタボリックシンドローム及びHCCに至る長期間のCD-HFDに基づくこのデータにより、免疫細胞は、脂肪症、NASH及びNASH駆動型HCCを誘発するのに重要な役割を果たすことが実証されている(Wolf et al., Cancer Cell, 2014)。さらに、例えば、肝臓における炎症細胞又はサイトカイン発現に関する限りは、CD-HFDマウス由来の肝臓の炎症プロファイルは、ヒトNASH肝臓の炎症プロファイルに類似しているようであることを、本発明者らは実証することができた(図2)。
【0048】
図2において、左から右に、H&E、B220、CD3、F4/80、MHCII、及びLy6Gである。CD3+、F480+、及びMHCII+細胞からなる炎症凝集体を観察した。スケールバー:50 μm。(B)CD8+T及びNKT細胞は、肝臓脂肪症の発症を制御する。肝臓切片(12ヶ月齢、指定の遺伝子型)のSudan red染色により、B細胞及びT細胞(Rag1-/-マウス)、又はより具体的にはCD8+及びNKT細胞(β2m-/-マウス)の枯渇は、CD-HFD時の脂肪症の発症を強く低減するのに十分であることが実証された。一致して、アミノトランスフェラーゼ、肝臓トリグリセリド等の他のパラメーターの低減が見られる(図示していない)。スケールバー:50 μm。(C)陽性細胞を示す矢印を伴う、CD8+T細胞、CD3+CD57+NKT細胞、LTβ及びLIGHT発現に関するヒト非罹患対照肝臓及びNASH患者の肝臓の代表的なIHC。スケールバー:50μm。免疫細胞の濃度測定分析及びmRNAレベルにより分析されるLIGHT発現は、ヒト凍結材料(cryomaterial)に由来するものであった。
【0049】
実施例2:血小板は、NASHにおいて、増加、活性化及び凝集される
図3は、CD-HFDの6ヶ月時のNASHを患うマウスの肝臓における活性化の兆候としての血小板の増加及び凝集を示す。(図3A)凝集し、また数が増加している血小板を同定する免疫組織化学的画像。血小板は、GPIbによって染色される。(図3B)血小板の濃度測定分析により、CD-HFD処置マウスの肝臓において、有意な大きい数の増加が示される。データは示していない:類似の画像及びGPIbの数の類似の増加が、健常な患者と比較した場合に、NASHを患う患者において観察され得る。
【0050】
図4は、末梢血のフローサイトメトリーによって分析される、血小板の活性化及び蓄積能力の分析を示す。フローサイトメトリー分析によって、活性化される血小板の有意に増加された能力(上部)、及び凝集する傾向(下部)が見られることが示される。CRP又はThrの種々の希釈曲線を使用することによって、血小板応答率の再現性があり、かつ一貫した分析が見て取れた。
【0051】
血小板凝集阻害剤であるアスピリン/クロピドグレル(Asp/Clop)の処置は、血小板凝集体の能力を低減して、NASH及び異常肝脂質代謝を防止する(図5)。(図5A)アスピリン/クロピドグレルの処置により、肝臓中の血小板の数が低減される(白色棒:ND、黒色棒:CD-HFD、緑色棒:Asp/Clopで処置したCD-HFD)。(図5B)血小板の活性化状態(ex vivoアッセイによって研究される)は、末梢血から採取した血小板に対するAsp/Clop処置時に有意に低減される。(図5C)血小板の凝集能力状態(ex vivo凝集アッセイによって研究される)は、末梢血から採取した血小板に対するAsp/Clop処置時に有意に低減される。(図5D)Asp/Clop CD-HFD給餌マウスは、CD-HFDマウスと同様に肥満を発症する。(図5E)肝臓対体重の比は、12ヶ月齢のAsp/Clop処置時に回復される(rescued)。(図5F)血清中のALTレベルによって測定される肝臓損傷は、Asp/Clop処置マウスにおいて防止される。(図5G)トリグリセリドは、12ヶ月齢のAsp/Clop処置マウスの血清中で低減される。(図5H)血清コレステロールは、6ヶ月及び12ヶ月のAsp/Clop処置マウスにおいて低減される。(図5I)異常肝脂質代謝及びb-酸化は、肝臓における遺伝子発現に関するリアルタイムPCR分析によって分析されるように、Asp/Clop処置マウスにおいて回復される。*は、有意性を示す。(図5J及び図5K)MRI分析及び組織学的分析により、Asp/Clop処置は、NASHの発症を防止することが実証される。(図5J)T1 (FLASH)OUT相における暗色染色によって示される肝臓の色素沈着は、CD-HFDと同様に検出されない。同時に依然として、腹部及び皮下脂肪は、Asp/Clop処置マウスにおいて見て取れる。(図5K)NASHの病理組織学的兆候(例えば、風船様肝細胞、同様に*も参照されたい)は、Asp/Clop処置マウスにおいて見られない。
