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特許7442044温水ユニットおよびそれを備えたヒートポンプシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】温水ユニットおよびそれを備えたヒートポンプシステム
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20240226BHJP
   F24H 4/02 20220101ALI20240226BHJP
【FI】
F24H9/02 301Z
F24H4/02 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020082295
(22)【出願日】2020-05-08
(65)【公開番号】P2021177105
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】寺門 悠輝
(72)【発明者】
【氏名】三好 大
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-055448(JP,A)
【文献】国際公開第2018/167861(WO,A1)
【文献】特開2016-065674(JP,A)
【文献】特開2017-015348(JP,A)
【文献】特開2013-044515(JP,A)
【文献】国際公開第2017/094274(WO,A1)
【文献】特開平05-147432(JP,A)
【文献】特開2009-168422(JP,A)
【文献】実開昭57-157824(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 9/45
F24D 3/00 - 3/18
F25B 1/00 - 49/04
F24F 1/00 - 13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプサイクルの高圧側の可燃性冷媒と熱媒体とが互いに流れ、熱交換し温水を生成する水冷媒熱交換器と、
複数の外装体で形成されている第一の空間部と、
非通気性部材と前記外装体とで形成され、前記第一の空間部内に設けられている第二の空間部と、を備え、
前記水冷媒熱交換器は、前記第二の空間部内に配置され
前記第二の空間部を形成する前記外装体は排出口を有し、前記第二の空間部と前記第二の空間部を形成する前記外装体の外側とが連通する構成であり、
前記排出口は、前記第二の空間部の下方側に配置され、かつ、前記水冷媒熱交換器と対向する位置に配置されていることを特徴とする温水ユニット。
【請求項2】
前記排出口は、前記水冷媒熱交換器の下方側と対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の温水ユニット。
【請求項3】
前記第二の空間部を形成する前記外装体から、前記非通気性部材が着脱できる構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載の温水ユニット。
【請求項4】
前記水冷媒熱交換器に接続されている冷媒配管、熱媒体配管を備え、
前記非通気性部材には、前記冷媒配管、前記熱媒体配管が貫通する貫通部が設けられており、
前記冷媒配管、前記熱媒体配管は、前記冷媒配管、前記熱媒体配管と前記貫通部との隙間を塞ぐフランジ部を有する配管取り付け部材により、前記非通気性部材に固定されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の温水ユニット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の温水ユニットを備え、
前記温水ユニットと、圧縮機、減圧装置、蒸発器、が配置されているヒートポンプユニットとは、冷媒配管で接続されているヒートポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、温水ユニットおよびそれを備えたヒートポンプシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、水冷媒熱交換器を内設したユニットの外観構成を開示する。水冷媒熱交換器が、外装体によって覆われている構成となっている。
