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特許7441927駆動回路に適用される伝導損失およびスイッチング損失を低減する方法並びにそれを用いる駆動回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】駆動回路に適用される伝導損失およびスイッチング損失を低減する方法並びにそれを用いる駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
H02M3/155 P
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022182666
(22)【出願日】2022-11-15
(65)【公開番号】P2023075059
(43)【公開日】2023-05-30
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】63/280,962
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/269,041
(32)【優先日】2022-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/051,015
(32)【優先日】2022-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521287935
【氏名又は名称】エクスメムス ラブズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ジェム ユエ リヤーン
(72)【発明者】
【氏名】ジーン‐ムオン リウ
(72)【発明者】
【氏名】シイ‐シュヨン チェン
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-295802(JP,A)
【文献】特開2006-087194(JP,A)
【文献】特開2021-064982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ-デジタルコンバータ(ADC)と、インダクタを含み負荷に結合されたスイッチング回路とを含む駆動回路に適用される方法であって、前記方法は:
第1のレートで前記負荷の負荷電圧にアナログ-デジタル変換を実行するステップと;
第2のレートで前記インダクタを流れる少なくとも1つの電流パルスを生成するステップと;を含み、
前記少なくとも1つの電流パルスのうちの各電流パルスが、前記第2のレートに対応する第2のサイクル内で達成され;
前記少なくとも1つの電流パルスのすべてが、前記第1のレートに対応する第1のサイクル内で達成され;
前記第1のサイクルの第1の長さは、前記第2のサイクルの第2の長さの2倍より長く、
前記方法は、
入力信号を受信するステップおよび前記ADCからのフィードバック信号を受信するステップと;
前記入力信号と前記フィードバック信号との間の差が第1の閾値より大きい場合に電流パルス数を増加させるステップと;
前記第1のサイクル内で前記第2のレートにおいて増加した前記電流パルス数の前記電流パルスを生成するステップと;をさらに含む、
方法。
【請求項2】
アナログ-デジタルコンバータ(ADC)と、インダクタを含み負荷に結合されたスイッチング回路とを含む駆動回路に適用される方法であって、前記方法は:
第1のレートで前記負荷の負荷電圧にアナログ-デジタル変換を実行するステップと;
第2のレートで前記インダクタを流れる少なくとも1つの電流パルスを生成するステップと;を含み、
前記少なくとも1つの電流パルスのうちの各電流パルスが、前記第2のレートに対応する第2のサイクル内で達成され;
前記少なくとも1つの電流パルスのすべてが、前記第1のレートに対応する第1のサイクル内で達成され;
前記第1のサイクルの第1の長さは、前記第2のサイクルの第2の長さの2倍より長く、
前記方法は、
入力信号を受信するステップおよび前記ADCからのフィードバック信号を受信するステップと;
前記入力信号と前記フィードバック信号との間の差が第2の閾値未満である場合に電流パルス数を減少させるステップと;
前記第1のサイクル内で前記第2のレートにおいて減少した前記電流パルス数の前記少なくとも1つの電流パルスを生成するステップと;をさらに含む、
法。
【請求項3】
アナログ-デジタルコンバータ(ADC)と、インダクタを含み負荷に結合されたスイッチング回路とを含む駆動回路に適用される方法であって、前記方法は:
第1のレートで前記負荷の負荷電圧にアナログ-デジタル変換を実行するステップと;
第2のレートで前記インダクタを流れる少なくとも1つの電流パルスを生成するステップと;を含み、
前記少なくとも1つの電流パルスのうちの各電流パルスが、前記第2のレートに対応する第2のサイクル内で達成され;
前記少なくとも1つの電流パルスのすべてが、前記第1のレートに対応する第1のサイクル内で達成され;
前記第1のサイクルの第1の長さは、前記第2のサイクルの第2の長さの2倍より長く、
前記方法は、
入力信号を受信するステップおよび前記ADCからのフィードバック信号を受信するステップと;
メモリに格納されたテーブルから前記フィードバック信号および前記入力信号に従って実効パルス幅制御コード(EPWCC)を取得するステップであって、前記EPWCCはパルス幅制御コード(PWCC)および数制御コード(NCC)を含む、ステップと;
前記EPWCCに従って前記少なくとも1つの電流パルスを生成するステップと;
前記第1のサイクルの始まりに対応する第1のフィードバック信号および前記第1のサイクルの終了に対応する第2のフィードバック信号を受信するステップと;
前記第1のフィードバック信号および前記第2のフィードバック信号に従って前記EPWCCを更新するステップと;
前記メモリ内の前記テーブルに更新された前記EPWCCを保存するステップと;をさらに含み、
前記EPWCCを更新する前記ステップは:
前記PWCCが第1の値以上に増加したときに前記NCCを増加させるステップと;
前記NCCが増加したときに増加した前記PWCCを減少したPWCCに置き換えるステップであって、前記減少したPWCCは前記第1の値よりも小さい第2の値を有する、ステップと;を含み、
前記メモリ内の前記テーブルに前記更新されたEPWCCを保存する前記ステップは:
増加した前記NCCおよび前記減少したPWCCを前記メモリ内の前記テーブルに保存するステップを含む、
法。
【請求項4】
アナログ-デジタルコンバータ(ADC)と、インダクタを含み負荷に結合されたスイッチング回路とを含む駆動回路に適用される方法であって、前記方法は:
第1のレートで前記負荷の負荷電圧にアナログ-デジタル変換を実行するステップと;
第2のレートで前記インダクタを流れる少なくとも1つの電流パルスを生成するステップと;を含み、
前記少なくとも1つの電流パルスのうちの各電流パルスが、前記第2のレートに対応する第2のサイクル内で達成され;
前記少なくとも1つの電流パルスのすべてが、前記第1のレートに対応する第1のサイクル内で達成され;
前記第1のサイクルの第1の長さは、前記第2のサイクルの第2の長さの2倍より長く、
前記方法は、
入力信号を受信するステップおよび前記ADCからのフィードバック信号を受信するステップと;
メモリに格納されたテーブルから前記フィードバック信号および前記入力信号に従って実効パルス幅制御コード(EPWCC)を取得するステップであって、前記EPWCCはパルス幅制御コード(PWCC)および数制御コード(NCC)を含む、ステップと;
前記EPWCCに従って前記少なくとも1つの電流パルスを生成するステップと;
前記第1のサイクルの始まりに対応する第1のフィードバック信号および前記第1のサイクルの終了に対応する第2のフィードバック信号を受信するステップと;
