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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/593 20170101AFI20240226BHJP
   G06T 3/00 20240101ALI20240226BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240226BHJP
   H04N 23/695 20230101ALI20240226BHJP
   H04N 23/698 20230101ALI20240226BHJP
【FI】
G06T7/593
G06T3/00 780
H04N23/60 500
H04N23/698
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019190453
(22)【出願日】2019-10-17
(65)【公開番号】P2021067977
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】714003531
【氏名又は名称】カムイ・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】石塚 博基
(72)【発明者】
【氏名】林 政樹
(72)【発明者】
【氏名】海野 和也
(72)【発明者】
【氏名】葛谷 麻未
(72)【発明者】
【氏名】沢田 保宏
(72)【発明者】
【氏名】カントラ ラッセ
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0289223(US,A1)
【文献】国際公開第2013/081287(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/047012(WO,A1)
【文献】特開2013-066058(JP,A)
【文献】国際公開第2008/068456(WO,A2)
【文献】国際公開第2008/134829(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/593
G06T 3/00
H04N 23/60
H04N 23/695
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮像装置により撮影するときに、相互の撮影領域が重なるオーバラップ部が形成されるように撮影した複数の画像を合成して、広視野画像を生成する画像処理装置であって、
複数の撮像装置で撮影した画像を取得する取得部と、
前記オーバラップ部に対して、前記複数の撮像装置間に複数の仮想視点を設定する仮想視点設定部と、
前記仮想視点設定部で設定された前記複数の仮想視点に対する画像を、前記複数の撮像装置で撮影した画像から補間して生成する補間画像生成部と、
前記補間画像生成部で生成した補間画像と前記複数の撮像装置で撮影したオーバラップ部以外の画像とを連結する連結部と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
車両における運転者の視野の補助となり得る画像を、相互の撮影領域が重なるオーバラップ部が形成されるように分割して、複数の撮像装置で撮影した画像を取得する取得部と、
前記オーバラップ部に対して、前記複数の撮像装置間に複数の仮想視点を設定する仮想視点設定部と、
前記仮想視点設定部で設定された前記複数の仮想視点に対する画像を、前記複数の撮像装置で撮影した画像から補間して生成する補間画像生成部と、
前記補間画像生成部で生成した補間画像と前記複数の撮像装置で撮影したオーバラップ部以外の画像とを連結する連結部と、
前記連結部で連結した画像を、出力デバイスに出力する出力部と、
を有する画像処理装置。
【請求項3】
前記補間画像において、一方の撮像装置で撮影した画像に連結した側に近いほど、当該一方の撮像装置に近い仮想視点となり、他方の撮像装置で撮影した画像に連結した側に近いほど、当該他方の撮像装置に近い仮想視点となる請求項1又は請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記補間画像の幅寸法に依存する画素数と同の仮想視点を設定する請求項1~請求項3の何れか1項記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記仮想視点は、前記オーバラップ部を撮影した複数の撮像装置の視点位置の内分点上である請求項1~請求項4の何れか1項記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記補間画像生成部が、画像間の視差を検出し、当該視差を検出した対象となる画像を変形して仮想視点に対する視差調整を実行する請求項1~請求項5の何れか1項記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記オーバラップ部の被写体の距離を検出する距離画像検出部をさらに有する請求項1~請求項6の何れか1項記載の画像処理装置。
【請求項8】
コンピュータを、
請求項1~請求項6の何れか1項記載の画像処理装置として動作させる、
