IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー.の特許一覧

特許7441930フォトレジスト組成物及びパターン形成方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】フォトレジスト組成物及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/039 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
G03F7/039 601
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022204307
(22)【出願日】2022-12-21
(65)【公開番号】P2023099319
(43)【公開日】2023-07-12
【審査請求日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】63/294,988
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツイ リー
(72)【発明者】
【氏名】スザンヌ エム.コーレイ
(72)【発明者】
【氏名】エマド アカド
(72)【発明者】
【氏名】ツェン インチエ
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョンクン
(72)【発明者】
【氏名】リー チョン-ボン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ エフ.キャメロン
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/066342(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/070327(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/035497(WO,A1)
【文献】特開2010-138383(JP,A)
【文献】特開2015-143819(JP,A)
【文献】特開2017-214480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/039
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポリマーであって、
ヒドロキシアリール基を含む第1の繰り返し単位と、
第1の酸不安定基を含む第2の繰り返し単位と、
第1の塩基可溶性基を含む第3の繰り返し単位であって、前記第1の塩基可溶性基は、12以下のpKaを有し、前記第1の塩基可溶性基は、ヒドロキシアリール基を含まず、前記第1のポリマーの前記第3の繰り返し単位は、前記第1のポリマー中の繰り返し単位の合計を基準として1~25モル%の量で存在する、第3の繰り返し単位と
を含み、
前記第1のポリマーの前記第1の繰り返し単位、前記第2の繰り返し単位及び前記第3の繰り返し単位は、互いに構造的に異なり、
第1のポリマーは、ラクトン基を含まない、第1のポリマーと、
第2のポリマーであって、
第2の酸不安定基を含む第1の繰り返し単位と、
ラクトン基を含む第2の繰り返し単位であって、前記第2のポリマー中の前記第2の繰り返し単位は、前記第2のポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準として15~65モル%の量で存在する、第2の繰り返し単位と、
12以下のpKaを有する第2の塩基可溶性基を含む第3の繰り返し単位と
を含み、
前記第2のポリマーの前記第1の繰り返し単位、前記第2の繰り返し単位及び前記第3の繰り返し単位は、互いに構造的に異なる、第2のポリマーと、
溶媒と
を含むフォトレジスト組成物であって、前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとは、互いに異なる、フォトレジスト組成物。
【請求項2】
光酸発生剤を更に含む、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
前記第1の塩基可溶性基は、フルオロアルコール基、カルボン酸基、スルホンイミド基、スルホンアミド基又はカルボキシイミド基を含む、請求項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項4】
前記第1のポリマーの前記第3の繰り返し単位は、式(3):
【化1】
(式(3)において、
は、水素、ハロゲン又は置換若しくは無置換C1~10アルキルであり、
は、-O-、-C(O)-、又は-C(O)O-、又は-C(O)NR-であり、
は、水素又は置換若しくは無置換C1~5アルキル基であり、
a1は、0又は1であり、
は、単結合又は多価連結基であり、
各Rは、置換又は無置換C1~12パーフルオロアルキル基であり、
各Rは、置換若しくは無置換C1~12アルキル、置換若しくは無置換C3~12シクロアルキル又は置換若しくは無置換C1~12ヘテロシクロアルキルであり、Rは、1つ以上のフッ素原子を任意選択的に含み、及び
n1は、1~5の整数である)
のモノマーから誘導される、請求項3に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
前記第1ポリマーの前記第1の繰り返し単位は、式(1):
【化2】
(式(1)において、
は、水素、ハロゲン又は置換若しくは無置換C1~10アルキルであり、
は、水素、Lと共に環を形成する-C(O)-又はArと共に環を形成する単結合であり、
は、-O-、-C(O)-又は-C(O)O-であり、a2は、0又は1であり、
は、単結合又は1つ以上の二価連結基であり、及び
Arは、それぞれ任意選択的に置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキル、-OR1c又は-NR1d1eの1つ以上で更に置換されている、ヒドロキシ置換C6~60アリール基、ヒドロキシ置換C5~60ヘテロアリール基又はそれらの組み合わせを含み、R1c~R1eは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキルである)
のモノマーから誘導される、請求項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
前記第1の酸不安定基及び前記第2の酸不安定基は、それぞれ独立して、三級エステル基から選択される、請求項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項7】
前記第2ポリマーの前記第2の繰り返し単位は、式(4a)又は(4b):
【化3】
(式(4a)及び(4b)において、
は、水素、ハロゲン又は置換若しくは無置換C1~10アルキルであり、
は、単結合又は1つ以上の二価連結基であり、
18は、置換又は無置換C4~20ラクトン含有基であり、
各R21は、独立して、ハロゲン、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C4~30アルキルヘテロアリールであり、各R21は、任意選択的に、その構造の一部として二価連結基を更に含み、
22及びR23は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C4~30アルキルヘテロアリールであり、R22及びR23の各々は、独立して、任意選択的に、その構造の一部として二価連結基を更に含み、
m1は、1又は2であり、及び
n1は、1~6の整数である)
のモノマーから誘導される、請求項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
前記第2のポリマーの前記第3の繰り返し単位は、式(5a)、(5b)、(5c)又は(5d):
【化4】
(式(5a)、(5b)、(5c)及び(5d)において、
、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン又は置換若しくは無置換C1~10アルキルであり、
11、L12及びL13は、それぞれ独立して、単結合又は多価連結基であり、
Arは、置換若しくは無置換C6~30アリール又は置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールであり、
24 は、置換又は無置換C1~20アルキルであり、
25は、水素又はメチルであり、
a7及びa8は、それぞれ独立して、1~5の整数であり、
a9は、0又は1であり、及び
a10は、1~12の整数である)
のモノマーから誘導される、請求項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項9】
前記第1のポリマー対前記第2のポリマーの重量比は、1:4~4:1である、請求項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項10】
前記第2ポリマーの前記第3の繰り返し単位は、式(1)又は式(3):
【化5】
(式(1)において、
は、水素、ハロゲン又は置換若しくは無置換C 1~10 アルキルであり、
は、水素、L と共に環を形成する-C(O)-又はAr と共に環を形成する単結合であり、
は、-O-、-C(O)-又は-C(O)O-であり、a2は、0又は1であり、
は、単結合又は1つ以上の二価連結基であり、及び
Ar は、それぞれ任意選択的に置換若しくは無置換C 1~30 アルキル、置換若しくは無置換C 1~30 ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C 3~30 シクロアルキル、置換若しくは無置換C 1~30 ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C 2~30 アルケニル、置換若しくは無置換C 2~30 アルキニル、置換若しくは無置換C 6~30 アリール、置換若しくは無置換C 7~30 アリールアルキル、置換若しくは無置換C 7~30 アルキルアリール、置換若しくは無置換C 3~30 ヘテロアリール又は置換若しくは無置換C 4~30 ヘテロアリールアルキル、-OR 1c 又は-NR 1d 1e の1つ以上で更に置換されている、ヒドロキシ置換C 6~60 アリール基、ヒドロキシ置換C 5~60 ヘテロアリール基又はそれらの組み合わせを含み、R 1c ~R 1e は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C 1~30 アルキル、置換若しくは無置換C 3~30 シクロアルキル、置換若しくは無置換C 2~30 ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C 6~30 アリール、置換若しくは無置換C 7~30 アリールアルキル、置換若しくは無置換C 3~30 ヘテロアリール又は置換若しくは無置換C 4~30 ヘテロアリールアルキルである)
【化6】
(式(3)において、
は、水素、ハロゲン又は置換若しくは無置換C 1~10 アルキルであり、
は、-O-、-C(O)-、又は-C(O)O-、又は-C(O)NR -であり、
は、水素又は置換若しくは無置換C 1~5 アルキル基であり、
a1は、0又は1であり、
は、単結合又は多価連結基であり、
各R は、置換又は無置換C 1~12 パーフルオロアルキル基であり、
各R は、置換若しくは無置換C 1~12 アルキル、置換若しくは無置換C 3~12 シクロアルキル又は置換若しくは無置換C 1~12 ヘテロシクロアルキルであり、R は、1つ以上のフッ素原子を任意選択的に含み、及び
n1は、1~5の整数である)
のモノマーから誘導される、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項11】
パターンを形成する方法であって、
(a)請求項1~10のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物から基板上にフォトレジスト層を形成することと、
(b)前記フォトレジスト層を活性化放射にパターン様露光することと、
(c)前記露光されたフォトレジスト層を現像してレジストレリーフ像を提供することとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種の異なるポリマーのブレンド物を含有するフォトレジスト組成物及びそのようなフォトレジスト組成物を用いるパターン形成方法に関する。本発明は、半導体製造業界におけるリソグラフィ用途に特に適用性を見出す。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト材料は、半導体基板上に配置された金属、半導体又は誘電体層などの1つ以上の下層に画像を転写するために典型的に使用される感光性組成物である。半導体デバイスの集積密度を高め、且つナノメートル範囲の寸法を有する構造の形成を可能にするために、高解像能力を有するフォトレジスト及びフォトリソグラフィ加工ツールが開発されており、また開発され続けている。
【0003】
ポジ型の化学増幅フォトレジストは、従来、高解像度処理に使用されている。そのようなレジストは、典型的には、酸不安定基を有するポリマー及び光酸発生剤を用いる。フォトマスクを通した活性化放射線へのパターン様露光は、酸発生剤に酸を形成させ、それは、露光後ベーキング中、ポリマーの露光領域において酸不安定基の開裂を引き起こす。これは、現像液におけるレジストの露光領域と非露光領域との間の溶解度特性に差をもたらす。ポジ型現像(PTD)プロセスにおいて、フォトレジスト層の露光領域は、現像液に可溶になり、基板表面から除去されるが、現像液に不溶性である非露光領域は、現像後に残ってポジ画像を形成する。得られたレリーフ像は、基板の選択的な処理を可能にする。
【0004】
半導体デバイスにおいて、ナノメートルスケールの形状を達成するための1つのアプローチは、化学増幅フォトレジストの露光中に短波長、例えば193ナノメートル(nm)以下の光を使用することである。リソグラフィ特性を更に改良するために、イメージングデバイス、例えばKrF(248nm)又はArF(193nm)光源を有するスキャナーのレンズの開口数(NA)を効果的に増加させる液浸リソグラフィツールが開発されている。これは、画像形成デバイスの最終面と、半導体ウェハーの上面との間に比較的高い屈折率の流体、典型的には水を使用することによって達成される。ArF液浸ツールは、多重(二重又はより高次の)パターン形成を使用することで、現在、16nmノード及び14nmノードまでリソグラフィの限界を押し上げている。しかしながら、単一ステップの直接画像化するパターン形成と比較して、多重パターン形成の使用は、材料の使用が増加し、多くの処理ステップが必要となるため、一般的にコストが高い。これにより、極端紫外線(EUV)リソグラフィ及び電子ビームリソグラフィ等の次世代の技術の開発の動機が提供される。しかしながら、リソグラフィの解像度が一層高くなるにつれて、高忠実度のパターンを形成する際におけるフォトレジストパターンの線幅粗さ(LWR)及び限界寸法均一性(CDU)の重要性が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第8,431,325号明細書
【文献】米国特許第4,189,323号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レジスト技術が進化しているにも関わらず、従来技術に関連する1つ以上の課題に対処するフォトレジスト組成物に対する必要性が依然として存在する。特に、より高いコントラスト、ライン/スペースパターンについての低い線幅粗さ(LWR)及び/又はコンタクトホールについての低い限界寸法均一性(CDU)を達成できるフォトレジスト組成物を含む、良好な感度を有するフォトレジスト組成物が継続的に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1のポリマーであって、ヒドロキシアリール基を含む第1の繰り返し単位と、第1の酸不安定基を含む第2の繰り返し単位と、第1の塩基可溶性基を含む第3の繰り返し単位であって、第1の塩基可溶性基は、12以下のpKaを有し、第1の塩基可溶性基は、ヒドロキシアリール基を含まない、第3の繰り返し単位とを含み、第1のポリマーの第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位及び第3の繰り返し単位は、互いに構造的に異なり、第1のポリマーは、ラクトン基を含まない、第1のポリマーと、第2のポリマーであって、第2の酸不安定基を含む第1の繰り返し単位と、ラクトン基を含む第2の繰り返し単位と、12以下のpKaを有する第2の塩基可溶性基を含む第3の繰り返し単位とを含み、第2のポリマーの第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位及び第3の繰り返し単位は、互いに構造的に異なる、第2のポリマーと、溶媒とを含むフォトレジスト組成物であって、第1のポリマーと第2のポリマーとは、が互いに異なる、フォトレジスト組成物が提供される。
【0008】
パターンを形成する方法であって、(a)フォトレジスト組成物から基板上にフォトレジストの層を形成することと、(b)フォトレジスト層を活性化放射にパターン様露光することと、(c)露光されたフォトレジスト層を現像してレジストレリーフ像を提供することとを含む方法も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、例示的な実施形態が詳細に言及され、それらの例が本記載で例示される。これに関連して、本例示的な実施形態は、異なる形態を有し得、本明細書に明記される記載に限定されると解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施形態は、本記載の態様を説明するために、図に言及することによって以下に記載されるにすぎない。本明細書で用いる場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意の及び全ての組み合わせを包含する。「~の少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストに先立つ場合、要素の全リストを修飾し、リストの個々の要素を修飾しない。
【0010】
