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特許7441938電動圧縮機、インバーター組立用治具、及びインバーターの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】電動圧縮機、インバーター組立用治具、及びインバーターの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/14 20060101AFI20240222BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20240222BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240222BHJP
【FI】
F04B39/14
F04C29/00 B
H02M7/48 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022514273
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 KR2021001095
(87)【国際公開番号】W WO2021153991
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0011961
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0008280
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ, ジェ チョル
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2006-0054619(KR,A)
【文献】特開2015-223021(JP,A)
【文献】特開2019-195262(JP,A)
【文献】特開2001-291978(JP,A)
【文献】特開2008-261819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00-39/16
F04C 23/00-29/12
H02M 7/42― 7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力を発生させるモーター、
前記モーターから動力の伝達を受けて冷媒を圧縮する圧縮機構、及び
前記モーターを制御するインバーター、を含み、
前記インバーターは、複数の素子が実装される基板、及び前記基板と締結されるフレームを含み、
前記フレームは、前記基板の外周部を支持する固定手段を含み、
前記フレームは、前記基板に対向する基底板、及び前記基底板から延び、前記基板に向かって突出する側板を含み、
前記基板は、前記フレーム側に向かう上面、前記上面の背面をなす下面、及び前記上面の外周部と前記下面の外周部とを連結する枠面を含み、
前記固定手段は、前記基板の下面及び枠面に接するフック状に前記側板に形成され、
前記固定手段は複数形成され、
前記基底板には、前記複数の固定手段に対応する位置に貫通孔が形成され、
前記貫通孔は、複数の固定手段の側部ごとに備えられ、前記基板が前記フレームと締結される時、複数の貫通孔に挿入されるインバーター組立用治具の開けピンによって、前記複数の固定手段が変形されて、前記複数の固定手段間の間隔が増加できることを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記固定手段は、前記側板の一部が切開されて形成され、一端が前記側板と連結され、他端が自由端で形成され、弾性力を有するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記フレームは、円板部、及び前記円板部から突出する突出部を含み、
前記複数の固定手段のうち少なくとも2つは前記円板部に形成されるが、前記円板部の中心部を通る仮想の線を基準として互いに反対側に形成され、
前記複数の固定手段のうち少なくとも1つは前記突出部に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記円板部には、スイッチング素子が配置されることを特徴とする請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記固定手段は、前記基底板から前記基板の半径方向外側に延びる軸部、及び前記軸部から前記基板の半径方向内側に折り曲がる折曲部を含み、
前記折曲部が前記基板の外周部にかかって前記基板と前記フレームとが互いに締結されることを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項6】