画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分割して撮像した車両周囲画像を合成する画像処理装置、画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
間隔を置いて設置された2台以上のカメラで撮影した画像に重複領域(オーバーラップ部)を設け、合成する技術では、基本的に予め定めた仮想スクリーン(投影位置)を基準として画像のずれを補正する。
【0003】
このとき、仮想スクリーンよりも手前側には、表示されない死角が存在し、かつ、仮想スクリーンよりも奥側には、被写体が二重像となる領域が存在する場合がある。
【0004】
この重複画像の撮影元である2台のカメラの間隔が広くなれば死角が増え、及び二重像のずれ量が拡大する。
【0005】
特許文献1には、低コストで、より広範囲の多数の視点から見た画像を提供することが記載されている。
【0006】
より詳細には、複数のカメラにより被写体の画像を撮影する撮影部と、前記撮影された画像に基づいて、前記複数のカメラの全部または一部の位置を結んだ複数の線分により構成される面内の任意の位置において撮影された画像を補完する画像補完部と、前記複数のカメラにより撮影された画像および前記補完された画像により構成されるカメラ面画像に基づいて、前記複数のカメラのそれぞれに共通する撮影範囲内の任意の点から撮影された被写体の画像を生成する任意視点画像生成部とを備えることが記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、合成画像の境界線上の物体の周縁のずれ量を少なくすることが記載されている。
【0008】
より詳細には、画像投影スクリーン設定部は、仮想視点と消失点とを結ぶ仮想視線に垂直な投影スクリーンを仮想視点との距離を変えて複数設定する。画像合成部は、各投影スクリーンについて、仮想視線と平行で所定距離を隔てた境界面と投影スクリーンとの交線を境界とし、後方画像、左後側方画像及び右後側方画像を投影スクリーンに投影し、合成画像の候補を複数形成する。画像評価部は、各合成画像について合成画像中で境界上の物体の周縁のずれ量を評価し、画像選択部は、各合成画像中でずれ量が最も少ない合成画像を選択する。これにより、合成画像の境界上の物体の周縁のずれ量を少なくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2012-244527号公報
【文献】特開2013-118508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、例えば、特許文献1の技術では、複数のカメラの全部または一部の位置を結んだ複数の線分により構成される面内の任意の位置において撮影された画像を補間(引用文献1では補完とあるが、ここでは、同義とする。)することは記載されているが、複数のカメラが単一の視点を囲むように円弧状に配置され、3D動画における、カメラ間の画像の補間を行うものであり、死角や二重像の解消については明確な記載はない。また、二次元画像(静止画及び動画を含む)について、複数台のカメラを用いて視野を拡大する画像の補間については記載されておらず、示唆もされていない。
【0011】
一方、例えば、特許文献2の技術では、2台のカメラで撮影した画像のつなぎ目についてのずれ量を軽減することが記載されているが、重複画像領域の死角や二重像の解消については明確な記載はない。
【0012】
本発明は、複数台のカメラで撮像した重複部分を含む画像を合成して視野を広げる場合に、重複撮影部分での死角及び二重像を軽減することができる画像処理装置、画像処理プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、複数の撮像装置により撮影するときに、相互の撮影領域が重なるオーバラップ部が形成されるように撮影した複数の画像を合成して、広視野画像を生成する画像処理装置であって、複数の撮像装置で撮影した画像を取得する取得部と、前記オーバラップ部に対して、少なくとも1つの仮想視点を設定する仮想視点設定部と、前記仮想視点設定部で設定された仮想視点に対する画像を、前記複数の撮像装置で撮影した画像から補間して生成する補間画像生成部と、前記補間画像生成部で生成した補間画像と前記複数の撮像装置で撮影したオーバラップ部以外の画像とを連結する連結部と、を有している。
【0014】
本発明によれば、取得部で複数の撮像装置で撮影した画像を取得し、仮想視点設定部において、オーバラップ部に対して、少なくとも1つの仮想視点を設定する。
【0015】
補間画像生成部では、仮想視点設定部で設定された仮想視点に対する画像を、複数の撮像装置で撮影した画像から補間して生成する。
【0016】
連結部では、補間画像生成部で生成した前記補間画像と、前記複数の撮像装置で撮影したオーバラップ部以外の画像とを連結する。
【0017】
仮想視点を設けることで、被写体の二重像が発生したり、被写体が消失するといった不具合のない広視野画像を得ることができる。
【0018】
本発明は、車両における運転者の視野の補助となり得る画像を、相互の撮影領域が重なるオーバラップ部が形成されるように分割して、複数の撮像装置で撮影した画像を取得する取得部と、前記オーバラップ部に対して、少なくとも1つの仮想視点を設定する仮想視点設定部と、前記仮想視点設定部で設定された仮想視点に対する画像を、前記複数の撮像装置で撮影した画像から補間して生成する補間画像生成部と、前記補間画像生成部で生成した補間画像と前記複数の撮像装置で撮影したオーバラップ部以外の画像とを連結する連結部と、前記連結部で連結した画像を、出力デバイスに出力する出力部と、を有している。
