(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】広告設置構造及び広告支持部材
(51)【国際特許分類】
G09F 15/00 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
G09F15/00 Z
(21)【出願番号】P 2023199412
(22)【出願日】2023-11-24
【審査請求日】2023-11-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523445416
【氏名又は名称】向野 美歌
(74)【代理人】
【識別番号】100178179
【氏名又は名称】桐生 美津恵
(72)【発明者】
【氏名】向野 美歌
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-194488(JP,A)
【文献】特開平07-071093(JP,A)
【文献】通販モノタロウ(WayBackMachine)[online][2024年1月5日検索],2015年12月10日,インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20151210173344/http://www.monotaro.com/g/00530051/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 15/00
E04D 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の屋根上に広告を設置するための広告設置構造であって、
前記屋根上に配置される広告部材と、
前記広告部材を支持する広告支持部材とを備え、
前記広告支持部材は、側面視略J字形状を有しており、
厚さ方向に貫通する開口部を有する板状の中間部材と、
前記中間部材の一端から該中間部材の主面及び側面と交差する一方向に延び、屋根側に固定される板状の屋根側部材と、
前記中間部材の他端から前記屋根側部材が延びる方向と略同一の方向に延び、前記広告部材に固定される板状の広告側部材とを備え、
前記広告側部材が延びる長さは前記屋根側部材が延びる長さよりも短いことを特徴とする広告設置構造。
【請求項2】
前記屋根側部材には、前記広告側部材の方向に突出する凸部が前記一方向と交差する方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項1に記載の広告設置構造。
【請求項3】
前記屋根側部材は、該屋根側部材を前記屋根側にビス止めするための屋根側ビス孔を備え、
前記広告側部材は、該広告側部材を前記広告部材にビス止めするための広告側ビス孔を備えたことを特徴とする請求項1に記載の広告設置構造。
【請求項4】
前記広告部材は、広告用の映像を表示する映像表示装置が取り付けられたステンレス板であることを特徴とする請求項1に記載の広告設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の屋根上に広告を設置するための広告設置構造及び広告支持部材に関し、より詳細には、建築物の屋根上に上方に向けて広告を提示するために設置した場合に風雨に強く耐久性が高い広告設置構造及び広告支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、通行人が視認できるように、営業を行う者が自己の業務について広告用の看板を設置することは広く行われている。この場合、看板の広告面は水平面に対して垂直に設けられる。
【0003】
これに対して、特許文献1には、インターネットの地図検索で閲覧できるようにするために、上方へ向けた広告の提示を行う広告方法が開示されている。
特許文献1に記載の広告シート部材は、建造物に固定される広告シート支持部材及び支持部材に取り付けられる広告シートを有しており、広告シートは水平面に対して45度未満の角度で設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の広告シートは矩形のメッシュシートの表面にインクジェットにより広告内容を印刷したものであり、広告用シート部材は当該広告シートの4隅を4つの広告シート支持部材で引っ張って支える構造であるため、風雨に弱く耐久性が低いという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、建築物の屋根上に広告を設置するための広告設置構造及び広告支持部材であって、風雨に強く耐久性が高い広告設置構造及び広告支持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、
本発明の広告設置構造は、
建造物の屋根上に広告を設置するための広告設置構造であって、
前記屋根上に配置される広告部材と、
前記広告部材を支持する広告支持部材とを備え、
前記広告支持部材は、側面視略J字形状を有しており、
厚さ方向に貫通する開口部を有する板状の中間部材と、
前記中間部材の一端から該中間部材の主面及び側面と交差する一方向に延び、屋根側に固定される板状の屋根側部材と、
前記中間部材の他端から前記屋根側部材が延びる方向と略同一の方向に延び、前記広告部材に固定される板状の広告側部材とを備え、
前記広告側部材が延びる長さは前記屋根側部材が延びる長さよりも短いことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、屋根と広告支持部材とを安定して強固に固定し、広告支持部材で広告部材を強固に支持することができ、また、雨水等は広告支持部材の中間部材の開口部から流すことができるため、風雨に強く耐久性を高めることができる。
【0009】
上記発明において、
前記屋根側部材には、前記広告側部材の方向に突出する凸部が前記一方向と交差する方向に沿って設けられていることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、屋根側に凹凸がある場合、屋根側部材の凸部を屋根側の凹凸に係合させることができるため、広告支持部材が屋根からズレるのを防止することができる。
