(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/05 20140101AFI20240222BHJP
【FI】
H01L31/04 570
(21)【出願番号】P 2022514117
(86)(22)【出願日】2021-04-08
(86)【国際出願番号】 JP2021014868
(87)【国際公開番号】W WO2021206135
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】P 2020070450
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】前田 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】松尾 秀樹
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-527917(JP,A)
【文献】特表2017-502525(JP,A)
【文献】国際公開第2019/172258(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0319144(US,A1)
【文献】国際公開第2016/047029(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078
H02S 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3個の太陽電池セルストリングであって、各太陽電池セルストリングは第1の方向に並べられた複数の太陽電池セルが電気的に接続され、前記第1の方向に沿って第1端及び第2端を有するように構成され、表面側に受光面を設けられるように前記第1の方向に対して交差する第2の方向に沿って相互間に採光用のスペースを空けて配置され、前記第2の方向に比べて前記第1の方向に細長い形状である少なくとも3個の太陽電池セルストリングと、
前記受光面が設けられた表面側に配置される第1透明板と、
前記表面側とは反対の裏面側に配置される第2透明板と、を備えた、外光を室内に取り入れるガラス建材に組み込まれる太陽電池モジュールであって、
前記少なくとも3個の太陽電池セルストリングのそれぞれは、前記第1端及び前記第2端に、電気的に接続可能な接続部を備え、
前記少なくとも3個の太陽電池セルストリングのうちの少なくとも2個の太陽電池ストリングそれぞれの前記第1端の前記接続部間及び第2端の前記接続部間が相互に電気的に接続される配線材を、前記第1端及び第2端のそれぞれに備え、
前記第1端のそれぞれに備える前記配線材が、前記第1端と対応する前記第2端のそれぞれに備える前記配線材に対して所定の位置関係になるように設けられる第1シート材と、
前記第2端のそれぞれに備える前記配線材が、前記第2端と対応する前記第1端のそれぞれに備える前記配線材に対して所定の位置関係になるように設けられる第2シート材と、を備えて
おり、
前記配線材のそれぞれは、前記第1の方向に延びる接続部分を備え、
前記接続部分の前記第2の方向の幅の大きさが、各太陽電池セルストリングの前記接続部における前記第2の方向の幅の大きさと略同一に構成されていることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記複数の太陽電池セルをシングリング接続することにより前記各太陽電池セルストリングが構成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、日本国特願2020-70450号に基づく優先権を主張し、引用によって本願明細書の記載に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、第1の方向に並べられた複数の太陽電池セルを電気的に接続して構成される太陽電池セルストリングの少なくとも3個を、第2の方向にスペースを空けて配置して構成される採光型の太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
上記太陽電池モジュールを、例えばガラス建材に用いることによって、太陽電池ストリングで発電を行いながら、第2の方向で隣り合う太陽電池セルストリング間に空けたスペースから光を室内へ取り入れることができるようにしている。そして、太陽電池セルストリングを組み付けて太陽電池モジュールを構成する場合には、例えば受光面側とは反対側の裏面側に配置されるガラス基板上に太陽電池セルストリングの多数個を第2の方向にスペースを空けて配置し、第2の方向で隣り合う太陽電池セルストリングの同一端部を2つの端部間に亘る長さの配線で接続することで第2の方向で隣り合う太陽電池セルストリング同士を電気的に接続している(例えば、国際公開第2019/172258号の
図5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記太陽電池モジュールをガラス建材に用いる場合、意匠性を高めるために、各太陽電池セルストリングを細長い多数の太陽電池セルを接続してガラス建材の横幅のほぼ全域に亘る長さに構成し、構成された細長い太陽電池セルストリングを第2の方向である縦(上下)方向にスペースを空けてガラス建材全域に配置してブラインド調に構成している。そのため、多数の細長い太陽電池セルストリングを所定位置に位置合わせしながら配置しなければならないだけでなく、縦方向で隣り合う太陽電池セルストリングの端部同士を位置がずれないように配線を介して接続しなければならず、組み付け作業が面倒な作業になっており、改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、組み付け作業が容易に行える太陽電池モジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る太陽電池モジュールは、少なくとも3個の太陽電池セルストリングであって、各太陽電池セルストリングは第1の方向に並べられた複数の太陽電池セルが電気的に接続され、前記第1方向に沿って第1端及び第2端を有するように構成され、表面側に受光面を設けられるように前記第1の方向に対して交差する第2の方向に沿って相互間にスペースを空けて配置される少なくとも3個の太陽電池セルストリングと、前記受光面が設けられた表面側に配置される第1透明板と、前記表面側とは反対の裏面側に配置される第2透明板と、を備えた太陽電池モジュールであって、前記少なくとも3個の太陽電池セルストリングのそれぞれは、前記第1端及び前記第2端に、電気的に接続可能な接続部を備え、前記少なくとも3個の太陽電池セルストリングのうちの少なくとも2個の太陽電池ストリングそれぞれの前記第1端の前記接続部間及び第2端の前記接続部間が相互に電気的に接続される配線材を、前記第1端及び第2端のそれぞれとに備え、前記第1端のそれぞれに備える前記配線材が、前記第1端と対応する前記第2端のそれぞれに備える前記配線材に対して所定の位置関係になるように設けられる第1シート材と、前記第2端のそれぞれに備える前記配線材が、前記第2端と対応する前記第1端のそれぞれに備える前記配線材に対して所定の位置関係になるように設けられる第2シート材と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
前記複数の太陽電池セルをシングリング接続することにより前記各太陽電池セルストリングが構成されていてもよい。
【0009】
前記配線材のそれぞれは、前記第1の方向に延びる接続部分を備えていてもよい。
【0010】
前記接続部分の前記第2の方向の幅の大きさが、各太陽電池セルストリングの前記接続部における前記第2の方向の幅の大きさと略同一に構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の太陽電池モジュールを枠材に組み込んで構成されたガラス建材の正面図である。
【
図2】
図2は、太陽電池モジュールの構成を示す正面図である。
【
図4】
図4は、太陽電池セルストリングの接続部と同太陽電池モジュールを構成する部品の正面図である。
【
図5】
図5は、太陽電池モジュールを構成する部品の分解図である。
【
図6】
図6は、太陽電池セルストリングをシングリング接続された状態を示す断面図である。
【
図7A】
図7Aは、第2の方向で隣り合う太陽電池セルストリングの同一端部を接続する配線材の他の実施形態を示す要部の正面図である。
【
図7B】
図7Bは、第2の方向で隣り合う太陽電池セルストリングの同一端部を接続する配線材の他の実施形態を示す要部の正面図である。
【
図7C】
