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特許7441946非ヒト動物の乾乳におけるSGLT-2阻害剤の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】非ヒト動物の乾乳におけるSGLT-2阻害剤の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/351 20060101AFI20240222BHJP
   A61P 15/14 20060101ALI20240222BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240222BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20240222BHJP
   A61K 31/382 20060101ALI20240222BHJP
   A61K 31/35 20060101ALI20240222BHJP
   A61K 31/7056 20060101ALI20240222BHJP
   A61K 31/7042 20060101ALI20240222BHJP
   A61K 31/7034 20060101ALI20240222BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240222BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240222BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
A61K31/351
A61P15/14 173
A61P15/14
A61P15/14 171
A61P15/00 171
A61K31/381
A61K31/382
A61K31/35
A61K31/7056
A61K31/7042
A61K31/7034
A61K47/04
A61K47/02
A61K45/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022529396
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 EP2020083267
(87)【国際公開番号】W WO2021105152
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】20200103.8
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19212134.1
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505258715
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム フェトメディカ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Boehringer Ingelheim Vetmedica GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】ライヒェ ダニア ビルテ
【審査官】伊藤 良子
(56)【参考文献】
【文献】BRADFORD B. J. et al.,J. Nutr.,2005年,135,pp.2206-2211
【文献】AZZALIN A. et al.,Neoplasia,2017年,Vol.19 No.4 ,pp.364-373
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反芻動物の乾乳を改善及び/又は促進する方法であって、前記反芻動物に少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を投与することを含前記少なくとも1種のSGLT-2阻害剤がベラグリフロジンである、前記方法。
【請求項2】
妊娠中及び/又は泌乳中の反芻動物の乳汁産生を減少させる方法であって、前記反芻動物に少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を投与することを含
前記少なくとも1種のSGLT-2阻害剤がベラグリフロジンである、前記方法。
【請求項3】
反芻動物の乳房及び/又は乳腺内の乳汁蓄積及び/又は鬱血を低減させる方法であって、前記反芻動物に少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を投与することを含み、
前記少なくとも1種のSGLT-2阻害剤がベラグリフロジンである、前記方法。
【請求項4】
反芻動物の乳房鬱血と関連する不快感を低減させる方法であって、前記反芻動物に少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を投与することを含
前記少なくとも1種のSGLT-2阻害剤がベラグリフロジンである、前記方法。
【請求項5】
反芻動物の乾乳後の乳汁漏出を減少させる方法であって、前記反芻動物に少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を投与することを含み、
前記少なくとも1種のSGLT-2阻害剤がベラグリフロジンである、前記方法。
【請求項6】
反芻動物における乳房内感染(IMI)及び/又は子宮炎の発生率を低下させる方法であって、前記反芻動物に少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を投与することを含
前記少なくとも1種のSGLT-2阻害剤がベラグリフロジンである、前記方法。
【請求項7】
ベラグリフロジンが、妊娠中の反芻動物に如何なる有害及び/若しくは堕胎作用をも及ぼすことなく治療有効量で投与され、並びに/又はベラグリフロジンが、その後の繁殖周期/妊孕性並びに次の泌乳の乳量及び/若しくは乳質に如何なる負の効果をも及ぼすことなく治療有効量で投与される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ベラグリフロジンが、さらに又は代わりに次の泌乳の開始後の最初の月の新たな乳房内感染(IMI)の発生率の低下をもたらす治療有効量で投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記反芻動物が、ウシ、ヤギ、ヒツジから成る群より選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ベラグリフロジンが、経口、非経口、経直腸、腟内、静脈内、皮下又は筋肉内投与される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ベラグリフロジンが、0.01mg/kg(体重)~10mg/kg(体重)の用量で投与される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ベラグリフロジンが、1週間1回、2回、3回、4回、5回、6回又は毎日投与される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ベラグリフロジンが、乾乳開始時に1回だけ又は2回(24時間又は48時間空けて)、0.01mg/kg(体重)~10mg/kg(体重)の用量で、経口、皮下又は筋肉内投与される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ベラグリフロジンが、前記反芻動物への少なくとも1種の飼料補助剤の投与前、後若しくは投与と同時に、及び/又は前記反芻動物に提供される飼料の減少前、後若しくは減少と同時に投与される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記飼料補助剤が、塩化アンモニウム、塩化カルシウム及び硫酸カルシウムから成る群より選択される1種以上の酸性化剤を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記飼料補助剤が、5%(w/w)~15%(w/w)の塩化アンモニウム、40%(w/w)~60%(w/w)の塩化カルシウム及び15%(w/w)~25%(w/w)の硫酸カルシウムを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記飼料補助剤が、10.4%(w/w)の塩化アンモニウム、51.9%(w/w)の塩化カルシウム及び20.1%(w/w)の硫酸カルシウムを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
ベラグリフロジンが、乾乳開始時に1回だけ又は最後の搾乳後24時間若しくは48時間空けて2回の治療として2回投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
反芻動物が、乳牛、妊娠中及び/又は泌乳中の乳牛から成る群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記乳房鬱血と関連する不快感の低減が、乳房鬱血と関連する毎日の横臥時間の増加及び/又は乳房鬱血と関連するストレスの低減である、請求項4に記載の方法。
【請求項21】
乳房内感染(IMI)が乳腺炎である、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の分野
本発明は、医学の分野、特に獣医学の分野に関する。本発明は、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乾乳における1種以上のSGLT-2阻害剤又はその医薬的に許容される形態の使用に関する。
【0002】
発明の背景
乳牛において、泌乳期間は、通常約10ヵ月である。この泌乳期後には、乳房内に蓄積する乳汁の背圧は乳汁の産生を止めるための乳腺細胞の退縮に重要な刺激なので、動物の搾乳を急に停止することが多い。乾乳期の開始は健康な反芻動物にとって難題である。
乳房内細菌感染及び乳腺炎に至る可能性のある乾乳後の乳房の鬱血及び疼痛並びに/又は乳汁漏出は、特に高乳量の乳牛の筋道である。乾乳時に12.5kgを超える乳量の5kg毎の乳量に対して、乳房内感染の可能性は少なくとも77%上昇する。他の種でも同様だが、ナトリウムグルコース連鎖輸送体2(SGLT-2)は、主にウシの腎臓に発現する。しかしながら、それは、より低いレベルでウシの乳腺、肝臓、肺、脾臓、腸、及び骨格筋に発現する。ウシの乳腺におけるSGLT-2の発現は、妊娠後期から泌乳初期までに10倍超増加する(Zhao FQ et al., J. Dairy Sci., 2005, 88: 2738-2748)。しかしながら、乳腺におけるSGLTの生理的役割は未だ研究されていない(Zhao FQ, J Mammary Gland Biol Neoplasia 2014, 19: 3-7)。
【0003】
現在の技術水準は「良好な管理」、すなわち搾乳の漸進的/徐々の休止、及び/又は飼料減少である。これらの手順は、効果をもたらすのに数日必要なので、ほとんどの場合、これらの管理ツールは、便利さのために実行されるのではなく、乳牛は突然の急な乾乳を受ける。
その上、これらの良好な管理手順には明白な欠点がある。搾乳の徐々の休止は、体細胞数を増やす。すなわち獲得される乳価に最終的な商業的ペナルティーがある。一時的に中断された乳房鬱血も明らかに不快感及びストレスを誘発する。乳汁漏出及び/又は乳房内感染の発生率への影響に関する論議がある。同様に、飼料制限はストレス及び不快感を誘発する。さらに、乳汁漏出への影響について利用可能な報告には議論の余地があり、結果として乳房内感染のリスクがある。有効に乳汁産生を減らすためには数日必要なので、より重要な飼料減少は明らかに負のエネルギーバランスをもたらす。これが数日間にわたって持続すれば、血中の非エステル化脂肪酸(NEFA)及びケトン体の増加が「脂肪肝症候群」さえ誘発し、及び/又は全身免疫状態を障害する可能性がある。上述したことに加えて、急な乾乳及び痛みを伴う乳房鬱血もストレスを誘発し、ストレスは動物の感染への感受性を高め、ひいては乾乳期の開示時の乳房内感染のリスクを高めることが知られている。従って、乾乳時の雌牛は乳腺炎/子宮炎にかかりやすい。例えば、また無症候性乳腺炎又は無症候性ケトーシスは認識されないことが多いが、長期にわたって、すなわちその後の繁殖周期/妊孕性並びに乳量及び/又は乳質に悪影響を及ぼすことさえある。
【0004】
カベルゴリンのようなプロラクチン阻害効果を有する薬物を使用してよい。カベルゴリンは、合成麦角誘導体であり、D2受容体への強力なドーパミン受容体作動薬である。それは、プロラクチン産生を抑制する下垂体においてプロラクチン産生細胞のドーパミン受容体に作用する。結果として、カベルゴリン投与は、乾乳時における乳房の鬱血及び乳房内圧力の低減につながる乳汁産生の減少を誘発する。カベルゴリンは、乳汁産生を減少させて、乾乳時の乳汁漏出を少なくし、乾乳期間中の新たな乳房内感染(IMI)のリスクを低減させ、不快感を少なくすることによって、突然の乾乳の助けとして乳牛に使用するために一部の国で登録されている。しかしながら、EUにおけるカベルゴリンに対する販売承認は、数頭の雌牛の死亡を含めた重篤な副作用のため2016年に保留された。
【0005】
さらなる先行技術は以下のとおりである。
Bertulat S et al., (J Dairy Sci 2017, 100(4): 3220-3232)は、高泌乳牛の乳房特性への乾乳時のカベルゴリンの単回注射の効果を記述する。
EP2349272B1は、懐胎反芻動物において泌乳枯渇を誘発し、乳腺退縮を促すために用いるカベルゴリンを含む獣医用組成物に関する。
EP2675527B1は、特定の投与計画で反芻動物に投与すべきカベルゴリンを含む獣医用組成物の使用に関する。
Gross JJ et al. (J Anim Physiol Anim Nutr 2015, 99: 747-756)は、乳牛における血漿インスリン及びグルコース濃度のコントロール中並びにLPS誘導乳腺炎中のグルコース輸送体及び乳汁分泌を開示する。
Lanctot S et al. (J Dairy Sci 2017, 100(3): 2269-2281)は、ウシ乳腺退縮への乾乳時のキトサンヒドロゲルの乳房内注入の効果を記述する。
Maynou G et al. (J Dairy Sci 2018, 101(12): 1-12)は、乾乳時における酸生成ボーラスの経口投与の、乳牛の性能及び挙動に及ぼす効果を記述する。
US2004/0258778A1は、泌乳休止及びキャベツエキスをベースとする乳房鬱血組成物並びにその使用方法に関する。
US2011/0245261A1は、反芻動物に投与すべき抗プロラクチン獣医用組成物に関する。
US2014/0024670A1は、反芻動物に投与すべき獣医用抗プロラクチン組成物に関する。
US4,412,993Aは、哺乳動物、特にイヌの偽妊娠、乳汁漏出症及び乳腺炎の治療方法を記述する。
US6,391,849B1は、乳腺の泌乳を中断させるため並びに乳腺炎を治療及び予防するための方法及び医薬組成物に関する。
US8,133,916B1は、乳汁産生及び乳房退縮のコントロールに関する。
US9,487,557B2は、泌乳中哺乳動物の乳腺の退縮及び乳腺による乳汁産生の休止の誘導に非常に効果的である新規短ペプチドを記述する。
US9,744,158B2は、反芻動物に投与すべき抗プロラクチン獣医用組成物を記述する。
WO2004/113378A2は、泌乳細胞の乳汁分泌速度の調節に使用するために牛乳から同定された3種の新規ペプチドに関する。
WO2009/143020A1は、SGLT-2阻害剤を単独で又は炭水化物の供給と組み合わせて及び/又は尿酸合成の阻害剤と組み合わせて利用する、高尿酸血症の治療方法を開示する。
WO2015/173584A1は、DPP-IV阻害剤の共投与によってSGLT-2阻害剤の投与に付随するグルカゴンの増加を回避する方法を開示する。
WO2016/104643A1は、糖尿病を治療するための固体製剤を開示する。
WO2017/156632A1は、生体応答調節物質、特にキトサン溶液を乾乳時に泌乳哺乳動物の乳首に投与することによって乳房内感染を予防し、退縮を促進する方法を記述する。
【0006】
従って、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物における突然の乾乳の管理によって、先行技術の課題を克服する、動物/乳房/乳腺の健康のリスクを低減させ、動物福祉を向上させるための安全、便利かつ有効な援助のための医学的必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
本発明は、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物における、よりさらに好ましくは非ヒト哺乳動物、さらに好ましくは反芻類、最も好ましく反芻動物の乾乳のための、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤の使用に関する。
少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を投与することを含む、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乾乳の対応する方法、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乾乳方法で使用するための対応する少なくとも1種のSGLT-2阻害剤、並びに非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乾乳用薬物の調製のための少なくとも1種のSGLT-2阻害剤の対応する使用が本発明によって含まれることも企図される。
【0008】
本発明は、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乾乳を改善及び/又は促進する方法であって、該非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物に少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を投与することを含む方法にも関する。
該少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物に投与される、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤の対応する使用、該少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物に投与される、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乾乳の改善及び/又は促進方法で使用するための対応する少なくとも1種のSGLT-2阻害剤、並びに該少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物に投与される、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乾乳の改善及び/又は促進用薬物の調製のための少なくとも1種のSGLT-2阻害剤の対応する使用が本発明によって含まれることも企図される。
【0009】
本発明は、妊娠中及び/又は授乳中の非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物、さらに好ましくは妊娠中及び/又は泌乳中の反芻動物における乳汁産生、好ましくは乳汁の産生及び/又は分泌を低減させる方法であって、該非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物に少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を投与することを含む方法にも関する。
該少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物に投与される、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤の対応する使用、該少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物に投与される、妊娠中及び/又は授乳中の非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物、さらに好ましくは妊娠中及び/又は泌乳中の反芻動物における乳汁産生、好ましくは乳汁の産生及び/又は分泌の低減方法で使用するための対応する少なくとも1種のSGLT-2阻害剤、並びに該少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物に投与される、妊娠中及び/又は授乳中の非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物、さらに好ましくは妊娠中及び/又は泌乳中の反芻動物における乳汁産生、好ましくは乳汁の産生及び/又は分泌の低減用薬物の調製のための少なくとも1種のSGLT-2阻害剤の対応する使用が本発明によって含まれることも企図される。
【0010】
本発明は、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乳房、好ましくは乳房及び/又は乳腺における乳汁蓄積及び/又は鬱血を低減させる方法であって、該非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物に少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を投与することを含む方法にも関する。
該少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物に投与される、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤の対応する使用、該少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物に投与される、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乳房、好ましくは乳房及び/又は乳腺における乳汁蓄積及び/又は鬱血の低減方法で使用するための対応する少なくとも1種のSGLT-2阻害剤、並びに該少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物に投与される、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乳房、好ましくは乳房及び/又は乳腺における乳汁蓄積及び/又は鬱血の低減用薬物の調製のための少なくとも1種のSGLT-2阻害剤の対応する使用が本発明によって含まれることも企図される。
【0011】
本発明は、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乳房鬱血と関連する不快感を低減させる方法、例えば毎日の横臥時間の増加及び/又はストレスの低減方法であって、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物に投与することを含む方法にも関する。
該少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物に投与される、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤の対応する使用、該少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物に投与される、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乳房鬱血と関連する不快感を低減させる方法、例えば毎日の横臥時間の増加及び/又はストレスの低減方法で使用するための対応する少なくとも1種のSGLT-2阻害剤、並びに該少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物に投与される、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乳房鬱血と関連する不快感の低減、例えば毎日の横臥時間の増加及び/又はストレスの低減用薬物の調製のための少なくとも1種のSGLT-2阻害剤の対応する使用が本発明によって含まれることも企図される。
【0012】
本発明は、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乾乳後の乳汁漏出を減少させる方法であって、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物に投与することを含む方法にも関する。
該少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物に投与される、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤の対応する使用、該少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物に投与される、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乾乳後の乳汁漏出の減少方法で使用するための対応する少なくとも1種のSGLT-2阻害剤、並びに該少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物、さらに好ましくは反芻動物に投与される、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乾乳後の乳汁漏出の減少用薬物の調製のための少なくとも1種のSGLT-2阻害剤の対応する使用が本発明によって含まれることも企図される。
【0013】