【0011】
上記発明において、
前記屋根側部材は、該屋根側部材を前記屋根側にビス止めするための屋根側ビス孔を備え、
前記広告側部材は、該広告側部材を前記広告部材にビス止めするための広告側ビス孔を備えたことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、ビス止めをすることにより、広告部材と屋根側とを広告支持部材を介して強固に固定することができる。
【0013】
上記発明において、
前記広告部材は、広告用の映像を表示する映像表示装置が取り付けられたステンレス板であることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、広告部材の錆を防ぎ、映像により様々な広告を提示することができる。
【0015】
また、本発明に係る広告支持部材は、
建造物の屋根上に配置された広告部材を支持するための広告支持部材であって、
側面視略J字形状を有しており、
厚さ方向に貫通する開口部を有する板状の中間部材と、
前記中間部材の一端から該中間部材の主面及び側面と交差する一方向に延び、屋根側に固定される板状の屋根側部材と、
前記中間部材の他端から前記屋根側部材が延びる方向と略同一の方向に延び、前記広告部材に固定される板状の広告側部材とを備え、
前記広告側部材が延びる長さは前記屋根側部材が延びる長さよりも短いことを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、屋根と広告支持部材とを安定して強固に固定し、広告支持部材で広告部材を強固に支持することができ、また、雨水等は広告支持部材の中間部材の開口部から流すことができるため、風雨に強く耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る広告設置構造が設けられた建造物の斜視図である。
【
図2】同実施形態に係る広告設置構造の広告支持部材の斜視図である。
【
図3】広告支持部材を介して広告部材及び屋根を固定した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る広告設置構造が設けられた建造物の斜視図である。
【0019】
広告設置構造1は、建造物30の屋根31上に配置される板状の広告部材100と、当該広告部材100を支持する広告支持部材200と、を備える。
本実施形態では、建造物30は傾斜がついた屋根31を有する民家であり、広告部材100の面は、屋根31の傾斜面と平行に配置される。なお、屋根31の傾斜が大きくて、広告部材100の面を屋根31の傾斜面と平行に設置すると、飛行機やドローン等の上方から広告部材100の面を視認し辛いと考えられる場合には、屋根31上に傾斜の小さい設置台を設置して、当該設置台の上に広告支持部材200及び広告部材100を設置することにより、広告部材100の傾斜を小さくしてもよい。
【0020】
本実施形態では、広告部材100は、広告用の映像を表示する映像表示装置101が取り付けられたステンレス製の平板102である。映像表示装置101は、映像データを無線又は有線で受信する通信インターフェースと、映像を表示する液晶ディスプレイと、映像データを液晶ディスプレイに表示する回路とを備えている。
【0021】
なお、平板102の材質は、ステンレスに限定されることはなく、例えば、鉄製であっても、木材であってもよい。また、広告部材100は、映像表示装置101が取り付けられた平板102に限定されることはなく、例えば、表面に広告のための文字や画像がペンキ等の塗布物で描かれた平板102であってもよいし、広告のための文字又は画像が印刷されたシールを貼り付けた平板102であってもよい。また、広告部材100の上に滞留した雨水等を排出する排水管を平板102に取り付けてもよい。
【0022】
図2は広告支持部材200の斜視図であり、
図3は広告支持部材200を介して広告部材100及び屋根31を固定した状態を示す側面図である。広告支持部材200は、ステンレス、鉄等の金属で形成されており、側面視略J字形状(又は釣り針形状)を有している。具体的には、広告支持部材200は、中間に配置される板状の中間部材210を有しており、当該中間部材210の一端212からは、当該中間部材210の主面215及び側面216と交差する一方向217に平面視略長方形状の屋根側部材220が平板状に延びている。また、中間部材210の他端213からは、屋根側部材220が延びる方向と略同一の方向に広告側部材230が平板状に延びている。ここで、広告側部材230が延びる長さは、屋根側部材220が延びる長さよりも短い。これにより、面積の広い屋根側部材220により屋根30と広告支持部材200とを暴風雨等により動かないようにしっかりと強固に固定し、面積の小さい広告側部材230により広告部材100を安定的且つ強固に支持することができる。
【0023】
中間部材210には、厚さ方向に貫通する開口部211が設けられている。当該開口部211は、広告設置構造1が屋根31上に設置された場合に、屋根31の傾斜の方向に開口するように配置され、雨水等を下方に流すために用いられる。当該開口部211は、雨水が流れやすいように、屋根側部材220寄りに設けるのが好ましい。また、開口部211の主面215側から見た形状は矩形が好ましいが、これに限定されることはなく、例えば、屋根側部材220側に向けて幅が広くなる半円形状であっても、楕円形状であっても、釣鐘形状であってもよい。
【0024】
当該屋根側部材220には、当該屋根側部材220を屋根側にビス止めするための屋根側ビス孔221が設けられている。
図3に示すように、屋根側ビス孔221及び屋根31側の屋根材311に設けられたビス孔312にビス225を通して、隙間をゴム剤で埋めることにより、屋根側部材220及び屋根31は固定される。屋根31の表面に配置される屋根材311に既にビス孔が設けられている場合には、当該屋根材31のビス孔にビス235を通して止めることにより、屋根材311に追加で孔を開けなくて済む。
