(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】天井構造
(51)【国際特許分類】
E04B 9/00 20060101AFI20240222BHJP
E04B 1/82 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
E04B9/00 A
E04B1/82 M
(21)【出願番号】P 2023071080
(22)【出願日】2023-04-24
【審査請求日】2023-09-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸 征宏
(72)【発明者】
【氏名】駒倉 昌和
(72)【発明者】
【氏名】硲 美友
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0131101(US,A1)
【文献】実開平03-015913(JP,U)
【文献】米国特許第04640064(US,A)
【文献】特開2020-070641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00-9/36
E04B 1/62-1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間仕切り壁の上方に設けられる天井構造であって、
天井スラブから吊り下げられたバー材を平行状又は格子状に組んだ天井下地と、
上記天井下地において平行に配置された2つの上記バー材の水平方向に延びる下端部の上に2つの辺部が載置される複数の矩形板状の天井材とを備え、
上記間仕切り壁から所定の距離範囲に設けられた複数の上記天井材の上方には、吸音材が上記各天井材に対応付けられて設けられ、
上記各吸音材は、
対応する上記天井材の上面を覆う矩形板状の遮蔽部と、
上記遮蔽部の対向する一対の第1辺部にそれぞれ連続し、該遮蔽部と対応する上記天井材との間に空間が形成されるように、上記遮蔽部を支持する2つの支持部とを有し、
上記各吸音材は、
下面に、互いに平行に延びる断面形状がV字形状の2つの第1溝が、該各第1溝によって上記遮蔽部と上記各支持部とが区切られるように形成された板状体によって構成され、
上記各支持部の下端が上記遮蔽部よりも下方に位置するように上記各第1溝で折り曲げられた状態で、上記2つの支持部が対応する上記天井材の上面に当接するように設けられている
ことを特徴とする天井構造。
【請求項2】
間仕切り壁の上方に設けられる天井構造であって、
天井スラブから吊り下げられたバー材を平行状又は格子状に組んだ天井下地と、
上記天井下地において平行に配置された2つの上記バー材の水平方向に延びる下端部の上に2つの辺部が載置される複数の矩形板状の天井材とを備え、
上記間仕切り壁から所定の距離範囲に設けられた複数の上記天井材の上方には、吸音材が上記各天井材に対応付けられて設けられ、
上記各吸音材は、
対応する上記天井材の上面を覆う矩形板状の遮蔽部と、
上記遮蔽部の対向する一対の第1辺部にそれぞれ連続し、該遮蔽部と対応する上記天井材との間に空間が形成されるように、上記遮蔽部を支持する2つの支持部とを有し、
上記各吸音材は、
上面に、互いに平行に延びる2つの第1切り込み溝が、該各第1切り込み溝によって上記遮蔽部と上記各支持部とが区切られるように形成された板状体によって構成され、
上記各支持部の下端が上記遮蔽部よりも下方に位置するように上記第1切り込み溝で折り曲げられた状態で、上記2つの支持部が対応する上記天井材の上面に当接するように設けられている
ことを特徴とする天井構造。
【請求項3】
請求項
1又は
2に記載の天井構造において、
上記各吸音材は、上記遮蔽部の上記第1辺部が上記間仕切り壁に平行となる向きに配置されている
ことを特徴とする天井構造。
【請求項4】
請求項
1又は
2に記載の天井構造において、
上記各吸音材は、上記遮蔽部の対向する一対の第2辺部に連続する2つの延長部を有し、
上記各吸音材を構成する上記板状体の下面には、互いに平行に延びる断面形状がV字形状の2つの第2溝が、該各第2溝によって上記遮蔽部と上記各延長部とが区切られるように形成され、
上記各吸音材は、上記各延長部の下端が上記遮蔽部よりも下方に位置するように上記第2溝で折り曲げられた状態で設けられている
ことを特徴とする天井構造。
【請求項5】
請求項
1又は
2に記載の天井構造において、
上記各吸音材は、上記遮蔽部の対向する一対の第2辺部に連続する2つの延長部を有し、
上記各吸音材を構成する上記板状体の上面には、互いに平行に延びる2つの第2切り込み溝が、該各第2切り込み溝によって上記遮蔽部と上記各延長部とが区切られるように形成され、
上記各吸音材は、上記各延長部の下端が上記遮蔽部よりも下方に位置するように上記第2切り込み溝で折り曲げられた状態で設けられている
ことを特徴とする天井構造。
【請求項6】
請求項
1又は
2に記載の天井構造において、
上記各吸音材は、
上記遮蔽部の対向する一対の第2辺部の少なくとも一方に連続する延長部を有し、
上記延長部が対応する上記天井材が載置される上記バー材の上に載置されて上記2つの支持部と共に上記遮蔽部を支持するように設けられている
ことを特徴とする天井構造。
【請求項7】
請求項
6に記載の天井構造において、
上記各吸音材は、
上記延長部が、上記遮蔽部の上記一対の第2辺部の一方のみに設けられ、
上記遮蔽部が、上記一対の第2辺部の上記一方が他方よりも上方に位置するように、対応する上記天井材の上面に対して傾斜した状態で、上記2つの支持部と上記延長部とにより支持されている
ことを特徴とする天井構造。
【請求項8】
間仕切り壁の上方に設けられる天井構造であって、
天井スラブから吊り下げられたバー材を平行状又は格子状に組んだ天井下地と、
上記天井下地において平行に配置された2つの上記バー材の水平方向に延びる下端部の上に2つの辺部が載置される複数の矩形板状の天井材とを備え、
上記間仕切り壁から所定の距離範囲に設けられた複数の上記天井材の上方には、吸音材が上記各天井材に対応付けられて設けられ、
上記各吸音材は、
対応する上記天井材の上面を覆う矩形板状の遮蔽部と、
上記遮蔽部の対向する一対の第1辺部にそれぞれ連続し、該遮蔽部と対応する上記天井材との間に空間が形成されるように、上記遮蔽部を支持する2つの支持部とを有し、
上記各吸音材は、矩形板状体によって構成され、対応する上記天井材が載置される上記2つのバー材の上に上記2つの支持部がそれぞれ載置され、対応する上記天井材が載置される上記2つのバー材の間の上記天井材の上方を遮蔽し、
上記各吸音材は、上記2つの支持部が、上記間仕切り壁に平行に延びる上記バー材の上にそれぞれ載置される向きに配置され、
上記間仕切り壁に直交する方向に隣接する2つの上記吸音材は、同一の上記バー材に載置される上記支持部が上下方向に重なるように設けられている
ことを特徴とする天井構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切り壁の上方に設けられる天井構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスビル等では、間仕切り壁が天井施工後に施工されることが多くある。このような場合、間仕切り壁は、床面から天井面までの間に施工され、天井裏までは設けられない。そのため、間仕切り壁の遮音性能が高くても、間仕切り壁で仕切られた二室の一方で発生した音が天井裏を介して他方へ伝達され、二室間における遮音性能が低くなるという問題があった。
【0003】
そこで、従来、間仕切り壁上方の天井裏にグラスウール等の吸音材を設けることで、二室間における遮音性能を向上させることが提案されている(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【0004】
特許文献1では、間仕切り壁上方の天井下地の桟の上に板状の吸音材を設けることにより、間仕切り壁で仕切られた二室の一方で発生して天井裏へ透過した音を吸音材で減衰させることにより、他方の室に音が伝わり難くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1では、天井ボードの施工前に吸音材を設置することとしており、大きな板状の吸音材を用いてこれを天井下地の複数の桟に架け渡すことで、天井ボードが施工されるまでの間に吸音材が落下してしまわないようにしている。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1では、天井構造を構成した後に吸音材の設置位置を変更することを何ら意識しておらず、吸音材も複数の桟に跨がる程大きいため、間仕切り壁の位置変更に合わせて吸音材の位置を容易に変更できないという問題があった。また、施工現場でグラスウールを所望の大きさに切断して吸音材を形成する際に、ごみが発生し、施工現場を汚してしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、間仕切り壁の位置変更に応じて容易に吸音材の位置変更が可能であり、施工現場を汚すことなく容易に施工可能な天井構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明では、間仕切り壁の上方の天井構造としてシステム天井構造を採用すると共に、間仕切り壁から所定の距離範囲にある複数の天井材の上方に、吸音材を各天井材に対応付けて設けることとした。
【0010】
具体的には、第1の発明は、間仕切り壁の上方に設けられる天井構造を前提とするものである。
【0011】
そして、第1の発明は、天井スラブから吊り下げられたバー材を平行状又は格子状に組んだ天井下地と、上記天井下地において平行に配置された2つの上記バー材の内側に突出する下端部の上に2つの辺部が載置される複数の矩形板状の天井材とを備え、上記間仕切り壁から所定の距離範囲に設けられた複数の上記天井材の上方には、吸音材が上記各天井材に対応付けられて設けられ、上記各吸音材は、対応する上記天井材の上面を覆う矩形板状の遮蔽部と、上記遮蔽部の対向する一対の第1辺部にそれぞれ連続し、該遮蔽部と対応する上記天井材との間に空間が形成されるように、上記遮蔽部を支持する2つの支持部とを有していることを特徴とするものである。
