(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】調剤支援システム
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240226BHJP
B65B 1/30 20060101ALI20240226BHJP
G16H 20/10 20180101ALI20240226BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
A61J3/00 310K
B65B1/30 B
G16H20/10
(21)【出願番号】P 2020006282
(22)【出願日】2020-01-17
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2019195654
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】中島 健
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/123147(WO,A1)
【文献】特開2001-087352(JP,A)
【文献】特開2016-130972(JP,A)
【文献】特開昭60-242853(JP,A)
【文献】特開平07-024035(JP,A)
【文献】特開平07-149302(JP,A)
【文献】実開平07-005646(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65B 1/30
G16H 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方データに基づいて散薬を一服用分ずつ包装して排出する分包処理を実行可能な散薬分包手段が接続され、
前記散薬分包手段は、自動散薬分包機と、別体の薬剤秤量装置と散薬分包機によって構成された手動散薬分包手段からなり、
散薬が処方されている場合に
、前記自動散薬分包機と前記手動散薬分包手段のうちの一つ
で前記分包処理が実行されるものであり、
振り分け動作が実行されることで、前記分包処理が
前記自動散薬分包機と、前記手動散薬分包手段のいずれかに割り当てられ
、前記振り分け動作で割り当てた前記分包処理が実行される前に
、前記振り分け動作の結果を示す情報をユーザが確認可能な状態で出力する第一出力動作を実行する
ものであり、
前記第一出力動作は、前記振り分け動作による割り当て先を示す情報を出力する動作であり、
前記振り分け動作の結果は、前記分包処理の実行前に変更可能であり、
前記第一出力動作では、指示箋が出力される、調剤支援システム。
【請求項2】
複数の前記散薬分包手段の少なくとも一つは、前記振り分け動作の実行後、自己に割り当てられた前記分包処理を他の前記散薬分包手段に振り替える振替機能を有し、
前記振り分け動作は、前記分包処理を実行する前記散薬分包手段を永続的又は一時的に決定する動作であり、前記分包処理の振り替えが行われた場合に前記振り分け動作の決定が切り替えられる、請求項1に記載の調剤支援システム。
【請求項3】
前記第一出力動作の実行後に第二出力動作が実行されるものであり、
前記第二出力動作は、前記振り分け動作で一つの前記散薬分包手段に割り当てた前記分包処理がいずれかの前記散薬分包手段で実行され、その実行が完了されたことを条件として、実際に前記分包処理を行った前記散薬分包手段を特定する情報をユーザが確認可能な状態で出力する動作である、請求項2に記載の調剤支援システム。
【請求項4】
前記第二出力動作では、前記振り分け動作の後に前記分包処理の振り替えが行われた場合に、振り替え履歴に関する情報を出力する、請求項3に記載の調剤支援システム。
【請求項5】
前記第一出力動作と前記第二出力動作では、処方された薬剤の
薬剤名を示す情報を含む薬剤の鑑査に必要な情報と共に、前記分包処理の振り分けに関する情報を出力する、請求項3又は4に記載の調剤支援システム。
【請求項6】
前記散薬分包手段の少なくとも一つは、自動散薬分包機であり、
前記散薬分包手段の少なくとも他の一つは、それぞれ別体の薬剤秤量装置と散薬分包機によって構成された手動散薬分包手段であり、
前記自動散薬分包機は、散薬が収容された複数の薬剤容器を保管する容器保管部と、分配皿と、散薬包装装置とを内部に有し、且つ、前記容器保管部に保管された前記薬剤容器から散薬を計量しつつ排出させ、排出させた散薬を直接又は他の容器に一時収容させた後に他の容器から前記分配皿に投入し、前記分配皿から散薬を一包分ずつ前記散薬包装装置に投入して個別包装する動作を自動で実行可能であり、
前記薬剤秤量装置は、対象薬剤を秤量するものであり、
前記散薬分包機は、導入された秤量済みの散薬を一服用分ずつ包装して排出するものであり、
前記振り分け動作では、前記手動散薬分包手段よりも前記自動散薬分包機に優先的に前記分包処理を割り当てる、請求項1乃至5のいずれかに記載の調剤支援システム。
【請求項7】
前記振り分け動作では、前記振り分け動作の実行時に前記容器保管部に保管されている前記薬剤容器に収容された散薬の情報に基づいて前記分包処理を割り当てる、請求項6に記載の調剤支援システム。
【請求項8】
前記自動散薬分包機は、自己に割り振られた前記分包処理を他の前記散薬分包手段に振り替える振替機能を有する、請求項6又は7に記載の調剤支援システム。
【請求項9】
前記第一出力動作は、前記振り分け動作の結果を示す情報を紙媒体に印刷して出力する、又は、外部携帯端末の表示画面に出力する、請求項1乃至8のいずれかに記載の調剤支援システム。
【請求項10】
処方データに基づいて散薬を一服用分ずつ包装して排出する分包処理を実行可能な散薬分包手段が接続され、
散薬が処方されている場合に、複数の前記散薬分包手段のうちの一つの前記散薬分包手段で前記分包処理が実行されるものであり、
振り分け動作が実行されることで、前記分包処理が一つの前記散薬分包手段に割り当てられ、一の前記振り分け動作で割り当てた前記分包処理が実行される前に、一の前記振り分け動作の結果を示す情報をユーザが確認可能な状態、且つ、持ち運び可能な状態で出力する第一出力動作を実行するものであり、前記第一出力動作は、一の前記振り分け動作でどの前記散薬分包手段に分包処理が割り当てられたかについての結果を示す情報であって将来変更される可能性がある情報を出力する動作であり、一の前記振り分け動作が完了した直後に実行される動作である、調剤支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院、医院、調剤薬局等の医療施設において、患者に薬剤を提供するための調剤支援システムに関するものであり、特に大規模の病院における薬剤提供業務を好適に支援可能な調剤支援システムである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療施設で患者に薬剤を提供する際には、医師が診察を行って処方箋を発行し、発行された処方箋に基づいて調剤業務が行われている。詳細には、診察を受けた医療施設で直接薬剤が提供される院内処方と、診察を受けた医療施設外の医療施設(院外の調剤薬局等)で薬剤が提供される院外処方とがあり、比較的規模の大きな大病院では、院内処方が行われている場合がある。この場合、病院内の薬剤部(薬剤課)で薬剤の調製(計量、混合、一包化等)、鑑査、提供等を含む調剤業務が行われる。
【0003】
このような調剤業務を支援するシステムとして、本出願人が過去に出願した特許文献1に開示されている散薬調剤業務支援システムがある(以下、単に調剤支援システムとも称す)。特許文献1の調剤支援システムは、散薬を一服用分ずつに分割して包装する分包作業をほぼ完全に自動化可能な散薬分包機(以下、完全自動散薬分包機とも称す)を含んで構成されている。そして、この調剤支援システムでは、完全自動散薬分包機を使用して実行する分包と、完全自動散薬分包機と他の調剤機器を組み合わせて実行する分包と、他の調剤機器を使用して実行する分包が可能である。
【0004】
ここで、完全自動散薬分包機は、薬剤容器を内部の容器保管装置から散薬の排出場所まで移動させる作業、薬剤容器に収容された散薬を取り出す作業、散薬を秤量する作業、散薬を一包分ずつに分割して個別包装する作業からなる一連の工程を自動で実行できる。
このため、完全自動散薬分包機のみで実行する分包は、他の調剤機器を使う分包に比べて調剤者の負担を少なくできる。
【0005】
したがって、上記した特許文献1の調剤支援システムでは、完全自動散薬分包機のみで実行する分包を優先的に行うものとしている。
具体的には、制御装置が処方データを受信すると、制御装置が完全自動散薬分包機にデータを送信する。そして、完全自動散薬分包機は、処方データに含まれる処方が自己で処理できるか否かを判別する判別動作を実行する。この判別動作の結果、完全自動散薬分包機のみで処理可能である場合は、そのまま完全自動散薬分包機で分包を実行する。これに対し、完全自動散薬分包機のみで処理できない場合は、完全自動散薬分包機から制御装置にデータを再送し、制御装置が他の調剤機器にデータを送信する。そして、他の調剤機器と完全自動散薬分包機を組み合わせて実行する分包か、他の調剤機器を使用して実行する分包のいずれかを実行する。
また、特許文献1には、上記した完全自動散薬分包機が実行する判別動作を制御装置で実行してもよいことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、完全自動散薬分包機は、調剤者の負担が少ないので、市場において好評を得ている。このことから、特に大病院の薬剤部のように、大量に発行される処方箋を次々に処理していく必要のある医療施設において、導入が強く望まれている。
【0008】
そして、大病院では、完全自動散薬分包機を導入するとき、完全自動散薬分包機と、従来の散薬分包機からなる分包機を多数有し、多数の分包機から選択される一つの分包機を使用して分包を実行する大規模な調剤業務支援システムを構築する場合が多い。
【0009】
このような調剤業務支援システムを実際に運用するとき、それぞれの処方データに対応する薬剤がいずれの分包機で分包されるのかが決定されると、調剤者は、システムに属する調剤機器(分包機や秤量装置等)を見て回っていた。そして、分包処理が割り当てられた調剤機器を特定し、完全自動散薬分包機から個別包装された散薬を受け取ったり、従来の散薬分包機に投入する散薬を秤量装置で秤量したりするといった作業を行っていた。
ここで、規模の小さな調剤業務支援システムとは異なり、大規模な調剤業務支援システムを構築した場合、広い敷地に多くの分包機や他の調剤機器が配置されるので、調剤者が調剤機器を見て回る作業の手間が大変なものとなっていた。
【0010】
そこで、いずれの調剤機器を使用して分包するのかが確定した際、その内容を調剤者が視認可能な状態で出力する調剤業務支援システムが望まれていた。
【0011】
ところで、本発明者らは、このような調剤業務支援システムにおいて、制御装置等で分包処理を複数の調剤機器に振り分けた後、必要に応じて分包処理の振り替えを実行可能な構成を考えた。
具体的に説明すると、第一の分包機と第二の分包機を有する調剤業務支援システムにおいて、所定の処方に基づく薬剤の包装処理(以下、第一分包処理とする)を第一の分包機を使用して実行することが決定したとする。このとき、第一の分包機で多くの分包処理が未処理のまま蓄積されていると、第一の分包機で第一分包処理が実行されるまで時間がかかってしまう。そこで、このような場合には、第一の分包機での第一分包処理の実行を取り止め、第二の分包機で実行することで、システム全体の分包作業の高速化を図ることができる。
【0012】
しかしながら、このような動作が可能な構成とした場合、いずれの調剤機器を使用して分包するのかが確定するまでに時間がかかる場合がある。すなわち、分包処理の振り替えが一又は複数回行われる可能性があり、このような場合、分包で使用する調剤機器が完全に確定するまでに時間がかかってしまう。