図7Cは、第2の方向で隣り合う太陽電池セルストリングの同一端部を接続する配線材の他の実施形態を示す要部の正面図である。
【
図8A】
図8Aは、第1シート材及び第1シート材に形成される配線材の2つの別の形態を示す正面図である。
【
図8C】
図8Cは、第1シート材及び第1シート材に形成される配線材の2つの別の形態を示す正面図である。
【
図9A】
図9Aは、第1シート材及び第1シート材に形成される配線材の更に別の形態を示す正面図である。
【
図9B】
図9Bは、
図9Aの第1シート材の配線材に負極側電線路を接続し、第2シート材に正極側電線路を接続した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールについて、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、ブラインド調に構成された採光型の太陽電池モジュールを、正面視での外形が矩形状(
図1では正方形状)で内方が開放された、断面形状で長方形の四辺のうち一辺が無い形状である枠材2に組み込んで(内嵌されて)構成されたガラス建材3を示している。このガラス建材3は、建築物に形成されている開口(図示せず)に組み込まれて使用される。なお、
図1において、正面視における左右方向(横方向)を第1の方向とし、左右方向(横方向)と直交する上下方向(縦方向)を第2の方向として説明する。尚、この実施形態では、第1の方向に対して直交する方向が第2の方向になっているが、第1の方向に対して直角以外の角度で交差する方向が第2の方向になっていてもよい。また、第1の方向を左右方向としているが、どのような方向であってもよい。
【0014】
太陽電池モジュールは、枠材2よりも少し小さな外形を有し、複数の太陽電池セルストリング4を、第1の方向に沿った状態で配置し、かつ、第2の方向で隣り合う太陽電池セルストリング4,4間に光を取り込むことができるスペース5を空けて配置して構成されている。この実施形態では、
図3に示すように、第2の方向で隣り合う5個の太陽電池セルストリング4が直列に接続されたものを1ユニットとし、全てのユニット(
図3には2ユニットを示す)を並列接続することで太陽電池モジュールを構成している。なお、1ユニットを構成する太陽電池セルストリング4は、
図2~
図4に示すように、下側から、第1太陽電池セルストリング41、第2太陽電池セルストリング42、第3太陽電池セルストリング43、第4太陽電池セルストリング44、第5太陽電池セルストリング45を備えている。
【0015】
太陽電池セルストリング4は、太陽電池セルを第1の方向に複数(例えば60個)並べて第1の方向で隣り合う太陽電池セル同士を直列接続して構成されている。各太陽電池セルの第2の方向(幅)の大きさa(
図2の拡大図参照)が、例えば4mmになっている。また、第2の方向で隣り合う太陽電池セルストリング4,4間のスペース5の大きさb(
図2の拡大図参照)を、前記太陽電池セルの第2の方向(幅)の大きさと同一の4mmとしている。
【0016】
図5に示すように、太陽電池モジュールの受光面が設けられた表面側から、第1透明板としての高透過(フロート)未強化ガラス6、該高透過(フロート)未強化ガラス6と略同一の大きさで透明な太陽電池専用封止材(以下において第1封止材と称する)7が配置され、太陽電池モジュールの受光面側とは反対側の裏面側から、第2透明板としての高透過(フロート)未強化ガラス11、該高透過(フロート)未強化ガラス11と略同一の大きさで透明な前記太陽電池専用封止材(以下において第2封止材と称する)12が配置されている。そして、上側の第1封止材7と下側の第2封止材12との間に複数の太陽電池セルストリング4が配置される。第1封止材7及び第2封止材12は、同一の樹脂材料から形成され、その材料としては、EVA、PO(ポリオレフィン)、PVB(ポリビニルブチラール)、アイオノマー等が挙げられる。
【0017】
各太陽電池セルストリング4の第1の方向の両端である第1端及び第2端(図示左右端)には、第1の方向の外側(各太陽電池セルストリング4の端側)に直線状に延びる接続部4A,4B(
図4及び
図5参照)を備え、それら接続部4A,4Bは、
図4及び
図5に示すように、裏側の第2封止材12の第1の方向の両端部の表面に配置された図示左右の配線シート材13,14上に位置決めされて固定された第1乃至第4配線材16~19に接続される。