【0025】
また、屋根側部材220には、広告側部材230の方向に突出する凸部222が、広告側部材230が延びる一方向217(長手方向)と交差する方向(短手方向)に沿って設けられている。このような凸部222を屋根側部材220に設けることにより、屋根側部材220の凸部222を屋根材311に設けられた凹凸に係合させることができる場合には、広告支持部材200が屋根31からずり落ちるのを防止し、強度を高めることができる。
【0026】
広告側部材230には、当該広告側部材230を広告部材100にビス止めするための広告側ビス孔231が設けられており、
図3に示すように、広告側ビス孔231及び広告部材100の平板102に設けられたビス孔1021にビス235を通して、隙間をゴム剤で埋めることにより、当該広告側部材230及び広告部材100は固定される。
なお、広告側部材230の形状は、平板状に限らず、例えばY字(二股)形状であってもよい。
また、中間部材210と屋根側部材220との接続部(一端212の部分)、及び、中間部材210と広告側部材230との接続部(他端213の部分)は、交差しているのではなく滑らかな曲線で接続されていてもよい。
【0027】
以上、説明したように、広告設置構造1は、屋根31上に配置される広告部材100と、広告部材100を支持する広告支持部材200とを備え、広告支持部材200は、側面視略J字形状を有しており、厚さ方向に貫通する開口部211を有する板状の中間部材210と、中間部材210の一端212から当該中間部材210の主面215及び側面216と交差する一方向217に延び、屋根31の側に固定される板状の屋根側部材220と、中間部材210の他端213から屋根側部材220が延びる一方向217と略同一の方向に延び、広告部材100に固定される板状の広告側部材230と、を備え、広告側部材230が延びる長さは屋根側部材220が延びる長さよりも短く構成されている。
【0028】
これにより、面積の大きい屋根側部材220によって屋根30と広告支持部材200とを暴風雨等により動かないようにしっかりと強固に固定することができ、また、面積の小さい広告側部材230により広告部材100を安定的且つ強固に支持することができる。また、雨水等は広告支持部材200の中間部材210の開口部211から流すことができるため、水分が広告部材100周辺に滞留することがなく、錆等を防ぎ、耐久性を高めることができる。
また、広告部材100と屋根31の表面との間は、中間部材210の一端及び他端の間の長さだけ離れているため、通気性を良好とし、腐食を防ぐことができる。
また、屋根側部材220には、広告側部材230の方向に突出する凸部222が他端213から屋根側部材220が延びる一方向217と交差する方向に沿って設けられているため、屋根側部材220の凸部222を屋根材311の凹凸に係合させることができる場合には、広告支持部材200の屋根31からのズレを防止し、強度を高めることができる。
【0029】
広告部材100の広告面となる映像表示装置102は、飛行機、ドローン、より高いビルの上階やタワーの展望台等から視認することができる。上方からの観察であれば、周囲により高い建築物があっても、支障なく見ることができる。また、インターネットにおける地図検索のサービスにおける航空写真で全世界に向けて広告することができる。
【0030】
なお、上述した実施形態は一例に過ぎず、本発明は特許請求に記載の発明の範囲で種々変形して実施することが可能である。
例えば、広告部材100の両脇に雨どいを設けてもよい。
また、上述した実施形態では、広告支持部材200における屋根側ビス孔221及び広告側ビス孔231はそれぞれ1つずつ設けたが、複数設けてもよい。
また、広告支持部材200の屋根側部材220を屋根31に取り付ける際に、屋根31へのダメージを避ける場合は、ビス225を用いて取り付ける代わりに、PVグリップ工法やキャッチ工法を用いて取り付けてもよい。
また、上述した実施形態では、広告設置構造1を、傾斜のある屋根31の上に設置したが、ビルディング等の屋上に設けられた水平な屋根31(陸屋根)に設置してもよい。この場合には、屋根31に広告設置用のなだらかな傾斜面を有する設置部材を設置し、当該傾斜面上に広告支持部材200を取り付け、当該広告支持部材200で広告部材100を支持することで、水はけをよくすることができる。
また、上述した実施形態では、平板102の上に、広告のための文字や画像をペンキ等の塗布物で描いたり、シールを貼り付けたりしてもよいとして説明したが、これに限定されることはなく、屋根31の上に直接、広告のための文字や画像をペンキ等の塗布物で描いたりシールを貼り付けたりしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 広告設置構造
100 広告部材
101 映像表示装置
102 平板
1021 ビス孔
200 広告支持部材
210 中間部材
211 開口部
212 一端
213 他端
215 主面
216 側面
217 一方向
220 屋根側部材
221 屋根側ビス孔
222 凸部
225 ビス
230 広告側部材
231 広告側ビス孔
235 ビス
30 建造物
31 屋根
311 屋根材
【要約】
【課題】建築物の屋根上に広告を設置するための広告設置構造及び広告支持部材であって、風雨に強く耐久性が高い広告設置構造及び広告支持部材を提供する。
【解決手段】広告設置構造1は、屋根31上に配置される広告部材100と、広告部材100を支持する広告支持部材200とを備え、広告支持部材200は、側面視略釣り針形状を有しており、厚さ方向に貫通する開口部211を有する板状の中間部材210と、中間部材210の一端212から中間部材210の主面及215及び側面216と交差する一方向217に延び、屋根30の側に固定される板状の屋根側部材220と、中間部材210の他端213から屋根側部材220が延びる方向217と略同一の方向に延び、広告部材100に固定される板状の広告側部材230とを備え、広告側部材230が延びる長さは屋根側部材220が延びる長さよりも短い。
【選択図】
図1