本明細書で用いる場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、量の制限を意味せず、本明細書で特に示さないか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。量に関連して用いられる修飾語句「約」は、表明値を含み、前後関係(例えば、特定の量の測定と関連したエラーの度合いを含む)によって決定される意味を有する。本明細書で開示される全ての範囲は、終点を含み、終点は、独立して、互いに合体できる。接尾辞「(s)」は、それが修飾する用語の単数形及び複数形の両方を含み、それによりその用語の少なくとも1つを含むことを意図する。「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、その後に記載される事象又は状況が起こり得るか又は起こり得ないことと、その記載は、事象が起こる場合及び事象が起こらない場合を含むこととを意味する。用語「第1」、「第2」等は、本明細書では、順番、量又は重要性を意味せず、むしろ1つの要素を別の要素から区別するために用いられる。要素が別の要素「上」にあると言われる場合、それは、他の要素と直接に接触し得るか、又は介在要素がそれらの間に存在し得る。対照的に、要素が別の要素の「直接上に」あると言われる場合、介在要素は、存在しない。態様の記載される成分、要素、限定及び/又は特徴は、様々な態様において任意の適切な方法で組み合わされ得ることが理解されるべきである。
【0011】
別に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞書において定義されるものなどの用語は、関連する技術分野及び本開示との関連でそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義しない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味で解釈されないことが更に理解されるであろう。
【0012】
本開示において、「化学線」又は「放射」は、例えば、水銀ランプの輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子ビーム及びイオンビームなどの粒子線等を意味する。更に、本発明において、「光」は、化学線又は放射を意味する。フッ化クリプトンレーザー(KrFレーザー)は、特定のタイプのエキシマレーザーであり、エキシプレックスレーザーと呼ばれる場合がある。「エキシマ」は、「励起二量体」の略であり、「エキシプレックス」は、「励起錯合体」の略である。エキシマレーザーは、希ガス(アルゴン、クリプトン又はキセノン)とハロゲンガス(フッ素又は塩素)との混合物を使用し、電気刺激及び高圧の適切な条件下において、干渉性の刺激放射(レーザー光)を紫外範囲で放出する。更に、本明細書における「露光」には、特に明記しない限り、水銀ランプ、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、極紫外線(EUV光)等による露光のみならず、電子ビーム及びイオンビームなどの粒子線による書き込みも含まれる。
【0013】
本明細書で用いる場合、用語「炭化水素」は、少なくとも1個の炭素原子と少なくとも1個の水素原子とを有する有機化合物を指し;「アルキル」は、明記された数の炭素原子を有し、且つ1の価数を有する直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素基を指し;「アルキレン」は、2の価数を有するアルキル基を指し;「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1個のヒドロキシル基(-OH)で置換されたアルキル基を指し;「アルコキシ」は、「アルキル-O-」を指し;「カルボキシル」及び「カルボン酸基」は、式「-C(=O)-OH」を有する基を指し;「シクロアルキル」は、全ての環員が炭素である1つ以上の飽和環を有する一価基を指し;「シクロアルキレン」は、2の価数を有するシクロアルキル基を指し;「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を指し;「アルケノキシ」は、「アルケニル-O-」を指し;「アルケニレン」は、2の価数を有するアルケニル基を指し;「シクロアルケニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する、少なくとも3個の炭素原子を有する非芳香族環状二価炭化水素基を指し;「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有する一価炭化水素基を指し;用語「芳香族基」は、Huckel則(4n+2π個の電子)を満たし、環中に炭素原子を含む単環式又は多環式の芳香環系を指し;用語「ヘテロ芳香族基」は、環中の炭素原子の代わりに、N、O及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子(例えば、1~4個のヘテロ原子)を含む芳香族基を指し;「アリール」は、全ての環員が炭素である一価の単環式又は多環式芳香環系を指し、少なくとも1つのシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に縮合した芳香環を有する基を含み得;「アリーレン」は、2の価数を有するアリール基を指し;「アルキルアリール」は、アルキル基で置換されているアリール基を指し;「アリールアルキル」は、アリール基で置換されているアルキル基を指し;「アリールオキシ」は、「アリール-O-」を指し;「アリールチオ」は、「アリール-S-」を指す。
【0014】
接頭辞「ヘテロ」は、化合物又は基が、炭素原子の代わりに、ヘテロ原子(例えば1、2、3又は4個又はそれを超えるヘテロ原子)である少なくとも1つの環員を含むことを意味し、ここで、ヘテロ原子は、それぞれ独立して、N、O、S、Si又はPであり;「ヘテロ原子含有基」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基を指し;「ヘテロアルキル」は、炭素の代わりに少なくとも1つのヘテロ原子を有するアルキル基を指し;「ヘテロシクロアルキル」は、炭素の代わりに環員として1~4個のヘテロ原子を有するシクロアルキル基を指し;「ヘテロシクロアルキレン」は、二価のヘテロシクロアルキル基を指し;「ヘテロアリール」は、N、O、S、Si又はPからそれぞれ独立して選択される1~4個のヘテロ原子(単環式の場合)、1~6個のヘテロ原子(二環式の場合)又は1~9個のヘテロ原子(三環式の場合)を有する、芳香族4~8員単環系、8~12員二環系又は11~14員三環系を指す(例えば、単環式、二環式又は三環式の場合、それぞれ炭素原子及び1~3個、1~6個又は1~9個のN、O又はSであるヘテロ原子)。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリル(フリル又はフラニル)、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニル又はチエニル、キノリニル、インドリル、チアゾリルなどが挙げられ;「ヘテロアリーレン」は、二価のヘテロアリール基を指す。
【0015】
用語「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)又はヨウ素(ヨード)である一価置換基を意味する。接頭辞「ハロ」は、水素原子の代わりにフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード置換基の1つ以上を含む基を意味する。ハロ基の組み合わせ(例えば、ブロモ及びフルオロ)又はフルオロ基のみが存在し得る。例えば、「ハロアルキル」という用語は、1つ以上のハロゲンによって置換されたアルキル基を指す。本明細書で使用される場合、「置換Cハロアルキル」は、少なくとも1つのハロゲンによって置換されたCアルキル基を指し、ハロゲン以外の1つ以上の他の置換基によって更に置換される。ハロゲン原子は、炭素原子を置換しないため、ハロゲン原子による基の置換は、ヘテロ原子含有基とは考えられないことが理解されるべきである。
【0016】
「フッ素化」という用語は、ハロゲンの代わりに基中に組み込まれた1個以上のフッ素原子を有することを意味する。例えば、C1~18フルオロアルキル基が示されている場合、そのフルオロアルキル基は、1つ以上のフッ素原子、例えば単一のフッ素原子、2つのフッ素原子(例えば、1,1-ジフルオロエチル基等)、3つのフッ素原子(例えば、2,2,2-トリフルオロエチル基等)又は炭素の各原子価におけるフッ素原子(例えば、-CF、-C、-C又は-C等のパーフルオロ基として)を含み得る。「置換フルオロアルキル基」は、フッ素原子を含まない少なくとも1つの追加の置換基によって更に置換されたフルオロアルキル基を意味すると理解されるものとする。
【0017】
本明細書で用いる場合、「ヒドロキシアリール基」及び「ヒドロキシで置換されたアリール基」は、ヒドロキシ基が芳香族環の炭素に直接結合したアリール基を意味する。「ヒドロキシ」は、基中に組み込まれた1つ以上のヒドロキシ基を有することを意味すると理解されるものとする。例えば、C6~12ヒドロキシ-アリール基が示されている場合、そのヒドロキシ-アリール基は、1つ以上のヒドロキシ基、例えば単一のヒドロキシ基、2つのヒドロキシ基、3つ以上のヒドロキシ基等を含み得る。「置換ヒドロキシ-アリール基」は、更に別の置換基によって置換されたヒドロキシ-アリール基を意味すると理解されるものとする。
【0018】
明白に別に提示されない限り、上記の置換基のそれぞれは、任意選択的に置換され得る。「任意選択的に置換される」という用語は、置換又は無置換であることを指す。「置換された」は、化学構造又は基の少なくとも1つの水素原子が、指定された原子の通常の価数を超えないことを条件として、典型的には一価である別の末端置換基で置き換えられていることを意味する。置換基がオキソ(すなわち=O)である場合、炭素原子上の2つのジェミナル水素原子が末端オキソ基で置き換えられている。オキソ基は、二重結合を介して炭素に結合してカルボニル(C=O)を形成し、カルボニル基は、本明細書では、-C(O)-として表されることに更に留意されたい。置換基又は変数の組み合わせが許容される。「置換」位置に存在し得る例示的な置換基としては、ニトロ(-NO)、シアノ(-CN)、ヒドロキシル(-OH)、オキソ(O)、アミノ(-NH)、モノ-又はジ-(C1~6)アルキルアミノ、アルカノイル(アシルなどのC2~6アルカノイル基など)、ホルミル(-C(O)H)、カルボン酸又はそのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;C2~6アルキルエステル(-C(O)O-アルキル又は-OC(O)-アルキル)、C7~13アリールエステル(-C(O)O-アリール又は-OC(O)-アリール)などのエステル(アクリレート、メタクリレート及びラクトンを含む);アミド(-C(O)NR、ここで、Rは、水素又はC1~6アルキルである)、カルボキサミド(-CHC(O)NR、ここで、Rは、水素又はC1~6アルキルである)、ハロゲン、チオール(-SH)、C1~6アルキルチオ(-S-アルキル)、チオシアノ(-SCN)、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~9アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C3~12シクロアルキル、C5~18シクロアルケニル、C2~18ヘテロシクロアルケニル、少なくとも1つの芳香環(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルなど、それぞれの環は、置換若しくは無置換芳香族)を有するC6~12アリール、1~3個の分離した環又は縮合環と6~18個の環炭素原子とを有するC7~19アリールアルキル、1~3個の分離した環又は縮合環と6~18個の環炭素原子とを有するアリールアルコキシ、C7~12アルキルアリール、C3~12ヘテロシクロアルキル、C3~12ヘテロアリール、C1~6アルキルスルホニル(-S(O)-アルキル)、C6~12アリールスルホニル、(-S(O)-アリール)又はトシル(CHSO-)が挙げられるが、これらに限定されない。基が置換されている場合、炭素原子の示されている数は、任意の置換基の炭素原子を除いた、基における炭素原子の総数である。例えば、基-CHCHCNは、シアノ基で置換されたCアルキル基である。
【0019】
本明細書において、別途定義されない限り、「二価連結基」は、-O-、-S-、-Te-、-Se-、-C(O)-、-N(R)-、C(O)N(R)-、-S(O)-、-S(O)-、-C(S)-、-C(Te)-、-C(Se)-、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせの1つ以上を含む二価の基を指し、各Rは、独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール又は置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールである。典型的には、二価連結基は、-O-、-S-、-C(O)-、-N(R’)-、-S(O)-、-S(O)-、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせの1つ以上を含み、R’は、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール又は置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールである。より典型的には、二価連結基は、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)O-、-N(R)-、-C(O)N(R’)-、置換若しくは無置換C1~10アルキレン、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~10アリーレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせの少なくとも1つを含み、Rは、水素、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~10アリール又は置換若しくは無置換C3~10ヘテロアリールである。
【0020】
本明細書で用いる場合、「酸不安定基」は、酸の触媒作用により、任意選択的に及び典型的には熱処理を伴って、結合が開裂し、カルボン酸基又はアルコール基などの極性基の形成をもたらす基を指し、ポリマー上に形成され、任意選択的に及び典型的には、開裂された結合に連結している部位は、ポリマーから切り離される。別の系では、非ポリマー系化合物は、酸の作用によって開裂され得る酸不安定基を含むことができ、非ポリマー系化合物の開裂した部分にカルボン酸基又はアルコール基などの極性基が形成される。そのような酸は、典型的には、露光後ベーク(PEB)中に結合開裂が起こる、光により生成する酸である。しかしながら、実施形態は、これに限定されず、例えば、そのような酸は、熱的に生成され得る。好適な酸不安定基には、例えば、三級アルキルエステル基、二級若しくは三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組み合わせを有する二級若しくは三級エステル基、三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基が含まれる。酸不安定基は、一般に、当技術分野において、「酸開裂可能基」、「酸開裂可能保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」、「酸分解可能基」及び「酸感受性基」とも言われる。
【0021】
用語「不飽和結合」は、二重結合又は三重結合を指す。「不飽和」又は「部分的に不飽和」という用語は、少なくとも1つの二重結合又は三重結合を含む部位を指す。「飽和」という用語は、二重結合又は三重結合を含まない部位、すなわち単結合のみを含む部位を指す。
【0022】
本明細書で使用される「(メタ)アクリル」という用語は、アクリル種及びメタクリル種(すなわちアクリルモノマー及びメタクリルモノマー)の両方を含み、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレート種及びメタクリレート種(すなわちアクリレートモノマー及びメタクリレートモノマー)の両方を含む。
【0023】
本発明は、第1のポリマーと、第2のポリマーと、溶媒とのブレンドを含有し、且つ任意選択的に追加の成分を含み得るフォトレジスト組成物に関する。第1のポリマーと第2のポリマーとは、互いに異なる。例えば、フォトレジスト組成物は、光酸発生剤(PAG)を更に含み得る。好適なPAGは、露光後ベーク(PEB)中、フォトレジスト組成物のポリマー上に存在する酸不安定基の開裂を引き起こす酸を生成することができる。本発明者らは、本発明の特定のフォトレジスト組成物を使用して、改善されたリソグラフィ特性、例えば改善されたコントラスト、LWR、CDU及び/又は優れた感度を有するフォトレジスト膜を作製できることを見出した。
【0024】
フォトレジスト組成物の第1のポリマーは、少なくとも3つの異なる繰り返し単位を含む。第1のポリマーは、ヒドロキシアリール基を含む第1の繰り返し単位と、第1の酸不安定基を含む第2の繰り返し単位と、第1の塩基可溶性基を含む第3の繰り返し単位とを含む。第1のポリマーの第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位及び第3の繰り返し単位は、互いに構造的に異なることが理解されるべきである。第1のポリマーは、ラクトン基を含まない(すなわち第1のポリマーはラクトンを含まない)。
【0025】
第1の塩基可溶性基は、12以下のpKaを有する。更に、第1の塩基可溶性基は、ヒドロキシアリール基を含まない(例えば、ヒドロキシアリール基ではない)。好ましくは、第1の塩基可溶性基は、2~12、より好ましくは3~9、最も好ましくは4~8のpKaを有する。pKaは、典型的には、25℃の水溶液中で測定され、且つ実験的に、例えばSirius Analytical Instruments Ltd.,から入手可能な電位差測定pHメーターを使用するなどの電位差滴定によって測定され得るか、又は例えばAdvanced Chemistry Development(ACD)Labs Software Version 11.02を使用することによって計算され得る。比較的高いpKaを有する官能基(例えば、-C(CFOH基)の酸価を測定する場合、有機溶媒等の非水性滴定剤又は有機溶媒の混合物を使用し得る。
【0026】
第1のポリマーの第1の繰り返し単位は、ヒドロキシアリール基を含む。第1のポリマーの第1の繰り返し単位は、式(1):
【化1】