【0003】
外装体は、前面側を形成する前板と、上部、左右側を形成する外箱と、底部、背面を形成する基板と、によって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-117109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、水冷媒熱交換器から可燃性冷媒が漏洩しても、可燃性冷媒が、温水ユニット内全体に、充満や滞留することを抑制できる温水ユニットおよびそれを備えたヒートポンプシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における温水ユニットは、ヒートポンプサイクルの高圧側の可燃性冷媒と熱媒体とが互いに流れ、熱交換し温水を生成する水冷媒熱交換器と、複数の外装体で形成されている第一の空間部と、非通気性部材と前記外装体とで形成され、前記第一の空間部内に設けられている第二の空間部と、を備え、前記水冷媒熱交換器は、前記第二の空間部内に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示における温水ユニットおよびそれを備えたヒートポンプシステムは、水冷媒熱交換器から可燃性冷媒が漏洩しても、可燃性冷媒が、温水ユニット内全体に、充満や滞留することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1におけるヒートポンプシステムの回路構成図
図2】同ヒートポンプシステムの接続構成を示す図
図3】同ヒートポンプシステムの温水ユニットの天面斜視図
図4】同ヒートポンプシステムの温水ユニットの側面断面図
図5】(a)実施の形態1におけるヒートポンプシステムの温水ユニットの内部斜視図(b)同温水ユニットの配管取り付け部材の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見等)
□発明者らが本開示に想到するに至った当時、ヒートポンプサイクルの高圧側の冷媒と水とが互いに流れ、熱交換し温水を生成するという技術において、水冷媒熱交換器は、外装体によって覆うという製品設計をするのが一般的であった。
【0010】
そうした状況下において、発明者らは、冷媒が可燃性冷媒の場合、水冷媒熱交換器から可燃性冷媒が漏洩すると、水冷媒熱交換器が内設されているユニット内に充満してしまい、ユニット内が狭い空間であるほどガス濃度が濃くなって、発火などのリスクが高まるという課題があることを発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
□そこで、本開示は、水冷媒熱交換器から可燃性冷媒が漏洩しても、可燃性冷媒が、温水ユニット内全体に、充満や滞留することを抑制できる温水ユニットおよびそれを備えたヒートポンプシステムを提供する。
□以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
□なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
[1-1.構成]
図1は、実施の形態1におけるヒートポンプシステムの回路構成図である。本実施の形態のヒートポンプシステムは、屋外に配置されるヒートポンプユニット1と、屋内に設置される温水ユニット2を有する。
【0012】
また、温水ユニット2は、熱媒体配管20により、暖房端末19に接続される。さらに、温水ユニット2には、水道管等から温水ユニット2に水を供給する給水配管31と、給湯端末33に温水を供給する出湯配管30とが接続されている。
【0013】
図2は、本実施の形態1におけるヒートポンプシステムの接続構成を示す図である。ヒートポンプシステムのヒートポンプユニット1と温水ユニット2とは、第一の冷媒配管8c、第二の冷媒配管8dによって互いに接続されている。
【0014】
また、ヒートポンプユニット1と温水ユニット2とは、電気配線18により互いに接続される。電気配線18を通じて、温水ユニット2の内部に設けられた制御装置21からヒートポンプユニット1に対して制御信号が伝達される。