前記第1のフィードバック信号および前記第2のフィードバック信号に従って前記EPWCCを更新するステップと;
前記メモリ内の前記テーブルに更新された前記EPWCCを保存するステップと;をさらに含み、
前記EPWCCを更新する前記ステップは:
前記PWCCが第3の値以下に減少したときに前記NCCを減少させるステップと;
前記NCCが減少したときに、減少した前記PWCCを増加したPWCCに置き換えるステップであって、前記増加したPWCCは前記第3の値よりも大きい第4の値を有する、ステップと;をさらに含み、
前記メモリ内の前記テーブルに更新された前記EPWCCを保存する前記ステップは:
減少した前記NCCおよび前記増加したPWCCを前記メモリ内の前記テーブルに保存するステップを含む、
方法。
【請求項5】
前記EPWCCに従って少なくとも1つの電流パルスを生成する前記ステップは:
立ち上がり間隔を伴って前記少なくとも1つの電流パルスの中から電流パルスを生成するステップであって、前記立ち上がり間隔は、前記EPWCC内の前記PWCCに従って決定される、ステップと;
電流パルス数の前記少なくとも1つの電流パルスを生成するステップであって、前記電流パルス数は、前記EPWCC内の前記NCCに従って決定される、ステップと;を含む、
請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記電流パルスを生成する前記ステップは:
前記スイッチング回路へのパルス幅を持つパルス幅変調(PWM)信号を発生させるステップを含み、
前記PWM信号の前記パルス幅は前記PWCCに従って決定される、
請求項3又は4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のレートに対応する前記第1のサイクル内に少なくとも第1の電流パルスおよび少なくとも第2の電流パルスを生成するステップ;をさらに含み、
前記少なくとも第1の電流パルスの第1の立ち上がり間隔は、前記少なくとも第2の電流パルスの第2の立ち上がり間隔よりも大きい、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
放電動作に対応する前記第1のサイクル内で遅延を伴う前記少なくとも1つの電流パルスを生成するステップをさらに含む、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
負荷を駆動するように構成された駆動回路であって、前記駆動回路は:
第1のレートで前記負荷の負荷電圧にアナログ-デジタル変換を実行するように構成されたアナログ-デジタルコンバータ(ADC)と;
インダクタを含み、前記負荷に結合され、第2のレートで前記インダクタを流れる少なくとも1つの電流パルスを生成するように構成されたスイッチング回路と;
入力信号を受信するとともに前記ADCからのフィードバック信号を受信する、パルス幅変調(PWM)コントローラと;を有し、
前記少なくとも1つの電流パルスのうちの各電流パルスが、前記第2のレートに対応する第2のサイクル内で達成され;
前記少なくとも1つの電流パルスのすべてが、前記第1のレートに対応する第1のサイクル内で達成され;
前記第1のサイクルの第1の長さは、前記第2のサイクルの第2の長さの2倍より長く、
前記PWMコントローラは、前記入力信号と前記フィードバック信号との間の差が第1の閾値より大きい場合に電流パルス数を増加させ;
前記PWMコントローラは、前記第1のサイクル内で前記第2のレートにおいて増加した前記電流パルス数の電流パルスを生成するように前記スイッチング回路を制御する、
駆動回路。
【請求項10】
負荷を駆動するように構成された駆動回路であって、前記駆動回路は:
第1のレートで前記負荷の負荷電圧にアナログ-デジタル変換を実行するように構成されたアナログ-デジタルコンバータ(ADC)と;
インダクタを含み、前記負荷に結合され、第2のレートで前記インダクタを流れる少なくとも1つの電流パルスを生成するように構成されたスイッチング回路と;
入力信号を受信するとともに前記ADCからのフィードバック信号を受信する、パルス幅変調(PWM)コントローラと;を有し、
前記少なくとも1つの電流パルスのうちの各電流パルスが、前記第2のレートに対応する第2のサイクル内で達成され;
前記少なくとも1つの電流パルスのすべてが、前記第1のレートに対応する第1のサイクル内で達成され;
前記第1のサイクルの第1の長さは、前記第2のサイクルの第2の長さの2倍より長く、
前記PWMコントローラは、前記入力信号と前記フィードバック信号との間の差が第2の閾値未満の場合に電流パルス数を減少させ、
前記PWMコントローラは、前記第1のサイクル内で前記第2のレートにおいて減少した前記電流パルス数の前記少なくとも1つの電流パルスを生成するように前記スイッチング回路を制御する、
動回路。
【請求項11】
負荷を駆動するように構成された駆動回路であって、前記駆動回路は:
第1のレートで前記負荷の負荷電圧にアナログ-デジタル変換を実行するように構成されたアナログ-デジタルコンバータ(ADC)と;
インダクタを含み、前記負荷に結合され、第2のレートで前記インダクタを流れる少なくとも1つの電流パルスを生成するように構成されたスイッチング回路と;
入力信号を受信するとともに前記ADCからのフィードバック信号を受信する、パルス幅変調(PWM)コントローラと;を有し、
前記少なくとも1つの電流パルスのうちの各電流パルスが、前記第2のレートに対応する第2のサイクル内で達成され;
前記少なくとも1つの電流パルスのすべてが、前記第1のレートに対応する第1のサイクル内で達成され;
前記第1のサイクルの第1の長さは、前記第2のサイクルの第2の長さの2倍より長く、
前記PWMコントローラは、テーブルを格納するように構成されたメモリを有し;
前記PWMコントローラは、前記メモリに格納された前記テーブルから前記フィードバック信号および前記入力信号に従って実効パルス幅制御コード(EPWCC)を取得し;
前記EPWCCは、パルス幅制御コード(PWCC)および数制御コード(NCC)を含み、
前記スイッチング回路は、前記EPWCCに従って前記少なくとも1つの電流パルスを生成する、
前記PWMコントローラは、前記第1のサイクルの始まりに対応する第1のフィードバック信号および前記第1のサイクルの終了に対応する第2のフィードバック信号を受信し;
前記PWMコントローラは、前記第1のフィードバック信号および前記第2のフィードバック信号に従って前記EPWCCを更新し;
前記PWMコントローラは、更新された前記EPWCCを前記メモリ内の前記テーブルに保存し、
前記PWMコントローラが前記EPWCCを更新する間、前記PWCCが第1の値以上に増加したときに前記PWMコントローラは前記NCCを増加させ、前記NCCが増加したときに増加した前記PWCCを減少したPWCCに置き換え;
前記減少したPWCCは、前記第1の値よりも小さい第2の値を有し;
前記PWMコントローラは、増加した前記NCCおよび前記減少したPWCCを前記メモリ内の前記テーブルに保存する、
動回路。
【請求項12】
負荷を駆動するように構成された駆動回路であって、前記駆動回路は:
第1のレートで前記負荷の負荷電圧にアナログ-デジタル変換を実行するように構成されたアナログ-デジタルコンバータ(ADC)と;
インダクタを含み、前記負荷に結合され、第2のレートで前記インダクタを流れる少なくとも1つの電流パルスを生成するように構成されたスイッチング回路と;
入力信号を受信するとともに前記ADCからのフィードバック信号を受信する、パルス幅変調(PWM)コントローラと;を有し、
前記少なくとも1つの電流パルスのうちの各電流パルスが、前記第2のレートに対応する第2のサイクル内で達成され;
前記少なくとも1つの電流パルスのすべてが、前記第1のレートに対応する第1のサイクル内で達成され;
前記第1のサイクルの第1の長さは、前記第2のサイクルの第2の長さの2倍より長く、