【0012】
第1の発明では、間仕切り壁の上方の天井構造としてシステム天井構造を採用し、間仕切り壁から所定の距離範囲にある複数の天井材の上方に、吸音材を各天井材に対応付けて設けることとしている。このような天井構造によれば、間仕切り壁の上方の天井裏では、間仕切り壁によって仕切られる二室の隣室との境界付近に、それぞれ吸音材が設けられることとなる。そのため、間仕切り壁で仕切られた二室の一方の室で発生して天井裏へ透過した音を吸音材で減衰させて他方の室へ伝わり難くすることができる。また、上記天井構造では、いずれの天井材も取り外し可能なシステム天井構造を採用すると共に、1つの天井材に対して1つの吸音材を対応付けて設けることとしている。このような構成によれば、吸音材が、システム天井用の天井材と同等の大きさに構成されるため、吸音材も天井材と同様に容易に着脱することができる。つまり、上記天井構造によれば、吸音材の位置変更を容易に行うことができるため、間仕切り壁の位置を変更する際に、容易に吸音材の位置も変更することができる。
【0013】
また、第1の発明では、各吸音材は、天井材の上面を覆う矩形板状の遮蔽部が、対応する天井材との間に空間が形成されるように2つの支持部によって支持されるように構成されている。このような構成によれば、間仕切り壁で仕切られた二室の一方の室で発生して天井裏へ透過した音が、吸音材だけでなく吸音材の遮蔽部と天井材との間に形成された空間でも減衰するため、他方の室へより伝わり難くなる。つまり、間仕切り壁で仕切られた二室間の遮音性能が向上する。
【0014】
また、第1の発明では、吸音材の大きさは、天井材の大きさに応じて決まるので、工場等で決まった大きさに切断しておくことができる。つまり、第1の発明によれば、施工現場でグラスウール等の吸音材を所望の大きさに切断する必要がなく、施工時にごみが発生して施工現場を汚してしまうことがない。
【0015】
以上のように、第1の発明によれば、間仕切り壁の位置変更に応じて容易に吸音材の位置変更が可能であり、施工現場を汚すことなく容易に施工可能な天井構造を提供することができる。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、上記各吸音材は、下面に、互いに平行に延びる断面形状がV字形状の2つの第1溝が、該各第1溝によって上記遮蔽部と上記各支持部とが区切られるように形成された板状体によって構成され、上記各支持部の下端が上記遮蔽部よりも下方に位置するように上記各第1溝で折り曲げられた状態で、上記2つの支持部が対応する上記天井材の上面に当接するように設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
第2の発明では、各吸音材を構成する板状体の下面に、2本のV字形状の第1溝を形成することにより、遮蔽部と2つの支持部とを区画形成している。このような構成により、施工現場にて板状体からなる吸音材を第1溝で折り曲げるだけで、対応する天井材の上面に当接して遮蔽部を対応する天井材より上方に持ち上げて支持する支持部を容易に形成することができる。よって、第2の発明によれば、吸音材の設置及び位置変更をより容易に行うことができる。
【0018】
第3の発明は、第1の発明において、上記各吸音材は、上面に、互いに平行に延びる2つの第1切り込み溝が、該各第1切り込み溝によって上記遮蔽部と上記各支持部とが区切られるように形成された板状体によって構成され、上記各支持部の下端が上記遮蔽部よりも下方に位置するように上記第1切り込み溝で折り曲げられた状態で、上記2つの支持部が対応する上記天井材の上面に当接するように設けられていることを特徴とするものである。
【0019】
第3の発明では、各吸音材を構成する板状体の上面に、2本の第1切り込み溝を形成することにより、遮蔽部と2つの支持部とを区画形成している。このような構成により、施工現場にて板状体からなる吸音材を第1切り込み溝で折り曲げるだけで、対応する天井材の上面に当接して遮蔽部を対応する天井材より上方に持ち上げて支持する支持部を容易に形成することができる。よって、第3の発明によれば、吸音材の設置及び位置変更をより容易に行うことができる。
【0020】
第4の発明は、第2又は第3の発明において、上記各吸音材は、上記遮蔽部の上記第1辺部が上記間仕切り壁に平行となる向きに配置されていることを特徴とするものである。
【0021】
第4の発明では、各吸音材を、上記第1辺部が間仕切り壁に平行となる向きに配置することとしている。このような構成によれば、各吸音材と各天井材との間に形成される空間の上方が遮蔽部で覆われるだけでなく、間仕切り壁側の側方も支持部で覆われることとなることとなる。そのため、間仕切り壁で仕切られた二室の一方の室で発生して天井裏へ透過した音が、他方の室へより伝わり難くなる。
【0022】
第5の発明は、第2又は第3の発明において、上記各吸音材は、上記遮蔽部の対向する一対の第2辺部に連続する2つの延長部を有し、上記各吸音材を構成する上記板状体の下面には、互いに平行に延びる断面形状がV字形状の2つの第2溝が、該各第2溝によって上記遮蔽部と上記各延長部とが区切られるように形成され、上記各吸音材は、上記各延長部の下端が上記遮蔽部よりも下方に位置するように上記第2溝で折り曲げられた状態で設けられていることを特徴とするものである。
【0023】
第6の発明は、第2又は第3の発明において、上記各吸音材は、上記遮蔽部の対向する一対の第2辺部に連続する2つの延長部を有し、上記各吸音材を構成する上記板状体の上面には、互いに平行に延びる2つの第2切り込み溝が、該各第2切り込み溝によって上記遮蔽部と上記各延長部とが区切られるように形成され、上記各吸音材は、上記各延長部の下端が上記遮蔽部よりも下方に位置するように上記第2切り込み溝で折り曲げられた状態で設けられていることを特徴とするものである。
【0024】
第5及び第6の発明では、各吸音材に、矩形板状の遮蔽部の第2辺部に2つの延長部を連続させ、各吸音材を、各延長部の下端が遮蔽部よりも下方に位置するように第2溝又は第2切り込み溝で折り曲げた状態で設けることとしている。このような構成により、各吸音材と各天井材との間に形成される空間は、遮蔽部によって上方が覆われるだけでなく、2つの支持部と2つの延長部とにより、側方(四周)も覆われることとなることとなる。そのため、間仕切り壁で仕切られた二室の一方の室で発生して天井裏へ透過した音が、他方の室へより伝わり難くなる。
【0025】
また、第5及び第6の発明では、各吸音材を構成する板状体の下面又は上面に、2本のV字形状の第2溝又は2本の切り込み溝を形成することにより、2つの延長部をさらに有する吸音材を容易に構成することができる。
【0026】
第7の発明は、第2又は第3の発明において、上記各吸音材は、上記遮蔽部の対向する一対の第2辺部の少なくとも一方に連続する延長部を有し、上記延長部が対応する上記天井材が載置される上記バー材の上に載置されて上記2つの支持部と共に上記遮蔽部を支持するように設けられていることを特徴とするものである。
【0027】
第7の発明では、各吸音材に、矩形板状の遮蔽部の一対の第2辺部の少なくとも一方に延長部を連続させ、延長部が対応する天井材が載置されるバー材の上に載置されるように設けることとしている。このような構成により、各吸音材の遮蔽部と対応するバー材との間の隙間が、延長部によって塞がれることとなることとなる。そのため、間仕切り壁で仕切られた二室の一方の室で発生して天井裏へ透過した音が、他方の室へより伝わり難くなる。
【0028】
第8の発明は、第7の発明において、上記各吸音材は、上記延長部が、上記遮蔽部の上記一対の第2辺部の一方のみに設けられ、上記遮蔽部が、上記一対の第2辺部の上記一方が他方よりも上方に位置するように、対応する上記天井材の上面に対して傾斜した状態で、上記2つの支持部と上記延長部とにより支持されていることを特徴とするものである。
【0029】
第8の発明では、各吸音材は、延長部がバー材に載置され、遮蔽部が、一対の第2辺部のうちの延長部が連続する一方が他方よりも上方に位置するように、対応する天井材の上面に対して傾斜した状態で設けられている。吸音材をこのように傾斜した状態で設置することにより、天井下地の上方から吸音材を着脱し易くなる。よって、第8の発明によれば、吸音材の設置及び位置変更をより容易に行うことができる。
【0030】
第9の発明は、第1の発明において、上記各吸音材は、矩形板状体によって構成され、対応する上記天井材が載置される上記2つのバー材の上に上記2つの支持部がそれぞれ載置され、対応する上記天井材が載置される上記2つのバー材の間の上記天井材の上方を遮蔽していることを特徴とするものである。
【0031】
第9の発明では、矩形板状体に溝加工等を施すことなく、2つの支持部を、対応する天井材が載置される2つのバー材の上にそれぞれ載置するだけで、遮蔽部と天井材との間に空間が形成される吸音材を、容易に構成することができる。よって、第9の発明によれば、吸音材を折り曲げる等の作業を行うことなく、容易に吸音材を設置することができ、また、吸音材の位置変更も容易に行うことができる。
【0032】
第10の発明は、第9の発明において、上記各吸音材は、上記2つの支持部が、上記間仕切り壁に平行に延びる上記バー材の上にそれぞれ載置される向きに配置され、上記間仕切り壁に直交する方向に隣接する2つの上記吸音材は、同一の上記バー材に載置される上記支持部が上下方向に重なるように設けられていることを特徴とするものである。
【0033】
第10の発明では、各吸音材を、2つの支持部が間仕切り壁に平行に延びるバー材の上にそれぞれ載置される向きに配置し、間仕切り壁に直行する方向に隣接する2つの吸音材を、同一のバー材に載置される支持部が上下方向に重なるように設けることとしている。このような構成によれば、各吸音材と各天井材との間に形成される空間から間仕切り壁に直行する方向に音が漏れ難くなる。そのため、間仕切り壁で仕切られた二室の一方の室で発生して天井裏へ透過した音が、他方の室へより伝わり難くなる。
【発明の効果】
【0034】
