(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】接着剤樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 175/04 20060101AFI20240226BHJP
C09J 133/04 20060101ALI20240226BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240226BHJP
C09J 7/35 20180101ALI20240226BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240226BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20240226BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J133/04
C09J11/06
C09J7/35
B32B27/00 D
B32B27/40
B32B27/30 A
(21)【出願番号】P 2020121090
(22)【出願日】2020-07-15
【審査請求日】2023-04-03
(31)【優先権主張番号】P 2019184044
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004506
【氏名又は名称】トーヨーケム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】方田 大遥
(72)【発明者】
【氏名】石井 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】大宅 徹
(72)【発明者】
【氏名】澤口 壽一
【審査官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-102741(JP,A)
【文献】特開2021-031529(JP,A)
【文献】特開2021-75685(JP,A)
【文献】特開2017-171735(JP,A)
【文献】特開昭53-064242(JP,A)
【文献】特開2001-040319(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0208014(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 175/04
C09J 133/04
C09J 11/06
C09J 7/35
B32B 27/00
B32B 27/40
B32B 27/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタンユニット(A)と(メタ)アクリルユニット(B)とが連鎖移動剤の残基により連結したウレタン・アクリル複合樹脂(C)、硬化剤(D)、および反応性希釈剤(E)を含有する接着剤樹脂組成物(F)であって、(メタ)アクリルユニット(B)がエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(G)由来の構成単位を有することを特徴とする接着剤樹脂組成物(F)。
【請求項2】
ウレタンユニット(A)と(メタ)アクリルユニット(B)とが、アミノ基を有する連鎖移動剤の残基により連結されてなることを特徴とする請求項1に記載の接着剤樹脂組成物(F)。
【請求項3】
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(G)由来の構成単位の含有量が、(メタ)アクリルユニット(B)100重量部のうち、5~100重量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の接着剤樹脂組成物(F)。
【請求項4】
(メタ)アクリルユニット(B)の含有量が、ウレタン・アクリル複合樹脂(C)100重量部のうち、10~60重量部であることを特徴とする請求項1~3いずれか1項に記載の接着剤樹脂組成物(F)。
【請求項5】
基材上に、請求項1~4いずれか1項に記載の樹脂組成物(F)を用いて接着剤層を形成してなる積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタンユニット(A)と(メタ)アクリルユニット(B)とが連鎖移動剤の残基により連結したウレタン・アクリル複合樹脂(C)、硬化剤(D)、および反応性希釈剤(E)を含有する接着剤樹脂組成物(F)であって、(メタ)アクリルユニット(B)がエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(G)由来の構成単位を有することを特徴とする接着剤樹脂組成物(F)に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、建材、船舶、航空機等の分野において、樹脂やガラス、鉄、アルミ、ステンレス等の金属、セラミックス等を接着固定するために様々な構造用接着剤が使用されている。近年、自動車や航空機の分野では燃費向上のために軽量化を進めており、プラスチックや繊維強化プラスチックからなる材料(以下、FRPと記す)の使用比率を高め、さらには、金属を鉄からより軽量なアルミニウムに置き換えようとする動きが活発になっており、これらを強固に接合できる接着剤が求められている。さらに作業性や環境負荷低減の観点から、揮発性有機化合物の含まない接着剤が求められている。
【0003】
しかしながら、例えば、アルミニウム等の金属とFRPのような線膨張係数が異なる材料を接着させる場合、製造過程あるいは使用温度環境における温度変化によって生じる材料間の膨張率差により接着剤層に高い応力がかかり、接着剤層の破壊あるいは劣化を促進するという課題があった。
【0004】
この様な課題に対し、例えば特許文献1~3では、金属やFRPへの高い接着性を有するエポキシ化合物に応力緩和を目的に長鎖ポリアミンやナノ分散させたゴム状粒子等を添加する方法が提案されている。しかし、これらの方法では一定の柔軟性を付与できるものの、得られる接着層は依然として硬脆く効果は十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2018―506635
【文献】国際公開第2007/025007号
【文献】特開2015-182248
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
揮発性有機化合物を含まず、十分な接着性および柔軟性を有する自動車、建材、船舶、航空機等の分野に適した構造用接着剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ウレタンユニット(A)と(メタ)アクリルユニット(B)とが連鎖移動剤の残基により連結したウレタン・アクリル複合樹脂(C)、硬化剤(D)、および反応性希釈剤(E)を含有する接着剤樹脂組成物(F)であって、(メタ)アクリルユニット(B)がエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(G)由来の構成単位を有することを特徴とする接着剤樹脂組成物(F)に関する。
【0008】
