(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】ネットワーク時間の監視および調整
(51)【国際特許分類】
H04W 56/00 20090101AFI20240222BHJP
【FI】
H04W56/00 130
(21)【出願番号】P 2022558073
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(86)【国際出願番号】 FI2021050200
(87)【国際公開番号】W WO2021191502
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-10-26
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】515076873
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オサケユイチア
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ウィアチェク ファビアン
【審査官】本橋 史帆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/192322(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0357165(US,A1)
【文献】特開2017-076927(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101515831(CN,A)
【文献】国際公開第2017/200043(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含んでいる少なくとも1つのメモリとを備えている装置であって、前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードが、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に、
前記装置と1つまたは複数の無線アクセスノードの間の基準伝搬遅延に関する情報を格納することと、
1つまたは複数の無線アクセスノードからの基準信号の受信を制御することであって、前記基準信号が
当該基準信号
の送信時刻に関する情報を含んでいる、前記制御することと、
前記基準信号
の受信時刻を決定することと、
前記受信時刻と前記送信時刻
の時間差に基づいて前記基準信号
の伝搬遅延を決定することと、
前記決定され
た伝搬遅延と格納された
基準伝搬遅延に基づいて前記装置および前記1つまたは複数の無線アクセスノードの時間基準の正しさを決定することとを少なくとも実行させるように構成される、装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードが、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に、
2つ以上の無線アクセスノードに関連する前記決定され
た伝搬遅延と格納された
基準伝搬遅延が等しくない場合に、前記装置の前記時間基準が正しくないということを決定することを少なくともさらに実行させるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードが、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に、
前記
1つまたは複数の無線アクセスノードのうちの1つの無線アクセスノードに関連する前記決定され
た伝搬遅延と格納された
基準伝搬遅延が等しくなく、前記1つまたは複数の無線アクセスノードのうちの少なくとも1つの他のノードに関連する前記決定され
た伝搬遅延と格納された
基準伝搬遅延が特定のマージンを伴って等しい場合に、前記1つまたは複数の無線アクセスノードのうちの1つの前記時間基準が正しくないということを決定することを少なくともさらに実行させるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードが、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に、
前記正しくない時間基準に対する修正を決定することを少なくともさらに実行させるように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードが、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に、
前記1つまたは複数の無線アクセスノードのうち
の1つの無線アクセスノードへの指示の送信を制御することを少なくともさらに実行させるように構成され、前記指示が、前記正しくない時間基準に対す
る修正に関する情報を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードが、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に、
前記決定された修正に基づいて前記装置の前記時間基準を修正することを少なくともさらに実行させるように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含んでいる少なくとも1つのメモリとを備えている装置であって、前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードが、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に、
ユーザ機器への基準信号の送信を制御することであって、前記基準信号が前記信号
の送信時刻に関する情報を含んでいる、前記制御することと、
前記ユーザ機器からの指示の受信を制御することであって、前記指示が、前記装置
の時間基準に対す
る修正に関する情報を含んでいる、前記制御することと、
前記指示に基づいて前記装置の前記時間基準を修正することとを少なくとも実行させるように構成される、装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードが、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に、
前記装置の前記時間基準を修正した後に、前記ユーザ機器への基準信号の送信を制御することを少なくともさらに実行させるように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
装置と1つまたは複数の無線アクセスノードの間の基準伝搬遅延に関する情報を格納すること(300)と、
1つまたは複数の無線アクセスノードからの基準信号の受信を制御すること(302)であって、前記基準信号が
当該基準信号
の送信時刻に関する情報を含んでいる、前記制御すること(302)と、
前記基準信号
の受信時刻を決定すること(304)と、
前記受信時刻と前記送信時刻
の時間差に基づいて前記基準信号
の伝搬遅延を決定すること(306)と、
前記決定され
た伝搬遅延と格納された
基準伝搬遅延に基づいて前記装置および前記1つまたは複数の無線アクセスノードの時間基準の正しさを決定すること(308)とを含む、方法。
【請求項10】
2つ以上の無線アクセスノードに関連する前記決定され
た伝搬遅延と格納された
基準伝搬遅延が等しくない場合に、前記装置の前記時間基準が正しくないということを決定することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記
1つまたは複数の無線アクセスノードのうちの1つの無線アクセスノードに関連する前記決定され
た伝搬遅延と格納された
基準伝搬遅延が等しくなく、前記1つまたは複数の無線アクセスノードのうちの少なくとも1つの他のノー
ドに関連する前記決定され
た伝搬遅延と格納された
基準伝搬遅延が特定のマージンを伴って等しい場合に、前記1つまたは複数の無線アクセスノードのうちの1つの前記時間基準が正しくないということを決定することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記正しくない時間基準に対する修正を決定することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記1つまたは複数の無線アクセスノードのうち
の1つの無線アクセスノードへの指示の送信を制御することをさらに含み、前記指示が、前記正しくない時間基準に対す
る修正に関する情報を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記決定された修正に基づいて前記装置の前記時間基準を修正することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
ユーザ端末への基準信号の送信を制御すること(400)であって、前記基準信号が前記信号
の送信時刻に関する情報を含んでいる、前記制御すること(400)と、
ユーザ機器からの指示の受信を制御すること(402)であって、前記指示が
、装置
の時間基準に対す
る修正に関する情報を含んでいる、前記制御すること(402)と、
前記指示に基づいて前記装置の前記時間基準を修正すること(404)とを含む、方法。
【請求項16】
前記装置の前記時間基準を修正した後に、前記ユーザ機器への基準信号の送信を制御することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の例示的な非限定的実施形態は、一般に、ワイヤレス通信システムに関連している。本発明の例示的な非限定的実施形態は、特に、ワイヤレス通信ネットワーク内の装置および方法に関連している。
【背景技術】
【0002】