以上説明した如く、本発明によると、間仕切り壁の上方の天井構造としてシステム天井構造を採用すると共に、間仕切り壁から所定の距離範囲にある複数の天井材の上方に、吸音材を各天井材に対応付けて設けることとしたため、間仕切り壁の位置変更に応じて容易に吸音材の位置変更が可能であり、施工現場を汚すことなく容易に施工可能な天井構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る天井構造を上側から見て示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の天井構造の間仕切り壁に直交する方向の断面図である。
【
図6】
図6は、吸音材を折り曲げる様子を示す説明図である。
【
図7】
図7は、実施形態2の吸音材を折り曲げて設置する様子を示す説明図である。
【
図8】
図8は、実施形態3の吸音材の下面図である。
【
図9】
図9は、実施形態3の天井構造の吸音材部分を拡大して示す間仕切り壁に直交する方向の断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態3の天井構造の吸音材部分を拡大して示す間仕切り壁に平行な方向の断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態4の天井構造の吸音材部分を拡大して示す間仕切り壁に直交する方向の断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態4の天井構造の吸音材部分を拡大して示す間仕切り壁に平行な方向の断面図である。
【
図15】
図15は、実施形態5の天井構造の吸音材部分を拡大して示す間仕切り壁に直交する方向の断面図である。
【
図16】
図16は、実施形態5の天井構造の吸音材部分を拡大して示す間仕切り壁に平行な方向の断面図である。
【
図17】
図17は、実施形態6の天井構造の間仕切り壁に直交する方向の断面図である。
【
図18】
図18は、実施形態7の天井構造の間仕切り壁に直交する方向の断面図である。
【
図19】
図19は、実施形態8の天井構造の間仕切り壁に直交する方向の断面図である。
【
図20】
図20は、実施形態9の天井構造の間仕切り壁に直交する方向の断面図である。
【
図21】
図21は、実施形態10の天井構造の間仕切り壁に直交する方向の断面図である。
【
図22】
図22は、その他の実施形態の天井構造上側から見て示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0037】
《発明の実施形態1》
-天井構造の構成-
図1~
図3は、本発明の実施形態1に係る間仕切り壁PWの上方に設けられる天井構造Cを示す図である。天井構造Cには、所謂システム天井構造が採用されている。天井構造Cの下方は、間仕切り壁PWによって2つの室R1,R2に区切られている。なお、以下では、説明の便宜上、
図2の左側、右側、上側、下側、紙面手前側、紙面奥側を、それぞれ「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」として説明する。
【0038】
図1~
図3に示すように、天井構造Cは、天井下地5と、複数の天井材10,…,10と、複数の吸音材20,…,20とを備えている。なお、図中、1は建物の室内の天井部分を構成する天井スラブ、2は上端が天井スラブ1に埋め込まれて固定された吊りボルト、3は該吊りボルト2の下端部にナット4,4により取り付けられたハンガーである。
【0039】
天井下地5は、複数のバー材6,…,6を格子状に組んだものであり、ハンガー3の下端部に複数のバー材6,…,6が取り付けられることにより、天井スラブ1から吊りボルト2及びハンガー3によって吊り下げられている。
【0040】
図4に示すように、各バー材6は、金属製で断面T字状に形成されている。各バー材6は、固定部6aと、連結部6bと、一対の係止部6c,6cとを備えている。固定部6aは、バー材6の上端に位置し、矩形筒状に形成されている。連結部6bは、固定部6aの下端から下向きに延びる板状部分である。一対の係止部6c,6cは、連結部6bの下端に連続し、水平方向に互いに離れる方向に延びている。各バー材6は、固定部6aがハンガー3の下端部に取り付けられており、連結部6bと一対の係止部6c,6cとで断面T字状をなして該T字が逆向きになった状態で吊り下げられている。
【0041】
上記複数のバー材6,…,6は前後方向(水平縦方向)及び左右方向(水平横方向)に並べられて平面視で格子状に組まれており、これらのバー材6,…,6により面一状の天井下地5が構成されている。天井下地5には、各4本のバー材6,6,6,6により、複数の矩形枠部8,…,8が形成されている。複数の矩形枠部8,…,8の一部には、照明器具や空調機器等の天井設備機器(図示せず)が固定支持され、残りの矩形枠部8,…,8には、それぞれ天井材10,…,10が各々の周辺部で載せ掛けられた状態で支持されている。複数の矩形枠部8,…,8に支持される天井設備機器及び天井材10,…,10により、格子状のグリッド天井面が形成されている。
【0042】
図2及び
図4に示すように、各天井材10は、矩形枠部8の大きさに対応した大きさ(例えば600×600mm)のロックウール材によって構成されている。なお、天井材10の大きさ及び素材は、特に限定されず、いかなる大きさ及び素材であってもよい。
【0043】
各天井材10の四周辺部の下側隅角部には、該隅角部を断面矩形状に切り欠いた切欠き段部10aが形成されている。天井材10は、各切欠き段部10aの下面を矩形枠部8を構成する4本のバー材6の係止部(下端部)6c上面に載置することで、バー材6に載せ掛けられた状態でバー材6に支持されている。
【0044】
図1及び
図2に示すように、複数の吸音材20,…,20は、間仕切り壁PWから所定の距離範囲にある矩形枠部8,…,8の内側にそれぞれ1つずつ設けられている。即ち、間仕切り壁PWから所定の距離範囲にある複数の天井材10,…,10の上方には、吸音材20がそれぞれ1つずつ天井材10に対応付けられて設けられている。本実施形態1では、所定の距離は、例えば950mmに設定されている。なお、本実施形態1では、間仕切り壁PWは、上端が、前後方向に延びるバー材6に固定されており、矩形枠部8の一辺は、640mm程度に形成されている。そのため、
図1及び
図2に示すように、間仕切壁PWから950mmの範囲には、間仕切り壁PWの上端が固定されるバー材6を一部に含む2列分の矩形枠部8,…,8が含まれる。即ち、本実施形態1では、間仕切壁PWから950mmの範囲には、間仕切り壁PWの左右両側に天井材10が1つずつ含まれ、これに対応して、吸音材20が間仕切り壁PWの左右両側に1つずつ設けられることとなる。
【0045】
吸音材20は、吸音性を有すると共に弾性を有する矩形板状体によって構成されている。本実施形態1では、吸音材20は、グラスウールボード(密度24~96K)で構成されている。なお、吸音材20には、吸音性及び弾性を有する一方、600mmの長さの矩形板状体としたときに、両端のみが支持された状態で、真ん中が200mm以上垂れさがらない程度の厚みと剛性があれば、発泡体やグラスウールボード以外の繊維集合体でも構成することができる。発泡体としては、連続気泡発泡体で、発泡ポリエチレンや発泡ポリスチレン等を用いるのが好ましい。また、繊維集合体としては、グラスウールファイバーボードやロックウールファイバーボード等の無機繊維集合体や、アクリル繊維集合体やPET繊維集合体等の樹脂繊維集合体等を用いるのが好ましい。より好ましくは、燃え難く軽量なグラスウール(密度24~96K)を用いるのがより好ましい。
【0046】
吸音材20は、天井下地5の矩形枠部8の内側に収まる天井材10と同等の大きさに形成されている。なお、本実施形態1では、吸音材20は、折り曲げられて矩形枠部8の内側に設置されるため、例えば、厚さ12mm、600×800mmのグラスウールボード(矩形板状体)で構成されている。なお、吸音材20の厚さは、特に限定されないが、12~60mm程度のものを用いるのが好ましい。また、吸音材20の寸法も、上記の寸法に限定されないが、設置時の形態(折り曲げられた状態)で平面視において天井材10の寸法と同等のものを用いるのが好ましい。
【0047】
図5及び
図6に示すように、吸音材20を構成するグラスウールボード(矩形板状体)の下面には、該吸音材20の2つの短辺部20s,20s(所定の2辺部)間に、該短辺部20sに平行に延びる断面形状がV字形状の2つの第1溝21,21が形成されている。2つの第1溝21,21は、吸音材20の下面において、長さ方向の両端から所定の距離(例えば、100mm)だけ離れた位置に形成されている。
【0048】
各第1溝21は、吸音材20を構成するグラスウールボードの下面を切り欠くことによって形成されている。本実施形態1では、各第1溝21は、角度αが60度のV字形状の断面を有し、吸音材20の短辺方向の一端から他端に亘って延びている。なお、第1溝21の角度αは、60度に限られず、10度~175度であればよい。
【0049】
吸音材20は、2つの第1溝21,21により、2つの第1溝21,21間の矩形板状の遮蔽部20Aと、遮蔽部20Aの対向する一対の第1辺部A1,A1にそれぞれ第1溝21を介して連続する2つの支持部20B,20Bとに区画されている。また、吸音材20は、遮蔽部20Aと対応する天井材10との間に空間Sが形成されるように、各支持部20Bの下端(短辺部20s)が遮蔽部20Aよりも下方に位置するように第1溝21で折り曲げられた状態で、矩形枠部8の内側に設置されている。
【0050】
具体的には、吸音材20は、第1溝21の底部を軸として、支持部20Bを下方へ回動させることにより(
図6の上段参照)、各支持部20Bの下端が遮蔽部20Aよりも下方に位置するように折り曲げられている(
図6の下段参照)。吸音材20は、その折り曲げられた状態で矩形枠部8の内側に挿入され、2つの支持部20B,20Bが自立して遮蔽部20Aを支持するように、天井材10の上に載置されている(
図1,2,4参照)。
【0051】