このため、分包で使用する調剤機器が確定した後、その内容を調剤者が視認可能となるように出力したのでは、調剤者が調剤機器に向かう際の初動が遅くなるという問題が生じてしまう。
【0013】
以上のことから、調剤者の調剤業務をより適切に支援し、調剤業務のさらなる効率化が可能な調剤業務支援システムが望まれていた。
【0014】
そこで本発明は、調剤業務の作業効率を向上させることが可能な調剤支援システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、処方データに基づいて散薬を一服用分ずつ包装して排出する分包処理を実行可能な散薬分包手段が接続され、前記散薬分包手段は、自動散薬分包機と、別体の薬剤秤量装置と散薬分包機によって構成された手動散薬分包手段からなり、散薬が処方されている場合に、前記自動散薬分包機と前記手動散薬分包手段のうちの一つで前記分包処理が実行されるものであり、振り分け動作が実行されることで、前記分包処理が前記自動散薬分包機と、前記手動散薬分包手段のいずれかに割り当てられ、前記振り分け動作で割り当てた前記分包処理が実行される前に、前記振り分け動作の結果を示す情報をユーザが確認可能な状態で出力する第一出力動作を実行するものであり、前記第一出力動作は、前記振り分け動作による割り当て先を示す情報を出力する動作であり、前記振り分け動作の結果は、前記分包処理の実行前に変更可能であり、前記第一出力動作では、指示箋が出力される、調剤支援システムである。
本発明の他の様相は、処方データに基づいて散薬を一服用分ずつ包装して排出する分包処理を実行可能な散薬分包手段が接続され、散薬が処方されている場合に、複数の前記散薬分包手段のうちの一つの前記散薬分包手段で前記分包処理が実行されるものであり、振り分け動作が実行されることで、前記分包処理が一つの前記散薬分包手段に割り当てられ、一の前記振り分け動作で割り当てた前記分包処理が実行される前に、一の前記振り分け動作の結果を示す情報をユーザが確認可能な状態、且つ、持ち運び可能な状態で出力する第一出力動作を実行するものであり、前記第一出力動作は、一の前記振り分け動作でどの前記散薬分包手段に分包処理が割り当てられたかについての結果を示す情報であって将来変更される可能性がある情報を出力する動作であり、一の前記振り分け動作が完了した直後に実行される動作である、調剤支援システムである。
本様相に関連する他の様相は、処方データに基づいて散薬を一服用分ずつ包装して排出する分包処理を実行可能な散薬分包手段を複数有し、散薬が処方されている場合に、複数の前記散薬分包手段のうちの一つの前記散薬分包手段で前記分包処理が実行されるものであり、振り分け動作が実行されることで、前記分包処理が一つの前記散薬分包手段に割り当てられ、一の前記振り分け動作で割り当てた前記分包処理が実行される前に、一の前記振り分け動作の結果を示す情報をユーザが確認可能な状態で出力する第一出力動作を実行する、調剤支援システムである。
【0016】
本様相の調剤支援システムでは、分包処理を振り分け動作で振り分けた後、振り分けた分包処理の実行前に、その結果を示す情報が第一出力動作によって出力される。つまり、分包処理が割り当て先の前記散薬分包手段で実際に実行されるかどうかに関わらず、いち早く第一出力動作を実行する。このことから、調剤作業の作業場所の目安となる情報をいち早く調剤者に提供することができるので、調剤者が分包処理を実行予定の散薬分包手段(調剤機器)の周辺にいち早く駆けつけることが可能となる。
【0017】
上記様相の調剤支援システムは、複数の前記散薬分包手段の少なくとも一つは、前記振り分け動作の実行後、自己に割り当てられた前記分包処理を他の前記散薬分包手段に振り替える振替機能を有し、前記振り分け動作は、前記分包処理を実行する前記散薬分包手段を永続的又は一時的に決定する動作であり、前記分包処理の振り替えが行われた場合に前記振り分け動作の決定が切り替えられる、構成とすることが特に好ましい。
【0018】
また、上記した好ましい様相は、前記第一出力動作の実行後に第二出力動作が実行されるものであり、前記第二出力動作は、前記振り分け動作で一つの前記散薬分包手段に割り当てた前記分包処理がいずれかの前記散薬分包手段で実行され、その実行が完了されたことを条件として、実際に前記分包処理を行った前記散薬分包手段を特定する情報をユーザが確認可能な状態で出力する動作であることがより好ましい。
【0019】
このより好ましい様相は、前記第二出力動作では、前記振り分け動作の後に前記分包処理の振り替えが行われた場合に、振り替え履歴に関する情報を出力することがさらに好ましい。
【0020】
これらの構成によると、鑑査業務を行う薬剤師が実際に行われた薬剤の調製業務(計量、混合、一包化等)の内容を正確に把握できるため、好ましい。
【0021】
上記した好ましい様相は、前記第一出力動作と前記第二出力動作では、処方された薬剤の薬剤名を示す情報を含む薬剤の鑑査に必要な情報と共に、前記分包処理の振り分けに関する情報を出力することがより好ましい。
【0022】
かかる構成によると、調製業務を行う調剤者や、調剤者とは別の鑑査業務を行う薬剤師が出力された内容を確認しつつ作業を行うとき、作業の対象となる処方と他の処方とを間違い難く、好ましい。また、第一出力動作の出力内容を確認しつつ鑑査業務を行うことも可能となる。
【0023】
上記した様相は、前記散薬分包手段の少なくとも一つは、自動散薬分包機であり、前記散薬分包手段の少なくとも他の一つは、それぞれ別体の薬剤秤量装置と散薬分包機によって構成された手動散薬分包手段であり、前記自動散薬分包機は、散薬が収容された複数の薬剤容器を保管する容器保管部と、分配皿と、散薬包装装置とを内部に有し、且つ、前記容器保管部に保管された前記薬剤容器から散薬を計量しつつ排出させ、排出させた散薬を直接又は他の容器に一時収容させた後に他の容器から前記分配皿に投入し、前記分配皿から散薬を一包分ずつ前記散薬包装装置に投入して個別包装する動作を自動で実行可能であり、前記薬剤秤量装置は、対象薬剤を秤量するものであり、前記散薬分包機は、導入された秤量済みの散薬を一服用分ずつ包装して排出するものであり、前記振り分け動作では、前記手動散薬分包手段よりも前記自動散薬分包機に優先的に前記分包処理を割り当てることが好ましい。
【0024】
かかる構成によると、調剤者の負担がより少ない自動散薬分包機に優先的に分包処理を割り当てるので、調剤業務の作業効率を向上できる。
【0025】
上記した好ましい様相は、前記振り分け動作では、前記振り分け動作の実行時に前記容器保管部に保管されている前記薬剤容器に収容された散薬の情報に基づいて前記分包処理を割り当てることがより好ましい。
【0026】
かかる構成によると、自動散薬分包機に保管する散薬を適宜変更しても適切な振り分け動作が可能であり、好ましい。
【0027】
上記した好ましい様相は、前記自動散薬分包機は、自己に割り振られた前記分包処理を他の前記散薬分包手段に振り替える振替機能を有することがより好ましい。
【0028】
かかる構成によると、自動散薬分包機の分包処理の処理状況に応じて、分包処理の割り当て先を適宜変更できるので、調剤業務の作業効率を向上させることができる。
【0029】
上記した様相は、前記第一出力動作は、前記振り分け動作の結果を示す情報を紙媒体に印刷して出力する、又は、外部携帯端末の表示画面に出力することが好ましい。
【0030】
かかる構成によると、情報が出力された媒体又は装置を調剤者が持ち歩いて作業できるので、調剤作業がやり易く、好ましい。
【0031】
上記した様相は、識別表示が付加された薬袋を作製する薬袋作製動作が可能であり、前記識別表示は、前記薬袋に収容される散薬に対応する処方の特定が可能な識別情報を含み、前記散薬分包手段は、前記識別表示の読み込みが可能な情報読取装置を備え、前記薬袋に収容される散薬を対象とする前記分包処理が未処理であるとき、前記情報読取装置で前記識別表示が読み込まれたことを条件として、前記薬袋に収容される散薬に対応する処方に関する情報を特定し、特定した情報をユーザが確認可能な状態で表示装置に出力する、又は、前記薬袋に収容される散薬を対象とする前記分包処理の実行が確定されることが好ましい。
【0032】
かかる構成によると、散薬分包手段に割り当てられた複数の分包処理が未処理のままであり、未処理の分包処理の中から薬袋に収容する散薬の分包処理を特定して実行させるとき、情報読取装置で識別表示を読み込むことで、自動で分包処理の特定が可能となる。
すなわち、未処理の分包処理の中から調剤者が手動で分包処理を特定する場合とは異なり、操作ミスに起因する分包処理の実行を防止できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、調剤業務の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の実施形態に係る調剤支援システムを示すブロック図である。
【
図2】
図1の上位制御装置を示すブロック図である。
【
図3】
図1の完全自動散薬分包機を示す説明図である。
【
図4】
図3の完全自動散薬分包機の内部において、分配皿に散薬を排出する際に形成される薬剤フィーダを示す斜視図である。
【
図5】(a)は、
図1の薬剤秤量装置を示すブロック図であり、(b)は、
図1の散薬分包機を示すブロック図である。
【
図6】
図1の調剤支援システムが実行する振り分け動作の手順を示すフローチャートであり、処方内に散薬がある場合に実行される動作の手順を示す。
【
図7】
図1の調剤支援システムが実行する指示箋出力動作で出力される指示箋の一例を示す説明図である。
【
図8】
図1の調剤支援システムが実行する薬袋作製動作で出力する薬袋の一例を模式的に示す説明図である。
【
図9】
図1の調剤支援システムが実行する鑑査画面出力動作で表示される鑑査画面の一例を示す説明図である。
【
図10】
図1の完全自動散薬分包機で表示される処方待機画面を模式的に示す説明図であり、実行が確定した分包処理を示す情報が表示されていない状態を示す。
【
図11】
図1の完全自動散薬分包機で表示される未処理一覧表示画面を模式的に示す説明図である。
【
図12】
図1の完全自動散薬分包機で表示される内容確認画面を模式的に示す説明図である。
【
図13】
図1の完全自動散薬分包機で表示される処方待機画面を模式的に示す説明図であり、実行が確定した分包処理を示す情報が表示された状態を示す。
【
図14】
図1とは異なる実施形態に係る調剤支援システムを示すブロック図である。
【
図15】上記した調剤支援システムと併用可能な病棟情報管理システムを示すブロック図である。
【
図16】
図15のリスト表示装置で表示する病棟情報確認画面を模式的に説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、以下の説明において「散薬」とは、錠剤等の固形の薬剤をすり潰す等により粉末状にした薬剤を含むものとする。
【0036】
本実施形態の調剤支援システム1は、
図1で示されるように、上位制御装置2(制御装置)と、完全自動散薬分包機3(散薬分包手段、自動散薬分包機、薬剤調剤手段、第一薬剤調剤手段)と、手動散薬分包手段4(散薬分包手段、薬剤調剤手段、第二薬剤調剤手段)と、錠剤自動分包機5(薬剤調剤手段)を備えている。そして、手動散薬分包手段4は、薬剤秤量装置6(散薬秤量装置)と、散薬分包機7によって構成されている。
そして、上位制御装置2と、完全自動散薬分包機3と、手動散薬分包手段4とが構内通信網(LAN)等を介して互いにデータ(信号)を送受信可能な状態で接続されている。同様に、上位制御装置2と錠剤自動分包機5もまた、電気通信可能な状態で接続されており、データの送受信が可能な状態となっている。
