(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】制御装置および天井扇
(51)【国際特許分類】
H02P 3/18 20060101AFI20240226BHJP
F04D 27/00 20060101ALI20240226BHJP
H02P 29/00 20160101ALI20240226BHJP
【FI】
H02P3/18 Z
F04D27/00 H
F04D27/00 W
H02P29/00
(21)【出願番号】P 2020047072
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】山口 正
(72)【発明者】
【氏名】松本 敏宏
(72)【発明者】
【氏名】上野 智
(72)【発明者】
【氏名】安北 理人
(72)【発明者】
【氏名】北浦 理
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-099286(JP,A)
【文献】特開2012-029506(JP,A)
【文献】特開2016-095771(JP,A)
【文献】特開昭64-069291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D27/00-27/02
G06F1/26-1/3296
H02P3/00-4/00
6/00-6/34
21/00-25/03
25/04
25/08-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを駆動させる駆動回路を制御する制御装置であって、
前記モータにおいて実現されている回転数が示された回転数情報を前記駆動回路から受けつけるとともに、前記モータにおいて実現させるべき回転数が示された回転数指示を前記駆動回路に出力する制御部と、
前記駆動回路に供給される電源の状態を検出する検出部とを備え、
前記制御部は、前記検出部が停電状態を検出した場合に、前記回転数情報において示された回転数の低下に応じて回転数が低下するように前記回転数指示を変化させ
、
前記制御部は、前記駆動回路への電源の供給を制御するための電源制御信号を前記駆動回路に出力しており、
前記制御部は、前記検出部が停電状態を検出してから所定の期間にわたって前記電源制御信号により前記駆動回路の電源オンを指示し、前記所定の期間が経過すると前記電源制御信号により前記駆動回路の電源オフを指示する制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記回転数情報において示された回転数の低下に応じて回転数が低下するように前記回転数指示を変化させている場合に、前記検出部が電源の復旧を検出すると、前記回転数情報において示された回転数に応じて増加するように前記回転数指示を変化させる請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
天井に固定可能であり、かつモータを内蔵する本体と、
前記本体から延出するモータ軸に接続されて回転可能であり、かつ羽根を含む回転体とを備え、
前記本体は、
前記モータを駆動させる駆動回路と、
前記駆動回路を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記モータにおいて実現されている回転数が示された回転数情報を前記駆動回路から受けつけるとともに、前記モータにおいて実現させるべき回転数が示された回転数指示を前記駆動回路に出力する制御部と、
前記駆動回路に供給される電源の状態を検出する検出部とを備え、
前記制御部は、前記検出部が停電状態を検出した場合に、前記回転数情報において示された回転数の低下に応じて回転数が低下するように前記回転数指示を変化させ
、
前記制御部は、前記駆動回路への電源の供給を制御するための電源制御信号を前記駆動回路に出力しており、
前記制御部は、前記検出部が停電状態を検出してから所定の期間にわたって前記電源制御信号により前記駆動回路の電源オンを指示し、前記所定の期間が経過すると前記電源制御信号により前記駆動回路の電源オフを指示する天井扇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータの駆動回路を制御する制御装置および天井扇に関する。
【背景技術】
【0002】
天井扇は、夏場に涼風を発生させるとともに、冬場に天井付近に集まる暖気を循環させることにより、冷房効率や暖房効率を高める。また、天井扇には一般的にブラシレスDCモータが使用される。ブラシレスDCモータの制御装置には、回転数を正確に一定にすることが求められる。そのため、目標回転数と、検出される回転数を比較し回転数の差に応じて固定子巻線に加わる直流電圧を変更させることによって、回転数が目標回転数に一致するような制御がなされる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば1秒以内のような短時間の瞬時停電が発生した場合に、電源復帰後に遅延なくモータを再起動させることが求められる。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、停電からの復帰後に遅滞なくモータを動作させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の制御装置は、モータを駆動させる駆動回路を制御する制御装置であって、モータにおいて実現されている回転数が示された回転数情報を駆動回路から受けつけるとともに、モータにおいて実現させるべき回転数が示された回転数指示を駆動回路に出力する制御部と、駆動回路に供給される電源の状態を検出する検出部とを備える。制御部は、検出部が停電状態を検出した場合に、回転数情報において示された回転数の低下に応じて回転数が低下するように回転数指示を変化させる。制御部は、駆動回路への電源の供給を制御するための電源制御信号を駆動回路に出力しており、制御部は、検出部が停電状態を検出してから所定の期間にわたって電源制御信号により駆動回路の電源オンを指示し、所定の期間が経過すると電源制御信号により駆動回路の電源オフを指示する。