ウレタンユニット(A)と(メタ)アクリルユニット(B)とが、アミノ基を有する連鎖移動剤の残基により連結されてなることを特徴とする前記記載の接着剤樹脂組成物(F)に関する。
【0009】
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(G)由来の構成単位の含有量が、(メタ)アクリルユニット(B)100重量部のうち、5~100重量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の接着剤樹脂組成物(F)に関する。
【0010】
(メタ)アクリルユニット(B)の含有量が、ウレタン・アクリル複合樹脂(C)100重量部のうち、10~60重量部であることを特徴とする請求項1~3いずれか1項に記載の接着剤樹脂組成物(F)に関する。
【0011】
前記記載の樹脂組成物(F)を用いて形成してなる積層体に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、揮発性有機化合物を含まず、十分な接着性および柔軟性を有する自動車、建材、船舶、航空機等の分野に適した構造用接着剤を提供できた。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の接着剤樹脂組成物(F)は、ウレタン・アクリル複合樹脂(C)と、硬化剤(D)と、反応性希釈剤(E)とを含有する。
【0014】
<ウレタン・アクリル複合樹脂(C)>
本発明のウレタン・アクリル複合樹脂(C)はウレタンユニット(A)と(メタ)アクリルユニット(B)が連鎖移動剤残基により連結した構造を有しており、かつ(メタ)アクリルユニット(B)がエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(G)由来の構成単位を有している。
【0015】
ウレタン・アクリル複合樹脂(C)は、次のような方法で製造できる。まず、ポリオールとイソシアネート基含有化合物を反応させて得られる、両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー中のイソシアネート基に、分子内にイソシアネート基と反応しうる官能基とメルカプト基を有する連鎖移動剤を反応させ、両末端に連鎖移動剤残基であるメルカプト基を持つウレタンユニット(A)を合成する。その後、得られたウレタンユニット(A)中の末端メルカプト基を用いて、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(G)を含むエチレン性不飽和単量体を連鎖移動重合して(メタ)アクリルユニット(B)を形成する。このようにして、ウレタンユニット(A)と(メタ)アクリルユニット(B)とが連鎖移動剤残基により連結したウレタン・アクリル複合樹脂(C)を得ることができる。これらの反応はすべて溶媒を用いて行ってもよいが、溶媒を用いる場合は反応の途中段階または反応終了後に減圧下もしくは常圧下で溶媒を除去して用いる。
【0016】
まず、ウレタン・アクリル複合樹脂(C)のウレタンユニット(A)について以下に述べる。
【0017】
<ポリオール>
ウレタンユニット(A)を構成するポリオールとしては、例えば代表的なものとして、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、植物油系ポリオール、その他ポリオール等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、酸化メチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフラン等の重合体または共重合体、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレン/プロピレン)グリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。また、ヘキサンジオール、メチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオールあるいはこれらの混合物の縮合によるポリエーテルポリオール類等が挙げられる。
【0019】
さらにポリエーテルポリオールとしては、低分子ポリオール、脂肪族アミン化合物類、芳香族アミン化合物類、アルカノールアミン類、ビスフェノール類のような少なくとも2個以上の活性水素基を有する化合物を出発原料として、これに酸化メチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン、テトラヒドロフラン、もしくはポリオキシテトラメチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させて得られるポリオールが挙げられる。
【0020】
2個以上の活性水素基を有する化合物の内、低分子ポリオールとしては、2官能の低分子ポリオール、3官能以上の低分子ポリオールが挙げられる。
【0021】
2官能の低分子ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、ポリオキシエチレングリコール(付加モル数10以下)、ポリオキシプロピレングリコール(付加モル数10以下)、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、シクロペンタジエンジメタノール、ダイマージオール、ビスフェノールA、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)アニリン、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロールペンタン酸、ジヒドロキシコハク酸、ジヒドロキシプロピオン酸、ジヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。
【0022】
3官能以上の低分子ポリオールとしては、特に限定されないが、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,1,1-トリメチロールブタン、1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,6-ブタントリオール、トリメチロールブテン、トリメチロールペンテン、トリメチロールヘキセン、トリメチロールヘプテン、トリメチロールオクテン、トリメチロールノネン、トリメチロールデセン、トリメチロールウンデセン、トリメチロールドデセン、トリメチロールトリデセン、トリメチロールペンタデセン、トリメチロールヘキサデセン、トリメトロールヘプタデセン、トリメチロールオクタデセン、1,1,1-トリメチロール-2-メチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-3-メチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-2-エチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-3-エチル-ヘキサン、トリメチロールヘキセン、1,2,3-オクタントリオール、1,3,7-オクタントリオール、3,7-ジメチル-1,2,3-オクタントリオール、1,1,1-、1,1,1-トリメチロールデカン、1,2,10-デカントリオール、1,1,1-トリメチロールイソヘプタデカン、1,1,1-トリメチロール-sec-ブタン、1,1,1-トリメチロール-tert-ペンタン、1,1,1-トリメチロール-tert-ノナン、1,1,1-トリメチロール-tert-トリデカン、1,1,1-トリメチロール-tert-ヘプタデカン、1,1,1-トリメチロール-2-メチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-3-メチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-2-エチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-3-エチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロールイソヘプタデカン、1,2,3,4-ブタンテトラオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ベンゼン-1,3,5-トリオール、ベンゼン-1,2,3-トリオール、スチルベン-3,4’、5-トリオール、シュークロース、イノシトール、ソルビタン、ソルビトール、マンニトール、サッカロース、セルロース、キシリトール等が挙げられる。
【0023】
2個以上の活性水素基を有する化合物の内、脂肪族アミン化合物類としては、例えば、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリアミノプロパン等が挙げられる。芳香族アミン化合物類としては、例えば、トルエンジアミン、ジフェニルメタンー4,4-ジアミン等が挙げられる。アルカノールアミン類としては、例えば、エタノールアミンおよびジエタノールアミン等が挙げられる。ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF等が挙げられる。
【0024】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、上述の低分子ポリオールと二塩基酸成分とが縮合反応したポリエステルポリオールが挙げられる。
【0025】
二塩基酸成分としては、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸等の脂肪族あるいは芳香族二塩基酸、およびそれらの無水物が挙げられる。
また、ε-カプロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)、ポリバレロラクトン等のラクトン類等の環状エステル化合物の開環重合により得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
【0026】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上述の低分子ポリオールとジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート等のカーボネート化合物との反応により得られるものを挙げることができる。
また、ジアルキルカーボネートとしてはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等を、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネート等を、ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネート等を挙げることができる。
【0027】
ポリオレフィン系ポリオールとしては、水酸基含有ポリブタジエン、水添した水酸基含有ポリブタジエン、水酸基含有ポリイソプレン、水添した水酸基含有ポリイソプレン、水酸基含有塩素化ポリプロピレン、水酸基含有塩素化ポリエチレン等が挙げられる。
【0028】
植物油系ポリオールとしては、植物由来のひまし油、ダイマー酸、もしくは大豆油を原料としたポリオールが挙げられる。
【0029】
これらの中でもポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールが好ましく、より好ましくはポリエーテルポリオールである。
【0030】
これらのポリオールの分子量としては、好ましくは数平均分子量で500以上、5000未満であり、さらに好ましくは700以上、3,500未満である。
【0031】
さらに、ウレタン結合濃度の調節や各種官能基導入を目的として上述の低分子ポリオールを併用することができる。
【0032】
<イソシアネート基含有化合物>
ウレタンユニット(A)を構成するイソシアネート基含有化合物としては、例えば、芳香族、脂肪族、脂環式のイソシアネート基含有化合物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
芳香族イソシアネート基含有化合物としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアナネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシレンジイソシアナート、p-テトラメチルキシレンジイソシアナート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジクロロ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0034】
脂肪族イソシアネート基含有化合物としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートテトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0035】
脂環式イソシアネート基含有化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、水添キシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。
【0036】
ポリオールとイソシアネート基含有化合物との反応は、好ましくは無溶剤中で、公知のウレタン化反応を用いて行う。反応性を調整する目的で触媒を用いてもよい。
【0037】
<触媒>
触媒としては、公知の金属系触媒、アミン系触媒が使用できる。金属系触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、オクトエ酸錫、ジブチル錫ジ(2-エチルヘキソエート)、2-エチルヘキソエート鉛、チタン酸2-エチルヘキシル、チタンエチルアセテート、2-エチルヘキソエート鉄、2-エチルヘキソエートコバルト、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、テトラ-n-ブチル錫等が挙げられる。アミン系触媒としてはテトラメチルブタンジアミン等の3級アミン等が挙げられる。これらの触媒はポリオールに対して0.05~1モル%の範囲が好ましい。
【0038】
<ウレタンユニット(A)の数平均分子量>
ウレタンユニット(A)の数平均分子量は特に限定されないが、3,000~200,000が好ましい。
【0039】
<連鎖移動剤>
本発明の連鎖移動剤としては、メルカプト基を有する連鎖移動剤が好ましい。