本発明は、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乳房内感染(IMI)、好ましくは乳腺炎及び/又は子宮炎の発生率を低下させる方法であって、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物に投与することを含む方法にも関する。
該少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物に投与される、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤の対応する使用、該少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物に投与される、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乳房内感染(IMI)、好ましくは乳腺炎及び/又は子宮炎の発生率の低下方法で使用するための対応する少なくとも1種のSGLT-2阻害剤、並びに該少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物に投与される、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻類、さらに好ましくは反芻動物の乳房内感染(IMI)、好ましくは乳腺炎及び/又は子宮炎の発生率の低下用薬物の調製のための少なくとも1種のSGLT-2阻害剤の対応する使用が本発明によって含まれることも企図される。
【0014】
一態様では、本発明は、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が、妊娠中の非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物に如何なる有害及び/若しくは堕胎作用をも及ぼすことなく治療有効量で投与され、並びに/又は少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が、その後の繁殖周期/妊孕性並びに次の泌乳の乳量及び/若しくは乳質に如何なる負の効果をも及ぼすことなく治療有効量で投与される、本明細書で開示し及び/又は特許請求する使用又は方法にも関する。
一態様では、本発明は、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が、さらに又は代わりに次の泌乳の開始後の最初の月の新たな乳房内感染(IMI)若しくは乳腺炎の発生率の低下をもたらす治療有効量で投与される、本明細書で開示し及び/又は特許請求する使用又は方法にも関する。
一態様では、本発明は、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が、下記:
(1) 下記式(1)
【0015】
【化1】
【0016】
(式中、R1は、シアノ、Cl又はメチル(最も好ましくはシアノ)を表し;
R2は、H、メチル、メトキシ又はヒドロキシ(最も好ましくはH)を表し、かつ
R3は、シクロプロピル、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブタ-1-イル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-ヒドロキシ-シクロプロピル、1-ヒドロキシ-シクロブチル、1-ヒドロキシ-シクロペンチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル、エチニル、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシ-プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチル(methly)スルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ若しくは(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又はシアノを表し;
ここで、R3は、好ましくはシクロプロピル、エチル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシから選択され;最も好ましくはR3はシクロプロピルである)、
のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、
又はβ-D-グルコピラノシル基の1つ以上のヒドロキシル基が、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C1-3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されている、その誘導体;
(2) 下記式(2):
【0017】
【化2】
【0018】
で表されるベラグリフロジン(Velagliflozin);
(3)下記式(3):
【0019】
【化3】
【0020】
で表されるダパグリフロジン;
(4) 下記式(4):
【0021】
【化4】
【0022】
で表されるカナグリフロジン;
(5) 下記式(5):
【0023】
【化5】
【0024】
で表されるエンパグリフロジン;
(6) 下記式(6):
【0025】
【化6】
【0026】
で表されるルセオグリフロジン;
(7) 下記式(7):
【0027】
【化7】
【0028】
で表されるトホグリフロジン;
(8) 下記式(8):
【0029】
【化8】
【0030】
で表されるイプラグリフロジン;
(9) 下記式(9):
【0031】
【化9】
【0032】
で表されるエルツグリフロジン(ertugliflozin);
(10) 下記式(10):
【0033】
【化10】
【0034】
で表されるアチグリフロジン(Atigliflozin);
(11) 下記式(11):
【0035】
【化11】
【0036】
で表されるレモグリフロジン(Remogliflozin);
(11A) 下記式(11A):
【0037】
【化12】
【0038】
で表されるエタボン酸レモグリフロジン;
(12) 下記式(12):
【0039】
【化13】
【0040】
(式中、Rは、メトキシ又はトリフルオロメトキシを表す)
のチオフェン誘導体;
(13) 下記式(13):
【0041】
【化14】
【0042】
で表される1-(β-D-グルコピラノシル)-4-メチル-3-[5-(4-フルオロフェニル)-2-チエニルメチル]ベンゼン;
(14) 下記式(14):
【0043】
【化15】
【0044】
(式中、Rは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、エチル、イソプロピル又はtert.ブチルを表す)
のスピロケタール誘導体;
(15) 下記式(15):
【0045】
【化16】
【0046】
(式中
R1は、C1-3-アルコキシを表し、
L1、L2は、互いに独立にH又はFを表し、
R6は、H、(C1-3-アルキル)カルボニル、(C1-6-アルキル)オキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル又はベンジルカルボニルを表す)
のピラゾール-O-グルコシド誘導体;
(16) 下記式(16):
【0047】
【化17】
【0048】
で表されるソタグリフロジン(Sotagliflozin);
(17) 下記式(17):
【0049】
【化18】
【0050】
で表されるセルグリフロジン(Sergliflozin);
(18) 下記式(18):
【0051】
【化19】
【0052】
(式中
R3は、シクロプロピル、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブタ-1-イル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-ヒドロキシ-シクロプロピル、1-ヒドロキシ-シクロブチル、1-ヒドロキシ-シクロペンチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル、エチニル、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシ-プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチル(methly)スルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ若しくは(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又はシアノを表し、ここで、R3は、好ましくはシクロプロピル、エチル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシから選択され;R3は、最も好ましくはシクロプロピルである)
で表される化合物、
又はβ-D-グルコピラノシル基の1つ以上のヒドロキシルが、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C1-3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されている、その誘導体;
(19) 下記式(19):
【0053】
【化20】
【0054】
で表されるベキサグリフロジン(Bexagliflozin);
(20) 下記式(20):
【0055】
【化21】
【0056】
で表されるジャナグリフロジン(Janagliflozin);
(21)ロングリフロジン(Rongliflozin)、
(22)ワンパグリフロジン(Wanpagliflozin)
から成る群より選択される、本明細書で開示し及び/又は特許請求する使用又は方法にも関する。
【0057】
一態様では、本発明は、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物が、ウシ、イヌ、ヤギ、ウマ、ネコ、ウサギ類、ヒツジ、ブタ、げっ歯類から成る群より選択され;好ましくは畜牛(cattle)、雌牛(cow)、イヌ、ヤギ、ウマ、ポニー、ロバ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウサギ、ラット、マウスから成る群より選択され;さらに好ましくはウシ、ヤギ、ヒツジから成る群より選択され;さらに好ましくは畜牛、雌牛、ヤギ、ヒツジから成る群より選択され;さらに好ましくは乳牛、妊娠中及び/又は泌乳中の乳牛から成る群より選択され;最も好ましくは雌牛、妊娠中及び/又は泌乳中の雌牛から成る群より選択される、本明細書で開示し及び/又は特許請求する使用又は方法にも関する。
【0058】
一態様では、本発明は、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が、経口、非経口、経直腸、腟内、静脈内、皮下又は筋肉内、好ましくは皮下、筋肉内又は静脈内投与される、本明細書で開示し及び/又は特許請求する使用又は方法にも関する。
一態様では、本発明は、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が、0.01mg/kg(体重)~10mg/kg(体重)の用量で、好ましくは0.01mg/kg(体重)~5mg/kg(体重)の用量で、さらに好ましくは0.01mg/kg(体重)~3mg/kg(体重)の用量で、さらに好ましくは0.03mg/kg(体重)~3mg/kg(体重)の用量で、最も好ましくは0.03mg/kg(体重)又は0.3mg/kg(体重)又は3mg/kg(体重)の用量で投与される、本明細書で開示し及び/又は特許請求する使用又は方法にも関する。
一態様では、本発明は、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が、1週間1回、2回、3回、4回、5回、6回又は毎日、好ましくは乾乳開始時に1回だけ又は最後の搾乳後24時間若しくは48時間空けて2回の治療として2回投与される、本明細書で開示し及び/又は特許請求する使用又は方法にも関する。
【0059】
一態様では、本発明は、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤がベラグリフロジンであり、ベラグリフロジンは、単一のSGLT-2阻害剤として、乾乳開始時に1回だけ又は2回(24時間又は48時間空けて)、0.01mg/kg(体重)~5mg/kg(体重)、さらに好ましくは0.03mg/kg(体重)~3mg/kg(体重)の用量で、さらに好ましくは0.03mg/kg(体重)又は0.3mg/kg(体重)又は3mg/kg(体重)の用量で、好ましくは経口、皮下又は筋肉内投与される、本明細書で開示し及び/又は特許請求する使用又は方法にも関する。