なお、本実施形態1では、吸音材20は、第1溝21の底部を軸として、支持部20Bを第1溝21の角度α(本実施形態1では、60度)だけ回動させることによって折り曲げられており、遮蔽部20Aと各支持部20Bとのなす角βは、180度から角度αを減じた角度(本実施形態1では120度)となっている。そのため、吸音材20は、設置状態において、各第1溝21の2つの溝側面が当接して第1溝21が閉じた状態となっている。しかしながら、支持部20Bの回動角度は、2つの支持部20B,20Bが天井材10の上面に当接して自立可能であれば、角度α未満の角度であってもよい。即ち、吸音材20は、設置状態において、各第1溝21の2つの溝側面が当接しない第1溝21が閉じていない状態であってもよい。
【0052】
このように、吸音材20を、各支持部20Bが遮蔽部20Aよりも下方に位置するように各第1溝21で折り曲げた状態で、2つの支持部20B,20Bが対応する天井材10の上面に当接して自立するように設置することにより、各矩形枠部8の内側において、該矩形枠部8に四周辺部が載置された天井材10との間に空間Sが形成される。詳細については後述するが、このような空間Sを形成することにより、間仕切り壁PWで区切られた二室R1,R2間の遮音性能が向上する。
【0053】
なお、上記空間Sは、できる限り閉じられていることが好ましい。そのため、吸音材20は、
図3に示すように、長辺部20l,20lが矩形枠部8の内面(4つのバー材6の固定部6a又は連結部6b)に当接するように設けられるのが好ましい。
【0054】
また、本実施形態1では、各吸音材20は、遮蔽部20Aの第1辺部A1が、前後方向に延びるように配置されている。各吸音材20をこのような向きで設置することにより、各吸音材20と各天井材10との間に形成される空間Sの上方が遮蔽部20Aで覆われるだけでなく、間仕切り壁PW側の側方も支持部20Bで覆われることとなることとなる。
【0055】
-位置変更-
次に、間仕切り壁PWの設置位置を変更する際の動作について説明する。
【0056】
間仕切り壁PWの設置位置を変更する場合、吸音材20の位置も変更する必要がある。まず、吸音材20が設置されている矩形枠部8の隣の矩形枠部8に載置された天井材10を取り外し、そこから天井裏にアクセスして隣の吸音材20を取り外す。吸音材20は、矩形枠部8の内側において天井材10に載置されているだけであるので、持ち上げるだけで容易に矩形枠部8から取り外すことができる。
【0057】
間仕切り壁PWの元の設置位置の所定の距離範囲に設けられていた複数の吸音材20,20,20を全て取り外した後、間仕切り壁PWの新たな設置位置の所定の距離範囲にある矩形枠部8,…,8の内側に、取り外した吸音材20を天井材10に対応付けて設置する。具体的には、吸音材20を設置する予定の矩形枠部8の隣の矩形枠部8に載置された天井材10を取り外し、そこから天井裏にアクセスして隣の矩形枠部8の内側に、吸音材20を設置する。
【0058】
なお、吸音材20が設置される矩形枠部8に載置される天井材10を取り外して吸音材20を着脱するようにしてもよい。
【0059】
-遮音作用-
次に、天井構造Cの遮音作用について説明する。
【0060】
本実施形態1では、間仕切り壁PWの上方の天井構造Cとしてシステム天井構造を採用し、間仕切り壁PWから所定の距離範囲(例えば、950mm)にある複数の天井材10,…,10の上方に、吸音材20をそれぞれ1つずつ天井材10に対応付けて設けることとしている。そのため、間仕切り壁PWの上方の天井裏では、間仕切り壁PWによって仕切られる二室R1,R2の隣室との境界付近に、複数の吸音材20,…,20が設けられることとなる。また、本実施形態1では、各吸音材20を、対応する天井材10が載置される矩形枠部8の内側に配置したときに、天井材10との間に空間Sを形成する形状に形成している。
【0061】
このような構成により、本実施形態1では、例えば、
図2に示すように間仕切り壁PWで仕切られた二室R1,R2の一方の室R1で発生して天井材10を透過して天井裏へ至った音は、室R1側に設けられた吸音材20と天井材10とに挟まれた空間Sと吸音材20とによって減衰する。天井裏において一部の音が吸音材20で覆われた空間Sから漏れて天井裏の室R2側へ至ったとしても、室R2側にも吸音材20及び空間Sが設けられているため、これらによって音はさらに減衰される。
【0062】
また、本実施形態1では、各吸音材20を、遮蔽部20Aにおいて支持部20Bが連続する第1辺部A1が間仕切り壁PWに平行となる向きに配置することとしている。このような構成によれば、各吸音材20と各天井材10との間に形成される空間Sの上方が遮蔽部20Aで覆われるだけでなく、間仕切り壁PW側の側方も支持部20Bで覆われることとなることとなる。そのため、間仕切り壁PWで仕切られた二室R1,R2の一方の室で発生して天井裏へ透過した音が、他方の室へより伝わり難くなり、遮音性能が向上する。
【0063】
以上のように、本実施形態1の吸音材20を備えた天井構造Cを間仕切り壁PWの上方に設けることにより、吸音材20を備えない天井構造C1及び従来の天井構造C2より二室間の遮音性能が向上することを検証すべく、以下の遮音性能試験を行った。なお、従来の天井構造C2は、本実施形態1の吸音材20よりも長尺の厚さ25mmのグラスウールを、施工現場で切断しながら、格子状の天井下地5の上に、複数の矩形枠部8,…,8に跨がるように設けたものである。
【0064】
[遮音性能試験]
図1及び
図2に示す天井構造Cの下方において間仕切り壁PWによって区切られた2室R1,R2のうちの一方の室R1に測定用音源を設置して音源室とする一方、他方の室R2を受信室とし、測定用音源から人の声の周波数帯域とされる中心周波数500Hzの試験音(90dB程度)を発生させ、騒音計で測定した室R1(音源室)と室R2(受信室)との音圧レベルの差(遮音性能)を求めた。
【0065】
遮音性能試験の結果、人の声の周波数帯域とされる500Hz領域において、天井構造C,C1,C2の音圧レベル差(遮音性能)が、それぞれ24.4dB,23.4dB,24.1dBとなった。この結果より、天井構造Cによれば、二室間の遮音性能が、従来の天井構造C2より向上し、天井構造C1と同等程度の遮音性能を有することが判る。
【0066】
-実施形態1の効果-
本実施形態1では、間仕切り壁PWの上方の天井構造Cとしてシステム天井構造を採用し、間仕切り壁PWから所定の距離範囲にある複数の天井材10,…,10の上方に、吸音材20を各天井材10に対応付けて設けることとしている。このような天井構造Cによれば、間仕切り壁PWの上方の天井裏では、間仕切り壁PWによって仕切られる二室R1,R2の隣室との境界付近に、複数の吸音材20,…,20が設けられることとなる。そのため、間仕切り壁PWで仕切られた二室R1,R2の一方の室で発生して天井裏へ透過した音を吸音材20で減衰させて他方の室へ伝わり難くすることができる。また、上記天井構造Cでは、いずれの天井材20も取り外し可能なシステム天井構造を採用すると共に、1つの天井材10に対して1つの吸音材20を対応付けて設けることとしている。このような構成によれば、吸音材20が、システム天井用の天井材10と同等の大きさに構成されるため、吸音材20も天井材10と同様に容易に着脱することができる。つまり、上記天井構造Cによれば、吸音材20の位置変更を容易に行うことができるため、間仕切り壁PWの位置を変更する際に、容易に吸音材20の位置も変更することができる。
【0067】
また、本実施形態1では、各吸音材20は、天井材10の上面を覆う矩形板状の遮蔽部20Aが、対応する天井材10との間に空間Sが形成されるように2つの支持部20B,20Bによって支持されるように構成されている。このような構成によれば、間仕切り壁PWで仕切られた二室R1,R2の一方の室で発生して天井裏へ透過した音が、吸音材20だけでなく吸音材20の遮蔽部20Aと天井材10との間に形成された空間Sでも減衰するため、他方の室へより伝わり難くなる。つまり、間仕切り壁PWで仕切られた二室R1,R2間の遮音性能が向上する。
【0068】
また、本実施形態1では、吸音材20の大きさは、天井材10の大きさに応じて決まるので、工場等で決まった大きさに切断しておくことができる。つまり、本実施形態1によれば、施工現場でグラスウール等の吸音材を所望の大きさに切断する必要がなく、施工時にごみが発生して施工現場を汚してしまうことがない。
【0069】
以上のように、本実施形態1によれば、間仕切り壁PWの位置変更に応じて容易に吸音材20の位置変更が可能であり、施工現場を汚すことなく容易に施工可能な天井構造Cを提供することができる。
【0070】
また、本実施形態1では、各吸音材20を構成する板状体の下面に、断面形状がV字形状の2つの第1溝21,21を形成することにより、遮蔽部20Aと2つの支持部20B,20Bとを区画形成している。このような構成により、遮蔽部20Aと2つの支持部20B,20Bとを有する吸音材20を容易に構成することができる。また、施工現場にて板状体からなる吸音材20を第1溝21で折り曲げるだけで、吸音材20を、遮蔽部20Aと天井材10との間に空間Sが形成されるように自立する所望の形状に容易に変形させることができる。よって、本実施形態1によれば、吸音材20の設置及び位置変更をより容易に行うことができる。
【0071】
また、本実施形態1では、各吸音材20を、遮蔽部20Aにおいて支持部20Bが連続する第1辺部A1が間仕切り壁PWに平行となる向きに配置することとしている。このような構成によれば、各吸音材20と各天井材10との間に形成される空間Sの上方が遮蔽部20Aで覆われるだけでなく、間仕切り壁PW側の側方も支持部20Bで覆われることとなることとなる。そのため、間仕切り壁PWで仕切られた二室R1,R2の一方の室で発生して天井裏へ透過した音が、他方の室へより伝わり難くなる。
【0072】
《発明の実施形態2》
実施形態2は、実施形態1の天井構造Cにおいて、吸音材20の構成を一部変更したものである。
【0073】
具体的には、
