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特許7442028情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20240226BHJP
   G06Q 10/08 20240101ALI20240226BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q10/08
G06Q50/28
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023098734
(22)【出願日】2023-06-15
【審査請求日】2023-06-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524023893
【氏名又は名称】milab株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】狩野 貴史
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-092071(JP,A)
【文献】特開2022-140020(JP,A)
【文献】特開2022-140021(JP,A)
【文献】特開2017-065909(JP,A)
【文献】特開2002-338049(JP,A)
【文献】特開2019-082787(JP,A)
【文献】特開2019-018919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を所定のユーザに提供可能な提供者に関する提供者情報と、災害発生時に指定地へ供給するための防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の品目及び数量を示す防災備蓄情報とを取得する取得部と、
災害発生時に、前記取得部が取得した前記提供者情報及び前記防災備蓄情報に基づいて、防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の前記指定地への配送を指示する指示部と、
所定範囲で防災備蓄として備蓄すべき備蓄品のうち、所定期間の賞味期限、消費期限、又は使用期限が定められた一部の前記備蓄品を、平時には前記物品として前記所定のユーザに提供可能な防災備蓄として前記提供者に備蓄させる提供者側備蓄品に決定する第1決定部と、
を備え
前記取得部は、前記所定範囲を管轄する所定団体が防災備蓄として備蓄している団体側備蓄品の品目及び数量を取得し、
前記取得部が取得した前記防災備蓄情報が示す前記提供者側備蓄品の品目及び数量と前記団体側備蓄品の品目及び数量とに基づいて、前記所定範囲で防災備蓄として備蓄すべき前記備蓄品の品目及び数量を管理する管理部を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
物品を所定のユーザに提供可能な提供者に関する提供者情報と、災害発生時に指定地へ供給するための防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の品目及び数量を示す防災備蓄情報とを取得する取得部と、
災害発生時に、前記取得部が取得した前記提供者情報及び前記防災備蓄情報に基づいて、防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の前記指定地への配送を指示する指示部と、
を備え、
前記取得部は、所定範囲を管轄する所定団体が防災備蓄として備蓄している団体側備蓄品の品目及び数量を取得し、
前記取得部が取得した、前記所定範囲に属する前記提供者の前記提供者情報と前記団体側備蓄品の品目及び数量とに基づいて、前記所定範囲に属する前記提供者が防災備蓄として備蓄すべき前記物品の品目及び数量を決定する第2決定部を備える、
情報処理装置。
【請求項3】
物品を所定のユーザに提供可能な提供者に関する提供者情報と、災害発生時に指定地へ供給するための防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の品目及び数量を示す防災備蓄情報とを取得し、
災害発生時に、取得した前記提供者情報及び前記防災備蓄情報に基づいて、防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の前記指定地への配送を指示し、
所定範囲で防災備蓄として備蓄すべき備蓄品のうち、所定期間の賞味期限、消費期限、又は使用期限が定められた一部の前記備蓄品を、平時には前記物品として前記所定のユーザに提供可能な防災備蓄として前記提供者に備蓄させる提供者側備蓄品に決定し、
前記所定範囲を管轄する所定団体が防災備蓄として備蓄している団体側備蓄品の品目及び数量を取得し、
取得した前記防災備蓄情報が示す前記提供者側備蓄品の品目及び数量と前記団体側備蓄品の品目及び数量とに基づいて、前記所定範囲で防災備蓄として備蓄すべき前記備蓄品の品目及び数量を管理する、
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項4】
コンピュータに、
物品を所定のユーザに提供可能な提供者に関する提供者情報と、災害発生時に指定地へ供給するための防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の品目及び数量を示す防災備蓄情報とを取得し、
災害発生時に、取得した前記提供者情報及び前記防災備蓄情報に基づいて、防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の前記指定地への配送を指示し、
所定範囲で防災備蓄として備蓄すべき備蓄品のうち、所定期間の賞味期限、消費期限、又は使用期限が定められた一部の前記備蓄品を、平時には前記物品として前記所定のユーザに提供可能な防災備蓄として前記提供者に備蓄させる提供者側備蓄品に決定し、
前記所定範囲を管轄する所定団体が防災備蓄として備蓄している団体側備蓄品の品目及び数量を取得し、
取得した前記防災備蓄情報が示す前記提供者側備蓄品の品目及び数量と前記団体側備蓄品の品目及び数量とに基づいて、前記所定範囲で防災備蓄として備蓄すべき前記備蓄品の品目及び数量を管理する、