前記PWMコントローラは、テーブルを格納するように構成されたメモリを有し;
前記PWMコントローラは、前記メモリに格納された前記テーブルから前記フィードバック信号および前記入力信号に従って実効パルス幅制御コード(EPWCC)を取得し;
前記EPWCCは、パルス幅制御コード(PWCC)および数制御コード(NCC)を含み、
前記スイッチング回路は、前記EPWCCに従って前記少なくとも1つの電流パルスを生成する、
前記PWMコントローラは、前記第1のサイクルの始まりに対応する第1のフィードバック信号および前記第1のサイクルの終了に対応する第2のフィードバック信号を受信し;
前記PWMコントローラは、前記第1のフィードバック信号および前記第2のフィードバック信号に従って前記EPWCCを更新し;
前記PWMコントローラは、更新された前記EPWCCを前記メモリ内の前記テーブルに保存し、
前記PWMコントローラが前記EPWCCを更新する間、前記PWCCが第3の値以下に減少したときに前記PWMコントローラは前記NCCを減少させ、前記NCCが減少したときに減少した前記PWCCを増加したPWCCに置き換え;
前記増加したPWCCは前記第3の値よりも大きい第4の値を有し;
前記PWMコントローラは、減少した前記NCCおよび前記増加したPWCCを前記メモリ内の前記テーブルに保存する、
駆動回路。
【請求項13】
前記PWMコントローラは、前記PWCCに従って立ち上がり間隔をおよび前記NCCに従って前記少なくとも1つの電流パルスの電流パルス数を決定し
前記スイッチング回路は、前記立ち上がり間隔を伴って前記少なくとも1つの電流パルスの中から電流パルスを生成し、前記電流パルス数の前記少なくとも1つの電流パルスを生成する、
請求項11又は12に記載の駆動回路。
【請求項14】
前記PWMコントローラは、前記スイッチング回路への前記PWCCに対応するパルス幅を持つPWM信号を生成する、
請求項11又は12に記載の駆動回路。
【請求項15】
前記スイッチング回路は、前記第1のレートに対応する前記第1のサイクル内で、少なくとも第1の電流パルスおよび少なくとも第2の電流パルスを生成し;
前記少なくとも第1の電流パルスの第1の立ち上がり間隔は、前記少なくとも第2の電流パルスの第2の立ち上がり間隔よりも大きい、
請求項9乃至12のいずれか1項に記載の駆動回路。
【請求項16】
前記PWMコントローラは:
前記PWCCをアナログ電圧に変換するように構成されたデジタル-アナログコンバータ(DAC)と;
鋸歯状の信号を発生させるように構成された波形発生器と;
前記鋸歯状の信号を前記アナログ電圧と比較し、前記PWCCに対応するパルス幅を有するPWM信号として比較結果を生成するように構成された比較器と;を有する、
請求項11又は12に記載の駆動回路。
【請求項17】
前記スイッチング回路は:
電圧源と前記インダクタの第1の端子との間に結合された第1のスイッチと;
前記インダクタの前記第1の端子に結合された第2のスイッチと;
前記負荷と前記インダクタの第2の端子との間に結合された第3のスイッチと;
前記インダクタの前記第2の端子に結合された第4のスイッチと;を有する、
請求項9乃至12のいずれか1項に記載の駆動回路。
【請求項18】
前記スイッチング回路は、前記負荷と電圧源との間に結合され;
放電動作中、前記スイッチング回路は前記電圧源に向かう電流を形成する、
請求項9乃至12のいずれか1項に記載の駆動回路。
【請求項19】
前記第2のレートは前記第1のレートの倍数である、
請求項9乃至12のいずれか1項に記載の駆動回路。
【請求項20】
前記負荷は容量性スピーカ負荷であり、前記入力信号は、可聴帯域内の元の音声信号に従って生成され、前記容量性スピーカ負荷の出力は、前記入力信号に実質的に比例する、
請求項9乃至12のいずれか1項に記載の駆動回路。
【請求項21】
前記PWMコントローラは、放電動作に対応する前記第1のサイクル内に遅延を伴う前記少なくとも1つの電流パルスを生成するように前記スイッチング回路を制御する、
請求項9乃至12のいずれか1項に記載の駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動回路に適用される方法、より具体的には、特にオーディオシステムのための、伝導損失(conduction loss)およびスイッチング損失を低減することができる駆動回路に適用される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、圧電作動スピーカ(ピエゾスピーカ)が登場した。薄膜圧電アクチュエータの容量性により、これらのピエゾスピーカはアンプに高い容量性負荷を与える。しかし、AB級、D級、G級、H級アンプなどの従来の駆動回路はすべて、負荷(loading)(非常に微細な金属ワイヤでできたコイル)がほとんど抵抗性でありかつわずかに誘導性であることを前提に進化しており、これらの従来のアンプはピエゾスピーカなどの高容量負荷を駆動するのには適していない。
【0003】
電力消費を最小限に抑えるために、双方向直流-直流(DC-DC)コンバータが、ピエゾスピーカに電力供給を供給するおよびピエゾスピーカから電力をリサイクルする両方を行うために開発されており、その電力損失を可能な限り低くする必要がある。DC-DCコンバータが持つ電力損失には主に2種類:伝導損失とスイッチング損失がある。DC-DCコンバータのトランジスタ(スイッチ素子として動作する)のオン抵抗に電流が流れるとき、伝導損失が発生する。そのため、より高い電流値の下では伝導損失はより大きい。スイッチング損失は、DC-DCコンバータのスイッチ素子の(例えば、MOSFETのゲートをVONまたはVOFFに駆動する)スイッチングから発生し、スイッチ素子を通過する電流の大きさに関係なく、スイッチング動作ごとに一定量の電力損失が発生する。
【0004】
DC-DCコンバータのスイッチング動作の間、伝導損失およびスイッチング損失の両方は避けられない。したがって、伝導損失とスイッチング損失のバランスを取ることによって、全体的な電力消費を最小に抑える必要がある。
【発明の概要】
【0005】
従って、本発明の目的は、DC-DCコンバータを駆動するための駆動回路に適用される方法を提供することであり、DC-DCコンバータを制御するためのPWM信号は、音響システムの電力消費を最小にするように、伝導損失とスイッチング損失との間のバランスを達成するようにうまく構成され得る。
【0006】
本発明の一実施形態は、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)と、インダクタを含み負荷に結合されたスイッチング回路とを有する駆動回路に適用される方法を開示する。本方法は:第1のレート(rate)で負荷の負荷電圧にアナログ-デジタル変換を実行するステップと;第2のレートでインダクタを流れる少なくとも1つの電流パルスを生成するステップと;を含む。ここで、少なくとも1つの電流パルスのうちの各電流パルスは、第2のレートに対応する第2のサイクル内で達成され、少なくとも1つの電流パルスのすべては、第1のレートに対応する第1のサイクル内で達成され、第1のサイクルの第1の長さは、第2のサイクルの第2の長さの2倍より長い。
【0007】
本発明の別の実施形態は、負荷を駆動するように構成された駆動回路を開示する。駆動回路は、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)およびスイッチング回路を有する。ADCは、第1のレートで負荷の負荷電圧にアナログ-デジタル変換を実行するように構成される。インダクタを有し、負荷に結合されたスイッチング回路は、第2のレートでインダクタを流れる少なくとも1つの電流パルスを生成するように構成される。ここで、少なくとも1つの電流パルスのうちの各電流パルスは、第2のレートに対応する第2のサイクル内で達成され、少なくとも1つの電流パルスのすべては、第1のレートに対応する第1のサイクル内で達成され、第1のサイクルの第1の長さは、第2のサイクルの第2の長さの2倍より長い。