図7に示すように、吸音材20の下面に形成された2つの断面形状がV字形状の第1溝21,21の代わりに、吸音材20の上面に2つの第1切り込み溝22,22が形成されている。2つの第1切り込み溝22,22は、吸音材20の上面において、長さ方向の両端から所定の距離(例えば、100mm)だけ離れた位置に設けられている。各第1切り込み溝22は、吸音材20を構成するグラスウールボードの上面に、吸音材20の下面付近まで至る深さの切り込みを入れることによって形成されている。各第1切り込み溝22は、吸音材20の短辺方向の一端から他端に亘って延びている。
【0074】
実施形態2では、吸音材20は、2つの第1切り込み溝22,22により、2つの第1切り込み溝22,22間の矩形板状の遮蔽部20Aと、遮蔽部20Aの対向する一対の第1辺部A1,A1に第1溝21を介してそれぞれ連続する2つの支持部20B,20Bとに区画されている。また、吸音材20は、遮蔽部20Aと対応する天井材10との間に空間Sが形成されるように、各支持部20Bの下端(短辺部20s)が遮蔽部20Aよりも下方に位置するように第1切り込み溝22で折り曲げられた状態で、矩形枠部8の内側に設置されている。
【0075】
具体的には、吸音材20は、第1切り込み溝22の底部(第1切り込み溝22と吸音材20の下面との間の部分)を軸として、支持部20Bを下方へ第1切り込み溝22が開くように回動させることにより(
図7の上段参照)、各支持部20Bの下端が遮蔽部20Aよりも下方に位置するように折り曲げられている。吸音材20は、その折り曲げられた状態で矩形枠部8の内側に挿入され、2つの支持部20B,20Bが自立して遮蔽部20Aを支持するように、天井材10の上に載置されている(
図7の下段参照)。
【0076】
なお、本実施形態2では、吸音材20は、第1切り込み溝22の底部を軸として、第1切り込み溝22が開くように支持部20Bを60度だけ下方へ回動させることによって折り曲げられており、遮蔽部20Aと各支持部20Bとのなす角βは、120度となっている。しかしながら、支持部20Bの回動角度は、2つの支持部20B,20Bが天井材10の上面に当接して自立可能であれば、いかなる角度であってもよい。
【0077】
このように、吸音材20を、各支持部20Bが遮蔽部20Aよりも下方に位置するように各第1切り込み溝22で折り曲げた状態で、2つの支持部20B,20Bが対応する天井材10の上面に当接して自立するように設置することにより、各矩形枠部8の内側において、該矩形枠部8に四周辺部が載置された天井材10との間に空間Sが形成される。これにより、実施形態2においても、空間Sを形成することにより、間仕切り壁PWで区切られた二室R1,R2間の遮音性能が向上する。
【0078】
なお、実施形態2においても、上記空間Sは、できる限り閉じられていることが好ましい。そのため、吸音材20は、実施形態1と同様に、長辺部20l,20lが矩形枠部8の内面(4つのバー材6の固定部6a又は連結部6b)に当接するように設けられるのが好ましい。
【0079】
また、本実施形態2においても、各吸音材20は、遮蔽部20Aの第1辺部A1が、前後方向に延びるように配置されている。各吸音材20をこのような向きで設置することにより、各吸音材20と各天井材10との間に形成される空間Sの上方が遮蔽部20Aで覆われるだけでなく、間仕切り壁PW側の側方も支持部20Bで覆われることとなることとなる。
【0080】
以上のように構成された実施形態2の天井構造Cによっても、実施形態1の天井構造Cと同様の効果を奏することができる。
【0081】
また、実施形態2の天井構造Cでは、実施形態1において各吸音材20の下面に形成していた第1溝21,21の代わりに、各吸音材20を構成する板状体の上面に、2本の第1切り込み溝22,22を形成することにより、遮蔽部20Aと2つの支持部20B,20Bとを区画形成している。このような構成により、実施形態2においても、遮蔽部20Aと2つの支持部20B,20Bとを有する吸音材20を容易に構成することができる。また、施工現場にて板状体からなる吸音材20を第1切り込み溝22で折り曲げるだけで、吸音材20を、遮蔽部20Aと天井材10との間に空間Sが形成されるように自立する所望の形状に容易に変形させることができるため、吸音材20の設置及び位置変更を容易に行うことができる。
【0082】
《発明の実施形態3》
実施形態3は、実施形態1の天井構造Cにおいて、吸音材20の構成を一部変更したものである。
【0083】
具体的には、実施形態3では、
図8~
図10に示すように、各吸音材20が、遮蔽部20Aの対向する一対の第2辺部A2,A2に連続する2つの延長部20C,20Cを有するように構成し、各吸音材20を、各延長部20Cの下端が遮蔽部20Aよりも下方に位置するように折り曲げられた状態で対応する矩形枠部8の内側に設けることとしている。
【0084】
図8に示すように、実施形態3では、各吸音材20を、800×800mmのグラスウールボード(板状体)で構成し、4つの角に平面視において矩形状の切り欠きを設けることにより、平面視において十字形状に形成している。また、各吸音材20の下面には、2つの第1溝21,21に加え、2つの第2溝23,23を形成している。
【0085】
2つの第2溝23,23は、各吸音材20の下面において、互いに平行に且つ第1溝21,21に直交する方向に延び、第1溝21と同様に、断面形状がV字形状に形成されている。2つの第2溝23,23は、遮蔽部20Aと2つの延長部20C,20Cを区切るように、各延長部20Cの遮蔽部20Aとの境界上に形成されている。
【0086】
各第2溝23は、吸音材20を構成するグラスウールボードの下面を切り欠くことによって形成されている。なお、本実施形態3では、各第1溝21の角度αが90度に形成されており、各第2溝23の角度も、各第1溝21の角度αに合わせて90度となるように形成されている。
【0087】
吸音材20は、2つの第1溝21,21及び2つの第2溝23,23により、矩形板状の遮蔽部20Aと、遮蔽部20Aの第1辺部A1,A1にそれぞれ連続する2つの支持部20B,20Bと、遮蔽部20Aの第2辺部A2,A2にそれぞれ連続する2つの延長部20C,20Cとに区画されている。また、実施形態3では、吸音材20は、遮蔽部20Aと対応する天井材10との間に空間Sが形成されるように、各支持部20Bの下端が遮蔽部20Aよりも下方に位置するように第1溝21で折り曲げられると共に、各延長部20Cの下端が遮蔽部20Aよりも下方に位置するように第2溝23で折り曲げられた状態で、矩形枠部8の内側に設置されている。
【0088】
具体的には、
図9に示すように、吸音材20は、第1溝21の底部を軸として、支持部20Bを下方へ回動させることにより、各支持部20Bの下端が遮蔽部20Aよりも下方に位置するように折り曲げられ、また、
図10に示すように、第2溝23の底部を軸として、延長部20Cを下方へ回動させることにより、各延長部20Cの下端が遮蔽部20Aよりも下方に位置するように折り曲げられる。吸音材20は、その折り曲げられた状態で矩形枠部8の内側に挿入され、2つの支持部20B,20Bが自立して遮蔽部20Aを支持するように、天井材10の上に載置されている。
【0089】
なお、本実施形態3では、吸音材20は、第1溝21の底部を軸として、支持部20Bを第1溝21の角度α(本実施形態1では、90度)だけ回動させることによって折り曲げられており、遮蔽部20Aと各支持部20Bとのなす角βは、90度となっている。また、同様に、吸音材20は、第2溝23の底部を軸として、延長部20Cを第2溝23の角度に等しい90度だけ回動させることによって折り曲げられており、遮蔽部20Aと各延長部20Cとのなす角は、90度となっている。つまり、実施形態3では、各吸音材20は、設置状態において、各第1溝21及び各第2溝23は、各2つの溝側面が当接して閉じた状態となっている。しかしながら、吸音材20は、設置状態において、各第1溝21及び各第2溝23が、2つの溝側面が当接しない閉じていない状態であってもよい。
【0090】
このように、吸音材20を、各支持部20Bが遮蔽部20Aよりも下方に位置するように各第1溝21で折り曲げた状態で、2つの支持部20B,20Bが対応する天井材10の上面に当接して自立するように設置することにより、各矩形枠部8の内側において、該矩形枠部8に四周辺部が載置された天井材10との間に空間Sが形成される。また、吸音材20を、各延長部20Cが遮蔽部20Aよりも下方に位置するように各第2溝23で折り曲げた状態で設置することにより、吸音材20と天井材10との間に形成される空間Sは、遮蔽部20Aによって上方が覆われるだけでなく、2つの支持部20B,20Bと2つの延長部20C,20Cとにより、側方(四周)も覆われることとなることとなる。そのため、実施形態3では、間仕切り壁PWで仕切られた二室R1,R2の一方の室で発生して天井裏へ透過した音が、他方の室へより伝わり難くなり、間仕切り壁PWで区切られた二室R1,R2間の遮音性能が向上する。
【0091】
以上のように構成された実施形態3の天井構造Cによっても、実施形態1の天井構造Cと同様の効果を奏することができる。
【0092】
また、実施形態3の天井構造Cによれば、上述のように、吸音材20と天井材10との間に形成される空間Sは、遮蔽部20Aによって上方が覆われるだけでなく、2つの支持部20B,20Bと2つの延長部20C,20Cとにより、側方(四周)も覆われることとなることとなるため、間仕切り壁PWで区切られた二室R1,R2間の遮音性能のさらなる向上を図ることができる。
【0093】
《発明の実施形態4》
実施形態4は、実施形態2の天井構造Cにおいて、吸音材20の構成を一部変更したものである。具体的には、実施形態4では、
図11~
図13に示すように、各吸音材20が、遮蔽部20Aの対向する一対の第2辺部A2,A2に連続する2つの延長部20C,20Cを有するように構成し、各吸音材20を、各延長部20Cの下端が遮蔽部20Aよりも下方に位置するように折り曲げられた状態で対応する矩形枠部8の内側に設けることとしている。
【0094】
図11に示すように、実施形態4では、各吸音材20を、800×800mmのグラスウールボード(板状体)で構成し、4つの角に平面視において矩形状の切り欠きを設けることにより、平面視において十字形状に形成している。また、各吸音材20の上面には、2つの第1切り込み溝22,22に加え、2つの第2切り込み溝24,24を形成している。