モバイル通信用グローバルシステム、GSM、ロングタームエボリューションアドバンスド、LTE-アドバンスド、LTE-A、またはニューラジオ、NRなどのワイヤレス通信同期システムでは、5Gが、無線インターフェイスを経由して、例えば協定世界時、UTCであってよいネットワーク時間に関する情報をユーザ端末に提供し得る。ネットワーク時間は、例えば、ユーザ端末の内部クロック同期に使用されてよい。一般に、ユーザ端末内の時間基準は、安定性が不十分であり、内部クロックがネットワーク時間と定期的に同期される必要がある。このことは、ユーザ端末にサービスを提供する無線アクセスノードにも当てはまる。無線アクセスノードの内部クロックは、ネットワークの高精度基準クロック、PRCと同期される必要がある。PRCは、例えば、全地球的航法衛星システム、GNSS、時間から、または原子時計から取得されてよい。
【0003】
PRCの同期が失われた場合、モバイルネットワークは、特定の期間にわたって、ネットワーク要素の内部クロックに基づいて動作し続けることがある。例えば、ネットワーク時間がGNSS時間に基づく場合、人工衛星に基づくシステムの故障または停止が発生することがある。そのような状況の例は、太陽フレアまたは電波妨害攻撃であることがある。また、原子時計の場合、システム故障が発生することがある。何らかの故障によって引き起こされた累積的な時間誤差または周波数誤差が大きくなり過ぎた場合、ネットワークのそれ以上の動作が危険にさらされることがある。このことは、無線インターフェイスを経由する動作にも当てはまり、ユーザ端末は、特定の相対的に短い周期で同期せずに動作し続けることがある。
【発明の概要】
【0004】
以下に、本発明の一部の態様の基本的理解を可能にするために、本発明の簡略化された概要を示す。この概要は、本発明の広範囲に及ぶ概要ではない。この概要は、本発明の主要な要素を識別するよう意図されておらず、本発明の範囲を正確に説明するよう意図されてもいない。この概要の唯一の目的は、後で提示されるより詳細な説明のための前置きとして、本発明の一部の概念を簡略化された形態で提示することである。
【0005】
本発明の態様によれば、通信ネットワーク内の装置が提供されており、この装置は、装置と1つまたは複数の無線アクセスノードの間の基準伝搬遅延に関する情報を格納するための手段と、1つまたは複数の無線アクセスノードからの基準信号の受信を制御するための手段であって、基準信号が信号の送信時刻に関する情報を含んでいる、手段と、基準信号の受信時刻を決定するための手段と、受信時刻と送信時刻の時間差に基づいて基準信号の伝搬遅延を決定するための手段と、決定されて格納された伝搬遅延に基づいて装置および1つまたは複数の無線アクセスノードの時間基準の正しさを決定するための手段とを備える。
【0006】
本発明の態様によれば、通信ネットワーク内の装置が提供されており、この装置は、ユーザ端末への基準信号の送信を制御するための手段であって、基準信号が信号の送信時刻に関する情報を含んでいる、手段と、ユーザ機器からの指示の受信を制御するための手段であって、指示が、装置の時間基準に対する修正に関する情報を含んでいる、手段と、この指示に基づいて装置の時間基準を修正するための手段とを備える。
【0007】
本発明の態様によれば、方法が提供されており、この方法は、装置と1つまたは複数の無線アクセスノードの間の基準伝搬遅延に関する情報を格納することと、1つまたは複数の無線アクセスノードからの基準信号の受信を制御することであって、基準信号が信号の送信時刻に関する情報を含んでいる、制御することと、基準信号の受信時刻を決定することと、受信時刻と送信時刻の時間差に基づいて基準信号の伝搬遅延を決定することと、決定されて格納された伝搬遅延に基づいて装置および1つまたは複数の無線アクセスノードの時間基準の正しさを決定することとを含む。
【0008】
本発明の態様によれば、通信ネットワーク内の方法が提供されており、この方法は、ユーザ端末への基準信号の送信を制御することであって、基準信号が信号の送信時刻に関する情報を含んでいる、制御することと、ユーザ機器からの指示の受信を制御することであって、この指示が装置の時間基準に対する修正に関する情報を含んでいる、制御することと、この指示に基づいて装置の時間基準を修正することとを含む。
【0009】
本発明の態様によれば、コンピュータプログラムが提供されており、コンピュータプログラムは、装置に、装置と1つまたは複数の無線アクセスノードの間の基準伝搬遅延に関する情報を格納することと、1つまたは複数の無線アクセスノードからの基準信号の受信を制御することであって、基準信号が信号の送信時刻に関する情報を含んでいる、制御することと、基準信号の受信時刻を決定することと、受信時刻と送信時刻の時間差に基づいて基準信号の伝搬遅延を決定することと、決定されて格納された伝搬遅延に基づいて装置および1つまたは複数の無線アクセスノードの時間基準の正しさを決定することとを少なくとも実行させる命令を含んでいる。
【0010】
本発明の態様によれば、コンピュータプログラムが提供されており、コンピュータプログラムは、装置に、ユーザ端末への基準信号の送信を制御することであって、基準信号が信号の送信時刻に関する情報を含んでいる、制御することと、ユーザ機器からの指示の受信を制御することであって、この指示が装置の時間基準に対する修正に関する情報を含んでいる、制御することと、この指示に基づいて装置の時間基準を修正することとを少なくとも実行させる命令を含んでいる。
【0011】
以下では、実装の1つまたは複数の実施例が、添付の図面および説明においてさらに詳細に示される。説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から、その他の特徴が明らかになるであろう。独立請求項の範囲に該当しない、本明細書で説明される実施形態および/または実施例ならびに特徴は、もしあれば、本発明のさまざまな実施形態を理解することに役立つ例として解釈されるべきである。
【0012】
以下では、添付の図面を参照し、好ましい実施形態を用いて、本発明が詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】通信システムの簡略化されたシステムアーキテクチャの例を示す図である。
【
図2】通信システムの簡略化されたシステムアーキテクチャの例を示す図である。
【
図3】一部の実施形態を示すフローチャートである。
【
図4】一部の実施形態を示すフローチャートである。
【
図5A-5B】一部の実施形態の例を示す図である。
【
図6A-6B】一部の実施形態の例を示す図である。
【
図7A-7B】一部の実施形態の例を示す図である。
【
図8】ユーザ機器の較正の例を示すフローチャートである。
【
図10】較正されたユーザ機器の動作の例を示すフローチャートである。
【
図11】一部の実施形態の一部の例を示すフローチャートである。
【
図12】一部の実施形態の一部の例を示すフローチャートである。
【
図13】一部の実施形態の一部の例を示すフローチャートである。
【
図14】一部の実施形態の一部の例を示すフローチャートである。
【
図15】一部の実施形態の装置の例を示す図である。
【
図16】一部の実施形態の装置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実施形態は単なる例である。本明細書は、複数の場所で「実施形態」、「1つの実施形態」、または「一部の実施形態」を参照することがあるが、これは、そのような各参照が同じ実施形態に対するものであるということを必ずしも意味せず、特徴が単一の実施形態のみに当てはまるということも必ずしも意味しない。異なる実施形態の単一の特徴は、他の実施形態を提供するために組み合わせられてもよい。さらに、「備えている」および「含んでいる」という単語は、説明された実施形態を、言及された特徴のみから成ることに限定しているのではないと理解されるべきであり、そのような実施形態は、特に言及されていない特徴、構造、ユニット、モジュールなどを含んでもよい。
【0015】
本発明の一部の実施形態は、ユーザ機器、ユーザ端末、基地局、eNodeB、gNodeB、基地局の分散された実現、通信システムのネットワーク要素、対応するコンポーネント、および/または任意の通信システムもしくは必要な機能をサポートする異なる通信システムの任意の組合せに適用可能である。
【0016】
使用されるプロトコル、通信システム、サーバ、およびユーザ機器の仕様は、特にワイヤレス通信において急速に発達している。そのような発達は、実施形態に対する追加の変更を必要とすることがある。したがって、すべての単語および表現は、広く解釈されるべきであり、実施形態を説明するよう意図されており、制限するよう意図されてはいない。
【0017】
以下では、実施形態が適用され得るアクセスアーキテクチャの例として、ロングタームエボリューションアドバンスド(LTEアドバンスド、LTE-A)またはニューラジオ(NR、5G)に基づく無線アクセスアーキテクチャを使用して、ただし実施形態をそのようなアーキテクチャに制限せずに、さまざまな例示的な実施形態が説明される。実施形態は、パラメータおよび手順を適切に調整することによって、適切な手段を含んでいるその他の種類の通信ネットワークに適用されてもよい。適切なシステムの他の選択肢の一部の例は、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)無線アクセスネットワーク(UTRANまたはE-UTRAN)、ロングタームエボリューション(LTE(long term evolution)、E-UTRAと同じ)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLANまたはWiFi)、ワールドワイドインターオペラビリティフォーマイクロウェーブアクセス(WiMAX)、Bluetooth(登録商標)、パーソナル通信サービス(PCS)、ZigBee(登録商標)、広帯域符号分割多重アクセス(WCDMA)、超広帯域(UWB)技術を使用するシステム、センサネットワーク、モバイルアドホックネットワーク(MANET)、およびインターネットプロトコルマルチメディアサブシステム(IMS)、またはこれらの任意の組合せである。