一態様では、本発明は、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が、少なくとも1種の飼料補助剤、例えばBovikalc(登録商標)Dryを非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物に投与する前、後若しくは投与と同時に投与され、及び/又はヒト哺乳類、好ましくは反芻動物に供給される飼料の減少の前、後若しくは減少と同時に投与される、本明細書で開示し及び/又は特許請求する使用又は方法にも関する。
一態様では、本発明は、飼料補助剤が、塩化アンモニウム、塩化カルシウム及び/又は硫酸カルシウムから成る群より選択される1種以上の酸性化剤を含み、さらに好ましくは塩化アンモニウム及び塩化カルシウム及び硫酸カルシウムを含み、さらに好ましくは5%(w/w)~15%(w/w)の塩化アンモニウム及び40%(w/w)~60%(w/w)の塩化カルシウム及び15%(w/w)~25%(w/w)の硫酸カルシウムを含み、最も好ましくは10.4%(w/w)の塩化アンモニウム及び51.9%(w/w)の塩化カルシウム及び20.1%(w/w)の硫酸カルシウムを含む、明細書で開示し及び/又は特許請求する使用又は方法にも関する。
【0060】
本発明の利点は、下記利点の1つ以上である。
-少なくとも1種のSGLT2阻害剤の安全、効果的かつ便利な非経口注射で、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物の泌乳終了時の乾乳の開始を促進する;
-良好な管理手順でさえ、乾乳前の搾乳の徐々の休止中にまだ乳汁を供給している間の体細胞数の増加のような欠点があるという課題を克服すること;
-良好な管理のみならず、免疫状態に悪影響を及ぼすことで知られている突然の乾乳と関係がある不快感及びストレスを緩和する;
-好ましくは乾乳後の日に、毎日の横臥時間を増やし、かつストレスを減らす;
-乾乳後の、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物、さらに好ましくは乳牛の免疫状態及び/又は肝機能を改善すること;
-飼料減少が、「脂肪肝症候群」を誘発し及び/又は全身免疫状態を障害することさえあり得る血中の非エステル化脂肪酸(NEFA)及びケトン体の最終的に過剰な増加を伴う負のエネルギーバランスを誘導するようなシナリオを回避する;
-その後の繁殖周期/妊孕性並びに次の泌乳における乳量及び/又は乳質への悪影響を回避することによって、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物の長期性能に有利な影響を与える。
【発明を実施するための形態】
【0061】
発明の詳細な説明
本発明の実施形態についてさらに詳細に述べる前に、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて複数形の言及が含まれることに留意すべきである。
別段の定義がない限り、本明細書で用いる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術の当業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。全ての所与の範囲及び値は、別段の指示がない限り又は当業者が別に理解しない限り、1~5%変動し得るので、通常は詳細な説明及び特許請求の範囲から「約」という用語を省略した。本明細書に記載の方法及び材料と類似又は等価ないずれの方法及び材料をも本発明の実施又は試験に使用できるが、以下に好ましい方法、装置、及び材料について述べる。本明細書で言及する全ての公表文献は、本発明に関連して使用し得る該文献に報告されている物質、賦形剤、担体、及び方法論を記述及び開示する目的で参照することにより本明細書に組み込まれる。本明細書のいずれの記載も、本発明が、先行発明という理由で該開示に先行する権利を与えられないことを承認するものと解釈すべきでない。
【0062】
本発明の過程において、「乾乳(drying-off)」は以下のように定義する:泌乳中非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物の搾乳、好ましくは乳汁分泌の休止。
本発明の過程において、「乾乳を改善及び/又は促進すること」は以下のように定義する:乳汁産生、好ましくは乳汁分泌のより速い減少。
本発明の過程において、用語「乳腺炎」は、大部分は細菌であるが、酵母菌、真菌、又は藻類でさえある病原体による乳房内感染(IMI)に起因する乳腺の炎症を指す。本明細書では「乳腺炎」を用いて、無症候性及び臨床乳腺炎、例えば軽症、重症及び慢性乳腺炎等を含めた臨床乳腺炎を含めた該炎症の全ての形態を表す。
本発明の過程において、用語「乳房鬱血(engorgement)」又は「乳房内の鬱血」は、乳腺内における乳汁の過剰な蓄積を指し、痛み及び不快感及び/又は乳首からの乳汁漏出をもたらし;乳房圧力上昇という用語とも互換的に用いられる。
本発明の過程において、用語「治療効果」は、ある状態又は発生率の改善及び/又は低減、並びに/或いはある状態に関するあらゆる効果、指標、マーカーレベル又は他のパラメーターの改善、減少又は増加を指す。
【0063】
本発明に従って使用するSGLT-2阻害剤としては、限定するものではないが、例えばWO01/27128、WO03/099836、WO2005/092877、WO2006/034489、WO2006/064033、WO2006/117359、WO2006/117360、WO2007/025943、WO2007/028814、WO2007/031548、WO2007/093610、WO2007/128749、WO2008/049923、WO2008/055870、WO2008/055940、WO2009/022020又はWO2009/022008に記載のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体が挙げられる。
さらに、本発明に従って使用する1種以上のSGLT-2阻害剤は、下記化合物又はその医薬的に許容される形態から成る群より選択可能である。
(1) 下記式(1):
【0064】
【化22】
【0065】
(式中、R1は、シアノ、Cl又はメチル(最も好ましくはシアノ)を表し;
R2は、H、メチル、メトキシ又はヒドロキシ(最も好ましくはH)を表し、かつ
R3は、シクロプロピル、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブタ-1-イル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-ヒドロキシ-シクロプロピル、1-ヒドロキシ-シクロブチル、1-ヒドロキシ-シクロペンチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル、エチニル、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシ-プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチル(methly)スルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ若しくは(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又はシアノを表し;
ここで、R3は、好ましくはシクロプロピル、エチル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシから選択され;最も好ましくはR3はシクロプロピルである)
のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、
又はβ-D-グルコピラノシル基の1つ以上のヒドロキシル基が、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C1-3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されている、その誘導体;
(2) 下記式(2):
【0066】
【化23】
【0067】
で表されるベラグリフロジン;
(3)下記式(3):
【0068】
【化24】
【0069】
で表されるダパグリフロジン;
(4) 下記式(4):
【0070】
【化25】
【0071】
で表されるカナグリフロジン;
(5) 下記式(5):
【0072】
【化26】
【0073】
で表されるエンパグリフロジン;
(6) 下記式(6):
【0074】
【化27】
【0075】
で表されるルセオグリフロジン;
(7) 下記式(7):
【0076】
【化28】
【0077】
で表されるトホグリフロジン;
(8) 下記式(8):
【0078】
【化29】
【0079】
で表されるイプラグリフロジン;
(9) 下記式(9):
【0080】
【化30】
【0081】
で表されるエルツグリフロジン;
(10) 下記式(10):
【0082】
【化31】
【0083】
で表されるアチグリフロジン;
(11) 下記式(11):
【0084】
【化32】
【0085】
で表されるレモグリフロジン;
(11A) 下記式(11A):
【0086】
【化33】
【0087】
で表されるエタボン酸レモグリフロジン;
(12) 下記式(12):
【0088】
【化34】
【0089】
(式中、Rは、メトキシ又はトリフルオロメトキシを表す)
のチオフェン誘導体;
(13) 下記式(13):
【0090】
【化35】
【0091】
で表される1-(β-D-グルコピラノシル)-4-メチル-3-[5-(4-フルオロフェニル)-2-チエニルメチル]ベンゼン;
(14) 下記式(14):
【0092】
【化36】
【0093】
(式中、Rは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、エチル、イソプロピル又はtert.ブチルを表す)
のスピロケタール誘導体;
(15) 下記式(15):
【0094】
【化37】
【0095】
(式中
R1は、C1-3-アルコキシを表し、
L1、L2は、互いに独立にH又はFを表し、
R6は、H、(C1-3-アルキル)カルボニル、(C1-6-アルキル)オキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル又はベンジルカルボニルを表す)
のピラゾール-O-グルコシド誘導体;
(16) 下記式(16):
【0096】
【化38】
【0097】
で表されるソタグリフロジン;
(17) 下記式(17):
【0098】
【化39】
【0099】
で表されるセルグリフロジン;
(18) 下記式(18):
【0100】
【化40】
【0101】
(式中
R3は、シクロプロピル、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブタ-1-イル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-ヒドロキシ-シクロプロピル、1-ヒドロキシ-シクロブチル、1-ヒドロキシ-シクロペンチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル、エチニル、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシ-プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチル(methly)スルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ若しくは(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又はシアノを表し、ここで、R3は、好ましくはシクロプロピル、エチル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシから選択され;R3は、最も好ましくはシクロプロピルである)
で表される化合物、
又はβ-D-グルコピラノシル基の1つ以上のヒドロキシルが、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C1-3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されている、その誘導体;
(19) 下記式(19):
【0102】
【化41】
【0103】
で表されるベキサグリフロジン;
(20) 下記式(20):
【0104】
【化42】
【0105】
で表されるジャナグリフロジン;
(21) ロングリフロジン、
(22) ワンパグリフロジン。
本明細書で用いる用語「ベラグリフロジン」は、上記構造のベラグリフロジンのみならず、その水和物及び溶媒和物、並びにその結晶形態を含めたその医薬的に許容される形態をも指す。該化合物、その合成方法及びその共結晶については、例えばWO2007/128749、WO2014/016381及びWO2019/121509に記載されている。
本明細書で用いる用語「ダパグリフロジン」は、上記構造のダパグリフロジンのみならず、その水和物及び溶媒和物、並びにその結晶形態を含めたその医薬的に許容される形態をも指す。該化合物及びその合成方法については、例えばWO03/099836に記載されている。好ましい水和物、溶媒和物及び結晶形態については例えば特許出願WO2008/116179及びWO2008/002824に記載されている。