【0019】
本発明によれば、車両における運転者の視野の補助となり得る画像として、後方視界を挙げることができる。車両の運転中の後方は死角がある場合がある。そこで、本発明の画像処理装置を用いることで、被写体の二重像が発生したり、被写体が消失することのない後方確認用支援画像を提供することができる。
【0020】
本発明において、前記補間画像において、一方の撮像装置で撮影した画像に連結した側に近いほど、当該一方の撮像装置に近い仮想視点となり、他方の撮像装置で撮影した画像に連結した側に近いほど、当該他方の撮像装置に近い仮想視点となることを特徴としている。
【0021】
本発明において、前記補間画像の幅寸法に依存する画素数と同一の仮想視点を設定することを特徴としている。
【0022】
本発明において、前記仮想視点は、前記オーバラップ部を撮影した複数の撮像装置の視点位置の内分点上であることを特徴としている。
【0023】
本発明において、前記補間画像生成部が、画像間の視差を検出し、当該視差を検出した対象となる画像を変形して仮想視点に対する視差調整を実行することを特徴としている。
【0024】
視差を調整するように画像変形することで、二重画像は完全に解消される。
【0025】
本発明において、前記オーバラップ部の被写体の距離を検出する距離画像検出部をさらに有する。
【0026】
距離画像検出部を用いることで、画像処理における視差検出の演算処理負担を軽減することができ、かつ、より高品質な補間画像を生成することができる。
【0027】
本発明に係る画像処理プログラムは、コンピュータを、上記の何れかの画像処理装置として動作させる。
【0028】
なお、補間画像生成部によける各仮想視点の画像の生成処理には、例えば、視点補間(viewpoint interpolation)技術が適用可能である。
【発明の効果】
【0029】
以上説明した如く本発明では、複数台のカメラで撮像した重複部分を含む画像を合成して視野を広げる場合に、重複撮影部分での死角及び二重像を軽減することができるという効果を奏する。また、上記効果に加え、十分な数の仮想視点を設定すれば段差の見られない連結画像を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1の実施の形態に係る画像処理装置の構成を示す概略構成図である。
図2】第1の実施の形態に係る画像処理装置に適用された2台のカメラを光軸に交差する方向から見たときの、仮想カメラの配列状態を示す正面図である。
図3図1に示す画像処理装置における視点補間画像生成部の詳細を示す概略構成図である。
図4】第1の実施の形態に係る画像処理装置の処理の流れを示す制御フローチャートである。
図5】(A)は第1の実施の形態に係る仮想カメラアレイ方式の合成処理及びオーバラップ部の視点生成処理の結果を示す概念図、(B)はその比較例であり、2台のカメラの撮影画像の合成処理の結果を示す概念図である。
図6】本発明の仮想カメラアレイ方式の画像合成の原理を説明するカメラを光軸に交差する方向から見たときの正面図であり、(A)2台の実カメラの撮影画像の合成時の二重像のずれ幅W0を示し、(B)は2台の実カメラの間に1台の仮想カメラを設定した場合の二重像のずれ幅W1を示し、(C)は2台の実カメラの間に3台の仮想カメラを設定した場合の二重像のずれ幅W2を示す。
図7】第1の実施の形態における、死角解消の原理を示すためのカメラを光軸に交差する方向から見たときの正面図である。
図8】第1の実施の形態の変形例に係る画像処理装置の概略構成図である。
図9】第2の実施の形態に係る車両が示されており、(A)は車両の平面図、(B)は車両の側面図である。
図10】第2の実施の形態に係る車両の室内を、後席中央から前席を見たときの概略図である。
図11】(A)は第2の実施の形態に係る車両に適用された3台のカメラを光軸に交差する方向から見たときの、仮想カメラの配列状態を示す正面図、(B)は第2の実施の形態に係る仮想カメラアレイ方式の合成処理及びオーバラップ部の視点生成処理の結果を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
「第1の実施の形態」
【0032】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る仮想カメラアレイを利用した画像処理装置100が示されている。
【0033】
画像処理装置100には、実装カメラとしてLカメラ102とRカメラ104を備えている。画像処理装置100では、Lカメラ102とRカメラ104で撮影した画像を合成して、モニタ部106へ出力する。
【0034】
モニタ部106は、表示ドライバ108及び表示画面110を備えており、画像処理装置100から受け付けた画像情報に基づいて、表示画面110に合成画像を表示する。
【0035】
