IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-冷蔵庫 図1
  • 特許-冷蔵庫 図2
  • 特許-冷蔵庫 図3
  • 特許-冷蔵庫 図4
  • 特許-冷蔵庫 図5
  • 特許-冷蔵庫 図6
  • 特許-冷蔵庫 図7
  • 特許-冷蔵庫 図8
  • 特許-冷蔵庫 図9
  • 特許-冷蔵庫 図10
  • 特許-冷蔵庫 図11
  • 特許-冷蔵庫 図12
  • 特許-冷蔵庫 図13
  • 特許-冷蔵庫 図14A
  • 特許-冷蔵庫 図14B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20240226BHJP
   F25D 23/12 20060101ALI20240226BHJP
   F25D 11/02 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
F25D23/00 301Z
F25D23/12 S
F25D11/02 L
F25D23/00 301Q
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019186146
(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公開番号】P2021060172
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】南部 桂
(72)【発明者】
【氏名】森 貴代志
(72)【発明者】
【氏名】平井 剛樹
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-016339(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109000409(CN,A)
【文献】特開昭62-288474(JP,A)
【文献】特開2009-216372(JP,A)
【文献】特開2000-039256(JP,A)
【文献】実開昭58-146394(JP,U)
【文献】実開昭48-030841(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00
F25D 23/12
F25D 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保存物を収納可能で冷却可能な貯蔵空間を有する少なくとも一つの貯蔵室と、前記貯蔵室に冷気を供給する冷却機構と、前記冷却機構からの冷気を前記貯蔵室内に導入する風路と、前記保存物を加熱する高周波電界を前記貯蔵室内に形成する発振電極及び対向電極と、前記発振電極と対向電極とに通電して高周波電界を形成させる制御部と、を備え、前記貯蔵空間は前記発振電極及び前記対向電極と対向する冷凍/解凍エリアである第1空間部と、発振電極および対向電極が存在しない冷凍エリアである第2空間部と、を含み、前記第1空間部と前記第2空間部とは前記貯蔵空間を左右に配置し、前記第1空間部側に前記発振電極と前記対向電極とを有し、前記第2空間部側に前記風路を有し、前記第1空間部に被解凍品の投入位置を示す表示を設けた冷蔵庫。
【請求項2】
前記貯蔵室は、前記第1空間部と前記第2空間部との間に食材がそれぞれの空間部から水平移動しないように規制する位置規制構造を備えた請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記位置規制構造は、前記第1空間部の前記発振電極または前記対向電極と相対する箇所を前記第2空間部の箇所よりも高く設けるようにした凸型位置規制構造とした請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記位置規制構造は、前記第1空間部の前記発振電極または前記対向電極と相対する箇所を第2空間部よりも低く設けるようにした凹型位置規制構造とした請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記貯蔵室の前記位置規制構造は、上側の面に略鉛直方向に突出した垂直壁型位置規制構造とした、請求項2から4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記投入位置を示す表示は、被解凍品投入位置に接する面を摩擦係数の大きな素材による面状表示または凹凸形状をもつ滑り防止面とした請求項1から5のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記貯蔵室は、前記第1空間部に冷凍温度で柔軟性を有した誘電体である軟性構造体を
設けた請求項1から6のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