【0018】
図3及び
図4に示すように、図示左側に位置する配線シート材(以下において第1シート材と称する)13上には、負極が接続される第1配線である負極側電線路15に電気的に繋がる第1配線材16と、第2の方向に並んで配置される4個の太陽電池セルストリング4の左端(第1端)の接続部4Aが接続される、上下に配置された一対の第3配線材18,18と、を備えている。図示右側に位置する配線シート材(以下において第2シート材と称する)14上には、第2の方向に並んで配置される4個の太陽電池セルストリング4の右端(第2端)の接続部4Bが接続される、上下に配置された一対の第2配線材17,17と、正極が接続される第2配線である正極側電線路20に電気的に繋がる第4配線材19と、を備えている。
【0019】
第1配線材16及び第4配線材19は、導電性を有する金属から構成され、第1配線材16と第4配線材19が、同一形状であり、第1の方向に直線状に延びる長方形状に構成されている。第1配線材16と第4配線材19の短辺方向の大きさ(幅の大きさ)は、太陽電池セルストリング4の接続部4A,4Bの第2の方向の大きさ(幅の大きさ)と略同一に構成されている。第1配線材16は、第1シート材13の下部に第1の方向に沿うように位置決めされた状態で固定され、第4配線材19は、第2シート材14の上部に第1の方向に沿うように位置決めされた状態で固定されている。また、
図4に示すように、第1配線材16の内側端16E及び第4配線材19の内側端19Eは、第1シート材13の内側端13E及び第2シート材14の内側端14Eに一致している。
【0020】
第2配線材17及び第3配線材18のそれぞれは、いずれも同一形状であり、第1の方向に延びる直線状で横長の長方形状に構成された上下一対の接続部分17A,17A、18A,18Aと、上下一対の接続部分17A,17A、18A,18Aの左右方向外側へ離間する側同士を上下方向で連結する直線状で縦長の長方形状に構成された連結部分17B、18Bと、を備えた形状である。第1配線材16の上方に所定間隔を置いて下側の第3配線材18が第1シート材13上に位置決めされた状態で固定され、下側の第3配線材18の上方に位置する上側の第3配線材18が第1シート材13上に位置決めされた状態で固定されている。また、第4配線材19の下方に所定間隔を置いて上側の第2配線材17が第2シート材14上に位置決めされた状態で固定され、上側の第2配線材17の下方に位置する下側の第2配線材17が第2シート材14上に位置決めされた状態で固定されている。
【0021】
尚、
図4に示すように、第2配線材17の一対の接続部分17A,17Aの内側端17E及び第3配線材18の一対の接続部分18A,18Aの内側端18Eは、第2シート材14の内側端及び第1シート材13の内側端に一致している。したがって、第1の方向に延びる一対の接続部分17A,17A、18A,18Aのそれぞれに、太陽電池セルストリング4の向きを合わせながら太陽電池セルストリング4の接続部4A,4Bを接続するだけで、配線材16~19に太陽電池セルストリング4を位置合わせした状態で接続することができる。太陽電池セルストリング4の接続部4A,4Bを、配線材16~19に接続するには、半田付け、導電性接着剤による接着、導電性フィルムによる接着等を用いることになる。
【0022】
また、一対の接続部分17A,17A、18A,18Aそれぞれの第2の方向の幅の大きさが、太陽電池セルストリング4の接続部4A,4Bにおける第2の方向の幅の大きさと略同一に構成されている。したがって、一対の接続部分17A,17A、18A,18Aに太陽電池セルストリング4の接続部4A,4Bを一致させた状態で接続するだけで、配線材16~19に太陽電池セルストリング4を位置合わせした状態で接続することができる。
【0023】
第2封止材12の表面における第1方向の一端部に固定される第1シート材13に、第1配線材16及び第3配線材18,18が第2配線材17,17及び第4配線材19に対して所定の位置関係になるように設けられている。また、第2封止材12の表面における第1方向の他端部に固定される第2シート材14に第2配線材17,17及び第4配線材19が第1配線材16及び第3配線材18,18に対して所定の位置関係になるように設けられている。
【0024】
前記所定の位置関係とは、