【0008】
本発明のこれらおよび他の目的は、種々の図および図面に示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による駆動回路の概略図である。
【0010】
図2】ADC周波数およびDC-DC動作周波数で動作する駆動回路の具体的な動作を示す。
【0011】
図3】ADC周波数およびDC-DC動作周波数で動作する駆動回路の具体的な動作を示す。
【0012】
図4】本発明の実施形態(複数可)によるADCサイクルにおけるパルス制御の概略図である。
【0013】
図5】本発明の一実施形態によるプロセスのフローチャートである。
【0014】
図6】本発明の一実施形態によるプロセスのフローチャートである。
【0015】
図7】本発明の一実施形態によるEPWCCの例示的なデータフィールドを示す。
【0016】
図8】本発明の実施形態(複数可)による(E)PWCC制御方式を示す。
【0017】
図9】本発明の一実施形態によるEPWCCの別の例示的なデータフィールドを示す。
【0018】
図10】本発明の一実施形態によるPWMコントローラの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
米国特許第11,290,015号および第11,336,182号は、特にピエゾスピーカ内の容量性スピーカ負荷を駆動するために適用される、容量性負荷を駆動するためのスイッチング回路としてDC-DCコンバータを含む駆動回路を開示している。DC-DCコンバータは、伝導損失およびスイッチング損失を消費する。本発明の駆動回路は、伝導損失およびスイッチング損失を最小にしようとする。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態による駆動回路10の概略図である。駆動回路10は、入力信号INに従って負荷CLを駆動するように構成され、パルス幅変調(PWM)コントローラ110、スイッチング回路120およびアナログ-デジタルコンバータ(ADC)130を含む。スイッチング回路120は、電圧源(または電源と呼ばれ、バッテリである可能性がある)11と負荷CLとの間に結合され、インダクタL1とスイッチT1~T4を含む。スイッチング回路120は、負荷CL全体の電圧を制御するために、電圧源11と負荷CLとの間で直流-直流(DC-DC)動作を行うように、PWMコントローラ110によって生成されるPWM信号SP1~SP4によって制御される。ここで、DC-DC動作は、負荷CLに向かって流れる電流を形成する充電動作、または負荷CLから流れる別の電流を形成する放電動作を指し得る。ここでの負荷CLは主に容量性負荷であり得る。一般に、負荷に対して実行される充電動作は、負荷の負荷電圧の増加をもたらす。一方、負荷に対して実行される放電動作は、負荷の負荷電圧の低下をもたらす。
【0021】
ADC130は、1/TADCのレートで負荷の負荷電圧にアナログ-デジタル変換を実行するように構成され、ここでTADCは、2つの連続した(サンプリングの瞬間の)アナログ-デジタル変換の間の間隔/サイクルを示す。負荷の負荷電圧は、図1に示すVLoadが参照され得る。レート1/TADCは、1秒あたりのサンプル数または単にHzの観点からADCのサンプリング周波数として知られることがあり、またはADC周波数/レートと呼ばれることもある。
【0022】
スイッチング回路120は、PWMコントローラ110によって生成されたPWM信号SP1~SP4によって制御され、1/TDC-DCのレートでインダクタL1を流れる電流パルス(複数可)を生成することによってDC-DC動作(複数可)を実行するように構成される。レート1/TDC-DCは、DC-DC動作周波数/レートと呼ばれることがあり、TDC-DCはDC-DCサイクルまたはDC-DCサイクルの長さを示す。本発明では、1つのDC-DC動作を実行することは、インダクタL1を流れる1つの電流パルスを生成することを意味し、DC-DC動作レート1/TDC-DCで電流パルス(複数可)を生成することは、各電流パルスが1つのDC-DCサイクルTDC-DC内で達成されることを意味する。
【0023】
本発明では、インダクタのコンパクト化とADCの電力消費の理由から、スイッチング回路(例えば、120)のDC-DC動作レートは、ADCのADCレートよりも高いが、その詳細は以下のとおりである。
【0024】
インダクタのコンパクト化のため、回路のコンパクト化のためにインダクタL1のサイズを小さくし、ピーク電流を減らして伝導損失を低くするために、一般にDC-DC動作レートを大きくすることが望ましい。例えば、主流の半導体ファウンドリ製造プロセスに基づくスイッチング回路120では、3MHz前後のDC-DC動作レートで効率的に設計および動作させることが実現可能である。したがって、駆動回路10の電力効率およびコンパクトさの観点から、スイッチング回路120を3.072MHzのような高いDC-DC動作レートで動作するように構成することは、実現可能かつ望ましいことであるが、これに限定されるものではない。
【0025】
一方、ADCの電力消費の理由から、ADCによって消費される電力は、その分解能と変換率に関係している:分解能が高いほどより多くの電力が消費され、変換率が高いほどより多くの電力が消費される。音響発生用途(sound producing application)では、元の音声入力信号は、典型的には、16.5Hzから22KHzの間の人間の可聴周波数に帯域制限される。このような帯域制限された入力について、ADCのサンプリング/変換レート(すなわち、ADCレート)を3MHzの領域またはDC-DC動作レートと同じくらい高くすることにまれに利点がある。すなわち、ADC電力を削減する観点から、ADCレートは、DC-DC動作レートより(例えば、数倍(a few times))低くなるように抑えられることができる。
【0026】
一実施形態では、スイッチング回路120は、3.072MHzまたは1.536MHzのようなDC-DC動作レートで動作し得、一方、ADC130は384kHzまたは768kHzのようなより低い/ADCレートで動作し得る。このような状況では、1つのADCサイクルは、スイッチング回路120の複数(例えば、4または8)のDC-DCサイクルを含み得る。本出願では、ADCサイクルTADC(の第1の長さ)は、DC-DCサイクルTDC-DCの(第2の長さの)少なくとも2倍より長くなければならない。
【0027】
例えば、図2は、ADC周波数を1/TADC、DC-DC動作周波数を1/TDC-DCとして動作する駆動回路10の具体的な動作を示している。ADC周波数が384kHzでDC-DC動作周波数が1.536MHzである場合、ADCサイクルTADCはTADC=4・TDC-DCである。すなわち、ADCサイクルTADCは4つのタイムスロットに分けることができる。4つのタイムスロットのうち3つはDC-DC動作(複数可)に使用することができ、タイムスロットの1つまたは最終タイムスロットはアナログ-デジタル変換を実行するために使用することができ、これは図2において「ADC slot」と注釈が付けられている。
【0028】
図2では、1つのDC-DC動作を実行するためのインダクタ/伝導電流I、PWM信号SPInFluxおよびSPDeFluxの波形が示される。電流Iは、電流の方向に関係なく、インダクタL1を流れる電流の大きさを表す。すなわち、Iは、充電動作のためにインダクタL1の第1の端子(スイッチT1-T2に接続される)からインダクタL1の第2の端子(スイッチT3-T4に接続される)に流れる、または放電動作のために第2の端子から第1の端子に流れるいずれかのインダクタ/伝導電流を表し得る。
【0029】