【0052】
さらに、Aps/Clp処置マウスにおける肝内免疫細胞の量の低減が観察された(図6)。(図6A)CD3+T細胞、F480+細胞及びMHCII発現細胞を含む幾つかの免疫細胞型の低減。B220+免疫細胞は変更されない。さらに、(図6B)フローサイトメトリー分析は、CD8+T細胞の数、CD44+CD8+T細胞、CD69+CD8+T細胞の活性化並びにCD3+NH1.1+NKT細胞の数の有意な低減を示す(白色棒:ND、黒色棒:CD-HFD、緑色棒:Asp/Clopで処置したCD-HFD)。
【0053】
実施例3:血小板の活性/凝集の阻害は、HCCの数を低減する
NASHに関するマウスモデルにおいて、Asp/Clopによる処置は、HCC発生率の低減をもたらした(図7)。Asp/Clop処置マウスにおけるHCCの数の有意な低減(白色丸:ND、黒色丸:CD-HFD、緑色丸:Asp/Clop低用量で処置したCD-HFD、赤色丸:Asp/Clop高用量)。
【0054】
実施例4:COX1、COX2は、NASH発症に関与しない
COX1、COX2阻害剤であるスリンダクは、CD-HFD時に脂肪症又はNASH発症を阻止しない(図8)。(図8A)CD-HFD給餌マウスは、スリンダクCD-HFDマウスと同様に肥満を発症する(白色棒:ND、黒色棒:CD-HFD、赤色棒:スリンダクで処置したCD-HFD)。(図8B)肝臓対体重の比は、12ヶ月齢のスリンダク処置時に回復されない。(図8C)血清中のALTレベルによって測定される肝臓損傷は、スリンダク処置マウスにおいて防止されない。(図8D)トリグリセリドは、6ヶ月又は12ヶ月齢のスリンダク処置マウスの血清中では有意に低減されない。(図8E)血清コレステロールは、6ヶ月及び12ヶ月のAsp/Clop処置マウスにおいて有意に低減されない。(図8F)スリンダク処置CD-HFD給餌マウスは、腹腔内ブドウ糖負荷試験によって研究されるように、CD-HFD給餌マウスと同様にインスリン抵抗性である。(図8G及び図8H)MRI分析及び組織学的分析により、スリンダク処置は、NASHの発症を防止しないことが実証される。(図8G)T1 (FLASH)OUT相における暗色染色によって示される肝臓における脂質沈着は、CD-HFDと同様に検出される。同時に、腹部及び皮下脂肪は、CD-HFD給餌マウス単独と同様にスリンダク処置CD-HFD給餌マウスにおいて見て取れる。(図8H)NASHのH/E染色によって示される病理組織学的兆候(例えば、風船様肝細胞、*も参照されたい)は、スリンダク処置CD-HFD給餌マウスに存在する。(図8I)異常肝脂質代謝及びb-酸化は、肝臓における遺伝子発現に関するリアルタイムPCR分析によって分析されるように、スリンダク処置マウスにおいて回復されない。*は、有意性を示す。(図8J)脂質沈着(Sudan redによって示される)は、組織学的分析及び濃度測定分析によって示されるように、12ヶ月のスリンダク処置CD-HFDマウスにおいて低減されない。
【0055】
実施例5:血小板凝集阻害剤チカグレロルは、NASH及びHCC発症を阻害する
チカグレロルは、NASH及びHCC発症を阻止する(図9)。(図9A)CD-HFD給餌マウスは、チカグレロル処置CD-HFDマウスと同様に肥満を発症する(白色棒:ND、黒色棒:CD-HFD、緑色棒:チカグレロルで処置したCD-HFD)。(図9B)血清中のALTレベルによって測定される肝臓損傷は、チカグレロル処置マウスにおいて有意に低減される。(図9C)トリグリセリドは、12ヶ月齢のチカグレロル処置マウスの血清中において低減する傾向がある。(図9D)血清コレステロールは、6ヶ月齢及び12ヶ月のチカグレロル処置マウスにおいて有意に低減される。(図9E)異常肝脂質代謝及びb-酸化は、肝臓における遺伝子発現に関するリアルタイムPCR分析によって分析されるように、チカグレロル処置マウスにおいて回復される。*は、有意性を示す。(図9F)NASHのH/E染色によって示される病理組織学的兆候(例えば、風船様肝細胞、*も参照されたい)は、チカグレロル処置CD-HFD給餌マウスに存在しない。(図9G)脂質沈着(Sudan redによって示される)は、組織学的分析及び濃度測定分析によって示されるように、12ヶ月のスリンダク処置CD-HFDマウスにおいて低減される。(図9H)チカグレロル処置マウスにおいてHCCは存在しない。
