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特許7441951恒温給気可能な溶融塩層状エネルギー貯蔵システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】恒温給気可能な溶融塩層状エネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
   F28D 20/02 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
F28D20/02 E
F28D20/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022535159
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 CN2021093424
(87)【国際公開番号】W WO2022088649
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】202011158646.4
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522228964
【氏名又は名称】西安西熱節能技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】XI’AN TPRI ENERGY CONSERVATION TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Block A, Boyuan Science & TechnologyBuilding, No. 99,Yanxiang Road Xi’an, Shaanxi 710054 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】尚海軍
(72)【発明者】
【氏名】喬磊
(72)【発明者】
【氏名】常東鋒
(72)【発明者】
【氏名】劉聖冠
(72)【発明者】
【氏名】趙立▲ス▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ザイ▼鵬程
(72)【発明者】
【氏名】賀▲カイ▼
(72)【発明者】
【氏名】耿如意
(72)【発明者】
【氏名】馮鉄玲
(72)【発明者】
【氏名】趙鋒
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-164196(JP,A)
【文献】特開2001-336824(JP,A)
【文献】特開2013-124853(JP,A)
【文献】実開昭59-013870(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第00045481(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 17/00 - 21/00
F24F 1/06 - 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
恒温給気可能な溶融塩層状エネルギー貯蔵システムであって、
蓄熱槽(1)、ヒーター(7)、給水管(12)、減温水管(11)、スプレー式減温器(10)、蒸気管(13)、循環ポンプ(16)および電気加熱炉(18)を備え、
蓄熱槽(1)の内部には、上から下に複数の仕切り板(2)が設けられており、各仕切り板(2)には、いずれもオーバーフロー孔(3)が開設されており、ヒーター(7)は、順番に連通された複数の熱交換チューブを備え、各熱交換チューブは、蓄熱槽(1)の下層にある隣接する仕切り板(2)の間に位置し、給水管(12)の出口は2つに分割され、うちの1つはヒーター(7)の入口と連通し、他の1つは、減温水管(11)を介してスプレー式減温器(10)の給水口と連通し、減温水管(11)には第1の調整弁(14)が設けられており、ヒーター(7)の出口は、スプレー式減温器(10)を経て蒸気管(13)と連通し、蓄熱槽(1)の底部出口は、循環ポンプ(16)を介して電気加熱炉(18)の入口と連通し、電気加熱炉(18)の出口は、蓄熱槽(1)の頂部入口と連通し、
蓄熱槽(1)の底部出口は、順番に第2の調整弁(15)、循環ポンプ(16)および循環パイプ(17)を介して電気加熱炉(18)の入口と連通し、
ヒーター(7)の入口には第3の調整弁(20)が設けられている、ことを特徴とする恒温給気可能な溶融塩層状エネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
さらにコントローラーを備え、蓄熱槽(1)の底部には第1の温度計(5)が設けられており、蓄熱槽(1)の頂部には第2の温度計(6)が設けられており、蒸気管(13)には第3の温度計(9)が設けられており、給水管(12)には第4の温度計(8)が設けられており、電気加熱炉(18)の内部には第5の温度計(19)が設けられており、コントローラーが第1の温度計(5)、第2の温度計(6)、第3の温度計(9)、第4の温度計(8)、第5の温度計(19)、電気加熱炉(18)、循環ポンプ(16)、第1の調整弁(14)および第2の調整弁(15)に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の恒温給気可能な溶融塩層状エネルギー貯蔵システム。