図2に示される如く、Lカメラ102とRカメラ104とは、図2の正面からみて左右方向に並ぶように配置されている。なお、第1の実施の形態では、Lカメラ102とRカメラ104とは、相対的な位置関係で左(L)及び右(R)に区別しているが、図2の奥行き方向(縦方向)に並ぶように配置してもよい。Lカメラ102及びRカメラ104はそれぞれ、図2の一点鎖線で示される視野範囲WL、WRを持っている。その内、後述する仮想スクリーン114に反映される画像を斜線で示している(図5においても同様)。表示画像として利用される。
【0036】
なお、図2に示される如く、Lカメラ102及びRカメラ104は、それぞれの光軸が平行ではなく、互いに外向きとなっており、Lカメラ102及びRカメラ104の視界を異ならせることが好ましい。なお、Lカメラ102及びRカメラ104のそれぞれの光軸を互いに外向きとしたが、平行であってもよい。
【0037】
Lカメラ102及びRカメラ104による撮影画像には、オーバラップ部112(図2参照)が存在する。
【0038】
オーバラップ部112では、Lカメラ102の画像情報とRカメラ104の画像情報とを単純に合成すると、相互の視差に起因して、仮想スクリーン114の奥側の被写体が二重にみえる(二重像)現象が発生する。二重像は、Lカメラ102とRカメラ104との間隔(距離)に依存する(詳細は、図6にて後述)。
【0039】
また、Lカメラ102の画像情報とRカメラ104の画像情報とを単純に合成すると、仮想スクリーン114よりも手前側に死角領域116(図2参照)が存在する。
【0040】
第1の実施の形態では、Lカメラ102の撮影画像とRカメラとの撮影画像(図2の視野範囲WL、WRを含む)とから、視差を調整した仮想的な視点での画像を生成し、二重像の発生、及び死角領域116を軽減するようにした。なお、視点の生成は等間隔でもよいが、視点間隔を狭くすることで、つなぎ目を目立たなくすることができる。さらに、生成画像のLカメラ102の撮影画像のオーバラップ部以外と連結される側では、仮想視点をLカメラ102の位置近傍、生成画像のRカメラ104の撮影画像のオーバラップ部以外と連結される側では、仮想視点をRカメラ104の位置近傍とすることで、画像連結部で結合される部分での繋ぎ目を目立たなくすることができる。
【0041】
図1に示される如く、Lカメラ102及びRカメラ104は、それぞれ画像処理装置100の視点補間画像生成部118に接続されている。視点補間画像生成部118では、Lカメラ102とRカメラ104との間に仮想的な視点を生成し、当該仮想的な視点からみた画像を補間画像として生成する。
【0042】
すなわち、図2に示される如く、Lカメラ102とRカメラ104との間には、各視点での補間画像を撮影する仮想カメラ120が設置されているということができる。仮想カメラ120の数は、視点位置指示部122によって指示される。仮想カメラ120の数は、1以上であり、実用的な最大数は生成されるオーバラップ部の画像幅に依存する。この場合、生成画像の1画素幅毎に異なる仮想視点が設定される。仮想カメラ120の数の設定は、Lカメラ102及びRカメラ104で撮影する被写体や精度条件(例えば、二重像のずれ幅の制限)等によって定めればよい。
【0043】
視点位置指示部122は、視点補間画像生成部118に接続されており、Lカメラ102及びRカメラ104で撮影した画像に基づいて、仮想カメラ120の数及び位置を決定する。視点位置はLカメラ102の位置とRカメラ104の位置の内分比をt:1-tとする値tで示され、オーバラップ部の各画素(x,y)毎に対応するtを示すマップt(x,y)として視点位置情報を視差検出部128及び画像混合部136に搬出される。
【0044】
このtは0~1の数値(小数)であり、例えば、t=0はLカメラ102の位置となり、t=1はRカメラ104の位置となる。従って、画像連結部124でLカメラ102単独で撮影された領域画像に連結される側では0に近い値をとり、反対に、Rカメラ104単独で撮影された領域画像に連結される側では1に近い値を取り、その間は連続的に変化する。例えば中間位置ではt=0.5となる。
【0045】
視点補間画像生成部118では、設定された仮想カメラ120の数に応じて生成された補間画像(図2における仮想カメラ光軸(視点)群参照)を画像連結部124へ送出する。
【0046】
画像連結部124には、Lカメラ102及びRカメラ104の撮影画像も入力されている。画像連結部124では、Lカメラ102の撮影画像、Rカメラ104の撮影画像、及び複数の補間画像を連結する。
【0047】
画像連結部124で連結することで生成された合成画像は、出力部126へ出力され、前述したようにモニタ部106の表示画面110に表示される。
【0048】
(視点補間画像生成部118の詳細)
【0049】
図3は、図2の視点補間画像生成部118における、視点位置指示部122からの視点指示に応じた補間画像の生成に関する演算処理の詳細を示した概略構成図である。
【0050】
図3に示される如く、Lカメラ102及びRカメラ104の撮影画像は、それぞれ視差検出部128に入力される。この視差検出部128には、視点位置指示部122からの視点指示情報が入力される。
【0051】
視差検出部128では、以下の(1)式及び(2)式に基づいて、Lカメラ102とRカメラ104との撮影画像の視差マップdを演算する。なお、x、yは、二次元の画像の座標である。Lカメラ102を基準とした視差マップd(x,y)を次のように求める。
【0052】
【数1】
【0053】