【0037】
上位制御装置2は、
図2で示されるように、装置本体10と、装置本体10に付属する表示装置11(制御側表示装置)と、入力装置12と、印刷装置13(印刷手段)と、薬袋作製装置14を備えている。
【0038】
装置本体10は、CPU等の演算部15と、記憶部16と、I/Оポート等の通信部17を備えている。
【0039】
演算部15は、各種入力に基づき、記憶部16に記憶されたプログラムやデータを読み取りつつ実行することで、各種演算や制御信号の生成を行う部分である。
【0040】
記憶部16は、各種プログラムやデータを記憶するROM、各種プログラムを一時的に記憶したり各種データを書き換え自在に記憶したりするRAMからなる主記憶装置を備えており、必要に応じて補助記憶装置がさらに設けられて形成される。なお、補助記憶装置としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等が採用できる。
本実施形態の記憶部16には、後述する振り分け動作を含む各種動作を実行するためのプログラムとデータが記憶されている。
【0041】
このようなデータ(情報)として、具体的には、完全自動散薬分包機3の容器保管部31に保持されたそれぞれの薬剤容器30(
図3参照)に収容されている散薬に関する情報(以下、散薬保管情報とも称す)が記憶されている。この散薬保管情報は、保管されている散薬の種類に関する情報と、量に関する情報を含む。
また、錠剤に関する情報であり、錠剤自動分包機5の錠剤カセット(詳しくは後述する)に収容され、錠剤自動分包機5に保管されている錠剤に関する情報(以下、錠剤保管情報とも称す)が記憶されている。この錠剤保管情報は、保管されている錠剤の種類に関する情報と、形状、数、重量に関する情報を含む。なお、形状に関する情報は、半錠、四分の一錠といった分割錠の大きさ(一錠に対する大きさの割合)に関する情報であってもよい。
【0042】
また、散薬保管情報は、完全自動散薬分包機3の容器保管部31で保管する散薬(薬剤容器)が変更された場合、完全自動散薬分包機3から送信された信号を上位制御装置2が受信し、情報の更新処理が実行される。
この他、記憶部16には、外部PC20から送信された処方に関する情報が処方データとして記憶されていく。
【0043】
通信部17は、外部の機器に対し、有線又は無線による双方向通信を可能とするインターフェースを有する。また、この通信部17は、バス等の伝送路を介して演算部15と接続されている。
すなわち、上位制御装置2は、この通信部17により、調剤支援システム1に属する各調剤機器(完全自動散薬分包機3、手動散薬分包手段4、錠剤自動分包機5等)や、医師が操作する外部PC20と信号の送受信が可能となっている。
【0044】
表示装置11は、調剤支援システム1が実行する各種処理の内容や、各調剤機器の状況等を表示する装置であり、具体的には、液晶、有機EL等のディスプレイ装置である。
入力装置12は、ユーザが上位制御装置2に対して操作を行う際に使用する装置であり、具体的には、マウスやキーボードである。
【0045】
印刷装置13は、プリンタであり、所定の情報を紙媒体に印刷して出力可能なものである。
薬袋作製装置14は、薬袋プリンタであり、袋用紙から袋を作製し、作製した袋に所定の情報を印刷して出力することで、薬袋を作製可能なものである。なお、本実施形態では、通常の薬袋の他、マチ付き薬袋や、透明薬袋等の複数種類の薬袋を出力可能であり、それぞれ薬袋の大きさを選択することで、大きさの異なる薬袋の出力が可能である。
【0046】
完全自動散薬分包機3は、
図3で示されるように、筐体25の内部に各機器が内蔵されて構成されており、大別して、薬剤棚部領域26と、薬剤分割領域27と、薬剤包装領域28に分かれている。
【0047】
薬剤棚部領域26には、薬剤容器30を設置する容器保管部31が設けられている。容器保管部31は、周方向に回転可能な縦型のドラム部材31aを有し、ドラム部材31aの外周面に複数の容器設置部31bが設けられたものである。
なお、作図の都合上、
図3では、薬剤容器30、容器設置部31bの一部にのみ符号を付し、他への符号を省略する。
【0048】
完全自動散薬分包機3の内部に保管される複数の薬剤容器30は、それぞれ個別に散薬を収容可能なものである。本実施形態の完全自動散薬分包機3は、全体として複数種類の散薬を保管するものであり、種類の異なる複数の散薬をそれぞれ一又は複数(2つから3つ)の薬剤容器30に収容している。具体的には、複数種類の散薬のうち、提供頻度が高い散薬を複数の薬剤容器30に収容し、提供頻度が低い散薬を1つの薬剤容器30に収容している。このため、一つの薬剤容器30に収容された提供頻度の高い散薬を使い切っても、他の薬剤容器30に収容された同じ散薬を使って同様の分包動作を実行できる。
【0049】
薬剤棚部領域26から薬剤分割領域27に至る領域には、容器移動手段34が設けられている。容器移動手段34は、ロボットである。
【0050】
薬剤分割領域27は、散薬分配装置37が内蔵された領域である。散薬分配装置37は、2つの分配皿38と、それぞれ分配皿38の周辺に複数設置された容器載置装置39と、掻出装置40が設けられている。なお、本実施形態のように分配皿38を複数(2つ)設ける構成に限らず、分配皿38を1つとし、完全自動散薬分包機3を小型化してもよい。
また、薬剤分割領域27には、薬剤包装領域28に散薬を一包分ずつ供給するための薬剤導入口(図示しない)が設けられている。
【0051】
薬剤包装領域28には、薬剤包装装置45(散薬包装装置)が内蔵されている。薬剤包装装置45は、散薬を一服用分ずつ包装する機械であり、包装シート供給装置と、シール装置によって構成されている(詳細な図示を省略する)。
【0052】
完全自動散薬分包機3は、内部に制御部(自動機制御部、図示しない)を備えている。この制御部は、完全自動散薬分包機3が実行する各種動作を制御するものであり、上記した上位制御装置2(
図2参照)と同様に、CPU、主記憶装置、補助記憶装置、I/Оポート等によって演算部、記憶部、通信部が形成されている。
そして、完全自動散薬分包機3は、通信部により、上位制御装置2や手動散薬分包手段4(薬剤秤量装置6、散薬分包機7)と信号の送受信が可能となっている(
図1参照)。
【0053】
また、完全自動散薬分包機3は、
図3で示されるように、操作表示部50(表示装置)を備えている。操作表示部50は、タッチパネルであり、表示装置(自動機側表示装置)と、入力装置(自動機側入力装置)を兼ねている。
【0054】
さらに、完全自動散薬分包機3は、図示しない情報読取装置を備えている。
この情報読取装置は、スキャナやカメラ等の認識装置と情報取得用のプログラムによって構築されており、認識装置で取得した読込対象の情報が制御部(自動機制御部)に入力され、制御部がプログラムを実行することで情報を取得可能なものである。具体的には、薬袋90の二次元コード92(識別表示であり詳しくは後述する、
図8参照)から情報を取得可能な二次元コードリーダとなっている。
【0055】
続いて、完全自動散薬分包機3が実行可能な動作について説明する。
【0056】
完全自動散薬分包機3は、内蔵された薬剤容器30を使用して分包を行う自動分包動作が実行可能となっている。自動分包動作は、散薬が収容された容器(薬剤容器30)を保管場所から散薬の取り出し場所まで移動させる動作と、容器から散薬を計量しつつ取り出す動作と、取り出した散薬を一服用分ずつ分割して包装する動作からなる一連の動作を自動で実行する動作である。
【0057】
具体的には、自動分包動作が開始されると、容器移動手段34が容器保管部31から薬剤容器30を取り出し、薬剤容器30を容器載置装置39の上まで移動させ、薬剤容器30を容器載置装置39の上に載置する。つまり、容器移動手段34は、アームの先端部分で薬剤容器30を保持し、そのまま薬剤容器30を移動させることができる。
【0058】
薬剤容器30が容器載置装置39の上に載置され、結合されることで、薬剤フィーダ55が形成される(
図4参照)。すなわち、薬剤フィーダ55は、分離可能な別部材である薬剤容器30と容器載置装置39によって構成されている。そして、本実施形態の完全自動散薬分包機3は、この薬剤フィーダ55を使用して分配皿38に散薬を投入する。
【0059】
すなわち、薬剤フィーダ55が形成された状態で、容器載置装置39の加振手段56に一定周波数の電流を通電して振動を発生させ、振動台57を振動させる。また、振動開始と前後して、分配皿38を回転させ、薬剤容器30の重量を容器載置装置39の重量測定手段(図示しない)で測定する。
【0060】
振動台57が振動を開始すると、薬剤容器30が振動し、薬剤容器30の内部に貯留された散薬が、薬剤排出部58側に向かって移動し、薬剤容器30の薬剤排出部58に至り、薬剤排出部58の下側に位置する分配皿38の溝へ投入される。
なお、薬剤排出部58は、薬剤容器30の内外を連通する開口と、開閉自在な蓋部分によって構成されている。薬剤排出部58の蓋部分は、容器移動手段34によって開閉される部分であり、容器載置装置39への設置時に開状態とし、容器載置装置39からの取り外し時に閉状態とする。
【0061】
散薬が薬剤排出部58から分配皿38に落下している間、薬剤容器30の現在の重量(現重量g)が、容器載置装置39の重量測定手段によって監視され続ける。そして、振動台57に設置直後の薬剤容器30の重量である原重量Gと、現重量gとを比較することで、散薬の落下量H(原重量Gから現重量gを減算した値)を常時演算して取得する。
そして、散薬の落下量Hが所望の重量となるタイミングで振動台57の振動を停止する。この後、薬剤容器30が容器移動手段34によって容器保管部31に戻される。
【0062】
複数の散薬が処方され、これらを混合して包装する場合は、複数の薬剤容器30を対象に上記した動作を行う。この場合、複数の薬剤容器30をそれぞれ別の容器載置装置39に載置し、それぞれの薬剤容器30から散薬を分配皿38に投入する。本実施形態では、一つの分配皿38に対し、3つの薬剤容器30から同時に散薬を投入可能となっている。また、混合する散薬の数が使用可能な容器載置装置39の数を超える場合は、いずれかの薬剤容器30で散薬の排出が終了し、薬剤容器30を容器保管部31に戻す動作を実行した後、空いた容器載置装置39に他の薬剤容器30を載置して散薬を排出させる。
混合する総ての散薬が分配皿38に投入されると、掻出装置40の一部を分配皿38の溝内に入れた状態とし、分配皿38を所定の角度ずつ回転して掻出装置40の周辺に一定量の散薬を集め、分配皿38から掻き出して薬剤包装領域28に導入する。そして、薬剤包装装置45で一服用分ずつ包装する。
【0063】
薬剤秤量装置6は、
図5(a)で示されるように、秤量装置本体60と、秤量装置本体60に付属する秤量側読取装置61と印刷装置62を有する。
【0064】
秤量装置本体60は、秤量側制御部65と、天秤ユニット66と、秤量側操作表示部67と、情報読書手段68と、USBポート69を備えている。
【0065】
秤量側制御部65は、薬剤秤量装置6が実行する各種動作を制御する制御部であり、上記した上位制御装置2(
図2参照)と同様に、CPU、主記憶装置、補助記憶装置、I/Оポート等によって演算部、記憶部、通信部が形成されている。そして、記憶部には、変更が行われない秤量関連のデータと、薬剤秤量装置6を動作させるプログラムとが記憶されている。
【0066】
天秤ユニット66は、公知の電子天秤で採用されるそれと同様に、天秤台、平衡回路、フォースコイル等を含んで形成されている。すなわち、天秤台に秤量用容器(図示しない)を載置した状態で、秤量用容器に薬剤を載せることにより、天秤台に載置された薬剤を秤量することが可能な秤量手段である。
【0067】
秤量側操作表示部67は、タッチパネルであり、表示装置(秤量側表示装置)と、入力装置(秤量側入力装置)を兼ねている。