のモノマーから誘導され得る。
【0027】
式(1)において、Rは、水素、ハロゲン又は置換若しくは無置換C1~10アルキルである。好ましくは、Rは、水素又は置換若しくは無置換C1~5アルキル、典型的にはメチルである。
【0028】
式(1)において、Rは、水素、Lと共に環を形成するC(O)-又はArと共に環を形成する単結合である。好ましくは、Rは、水素である。
【0029】
式(1)において、Lは、-O-、-C(O)-又は-C(O)-O-であり、a2は、0又は1である。a2が0である場合、基Lは、存在しないため、Lは、アルケニル(ビニル)炭素原子に直接結合していることが理解されるべきである。
【0030】
式(1)において、Lは、単結合又は1つ以上の二価連結基である。例えば、Lは、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR1a-又は-N(R1b)-の1つ以上を含む二価連結基であり得、R1a及びR1bは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル又はRと共に環を形成する単結合である。
【0031】
a2が0でありLが単結合である場合、Arは、アルケニル(ビニル)炭素原子に直接結合していることが理解されるべきである。
【0032】
式(1)において、Arは、ヒドロキシ置換C6~60アリール基、ヒドロキシ置換C5~60ヘテロアリール基又はこれらの組み合わせである。ヒドロキシ置換6~60アリール基及びヒドロキシ置換C5~60ヘテロアリール基のそれぞれは、任意選択的に、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキル、-OR1c又は-NR1d1eの1つ以上で更に置換され得、R1c~R1eは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキルである。Arは、単一のヒドロキシル基又は複数のヒドロキシル基を含むことが望ましい場合がある(例えば、Arは、それぞれ独立して、任意選択的にヒドロキシル基で更に置換され得、ヒドロキシ置換C6~60アリール基、ヒドロキシ置換C5~60ヘテロアリール基又はその組み合わせであり得る)。
【0033】
式(1)のモノマーの非限定的な例は、
【化2】

(式中、Rは、式(1)において定義された通りである)
を含む。
【0034】
第1の繰り返し単位は、第1のポリマー中の総繰り返し単位を基準として10~70モルパーセント(モル%)、典型的には15~60モル%、より典型的には20~50モル%の量で典型的には第1のポリマー中に存在する。
【0035】
第1のポリマーの第2の繰り返し単位は、第1の酸不安定基を含み、式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)又は(2e):
【化3】

の1つ以上によって表されるモノマーから誘導され得る。
【0036】
式(2a)、(2b)及び(2c)において、各Rは、独立して、水素、ハロゲン又は置換若しくは無置換C1~10アルキルである。好ましくは、各Rは、独立して、水素又は置換若しくは無置換C1~5アルキル、典型的にはメチルである。
【0037】
式(2a)において、Lは、1つ以上の二価連結基である。例えば、Lは、1~10個の炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子を含み得る。典型的な例では、Lは、-OCH-、-OCHCHO-又は-N(R2a)-であり得、R2aは、水素又はC1~6アルキルである。
【0038】
式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)及び(2e)において、R~R、R~R、R、R10、R12~R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~20アリール又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールであるが、R~Rの1つ以下が水素であり得、R~Rの1つ以下が水素であり得、R12~R14の1つ以下が水素であり得る。R~Rの1つが水素である場合、R~Rの他の少なくとも1つは、置換若しくは無置換C6~20アリール又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールであり;R~Rの1つが水素である場合、R~Rの他の少なくとも1つは、置換若しくは無置換C6~20アリール又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールであり;R12~R14の1つが水素である場合、R12~R14の他の少なくとも1つは、置換若しくは無置換C6~20アリール又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールである。好ましくは、R~R、R~R、R、R10、R12~R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~6アルキル又は置換若しくは無置換C3~10シクロアルキルである。
【0039】
~R、R、R、R10、R1214、R15及びR16のそれぞれは、任意選択的に、それらの構造の一部として1つ以上の二価連結基を更に含み得、それぞれの1つ以上の二価連結基は、置換又は無置換である。例えば、R~R、R~R、R、R10、R12~R14、R15及びR16のいずれか1つ以上は、独立して、式-CHC(O)CH(3-n)又は-CHC(O)OCH(3-n)の基であり得、各Yは、独立して、置換又は無置換C3~10ヘテロシクロアルキルであり、nは、1又は2である。例えば、各Yは、独立して、式-O(Ca1)(Ca2)O-の基を含む置換又は無置換C3~10ヘテロシクロアルキルであり得、Ca1及びCa2は、それぞれ独立して、水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、Ca1及びCa2は、任意選択的に、一緒に環を形成し得る。
【0040】
式(2c)及び(2e)において、R11及びR17は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキルである。
【0041】
式(2d)及び(2e)において、X及びXは、それぞれ独立して、エチレン性不飽和二重結合を含む重合性基、好ましくは(メタ)アクリレート又はCアルケニルである。
【0042】
式(2d)及び(2e)において、a3及びa4は、それぞれ独立して、0又は1である。
【0043】
式(2d)及び(2e)において、L及びLは、それぞれ独立して、単結合又は1つ以上の二価連結基であるが、XがCアルケニルである場合、Lは、単結合ではなく、XがCアルケニルである場合、Lは、単結合ではないことを条件とする。好ましくは、L及びLは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C6~30アリーレン又は置換若しくは無置換C6~30シクロアルキレンである。
【0044】
式(2a)において、Rのいずれか2つは、任意選択的に、一緒に環を形成し、この環は、任意選択的に、その構造の一部として1つ以上の二価連結基を更に含み得、それぞれの1つ以上の二価連結基は、置換又は無置換であり、環は、置換又は無置換である。
【0045】
式(2b)において、R~Rのいずれか2つは、任意選択的に、一緒に環を形成し、この環は、任意選択的に、その構造の一部として1つ以上の二価連結基を更に含み得、それぞれの1つ以上の二価連結基は、置換又は無置換であり、環は、置換又は無置換である。
【0046】
式(2c)において、R~R11のいずれか2つは、任意選択的に、一緒に環を形成し、この環は、任意選択的に、その構造の一部として1つ以上の二価連結基を更に含み得、それぞれの1つ以上の二価連結基は、置換又は無置換であり、環は、置換又は無置換である。
【0047】
式(2d)において、R12~R14のいずれか2つは、任意選択的に、一緒に環を形成し、この環は、任意選択的に、その構造の一部として1つ以上の二価連結基を更に含み得、それぞれの1つ以上の二価連結基は、置換又は無置換であり、環は、置換又は無置換である。
【0048】
式(2e)において、R15~R17のいずれか2つは、任意選択的に、一緒に環を形成し、この環は、任意選択的に、その構造の一部として1つ以上の二価連結基を更に含み得、それぞれの1つ以上の二価連結基は、置換又は無置換であり、環は、置換又は無置換である。
【0049】
いくつかの態様では、酸不安定基を含む繰り返し単位において、酸不安定基は、三級アルキルエステルであり得る。例えば、三級アルキルエステル基を含む繰り返し単位は、式(2a)、(2b)又は(2d)の1種以上のモノマーから誘導することができ、R~R又はR12~R14のいずれも水素ではなく、a3は、1である。1つ以上実施形態では、第1の酸不安定基及び第2の酸不安定基は、それぞれ独立して、三級エステル基から選択される。換言すると、いくつかの実施形態では、第1の酸不安定基及び第2の酸不安定基のそれぞれは、三級アルキルエステル基であり得、三級アルキルエステル基は、同じであるか又は異なる。
【0050】
例示的な式(2a)のモノマーは、以下:
【化4】