本明細書で用いる用語「カナグリフロジン」は、上記構造のカナグリフロジンのみならず、その水和物及び溶媒和物、並びにその結晶形態を含めたその医薬的に許容される形態をも指す。該化合物及びその合成方法については、例えばWO2005/012326及びWO2009/035969に記載されている。好ましい水和物、溶媒和物及び結晶形態については、例えば特許出願WO2008/069327に記載されている。
【0106】
本明細書で用いる用語「エンパグリフロジン」は、上記構造のエンパグリフロジンのみならず、その水和物及び溶媒和物、並びにその結晶形態を含めたその医薬的に許容される形態をも指す。該化合物及びその合成方法については、例えばWO2005/092877、WO2006/120208及びWO2011/039108に記載されている。好ましい結晶形態は、例えば特許出願WO2006/117359及びWO2011/039107に記載されている。
本明細書で用いる用語「アチグリフロジン」は、上記構造のアチグリフロジンのみならず、その水和物及び溶媒和物、並びにその結晶形態を含めたその医薬的に許容される形態をも指す。該化合物及びその合成方法については、例えばWO2004/007517に記載されている。
本明細書で用いる用語「イプラグリフロジン」は、上記構造のイプラグリフロジンのみならず、その水和物及び溶媒和物、並びにその結晶形態を含めたその医薬的に許容される形態をも指す。該化合物及びその合成方法については、例えばWO2004/080990、WO2005/012326及びWO2007/114475に記載されている。
本明細書で用いる用語「トホグリフロジン」は、上記構造のトホグリフロジンのみならず、その水和物及び溶媒和物、並びにその結晶形態を含めたその医薬的に許容される形態をも指す。該化合物及びその合成方法については、例えばWO2007/140191及びWO2008/013280に記載されている。
【0107】
本明細書で用いる用語「ルセオグリフロジン」は、上記構造のルセオグリフロジンのみならず、その水和物及び溶媒和物、並びにその結晶形態を含めたその医薬的に許容される形態をも指す。
本明細書で用いる用語「エルツグリフロジン」は、上記構造のエルツグリフロジンンのみならず、その水和物及び溶媒和物、並びにその結晶形態を含めたその医薬的に許容される形態をも指す。該化合物については、例えばWO2010/023594に記載されている。
本明細書で用いる用語「レモグリフロジン」は、上記構造のレモグリフロジンのみならず、レモグリフロジンのプロドラッグ、特にエタボン酸レモグリフロジンを含め、その水和物及び溶媒和物、並びにその結晶形態を含めたその医薬的に許容される形態をも指す。その合成方法については例えば特許出願EP1213296及びEP1354888に記載されている。
本明細書で用いる用語「セルグリフロジン」は、上記構造のセルグリフロジンのみならず、セルグリフロジンのプロドラッグ、特にエタボン酸セルグリフロジンを含め、その水和物及び溶媒和物、並びにその結晶形態を含めたその医薬的に許容される形態をも指す。その製造方法については例えば特許出願EP1344780及びEP1489089に記載されている。
【0108】
上記式(16)の化合物、すなわちソタグリフロジン及びその製造については、例えばWO2008/042688又はWO2009/014970に記載されている。
好ましいSGLT-2阻害剤はグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体である。任意に、該1種以上のSGLT-2阻害剤のグルコピラノシル基の1つ以上のヒドロキシル基が、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C1-3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されていてもよい。
上で開示した式(I)のグルコピラノシル置換ベンゾニトリル誘導体がさらに好ましい。
下記式(18):
【0109】
【化43】
【0110】
(式中、
R3は、シクロプロピル、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブタ-1-イル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-ヒドロキシ-シクロプロピル、1-ヒドロキシ-シクロブチル、1-ヒドロキシ-シクロペンチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル、エチニル、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシ-プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチル(methly)スルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ若しくは(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又はシアノを表し;ここで、R3は、好ましくはシクロプロピル、エチル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシから選択され;R3は、最も好ましくはシクロプロピルである)
のグルコピラノシル置換ベンゾニトリル誘導体、
又はβ-D-グルコピラノシル基の1つ以上のヒドロキシル基が、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C1-3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されている、その誘導体がさらにもっと好ましい。
【0111】
好ましくは、該SGLT-2阻害剤は、式(2)に示すベラグリフロジンである。任意に、ベラグリフロジンのβ-D-グルコピラノシル基の1つ以上のヒドロキシル基が、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C1-3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されていてもよい。
従って、好ましい実施形態では、本発明の少なくとも1種のSGLT-2は、グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体SGLT-2阻害剤、好ましくは式(1)、さらに好ましくは式(18)のSGLT-2阻害剤、もっとさらに好ましくは式(2)のSGLT-2阻害剤、すなわちベラグリフロジンであり、いずれの場合も本明細書で上述した。
【0112】
ここで、本発明に従うSGLT-2阻害剤及び/又はそれらの使用への言及は、特に明記しない限り、SGLT-2阻害剤の医薬的に許容される形態を包含する。
本発明によれば、例えば式(1)、好ましくは式(18)、さらに好ましくは式(2)のSGLT-2阻害剤いずれの医薬的に許容される形態を使用してもよい。例えば結晶形態を使用してよい。プロドラッグ形態をも本発明により包含される。
プロドラッグ形態としては、例えば、エステル及び/又は水和物が挙げられる。用語「プロドラッグ」は、プロドラッグが哺乳動物対象に投与されると生体内で本発明の活性化合物を放出するいずれの共有結合された担体をも含むことをも意味する。本発明の化合物のプロドラッグは、本発明の化合物に存在する官能基を修飾することによって調製可能であり、該修飾は、ルーチン操作又は生体内で本発明の親化合物に開裂されるように為される。
【0113】
本発明に従って使用する結晶形態には、SGLT-2阻害剤と1種以上のアミノ酸の複合体(例えばWO2014/016381参照)、いわゆる共結晶が含まれる。該使用のためのアミノ酸は、天然アミノ酸であってよい。アミノ酸は、タンパク新生アミノ酸(L-ヒドロキシプロリンを含む)、又は非タンパク新生アミノ酸であり得る。アミノ酸は、D-アミノ酸又はL-アミノ酸であってよい。いくつかの好ましい実施形態では、アミノ酸はプロリン(L-プロリン及び/又はD-プロリン、好ましくはL-プロリン)である。例えば、ベラグリフロジンとプロリン(例えばL-プロリン)及び結晶水の結晶性複合体/共結晶が好ましい。
従って、本明細書では1種以上の天然アミノ酸とSGLT-2阻害剤の間の結晶性複合体/共結晶、例えば1種以上の天然アミノ酸とグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体SGLT-2阻害剤、好ましくは式(1)、さらに好ましくは式(18)、もっとさらに好ましくは式(2)のSGLT-2阻害剤(ベラグリフロジン)との間の結晶性複合体/共結晶を開示する。
さらに、詳細に明らかにされた結晶形態を利用できれば、再結晶による原薬(drug substance)の精製が可能になる。
上記要件とは別に、医薬組成物の物理的及び化学的安定性を改善する能力がある医薬組成物の固体状態へのいずれの変更も、一般的に同薬物のより低い安定性の形態を超える有意な利点を与えることを心に留めるべきである。
天然アミノ酸と、SGLT-2阻害剤(例えば式(1)、又は式(18)又は、特に、式(2)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体又はSGLT-2阻害剤、すなわちベラグリフロジン)との間の結晶性複合体/共結晶が、前述した重要な要件を満たす。
【0114】
本発明に従って使用するSGLT-2阻害剤は、医薬組成物として調製してよい。それらは固体製剤又は液体製剤として調製してよい。いずれの場合も、それらは好ましくは非経口投与用に、好ましくは非経口投与用の液体形態に調製される(例えばWO2017/032799参照)。しかしながら、SGLT-2阻害剤は、例えば、経口投与用に調製してもよい。固体製剤としては、錠剤、顆粒形態、及び他の固体形態、例えば坐剤が挙げられる。固体製剤の中で、錠剤及び顆粒形態が好ましい。
本発明の意義の範囲内の医薬組成物は、本発明のSGLT-2阻害剤及び1種以上の賦形剤を含んでよい。意図した医学的効果を可能にし、又は支持するいずれの賦形剤をも使用してよい。当業者は該賦形剤を利用可能である。有用な賦形剤は、例えば粘着防止剤(粉末(顆粒)とパンチ面の間の粘着を低減させ、ひいては錠剤パンチへの固着を防止するために使用)、バインダー(成分を結ぶ付ける溶液バインダー又はドライバインダー)、コーティング(錠剤成分を空気中の水分から保護し、かつ大きいか又はまずい錠剤を嚥下しやすくするため)、崩壊剤(希釈したらすぐに錠剤を破壊できるようにする)、フィラー、希釈剤、香料、着色料、流動促進剤(流れ調整剤-粒子間の摩擦及び凝集を減らすことによって粉末の流れを促進するため)、潤沢剤(成分が凝集しないようにし、錠剤パンチ又はカプセル充填機に固着しないようにするため)、保存剤、吸着剤、甘味料等を含んでよい。
【0115】
本発明の製剤、例えば固体製剤は、糖及び糖アルコール、例えばマンニトール、ラクトース、デンプン、セルロース、微結晶性セルロース及びセルロース誘導体、例えばメチルセルロース等の群から選択される担体及び/又は崩壊剤を含んでよい。
反芻動物に適した製剤の製造手順は当業者に既知であり、固体製剤のためには、例えば直接圧縮、乾式造粒及び湿式造粒を含む。直接圧縮プロセスでは、活性成分及び全ての他の賦形剤を圧縮装置に一緒に入れ、直接圧力を加えてこの材料から打錠する。結果として生じる錠剤は、それらを物理的及び/又は化学的に保護するため、例えばその後で任意に例えば最新技術から既知の材料によってコーティングすることができる。
投与単位、例えば単一の液体用量又は1単位の固体製剤、例えば錠剤は、本発明に従って使用するために0.1mg~10mg、又は例えば0.3mg~1mg、1mg~3mg、3mg~10mg;又は5~2500mg、又は例えば5~2000mg、5mg~1500mg、10mg~1500mg、10mg~1000mg、又は10~500mgのSGLT-2阻害剤を含んでよい。当業者は理解するであろうが、反芻動物に投与するための固体製剤、又は本明細書で開示する任意の製剤中のSGLT-2阻害剤の含量は、治療すべき非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物の体重に比例して適宜増減させてよい。
【0116】
一実施形態では、本発明に従って使用する医薬組成物は、経口又は非経口投与用、好ましくは非経口投与用にデザインされる。特に経口投与は、意図した患者、例えば上記患者に合わせて医薬組成物の臭い及び/又は触覚特性を修飾する賦形剤によって改善される。
本発明に従って使用するSGLT-2阻害剤を経口投与用に製剤化するとき、賦形剤が、製剤を非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物への投与に適するようにする特性、例えば嗜好性及び/又は噛み心地を与えることが好ましい。
