(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】撮像モジュール及び組立方法
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20240222BHJP
【FI】
G02B7/02 C
G02B7/02 B
(21)【出願番号】P 2022567536
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(86)【国際出願番号】 CN2020099083
(87)【国際公開番号】W WO2021243778
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】202010486713.9
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521101435
【氏名又は名称】浙江舜宇智領技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG SUNNY SMARTLEAD TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.67-69 Fengle Road,Yangming Street Yuyao,Zhejiang 315400 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲コウ▼文
(72)【発明者】
【氏名】劉 召慶
(72)【発明者】
【氏名】許 銀鋒
(72)【発明者】
【氏名】農 開▲クン▼
(72)【発明者】
【氏名】周 迪長
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101001324(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105842960(CN,A)
【文献】特開2019-113711(JP,A)
【文献】特開2017-181769(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0381952(US,A1)
【文献】特開昭61-245774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
H04N 23/40 - 23/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ(1)と、接続部材(2)と、配線基板(3)と、前記配線基板(3)に設けられる光電結像センサとを含み、光軸方向に沿って、接続部材(2)は、レンズ(1)に固定して接続される第1接続部(21)と、配線基板(3)に接続される第2接続部(22)とを含む撮像モジュールであって、
前記第2接続部(22)に向かう前記第1接続部(21)の一方側には、補正平面(4)が設けられ、又は前記配線基板(3)に近接する前記第2接続部(22)の一方側には、補正平面(4)が設けられ、
前記補正平面(4)は、前記レンズ(1)の結像面と平行し、
前記補正平面(4)と前記第2接続部(22)との間、又は前記補正平面(4)と前記配線基板(3)との間には、所定厚さの接続接着剤層(A)が設けられる、
撮像モジュールの組立方法であって、
レンズと、寸法許容量を有する接続部材とを組み合わせる工程S1と、
前記配線基板(3)の上面からの光電結像センサの感光面の高さhを特定する工程S2と、
接続接着剤層の厚さdを設定する工程S3と、
レンズの結像面を特定する工程S4と、
前記工程S2で得られたh値及び設定されたd値に基づいて、前記レンズの結像面を基準として、前記結像面と平行する自由端としての補正平面が得られるように第1接続部又は第2接続部に対して材料除去処理を行い、第1接続部と第2接続部とを接続接着剤層により固定し、又は第2接続部と配線基板とを接続接着剤層により固定する工程S5と、を含む、
撮像モジュールの組立方法。
【請求項2】
第2接続部の高さHを測定し、レンズと第1接続部とを組み合わせ、配線基板と第2接続部とを一つの部材に組み合わせる工程と、
前記配線基板(3)の上面からの光電結像センサの感光面の高さhを測定する工程と、
