(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】計画管理方法および計画管理装置並びに計画管理方法を実行させるプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2022115994
(22)【出願日】2022-07-21
(62)【分割の表示】P 2018067330の分割
【原出願日】2018-03-30
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】竹原 裕起
(72)【発明者】
【氏名】相良 博喜
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-171519(JP,A)
【文献】特開平11-188583(JP,A)
【文献】特開2019-179336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の品種の製品を生産する生産ラインにおける生産計画を管理する計画管理装置における計画管理方法であって、
前記生産計画に対して生産の準備をする作業者の数が前記製品を生産する生産時刻に対応して入力される作業者数入力工程と、
前記作業者数入力工程において、前記作業者数の増加または減少が入力されると、前記作業者数に基づいて、前記生産計画における前記製品の生産の開始時刻または終了時刻を変更する生産時刻変更工程と、
前記生産計画および前記生産時刻を表示する表示工程と、を含み、
前記表示工程では、前記生産時刻ごとにおける前記生産計画を示す
ひとつの前記生産ラインにおけるロット毎の前記製品の生産時間
、前記作業者数が一の方向に沿うように表示される、計画管理方法。
【請求項2】
前記表示工程では、ロット毎の前記製品の生産時間に加え、前記製品の生産に使用される部材を配置する配置手段の交換作業の時間が前記一の方向に沿うように表示される、請求項1に記載の計画管理方法。
【請求項3】
前記作業者数を基に前記生産の準備の作業量を算出する準備作業量算出工程と、をさらに含み、
前記生産時刻変更工程は前記生産の準備の作業量に基づいて変更される、請求項1または2に記載の計画管理方法。
【請求項4】
生産する前記製品は電子部品を実装した実装基板であり、前記生産ラインは部品実装ラインである、請求項1から3のいずれかに記載の計画管理方法。
【請求項5】
複数の品種の製品を生産する生産ラインにおける生産計画を管理する計画管理装置であって、
前記生産計画に対して生産の準備をする作業者の数が前記製品を生産する生産時刻に対応して入力される作業者数入力部と、
前記作業者数入力部において、前記作業者数の増加または減少が入力されると、前記作業者数に基づいて、前記生産計画における前記製品の生産の開始時刻または終了時刻を変更する生産時刻変更部と、
前記生産計画および前記生産時刻を表示する表示部と、を含み、
前記表示部は、前記生産時刻ごとにおける前記生産計画を示す
ひとつの前記生産ラインにおけるロット毎の前記製品の生産時間
、前記作業者数を一の方向に沿うように表示する、計画管理装置。
【請求項6】
前記表示部では、ロット毎の前記製品の生産時間に加え、前記製品の生産に使用される部材を配置する配置手段の交換作業の時間を前記一の方向に沿うように表示する、請求項5に記載の計画管理装置。
【請求項7】
前記作業者数を基に前記生産の準備の作業量を算出する準備作業量算出部と、をさらに備え、
前記準備作業量算出部が算出した前記作業量に基づいて前記生産時刻が変更される、請求項5または6に記載の計画管理装置。
【請求項8】
生産する前記製品は電子部品を実装した実装基板であり、前記生産ラインは部品実装ラインである、請求項5から7のいずれかに記載の計画管理装置。
【請求項9】
請求項1乃至4の何れかに記載の計画管理方法をコンピュータにより実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産ラインにおいて製品を生産する生産計画を管理する計画管理方法および計画管理装置並びに計画管理方法を実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を実装した実装基板などの製品を生産する生産ラインでは、複数の品種の製品が生産される。生産する製品の品種を変更する際は、生産ラインにおいて製品の生産に使用される部材を変更する段取り替えが実行される。段取り替えには、生産ラインで実行される内段取りの他、製品の生産と並行して生産ラインとは別の場所で実行される外段取りがある。