【請求項3】
仕切り板(2)にはリブ(4)が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の恒温給気可能な溶融塩層状エネルギー貯蔵システム。
【請求項4】
オーバーフロー孔(3)と蓄熱槽(1)の中心線との間の挟み角は90°である、ことを特徴とする請求項1に記載の恒温給気可能な溶融塩層状エネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
仕切り板(2)の数は8枚である、ことを特徴とする請求項1に記載の恒温給気可能な溶融塩層状エネルギー貯蔵システム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業生産および民間生産分野に属し、特に、恒温給気可能な溶融塩層状エネルギー貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー貯蔵の需要が高まることにより、溶融塩は蓄熱媒体としてますます広く使用されている。溶融塩の作動温度は150℃~550℃であり、特定のニーズに応じて、中低温の溶融塩または高温の溶融塩を選択してもよい。溶融塩の比熱は約1.4kJ/(kg・K)程度で、水の比熱よりはるかに小さいため、蓄熱温度差が大きい。放熱の初期段階では、溶融塩の蓄熱温度が高く、蒸気出口の温度が高すぎる。溶融塩が放熱し続けると、溶融塩の温度が急速に低下し、従って蒸気出口の温度も低下する。特に、放熱後期の温度低下幅が大きすぎるため、蒸気出口の温度が低すぎて、生産要件を満たすことができず、溶融塩の作動温度範囲が圧縮され、蓄熱容量が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上記の先行技術に存在する欠点を克服し、蓄熱容量が高く、溶融塩の作動温度範囲が広い特徴を有すると共に、蒸気出口温度の要件を満たす、恒温給気可能な溶融塩層状エネルギー貯蔵システムを提供することである。
上記の目的に達するために、本発明に記載の恒温給気可能な溶融塩層状エネルギー貯蔵システムは、蓄熱槽、ヒーター、給水管、減温水管、スプレー式減温器、蒸気管、循環ポンプおよび電気加熱炉を備える。
蓄熱槽の内部には、上から下に複数の仕切り板が設けられており、うち、各仕切り板には、いずれもオーバーフロー孔が開設されており、ヒーターは、順番に連通された複数の熱交換チューブを備える。うち、各熱交換チューブは、蓄熱槽の下層にある隣接する仕切り板の間に位置し、給水管の出口は2つに分割され、うちの1つはヒーターの入口と連通し、他の1つは、減温水管を介してスプレー式減温器の給水口と連通する。減温水管には第1の調整弁が設けられており、ヒーターの出口は、スプレー式減温器を経て蒸気管と連通し、蓄熱槽の底部出口は、循環ポンプを介して電気加熱炉の入口と連通し、電気加熱炉の出口は、蓄熱槽の頂部入口と連通する。
【0004】
蓄熱槽の底部出口は、順番に第2の調整弁、循環ポンプおよび循環パイプを介して電気加熱炉の入口と連通する。
【0005】
ヒーターの入口には第3の調整弁が設けられている。
【0006】
本発明は、さらにコントローラーを備え、蓄熱槽の底部には第1の温度計が設けられており、蓄熱槽の頂部には第2の温度計が設けられており、蒸気管には第3の温度計が設けられており、給水管には第4の温度計が設けられており、電気加熱炉の内部には第5の温度計が設けられている。うち、コントローラーが第1の温度計、第2の温度計、第3の温度計、第4の温度計、第5の温度計、電気加熱炉、循環ポンプ、第1の調整弁および第2の調整弁に接続される。
【0007】
仕切り板にはリブが設けられている。
オーバーフロー孔と蓄熱槽の中心線との間の挟み角は90°である。
仕切り板の数は8枚である。
本発明は、以下の有益な効果を有する。
本発明に記載の恒温給気可能な溶融塩層状エネルギー貯蔵システムは、特定の操作するときに、蓄熱槽の内部には複数の仕切り板が設けられている。溶融塩の蓄熱槽の内部における自然対流を遮断するために、蓄熱槽の内部を仕切り板により複数の層に分割し、溶融塩を蓄熱槽の内部に層状貯蔵する。仕切り板には、オーバーフロー孔が設けられており、溶融塩がオーバーフロー孔から下向きに流れる。蓄熱槽の底部にはヒーターが配置されており、ヒーターで水を蒸気に加熱して供給する。放熱の初期段階において、蒸気温度が高い場合、減温水を噴射して蒸気を降温させ、蒸気温度が低すぎる場合、循環ポンプを起動して、蓄熱槽の下層の溶融塩を蓄熱槽の頂部に送り込むことによって、高温の溶融塩を層ごとに下方に移動させ、蒸気出口温度の要件を満たし、溶融塩の作動温度範囲が広く、蓄熱容量が大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明を示す図である。