情報読書手段68は、秤量用容器(図示しない)等に設けられた情報記憶媒体(RFIDタグやICタグ)に対して情報の読み書きが可能なリーダライタである。
USBポート69は、記憶媒体として機能するUSBメモリを着脱可能な部分である。すなわち、この薬剤秤量装置6では、調剤業務で取り扱う薬剤に関するデータをUSBメモリから読み込み可能となっている。
【0068】
秤量側読取装置61は、薬瓶や処方箋等に付されたコード(符号又は暗号であり、例えば、バーコード等)から情報を読み取る情報読取装置であり、上記した完全自動散薬分包機3の情報読取装置と同様に、認識装置と情報取得用のプログラムによって構築されている。すなわち、認識装置で取得した読込対象の情報が秤量側制御部65に入力され、秤量側制御部65がプログラムを実行することで情報を取得する。
具体的には、薬瓶に付されたバーコードからJANコード(又はRSS)を取得可能なバーコードリーダであり、処方箋等に付されたバーコード等からも情報の読み込みが可能となっている。
【0069】
印刷装置62は、各種情報を紙媒体に印刷して出力可能なプリンタである。
【0070】
散薬分包機7は、
図5(b)で示されるように、分包機側制御部73と、分包機側操作表示部74と、散薬分配装置75と、薬剤包装装置76と、供給ホッパ77と、情報読書手段78を有している。散薬分配装置75、薬剤包装装置76、情報読書手段78は、上記した散薬分配装置37、薬剤包装装置45、情報読書手段68と略同様のものであるので、重複する詳細な説明を省略する。
【0071】
分包機側制御部73は、散薬分包機7が実行する各種動作を制御する制御部であり、上記した上位制御装置2(
図2参照)と同様に、CPU、主記憶装置、補助記憶装置、I/Оポート等によって演算部、記憶部、通信部が形成されている。
【0072】
分包機側操作表示部74は、タッチパネルであり、表示装置(分包機側表示装置)と、入力装置(分包機側入力装置)を兼ねている。
【0073】
供給ホッパ77は、秤量済の散薬を散薬分配装置75に投入する投入口となる部分である。
【0074】
上記したように、本実施形態の調剤支援システム1では、薬剤秤量装置6、散薬分包機7によって手動散薬分包手段4が構成されている。手動散薬分包手段4で分包を行う際には、調剤者(ユーザ)は、散薬を秤量用容器(図示しない)に載せて薬剤秤量装置6で秤量し、その後、秤量した散薬が載置された秤量用容器を散薬分包機7まで移動させ、散薬を散薬分包機7に投入する。これにより、投入した散薬が散薬分包機7で一服用分ずつ(1包ずつ)分割されて包装される。
【0075】
錠剤自動分包機5は、それぞれ個別に錠剤が収容される錠剤カセット(図示しない)を複数有している。そして、複数種類の錠剤が種類毎にそれぞれ一又は複数の錠剤カセット内に収容され、装置全体として複数種類の錠剤を保管している。このことから、錠剤自動分包機5は、処方データに基づいて一又は複数の錠剤カセットから錠剤を自動的に払い出し、一服用分ごとに薬包で包装する自動錠剤分包動作を実行可能なものである。
なお、この錠剤カセットに収容される錠剤は、半錠、四分の一錠のような一錠の錠剤を一部欠落させた分割錠や、カプセル錠を含む。
【0076】
この他、錠剤自動分包機5は、手撒きユニット(格子状の仕切り壁を有するトレイ状の部分)に手動で一又は複数の錠剤を配置し、一服用分ごとに薬包で包装する手動錠剤分包動作も実行可能となっている。
【0077】
この錠剤自動分包機5もまた、制御部(錠剤側制御部)を有しており、上記した他の調剤機器の制御部と同様に、CPU、主記憶装置、補助記憶装置、I/Оポート等によって演算部、記憶部、通信部が形成されている。
【0078】
続いて、調剤支援システム1の動作について説明する。
【0079】
診察後、医師が外部PC20に処方に関する情報(データ)を入力し、所定の操作を実行すると、外部PC20に導入された電子カルテ用プログラムが入力された情報から処方データを作成する。そして、外部PC20から上位制御装置2に作成された処方データが送信される。
【0080】
処方データは、入力した処方に関する情報に基づいて作成されるデータであり、調剤業務に必要な処方の内容に関する情報と、処方自体を識別したり管理したりするための情報を含むデータである。
【0081】
処方の内容に関する情報には、患者の氏名、患者ID、年齢、性別、身長、体重、体表面積等の患者に関する情報がある。また、薬名、薬剤ID、YJコード、GS1コード、分量、用法、用量、使用期間(服用開始日、服用終了日、服用期間)等の処方された薬剤に関する情報がある。さらに、医療施設(病院や診療所)の名称、所在地、部門(診療科等)、建物を特定する情報(病棟名等)等の医療施設に関する情報や、担当医師名、担当薬剤師名といった担当する医療従事者に関する情報がある。
また、処方を識別したり管理したりするための情報には、処方番号、Rp番号(レセプト番号)、処方の発行年月日等がある。
つまり、処方データは、これらの情報のうちで必要なものを含むデータとなっている。
【0082】
なお、処方データに含まれる情報は、医師が直接入力した処方に関する情報や、プログラムが取得する情報の他、これらの情報に基づいてプログラムが作成する情報であってもよい。例えば、直接入力された患者の生年月日を示す情報と、プログラムが取得する現在の日付を示す情報から、患者の年齢に関する情報を作成(算出)し、処方データに付加するといった具合である。また、処方データに含まれる情報は、管理番号(処方番号やRp番号)のように、プログラムがユーザの入力情報を参照せずに適宜作成して付加する情報であってもよい。
【0083】
続いて、上位制御装置2は、処方データを受信した後、処方内のそれぞれの薬剤の調剤に使用する調剤機器を決定(選択)する振り分け動作を実行する。
この振り分け動作では、処方データにおける薬剤の種類(薬種であり剤形)に関する情報と、調剤支援システム1に属する各種調剤機器に関する情報(例えば、上記した散薬保管情報、錠剤保管情報)から、薬剤の調剤処理(払い出し処理)を実行する調剤機器を決定する。なお、ここでいう薬剤の調剤処理には、薬剤を一服用分ずつに分けて包装する分包処理を含む。
【0084】
具体的には、振り分け動作では、処方データを解析する処方解析動作を実行し、処方された一又は複数の薬剤の剤形を特定する。すなわち、同一処方内の一又は複数の薬剤に対し、それぞれが錠剤であるのか、散薬であるのか、その他の種類(例えば、水剤等)の薬剤であるのかを判別する。さらに、処方解析動作では、処方内に散薬又は錠剤がある場合、複数の薬剤を服用時期ごとに1袋内に包装する(一包化する)のか否か、一包化する場合はどの薬剤を一包化するのか等、包装形態を判別する判別動作も実施する。
そして、処方解析動作で特定された剤形毎に、以下の処理を実行する。
【0085】
[処方された薬剤に錠剤がある場合]
処方内に一又は複数の錠剤がある場合、対象となる分包処理を錠剤自動分包機5に割り当てる。そして、上記した錠剤自動分包機5の動作(自動錠剤分包動作、手動錠剤分包動作)のうち、いずれの動作で分包処理を実行するかを決定する判別動作(以下、錠剤側振り分け動作)を実行する。すなわち、錠剤側振り分け動作は、錠剤自動分包機5に自動で分包処理を実行させるか、錠剤自動分包機5を使用して手動で分包処理を実行するかを決定する動作である。
具体的には、処方データや上記した錠剤保管情報に基づいて、処方において1包内に包装される一種類又は複数種類の錠剤が自動錠剤分包動作で包装可能(分包可能)であるのか否かを判別する。この結果、自動錠剤分包動作で分包処理を実行可能な場合は、自動錠剤分包動作を実行する。対して、その分包処理が自動錠剤分包動作で分包できない場合には、錠剤自動分包機5を使用して手動で分包処理を実行することが決定される。
【0086】
なお、分包処理を錠剤自動分包機5に割り当てた後に実行する錠剤側振り分け動作は、上位制御装置2で実行してもよく、錠剤自動分包機5で実行してもよい。例えば、錠剤自動分包機5で実行する場合、錠剤自動分包機5の記憶部に錠剤保管情報を記憶させ、上位制御装置2で分包処理を錠剤自動分包機5に割り当てた後、上位制御装置2から錠剤自動分包機5に処方データを送信してもよい。
【0087】
[処方された薬剤に散薬がある場合]
処方内に一又は複数の散薬がある場合、
図6で示されるように、包装単位(1袋内に包装する一又は複数種類の散薬)毎に、その分包処理が完全自動散薬分包機3の自動分包動作によって実行可能か否かを判別する(ステップS1)。すなわち、処方データや上記した散薬保管情報に基づいて、処方において1包内に包装される全ての散薬が完全自動散薬分包機3に保管されているか否かが判別される。
【0088】
この判別動作の結果、完全自動散薬分包機3の自動分包動作で分包可能である場合(ステップS1でYes)、分包処理を完全自動散薬分包機3に割り当てる(ステップS2)。すなわち、この分包処理は、完全自動散薬分包機3を使用して実行するものと決定する。
その一方で、完全自動散薬分包機3の自動分包動作で包装できない場合には(ステップS1でNо)、対象となる分包処理を手動散薬分包手段4に割り当てる(ステップS3)。すなわち、この分包処理は、手動散薬分包手段4を使用して実行するものと決定する。以上のように、本実施形態では、手動散薬分包手段4よりも完全自動散薬分包機3に対して優先的に分包処理を割り当てる。
【0089】
以上の振り分け動作により、処方内の各薬剤の分包処理が各調剤機器に割り当てられると、調剤支援システム1は、上位制御装置2の印刷装置13から指示箋83(
図7参照)を出力する指示箋出力動作(第一出力動作)を実行する。
本実施形態の調剤支援システム1では、振り分け動作が完了した直後に指示箋出力動作を自動で実行する。なお、ここでいう「直後」とは、指示箋出力動作が実質的に振り分け動作と連続して実行される短い時間であり、具体的には30秒以内とする。このことから、振り分け動作で割り当てた分包処理が割り当て先の調剤機器で実行される前に、この振り分け動作に対応する指示箋出力動作が実行される。
【0090】
指示箋83には、
図7で示されるように、大別して上側に、新規患者か否か(初診の患者か再診の患者か)を示す情報、病棟名、薬剤が処方された患者に関する情報、服用日、診療科名、担当医師名、オーダー日時(処方の発行年月日)、オーダーNо(処方番号)が記載されている。また、処方の内容を調剤機器の情報読取装置(具体的には、バーコードリーダ)で読み取るための符号又は暗号(具体的には、バーコード)が記載されている。なお、指示箋83に記載されるコードは、バーコードのような一次元コードに限らず、調剤機器の情報読取装置に対応するものであればよく、例えば、二次元コードでもよい。
【0091】
また、指示箋83の下側には、処方された薬剤に関する情報と、振り分け動作の結果を示す情報が記載されている。すなわち、指示箋83の下側の「形体」の項目では、「星」マークが散薬を示し、「丸」マークが錠剤を示している。そして、「手/機/自」の項目では、「手動」、「機」、「自動」が、それぞれ「手動散薬分包手段4」、「錠剤自動分包機5」、「完全自動散薬分包機3」に対して分包処理が割り当てられたことを示している。このように、振り分け動作に関する情報は、文字、数字、記号、図形、絵柄又はその他の符号のうちの一つ、又は複数の組み合わせ(以下、単に文字等とも称す)によって表示されればよい。すなわち、振り分け動作に関する情報は、ユーザが情報の内容を確認可能(視認可能)な状態で出力されればよい。
【0092】
この指示箋83に記載された例では、一人の患者(テスト入院患者1)に対し、「AAAAA薬品」、「BBBBB薬品」、「CCCCC薬品」、「DDDDD薬品」の四つの薬剤が処方されている。なお、以下の説明では、これら四つの薬剤のそれぞれを単に「A薬品」、「B薬品」、「C薬品」、「D薬品」と称す。