ウレタン・アクリル複合樹脂(C)のウレタンユニット(A)と(メタ)アクリルユニット(B)の連結部位となるメルカプト基を有する連鎖移動剤について以下に述べる。
【0040】
<メルカプト基を有する連鎖移動剤>
メルカプト基を有する連鎖移動剤としては、分子内にイソシアネート基と反応し得る官能基とメルカプト基とをそれぞれ有するものであれば特に限定されないが、好ましくは分子内に1つのアミノ基と1つのメルカプト基を有する化合物である。メルカプト基もイソシアネート基との反応性を有するが、メルカプト基よりも反応性の高いアミノ基を分子内に有することで、アミノ基が素早くウレタンプレポリマー中のイソシアネート基と反応し、ウレタンプレポリマーの末端に効率よくメルカプト基が導入される。
【0041】
分子内に1つのアミノ基と1つのメルカプト基を有する化合物としては、限定されないが、例えば、2-アミノエタンチオール、3-アミノプロピル-1-チオール、1-アミノプロピル-2-チオール、4-アミノ-1-ブタンチオール等のアミノアルカンチオール類;
2-アミノチオフェノール、3-アミノチオフェノール、4-アミノチオフェノール等のアミノベンゼンチオール類等が挙げられる。これらの中でも、2-アミノエタンチオールが好ましい。
【0042】
次に、ウレタン・アクリル複合樹脂(C)の(メタ)アクリルユニット(B)について以下に述べる。(メタ)アクリルユニット(B)は、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(G)を含むエチレン性不飽和単量体由来の構成単位を有する。
【0043】
両末端に連鎖移動剤残基であるメルカプト基を持つウレタンユニット(A)から(メタ)アクリルユニット(B)を構築する方法としては、ウレタンユニット(A)中の末端メルカプト基を用いて、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(G)を含むエチレン性不飽和単量体を重合開始剤の存在下、連鎖移動重合を行うことで、(メタ)アクリルユニット(B)を形成する。
【0044】
<エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(G)>
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(G)としては、以下の例には限定されないが、分子内に1つの重合性不飽和二重結合と1つ以上のエポキシ基とを有する化合物を使用することができ、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸-3,4-エポキシブチル、(メタ)アクリル酸-4,5-エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸-6,7-エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸-3,4-エポキシシクロヘキシル、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、ラクトン変性(メタ)アクリル酸-3,4-エポキシシクロヘキシル、ビニルシクロヘキセンオキシド等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(G)は(メタ)アクリルユニット(B)100重量部中、5~100重量部含むことが好ましく、より好ましくは10~100重量部である。エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(G)が5~100重量部であると、接着強度と柔軟性に優れるため好ましい。
【0046】
(メタ)アクリルユニット(B)は、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(G)以外に、その他のエチレン性不飽和単量体が含まれていてもよい。
【0047】
その他のエチレン性不飽和単量体としては、以下の例には限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖または分岐アルキルエチレン性不飽和単量体類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキルエチレン性不飽和単量体類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3-メチル-3-オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有するエチレン性不飽和単量体類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、またはノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;
メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、n-ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルキルエーテル基を有するエチレン性不飽和単量体類;
3-(アクリロイルオキシメチル)3-メチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-メチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-エチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-エチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-ブチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-ブチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-ヘキシルオキセタンおよび3-(メタクリロイルオキシメチル)3-ヘキシルオキセタン等のオキセタニル基を有するエチレン性不飽和単量体類;
スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、または(メタ)アクリル酸アリル等のビニル基を有するエチレン性不飽和単量体類;
エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、またはイソブチルビニルエーテル等のエーテル基を有するエチレン性不飽和単量体類;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレートまたはこれらモノマーのカプロラクトン付加物(付加モル数は1~5)、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和単量体類;
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、2-アクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、2-アクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体類;