【0015】
また、温水ユニット2と暖房端末19(例えば、床暖房)とは、熱媒体配管20により互いに接続される。さらに、温水ユニット2には、出湯配管30が接続される。出湯配管30を介して、給湯端末33に温水が供給される。
【0016】
また、温水ユニット2には、給水配管31が接続されている。給水配管31を介して、貯湯タンク15に水が供給される。
【0017】
ヒートポンプユニット1は、冷媒を圧縮して高温冷媒を吐出する圧縮機3と、冷媒を減圧する減圧装置5と、空気と冷媒とで熱交換を行う蒸発器6aと、冷媒の流路を変更する四方弁7とを備えている。
【0018】
圧縮機3、減圧装置5、蒸発器6a、四方弁7は、冷媒配管で互いに接続されている。減圧装置5としては、電磁膨張弁やキャピラリーチューブが用いられる。さらに、ヒートポンプユニット1には、蒸発器6aに送風を行い、空気と冷媒との熱交換を促進させる送風ファン6bが設けられている。ヒートポンプユニット1内には、圧縮機3、減圧装置5、蒸発器6a、送風ファン6b、四方弁7が設けられている。
【0019】
また、温水ユニット2内には、熱媒体と高温冷媒とを熱交換して高温の熱媒体を生成する水冷媒熱交換器4が配置されている。水冷媒熱交換器4は、圧縮機3、減圧装置5、蒸発器6a、四方弁7と冷媒配管によって環状に接続されてヒートポンプサイクルを構成する。
【0020】
水冷媒熱交換器4としては、例えば、プレート式の熱交換器を用いることができる。また、水冷媒熱交換器4としては、熱媒体が流れる熱媒体配管の内部に、冷媒が流れる冷媒管を配設した二重管式の熱交換器を用いることができる。また、熱媒体としては、水または不凍液を用いることができる。
【0021】
温水ユニット2内に配置された水冷媒熱交換器4と、ヒートポンプユニット1内に配置された四方弁7及び減圧装置5とは、互いに第一の冷媒配管8c、第二の冷媒配管8dで接続されている。ここで、ヒートポンプユニット1は屋外に、温水ユニット2は屋外に配置されている。
【0022】
また、ヒートポンプユニット1と温水ユニット2とを循環する冷媒としては、可燃性冷媒が使用される。本実施の形態において「可燃性冷媒」とは、可燃性冷媒のほか微燃性冷媒を含む。
【0023】
すなわち、ヒートポンプユニット1と温水ユニット2とを循環する冷媒としては、例えば、微燃性冷媒であるR32、R32を65wt%以上含む混合冷媒、または、HFO系混合冷媒が使用されるが、例えば、R290が用いられてもよい。なお、これらの冷媒は、この大気圧下において空気よりも密度の大きい可燃性冷媒である。
【0024】
温水ユニット2には、高温の温水を貯留する貯湯タンク15が配設されている。貯湯タンク15は、発泡材等の断熱材で覆われており、これにより貯湯タンク15内に貯留される水の保温性を高めている。
【0025】
また、温水ユニット2には、冷媒の放熱により、高温の熱媒体を生成する水冷媒熱交換器4が配設されている。さらに、温水ユニット2には、熱媒体が流れる熱媒体経路12aが配設されている。熱媒体経路12aは、熱媒体経路12aに設けられた三方弁16から分岐して、貯湯タンク15の内部に設けられた熱交換器15aを介して、三方弁16よりも上流側の熱媒体経路12aに接続されるバイパス経路12bを有している。
【0026】
熱媒体経路12aは、第一の暖房接続部20a、第二の暖房接続部20bを介して、暖房端末19と接続され、熱媒体回路12を構成する。熱媒体経路12aは、温水ユニット2の外部から熱媒体が流入する第一の暖房接続部20aと、温水ユニット2の内部から熱媒体が流出する第二の暖房接続部20bとの間を接続する。
【0027】
熱媒体経路12aの途中には、熱媒体の流れ方向に対して上流側(第一の暖房接続部20a側)から、循環ポンプ9、水冷媒熱交換器4、ヒータ部14、三方弁16、がこの順に設けられている。また、熱媒体経路12aの途中には、フロースイッチ10、過圧逃し弁11、膨張タンク13、空気抜き弁17、圧力計23が設けられている。
【0028】