【0056】
実施例6:Nbeal2ノックアウトは、NASHを阻害して、HCCを防止する
Nbeal2-/-マウスは、NASH発症を示すマーカーの発生を欠如する(図10)。(図10A)CD-HFD給餌C57BL/6マウスは、CD-HFD給餌Nbeal2-/-マウスと同様に肥満を発症する(白色棒:ND、黒色棒:CD-HFD、青色棒:CD-HFDを受けるNbeal2-/-マウス)。(図10B)血清中のALTレベルによって測定される肝臓損傷は、CD-HFD給餌Nbeal2-/-マウスにおいて有意に低減される。(図10C)トリグリセリドは、6ヶ月齢のCD-HFD給餌Nbeal2-/-マウスの血清中で有意に低減される。(図10D)血清コレステロールは、6ヶ月のCD-HFD給餌Nbeal2-/-マウスにおいて有意に低減される。(図10E)CD-HFD給餌Nbeal2-/-マウスは、腹腔内ブドウ糖負荷試験によって研究されるように、CD-HFD給餌マウスと同様にインスリン抵抗性である。(図10F)異常肝脂質代謝及びb-酸化は、肝臓における遺伝子発現に関するリアルタイムPCR分析によって分析されるように、CD-HFD給餌Nbeal2-/-マウスにおいて部分的に回復される。*は、有意性を示す。
【0057】
実施例7:Gp1bノックアウトは、NASHを阻害して、HCCを防止する
GP1b-/-マウスは、脂肪症及びNASH発症を欠如する(図11)。(図11A)CD-HFD給餌C57BL/6マウスは、CD-HFD給餌Gp1b-/-マウスと同様に肥満を発症する(白色棒:ND、黒色棒:CD-HFD、黄色棒:CD-HFDを受けるGp1b-/-マウス)。(図11B)血清中のALTレベルによって測定される肝臓損傷は、CD-HFD給餌Gp1b-/-マウスにおいて有意に低減される。(図11C)トリグリセリドは、6ヶ月齢のCD-HFD給餌Gp1b-/-マウスの血清中で強く低減される。(図11D)血清コレステロールは、6ヶ月のCD-HFD給餌Nbeal2-/-マウスにおいて有意に低減される。(図11E)異常肝脂質代謝及びb-酸化は、肝臓における遺伝子発現に関するリアルタイムPCR分析によって分析されるように、CD-HFD給餌Gp1b-/-マウスにおいて部分的に回復される。*は、有意性を示す。(図11F及び図11G)脂肪症及びNASH(例えば、風船様肝細胞)は、Gp1b-/-マウスでは見られない。Sudan red陽性脂肪小滴を定量化して、本発明者らのデータを裏付けする。(図11H)活性化(activation)及び凝集(aggregation)能力は、チカグレロル処置時に有意に低減される。
【0058】
実施例8:ヒトにおける抗血小板治療
図12Aは、研究への組み入れ(study inclusion)前及びアスピリン及びクロピドグレルを用いた二重抗血小板療法(DAPT)の6ヶ月後の患者の酵素アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)及びアラニントランスアミナーゼ(ALT)レベルを示す(n=148)。図12Bは、治療前、及び治療の6ヶ月後のASA又はDAPTを受けた患者のMRI及び超音波検査を示す。MRIによって評価される場合のヒト患者における肝臓脂肪沈着の定量化を図12Cに示す。実験により、NASHの治療におけるDAPTの有意な効果が示される。
【0059】
実施例9:抗血小板療法は、免疫細胞活性を弱める
抗血小板療法は、図13A図13Cに示すように、肝臓においてケモカイン及びサイトカインを低減し、ADPレベル及びプロトロンビンレベルを低減する。さらに、抗血小板療法は、血小板免疫細胞の相互作用を阻止することによって、肝臓における免疫細胞を低減することが観察された(図13D及び図13E)。
【符号の説明】
【0060】
図面訳
図1
body weight (g) 体重(g)
age (months) 月齢(ヶ月)
blood glucose (mmol/l) 血中グルコース(mmol/l)
time (minutes) 時間(分)
T1 (FLASH)OUT phase T1 (FLASH)OUT相
Murine NASH マウスNASH
human NASH ヒトNASH