【0007】
本開示の別の態様は、天井扇である。この天井扇は、天井に固定可能であり、かつモータを内蔵する本体と、本体から延出するモータ軸に接続されて回転可能であり、かつ羽根を含む回転体とを備える。本体は、モータを駆動させる駆動回路と、駆動回路を制御する制御装置とを備える。制御装置は、モータにおいて実現されている回転数が示された回転数情報を駆動回路から受けつけるとともに、モータにおいて実現させるべき回転数が示された回転数指示を駆動回路に出力する制御部と、駆動回路に供給される電源の状態を検出する検出部とを備える。制御部は、検出部が停電状態を検出した場合に、回転数情報において示された回転数の低下に応じて回転数が低下するように回転数指示を変化させる。制御部は、駆動回路への電源の供給を制御するための電源制御信号を駆動回路に出力しており、制御部は、検出部が停電状態を検出してから所定の期間にわたって電源制御信号により駆動回路の電源オンを指示し、所定の期間が経過すると電源制御信号により駆動回路の電源オフを指示する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、停電からの復帰後に遅滞なくモータを動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施例に係る天井扇の構成を示す図である。
【
図4】
図4(a)-(d)は、第1処理の概要を示す図である。
【
図5】
図5(a)-(d)は、第2処理の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示の実施例に係る天井扇について、図面を用いて詳細に説明する。以下に説明する実施例は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態などは、一例であり、本開示を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施例における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0012】
図1は、天井扇1000の構成を示す。天井扇1000は、本体100、回転体200を含む。本体100は、シャフト110、モータ120、モータ軸122、制御装置130、配線140、照明部220を含み、回転体200は、羽根210を含む。本体100は、シャフト110により軸支されながら天井10に固定される。本体100に内蔵されるモータ120は、例えばDC(Direct Current)モータであり、シャフト110に下向き延出される円柱形状のモータ軸122にモータ120の固定子が固定されている。一方、モータ120の回転子は、モータ軸122にベアリング(図示せず)を介して回転可能に取り付けられており、その外周に羽根210が固定されている。制御装置130は、図示しない操作装置からの指示信号を受けつけ、指示信号において示された指示にしたがって、モータ120を回転させる。また、制御装置130は、指示信号において示された指示にしたがって、照明を点灯、消灯させたり、照明の輝度を調節したりする。
【0013】
モータ軸122の下側部分にはベアリングを介してモータ120の回転子が接続され、その外周部分に複数の羽根210が取り付けられて回転体200が形成される。このような構成により、モータ120を起動すると、回転体200とともに複数の羽根210が回転する。また、本体100の中央部分には下向きに照光可能な照明部220が配置される。照明部220と制御装置130は配線140により接続されており、配線140はモータ軸122の中を通される。
【0014】
図2は、照明部220の構成を示す。照明部220は、複数の光源222、受信部230、ブザー240を含む。これは、
図1の照明部220を下側から見た図に相当する。2本の配線140が照明部220に延びる。2本を1組として配線140と呼ぶこともあれば、1本を配線140と呼ぶこともある。2本の配線140には、複数の照明部220が並列および直列に接続される。複数の光源222のそれぞれは、例えばLEDであり、配線140を流れる直流電流の大きさに応じた輝度で照光する。そのため、直流電流が大きくなるほど、光源222の輝度は明るくなる。
【0015】
受信部230は、図示しない操作装置との間で赤外線通信を実行可能であり、操作装置からの指示信号を受信する。受信部230と
図1の制御装置130とは信号線(図示せず)により接続されており、受信部230は、受信した指示信号を信号線経由で制御装置130に送信する。制御装置130は、指示信号に示された指示にしたがって動作する。ブザー240は、信号線(図示せず)を介して制御装置130に接続され、制御装置130からの指示に応じてブザー音を鳴動する。