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチルメタクリレ-ト、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4-ビニルピリジン、2-ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N-ジメチルアミノスチレン、N,N-ジエチルアミノスチレン、メチルα-アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N-ビニルチオピロリドン、N-ビニルピロールこれらの塩等のアミノ基含有エチレン性不飽和単量体類;
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレート等のシアノ基含有エチレン性不飽和単量体類;
(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ペントキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N-メチルN-ビニルアセトアミド、N-ビニルピロリドン、N,N-ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N-メトキシメチル-N-(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、桂皮酸アミド等のアミド基含有エチレン性不飽和単量体類;
トリメチルアンモニオエチル(メタ)アクリレートクロライド、メチルジエチルアンモニオエチル(メタ)アクリレートブロマイド、トリメチルアンモニオエチル(メタ)アクリルアミドメトサルフェート、ベンジルジエチルアンモニオエチル(メタ)アクリルアミドカーボネート、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチルアリルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウムカチオンを含有するエチレン性不飽和単量体類;
アクロレイン、メタクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセトアセトキシエチルアクリレート、ホルミルスチロール等のケト基を有するエチレン性不飽和単量体類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
(メタ)アクリルユニット(B)はウレタン・アクリル複合樹脂(C)100重量部のうち、10~60重量部含むことが好ましく、より好ましくは15~40重量部である。(メタ)アクリルユニット(B)を10~60重量部含むことで、柔軟性と接着強度に優れるため好ましい。
【0049】
<重合開始剤>
重合開始剤としては、公知のアゾ系化合物や有機過酸化物を用いることができ、アゾ系化合物としては、以下の例には限定されないが、例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカーボキシレート)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、または2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられ、有機過酸化物としては、以下の例には限定されないが、例えば過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサエート、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
重合開始剤は、(メタ)アクリルユニット(B)100重量部に対して、0.001~15重量部の範囲で使用することが好ましい。0.001~15重量部の範囲であると、効果的に連鎖移動重合が進行するため好ましい。
【0051】
<(メタ)アクリルユニット(B)の数平均分子量>
(メタ)アクリルユニット(B)の数平均分子量は特に限定されないが、2,000~200,000が好ましい。
【0052】
<ウレタン・アクリル複合樹脂(C)の数平均分子量>
ウレタン・アクリル複合樹脂(C)の数平均分子量は特に限定されないが、5,000~300,000が好ましい。
【0053】
<溶媒>
溶媒としては、例えば、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、プロピレンオキシド、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類の他、トルエン、メチルシクロヘキサン、アセトニトリル等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
<硬化剤(D)>
硬化剤(D)としては、特に限定されず、エポキシ樹脂を硬化させる公知の硬化剤を使用することができ、例えば、アミン化合物、アミド化合物、酸無水物、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0055】
アミン化合物としては、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノヘキサン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミンポリエチレンイミンのダイマ-酸エステル等の脂肪族アミン類;
イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N-アミノエチルピペラジン、ビス(4-アミノ-3-メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン、ビス( アミノメチル) ノルボルナン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン等の脂環式アミン類;
テトラクロロ-p-キシレンジアミン、m-キシレンジアミン、p-キシレンジアミン、m-フェニレンジアミン、o-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノアニゾール、2,4-トルエンジアミン、2,4-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-1,2-ジフェニルエタン、2,4-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、m-アミノフェノール、m-アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2-ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α-(m-アミノフェニル)エチルアミン、α-(p-アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’-ビス(4-アミノフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、3,3’-ジイソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチルベンジルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の芳香族アミン類;