【0018】
図1は、一部の要素および機能的実体を示している簡略化されたシステムアーキテクチャの例を示しており、これらのすべてまたは一部は論理的ユニットであり、その実装は、示されているものとは異なってよい。
図1に示されている接続は論理的接続であり、実際の物理的接続は異なってよい。システムが、通常、
図1に示された機能および構造以外の機能および構造も備えるということが、当業者にとって明らかである。
【0019】
しかし実施形態は、例として与えられたシステムに制限されず、当業者は解決策を、必要な特性を備えている他の通信システムに適用してよい。
【0020】
図1の例は、例示的な無線アクセスネットワークの一部を示している。
【0021】
図1は、デバイス100および102を示している。デバイス100および102は、例えば、ユーザデバイスまたはユーザ端末であってよい。デバイス100および102は、1つまたは複数の通信チャネル上で、ノード104とワイヤレス接続されるよう構成される。ノード104は、コアネットワーク106にさらに接続される。1つの例では、ノード104は、セル内のデバイスを提供するか、またはセル内のデバイスにサービスを提供する、(例えば)NodeBなどのアクセスノードであってよい。1つの例では、ノード104は非3GPPアクセスノードであってよい。デバイスから(例えば)NodeBへの物理リンクは、アップリンクまたは逆方向リンクと呼ばれ、(例えば)NodeBからデバイスへの物理リンクは、ダウンリンクまたは順方向リンクと呼ばれる。使用に適した任意のノード、ホスト、サーバ、またはアクセスポイントなどの実体を使用することによって、(例えば)NodeBまたはそれらの機能が実装されてよいということが、理解されるべきである。
【0022】
通信システムは、通常、2つ以上の(例えば)NodeBを備え、その場合、(例えば)NodeBは、この目的のために設計された有線リンクまたはワイヤレスリンクを経由して互いに通信するように構成されてもよい。これらのリンクは、信号伝達の目的に使用されてよい。(例えば)NodeBは、NodeBが結合された通信システムの無線リソースを制御するように構成されたコンピューティングデバイスである。NodeBは、ワイヤレス環境内で動作できる、基地局、アクセスポイント、または中継局を含む任意のその他の種類のインターフェイスデバイスと呼ばれてもよい。(例えば)NodeBは、トランシーバを含むか、またはトランシーバに結合される。(例えば)NodeBのトランシーバから接続がアンテナユニットに提供され、デバイスとの双方向無線リンクを確立する。アンテナユニットは、複数のアンテナまたはアンテナ素子を備えてよい。(例えば)NodeBは、コアネットワーク106(CN(core network)または次世代コアNGC(next generation core))にさらに接続される。システムに応じて、CN側の対応する部分は、サービングゲートウェイ(ユーザデータパケットをルーティングして転送するS-GW(serving gateway))、外部パケットデータネットワークへのデバイス(UE)の接続を提供するためのパケットデータネットワークゲートウェイ(P-GW)、またはモビリティ管理エンティティ(MME)などであることができる。
【0023】
デバイス(ユーザデバイス、加入者ユニット、ユーザ機器(UE)、ユーザ端末、端末デバイスなどとも呼ばれる)は、無線インターフェイスのリソースが割り振られ、割り当てられる装置の一種を示し、したがって、デバイスを含む本明細書に記載された任意の特徴が、中継ノードなどの対応する装置と共に実装されてよい。そのような中継ノードの例は、基地局に向かうレイヤ3リレー(自己バックホーリングリレー)である。
【0024】
デバイスは、通常、汎用加入者識別モジュール(USIM)を使用するか、または使用しないで動作するワイヤレス移動体通信デバイスを含んでいるデバイス(例えば、ポータブルコンピューティングデバイスまたは非ポータブルコンピューティングデバイス)のことを指し、移動局(携帯電話)、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、送受話器、ワイヤレスモデムを使用するデバイス(アラームまたは測定デバイスなど)、ラップトップコンピュータおよび/またはタッチスクリーンコンピュータ、タブレット、ゲーム機、ノートブック、ならびにマルチメディアデバイスという種類のデバイスを含むが、これらに限定されない。デバイスが、ほぼ排他的なアップリンクデバイスであってもよく、その例は、画像またはビデオクリップをネットワークに読み込むカメラまたはビデオカメラであるということが、理解されるべきである。デバイスは、モノのインターネット(IoT)ネットワーク内で動作する能力を有するデバイスであってもよく、これは、例えば、スマート電力グリッドおよび接続された車両内で使用されるために、人間間の情報のやりとりも、人間とコンピュータの間の情報のやりとりも必要とせずに、物体がネットワークを経由してデータを転送する能力を備えているという状況である。デバイスは、クラウドを利用してもよい。一部の応用では、デバイスは、無線部を含んでいるユーザポータブルデバイス(腕時計、イヤホン、または眼鏡など)を含んでよく、計算がクラウド内で実行される。デバイス(または一部の実施形態では、レイヤ3リレーノード)は、ユーザ機器の機能のうちの1つまたは複数を実行するように構成される。
【0025】
本明細書に記載されたさまざまな技術は、サイバーフィジカルシステム(CPS)(物理的実体を制御する、共同して働く計算要素のシステム)に適用されてもよい。CPSは、さまざまな位置で物体に組み込まれた膨大な量の相互接続された情報通信技術、ICT、デバイス(センサ、アクチュエータ、プロセッサ、マイクロコントローラなど)の実装および利用を可能にし得る。当該の物理システムが特有のモビリティを有するモバイルサイバーフィジカルシステムは、サイバーフィジカルシステムのサブカテゴリである。モバイルフィジカルシステムの例としては、移動ロボット工学、および人間または動物によって運ばれる電子機器が挙げられる。
【0026】
さらに、装置が単一の実体として示されているが、さまざまなユニット、プロセッサ、および/またはメモリユニット(
図1にすべて示されてはいない)が実装されてよい。
【0027】
5Gは、多入力多出力(MIMO)アンテナ、LTE(いわゆるスモールセルの概念)よりも多くの基地局またはノードを使用することを可能にし、より小さい基地局と協力して動作し、サービスの必要性、使用事例、および/または使用可能なスペクトルに応じてさまざまな無線技術を採用する、マクロサイトを含む。5G移動体通信は、ビデオストリーミング、拡張現実、データ共有のさまざまな方法、およびマシンタイプアプリケーションのさまざまな形態(車両の安全性、さまざまなセンサおよびリアルタイム制御を含む(大規模)マシンタイプ通信(mMTC)などを含む、広範囲の使用事例および関連する応用をサポートする。5Gは、複数の無線インターフェイス、すなわち、6GHz未満、センチメートル波、およびミリ波を含むことが期待されており、LTEなどの既存の従来の無線アクセス技術と一体化可能でもある。LTEとの統合は、少なくとも初期段階で、LTEによってマクロカバレッジが提供され、LTEへの集約によって5G無線インターフェイスアクセスが小さいセルから生じるシステムとして、実施されてよい。言い換えると、5Gは、RAT間の操作性(LTE-5Gなど)およびRI間の操作性(6GHz未満-センチメートル波、6GHz未満-センチメートル波-ミリ波などの、無線インターフェイス間の操作性)の両方をサポートするように計画されている。5Gネットワークで使用されると考えられている概念の1つはネットワークスライシングであり、ネットワークスライシングでは、待ち時間、信頼性、スループット、およびモビリティに関して異なる要件を有するサービスを実行するために、複数の独立した専用の仮想サブネットワーク(ネットワークインスタンス)が同じインフラストラクチャ内に作成されてよい。
【0028】
LTEネットワークにおける現在のアーキテクチャは、無線で完全に分散され、コアネットワークに完全に集中化される。5Gでの待ち時間の短いアプリケーションおよびサービスは、コンテンツを無線に近づけることを必要とし、これがローカルブレークアウトおよびマルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)につながる。5Gは、分析および知識生成がデータのソースで発生することを可能にする。この手法は、ラップトップ、スマートフォン、タブレット、およびセンサなどの、継続的にネットワークに接続されないことがあるリソースを活用する必要がある。MECは、アプリケーションおよびサービスのホストのための分散コンピューティング環境を提供する。MECは、より高速な応答時間のために、携帯電話加入者にごく接近してコンテンツを格納して処理する能力も有する。エッジコンピューティングは、ローカルクラウド/フォグコンピューティングおよびグリッド/メッシュコンピューティング、デューコンピューティング、モバイルエッジコンピューティング、クラウドレット、分散データの格納および取り出し、自律的自己回復ネットワーク、リモートクラウドサービス、拡張仮想現実、データキャッシング、モノのインターネット(大規模な接続および/または待ち時間が極めて重要な接続)、クリティカル通信(自律車両、交通安全、リアルタイム分析、タイムクリティカルな制御、医療アプリケーション)としても分類できる、ワイヤレスセンサネットワーク、モバイルデータ収集、モバイル署名分析、協調的分散ピアツーピアアドホックネットワークおよび処理などの、広範囲の技術を対象にする。
【0029】