図2
non-diseased 非罹患
human NASH ヒトNASH
CD8+T-cells/mm2 CD8+T細胞/mm2
CD3+CD57+cells/20x view filed CD3+CD57+細胞/20倍視野
LTβ+cells/mm2 LTβ+細胞/mm2
LIGHT mRNAexpression LIGHT mRNA発現

図3
Platelet counts (HPF) 血小板数(HPF)
12 months 12ヶ月

図4
P-Selectin-FITC (MFI) P-セレクチン-FITC(MFI)
Rest 静止

図5
Thrombocytes/gr 血小板/gr
Liver 肝臓
Blood 血液
Rest 静止
Light transmission 光透過
body weight (g) 体重(g)
age (months) 月齢(ヶ月)
Liver/body weight(%) 肝臓/体重(%)

図5(続き)
triglycerides μg/mg トリグリセリドμg/mg
6 months 6ヶ月
12 months 12ヶ月
Cholesterol mg/dl コレステロールmg/dl
T1 (FLASH)IN Phase T1 (FLASH)IN相
T1 (FLASH)OUT Phase T1 (FLASH)OUT相
H/E(10x) H/E(10倍)
H/E(20x) H/E(20倍)
H/E(40x) H/E(40倍)

図6
total # ofcells/liver 細胞の総数/肝臓

図8
body weight [g] 体重(g)
age [months] 月齢(ヶ月)
Sulindac スリンダク
liver/body weight[%] 肝臓/体重(%)
6 months 6ヶ月
12 months 12ヶ月
triglycerides [μg/mg] トリグリセリド(μg/mg)
cholesterol [mg/dl] コレステロール(mg/dl)
blood glucose [mmol/l] 血中グルコース(mmol/l)

図8(続き)
T1 (FLASH)IN Phase T1 (FLASH)IN相
CD-HFD/Sulindac CD-HFD/スリンダク
H/E(10x) H/E(10倍)
H/E(20x) H/E(20倍)
H/E(40x) H/E(40倍)

図8(続き)
CD-HFD/Sulindac CD-HFD/スリンダク
6 months 6ヶ月
12 months 12ヶ月
Sudan Red area(%) Sudan Red面積(%)

図9
Body weight (g) 体重(g)
Ticagrelor チカグレロル
age (months) 月齢(ヶ月)
triglycerides μg/mg トリグリセリドμg/mg
cholesterol mg/dl コレステロールmg/dl
CD-HFD/Ticagrelor CD-HFD/チカグレロル
H/E(10x) H/E(10倍)
H/E(20x) H/E(20倍)
H/E(40x) H/E(40倍)
6 months 6ヶ月
Sudan red area(%) Sudan Red面積(%)

図10
body weight (g) 体重(g)
age (months) 月齢(ヶ月)
triglycerides μg/mg トリグリセリドμg/mg
cholesterol mg/dl コレステロールmg/dl
blood glucose (mmol/l) 血中グルコース(mmol/l)

図11
body weight (g) 体重(g)
age (months) 月齢(ヶ月)
triglycerides μg/mg トリグリセリドμg/mg
cholesterol mg/dl コレステロールmg/dl
H/E 10x H/E 10倍
H/E 20x H/E 20倍
H/E 40x H/E 40倍
6 months 6ヶ月
Sudan red area(%) Sudan Red面積(%)
Pselectin-FITC (MFI) Pセレクチン-FITC(MFI)
Rest 静止

図12
Study inclusion 研究への組み入れ時
After 6M of DAPT DAPTの6ヶ月後
Right lobe 右葉
Light lobe 左葉
Ultra sound 超音波

図12(続き)
Liver fatreduction (%) 肝臓脂肪の低減(%)
No antiggregation(antiaggregation) 抗凝集なし
After 6M of Aspirin アスピリンの6ヶ月後

図13
Prothrombin (ng/mg) プロトロンビン(ng/mg)
Concentration (pg/ml) 濃度(pg/ml)
PLT count (FOV) PLT数(FOV)
B cells adjacent to PLT (number per FOV) PLTに隣接するB細胞(FOV当たりの数)
図1
図2
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図9
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図13