【0095】
2つの第2切り込み溝24,24は、各吸音材20の上面において、互いに平行に且つ第1切り込み溝22,22に直交する方向に延び、第1切り込み溝22と同様に、断面形状がV字形状に形成されている。2つの第2切り込み溝24,24は、遮蔽部20Aと2つの延長部20C,20Cを区切るように、各延長部20Cの遮蔽部20Aとの境界上に形成されている。各第2切り込み溝24は、吸音材20を構成するグラスウールボードの上面に、吸音材20の下面付近まで至る深さの切り込みを入れることによって形成されている。
【0096】
吸音材20は、2つの第1切り込み溝22,22及び2つの第2切り込み溝24,24により、矩形板状の遮蔽部20Aと、遮蔽部20Aの第1辺部A1,A1にそれぞれ連続する2つの支持部20B,20Bと、遮蔽部20Aの第2辺部A2,A2にそれぞれ連続する2つの延長部20C,20Cとに区画されている。また、実施形態4では、吸音材20は、遮蔽部20Aと対応する天井材10との間に空間Sが形成されるように、各支持部20Bの下端が遮蔽部20Aよりも下方に位置するように第1切り込み溝22で折り曲げられると共に、各延長部20Cの下端が遮蔽部20Aよりも下方に位置するように第2切り込み溝24で折り曲げられた状態で、矩形枠部8の内側に設置されている。
【0097】
具体的には、
図12に示すように、吸音材20は、第1切り込み溝22の底部を軸として、支持部20Bを下方へ回動させることにより、各支持部20Bの下端が遮蔽部20Aよりも下方に位置するように折り曲げられ、また、
図13に示すように、第2切り込み溝24の底部を軸として、延長部20Cを下方へ回動させることにより、各延長部20Cの下端が遮蔽部20Aよりも下方に位置するように折り曲げられる。吸音材20は、その折り曲げられた状態で矩形枠部8の内側に挿入され、2つの支持部20B,20Bが自立して遮蔽部20Aを支持するように、天井材10の上に載置されている。
【0098】
なお、本実施形態4では、吸音材20は、第1切り込み溝22の底部を軸として、第1切り込み溝22が開くように支持部20Bを90度だけ下方へ回動させることによって折り曲げられており、遮蔽部20Aと各支持部20Bとのなす角βは90度となっている。また、同様に、吸音材20は、第2切り込み溝24の底部を軸として、延長部20Cを90度だけ回動させることによって折り曲げられており、遮蔽部20Aと各延長部20Cとのなす角は90度となっている。しかしながら、支持部20B及び延長部20Cの回動角度は、2つの支持部20B,20Bが天井材10の上面に当接して自立可能であれば、いかなる角度であってもよい。
【0099】
このように、吸音材20を、各支持部20Bが遮蔽部20Aよりも下方に位置するように各第1切り込み溝22で折り曲げた状態で、2つの支持部20B,20Bが対応する天井材10の上面に当接して自立するように設置することにより、各矩形枠部8の内側において、該矩形枠部8に四周辺部が載置された天井材10との間に空間Sが形成される。また、吸音材20を、各延長部20Cが遮蔽部20Aよりも下方に位置するように各第2切り込み溝24で折り曲げた状態で設置することにより、吸音材20と天井材10との間に形成される空間Sは、遮蔽部20Aによって上方が覆われるだけでなく、2つの支持部20B,20Bと2つの延長部20C,20Cとにより、側方(四周)も覆われることとなることとなる。そのため、実施形態4では、間仕切り壁PWで仕切られた二室R1,R2の一方の室で発生して天井裏へ透過した音が、他方の室へより伝わり難くなり、間仕切り壁PWで区切られた二室R1,R2間の遮音性能が向上する。
【0100】
以上のように構成された実施形態4の天井構造Cによっても、実施形態2の天井構造Cと同様の効果を奏することができる。
【0101】
また、実施形態4の天井構造Cによれば、上述のように、吸音材20と天井材10との間に形成される空間Sは、遮蔽部20Aによって上方が覆われるだけでなく、2つの支持部20B,20Bと2つの延長部20C,20Cとにより、側方(四周)も覆われることとなることとなるため、間仕切り壁PWで区切られた二室R1,R2間の遮音性能のさらなる向上を図ることができる。
【0102】
《発明の実施形態5》
実施形態5は、実施形態3の天井構造Cにおいて、吸音材20の構成を一部変更したものである。
【0103】
具体的には、実施形態5では、
図14~
図16に示すように、各吸音材20を、遮蔽部20Aの対向する一対の第2辺部A2,A2に連続する2つの延長部20C,20Cを有するように構成している。また、実施形態5では、各吸音材29は、2つの延長部20C,20Cが対応する天井材10が載置されるバー材6,6の上に載置されて2つの支持部20B,20Bと共に遮蔽部20Aを支持するように設けられている。
【0104】
図14に示すように、実施形態5では、各吸音材20を、640×800mmのグラスウールボード(板状体)で構成し、4つの角に平面視において矩形状の切り欠きを設けることにより、平面視において十字形状に形成している。各吸音材20の各延長部20Cでは、下面が切り欠かれることにより、2つの延長部20C,20Cが遮蔽部20Aよりも薄く(例えば、遮蔽部20Aの半分の厚さに)形成されている。このように2つの延長部20C,20Cを薄く形成することにより、各吸音材20を設置した際に、2つの延長部20C,20Cは対応するバー材6の上に載置されても、遮蔽部20Aの下面が矩形枠部8の上端よりも下方に位置する(遮蔽部20Aの一部が矩形枠部8の内側に位置する)ようにしている。
【0105】
吸音材20は、遮蔽部20Aと対応する天井材10との間に空間Sが形成されるように、各支持部20Bの下端が遮蔽部20Aよりも下方に位置するように第1溝21で折り曲げられた状態で、矩形枠部8の内側において2つの支持部20B,20Bが自立して遮蔽部20Aを支持するように、天井材10の上に載置されている(
図15参照)。また、吸音材20は、遮蔽部20Aの第2辺部A2,A2と対応するバー材6との間の隙間が2つの延長部20C,20Cによって覆われるように、2つの延長部20C,20Cが対応するバー材6の上に載置されている(
図16参照)。吸音材20は、2つの延長部20C,20Cによっても、遮蔽部20Aと対応する天井材10との間に空間Sが形成されるように遮蔽部20Aが支持されている。
【0106】
このように、吸音材20を、各支持部20Bが遮蔽部20Aよりも下方に位置するように各第1溝21で折り曲げた状態で、2つの支持部20B,20Bが対応する天井材10の上面に当接して自立するように設置することにより、各矩形枠部8の内側において、該矩形枠部8に四周辺部が載置された天井材10との間に空間Sが形成される。また、吸音材20の2つの延長部20C,20Cを対応するバー材6の上に載置することにより、遮蔽部20Aの第2辺部A2,A2と対応するバー材6,6との間の隙間が2つの延長部20C,20Cによって覆われることとなることとなり、空間Sから音が漏れ難くなる。
【0107】
以上のように構成された実施形態5の天井構造Cによっても、実施形態3の天井構造Cと同様の効果を奏することができる。
【0108】
また、実施形態5の天井構造Cによれば、上述のように、各吸音材20の遮蔽部20Aの第2辺部A2,A2と対応するバー材6,6との間の隙間が2つの延長部20C,20Cによって覆われることとなることとなり、空間Sから音が漏れ難くなる。そのため、間仕切り壁PWで仕切られた二室R1,R2の一方の室で発生して天井裏へ透過した音が、他方の室へより伝わり難くなる。
【0109】
なお、実施形態5は、実施形態3の天井構造Cにおいて吸音材20の構成を一部変更するものであったが、実施形態4の天井構造Cにおいて、実施形態5と同様に、各吸音材20が2つの延長部20C,20Cを有するように構成し、各吸音材20を、2つの延長部20C,20Cが対応するバー材6,6の上に載置されて2つの支持部20B,20Bと共に遮蔽部20Aを支持するように設けることとしてもよい。
【0110】
《発明の実施形態6》
実施形態6は、実施形態5の天井構造Cにおいて、吸音材20の構成を一部変更したものである。
【0111】
具体的には、実施形態6では、
図17に示すように、各吸音材20は、延長部20Cを1つのみ有するように構成され、2つの支持部20B,20Bの幅(第2辺部A2の遠心方向の長さ)が、実施形態5よりも短くなるように形成されている。また、実施形態6では、各吸音材29は、延長部20Cが対応する天井材10が載置されるバー材6の上に載置されて2つの支持部20B,20Bと共に遮蔽部20Aを支持するように設けられている。
【0112】
より具体的には、実施形態6では、各吸音材20は、遮蔽部20Aが、一対の第2辺部A2,A2のうちのバー材6の上に載置された延長部20Cが連続する一方が、延長部20Cが設けられない他方よりも上方に位置するように、対応する天井材10の上面に対して傾斜した状態で設けられている。各吸音材20は、2つの支持部20B,20Bの下端も遮蔽部20Aと同様に対応する天井材10の上面に対して傾斜しており、2つの支持部20B,20Bの下端の延長部20Cから最も離れた端部のみが天井材10の上面に当接するように設けられている。
【0113】
このように、実施形態6では、各吸音材20は、遮蔽部20Aを対応する天井材10の上面に対して傾斜させ、遮蔽部20Aが、天井材10の上面に当接する2つの支持部20B,20Bとバー材6の上に載置される1つの延長部20Cとによって支持されるように設けられている。このように各吸音材20を設けることにより、実施形態6においても、各吸音材20と対応する天井材10との間に空間Sが形成される。また、吸音材20の延長部20Cを対応するバー材6の上に載置することにより、遮蔽部20Aの第2辺部A2と対応するバー材6との間の隙間が延長部20Cによって覆われることとなることとなり、空間Sから音が漏れ難くなる。
【0114】
以上のように構成された実施形態6の天井構造Cによっても、実施形態5の天井構造Cと同様の効果を奏することができる。