この視差マップd(x,y)はL画像の各画素L(x,y)を-d(x,y)画素幅横に移動した際にR画像と一致するような値のマップである。実際には数学的に完全に一致するわけではなく、ステレオマッチングとして知られる手法によって算出される。ステレオマッチングにはブロックマッチングやセミグローバルブロックマッチング等各種手法が存在するが、本発明はステレオマッチングの手法を限定するものではない。
【0054】
同様に、Rカメラ104を基準とした視差マップd(x,y)を次のように求める。
【0055】
【数2】
【0056】
(1)式はLカメラ102を基準とした視差であり、(2)式はRカメラ104を基準とした視差であり、双方共、ほぼ計算結果は一致するが、Lカメラ102でしか撮影されない領域、Rカメラ104でしか撮影されない領域等の存在により、(1)式及び(2)式を併用することが好ましい。
【0057】
視差検出部128での演算結果において、(1)式の演算結果は、Lカメラ102用の視差調整部130に送出され、(2)式の演算結果は、Rカメラ104用の視差調整部132に送出される。
【0058】
視差調整部130、132には、それぞれ視点位置指示部122からの視点位置情報が入力されている。
【0059】
(Lカメラ102の視差調整)
【0060】
Lカメラ102用の視差調整部130では、(1)式の演算結果と視点位置情報とに基づき、視差調整のための変形量dLの演算を(3)式により実行する。
【0061】
【数3】
【0062】
視差調整部130での演算結果は、Lカメラ102用の画像変形部134に送出される。画像変形部134には、Lカメラ102で撮影された画像情報が入力されている。
【0063】
画像変形部134では、視差調整部130での(3)式の演算結果と、Lカメラ102の画像情報とに基づき、Lカメラ102で撮影した画像の視差を補正するための変形処理を、(4)式により実行する。
【0064】
【数4】
【0065】
画像変形部134で実行された変形処理後のLカメラ102の画像情報は、画像混合部136へ送出される。
【0066】
(Rカメラ104の視差調整)
【0067】
Rカメラ104用の視差調整部132では、(1)式の演算結果と視点位置情報とに基づき、視差調整のための変形量dRの演算を(5)式により実行する。
【0068】
【数5】
【0069】
視差調整部132での演算結果は、Rカメラ104用の画像変形部138に送出される。画像変形部138には、Rカメラ104で撮影された画像情報が入力されている。
【0070】
画像変形部138では、視差調整部132での(5)式の演算結果と、Rカメラ104の画像情報とに基づき、Rカメラ104で撮影した画像の視差を補正するための変形処理を、(6)式により実行する。
【0071】
【数6】
【0072】
画像変形部138で実行された変形処理後のRカメラ104の画像情報は、画像混合部136へ送出される。
【0073】
画像混合部136には、視点位置指示部122からの視点指示情報が入力されている。
【0074】
画像混合部136では、(7)式に基づき、視点毎の画像(仮想カメラの各視点の画像)を重畳する。
【0075】
【数7】
【0076】
この合成は、α-blending処理として知られる。採用比率(1-t):tをLカメラ102の位置とRカメラ104の位置の内分比の逆とすることで、徐々に変化しカメラ間の画質の差異による段差を解消する。また、画像連結される部分では、ほぼ100%連結されるカメラ画像が採用されるため、連結される画像間の段差も解消される。
【0077】
画像混合部136で重畳されたオーバラップ部の補間画像I(x,y)は、補間画像格納部140へ一時的に格納され、所定のタイミング(Lカメラ102の画像とRカメラ104の画像との間での同期をとった状態)で、前述した画像連結部124へ送出される。なお、カメラ間の同期は、視差検出部128よりも前で実行しておく必要がある。
【0078】
以下に、第1の実施の形態の作用を図4のフローチャートに従い説明する。
【0079】
図4は、画像処理装置の処理の流れを示す制御フローチャートである。なお、画像処理は、シングルプロセッサにおいて、所定の制御プログラムに基づき制御してもよいし、(図2及び図3のブロック単位において、1又は複数の処理を、マルチプロセッサで並行処理してもよいし、或いは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のような特定用途向けの集積回路を組み合わせた処理基板を作成して並行処理してもよい。
【0080】
図4に示される如く、ステップ150では、Lカメラ102及びRカメラ104で撮影した画像を取り込み、次いで、ステップ152へ移行して、視点位置指示情報を取り込み、ステップ154へ移行する。
【0081】
ステップ154では、Lカメラ102基準の視差検出処理と、Rカメラ104基準の視差検出処理と、が実行される。
【0082】
次のステップ156では、Lカメラ102基準の視差に基づく視差調整処理と、Rカメラ104基準の視差に基づく視差調整処理と、が実行される。
【0083】
次のステップ158では、Lカメラ102基準の画像変形処理と、Rカメラ104基準の画像変形処理と、が実行される。
【0084】
なお、ステップ154の視差検出処理、ステップ156の視差調整処理、及びステップ158の画像変形処理において、処理時間短縮のために、Lカメラ102基準及びRカメラ基準での各処理を並行処理することが好ましい。