複数の品種の製品を生産する生産計画を作成する際は、段取り替え等の準備計画も考慮して、製品が納期内に生産可能な計画が作成される(例えば、特許文献1)。特許文献1では、生産計画と外段取りの準備計画を容易に把握できるように、生産計画と準備計画を時系列で表示するガントチャートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外段取りの準備計画は外段取りに従事する作業者の数で変動するにもかかわらず、特許文献1に開示されているガントチャートでは、作業者数と生産計画の関係を把握することが困難であり、人員計画を考慮しながら生産計画を管理するためには、さらなる改善の余地があるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、生産ラインおける製品の生産計画と生産の準備作業に従事する作業者の数の関係を容易に把握することができる計画管理方法および計画管理装置並びに計画管理方法を実行させるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の計画管理方法は、複数の品種の製品を生産する生産ラインにおける生産計画を管理する計画管理装置における計画管理方法であって、前記生産計画に対して生産の準備をする作業者の数が前記製品を生産する生産時刻に対応して入力される作業者数入力工程と、前記作業者数入力工程において、前記作業者数の増加または減少が入力されると、前記作業者数に基づいて、前記生産計画における前記製品の生産の開始時刻または終了時刻を変更する生産時刻変更工程と、前記生産計画および前記生産時刻を表示する表示工程と、を含み、前記表示工程では、前記生産時刻ごとにおける前記生産計画を示すひとつの前記生産ラインにおけるロット毎の前記製品の生産時間、前記作業者数が一の方向に沿うように表示される。
【0007】
本発明の計画管理装置は、複数の品種の製品を生産する生産ラインにおける生産計画を管理する計画管理装置であって、前記生産計画に対して生産の準備をする作業者の数が前記製品を生産する生産時刻に対応して入力される作業者数入力部と、前記作業者数入力部において、前記作業者数の増加または減少が入力されると、前記作業者数に基づいて、前記生産計画における前記製品の生産の開始時刻または終了時刻を変更する生産時刻変更部と、前記生産計画および前記生産時刻を表示する表示部と、を含み、前記表示部は、前記生産時刻ごとにおける前記生産計画を示すひとつの前記生産ラインにおけるロット毎の前記製品の生産時間、前記作業者数を一の方向に沿うように表示する。
【0008】
本発明のプログラムは、請求項1乃至4の何れかに記載の計画管理方法をコンピュータにより実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生産ラインおける製品の生産計画と生産の準備作業に従事する作業者の数の関係を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
【
図2】本発明の一実施の形態の部品実装システムが備える部品実装ラインの構成説明図
【
図3】本発明の一実施の形態の部品実装システムが備える部品実装装置の平面図
【
図4】本発明の一実施の形態の部品実装システムが備える部品実装装置の部分断面図
【
図5】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(計画管理装置)の構成を示すブロック図
【
図6】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(計画管理装置)で使用されるロット情報の一例の説明図
【
図7】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(計画管理装置)で使用される単位作業量情報の一例の説明図
【
図8】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(計画管理装置)の表示部に表示された計画表示画面の一例の説明図
【
図9】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(計画管理装置)の表示部に表示された更新された計画表示画面の一例の説明図
【