(式中、Rは、式(2a)に関して定義された通りである)
の1つ以上を含む。
【0051】
例示的な式(2b)のモノマーは、以下:
【化5】

【化6】

(式中、Rは、式(2b)において定義された通りであり、R及びR’’は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~20アリール又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールである)
の1つ以上を含む。
【0052】
例示的な式(2c)のモノマーは、以下:
【化7】

(式中、Rは、式(2c)に関して定義された通りである)
の1つ以上を含む。
【0053】
例示的な式(2d)のモノマーは、以下:
【化8】

(式中、Rは、式(2d)に関して定義された通りである)
の1つ以上を含む。
【0054】
例示的な式(2e)のモノマーは、以下:
【化9】

(式中、Rは、式(2e)に関して定義された通りである)
の1つ以上を含む。
【0055】
いくつかの態様では、第1の酸に不安定な繰り返し単位は、環状アセタール又は環状ケタール基、例えば以下の構造:
【化10】

(式中、Rは、式(2a)に関して定義された通りである)
の1つ以上を有する1種以上のモノマーから誘導され得る。
【0056】
いくつかの態様では、第1のポリマーの第2の繰り返し単位は、三級アルコキシ基を含む酸不安定基を有する繰り返し単位、例えば以下:
【化11】

(式中、Rは、式(2a)に関して定義された通りである)
の1つ以上のモノマーであり得る。
【0057】
第1のポリマーの第2の繰り返し単位は、典型的には、第1のポリマーにおける繰り返し単位の合計を基準として30~75モル%、より典型的には30~70モル%、更により典型的には35~60モル%の量で存在する。
【0058】
第1のポリマーの第3の繰り返し単位は、第1の塩基可溶性基を含み、第1の塩基可溶性基は、12以下のpKaを有し、第1の塩基可溶性基は、ヒドロキシアリール基を含まない。例えば、第1の塩基可溶性基は、フルオロアルコール基(例えば、-C(CFOH)、カルボン酸基(例えば、-C(O)OH)、カルボキシイミド基(例えば。-(O)C-NH-C(O)-Y、ここで、Yは、二価連結基又は末端置換基である)、スルホンアミド基(例えば、-S(O)NH-Y、ここで、Yは、二価連結基又は末端置換基である)又はスルホンイミド基(例えば、-S(O)-NH-S(O)-Y、ここで、Yは、二価連結基又は末端置換基である)を含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、第1のポリマーの第3の繰り返し単位は、式(3):
【化12】

のフルオロアルコール基を含むモノマーから誘導され得る。
【0060】
式(3)において、Rは、水素、ハロゲン又は置換若しくは無置換C1~10アルキルであり得る。好ましくは、Rは、水素又は置換若しくは無置換C1~5アルキル、典型的にはメチルであり得る。
【0061】
式(3)において、Lは、-O-、-C(O)-、-C(O)O-又は-C(O)NR-であり得、Rは、水素又は置換若しくは無置換C1~5アルキル基であり、a1は、0又は1である。a1が0である場合、Lは、単結合(又は存在しない)とみなされ、基Lは、アルケニル(ビニル)炭素原子に直接結合していると理解されるべきである。
【0062】
式(3)において、Lは、単結合であるか、又は例えば置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、置換若しくは無置換二価C3~30ヘテロアリールアルキレン、-O-、-C(O)-又は-C(O)O-の1つ以上から選択される多価連結基である。
【0063】
式(3)において、n1は、1~5の整数であり、典型的には、n1は、1又は2である。n1が1である場合、基Lは、1つ以上の二価連結基であることが理解されるべきである。n1が2である場合、基Lは、三価連結基であることが理解されるべきである。同様に、n1が3である場合、基Lは、四価連結基であり、n1が4である場合、基Lは、五価連結基であり、n1が5である場合、基Lは、六価連結基であることが理解されるべきである。
【0064】
式(3)において、各Rは、置換又は無置換C1~12パーフルオロアルキル基である。「置換C1~12パーフルオロアルキル」は、少なくとも1個のフッ素原子が、フッ素ではない別の末端置換基で置換されているパーフルオロアルキル基を指すことが理解されるべきである。好ましくは、Rは、-CF、-C、-C又は-Cであり得る。
【0065】
式(3)において、各Rは、置換若しくは無置換C1~12アルキル、置換若しくは無置換C3~12シクロアルキル又は置換若しくは無置換C1~12ヘテロシクロアルキルであり、Rは、任意選択的に、1つ以上のフッ素原子を含む。典型的には、Rは、-CF、-C、-C又は-Cであり得る。いくつかの態様では、R及びRは、同じである。別の態様では、Rは、Rと異なる置換又は無置換C1~12パーフルオロアルキル基である。
【0066】
例示的な式(3)のモノマーは、以下:
【化13】

(式中、Rは、式(3)について定義された通りである)
の1つ以上を含み得る。
【0067】
第1のポリマーの第3の繰り返し単位は、典型的には、第1のポリマー中の繰り返し単位の合計を基準として1~25モル%、より典型的には5~20モル%、更に典型的には5~15モル%の量で存在する。
【0068】
本発明の非限定的な例示的な第1のポリマーは、以下:
【化14】

(式中、a、b及びcは、それぞれ各繰り返し単位の相対的なモル量を示す)
の1つ以上を含む。
【0069】
第1のポリマーは、典型的には、1,000~50,000ダルトン(Da)、好ましくは2,000~30,000Da、より好ましくは3,000~20,000Da、更に好ましくは4,000~15,000Daの重量平均分子量(M)を有する。Mの、数平均分子量(M)に対する比である第1のポリマーの多分散度(PDI)は、典型的には、1.1~3、より典型的には1.1~2である。分子量値は、ポリスチレン標準を使用するゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定する。
【0070】
フォトレジスト組成物の第2のポリマーは、少なくとも3種の異なる繰り返し単位を含む。第2のポリマーは、第2の酸不安定基を含む第1の繰り返し単位、ラクトン基を含む第2の繰り返し単位及び第2の塩基可溶性基を含む第3の繰り返し単位を含み、第2の塩基可溶性基は、12以下のpKaを有する。
【0071】
第2のポリマーの第1繰り返し単位は、酸不安定基を含み、これは、本明細書では「第2の酸不安定基」と呼ばれ、第1のポリマーの酸不安定基と区別される。第2のポリマーには、「第1の」酸不安定基が存在しないことが理解されるべきである。第2の酸不安定基は、式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)又は(2e)の1つ以上によって表されるモノマーから誘導することができるか、或いは環状アセタール若しくは環状ケタール基を有する1種以上のモノマー又は第1のポリマー中の第1の酸不安定性基について記載の三級アルコキシ基を有する1種以上のモノマーから誘導することができる。いくつかの態様では、第1の酸不安定基と第2の酸不安定基とは、同じ酸不安定基であり得る。別の態様では、第1の酸不安定基と第2の酸不安定基とは、異なる酸不安定基であり得る。
【0072】
1つ以上の実施形態では、第2の酸不安定基は、三級アルキルエステルであり得る。例えば、第2のポリマーの第1の繰り返し単位は、式(2a)、(2b)又は(2d)の1種以上のモノマーから誘導される三級アルキルエステル基を含む繰り返し単位を含み得、R~R又はR12~R14のいずれも水素ではなく、a3は、1である。1つ以上実施形態では、第1の酸不安定基及び第2の酸不安定基は、それぞれ独立して、三級エステル基から選択される。換言すると、いくつかの実施形態では、第1の酸不安定基及び第2の酸不安定基のそれぞれは、三級アルキルエステル基であり得、三級アルキルエステル基は、同じであるか又は異なる。
【0073】
第2のポリマーの第1の繰り返し単位は、典型的には、第2のポリマー中の繰り返し単位の合計を基準として30~65モル%、より典型的には30~60モル%、更に典型的には35~55モル%の量で存在する。
【0074】
第2のポリマーの第2繰り返し単位は、ラクトン基を含む。第2のポリマーのラクトン基は、第2のポリマーの主鎖へのペンダント基であり得るか、又は第2の繰り返し単位中のラクトン環の炭素原子は、第2のポリマーの主鎖の一部を形成し得(すなわち、第2の繰り返し単位のラクトン環は、第2のポリマーの主鎖と三級炭素原子を共有し、その結果、ラクトン環は、第2のポリマーの主鎖に直接組み込まれる)ことが理解されるべきである。
【0075】
いくつかの実施形態では、第2のポリマーの第2の繰り返し単位は、式(4a)又は(4b):
【化15】

の1種以上のモノマーから誘導され得る。
【0076】
式(4a)において、Rは、水素、ハロゲン又は置換若しくは無置換C1~10アルキルである。好ましくは、Rは、水素又は置換若しくは無置換C1~5アルキル、典型的にはメチルであり得る。
【0077】
式(4a)において、Lは、単結合又は1つ以上の二価連結基である。Lの例示的な二価連結基としては、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリーレン、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-N(R9a)-又は-C(O)N(R9b)-の1つ以上が挙げられ、R9a及びR9bは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキルであり得る。
【0078】
が単結合である場合、部位-R18は、カルボニル基に隣接している酸素原子に直接結合している(すなわち-C(O)O-R18)ことが理解されるべきである。
【0079】
式(4a)において、R18は、置換又は無置換C4~20ラクトン含有基である。C4~20ラクトン含有基は、単環式、多環式又は縮合多環式であり得る。
【0080】
式(4b)において、各R21は、独立して、ハロゲン、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C4~30アルキルヘテロアリールであり、各R21は、任意選択的に、その構造の一部として二価連結基を更に含む。好ましくは、各R21は、独立して、ハロゲン、置換若しくは無置換C1~8アルキル、置換若しくは無置換C3~15シクロアルキル又は置換若しくは無置換C3~15ヘテロシクロアルキル、典型的には置換又は無置換C1~3アルキルである。
【0081】
式(4b)において、R22及びR23は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C4~30アルキルヘテロアリールであり、R22及びR23の各々は、独立して、任意選択的に、その構造の一部として二価連結基を更に含む。好ましくは、R22及びR23は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換C1~8アルキル、置換若しくは無置換C3~15シクロアルキル又は置換若しくは無置換C3~15ヘテロシクロアルキル、典型的には水素である。
【0082】
式(4b)において、R21、R22及びR23のいずれか2つ以上は、任意選択的に、単結合又は二価連結基を介して環を一緒に形成し得る。
【0083】
式(4b)において、m1は、1又は2であり、n1は、1~6の整数である。m1が1である場合、n1は、1~4の整数であり、m1が2である場合、n1は、1~6の整数であると理解されるべきである。好ましくは、n1は、1~4の整数、典型的には1又は2である。
【0084】
式(4b)のモノマーの非限定的な例は、式(4c)、(4d)及び(4e):
【化16】