保存物を収納可能で冷却可能な貯蔵空間を有する少なくとも一つの貯蔵室と、前記貯蔵室に冷気を供給する冷却機構と、前記冷却機構からの冷気を前記貯蔵室内に導入する風路と、前記保存物を加熱する高周波電界を前記貯蔵室内に形成する発振電極及び対向電極と、前記発振電極と対向電極とに通電して高周波電界を形成させる制御部と、を備え、前記貯蔵空間は前記発振電極及び前記対向電極と対向する冷凍/解凍エリアである第1空間部と、発振電極および対向電極が存在しない冷凍エリアである第2空間部と、を含み、前記第1空間部と前記第2空間部とは前記貯蔵空間を左右に配置し、前記第1空間部側に前記発振電極と前記対向電極とを有し、前記第2空間部側に前記風路を有し、前記第2空間部に解凍効果の得られない投入位置を示す非解凍位置表示を設けた冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍機能を備えた冷蔵庫であって、冷凍品を解凍することが可能な貯蔵室を有する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、変温室内に解凍装置を備えた冷蔵庫が示されている。この冷蔵庫は、変温室の上面および下面に解凍装置となる電極板を設けるとともに、下電極板の上に食材配置用のトレーを設けて構成してあり、前述のトレーは2枚の電極板の上下投影位置に限定して設けてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国特許出願公開第109000409号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、冷凍品を解凍することが可能な冷蔵庫において、解凍に対するユーザの手間や所定の冷凍品に対する電極面積の増大を抑制しつつ、ユーザが間違いなく適切な位置に冷凍食品等の保存物を配置して簡単かつ確実に冷凍及び解凍ができるようにした冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の冷蔵庫は、保存物を収納可能で冷却可能な貯蔵空間を有する少なくとも一つの貯蔵室と、前記貯蔵室に冷気を供給する冷却機構と、前記冷却機構からの冷気を前記貯蔵室内に導入する風路と、前記保存物を加熱する高周波電界を前記貯蔵室内に形成する発振電極及び対向電極と、前記発振電極と対向電極とに通電して高周波電界を形成させる制御部と、を備え、前記貯蔵室は前記発振電極と対向電極が対向している冷凍/解凍エリアと前記発振電極と対向電極が対向せず保存物を冷凍状態で収納する冷凍エリアとを併設した構成としてある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、解凍用貯蔵室以外の冷凍室から冷凍食品等の解凍対象品(以下、被解凍品と称す)を取り出して解凍室に移動させる等の手間を省けるとともに、必要とする発振・対向電極の電極面積を貯蔵空間全体の面積よりも小さくして解凍に必要な冷凍品と同程度レベルの小さなものとすることができ、且つ、被解凍品を配置するべき位置を明確に伝えて確実な解凍もできる高効率な冷蔵庫を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1の冷蔵庫の縦断面図
図2】実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室を正面から見た断面図
図3】実施の形態1の冷蔵庫に設けられた誘電加熱機構の構成を示すブロック図
図4】実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室に設けた解凍品の投入位置表示の例を示す断面図
図5】実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室に設けた解凍品の投入位置表示の他の例を示す断面図
図6】実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室に設けた解凍品の投入位置表示の更に他の例を示す断面図
図7】実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室に設けた解凍品の投入位置表示の他の例を示す断面図
図8】実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室に設けた解凍品の非解凍位置表示を示す断面図
図9】実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室に設けた解凍品の投入位置表示の他の例を示す断面図
図10】実施の形態2の冷蔵庫における冷凍/解凍室を正面から見た断面図
図11】実施の形態2の冷蔵庫における冷凍/解凍室に設けた解凍品の投入位置表示の例を示す断面図
図12】実施の形態3の冷蔵庫における冷凍/解凍室に設けた解凍品の投入位置表示を示す断面図
図13】実施の形態4の冷蔵庫における冷凍/解凍室に設けた解凍品の投入位置表示の他の例を示す断面図
図14A】実施の形態5の冷蔵庫における冷凍/解凍室に軟性構造体を設けた断面図