【0085】
次のステップ160では、ステップ158で変形処理された、Lカメラ102基準の及びRカメラ104基準のオーバラップ部の画像を混合して補間画像を生成し、ステップ162へ移行して、当該補間画像を補間画像格納部140(図3参照)へ一時的に格納する。
【0086】
次のステップ164では、Lカメラ102の撮影画像及びRカメラ104で撮影した画像の非オーバラップ部分を取り込み、次いで、ステップ166で補間画像格納部140(図3参照)に格納した補間画像を読み出して、ステップ168へ移行する。
【0087】
ステップ168では、Lカメラ102の撮影画像、Rカメラ104の撮影画像、及び補間画像を連結し、ステップ170へ移行する。
【0088】
ステップ170では、画像表示処理が実行される。画像表示処理は、画像連結部124(図1参照)で連結した連結画像を、出力部126を介してモニタ部106へ出力し、表示ドライバ108の駆動により、表示画面110に連結画像を表示する。
【0089】
次のステップ172では、画像処理装置100の電源がオフされたか否かを判断し、否定判定された場合は、ステップ150へ戻り、上記工程を繰り返すことで、動画が表示される。また、ステップ172で肯定判定された場合は、このルーチンは終了する。
【0090】
図5は、Lカメラ102及びRカメラ104の合成処理においてオーバラップ部112に仮想カメラ設定した場合(第1の実施の形態、図5(A)参照)と、2台のLカメラ102とRカメラ104を単純に合成した場合(比較例、図5(B)参照)と、を比較したものである。なお、比較例は、例えば、第1の実施の形態における画像混合部136で用いた、α-blending処理による画像合成処理が適用可能である。
【0091】
図5(B)の比較例では、仮想スクリーン114の奥側にあるオーバラップ部112の被写体142がLカメラ102及びRカメラ104でも撮影され、仮想スクリーン114上の表示されることになり、視差が発生して二重像となる。
【0092】
一方、図5(A)の第1の実施の形態では、被写体142は、複数設定した仮想カメラ120の一部で撮影されるため、二重像が解消されている。
【0093】
なお、被写体が、単一の仮想カメラ120で撮影されることが好ましいが、実際は2つの仮想カメラ120となることが多い。しかし、その視差は極めて小さいため、多少の歪みは発生する場合もあるが、二重像にはならない。
【0094】
(仮想カメラ120の設定による二重像解消の原理)
【0095】
図6において、Lカメラ102とRカメラ104との実装のカメラの間に、仮想カメラ120を設定した場合に、特に二重像が解消される原理を説明する。
【0096】
図6(A)は、2台の実装カメラ(Lカメラ102及びRカメラ104)の撮影画像を例えば、図5(B)の比較例で適用したα-blending処理により合成した場合をしめしており、二重像のずれ幅がW0となっている。
【0097】
図6(B)は、図6(A)の構成において、Lカメラ102及びRカメラ104の間に1台の仮想カメラ120を設定した場合であり、この図6(B)においても二重像は発生している。
【0098】
しかしながら、1個の仮想カメラ120を設定したことで、仮想カメラ120を設定しない構成(図6(A)参照)に対して、図6(B)における二重像のずれ幅W1は、図6(A)の二重像のずれ幅W0の1/2となっている(W1=0.5×W1)。
【0099】
続いて、図6(C)は、図6(B)の構成において、Lカメラ102、Rカメラ104、及び仮想カメラ120の間に、さらに、仮想カメラ120を設定した場合であり、都合、Lカメラ102及びRカメラ104の間に3台の仮想カメラ120が設定されたことになる。この図6(C)においても二重像は発生している。
【0100】
しかしながら、3個の仮想カメラ120を設定したことで、仮想カメラ120を設定しない構成(図6(A)参照)に対して、図6(C)における二重像のずれ幅W2は、図6(B)の二重像のずれ幅W1の1/4となっている(W2=0.5×(0.5×W0)=0.25×W0)。
【0101】
すなわち、Lカメラ102とRカメラ104との間隔(距離)が短くなるにつれて(比例して)、二重像のずれ幅は小さくなる。そこで、必要数の仮想カメラ120を設定することで、当該設定数分に応じて視差が減少し、二重像を解消することができる。
【0102】
なお、仮想カメラ120は、1個を設定する時点で効果があり(二重像のずれ幅が半減)、最大、オーバラップ画像の幅に依存して設定可能である。仮想カメラ120の設定数は、撮影した画像の用途の精度条件等によって設定すればよい。
【0103】
なお、第1の実施の形態において、仮想カメラ120の視点の画像を生成するとき、Lカメラ102の撮影画像と、Rカメラ104の撮影画像とを併用したが、この併用によって、図7に示される如く、Lカメラ102の死角と、Rカメラ104の死角と、を一方が他方を互いに補うことになるため、仮想カメラ120での死角を解消することができる。
【0104】
(変形例)
【0105】
図8は、第1の実施の形態の変形例に係る画像処理装置100の概略構成図である。第1の実施の形態の画像処理装置100(図3参照)と同一構成部分は、同一の符号を付して、その構成の説明を省略する。
【0106】