接続接着剤層の厚さdを設定する工程と、
レンズの結像面の位置を特定する工程と、
設定されたd、測定されたH及びhに基づいて、前記結像面を基準として、結像面と平行し、前記結像面までの距離F=H+d-hとなる補正平面が得られるように、前記第1接続部に対して材料除去処理を行う工程と、
前記第1接続部の補正平面と前記第2接続部とを接続接着剤層により固定して接続する工程と、を含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載の
撮像モジュールの組立方法。
【請求項3】
レンズと第1接続部、第2接続部とを一つの部材に組み合わせ、又は第1接続部と第2接続部とを一体成形構造として選択する接続部材と、レンズとを一つの部材に組み合わせる工程と、
前記配線基板(3)の上面からの光電結像センサの感光面の高さhを測定する工程と、
接続接着剤層の厚さdを設定する工程と、
レンズの結像面の位置を特定する工程と、
設定されたd及び測定されたhに基づいて、前記結像面を基準として、結像面と平行し、前記結像面までの距離F=
h-dとなる補正平面が得られるように、第2接続部に対して材料除去処理を行う工程と、
配線基板と第2接続部の補正平面を接続接着剤層により固定して接続する工程と、を含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載の
撮像モジュールの組立方法。
【請求項4】
補正平面が得られるように前記第1接続部又は前記第2接続部に対して材料除去処理を行う工程は、切削、旋削、カット、フライス研削又は化学腐食工程を含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載の
撮像モジュールの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学技術分野に属し、特に、撮像モジュール及び組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光電結像センサと画像処理システムプラットフォームの不断の発展に伴い、画像処理アルゴリズムの需要が益々高くなるため、カメラの解像度が益々高くなり、特に車載及びセキュリティカメラを含む非消費類領域では、低画素が段階的に廃止されている。光電結像センサの画素の不断の進化につれて、カメラ内のレンズの解像力が益々高くなることが要求されるが、レンズは、光電結像センサに対して解像力許容量が益々小さくなり、すなわち、撮像モジュールの焦点深度範囲が益々小さくなる場合には、撮像モジュールの組立時の精度がより高いことが要求される。また、非消費者撮像モジュールは、基本的には固定焦点モジュール(マニュアルフォーカス)であり、温度が変化するときには、レンズの最適な結像面がドリフトすることになり、かつ、このようなモジュールの動作温度条件は厳しく(例えば、車載領域では一般的に-40~+85℃が要求される)、撮像モジュールが全温度範囲で良好な性能を維持するためには、撮像モジュールが組立時により高い精度を有することが要求される(常温での性能を確保する必要があるだけではなく、低温・高温条件下でのレンズのバックフォーカス温度ドリフトも考慮する必要がある場合には、常温での組立時の組立許容量がより小さくなる)。
【0003】
1)光電結像センサの画素の進化により、光電結像センサに対するレンズの解像力許容量が小さくなり、モジュールの焦点深度範囲が小さくなる。2)固定焦点カメラモジュールは、異なる温度条件下で、レンズのバックフォーカス(レンズの最適な結像面)の位置が異なり、すなわち、温度が変化するとき、カメラモジュールにフォーカス偏差の現象が発生することになるという上記の二つの点を考慮する場合、カメラモジュールの組立時に、レンズの結像面の位置と光電結像センサの感光位置とができるだけ重なり合い、偏差が小さいほどよいことが要求され、すなわち、カメラモジュールの組立精度がより高いことが要求される。
【0004】