(式中、mは、1又は2であり;各R1aは、独立して、水素又は無置換C1~2アルキルであるが、少なくとも1つのR1aが無置換C1~2アルキル、典型的には少なくとも1つのR1aがメチルである(例えば、mが2である場合、炭素-炭素二重結合に隣接する最初のR1a基は、メチル基であり得、2番目のR1a基は、水素であり得、R1bは、無置換C1~2アルキル、典型的にはメチルである)ことを条件とし;R1bは、無置換C1~2アルキル、典型的にはメチルである)
のモノマーを含む。
【0085】
例示的な式(4a)のモノマーは、以下:
【化17】

(式中、Rは、式(4a)のRに関して定義された通りである)
の1つ以上を含み得る。
【0086】
第2のポリマーは、典型的には、第2のポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準として15~65モル%、典型的には15~60モル%、より典型的には15~55モル%の量で第2の繰り返し単位を含む。
【0087】
第2のポリマーの第3の繰り返し単位は、12以下のpKaを有する塩基可溶性基を含み、これは、本明細書では「第2の塩基可溶性基」と呼ばれ、第1のポリマーの第1の塩基可溶性基と区別される。第2のポリマーには、「第1の」塩基可溶性基が存在しないことが理解されるべきである。第2のポリマーの第2の塩基可溶性基は、いくつかの実施形態では、第1のポリマーの第1の塩基可溶性基と異なり、ヒドロキシアリール基を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の塩基可溶性基は、フルオロアルコール基、カルボン酸基、スルホンイミド基、スルホンアミド基又はカルボキシイミド基を含む。
【0088】
例えば、第2のポリマーの第3の繰り返し単位は、式(5a)、(5b)、(5b)、(5c)又は(5d):
【化18】

の1種以上のモノマーから誘導され得る。
【0089】
式(5a)、(5b)、(5c)及び(5d)、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン又は置換若しくは無置換C1~10アルキルである。好ましくは、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素又は置換若しくは無置換C1~5アルキル、典型的にはメチルである。
【0090】
式(5a)において、R24は、置換若しくは無置換C1~100若しくはC1~20アルキル、典型的にはC1~12アルキル;置換若しくは無置換C3~30若しくはC3~20シクロアルキル;又は置換若しくは無置換ポリ(C1~3アルキレンオキシド)であり得る。好ましくは、置換C1~100又はC1~20アルキル、置換C3~30又はC3~20シクロアルキル及び置換ポリ(C1~3アルキレンオキシド)は、ハロゲン、フルオロアルコール基(例えば、-C(CFOH)、カルボン酸基(例えば、-C(O)OH)、カルボキシイミド基(例えば、-(O)C-NH-C(O)-Y、ここで、Yは、二価連結基又は末端置換基である)、スルホンアミド基(例えば、-S(O)NH-Y、ここで、Yは、二価連結基又は末端置換基である)又はスルホンイミド基(例えば、-S(O)-NH-S(O)-Y、ここで、Yは、二価連結基又は末端置換基である)の1つ以上で置換されている。
【0091】
式(5b)及び(5c)において、L11及びL12は、それぞれ独立して、単結合を表すか、又は例えば任意選択的に-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-NR5a-又は-C(O)N(R5b)-から選択される1つ以上の連結部位を有する、任意選択的に置換されている脂肪族(C1~6アルキレン又はC3~20シクロアルキレンなど)及び芳香族の炭化水素並びにそれらの組み合わせから選択される多価連結基を表し、R5a及びR5bは、それぞれ独立して、水素及び任意選択的に置換されているC1~10アルキルから選択される。例えば、第2のポリマーは、式(5b)及び/又は(5c)の1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位を含むことができ、L11及び/又はL12は、それぞれ独立して、単結合であるか、置換若しくは無置換C1~20アルキレン、典型的にはC1~6アルキレン;置換若しくは無置換C3~20シクロアルキレン、典型的にはC3~10シクロアルキレン;及び置換若しくは無置換C6~24アリーレンから選択される多価連結基である。
【0092】
式(5b)及び(5c)において、a7及びa8は、それぞれ独立して、1~5の整数、典型的には1である。a7が1である場合、基L11は、二価連結基であり;a7が2である場合、基L11は、三価連結基であり;a7が3である場合、基L11は、四価連結基であり;a7が4である場合、基L11は、五価連結基であり;a7が5である場合、基11は、六価連結基であることが理解されるべきである。同様に、a8が1である場合、基L12は、二価連結基であり;a8が2である場合、基L12は、三価連結基であり;a8が3である場合、基L12は、四価連結基であり;a8が4である場合、基L12は、五価連結基であり;a8が5である場合、基L12は、六価連結基である。したがって、式(5b)及び(5c)との関係において、「多価連結基」という用語は、二価、三価、四価、五価及び/又は六価連結基のいずれかを指し得る。
【0093】
いくつかの態様では、a7が2以上である場合、カルボン酸基(-C(O)OH)は、連結基L11の同じ原子に結合し得る。別の態様では、a7が2以上である場合、カルボン酸基(-C(O)OH)は、連結基L11の異なる原子に結合し得る。いくつかの態様では、a8が2以上である場合、イミド基(-C(O)NHC(O)R25)は、連結基L12の同じ原子に結合し得る。別の態様では、a8が2以上である場合、イミド基(C(O)NHC(O)R25)は、連結基L12の異なる原子に結合し得る。
【0094】
式(5c)において、各R25は、独立して、水素又はメチルであり得る。
【0095】
式(5d)において、L13は、単結合又は二価連結基を表す。好ましくは、L13は、単結合、置換若しくは無置換C6~30アリーレン又は置換若しくは無置換C6~30シクロアルキレンである。
【0096】
式(5d)において、a9は、0又は1である。a9が0である場合、-OC(O)-によって表される部位は、単結合であり、その結果、L13は、アルケニル(ビニル)炭素原子に直接結合していることが理解されるべきである。
【0097】
式(5d)において、Arは、N、O、S又はそれらの組み合わせから選択される1つ以上の芳香族環ヘテロ原子を任意選択的に含む置換C5~60芳香族基であり、芳香族基は、単環式、非縮合多環式又は縮合多環式であり得る。C5~60芳香族基が多環式である場合、環又は環基は、縮合(ナフチルなど)、非縮合又はそれらの組み合わせであり得る。多環式C5~60芳香族基が非縮合である場合、環又は環基は、直接連結され得るか又はヘテロ原子によって架橋され得る。いくつかの態様では、多環式C5~60芳香族基は、縮合環と、直接結合した環との組み合わせを含み得る。
【0098】
式(5d)において、a10は、1~12、好ましくは1~6、典型的には1~3の整数であり得る。
【0099】
式(5a)、(5b)、(5c)及び/又は(5d)のモノマーの非限定的な例は、以下:
【化19】

【化20】

(式中、Rは、式(5b)に関して定義された通りである)
の1つ以上を含む。
【0100】
1つ以上の実施形態では、第2のポリマーの第3の繰り返し単位は、式(1)又は式(3)のモノマーから誘導され得る。
【0101】
いくつかの態様では、第2のポリマーの第3の繰り返し単位は、式(1)、式(3)、式(5a)、式(5b)、式(5c)又は式(5d)のモノマーから誘導され得る。好ましくは、第2のポリマーの第3の繰り返し単位は、式(1)又は式(3)のモノマーから誘導される。
【0102】
第2のポリマーは、典型的には、第2のポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準として5~70モル%、典型的には10~60モル%、より典型的には10~50モル%の量で第3の繰り返し単位を含む。典型的には、第3の繰り返し単位が式(1)のモノマーから誘導される場合、それは、第2のポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準として30~70モル%、典型的には35~60モル%、より典型的には40~60モル%の量で存在する。典型的には、第3の繰り返し単位が式(3)、式(5a)、式(5b)、式(5c)及び/又は式(5d)のモノマーから誘導される場合、それは、第2のポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準として5~50モル%、典型的には5~40モル%、より典型的には5~25モル%、又は5~20モル%、又は5~15モル%の量で存在し得る。
【0103】
本発明の非限定的な例示的な第2のポリマーは、以下:
【化21】

(式中、a、b及びcは、それぞれの各繰り返し単位の相対的なモル量を示す)
の1つ以上を含む。
【0104】
第2のポリマーは、典型的には、1,000~50,000Da、好ましくは2,000~30,000Da、より好ましくは3,000~25,000Da、更に好ましくは4,000~15,000DaのMを有する。第2のポリマーのPDIは、典型的には、1.1~3であり、より典型的には1.1~2である。分子量の値は、ポリスチレン標準を使用してGPCによって決定される。
【0105】
フォトレジスト組成物は、典型的には、第1のポリマー及び第2のポリマーを1:4~4:1、例えば1:4~4:1、又は1:3~3:1、又は1:2~2:1の重量比で含む。
【0106】
第1のポリマー及び第2のポリマーは、それぞれ1種以上追加の繰り返し単位を任意選択的に更に含み得る。追加の繰り返し構造単位は、例えば、エッチ速度及び溶解性など、フォトレジスト組成物の特性を調整する目的のための1つ以上の追加の単位であり得る。例示的な追加の単位は、(メタ)アクリレート、ビニル芳香族、ビニルエーテル、ビニルケトン及び/又はビニルエステルモノマーの1つ以上から誘導されるものを含み得る。1種以上の追加の繰り返し単位は、第1及び/又は第2のポリマー中に存在する場合、それぞれのポリマーの繰り返し単位の合計を基準として50モル%以下、典型的には3~50モル%の量で使用され得る。
【0107】
第1及び第2のポリマーは、当技術分野における任意の適切な方法を使用して調製することができる。例えば、本明細書で記載される繰り返し単位に対応する1種以上のモノマーは、適切な溶媒及び開始剤を使用して組み合わされるか又は別々に供給され、反応器中で重合され得る。例えば、ポリマーは、有効な温度での加熱、有効な波長での化学線照射又はそれらの組み合わせによるなど、任意の適切な条件下でのそれぞれのモノマーの重合によって得ることができる。
【0108】
いくつかの態様では、フォトレジスト組成物は、光酸発生剤(PAG)を更に含む。好適なPAGは、露光後ベーク(PEB)中、フォトレジスト組成物のポリマー上に存在する酸不安定基の開裂を引き起こす酸を生成することができる。PAGは、非ポリマー形態又はポリマー形態であり得、例えば上述した第1及び/又は第2のポリマーの重合した繰り返し単位中において又は別のポリマーの一部として存在し得る。いくつかの実施形態では、PAGは、非重合型PAG化合物、重合性PAGモノマーから誘導されるPAG部位を有するポリマーの繰り返し単位又はそれらの組み合わせとして組成物中に含まれ得る。
【0109】
適切な非ポリマー系PAG化合物は、式Gを有することができ、ここで、Gは、2つのアルキル基、2つのアリール基又はアルキル基とアリール基との組み合わせで置換されたヨードニウムカチオン;3つのアルキル基、3つのアリール基又はアルキル基とアリール基との組み合わせで置換されたスルホニウムカチオンから選択される有機カチオンであり、Aは、非重合性有機アニオンである。特に適切な非ポリマー系有機アニオンとしては、共役酸が-15~1のpKaを有するものが挙げられる。特に好ましいアニオンは、フッ素化アルキルスルホネート及びフッ素化スルホンイミドのアニオンである。
【0110】
有用な非ポリマー系PAG化合物は、化学増幅フォトレジストの技術分野で知られており、例えばオニウム塩、例えばトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;ジ-t-ブチルフェニルヨードニウムペルフルオロブタンスルホネート及びジ-t-ブチルフェニルヨードニウムカンファースルホネートが含まれる。非イオン性スルホネート及びスルホニル化合物も光酸発生剤として機能することが知られており、例えばニトロベンジル誘導体、例えば2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート;スルホン酸エステル、例えば1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えばビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えばビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム;N-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えばN-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びにハロゲン含有トリアジン化合物、例えば2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンである。好適な非重合型酸発生剤は、Hashimotoらの(特許文献1)、37列、11~47行及び41~91列に更に記載されている。他の適切なスルホネートPAGには、(特許文献2)及び(特許文献1)に記載されているようなスルホネート化エステル及びスルホニルオキシケトン、ニトロベンジルエステル、s-トリアジン誘導体、ベンゾイントシレート、t-ブチルフェニルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテート並びにt-ブチルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)アセテートが含まれる。
【0111】
典型的には、フォトレジスト組成物が非ポリマー系光酸発生剤を含む場合、それは、フォトレジストの総固形分を基準として0.1~65重量%、より典型的には1~20重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0112】
いくつかの実施形態では、Gは、式(6a)のスルホニウムカチオン又は式(6b)のヨードニウムカチオン:
【化22】