図14B】実施の形態5の冷蔵庫における冷凍/解凍室に軟性構造体を介して解凍品を設けた状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、特許文献1に記載された冷蔵庫が知られていた。この冷蔵庫は、解凍室内の食材を冷却することが出来るものの、ユーザは解凍の度に解凍対象品を、冷凍室から解凍室に移動して投入することになる。そのため解凍に手間がかかり煩雑であるばかりか、ユーザは冷凍室と解凍室の両方の食品在庫を把握する必要があるため、例えば冷凍室の在庫品を見落として長期間放置して冷凍焼けなどの劣化を起こしたり、解凍室で解凍済みの食材を放置して劣化させたり、再冷凍による劣化を引き起こしたりして、結果的にフードロスを生じるリスクがある。また、解凍室の中心からずれた位置に被解凍品を配置しても解凍できるようにする必要があるため、被解凍品を解凍する発振電極と対向電極は被解凍品の大きさの割に大きなものとなっている。このような構成であれば解凍室に設けたトレー上のどこに被解凍品を配置しても解凍することが出来る一方で、電極面積をトレーサイズと同等以上に大きくする必要がある。このトレーと同等以上に電極面積を大きくすることによりトレーに載置する被解凍品の面積と発振・対向電極の面積との差が大きくなり、この差分が大きくなるほど単位面積当たりの加熱能力が小さくなる。つまり、被解凍品の大きさの割に発振・対向電極を大きくして解凍に要する時間がより長くなるか、または消費電力が増大するというデメリットを生じる。
【0009】
発明者らはこのような課題を見出し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0010】
そこで本開示は、被解凍品の冷凍室から解凍室への移動の手間を低減するとともに被解凍品サイズに対して電極面積の増大を抑制して解凍効率を高め、かつ、ユーザが間違いなく適切な位置に被解凍品を配置することができるようにした冷蔵庫を提供する。
【0011】
以下、本発明の冷蔵庫に係る実施の形態として、冷凍機能を備えた冷蔵庫について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本発明の冷蔵庫は、以下の実施の形態において説明する冷蔵庫の構成に限定されるものではなく、冷凍機能のみを有する冷凍庫においても適用可能であり、以下の実施の形態において説明する技術的特徴を有する各種冷蔵庫および冷凍庫を含むものである。従って、本発明において、冷蔵庫とは、冷蔵室、および/または冷凍室を備える構成である。
【0012】
また、以下の実施の形態において示す数値、形状、構成、ステップ、およびステップの順序などは、一例を示すものであり、本発明を限定するものではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。なお、実施の形態においては、変形例においても同じ要素には同じ符号を付して、説明を省略する場合がある。
【0013】
また、図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。
【0014】
(実施の形態1)
以下、本開示の冷蔵庫に係る実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。尚、本開示の冷蔵庫の説明に当たっては、理解を容易にするため各項目ごとに区切って説明していく。
【0015】
[1-1.冷蔵庫の全体構成]
図1は実施の形態1の冷蔵庫1の縦断面を示す図である。図1において、左側が冷蔵庫1の正面側であり、右側が冷蔵庫1の背面側である。冷蔵庫1は、主に鋼板により形成された外箱3と、ABSなどの樹脂で成形された内箱4と、外箱3と内箱4との間の空間に充填発泡された断熱材(例えば、硬質発泡ウレタン)2aとにより形成された断熱箱体2で構成されている。
【0016】
冷蔵庫1の断熱箱体2は複数の貯蔵室を備えており、それぞれの貯蔵室の正面側開口には開閉可能な扉29が配設されている。それぞれの貯蔵室は扉29の閉成により冷気が漏洩しないように密閉される。実施の形態1の冷蔵庫1においては、最上部の貯蔵室が冷蔵室5である。冷蔵室5の直下の両側には、冷凍/解凍室6と製氷室7の2つの貯蔵室が並設されている。更に、製氷室7と冷凍/解凍室6の直下には冷凍室8が設けられており、冷凍室8の直下である最下部には野菜室9が設けられている。
【0017】
実施の形態1の冷蔵庫1における各貯蔵室は、上記の構成を有しているが、この構成は一例であり、各貯蔵室の配置構成は仕様などに応じて設計時に適宜変更可能である。
【0018】
冷蔵室5は、食材などの保存物を冷蔵保存するために凍らない温度、具体的な温度例としては1℃~5℃の温度帯で維持される。野菜室9は、冷蔵室5と同等もしくは若干高い温度帯、例えば2℃~7℃に維持される。冷凍室8は、冷凍保存のために冷凍温度帯、具体的な温度例としては、例えば-22℃~-15℃に設定される。冷凍/解凍室6は、通常は冷凍室8と同じ冷凍温度帯に維持され、ユーザの解凍指令に応じて、収納されている保存物(冷凍品)を解凍するための解凍処理が行われる。冷凍/解凍室6の構成、及び解凍処理に関する詳細については後述する。
【0019】
冷蔵庫1の上部には、機械室が設けられ、圧縮機10および冷凍サイクル中の水分除去を行うドライヤ等の冷凍サイクルを構成する部品などが収容されている。なお、機械室の配設位置としては冷蔵庫1の上部に特定されるものではなく、冷凍サイクルの配設位置などに応じて適宜決定されるものであり、冷蔵庫1の下部などの他の領域に配設してもよい。
【0020】
冷蔵庫1の下側領域にある冷凍室8と野菜室9の背面側には、冷却室11が設けられている。冷却室11には、冷気を生成する冷凍サイクルの構成部品である冷却機構としての冷却器13、および冷却器13が生成した冷気を各貯蔵室(5、6、7、8,9)に送風する冷却ファン14が設けられている。