高精度な組立を必要とするカメラの場合、業界ではAAプロセスが一般的に採用されてカメラの組立が行われる。AAプロセスでは、AA接着剤は、欠かせない重要な要素であり、AA技術を通じて、レンズと配線基板が最適な相対位置に補正された後、AA接着剤によって、レンズと配線基板又はベースとを接続して固定し、最終的にレンズと配線基板は、常に最適な相対位置に保持される(レンズの結像面と配線基板における光電結像センサの感光面とが重なり合うようになる)。しかしながら、AA接着剤は、硬化後に収縮する特性を有し、かつ、接着剤の厚さによって収縮量が異なり、接着剤の厚さが大きいほど、収縮量が大きくなる。一方、接着剤の厚さが同じであっても、硬化条件の差(UV露光硬化、熱硬化)により、接着剤の収縮量が異なり、接着剤の厚さが大きいほど、収縮量の差も大きくなる。接着剤の収縮に対しては、一般的にこの収縮量を考慮し、AAの場合、補償する補償量をあらかじめ設定しておく。しかしながら、一般的に各カメラモジュールは、接着剤の厚さがい偏差も異なる場合、接着剤の収縮量も異なるため、AAで補償する場合、固定補償量で補償し、一部のカメラモジュールの補償が過多になり、一部の補償が過少になると、カメラモジュールの解像力が一致しなくなり、すべてのカメラモジュールの解像力が合格レベルに達することを効果的に保証することができない。また、上記に対しては、極めて高い組立精度のカメラモジュールが必要となり、従来のAA接着剤の収縮量補償技術は、このような高い精度要件を満たしていない。したがって、高精度な組立を必要とするカメラモジュールにおいて、AA接着剤の厚さの不一致性を解決することは、非常に重要な問題である。ある方法を実施することによってカメラモジュールの接着剤の厚さの一致性をよくし、かつ、接着剤の厚さを小さくする必要があり(接着剤の厚さが小さいほど、収縮量が小さくなり、収縮量の差が小さくなる)、それにより、各モジュールの接着剤の収縮量がほぼ同じになるように制御することができ、AA時には固定した接着剤の収縮補償量で補償すればよい。
【0005】
AA接着剤の厚さが一致しない原因は、カメラモジュールの各部材に偏差が存在する。主に光学レンズの偏差(具体的には光学バックフォーカス偏差と光軸傾斜偏差として現れる)であり、光学レンズは、いくつかのレンズによって組み立てられており、構造部材(スペーサ、鏡筒など)をさらに含み、すべてのレンズと構造部材のいずれにも公差が存在するため、接着剤の接着面に対する光学レンズの光学焦点面の位置が一致せず、それにより、接着剤の厚さが一致しない直接の原因となる。また、光電結像センサの高さ偏差とベースの高さ偏差は、AAギャップの大きさに直接影響し、それにより、AA接着剤の厚さに影響を与えてしまう。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、上記問題を解決するためになされたものであり、同一バッチの撮像モジュールの接着剤の厚さの不一致により解像力が保証できないという問題を解決する撮像モジュール及び組立方法を提供することにある。
【0007】
上記目的を実現するために、本発明によれば、レンズと、接続部材と、配線基板と、前記配線基板に設けられる光電結像センサとを含み、光軸方向に沿って、接続部材は、レンズに固定して接続される第1接続部と、配線基板に接続される第2接続部とを含む撮像モジュールであって、前記第2接続部に向かう前記第1接続部の一方側には、補正平面が設けられ、又は前記配線基板に近接する前記第2接続部の一方側には、補正平面が設けられ、前記補正平面は、前記レンズの結像面と平行し、前記補正平面と前記第2接続部との間、又は前記補正平面と前記配線基板との間には、所定厚さの接続接着剤層が設けられる撮像モジュールが提供される。
【0008】
本発明の一態様によれば、前記接続接着剤層は、前記補正平面と前記第2接続部との間に設けられ、
d=F+h-H、
ただし、dは、前記接続接着剤層の厚さを示し、Fは、前記補正平面から結像面までの距離を示し、hは、前記配線基板の上面からの光電結像センサの感光面の高さを示し、Hは、第2接続部の高さを示す。
【0009】
本発明の一態様によれば、前記接続接着剤層は、前記補正平面と前記配線基板との間に設けられ、
d=F+h、
ただし、dは、前記接続接着剤層の厚さを示し、Fは、前記補正平面から結像面までの距離を示し、hは、前記配線基板の上面からの光電結像センサの感光面の高さを示す。
【0010】
本発明の一態様によれば、前記第2接続部は、前記配線基板と組み合わされ、前記第2接続部に向かう前記第1接続部の一方側には、補正平面が設けられる。