通信システムは、公衆交換電話網またはインターネット112などの、他のネットワークと通信するか、または他のネットワークによって提供されるサービスを利用することもできる。通信ネットワークは、クラウドサービスの使用をサポートすることもでき、例えば、コアネットワークの動作の少なくとも一部が、クラウドサービスとして実行されてよい(これが、
図1の「クラウド」114によって示されている)。通信システムは、例えばスペクトル共有において協力するために、異なるオペレータのネットワークのための機能を提供する、中央制御実体などを備えてもよい。
【0030】
ネットワーク機能仮想化(NVF)およびソフトウェア定義ネットワーク(SDN)を利用することによって、エッジクラウドの技術が無線アクセスネットワーク(RAN)にもたらされてよい。エッジクラウドの技術を使用するということは、無線部を含んでいるリモート無線ヘッドまたは基地局に動作可能に結合されたサーバ、ホスト、またはノードにおいて少なくとも部分的に実行されるアクセスノードの動作を意味してよい。ノードの動作が複数のサーバ、ノード、またはホストの間で分散されることも可能である。クラウドRANアーキテクチャの適用は、RANのリアルタイム機能がRAN側で(分散ユニット(DU)104で)実行され、非リアルタイム機能が集中化された方法で(集中型ユニット(CU)108で)実行されることを可能にする。
【0031】
コアネットワークの動作と基地局の動作の間での作業の分散が、LTEの作業の分散とは異なるか、または存在しなくてさえよいということも理解されるべきである。おそらく使用されるその他の技術進歩は、ビッグデータおよびオールIPであり、これらの技術は、ネットワークが構築されて管理される方法を変え得る。5G(またはニューラジオ(NR))ネットワークは、コアと基地局またはnodeB(gNB)の間にMECサーバが配置されることができる、複数の階層をサポートするように設計されている。MECが4Gネットワークにおいても適用されることができるということが、理解されるべきである。
【0032】
5Gは、例えばバックホーリングを提供することによって、5Gサービスのカバレッジを強化または補完するために、衛星通信を利用してもよい。可能性のある使用事例は、サービスの継続性を、マシン間(M2M)デバイスもしくはモノのインターネット(IoT)デバイス、または車両の乗客に提供すること、あるいは重要な通信および将来の鉄道通信/海上通信/航空通信のためのサービスの可用性を保証することである。衛星通信は、静止地球軌道(GEO)衛星システムを利用してよいが、特にメガコンステレーション(数百個の(小型)人工衛星が配置されるシステム)では、低地球軌道(LEO)衛星システムを利用してもよい。メガコンステレーションでの少なくとも1つの人工衛星110は、地上のセルを作成する複数の人工衛星対応のネットワーク実体を対象にしてよい。地上のセルは、地上の中継ノード104によって、または地上もしくは人工衛星に位置しているgNBによって作成されてよい。
【0033】
示されたシステムが無線アクセスシステムの一部の単なる例であり、実際は、システムが複数の(例えば)NodeBを備えてよく、デバイスが複数の無線セルにアクセスすることができてよく、システムが、物理層中継ノードまたはその他のネットワーク要素などの他の装置を備えてもよいということが、当業者にとって明らかである。(例えば)NodeBのうちの少なくとも1つが、ホーム(例えば)nodeBであってよい。さらに、無線通信システムの地理的領域内で、複数の異なる種類の無線セルおよび複数の無線セルが提供されてよい。無線セルは、通常は最大で数十キロメートルの直径を有する大きいセルであるマクロセル(またはアンブレラセル)であるか、またはマイクロセル、フェムトセル、もしくはピコセルなどの、より小さいセルであってよい。
図1の(例えば)NodeBは、これらの任意の種類のセルを提供してよい。セルラー無線システムは、複数の種類のセルを含んでいる多層ネットワークとして実装されてよい。通常、多層ネットワークでは、1つのアクセスノードが1種類の1つまたは複数のセルを提供するため、そのようなネットワーク構造を提供するには、複数の(例えば)NodeBが必要とされることがある。
【0034】
通信システムの配置および性能を改善する必要性を満たすために、「プラグアンドプレイ」の(例えば)NodeBの概念が導入された。通常、「プラグアンドプレイ」の(例えば)NodeBを使用できるネットワークは、ホーム(例えば)NodeB(H(例えば)nodeB)に加えて、ホームノードBゲートウェイ(HNB-GW)(
図1には示されていない)を含む。通常はオペレータのネットワーク内に設置されるHNBゲートウェイ(HNB-GW)は、多数のHNBからのトラフィックをコアネットワークに逆向きに集約してよい。
【0035】
図2は、5Gネットワークコンポーネントに基づく通信システムの例を示している。ユーザ端末またはユーザ機器200は、5Gネットワーク202を介してデータネットワーク204と通信する。ユーザ機器200は基地局またはgNB206に接続され、基地局またはgNB206は、1つまたは複数のユーザプレーン機能208を介して、データネットワーク204への接続をユーザ機器に提供する。ユーザ機器200は、コアアクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)210にさらに接続され、コアアクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)210は、(無線)アクセスネットワーク用の制御プレーンコアコネクタであり、この観点から、LTEにおけるモビリティ管理エンティティ(MME)の5G版と見なされることができる。5Gネットワークは、セッションの確立、変更、および解放などの加入者セッションに対する責任を負うセッション管理機能(SMF)212と、プレーン機能を制御するためのポリシールールを提供することによってネットワークの挙動を制御するように構成されたポリシー制御機能214とをさらに備える。ネットワークは、ネットワークのオペレータの運用および保守ユニット(O&M)220をさらに備える。
【0036】
動作するために、ワイヤレス通信同期システムは、共通の時間基準を必要とする。そうでない場合、ネットワーク要素が誤りのある時間で送信/受信するため、無線インターフェイスを経由する通信が失敗することがある。安定した正確な時間ソースに対するこの要件は、GNSS時間または原子時計などの高精度基準クロック(PRC)の供給を要求する。この供給は、ネットワークオペレータにとって高額な費用を伴うことがあり、PRCサービスの可用性に関連することがある単一障害点のリスクももたらす。したがって、PRCが失われた場合のeNBなどの無線アクセスノードのスタンドアロンモードの動作においても、無線インターフェイスを経由して、提供されたネットワーク時間の精度を監視することに対する必要性が存在する。誤りのあるタイミングを修正できることは、有益である。
【0037】
図3は、実施形態を示すフローチャートである。このフローチャートは、ユーザ機器またはユーザ機器の一部として機能している装置またはネットワーク要素の動作の例を示している。
ステップ300で、装置が、装置と1つまたは複数の無線アクセスノードの間の基準伝搬遅延に関する情報を格納するように構成される。
【0038】
ステップ302で、装置が、1つまたは複数の無線アクセスノードからの基準信号の受信を制御するように構成され、この基準信号は、信号の送信時刻(タイムインスタンス(time instance))に関する情報を含む。
【0039】
ステップ304で、装置が、基準信号の受信時刻(タイムインスタンス(time instance))を決定するように構成される。
【0040】
ステップ306で、装置が、受信時刻と送信時刻の時間差に基づいて基準信号の伝搬遅延を決定するように構成される。
【0041】
ステップ308で、装置が、決定されて格納された伝搬遅延に基づいて装置および1つまたは複数の無線アクセスノードの時間基準の正しさを決定するように構成される。
【0042】
実施形態では、装置は、2つ以上の無線アクセスノードに関連する決定されて格納された伝搬遅延が等しくない場合に、装置の時間基準が正しくないということを決定するように構成されてよい。
【0043】
実施形態では、装置は、第1の無線アクセスノードに関連する決定されて格納された伝搬遅延が等しくなく、第2の無線アクセスノードに関連する決定されて格納された伝搬遅延が、特定のマージンを伴って等しい場合に、第1の無線アクセスノードの時間基準が正しくないということを決定するように構成されてよい。
【0044】
実施形態では、正しくない時間基準に対する修正を決定する。
【0045】
実施形態では、装置は、第1の無線アクセスノードへの指示(インディケーション)の送信を制御するように構成されてよく、この指示は、正しくない時間基準に対する修正に関する情報を含む。
【0046】
実施形態では、装置は、決定された修正に基づいて装置の時間基準を修正するように構成されてよい。
【0047】
図4は、実施形態を示すフローチャートである。このフローチャートは、無線アクセスノードまたは無線アクセスノードの一部として機能している装置またはネットワーク要素の動作の例を示している。
【0048】
ステップ400で、装置が、ユーザ機器への基準信号の送信を制御するように構成され、この基準信号は、信号の送信時刻に関する情報を含む。
【0049】
ステップ402で、装置が、ユーザ機器からの指示の受信を制御するように構成され、この指示は、装置の時間基準に対する修正に関する情報を含む。
【0050】
ステップ404で、装置が、この指示に基づいて装置の時間基準を修正するように構成される。
【0051】
実施形態では、ユーザ機器は、無線アクセスノードのタイミングおよびユーザ機器自体のタイミングを監視するために利用されてよい。したがって、前述の方法は、無制限の時間にわたるPRCを使用せずに、無線アクセスノードがスタンドアロンモードで動作した場合でも、ユーザ機器によって監視されたネットワーク内の時間整合が安定していることを保証する。