図4に示すように、第1配線材16が、第2シート材14において下側に位置する第2配線材17の下方の接続部分17Aに第1の方向で対向する位置、または、第2の方向で一致する位置となる関係である。また、第1シート材13において下側に位置する第3配線材18の下方の接続部分18Aが、第2シート材14において下側に位置する第2配線材17の上方の接続部分17Aに第1の方向で対向する位置、または、第2の方向で一致する位置となる関係である。また、第1シート材13において下側に位置する第3配線材18の上方の接続部分18Aが、第2シート材14において上側に位置する第2配線材17の下方の接続部分17Aに第1方向で対向する位置、または、第2の方向で一致する位置となる関係である。また、第1シート材13において上側に位置する第3配線材18の下方の接続部分18Aが、第2シート材14において上側に位置する第2配線材17の上方の接続部分17Aに第1の方向で対向する位置、または、第2の方向で一致する位置となる関係である。また、第1シート材13において上側に位置する第3配線材18の上方の接続部分18Aが、第4配線材19に第1の方向で対向する位置、または、第2の方向で一致する位置となる関係である。尚、第1配線材16乃至第4配線材19を、第1シート材13及び第2シート材14に設ける方法としては、導電性ペーストを用いたスクリーン印刷法や銅メッキを用いたメッキ法等が挙げられる。
【0025】
負極側電線路15は、
図2に示すように、上端部の左側に備える負極側端子ボックスT1に引き込まれており、その負極側端子ボックスT1内に電流の逆流を阻止するためのバイパスダイオードDを備えている。また、正極側電線路20は、上端部の右側に備える正極側端子ボックスT2に引き込まれて、電力を取り出す電力取り出し線Hに接続されている。
【0026】
第1シート材13及び第2シート材14は、いずれも同一構成であり、
図4に示すように、縦長の長方形状に構成され、PI(ポリイミド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等から形成され、色は黒色である。また、第1シート材13及び第2シート材14それぞれには、同一の大きさの縦長の長方形状に構成された配線遮蔽材21(
図1及び
図5参照)が覆うように配置される。各配線遮蔽材21は、PET(ポリエチレンテレフタレート)等から形成され、色は黒色である。
【0027】
上記のように構成された第1太陽電池セルストリング41乃至第5太陽電池セルストリング45を、第1シート材13及び第2シート材14に所定の位置関係で設けられた第1配線材16乃至第4配線材19に接続するだけで、第1太陽電池セルストリング41乃至第5太陽電池セルストリング45を所定の姿勢に配置することができる。したがって、複数の特に細長い太陽電池セルストリングを所定位置に位置合わせしながら配置する作業や配置した隣り合う太陽電池セルストリングの端部同士を配線により接続する作業を不要にすることができる。
【0028】
本実施形態における太陽電池セルストリング4を構成する複数の太陽電池セル22の並べ方を、
図6に示している。つまり、
図6における下側に位置する太陽電池セル22が有するバスバー電極23に、
図6における上側に位置する太陽電池セル22が有する裏面バスバー電極24を重ねるように配置し、各バスバー電極23,24が重なった部分は、導電性部材25を介して電気的に接続される(このように複数の太陽電池セル22を接続することを「シングリング接続」という)。なお、
図6において半導体基板26の上下でハッチングを付した部分は、半導体基板26の表面及び裏面に形成されたフィンガー線27である。このように配置することで、複数の太陽電池セル22が直列接続され、太陽電池セルストリング4を構成する。このように、複数の太陽電池セル22をシングリング接続するだけで、太陽電池セル同士の電気的な接続を行えるため、太陽電池セルストリング4を構成しやすい。
【0029】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0030】
前記実施形態では、第2配線材17(又は第3配線材18)を、断面形状で長方形の四辺のうち一辺が無い形状に構成したが、例えば
図7Aに示すように、第3配線材18を(図示していないが、第2配線材17も同様に)Uの字形状に構成してもよい。また、例えば