【0011】
本発明の一態様によれば、前記第1接続部は、前記第2接続部と一体成形され、前記配線基板に近接する前記第2接続部の一方側には、補正平面が設けられる。
【0012】
本発明の一態様によれば、前記第1接続部は、レンズフランジであり、前記第2接続部は、レンズホルダであり、前記レンズは、第1接続部を介して前記第2接続部と組み合わされ、前記配線基板に近接する前記第2接続部の一方側には、補正平面が設けられる。
【0013】
本発明によれば、上記撮像モジュールの組立方法であって、
レンズと、寸法許容量を有する接続部材とを組み合わせる工程S1と、
前記配線基板の上面からの光電結像センサの感光面の高さhを特定する工程S2と、
接続接着剤層の厚さdを設定する工程S3と、
レンズの結像面を特定する工程S4と、
前記工程S2で得られたh値及び設定されたd値に基づいて、前記レンズの結像面を基準として、前記結像面と平行する自由端としての補正平面が得られるように第1接続部又は第2接続部に対して材料除去処理を行い、第1接続部と第2接続部とを接続接着剤層により固定し、又は第2接続部と配線基板とを接続接着剤層により固定する工程S5と、を含む組立方法がさらに提供される。
【0014】
本発明の一態様によれば、前記組立方法は、第2接続部の高さHを測定し、レンズと第1接続部とを組み合わせ、配線基板と第2接続部とを一つの部材に組み合わせる工程と、
前記配線基板の上面からの光電結像センサの感光面の高さhを測定する工程と、
接続接着剤層の厚さdを設定する工程と、
レンズの結像面の位置を特定する工程と、
設定されたd、測定されたH及びhに基づいて、前記結像面を基準として、結像面と平行し、前記結像面までの距離F=H+d-hとなる補正平面が得られるように、前記第1接続部に対して材料除去処理を行う工程と、
前記第1接続部の補正平面と前記第2接続部とを接続接着剤層により固定して接続する工程と、を含む。
【0015】
本発明の一態様によれば、前記組立方法は、レンズと第1接続部、第2接続部とを一つの部材に組み合わせ、又は第1接続部と第2接続部とを一体成形構造として選択する接続部材と、レンズとを一つの部材に組み合わせる工程と、
前記配線基板の上面からの光電結像センサの感光面の高さhを測定する工程と、
接続接着剤層の厚さdを設定する工程と、
レンズの結像面の位置を特定する工程と、
設定されたd及び測定されたhに基づいて、前記結像面を基準として、結像面と平行し、前記結像面までの距離F=d-hとなる補正平面が得られるように、第2接続部に対して材料除去処理を行う工程と、
配線基板と第2接続部の補正平面を接続接着剤層により固定して接続する工程と、を含む。
【0016】
本発明の一態様によれば、補正平面が得られるように前記第1接続部又は前記第2接続部に対して材料除去処理を行う工程は、切削、旋削、カット、フライス研削又は化学腐食工程を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、第2接続部に向かう第1接続部の一方側に補正平面が設けられ、又は配線基板に向かう第2接続部の一方側に補正平面が設けられ、かつ、補正平面は、レンズの結像面と互いに平行し、レンズの実際の光軸と互いに垂直する。これにより、第1接続部の下側面と第2接続部(ベース)との間隔が一致し、又は第2接続部の下側面と配線基板との間隔が一致するようになり、AAプロセスにおいて、充填された接着剤の厚さが一致し、接着剤の収縮量が一致することを保証することができ、充填用接着剤の厚さの不一致による撮像モジュールの解像力が悪化するという問題を解決することができる。
【0018】
本発明の一態様は、補正平面と第2接続部又は配線基板との間の接続接着剤層の厚さが同じになるように設定されることにより、すべての撮像モジュールにおける接続接着剤層の厚さが同じになり、ひいては、すべての撮像モジュールの接着剤の収縮量が一致するようになり、製品の一致性の向上に有利である。
【0019】
本発明の一態様によれば、本発明の接続部には、十分な寸法許容量が設定される。十分な寸法許容量とは、本発明の考え方に基づき、異なる撮像モジュールについて、設定された接続接着剤層dが一致する場合に、撮像モジュールの光軸偏差角度とレンズ結像面の位置偏差がどのような場合であっても、F=H+d-h又はF=d-hに従って対応する補正平面を見つけ、それから接着剤の厚さが一致した撮像モジュールが得られるように材料余量を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る撮像モジュールの構造を概略的に示す図である。