図10】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(計画管理装置)における計画管理方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、部品実装ライン、部品実装装置、台車の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図3、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(
図3における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(
図3における上下方向)が示される。
図4では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(
図4における上下方向)が示される。Z方向は、部品実装装置が水平面上に設置された場合の上下方向または直交方向である。
【0012】
まず
図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は、フロアFに配置された3本の部品実装ラインL1~L3を通信ネットワーク2によって接続し、管理コンピュータ3によって管理する構成となっている。部品実装ラインL1~L3は、フロアFに設けられた生産エリアApに配置されている。各部品実装ラインL1~L3は、後述するように部品実装装置を含む複数の生産設備を連結して構成され、基板に電子部品を実装した実装基板を生産する機能を有している。なお、部品実装システム1が備える部品実装ラインL1~L3は3本である必要はなく、2本及び4本以上でも良い。
【0013】
フロアFに設けられた生産エリアApとは異なる準備エリアAsには、配置作業支援装置4が配置されている。配置作業支援装置4は、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続されている。配置作業支援装置4には、後述する配置作業の対象となる交換用の台車5が接続される。準備エリアAsには、配置作業の実行前、実行中、または実行後など、多様な状態の複数の台車5が保管されている。
【0014】
図1において、配置作業支援装置4に接続された台車5には、これから部品実装ラインL1~L3において生産する実装基板の品種に対応する作業指示に従って、電子部品を供給する複数のテープフィーダ9(
図3参照)などを台車5に装着する配置作業が作業者によって実行される。配置作業支援装置4に接続された台車5にテープフィーダ9が装着されると、台車5を介して配置作業支援装置4よりテープフィーダ9に電力が供給されて、テープフィーダ9が内蔵するフィーダ制御部(図示省略)が管理コンピュータ3と通信可能な状態となる。
【0015】
作業者には、作業を実行する人に加えて、生産する実装基板の品種に対応する作業指示に従って、電子部品を供給する複数のテープフィーダ9などを台車5に装着する配置作業を実行する作業装置が含まれる。なお、作業装置は、その装置内部で配置作業を完結させる構成でもよいし、人が実行する作業手順に近い配置作業をその装置外部で実行する多関節ロボットを含む構成でもよい。また、作業者数は、人と作業装置の一方のみでも両方含んでいてもよい。
【0016】
これにより、台車5へのテープフィーダ9の装着状況、テープフィーダ9に装着される電子部品を保持するキャリアテープ16(
図4参照)のテープフィーダ9への補給状況などの配置作業の状況を、管理コンピュータ3において取得することができる。配置作業では、キャリアテープ16がテープフィーダ9に取り付けられる。そして、配置作業支援装置4が備えるコードリーダ4aにより、キャリアテープ16を巻回状態で収納するリール17に付されたバーコード17a(
図4参照)などの情報を読み取って照合する作業が実行される。なお、準備エリアAsに配置される配置作業支援装置4は1台である必要はなく、2台以上でも良い。
【0017】
このように、配置作業支援装置4に接続された台車5を含む準備エリアAsにある台車5には、部品実装ラインL1~L3における実装基板の生産と並行して配置作業を実行することができる。部品実装ラインL1~L3において生産する実装基板の品種を変更する際、作業者は準備エリアAsにおいてテープフィーダ9が装着された台車5を部品実装ラインL1~L3まで移動させ、部品実装装置に装着されている台車5と交換する交換作業を実行する。
【0018】
次に