図7Bに示すように、第3配線材18を(図示していないが、第2配線材17も同様に)略V字形状に構成してもよい。また、例えば
図7Cに示すように、第3配線材18を(図示していないが、第2配線材17も同様に)第2の方向(上下方向)に長い長方形状に構成してもよい。
【0031】
また、前記実施形態では、太陽電池モジュールを構成する太陽電池セルストリングの5個を第2の方向に所定間隔を置いて配置し、太陽電池セルストリングの両端の接続部を第1シート材13及び第2シート材14の配線材に接続して1ユニットとしたが、3個又は4個あるいは6個以上の任意の個数の太陽電池セルストリングを、第2の方向に所定間隔を置いて配置してもよい。例えば、
図8Aには、10個の太陽電池セルストリングを接続することができるように、第1シート材13に2つの第1配線材16と4つの第3配線材18を備えたものを示している。具体的には、第1シート材13の下端から上端にかけて、第1配線材16、第3配線材18、第3配線材18、第1配線材16、第3配線材18、第3配線材18を順に配置している。これらの配線材16,18の全ては、銅箔である。尚、第2シート材14は、図示していないが、
図8Aの第1シート材13を180度点対称にした状態で太陽電池モジュールに配置される。
図8Bには、はんだメッキ銅線でなる負極側電線路15(斜めのハッチングを入れた部分)を、上下に位置する前記第1配線材16,16に接続した状態を示している。また、
図8Cでは、上下に位置する第1配線材16,16の一端部同士を電気的に連結する連結部16Aを備えた場合を示している。前記第1配線材16,16、連結部16A、4つの第3配線材18は、銅箔である。尚、第2シート材14は、図示していないが、
図8Cの第1シート材13を180度点対称にした状態で太陽電池モジュールに配置される。そして、
図8Aと同様に、はんだメッキ銅線でなる負極側電線路15(斜めのハッチングを入れた部分)を、上下に位置する第1配線材16,16に亘って接続した状態を
図8Bに示している。
【0032】
また、
図9Aでは、
図8Cで示した上下に位置する第1配線材16,16と連結部16Aとを形成していない状態を示している(二点鎖線で示している)。つまり、銅箔でなる4つの第3配線材18のみを形成した状態である。そして、
図9Bでは、第1シート材13上の第1配線材16,16と連結部16Aと負極側電線路15がはんだメッキ銅線で形成されている(斜めのハッチングを入れた部分)。また、第2シート材14上にも、同様に銅箔でなる4つの第2配線材17及び第4配線材19,19と第4配線材19,19の一端同士を連結する連結部19Aが形成され、第4配線材19,19と連結部19Aと正極側電線路20がはんだメッキ銅線で形成されている(斜めのハッチングを入れた部分)。尚、
図9Bでは、10個の太陽電池セルストリング4の第1端を、第1シート材13上の第1配線材16及び第3配線材18に接続し、10個の太陽電池セルストリング4の第2端を、第2シート材14上の第2配線材17及び第4配線材19に接続した状態を示している。
図9Bのハッチングで示した部分がはんだメッキ銅線で形成されている。このように、
図8B、
図9Bに示すハッチングで示した部分が、はんだメッキ銅線で形成されることによって、抵抗を銅箔に比べて小さくすることで大きな電流を流して集電することができるようにしている。
【0033】
また、前記実施形態では、複数の太陽電池セルをシングリング接続して太陽電池セルストリング4を構成したが、汎用の接続方法を含む他の接続方法で太陽電池セルストリング4を構成してもよい。
【0034】
また、前記実施形態では、第2の方向を第1の方向に直交する方向としたが、直角以外の角度で交差する方向であってもよい。
【0035】