【
図2】理想的な状態における撮像モジュールの組立構造を概略的に示す図である。
【
図3】レンズの実際の光軸と機械軸とのなす角度を概略的に示す図である。
【
図4】実際の状態における撮像モジュールの組立を概略的に示す図である。
【
図5】本発明に係る補正平面を概略的に示す図である。
【
図6】レンズ結像面の偏差を概略的に示す図である。
【
図7】
図6における異なる結像面の偏差に対応する撮像モジュールの組立時に必要な接着剤の厚さを概略的に示す図である。
【
図8】理想的な状態における第2実施形態の撮像モジュールの組立を概略的に示す図である。
【
図9】実際の状態における撮像モジュールの組立を概略的に示す図である。
【
図10】第2実施形態の補正平面を概略的に示す図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る撮像モジュールの構造を概略的に示す図である。
【
図12】第3実施形態の理想的な状態における撮像モジュールを概略的に示す図である。
【
図13】第3実施形態の実際の状態における撮像モジュールを概略的に示す図である。
【
図14】本発明の第3実施形態に係る補正平面を概略的に示す図である。
【
図15】本発明の第3実施形態に係る撮像モジュールの構造を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態又は従来技術における技術的手段をより明確に説明するために、以下では、実施形態において使用する必要がある図面について簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者には、創造的な労力を払わずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【0022】
本発明の実施形態について説明するとき、「縦方向」、「横方向」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」という用語で表現される方位又は位置関係は、関連する図面に示す方位又は位置関係に基づいており、本発明の説明を便利にし、説明を簡略化するためであり、示された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作しなければならないことを示し、又は暗示するものではないため、上記の用語は本発明の制限として理解することができない。
【0023】
以下、本発明を図面及び具体的な実施形態と併せて詳細に説明するが、実施形態は、ここでは一々説明できないが、本発明の実施形態は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0024】
図1、
図11及び
図15に示すように、本発明の撮像モジュールは、レンズ1と、接続部材2と、配線基板に設けられる光電結像センサと、補正平面4とを含む。光軸方向に沿って、接続部材2は、レンズに固定して接続される第1接続部21と、配線基板3に接続される第2接続部22とを含む。本発明の考え方によれば、第1接続部21と第2接続部22とは、別個の部材によって接続され、又は第1接続部21と第2接続部22とは、一体成形構造である。本発明において、補正平面4は、第2接続部22に向かう第1接続部21の一方側に設けられ、又は配線基板3に向かう第2接続部22の一方側に設けられる。また、本発明の補正平面4は、レンズ1の結像面と互いに平行し、レンズ1の光軸と互いに垂直する。本発明の異なる実施態様によれば、補正平面4と第2接続部22との間には、接続接着剤層Aが設けられ、又は補正平面4と配線基板3との間には、接続接着剤層Aが設けられる。なお,すべての撮像モジュールについて、設定された接続接着剤層Aの厚さは同じであり、すなわち、すべての撮像モジュールの組立時に、組立に用いられる充填用接着剤の厚さは一致するものである。
【0025】
図1~