第1の実施の形態では、視点位置指示部122からの視点位置指示情報に基づいて、視差を検出した。
【0107】
一方、変形例では、視差検出の情報提供のデバイスとして、距離画像生成部144を設けた点にある。
【0108】
距離画像生成部144は、可視光レーダー、赤外線レーダー、Lidar(Light Detection And Ranging)、プロジェクタを利用した三角法、及び、Time of Fight法等が適用可能である。
【0109】
距離画像生成部144では、「Depth map」を生成し(z(x,y))、視点補間画像生成部118の視差検出部128へ送出する。
【0110】
視差検出部128では、複雑な演算((1)式及び(2)式を行うことなく、視差マップdを検出することができる。
【0111】
「第2の実施の形態」
【0112】
以下に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0113】
図9には、本実施の形態に係る車両10が示されており、(A)は車両10の平面図、(B)は車両10の側面図である。
【0114】
図9(A)に示される如く、車両10の前進方向右側面には、右カメラアダプタ12が取り付けられている。右カメラアダプタ12には、光軸が車両10の右後方に向けられたRHカメラヘッド14が取り付けられている。RHカメラヘッド14では、図9(A)の一点鎖線Rで囲まれた領域ARを撮像する。
【0115】
また、図9(A)に示される如く、車両10の前進方向左側面には、左カメラアダプタ16が突出されている。左カメラアダプタ16には、光軸が車両10の左後方に向けられたLHカメラヘッド18が取り付けられている。LHカメラヘッド18では、図9(A)の一点鎖線Lで囲まれた領域ALを撮像する。
【0116】
さらに、図9(A)に示される如く、車両10の後部における、車両幅方向中央部には、光軸が車両10の後方(光軸が路面に略水平)に向けられたRRカメラヘッド20が取り付けられている。RRカメラヘッド20では、図9(A)の一点鎖線Cで囲まれた領域ACを撮像する。
【0117】
ここで、領域ARと領域ACとは、それぞれ一部が重なっており、撮像される画像の一部が重複している。また、領域ALと領域ACとは、それぞれ一部が重なっており、撮像される画像の一部が重複している。
【0118】
図9(B)に示される如く、車両10の後部には、RRカメラヘッド20とは別に、後進専用カメラ22が取り付けられている。後進専用カメラ22は、一点鎖線Bで囲まれた領域ABを撮像するようになっており、撮像画像は、車両10が後進する際に、車室内の情報表示用モニタ24(図10参照)に表示されるようになっている。領域ABは、車両10の後方端部(例えば、後部バンパ)を含むように光軸が設定され、RRカメラヘッド20の光軸よりも下向きとされる。
【0119】
すなわち、前述したRHカメラヘッド14、LHカメラヘッド18、及びRRカメラヘッド20には、車両10の通常走行(前進及び後進、停車を問わず)の運転者の支援として用いられるのに対し、後進専用カメラ22は、車両10の後進時に特化して運転者の支援として用いられるものであり、用途が互いに異なるものである。
【0120】
図10は、車両10の室内を、後席中央から前席を見たときの概略図である。
【0121】
車両10の右サイドウィンドウ部26の前方には、前述した右カメラアダプタ12が位置しており、RHカメラヘッド14が取り付けられている。
【0122】
右サイドウィンドウ部26とフロントウィンドウ部28との間に位置する右サイドAピラー30の下部には、RHモニタ32が取り付けられている。RHモニタ32には、RHカメラヘッド14で撮像された車両右後方の領域AR(図9(A)参照)の画像が鏡面反転処理された状態で表示されるようになっている。すなわち、RHカメラヘッド14とRHモニタ32は、光学式の右サイドドアミラーと同等の役目を有する。
【0123】
車両10の左サイドウィンドウ部34の前方には、前述した左カメラアダプタ16が位置しており、LHカメラヘッド18が取り付けられている。
【0124】
左サイドウィンドウ部34とフロントウィンドウ部28との間に位置する左サイドAピラー36の下部には、LHモニタ38が取り付けられている。LHモニタ38には、LHカメラヘッド18で撮像された車両右後方の領域AL(図9(A)参照)の画像が鏡面反転処理された状態で表示されるようになっている。すなわち、LHカメラヘッド18とLHモニタ38は、光学式の左サイドドアミラーと同等の役目を有する。
【0125】
また、車室内における、センターコンソール部40の上部には、情報表示用モニタ24が取り付けられている。情報表示用モニタ24は、車両10のトランスミッション(図示省略)のシフトレバー42が後進レンジ(Rレンジ)に入っているときに、後進専用カメラ22で撮像した画像を表示する。
【0126】
情報表示用モニタ24は多機能モニタとして利用されるものであり、上記車両後方画像の表示以外に、例えば、図示しないナビゲーションシステムやオーディオシステムと連携し、切り替え操作によって、ナビゲーション画面(ナビゲーション情報画面等)やオーディオ画面(音楽に関する情報画面等)を表示する。例えば、ナビゲーション画面では、車両10に搭載したGPS機能で取得した位置情報に基づき、地図画像と共に自車の走行位置を地図画像上に表示する。なお、情報表示用モニタ24がタッチパネルの場合は、入力デバイスとしての機能を併せ持つ。