図2を参照して、部品実装ラインL1~L3の詳細な構成を説明する。部品実装ラインL1~L3は同様の構成をしており、以下、部品実装ラインL1について説明する。部品実装ラインL1は、基板搬送方向の上流側(紙面左側)から下流側(紙面右側)に向けて、はんだ印刷装置M1、印刷検査装置M2、部品実装装置M3~M6、実装検査装置M7、リフロー装置M8などの生産設備を直列に連結して構成されている。なお、部品実装ラインL1は通信ネットワーク2を介して接続される生産設備群であって、物理的に生産設備同士が連結されていなくてもよい。
【0019】
はんだ印刷装置M1、印刷検査装置M2、部品実装装置M3~M6、実装検査装置M7、リフロー装置M8は、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続されている。はんだ印刷装置M1は、はんだ印刷作業部によって上流側から搬入された基板Bにマスクを介してはんだを印刷するはんだ印刷作業を実行する。印刷検査装置M2は、はんだ検査カメラを含む印刷検査作業部によって基板Bに印刷されたはんだの状態を検査する印刷検査作業を実行する。なお、はんだ印刷装置M1と並設して、もしくははんだ印刷装置M1の代わりにはんだを基板Bに塗布するはんだ塗布装置を備えてもよい。また、部品実装ラインL1は、印刷検査装置M2を備えなくてもよい。
【0020】
部品実装装置M3~M6は、部品実装作業部によって基板Bに電子部品Dを実装する部品実装作業を実行する。なお、部品実装ラインL1は、部品実装装置M3~M6が4台の構成に限定されることなく、部品実装装置M3~M6が1~3台であっても5台以上であってもよい。実装検査装置M7は、部品検査カメラを含む実装検査作業部によって基板Bに搭載された電子部品Dの状態を検査する実装検査作業を実行する。リフロー装置M8は、装置内に搬入された基板Bを基板加熱部によって加熱して、基板B上のはんだを硬化させ、基板Bの電極部と電子部品Dとを接合する基板加熱作業を実行する。なお、部品実装ラインL1は、実装検査装置M7を備えなくてもよい。
【0021】
次に
図3、
図4を参照して、部品実装装置M3~M6の構成を説明する。部品実装装置M3~M6は同様の構成であり、ここでは部品実装装置M3について説明する。部品実装装置M3は、電子部品Dを基板Bに実装する機能を有している。
図3において、基台6の中央には、基板搬送機構7がX方向に設置されている。基板搬送機構7は、上流側から搬入された基板BをX方向へ搬送し、以下に説明する実装ヘッドによる実装作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構7は、部品実装作業が完了した基板Bを下流側に搬出する。基板搬送機構7の両側方には、部品供給部8が設置されている。
【0022】
部品供給部8には、それぞれ複数のテープフィーダ9がX方向に並列に装着された台車5が取り付けられている。テープフィーダ9は、電子部品Dを格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部8の外側から基板搬送機構7に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、実装ヘッドが電子部品Dをピックアップする部品取出し位置に電子部品Dを供給する。
【0023】
図3において、基台6の上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル10が配置されている。Y軸テーブル10には、同様にリニア機構を備えたビーム11がY方向に移動自在に結合されている。ビーム11には、実装ヘッド12がX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド12は、複数(ここでは8つ)のノズルユニット12aを備えている。
図4において、各ノズルユニット12aの下端部には、電子部品Dを真空吸着して保持する吸着ノズル12bが装着されている。
【0024】
図3において、Y軸テーブル10およびビーム11は、実装ヘッド12を水平方向(X方向、Y方向)に移動させる実装ヘッド移動機構13を構成する。実装ヘッド移動機構13および実装ヘッド12は、部品供給部8に装着されているテープフィーダ9の部品取出し位置から電子部品Dを吸着ノズル12bによって吸着してピックアップし、基板搬送機構7に保持された基板Bの実装位置に移送して実装する部品実装作業を実行する。
【0025】
図3、
図4において、ビーム11には、ビーム11の下面側に位置して実装ヘッド12とともに一体的に移動するヘッドカメラ14が装着されている。実装ヘッド12が移動することにより、ヘッドカメラ14は基板搬送機構7の実装作業位置に位置決めされた基板Bの上方に移動して、基板Bに設けられた基板マーク(図示せず)を撮像して基板Bの位置を認識する。