前記貫通孔は、前記固定手段を基準として前記基板側に形成されることを特徴とする請求項5に記載の電動圧縮機。
【請求項7】
モーターから動力の伝達を受けて冷媒を圧縮する圧縮機構と、前記モーターを制御するインバーターとを含み、前記インバーターは、複数の素子が実装される基板、及び前記基板と締結されるフレームを含み、前記フレームは、前記基板に対向する基底板、前記基底板から突出して前記基板の外周部を支持する固定手段、及び前記基底板で前記固定手段に対応する位置に形成される貫通孔を含む電動圧縮機の前記貫通孔に挿入される開けピン、及び前記開けピンを前記固定手段に近くなるか遠くなる方向に運動させる開けピン運動機構を含むことを特徴とするインバーター組立用治具。
【請求項8】
前記開けピン運動機構は、
前記基底板を基準として前記固定手段の反対側で前記基底板に支持される第1板、及び前記第1板を基準として前記基底板の反対側で前記第1板及び前記基底板に近くなるか遠くなる方向に運動可能な第2板、を含み、
前記開けピンは、
前記第2板に固定結合されるボディー、
前記ボディーにヒンジ結合され、前記第1板を横切って前記貫通孔に挿入されるロッド、及び
前記ロッドに弾性力を印加する弾性部材を含むことを特徴とする請求項7に記載のインバーター組立用治具。
【請求項9】
前記ロッドは、前記第1板に対向する内周面、及び前記内周面の背面をなして前記固定手段に対向する外周面を含み、
前記弾性部材は、前記内周面が前記第1板に接触するように前記ロッドに弾性力を印加し、
前記第1板は、前記外周面が前記固定手段に接触するように前記ロッドに荷重を印加することを特徴とする請求項8に記載のインバーター組立用治具。
【請求項10】
前記内周面は、前記ボディーから遠くなるほど前記第1板側に近くなる方向に傾いた傾斜面を含むことを特徴とする請求項9に記載のインバーター組立用治具。
【請求項11】
前記開けピンは複数形成され、
前記複数の開けピンのうちで任意の開けピンの傾斜面は、前記複数の開けピンのうちで他の開けピンの傾斜面と同じ傾斜角に形成されることを特徴とする請求項10に記載のインバーター組立用治具。
【請求項12】
前記開けピン運動機構は、前記第1板から前記基底板側に延びる位置固定ピンをさらに含み、
前記基底板は、前記位置固定ピンが挿入されるホールをさらに含み、
前記位置固定ピンが前記ホールに挿入されると、前記第1板と前記基底板との間の距離は予め定まった値に維持され、前記複数の開けピンのうちで任意の開けピンの外周面と、前記任意の開けピンの外周面に対向する固定手段との間の距離は、前記複数の開けピンのうちで他の開けピンの外周面と、前記他の開けピンの外周面に対向する固定手段との間の距離と同一になることを特徴とする請求項11に記載のインバーター組立用治具。
【請求項13】
電動圧縮機は、モーターから動力の伝達を受けて冷媒を圧縮する圧縮機構と、前記モーターを制御するインバーターとを含み、前記インバーターは、複数の素子が実装される基板、及び前記基板と締結されるフレームを含み、前記フレームは、前記基板に対向する基底板、前記基底板から突出して前記基板の外周部を支持する固定手段、及び前記基底板で前記固定手段に対応する位置に形成される貫通孔を含み、
インバーター組立用治具は、前記貫通孔に挿入される開けピン、及び前記開けピンを前記固定手段に近くなるか遠くなる方向に運動させる開けピン運動機構を含み、
前記開けピンを前記貫通孔に挿入するステップ、
前記開けピン運動機構を操作して前記開けピンを前記固定手段に近くなる方向に運動させて前記固定手段を変形させるステップ、
前記基底板に前記基板を安着させるステップ、
前記開けピン運動機構を操作して前記開けピンを前記固定手段から遠くなる方向に運動させ、前記固定手段が復元されて前記基板と締結されるようにするステップ、及び前記開けピンを前記貫通孔から引き出すステップを含むことを特徴とするインバーターの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機、インバーター組立用治具、及びインバーターの製造方法に係り、より詳しくは、インバーターの基板とフレームとが容易に組み立てられるようにした電動圧縮機、インバーター組立用治具、及びインバーターの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車の空調システムに用いられる圧縮機は、蒸発器から蒸発が完了した冷媒を吸入し、液化しやすい高温、高圧状態にして凝縮器に伝達する機能を行う。
このような圧縮機は、車両のエンジンから駆動力の提供を受けて圧縮動作を行う機械式圧縮機と、別途の電源供給による電動モーター(以下、モーター)の駆動で圧縮動作を行う電動圧縮機とに分けられ、電動圧縮機の場合は通常、モーターの回転数、トルクなどが調節されることで冷房効率が可変に調節されるように形成される。