【0127】
ここで、本実施の形態の車両10のフロントウィンドウ部28の中央上部(又は、天井部)には、ルームミラー部44が取り付けられている。
【0128】
ルームミラー部44は、光学式の鏡面となる鏡面機能と、画像を表示するモニタ機能(第1の実施の形態で示したモニタ部106(図1参照)に相当)を併せ持っている。
【0129】
鏡面機能では、運転中の運転者等の視野の範囲(目線の移動)で車両後方の状況を確認することができる。
【0130】
一方、モニタ機能では、前記RHカメラヘッド14、LHカメラヘッド18、及びRRカメラヘッド20で撮像した画像の合成画像を表示することができる。
【0131】
上記車両10に搭載されたRHカメラヘッド14、LHカメラヘッド18、及びRRカメラヘッド20は、図9に示される如く、領域ARと領域ACとの重複部分(第1オーバラップ部50A)と、領域ALと領域ACとの重複部分(第2オーバラップ部50B)と、が存在している。言い換えれば、本発明の仮想カメラ120を設定し得るオーバラップ部が、2箇所存在することになる。
【0132】
これを、第1の実施の形態のLカメラ102とRカメラ104(図2参照)との構成に置き換えると、第1オーバラップ部50Aは、LHカメラヘッド18がLカメラ102であり、RRカメラヘッド20がRカメラ104となる。
【0133】
一方、第2オーバラップ部50Bは、Rカメラヘッド20がLカメラ102であり、RHカメラヘッド14がRカメラ104となる。
【0134】
第2の実施の形態では、図11(A)この2箇所のオーバラップ部(第1オーバラップ部50A及び第2オーバラップ部50B)のそれぞれで、仮想カメラ120を設定した。
【0135】
第2の実施の形態においても、第1オーバラップ部50Aと第2オーバラップ部50Bとのそれぞれにおいて、第1の実施の形態で説明した画像処理装置100(図3参照)を適用して、視差を検出し、検出した視差を調整し、実装したカメラの画像を変形し、それぞれのオーバラップ部(第1オーバラップ部50A及び第2オーバラップ部50B)で画像を重畳し、補間画像を生成することで、図11(B)に示される如く、被写体142の仮想スクリーン114上での二重像の発生を解消(軽減)することができる。
【0136】
なお、参考として、表1に、第1の実施の形態のオーバラップ部112において、仮想カメラ120による補間画像生成するための実装のカメラ(Lカメラ102、Rカメラ104)と、第2の実施の形態のオーバラップ部(第1オーバラップ部50A及び第2オーバラップ部50B)のそれぞれにおいて、仮想カメラ120による補間画像生成するための実装のカメラ(RHカメラヘッド14、LHカメラヘッド18、RRカメラヘッド20)と、の対照関係を示す。
【0137】
【表1】
【0138】
なお、第2の実施の形態において、実装するカメラを、RHカメラヘッド14、LHカメラヘッド18、RRカメラヘッド20としたが、実装するカメラ数や設置場所は限定されるものではない。例えば、RRカメラ20を車両10の中央ではなく、左右に分散しての一対のRRカメラを設けてもよい(合計4個の実装カメラと3箇所のオーバラップ部)。
【0139】
また、第2の実施の形態では、車両10の後方の画像を撮影し、運転の支援をするためにルームミラー部44に表示するようにしたが、本発明の画像処理装置は、監視カメラ等にも適用可能である。
【0140】
例えば、ある領域を複数の監視カメラで分割して撮影して監視する場合、モニタ上には、各監視カメラの映像がマルチに表示されており(或いは、定期的に切り替わって表示されており)、監視者は、それぞれの画像に順次視線を向ける必要があった。そこで、複数の監視カメラの撮影領域にオーバラップ部を設け、本発明の画像処理装置により合成することで、二重像が発生したり、被写体が消失することのない単一の広視野の画像を生成することができ、監視者の視点の移動を最小限に押さえることができる。
【符号の説明】
【0141】
「第1の実施の形態」
100 画像処理装置
102 Lカメラ(撮像装置)
104 Rカメラ(撮像装置)
106 モニタ部
108 表示ドライバ
110 表示画面
112 オーバラップ部
114 仮想スクリーン
116 死角領域
118 視点補間画像生成部
120 仮想カメラ
122 視点位置指示部
124 画像連結部(連結部)
126 出力部
128 視差検出部(取得部、仮想視点設定部)
130、132 視差調整部
134、138 画像変形部
136 画像混合部(補間画像生成部)
140 補間画像格納部
142 被写体
144 距離画像生成部
「第2の実施の形態」
10 車両
12 右カメラアダプタ(撮像装置)
14 RHカメラヘッド(撮像装置)
16 左カメラアダプタ(撮像装置)
18 LHカメラヘッド
20 RRカメラヘッド
22 後進専用カメラ
24 情報表示用モニタ
26 右サイドウィンドウ部
28 フロントウィンドウ部
30 右サイドAピラー
32 RHモニタ
34 左サイドウィンドウ部
36 左サイドAピラー
38 LHモニタ
40 センターコンソール部
42 シフトレバー
44 ルームミラー部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11