【0026】
部品供給部8と基板搬送機構7との間には、部品認識カメラ15が設置されている。部品認識カメラ15は、部品供給部8から電子部品Dを取り出した実装ヘッド12が上方を移動する際に、吸着ノズル12bに保持された電子部品Dを撮像して保持位置などを認識する。実装ヘッド12による電子部品Dの基板Bへの部品実装作業では、ヘッドカメラ14による基板Bの認識結果と部品認識カメラ15による電子部品Dの認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0027】
図4において、台車5の前側には、電子部品Dを収納するキャリアテープ16が巻回されたリール17が保持されている。テープフィーダ9は、リール17に収納されているキャリアテープ16をテープ送り方向に搬送して実装ヘッド12による部品取り出し位置に電子部品Dを供給する。
【0028】
このように、部品実装装置M3~M6は、製品である電子部品Dを実装した実装基板を生産する生産設備であり、部品実装装置M3~M6を備える部品実装ラインL1~L3は実装基板を生産する生産ラインである。そして、台車5は、部品実装ラインL1~L3を構成する部品実装装置M3~M6に取り付けて製品(実装基板)の生産に使用される部材(テープフィーダ9、リール17)を配置する配置手段である。
【0029】
次に
図5を参照して、管理コンピュータ3の構成について説明する。管理コンピュータ3は、処理部20、記憶装置である生産計画記憶部25、準備作業計画記憶部26、作業者情報記憶部27の他、入力部28、表示部29を備えている。処理部20はCPUなどのデータ処理装置であり、内部処理部として準備時刻変更部21、生産時刻変更部22、入力処理部23、表示処理部24を備えている。なお、管理コンピュータ3は、ひとつのコンピュータで構成する必要はなく、複数のデバイスで構成してもよい。例えば、記憶装置の全てもしくは一部をサーバを介してクラウドに備えてもよい。
【0030】
入力部28は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部29は液晶パネルなどの表示装置であり、各記憶部が記憶する各種データを表示する他、入力部28による操作のための操作画面などの各種情報を表示する。
【0031】
図5において、生産計画記憶部25には、生産計画情報25a、ロット情報25bなどが記憶されている。生産計画情報25aには、生産される実装基板のロットを特定するロット番号毎に、実装基板を生産する部品実装ラインL1~L3を特定するライン番号、生産の開始時刻と終了時刻、部品実装ラインL1~L3における台車5の交換作業の時刻などが記憶されている。ロット情報25bには、生産される実装基板のロットを特定するロット番号毎に、実装基板の品種を特定する品種番号、品種の生産に使用されるテープフィーダ9(部材)の数、実装基板の生産枚数などが記憶されている。
【0032】
ここで
図6を参照して、ロット情報25bの例について説明する。ロット情報25bには、「ロット番号」31、「品種番号」32、「部材数」33、「生産枚数」34が含まれている。「ロット番号」31は、部品実装ラインL1~L3において生産される実装基板のロット番号である。「品種番号」32は、実装基板の品種を特定する品種番号である。「部材数」33は、品種の生産に使用されるテープフィーダ9(部材)の数である。「生産枚数」34は、各ロットの実装基板の生産枚数である。この例では、ロット情報25bにはロット番号「A」からロット番号「F」の6ロット分の情報が含まれている。ロット番号「A」とロット番号「C」のロットでは、品種番号「X1」の同じ品種が生産される。
【0033】
図5において、準備作業計画記憶部26には、準備作業計画情報26a、台車情報26b、単位作業量情報26cなどが記憶されている。準備作業計画情報26aには、実装基板の品種毎に、台車5(配置手段)に品種に対応する部材(テープフィーダ9、リール17)を配置する配置作業の開始時刻と終了時刻が記憶されている。台車情報26bには、部品実装ラインL1~L3に同時に取り付けて実装基板の生産に使用される複数の台車5を特定する台車群番号と、台車5を特定する台車番号、搭載可能なテープフィーダ9の数などが記憶されている。単位作業量情報26cには、配置作業の作業内容毎に各作業の単位作業量が記憶されている。
【0034】
ここで