「A薬品」と「B薬品」は、振り分け動作において、完全自動散薬分包機3で包装することが決定された薬剤である。すなわち、いずれも散薬であり、服用時期が同じで一つの袋に包装されるものであり、いずれも完全自動散薬分包機3の容器保管部31に保管されているものと判別されたものである。
【0093】
「C薬品」は、振り分け動作において、錠剤自動分包機5で包装することが決定された薬剤である。すなわち、錠剤であり、一種類の錠剤を一服用分ずつ一つの袋に包装するものと判別されたものである。
また、「D薬品」は、振り分け動作において、手動散薬分包手段4で包装することが決定された薬剤である。すなわち、散薬であり、一種類の散薬を一服用分ずつ一つの袋に包装するものであり、完全自動散薬分包機3の容器保管部31に保管されていない散薬であると判別されたものである。
【0094】
つまり、指示箋83は、通常の処方箋に記載される情報の他、管理上必要な情報と、振り分け動作の結果を示す情報とがユーザが視認可能な状態で印刷された、持ち運び可能なものである。
このことから、調剤者(ユーザ)は、この指示箋83を確認することで、これから効率よく調剤作業を実施する上で、どの調剤機器に向かえばよいかを判断できる。例えば、上記の例であれば、「A薬品」、「B薬品」、「C薬品」は、自動的に分包されるので、最初に手動散薬分包手段4(薬剤秤量装置6)の設置場所に向かい、「D薬品」を包装するための作業を実施する。その後、散薬分包機7で包装された「D薬品」を受け取り、完全自動散薬分包機3の設置場所と、錠剤自動分包機5の設置場所に向かい、それぞれの場所で「A薬品」及び「B薬品」と、「C薬品」を受け取る、といった具合である。
【0095】
また、本実施形態の指示箋83のように、振り分け動作の結果を示す情報だけでなく、これに加えて処方箋に記載される情報や管理上必要な情報を共に一目で確認可能な状態で出力すると、調剤者が調剤作業を行う際に人為的なミスが発生し難いという利点がある。すなわち、調剤者が処方の内容を確認しつつ作業できるので、例えば、自動分包機から間違った薬剤を受け取ってしまうといった、処方の内容の確認不足に起因するミスの発生を抑制できる。
【0096】
なお、本実施形態の指示箋83は、調剤の最終鑑査(鑑査業務)に必要な情報を出力している。具体的には、上記した情報のうち、担当医師名、患者に関する情報(氏名、性別、年齢等)薬剤に関する情報(薬剤名剤形、用法・容量、投与期間等)がこれに相当する。すなわち、処方箋の記載事項に漏れや間違いがないか、処方内容が患者にとって適切か等を判断するために必要な情報となっている。
【0097】
また、調剤支援システム1は、振り分け動作を実行した後、処方内の各薬剤の分包処理を割り当てた調剤機器に対し、分包処理のために必要な情報を送信する払出情報送信動作を実行する。
例えば、上述した例では、完全自動散薬分包機3に「A薬品」及び「B薬品」を包装する分包処理を実行するための情報を送信し、錠剤自動分包機5に「C薬品」を包装する分包処理を実行するための情報を送信する。さらに、薬剤秤量装置6と散薬分包機7に対して「D薬品」を包装する分包処理を実行するための情報を送信する。
【0098】
さらに、調剤支援システム1は、振り分け動作を実行した後、上位制御装置2の薬袋作製装置14から一又は複数の薬袋を出力する薬袋作製動作を実行する。薬袋は、薬剤を患者に提供する際に、提供する薬剤を収容するものである。
【0099】
図8で示されるように、出力される薬袋90は、側面の一部に情報印刷部91と、二次元コード92を有する。情報印刷部91は、従来の薬袋と同様に、主に薬剤の提供を受ける患者に関する情報と、収容される薬剤に関する情報とが印刷された部分である。
二次元コード92は、薬袋90に印刷されたコード(符号又は暗号)であり、収容される薬剤の処方を特定する情報が含まれるコードである。なお、収容される薬剤の処方を特定する情報は、本実施形態では、処方番号及びRp番号であるが、処方の特定が可能であれば、他の情報であってもかまわない。
【0100】
また、上記した指示箋出力動作、払出情報送信動作、薬袋作製動作はいずれの順に実行してもよく、並行して実行してもよい。なお、薬袋作製動作は、例えば入院患者に薬剤を提供する場合等、薬剤を提供する上で薬袋を必要としない場合には、実行しなくてもよい。
【0101】
払出情報送信動作の実行後、完全自動散薬分包機3は、後述する振り替え動作が実行されるか、完全自動散薬分包機3に予期せぬ不具合が生じない限り、振り分け動作で割り当てられた分包処理を自動的に順に実行していく。そして、完全自動散薬分包機3で分包処理の実行が完了したことを条件として、完全自動散薬分包機3が完了情報送信動作(詳しくは後述する)を実行する。
【0102】
また、払出情報送信動作の実行後、錠剤自動分包機5では、上記した自動錠剤分包動作と手動錠剤分包動作のいずれかで分包処理が実行される。そして、錠剤自動分包機5で分包処理の実行が完了したことを条件として、錠剤自動分包機5が完了情報送信動作(詳しくは後述する)を実行する。
【0103】
手動散薬分包手段4では、払出情報送信動作で送信された信号を受信することにより、割り当てられた分包処理を実行可能となる。
具体的には、調剤者は、薬剤秤量装置6での秤量開始前に、割り当てられた分包処理で包装対象となる散薬を指定する操作を行い、薬瓶等のバーコードを読み込む操作を行う。このことにより、秤量しようとしている散薬が処方された正しいものであるのか否かが確認される。そして、薬剤秤量装置6で秤量が完了すると、薬剤秤量装置6は、秤量結果に関する情報と、受信した分包処理に関する情報を関連付けて散薬分包機7に送信する。このことにより、調剤者が散薬分包機7の供給ホッパ77に散薬を投入しようとするとき、投入しようとしている散薬が正しく秤量された処方通りのものか否かが判別される。
つまり、手動散薬分包手段4では、払出情報送信動作で送信された情報に基づき、薬剤秤量装置6、散薬分包機7が各種動作を実行する。そして、手動散薬分包手段4では、散薬分包機7で割り当てられた分包処理が完了したことを条件として、散薬分包機7が完了情報送信動作(詳しくは後述する)を実行する。
【0104】
ここで、完全自動散薬分包機3は、払出情報送信動作で送信された情報の受信後であり、振り分け動作で割り当てられた分包処理の実行開始前に、操作表示部50でユーザが所定の操作を実行することにより、振り替え動作を実行可能なものである。
【0105】
完全自動散薬分包機3で実行される振り替え動作は、振り分け動作で決定された分包処理の割り当て先を切り替える(変更する)動作であり、自身に割り当てられた分包処理の割り当て先を手動散薬分包手段4に切り替える動作である。すなわち、完全自動散薬分包機3は、自己に割り当てられた分包処理を他の調剤機器に振り替える振替機能を有している。
【0106】
したがって、上記した振り分け動作による割り当て先の決定は、将来切り替えられる可能性のある決定であり、切り替えがない場合に、振り分け動作による割り当て先の決定が永続的な決定となる。対して、切り替えがあった場合には、振り分け動作による割り当て先の決定が一時的な決定となる。
このことから、上記した指示箋出力動作は、将来切り替えられる(変更される)可能性がある情報を印刷(出力)する動作となっている。
【0107】
振り替え動作が実行されると、完全自動散薬分包機3に記憶された未処理の分包処理の中から、対象となる分包処理が削除される。そして、完全自動散薬分包機3から薬剤秤量装置6と散薬分包機7に対し、対象となる分包処理を実行するために必要な情報が送信される。すなわち、払出情報送信動作で送信される情報と同様の内容を含む情報が送信される。このとき、この送信される情報に、割り当て先が切り替えられた(振り替え動作が実行された)ことを示す情報が付加されてもよい。
【0108】
そして、上記したように、調剤支援システム1に属する各調剤機器おいて、それぞれに割り当てられた分包処理が完了すると、完了情報送信動作が実行される。完了情報送信動作は、振り分け動作又は振り替え動作で割り当てられた分包処理が完了したことを示す情報を含む所定の情報を上位制御装置2に送信する動作である。
例えば、上記の例では、完全自動散薬分包機3から「A薬品」及び「B薬品」の包装が完了した旨を示す情報が送信される。同様に、手動散薬分包手段4(散薬分包機7)、錠剤自動分包機5のそれぞれから上位制御装置2に対して「D薬品」の包装が完了した旨を示す情報と、「C薬品」の包装が完了した旨を示す情報とが送信される。
【0109】
ここで、上位制御装置2は、上記した振り分け動作の実行後、鑑査画面出力動作(第二出力動作)が実行可能な状態となる。この鑑査画面出力動作は、上位制御装置2で所定の操作を実行することで、上位制御装置2の表示装置11に鑑査画面95(
図9参照)を出力する動作である。この鑑査画面95は、調剤の最終鑑査(調製作業を行った調剤者とは異なる薬剤師が行う最終確認業務)で使用する画面であり、最終鑑査に必要な情報が表示される。
【0110】
鑑査画面95では、
図9で示されるように、上記した指示箋83に記載された各種情報のうち「手/機/自」の項目(振り分け動作の結果を示す情報)を除く情報が表形式で表示される。さらに、鑑査画面95では、これに加えて、振り替え状況確認領域96と、振替履歴表示領域97と、調剤状況確認領域98が表示されている。
【0111】
振り替え状況確認領域96は、いずれかの調剤機器で分包処理の振り替え(本実施形態では完全自動散薬分包機3の振り替え動作)が実行されたか否かを示す情報を表示する領域である。振り替えがされた場合、
図9で示されるように、「自動調剤変更あり」と表示される。その一方で、振り替えがされなかった場合、「自動調剤変更なし」と表示される。
【0112】
なお、この「自動調剤変更あり」と「自動調剤変更なし」は、いずれか一方のみ表示する構成としてもよい。例えば、振り替えがされた場合は、「自動調剤変更あり」と表示し、されなかった場合は、何も表示しない(振り替えの有無に関する情報を表示しない)構成としてもよい。つまり、振り替え状況確認領域96では、振り替えがされた場合とされなかった場合の少なくとも一方で、振り替えの有無をユーザが確認可能であるように文字等が出力されればよい。
【0113】
振替履歴表示領域97は、
図9の鑑査画面95では、「散薬機器」の項目に相当する領域である。すなわち、振り替え動作が実行された場合には、振り替え履歴(変更記録)と、最終的に分包処理を実行した(実際に分包処理を実行した)調剤機器が表示され、振り替え動作が実行されなかった場合には、振り分け動作で割り当てられた(実際に分包処理を実行した)調剤機器が表示される領域である。
振り替えがある場合、具体的には、切り替えの前後(変更前と変更後)において、それぞれの時点での割り当て先の調剤機器を示す(特定する)情報が文字等で表示される。
本実施形態の鑑査画面95では、文字と矢印で振り替え履歴に関する情報を表示している。すなわち、「自動」と「手動」が、それぞれ「完全自動散薬分包機3」と「手動散薬分包手段4」を示し、「矢印」がその向きで切り替え前と切り替え後の調剤機器がいずれであるのかを示している。つまり、
図9で示す例では、「A薬品」及び「B薬品」の分包処理が振り分け動作で完全自動散薬分包機3に割り当てられた後、完全自動散薬分包機3で振り替え動作が実行され、手動散薬分包手段4に割り当て先が切り替えられたことが示されている。
また、振り替え動作が実行されなかった場合には、振り分け動作の結果がそのまま表示されることで、振り替え履歴がない旨が示される。
図9で示す例では、「D薬品」の分包処理が振り分け動作で手動散薬分包手段4に割り当てられ、そのまま実行されたことを示している。
【0114】