図5に示すように、本発明の第1実施形態によれば、接続部材2の第1接続部21と第2接続部22は、いずれも別個の部材である。本実施形態において、第1接続部21は、レンズ1に固定して接続される接続フランジであり、第2接続部22は、レンズホルダである。
図2に示すように、理想的な状態では、ベースと配線基板3とを組み合わせ、その後、レンズ1とベース及び配線基板3とをAAで組み立て、レンズの最適な結像位置を見つけた後、充填用接着剤(接続接着剤層)により第1接続部21と第2接続部22とを固定して接続する。
【0026】
図3及び
図4に示すように、撮像モジュールの実際の組立プロセスにおいて、レンズ1の機械軸と実際の光軸との間に一定の角度偏差が存在するため、レンズ1の機械軸と実際の光軸とが重なり合わないことになる。撮像モジュールの組立プロセスにおいて、最適な結像効果が確保されるようにレンズ1の実際の光軸と配線基板3における感光チップとが垂直することを保証する必要があり、したがって、レンズ1は、実際の光軸と感光チップとが垂直に設けられることが保証されるように、組立時に一定の角度を傾ける必要があり、この状態では、第1接続部21(接続フランジ)と第2接続部22(ベース)との隙間が周方向に沿って一致しなくなるため、
図4に示す断面図において、第1接続部21とベース22の左側との隙間はd1であり、第1接続部21とベース22の右側との隙間はd2であり、d1>d2である。ひいては、第1接続部21と第2接続部22とを固定する際に左右両側に充填される接着剤の量が異なり、接着剤充填量によって収縮量が異なり、ひいては撮像モジュールの解像力に影響を与えてしまう。
【0027】
本発明の撮像モジュールによれば、この問題がうまく解決される。
図1及び
図5に示すように、本実施形態において、第2接続部22に向かう第1接続部21の一方側には、補正平面4が設けられ、すなわち、第1接続部21の下側面は、補正平面4であり、かつ、補正平面4は、レンズ1の結像面と互いに平行し、レンズ1の実際の光軸と互いに垂直する。これにより、第1接続部21の下側面と第2接続部22(ベース)との間隔が一致するため、第1接続部21と第2接続部22との間に充填された接着剤の厚さが一致し、接着剤の収縮量が一致するようになり、第1接続部21と第2接続部22との間に充填された接着剤の厚さの不一致による撮像モジュールの解像力が悪化するという問題を解決することができる。一方、本発明の撮像モジュールは、組立時に、補正平面4を設けた後、補正平面4と第2接続部22との間に充填される接着剤の厚さはあらかじめ設定されており、すなわち、接続接着剤層Aの厚さはあらかじめ設定されるため、各撮像モジュールにおける接続接着剤層の厚さがいずれも一致することを保証することができ、ひいては製品の一致性が悪く、合格率が低いという問題を解決するのに有利である。
【0028】
図6及び
図7に示すように、レンズ1は、機械軸と実際の光軸とが重なり合わない偏差が存在することに加えて、結像面偏差も有する。
図6に示すように、
図6の中央はレンズ1の結像面Bの理想的な位置を示し、左側はレンズ1の結像面Bに負偏差が存在することを示し、右側はレンズ1の結像面Bに正偏差が存在することを示している。
【0029】
図7に示すように、レンズ1のバックフォーカスに負偏差が存在する場合、接着剤の厚さが小さくなり、偏差が大きいほど、厚さが小さくなり、偏差がある程度に達し、接着剤の厚さが負の値となるとき、レンズ1とベース22が干渉することを意味し、このとき、レンズ1のバックフォーカスの偏差により、カメラの組立ができなくなる。レンズ1のバックフォーカスに正の偏差が存在する場合、接着剤の厚さが大きくなり、偏差が大きいほど、厚さが大きくなる。接着剤の厚さが小さすぎるとき、レンズ1とベース22との隙間が極めて小さくなり、AA時に干渉する可能性が非常に高く、組立が失敗することになる。接着剤の厚さが小さすぎる場合、接着剤の接着力が十分ではない可能性があり、モジュールの安定性が悪くなる。接着剤の厚さが大きすぎるとき、すなわち、レンズ1とベース22とのAA間隔が大きくなる場合、この隙間により多くの接着剤を充填する必要があり、接着剤の無駄を引き起こすことになる。また、接着剤の隙間が大きすぎると、接着剤の均一性が悪くなり、モジュールの安定性に影響を与えてしまう。
【0030】
【0031】