図7を参照して、単位作業量情報26cの例について説明する。単位作業量情報26cには、「作業内容」41、「単位作業量」42が含まれている。「作業内容」41は、配置作業の作業内容である。「単位作業量」42は、各作業の単位作業量であり、1人の作業者が作業する場合に要する時間(分)である。「作業内容」41が「部品実装ラインの台車群の交換」である作業は、部品実装ラインL1~L3が備える部品実装装置M3~M6に装着されている一群の台車5(台車群)を次に生産する部材を配置した台車群と交換する作業であり、単位作業は1つの台車群を交換する作業である。
【0035】
「台車からのテープフィーダの取り外し」作業は、装着されているテープフィーダ9とリール17を台車5から取り外す作業であり、単位作業は台車5から1基のテープフィーダ9と、そのテープフィーダ9に供給されるキャリアテープ16を収納したリール17を取り外す作業である。「台車へのテープフィーダの取り付け」作業は、台車5にテープフィーダ9とリール17を装着する作業であり、単位作業は台車5に1基のテープフィーダ9と、そのテープフィーダ9に供給されるキャリアテープ16を収納したリール17を取り付ける作業である。
【0036】
「テープフィーダ・リールの照合」作業は、台車5に装着したリール17のバーコード17aをコードリーダ4aで読み取って、装着したリール17が作業指示に一致するかを照合する作業であり、単位作業は1本のリール17の照合作業である。このように、配置作業には、配置手段(台車5)から部材(テープフィーダ9、リール17)を取り外す作業、配置手段に部材を取り付ける作業、配置手段に取り付けた部材を照合する作業の少なくともいずれかが含まれる。
【0037】
図5において、作業者情報記憶部27には、勤務計画情報27aなどが記憶されている。勤務計画情報27aには、生産時刻毎のフロアFで作業する作業者数などが含まれている。表示処理部24は、生産計画記憶部25、準備作業計画記憶部26、作業者情報記憶部27に記憶されている各種情報を取得して、表示部29に計画表示画面を表示させる。
【0038】
ここで
図8を参照して、管理コンピュータ3の表示部29に表示された計画表示画面50の例について説明する。計画表示画面50には、「生産計画表示」領域51、「準備作業計画表示」領域52、「作業者数表示」領域53、「作業者削除」ボタン54、「作業者追加」ボタン55、「終了」ボタン56が表示されている。
【0039】
「生産計画表示」領域51には、部品実装ラインL1~L3におけるロット毎の実装基板の生産計画(生産時間)が、生産時刻57に沿って表示されている。
図8では、ライン番号が「L1」の部品実装ラインL1と「L2」の部品実装ラインL2における生産計画が表示されている。「生産計画表示」領域51において、各ロットの生産時間を示す枠の左端が生産の開始時刻を示し、右端が生産の終了時刻を示している。生産時間を示す枠の中には、ロット番号/品種番号/生産枚数/台車群番号が、この順で表示されている。さらに「生産計画表示」領域51には、台車群の交換作業の時間が斜線でハッチングされた枠で表示されている。
【0040】
図8において、「準備作業計画表示」領域52には、準備作業計画が生産時刻57に沿って台車群番号毎に表示されている。
図8では、台車群番号「1」から際者群番号「4」の台車群の準備作業計画が表示されている。「準備作業計画表示」領域52において、「外し」は台車5からのテープフィーダ9の取り外し作業、「付け」は台車5へのテープフィーダ9の取り付け作業とリール17の照合作業、「交換」は部品実装ラインL1~L3における台車群の交換作業を示している。「準備作業計画表示」領域52において、「外し」の作業を示す枠の左端が配置作業の開始時刻を示し、「付け」の作業を示す枠の右端が配置作業の終了時刻を示している。
【0041】
「準備作業計画表示」領域52において、「作業待ち」は配置作業を開始するまでの待ち時間、「生産待ち」は交換作業を開始するまでの待ち時間を示している。「準備作業計画表示」領域52において、「保管」は交換作業によって部品実装ラインL1~L3から取り外した台車群を、後の生産で使用するためにそのままの状態で保管していることを示している。
図8の例では、ロット番号「A」とロット番号「C」の実装基板の品種は同じ品種番号「X1」であり、ロット番号「A」の生産の終了時刻からロット番号「C」の生産の開始時刻まで、台車群番号「1」の台車群が保管される。
【0042】
「準備作業計画表示」領域52において、「L1」は部品実装ラインL1に取り付けられていることを、「L2」は部品実装ラインL2に取り付けられていることを示している。「準備作業計画表示」領域52において、「状態」には現在の時刻(9:00)における各台車群の状態が示されている。