図2】仕切り板2の構造を示す図である。
図3】蓄熱が終了した溶融塩の温度を示す図である。
図4】放熱初期段階の溶融塩の温度を示す図である。
図5】放熱中期段階の溶融塩の温度を示す図である。
図6】放熱が終了した溶融塩の温度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【0010】
図1図2を参照すると、本発明に記載の恒温給気可能な溶融塩層状エネルギー貯蔵システムは、蓄熱槽1、ヒーター7、給水管12、減温水管11、スプレー式減温器10、蒸気管13、循環ポンプ16および電気加熱炉18を備える。蓄熱槽1の内部には、上から下に複数の仕切り板2が設けられている。うち、各仕切り板2には、いずれもオーバーフロー孔3が開設されており、ヒーター7は、順番に連通された複数の熱交換チューブを備える。うち、各熱交換チューブは、蓄熱槽1の下層にある隣接する仕切り板2の間に位置し、給水管12の出口は2つに分割され、うちの1つはヒーター7の入口と連通し、他の1つは、減温水管11を介してスプレー式減温器10の給水口と連通する。減温水管11には第1の調整弁14が設けられており、ヒーター7の出口は、スプレー式減温器10を経て蒸気管13と連通する。蓄熱槽1の底部出口は、循環ポンプ16を介して電気加熱炉18の入口と連通し、電気加熱炉18の出口は、蓄熱槽1の頂部入口と連通する。
【0011】
蓄熱槽1の底部出口は、順番に第2の調整弁15、循環ポンプ16および循環パイプ17を介して電気加熱炉18の入口と連通する。ヒーター7の入口には第3の調整弁20が設けられている。
【0012】
本発明は、さらにコントローラーを備えており、蓄熱槽1の底部には第1の温度計5が設けられており、蓄熱槽1の頂部には第2の温度計6が設けられており、蒸気管13には第3の温度計9が設けられており、給水管12には第4の温度計8が設けられており、電気加熱炉18の内部には第5の温度計19が設けられている。うち、コントローラーが第1の温度計5、第2の温度計6、第3の温度計9、第4の温度計8、第5の温度計19、電気加熱炉18、循環ポンプ16、第1の調整弁14および第2の調整弁15に接続される。
【0013】
仕切り板2にはリブ4が設けられている。オーバーフロー孔3と蓄熱槽1の中心線との間の挟み角は90°である。仕切り板2の数は8枚である。
【0014】
熱を貯蔵するとき、電気加熱炉18の電源をオンにし、循環ポンプ16は、蓄熱槽1の底部の溶融塩を電気加熱炉18に送り込み加熱し、その後、蓄熱槽1の頂部を介して蓄熱槽1の内部に送り込むことにより、蓄熱槽1の下層の溶融塩の温度は、予め設定された最低の溶融塩温度に達する。うち、第1の温度計5で蓄熱槽1の下層の溶融塩の温度を検出し、第2の温度計6で蓄熱槽1の頂部の溶融塩の温度を検出する。電気加熱炉18の加熱温度を制御することによって、蓄熱槽1の頂部の溶融塩の温度は、予め設定された最高溶融塩温度よりも低くなり、同時に、電気加熱炉18の内部における溶融塩の温度は、溶融塩の沸点温度よりも低くなる。
【0015】
熱を放出するとき、給水管12から出力される水は、流量第3の調整弁20を介してヒーター7に入り、蒸気に加熱された後、スプレー式減温器10および蒸気管13を経てユーザ側に導かれ、第3の温度計9で蒸気管13内部の蒸気の温度を検出する。蒸気管13内部の蒸気の温度が予め設定された最高蒸気温度値よりも高い場合、第1の調整弁14を開き、給水管12内部の水をスプレー式減温器10に噴射することによって、蒸気を降温させる。蒸気管13内部の蒸気の温度が予め設定された最低蒸気温度よりも低い、または、蓄熱槽1の下層における溶融塩の温度が予め設定された作動温度よりも低い場合、第2の調整弁15を開き、循環ポンプ16を起動し、蓄熱槽1の下層にある低温の溶融塩を、循環パイプ17を介して蓄熱槽1の最上層に送る。蒸気管13の内部の蒸気温度が予め設定された最低温度以上になると、循環ポンプ16を停止し、第2の調整弁15をオフにする。放熱過程において、高温の溶融塩は仕切り板2のオーバーフロー孔3から層ごとに下方に移動し、低温の溶融塩は蓄熱槽1の上層に戻り、放熱過程における溶融塩層の温度場の変化は、図3に示すとおりである。
以上の説明は、本発明の好ましい特定の実施形態のみであり、本発明の保護範囲はこれに限定されない。本技術分野に精通している技術者が、本発明に開示された技術範囲内で、容易に想到できる変更または置換は、全て本発明の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に準ずるべきである。
【符号の説明】
【0016】
1 蓄熱槽
2 仕切り板
3 オーバーフロー孔
4 リブ
5 第1の温度計
6 第2の温度計
7 ヒーター
8 第4の温度計
9 第3の温度計
10 スプレー式減温器
11 減温水管
12 給水管
13 蒸気管
14 第1の調整弁
15 第2の調整弁
16 循環ポンプ
17 循環パイプ
18 電気加熱炉
19 第5の温度計
20 第3の調整弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6