処理を実行させるための情報処理プログラム。
【請求項5】
物品を所定のユーザに提供可能な提供者に関する提供者情報と、災害発生時に指定地へ供給するための防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の品目及び数量を示す防災備蓄情報とを取得し、
災害発生時に、取得した前記提供者情報及び前記防災備蓄情報に基づいて、防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の前記指定地への配送を指示し、
所定範囲を管轄する所定団体が防災備蓄として備蓄している団体側備蓄品の品目及び数量を取得し、
取得した、前記所定範囲に属する前記提供者の前記提供者情報と前記団体側備蓄品の品目及び数量とに基づいて、前記所定範囲に属する前記提供者が防災備蓄として備蓄すべき前記物品の品目及び数量を決定する、
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
物品を所定のユーザに提供可能な提供者に関する提供者情報と、災害発生時に指定地へ供給するための防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の品目及び数量を示す防災備蓄情報とを取得し、
災害発生時に、取得した前記提供者情報及び前記防災備蓄情報に基づいて、防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の前記指定地への配送を指示し、
所定範囲を管轄する所定団体が防災備蓄として備蓄している団体側備蓄品の品目及び数量を取得し、
取得した、前記所定範囲に属する前記提供者の前記提供者情報と前記団体側備蓄品の品目及び数量とに基づいて、前記所定範囲に属する前記提供者が防災備蓄として備蓄すべき前記物品の品目及び数量を決定する、
処理を実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、備蓄された防災用品の消費期限等の管理を容易にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-128353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されているような防災用品を備蓄する場合、従来は、都道府県庁又は市区町村役場等の自治体が単独で備蓄品の調達から管理までを行っていた。このとき、従来は、災害発生前に賞味期限、消費期限、又は使用期限が過ぎた備蓄品について破棄又は寄付等の手段で処分しており、備蓄品の備蓄方法について改善の余地がある。
【0005】
そこで、本開示は、防災備蓄として備蓄している物品を流通させることができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の情報処理装置は、物品を所定のユーザに提供可能な提供者に関する提供者情報と、災害発生時に指定地へ供給するための防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の品目及び数量を示す防災備蓄情報とを取得する取得部と、災害発生時に、前記取得部が取得した前記提供者情報及び前記防災備蓄情報に基づいて、防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の前記指定地への配送を指示する指示部と、所定範囲で防災備蓄として備蓄すべき備蓄品のうち、所定期間の賞味期限、消費期限、又は使用期限が定められた一部の前記備蓄品を、平時には前記物品として前記所定のユーザに提供可能な防災備蓄として前記提供者に備蓄させる提供者側備蓄品に決定する第1決定部と、を備え、前記取得部は、前記所定範囲を管轄する所定団体が防災備蓄として備蓄している団体側備蓄品の品目及び数量を取得し、前記取得部が取得した前記防災備蓄情報が示す前記提供者側備蓄品の品目及び数量と前記団体側備蓄品の品目及び数量とに基づいて、前記所定範囲で防災備蓄として備蓄すべき前記備蓄品の品目及び数量を管理する管理部を備える
【0007】
第2の態様の情報処理装置は、物品を所定のユーザに提供可能な提供者に関する提供者情報と、災害発生時に指定地へ供給するための防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の品目及び数量を示す防災備蓄情報とを取得する取得部と、災害発生時に、前記取得部が取得した前記提供者情報及び前記防災備蓄情報に基づいて、防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の前記指定地への配送を指示する指示部と、を備え、前記取得部は、所定範囲を管轄する所定団体が防災備蓄として備蓄している団体側備蓄品の品目及び数量を取得し、前記取得部が取得した、前記所定範囲に属する前記提供者の前記提供者情報と前記団体側備蓄品の品目及び数量とに基づいて、前記所定範囲に属する前記提供者が防災備蓄として備蓄すべき前記物品の品目及び数量を決定する第2決定部を備える。
【0008】
第3の態様の情報処理方法は、物品を所定のユーザに提供可能な提供者に関する提供者情報と、災害発生時に指定地へ供給するための防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の品目及び数量を示す防災備蓄情報とを取得し、災害発生時に、取得した前記提供者情報及び前記防災備蓄情報に基づいて、防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の前記指定地への配送を指示し、所定範囲で防災備蓄として備蓄すべき備蓄品のうち、所定期間の賞味期限、消費期限、又は使用期限が定められた一部の前記備蓄品を、平時には前記物品として前記所定のユーザに提供可能な防災備蓄として前記提供者に備蓄させる提供者側備蓄品に決定し、前記所定範囲を管轄する所定団体が防災備蓄として備蓄している団体側備蓄品の品目及び数量を取得し、取得した前記防災備蓄情報が示す前記提供者側備蓄品の品目及び数量と前記団体側備蓄品の品目及び数量とに基づいて、前記所定範囲で防災備蓄として備蓄すべき前記備蓄品の品目及び数量を管理する、処理をコンピュータが実行する
【0009】