【0043】
図8において、「作業者数表示」領域53には、フロアFで作業する作業者のうち、配置作業を実行する作業者の数(作業者数)が生産時刻57に沿って表示されている。
図8では、1時間毎の作業者数(1~3人)が斜線でハッチングされた升目で表示されている。例えば、「9:00」から「10:00」の作業者数は1人、「10:00」から「11:00」の作業者数は2人、「11:00」から「12:00」の作業者数は3人である。「12:00」から「13:00」と「21:00」から「22:00」は、休憩時間で作業者数は0人である。このように、表示部29は、生産計画、準備作業計画、作業者数を生産時刻57に沿って表示する。
【0044】
「作業者数表示」領域53において、管理者が入力部28を操作して斜線でハッチングされた升目を選択して「作業者削除」ボタン54を操作すると、入力処理部23は選択された生産時刻57における作業者数を削除して勤務計画情報27aの作業者数を更新する。また、「作業者数表示」領域53において、管理者が入力部28を操作して斜線でハッチングされていない升目を選択して「作業者追加」ボタン55を操作すると、入力処理部23は選択された生産時刻57における作業者数を追加して勤務計画情報27aの作業者数を更新する。
【0045】
すなわち、入力部28と表示部29は、配置作業を実行する作業者数(作業者の数)が実装基板(製品)を生産する生産時刻57に対応して入力される作業者数入力部である。管理者が入力部28により「終了」ボタン56を操作すると、計画表示画面50が終了して所定の画面に遷移する。
【0046】
図5において、準備時刻変更部21は、配置作業の作業量と作業者数入力部(入力部28、表示部29)によって変更された作業者数に基づいて、準備作業計画における配置作業の開始時刻または終了時刻を変更する。配置作業の作業量は、準備時刻変更部21の内部処理部である準備作業量算出部21aによって算出される。より具体的には、準備作業量算出部21aは、生産計画情報25aに含まれる台車群の状態(台車群番号とロット番号の対応など)、ロット情報25bに含まれる作業対象の部材数と作業内容、単位作業量情報26cに含まれる単位作業量から、作業者数の変更に影響される準備作業の作業量を算出する。
【0047】
例えば、作業者数の変更に影響される準備作業が台車群番号「2」の台車5の部材(テープフィーダ9、リール17)の配置を、ロット番号「D」からロット番号「F」に変更する配置作業の場合、ロット情報25bに含まれるロット番号「D」の部材数「98」に単位作業量情報26cに含まれる「台車からテープフィーダの取り外し」の単位作業量「0.3(人・分)」を乗じて得た作業量「29.4(人・分)」と、ロット番号「F」の部品数「101」に「台車へのテープフィーダの取り付け」の単位作業量「1.0(人・分)」と「テープフィーダ・リールの照合」の単位作業量「0.2(人・分)」を乗じて得た作業量「101(人・分)」と「20.2(人・分)」を合算した作業量「150.6(人・分)」が準備作業の作業量となる。
【0048】
なお、作業者数の変更に影響される準備作業が複数ある場合は、それぞれの準備作業に対しての準備作業の作業量が算出される。また、作業者数の変更に影響される準備作業が準備途中で変更される場合は、影響される準備作業に対しての準備作業の作業量が算出される。
【0049】
準備時刻変更部21は、算出された作業量を作業者数で除して作業時間を算出し、影響を受ける配置作業の開始時刻と終了時刻を変更して、準備作業計画情報26aを更新する。なお、予め配置作業の作業量を算出して準備作業計画記憶部26に記憶しておき、準備時刻変更部21は準備作業計画記憶部26より作業者数の変更に影響されるロットの作業量を取得して配置作業の開始時刻と終了時刻を変更するようにしてもよい。
【0050】
図5において、生産時刻変更部22は、変更された配置作業の開始時刻または終了時刻に基づいて、生産計画における実装基板(製品)の生産の開始時刻または終了時刻を変更し、生産計画情報25aを更新する。表示処理部24は、更新された生産計画情報25a、準備作業計画情報26a、勤務計画情報27aに基づいて、表示部29に表示されている計画表示画面を更新する。
【0051】
次に
図9を参照して、更新された計画表示画面60について説明する。
図9に示す計画表示画面60は、