液体製剤も好ましい。液体製剤は、例えば、溶液、シロップ又は懸濁液であり得る。それらは、反芻動物に直接投与してよく、或いは反芻動物の食物及び/又は飲み物(例えば飲料水等)と混合してもよい。液体製剤の1つの利点(顆粒形態の製剤に類似)は、該剤形は正確な投薬を可能にすることである。例えば、非ヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物の体重に比例して正確にSGLT-2阻害剤を投与することができる。液体製剤の典型的組成は当業者に既知である。
【0117】
当業者は、本発明の使用に適した用量を決定することができる。好ましい投薬単位としては、mg/kg(体重)、すなわちヒト哺乳動物、好ましくは反芻動物の体重1kg当たりのSGLT-2阻害剤のmgが挙げられる。本発明のSGLT-2阻害剤は、例えば、1日0.01~10mg/kg(体重)、例えば1日0.01~5mg/kg(体重)、例えば1日0.01~4mg/kg(体重)、例えば1日0.01~3mg/kg(体重)、例えば1日0.01~2mg/kg(体重)、例えば1日0.01~1.5mg/kg(体重)、例えば1日0.01~1mg/kg(体重)、例えば1日0.01~0.75mg/kg(体重)、例えば1日0.01~0.5mg/kg(体重)、例えば1日0.01~0.4mg/kg(体重);又は1日0.03~3.0mg/kg(体重)、好ましくは1日0.02~2.0mg/kg(体重)、さらに好ましくは1日0.01~1mg/kg(体重)の用量で投与してよい。別の好ましい実施形態では、用量は、0.03mg/kg(体重)又は0.3mg/kg(体重)又は3mg/kg(体重)である。当業者は、本発明のSGLT-2阻害剤を所望用量に従う投与用に調製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
図1】ホルスタイン・フリーシアン雌牛におけるベラグリフロジンの血漿中濃度と、尿中クレアチニンに正規化された尿中グルコース排泄量(グルコース/クレアチニン)との間の相関性を示す。
図2】乳牛におけるベラグリフロジンの投与前2日の平均午後(正午過ぎ-PM)搾乳と、3つの異なる用量(0.03mg/kg(体重);0.3mg/kg(体重)及び3mg/kg(体重))のベラグリフロジンの静脈内投与後約8時間の乳量(個々の値)(PM搾乳)との間のデルタ値を示す。さらにホルスタイン・フリーシアン雌牛の治療後8時間の乳量の低下とベラグリフロジンの血漿中濃度との間の相関性を示す。
【実施例
【0119】
実施例1 泌乳中雌牛における単一ベラグリフロジン投薬による薬物動態学(PK)/薬物動力学(PD)及び乳汁減少
n=4の泌乳中ホルスタイン・フリーシアン雌牛でベラグリフロジン治療を試験する。1週間間隔で、AM(午前)の搾乳後の朝に、増加用量(0.03mg/kg(体重)-0.3mg/kg(体重)-3mg/kg(体重))で体重100kg当たり2.5mlの体積のプロピレングリコールベース溶液でベラグリフロジンを右頸静脈中に静脈内(i.v.)投与する。ベラグリフロジンの血漿中レベルの決定用の血液サンプル並びにグルコース及びクレアチニンレベルの決定用の尿サンプルを治療の1日前及び治療後約8時間、約24時間及び約48時間に収集し、分析するまで冷凍貯蔵する。採血直後に同時点で血中グルコース及びケトン体(β-ヒドロキシ-ブチラート)濃度を測定する。
哺乳動物では1日に排泄される総尿中クレアチニンは、ある程度一定しているため、尿量は測定しなかったので、総グルコース排泄量の代用としてグルコースとクレアチニンの比を計算した。朝(午前-AM)及び夕方近く(午後-PM)に毎日2回全ての動物を搾乳する。研究全体を通して、搾乳毎に動物につきkgとして乳量を記録する。
【0120】
結果:
・ベラグリフロジンの血漿中レベルは、用量と暴露の直線関係を示す(図1参照)。
・尿中クレアチニンに正規化された尿中グルコース排泄量は、用量/暴露依存様式で増加する(図1)。
・治療後は、その後の搾乳(PM)の乳量は、用量/暴露依存様式で減少する(図2)。
・安全性関連については、ベラグリフロジンの全ての薬用量による治療後に血中グルコース又はケトン体レベルは、正常な基準範囲内であった。
明らかに、これらの効果は、血漿中ベラグリフロジンレベルに左右され、他の非経口投与経路、例えば筋肉内又は皮下投与も有効であることを示している。従って単一(例えば非経口)用量の少なくとも1種のSGLT-2阻害剤、例えばベラグリフロジンは、泌乳中の雌牛に乳量を減らすために安全に利用できると結論づけられる。
【0121】
実施例2 乳汁産生及び乳房鬱血の減少
泌乳中の雌牛の研究において、SGLT-2阻害剤、例えばベラグリフロジン治療は、単回非経口投与、好ましくは皮下注射若しくは筋肉内注射として又は2回治療としても、例えば約24時間若しくは48時間空けて行なうことができる。
また、飼料補助剤、例えばBovikalc(登録商標)Dryによる治療、及び/又は乾乳前に乳汁産生を減らす目的で雌牛に提供する飼料を減らすことと組み合わせて又はその後に治療を行なう。
乳量の減少は、動物毎及び搾乳毎の乳量を秤量することによって評価する(例えば実施例1参照)。
乳房鬱血は、乳首の距離を測定することによって、直接圧力測定によって及び/又は鬱血の指標である乳房硬度を例えば筋力計(例えばPenefel DFT 14; Agro Technologies, Forges-les-Eaux, France)を用いて測定することによって評価する。最後の搾乳前の測定値と乾乳後の日々の測定値との間でこれらの見解を比較する。しかしながら、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤で治療された雌牛と、治療を受けない雌牛又は飼料割当減少のみを受けた雌牛との間で乳量及び乳房鬱血の減少への治療効果をも比較する。
【0122】
実施例3 乳汁組成及び退縮マーカーへの効果
実施例2に記載の研究において、乳量の減少と同時に、分泌細胞の退縮及び/又はセルラータイトジャンクションの破壊を示唆する乳汁/分泌液の組成変化を調査する。例えば、体細胞数、ウシ血清アルブミン、ラクトース、カリウム及びナトリウム並びに総タンパク質、乳清タンパク質、カゼインタンパク質、プロテアーゼペプトン、ラクトフェリンレベル及び/又はゼラチナーゼ活性を測定する。
これを達成するため、最後の搾乳、すなわち乾乳後の数日、交互クォーターから少量の乳腺分泌物(5~50mL)を収集する。
これらの見解を乾乳後の日々の測定値と比べた最後の搾乳前の測定値と比較するが、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤、例えばベラグリフロジンで治療された雌牛と、治療を受けない雌牛又は飼料割当減少のみを受けた雌牛との間で治療効果をも比較し得る。
【0123】
実施例4 乾乳期間中の乳汁漏出及び乳房内感染(IMI)の減少
実施例2に記載の研究において、乾乳後最初の日に乳腺からの乳汁の漏出、すなわちいずれもの乳首からの乳汁滴下又は流れをも評価する。さらに、乳房クォーターを注意深くモニターして、乳房内感染又は乳腺炎の症状、すなわち温かいか又は熱い感受性の又は腫大した乳房クォーターを検出することができる。その上、全身病、例えば発熱、頻脈、うつ状態、脱力及び食欲不振の徴候が存在することがある。また、最後の搾乳、すなわち乾乳後の数日、少量の乳腺分泌物(5~50mL)を交互クォーターから収集して、最終的な無症候性乳房内感染/微生物の存在を調査する。
これらの見解を少なくとも1種のSGLT-2阻害剤、例えばベラグリフロジンで治療された雌牛と、治療を受けない雌牛又は飼料割当減少のみを受けた雌牛との間で比較する。
【0124】
実施例5 乾乳に起因する不快感及びストレスの低減
妊娠中の泌乳牛の研究においては、一般的に例えば乾乳時の妊娠期間の8カ月目に例えばベラグリフロジンを用いるSGLT-2阻害剤治療を導入する。この治療は、飼料補助剤、例えばBovikalc(登録商標)Dryによる治療、及び/又は乾乳前の乳汁産生を減らす目的で雌牛に提供する飼料を減らすことと組み合わせて又はその後に行なう。
乾乳後のストレス及び/又は不快感の測定は、疲れ切った横臥及び/又は反芻時間を記録して評価する。さらに、血中コルチゾール又は糞便のグルココルチコイド代謝物の濃度の上昇を測定する。
乳房痛スコアを利用できる。すなわち乳房触診時の雌牛の反応に応じて(触診拒否に対する無行動反応から)、雌牛の挙動を4つのカテゴリー(0=乳房痛無し;1=軽度の乳房痛;2=中度の乳房痛及び重度の乳房痛)に分類し得る。
これらの見解を少なくとも1種のSGLT-2阻害剤、例えばベラグリフロジンで治療された雌牛と、治療を受けない雌牛又は飼料割当減少のみを受けた雌牛との間で比較する。
【0125】
実施例6 乾乳時の反芻動物の治療-安全性及び長期効果
妊娠中の泌乳牛の研究において、一般的に例えば乾乳時の妊娠期間の8カ月目に少なくとも1種のSGLT-2阻害剤、例えばベラグリフロジンによる治療を導入することができる。この治療は、最後の搾乳後に単回投与として又は約24時間若しくは48時間空けて2回治療として行なう。また、この治療は、飼料補助剤、例えばBovikalc(登録商標)Dryによる治療、及び/又は乾乳前に乳汁産生を減らす目的で雌牛に提供する飼料を減らすことと組み合わせて又はその後に行なう。
例えばベラグリフロジン治療の安全性は、誘導される負のエネルギーバランスの代謝反応を評価すること、すなわち血中グルコース及びケトン体、並びに血中脂質濃度(例えばNEFAs)を評価することによって査定可能である。さらに、カルシウム恒常性に特に重点をおいて、雌牛の電解質バランスをモニターする。
少なくとも1種のSGLT-2阻害剤、例えばベラグリフロジンの投与は、乳牛の免疫状態及び/又は肝機能を改善できるようにさえする。これは、全身の炎症誘発状態のマーカー、例えば血清アミロイドA(SAA)又はハプトグロブリン(haptoglobulin)のような急性期タンパク質によって測定可能である。
その上、胎児又は未成熟作用さえへの影響をモニターすることができる。
SGLT-2阻害剤(例えばベラグリフロジン)治療雌牛と治療を受けない雌牛又は飼料割当減少を受けた雌牛との間で安全性関連知見の重症度及び発生率を比較する。さらに、SGLT-2阻害剤、例えばベラグリフロジンと、飼料割当を減らすことの併用治療は、乾乳時におけるSGLT-2阻害剤、例えばベラグリフロジン治療が妊娠中の雌牛及び胎児の安全性に有害な影響を及ぼさないことを示す。
その後の泌乳をモニターする研究において、少なくとも1種のSGLT-2阻害剤、例えばベラグリフロジンによる治療が繁殖/妊孕性並びに/又は次の泌乳の乳量及び/若しくは乳汁の質に悪影響を与えないことを示すことができる。対照的に、次の泌乳の開始後の最初の月における新たな乳房内感染又は乳腺炎の発生率を減らすことさえできる。
少なくとも1種のSGLT-2阻害剤、例えばベラグリフロジで治療された雌牛と、治療を受けない雌牛又は乾乳前の飼料割当減少のみを受けた雌牛との間でこれらの見解を比較する。
【0126】
実施例7 泌乳中の反芻動物における単一非経口注射後のダパグリフロジンの用量/薬物動力学(PD)
妊娠中又は非妊娠中の泌乳牛の研究において、実施例1に記載どおりにダパグリフロジンによる治療を行なう。すなわち用量漸増デザインを利用するので、雌牛は、ダパグリフロジンを含有する単一非経口注射を1週間間隔で受ける。尿中グルコース及びクレアチニン、血中グルコース及びケトン体濃度並びに乳量を測定する。実施例1に記載どおりに薬物動力学データを評価する。従って、以下のことを調べる。
・尿中クレアチニンに正規化された尿中グルコース排泄量が用量/暴露依存様式で増加するかどうか。
・治療後、次の搾乳(PM)の乳量が用量/暴露依存様式で減少すること。
・及びまた、全ての薬用量での治療後に血中グルコース又はケトン体レベルが正常な基準範囲内に留まるかどうか。
従って、ベラグリフロジンを用いて述べたのと同様に、ダパグリフロジンに関しても、1回の注射当たり0.01~10mg/kg(体重)の用量での非経口治療は、本発明の実施例2~6に類似して乾乳時に治療を導入すれば、乳量を減らすために泌乳牛に安全に利用でき、かつ有利な効果を有する可能性があると見込まれる。
【0127】
実施例8 泌乳中の反芻動物における単一非経口注射後のカナグリフロジンの用量/薬物動力学(PD)
妊娠中又は非妊娠中の泌乳牛の研究において、実施例1に記載どおりにカナグリフロジンによる治療を行なう。すなわち用量漸増デザインを利用するので、雌牛は、カナグリフロジンを含有する単一非経口注射を1週間間隔で受ける。尿中グルコース及びクレアチニン、血中グルコース及びケトン体濃度並びに乳量を測定する。実施例1に記載どおりに薬物動力学データを評価する。従って、以下のことを調べる。
・尿中クレアチニンに正規化された尿中グルコース排泄量が用量/暴露依存様式で増加するかどうか。
・治療後、次の搾乳(PM)の乳量が用量/暴露依存様式で減少すること。
・及びまた、全ての薬用量での治療後に血中グルコース又はケトン体レベルが正常な基準範囲内に留まるかどうか。
従って、ベラグリフロジンを用いて述べたのと同様に、カナグリフロジンに関しても、1回の注射当たり0.01~10mg/kg(体重)の用量での非経口治療は、本発明の実施例2~6に類似して乾乳時に治療を導入すれば、乳量を減らすために泌乳牛に安全に利用でき、かつ有利な効果を有する可能性があると見込まれる。