【0052】
図5Aおよび5Bは、例を示している。この図は、ユーザ機器500を示している。基準ユーザ端末(Ref UT)または基準ユーザ機器(Ref UE)として示され得るユーザ機器500は、モノのインターネット(IoT)デバイスまたは広帯域UEであってよい。ユーザ機器500は、異なる無線アクセスノード、例えばeNBからの複数のセルのカバレッジエリア内にあることがある。
図5Aの例では、簡単にするために、Ref UE500が、2つのアクセスノード502、504のカバレッジエリア内にあるように示されている。実施形態では、Ref UEは、例えば、アンテナ塔または任意のその他の適切な施設に取り付けられて、固定されていてよい。実施形態では、Ref UEの位置は、Ref UEのカバレッジ内の無線アクセスノードへの見通し線を視認できる位置であってよい。
【0053】
カバレッジ内のRef UEとeNBの間の見通し線の距離を測定してから、この距離を、無線インターフェイス上で利用されるマイクロ波が光の速度で移動する際の時間と同等の時間に変換することが可能であってよい。
【0054】
実施形態では、無線アクセスノードは、物理信号送信時間T0に関する情報を含んでいる基準信号を送信するか、またはブロードキャストするように構成されてよい。時間T0は、アクセスノードの内部クロックを時間基準として使用する。ここで、eNB1 502が基準信号を送信したということを仮定する。送信時間は、T0(e1)として示されてよい。基準信号は、任意の選択されたフレーム、サブフレーム、またはシンボルであってよい。
【0055】
無線アクセスノードによって送信された基準信号は、時間T1でRef UEによって受信されてよい。時間T1は、Ref UEの内部クロックを基準として使用する。受信時間は、T1(ue)として示されてよい。
【0056】
したがって、到着時間(TOA)の時間差T1-T0は、伝搬遅延に対応してよいが、2つの異なる基準時間ソース(アクセスノードおよびRef UE)が使用されている。同期伝送が使用されるため、多くの測定結果間の時間関係が比較され得る。上記の表記を使用すると、eNB1 502によって送信された基準信号の時間差は、Tprop(eNB1,Te1,Tue)として示されてよい。
【0057】
前述したように、Ref UEは、装置と1つまたは複数の無線アクセスノードの間の基準伝搬遅延に関する情報を格納するように構成されてよい。ユーザ機器500とアクセスノードeNB1 502の間の基準伝搬遅延506は、Tref(eNB1)と示されてよく、ユーザ機器500とアクセスノードeNB2 504の間の基準伝搬遅延510は、Tref(eNB2)として示されてよい。
【0058】
Ref UEとアクセスノードの間の決定されたTOA伝搬遅延が、同じアクセスノードの基準伝搬遅延と比較されてよい。TOA測定結果における逸脱は、アクセスノード側またはRef UE側での時間基準のソースが時間的にずれていたということを示してよい。Ref UEは、他のアクセスノードとのTOA測定結果を分析することによって、アクセスノード側またはRef UE側のどちらに基準クロックのずれが存在するかを決定し得る。
【0059】
実施形態では、それに応じてRef UEは、アクセスノードまたはRef UEに対して時間補償を提案してよい。Ref UEは、時間のずれのソースを決定してよく、eNBまたはRef UEの内部基準クロックに対する時刻修正を行ってよい。このようにして、時刻同期のための従来のトップダウン手法とは異なる、ボトムアップの時刻同期が行われてよい。
【0060】
図5Aおよび5Bの例では、ユーザ機器500とアクセスノードeNB1 502の間の基準伝搬遅延506(T
ref(eNB1))、およびユーザ機器500とアクセスノードeNB2 504の間の基準伝搬遅延510(T
ref(eNB2))が、ある早期の時点で決定された。
【0061】
例えば、ミリメートルの精度を有するレーザー測距器を利用して、ユーザ機器Ref UEとアクセスノードeNB1 502およびアクセスノードeNB2 504との間の距離が測定されてよい。伝搬時間は距離に比例する。例えば、アクセスノードeNB1の場合、次式が適用される。
【0062】
【数1】
ここで、T
ref(eNB1)はeNB1との距離の測定に基づく基準信号伝搬遅延であり、cは光の速度であり、D
ref(eNB1)はRef UEとeNB1の間の測定された基準距離である。
【0063】
アクセスノードeNB1 502が、時間T0に基準信号508をユーザ機器500に送信し、ユーザ機器が、時間T1に信号を受信する。それぞれ、アクセスノードeNB2 504が、時間T3に基準信号512をユーザ機器500に送信し、ユーザ機器が、時間T4に信号を受信する。
【0064】
上記の方法を使用して、TOA伝搬遅延に比例する半径514、516を有する対応するTOAリングを決定することができる。一例として、eNB1を使用して基準信号伝搬遅延を決定するための方程式は次のとおりである。
Tprop(eNB1,Te1,Tue)=T1(Tue)-T0(Te1) (方程式2)
ここで、Tprop(eNB1,Te1,Tue)は、Ref UEとeNB1の間の距離、ならびにeNB1およびRef UEの基準クロックの関数である基準信号伝搬遅延であり、T1(Tue)は、Ref UEのクロックに依存するRef UEによる物理的基準信号受信の時間であり、T0(Te1)は、eNB1のクロックに依存するeNB1による物理的基準信号送信の時間である。
【0065】
図5Aの例では、Ref UE、eNB1、およびeNB2の基準クロックは、時間的に正しい。したがって、方程式3および4の次の条件が満たされる(一例として、やはりeNB1を使用する)。
T
prop(eNB1,T
e1,T
ue)=Tref(eNB1) (方程式3)
【0066】
【0067】
上記の方程式が一致する場合、基準クロックに誤差はない。アクセスポイントeNBおよびRef UEが両方とも高精度基準クロックPRCと同期されている可能性があり、この同期が関数Tue(Te1(T))として定義されてよく、これがモバイルネットワークの動作の標準的な状況である。通常、アクセスポイントが同期をユーザ機器に提供する。したがって、通常の状況では、ユーザ機器での基準時間は、ユーザ機器の基準時間の関数であり、同様に、アクセスポイントの基準時間の関数である。
【0068】
相対的なTOA伝搬遅延が、正確な距離測定機器によって決定された実質的に等しい基準遅延になる必要があるため、方程式3および4に基づいて、基準時間TueまたはTe1が正しいかどうかを判定することが可能になり得る。方程式3および4が満たされた場合、アクセスポイントおよびRef UEの時間基準は正常な状態である。これらの方程式が一致しない場合、アクセスポイントの基準時間またはRef UEの基準時間のいずれかに誤差が存在する。
【0069】
さらに、方程式のうちの1つが一致しなかった場合、2つ以上のアクセスポイントに対して方程式3および方程式4を分析することによって、共通の故障点(Ref UE)が存在するかどうかに関して、基準時間ソースの不安定性がアクセスポイントに関連しているかどうかを判定することが可能になり得る。1つのアクセスポイントに関する誤差が存在するが、他のアクセスポイントの方程式が一致する場合、この個別のアクセスポイントの基準クロックのタイミングに誤りがある可能性がある。2つ以上のアクセスポイントの方程式が誤差を示している場合、誤ったタイミングがRef UE内にある。
【0070】
実施形態では、方程式3および4の正しさを決定するときに、特定の許容誤差が適用されてよい。
【0071】
図5Aおよび5Bは、eNB1およびeNB2の両方の基準信号送信の伝搬遅延が各基準信号伝搬遅延に実質的に等しいという状況を示している。次に、
図6Aおよび6Bは、ある期間にわたって、アクセスポイントeNB1 502がPRCとの同期を失った例を示している。これは、クロックの同期を維持するために、eNB1がそれ自身の内部クロックに頼る必要があるということを意味する。この場合、時間関係は、T
ue(T
e1(T
e1))として示されてよい。
図6Aおよび6Bの例では、このPRCの欠如が、eNB1のクロックの不安定性につながった。
【0072】
図6Aおよび6Bは、Ref UEとeNB1の間のTOA伝搬遅延距離が、eNB1との基準遅延に実質的に等しくなく、方程式3および4によって定義された条件が満たされない例を示している。次のように、伝搬遅延T
1(T
ue)-T
0(T
e1)が、基準遅延T
ref(eNB1)より大きい。
T
1(T
ue)-T
0(T
e1)>T
ref(eNB1)
【0073】
eNB1およびRef UEの位置がどちらも変更されていないため、TOAの誤差の理由は、eNB1またはRef UEのどちらかでの基準時間ソースのずれである可能性がある。マイクロ波の速度が一定であるため、これが選択肢になる。この時点では、1つのeNBとの1つのTOA測定結果に基づいて、問題がRef UEの基準時間ソースTueまたはeNB1の基準時間ソースTe1のどちらにあるかを決定することが可能でなくてよい。
【0074】
Ref UEは、eNBとRef UEの対をさらに分析することによって、TOA測定結果に関連付けられた時間のずれのソースを明確に示してよい。
図6Aおよび6Bの例では、eNB2とのTOA測定結果が、方程式3および4の条件を次のように満たしている。
T
4(T
ue)-T
3(T
e2)=T
ref(eNB2)
【0075】
これは、Ref UEの基準時間ソースTueおよびeNB2の基準時間ソースTe2が、特定の許容誤差で共通の基準クロックを有しているということを示している。同じRef UEのクロックTueが使用されるeNB1とのTOA測定結果に関しては、問題が、T0(Te1)によって決定さる時間に影響を与えているため、eNB1の内部クロックTe1に関連するということが決定されることができる。
【0076】