図8に示す計画表示画面50において「14:00」から「16:00」の作業者数が3人から2人に削減されて更新された計画表示画面60である。「作業者数表示」領域63において、矩形aで示す「14:00」から「16:00」の升目に対応する作業者数が削減されている。「準備作業計画表示」領域62において、多角形bで示す「14:00」以降の台車群番号「2」「3」「4」の配置作業の開始時刻と終了時刻が準備時刻変更部21によって変更されている。
【0052】
「生産計画表示」領域61において、台車群番号「2」の配置作業の終了時刻の変更に伴い、部品実装ラインL2において生産されるロット番号「F」の生産の開始時刻が生産時刻変更部22によって変更されている。これより、ロット番号「E」の生産の終了時刻からロット番号「F」の台車群番号「2」の交換作業の開始時刻までの間に、矩形cで示す待ち時間が発生している。このように、作業者数入力部(入力部28、表示部29)によって作業者数の増加または減少が入力されると、表示部29に表示される生産計画、準備作業計画、作業者数が更新される。
【0053】
次に
図10のフローに沿って、生産計画と準備作業計画とを管理する管理コンピュータ3(計画管理装置)における、表示部29に計画表示画面を表示させる計画管理方法について説明する。まず、表示処理部24は、生産計画記憶部25、準備作業計画記憶部26、作業者情報記憶部27に記憶されている各種情報に基づいて、表示部29に計画表示画面50(
図8参照)を表示させる(ST1:表示工程)。これにより、生産計画、準備作業計画、作業者数が生産時刻57に沿って表示部29に表示される。次いで作業者数入力部(入力部28、表示部29)によって、配置作業を実行する作業者数(作業者の数)が実装基板(製品)を生産する生産時刻57に対応して入力される(ST2:作業者数入力工程)。
【0054】
作業者数の増加または減少が入力されると(ST2においてYes)、準備時刻変更部21は、配置作業の作業量と作業者数に基づいて、準備作業計画における配置作業の開始時刻または終了時刻を変更する(ST3:準備時刻変更工程)。次いで生産時刻変更部22は、変更された配置作業の開始時刻または終了時刻に基づいて、生産計画における実装基板(製品)の生産の開始時刻または終了時刻を変更する(ST4:生産時刻変更工程)。
【0055】
次いで表示工程(ST1)戻って、表示部29に更新された計画表示画面60(
図9参照)が表示される。すなわち、作業者数入力工程(ST2)において、作業者数の増加または減少が入力されると、準備時刻変更工程(ST3)、生産時刻変更工程(ST4)、表示工程(ST1)が実行される。
【0056】
上記説明したように、本実施の形態の管理コンピュータ3は、配置手段(台車5)に部材(テープフィーダ9、リール17)を配置する配置作業を実行する作業者の数が製品を生産する生産時刻に対応して入力される作業者数入力部(入力部28、表示部29)と、配置作業の作業量と作業者数に基づいて、準備作業計画における配置作業の開始時刻または終了時刻を変更する準備時刻変更部21と、変更された配置作業の開始時刻または終了時刻に基づいて、生産計画における製品の生産の開始時刻または終了時刻を変更する生産時刻変更部22と、生産計画、準備作業計画、作業者数を生産時刻に沿って表示する表示部29と、を備える、生産計画と準備作業計画とを管理する計画管理装置である。
【0057】
これによって、生産ライン(部品実装ラインL1~L3)おける製品(実装基板)の生産計画と生産の準備作業に従事する作業者の数(作業者数)の関係を容易に把握することができる。
【0058】
以上、本発明の一実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は、生産ラインで生産される生産物の種類、組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。例えば生産ラインは、生産物である家電製品を組み立てる家電生産ラインであっても、生産物である食品加工製品を製造する食品加工ラインであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の計画管理方法および計画管理装置並びに計画管理方法を実行させるプログラムは、生産ラインおける製品の生産計画と生産の準備作業に従事する作業者の数の関係を容易に把握することができるという効果を有し、電子部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0060】
3 管理コンピュータ(計画管理装置)
5 台車(配置手段)
9 テープフィーダ(部材)
17 リール(部材)
57 生産時刻
D 電子部品
L1~L3 部品実装ライン(生産ライン)