第4の態様の情報処理プログラムは、コンピュータに、物品を所定のユーザに提供可能な提供者に関する提供者情報と、災害発生時に指定地へ供給するための防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の品目及び数量を示す防災備蓄情報とを取得し、災害発生時に、取得した前記提供者情報及び前記防災備蓄情報に基づいて、防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の前記指定地への配送を指示し、所定範囲で防災備蓄として備蓄すべき備蓄品のうち、所定期間の賞味期限、消費期限、又は使用期限が定められた一部の前記備蓄品を、平時には前記物品として前記所定のユーザに提供可能な防災備蓄として前記提供者に備蓄させる提供者側備蓄品に決定し、前記所定範囲を管轄する所定団体が防災備蓄として備蓄している団体側備蓄品の品目及び数量を取得し、取得した前記防災備蓄情報が示す前記提供者側備蓄品の品目及び数量と前記団体側備蓄品の品目及び数量とに基づいて、前記所定範囲で防災備蓄として備蓄すべき前記備蓄品の品目及び数量を管理する、処理を実行させる
【0010】
第5の態様の情報処理方法は、物品を所定のユーザに提供可能な提供者に関する提供者情報と、災害発生時に指定地へ供給するための防災備蓄として前記提供者が備蓄している
前記物品の品目及び数量を示す防災備蓄情報とを取得し、災害発生時に、取得した前記提供者情報及び前記防災備蓄情報に基づいて、防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の前記指定地への配送を指示し、所定範囲を管轄する所定団体が防災備蓄として備蓄している団体側備蓄品の品目及び数量を取得し、取得した、前記所定範囲に属する前記提供者の前記提供者情報と前記団体側備蓄品の品目及び数量とに基づいて、前記所定範囲に属する前記提供者が防災備蓄として備蓄すべき前記物品の品目及び数量を決定する、処理をコンピュータが実行する。
【0011】
第6の態様の情報処理プログラムは、コンピュータに、物品を所定のユーザに提供可能な提供者に関する提供者情報と、災害発生時に指定地へ供給するための防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の品目及び数量を示す防災備蓄情報とを取得し、災害発生時に、取得した前記提供者情報及び前記防災備蓄情報に基づいて、防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の前記指定地への配送を指示し、所定範囲を管轄する所定団体が防災備蓄として備蓄している団体側備蓄品の品目及び数量を取得し、取得した、前記所定範囲に属する前記提供者の前記提供者情報と前記団体側備蓄品の品目及び数量とに基づいて、前記所定範囲に属する前記提供者が防災備蓄として備蓄すべき前記物品の品目及び数量を決定する、処理を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本開示に係る情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムでは、防災備蓄として備蓄している物品を流通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】備蓄システムの概略構成の第1の例を示す図である。
図2】団体装置、提供者装置、業者装置、及びデータベースサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】団体装置の記憶部の構成を示すブロック図である。
図4】データベースサーバの記憶部の構成を示すブロック図である。
図5】提供者データベースに記憶されている防災備蓄情報を示す説明図である。
図6】団体装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図7】決定処理の流れを示すフローチャートである。
図8】管理処理の流れを示すフローチャートである。
図9】配送処理の流れを示すフローチャートである。
図10】備蓄システムの概略構成の第2の例を示す図である。
図11】通知処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態に係る備蓄システム10について説明する。
(第1の実施形態)
まず、本実施形態に係る備蓄システム10の第1の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、備蓄システム10の概略構成の第1の例を示す図である。
図1に示すように、備蓄システム10は、団体装置20、提供者装置40、業者装置60、及びデータベースサーバ80を含む。団体装置20、提供者装置40、及びデータベースサーバ80は、ネットワークN1を介して接続されている。団体装置20及び業者装置60は、ネットワークN2を介して接続されている。ネットワークN1及びネットワークN2は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、又はWAN(Wide Area Network)等が適用される。なお、図1では、ネットワークN1及びネットワークN2を別のネットワークとしているが、これに限らず、ネットワークN1及びネットワークN2を同一のネットワークとしてもよい。また、図1では、提供者装置40及び業者装置60を一つだけ図示しているが、提供者装置40及び業者装置60は提供者及び配送業者の数に応じて複数存在する。
【0016】
団体装置20は、所定範囲を管轄する所定団体が保有する装置である。団体装置20は「情報処理装置」の一例である。
【0017】
所定範囲は、各都道府県、各市区町村、アパート及びマンション等の集合住宅、旅館及びホテル等の宿泊施設、商業施設、並びに、オフィスビル等を含む。第1の実施形態は所定範囲を「各市区町村」としており、その中の「A市」を例に説明する。
【0018】
所定団体は、都道府県庁、市区町村役場、集合住宅の管理団体、商業施設の管理団体、オフィスビルの管理団体、及び宿泊施設の管理団体等を含む。一例として、第1の実施形態は所定団体を「市区町村役場」としており、その中のA市を管轄する「A市役所」を例に説明する。
【0019】