であり得る。
【0113】
式(6a)及び(6b)において、R30~R34は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C7~20アリールアルキル又は置換若しくは無置換C4~20ヘテロアリールアルキルである。各R30~R34は、独立しているか、又は単結合若しくは二価連結基を介して別の基R30~R34と連結して環を形成し得る。各R30~R34は、任意選択的に、その構造の一部として二価連結基を含み得る。各R30~R34は、独立して、例えば三級アルキルエステル基、二級若しくは三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組み合わせを有する二級若しくは三級エステル基、三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基から選択される酸不安定基を任意選択的に含み得る。
【0114】
式(6a)の例示的なスルホニウムカチオンは、以下:
【化23】

の1つ以上を含み得る。
【0115】
式(6b)の例示的なヨードニウムカチオンは、以下:
【化24】

の1つ以上を含み得る。
【0116】
オニウム塩であるPAGは、典型的には、スルホネート基又は非スルホネート基(スルホンアミデート、スルホンイミデート、メチド又はボレートなど)を有する有機アニオンを含む。
【0117】
スルホネート基を有する例示的な有機アニオンは、以下:
【化25】

の1つ以上を含む。
【0118】
例示的な非スルホネート化アニオンは、以下:
【化26】

の1つ以上を含む。
【0119】
フォトレジスト組成物は、任意選択的に、複数のPAGを含み得る。複数のPAGは、ポリマー系であるか、非ポリマー系であるか、又はポリマー系PAGと非ポリマー系PAGとの両方を含み得る。好ましくは、複数のPAGのそれぞれが非ポリマー系である。
【0120】
1つ以上の態様では、フォトレジスト組成物は、アニオンにスルホネート基を含む第1の光酸発生剤を含み得、フォトレジスト組成物は、非ポリマー系の第2の光酸発生剤を含み得、第2の光酸発生剤は、スルホネート基を含まないアニオンを含み得る。
【0121】
いくつかの態様では、ポリマーは、PAG含有部位を含む繰り返し単位、例えば式(7):
【化27】

の1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位を任意選択的に更に含み得る。
【0122】
式(7)において、Rは、水素、ハロゲン又は置換若しくは無置換C1~10アルキルであり得る。好ましくは、Rは、水素又は置換若しくは無置換C1~5アルキル、典型的にはメチルである。
【0123】
式(7)において、Qは、単結合又は二価連結基であり得る。好ましくは、Qは、1~10個の炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子を含み、より好ましくは、Qは、-C(O)-O-である。
【0124】
式(7)において、Aは、二価連結基であり、例えば置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン又は置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリーレンの1つ以上であり得る。好ましくは、Aは、任意選択的に置換されている二価のC1~30パーフルオロアルキレン基であり得る。
【0125】
式(7)において、Zは、アニオン部位であり、その共役酸は、典型的には、-15~1のpKaを有する。例えば、Zは、スルホネート、カルボキシレート、スルホンアミドのアニオン、スルホンイミドのアニオン又はメチドアニオンであり得る。特に好ましいアニオン部位は、フッ素化アルキルスルホネート及びフッ素化スルホンイミドである。
【0126】
式(7)において、Gは、上記で定義された有機カチオンである。いくつかの実施形態では、Gは、2つのアルキル基、2つのアリール基若しくはアルキル基とアリール基との組み合わせで置換されたヨードニウムカチオン;又は3つのアルキル基、3つのアリール基若しくアルキル基とアリール基との組み合わせで置換されたスルホニウムカチオンである。
【0127】
式(7)の例示的なモノマーは、以下:
【化28】

(式中、Gは、本明細書で定義された有機カチオンである)
の1つ以上を含み得る。
【0128】
使用される場合、PAG部位を含む繰り返し単位は、ポリマー中の繰り返し単位の合計を基準として1~25モル%、典型的には1~8モル%、より典型的には2~6モル%の量でポリマー中に含まれ得る。
【0129】
フォトレジスト組成物は、組成物の成分を溶解させ、且つ基板上でのそのコーティングを容易にするための溶媒を更に含む。好ましくは、溶媒は、電子デバイスの製造に従来使用される有機溶媒である。適切な溶媒としては、例えば、ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン及び1-クロロヘキサンなどのハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール及びジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)などのアルコール;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME);ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン及びアニソールなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン及びシクロヘキサノン(CHO)などのケトン;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)、ヒドロキシイソブチレートメチルエステル(HBM)及びアセト酢酸エチルなどのエステル;γ-ブチロラクトン(GBL)及びε-カプロラクトンなどのラクトン;N-メチルピロリドンなどのラクタム;アセトニトリル及びプロピオニトリルなどのニトリル;炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジフェニル及び炭酸プロピレンなどの環状又は非環状炭酸エステル;ジメチルスルホキシド及びジメチルホルムアミドなどの極性非プロトン性溶媒;水;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。これらのうち、好ましい溶媒は、PGME、PGMEA、EL、GBL、HBM、CHO及びこれらの組み合わせである。
【0130】
フォトレジスト組成物中の総溶媒含有量(すなわち全ての溶媒についての累積溶媒含有量)は、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として典型的には40~99重量%、例えば60~99重量%又は85~99重量%である。所望の溶媒含有量は、例えば、コーティングされたフォトレジスト層の所望の厚さ及びコーティング条件に依存するであろう。
【0131】
本発明のフォトレジスト組成物では、第1のポリマー及び第2のポリマーは、フォトレジスト組成物中において、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として合わせて典型的には10~99.9重量%、典型的には25~99重量%、より典型的には50~95重量%の量で存在する。総固形分には、第1及び第2のポリマー、任意選択的なPAG並びに他の非溶媒成分が含まれると理解されるであろう。
【0132】
いくつかの態様では、フォトレジスト組成物は、1つ以上の塩基不安定基を含む物質(「塩基不安定物質」)を更に含み得る。本明細書で言及されるように、塩基不安定基は、露光ステップ及び露光後ベーキングステップ後、水性アルカリ性現像液の存在下で開裂反応を受けてヒドロキシル、カルボン酸、スルホン酸等などの極性基を提供することができる官能基である。塩基不安定基は、塩基不安定基を含むフォトレジスト組成物の現像ステップ前に有意に反応しない(例えば、結合切断反応を受けない)であろう。したがって、例えば塩基不安定基は、露光前ソフトベークステップ、露光ステップ及び露光後ベークステップ中に実質的に不活性であろう。「実質的に不活性」とは、塩基不安定基(又は部位)の5%以下、典型的には1%以下が露光前のソフトベーク、露光及び露光後のベークステップ中に分解、切断又は反応することを意味する。塩基不安定基は、例えば、0.26規定(N)の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液などの水性アルカリ性フォトレジスト現像液を使用する典型的なフォトレジスト現像条件下で反応する。例えば、TMAHの0.26N水溶液を、単一パドル現像又は動的現像に使用することができ、例えば、0.26NのTMAH現像液は、画像化されたフォトレジスト層に10~120秒(s)などの適切な時間で分配される。例示的な塩基不安定基は、エステル基、典型的にはフッ素化エステル基である。好ましくは、塩基不安定物質は、第1及び/又は第2のポリマー並びにフォトレジスト組成物の他の固形成分と実質的に混和せず、第1及び/又は第2のポリマー並びにフォトレジスト組成物の他の固形成分よりも表面エネルギーが低い。基板上にコーティングされた場合、塩基不安定物質は、それにより、フォトレジスト組成物の他の固形成分から、形成されたフォトレジスト層の上面に分離し得る。
【0133】
いくつかの態様では、塩基不安定物質は、ポリマー系材料であり得、本明細書では塩基不安定ポリマーとも呼ばれ、塩基不安定ポリマーは、1つ以上の塩基不安定基を含む1種以上の繰り返し単位を含み得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、同じ又は異なる2つ以上の塩基不安定基を含む繰り返し単位を含み得る。好ましい塩基不安定ポリマーは、2つ以上の塩基不安定基を含む少なくとも1種の繰り返し単位、例えば2つ又は3つの塩基不安定基を含む繰り返し単位を含む。
【0134】
塩基不安定ポリマーは、式(8):
【化29】

(式中、Xは、Cアルケニル及び(メタ)アクリルから選択される重合性基であり;L13は、二価連結基であり;Rは、置換又は無置換C1~20フルオロアルキルであるが、式(8)中のカルボニル(-C(O)-)に結合している炭素原子は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されていることを条件とする)
の1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位を含むポリマーであり得る。例示的な式(8)のモノマーは、以下:
【化30】

の1つ以上を含み得る。
【0135】
塩基不安定ポリマーは、2つ以上の塩基不安定基を含む繰り返し単位を含み得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、式(9):
【化31】

(式中、X及びRは、それぞれ式(8)でX及びRについて定義された通りであり;L14は、置換若しくは無置換C1~20アルキレン、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキレン、-C(O)-又は-C(O)O-の1つ以上を含む多価連結基であり;n3は、2以上の整数、例えば2又は3であり得る)
の1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位を含み得る。式(9)の例示的なモノマーは、以下:
【化32】

の1つ以上を含み得る。
【0136】
塩基不安定ポリマーは、1つ以上の塩基不安定基を含む繰り返し単位を含み得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、式(10):
【化33】

(式中、X及びRは、式(10)でそれぞれX及びRについて定義された通りであり;L15は、二価連結基であり;L16は、置換又は無置換C1~20フルオロアルキレンであり、式(10)中のカルボニル(-C(O)-)に結合している炭素原子は、少なくとも1個のフッ素原子で置換されている)
の1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位を含み得る。例示的な式(10)のモノマーは、以下:
【化34】