【0021】
冷却器13が生成した冷気は、冷却ファン14により各貯蔵室に繋がる風路19を流れて、各貯蔵室に供給される。それぞれの貯蔵室に繋がる風路19にはダンパー12が設けられており、圧縮機10と冷却ファン14の回転数制御とダンパー12の開閉制御により、それぞれの貯蔵室が所定の温度帯に維持される。
【0022】
冷却室11の下部には、冷却器13やその周辺に付着する霜や氷を除霜するための除霜ヒータ15が設けられている。除霜ヒータ15の下部には、ドレンパン16、ドレンチューブ17、蒸発皿18が設けられており、除霜時などに生じる水分を蒸発させる構成を有する。
【0023】
実施の形態1の冷蔵庫1には操作部47(図3参照)が備えられている。ユーザが操作部47において冷蔵庫1に対する各種の指令(例えば、各貯蔵室の温度設定、急冷指令、解凍指令、製氷停止指令など)を行うことができる。また、操作部47には異常の発生などを報知する表示部を有している。
【0024】
なお、冷蔵庫1においては、無線通信部を備えて無線LANネットワークに接続して、ユーザの持つ外部端末から各種指令を入力する構成としてもよい。また、ユーザの外部端末のGPS機能により検知したユーザ位置や予想される帰宅時間に基づいて指令を入力する構成としてもよい。また、冷蔵庫1においては音声認識部を備えて、ユーザが音声による指令を入力する構成としてもよい。
【0025】
[1-2.冷凍/解凍室の概略構成]
図2は上記冷蔵庫1の冷凍/解凍室6を正面から見た断面図である。冷凍/解凍室6は、冷凍/解凍室6内に収納された食材等の保存物を冷凍温度帯で保持する冷凍室であると共に、冷蔵庫1において当該保存物に対する解凍指令が入力されたときには、誘電加熱により解凍処理を行う解凍室となる。
【0026】
冷凍/解凍室6において貯蔵空間の内面を構成する天面、背面、両側面、および底面は、電気絶縁性の材料で成形された樹脂材の内面部材32(32a~32c)で形成されている。また、冷凍/解凍室6の正面側開口には扉29(図1参照)が設けられており、扉29の閉成により冷凍/解凍室6の貯蔵空間が密閉される。
【0027】
実施の形態1の冷凍/解凍室6には、図1に示すように、上部が開放した収納ケース31が扉29の背面側に設けられており、扉29の前後方向への開閉動作により収納ケース31が同時に前後に移動する構成である。扉29の前後方向への開閉動作により、収納ケース31に対する食材などの保存物の投入、および取り出しを容易なものとしている。
【0028】
ここで、実施の形態1の構成においては、冷凍/解凍室6の貯蔵空間は、図2に示すように、前方から見て左側を冷凍/解凍エリアX、右側を冷凍エリアYとしている。そして、冷凍/解凍エリアXは天面側に発振電極24を設け、底面側に対向電極25を設けて構成されている。また、冷凍エリアYは前記発振電極24、対向電極25が存在しない空間にして形成されている。なお、冷凍/解凍エリアXは天面側に発振電極24、底面側に対向電極25を設けて形成した構成で説明するが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、発振電極24と対向電極25が冷凍/解凍エリアXを介して対向する構成であればよく、電極を上下逆の配置や、貯蔵空間の左右方向で対向する配置にしたりしても同様の効果を奏する。
【0029】
[1-3.冷凍品解凍のための誘電加熱機構]
次に、冷凍/解凍室6に冷凍保存されている保存物に対して、解凍処理を行うために誘電加熱を行う誘電加熱機構について説明する。
【0030】
図3は、実施の形態1の冷蔵庫1に設けられた誘電加熱機構の構成を示すブロック図である。実施の形態1における誘電加熱機構は、電源部48からの電力が入力されて所定の高周波信号を形成する発振回路22、整合回路23、発振電極24、対向電極25、および制御部50を備えている。半導体素子を用いて構成された発振回路22は、小型化されており、冷蔵庫1の機械室に設けられている。
【0031】
発振回路22は、同軸ケーブルにより整合回路23に電気的に接続されている。整合回路23は、冷凍/解凍室6の背面側の空間である電極保持領域(図示せず)に配設されている。発振回路22および整合回路23は、発振電極24と対向電極25との電極間に印加する高周波電界を形成するための高周波電界形成部となる。
【0032】
発振電極24は、既述した通り冷凍/解凍室6の冷凍/解凍エリアXの天面側に配設された電極である。対向電極25は、冷凍/解凍エリアXの底面側に配設された電極である。発振電極24と対向電極25は、冷凍/解凍室6の冷凍/解凍エリアXの空間を介して対向し、かつ対向間隔が予め設定された所定の間隔に設定されている。
【0033】
この結果、実施の形態1における誘電加熱機構においては、発振電極24と対向電極25とが略平行に配設される。なお、本発明において、「略平行」とは、本質的に平行の状態を示すものであるが、加工精度などのばらつきに起因する誤差を含むことを示している。
【0034】
天面側の発振電極24、および底面側の対向電極25、誘電加熱機構を構成する背面側の整合回路23は、内面部材32により覆われており、保存物の接触による焼け(食材のジュール加熱)を確実に防止することができる。