提供者装置40は、物品を所定のユーザに提供可能な提供者が保有する装置である。なお、当該提供者は、災害発生時に防災備蓄として備蓄している物品をA市役所に供給する契約をA市役所と締結している。
【0020】
物品は、食料品(農産物等を含む)、鉱物、衣服・寝具(繊維製品)、紙・木製家具等、化学製品、石油・石炭製品、プラスチック・ゴム・革製品、ガラス・セメント(窯業・土石製品)、鉄鋼・非鉄金属・金属製品、各種機械(機械の部品を含む)・電子部品、及びその他の製造工業品等を含む。なお、上記した各物品の具体例は、参考文献(https://www.soumu.go.jp/main_content/000512858.pdf)に記載されている内容が含まれる。
【0021】
所定のユーザは、物品の消費者である。提供者は、物品を所定のユーザに販売可能な販売業者、並びに、物品をサービスとして所定のユーザに提供可能な宿泊業、医療業、娯楽業及び福祉業等のサービス業者の他、集合住宅の各世帯及び宿泊施設の利用者等の業者以外の個人を含む。また、提供者は、自身を所定のユーザとして自由に物品を使用、収益、及び処分してもよい。一例として、第1の実施形態は提供者を「販売業者」として説明する。
【0022】
業者装置60は、災害発生時に防災備蓄として販売業者が備蓄している物品を指定地へ配送する配送業者が保有する装置である。なお、当該配送業者は、災害発生時に販売業者が防災備蓄として備蓄している物品を指定地に配送する契約をA市役所と締結している。
【0023】
災害は、地震、津波、洪水、土砂崩れ、大雪、火山の噴火、竜巻、山火事、雹、熱波、干ばつ、及び伝染病等の自然災害と、工場火災・爆発、ビルの倒壊、電車の脱線事故、有害物質の流出、原発事故、戦争、放火、大停電、将棋倒し、テロ、及び暴動等の人的災害とを含む。
【0024】
指定地は、避難所及び避難場所等の自宅での生活継続ができなくなった方が一時的に生活する場所と、自宅とを含む。一例として、第1の実施形態は指定地を「避難所」として説明する。
【0025】
データベースサーバ80は、備蓄システム10に関する各種データが格納されているサーバコンピュータである。
【0026】
図2は、団体装置20、提供者装置40、業者装置60、及びデータベースサーバ80のハードウェア構成を示すブロック図である。団体装置20、提供者装置40、業者装置60、及びデータベースサーバ80には、一例として、サーバコンピュータ、若しくはPC(Personal Computer)等の汎用的なコンピュータ装置、又はスマートフォン、若しくはタブレット端末等の携帯端末が適用される。本実施形態では、団体装置20、提供者装置40、及び業者装置60を「PC」とし、データベースサーバ80を「サーバコンピュータ」としている。なお、団体装置20、提供者装置40、業者装置60、及びデータベースサーバ80は、基本的には一般的なコンピュータ構成であるため、団体装置20を代表して説明する。
【0027】
図2に示すように、団体装置20は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、記憶部24、入力部25、表示部26、及び通信部27を備えている。各構成は、バス28を介して相互に通信可能に接続されている。
【0028】
CPU21は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU21は、ROM22又は記憶部24からプログラムを読み出し、RAM23を作業領域としてプログラムを実行する。CPU21は、ROM22又は記憶部24に記憶されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0029】
ROM22は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM23は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0030】
記憶部24は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0031】
入力部25は、一例として、マウス等のポインティングデバイス、各種ボタン、キーボード、マイク、及びカメラ等を含み、各種の入力を行うために使用される。
【0032】
表示部26は、一例として、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部26は、タッチパネル方式を採用して、入力部25として機能してもよい。
【0033】
通信部27は、他の装置と通信するためのインターフェースである。当該通信には、例えば、イーサネット(登録商標)若しくはFDDI等の有線通信の規格、又は、4G、5G、若しくはWi-Fi(登録商標)等の無線通信の規格が用いられる。
【0034】
なお、提供者装置40のCPU41、ROM42、RAM43、記憶部44、入力部45、表示部46、通信部47、及びバス48の機能は、上述した団体装置20のCPU21、ROM22、RAM23、記憶部24、入力部25、表示部26、通信部27、及びバス28の機能と同様である。同じく、業者装置60のCPU61、ROM62、RAM63、記憶部64、入力部65、表示部66、通信部67、及びバス68の機能は、上述した団体装置20のCPU21、ROM22、RAM23、記憶部24、入力部25、表示部26、通信部27、及びバス28の機能と同様である。同じく、データベースサーバ80のCPU81、ROM82、RAM83、記憶部84、入力部85、表示部86、通信部87、及びバス88の機能は、上述した団体装置20のCPU21、ROM22、RAM23、記憶部24、入力部25、表示部26、通信部27、及びバス28の機能と同様である。
【0035】
図3は、団体装置20の記憶部24の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、記憶部24には、CPU21に後述する各種処理を実行させるための情報処理プログラム24Aが格納されている。当該情報処理プログラム24Aを実行する際に、団体装置20は、図2に示すハードウェア資源を用いて、当該情報処理プログラム24Aに基づく処理を実行する。
【0036】