図6Aおよび6Bの例では、誤差が、長過ぎる伝搬遅延を引き起こす。特定のTOA伝搬遅延が対応する基準遅延より短い場合、すなわち、伝搬遅延T
1(T
ue)-T
0(T
e1)が、基準遅延T
ref(eNB1)より短い場合、同様の状況になることがある。
【0077】
図7Aおよび7Bは、別の例を示している。この例では、次のように、eNB1によって送信された基準信号も、eNB2によって送信された基準信号も、方程式3を満たさない。
T
1(T
ue)-T
0(T
e1)>T
ref(eNB1)
T
4(T
ue)-T
3(T
e2)>T
ref(eNB2)
【0078】
このような状況は、例えば、何らかの理由のためにRef UE500が同期を失った場合に、発生することがある。Ref UEでの間違った基準時間は、TueがT1(Tue)およびT4(Tue)によって決定される時間に影響を与えるため、正しくないTOA測定結果を引き起こすことがある。TueがTOA測定結果に共通しているため、すべてのTOA伝搬測定結果が正しくない可能性がある。
【0079】
現在、ユーザ機器が無線アクセスノードと定期的に同期する必要があり、その手順がランダムアクセス手順を必要とし、無線リソースを消費するということに注意する。
【0080】
任意のTOA伝搬遅延が任意の関連する基準遅延より短い場合にも、
図7Aおよび7Bと同様の状況になることがある。
【0081】
標準的な時間のずれが、継続的な徐々のプロセスであり、Ref UEのサンプリング周期に関して、時間のずれのモデル化のためには十分であり得るということに注意する。Ref UEからの修正処置が必要とされるかどうかを指定するために、許容される時間のずれのパラメータ、例えばeNB1の場合のTdrift1Maxが決定されてよい。
【0082】
異なる現在のTdrift1の指示とのTOA測定結果の交差領域が、基準時間の安定性のさらなる評価に使用されてよく、最適な修正処置をトリガーしてもよい。
【0083】
実施形態では、Ref UE500が使用前に較正されてよい。LTEでは、基本時間単位Ts=0.0325マイクロ秒が、OFDMシンボルのサンプリング時間であるため使用される。このTs=0.0325マイクロ秒は、距離における4.875mの粒度(精度)を生み出し、この粒度は、ナノ秒の精度を使用して決定されることがあるTrefの値に関しては、不十分な精度である。
【0084】
図8は、3つのeNBの場合のRef UE較正プロセスのアクティビティ図の例を示している。しかし、同様のプロセスが、任意の数のeNBに当てはまる。
【0085】
ステップ800「PRC:高精度基準クロック」で、高精度基準クロックTからの時間がeNB1に提供され、この時間はeNBに共通であってよい。この要件が較正中に満たされ得るということが仮定される。
【0086】
ステップ802「eNB1:内部クロックを同期する」で、eNB1の内部クロックがPRCと同期されてよい。したがって、eNB1の内部クロックTe1はTの関数、すなわちTe1(T)になる。PRCがeNBに使用可能である場合、モバイルネットワーク内全体で、次のように実質的に同じ時間が使用される。
Te1(T)=Te2(T) (方程式5)
【0087】
PRCとの同期がなければ、時間Te1は、それ自身の水晶発振器(またはその他の手段)の安定性に頼る必要があり、その場合、Te1時間値はTe1(Te1)と表されてよく、関係方程式5が真ではないことがある。
【0088】
ステップ804「eNB1:TOA基準シンボルを送信する」で、eNB1が、物理的基準シンボル送信時間に関する情報を含む基準シンボルをブロードキャストまたは送信する。実施形態では、基準シンボルは、eNB1のアンテナシステムからの送信時間であってよい。この場合、T0(Te1)が、HH:MM:SS:MS:US:NSの形態で提供されてよく、ラッチプロセスに起因して、T0がTe1の品質に依存する。T0(Te1)が物理的送信時間を表すため、eNB1の処理およびeNB1の特定の送信の遅延が補償される必要があることがある。
【0089】
次のステップ806「Ref UE:内部クロックをeNB1と同期する」で、Ref UEが、ネットワーク時間を受信するためにランダムアクセス手順を実行してよい。このようにして、Ref UEは、それ自身の内部クロックTueを、接続されたeNB1と同期してよく、これは最初は、関数Tue(Te1)を意味する。Te1における不正確さがあると、Tueに影響を与えることがある。このステップは、較正用である。また、ある期間の後に同期が失われることがあるため、Ref UEの時間のずれが予想され得る。
Tue(Tue)=Tue(Te1) (方程式6)
【0090】
PRCがRef UEに使用可能である場合、Ref UEの時間は、標準的な事例と見なされ得る方程式7で規定されているように、時間Tの関数であってよい。Ref UEがネットワークと同期するときに、Tue時間のずれが定期的に補償されてよい。
Tue(Tue)=Tue(Te1)=Tue(Te1(T)) (方程式7)
【0091】
ステップ808「Ref UE:eNB1からTOA基準シンボルを受信する」で、Ref UEが、基準シンボルと、それ自身の時間基準ソースTueに関する基準シンボルの受信のラッチ時間T1とを受信してよく、これは、ラッチ時間T1が関数T1(Tue)であるということを意味する。Ref UEは、Ref UEの処理および送信の遅延を考慮してよい。
【0092】
ステップ810「Ref UE:eNB1とのTOA伝搬遅延を測定する」で、Ref UEが、T0およびT1の値を使用してeNB1とのTOA信号伝搬遅延を測定する。信号伝搬遅延Tprop1(eNB1,Te1,Tue)は、方程式2によって決定されるが、基本時間単位Tsの粒度で測定される。
【0093】
ステップ812「Ref UE:eNB1との基準遅延(距離)」で、eNBの基準遅延が、方程式1によって規定されているように決定されてよい。
【0094】
ステップ814「Ref UE:eNB1の場合のRef UEのTOA伝搬遅延(距離)の較正」は、TOAの精度の改善を微調整するプロセスを表している。TOAに関連する修正係数eNB1corrが決定される。この修正係数が、特定のeNBのTOA伝搬遅延測定結果に加算されてよい。この加算は、
図9にも示されている例示的なデータを使用して、以下の数値の例に関して説明され得る。これらの非限定的な数値は、例示にすぎない。
【0095】
Ref UEは、この例では、ネットワーク時間と完全に同期され、すなわちTue(Tue)=Tue(Te1)、これによって、初期の時間のずれが補償されることを保証する。
【0096】
基準信号の送信時間T0(Te1)は、HH:MM:SS:MS:US:NS=00:00:00:00:00:00である。
【0097】
この例では、Ref UEは、eNBのアンテナシステム900からの距離Dref1(eNB1)=10000mの位置にあり、この距離は、マイクロ波信号伝搬の場合の33.356マイクロ秒に対応し、Tref1(eNB1)=102.64Ts(00:00:00:00:33:36)に対応する。
【0098】
Ref UEは、Tsの分解能902を含むT1(Tue)に関する情報をラッチしてよく、これはT1(Tue)=103Tsを意味する。T1(Tue)の粒度に関連する誤差が存在することがあり、この誤差は-0.36Tsに等しくてよく、eNB1corrとして示されてよい。
【0099】
次のステップでは、この例ではTue1(Tue)として示され得るeNB1との基準のために、eNB1corr=-0.36Tsが次のようにTue(Tue)に加算されてよい。
Tue1(Tue)=Tue(Tue)-eNB1corr (方程式8)
【0100】
方程式8に基づいて、eNB1に関する以降のすべてのTOA測定結果が、eNB1corrによって補償されてよい。その結果、T
sの境界が、T
ref1(eNB1)によって決定された実際の伝搬遅延に合わせられる。次に、T
1(T
ue)での時間基準の精度におけるわずかな差が、103T
s(
図9の左側の場合)または104T
s(
図9の右側の場合)であってよい示されたT
sの変化によって伝えられ得る。
【0101】
さらに、追加のTOA測定の精度の向上が、0.5Tsだけシフトされた直角位相時間基準Tue1I(Tue)904およびTue1Q(Tue)906の使用によって達成されることができ、Tue1I(Tue)の場合の基準シンボルがT1(Tue)=104Tsでラッチされてよく、一方、Tue1Q(Tue)の場合の基準シンボルがT1(Tue)=103Tsでラッチされてよいということが理解され得る。
【0102】
その結果、例えば、T1(Tue)イベントに1/4Tsの精度が割り当てられてよく、この精度は、標準的なTOA測定の精度よりも4倍良い。
【0103】
Ref UE側でeNB1corrを時間基準に加算することによって、TOA測定結果における変化を検出することが可能になることができ、これは、より高いTOAの精度を意味する。実施形態では、修正eNB1corrは静的である。任意のその他のeNBの場合、他の修正係数が決定されてよい。
【0104】
図8に戻り、ステップ816「Ref UE:eNB1の場合の基準クロックのずれを測定する」で、Ref UEがT
drift1(T
e1,T
ue1)の安定性を測定する。T
ue1I(T
ue)およびT
ue1Q(T
ue)(またはTOA測定用のさらにシフトされた基準クロック)の使用によって、TOAの精度が改善され得る。この場合、8.125nsの時間シフトが検出されることができ、この値は、モバイルネットワーク時間の監視および検証のためには十分であることがある。この時間シフトは、T
drift1Max値として示されてもよく、T
drift1Max値は、T
ref1(eNB1)に対して測定されたTOA遅延がこの制限を超えた場合のトリガーとして使用されてよい。
【0105】