なお、本実施形態では、完全自動散薬分包機3で振り替え動作が実行されたとき、完全自動散薬分包機3から上位制御装置2に対して、振り替え動作が実行されたことを示す情報(以下、振替実行情報とも称す)を送信している。そして、振り替え状況確認領域96、振替履歴表示領域97に情報を表示する動作は、この振替実行情報に基づいて実行している。すなわち、本実施形態では、振り替え動作を実行する調剤機器(完全自動散薬分包機3)が、振り替え動作の実行毎に振替実行情報を上位制御装置2に送信する構成としている。
【0115】
調剤状況確認領域98は、同一処方内の薬剤の分包処理(調剤)が全て完了したか否かを示す情報が文字等で表示される領域である。すなわち、上位制御装置2は、各調剤機器の完了情報送信動作で送信される信号に基づいて、同一処方内の薬剤の分包処理(調剤)が全て完了したか否かを判別する完了判別動作を実行している。そして、完了判別動作の結果、分包処理が全て完了している場合に「調剤完了」と表示し、していない場合に「調剤未完了」と表示している。
なお、調剤状況確認領域98の表示もまた、上記した振り替え状況確認領域96の表示と同様に、分包処理が全て完了した状態としていない状態の少なくとも一方で、完了か未完了を示す情報をユーザが確認可能となるように文字等が出力されればよい。
【0116】
そして、調剤状況確認領域98に同一処方内の薬剤の分包処理が全て完了したことが表示されている状態で、鑑査画面95を使用した調剤の最終鑑査を行い、最終鑑査が終了した後に薬剤を患者に提供することで、調剤業務が完了する。
【0117】
ところで、完全自動散薬分包機3は、複数の分包処理が割り当てられ、それぞれの分包処理の実行が開始されていない状態(未処理の状態)において、ユーザが所定の操作を実行することで、指定した未処理の分包処理を次に実行する分包処理とすることができる。
具体的に説明すると、完全自動散薬分包機3の操作表示部50に処方待機画面100(
図10参照)を表示させた状態とし、処方待機画面100の未処理一覧ボタン103が表示された領域を押下すると、未処理一覧表示画面105(
図11参照)が表示される。
【0118】
未処理一覧表示画面105では、一覧表示領域106に未処理の分包処理が一覧表示される。具体的には、一覧表示領域106の左側に、未処理の分包処理のそれぞれに対応する患者名がリスト表示されている。そして、リストの1要素となる1つの患者名が表示された領域を押下すると、一つの未処理の分包処理が選択された状態となり、一覧表示領域106の右側に、選択された未処理の分包処理で包装予定の散薬の一覧が表示される。
【0119】
例えば、
図11で示される例では、左側に表示されるリストの要素として、2つの「湯山太郎」と1つの「テスト入院患者1」からなる3つの患者名が表示され、それぞれの患者名が表示された3つの領域を押下できる状態となっている。すなわち、「湯山太郎」に処方された散薬を対象とする分包処理の2つが未処理であり、「テスト入院患者1」に処方された散薬を対象とする分包処理の1つが未処理となっている。
そして、「テスト入院患者1」が表示された領域を押下することで、1つの未処理の分包処理が特定され、特定された未処理の分包処理で包装する「A薬品」と「B薬品」が右側に一覧表示される。
【0120】
未処理一覧表示画面105で、一つの未処理の分包処理が選択された状態において、処方展開ボタン107が表示された領域を押下すると、内容確認画面110(
図12参照)が表示された状態となる。内容確認画面110は、ユーザ(調剤者)が分包処理の実行前に最終確認を行う画面であり、選択された未処理の分包処理の内容を示す情報が表示される画面である。この内容確認画面110で発行ボタン111が表示された領域を押下すると、選択された未処理の分包処理を次に実行する分包処理とすることが確定する。
【0121】
また、内容確認画面110で発行ボタン111が押下されると、
図13で示されるように、処方待機画面100に次に実行する分包処理を示す情報が表示される。
【0122】
本実施形態では、完全自動散薬分包機3の情報読取装置(図示しない)を使用して、薬袋90の二次元コード92を読み込む操作を行うことで、上記した未処理の分包処理を選択する操作を行うことなく、自動的に未処理の分包処理を選択できる。
【0123】
すなわち、処方待機画面100が表示されている状態(
図10で示される状態)において、情報読取装置で二次元コード92を読み込むと、コード表示領域104(
図10参照)に二次元コード92から読み取った情報(例えば、管理番号等)が表示される。そして、その後、内容確認画面110(
図12参照)が表示された状態に自動的に移行する。
つまり、上位制御装置2は、二次元コード92から読み取った情報に基づき、薬袋90に収容される散薬を包装対象とする未処理の分包処理を自動的に特定する。そして、特定した分包処理を次に実行する分包処理として自動的に選択し、内容確認画面110を表示した状態とする。そして、上記と同様に、内容確認画面110を表示された状態で発行ボタン111が表示された領域を押下することで、選択された未処理の分包処理を次に実行する分包処理とすることが確定する。そして、
図13で示されるように、処方待機画面100に次に実行する分包処理を示す情報が表示される。
【0124】
なお、二次元コード92を読み込み後、内容確認画面110は必ずしも表示させなくてもよい。すなわち、二次元コード92を読み込むことで特定される未処理の分包処理を自動的に次に実行する分包処理として確定させてもよい。
この場合、上記と同様に、処方待機画面100が表示された状態(
図10で示される状態)で、完全自動散薬分包機3の情報読取装置を使用して薬袋90の二次元コード92を読み込む。すると、薬袋90に収容される散薬を包装対象とする未処理の分包処理が特定され、特定された分包処理を次に実行する分包処理として自動的に確定する。したがって、処方待機画面100は、コード表示領域104に二次元コード92から読み取った情報(例えば、管理番号等、必要に応じて枝番のついた複数桁の数字)が表示された後、自動的に、次に実行する分包処理を示す情報が表示された状態となる(
図13参照)。
【0125】
上記した実施形態の完全自動散薬分包機3は、容器保管部31から所定の薬剤容器30を取り出して移動させ、移動させた薬剤容器30から散薬を計量しつつ排出するものとした。しかしながら、本発明の調剤支援システムで採用可能な自動散薬分包機は、これに限るものではない。
【0126】
自動散薬分包機は、内部で散薬を保管する保管用の薬剤容器(以下、散薬収容容器とも称す)と、分配皿に散薬を払い出す際に用いる薬剤容器(以下、散薬一時保管容器とも称す)を同じ容器ではなく、別の容器としてもよい。この場合、自動散薬分包機は、散薬収容容器を保管する棚部(カセット棚)から散薬収容容器を秤量装置(秤量部)へ移動させ、秤量装置で、処方データに基づく所定量を散薬収容容器から散薬一時保管容器に排出させてもよい。その後、散薬一時保管容器を秤量装置から移動させ、分配皿(円盤)に対応付けられた載置部(加振装置)に載置し、散薬一時保管容器に収容した容器内の薬剤(散薬)の全てを分配皿に排出する動作を実施してもよい。
つまり、上記した容器載置装置39が加振手段56と重量測定手段を有する構成に替わって、加振装置と秤量装置を別々に設けてもよい。その際、薬剤容器から散薬を計量しつつ排出させる(取り出す)動作と、薬剤容器から分配皿に散薬を排出させる動作は、同時に行わなくてもよく、別々の場所でそれぞれ別途実施してもよい。言い換えると、保管用の薬剤容器から分配皿に直接散薬を投入する構成としてもよく、保管用の薬剤容器から排出された散薬を他の容器一時的に収容させた後、他の容器から分配皿に散薬を投入する構成としてもよい。
【0127】
この他、自動散薬分包機は、散薬収容容器を容器保管部に保持させたまま、散薬収容容器から散薬の排出を行う構成としてもよい。この場合、容器保管部(カセット棚)を複数段(例えば3段)のものとし、各段の下に空間を形成する。このとき、各段を構成する小棚部に薬剤容器を環状に配置し、各段(各小棚部)の下の空間に秤量装置(電子天秤)を配置する。また、各段の下の空間は、秤量装置を配置した状態で、さらに他の払い出し用の容器(以下、散薬一時保管容器とも称す)を配置可能な広さとする。そして、ロボットによって散薬一時保管容器を一の小棚部の下まで移動させ、秤量装置の上に載置する。その一方で、一の小棚部を縦軸回りに回転させ、所定の薬剤容器を秤量装置の上方に移動させる。そして、所定の薬剤容器から散薬を計量しつつ(秤量しながら)排出することで、秤量装置の上に搬送された散薬一時保管容器の内部に、処方データに基づく所定量の散薬が排出される。その後、散薬一時保管容器をロボットで移動させ、分配皿(円盤)に対応付けられた載置部(加振装置)に載置し、散薬一時保管容器に収容した容器内の薬剤(散薬)の全てを分配皿に排出する。
つまり、必ずしも散薬収容容器を容器保管部から分離して、容器保管部から離れた位置で散薬を排出しなくてもよい。容器保管部又は散薬収容容器そのものに散薬排出用の機構を設け、散薬収容容器の近傍で散薬を払い出し用容器に排出し、払い出し用容器から分配皿に散薬を投入してもよい。
【0128】
なお、上記した実施形態では、外部PC20で処方データを作成し、作成した処方データを上位制御装置2に送信する例を説明したが、外部PC20で入力された処方に関する情報を上位制御装置2に送信し、上位制御装置2で処方データを作成してもよい。
【0129】
上記した実施形態では、完全自動散薬分包機3が振り分け動作で割り当てられた分包処理を自動的に順に実行していく構成としたが、本発明はこれに限るものではない。
完全自動散薬分包機3は、振り分け動作で割り当てられた分包処理を自動的には実行せず、所定の操作(上記した処方待機画面100を表示した状態から順に行う一連の操作)を実行することで、分包処理を実行してもよい。すなわち、振り分け動作の実行後、調剤者が完全自動散薬分包機3の設置場所に行き、所定の操作を実行しないと、完全自動散薬分包機3での分包処理が開始されない構成としてもよい。
【0130】
上記した実施形態では、調剤支援システム1が完全自動散薬分包機3、手動散薬分包手段4、錠剤自動分包機5を一つずつ備えた例について説明したが、本発明はこれに限るものではない。これらは、複数備えていてもよい。
したがって、上記した振り替え動作は、完全自動散薬分包機3で調剤者が所定の操作を行うことで、複数の手動散薬分包手段4の中から振り替え先となる一つを選択し、選択された一つの手動散薬分包手段4に振り分け先を切り替える動作でもよい。
【0131】
また、完全自動散薬分包機3を複数備えたシステムとする場合、複数の完全自動散薬分包機3は、内部に保管する散薬を同じにしてもよく、少なくとも二つの完全自動散薬分包機3で内部に保管する散薬を異なるものにしてもよい。ここでいう「内部に保管する散薬が異なる」とは、二つの完全自動散薬分包機3の一方で保管する散薬と他方で保管する散薬を全て異なるものとする構成の他、一方で保管する散薬と他方で保管する散薬の一部のみを同じとする構成を含む。
同様に、錠剤自動分包機5を複数備えたものとする場合、複数の錠剤自動分包機5で内部に保管する錠剤を同じものにしてもよく、異なるものとしてもよい。
【0132】
そして、振り分け動作では、複数の完全自動散薬分包機3や、複数の錠剤自動分包機5の中から振り分ける分包処理が可能なものを振り分け先として選択する。また、複数の完全自動散薬分包機3や、複数の錠剤自動分包機5で分包処理が可能な場合は、保管している薬剤の量や未処理の分包処理の数に基づいて割り当て先を決定してもよい。すなわち、未処理の分包処理の数が少ない方や、分包処理で包装する薬剤の保管量が多い方を割り当て先として選択してもよい。
例えば、第一の完全自動散薬分包機3と第二の完全自動散薬分包機3の双方で分包処理が可能であり、振り分け動作の実行時に、第一の完全自動散薬分包機3が第二の完全自動散薬分包機3よりも未処理の分包処理の数が多い状態であるとする。この場合、第二の完全自動散薬分包機3を割り当て先とするといった具合である。