【0128】
実施例9 泌乳中の反芻動物における単一非経口注射後のエンパグリフロジンの用量/薬物動力学(PD)
妊娠中又は非妊娠中の泌乳牛の研究において、実施例1に記載どおりにエンパグリフロジンによる治療を行なう。すなわち用量漸増デザインを利用するので、雌牛は、エンパグリフロジンを含有する単一非経口注射を1週間間隔で受ける。尿中グルコース及びクレアチニン、血中グルコース及びケトン体濃度並びに乳量を測定する。実施例1に記載どおりに薬物動力学データを評価する。従って、以下のことを調べる。
・尿中クレアチニンに正規化された尿中グルコース排泄量が用量/暴露依存様式で増加するかどうか。
・治療後、次の搾乳(PM)の乳量が用量/暴露依存様式で減少すること。
・及びまた、全ての薬用量での治療後に血中グルコース又はケトン体レベルが正常な基準範囲内に留まるかどうか。
従って、ベラグリフロジンを用いて述べたのと同様に、エンパグリフロジンに関しても、1回の注射当たり0.01~10mg/kg(体重)の用量での非経口治療は、本発明の実施例2~6に類似して乾乳時に治療を導入すれば、乳量を減らすために泌乳牛に安全に利用でき、かつ有利な効果を有する可能性があると見込まれる。
【0129】
実施例10 泌乳中の反芻動物における単一非経口注射後のエルツグリフロジンの用量/薬物動力学(PD)
妊娠中又は非妊娠中の泌乳牛の研究において、実施例1に記載どおりにエルツグリフロジンによる治療を行なう。すなわち用量漸増デザインを利用するので、雌牛は、エルツグリフロジンを含有する単一非経口注射を1週間間隔で受ける。尿中グルコース及びクレアチニン、血中グルコース及びケトン体濃度並びに乳量を測定する。実施例1に記載どおりに薬物動力学データを評価する。従って、以下のことを調べる。
・尿中クレアチニンに正規化された尿中グルコース排泄量が用量/暴露依存様式で増加するかどうか。
・治療後、次の搾乳(PM)の乳量が用量/暴露依存様式で減少すること。
・及びまた、全ての薬用量での治療後に血中グルコース又はケトン体レベルが正常な基準範囲内に留まるかどうか。
従って、ベラグリフロジンを用いて述べたのと同様に、エルツグリフロジンに関しても、1回の注射当たり0.01~10mg/kg(体重)の用量での非経口治療は、本発明の実施例2~6に類似して乾乳時に治療を導入すれば、乳量を減らすために泌乳牛に安全に利用でき、かつ有利な効果を有する可能性があると見込まれる。
【0130】
実施例11 乳汁組成及び退縮マーカーへの効果-生体外/試験管内評価
ウシ乳腺へのSGLT2阻害の直接効果を摘出灌流ウシ乳房並びに(初生)ウシ乳房上皮細胞(MEC)で研究する。
例えば灌流乳房の分泌物のような乳汁及び/又はMEC培養の上清において乾乳のためのウシ乳腺への有利な効果を示す-ラクトース及び/又はトリグリセリドの減少を測定する。また、例えば細胞可溶化物のウェスタンブロットでタンパク質含量を決定することによって、β-カゼインのような乳汁産生のマーカーの減少を定量化する。
さらに、退縮マーカーの発現を評価する。本発明に従う少なくとも1種のSGLT2阻害剤による灌流ウシ乳房及び/又はウシMECの暴露は、アポトーシス及び/又はオートファジーに影響する。例えば、トランスフォーミング増殖因子-β及び/又はセクエストソーム-1(p62としても知られる)のようなマーカーの発現を定量化することによってこれらの効果を測定する。
【0131】
実施例12 泌乳実験動物の単一投与後のベラグリフロジンの用量/薬物動力学(PD)
泌乳実験動物、例えばイヌ、ネコ、ラット、マウス及び/又はウサギの研究において、実施例1に記載どおりにベラグリフロジンによる治療を行なう。すなわち用量漸増デザインを利用するので、動物は、ベラグリフロジンを含有する単一非経口注射又は、代わりに、経口投薬を1週間間隔で受ける。尿中グルコース及びクレアチニン、血中グルコース及びケトン体濃度並びに乳量を測定する。実験動物では、秤量-授乳-秤量法を用いて乳量を測定する。簡単には、母親をその子から例えば3時間離す。次に子を秤量し、例えば1時間乳を飲ませ、再び秤量する。この手順を1日、例えばベラグリフロジンによる治療の前の日及び治療日に数回繰り返してよい。
調べる薬物動力学読み取りデータは、例えば以下のとおりである。
・尿中クレアチニンに正規化された尿中グルコース排泄量が用量/暴露依存様式で増加するかどうか。
・治療後、次の搾乳の乳量が用量/暴露依存様式で減少すること。
・及びまた、全ての薬用量での治療後に血中グルコース又はケトン体レベルが正常な基準範囲内に留まるかどうか。
これらの見解を、ベラグリフロジンによる治療の間、前、若しくは後、又は治療を受けないか若しくはプラセボ治療を受ける他の動物と比べてベラグリフロジンで治療される動物間で比較する。
雌牛(実施例1参照)及び実験動物における乳汁分泌のベラグリフロジン用量依存性減少は、SGLT2阻害剤、例えばベラグリフロジン、しかし他のSGLT2阻害剤も、望まれない泌乳、例えば乳用反芻動物の乾乳(実施例1)、動物の偽妊娠/乳汁漏出(実施例17)と関連する動物(好ましくは反芻動物、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ)のいずれの状態をもうまく治療することができる。しかしまた、他の理由のためにお産を突続中止すべき必要がある場合、本発明に従う少なくとも1種のSGLT2阻害剤による治療が乳汁分泌を減らし、さらに随伴臨床徴候、例えば乳房鬱血、疼痛、乳汁漏出及び/又は乳腺炎をうまく減らし及び/又は予防すると見込まれる。
【0132】
実施例13 泌乳実験動物の単一投与後のダパグリフロジンの用量/薬物動力学(PD)
泌乳実験動物、例えばイヌ、ネコ、ラット、マウス及び/又はウサギの研究において、実施例1に記載どおりにダパグリフロジンによる治療を行なう。すなわち用量漸増デザインを利用するので、動物は、ダパグリフロジンを含有する単一非経口注射又は、代わりに、経口投薬を1週間間隔で受ける。尿中グルコース及びクレアチニン、血中グルコース及びケトン体濃度並びに乳量を測定する。実験動物では、秤量-授乳-秤量法を用いて乳量を測定する。簡単には、母親をその子から例えば3時間離す。次に子を秤量し、例えば1時間乳を飲ませ、再び秤量する。この手順を1日、例えばダパグリフロジンによる治療の前の日及び治療日に数回繰り返してよい。
調べる薬物動力学読み取りデータは、例えば以下のとおりである。
・尿中クレアチニンに正規化された尿中グルコース排泄量が用量/暴露依存様式で増加するかどうか。
・治療後、次の搾乳の乳量が用量/暴露依存様式で減少すること。
・及びまた、全ての薬用量での治療後に血中グルコース又はケトン体レベルが正常な基準範囲内に留まるかどうか。
これらの見解を、ダパグリフロジンによる治療の間、前、若しくは後、又は治療を受けないか若しくはプラセボ治療を受ける他の動物と比べてダパグリフロジンで治療される動物間で比較する。
【0133】
実施例14 泌乳実験動物の単一投与後のカナグリフロジンの用量/薬物動力学(PD)
泌乳実験動物、例えばイヌ、ネコ、ラット、マウス及び/又はウサギの研究において、実施例1に記載どおりにカナグリフロジンによる治療を行なう。すなわち用量漸増デザインを利用するので、動物は、カナグリフロジンを含有する単一非経口注射又は、代わりに、経口投薬を1週間間隔で受ける。尿中グルコース及びクレアチニン、血中グルコース及びケトン体濃度並びに乳量を測定する。実験動物では、秤量-授乳-秤量法を用いて乳量を測定する。簡単には、母親をその子から例えば3時間離す。次に子を秤量し、例えば1時間乳を飲ませ、再び秤量する。この手順を1日、例えばカナグリフロジンによる治療の前の日及び治療日に数回繰り返してよい。
調べる薬物動力学読み取りデータは、例えば以下のとおりである。
・尿中クレアチニンに正規化された尿中グルコース排泄量が用量/暴露依存様式で増加するかどうか。
・治療後、次の搾乳の乳量が用量/暴露依存様式で減少すること。
・及びまた、全ての薬用量での治療後に血中グルコース又はケトン体レベルが正常な基準範囲内に留まるかどうか。
これらの見解を、カナグリフロジンによる治療の間、前、若しくは後、又は治療を受けないか若しくはプラセボ治療を受ける他の動物と比べてカナグリフロジンで治療される動物間で比較する。
【0134】
実施例15 泌乳実験動物の単一投与後のエンパグリフロジンの用量/薬物動力学(PD)
泌乳実験動物、例えばイヌ、ネコ、ラット、マウス及び/又はウサギの研究において、実施例1に記載どおりにエンパグリフロジンによる治療を行なう。すなわち用量漸増デザインを利用するので、動物は、エンパグリフロジンを含有する単一非経口注射又は、代わりに、経口投薬を1週間間隔で受ける。尿中グルコース及びクレアチニン、血中グルコース及びケトン体濃度並びに乳量を測定する。実験動物では、秤量-授乳-秤量法を用いて乳量を測定する。簡単には、母親をその子から例えば3時間離す。次に子を秤量し、例えば1時間乳を飲ませ、再び秤量する。この手順を1日、例えばエンパグリフロジンによる治療の前の日及び治療日に数回繰り返してよい。
調べる薬物動力学読み取りデータは、例えば以下のとおりである。
・尿中クレアチニンに正規化された尿中グルコース排泄量が用量/暴露依存様式で増加するかどうか。
・治療後、次の搾乳の乳量が用量/暴露依存様式で減少すること。
・及びまた、全ての薬用量での治療後に血中グルコース又はケトン体レベルが正常な基準範囲内に留まるかどうか。
これらの見解を、エンパグリフロジンによる治療の間、前、若しくは後、又は治療を受けないか若しくはプラセボ治療を受ける他の動物と比べてエンパグリフロジンで治療される動物間で比較する。
【0135】
実施例16 泌乳実験動物の単一投与後のエルツグリフロジンの用量/薬物動力学(PD)
泌乳実験動物、例えばイヌ、ネコ、ラット、マウス及び/又はウサギの研究において、実施例1に記載どおりにエルツグリフロジンによる治療を行なう。すなわち用量漸増デザインを利用するので、動物は、エルツグリフロジンを含有する単一非経口注射又は、代わりに、経口投薬を1週間間隔で受ける。尿中グルコース及びクレアチニン、血中グルコース及びケトン体濃度並びに乳量を測定する。実験動物では、秤量-授乳-秤量法を用いて乳量を測定する。簡単には、母親をその子から例えば3時間離す。次に子を秤量し、例えば1時間乳を飲ませ、再び秤量する。この手順を1日、例えばエルツグリフロジンによる治療の前の日及び治療日に数回繰り返してよい。
調べる薬物動力学読み取りデータは、例えば以下のとおりである。
・尿中クレアチニンに正規化された尿中グルコース排泄量が用量/暴露依存様式で増加するかどうか。
・治療後、次の搾乳の乳量が用量/暴露依存様式で減少すること。
・及びまた、全ての薬用量での治療後に血中グルコース又はケトン体レベルが正常な基準範囲内に留まるかどうか。
これらの見解を、エルツグリフロジンによる治療の間、前、若しくは後、又は治療を受けないか若しくはプラセボ治療を受ける他の動物と比べてエルツグリフロジンで治療される動物間で比較する。
【0136】
実施例17 例えば乳汁漏出及び/又は偽妊娠を含めた望まれない泌乳の場合の乳汁分泌の減少のためのSGLT2阻害剤による治療
前の実施例は、本発明に従う少なくとも1種のSGLT2阻害剤の投与は、望まれない泌乳、例えば乳用反芻動物の乾乳(実施例1)と関連する動物(個の反芻動物、イヌ、ネコ、ウマ、及び/又はブタ)のいずれの状態をもうまく治療できることを記述した。また、他の臨床状態は、望まれない泌乳、乳房鬱血及び/又は乳汁漏出と関連することが多い。例えばこれは偽妊娠及び/又は乳汁漏出の影響を受けるイヌにによって引き起こされるイヌに見られる。
罹患イヌには、SGLT-2阻害剤、例えばベラグリフロジン治療を非経口投与、好ましくは皮下若しくは筋肉内投与として又は経口投与によっても行なうことができる。この治療は、単一治療又は症状が回復するまで例えば約24時間若しくは48時間空けた反復毎日治療であってよい。
乳腺領域の目視検査、すなわち鬱血及び/若しくは乳汁漏出によって、並びに/又は疼痛及び/若しくは発達しつつある乳房内炎症を調べるための手による触診によって治療への反応を評価する。また、さらなる行動症状(例えば、うつ状態、体重増加、嘔吐、又は食欲不振)の解消を評価し得る。読み取り情報をオーナーアンケートに報告してよい。
【0137】
参照文献
(1)Bertulat S et al., J Dairy Sci 2017, 100(4): 3220-3232
(2)EP 2 349 272
(3)EP 2 675 527
(4)Gross JJ et al., J Anim Physiol Anim Nutr 2015, 99: 747-756
(5)Lanctot S et al., J Dairy Sci 2017, 100(3): 2269-2281
(6)Maynou G et al., J Dairy Sci 2018, 101(12): 1-12
(7)US 2004/0258778
(8)US 2011/0245261
(9)US 2014/0024670
(10)US 4,412,993
(11)US 6,391,849