フロースイッチ10は湯水の流れを検知するもので、循環ポンプ9や水冷媒熱交換器4よりも下流側、すなわち、水冷媒熱交換器4で熱交換をした後の熱媒体が流れる位置に配置している。このようにフロースイッチ10を循環ポンプ9よりも下流に配置することで、循環ポンプ9の作動状態を検出することができる。
【0029】
本実施の形態では、フロースイッチ10は、水冷媒熱交換器4とヒータ部14との間の熱媒体配管に設けられている。なお、フロースイッチ10は、熱媒体回路12を流れる熱媒体の流量を検知するものであってもよい。
【0030】
本実施の形態では、循環ポンプ9としてDCポンプを用いている。ヒートポンプシステムの設置施工時には、熱媒体回路12に設けられている暖房端末19の大きさや放熱量に応じて、熱媒体回路12を流れる熱媒体の流量を所定の範囲に設定する必要がある。
【0031】
この設定は、ヒートポンプシステムの設置時において、リモコン22によって行われる。本実施の形態では、循環ポンプ9による熱媒体の循環量は、リモコン22によって7段階の中から選択して設定できるように構成されている。
【0032】
熱媒体回路12には、熱媒体が流れる流路を形成するケースの内部に電気的加熱手段(ヒータ)を配置したヒータ部14が設けられている。ヒータ部14を熱媒体が流れることで、熱媒体がヒータによって所定温度まで加熱される。
【0033】
ヒータ部14は、例えば、外気温度が低く、ヒートポンプサイクルの加熱能力が低下して、水冷媒熱交換器4における冷媒の放熱によっては、熱媒体を十分に加熱することができない場合に用いることができる。また、ヒータ部14は、ヒートポンプサイクルが故障した場合にも用いることができる。
【0034】
熱媒体経路12aには、圧力調整を行う膨張タンク13および過圧逃し弁11が設けられている。水冷媒熱交換器4にて熱媒体を加熱することで、熱媒体回路12内部の熱媒体の体積が膨張すると、その体積膨張分の熱媒体を膨張タンク13で吸収する。
【0035】
また、熱媒体回路12の内圧が所定圧力以上にまで上昇した場合には、過圧逃し弁11により、熱媒体回路12内部の熱媒体を、熱媒体回路12の外部に排水することができる。本実施の形態では、膨張タンク13は、三方弁16よりも下流側の熱媒体配管に設けられている。また、過圧逃し弁11は、ヒータ部14に取り付けられている。
【0036】
また、温水ユニット2の内部の熱媒体回路12には、空気抜き弁17が設けられている。空気抜き弁17は、弁の内部に滞留する空気を自動的に外部へと排出する機能を有する。したがって、熱媒体回路12の途中に空気抜き弁17を配置することで、熱媒体回路12の内部の残存空気を、熱媒体回路12の外部に排出することができる。
【0037】
空気抜き弁17は、熱媒体経路12aのうち、最も高い位置に設けられている。熱媒体回路12内部の空気は、その浮力によって熱媒体回路12の内部で高い位置に滞留するので、熱媒体回路12の最上部の位置に空気抜き弁17を設けることで、熱媒体回路12内の空気を容易に抜くことができる。また、熱媒体経路12aには圧力計23が設けられている。これにより、熱媒体回路12内の圧力を確認することができる。
【0038】
また、温水ユニット2の内部には、熱媒体回路12の一部を構成するバイパス経路12bが設けられている。バイパス経路12bは、三方弁16から分岐して、貯湯タンク15内部に設けられた熱交換器15aを介して、第一の暖房接続部20aと循環ポンプ9との間の熱媒体経路12aに接続される。
【0039】
ヒータ部14の下流側の熱媒体経路12aには、三方弁16が設けられている。三方弁16は、水冷媒熱交換器4で加熱された熱媒体を、貯湯タンク15側に流すか、熱媒体経路12aの下流側に流すかを切り替えることができる。
【0040】
これにより、熱媒体を貯湯タンク15側に流せば、熱交換器15aによって、貯湯タンク15に貯留している水を加熱することができる。また、熱媒体経路12aの下流側に熱媒体を流せば、温水ユニット2の外部の熱媒体回路12の途中に設けられた暖房端末19(例えば、暖房端末)に熱媒体を流して、暖房運転を行うことができる。
【0041】
なお、三方弁16は、水冷媒熱交換器から流出した熱媒体のうち、貯湯タンク15側に流す熱媒体の流量と、熱媒体経路12aの下流側に流す流量とを調整することができるものであってもよい。
【0042】