電動圧縮機についてさらに具体的に検討すると、従来の電動圧縮機は、動力を発生させるモーター、前記モーターから動力の伝達を受けて冷媒を圧縮する圧縮機構、及び前記モーターを制御するインバーターを含む。
ここで、前記インバーターは、複数の素子が実装される基板、及び固定手段により前記基板と締結されるフレームを含んでもよい。
しかし、このような従来の電動圧縮機においては、前記固定手段が、例えばボルトのような別途の部材で形成されるため、インバーターの基板とフレームとを組み立てることが容易でなく、製造コストが増加するという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は、インバーターの基板とフレームとの間の組み立てを容易にし、製造コストを節減することができる電動圧縮機、インバーター組立用治具、及びインバーターの製造方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上述のような目的を達成するため、動力を発生させるモーター、前記モーターから動力の伝達を受けて冷媒を圧縮する圧縮機構、及び前記モーターを制御するインバーター、を含み、前記インバーターは、複数の素子が実装される基板、及び前記基板と締結されるフレームを含み、前記フレームは、前記基板の外周部を支持する固定手段を含むことを特徴とする。
【0005】
前記フレームは、前記基板に対向する基底板、及び前記基底板から延び、前記基板に向かって突出する側板を含み、前記固定手段は、前記側板に形成されることを特徴とする。
【0006】
前記固定手段は、前記側板の一部が切開されて形成され、一端が前記側板と連結され、他端が自由端で形成され、弾性力を有するように形成されることを特徴とする。
【0007】
前記基板は、前記フレーム側に向かう上面、前記上面の背面をなす下面、及び前記上面の外周部と前記下面の外周部とを連結する枠面を含み、前記固定手段は、前記基板の下面及び枠面に接するフック状に形成されることを特徴とする。
【0008】
前記固定手段は複数形成され、前記基底板には、前記複数の固定手段に対応する位置に貫通孔が形成されることを特徴とする。
【0009】
前記フレームは、円板部、及び前記円板部から突出する突出部を含み、前記複数の固定手段のうち少なくとも2つは前記円板部に形成されるが、前記円板部の中心部を通る仮想の線を基準として互いに反対側に形成され、前記複数の固定手段のうち少なくとも1つは前記突出部に形成されることを特徴とする。
【0010】
前記円板部には、スイッチング素子が配置されることを特徴とする。
【0011】
前記固定手段は、前記基底板から前記基板の半径方向外側に延びる軸部、及び前記軸部から前記基板の半径方向内側に折り曲がる折曲部を含み、前記折曲部が前記基板の外周部にかかって前記基板と前記フレームとが互いに締結されることを特徴とする。
【0012】
前記貫通孔は、前記固定手段を基準として前記基板側に形成されることを特徴とする。
【0013】
一方、本発明は、前記電動圧縮機の貫通孔に挿入される開けピン、及び前記開けピンを前記固定手段に近くなるか遠くなる方向に運動させる開けピン運動機構、+を含むインバーター組立用治具を提供する。
前記開けピン運動機構は、前記基底板を基準として前記固定手段の反対側で前記基底板に支持される第1板、及び前記第1板を基準として前記基底板の反対側で前記第1板及び前記基底板に近くなるか遠くなる方向に運動可能な第2板、を含み、前記開けピンは、前記第2板に固定結合されるボディー、前記ボディーにヒンジ結合され、前記第1板を横切って前記貫通孔に挿入されるロッド、及び前記ロッドに弾性力を印加する弾性部材、を含んでもよい。
【0014】
前記ロッドは、前記第1板に対向する内周面、及び前記内周面の背面をなして前記固定手段に対向する外周面を含み、前記弾性部材は、前記内周面が前記第1板に接触するように前記ロッドに弾性力を印加し、前記第1板は、前記外周面が前記固定手段に接触するように前記ロッドに荷重を印加することができる。
前記内周面は、前記ボディーから遠くなるほど前記第1板側に近くなる方向に傾いた傾斜面を含んでもよい。
前記開けピンは複数形成され、前記複数の開けピンのうちで任意の開けピンの傾斜面は、前記複数の開けピンのうちで他の開けピンの傾斜面と同じ傾斜角に形成されてもよい。
【0015】
前記開けピン運動機構は、前記第1板から前記基底板側に延びる位置固定ピンをさらに含み、前記基底板は、前記位置固定ピンが挿入されるホールをさらに含み、前記位置固定ピンが前記ホールに挿入されると、前記第1板と前記基底板との間の距離は予め定まった値に維持され、前記複数の開けピンのうちで任意の開けピンの外周面と、前記任意の開けピンの外周面に対向する固定手段との間の距離は、前記複数の開けピンのうちで他の開けピンの外周面と、前記他の開けピンの外周面に対向する固定手段との間の距離と同一になってもよい。