【0016】
図3は、制御装置130の構成を示す。制御装置130は、検出部150、制御部152を含む。また、制御装置130は、電源回路160、駆動回路170、受信部230に接続される。操作装置300は、天井扇1000の動作を指示するためにユーザによって操作される通信装置である。操作装置300は、ボタン等のインターフェースを備えており、ユーザによる操作を受けつける。ユーザの操作によって受けつけられる天井扇1000の動作は、例えば、回転体200の回転、停止、回転速度の変更、照明部220の点灯、消灯、輝度の変更である。操作装置300は、赤外線通信を実行可能であり、受けつけた操作の内容が示された指示信号を送信する。受信部230は、前述のごとく、操作装置300からの指示信号を受信する。受信部230は、制御装置130に信号線により接続されており、指示信号408を制御装置130に出力する。
【0017】
制御装置130の制御部152は、モータ120を駆動させる駆動回路170を制御する。制御部152は、モータ120を動作させる場合、駆動回路170への電源の供給を制御するための電源制御信号410を送信する。電源制御信号410では、駆動回路170の電源がオンであるか、あるいはオフであるかが示される。制御部152は、受信部230から指示信号408を受けつけ、受けつけた指示信号408において示された操作の内容に応じて、モータ120において実現させるべき回転数が示された回転数指示414を駆動回路170に出力する。回転体200の回転が停止している状態において、操作の内容が回転体200の回転を示す場合、制御部152は、時間の経過とともに回転数が連続的あるいは段階的に増加していくような回転数指示414を出力する。例えば、回転数指示414における回転数が50rpm、100rpm、150rpm、200rpmのように増加させられる。一方、操作の内容が回転体200の停止を示す場合、回転数指示414における回転数は「0rpm」にされる。
【0018】
電源回路160は、制御装置130に電源を供給するための回路であり、例えば、商用電源から受けつけた交流電力を直流電力に変換して、その結果を直流電力400として出力する。駆動回路170は、制御部152から受けつけた電源制御信号410が電源オンを示す場合、電源回路160から受けつけた直流電力400によりモータ120を駆動させる。モータ120は、例えば、DCブラシレスモータである。また、駆動回路170は、制御部152からの回転数指示414を受けつけ、回転数指示414において示された回転数に応じた指示電流424を出力する。例えば、回転数が大きくなると指示電流424が大きくされる。駆動回路170は指示電流424をモータ120に供給することによってモータ120を回転させたり、停止させたりする。
【0019】
モータ120は、駆動回路170からの指示電流424に応じた回転数で動作する。また、モータ120は、ホール素子等のセンサ(図示せず)を備え、当該センサにより回転数を検出する。モータ120は、回転数の検出結果を回転数情報422として駆動回路170に出力する。駆動回路170は、モータ120から回転数情報422を受けつけると、制御部152に回転数情報412を出力する。そのため、制御部152は、モータ120において実現されている回転数が示された回転数情報412を駆動回路170から受けつける。
【0020】
電源回路160は、一般的に通電状態であるが、停電状態になることもある。電源回路160は、一定期間において電源の周波数から生成されたパルスの数をゼロクロス検出結果402として制御装置130に出力する。また、電源回路160は、電圧状態を電源電圧検出結果404として制御装置130に出力する。制御装置130の検出部150は、電源回路160からのゼロクロス検出結果402と電源電圧検出結果404とを受けつけ、ゼロクロス検出結果402と電源電圧検出結果404との少なくとも1つをもとに、駆動回路170に供給される電源回路160の電源の状態を検出する。例えば、検出部150は、ゼロクロス検出結果402がゼロでない状態からゼロの状態への遷移を検出した場合に、電源回路160の電源の状態として停電状態を検出する。検出部150は、検出した電源の状態を電源状態情報406として制御部152に出力する。
【0021】
以下では、電源回路160において停電が発生した場合の処理として、(1)第1処理、(2)第2処理を説明する。
(1)第1処理
第1処理では、電源回路160において停電が発生してから、1秒以内に電源が復旧した場合に、元の動作状態に復帰させるために、制御装置130が動作不能な状態まで回路電源を低下させないように、次の処理が実行される。
【0022】
図4(a)-(d)は、第1処理の概要を示す。横軸は時間を示す。
図4(a)は、電源回路160の電源状態を示す。時間T1までは通電状態であり、時間T1から停電状態である。
図4(b)は、検出部150において検出される電源の状態を示す。検出部150は、ゼロクロス検出結果402をもとに電源の周波数のパルスを50msec検出できない場合において、停電状態を検出する。ここで、時間T2は時間T1から50msec後の時間である。
【0023】
図4(c)は、回転数指示414あるいは指示電流424に相当する回転数を示す。これは、モータ120に実現させようとする回転数を示す。検出部150において停電状態が検出される時間T2まで、200rpm相当の回転数が指示されている。時間T2において停電状態が検出されると、停止が指示される。