バイパス経路12bを流れる熱媒体は、貯湯タンク15の高さ方向に対して、相対的に上側の接続口15bから流入し、熱交換器15aで熱交換した後の熱媒体は、相対的に下側の接続口15cから流出する。これにより効率よく貯湯タンク15内部の水を加熱することができる。
【0043】
貯湯タンク15には、水道管等からの水が流れる給水配管31が接続されている。水道管等からの水は、減圧弁32、温水ユニット2に設けられた第一の給湯接続部30aを介して、貯湯タンク15の下方に流入する。
【0044】
また、貯湯タンク15には、貯湯タンク15内部の水を流出させる出湯管30が、給水配管31よりも上方に接続されている。貯湯タンク15内部の水(温水)は、貯湯タンク15の上部から出湯管30に流出する。
【0045】
その後、第二の給湯接続部30bから温水ユニット2の外部へと流出して、カランやシャワー等の給湯端末33に供給される。なお、給湯端末33の上流側には、給水配管31からの水と出湯管30からの温水とを混合させる混合水栓34が設けられている。
【0046】
なお、本実施の形態では、水冷媒熱交換器4にて熱媒体を加熱し、加熱した熱媒体を熱交換器15aに流すことで、貯湯タンク15内の水を加熱する構成、すなわち、ヒートポンプサイクルを循環する冷媒の熱を用い、熱媒体を介して、間接的に貯湯タンク15内部の水を加熱する構成としている。
【0047】
すなわち、給水配管31を流れた水が、この熱交換器15aを流れる間に貯湯タンク15の内部に貯留された熱媒体によって加熱され、出湯管30から流出し、給湯端末33に供給されるように構成されている。これにより、貯湯タンク15に高温の熱媒体を貯留しておけば、給湯端末33で温水が必要になった場合に、熱交換器15aによって水を加熱して、給湯端末33に供給することができる。
【0048】
温水ユニット2に設けられた第一の暖房接続部20a、第二の暖房接続部20bは、熱媒体配管20によって、ラジエタ、床暖房パネル等の暖房端末19と接続される。これにより、熱媒体経路12aは、熱媒体回路12を構成する。第一の暖房接続部20a、第二の暖房接続部20bは、熱媒体配管20と着脱自在に構成される。
【0049】
図3は、本実施の形態1におけるヒートポンプシステムの温水ユニットの天面斜視図である。
【0050】
図3において、ヒートポンプユニット1の圧縮機3で圧縮された可燃性冷媒が、温水ユニット2の水冷媒熱交換器4へと流れる第一の冷媒配管8cと、水冷媒熱交換器4で熱媒体を加熱し、放熱後の可燃性冷媒が、ヒートポンプユニット1の減圧装置5へと流れる第二の冷媒配管8dとを備えている。
【0051】
そして、第一の冷媒配管8cと第二の冷媒配管8dは、それぞれ、第一の接続部8a、第二の接続部8bで、ヒートポンプユニット1と温水ユニット2とを接続している。
【0052】
また、温水ユニット2を形成する複数の外装体2aにおいて、前面、側面、後面からなる立面のうち、いずれかの面より奥行き方向で、かつ、天面より下方向に窪んだ凹部2bを有している。そして、凹部2b内に、第一の接続部8a、第二の接続部8bは配置されている。
【0053】
図4は、本実施の形態1におけるヒートポンプシステムの温水ユニットの側面断面図である。また、図5は、本実施の形態1におけるヒートポンプシステムの温水ユニットの内部斜視図である。
【0054】
図2図4において、温水ユニット2の外郭を形成する複数の外装体2aは、前面、側面、後面からなる立面と、天面、底面であり、それらにより、第一の空間部2eを形成している。
【0055】
また、温水ユニット2内、すなわち、第一の空間部2e内には、前面、側面、後面からなる立面と、天面、底面のうち、少なくともいずれかの外装体2aと非通気性部材2dとで囲まれた第二の空間部2fが設けられており、その第二の空間部2f内に、水冷媒熱交換器4が配置されている。
【0056】
なお、非通気性部材2dとは、通気機能を有しない部材、例えば、開口部を有しない金属板等である。
【0057】
これにより、水冷媒熱交換器4から漏洩した冷媒は、外装体2aと非通気性部材2dとで囲まれた第二の空間部2f内に留めておくことができる。
【0058】