【0035】
発振回路22は、VHF帯の高周波(40.68MHz)の電圧を出力する。発振回路22が高周波電圧を出力することにより、発振回路22が接続された発振電極24と対向電極25との間に電界が形成され、冷凍/解凍室6の発振電極24と対向電極25との間の冷凍/解凍エリアXに配置された誘電体である被解凍品が誘電加熱される。
【0036】
発振電極24は、図2に示すように、対向電極25よりもやや小さい面積で構成されている。高周波電界は、発振電極24から対向電極25に向かって広がって、前方から見ると略台形状に形成される。
【0037】
このような非対称サイズとして、かつ電極にスリット穴を設けることにより、電界の形成が均一化されて被解凍品である食材の解凍のムラを防ぐことが出来る。食材は、発振電極よりも対向電極に近い位置に置かれるので、概ね対向電極と同じ面積の食材に対して加熱、解凍効果が発揮される。
【0038】
対向電極25の周辺部をまたいで、対向電極25の内側と外側の両方に広がる被解凍品(食材)を置いた場合は、外側部分には高周波による加熱効果は発揮されない。このような置き方をされた場合は、外側の食材は主に内側の部分からの熱伝導によって加熱がされるのみであるので、解凍が遅くなり融け残る場合が多い。
【0039】
[1-4.被解凍品となる保存物の投入位置表示]
図4は冷凍/解凍室6を上方から見た断面図である。冷凍/解凍室6内の収納ケース左側は冷凍/解凍エリアX、右側は冷凍エリアYである。左側の冷凍/解凍エリアXは対向電極25の垂直投影面に相当する部分であるが、対向電極25は底面の内壁32cに表面を覆われ、かつ収納ケース31が存在するためにユーザが対向電極25の設置位置を目視することはできない。
【0040】
よって、ユーザに冷凍/解凍エリアXを明示する目的で、収納ケース31の底面には投入位置表示60が設けられている。投入位置表示60は、刻印、成形、印刷、点字であったり、その部分が異なる材質で設けられたり、照明により示されたりして表示される。ユーザは投入位置表示を見たり触ったりして、解凍したい食材をどこに置けばよいかを知ることが出来る。
【0041】
ユーザに食材投入位置を示すことが出来れば、投入位置表示は図4の様態に限らず、例えば解凍エリアの外側に枠を示したり(図5)、解凍エリアの境界近くにマークをつけたり、中心を示したり(図6)、投入位置の手前側に表示をつけたり(図7)、収納ケースの背面に表示をつけたり(図示せず)、非解凍位置表示60aを表示したり(図8)、投入位置の底面に凹凸やエンボスを設けたり(図9)しても構わない。
【0042】
また、引出扉ではなくスイーベル扉(例えば回転して扉が下に開く)の場合には、収納ケース31ではなく冷凍/解凍室6の底面や回転扉の内側に表示を設けても構わない(図示せず)。なお、底面に凹凸やエンボスをつけた場合(図9)は、開閉のため引出扉を前後に移動する場合に、投入された食材が滑って解凍エリアから外れることを防止する効果も有し、位置規制構造の一つとして好適である。
【0043】
上記の表示により、電極面積を増やすことなく、被解凍品を投入するべき位置を正確にユーザに伝えることが出来る。
【0044】
[1-5.解凍動作]
実施の形態1の冷蔵庫1において、解凍処理は、既述した通り発振電極24と対向電極25との間に所定の高周波電圧を印加して、電極間の高周波電界により誘電体である冷凍品を誘電加熱して行う。この誘電加熱中において、制御部50はダンパー12の開閉制御を行って間欠的に冷気導入を行っている。このように、ダンパー12の開閉制御により、冷凍/解凍室6に間欠的に冷気が導入されるため、冷凍/解凍室6の冷凍/解凍エリアXの被解凍品は所望の冷凍状態を維持しつつ誘電加熱されて、所謂「部分煮え」を生じさせることなく所望の解凍状態となる。
【0045】
ここで、通常、解答される冷凍品、つまり被解凍品は収納ケース31の冷凍/解凍エリアXに収納載置されているが、冷凍/解凍エリアXの隣の冷凍エリアYに載置されている場合、当該冷凍エリアYから冷凍品をそのまま冷凍/解凍エリアXに移動させ、解凍指令を出して解凍を始めるということが可能となる。したがって、従来のようにわざわざ冷凍/解凍室6以外の冷凍室8の扉を開閉して内部に保存されている冷凍品を取り出したりする手間をかけることなく簡単に解凍処理を行うことができ、煩わしさを解消できる。また、フードロスも防ぐことができる。
【0046】
また、被解凍品は投入位置表示60に載置すれば、冷凍/解凍室6内の適切な位置に配置することができるので、確実に解凍することができる。
【0047】
加えて、被解凍品を適切に冷凍/解凍エリアXに設置できるので、発振電極24及び対向電極25は、被解凍品を設置する収納ケース31の冷凍/解凍エリアX部分の大きさ、つまり被解凍品に見合う大きさのレベルまで小型化することができる。よって、収納ケース31に設置する被解凍品の面積と発振・対向電極の面積との差は小さなものとなって、解凍に要する時間を長時間化させたり、或いは消費電力を増大させたりするデメリットを抑制することができる。
【0048】
(実施の形態2)