【0016】
また、本発明は、前記インバーター組立用治具の開けピンを前記貫通孔に挿入するステップ、前記開けピン運動機構を操作して前記開けピンを前記固定手段に近くなる方向に運動させて前記固定手段を変形させるステップ、前記基底板に前記基板を安着させるステップ、前記開けピン運動機構を操作して前記開けピンを前記固定手段から遠くなる方向に運動させ、前記固定手段が復元されて前記基板と締結されるようにするステップ、及び前記開けピンを前記貫通孔から引き出すステップ、を含むインバーターの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電動圧縮機、インバーター組立用治具、及びインバーターの製造方法は、電動圧縮機のインバーターが基板と締結されるフレームを含み、前記フレームは、前記基板に対向する基底板、前記基底板から突出して前記基板の外周部を支持する固定手段、及び前記基底板で前記固定手段に対応する位置に形成される貫通孔を含み、インバーター組立用治具は、前記貫通孔に挿入される開けピン、及び前記開けピンを前記固定手段に近くなるか遠くなる方向に運動させる開けピン運動機構を含み、インバーターの製造方法は、前記開けピンを前記貫通孔に挿入するステップ、前記開けピン運動機構を操作して前記固定手段を変形させるステップ、前記基底板に前記基板を安着させるステップ、及び前記開けピン運動機構を操作することにより前記固定手段が復元されて前記基板と締結されるようにするステップを含むことで、インバーターの基板とフレームとの間の組み立てを容易にし、製造コストを節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例による電動圧縮機を示した断面図である。
図2図1の電動圧縮機で基板とフレームとの締結過程を概略的に示した断面図である。
図3】本発明の他の実施例による電動圧縮機構フレームを示した正面図である。
図4図3のフレームを把持するためのインバーター組立用治具を示した斜視図である。
図5図4のインバーター組立用治具でフレームを基板に締結させる過程のうち、基板とフレームとが締結される前に基板、フレーム及びインバーター組立用治具が備えられるステップを示した断面図である。
図6図5の次のステップとして、インバーター組立用治具の開けピンがフレームの貫通孔に挿入されるステップを示した断面図である。
図7図6の次のステップとして、開けピンが固定手段を変形させるステップを示した断面図である。
図8図7の次のステップとして、基板がフレームの基底板に安着されるステップを示した断面図である。
図9図8の次のステップとして、固定手段が復元されて基板と締結されるステップを示した断面図である。
図10図9の次のステップとして、開けピンが貫通孔から引き出され、基板とフレームとの間の組み立てが完了するステップを示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による電動圧縮機、インバーター組立用治具、及びインバーターの製造方法を、添付の図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施例による電動圧縮機を示した断面図であり、図2は、図1の電動圧縮機で基板とフレームとの締結過程を概略的に示した断面図である。
添付の図1及び図2に示す通り、本発明の電動圧縮(100)は、ハウジング(110)、ハウジング(110)の内部空間に備えられて動力を発生させるモーター(120)、モーター(120)から動力の伝達を受けて冷媒を圧縮する圧縮機構(130)、及びモーター(120)を制御するインバーター(140)を含んでもよい。
ハウジング(110)は、モーター(120)が収容されるモーター収容空間を有するモーターハウジング(112)、モーターハウジング(112)の一側に結合され、圧縮機構(130)が収容されるフロントハウジング(114)、モーターハウジング(112)の他側に結合され、インバーター(140)が収容されるリアハウジング(116)、及びリアハウジング(116)に結合され、インバーター(140)を覆うインバーターカバー(118)を含んでもよい。
【0020】
モーター(120)は、モーターハウジング(112)の内部に固定される固定子(122)、固定子(122)の内部に位置し、固定子(122)との相互作用により回転される回転子(124)、及び回転子(124)に結合され、回転子(124)と共に回転される回転軸(126)を含んでもよい。
圧縮機構(130)は、固定設置される固定スクロール(132)、及び固定スクロール(132)に噛み合って圧縮室を形成し、回転軸(126)に連動して旋回運動する旋回スクロール(134)を含んでもよい。ここで、本実施例の場合、圧縮機構(130)は、いわゆるスクロール式に形成されるが、これに限定されるのではなく、往復動式、ベーンロータリー方式など他の形態に形成されてもよい。