一方、表1に示すように、異なる撮像モジュールの結像面の位置が異なるため、必要な充填用接着剤(接続接着剤層)の厚さが異なり、異なる厚さの接続接着剤層は、作業中に収縮量が異なるため、撮像モジュールの品質が保証されない原因となる。具体的には、接着剤の厚さが大きいほど、収縮量が大きくなり、かつ、収縮量の差が大きくなる。本特許に記載されるモジュールの場合、モジュールの焦点深度範囲は、通常、数ミクロン以内であり、接着剤の厚さが大きすぎる場合、収縮量の差は、焦点深度範囲よりもはるかに大きくなり、AA組立後のモジュールの良好な性能を保証することはできない。
【0032】
図1、
図2及び
図5に示すように、本発明の撮像モジュールは、この問題を解決するために、すべての撮像モジュールについて、接続接着剤層Aの厚さをdとして設定し、かつ、d=F+h-H(F=H-h+d)が満たされる。ここで、dは、接続接着剤層Aの厚さを示し、Fは、補正平面4から結像面までの距離を示し、hは、配線基板3の上面からの光電結像センサの感光面の高さを示し、Hは、第2接続部22の高さを示す。このように設定することで、異なる撮像モジュールについて、同じdを設定し、それぞれh値を測定し、第2接続部22のH値を測定し、結像面の位置を見つければ、補正平面4の所在位置を見つけることができ、すなわち、上記式(F=H-h+d)に従って第2接続部22の除去量を特定することができる。本発明の撮像モジュールは、接着剤の厚さが一致することを保証することができ、かつ、接着剤の厚さを小さくすることができ、200um以下が推奨される。もちろん、接着剤の強度を保証することを前提に、小さいほどよい。
【0033】
図8~
図11に示すように、本発明の第2実施形態によれば、接続部材2の第1接続部21と第2接続部22は、いずれも別個の部材である。本実施形態において、第1接続部21は、レンズ1に固定して接続される接続フランジである。第2接続部22は、ベースである。本実施形態において、まずレンズ1と、第1接続部21及び第2接続部22とを組み合わせ、その後、配線基板3とAAプロセスにより組み立てる。
図9に示すように、レンズ1の機械軸と実際の光軸とが重なり合わないため、レンズ1を傾斜して設ける必要があり、レンズ1と組み合わされる第2接続部22も傾斜して設けられることになり、それにより、第2接続部22と配線基板3との隙間が異なるようになる。そこで、本実施形態において、配線基板3に向かう第2接続部22の一方側に補正平面4が設けられ、すなわち、第2接続部22の下側面は補正平面4であり、補正平面4は、レンズ1の結像面Bと平行して設けられ、レンズ1の実際の光軸と垂直して設けられる。これにより、第2接続部22と配線基板3との隙間が一致し、第2接続部22と配線基板3とを接続するための接着剤の厚さも一致するようになる。本実施形態において、レンズ1のバックフォーカス偏差が撮像モジュールの解像力に与える影響を回避するために、
図10に示すように、接続接着剤層Aは、補正平面4と前記配線基板3との間に設けられ、d=F+h。具体的には、dは、接続接着剤層Aの厚さを示し、Fは、補正平面4から結像面までの距離を示し、hは、前記配線基板3の上面からの光電結像センサの感光面の高さを示す。本実施形態において、補正平面4は結像面の下に位置するため、Fは負の値となる。すべての撮像モジュールについて、接続接着剤層Aの厚さdは同一であるため、各撮像モジュールについて、まずそのh値を測定し、次にF(F=
h-d)を求めることができ、次いで、結像面を基準として補正平面の位置を見つけることができ、その後、第2接続部22の余量を切削などにより切除する。
【0034】
図12~
図15に示すように、本発明の第3実施形態によれば、接続部材2の第1接続部21と第2接続部22は、一体成形構造である。本実施形態において、レンズ1と接続部材2とが組み合わされた後、AAプロセスにより配線基板と組み立てられる。
【0035】
図13に示すように、レンズ1の機械軸と実際の光軸とが重なり合わないため、レンズ1を傾斜して設ける必要があり、レンズ1と組み合わされる第2接続部22も傾斜して設けられることになり、第2接続部22と配線基板3との隙間が異なるようになる。そこで、本実施形態において、配線基板3に向かう第2接続部22の一方側に補正平面4が設けられ、すなわち、第2接続部22の下側面は補正平面4であり、補正平面4は、レンズ1の結像面Bと平行して設けられ、レンズ1の実際の光軸と垂直して設けられる。これにより、第2接続部22と配線基板3との隙間が一致し、第2接続部22と配線基板3とを接続するための接着剤の厚さも一致するようになる。本実施形態において、レンズ1のバックフォーカス偏差が撮像モジュールの解像力に与える影響を回避するために、