図10は冷蔵庫前面側から見た第2の実施形態の冷凍/解凍室6の断面図である。第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0049】
実施の形態2の冷蔵庫1における冷凍/解凍室6においては、左側の冷凍/解凍エリアXと右側の冷凍エリアYとが、収納ケース31の中央に設けられたリブ61(61a)で左右に仕切られている。また、図11に示すように、冷凍/解凍エリアXの背面側にもリブ61(61b)が設けられている。リブ61(61a,61b)の高さは、被解凍品となる食材の高さの1/4~2倍程度であるのが好ましい。また、リブ61の色と収納ケース31の底面の色とを別の色にしてもよい。
【0050】
リブ61(61a,61b)の第一の作用は、ユーザが視認したり触ったりして冷凍/解凍エリアXをより明瞭に認識できるようにする点にある。高齢や弱視のユーザでも、照明の暗い環境下でも、リブ61(61a,61b)を触ることにより冷凍/解凍エリアXをより明瞭に認識できる。また、既に投入済みの食材によって、収納ケース31の底面が隠れている場合でも、リブ61(61a,61b)が突出しているため明瞭に認識できる。これらの作用によって、ユーザは解凍したい食材を間違いなく冷凍/解凍エリアに配置できるようになる。
【0051】
リブ61(61a,61b)の第二の作用は、リブ61(61a,61b)が位置規制構造として食材の移動を抑制することである。例えば冷凍/解凍エリアXに複数の食材を投入する際に、前に投入した食材が後で投入する食材によって冷凍/解凍エリアXから押し出されて解凍されないリスクを低減できる。同様に、冷凍エリアYに複数の食材を投入する際にも、解凍したくない食材が解凍されてしまうリスクを低減できる。
【0052】
また、リブ61bを設けることによって、例えば冷凍/解凍エリアXに食材を投入して引出扉を勢いよく閉めた場合でも食材が慣性力により収納ケース31内で滑って背面側に移動し、冷凍/解凍エリアXから外れるリスクが低減できる。これらの作用によって、ユーザは解凍したい食材を間違いなく冷凍/解凍エリアXに配置できるようになる。
【0053】
また、リブ61(61a,61b)は次に説明する通り副次的な作用を有する。従来、この種類の収納ケースはたわみ防止のために、収納ケースの下面にリブ構造を有している。下面にリブ構造を設けると、発振電極24と対向電極25との間の被解凍品の存在しない空間が鉛直方向に広がる(エアギャップの拡大)。エアギャップが大きいほど、被解凍品に吸収されない高周波出力が増大し、エネルギーロスや無駄な発熱を生じるため高周波解凍機能を発揮する上で非効率となる。一方、リブ61(61a,61b)を設けると収納ケース31のたわみを抑える効果を有するため、下面のリブ構造を省略できて、高周波解凍の効率を高められるようになる。
【0054】
(実施の形態3)
図12は冷蔵庫前面側から見た第3の実施形態の冷凍/解凍室の断面図である。第1、第2の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0055】
本実施の形態の冷凍/解凍エリアXは収納ケース31内で、冷凍エリアYよりも低い凹み位置に設けられる。冷凍/解凍エリアXを低い位置に設けることの第一の作用は、ユーザが視認したり触ったりして冷凍/解凍エリアXをより明瞭に認識できるようにすることである。高齢や弱視のユーザでも照明の暗い環境下でも、収納ケース31の凹みを触ることにより冷凍/解凍エリアXをより明瞭に認識できる。
【0056】
また、既に投入済みの冷凍品(食材)によって、収納ケース31の底面が隠れている場合でも、食材位置がより低いことによって明瞭に識別できる。また、冷凍/解凍エリアXと冷凍エリアYの区別をより直感的にユーザに伝えることである。冷凍/解凍室6の一般的な使用方法は、冷凍エリアYで冷凍しておいた食材を、近日中に調理したくなったタイミングで冷凍/解凍エリアXに移動して、確実に調理する決定をしたタイミングで解凍開始予約をすることである。
【0057】
すなわち、食材は冷凍エリアY→冷凍/解凍エリアXという流れで移動させる。冷凍/解凍エリアXをより低く設けることで食材の流れを直感的に伝えることにより、冷凍/解凍エリアXと冷凍エリアYの左右の位置関係を間違えて使用するリスクを低減できる。これらの作用によって、ユーザは解凍したい食材を間違いなく冷凍/解凍エリアXに配置できるようになる。
【0058】
冷凍/解凍エリアXをより低くする第二の作用は、冷凍/解凍エリアXの凹み構造が位置規制構造として食材の移動を抑制することである。例えば冷凍/解凍エリアXに複数の食材を投入する際に、前に投入した食材が後で投入する食材によって冷凍/解凍エリアXから押し出されて解凍されないリスクを低減できる。同様に、冷凍エリアYに複数の食材を投入する際にも、解凍したくない食材が解凍されてしまうリスクを低減できる。
【0059】
また、凹み構造を設けることによって、例えば冷凍/解凍エリアXに食材を投入して引出し扉を勢いよく閉めた場合でも食材が慣性力により収納ケース31内で滑って背面側に移動し、冷凍/解凍エリアXから外れるリスクが低減できる。これらの作用によって、ユーザは解凍したい食材を間違いなく冷凍/解凍エリアXに配置できるようになる。
【0060】
(実施の形態4)