【0115】
また、実施形態6の天井構造Cによれば、上述のように、各吸音材20は、延長部20Cがバー材6に載置され、遮蔽部20Aが、一対の第2辺部A2,A2のうちの延長部20Cが連続する一方が他方よりも上方に位置するように、対応する天井材10の上面に対して傾斜した状態で設けられている。吸音材20をこのように傾斜した状態で設置することにより、天井下地5の上方から吸音材20を着脱し易くなる。よって、実施形態6によれば、吸音材20の設置及び位置変更をより容易に行うことができる。
【0116】
なお、実施形態6は、実施形態5の天井構造Cにおいて吸音材20の構成を一部変更するものであったが、実施形態4の天井構造Cにおいて、実施形態6と同様に、各吸音材20が1つの延長部20Cを有するように構成し、各吸音材20を、1つの延長部20C,20Cが対応するバー材6の上に載置されて2つの支持部20B,20Bと共に遮蔽部20Aを支持するように設けることとしてもよい。
【0117】
また、
図17では、複数の吸音材20,…,20は、全て、延長部20Cが矩形枠部8の左側のバー材6に載置される向きで配置されている。しかしながら、複数の吸音材20,…,20の向きは、これに限られない。複数の吸音材20,…,20を、全て、延長部20Cが矩形枠部8の右側のバー材6の上に載置される向きで配置していてもよい。また、複数の吸音材20,…,20は、全て同じ向きとなるように配置されていなくてもよく、例えば、左側(室R1側)の吸音材20,…,20を、延長部20Cが矩形枠部8の左側のバー材6の上に載置される向きに配置し、右側(室R2側)の吸音材20,…,20を、逆向き、即ち、延長部20Cが矩形枠部8の右側のバー材6の上に載置される向きに配置することとしてもよい。また、逆に、左側(室R1側)の吸音材20,…,20を、延長部20Cが矩形枠部8の右側のバー材6の上に載置される向きに配置し、右側(室R2側)の吸音材20,…,20を、逆向き、即ち、延長部20Cが矩形枠部8の左側のバー材6の上に載置される向きに配置することとしてもよい。このとき、間仕切り壁PWに直交する方向(即ち、左右方向)に隣接する2つの吸音材20,20が、同一のバー材6(間仕切り壁PWの真上のバー材6)に載置される延長部20Cが上下方向に重なるように設けてもよい。
【0118】
《発明の実施形態7》
実施形態7は、実施形態1の天井構造Cにおいて、吸音材20の構成を一部変更したものである。具体的には、実施形態7では、
図18に示すように、各吸音材20が、長方形状の矩形板状体によって構成され、対応する矩形枠部8の開口を遮蔽するように矩形枠部8の上に載置されている。
【0119】
図18に示すように、実施形態7では、各吸音材20を、600×640mmのグラスウールボード(矩形板状体)で構成している。また、各吸音材20の長辺方向の両端部(幅20mm程度の部分)では、下面が切り欠かれることにより、他の部分よりも薄く(例えば、他の部分の半分の厚さに)形成されている。実施形態7では、各吸音材20において、下面が切り欠かれていない部分が対応する天井材10の上面を覆う矩形板状の遮蔽部20Aを構成する。また、各吸音材20において、下面が切り欠かれて他の部分よりも薄い長辺方向の両端部が、遮蔽部20Aの対向する一対の第1辺部A1,A1にそれぞれ連続し、遮蔽部20Aと対応する天井材10との間に空間Sが形成されるように遮蔽部20Aを支持する2つの支持部20B,20Bを構成する。
【0120】
各吸音材20は、2つの支持部20B,20Bを対応する矩形枠部8のバー材6,6の上に載置することにより、矩形枠部8の上に設置される。各吸音材20をこのように矩形枠部8の上に載置するだけで、各吸音材20によって矩形枠部8の開口が遮蔽される。
【0121】
なお、2つの支持部20B,20Bが遮蔽部20Aよりも薄く形成されているため、各吸音材20を矩形枠部8の上に載置すると、遮蔽部20Aが矩形枠部8の開口に嵌まり、矩形枠部8の開口が吸音材20によって遮蔽されることとなる。
【0122】
また、上述のように、各吸音材20を矩形枠部8の上に載置して矩形枠部8の開口を遮蔽することにより、各吸音材20と対応する天井材10との間には、四周が矩形枠部8によって覆われた空間Sが形成される。これにより、実施形態7においても、空間Sを形成することにより、間仕切り壁PWで区切られた二室R1,R2間の遮音性能が向上する。
【0123】
なお、実施形態7においても、上記空間Sは、できる限り閉じられていることが好ましい。そのため、吸音材20は、遮蔽部20Aの第2辺部A2,A2が矩形枠部8の内面(前後のバー材6の固定部6a)に当接するように設けられるのが好ましい。
【0124】
以上のように構成された実施形態7の天井構造Cによっても、実施形態1の天井構造Cと同様の効果を奏することができる。
【0125】
また、実施形態7によれば、矩形板状体に溝加工等を施すことなく、2つの支持部20B,20Bを、対応する矩形枠部8の上に載置するだけで、遮蔽部20Aと天井材10との間に空間Sが形成される吸音材20を、容易に構成することができる。よって、実施形態7によれば、吸音材20を折り曲げる等の作業を行うことなく、容易に吸音材20を設置することができ、また、吸音材20の位置変更も容易に行うことができる。
【0126】
《発明の実施形態8》
実施形態8は、実施形態7の天井構造Cにおいて、吸音材20の構成を一部変更したものである。具体的には、実施形態8では、
図19に示すように、各吸音材20の2つの支持部20B,20Bが、実施形態7よりも幅広(例えば、幅40mm程度)に構成されている。そして、実施形態8では、間仕切り壁PWに直交する方向(即ち、左右方向)に隣接する2つの吸音材20,20が、同一のバー材6に載置される支持部20Bが上下方向に重なるように設けられている。
図19では、左側(室R1側)の吸音材20の右側(室R2側)の支持部20Bの上に、右側(室R2側)の吸音材20の左側(室R1側)の支持部20Bが重なるように載置されている。
【0127】
以上のように構成された実施形態8の天井構造Cによっても、実施形態7の天井構造Cと同様の効果を奏することができる。
【0128】
また、実施形態8によれば、各吸音材20を、2つの支持部20B,20Bが間仕切り壁PWに平行に延びる前後方向に延びるバー材6,6の上にそれぞれ載置される向きに配置し、間仕切り壁PWに直行する方向に隣接する2つの吸音材20,20を、同一のバー材6に載置される支持部20Bが上下方向に重なるように設けることとしている。このような構成によれば、各吸音材20と各天井材10との間に形成される空間Sから間仕切り壁PWに直行する方向に音が漏れ難くなる。そのため、間仕切り壁PWで仕切られた二室R1,R2の一方の室で発生して天井裏へ透過した音が、他方の室へより伝わり難くなる。
【0129】
《発明の実施形態9》
実施形態9は、実施形態1の天井構造Cにおいて、吸音材20の構成を一部変更したものである。
【0130】
具体的には、
図20に示すように、実施形態1では、吸音材20(矩形板状体)の下面に2つ形成していた断面形状がV字形状の第1溝21を、実施形態9では1つのみ形成し、2つの支持部20B,20Bのうちの第1溝21によって遮蔽部20Aと区切られる一方の支持部20Bのみが天井材10の上で起立して支持脚となるように構成している。他方の支持部20Bは、対応する矩形枠部8の対応するバー材6の上に載置している。
【0131】
実施形態9では、施工現場にて、支持部20Bが支持脚となるように(支持部20Bの下端が遮蔽部20Aよりも下方に位置するように)、矩形板状体からなる吸音材20を第1溝21で折り曲げ、支持脚となる支持部20Bを天井材10の上で起立させ、他方の支持部20Bを対応するバー材6の上に載置する。このように、各吸音材20を対応する天井材10の上方に設けることにより、各吸音材20と対応する天井材10との間には、四周の一方は支持部20Bによって覆われ、三方が矩形枠部8によって覆われた空間Sが形成される。このようにして、実施形態9においても、空間Sを形成することにより、間仕切り壁PWで区切られた二室R1,R2間の遮音性能が向上する。
【0132】
なお、実施形態9においても、上記空間Sは、できる限り閉じられていることが好ましい。そのため、吸音材20は、遮蔽部20Aの第2辺部A2,A2が矩形枠部8の内面(前後のバー材6の固定部6a)に当接するように設けられるのが好ましい。
【0133】
以上のように構成された実施形態9の天井構造Cによっても、実施形態1の天井構造Cと同様の効果を奏することができる。
【0134】
また、実施形態9によれば、各吸音材20を構成する矩形板状体の下面にV字形状の第1溝21を形成し、第1溝21で折り曲げるだけで、天井材10の上で起立して支持脚となる支持部20Bを容易に形成することができる。そのため、施工現場にて矩形板状体からなる吸音材20を第1溝21で折り曲げて支持脚を形成し、支持脚となる支持部20Bを天井材10の上で起立させ、他方の支持部20Bをバー材6の上に載置するだけで、吸音材20を、天井材10の上面を覆いつつ天井材10との間に空間Sが形成されるように、容易に設置することができる。よって、実施形態9によれば、吸音材20の設置及び位置変更をより容易に行うことができる。
【0135】
また、
図20では、複数の吸音材20,…,20は、全て同じ向きとなるように配置されている。具体的には、
図20では、複数の吸音材20,…,20は、全て、右側の支持部20Bが天井材10の上で起立する支持脚となり、左側の支持部20Bがバー材6に載置される向きで配置されている。しかしながら、複数の吸音材20,…,20の向きは、全て同じ向きに配置しなくてもよい。
【0136】