図2に示すように、電流パルスCPは、I=0の時点から開始し、電流Iが増加する間の上昇(立ち上がり)セグメント/間隔Tを経験し、I=Ipeakのピーク電流に達し、電流Iが減少する間の下降(立ち下り)セグメント/間隔Tを経験し、I=0の時点で終了する。上昇セグメント/間隔TはDC-DC動作のInFlux(磁束増加)フェーズに対応し、下降セグメント/間隔TはDC-DC動作のDeFlux(磁束減少)フェーズに対応する。なお、図2に示すように、電流パルスCPは、TDC-DCの時間ウインドウにわたるDC-DCサイクルの1つの中で達成され、スイッチング回路120が、DC-DC動作レート1/TDC-DCで電流パルスCPを生成すると呼ばれるものとする。
【0030】
説明のため、図2の電流パルスCPは三角形で示されている。実際には、I=0とI=Ipeakとの間の電流Iの波形(複数可)は、直線(複数可)からわずかにずれてもよいが、特に間隔T/T(またはPWM信号SPInFlux/SPDeFluxのパルス幅)が十分に小さい場合には、リニアまたは直線(複数可)として近似することができる。
【0031】
PWM信号SPInFluxはInFluxフェーズ用PWM信号SP1~SP4のうちの2つとして適用することができ、PWM信号SPDeFluxはDeFluxフェーズ用PWM信号SP1~SP4のうちの他の2つとして適用することができる。例えば、米国特許第11,336,182号で教示されるスイッチング回路10のDC-DC動作は、以下のように簡単に説明できる。充電動作のためのADCサイクルTADC内では、PWM信号SPInFluxがスイッチ、例えばT1およびT4に適用されて(すなわち、SP1=SP4=SPInFlux)、電圧源11に蓄えられた電気エネルギを、InFluxフェーズ中にインダクタL1の磁束エネルギに転換し得、PWM信号SPDeFluxがスイッチ、例えばT2およびT3に適用されて(すなわち、SP2=SP3=SPDeFlux)、DeFluxフェーズ中にインダクタL1に蓄えられた磁束エネルギを負荷CLの電気エネルギに転換し得る。放電動作のためのADCサイクルTADC内では、PWM信号SPInFluxがスイッチ、例えばT2およびT3に適用されて(すなわち、SP2=SP3=SPInFlux)、負荷CLに蓄積された電気エネルギを、InFluxフェーズ中にインダクタL1の磁束エネルギに転換し得、PWM信号SPDeFluxがスイッチ、例えばT1およびT4に適用されて(すなわち、SP1=SP4=SPDeFlux)、DeFluxフェーズ中にインダクタL1に蓄積された磁束エネルギを電圧源11の電気エネルギに転換し得る。DC-DC動作のその他の詳細については、米国特許第11,336,182号が参照され得る。
【0032】
充電動作がスイッチング回路10によって実行されるとき、その面積がΔQとして示される、図2の電流パルスCPの下降セグメント下の網掛け領域(すなわち、電流パルスCPの波形内の網掛けの右半分三角形の領域)は、充電動作中に容量性負荷CLに注入/移動される(ことになる)電荷の量を表す。放電動作がスイッチング回路10によって実行されるとき、その面積がΔQとして示される、図2の電流パルスCPの立ち上がりセグメントの下の空白領域(すなわち、電流パルスCPの波形内の空白の左半分の三角形の領域)は、放電動作中に容量性負荷CLから回収/移動される(ことになる)電荷の量を表す。
【0033】
容量性負荷CLから/容量性負荷CLに移動される電荷の量は、概してΔQとして表され、ΔVLoadとして表される電圧変化/差をもたらす。電荷ΔQが大きいほど電圧変化/差ΔVLoadは大きくなり、その関係はΔQ/CL=ΔVLoadと表すことができる。電荷の量ΔQはPWM信号SPInFlux/SPDeFluxのパルス幅を介して間隔T/Tによって制御される。ADCサイクルTADC内に1つの単一の電流パルスCPしかなく、大量の電荷を必要とする場合、高いピーク電流Ipeakが発生する。
【0034】
しかし、P∝IRであるので、より高いピーク電流は、急速な上昇(立ち上がり)伝導損失、ターンオン抵抗RONを伴う、MOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)によって実現され得る、スイッチに流れる電流によって消費される電力をもたらす。
【0035】
代替的には、高い伝導損失を最小限に抑えるために、複数のパルスCPが、必要な量の電荷を移動するために1つのADCサイクルTADC内で生成され得る。例えば、図3では、3つの(代替)電流パルスCP’が、1つのADCサイクルTADC内で生成され、各電流パルスCP’は、1つのDC-DCサイクルTDC-DC内でも達成される。図3の電流生成スキームが、図2と(実質的に)同じΔVLoadまたは同じΔQを達成するように設計されている場合(例えば、ΔQ=3・ΔQ’および/またはΔQ=3・ΔQ’)、図3のスキームのピーク電流Ipeak’は、図2のスキームのそれよりも小さくなる可能性があり、それにより、伝導損失は図2のスキームと比較して減少する。具体的には、図3のスキームにおけるピーク電流Ipeak’は図2のスキームの1/3となり、これにより伝導損失を図2のスキームの3・(1/3)=1/3に減少する。
【0036】
伝導損失に加えて、スイッチング損失は、スイッチング回路120などのDC-DCスイッチング回路によって消費される(または消散する)別のタイプのエネルギである。スイッチとしてのMOSFETのターンオン抵抗RONに関連する伝導損失とは異なり、MOSFETのゲート容量(C=CGS+CGD)の充電/放電に関連するスイッチング損失は、スイッチがON/OFFされるたびに本質的に一定である。ゲート容量CはMOSFETのサイズ/面積に比例するため、より低いRONを伴う大きいMOSFETは、伝導損失は少なくなり得るがスイッチング損失は大きくなることに留意されたい。
【0037】
具体的には、DC-DC動作の半分(InFluxフェーズまたはDeFluxフェーズのいずれかに対応)について、半分のDC-DC動作の伝導損失は、
【数1】
として表され得、ここでtPWMはT(InFluxフェーズの場合)またはT(DeFluxフェーズの場合)を表し得る。DC-DC/スイッチング回路120の所与の実装について、伝導損失WCNDはWCND∝tPWM として表すことができる。したがって、各DC-DCサイクル動作WCNDの伝導損失はtPWM に関連し、一方、スイッチング損失WSWはtPWMに無関係である。
【0038】
CNDとWSWとの間のトレードオフにより、PWMコントローラ110は、スイッチング回路を制御して、ADCサイクル内で適切な数の電流パルス(複数可)を生成して、伝導損失およびスイッチング損失の総電力消費を最小限に抑え得る。一般に、高い電荷が容量性負荷CLに注入または容量性負荷CLから回収される場合は、より多くの電流パルスが必要とされ、低い電荷が容量性負荷CLに注入または容量性負荷CLから回収されることになる場合は、より少ない電流パルスが望ましい。したがって、PWMコントローラ110は、スイッチング回路120を介して容量性負荷CLに/容量性負荷CLから移動されるのに必要な電荷の量に基づいて、ADCサイクルの電流パルス数を決定し得る。
【0039】
要するに、TADC=(N+1)・TDC-DC、またはDC-DC動作レートがADCレートの(N+1)倍のスキームの下で、1つのADC TADCにわたって移動されることになる一定量の電荷ΔQについて、1つのADCサイクルTADC内でK電流パルスを生成する伝導損失およびスイッチング損失が最小になるように、電流パルス数Kは決定/最適化され得、ここでK≦N、K,Nは整数である。
【0040】
図4は、本発明のADCサイクルTADC内のパルス制御スキームである。図4に示すように、電流パルスの数は、スイッチング回路120に流れる電流に対応する電荷の量に従って調整され得る。一実施形態では、ADCは768kHzで動作し得、したがって、ADCサイクルTADCの長さは1/768kHz≒1.302μsである。スイッチング回路120は、1/(4・768kHz)=1/3,072KHz≒325.52nsのDC-DCサイクルTDC-DCの長さで動作し得る。このような状況では、1つのADCサイクルTADCは4つのDC-DCサイクルTDC-DCを含む。