図4は、データベースサーバ80の記憶部84の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、記憶部84には、備蓄品データベース84A及び提供者データベース84Bが格納されている。
【0037】
備蓄品データベース84Aには、A市で防災備蓄として備蓄すべき備蓄品の情報を示す必要備蓄品情報が記憶されている。必要備蓄品情報は、備蓄品の品目、数量、及び賞味期限、消費期限、又は使用期限の有無等を含む。なお、必要備蓄品情報における備蓄品の品目及び数量は、A市の想定避難者の年齢及び性別等の属性、並びに人数等に基づいて予め決定されている。また、備蓄品データベース84Aには、A市役所が防災備蓄として備蓄している団体側備蓄品の品目及び数量を示す団体側備蓄品情報が記憶されている。なお、備蓄品データベース84Aは、想定避難者数の増加又は団体側備蓄品の数量の減少等の事由が発生して、団体装置20に対する予め定めた操作が行われると更新される。
【0038】
提供者データベース84Bには、販売業者に関する提供者情報及び当該販売業者が防災備蓄として備蓄している物品の品目及び数量を示す防災備蓄情報が記憶されている。提供者情報は、販売業者の氏名又は名称、連絡先、及び防災備蓄として備蓄している物品の所在地等を含む。防災備蓄情報は、例えば「パンの缶詰:500個」及び「ミネラルウォータ(2リットル):500本」等のように、物品の品目に応じた数量を示している。なお、提供者データベース84Bは、防災備蓄として備蓄している物品の数量が変化した場合に、提供者装置40に対する予め定めた操作が行われることで定期的に更新される。
【0039】
次に、提供者データベース84Bに記憶されている防災備蓄情報の具体例について説明する。
【0040】
図5は、提供者データベース84Bに記憶されている防災備蓄情報を示す説明図である。図5の提供者データベース84Bは、所定の販売業者(以下、「販売業者X」)が防災備蓄として備蓄している物品の品目及び数量を示す防災備蓄情報の例である。ここで、図5(A)は、所定日における販売業者Xの防災備蓄情報の例を示し、図5(B)は、所定日から一定期間経過後の特定日における販売業者Xの防災備蓄情報の例を示している。
【0041】
図5(A)及び(B)に示すように、提供者データベース84Bにおいて販売業者Xが防災備蓄として備蓄している物品の品目は、「パンの缶詰」、「ミネラルウォータ(2リットル)」、及び「カップ麺」である。そして、図5(A)の提供者データベース84Bに示されるように、販売業者Xは所定日において、防災備蓄として、パンの缶詰を「500個」、ミネラルウォータ(2リットル)を「500本」、カップ麺を「300個」備蓄していることが確認できる。
【0042】
ここで、販売業者Xは、所定日から特定日までの間に、パンの缶詰を「200個」、ミネラルウォータ(2リットル)を「100本」、カップ麺を「100個」所定のユーザに提供(販売)したものとする。その後、販売業者Xは、防災備蓄として備蓄している各物品を上記の数量だけ提供用(販売用)の在庫に移動し、提供者装置40に対する操作を行って提供者データベース84Bを更新したものとする。この結果、図5(B)の提供者データベース84Bに示されるように、販売業者Xは特定日において、防災備蓄として、パンの缶詰を「300個」、ミネラルウォータ(2リットル)を「400本」、カップ麺を「200個」備蓄していることが確認できる。なお、図5の提供者データベース84Bが示す物品の品目及び数量はあくまで一例であり、当該物品の品目及び数量はこれに限定されない。
【0043】
次に、団体装置20の機能構成について説明する。
図6は、団体装置20の機能構成の例を示すブロック図である。
【0044】
図6に示すように、団体装置20のCPU21は、機能構成として、取得部21A、決定部21B、管理部21C、及び指示部21Dを有する。各機能構成は、CPU21が記憶部24に記憶された情報処理プログラム24Aを読み出し、実行することにより実現される。
【0045】
取得部21Aは、データベースサーバ80から各種の情報を取得する。具体的には、取得部21Aは、備蓄品データベース84Aから必要備蓄品情報及び団体側備蓄品情報を取得し、提供者データベース84Bから提供者情報及び防災備蓄情報を取得する。
【0046】
決定部21Bは、取得部21Aが取得した必要備蓄品情報に基づいて、平時には物品として所定のユーザに提供可能な防災備蓄として販売業者に備蓄させる提供者側備蓄品を決定する。決定部21Bは、A市で防災備蓄として備蓄すべき備蓄品のうち、所定期間の賞味期限、消費期限、又は使用期限が定められた一部の備蓄品を提供者側備蓄品に決定する。例えば、提供者側備蓄品は、食料品、飲料品、及び医薬品等である。また、決定部21Bは、A市で防災備蓄として備蓄すべき備蓄品のうち、提供者側備蓄品以外をA市役所が防災備蓄として備蓄する団体側備蓄品に決定する。その後、決定部21Bは、A市で防災備蓄として備蓄すべき各備蓄品が、提供者側備蓄品又は団体側備蓄品であるかを示す種別情報を備蓄品データベース84Aに追加する。決定部21Bは「第1決定部」の一例である。
【0047】
管理部21Cは、取得部21Aが取得した防災備蓄情報及び団体側備蓄品情報に基づいて、A市で防災備蓄として備蓄すべき備蓄品の品目及び数量を管理する。まず、管理部21Cは、提供者側備蓄品又は団体側備蓄品として備蓄されている備蓄品の品目毎の合計数量を算出する。次に、管理部21Cは、算出した品目毎の合計数量と、取得部21Aが取得した必要備蓄品情報が示す品目毎の数量とを比較する。そして、管理部21Cは、比較の結果、提供者側備蓄品又は団体側備蓄品として備蓄されている備蓄品が不足していると判定した場合、不足している備蓄品の追加を手配する。この詳細については後述する。
【0048】
指示部21Dは、災害発生時に、取得部21Aが取得した提供者情報及び防災備蓄情報に基づいて、提供者側備蓄品の避難所への配送を指示する。一例として、指示部21Dは、回収すべき提供者側備蓄品の所在地及び回収した提供者側備蓄品を配送する避難所の所在地のルートを示すルート情報を業者装置60に送信する。
【0049】
図7は、団体装置20がA市で防災備蓄として備蓄すべき備蓄品の種別を決定する決定処理の流れを示すフローチャートである。CPU21が記憶部24から情報処理プログラム24Aを読み出して、RAM23に展開して実行することにより、決定処理が行われる。