2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル
イミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2,4-ジエチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシイミダゾール等のイミダゾール誘導体類;
三フッ化ホウ素-モノエチルアミン,三フッ化ホウ素-ピペリジン、三フッ化ホウ素-トリエチルアミン、三フッ化ホウ素-アニリン錯体等の三フッ化ホウ素-アミン錯体類;
ジシアンジアミド、メチルグアニジン、エチルグアニジン、プロピルグアニジン、ブチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、フェニルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トルイルグアニジン、2,3-グアニルウレア、ベンゾイルジシアンジアミド、2,6-キシレニルビグアニド、フェニルビグアニド等のグアニジン誘導体類;トリエチレングリコ-ルジアミン、テトラエチレングリコ-ルジアミン、ジエチレングリコ-ルビス(プロピルアミン)、ポリ(プロピレングリコール)ジアミン、ポリ(プロピレングリコール)トリアミン、ポリ(エチレングリコール)ジアミン、ポリ(エチレングリコール)トリアミン、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)ジアミン、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)トリアミン、ポリ(プロピレン/エチレングリコール)ジアミン、ポリ(プロピレン/エチレングリコール)トリアミン、等のポリエ-テルポリアミン類等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
アミド系化合物としては、リノレン酸やオレイン酸の2量体(ダイマ酸)とジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンなどのポリアミンとを反応させて成る、分子中に一級アミンと二級アミンを有するポリアミドアミン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、レゾルシンノボラック樹脂に代表される多価ヒドロキシ化合物とホルムアルデヒドから合成される多価フェノールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミン、ベンゾグアナミンなどでフェノール核が連結された多価フェノール化合物)やアルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
これらの中でも、長いポットライフを有し、高い接着強度が得られるため、ジシアンジアミドが好ましい。
【0060】
接着剤樹脂組成物(F)に含まれる全てのエポキシ基の合計のモル数と硬化剤(D)中のエポキシ基との反応に関与する活性水素基の合計のモル数の比(エポキシ基/硬化剤中の活性水素基)は、0.5~1.5であると、伸張性と接着強度と柔軟性に優れるため好ましい。
【0061】
<反応性希釈剤(E)>
反応性希釈剤(E)としては、2官能以上のエポキシ基を有する化合物であれば、特に限定されず、公知のエポキシ基を有する化合物を使用することができる。
反応性希釈剤(E)は常温で液体状のものが好ましい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ジアリールスルホン型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂及びそれらの変性物等が挙げられる。また、3官能以上の多官能エポキシ樹脂としては、例えば、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、多官能グリシジルエーテル等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。
【0062】
<接着剤樹脂組成物(F)>
本発明における接着剤樹脂組成物(F)は、ウレタン・アクリル複合樹脂(C)と、硬化剤(D)と、反応性希釈剤(E)とを公知の方法により混合することで得られる。これらの他に、硬化促進剤、シランカップリング剤、レベリング剤または消泡剤、充填剤、噴射剤、可塑剤、超可塑剤、湿潤剤、難燃剤、粘度調整剤、保存剤、安定剤および着色剤等の公知の添加剤を配合して使用してもよい。
【0063】
ジシアンジアミドを硬化剤として用いる場合、硬化促進剤としては、たとえば、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物類;
トリエチルアミンや2,4,6-トリス( ジメチルアミノメチル) フェノール等の3級アミン化合物、三フッ化ホウ素・ピペリジン錯体、三フッ化ホウ素・モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・トリエタノールアミン錯体、三塩化ホウ素・オクチルアミン錯体等のハロゲン化ホウ素等のルイス酸錯体類;
アンモニウム塩やホスホニウム塩等のオニウム塩;N,N-ジメチル-N’-(3-クロロ-4 -メチルフェニル)尿素、N,N-ジメチル-N’-(4-クロロフェニル)尿素、N,N-ジメチル-N’-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、N,N-ジメチル-N -(3,4-ジクロロメチルフェニル)尿素、2,4-(N',N’-ジメチルウレイ
ド)トルエン、1,4-ビス(N',N’-ジメチルウレイド)ベンゼン等の尿素誘導体類の他、ジシアンジアミド誘導体類が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
反応促進剤の添加量は、接着剤樹脂組成物(F)中のウレタン・アクリル複合樹脂(C)の固形分100重量部に対し、好ましくは0.005~5重量部である。
【0065】
シランカップリング剤としては、たとえばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するトリアルコキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するトリアルコキシシラン;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシジル基を有するトリアルコキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基を有するトリアルコキシシラン、3―メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するトリアルコキシシラン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
シランカップリング剤の添加量は、接着剤樹脂組成物(F)中のウレタン・アクリル複合樹脂(C)の固形分100重量部に対し、好ましくは0.05~10重量部である。
【0067】