前記実施形態に関する構成と作用につき、以下にまとめて記載する。前記実施形態に係る太陽電池モジュールは、少なくとも3個の太陽電池セルストリング41~43であって、各太陽電池セルストリング41~43は第1の方向に並べられた複数の太陽電池セルが電気的に接続され、前記第1方向に沿って第1端及び第2端を有するように構成され、表面側に受光面を設けられるように前記第1の方向に対して交差する第2の方向に沿って相互間にスペースを空けて配置される少なくとも3個の太陽電池セルストリング41~43と、前記受光面が設けられた表面側に配置される第1透明板6と、前記表面側とは反対の裏面側に配置される第2透明板11と、を備えた太陽電池モジュールであって、前記少なくとも3個の太陽電池セルストリング41~43のそれぞれは、前記第1端及び前記第2端に、電気的に接続可能な接続部4A,4Bを備え、前記少なくとも3個の太陽電池セルストリング41~43のうちの少なくとも2個の太陽電池ストリングそれぞれの前記第1端の前記接続部間及び第2端の前記接続部4A,4B間が相互に電気的に接続される配線材16~18を、前記第1端及び第2端のそれぞれに備え、前記第1端のそれぞれに備える前記配線材16,18が、前記第1端と対応する前記第2端のそれぞれに備える前記配線材17に対して所定の位置関係になるように設けられる第1シート材13と、前記第2端のそれぞれに備える前記配線材17が、前記第2端と対応する前記第1端のそれぞれに備える前記配線材16,18に対して所定の位置関係になるように設けられる第2シート材14と、を備えていることを特徴としている。
【0036】
かかる構成によれば、少なくとも3個の太陽電池セルストリング41~43のうちの少なくとも2個の太陽電池ストリングそれぞれの第1端及び第2端の接続部4A,4B間を、第1シート材13及び第2シート材14に所定の位置関係で設けられた配線材16~18に接続するだけで、少なくとも2つの太陽電池ストリングを所定の姿勢に配置することができる。したがって、複数の太陽電池セルストリングを所定位置に位置合わせしながら配置する作業に加えて、配置した隣り合う太陽電池セルストリングの端部同士を配線により接続する作業を不要にすることができる。
【0037】
前記複数の太陽電池セルをシングリング接続することにより前記各太陽電池セルストリング41~43が構成されていてもよい。
【0038】
上記のように、複数の太陽電池セルをシングリング接続するだけで、太陽電池セル同士の電気的な接続を行えるため、太陽電池セルストリングを構成しやすい。
【0039】
前記配線材16~18のそれぞれは、前記第1の方向に延びる接続部分17A,18Aを備えていてもよい。
【0040】
上記構成によれば、第1の方向に延びる接続部分17A,18Aに、太陽電池セルストリング41~43の接続部4A,4Bの向きを合わせながら太陽電池セルストリング41~43の接続部4A,4Bを接続するだけで、配線材16~18のそれぞれに太陽電池セルストリング41~43を位置合わせした状態で接続することができる。
【0041】
前記接続部分17A,18Aの前記第2の方向の幅の大きさが、各太陽電池セルストリング41~43の前記接続部4A,4Bにおける前記第2の方向の幅の大きさと略同一に構成されていてもよい。
【0042】
上記構成によれば、接続部分17A,18Aに太陽電池セルストリング41~43の接続部4A,4Bを一致させた状態で接続するだけで、配線材16~18に太陽電池セルストリング41~43を位置合わせした状態で接続することができる。
【0043】
以上より、前記実施形態によれば、少なくとも2つの太陽電池ストリングそれぞれの両端の接続部4A,4Bを、第1シート材13及び第2シート材14に所定の位置関係で設けられた配線材16~18に接続するだけで、少なくとも2つの太陽電池ストリングを所定の姿勢に配置することができる。よって、組み付け作業が容易に行える太陽電池モジュールを提供することができる。
【符号の説明】
【0044】
2…枠材、3…ガラス建材、4…太陽電池セルストリング、4A,4B…接続部、5…スペース、6…高透過(フロート)未強化ガラス(第1透明板)、7…第1封止材、11…高透過(フロート)未強化ガラス(第2透明板)、12…第2封止材、13…配線シート材(第1シート材)、14…配線シート材(第2シート材)、15…負極側電線路、16…第1配線材、16A…連結部、17…第2配線材、18…第3配線材、19…第4配線材、19A…連結部、17A,18A…接続部分、17B,18B…連結部分、20…正極側電線路、21…配線遮蔽材、22…太陽電池セル、23…バスバー電極、24…裏面バスバー電極、25…導電性部材、26…半導体基板、27…フィンガー線、41…第1太陽電池セルストリング、42…第2太陽電池セルストリング、43…第3太陽電池セルストリング、D…バイパスダイオード、H…電力取り出し線、T1…負極側端子ボックス、T2…正極側端子ボックス