また、分包処理で複数の散薬を包装する場合において、上記した「薬剤の保管量が多い方」とは、包装する複数の散薬の合計保管量が多い場合でもよく、包装する複数の散薬から選択される一以上の散薬の保管量が多い場合でもよい。
【0133】
さらに完全自動散薬分包機3、手動散薬分包手段4、錠剤自動分包機5の少なくとも一つを複数備えた構成とした場合、指示箋出力動作では、同種の調剤機器を含む複数の調剤機器から一つの調剤機器を一意に識別する識別情報を出力してもよい。例を挙げて説明すると、システムが二つの完全自動散薬分包機3を備え、それぞれの完全自動散薬分包機3が1号機と2号機であるとする。この場合、上記した例では、完全自動散薬分包機3に分包処理を割り当てた場合「自動」と出力したが、これに替わって「自動1」や「自動2」と出力するといった具合である。
同様に、鑑査画面出力動作においても、分包処理を割り当てた調剤機器や、分包処理を実際に実行した調剤機器を一意に識別する識別情報(各調剤機器のそれぞれを個別に特定する情報)を出力してもよい。
【0134】
上記した指示箋出力動作では、上位制御装置2の印刷装置13から紙媒体に各種情報を印刷して出力する例について示したが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、指示箋83は、調剤支援システム1に属する他の機器の印刷装置(例えば、薬剤秤量装置6の印刷装置62)から出力してもよく、システム外のプリンタ等の印刷装置から出力してもよい。また、紙媒体で出力する動作に限らず、例えば、外部の携帯端末(例えば、携帯電話やタブレットPC等)に視認可能な状態で表示してもよい。また、調剤支援システム1に属する他の機器の表示装置で指示箋83に印刷された情報と同じ内容を出力してもよいが、調剤作業を効率化するという観点から、持ち運び可能な状態で出力することが望ましい。
【0135】
鑑査画面出力動作も同様に、上位制御装置2の表示装置11に視認可能な状態で出力する動作に限らず、調剤支援システム1に属する機器又はシステム外の印刷装置から排出される紙媒体等の出力媒体に出力(印刷)してもよい。また、調剤支援システム1に属する機器又はシステム外の装置(携帯端末を含む)の表示装置に出力してもよい。
【0136】
上記した実施形態では、薬袋90に二次元コード92を印刷した例を示したが、薬袋90に印刷するコードは、例えば、バーコードのような一次元コードでもよい。完全自動散薬分包機3の情報読取装置で読み込むことで、情報が取得可能なものであればよい。
また、二次元コード92は、薬袋に直接印刷する他、薬袋とは別途作成するラベル等に出力してもよい。つまり、上記した薬袋作製動作に替わって、薬袋と、コードが付されたラベル等をそれぞれ出力し、ラベル等を薬袋に張り付けて薬袋を作製してもよい。
【0137】
また、上記した実施形態では、上位制御装置2で振り分け動作を実行したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、完全自動散薬分包機3等のシステムに属する他の調剤機器で振り分け動作を実行してもよい。例えば、外部PC20から完全自動散薬分包機3に処方に関する情報が送信され、完全自動散薬分包機3が処方データの作成、振り分け動作の実行、払出情報送信動作の実行を行ってもよい。すなわち、上位制御装置2を設けず、上記した上位制御装置2が実行する動作をシステムに属する調剤機器が実行する調剤支援システムが考えられる。
【0138】
続いて、上記した実施形態の調剤支援システム1とは異なる調剤支援システム301につき、
図14を参照しつつ詳細に説明する。なお、上記した調剤支援システム1で説明した部分と同様の部分については、重複する詳細な説明を省略する。
【0139】
本実施形態の調剤支援システム301は、上記した調剤支援システム1の各機器に加え、PTP薬剤自動取揃装置310(第一薬剤調剤手段)と、手動PTP薬剤取揃手段311(第二薬剤調剤手段)と、水剤自動分注機312と、手動水剤分注手段313から構成される複数の調剤機器(薬剤調剤手段)をさらに有する。そして、これらの調剤機器もまた、システムに属する上記した他の調剤機器(完全自動散薬分包機3、手動散薬分包手段4、錠剤自動分包機5)と同様に、上位制御装置2とデータを送受信可能な状態で接続されている。
【0140】
PTP薬剤自動取揃装置310は、処方データに基づき、PTP包装された錠剤(以下、PTP薬剤とも称す)の調剤処理(取り揃え処理)を自動的に実行する装置である。
すなわち、このPTP薬剤自動取揃装置310は、複数のPTP薬剤カセット(図示しない)を有しており、複数種類のPTP薬剤が種類毎にそれぞれ一又は複数の錠剤カセット内に収容されて保管されている。そして、処方データに基づき、一又は複数のPTP薬剤カセット内から必要な分だけ所定のPTP薬剤を取り出し、取出用トレイ(図示しない)上に取り出したPTP薬剤を載せて払い出す動作(自動PTP薬剤取揃動作)を実行可能なものとなっている。また、このPTP薬剤自動取揃装置310は、一体又は別途形成された表示装置と入力装置を備えている。
【0141】
手動PTP薬剤取揃手段311は、具体的には、ピッキング補助装置である。すなわち、調剤者が薬棚から薬剤をピッキングして手動で調剤する(取り揃える)際に使用されるものであり、薬棚等に付されたコード(バーコード等)から薬剤に関する情報を読み取り、読み取られた薬剤と処方された薬剤の照合を行うものである。
【0142】
水剤自動分注機312は、処方データに基づき、自動的に水剤を分注する装置である。
すなわち、水剤自動分注機312は、内部に複数の水剤元瓶(供給用容器、図示しない)と、複数の投薬瓶(提供用容器、図示しない)を有している。そして、複数種類の水剤のそれぞれが一又は複数の水剤元瓶に収容されて保管されている。また、大きさの異なる複数種類の投薬瓶が空の状態のまま内部に収容されている。
そして、水剤自動分注機312は、処方データに基づき、所定の水剤元瓶から所定量の水剤を取り出し、投薬瓶に水剤を注ぎ入れ、水剤が収容された投薬瓶を払い出す動作(自動水剤分注動作)を実行可能なものとなっている。なお、この自動水剤払出動作では、取り出し量に応じて使用する投薬瓶を選択し、選択した空の投薬瓶に取り出した水剤を注ぎ入れている。
【0143】
手動水剤分注手段313は、主に水剤の計量に使用する装置であり、本体装置と、薬剤照合のための情報読取手段と、印刷装置を有している(詳細については図示しない)。
本体装置は、液量計部(図示しない)を有しており、この液量計部は、メスシリンダー等の計量容器を使用して超音波による液量計測が可能な液量計測装置と、電子天秤の少なくとも一方によって構成されている。情報読取手段は、具体的にはバーコードリーダであり、印刷装置は、具体的にはプリンタである。
【0144】
これらPTP薬剤自動取揃装置310、手動PTP薬剤取揃手段311、水剤自動分注機312、手動水剤分注手段313は、上記した調剤機器と同様に、CPU、主記憶装置、補助記憶装置、I/Оポート等によって形成された演算部、記憶部、通信部を有する。
【0145】
上記した実施形態の調剤支援システム1では、処方内に錠剤自動分包機5で包装可能な錠剤がある場合と、散薬がある場合に分包処理(薬剤の調剤処理)をシステム内のいずれかの調剤機器に割り当てる振り分け動作を実行した。
これに対し、本実施形態の調剤支援システム301が実行する振り分け動作では、これに加え、処方内にPTP薬剤と、水剤がある場合も、これらの調剤処理をシステム内の調剤機器に割り当てる。
【0146】
[処方された薬剤にPTP薬剤がある場合]
処方内に一つ又は複数種類のPTP薬剤がある場合、PTP薬剤自動取揃装置310で対応可能な数(例えば、4種類以下)であるか否かを判別する。
そして、種類数が対応可能な数であり、その全てがPTP薬剤自動取揃装置310での払い出し(取り揃え)が可能なPTP薬剤である場合、この調剤処理をPTP薬剤自動取揃装置310に割り当てる。反対に、1以上の薬剤がPTP薬剤自動取揃装置310で払い出しできない場合には、対象となる調剤処理を手動PTP薬剤取揃手段311に割り当てる。
また、種類数が対応可能な数より多い場合は、対応可能な数以下の薬剤毎に、PTP薬剤自動取揃装置310で払い出し可能か否かを判別する。そして、上記と同様に、PTP薬剤自動取揃装置310で払い出し可能である場合には、対象となる調剤処理をPTP薬剤自動取揃装置310に割り当て、払い出しできない場合には、手動PTP薬剤取揃手段311に割り当てる。
【0147】
[処方された薬剤に水剤がある場合]
また、処方内に水剤がある場合、その水剤が水剤自動分注機312で分注可能であるか否かを判別し、可能である場合、対象となる調剤処理を水剤自動分注機312に割り当てる。対して、その調剤処理が水剤自動分注機312で実行できない場合、対象となる調剤処理を手動水剤分注手段313に割り当てる。
【0148】
そして、上記と同様に、振り分け動作を実行した後、調剤処理を割り当てた調剤機器に対し、調剤処理に必要な情報を送信する払出情報送信動作を実行する。また、指示箋出力動作と薬袋作製動作も適宜実施する。
【0149】
つまり、上記した実施形態の調剤支援システム1では、処方内に散薬がある場合に、手動薬剤調剤手段(手動散薬分包手段4)と自動薬剤調剤手段(完全自動散薬分包機3であり自動散薬分包手段)のいずれかに調剤処理(分包処理)を割り当てている。これに加え、この調剤支援システム301では、処方内にPTP薬剤や水剤がある場合にも、手動薬剤調剤手段と自動薬剤調剤手段のいずれかに調剤処理(取揃処理、分注処理)を割り当てている。この場合、当然のことながら、手動薬剤調剤手段は、手動PTP薬剤取揃手段311と、手動水剤分注手段313であり、自動薬剤調剤手段は、PTP薬剤自動取揃装置310と水剤自動分注機312である。
なお、自動薬剤調剤手段とは、内部に保管した薬剤(散薬、錠剤、PTP薬剤、水剤等)を使用し、調剤する薬剤の秤量又は計数を行い、所定量又は所定数の薬剤を患者に提供する形態(薬包内や容器内に収容された形態、又はブリスターパックに収容された形態)で排出する一連の動作を自動で行う装置(調剤機器であり薬剤調剤手段)である。
これに対し、手動薬剤調剤手段とは、調剤者が薬棚等から薬剤が収容された容器を手動で取り出す作業と、薬剤を秤量(計数)する作業と、手動又は装置(分包装置)を使用して薬剤を患者に提供する形態とする作業のいずれかで使用する一又は複数の調剤機器(薬剤調剤手段)である。
【0150】
そして、処方内にPTP薬剤がある場合と水剤がある場合もまた、上記と同様に、自動払出手段に優先的に調剤処理を割り振っている。
【0151】
また、PTP薬剤自動取揃装置310は、払出情報送信動作で送信された情報の受信後であり、振り分け動作で割り当てられた分包処理の実行開始前に、ユーザが所定の操作を実行することで、振り替え動作を実行可能なものである。
PTP薬剤自動取揃装置310が実行する振り替え動作は、上記した完全自動散薬分包機3の振り替え動作と同様に、自身に割り当てられた調剤処理の割り当て先を手動PTP薬剤取揃手段311に切り替える動作である。
【0152】
さらに、上記した調剤支援システム301では、水剤自動分注機312が振り替え動作を実行可能なものとしてもよい。すなわち、自身に割り当てられた調剤処理の割り当て先を手動水剤分注手段313に切り替える動作が可能なものとしてもよい。
また、上記した実施形態では、自動錠剤分包動作と手動錠剤分包動作の双方を実行可能な錠剤自動分包機5を採用した。しかしながら、これに替わって、自動錠剤分包動作が可能な自動錠剤分包装置と、手動錠剤分包動作が可能な手動錠剤分包手段からなる2つの調剤機器を採用してもよい。そして、自動錠剤分包装置は、自身に割り当てられた分包処理の割り当て先を手動錠剤分包手段に切り替える動作が可能なものとしてもよい。