の1つ以上を含み得る。
【0137】
いくつかの態様では、塩基不安定ポリマーは、1つ以上の塩基不安定基と、1つ以上の酸不安定エステル部位(例えば、t-ブチルエステル)又は酸不安定アセタール基などの1つ以上の酸不安定基とを含み得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、塩基不安定基及び酸不安定基を含む繰り返し単位、すなわち塩基不安定基及び酸不安定基の両方が同じ繰り返し単位上に存在する繰り返し単位を含み得る。別の例では、塩基不安定ポリマーは、塩基不安定基を含む第1繰り返し単位と、酸不安定基を含む第2繰り返し単位とを含み得る。本発明の好ましいフォトレジストは、フォトレジスト組成物から形成されたレジストレリーフ像と関連した欠陥の減少を示すことができる。
【0138】
塩基不安定ポリマーは、第1及び第2ポリマーについて本明細書で記載されたものを含めて、当技術分野における任意の適切な方法を用いて調製され得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、有効な温度での加熱、有効な波長での化学線での照射又はそれらの組み合わせなど、任意の適切な条件下でのそれぞれのモノマーの重合によって得ることができる。加えて又は代わりに、1つ以上の塩基不安定基は、適切な方法を用いてポリマーの主鎖上にグラフトされ得る。
【0139】
いくつかの態様では、塩基不安定物質は、1つ以上の塩基不安定エステル基、好ましくは1つ以上のフッ素化エステル基を含む単一の分子である。単一分子である塩基不安定は、典型的には、50~1,500Daの範囲のMを有する。例示的な塩基不安定物質は、以下:
【化35】