図13は冷蔵庫前面側から見た第4の実施形態の解凍室の断面図である。第1~第3の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0061】
本実施の形態の冷凍/解凍エリアXは収納ケース31内で、冷凍エリアYよりも高い凸型位置に設けられる。冷凍/解凍エリアXを高い位置に設けることの第一の作用は、ユーザが視認したり触ったりして冷凍/解凍エリアXをより明瞭に認識できるようにすることである。
【0062】
高齢や弱視のユーザでも照明の暗い環境下でも、収納ケース31の凸形状を触ることにより冷凍/解凍エリアXをより明瞭に認識できる。また、既に投入済みの食材によって、収納ケース31の底面が隠れている場合でも、食材位置がより高いことによって明瞭に識別できる。これらの作用によって、ユーザは解凍したい食材を間違いなく冷凍/解凍エリアXに配置できるようになる。
【0063】
冷凍/解凍エリアXをより高くする第二の作用は、冷凍保存したい食材を解凍してしまうという誤使用を防止することである。冷凍/解凍室6は、解凍機能を用いない際は全体が冷凍室であり、ユーザは冷凍/解凍エリアXを深く認識せずに収納ケース31全体を一つの冷凍保存空間として用いる可能性がある。そのような場合でも、冷凍/解凍エリアXを高く設けることにより、冷凍/解凍エリアXが「解凍」という独自の機能を持つエリアであることをユーザに意識づけることができる。
【0064】
ユーザは解凍したい食材を、意識して高い位置(冷凍/解凍エリアX)に移動することによって、被解凍食材と非解凍食材とを混在させるリスクが低減する。その結果、ユーザは解凍したい食材だけを間違いなく冷凍/解凍エリアXに配置できるようになる。
【0065】
また、冷凍/解凍エリアXを収納ケース31内で凸形状に設けることは、以下に説明する副次作用も発揮する。冷凍/解凍エリアXを高く設けることにより、対向電極25を他の実施の形態よりも高い位置に設けることが可能になる。その結果、発振電極24と対向電極25の間隔d1を他の実施形態よりも縮めることが可能になる。また、エアギャップd2を他の実施形態よりも縮めることが可能になる。d1およびd2のいずれも距離が小さいほど、高周波出力のより多く部分が食材の加熱に用いられるようになり、高周波解凍のエネルギー効率が向上する。
【0066】
(実施の形態5)
図14Aは冷蔵庫前面側から見た第5の実施形態の冷凍/解凍室の断面図、図14Bは第5の実施形態の冷凍/解凍室に不定形な食材を配置した使い方を示す断面図である。第1~第4の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0067】
本実施の形態の冷凍/解凍エリアXは収納ケース31内に、冷凍温度(-18℃)でも凍結したり硬化したりしない軟性構造体62を有する。軟性構造体62は、例えば濃度約60wt%のプロピレングリコールなどのブラインをポリアクリル酸塩などの高分子吸水材料に浸潤させたものを柔軟性、屈曲性、突刺し耐性のある包材に包んだものとして設けられる。
【0068】
ブラインとしては、他に20%の食塩水溶液や約50wt%のエチレングリコールなどを用いてもよい。軟性構造体62の誘電率が解凍対象の食材と近い値にするように、ブラインと高分子吸水材料の種類の組合せを選定する。
【0069】
軟性構造体62は、冷凍/解凍エリアXに設けられ、その上に不定形の食材を沈み込ませるように配置して用いる。軟性構造体62は、不定形な食材の形に合わせて形状を変えて、食材と広い面積で接触する。ここで想定する不定形食材としては、カニ、イセエビ、骨付き肉、貝類など部位によって厚みが異なる食材である。軟性構造体62を持たない従来の冷蔵庫の場合、不定形食材は収納ケース31との接触面が小さいために収納ケース内で安定性が悪く、ユーザは冷凍/解凍エリアXに不定形食材を配置することに納得感を感じにくい。
【0070】
また、不定形食材は収納ケース31との接触面積が小さいために場所が移動し易く、引出し扉の開閉動作や近くに別の食材を投入した際の接触などによって容易に冷凍/解凍エリアXから外れてしまうという課題を生じる。軟性構造体62を用いることにより収納ケース内で不定形食材を解凍の際に配置するべき場所が明確になるばかりでなく、軟性構造体62に食材を沈めるように設置することで位置を安定させて冷凍/解凍エリアXから外れるリスクが低減できる。これらの作用によって、ユーザは解凍したい食材を間違いなく冷凍/解凍エリアXに配置できるようになる。
【0071】
また、副次的な作用として軟性構造体62を用いることで、より均一に解凍できるようになることを以下に説明する。軟性構造体62を用いずに不定形食材を冷凍/解凍エリアXに投入すると、エアギャップが部位によって異なるため、効率よく加熱される部位(厚い部位)と加熱されにくい部位(薄い部位)が生じて、均一な解凍がなされない。
【0072】
また、カニの爪やイセエビの尾など尖った先端をもつ食材の場合は、先端部に電界が集中して過熱されがちである。一方、軟性構造体62に不定形の食材を沈み込ませた状態で高周波解凍を実施すると、誘電率が食材と近いために疑似的に一体の物体として加熱されるため、厚みの不均一性や先端部による課題が回避される。投入された不定形食材に比べて軟性構造体62と一体化した被解凍品は重量が増えるため、解凍時間は延長される。