【0041】
図4は、動作周波数の構成の下で可能な3つの実装/実施形態を示している。第1の実装(図4の左端に示す)では、1つの電流パルスのみが1つのADCサイクルTADC内に生成される。必要な電荷量が増加すると、PWMコントローラ110によって生成されるPWMパルスの幅が広がり、その結果、伝導電力損失WCNDがtPWM のレート(rate)で急激に上昇する。従って、伝導損失を低減するためには、必要な電荷量が第1の量閾値よりも大きい場合、ADCサイクルTADC内で1より多い電流パルスを介して電荷ΔQの移動を達成することが望ましい場合がある。例えば、第2の実装(図4の中央に示す)では、低いピーク電流を持つ2つの電流パルスがADCサイクルTADC内に生成される。なお、第2の実装において2つの電流パルスによって消費される総伝導損失WCNDは、スイッチング損失WSWを2倍にすることを犠牲にして、減少する可能性があることに留意されたい。第2の実装は、2つの電流パルスを生成することによる伝導損失WCNDの削減が、追加の電流パルスによって引き起こされる増分スイッチング損失WSWよりも大きい場合に、第1の実装に比べて好ましい。
【0042】
同様に、必要な電荷量がさらに増加して第2の量閾値よりも大きくなった場合、図4の右端に示す第3の実装のように、1つのADCサイクルTADC内に3つの電流パルスを生成することが望ましい場合があり、これはスイッチング損失WSWを3倍にすることを犠牲にして伝導損失のさらなる削減につながる。
【0043】
逆に、必要な電荷量ΔQが前述の第2または第1の量閾値を下回る場合、電流パルスの数(複数可)は下げられて、DC-DCスイッチング回路120の全体的なエネルギ損失、WCND+WSWが減らされ得るように、スイッチング損失WSWを減らし得る。
【0044】
したがって、全体の電荷量ΔQ(容量性負荷CLの所望の/意図された電圧差に基づいて決定され得る)に従って、駆動回路10は、スイッチング損失および伝導損失によって引き起こされる総電力消費を最小限に抑えるように、ADCサイクルTADC内に含まれる電流パルスの数を決定し得る。
【0045】
加えて、全体の電荷量は、1つのADCサイクル内の意図された電圧差によって決定することができる。Q=CV(式1)のよく知られた公式に従って、必要な電荷量ΔQ(r)、1つのADCサイクルTADC内で容量性負荷CLに/容量性負荷CLから移動するために必要な電荷の量は、ADCサイクルTADC内の容量性負荷CLに対する意図された電圧差ΔV(int)に依存する。意図された電圧差ΔV(int)は、PWMコントローラ110によって受信される入力信号INおよびフィードバック信号FBから取得され得る。具体的には、意図されたる電圧差ΔV(int)は、サイクルTADCに対応する入力信号INとフィードバック信号FBとの間の差に従って決定され得る。具体的には、ΔQ(r)=CCL・ΔV(int)であり、ここでCCL図1に示す負荷CLの静電容量を示す。
【0046】
すなわち、1つのADCサイクルTADC内で、PWMコントローラ110は、入力信号INとフィードバック信号FBとの間の差が閾値THより大きい場合に、1より多い電流パルスCPを生成するようにスイッチング回路120を制御し得る。さらに、PWMコントローラ110は、入力信号INとフィードバック信号FBとの間の差が第1の閾値TH1より大きい場合に電流パルス数Kを増加させることを決定し得、増加した電流パルス数K(ここでK>K)で、DC-DC動作レート1/TDC-DCでインダクタL1を流れる電流パルスCPを生成するようにスイッチング回路120を制御し得る。一方、PWMコントローラ110は、入力信号INとフィードバック信号FBとの間の差が第2の閾値TH2未満の場合に電流パルス数Kを減少させることを決定し得、減少した電流パルス数K(ここでK<K)で、DC-DC動作レート1/TDC-DCでインダクタL1を流れる電流パルスCPを生成するようにスイッチング回路120を制御し得る。
【0047】
一実施形態では、ここでの負荷CLは、容量性スピーカ負荷、例えば圧電作動スピーカであり得る。駆動回路10は、可聴帯域内(例えば、16.5Hzから22kHzの間)の元の音声信号に従って生成された入力信号INを受信し得る。駆動回路は、入力信号INに従って、容量性スピーカ負荷VLoadを駆動する駆動回路10の出力電圧が入力信号INにほぼ比例するように、容量性スピーカ負荷を駆動する。信号aが信号bに実質的に比例していることは、||a(t)-c・b(t)||≦εが満たされているということを意味し得、ここで||s(t)||は任意の信号s(t)のエネルギを表し得、a(t)およびb(t)はそれぞれ信号aおよび信号bの時変関数を表し、Cは正または負のいずれかであることができる定数を表し、εは例えば10-1、10-2、10-3などであり得る正の小さい数を表す。
【0048】
上記の閾値TH、TH1、TH2は実際の動作条件に応じて決定される。状況によっては、容量性負荷CLの容量CCLが負荷電圧VLoadに対して変化し得る。例えば、ピエゾ材料の性質により、ピエゾスピーカの誘電率または静電容量(CCL)は、そこに印加される電圧(VLoad)が増加するにつれて減少する。一般に、特定の所与の負荷電圧VLoadについて、意図された電圧差ΔV(int)が大きいほど、電流パルス数Kは大きくなる。逆に、特定の所与の負荷電圧VLoadについては、意図された電圧差ΔV(int)が小さいほど、電流パルス数Kは小さくなる。
【0049】
一実施形態では、入力信号INはデジタル信号であり得、ADCレート1/TADCと同じサンプリングレートに対応する。例えば、一実施形態では、384kHzまたは768kHzのADCレートについて、入力信号INは、48KHzのサンプルレートの入力デジタル音声信号に従って、アップサンプリング処理を介して生成され得る。
【0050】
駆動回路10の動作は、図5に示すプロセス50として要約され得る。プロセス50は以下のステップを含む。
【0051】
ステップ502:ADCレートで負荷の負荷電圧VLoadにアナログ-デジタル変換を実行する。
【0052】
ステップ504:DC-DC動作レートでインダクタL1を流れる少なくとも電流パルスCPを生成する。
【0053】
プロセス50では、DC-DC動作レートは一般的にADCレートよりも大きい。DC-DC動作レートのADCレートに対する比(ratio)は限定されない。伝導損失を減らす目的で、必要な充電量をオフロードする(offload)ために、1つのADCサイクル内の1より多いDC-DCサイクルを予約することが推奨される。すなわち、本発明では、ADCサイクルTADCは、DC-DCサイクルTDC-DCの少なくとも2倍より長いことが示唆されている。
【0054】
出願人が出願した米国特許第11,271,480号および出願番号第18/048,852号は、PWMコントローラが入力信号INおよびフィードバック信号FBを受信し、入力信号INおよびフィードバック信号FBに従ってアドレスを取得し、そのアドレスに従ってメモリに格納されたルックアップテーブル(LUT)からパルス幅制御コード(PWCC)を取り出し、PWCCに対応したPWM信号を使用してスイッチング回路(または両出願の文脈における双方向回路)の動作を制御するために、PWCCに対応したパルス幅を持つPWM信号(例えば、図2に示すSPInFluxまたはSPDeFlux)を生成することを教示している。
【0055】