(12)US 8,133,916
(13)US 9,487,557
(14)US 9,744,158
(15)WO 2004/113378
(16)WO 2007/128749
(17)WO 2009/143020
(18)WO 2014/016381
(19)WO 2015/173584
(20)WO 2016/104643
(21)WO 2017/156632
(22)WO 2019/121509
(23)Zhao FQ et al., J. Dairy Sci., 2005, 88: 2738-2748
(24)Zhao FQ, J Mammary Gland Biol Neoplasia 2014, 19: 3-17
【0138】
下記条項も本発明により含まれる。
1. 好ましくは反芻動物の乾乳のための、反芻動物における少なくとも1種のSGLT-2阻害剤の使用。
2. 反芻動物の乾乳を改善及び/又は促進する方法であって、該反芻動物に少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を投与することを含む方法。
3. 妊娠中及び/又は泌乳中の反芻動物の乳汁産生を減少させる方法であって、該反芻動物に少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を投与することを含む方法。
4. 反芻動物の乳房内の乳汁蓄積及び/又は鬱血を低減させる方法であって、該反芻動物に少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を投与することを含む方法。
5. 乳房鬱血と関連する不快感を低減させる方法、例えば反芻動物の毎日の横臥時間の増加及び/又はストレスの低減方法であって、該反芻動物に少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を投与することを含む方法。
6. 反芻動物の乾乳後の乳汁漏出を減少させる方法であって、該反芻動物に少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を投与することを含む方法。
7. 反芻動物における乳房内感染(IMI)、好ましくは乳腺炎及び/又は子宮炎の発生率を低下させる方法であって、該反芻動物に少なくとも1種のSGLT-2阻害剤を投与することを含む方法。
8. 少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が、妊娠中の反芻動物に如何なる有害及び/若しくは堕胎作用をも及ぼすことなく治療有効量で投与され、並びに/又は少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が、その後の繁殖周期/妊孕性並びに次の泌乳の乳量及び/若しくは乳質に如何なる負の効果をも及ぼすことなく治療有効量で投与される、条項1~7のいずれか1項に記載の使用又は方法。
9. 少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が、さらに又は代わりに、次の泌乳の開始後の最初の月の新たな乳房内感染(IMI)若しくは乳腺炎の発生率の低下をもたらす治療有効量で投与される、条項8に記載の使用又は方法。
10. 少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が、下記:
(1) 下記式(1)
【0139】
【化44】
【0140】
(式中、R1は、シアノ、Cl又はメチル(最も好ましくはシアノ)を表し;
R2は、H、メチル、メトキシ又はヒドロキシ(最も好ましくはH)を表し、かつ
R3は、シクロプロピル、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブタ-1-イル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-ヒドロキシ-シクロプロピル、1-ヒドロキシ-シクロブチル、1-ヒドロキシ-シクロペンチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル、エチニル、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシ-プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチル(methly)スルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ若しくは(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又はシアノを表し;
ここで、R3は、好ましくはシクロプロピル、エチル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシから選択され;最も好ましくはR3はシクロプロピルである)、
のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、
又はβ-D-グルコピラノシル基の1つ以上のヒドロキシル基が、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C1-3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されている、その誘導体;
(2) 下記式(2):
【0141】
【化45】
【0142】
で表されるベラグリフロジン;
(3)下記式(3):
【0143】
【化46】
【0144】
で表されるダパグリフロジン;
(4) 下記式(4):
【0145】
【化47】
【0146】
で表されるカナグリフロジン;
(5) 下記式(5):
【0147】
【化48】
【0148】
で表されるエンパグリフロジン;
(6) 下記式(6):
【0149】
【化49】
【0150】
で表されるルセオグリフロジン;
(7) 下記式(7):
【0151】
【化50】
【0152】
で表されるトホグリフロジン;
(8) 下記式(8):
【0153】
【化51】
【0154】
で表されるイプラグリフロジン;
(9) 下記式(9):
【0155】
【化52】
【0156】
で表されるエルツグリフロジン;
(10) 下記式(10):
【0157】
【化53】
【0158】
で表されるアチグリフロジン;
(11) 下記式(11):
【0159】
【化54】
【0160】
で表されるレモグリフロジン;
(11A) 下記式(11A):
【0161】
【化55】
【0162】
で表されるエタボン酸レモグリフロジン;
(12) 下記式(12):
【0163】
【化56】
【0164】
(式中、Rは、メトキシ又はトリフルオロメトキシを表す)
のチオフェン誘導体;
(13) 下記式(13):
【0165】
【化57】
【0166】
で表される1-(β-D-グルコピラノシル)-4-メチル-3-[5-(4-フルオロフェニル)-2-チエニルメチル]ベンゼン;
(14) 下記式(14):
【0167】
【化58】
【0168】
(式中、Rは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、エチル、イソプロピル又はtert.ブチルを表す)
のスピロケタール誘導体;
(15) 下記式(15):
【0169】
【化59】
【0170】
(式中
R1は、C1-3-アルコキシを表し、
L1、L2は、互いに独立にH又はFを表し、
R6は、H、(C1-3-アルキル)カルボニル、(C1-6-アルキル)オキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル又はベンジルカルボニルを表す)
のピラゾール-O-グルコシド誘導体;
(16) 下記式(16):
【0171】
【化60】
【0172】
で表されるソタグリフロジン;
(17) 下記式(17):
【0173】
【化61】
【0174】
で表されるセルグリフロジン;
(18) 下記式(18):
【0175】
【化62】
【0176】
(式中
R3は、シクロプロピル、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブタ-1-イル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-ヒドロキシ-シクロプロピル、1-ヒドロキシ-シクロブチル、1-ヒドロキシ-シクロペンチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル、エチニル、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシ-プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチル(methly)スルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ若しくは(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又はシアノを表し、ここで、R3は、好ましくはシクロプロピル、エチル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシから選択され;R3は、最も好ましくはシクロプロピルである)
で表される化合物、
又はβ-D-グルコピラノシル基の1つ以上のヒドロキシルが、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C1-3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されている、その誘導体;
(19) 下記式(19):
【0177】
【化63】
【0178】
で表されるベキサグリフロジン;
(20) 下記式(20):
【0179】
【化64】
【0180】
で表されるジャナグリフロジン;
から成る群より選択される、条項1~7のいずれか1項に記載の使用又は方法。
11. 反芻動物が、ウシ、ヤギ、ヒツジから成る群より選択され;さらに好ましくは畜牛、雌牛、ヤギ、ヒツジから成る群より選択され;さらに好ましくは乳牛、妊娠中及び/又は泌乳中の乳牛から成る群より選択され;最も好ましくは雌牛、妊娠中及び/又は泌乳中の雌牛から成る群より選択される、条項1~10のいずれか1項に記載の使用又は方法。
12. 少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が、経口、非経口、経直腸、腟内、静脈内、皮下又は筋肉内、好ましくは皮下、筋肉内又は静脈内投与される、条項1~11のいずれか1項に記載の使用又は方法。
13. 少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が、0.01mg/kg(体重)~10mg/kg(体重)の用量、好ましくは0.01mg/kg(体重)~5mg/kg(体重)の用量、さらに好ましくは0.01mg/kg(体重)~3mg/kg(体重)の用量、さらに好ましくは0.03mg/kg(体重)~3mg/kg(体重)の用量、最も好ましくは0.03mg/kg(体重)又は0.3mg/kg(体重)又は3mg/kg(体重)の用量で投与される、条項1~12のいずれか1項に記載の使用又は方法。
14. 少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が、1週間1回、2回、3回、4回、5回、6回又は毎日、好ましくは乾乳開始時に1回だけ又は最後の搾乳後24時間若しくは48時間空けて2回の治療として2回投与される、条項1~13のいずれか1項に記載の使用又は方法。
【0181】
15. 少なくとも1種のSGLT-2阻害剤がベラグリフロジンであり、ベラグリフロジンが、単一のSGLT-2阻害剤として、乾乳開始時に1回だけ又は2回(24時間又は48時間空けて)、0.03mg/kg(体重)~3mg/kg(体重)の用量、好ましくは0.03mg/kg(体重)又は0.3mg/kg(体重)又は3mg/kg(体重)の用量で、好ましくは皮下又は筋肉内投与される、条項1~14のいずれか1項に記載の使用又は方法。
16. 少なくとも1種のSGLT-2阻害剤が、反芻動物への少なくとも1種の飼料補助剤、例えばBovikalc(登録商標)Dryの投与前、後若しくは投与と同時に、及び/又は反芻動物に提供される飼料の減少前、後若しくは減少と同時に投与される、条項1~15のいずれか1項に記載の使用又は方法。
17. 飼料補助剤が、塩化アンモニウム、塩化カルシウム及び/又は硫酸カルシウムから成る群より選択される1種以上の酸性化剤を含み、さらに好ましくは塩化アンモニウム及び塩化カルシウム及び硫酸カルシウムを含み、さらに好ましくは5%(w/w)~15%(w/w)の塩化アンモニウム及び40%(w/w)~60%(w/w)の塩化カルシウム及び15%(w/w)~25%(w/w)の硫酸カルシウムを含み、最も好ましくは10.4%(w/w)の塩化アンモニウム及び51.9%(w/w)の塩化カルシウム及び20.1%(w/w)の硫酸カルシウムを含む、条項16に記載の使用又は方法。
図1
図2