の1つ以上を含む。
【0140】
存在する場合、塩基不安定物質は、典型的には、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として0.01~10重量%、典型的には1~5重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0141】
塩基不安定ポリマーに加えて又はその代わりに、フォトレジスト組成物は、上述の第1のポリマー及び第2のポリマーに加えて且つ第1及び第2のポリマーと異なる1種以上のポリマーを更に含み得る。例えば、フォトレジスト組成物は、上記で説明した通りであるが、組成が異なる追加のポリマー又は上記で説明したものと類似しているが、必須繰り返し単位のそれぞれを含まないポリマーを含み得る。加えて又は代わりに、1つ以上の追加のポリマーとしては、フォトレジスト技術において周知のもの、例えばポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリエステル、ポリノルボルネン、ポリアセタール、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリフェノール、ノボラック、スチレン系ポリマー、ポリビニルアルコール又はそれらの組み合わせから選択されるものを挙げ得る。
【0142】
フォトレジスト組成物は、1つ以上の追加の任意選択的な添加剤を更に含み得る。例えば、任意選択的な添加剤としては、化学線及びコントラスト染料、ストリエーション防止剤、可塑剤、速度促進剤、増感剤、光分解性クエンチャー(PDQ)(光分解性塩基としても知られている)、塩基性クエンチャー、熱酸発生剤、界面活性剤など、又はそれらの組み合わせを挙げ得る。存在する場合、任意選択的な添加剤は、典型的には、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として0.01~10重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0143】
PDQは、照射されると弱酸を生成する。光分解性失活剤から生成する酸は、レジストマトリックスに存在する酸不安定基と迅速に反応するほど強力ではない。例示的な光分解性失活剤には、例えば、光分解性カチオン、好ましくは例えばC1~20カルボン酸又はC1~20スルホン酸のアニオン等の弱酸(pKa>1)のアニオンと対になった強酸発生剤化合物を調製するためにも有用なものが含まれる。例示的なカルボン酸には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、コハク酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、サリチル酸等が含まれる。例示的なスルホン酸には、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等が含まれる。好ましい実施形態では、光分解性失活剤は、ジフェニルヨードニウム-2-カルボキシレート等の光分解性有機双性イオン化合物である。
【0144】
光分解性失活剤は、非ポリマー形態又はポリマー結合形態であり得る。ポリマー形態の場合、光分解性失活剤は、第1のポリマー又は第2のポリマー上の重合単位に存在する。光分解性失活剤を含む重合単位は、典型的には、ポリマーの繰り返し単位の合計を基準として0.1~30モル%、好ましくは1~10モル%、より好ましくは1~2モル%の量で存在する。
【0145】
例示的な塩基性失活剤としては、例えば、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリイソプロパノールアミン、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、n-tert-ブチルジエタノールアミン、トリス(2-アセトキシ-エチル)アミン、2,2’,2’’,2’’’-(エタン-1,2-ジイルビス(アザネトリイル))テトラエタノール、2-(ジブチルアミノ)エタノール及び2,2’,2’’-ニトリロトリエタノールなどの直鎖脂肪族アミン;1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシピペリジン、tert-ブチル1-ピロリジンカルボキシレート、tert-ブチル2-エチル-1H-イミダゾール-1-カルボキシレート、ジ-tert-ブチルピペラジン-1,4-ジカルボキシレート及びN-(2-アセトキシ-エチル)モルホリンなどの環状脂肪族アミン;ピリジン、ジ-tert-ブチルピリジン及びピリジニウムなどの芳香族アミン;N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピバル酸アミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N、N、N、N-テトラブチルマロンアミド、1-メチルアゼパン-2-オン、1-アリルアゼパン-2-オン及びtert-ブチル1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イルカルバメートなどの直鎖及び環状アミド並びにその誘導体;スルホネート、スルファメート、カルボキシレート及びホスホネートの四級アンモニウム塩などのアンモニウム塩;一級及び二級アルジミン及びケチミンなどのイミン;任意選択的に置換されたピラジン、ピペラジン及びフェナジンなどのジアジン;任意選択的に置換されたピラゾール、チアジアゾール及びイミダゾールなどのジアゾール;並びに2-ピロリドン及びシクロヘキシルピロリジンなどの任意選択的に置換されたピロリドンが挙げられる。
【0146】
塩基性失活剤は、非ポリマー形態又はポリマー結合形態であり得る。ポリマー形態である場合、失活剤は、ポリマーの繰り返し単位中に含み得る。失活剤を含む重合単位は、典型的には、ポリマーの繰り返し単位の合計を基準として0.1~30モル%、好ましくは1~10モル%、より好ましくは1~2モル%の量で存在する。
【0147】
例示的な界面活性剤は、フッ素化及び非フッ素化界面活性剤を含み、イオン性又は非イオン性であり得、非イオン性界面活性剤が好ましい。例示的なフッ素化非イオン性界面活性剤としては、3M Corporationから入手可能なFC-4430及びFC-4432界面活性剤などのペルフルオロC界面活性剤並びにOmnovaのPOLYFOX PF-636、PF-6320、PF-656及びPF-6520フルオロ界面活性剤などのフルオロジオールが挙げられる。一態様では、フォトレジスト組成物は、フッ素含有繰り返し単位を含む界面活性剤ポリマーを更に含む。
【0148】
本発明のフォトレジスト組成物を用いるパターン形成方法について述べる。フォトレジスト組成物をコーティングすることができる好適な基板には、電子デバイス基板が含まれる。多様な電子デバイス基板、例えば半導体ウェハー;多結晶シリコン基板;マルチチップモジュールなどのパッケージング基板;フラットパネルディスプレイ基板;有機発光ダイオード(OLED)などの発光ダイオード(LED)のための基板等などが本発明で使用され得、半導体ウェハーが典型的である。そのような基板は、典型的には、シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、オキシ窒化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、アルミニウム、サファイア、タングステン、チタン、チタン-タングステン、ニッケル、銅及び金の1つ以上から構成される。適切な基板は、集積回路、光センサー、フラットパネルディスプレイ、光集積回路及びLEDの製造で使用されるものなどのウェハーの形態であり得る。そのような基板は、任意の適切なサイズであり得る。典型的なウェハー基板の直径は、200~300ミリメートル(mm)であるが、本発明によれば、より小さい直径及びより大きい直径を有するウェハーを適切に使用することができる。基板は、任意選択的に、形成されているデバイスのアクティブな又は操作可能な部分を含み得る1つ以上の層又は構造を含み得る。
【0149】
典型的には、ハードマスク層、例えばスピンオンカーボン(SOC)、非晶質炭素若しくは金属ハードマスク層、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO)若しくはオキシ窒化シリコン(SiON)層などのCVD層、有機若しくは無機下層又はそれらの組み合わせなどの1つ以上のリソグラフィ層は、本発明のフォトレジスト組成物をコーティングする前に基板の上表面上に提供される。そのような層は、オーバーコートされたフォトレジスト層と一緒に、リソグラフィ材料スタックを形成する。
【0150】
任意選択的に、接着促進剤の層は、フォトレジスト組成物をコーティングする前に基板表面に塗布され得る。接着促進剤が望ましい場合、シラン、典型的にはトリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのオルガノシラン、ガンマ-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシランカップリング剤など、ポリマーフィルムのための任意の適切な接着促進剤が使用され得る。特に適切な接着促進剤としては、DuPont Electronics&Industrial(Marlborough,Massachusetts)から入手可能である、AP(商標)3000、AP(商標)8000及びAP(商標)9000Sの名称で販売されているものが挙げられる。
【0151】
フォトレジスト組成物は、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ドクターブレーディング等などの任意の適切な方法によって基板上にコーティングされ得る。例えば、フォトレジストの層の塗布は、コーティングトラックを使用して溶媒中のフォトレジストをスピンコーティングすることによって達成され得、その場合、フォトレジストは、回転するウェハー上に分配される。分配中、ウェハーは、典型的には、最大4,000回転/分(rpm)、例えば200~3,000rpm、例えば1,000~2,500rpmの速度で15~120秒の期間回転され、基板上にフォトレジスト組成物の層が得られる。コートされる層の厚さは、スピン速度及び/又は組成物の総固形分を変えることによって調節され得ることが当業者によって理解されるであろう。本発明の組成物から形成されるフォトレジスト組成物層は、典型的には、乾燥層厚みが3~30マイクロメートル(μm)、好ましくは5~30μm超、より好ましくは6~25μmである。
【0152】
フォトレジスト組成物は、典型的には、次に層中の溶媒含有量を最小限にするためにソフトベークされ、それにより不粘着性コーティングを形成し、基板への層の接着性を改善する。ソフトベークは、例えば、ホットプレート上又はオーブン中で行われ、ホットプレートが典型的である。ソフトベークの温度及び時間は、例えば、フォトレジスト組成物及び厚さに依存する。ソフトベーク温度は、典型的には、80~170℃、より典型的には90~150℃である。ソフトベーク時間は、典型的には、10秒~20分、より典型的には1分~10分、更に典型的には1分~2分である。加熱時間は、組成物の成分を基づいて当業者により容易に決定することができる。
【0153】
フォトレジスト層は、次に、露光領域と非露光領域との間で溶解性の違いをもたらすために活性化放射線にパターン様露光される。組成物のために活性化する放射にフォトレジスト組成物を露光することへの本明細書での言及は、放射がフォトレジスト組成物に潜像を形成できることを表す。露光は、典型的には、レジスト層の露光領域及び非露光領域にそれぞれ対応する光学的に透明な領域及び光学的に不透明な領域を有するパターン化フォトマスクを通して行われる。代わりに、そのような露光は、典型的には、電子ビームリソグラフィのために用いられる直接描画法において、フォトマスクなしで行われ得る。活性化放射は、典型的には、400nm未満、300nm未満若しくは200nm未満の波長を有し、248nm(KrF)、193nm(ArF)、13.5nm(EUV)であるか、又は電子ビームリソグラフィが好ましい。好ましくは、活性化放射は、248nmの放射である。この方法は、液浸又は乾式(非液浸)リソグラフィ技術において利用される。露光エネルギーは、露光ツール及びフォトレジスト組成物の成分に依存して、典型的には1平方センチメートルあたり1~200ミリジュール(mJ/cm)、好ましくは10~100mJ/cm、より好ましくは20~50mJ/cmである。
【0154】
フォトレジスト層の露光後、露光されたフォトレジスト層の露光後ベーク(PEB)が行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができ、ホットプレートが典型的である。PEBの条件は、例えば、フォトレジスト組成物及び層の厚さに依存する。PEBは、典型的には、70~150℃、好ましくは75~120℃の温度で30~120秒間行われる。極性が切り替えられた領域(露光領域)と、切り替えられていない領域(非露光領域)とによって画定される潜像がフォトレジストに形成される。
【0155】
露光されたフォトレジスト層を次に適切な現像液で現像して、現像液に可溶である層の領域を選択的に除去する一方、残った不溶領域は、結果として生じるフォトレジストパターンレリーフ像を形成する。ポジ型現像(PTD)プロセスの場合、フォトレジスト層の露光領域が現像中に除去され、非露光領域が残る。逆に、ネガ型現像(NTD)プロセスでは、フォトレジスト層の露光領域が残り、非露光領域が現像中に除去される。現像液の塗布は、フォトレジスト組成物の塗布に関して上述されたような任意の適切な方法によって達成され得、スピンコーティングが典型的である。現像時間は、フォトレジストの可溶領域を除去するのに有効な時間であり、5~60秒の時間が典型的である。現像は、典型的には、室温で行われる。
【0156】
PTDプロセスのための適切な現像液には、水性塩基現像液、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などの水酸化第四級アンモニウム溶液、好ましくは0.26規定(N)のTMAH、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が含まれる。NTDプロセスに好適な現像液は、有機溶媒系であり、現像液中の有機溶媒の累積含有量が、現像液の総重量を基準として、50重量%以上、典型的には95重量%以上、98重量%以上又は100重量%であることを意味する。NTD現像液のための適切な有機溶媒には、例えば、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素及びそれらの混合物から選択されるものが含まれる。現像液は、典型的には、2-ヘプタノン又は酢酸n-ブチルである。
【0157】
コーティングされた基板は、本発明のフォトレジスト組成物から形成され得る。そのようなコーティングされた基板は、(a)その表面にパターン化される1つ以上の層を有する基板と、(b)パターン化される1つ以上の層に渡るフォトレジスト組成物の層とを含む。
【0158】
フォトレジストパターンは、例えば、エッチマスクとして使用され得、それにより公知のエッチング技術、典型的には反応性イオンエッチングなどの乾式エッチングにより、パターンが1つ以上の連続した下層に転写されることを可能にし得る。フォトレジストパターンは、例えば、下位ハードマスク層へのパターン転写のために使用され得、それは、したがって、ハードマスク層の下の1つ以上の層へのパターン転写のためのエッチングマスクとして使用される。フォトレジストパターンがパターン転写中に消費されない場合、それは、公知の技術、例えば酸素プラズマ灰化によって基板から除去され得る。フォトレジスト組成物は、1つ以上のそのようなパターン形成プロセスにおいて使用される場合、メモリデバイス、プロセッサチップ(CPU)、グラフィックチップ、オプトエレクトロニックチップ、LED、OLEDなどの半導体デバイス及び他の電子デバイスを製造するために使用され得る。
【0159】
本発明を以下の非限定的な実施例によって更に例証する。
【実施例
【0160】
実施例1
この実施例は、ポリマーP1-A~P1-G、P2-A~P2-P2-H及びP3-A~P3-Bの一般的な合成を記述する。以下のモノマーは、それぞれの比較のポリマー及び本発明のポリマーを調製するために使用した1つ以上の構造を表す。
【化36】
【0161】
ポリマーP1-Aは、45/45/10のモル供給比でモノマーMA1、MB1及びMD1から調製した。MA1(35.3グラム(g)、218ミリモル(mmol))、MB1(44.5g、218mmol)及びMC1(24.2g、48mmol)を104gのPGMEAに溶解することにより、供給溶液を製造した。和光純薬工業株式会社からV-601として入手したアゾ開始剤(ジメチル2,2’-アゾ-ビス(2-メチルプロピオネート)6.6gをPGMEA/テトラヒドロフラン(THF)(重量%で1:1)混合物19.8gに溶解することにより、開始剤溶液を別途調製した。
【0162】
重合は、水コンデンサーと、フラスコ内の反応を監視するための温度計とを備えた三口丸底フラスコ内で行った。反応器に53.3gのPGMEAを入れ、75℃まで加熱した。供給溶液及び開始剤溶液は、それぞれシリンジポンプを使用して4時間かけて反応器に供給した。次いで、内容物を更に2時間撹拌した。その後、内容物を室温まで冷却し、40gのTHFで希釈し、ヘプタンとイソプロパノールとの7:3(v/v)混合物3L中に析出させた。得られたコポリマーを濾過によって単離した。ポリマーを真空下35℃で一晩乾燥した。次いで、得られたポリマーをメタノール(312g)に溶解し、これにナトリウムメトキシド(0.333g、メタノール中25重量%)を添加した。反応混合物を67℃に加熱した。その後、反応を室温まで冷却し、酸の添加により中和した。ポリマー溶液を脱イオン(DI)水中に析出させて白色固体ポリマーP1-A(約62g)(Mw=8.5kDa、PDI=1.55)を単離し、これを真空下35℃で更に乾燥した。
【0163】
表1の各ポリマーは、表1に記載のモノマー及びモル供給比を使用したことを除いて、ポリマーP1-Aの調製について上述した手順と同様の手順を使用して調製した。
【0164】
【表1】
【0165】
フォトレジスト組成物及び評価
実施例2
表1からのポリマーを使用するフォトレジスト組成物は、表2に示される成分を混ぜ合わせることによって調製した。ここで、量は、組成物の総重量100重量%に基づく重量パーセント(重量%)で表される。フォトレジスト組成物の総固形分は、1.55重量%であった。フォトレジスト組成物は、重量比1:1のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とメチル-2-ヒドロキシイソブチレートとの溶媒混合物中で調製した。
【0166】
得られたフォトレジスト組成物をメカニカルシェーカー上で振とうし、次いで0.2ミクロンの細孔径を有するPTFE円盤状フィルターを通して濾過した。TEL Clean Track ACT 8ウェハートラック上で、BARCスタックでオーバーコートした200mmのシリコンウェハー(厚さ80nmのAR(商標)40A反射防止材の上に厚さ60nmのAR(商標)3反射防止材を積層したもの、DuPont Electronics&Industrial)をそれぞれ各フォトレジスト組成物でスピンコートし、110℃で60秒間ソフトベークし、目的厚みが約100nmのフォトレジスト層を得た。レジスト層厚さをTHERMA-WAVE OP7350で測定した。ウェハーを、3~53ミリジュール毎平方センチメートル(mJ/cm)の増加する照射線量において248nmの放射(CANON FPA-5000 ES4スキャナー)で露光した。その後、ウェハーを100℃で60秒間露光後ベーク(PEB)し、MF(商標)CD26 TMAH現像液(DuPont Electronics&Industrial)で60秒間現像し、DI水でリンスし、乾燥させた。フォトレジスト層厚さ測定を層の露光領域及び非露光領域において行った。露光領域における残ったフォトレジスト層厚さを線量に対してプロットすることにより、各ウェハーについてコントラスト曲線を生成した。残ったフォトレジスト層厚さが最初のコーティングされた厚さの10%未満になる照射線量として、コントラスト曲線から線量対クリア(E)を求めた。露光領域における正規化されたフォトレジスト層厚さを線量の対数に対してプロットすることにより、各ウェハーについて追加のコントラスト曲線を生成した。コントラスト(ガンマ、γ)をコントラスト曲線から80%及び20%のフォトレジスト膜厚の点間の傾きとして求めた。
【0167】
【表2】
【0168】
PAG(PAG-1)及び添加剤(Q1)の構造は、以下の通りであった。
【化37】
【0169】
表2に示されているように、本発明のフォトレジスト組成物PR-1~PR-10は、比較のフォトレジスト組成物PR-11~PR-15と比較して、改善されたコントラスト(より高いガンマ値)と同等の又は改善された感度(減少したE値)を達成した。P1-A及びP2-Aを含む本発明のフォトレジスト組成物PR-1は、改善されたコントラストを達成し、ポリマーP2-Aの代わりにそれぞれポリマーP3-A又はP3-Cを含む比較のフォトレジスト組成物PR-11及びPR-13と比較して同等の又はより優れた感度を示した。ポリマーP1-G及びP2-Dを含む本発明のフォトレジスト組成物PR-9は、改善されたコントラストを達成し、それぞれポリマーP1-G又はP2-Dを含み、第2のポリマーを含まないフォトレジスト組成物PR-14及びPR-15と比較して同等の又はより優れた感度を示した。フォトレジスト組成物PR-9の観測されたコントラスト(γ)は、ポリマーP1-GとP2-Dの添加剤の組み合わせで見込まれるコントラスト(γ)を超えており、そのため、コントラスト(γ)の相乗的な改善がフォトレジスト組成物の本発明のポリマーの組み合わせによって達成されたことを実証している。
【0170】
実施例3
フォトレジスト組成物を、明視野マスクパターンを使用してKrF露光下でライン/スペースパターニングについて評価した。TEL Clean Track ACT 8ウェハートラック上で、BARCスタックでオーバーコートした200mmのシリコンウェハー(厚さ80nmのAR(商標)40A反射防止材の上に厚さ60nmのAR(商標)3反射防止材を積層したもの、[DuPont Electronics&Industrial])をそれぞれ各フォトレジスト組成物でスピンコートし、110℃で60秒間ソフトベークし、厚みが約40nmのフォトレジスト層を得た。ウェハーを、120nmのライン/スペース(L/S)パターンを有するマスクを使用してCANON FPA-5000 ES4スキャナー(NA=0.8、アウターシグマ=0.85、インナーシグマ=0.57)で248nmの放射でそれぞれ露光した。ウェハーを100℃で60秒間露光後ベークし、MF(商標)-CD26 TMAH現像液(DuPont Electronics&Imaging)で60秒間現像し、脱イオン水でリンスし、乾燥させた。形成されたL/Sパターンの限界寸法(CD)測定は、HITACHI S-9380 CD SEMで行った。サイジングエネルギー(Esize)及びラインの線幅粗さ(LWR)は、CD測定に基づいて決定した。サイジングエネルギーは、目標の120nmのL/Sパターンが解像された照射エネルギーである。
【0171】
結果を表3に示す。
【0172】
【表3】
【0173】
表3で見られるように、本発明のフォトレジスト組成物PR-16~PR-20は、比較のフォトレジスト組成物PR-21及びPR-22と比較して、改善されたパターン粗さ(すなわち減少したLWR)及び改善された感度(減少したEsize)を達成した。
【0174】
実施例4
表4のフォトレジスト組成物を、上述したKrF露光下で暗視野マスクパターンを使用してライン/スペース(L/S)パターニングについて評価した。サイジングエネルギー(Esize)及びスペースの線幅粗さ(LWR)は、CD測定に基づいて決定した。サイジングエネルギーは、目標の120nmのL/Sパターンが解像された照射エネルギーから決定した。結果を表4に示す。
【0175】
【表4】
【0176】
上に示されるように、本発明のフォトレジスト組成物PR-23~PR-28は、比較のフォトレジスト組成物PR-29~PR-31と比較して、改善されたパターン粗さ(すなわち減少したLWR)及び改善された感度(すなわち減少したEsize)を達成した。
【0177】
本開示は、実用的で例示的な実施形態であると現在考えられるものと併せて記載されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されず、むしろ添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正形態及び均等な構成を包含することを意図することが理解されるべきである。