例えば、複数の吸音材20,…,20は、間仕切り壁PW側の支持部20Bが天井材10の上で起立する支持脚となり、逆側の支持部20Bがバー材6に載置される向きに配置してもよい。具体的には、左側(室R1側)の吸音材20,…,20を、右側(間仕切り壁PW側)の支持部20Bが天井材10の上で起立する支持脚となり、左側の支持部20Bがバー材6に載置される向きに配置し、右側(室R2側)の吸音材20,…,20を、逆向き、即ち、左側(間仕切り壁PW側)の支持部20Bが天井材10の上で起立する支持脚となり、右側の支持部20Bがバー材6に載置される向きに配置してもよい。このように配置すると、各吸音材20と各天井材10との間に形成される空間Sの上方が遮蔽部20Aで覆われるだけでなく、間仕切り壁PW側の側方も支持部20Bで覆われることとなることとなる。そのため、間仕切り壁PWで仕切られた二室R1,R2の一方の室で発生して天井裏へ透過した音が、他方の室へより伝わり難くなり、遮音性能が向上する。
【0137】
《発明の実施形態10》
実施形態10は、実施形態2の天井構造Cにおいて、吸音材20の構成を一部変更したものである。
【0138】
具体的には、実施形態10では、
図21に示すように、実施形態2と同様に、吸音材20(矩形板状体)の上面に第1切り込み溝22を2つ形成するものの、2つの支持部20B,20Bのうちの第1切り込み溝22によって遮蔽部20Aと区切られる一方の支持部20Bのみが天井材10の上で起立して支持脚となるように構成している。他方の支持部20Bは、対応する矩形枠部8の対応するバー材6の上に載置している。
【0139】
実施形態10では、施工現場にて、支持部20Bが支持脚となるように(支持部20Bの下端が遮蔽部20Aよりも下方に位置するように)、矩形板状体からなる吸音材20を第1切り込み溝22で折り曲げ、支持脚となる支持部20Bを天井材10の上で起立させ、他方の支持部20Bを対応するバー材6の上に載置する。このように、各吸音材20を対応する天井材10の上方に設けることにより、各吸音材20と対応する天井材10との間には、四周の一方は支持部20Bによって覆われ、三方が矩形枠部8によって覆われた空間Sが形成される。このようにして、実施形態10においても、空間Sを形成することにより、間仕切り壁PWで区切られた二室R1,R2間の遮音性能が向上する。
【0140】
なお、実施形態10においても、上記空間Sは、できる限り閉じられていることが好ましい。そのため、吸音材20は、遮蔽部20Aの第2辺部A2,A2が矩形枠部8の内面(前後のバー材6の固定部6a)に当接するように設けられるのが好ましい。
【0141】
以上のように構成された実施形態10の天井構造Cによっても、実施形態2の天井構造Cと同様の効果を奏することができる。
【0142】
また、実施形態10によれば、施工現場にて矩形板状体からなる吸音材20を第1切り込み溝22で折り曲げて支持脚を形成し、支持脚となる支持部20Bを天井材10の上で起立させ、他方の支持部20Bをバー材6の上に載置するだけで、吸音材20を、天井材10の上面を覆いつつ天井材10との間に空間Sが形成されるように、容易に設置することができる。よって、実施形態10によれば、吸音材20の設置及び位置変更をより容易に行うことができる。
【0143】
なお、
図21では、吸音材20(矩形板状体)の上面に、第1切り込み溝22を2つ形成していたが、第1切り込み溝22は1つのみ形成することとしてもよい。実施形態10では、各吸音材20を、いずれか一方の第1切り込み溝22で折り曲げることにより、2つの支持部20B,20Bのいずれか一方を、天井材10の上で起立する支持脚に構成すればよいため、第1切り込み溝22を1つのみ形成することとしても、
図21の天井構造Cと同様の効果を奏することができる。
【0144】
また、
図21では、複数の吸音材20,…,20は、全て同じ向きとなるように配置されている。具体的には、
図21では、複数の吸音材20,…,20は、全て、右側の支持部20Bが天井材10の上で起立する支持脚となり、左側の支持部20Bがバー材6に載置される向きで配置されている。しかしながら、複数の吸音材20,…,20の向きは、全て同じ向きに配置しなくてもよい。
【0145】
例えば、複数の吸音材20,…,20は、間仕切り壁PW側の支持部20Bが天井材10の上で起立する支持脚となり、逆側の支持部20Bがバー材6に載置される向きに配置してもよい。具体的には、左側(室R1側)の吸音材20,…,20を、右側(間仕切り壁PW側)の支持部20Bが天井材10の上で起立する支持脚となり、左側の支持部20Bがバー材6に載置される向きに配置し、右側(室R2側)の吸音材20,…,20を、逆向き、即ち、左側(間仕切り壁PW側)の支持部20Bが天井材10の上で起立する支持脚となり、右側の支持部20Bがバー材6に載置される向きに配置してもよい。このように配置すると、各吸音材20と各天井材10との間に形成される空間Sの上方が遮蔽部20Aで覆われるだけでなく、間仕切り壁PW側の側方も支持部20Bで覆われることとなることとなる。そのため、間仕切り壁PWで仕切られた二室R1,R2の一方の室で発生して天井裏へ透過した音が、他方の室へより伝わり難くなり、遮音性能が向上する。
【0146】
《その他の実施形態》
上記実施形態6以外の上記各実施形態では、遮蔽部20Aの第1辺部A1,A1が間仕切り壁PWに平行となる向きに、各吸音材20を配置することとしていたが、各吸音材20は、遮蔽部20Aの第1辺部A1,A1が間仕切り壁PWに垂直となる向きに配置されていてもよい。
【0147】
上記各実施形態では、間仕切り壁PWは、上端が、前後方向に延びるバー材6に固定されるように設けられていた。しかしながら、間仕切り壁PWは、上端をバー材6に固定せずに設置することも可能である。なお、その場合、例えば、天井材10の左右方向の中程の下方に間仕切り壁PWが設置され、間仕切壁PWから950mmの範囲に3列分の矩形枠部8,…,8が含まれる場合があり、その場合、3列分の矩形枠部8,…,8の内側にそれぞれ吸音材20を設ければよい。
【0148】
また、吸音材20を設ける矩形枠部8を決める所定の距離範囲(950mmの範囲)は、あくまで一例であり、上記各実施形態で示した距離範囲に限定されない。間仕切り壁PWの直行方向両側に吸音材20が配置される距離範囲であれば、いかなる距離範囲であてもよいが、コストの観点からは、吸音材20が、間仕切り壁PWの両側に1~2列ずつ設けられるのが好ましい。
【0149】
また、上記実施形態1~10では、複数のバー材6,…,6が、前後方向及び左右方向に並べられて平面視で格子状に組まれたグリッドタイプのシステム天井Cについて説明したが、本発明に係るシステム天井は、
図22に示すように、複数のバー材6,…,6が、前後方向又は左右方向に平行状に並べられて組まれたラインタイプのシステム天井Cであってもよい。
【0150】
図22に示すラインタイプのシステム天井Cでは、前後方向に延びる複数のバー材6,…,6が、複数の受け材9,9を介して左右方向に平行状に並べられて組まれて天井下地5を構成している。天井下地5において平行に配置された2つのバー材6,6の係止部(内側に突出する下端部)6cの上に天井材10の2つの辺部が載置されている。2つのバー材6,6の係止部6cの上に載置される天井材10の2つの辺部は、下側隅角部を断面矩形状に切り欠いた切欠き段部10aに形成されている。前後方向に延びる2つのバー材6,6の間に、複数の天井材10,…,10が、前後方向に隙間無く並べられている。なお、
図22では、各天井材10は、平面視において正方形状に形成されているが、ラインタイプのシステム天井Cでは、平面視において長方形状の天井材10を用いることもできる。長方形状の天井材10は、長辺が2つのバー材6,6の延伸方向に沿う向きで2つのバー材6,6の係止部6cの上に載置される。
【0151】
上記のラインタイプのシステム天井Cにおいても、間仕切り壁PWから所定の距離範囲に設けられた複数の天井材10,…,10の上方に、天井材10に対応付けて吸音材20を設ける。なお、ラインタイプのシステム天井Cにおいて長方形状の天井材10を用いる場合、吸音材20を、設置時の形態で平面視において天井材10の寸法よりも小さい寸法となるように形成し、1つの天井材10の上方に、複数(例えば、2つ)の吸音材20,20を対応付けて設けることとしてもよい。
【0152】
また、上記のラインタイプのシステム天井Cにおいても、各吸音材20を、上記実施形態1~10と同様に、遮蔽部10Aと2つの支持部10B,10Bとを有するように構成する。そして、各吸音材20を、第1溝21,21又は第1切り込み溝22,22で折り曲げて2つの支持部20B,20Bを対応する天井材10上に自立させる、2つの支持部20B,20Bを天井材10の上面に当接させると共に延長部20Cをバー材6の上に載置する、2つの支持部20B,20Bを対応する2つのバー材6,6の上に載置する、2つの支持部10B,10Bの一方を対応する天井材10上自立させると共に他方をバー材6の上に載置する等して、遮蔽部20Aと対応する天井材10との間に空間Sが形成されるように設置する。また、複数の吸音材20,…,20を、天井材10と同様に、前後方向に延びる2つのバー材6,6の間に、前後方向に隙間無く並べる。
【0153】
上記のようなラインタイプのシステム天井Cであっても、実施形態1~10のシステム天井Cと同様の効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明は、間仕切り壁の上方に設けられる天井構造に有用である。
【符号の説明】
【0155】
1 天井スラブ
5 天井下地
6 バー材
10 天井材
20 吸音材
20A 遮蔽部
20B 支持部
20C 延長部
21 第1溝
22 第1切り込み溝
23 第2溝
24 第2切り込み溝
A1 第1辺部
A2 第2辺部
C 天井構造
PW 間仕切り壁
【要約】
【課題】間仕切り壁の位置変更に応じて容易に吸音材の位置変更が可能であり、施工現場を汚すことなく容易に施工可能な天井構造を提供する。
【解決手段】間仕切り壁PWの上方に設けられる天井構造Cは、天井下地5と、複数の矩形板状の天井材10とを備えている。間仕切り壁PWから所定の距離範囲にある複数の天井材10の上方には、吸音材20が各天井材10に対応付けられて設けられている。各吸音材20は、対応する天井材10の上面を覆う遮蔽部20Aと、遮蔽部20Aの対向する一対の第1辺部A1,A1にそれぞれ連続し、遮蔽部20Aと対応する天井材10との間に空間Sが形成されるように、遮蔽部20Aを支持する2つの支持部20B,20Bとを有している。
【選択図】
図2