図14に示すように、補正平面4が得られるように第2接続部22の材料の一部を図に示す破線に沿って切除する際に、補正平面4の位置は、式d=F+h(F=d-h)に従って特定される。
【0036】
本発明によれば、上記撮像モジュールの組立方法であって、レンズと、寸法許容量を有する接続部材とを組み合わせる工程S1と、前記配線基板(3)の上面からの光電結像センサの感光面の高さhを特定する工程S2と、接続接着剤層の厚さdを設定する工程S3と、レンズの結像面を特定する工程S4と、前記工程S2で得られたh値及び設定されたd値に基づいて、前記レンズの結像面を基準として、前記結像面と平行する自由端としての補正平面が得られるように第1接続部又は第2接続部に対して材料除去処理を行い、第1接続部と第2接続部とを接続接着剤層により固定し、又は第2接続部と配線基板とを接続接着剤層により固定する工程S5と、を含む組立方法がさらに提供される。
【0037】
具体的には、本発明の一実施形態によれば、本発明の組立方法は、第2接続部の高さHを測定し、レンズと第1接続部とを組み合わせ、配線基板と第2接続部とを一つの部材に組み合わせる工程と、前記配線基板の上面からの光電結像センサの感光面の高さhを測定する工程と、接続接着剤層の厚さdを設定する工程と、レンズの結像面の位置を特定する工程と、設定されたd、測定されたH及びhに基づいて、前記結像面を基準として、結像面と平行し、前記結像面までの距離F=H+d-hとなる補正平面が得られるように、前記第1接続部に対して材料除去処理を行う工程と、前記第1接続部の補正平面と前記第2接続部とを接続接着剤層により固定して接続する工程と、を含む。
【0038】
本発明の第2の実施形態によれば、本発明の組立方法は、レンズと第1接続部、第2接続部とを一つの部材に組み合わせ、又は第1接続部と第2接続部とを一体成形構造として選択する接続部材と、レンズとを一つの部材に組み合わせる工程と、前記配線基板の上面からの光電結像センサの感光面の高さhを測定する工程と、接続接着剤層の厚さdを設定する工程と、レンズの結像面の位置を特定する工程と、設定されたd及び測定されたhに基づいて、前記結像面を基準として、結像面と平行し、前記結像面までの距離F=d-hとなる補正平面が得られるように、第2接続部に対して材料除去処理を行う工程と、配線基板と第2接続部の補正平面を接続接着剤層により固定して接続する工程と、を含む。
【0039】
なお、本発明の接続部には、十分な寸法許容量が設けられており、十分な寸法許容量とは、本発明の考え方に基づき、異なる撮像モジュールについて、設定された接続接着剤層dが一致する場合に、撮像モジュールの光軸偏差角度とレンズ結像面の位置偏差がどのような場合であっても、F=H+d-h又はF=d-hに従って対応する補正平面を見つけ、それから接着剤の厚さが一致した撮像モジュールが得られるように材料余量を除去することができる。
【0040】
本発明の撮像モジュールの組立方法において、補正平面が得られるように第1接続部又は第2接続部に対して材料除去処理を行う方式は、切削、旋削、カット、フライス研削、又は化学腐食方式を含む。
【0041】
上記は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を限定するものではなく、当業者には、本発明は、種々の変更や変化が可能である。本発明の精神及び原則の範囲内で行われる如何なる修正、同等の置換、改善などは、いずれも本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0042】
本願は、2020年6月1日に中国専利局に提出され、出願番号が202010486713.9、発明の名称が「撮像モジュール及び組立方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全内容が参照により本願に組み込まれる。