一般に、PWMコントローラは、InFluxフェーズのためのPWM信号SPInFluxを生成する第1のPWCCをよびDeFluxフェーズのためのPWM信号SPDeFluxを生成する第2のPWCCを取得し得る。InFluxフェーズとDeFluxフェーズの異なる電流経路のため、InFluxのための第1のPWCCは通常、DeFluxのための第2のPWCCとは異なる。
【0056】
一実施形態では、PWMコントローラは、第1のLUTにアクセスして、充電動作のためのPWM信号SPInFluxを生成するためにInFlux充電PWCCを取得し、第2のLUTにアクセスして放電動作のためのPWM信号SPInFluxを生成するためにInFlux放電PWCCを取得し得る。一実施形態では、InFlux-充電電流およびDeFlux-放電電流は、同じ電流経路(例えば、図1に示すスイッチT1およびT4を通る)を有するが反対の電流方向であり得、DeFlux-充電電流およびInFlux-放電電流は、同じ電流経路(例えば、図1に示すスイッチT2およびT3を通る)を有するが反対の電流方向であり得る。この場合、一実施形態では、PWMコントローラは、第2のLUTにアクセスして、充電動作のためのPWM信号SPDeFluxを生成するためにDeFlux-充電PWCCを取得し、第1のLUTにアクセスして、放電動作のためのPWM信号SPDeFluxを生成するためにDeFlux-放電PWCCを取得し得る。
【0057】
米国出願第18/048,852号はさらに、駆動回路が動作している間にPWCCが取得および/または更新できることを教示している。制御コードを使用して電流パルス数Kを指定するという概念を本発明に組み込むことができる。
【0058】
例えば、図6は、本発明の一実施形態によるプロセス60のフローチャートである。プロセス60は、本発明の駆動回路10に実装することができる。図6に示すように、プロセス60は次のステップを含む。
【0059】
ステップ602:入力信号およびADCからのフィードバック信号を受信する。
【0060】
ステップ604:入力信号およびフィードバック信号に従って実効パルス幅制御コード(effective pulse width control code)(EPWCC)を取得し、EPWCCは、パルス幅制御コード(PWCC)および数制御コード(NCC)を含む。
【0061】
ステップ606:EPWCCに従って少なくとも電流パルスを生成する。
【0062】
プロセス60に従って、PWMコントローラ110は、入力信号INおよびADCからのフィードバック信号FBを受信し得る。米国特許第11,271,480号および米国特許出願第18/048,852号と同様に、PWMコントローラ110は、入力信号INおよびフィードバック信号FBに従ってテーブルアドレスを決定し、PWMコントローラ110は、テーブルアドレスに従ってルックアップテーブル(LUT)を参照することによってEPWCCを取得する。PWCCに加えて、本発明のEPWCCは、NCCをさらに含み、これは、1つのADCサイクルTADC内の電流パルス数Kを指定するために使用される。したがって、PWMコントローラ110は、EPWCCに従ってPWM信号(例えば、図2または図3に示すSPInFluxまたはSPDeFlux)を生成し得、1つのADCサイクルのPWM信号はKパルス(複数可)(KはNCCに基づいて決定される)を含み、各パルスはパルス幅(パルス幅はPWCCに基づいて決定される)を有する。
【0063】
図7は、本発明の一実施形態によるEPWCCの例示的なデータフィールドを示す。一実施形態では、EPWCCは9ビットのデータであり得、そのうち7ビットはPWCCの値を格納するために使用され、2ビットはNCCの値を格納するために使用される。2ビットNCCは、1つのADCサイクルで生成される(電流)パルスの数を示す。TADC=4・TDC-DCと仮定すると、1つのADCサイクルは、DC-DC動作のための最大3つのDC-DCサイクルおよび1つのADCスロットを含み得る。図7の表のように、NCCの10進値が0であることは、ADCサイクルに1パルスしかないことを示し、NCCの10進値が1であることはADCサイクルに2パルスがあることを示し、NCCの10進値が2であることはADCサイクルに3パルスがあることを示す。
【0064】
伝導損失を減らすために、PWCCが第1の値以上である場合にNCCは増加し得る。NCCが増加すると、元のPWCCを第2の(小さい)値に減らすことができる。一実施形態では、PWCCが第1の値(例:十進数で107)以上の場合、伝導損失を低減するために、元の電流パルス(十進数でPWCC=107に対応する)を、図8の左部分および/または図4の左端から中央への遷移として示されるように、第2の(小さい)値(例えば、十進数で85)に等しいPWCCに対応する2つの小さな電流パルスに置き換えることができる。
【0065】
一方、複数の電流パルスが生成される条件では、スイッチング損失を抑える(spare)ために、複数の電流パルスのPWCCが第3の値以下の場合にNCCを減少させることがある。NCCが減少すると、元のPWCC(複数の電流パルスの、またはそれに対応する)を、より少ない増加した(enhanced)電流パルス(複数可)に対して第4の値に増加することができる。一実施形態では、PWCCが第3の値(例えば、十進数で81)以下で、かつ、2つの電流パルスが生成される状況下で、スイッチング損失を抑えるために、元の2つの弱い電流パルス(十進数のPWCC=81に対応する)を、図8の右側部分および/または図4の中央から左側への遷移として示される、第4の大きい値(例えば、十進数で103)に等しいPWCCに対応する1つの単一の増加した/より強い電流パルスに置き換えることができる。
【0066】
米国出願第18/048,852号では、駆動回路が動作している間にPWCCを更新することができる。本発明では、NCCをPWCC更新と共に更新することができる、すなわち、駆動回路が動作している間にEPWCCを更新することができる。言い換えれば、PWMコントローラ110は、ADCサイクル(または現在のADCサイクル)の開始に対応する第1のフィードバック信号FB1を受信し、入力信号INおよび第1のフィードバック信号FB1に従ってアドレスを取得し、アドレスに従ってメモリに格納されたルックアップテーブル(LUT)からEPWCCを取り出し、DC-DC動作を実行するためにスイッチング回路のEPWCCに対応するパルス幅を持つPWM信号(例えば、SPInFluxまたはSPDeFlux)を生成し、ADCサイクル(または現在のADCサイクル)の終了に対応する第2のフィードバック信号FB2を受信し、第1のフィードバック信号FB1および第2のフィードバック信号FB2に従ってEPWCCを更新し、更新されたEPWCCをメモリ内のLUTに保存し得る。ここで、第1のフィードバック信号FB1は、現在のADCサイクルに対応するDC-DC動作(複数可)が実行される前の負荷電圧VLoadを表し、第2のフィードバック信号FB2は、現在のADCサイクルに対応するDC-DC動作(複数可)が実行された後の負荷電圧VLoadを表す。
【0067】
増加傾向にある(E)PWCC更新動作中に、図8の左部分に示すように、元のPWCC(例えば、図4の左端に示す単一の電流パルスに対応し、NCC=0)が第1の値(例えば、十進数で107)まで増加されるとき、PWCCは第2の値(例えば、十進数で85)まで減少され得、NCCは1だけ増加する(例えば、NCC=1)。このような状況では、伝導損失を減らすために、図8の左部分にまたは図4の左端から中央への遷移として示すように、PWCC=85に対応するパルス幅を持つ2つの代替電流パルスが生成される。更新されたEPWCC(例えば、増加したNCC=1および減少したPWCC=85)は、メモリ内のLUTに保存される。
【0068】