【0073】
しかしながら、軟性構造体62の大部分は非凍結のため、追加分の熱容量は軟性構造体62の顕熱分だけであり凝固潜熱は含まないので、時間延長のデメリットは比較的小さい。
【0074】
[2-1.発明の効果等]
以上のように、本開示の態様における冷蔵庫は、保存物を収納可能で冷却可能な貯蔵空間を有する少なくとも一つの貯蔵室と、前記貯蔵室に冷気を供給する冷却機構と、前記冷却機構からの冷気を前記貯蔵室内に導入する風路と、前記保存物を加熱する高周波電界を前記貯蔵室内に形成する発振電極及び対向電極と、前記発振電極と対向電極とに通電して高周波電界を形成させる制御部と、を備え、前記貯蔵空間は前記発振電極及び前記対向電極と対向する解凍用空間に被解凍品の投入位置を示す表示を設けた構成としてある。
【0075】
これによりこの冷蔵庫は、冷凍室からわざわざ冷凍品を取り出して冷凍/解凍室に移動させる等の手間を省けるとともに、必要とする発振・対向電極の電極面積を貯蔵空間全体の面積よりも小さくして解凍に必要な被解凍品と同程度レベルの小さなものとすることができ、且つ、被解凍品を配置するべき投入位置を示す表示を設けたことにより、明確に伝えて確実な解凍もできる高効率な冷蔵庫とすることができる。
【0076】
本発明に係る第2の態様の冷蔵庫は、前記第1の態様の冷蔵庫において、前記貯蔵室は、食材が冷凍/解凍エリア及び前記冷凍エリアそれぞれの空間部から水平移動しないように規制する位置規制構造を備えた構成としてある。
【0077】
本発明に係る第3の態様の冷蔵庫は、前記第2の態様の冷蔵庫において、前記位置規制構造は、前記冷凍/解凍エリアの前記発振電極または前記対向電極と相対する箇所を冷凍エリアの箇所よりも高く設けるようにした凸型位置規制構造とした構成としてある。
【0078】
本発明に係る第4の態様の冷蔵庫は、前記の第2の態様において、前記位置規制構造は、前記冷凍/解凍エリアの前記発振電極または前記対向電極と相対する箇所を冷凍エリアよりも低く設けるようにした凹型位置規制構造とした構成としてある。
【0079】
本発明に係る第5の態様の冷蔵庫は、前記の第2から第4の態様のいずれかの様態において、前記貯蔵室の前記位置規制構造は、上側の面に略鉛直方向に突出した垂直壁型位置規制構造とした構成としてある。
【0080】
本発明に係る第6の態様の冷蔵庫は、前記の第1から第5の態様のいずれかの様態において、前記投入位置表示は、被解凍品投入位置に接する面を摩擦係数の大きな素材による面状表示または凹凸形状をもつ滑り防止面とした構成としてある。
【0081】
本発明に係る第7の態様の冷蔵庫は、前記第1から第6の態様のいずれかの様態において、前記貯蔵室は、冷凍/解凍エリアに冷凍温度で柔軟性を有した誘電体である軟性構造体を設けた構成としてある。
【0082】
本発明に係る第8の態様の冷蔵庫は、保存物を収納可能で冷却可能な貯蔵空間を有する少なくとも一つの貯蔵室と、前記貯蔵室に冷気を供給する冷却機構と、前記冷却機構からの冷気を前記貯蔵室内に導入する風路と、前記保存物を加熱する高周波電界を前記貯蔵室内に形成する発振電極及び対向電極と、前記発振電極と対向電極とに通電して高周波電界を形成させる制御部と、を備え、前記貯蔵空間の発振電極及び対向電極と対向しない冷凍エリアに解凍効果の得られない投入位置を示す非解凍位置表示を設けた構成とした。
【0083】
本発明はある程度の詳細さをもって実施の形態において説明したが、実施の形態の開示内容は構成の細部において変化してしかるべきものであり、実施の形態における要素の置換、組合せ、および順序の変更は請求された本発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の冷蔵庫は、冷凍食品等の解凍対象品を取り出して解凍室に移動させる等の手間を省けるとともに、必要とする発振・対向電極の電極面積を貯蔵空間全体の面積よりも小さくして解凍に必要な冷凍品と同程度レベルの小さなものとすることができ、且つ、被解凍品を配置するべき位置を明確に伝えて確実な解凍もできる高効率な冷蔵庫とすることができる。そして、本開示の冷蔵庫においては高周波解凍装置を組み込んだ家庭用冷凍冷蔵庫への応用を念頭に説明したが、それ以外にも業務用解凍庫、産業用の解凍装置、産業用の高周波加熱装置において発生する対象品の配置位置課題に対して有用性を発揮するものである。
【符号の説明】
【0085】
1 冷蔵庫
2 断熱箱体
2a 断熱材
3 外箱
4 内箱
5 冷蔵室
6 冷凍/解凍室(貯蔵室)
7 製氷室
8 冷凍室
9 野菜室
10 圧縮機
11 冷却室
12 ダンパー
13 冷却器(冷却機構)
14 冷却ファン
15 除霜ヒータ
16 ドレンパン
17 ドレンチューブ
18 蒸発皿
19 風路
22 発振回路
23 整合回路
24 発振電極
25 対向電極
29 扉
31 収納ケース
32(32a,32b,32d) 内面部材
47操作部
48電源部
49温度センサ
50制御部
51入反射波検出部
60投入位置表示
60a 非解凍位置表示
61,61a,61b リブ
62軟性構造体
X 冷凍/解凍エリア
Y 冷凍エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B