【0050】
図7に示すステップS10において、CPU21は、データベースサーバ80の備蓄品データベース84Aから必要備蓄品情報を取得する。そして、CPU21は、ステップS11に進む。
【0051】
ステップS11において、CPU21は、ステップS10で取得した必要備蓄品情報に基づいて、提供者側備蓄品を決定する。具体的には、CPU21は、当該必要備蓄品情報において賞味期限、消費期限、又は使用期限が「有」となっている品目を提供者側備蓄品に決定する。そして、CPU21は、ステップS12に進む。
【0052】
ステップS12において、CPU21は、ステップS10で取得した必要備蓄品情報に基づいて、団体側備蓄品を決定する。具体的には、CPU21は、当該必要備蓄品情報において賞味期限、消費期限、又は使用期限が「無」となっている品目を団体側備蓄品に決定する。そして、CPU21は、ステップS13に進む。
【0053】
ステップS13において、CPU21は、備蓄品データベース84Aを更新する。具体的には、CPU21は、A市で防災備蓄として備蓄すべき各備蓄品が、ステップS11で決定した提供者側備蓄品又はステップS12で決定した団体側備蓄品であるかを示す種別情報を備蓄品データベース84Aに追加する。そして、CPU21は、決定処理を終了する。
【0054】
なお、決定処理の終了後、CPU21は、例えばA市役所の職員による団体装置20の操作に基づいて、販売業者が備蓄すべき提供者側備蓄品の品目及び数量を提供者装置40に通知する。そして、提供者装置40が当該通知を取得したことに基づいて、販売業者による提供者側備蓄品の備蓄が開始される。
【0055】
図8は、団体装置20がA市で防災備蓄として備蓄すべき備蓄品の品目及び数量を管理する管理処理の流れを示すフローチャートである。CPU21が記憶部24から情報処理プログラム24Aを読み出して、RAM23に展開して実行することにより、管理処理が行われる。一例として、CPU21は、決定処理の終了後、定期的に管理処理を行う。
【0056】
図8に示すステップS20において、CPU21は、データベースサーバ80の備蓄品データベース84Aから必要備蓄品情報及び団体側備蓄品情報を取得し、データベースサーバ80の提供者データベース84Bから防災備蓄情報を取得する。そして、CPU21は、ステップS21に進む。
【0057】
ステップS21において、CPU21は、提供者側備蓄品又は団体側備蓄品として備蓄されている備蓄品の品目毎の合計数量と、A市で防災備蓄として備蓄すべき備蓄品の品目毎の数量である必要備蓄量とを比較する。そして、CPU21は、ステップS22に進む。
【0058】
ステップS22において、CPU21は、ステップS21での比較の結果、提供者側備蓄品又は団体側備蓄品として備蓄されている備蓄品が不足しているか否かを判定する。そして、CPU21は、当該備蓄品が不足していると判定した場合(ステップS22:YES)、ステップS23に進む。一方、CPU21は、当該備蓄品が不足していないと判定した場合(ステップS22:NO)、管理処理を終了する。一例として、CPU21は、当該備蓄品の品目毎の合計数量が、対応する品目の必要備蓄量より所定数以上少ない場合、当該備蓄品が不足していると判定する。
【0059】
ステップS23において、CPU21は、不足している備蓄品の追加を手配する。そして、CPU21は、管理処理を終了する。
【0060】
具体的には、CPU21は、不足している備蓄品が団体側備蓄品の場合、団体装置20の表示部26に不足している団体側備蓄品の品目及び不足量を表示させる。これにより、当該表示部26を見たA市役所の職員が不足している団体側備蓄品を発注することが可能になる。一方、CPU21は、不足している備蓄品が提供者側備蓄品の場合、不足している提供者側備蓄品の品目及び不足量を提供者装置40に通知する。そして、提供者装置40が当該通知を取得したことに基づいて、販売業者が不足している提供者側備蓄品を発注することが可能になる。
【0061】
図9は、団体装置20が提供者側備蓄品の避難所への配送を指示する配送処理の流れを示すフローチャートである。CPU21が記憶部24から情報処理プログラム24Aを読み出して、RAM23に展開して実行することにより、配送処理が行われる。一例として、CPU21は、決定処理の終了後、定期的に配送処理を行う。
【0062】
図9に示すステップS30において、CPU21は、A市に災害が発生したか否かを判定する。そして、CPU21は、災害が発生したと判定した場合(ステップS30:YES)、ステップS31に進む。一方、CPU21は、災害が発生していないと判定した場合(ステップS30:NO)、配送処理を終了する。一例として、CPU21は、団体装置20に対する予め定めた操作が行われた場合に災害が発生したと判定する。
【0063】
ステップS31において、CPU21は、データベースサーバ80の提供者データベース84Bから提供者情報及び防災備蓄情報を取得する。そして、CPU21は、ステップS32に進む。
【0064】
ステップS32において、CPU21は、ステップS31で取得した提供者情報及び防災備蓄情報に基づいて、提供者側備蓄品の指定地としての避難所への配送を指示する。一例として、CPU21は、当該提供者情報に基づいて、回収すべき提供者側備蓄品の所在地及び回収した提供者側備蓄品を配送する避難所の所在地のルートを示すルート情報を生成する。そして、CPU21は、生成したルート情報を業者装置60に送信する。業者装置60が当該ルート情報を取得したことに基づいて、配送業者による提供者側備蓄品の回収及び避難所への配送が可能になる。そして、CPU21は、配送処理を終了する。
【0065】
以上説明したように、団体装置20では、CPU21は、物品を所定のユーザに提供可能な提供者としての販売業者に関する提供者情報と、災害発生時に指定地としての避難所へ供給するための防災備蓄として販売業者が備蓄している物品の品目及び数量を示す防災備蓄情報を取得する。そして、CPU21は、災害発生時に、取得した提供者情報及び防災備蓄情報に基づいて、防災備蓄として販売業者が備蓄している物品の避難所への配送を指示する。これにより、当該団体装置20では、物品を所定のユーザに提供可能な販売業者に防災備蓄を備蓄させることで、防災備蓄として備蓄している物品を流通させることができる。