インバーター(140)は、インバーター制御に必要な複数の素子が実装される基板(142)、及び基板(142)と締結されるフレーム(144)を含んでもよい。
ここで、フレーム(144)は、基板(142)を支持する固定手段(144b)を含み、固定手段(144b)とフレーム(144)とが一体に形成されてもよい。
【0021】
具体的に、フレーム(144)は、基板(142)に対向する基底板(144a)、及び基底板(144a)から延び、基板(142)に向かって突出する(144e)を含み、固定手段(144b)は、側板(144e)に形成されてもよい。
このとき、固定手段(144b)は複数形成され、複数の固定手段(144b)は、それぞれ側板(144e)の一部が切開されて形成され、一端が側板(144e)と連結され、他端が自由端で形成され、弾性力を有するように形成されてもよい。
また、基板(142)は、フレーム(144)に向かう上面、上面の背面をなす下面、及び上面の外周部と下面の外周部とを連結する枠面を含み、複数の固定手段(144b)は、それぞれ基板の下面及び枠面に接するフック状に形成されてもよい。
このような構成による基板(142)とフレーム(144)とは、図2に示すようなインバーターの製造方法で互いに締結されることができる。
【0022】
すなわち、基板(142)が第1インバーター組立用治具(210)に載置され、フレーム(144)が基板(142)を基準として第1インバーター組立用治具(210)の反対側に離隔して配置されてもよい。ここで、フレーム(144)は、固定手段(144b)が基板(142)側に向かうように配置されてもよい。
また、フレーム(144)は、基板(142)側に移動されてもよい。ここで、複数の固定手段(144b)が基板(142)の外周部に接触した後、フレーム(144)が基板(142)側にさらに移動されると、複数の固定手段(144b)が基板(142)により加圧変形され、複数の固定手段(144b)間の間隔が増加され、基板(142)が複数の固定手段(144b)の間を通過して基底板(144a)に装着(収容)される。
また、基板(142)が基底板(144a)に装着されると、複数の固定手段(144b)が復元され、基板(142)は、固定手段(144b)の折曲部(144bb)にかかることで、基板(142)とフレーム(144)との間の組み立てが完了できる。
【0023】
一方、この場合、基板(142)とフレーム(144)との間の組み立て過程で、基板(142)の曲げ変形が発生し、基板(142)に装着された複数の素子に損傷が発生することで、固定手段(144b)が損傷し得る。
これを考慮して、図3ないし図10に示すような本発明の他の実施例による電動圧縮機、インバーター組立用治具、及びインバーターの製造方法が提供できる。
図3は、本発明の他の実施例による電動圧縮機構フレームを示した正面図であり、図4は、図3のフレームを把持するためのインバーター組立用治具を示した斜視図であり、図5ないし図10は、図4のインバーター組立用治具でフレームを基板に締結させる過程を概略的に示した断面図である。
ここで、図5は、基板とフレームとが締結される前に基板、フレーム及びインバーター組立用治具が備えられるステップを示した断面図であり、図6は、図5の次のステップとして、インバーター組立用治具の開けピンがフレームの貫通孔に挿入されるステップを示した断面図であり、図7は、図6の次のステップとして、開けピンが固定手段を変形させるステップを示した断面図であり、図8は、図7の次のステップとして、基板がフレームの基底板に装着されるステップを示した断面図であり、図9は、図8の次のステップとして、固定手段が復元されて基板と締結されるステップを示した断面図であり、図10は、図9の次のステップとして、開けピンが貫通孔から引き出され、基板とフレームとの間の組み立てが完了するステップを示した断面図である。
【0024】
図1及び図3ないし図10に示す通り、フレーム(144)は、モーター(120)に対応する位置に配置される円板部(C)、及び前記円板部(C)から突出する突出部(P)を含んでもよい。
また、フレーム(144)は、基板(142)に対向する基底板(144a)、基底板(144a)から延び、基板(144a)に向かって突出する側板(144e)、側板(144e)に形成され、基板(142)の外周部を支持する固定手段(144b)、及び後述の第2インバーター組立用治具(220)の開けピン(222)が挿入可能になるように固定手段(144b)に対応する位置で基底板(144a)を貫通する貫通孔(144c)を含んでもよい。
基底板(144a)は、円板部(C)の領域と突出部(P)の領域にかけて形成されてもよい。