【0024】
図4(d)は、回転数情報412あるいは回転数情報422において示される回転数を示す。これは、モータ120において実現されている回転数を示す。時間T2まで、指示電流424により200rpm相当の回転数が指示されるので、200rpmの回転数が検出される。時間T2において指示電流424により停止が指示されるので、回転数は200rpmから時間の経過とともに減少する。
【0025】
このような状態が時間T3まで続き、
図4(a)のごとく、時間T3において電源回路160の電源状態は、通電状態に戻る。時間T2から時間T3までの時間差は1秒以内である。これに応じて、検出部150は、
図4(b)のごとく時間T3において通電状態を検出する。本来であれば、検出部150が通電状態を検出した場合、モータ120の回転を早急に再開させるために、制御部152には、時間の経過とともに回転数が増加していくような回転数指示414の出力が望まれる。その際の回転数指示414の初期値は例えば50rpmである。
【0026】
しかしながら、駆動回路170からの指示電流424を受けつけていなくても、モータ120はそれまでの慣性により回転数を下げながら回転を続ける。そのため、
図4(d)のごとく、時間T3において、例えば、回転数は150rpmよりも大きな値を示す。つまり、時間T3において制御部152から出力される回転数指示414の初期値よりも、モータ120の実際の回転数が高くなる。このような状況においてモータ120から電源回路160に向かう逆起電圧が発生するので、電源回路160に過負荷が発生する。
【0027】
このような過負荷の発生を防止するために、時間T3において通電状態が検出されても、制御部152は、時間の経過とともに回転数が増加していくような回転数指示414を出力しない。
図4(d)のように、回転数が例えば150rpmまで待機される。時間T4において回転数が150rpmになると、
図4(c)のように制御部152は、時間の経過とともに回転数が増加していくような回転数指示414の出力を開始する。
図4(c)-(d)に示されるように時間T5において回転数は200rpmに戻る。つまり、第1処理では、時間T3から時間T4までの待機が必要となり、モータ120の回転が元に戻るまでの期間が長くなる。
【0028】
(2)第2処理
第2処理では、短時間(1秒以内)の瞬時停電が発生した場合に、電源復旧後にモータ120を再起動させるまでの期間を第1処理よりも短くするために次の処理が実行される。
【0029】
図5(a)-(d)は、第2処理の概要を示す。
図5(a)-(b)は、
図4(a)-(b)と同一である。
図5(c)は、
図4(c)と同様に回転数指示414あるいは指示電流424に相当する回転数を示す。時間T2において停電状態が検出されると、制御部152は、回転数情報412において示された回転数の低下に応じて回転数が低下するように回転数指示414を変化させる。ここで、
図5(d)は、
図4(d)と同様に、回転数情報412あるいは回転数情報422において示される回転数を示す。図示のごとく、時間T2から時間の経過とともに回転数が低下する。そのため、実際のモータ120の回転数と、回転数情報412によって指示するモータ120の回転数との差異が、逆起電圧が大きくならない範囲におさまるように、制御部152は、時間の経過とともに、回転数情報412によって指示するモータ120の回転数を連続的あるいは段階的に低下させる。
【0030】
これまでと同様に、時間T3において電源回路160の電源状態は、通電状態に戻ると、検出部150は時間T3において通電状態を検出する。制御部152は、回転数情報412において示された回転数の低下に応じて回転数が低下するように回転数指示414を変化させている場合に、検出部150が電源の復旧を検出すると、そのときの回転数情報412に示された回転数をもとに、回転数指示414の回転数を設定する。例えば、制御部152は、回転数情報412に示された回転数に所定数を加算した回転数を回転数指示414に設定する。制御部152は、回転数指示414を駆動回路170に出力する。駆動回路170は、受けつけた回転数指示414をもとに指示電流424を生成し、指示電流424をモータ120に出力する。その結果、モータ120は、それまでの回転数よりも回転数を増加させる。
【0031】
モータ120は、増加した回転数を回転数情報422として駆動回路170に出力し、駆動回路170は回転数情報412を制御部152に出力する。制御部152は、受けつけた回転数情報412において示された回転数に応じて増加するように回転数指示414を変化させる。このような処理を繰り返すことにより、
図5(c)-(d)に示されるように時間T3から回転数は増加し、時間T6において回転数は200rpmに戻る。つまり、第2処理では、時間T3に続く待機時間がなくなり、時間T5よりも早い時間T6においてモータ120の回転が元に戻る。
【0032】
ここで、制御部152は、駆動回路170への電源の供給を制御するための電源制御信号を駆動回路170に出力している。検出部150が停電状態を検出した時間T2から所定の期間、例えば1秒にわたって電源制御信号410により駆動回路170の電源オンを指示する。その間に電源回路160の電源が復旧すれば、電源制御信号410により駆動回路170に電源オンを指示したまま、これまでの処理を実行する。しかしながら、所定の期間が経過すると、制御部152は、電源制御信号410により駆動回路170の電源オフを指示する。これにより、リセットがなされる。