実施形態では、Ref UEでより大きいTsのシフトを時間基準として使用することによって、より高いTOAの精度が可能であってもよく、これは、T1のラッチプロセスが、シフトされた基準時間に関して次のように乗算される必要があるため、技術的に複雑ではない。
Tue1I(Tue)=Tue1(Tue) (方程式9A)
【0106】
【0107】
実施形態では、Ref UEが較正された後に、Ref UEのTueに関連するT1(Tue)の不安定性またはeNB1のTe1に関連するT0(Te1)の不安定性によって、TOA伝搬遅延における変化が引き起こされることがある。
【0108】
実施形態では、eNB1のTe1(Te1)での不安定性が、eNB1に関連するTOA測定に影響を与えることがある。
【0109】
実施形態では、時間フロアTue(Tue)が共通であってよく、加算される修正が方程式8などのように静的であるため、Ref UEのTue(Tue)での不安定性が、すべての他のeNBに関してRef UEによって実行されるTOA測定に影響を与えることがある。
【0110】
PRCが使用可能である正常なモバイルネットワークの動作では、eNBでの時間基準は許容誤差の範囲内にあり、これは、ネットワークに接続されたRef UE(または任意のUE)が正確かつ精確な時間を有している可能性があるということも意味する。UEの基準時間ソースでの不安定性を補償するために、UEのタイミングが定期的に再同期されてよい。しかし、PRCがあるeNBに使用可能でない場合、再同期メカニズムが間違った結果をもたらすことがある。
【0111】
最後に、ステップ818で、カバレッジ内のいずれかのeNBとのRef UEのTOA測定結果が較正されてよい。eNB1のパラメータTdrift1Maxが精度を決定してよく、この値を超えた場合、TueまたはTe1の時間修正のためのトリガーとして使用されてよい。説明されたように、直角位相または同様の技術が使用された場合、より高い精度が達成され得る、方程式9Aおよび9Bを参照されたい。
【0112】
図10は、較正されたRef UE500のアクティビティ図の例を示している。この例では、eNB1が、PRCとの同期を失っている。しかし、PRCはまだeNB2およびeNBXに使用可能であってよい。eNB1の動作は、それ自身の内部クロックに基づく。実施形態では、eNB1によって送信された基準信号を利用したTOA測定結果が特定のしきい値レベルT
drift1Maxなどを超えたときに、Ref UEが基準時間のずれを検出してよい。アクセスノードが同期を失ったが、このノードの内部クロックが、少なくともある期間にわたって、まだ時間を十分正確に保ち得るということがあってよい。
図10の例では、eNB1がPRCとの同期を失っているが、eNB1の時間のずれは、まだ制限内であってよい。Ref UEは、eNBからのTOA測定結果が正しいということを決定してよく、これは、eNBに関して、方程式3および4における条件が真であるということを意味する。Ref UEのさらなる処置は必要とされない。この状態は、
図5Aおよび5Bに示された状況に対応してよい。
【0113】
図10に関して、特定の期間の後に、eNB1の内部クロックが、TOAの定義されたT
drift1Maxしきい値を超えてずれることがある。そのような場合、Ref UEは、
図11に示されているように、eNB1に関するステップ1100からのNOK状態によって、この状態を検出してよい。この状態は、
図6Aおよび6Bに示された状況に対応してよい。
【0114】
問題の原因を決定するために、Ref UEは、eNB2およびeNBXであってよい近くの他のeNBとのTOA伝搬遅延を測定してよい。これらの追加のTOA測定結果は、ステップ1102および1104からのOK状態によって示されているように、この例では正しい。これによって、Ref UEは、問題がeNB1のTe1のずれに関連しているということを確認する。TueがeNBに共通している(eNB1corrが静的シフトである)ため、Ref UEでの基準時間Tueは正しい。
【0115】
実施形態では、より良い精度が必要とされる場合、eNB1のTe1時間のずれがTdrift1Max(または一般に、Tdrift1)に実質的に等しくなるように評価されてよい。変化は、正または負であってよく、+/-Tdrift1として示されてよい。
【0116】
実施形態では、Ref UEが、eNB1の内部クロックT
e1が調整される必要があるということを決定した場合、
図12に示されているように、Ref UEは処置を実行してよい。
【0117】
図12のステップ1200「Ref UE:eNB1に対して必要とされる時間修正」で、Ref UEは、+/-T
drift1によるeNB1に対する時間修正が必要とされる可能性があるということを決定し、+/-T
drift1は、前に説明されたように、正確な基準時間フロアが使用可能である場合、正確な値、すなわちT
drift1Maxであってよい。
【0118】
Ref UEは、eNB1とのRRC接続を要求する。
【0119】
次に、ステップ1202「Ref UE:eNBの時間修正を送信する」で、Ref UEは、eNB1の内部クロックが+/-Tdrift1によって調整される必要があるということをeNB1に報告してよく、これは、Te1時間がTe1+/-Tdrift1に変更されるべきであるということを意味する。
【0120】
ステップ1204「eNB1:内部クロックを再同期化する」で、eNB1が、eNB1の内部クロックをTe1+/-Tdrift1に調整するように構成される。これは、このeNBに接続されたすべてのUEにも影響を与える。したがって、特定のeNBがPRCに接続せずに動作している場合でも、すべての他のUEが、従来の同期メカニズムによって、修正された時間を受信する。
【0121】
ステップ1206「Ref UE:内部クロックを再同期する」で、RRC接続された状態にあるRef UEも、内部クロックTue(Te1+/-Tdrift1)を調整し、これは、eNB1およびRef UEが、両方ともTOA測定のための共通の基準クロックを有するということを意味する。
【0122】
ステップ1208で、eNB1が、時刻T0での基準信号を送信する。ステップ1210で、前に説明されたように、Ref UEが信号を時刻T1として受信する。これらの送信は、eNB1およびRef UEの更新された内部クロックの間に発生する。Ref UEの場合、これは、eNB1とのTOA測定結果が正しいということをやはり意味する。
【0123】
Ref UEは、他の測定結果がまだ正しいかどうかを検証し、Te1時間の調整によって問題が解決されたことを確認するために、他のTOA測定も継続的に実行するように構成される。他のTOA測定結果が問題ない場合、問題が解決されており、さらなる処置は必要とされない。同期が回復されている。
【0124】
PRCが多数のeNBに使用可能でないか、または全く存在しない場合、Ref UEは、
図13に示されているように、2つのNOK状態1300、1302が受信され得る2つ以上のeNBにおける時間のずれを決定してよい。この状況は、Ref UEの内部クロックT
ueの不安定性にも当てはまる。この条件は、2つ以上のTOA測定結果の誤差によって伝えられてよく、1つのeNBが影響を受ける場合、異なる条件になる。
【0125】
この場合、Ref UEは、どのTOA測定結果が正しくないかを決定し、各eNBについてTdrift1MaxまたはTdrift1の値によって誤差を評価してよい。次に、Ref UEは、次の方程式10によって示され得るように、Tueに対する時間修正を決定してよい。
min(Tdrift1,Tdrift2) (方程式10)
ここで、Tdrift1、Tdrift2は異なるeNBに対する値である。
【0126】
提案された解決策は、変更がより小さい増分で実施されることを保証し、そのような変更の管理を改善する。T
ueにおける変更が他のTOA測定結果にも影響を与えるということに注意する。
図14は、Ref UEでの基準時間に対する変更(方程式10)がどのように実施され得るかの例を示している。Ref UEは、RRCアイドル状態にとどまってよく、またはRef UEがすでにRRC接続された状態にある場合、変更が受信された時間値に適用されてよく、そのため現在の時間値は、これらの変更に影響を与えなくてよい。
【0127】
Ref UEの内部クロック基準時間における変更の実施後に、Ref UEは、TOA測定結果が較正からの値に類似するようになるまでTOA測定を繰り返すように構成されてよい。
【0128】
実施形態では、さらに複雑な状況において、結果が再び正しくなるまで、いずれかのeNBおよびRef UEの両方に対する修正が提案されてよい。
【0129】
したがって、上記の例に示されたように、Ref UEは、基準時間ソースがeNBまたはRef UEで修正される必要があるかどうかを識別することができてよく、これは、モバイルネットワークが何らかの理由のためにPRCにアクセスせずに動作する必要がある場合に役立つ。そのような状況は、ネットワークが人工衛星に基づく同期を利用しており、人工衛星に基づく同期の性能が、太陽フレアなどの自然現象による影響を受けるか、または妨害されるか、あるいはそのようなシステムが使用可能でない場合であることがある。
【0130】
例示されたように、提案された解決策は、例えば原子時計の形態でのPRCに関して、洗練された高額な機器を必要としない。Ref UEは、IoT/LTE-Mまたは広帯域UEであってよく、まだその性能は、動作を維持するために十分であってよい。
【0131】
図15は、実施形態を示している。この図は、本発明の実施形態を適用する装置またはネットワーク実体の簡略化された例を示している。一部の実施形態では、装置は、Ref UE500またはRef UEの一部などのユーザ機器であってよい。
【0132】
本明細書では、装置が一部の実施形態を示す例として示されているということが理解されるべきである。装置が他の機能および/または構造を備えてもよく、説明されたすべての機能および構造が必要とされるわけではないということが、当業者にとって明らかである。装置は1つの実体として示されたが、さまざまなモジュールおよびメモリが、1つまたは複数の物理的または論理的実体において実装されてよい。