また、基底板(144a)のうち、円板部(C)の領域にはスイッチング素子(146)(例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、IPM(Intelligen
t Power Module)など)が配置されてもよい。
また、基底板(144a)のうち、突出部(P)の領域にはフィルター素子(148)(例えば、キャパシター、コンデンサー)が配置されてもよい。
【0025】
基底板(144a)は、フレームホール(144d)を含み、基板(142)とフレーム(144)とが組み立てられるときは、後述の第2インバーター組立用治具(220)の位置固定ピン(224c)がフレームホールに挿入され、基板(142)とフレーム(144)とが組み立てられた後は、フレーム(144)をハウジング(110)に締結させるための締結部材がフレームホールに挿入されてもよい。
ここで、フレーム(144)がハウジング(110)に安定して締結されるように、フレームホール(144d)は複数形成され、後述のインバーター組立用治具(200)が安定して支持されるように、後述の位置固定ピン(224c)は、複数のフレームホール(144d)と同一の数形成されてもよい。
また、基板(144a)は、締結部材により前記フレーム(144)及びハウジング(110)と共に締結されるように、フレームホール(144d)に対向する位置で基板(144a)を貫通して形成される基板ホールを含み、基板ホールは、複数のフレームホール(144d)と同一の数に形成されてもよい。
基板(142)とフレーム(144)とが安定して組み立てられるように、固定手段(144b)は複数形成され、複数の固定手段(144b)は、基底板(144a)の外周部に沿って配列されてもよい。
【0026】
ここで、複数の固定手段(144b)のうち少なくとも2つは円板部(Cに形成されるが、円板部(C)の中心部を通る仮想の線を基準として互いに反対側に形成されてもよい。
また、複数の固定手段(144b)のうち少なくとも1つは突出部(P)に形成されてもよい。
また、それぞれ基底板(144a)から基板(142)の半径方向外側に延びる軸部(144ba)、及び軸部(144ba)から基板(142)の半径方向内側に折り曲がる折曲部(144bb)を含んでもよい。
貫通孔(144c)は、複数の固定手段(144b)の側部ごとに備えられるように複数の固定手段(144b)と同一の数に形成されてもよい。
また、後述の開けピン(222)が固定手段(144b)を半径方向外側に加圧して複数の固定手段(144b)間の間隔が増加されるように、また基板(142)が複数の固定手段(144b)と干渉することなく基底板(144a)に装着されるように、複数の貫通孔(144c)は、それぞれ固定手段(144b)を基準として基板(142)側に形成されてもよい。
説明していない符号144fは、切開部である。
【0027】
一方、本実施例によるインバーター組立用治具(200)は、基板(142)を在置させるための第1インバーター組立用治具(210)、及びフレーム(144)を把持するための第2インバーター組立用治具(220)を含んでもよい。
ここで、図4ないし図10を参照すると、第2インバーター組立用治具(220)は、フレーム(144)の貫通孔(144c)に挿入される開けピン(222)、及び開けピン(222)をフレーム(144)の固定手段(144b)に近くなるか遠くなる方向に運動させる開けピン運動機構(224)を含んでもよい。
開けピン(222)は、複数の貫通孔(144c)に挿入されるように複数の貫通孔(144c)と同一の数に形成されてもよい。
また、複数の開けピン(222)は、それぞれ後述の第2板(224b)に固定結合されるボディー(222a)、ボディー(222a)にヒンジ結合され、後述の第1板(224a)の外郭を横切って貫通孔(144c)に挿入されるロッド(222b)、及びロッド(222b)に弾性力を印加する弾性部材(222c)を含んでもよい。
電動圧縮機(100)の仕様ごとに異なる貫通孔(144c)の数及び位置によって開けピン(222)の数及び位置が調節可能になるように、ボディー(222a)は、後述の第2板(224b)に脱着可能に形成されてもよい。
【0028】
ロッド(222b)は、固定手段(144b)に対向する外周面(222ba)、及び外周面(222ba)の背面をなして後述の第1板(224a)に対向する内周面(222bb)を含んでもよい。
外周面(222ba)は、一定の平面に形成されてもよい。
内周面(222bb)は、ボディー(222a)から遠くなるほど後述の第1板(224a)側に近くなる方向に傾いた傾斜面(222bba)、及びボディー(222a)と傾斜面(222bba)との間で外周面(222ba)に平行な非傾斜面(222bbb)を含んでもよい。