【0033】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備える。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0034】
本実施例によれば、検出部150が停電状態を検出した場合に、回転数情報412において示された回転数の低下に応じて回転数が低下するように回転数指示414を変化させるので、回転数指示414における回転数を実際の回転数に合わせることができる。また、回転数指示414における回転数が実際の回転数に合わされるので、回転数指示414を増加させる場合においても逆起電圧の影響を軽減できる。また、逆起電圧の影響が軽減されるので、停電からの復帰後に遅滞なくモータを動作できる。また、電源の復旧を検出すると、回転数情報412において示された回転数に応じて増加するように回転数指示414を変化させるので、停電からの復帰後に遅滞なくモータを動作できる。
【0035】
また、検出部150が停電状態を検出してから所定の期間が経過すると電源制御信号410により駆動回路170の電源オフを指示するので、回路をリセットできる。また、停電中に、回転数指示414を制御しながらモータ120の回転数を低下させているので、瞬時停電からの復帰でモータ120を再起動すると、モータ120の回転数に対応した回転数指示414を設定できる。また、モータ120の回転数に対応した回転数指示414が設定されるので、そのまま回転数指示414を制御してモータ120の制御を再開しても逆起電力の発生を抑制できる。
【0036】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の制御装置(130)は、モータ(120)を駆動させる駆動回路(170)を制御する制御装置(130)であって、モータ(120)において実現されている回転数が示された回転数情報(412)を駆動回路(170)から受けつけるとともに、モータ(120)において実現させるべき回転数が示された回転数指示(414)を駆動回路(170)に出力する制御部(152)と、駆動回路(170)に供給される電源の状態を検出する検出部(150)とを備える。制御部(152)は、検出部(150)が停電状態を検出した場合に、回転数情報(412)において示された回転数の低下に応じて回転数が低下するように回転数指示(414)を変化させる。
【0037】
制御部(152)は、回転数情報(412)において示された回転数の低下に応じて回転数が低下するように回転数指示(414)を変化させている場合に、検出部(150)が電源の復旧を検出すると、回転数情報(412)において示された回転数に応じて増加するように回転数指示(414)を変化させてもよい。
【0038】
制御部(152)は、駆動回路(170)への電源の供給を制御するための電源制御信号(410)を駆動回路(170)に出力しており、制御部(152)は、検出部(150)が停電状態を検出してから所定の期間にわたって電源制御信号(410)により駆動回路(170)の電源オンを指示し、所定の期間が経過すると電源制御信号(410)により駆動回路(170)の電源オフを指示してもよい。
【0039】
本開示の別の態様は、天井扇(1000)である。この天井扇(1000)は、天井(10)に固定可能であり、かつモータ(120)を内蔵する本体(100)と、本体(100)から延出するモータ軸(122)に接続されて回転可能であり、かつ羽根(210)を含む回転体(200)とを備える。本体(100)は、モータ(120)を駆動させる駆動回路(170)と、駆動回路(170)を制御する制御装置(130)とを備える。制御装置(130)は、モータ(120)において実現されている回転数が示された回転数情報(412)を駆動回路(170)から受けつけるとともに、モータ(120)において実現させるべき回転数が示された回転数指示(414)を駆動回路(170)に出力する制御部(152)と、駆動回路(170)に供給される電源の状態を検出する検出部(150)とを備える。制御部(152)は、検出部(150)が停電状態を検出した場合に、回転数情報(412)において示された回転数の低下に応じて回転数が低下するように回転数指示(414)を変化させる。
【0040】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0041】
本実施例では、照明部220を備えた天井扇1000であるとしている。しかしながらこれに限らず例えば、照明部220を備えない天井扇1000であってもよい。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【符号の説明】
【0042】
10 天井、 100 本体、 110 シャフト、 120 モータ、 122 モータ軸、 130 制御装置、 140 配線、 150 検出部、 152 制御部、 160 電源回路、 170 駆動回路、 200 回転体、 210 羽根、 220 照明部、 222 光源、 230 受信部、 240 ブザー、 300 操作装置、 400 直流電力、 402 ゼロクロス検出結果、 404 電源電圧検出結果、 406 電源状態情報、 408 指示信号、 410 電源制御信号、 412 回転数情報、 414 回転数指示、 422 回転数情報、 424 指示電流、 1000 天井扇。