【0133】
この例の装置500は、装置の動作の少なくとも一部を制御するように構成された制御回路1500を含んでいる。
【0134】
装置は、データを格納するためのメモリ1502を備えてよい。さらに、メモリは、制御回路1500によって実行可能なソフトウェア1504を格納してよい。メモリは、制御回路に統合されてよい。
【0135】
装置は、装置を、アクセスノードまたはeNBなどの無線アクセスネットワークの他のデバイスおよびネットワーク要素またはネットワーク実体に接続するように構成された、1つまたは複数のインターフェイス回路1506をさらに備えている。
【0136】
実施形態では、ソフトウェア1504は、装置の制御回路1500に前述の実施形態の少なくとも一部を実現させるように適応されたプログラムコード手段を備えているコンピュータプログラムを含んでよい。
【0137】
図16は、実施形態を示している。この図は、本発明の実施形態を適用する装置またはネットワーク実体の簡略化された例を示している。一部の実施形態では、装置は、無線アクセスノードもしくはeNB502、または無線アクセスノードもしくはeNBの一部として機能する、ネットワーク要素またはネットワーク実体であってよい。
【0138】
本明細書では、装置が一部の実施形態を示す例として示されているということが理解されるべきである。装置が他の機能および/または構造を備えてもよく、説明されたすべての機能および構造が必要とされるわけではないということが、当業者にとって明らかである。装置は1つの実体として示されたが、さまざまなモジュールおよびメモリが、1つまたは複数の物理的または論理的実体において実装されてよい。
【0139】
この例の装置502は、装置の動作の少なくとも一部を制御するように構成された制御回路1600を含んでいる。
【0140】
装置は、データを格納するためのメモリ1602を備えてよい。さらに、メモリは、制御回路1600によって実行可能なソフトウェア1604を格納してよい。メモリは、制御回路に統合されてよい。
【0141】
装置は、装置を、コアネットワークおよびユーザ端末などの無線アクセスネットワークの他のデバイスおよびネットワーク要素またはネットワーク実体に接続するように構成された、1つまたは複数のインターフェイス回路1608、1608をさらに備えている。インターフェイスは、有線接続またはワイヤレス接続を提供してよい。
【0142】
実施形態では、ソフトウェア1604は、装置の制御回路1600に前述の実施形態の少なくとも一部を実現させるように適応されたプログラムコード手段を備えているコンピュータプログラムを含んでよい。
【0143】
上記および添付された図で説明されたステップおよび関連する機能は、絶対的な時間的順序になっておらず、ステップの一部は、同時に、または与えられた順序とは異なる順序で実行されてよい。ステップ間で、またはステップ内で、他の機能が実行されることもできる。ステップの一部は、省略されるか、または対応するステップに置き換えられることができる。
【0144】
上で説明されたステップを実行できる装置またはコントローラは、作業メモリ(ランダムアクセスメモリ(RAM))、中央処理装置(CPU)、およびシステムクロックを備え得る電子デジタルコンピュータ、処理システム、または回路として実装されてよい。CPUは、レジスタのセット、算術論理演算ユニット、およびコントローラを備えてよい。処理システム、コントローラ、または回路は、RAMからCPUに転送されたプログラム命令のシーケンスによって制御される。コントローラは、基本動作のための複数のマイクロ命令を含んでよい。マイクロ命令の実装は、CPUの設計に応じて変わってよい。プログラム命令は、C、Javaなどの高レベルのプログラミング言語、または機械語もしくはアセンブラなどの低レベルのプログラミング言語であってよいプログラミング言語によって、コード化されてよい。電子デジタルコンピュータは、プログラム命令で記述されたコンピュータプログラムにシステムサービスを提供し得る、オペレーティングシステムを含んでもよい。
【0145】
本出願で使用されるとき、「回路」という用語は、次のすべてのことを指す。(a)アナログ回路および/またはデジタル回路のみにおける実装などの、ハードウェアのみの回路実装、および(b)(適用できる場合)(i)プロセッサの組合せまたは(ii)一緒に機能して装置にさまざまな機能を実行させるデジタル信号プロセッサ、ソフトウェア、およびメモリを含んでいるプロセッサの一部/ソフトウェアなどの、回路およびソフトウェア(および/またはファームウェア)の組合せ、および(c)ソフトウェアまたはファームウェアが物理的に存在しないとしても、動作のためにソフトウェアまたはファームウェアを必要とする、マイクロプロセッサまたはマイクロプロセッサの一部などの回路。
【0146】
「回路」のこの定義は、本出願におけるこの用語のすべての使用に当てはまる。さらなる例として、本出願で使用されるとき、「回路」という用語は、単にプロセッサ(または複数のプロセッサ)またはプロセッサの一部ならびにそれ(またはそれら)に付随するソフトウェアおよび/またはファームウェアの実装も対象にする。「回路」という用語は、例えば、特定の要素に適用できる場合、携帯電話用のベースバンド集積回路またはアプリケーションプロセッサ集積回路、あるいはサーバ、セルラーネットワークデバイス、または別のネットワークデバイス内の同様の集積回路も対象にする。
【0147】
実施形態は、プログラム命令を含んでいる配布媒体上で具現化されたコンピュータプログラムを提供し、プログラム命令は、電子装置に読み込まれた場合に、装置を制御して前述の実施形態を実行するように構成される。
【0148】
コンピュータプログラムは、ソースコードの形態、オブジェクトコードの形態、または何らかの中間形態であってよく、プログラムを運ぶことができる任意の実体またはデバイスであってよいある種のキャリアに格納されてよい。そのようなキャリアは、例えば、記録媒体、コンピュータメモリ、読み取り専用メモリ、およびソフトウェア配布パッケージを含む。必要とされる処理能力に応じて、コンピュータプログラムは、単一の電子デジタルコンピュータにおいてが実行されてよく、または複数のコンピュータ間で分散されてよい。
【0149】
装置は、特定用途向け集積回路(ASIC)などの1つまたは複数の集積回路として実装されてもよい。別々の論理コンポーネントから作られた回路などの、その他のハードウェアの実施形態も実現可能である。これらのさまざまな実装の混合も実現可能である。実装の方法を選択する場合、当業者は、例えば、装置のサイズおよび電力消費、必要な処理能力、製造コスト、および生産量に関して設定された要件を考慮するであろう。
【0150】
実施形態では、装置は、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含んでいる少なくとも1つのメモリとを備え、少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードが、少なくとも1つのプロセッサと共に、装置に、装置と1つまたは複数の無線アクセスノードの間の基準伝搬遅延に関する情報を格納することと、1つまたは複数の無線アクセスノードからの基準信号の受信を制御することであって、基準信号が信号の送信時刻に関する情報を含んでいる、制御することと、基準信号の受信時刻を決定することと、受信時刻と送信時刻の時間差に基づいて基準信号の伝搬遅延を決定することと、決定されて格納された伝搬遅延に基づいて装置および1つまたは複数の無線アクセスノードの時間基準の正しさを決定することとを少なくとも実行させるように構成される。
【0151】
実施形態では、装置は、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含んでいる少なくとも1つのメモリとを備え、少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードが、少なくとも1つのプロセッサと共に、装置に、ユーザ機器への基準信号の送信を制御することであって、基準信号が信号の送信時刻に関する情報を含んでいる、制御することと、ユーザ機器からの指示の受信を制御することであって、この指示が装置の時間基準に対する修正に関する情報を含んでいる、制御することと、この指示に基づいて装置の時間基準を修正することとを少なくとも実行させるように構成される。
【0152】
実施形態では、非一過性コンピュータ可読媒体がプログラム命令を含み、これらのプログラム命令は、装置に、装置と1つまたは複数の無線アクセスノードの間の基準伝搬遅延に関する情報を格納することと、1つまたは複数の無線アクセスノードからの基準信号の受信を制御することであって、基準信号が信号の送信時刻に関する情報を含んでいる、制御することと、基準信号の受信時刻を決定することと、受信時刻と送信時刻の時間差に基づいて基準信号の伝搬遅延を決定することと、決定されて格納された伝搬遅延に基づいて装置および1つまたは複数の無線アクセスノードの時間基準の正しさを決定することとを少なくとも実行させる。
【0153】
実施形態では、非一過性コンピュータ可読媒体がプログラム命令を含み、これらのプログラム命令は、装置に、ユーザ端末への基準信号の送信を制御することであって、基準信号が信号の送信時刻に関する情報を含んでいる、制御することと、ユーザ機器からの指示の受信を制御することであって、この指示が装置の時間基準に対する修正に関する情報を含んでいる、制御することと、この指示に基づいて装置の時間基準を修正することとを少なくとも実行させる。
【0154】
技術が進歩するにつれて、本発明の概念がさまざまな方法で実装されることができるということが、当業者にとって明らかであろう。本発明およびその実施形態は、前述の例に限定されず、特許請求の範囲内で変わってよい。