図8の右側に示すように、減少傾向にある(E)PWCC更新動作中に、元のPWCC(例えば、図4の中央に示されている2つの電流パルスに対応し、NCC=1)が、減少して第3の値(例:十進数で81)に到達するとき、PWCCは第4の値(例えば、十進数で103)に増加され得、NCCは1だけ減少する(例えば、NCC=0)。このような状況では、スイッチング損失を抑えるために、図8の右部分または図4の中央から左端への遷移として示すように、PWCC=103に対応するパルス幅を持つ単一の代替電流パルスが生成される。更新されたEPWCC(例えば、減少したNCC=0および増加されたPWCC=103を持つ)は、メモリ内のLUTに保存される。
【0069】
なお、上記の第1、第2、第3および第4の値は、実際の状況に応じて決定されることがあり、特定の値に限定されるものではない。例えば、第2の値と第3の値との間のヒステリシスまたは第1の値と第4の値との間のヒステリシスが組み込まれ得るが、これに限定されるものではない。
【0070】
複数の電流パルスが1つのADCサイクルTADC内で生成されることを考慮すると、伝導損失とスイッチング損失との間のバランスを達成するために、複数の電流パルスによって運ばれる電荷は、電流パルスの極性にわたって均等に分布され得る。(更新された)PWCCは、ADCサイクルTADC内の複数の電流パルスのすべてに適用され得、これは、複数の電流パルスが、同じPWCC(例えば、SPInFluxに対して)に対応することを意味するが、これに限定されるものではない。
【0071】
一実施形態では、PWMコントローラは、1つのADCサイクルTADC内で、少なくとも第1の電流パルスCPと少なくとも第2の電流パルスCPを生成するようにスイッチング回路を制御し得、第1の電流パルス(複数可)CPはPWCCに対応し、第2の電流パルスCPはPWCCに対応し、PWCC≠PWCCである。可能な限り均等に電荷を分散させるために、一実施形態では、PWCCはPWCC=PWCC+1であり得る。ここで、PWCC/PWCCは、電流パルス(複数可)CP/CPのためのPWM信号SPInFluxのパルス幅を決定し、これは電流パルス(複数可)CP/CPの立ち上がり間隔を制御する。この場合、第1の電流パルス(複数可)CPの立ち上がり間隔は、PWCCコード分解能の1単位だけ第2の電流パルス(複数可)CPの立ち上がり間隔と異なる。さらに、第1の電流パルス(複数可)CPの数は、EPWCCとともにディザ(dither)制御コード(DCC)として記録され得る。
【0072】
図9は、本発明の一実施形態によるEPWCCの別の例示的なデータフィールドを示す。この実施例では、EPWCCはさらにDCCを含む。DCCは第1の電流パルス(複数可)CPの数を示す。
【0073】
例えば、PWCCが87に等しく、NCC値が4つのパルスがあることを示し、DCCが増分幅を持つパルスの数を示していると仮定すると、DCCが0に等しい場合、PWM信号のすべてのパルスは値87に対応する同じ幅を有し得る。DCCが1に等しい場合、4つのパルスのうちの1つが値88に対応する幅を有し得る;すなわち、これら4つのパルスのPWCC値が{87、87、87、88}になり得る。DCCが2に等しい場合、これら4つのパルスのPWCC値は{87、87、88、88}になり得る;DCCが3に等しい場合、これら4つのパルスのPWCC値は{87、88、88、88}になり得る。次のレベルは{88、88、88、88}であり、これはPWCCを88に修正し、DCCを0に設定することによって実現され得る。上記の動作は、1つのADCサイクル内でより細かい電圧差の分解能を達成するために、DCCをPWCCの二進小数(binary fractions)とみなすことによって容易に実装され得る。
【0074】
米国特許第11,271,480号および出願第18/048,852号の教示と同様に、PWMコントローラ110は、図10に示すように、メモリA04、デジタル-アナログコンバータ(DAC)A06、波形発生器A08およびコンパレータA10を有し得る。波形発生器A08は、鋸歯状信号(平坦な先端を持つまたは持たない)Ssawを発生するように構成される。メモリA04は、第1のLUT A04_1および第2のLUT A04_2を格納するように構成される。第1のLUT A04_1は充電動作のために使用され得し、第2のLUT A04_2は放電動作のために使用され得る。メモリA04から(E)PWCCが取り出され得、PWCCはDAC A06に出力され得る。DAC A06は、PWCCをアナログ電圧Vに変換するように構成される。コンパレータA10は、鋸歯状信号Ssawをアナログ電圧Vと比較し、PWCCに対応するパルス幅を有するPWM信号(SPInFluxまたはSPDeFluxのいずれか)として比較結果を生成するように構成される。
【0075】
図2または図3に戻って参照すると、充電動作/サイクル中に、負荷CL全体の電圧変化は、第2の(DeFlux)フェーズまたは下降(立ち下り)間隔T中に発生する;しかし、放電動作/サイクル中には、負荷CL全体の電圧変化は第1の(InFlux)フェーズ中に発生することに留意されたい。言い換えれば、負荷CLの端子間電圧に影響を与える電流パルスのタイミングは、充電サイクルと放電サイクルで異なる。駆動回路10が、信号レベルだけでなく、レベルが維持されるタイミングにも敏感な密度符号化システム(例えば、信号密度変調(SDM)またはパルス密度変調(PDM)システム)に適用されるとき、電流パルスタイミングにおけるこのようなタイミング差(充電電流パルスと放電電流パルスとの間の)は、SDMにおいてエラーを引き起こし、SQNR(Signal-to-Quantization-Noise Ratio、信号対量子化ノイズ比)の性能を低下させる可能性がある。
【0076】
このようなタイミングエラーを最小化するために、一実施形態では、放電サイクルのタイミングは、充電サイクルのタイミングに対して遅延され得る、またはその逆にされ得る。言い換えれば、充電動作のための電流パルス(複数可)と放電動作のための電流パルス(複数可)との間にタイミング差が課されることがある。一実施形態では、このような遅延(またはタイミング差)は、波形発生器A08の開始時間に遅延を加えることによって実装され得るが、これに限定されるものではない。一実施形態では、このような遅延は、充電動作に対して放電動作のための電流パルスの開始時間にタイミングシフト(遅延)を課すことによって実装され得る。遅延の量は固定されている場合もあれば、PWCCコードに関連/比例している場合もあり、さらにタイミングエラーパターンを分解する(breakup)ために乱数を含む場合もある。
【0077】
言い換えれば、時間エラーを最小化するために、PWMコントローラは、放電動作に対応する包絡された変化しないADCサイクルに対して、遅延を伴う電流パルス(複数可)CPを生成するようにスイッチング回路を制御し得、充電動作に対応するADCサイクル内にそのような遅延はなく、またはその逆を行い得る。一実施形態では、遅延量はクロックサイクルの0.5n倍であり、クロックサイクルはTDC-DC/Mの長さを有し得る。ここで、nおよびMはともに整数を表す(例えば、n=1、2または3、M=12、18または32、しかしこれに限定されるものではない)。
【0078】
SDMの詳細は米国出願第17/452,403号を参照することができ、PDMの詳細は当該技術分野で知られており、ここでは簡潔さのために説明しない。
【0079】
要約すると、本発明は、1つのADCサイクル内の電流パルス数が、伝導損失およびスイッチング損失を考慮することによって電力消費を最小化するように調整可能であるように、ADCレートよりも高いDC-DC動作レートの特徴を利用して、より多くのタイムスロット(複数可)を予約する。
【0080】
当業者は、本発明の教示を保持しながら、装置および方法の多数の修正および変更が行われ得ることを容易に観察するであろう。したがって、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されるものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10