【0066】
また、団体装置20では、CPU21は、A市で防災備蓄として備蓄すべき備蓄品のうち、所定期間の賞味期限、消費期限、又は使用期限が定められた一部の備蓄品を、平時には物品として所定のユーザに提供可能な防災備蓄として販売業者に備蓄させる提供者側備蓄品に決定する。これにより、当該団体装置20では、平時には販売業者が賞味期限、消費期限、又は使用期限の近い提供者側備蓄品から所定のユーザに提供することで、賞味期限、消費期限、又は使用期限が切れて提供者側備蓄品が廃棄されるリスクを低減することができる。
【0067】
また、団体装置20では、CPU21は、A市を管轄するA市役所が防災備蓄として備蓄している団体側備蓄品の品目及び数量を示す団体側備蓄品情報を取得する。そして、CPU21は、取得した防災備蓄情報及び団体側備蓄品情報に基づいて、A市で防災備蓄として備蓄すべき備蓄品の品目及び数量を管理する。これにより、当該団体装置20では、A市役所及び販売業者で分散して防災備蓄を備蓄させることで、被災者に備蓄品を提供できなくなるリスクを低減することができる。
【0068】
(第2の実施形態)
次に、本実施形態に係る備蓄システム10の第2の実施形態について、上記実施形態との重複部分を省略又は簡略しつつ説明する。
【0069】
図10は、備蓄システム10の概略構成の第2の例を示す図である。
図10に示すように、備蓄システム10は、団体装置20、提供者装置40、及びデータベースサーバ80を含む。団体装置20、提供者装置40、及びデータベースサーバ80は、ネットワークN1を介して接続されている。なお、図10では、提供者装置40を一つだけ図示しているが、提供者装置40は提供者の数に応じて複数存在する。
【0070】
団体装置20は、所定範囲を管轄する所定団体が保有する装置である。第2の実施形態は所定範囲を「集合住宅」としており、その中の「マンションB」を例に説明する。また、第2の実施形態は所定団体を「集合住宅の管理団体」としており、その中のマンションBを管轄する「管理団体B」を例に説明する。また、第2の実施形態は提供者を「マンションBの各世帯」として説明する。当該各世帯は、平時には自世帯を所定のユーザとして自由に自世帯で防災備蓄として備蓄している物品を使用、収益、及び処分することができる。
【0071】
提供者装置40は、マンションBの各世帯が保有する装置である。なお、当該各世帯は、災害発生時に防災備蓄として備蓄している物品を管理団体Bに供給する契約を管理団体Bと締結している。さらに、当該各世帯は、災害発生時に自世帯で防災備蓄として備蓄している物品を指定地であるマンションBの共用施設に配送する契約を管理団体Bと締結している。第2の実施形態では、マンションBに災害が発生した場合、当該共用施設への物品の配送を指示する通知が団体装置20から提供者装置40に送信される。提供者装置40が当該通知を取得したことに基づいて、当該各世帯の世帯員による物品の当該共用施設への配送が可能になる。
【0072】
ここで、マンションBの各世帯で防災備蓄として備蓄する物品は、マンションBで防災備蓄として備蓄すべき備蓄品のうち、所定期間の賞味期限、消費期限、又は使用期限が定められた一部の備蓄品、すなわち、第1の実施形態で説明した提供者側備蓄品である。
【0073】
また、マンションBの各階には、管理団体Bが防災備蓄として備蓄している団体側備蓄品が配置されている。当該団体側備蓄品は第1の実施形態と同様、マンションBで防災備蓄として備蓄すべき備蓄品のうち、提供者側備蓄品以外の備蓄品である。そして、マンションBの各世帯は、提供者装置40にインストールされた所定のアプリケーション(以下、単に「アプリ」)を通じて、各階に配置された団体側備蓄品の品目及び数量を確認することができる。なお、当該各世帯は、アプリの利用にあたり、階層、部屋番号、世帯人数、並びに世帯員の年齢及び性別等の当該各世帯に関する提供者情報と、当該各世帯で防災備蓄として備蓄している提供者側備蓄品の品目及び数量を示す防災備蓄情報とを入力している。当該各世帯で入力された提供者情報及び防災備蓄情報は、データベースサーバ80に送信される。
【0074】
次に、第2の実施形態におけるデータベースサーバ80の記憶部84の構成について説明する。記憶部84には、第1の実施形態と同様、備蓄品データベース84A及び提供者データベース84Bが格納されている。
【0075】
備蓄品データベース84Aには、マンションBで防災備蓄として備蓄すべき備蓄品の情報を示す必要備蓄品情報が記憶されている。なお、必要備蓄品情報における備蓄品の品目及び数量は、マンションBの想定避難者の年齢及び性別等の属性、並びに人数等に基づいて予め決定されている。また、備蓄品データベース84Aには、マンションBの各世帯の世帯員一人あたりが防災備蓄として備蓄すべき備蓄品の情報を示す個人備蓄品情報が記憶されている。個人備蓄品情報は、備蓄品の品目及び数量等を含む。なお、個人備蓄品情報における備蓄品の品目及び数量は予め決定されている。また、備蓄品データベース84Aには、管理団体Bが防災備蓄として備蓄している団体側備蓄品の品目及び数量を示す団体側備蓄品情報が記憶されている。
【0076】
提供者データベース84Bには、提供者装置40から送信された提供者情報及び防災備蓄情報が記憶されている。
【0077】
次に、第2の実施形態における団体装置20の機能構成について説明する。団体装置20のCPU21は、第1の実施形態と同様、機能構成として、取得部21A、決定部21B、管理部21C、及び指示部21Dを有する。なお、第1の実施形態との重複部分は省略又は簡略し、第2の実施形態の特徴点をマンションBの各世帯である「世帯C」を例に説明する。
【0078】
取得部21Aは、データベースサーバ80の備蓄品データベース84Aから個人備蓄品情報及び団体側備蓄品情報を取得し、データベースサーバ80の提供者データベース84Bから提供者情報及び防災備蓄情報を取得する。
【0079】