複数の開けピン(222)のうち任意の開けピンは、複数の開けピン(222)のうち他の開けピンと同様に形成されてもよい。さらに正確には、任意の開けピンの外周面(222ba)と非傾斜面(222bbb)との間の厚さが、他の開けピンの外周面(222ba)と非傾斜面(222bbb)と間の厚さと同等の水準に形成されてもよい。また、任意の開けピンの外周面(222ba)と傾斜面(222bba)との間の傾斜角及び厚さ関係が、他の開けピンの外周面(222ba)と傾斜面(222bba)との間の傾斜角及び厚さ関係と同等の水準に形成されてもよい。
弾性部材(222c)は、内周面(222bb)が後述の第1板(224a)の外周面に接触する方向にロッド(222b)に弾性力を印加するように形成されてもよい。
【0029】
開けピン運動機構(224)は、基底板(144a)を基準として固定手段(144b)の反対側に配置される第1板(224a)、複数の開けピン(222)が装着され、第1板(224a)を基準として基底板(144a)の反対側で第1板(224a)及び基底板(144a)に近くなるか遠くなる方向に運動可能な第2板(224b)、第1板(224a)が基底板(144a)を基準として予め定まった位置で基底板(144a)に支持されるように第1板(224a)から基底板(144a)側に延び、フレームホール(144d)に挿入及び支持される位置固定ピン(224c)、第1板(224a)から基底板(144a)の反対側に延び、第2板(224b)及び後述のシリンダー(224f)を貫通するピストン(224d)、ピストン(224d)の先端部に配置され、作業者の片手の手の平に装着される第1取っ手(224e)、第2板(224b)から基底板(144a)の反対側に延び、ピストン(224d)を収容するシリンダー(224f)、シリンダー(224f)の先端部から半径方向外側に延び、片手の指に把持される第2取っ手(224g)を含んでもよい。
【0030】
開けピン運動機構(224)は、位置固定ピン(224c)がフレームホール(144d)に挿入されると、第1板(224a)と基底板(144a)との間の距離が予め定まった値に維持されるように形成されてもよい。このために、本実施例の場合は、フレームホール(144d)の周辺部にかかるフランジ部(224ca)が位置固定ピン(224c)の端部に形成されるが、これに限定されるのではない。
また、開けピン運動機構(224)は、位置固定ピン(224c)がフレームホール(144d)に挿入されると、複数の開けピン(222)のうち任意の開けピンのロッド(222b)の外周面(222ba)と、任意の開けピンのロッド(222b)の外周面(222ba)に対向する固定手段(144b)との間の距離が、複数の開けピン(222)のうち他の開けピンのロッド(222b)の外周面(222ba)と、他の開けピンのロッド(222b)の外周面(222ba)に対向する固定手段(144b)との間の距離と同一になるように形成されてもよい。
インバーター組立用治具(200)は、図5ないし図10に示すように、基板(142)とフレーム(144)の間の組み立てに用いることができる。すなわち、基板(142)とフレーム(144)とは、インバーター組立用治具(200)により、図5ないし図10に示すインバーターの製造方法によって組み立てられる。
【0031】
具体的に、図5及び図6に示す通り、基板(142)が第1インバーター組立用治具(210)に在置され、第2インバーター組立用治具(220)がフレーム(144)に対向するように配置された後、開けピン(222)が貫通孔(144c)に挿入される。
また、作業者が第1取っ手(224e)と第2取っ手(224g)とを把持した片手をすぼめると、図7に示すように、第2取っ手(224g)が第1取っ手(224e)に近くなる方向(図7における上方)に移動し、第2取っ手(224g)に連結された第2板(224b)が第1板(224a)から遠くなる方向(図7における上方)に移動し、第2板(224b)に締結されている開けピン(222)も第2板(224b)と共に第1板(224a)から遠くなる方向(図7における上方)に移動することができる。すると、非傾斜面(222bbb)に接触していた第1板(224a)が傾斜面(222bba)に接触するようになり、開けピン(222)が固定手段(144b)に近くなる方向に回転運動することができる。すなわち、外周面(222ba)が固定手段(144b)に接触するように、第1板(224a)はロッド(222b)に荷重を印加することができる。また、ロッド(222b)の外周面(222ba)により加圧される固定手段(144b)は、半径方向外側に変形される。すなわち、複の固定手段(144b)間の間隔が増加し得る。ここで、複数の固定手段(144b)間の間隔(さらに正確には、折曲部(144bb)間の間隔)が基板(142)の半径方向幅より大きく増加し得る。