また、図3及び図4に示すように、外装体2aは一部に開口部2cを有している。これにより、水冷媒熱交換器4から漏洩した冷媒は、開口部2cを通して、外装体2aと非通気性部材2dで囲まれた第二の空間部2fから、温水ユニット2の外装体2aの外側へ排出される。そのため、可燃性冷媒が温水ユニット2の内部に充満することを抑制できる。
【0059】
図4では、開口部2cを第二の空間部2fの下方側に配置しているが、温水ユニット2の設置環境や排気用のファンを用いることで、第二の空間部2fの上方側に配置しても構わない。
【0060】
非通気性部材2dは、外装体2aから着脱可能な構成とする。これにより、非通気性部材2dを取り外すことで、図4において、外装体2aを取り外すことなく、温水ユニット2の内方側から、水冷媒熱交換器4に触れることができる。そのため、水冷媒熱交換器4の交換など、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0061】
図4及び図5に示すように、冷媒配管8、熱媒体経路12aである熱媒体配管は、それぞれ配管取り付け部材12cを介して、水冷媒熱交換器4と接続されている。熱媒体経路12aは、非通気性部材2dに設けられた貫通部12eを通過して、水冷媒熱交換器4と接続している。
【0062】
このとき、図5に示すように、配管取り付け部材12cはフランジ部12dを有しており、冷媒配管8、熱媒体経路12aは、それぞれこのフランジ部12dを有する配管取り付け部材12cを介して,非通気性部材2dに固定されている。
【0063】
これにより、熱媒体経路12aと非通気性部材2dの貫通部12eとの間にできてしまう隙間を、フランジ部12dで塞ぐことができるため、水冷媒熱交換器4から漏洩した冷媒が、この隙間から漏れ出して、温水ユニット2内、すなわち、第二の空間部2fの外側の第一の空間部2e内に、可燃性冷媒が充満するのを抑制できる。
【0064】
[1-2.動作]
次に、本実施の形態1におけるヒートポンプシステムの動作について、以下に説明する。
【0065】
本実施の形態1におけるヒートポンプシステムは、熱媒体回路12の途中に設けられた暖房端末19に熱媒体を供給して、室内の暖房を行う暖房運転、貯湯タンク15に高温の熱媒体または温水を蓄える貯湯運転、蒸発器6aに付着した霜を融解させる除霜運転を少なくとも実行することができる。
【0066】
これらの運転は、使用者がリモコン22によって運転開始を指示した場合、もしくは、ヒートポンプシステムの制御装置21が、時間帯、ヒートポンプシステムの周囲の温度等によって実行する必要があると判断した場合に、開始される。
【0067】
暖房運転の開始が使用者のリモコン22操作により指示された場合、もしくは、制御装置21が室内の温度等から暖房運転が必要であると判断した場合には、制御装置21は暖房運転を開始する。
【0068】
制御装置21は、暖房運転において、ヒートポンプサイクルの圧縮機3、熱媒体回路12に設けられた循環ポンプ9を駆動させる。制御装置21は、減圧装置5が電磁膨張弁である場合には、その弁開度を調整する。
【0069】
また、制御装置21は、三方弁16を、熱媒体回路12の下流側に切り替える。これにより、冷媒がヒートポンプサイクルを循環する。また、熱媒体が熱媒体回路12を循環して、暖房端末19を流れる。
【0070】
圧縮機3が駆動されると、冷媒がヒートポンプサイクルを循環する。また、冷媒は圧縮機3によって圧縮され、高温高圧の状態となる。そして、高温高圧の冷媒は、四方弁7を介して水冷媒熱交換器4へと流入し、熱媒体に熱を放出する。
【0071】
水冷媒熱交換器4から流出した冷媒は、減圧装置5によって減圧される。減圧装置5から流出した冷媒は、蒸発器6aにおいて、送風ファン6bによって送風された空気と熱交換して蒸発する。その後、蒸発器6aから流出した冷媒は、四方弁7を介して圧縮機3に流入し、再度圧縮される。このようにして、冷媒がヒートポンプサイクルを循環する。
【0072】
一方、熱媒体回路12には、循環ポンプ6が駆動することによって熱媒体が循環する。熱媒体回路12を循環する熱媒体は、水冷媒熱交換器4で、冷媒が有する熱によって加熱され、高温になる。ここで、三方弁16は、熱媒体回路12の下流側に熱媒体が流れるように設定されている。
【0073】