決定部21Bは、取得部21Aが取得した世帯Cの提供者情報と団体側備蓄品情報とに基づいて、世帯Cが防災備蓄として備蓄すべき提供者側備蓄品の品目及び数量を決定する。まず、決定部21Bは、提供者情報に基づいて、世帯Cと同じ階層に属する全世帯の世帯員の合計人数を算出する。次に、決定部21Bは、団体側備蓄品情報から導出される当該階層に配置された団体側備蓄品の品目毎の数量を、算出した当該階層の合計人数で除算し、除算した結果を当該階層の各世帯員への提供量として決定する。次に、決定部21Bは、個人備蓄品情報が示すマンションBの各世帯の世帯員一人あたりが防災備蓄として備蓄すべき備蓄品の品目毎の数量に世帯Cの世帯人数を乗算して、世帯Cに必要な必要世帯量を算出する。次に、決定部21Bは、当該階層の各世帯員への提供量と世帯Cの防災備蓄情報が示す提供者側備蓄品との合算結果である現在備蓄量と、世帯Cの必要世帯量とを比較する。そして、決定部21Bは、比較の結果、世帯Cの必要世帯量に対して現在備蓄量が不足していると判定した場合、その不足分を世帯Cが防災備蓄として備蓄すべき物品の品目及び数量として決定する。決定部21Bは「第2決定部」の一例である。
【0080】
図11は、団体装置20が決定した防災備蓄として備蓄すべき提供者側備蓄品の品目及び数量を提供者としての世帯Cに通知する通知処理の流れを示すフローチャートである。CPU21が記憶部24から情報処理プログラム24Aを読み出して、RAM23に展開して実行することにより、通知処理が行われる。一例として、CPU21は、決定処理の終了後、定期的に通知処理を行う。
【0081】
図11に示すステップS40において、CPU21は、データベースサーバ80の備蓄品データベース84Aから個人備蓄品情報及び団体側備蓄品情報を取得し、データベースサーバ80の提供者データベース84Bから提供者情報及び防災備蓄情報を取得する。そして、CPU21は、ステップS41に進む。
【0082】
ステップS41において、CPU21は、ステップS40で取得した世帯Cの提供者情報と団体側備蓄品情報とに基づいて、世帯Cが防災備蓄として備蓄すべき提供者側備蓄品の品目及び数量を決定する。一例として、CPU21は、世帯Cの必要世帯量に対する世帯Cの現在備蓄量の不足分を、世帯Cが防災備蓄として備蓄すべき提供者側備蓄品の品目及び数量に決定する。そして、CPU21は、ステップS42に進む。
【0083】
ステップS42において、CPU21は、ステップS41で決定した防災備蓄として備蓄すべき提供者側備蓄品の品目及び数量を世帯Cに通知する。具体的には、CPU21は、世帯Cが保有する提供者装置40に、防災備蓄として備蓄すべき提供者側備蓄品の品目及び数量を示す不足情報を送信する。提供者装置40が当該不足情報を取得したことに基づいて、世帯Cの世帯員が不足している提供者側備蓄品を調達することが可能になる。そして、CPU21は、通知処理を終了する。
【0084】
以上説明したように、団体装置20では、CPU21は、マンションBに属する提供者としての世帯Cの提供者情報と、マンションBを管轄する管理団体Bが防災備蓄として備蓄している団体側備蓄品の品目及び数量を示す団体側備蓄品情報とを取得する。そして、CPU21は、取得した世帯Cの提供者情報と団体側備蓄品情報とに基づいて、世帯Cが防災備蓄として備蓄すべき物品の品目及び数量を決定する。これにより、当該団体装置20では、団体側備蓄品の品目及び数量を踏まえて世帯Cが防災備蓄として備蓄すべき物品の品目及び数量が決定されるため、過剰な量の物品を世帯Cに備蓄させることが抑制される。
【0085】
(その他)
上記実施形態では、提供者側備蓄品は、所定期間の賞味期限、消費期限、又は使用期限が定められた物品としたがこれに限定されない。例えば、提供者側備蓄品は、所定期間の賞味期限、消費期限、又は使用期限が定められていない物品であってもよい。また、提供者側備蓄品は、賞味期限、消費期限、又は使用期限の有無に関わらず、価格が所定値よりも高い物品としてもよい。
【0086】
上記実施形態では、団体側備蓄品は、所定範囲で防災備蓄として備蓄すべき備蓄品のうち、提供者側備蓄品以外の備蓄品としたがこれに限定されない。例えば、提供者側備蓄品及び団体側備蓄品で重複する備蓄品が設けられていてもよい。
【0087】
上記実施形態では、所定団体が団体側備蓄品を備蓄することとしたが、これに限定されず、備蓄システム10において所定団体は備蓄品を備蓄しなくてもよい。この場合は、所定範囲で防災備蓄として備蓄すべき備蓄品を提供者側備蓄品で全て賄うことになる。
【0088】
上記実施形態において、提供者に備蓄させる提供者側備蓄品の品目及び数量は、提供者の種類、備蓄場所の規模、及び提供者側備蓄品の所在地と指定地との距離等を考慮して、提供者毎に異ならせてもよい。
【0089】
なお、上記実施形態でCPU21がソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した決定処理、管理処理、配送処理、及び通知処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、決定処理、管理処理、配送処理、及び通知処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0090】
また、上記実施形態では、情報処理プログラム24Aが記憶部24に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。情報処理プログラム24Aは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、情報処理プログラム24Aは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0091】
20 団体装置(情報処理装置)
21A 取得部
21B 指示部
21C 決定部(第1決定部及び第2決定部)
21D 管理部
24A 情報処理プログラム
【要約】
【課題】本開示は、防災備蓄として備蓄している物品を流通させることを目的とする。
【解決手段】情報処理装置は、物品を所定のユーザに提供可能な提供者に関する提供者情報と、災害発生時に指定地へ供給するための防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の品目及び数量を示す防災備蓄情報とを取得する取得部と、災害発生時に、前記取得部が取得した前記提供者情報及び前記防災備蓄情報に基づいて、防災備蓄として前記提供者が備蓄している前記物品の前記指定地への配送を指示する指示部と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11