【0032】
ここで、図5ないし図7は、説明を容易にするため、まるでフレーム(144)が基板(142)の上部に浮揚されている状態で、開けピン(222)が貫通孔(144c)に挿入された後に開けられて固定手段(144b)を把持(変形)するように示しているが、実際は、フレーム(144)が、例えば地面などに装着されている状態で、開けピン
(222)が貫通孔(144c)に挿入された後に開けられて固定手段(144b)を把持(変形)してから基板(142)の上部に移動されることである。
また、図8に示すように、第2インバーター組立用治具(220)とフレーム(144)とが基板(142)側に移動されることで、基板(142)が複数の固定手段(144b)の間を通過して基底板(144a)に装着される。ここで、基板(14)が複数の固定手段(144b)の間を通過するとき、基板(142)と複数の固定手段(144b)との間の干渉が発生しないようにできる。
【0033】
また、作業者が第1取っ手(224e)と第2取っ手(224g)とを把持した前記片手を開けると、図9に示すように、弾性部材(222c)によって、第2取っ手(224g)が第1取っ手(24e)から遠くなる方向(図9における下方)に移動し、第2取っ手(224g)に連結された第2板(224b)が第1板(224a)に近くなる方向(図9における下方)に移動し、第2板(224b)に締結されている開けピン(222)も第2板(224b)と共に第1板(224a)に近くなる方向(図9における下方)に移動し得る。また、傾斜面(222bba)に接触していた第1板(224a)が非傾斜面(222bbb)に接触するようになり、開けピン(222)が固定手段(144b)から遠くなる方向に回転運動できる。また、これ以上ロッド(222b)の外周面(222ba)によって加圧されない固定手段(144b)は、半径方向内側に復元される。
すなわち、複数の固定手段(144b)間の間隔が減少し得る。ここで、複数の固定手段(144b)間の間隔(さらに正確には、折曲部(144bb)間の間隔)が基板(142)の半径方向幅より小さく減少し得る。これによって、基板(142)の外周部が固定手段(144b)の折曲部(144bb)にかかることで、基板(142)とフレーム
(144)とが締結される。
【0034】
また、図10に示すように、開けピン(222)が貫通孔(144c)から引き出され、第2インバーター組立用治具(220)がフレーム(144)から脱去されると、基板(142)とフレーム(144)との間の組み立てが完了できる。
本実施例による電動圧縮機(100)、インバーター組立用治具(200)、及びインバーターの製造方法は、フレーム(144)が基板(142)の外周部を支持する固定手段(144b)を含むことで、インバーターの基板とフレームとの間の組み立てを容易にし、製造コストを節減することができる。
また、固定手段(144b)の側部に貫通孔(144c)が形成され、インバーター組立用治具(200)は、貫通孔(144c)に挿入される開けピン(222)、及び開けピン(222)を固定手段(144b)に近くなるか遠くなる方向に運動させる開けピン運動機構(224)を含み、インバーターの製造方法は、開けピン(222)を貫通孔(144c)に挿入するステップ、開けピン運動機構(224)を操作して固定手段(144b)を変形させるステップ、基底板(144a)に基板(142)を安着させるステップ、及び開けピン運動機構(224)を操作することにより固定手段(144b)が復元されて基板(142)と締結されるようにするステップを含むことで、基板(142)が固定手段(144b)を通過して基底板(144a)に装着されるとき、固定手段(144b)と干渉しないようにできる。これによって、基板(142)の曲げ変形が防止され、複数の素子の損傷が防止できる。また、固定手段(144b)の損傷も防止できる。
【0035】
また、従来は、フレーム(144)を作業者が手で押すことで基板(142)と組み立てるが、このとき、複数の固定手段(144b)に同等水準の力を加えることが困難であった。しかし、本実施例の場合はこのような問題点が解消できる。すなわち、位置固定ピン(224c)によって第1板(224a)が予め定まった位置に配置され、複数のピンと複数の固定手段(144b)との間の距離が同等の水準になり、複数の開けピン(222)が互いに同様に形成され、第1板(224a)により回転運動するとき、同等の水準に回転されることで、複数の固定手段(144b)に同等水準の力が加えられる。これによって、複数の固定手段(144b)のうちの一部に相対的に大きい力が加えられて永久変されるという問題点が予め防止できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10