レベリング剤または消泡剤の内、レベリング剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、アクリル系共重合物、メタクリル系共重合物、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物、レシチン等が挙げられる。
【0068】
消泡剤としては、シリコーン樹脂、シリコーン溶液、アルキルビニルエーテルとアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合物等の公知のものが挙げられる。
【0069】
<積層体>
本発明の積層体は、接着剤樹脂組成物(F)からなる接着剤層を含むものであれば特に限定されず、公知の積層方法を用いて形成することができるが、例えば、基材の一方の面に接着剤樹脂組成物(F)を塗布して接着剤層を形成し、次いで、硬化処理前の接着剤層に他の基材を重ね、20~150℃程度の条件で接着剤層を硬化させることで基材と接着剤層からなる積層体を得ることができる。接着剤層の膜厚は0.1μm~300mmであることが好ましい。
【0070】
本発明の接着剤樹脂組成物(F)は、多くの基材表面に使用可能である。好適な基材としては、限定されるものではないが、アルミニウムなどの金属、ポリエチレン、ポリロピレン、ポリウレタン、ポリアクリレートおよびポリカーボネートおよびそれらのコポリマーなどの熱可塑性ポリマー、加硫ゴムなどの熱硬化性ポリマー、尿素-ホルムアルデヒドフォーム、メラミン樹脂、木材、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチックおよびその他の繊維強化プラスチック等であり、それらの基材において同一、類似、または異なる基材を接着することが可能である。
【0071】
本発明の接着剤樹脂組成物(F)を用いて製造された積層体は、本発明の接着剤樹脂組成物(F)が十分な接着性および柔軟性を有するため、自動車、建材、船舶、航空機等の輸送機器の構造部材(パネル部品、骨格部品、足回り部品など)として有用である。
【実施例】
【0072】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、特に断りのない限り実施例における「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を表す。
【0073】
実施例中の数平均分子量は、カラムとしてShodexGPCLF-604(Shodex社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(Shodex社製、GPC-104)で展開溶媒にTHFを用いた時のポリスチレン換算分子量を用いた。
【0074】
[製造例1]
窒素ガス導入管、攪拌装置、温度計、還流器を備えた反応容器に、まずポリオールとしてP-1000(製品名、一般名:2官能ポリプロピレングリコール、水酸基価110、ADEKA社製)100部、イソシアネート基含有化合物としてイソホロンジイソシアネート28.3部、反応促進剤としてチタンジイソプロポキシビズ(エチルアセトアセテート)を0.02部仕込み均一に撹拌した後、窒素雰囲気下110℃で5時間反応させウレタンプレポリマーを得た。次に80℃まで冷却し、溶媒としてメチルエチルケトンを69.9部、連鎖移動剤として2-アミノエタンチオール2.2部を加え、75℃で2時間反応させウレタンユニットを得た。反応の終点は、FT-IRによりイソシアネート基由来のピーク(2270cm-1付近)の消失により確認した。続いて反応性希釈剤としてD.E.R.331(製品名、一般名:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ価190、ダウ・ケミカル社製)58.0部、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としてグリシジルメタクリレート13.0部、その他のエチレン性不飽和単量体としてn-ブチルメタクリレート30.4部を加え均一に撹拌した後、窒素雰囲気下で75℃に昇温し、ここに重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.1部を30分毎に13回分割して加え、重合開始剤の添加後にさらに2時間反応させて(メタ)アクリルユニットを形成した。その後、減圧下で溶媒をすべて除去することでウレタン・アクリル複合樹脂(C-1)と反応性希釈剤との混合物を得た。得られたウレタン・アクリル複合樹脂(C-1)中の(メタ)アクリルユニット(B)の割合(%)、数平均分子量は表1の通りである。
【0075】
[製造例2~16]
表1に示す配合組成に変更した以外は製造例1と同様の操作を行い、ウレタン・アクリル複合樹脂(C-2~16)と反応性希釈剤との混合物を得た。得られたウレタン・アクリル複合樹脂(C-2~16)中の(メタ)アクリルユニット(B)の割合(%)、数平均分子量は表1の通りである。
【0076】
[比較製造例1]
窒素ガス導入管、攪拌装置、温度計、還流器を備えた反応容器に、ポリオールとしてアデカポリエーテルP-1000(製品名、一般名:2官能ポリプロピレングリコール、水酸基価110、ADEKA社製)100部、イソシアネート基含有化合物としてイソホロンジイソシアネート28.3部、反応促進剤としてチタンジイソプロポキシビズ(エチルアセトアセテート)を0.02部仕込み均一に撹拌した後、窒素雰囲気下110℃で5時間反応させウレタン樹脂を得た。続いて、反応性希釈剤としてD.E.R.331(製品名、一般名:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ価190、ダウ・ケミカル社製)42.8部を添加し、十分に攪拌混合して比較用のウレタン樹脂(H-1)と反応性希釈剤との混合物を得た。
【0077】
[比較製造例2]
窒素ガス導入管、攪拌装置、温度計、還流器を備えた反応容器に、D.E.R.331(製品名、一般名:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ価190、ダウ・ケミカル社製)4.8部、グリシジルメタクリレート4.3部、n-ブチルメタクリレート10.0部を加え均一に撹拌した後、窒素雰囲気下で75℃に昇温し、ここに重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.1部を30分毎に13回分割して加え、重合開始剤をすべて添加した後さらに2時間反応させることで比較用のアクリル樹脂(H-2)と反応性希釈剤との混合物を得た。
【0078】
[比較製造例3]
表1に示す配合組成に変更した以外は製造例1と同様の操作を行い、比較用のウレタン・アクリル複合樹脂(H-3)と反応性希釈剤との混合物を得た。得られたウレタン・アクリル複合樹脂(H-3)中の(メタ)アクリルユニット(I)の割合(%)、数平均分子量は表1の通りである。
【0079】
[比較製造例4]
反応性希釈剤を用いなかった以外は、製造例1と同様の操作を行い、比較用のウレタン・アクリル複合樹脂(H-4)を得た。得られたウレタン・アクリル複合樹脂(H-4)中の(メタ)アクリルユニット(B)の割合(%)、数平均分子量は表1の通りである。
【0080】
【0081】
表1に記載の化合物を下記に示す。
<ポリオール>
・P-1000:2官能ポリプロピレングリコール、水酸基価110、ADEKA社製
・P-2000:2官能ポリプロピレングリコール、水酸基価56、ADEKA社製