よって、水冷媒熱交換器4から流出し、ヒータ部14を流れた熱媒体は、三方弁16、第一の暖房接続部20aを介して温水ユニット2の外部の熱媒体回路12へと流出し、熱利用端末19(例えば、床暖房)へと流入する。熱媒体は、暖房端末19で放熱した後、第一の暖房接続部20aから、再度、熱媒体経路12aに流入する。このようにして、熱媒体が熱媒体回路12を循環する。
【0074】
制御装置21は、暖房端末19に供給される熱媒体の温度が所定の温度となるように、ヒートポンプサイクル、循環ポンプ9を制御する。例えば、水冷媒熱交換器4から流出する熱媒体の温度(出湯温度)が目標温度となるように圧縮機3の回転数及び減圧装置5を制御するとともに、水冷媒熱交換器4に流入する熱媒体の温度(入水温度)が所定温度となるように循環ポンプ9の回転数を制御することができる。
【0075】
すなわち、ヒートポンプサイクルは、圧縮機3から吐出される冷媒の温度(吐出温度)を所定温度とする吐出温度を実行し、循環ポンプは、水冷媒熱交換器4に流入する熱媒体の温度(入水温度)を調整する入水温度制御を行う。また、制御装置21は、ヒートポンプサイクルのみでは、熱媒体を十分に加熱することができない場合に、ヒータ部14を用いて熱媒体を加熱する。
【0076】
貯湯運転の開始が、使用者のリモコン22操作により指示された場合、もしくは、制御装置21が貯湯タンク15内の水の温度や時間帯等から貯湯運転が必要であると判断した場合には、制御装置21は貯湯運転を開始する。
【0077】
制御装置21は、貯湯運転において、ヒートポンプサイクルの圧縮機3、熱媒体回路12に設けられた循環ポンプ9を駆動させる。制御装置21は、減圧装置5が電磁膨張弁である場合には、その弁開度を調整する。
【0078】
また、制御装置21は、貯湯運転において、三方弁16を、バイパス経路12b側に切り替える。これにより、冷媒がヒートポンプサイクルを循環し、熱媒体が熱交換器15aを流れる。なお、使用者は、リモコン22により、熱交換器15aに供給される熱媒体の温度を調整することができる。
【0079】
バイパス経路12bに流入し、熱交換器15aを流れる熱媒体は、貯湯タンク15に貯留されている水に放熱して加熱する。これにより、貯湯タンク15の内部に高温の水が貯留される。
【0080】
給湯運転においては、加熱された水は、出湯管30に流出し、第二の給湯接続部30bを介して温水ユニット2の外部に流出し、給湯端末33に供給される。すなわち、貯湯タンク15に貯留された高温の水を用いて、給湯運転が行われる。
【0081】
制御装置21は、貯湯運転において、熱交換器15aに供給される熱媒体の温度が所定の温度となるように、ヒートポンプサイクル、循環ポンプ9を制御する。
【0082】
例えば、水冷媒熱交換器4から流出する熱媒体の温度(出湯温度)が目標温度となるように圧縮機3の回転数及び減圧装置5を制御するとともに、水冷媒熱交換器4に流入する熱媒体の温度(入水温度)が所定温度となるように循環ポンプ9の回転数を制御することができる。
【0083】
また、制御装置21は、ヒートポンプサイクルのみでは、熱媒体を十分に加熱することができない場合に、ヒータ部14を用いて熱媒体を加熱する。
【0084】
また、制御装置21は、外気温度が所定温度以下となった場合や、蒸発器6aを流れる冷媒の温度が所定温度以下となった場合に、蒸発器6aに霜が付着したと判断し、その霜を除去する除霜運転を実行する。
【0085】
除霜運転において、制御装置21は、四方弁7によって冷媒の循環方向を切り替える。これにより、冷媒は、圧縮機3、四方弁7、蒸発器6a、減圧装置5、水冷媒熱交換器4、四方弁7、圧縮機3の順に流れる。その結果、蒸発器6aに高温高圧の冷媒が流入し、除霜が行われる。
【0086】
制御装置21は、例えば、水冷媒熱交換器4に流入する熱媒体の温度が所定温度未満の場合に、ヒータ部14を起動して、熱媒体を加熱し、加熱した熱媒体を熱媒体回路12に循環させる。
【0087】
これにより、熱媒体回路12内部の熱媒体の凍結を防止することができる。また暖房運転、貯湯運転の実行中に除霜運転を行う場合には、暖房端末19や熱交換器15aに供給される熱媒体の温度低下を抑制することができ、使用性が向上する。
【0088】
[1-3.効果等]
本実施の形態のように、ヒートポンプサイクルの高圧側の可燃性冷媒と熱媒体とが互いに流れ、熱交換し温水を生成する水冷媒熱交換器4と、複数の外装体2aで形成されている第一の空間部2eと、非通気性部材2dと前記外装体2aとで形成され、前記第一の空間部2e内に設けられている第二の空間部2fと、を備え、前記水冷媒熱交換器4は、前記第二の空間部2f内に配置されていることを特徴とする温水ユニット2である。
【0089】
これにより、水冷媒熱交換器4から、可燃性冷媒が漏洩しても、漏洩した可燃性冷媒を第二の空間部2f内に留めることができ、電装部品等が配置されている第二の空間部2fの外側の第一の空間部2eに可燃性冷媒が流れ込み、充満するのを抑制できる温水ユニット2を提供できる。
【0090】
前記第二の空間部2fを形成する前記外装体2aは開口部2cを有し、前記第二の空間部2fと前記第二の空間部2fを形成する前記外装体2aの外側とが連通する構成であることを特徴とする温水ユニット2である。
【0091】
これにより、前記第二の空間部2f内に漏洩し滞留している可燃性冷媒を、温水ユニット2の外方側に排出させることができ、温水ユニット2内、すなわち、第二の空間部2fの外側の第一の空間部2e内に、可燃性冷媒が充満するのを抑制できる温水ユニット2を提供できる。
【0092】
前記第二の空間部2fを形成する前記外装体2aから、前記非通気性部材2dが着脱できる構成としたことを特徴とする温水ユニット2である。
【0093】
これにより、前記非通気性部材2dを前記外装体2aから取り外すことで、前記水冷媒熱交換器4に触れることができ、水冷媒熱交換器4の交換等のメンテナンスを容易に行うことができる温水ユニット2を提供できる。
【0094】
前記水冷媒熱交換器4に接続されている冷媒配管8、熱媒体経路12aである熱媒体配管を備え、前記非通気性部材2dには、前記冷媒配管8、前記熱媒体配管が貫通する貫通部12eが設けられており、前記冷媒配管8、前記熱媒体配管は、前記冷媒配管8、前記熱媒体配管と前記貫通部12eとの隙間を塞ぐフランジ部12dを有する配管取り付け部材12cにより、前記非通気性部材2dに固定されていることを特徴とする温水ユニット2である。
【0095】
これにより、前記第二の空間部2f内に漏洩し滞留している可燃性冷媒が、前記貫通部12eを通過して、温水ユニット2内、すなわち、第二の空間部2fの外側の第一の空間部2e内に流れ込み、充満するのを抑制できる温水ユニット2を提供できる。
【0096】
また、温水ユニット2と、圧縮機3、減圧装置5、蒸発器6a、が配置されているヒートポンプユニット1とは、冷媒配管8で接続されていて、ヒートポンプシステムを構成している。
【0097】
これにより、ヒートポンプサイクルの構成部品のうち、温水ユニット2内に配置されるのは水冷媒熱交換器4のみであり、漏洩した冷媒の発火リスク等を、十分抑制されるヒートポンプシステムを提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上のように、本開示は、水冷媒熱交換器から可燃性冷媒が漏洩しても、可燃性冷媒が温水ユニット内全体に充満、滞留することを抑制できるヒートポンプシステムを提供できるので、給湯機や温水暖房機等に適用可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 ヒートポンプユニット
2 温水ユニット
2a 外装体
2b 凹部
2c 開口部
2d 非通気性部材
2e 第一の空間部
2f 第二の空間部
3 圧縮機
4 水冷媒熱交換器
5 減圧装置
6a 蒸発器
7 四方弁
8a 第一の接続部
8b 第二の接続部
8c 第一の冷媒配管
8d 第二の冷媒配管
11 過圧逃し弁
12 熱媒体回路
12a 熱媒体経路
12b バイパス経路
12c 配管取り付け部材
12d フランジ部
12e 貫通部
15 貯湯タンク
15a 熱交換器
17 空気抜き弁
19 暖房端末
20 熱媒体配管
20a 第一の暖房接続部
20b 第二の暖房接続部
21 制御装置
22 リモコン
23 圧力計
30a 第一の給湯接続部
30b 第二の給湯接続部
図1
図2
図3
図4
図5