・PEG1000:2官能ポリエチレングリコール、水酸基価112.2、日油社製
<イソシアネート基含有化合物>
・IPDI:イソホロンジイソシアネート
<反応性希釈剤(E)>
D.E.R.331:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ価190、ダウ・ケミカル社製
<エチレン性不飽和単量体>
・BMA:n-ブチルメタクリレート
・MMA:メチルメタクリレート
<エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(G)>
・GMA:グリシジルメタクリレート
・4HBAGE:4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル
【0082】
<接着剤樹脂組成物の調製>
[実施例1]
ウレタン・アクリル複合樹脂(C-1)と反応性希釈剤との混合物10部、硬化剤(D)としてジシアンジアミド0.36部、硬化促進剤としてN,N-ジメチル-N’-(4-クロロフェニル)尿素0.05部を室温で攪拌混合し、実施例1の接着剤樹脂組成物を調製した。
【0083】
[実施例2~16および比較例1~6]
表2に示す配合組成に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例2~16および比較例1~6の接着剤樹脂組成物を調製した。なお、比較例2については、粘度が高く均一に撹拌混合することが困難であったため、以下の評価試験を実施しなかった。
【0084】
<接着剤樹脂組成物の評価>
実施例1~16および比較例1、3~6で調製した接着剤樹脂組成物について、次のような試験を行った。判定結果を表2に記載する。
【0085】
【0086】
[接着力]
各接着剤組成物を、アルミニウム基材(長さ100mm、幅25mm、膜厚2mm)上に幅25mm、長さ10mm、厚み0.1mmとなるよう塗布し、炭素繊維強化プラスチック基板(長さ100mm、幅25mm、膜厚2mm)と貼りあわせ、厚み0.1mmを保持するよう圧着した状態で160℃1時間硬化させることで、接着力評価用の試験片を得た。得られた試験片を温度25℃、相対湿度50%の条件下、引張り速度1mm/分で引張り試験機を用いてせん断接着強度を測定し、以下の評価基準で判定した。実用レベルは△以上である。
(評価基準)
○ :15MPa以上である。
○△ :12.5MPa以上15MPa未満である。
△ :10MPa以上12.5MPa未満である。
× :10MPa未満である。
【0087】
[破断伸び(柔軟性)]
厚さ3mmのシート状型枠に各硬化性組成物を充填し、表面を整えて、160℃1時間 硬化後、ダンベル型枠で打ち抜き、ダンベル型硬化物を作成した。このダンベル片を用 いて、引張速度50mm/分で引張試験を行い、破断時の伸び率(%)を測定し、以下 の基準で判定した。実用レベルは△以上である。
(評価基準)
○ :20%以上である。
○△ :10%以上20%未満である。
△ :5%以上10%未満である。
× :5%未満である。
【0088】
表2より、本発明の接着剤樹脂組成物は、接着力、破断伸び(柔軟性)ともに良好な結果が得られた。一方、比較用接着剤樹脂組成物では、接着力および/または破断伸び(柔軟性)が、実施例よりも劣る結果であった。
【0089】
[製造例17~34]
表3に示す配合組成に変更した以外は製造例1と同様の操作を行い、ウレタン・アクリル複合樹脂(C-17~34)と反応性希釈剤との混合物を得た。得られたウレタン・アクリル複合樹脂(C-17~34)中の(メタ)アクリルユニット(B)の割合(%)、数平均分子量等は表3の通りである。
【0090】
[比較製造例5]
表3に示す配合組成に変更した以外は製造例1と同様の操作を行い、比較用のウレタン・アクリル複合樹脂(H-5)と反応性希釈剤との混合物を得た。得られたウレタン・アクリル複合樹脂(H-5)中の(メタ)アクリルユニット(I)の割合(%)、数平均分子量等は表3の通りである。
【0091】
[比較製造例6]
反応性希釈剤を用いなかった以外は、製造例1と同様の操作を行い、比較用のウレタン・アクリル複合樹脂(H-6)を得た。得られたウレタン・アクリル複合樹脂(H-6)中の(メタ)アクリルユニット(B)の割合(%)、数平均分子量は表3の通りである。
【0092】
【0093】
表3に記載の化合物を下記に記す。
<ポリオール>
・HF-2009:2官能ひまし油系ポリオール、水酸基価43.2、伊藤製油社製、商品名「URIC HF-2009」
<イソシアネート基含有化合物>
・MDI:ジフェニルメタンジイソシアネートソシアネート
【0094】
【0095】
[実施例17~34および比較例7、8]
表4に示す配合組成に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例17~34および7、8の接着剤樹脂組成物を調製した。
【0096】
[接着力]
各接着剤組成物をアルミニウム基材(長さ100mm、幅25mm、膜厚2mm)上に幅25mm、長さ10mm、厚み0.1mmとなるよう塗布し、炭素繊維強化プラスチック基板(長さ100mm、幅25mm、膜厚2mm)と貼りあわせ、厚み0.1mmを保持するよう圧着した状態で160℃1時間硬化させることで、接着力評価用の試験片を得た。得られた試験片は上記と同様の条件下、引張り速度でせん断接着強度を測定し、上記の接着力評価基準で判定した。実用レベルは10MPa以上であり、数値が大きいほど良好である。
【0097】
[破断伸び(柔軟性)]
厚さ3mmのシート状型枠に各硬化性組成物を充填し、表面を整えて、上記と同様の硬化条件により硬化後、ダンベル型枠で打ち抜き、ダンベル型硬化物を作成した。このダンベル片を上記と同様に測定し、上記の基準で判定した。実用レベルは10%以上であり、数値が大きいほど良好である。
【0098】
【0099】
[実施例35~68、比較例9~12]
表5に示す配合組成に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例35~68および比較例9~12の接着剤樹脂組成物を調製した。
【0100】
[耐熱性]
厚さ1mmのシート状型枠に各硬化性組成物を充填し、表面を整えて、160℃1時間硬化した。動的粘弾性測定用の短冊状のサンプル硬化膜を5mm幅の短冊状に切り取って試験片とし、150℃のオーブンに500時間静置した。耐熱性試験前後の試験片について、DVA-200/L2(アイティー計測制御株式会社)を用いて、動的粘弾性測定を実施した。測定条件は下記の通りである。
測定モード: 引張モード
周波数:10Hz
温度範囲:-80℃~測定限界まで
昇温条件:10℃/分
【0101】
200℃における貯蔵弾性率の値を用いて、下記式により変化率を算出した。数値がゼロに近いものほど良好である。耐熱性試験前の試験片の200℃における貯蔵弾性率をA(Pa)、耐熱性試験後の試験片の200℃における貯蔵弾性率をB(Pa)としたとき、変化率Cを次のように表す。
(1)A>Bの場合:C=A/B
(2)B≧Aの場合:C=B/A
(評価基準)
〇:Cが10未満
△:Cが10以上100未満
×:Cが100以上
【0102】
表4、5より、本発明の接着剤樹脂組成物は、耐熱性が良好な結果が得られた。一方、比較用接着剤樹脂組成物では、耐熱性が実施例よりも劣る結果であった。