【0153】
上記のことから、本発明に関連する発明は、処方データに基づいて薬剤の払い出し、取り揃え、又は分注を実行する調剤処理が可能な薬剤調剤手段を複数有し、複数の前記薬剤調剤手段は、剤形が同じ薬剤の調剤処理が可能な第一薬剤調剤手段と第二薬剤調剤手段を含み、前記第一薬剤調剤手段と前記第二薬剤調剤手段で前記調剤処理が可能な薬剤が処方されている場合に、前記第一薬剤調剤手段と前記第二薬剤調剤手段のうちの一つの前記薬剤調剤手段で前記調剤処理が実行されるものであり、振り分け動作が実行されることで、前記調剤処理が一つの前記薬剤調剤手段に割り当てられ、一の前記振り分け動作で割り当てた前記調剤処理が実行される前に、一の前記振り分け動作の結果を示す情報をユーザが確認可能な状態で出力する第一出力動作を実行する、調剤支援システムである。
上記関連発明は、複数の前記薬剤調剤手段の少なくとも一つは、前記振り分け動作の実行後、自己に割り当てられた前記調剤処理を他の前記薬剤調剤手段に振り替える振替機能を有し、前記振り分け動作は、前記調剤処理を実行する前記薬剤調剤手段を永続的又は一時的に決定する動作であり、前記調剤処理の振り替えが行われた場合に前記振り分け動作の決定が切り替えられる、ことが好ましい。
また、上記した関連発明の好ましい態様は、前記第一出力動作の実行後に第二出力動作が実行されるものであり、前記第二出力動作は、前記振り分け動作で一つの前記薬剤調剤手段に割り当てた前記調剤処理がいずれかの前記薬剤調剤手段で実行され、その実行が完了されたことを条件として、実際に前記調剤処理を行った前記薬剤調剤手段を特定する情報をユーザが確認可能な状態で出力する動作である、ことがさらに好ましい。
上記したさらに好ましい態様は、前記第二出力動作では、前記振り分け動作の後に前記調剤処理の振り替えが行われた場合に、振り替え履歴に関する情報を出力する、ことがより好ましい。
上記したさらに好ましい態様は、前記第一出力動作と前記第二出力動作では、処方された薬剤の鑑査に必要な情報と共に、前記調剤処理の振り分けに関する情報を出力する、ことがより好ましい。
【0154】
ところで、入院患者に対して薬剤を提供する場合、入院患者用に医師が処方を出してから、病院内の調剤所(薬剤部等)で調剤された薬剤を入院病棟に運ぶまでの間に、患者が転棟すること(病棟を移ること)がある。すなわち、医師が外部PC20(電子カルテ端末)に処方に関する情報(データ)を入力し、電子カルテ用プログラムが入力された情報から処方データを作成し、処方データが登録された後に患者が転棟する場合がある。
【0155】
このような場合、上記した調剤支援システム1によって調剤が完了し、調剤が完了した薬剤を入院患者に届けるとき、患者が処方データの作成時に入院していた病棟に薬剤を届けても、その病棟に薬剤が処方された患者がいないという事態が生じる。このような事態が生じると、病棟に勤務する看護師等が患者の居所を探す必要があり、手間であった。
【0156】
このような問題を解決するための装置として、
図15で示されるように、上記した調剤支援システム1と併用することが可能な病棟情報管理システム401がある。
以下、この病棟情報管理システム401について詳細に説明するが、上記と同様の部分については、重複する詳細な説明を省略する。
【0157】
本実施形態の病棟情報管理システム401は、
図15で示されるように、病棟情報管理装置402(病棟情報管理手段)と、複数のリスト表示装置408(リスト表示端末)を備えている。
【0158】
本実施形態では、病棟情報管理装置402にパーソナルコンピュータを採用している。
つまり、病棟情報管理装置402は、上記した上位制御装置2と同様に、演算部、記憶部(記憶手段)、通信部を備えた本体装置と、本体装置に付属する表示装置及び入力装置を有する。そして、病棟情報管理装置402は、通信部により、外部PC20、リスト表示装置408、外部機器(図示しない)等と構内通信網(LAN)等を介して互いにデータ(信号)の送受信が可能となっている。
【0159】
リスト表示装置408は、病棟情報確認画面409(
図16参照、詳しくは後述する)を表示可能であり、病棟情報確認画面409が表示された状態で所定情報の入力(詳しくは後述する)が可能な装置である。
リスト表示装置408には、据え置き型のコンピュータ(パーソナルコンピュータ)や携帯端末(タブレットPC、スマートフォン、ノートPC等)を採用可能である。本実施形態では、リスト表示装置408を持ち運び可能な端末(携帯端末)としており、タブレットPCを採用している。
【0160】
すなわち、リスト表示装置408もまた、演算部、記憶部(記憶手段)、通信部を備えており、通信部により、病棟情報管理装置402と構内通信網(LAN)等を介して互いにデータ(信号)の送受信が可能となっている。
また、リスト表示装置408は、操作表示部(図示しない)を備えている。操作表示部は、タッチパネルであり、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイといった表示装置と、タッチセンサ等の接触型入力装置とが重畳して形成されている(一体に形成されている)。つまり、リスト表示装置408もまた、各種情報を表示する表示装置と、ユーザの操作を受け付ける入力装置を有する。
【0161】
病棟情報管理装置402とリスト表示装置408の記憶部には、後述する各種動作を実行するためのプログラムと、各種データがそれぞれ記憶されている。つまり、病棟情報管理装置402、リスト表示装置408が記憶部に記憶されたプログラムに従って動作することにより、病棟情報管理システム401の各種動作(各種処理)が実行される。
また、病棟情報管理装置402の記憶部には、このようなデータとして、患者データベースが記憶されている。
【0162】
患者データベースには、各患者が入院する病棟を特定する情報が記憶されている。すなわち、患者を特定する情報(患者ID、患者名等)と、患者が入院する病棟(以下、入院病棟とも称す)を特定する情報(病棟名等)とが関連付けて記憶されている。
具体的には、患者が入院する病棟(患者の入院病棟)を特定する情報には、現在の入院病棟を特定する情報の他、過去の入院病棟(例えば、処方が出された時点等、過去の特定の時点における入院病棟)を特定する情報が含まれていてもよい。また、将来入院予定の病棟(過去のある時点又は現在を基準として、基準となる時点よりも後に入院する病棟)を特定する情報が含まれていてもよい。
【0163】
続いて、病棟情報管理システム401が実行する動作について説明する。
上記と同様に、医師が外部PC20に処方に関する情報(データ)を入力し、所定の操作を実行すると、処方データが作成される。そして、処方データが病棟情報管理装置402に送信される。
すなわち、処方の内容に関する情報と、処方自体を識別したり管理したりするための情報(処方番号等)とが、病棟情報管理装置402に送信される。なお、送信される処方データには、処方が出された患者が入院している又は入院予定の場合、処方データの作成時にこの患者が入院している病棟又はこれから入院予定の病棟を特定する情報が含まれる。
【0164】
その一方で、患者が転棟した場合には、その都度、外部機器等でその旨が入力される。そして、外部機器等から入力された内容を示す情報が病棟情報管理装置402に送信され、病棟情報管理装置402で患者データベースの更新が行われる。すなわち、転棟先の病棟が現在その患者が入院している病棟として記憶される。
【0165】
また、病棟情報管理装置402では、受信した処方データと、患者データベースに記憶された情報に基づいて、これらを関連付ける関連付け動作を実行する。
この関連付け動作は、病棟情報管理装置402が処方データを受信したことを条件として実行される動作である。すなわち、この動作では、処方データに基づいて処方が出された患者を特定し、この患者を特定する情報に基づいて患者データベースを参照することで、処方が出された患者の入院病棟に関する情報を取得する。そして、処方データと入院病棟に関する情報に関連付ける(処方の内容に関する情報と、処方自体を識別したり管理したりするための情報(処方番号)と、入院病棟に関する情報を紐づける)。
【0166】
そして、リスト表示装置408で所定の操作を実行することで、
図16で示されるように、病棟情報確認画面409を表示する病棟情報表示動作が実行される。具体的には、病棟情報表示動作が実行されると、上記した関連付け動作で関連付けられた情報が病棟情報管理装置402からリスト表示装置408に送信される。そして、病棟情報確認画面409の表示が実行される。
【0167】
病棟情報確認画面409は、検索条件入力領域420と、リスト表示領域421を有しており、上記した関連付け動作で関連付けられた情報に基づいて作成された表を表示する画面である。具体的には、検索条件入力領域420で入力された情報に基づいて表示対象の絞り込みを行い、条件に合致する患者を対象として、患者を特定する情報と、その患者の入院病棟を特定する情報を含む表をリスト表示領域421に表示する。
例えば、
図16の例では、投薬日が2019年10月7日となる薬剤が処方された患者を表示対象としている。そして、表示対象となるそれぞれの患者につき、患者を特定する情報(患者ID表示部421f、患者名表示部421gで特定される情報)と、その患者が現在入院している入院病棟を特定する情報(現在病棟表示部421kで特定される情報)を含む表を表示している。
【0168】
具体的には、検索条件入力領域420は、日付入力領域420aと、処方箋区分選択領域420bと、オーダ番号入力領域420cと、患者ID入力領域420dと、処方箋区分入力領域420eと、処方病棟入力領域420fを有する。
これら検索条件入力領域420に属する各領域は、それぞれ絞り込みの条件を指定する部分である。検索条件入力領域420に属する複数の領域の全てで条件の指定が行われなかった場合には、絞り込みを行わない。また、各領域のうち、複数の領域で条件の指定が行われた場合には、複数の領域でそれぞれ指定された複数の条件の全てを満たすものが表示対象となる。
【0169】
日付入力領域420aでは、「調剤日」と「投薬日」のいずれかを選択し、期間の開始日と終了日を入力することが可能となっている。すなわち、処方された薬剤の「調剤日」又は「投薬日」が所定期間内となることを絞り込みの条件とし、調剤日が指定期間内(入力した期間内)になる薬剤が処方された患者や、投薬日が指定期間内になる薬剤が処方された患者を表示対象として指定できる。なお、期間の開始日と終了日に同じ日付を入力することで、指定期間を指定日にすることができる。
【0170】
処方箋区分選択領域420bは、「定期」と「定期以外」の少なくとも一方を選択可能(少なくとも一方にチェックをいれることが可能)となっている。すなわち、「定期」のみにチェックを入れた場合は、出された処方箋の処方箋区分が「定期」であることが絞り込みの条件となり、条件を満たす患者が表示対象となる。同様に、「定期以外」のみにチェックを入れた場合は、出された処方箋の処方箋区分が「定期」ではないことが絞り込みの条件となり、出された処方箋の処方箋区分が「定期」ではない患者が表示対象となる。
双方にチェックを入れた場合は、出された処方箋の処方箋区分が「定期」となる患者と「定期以外」となる患者のいずれもが表示対象となる(処方箋区分選択領域420bでの入力に基づく絞り込みを実質的に行わない)。
【0171】
オーダ番号入力領域420cは、オーダ番号を入力可能であり、出された処方箋のオーダ番号が入力された内容となる患者を表示対象とすることができる。
患者ID入力領域420dは、患者IDを入力可能であり、患者IDが入力された内容となる患者を表示対象とすることができる。
処方箋区分入力領域420eは、処方箋区分を入力可能であり、出された処方箋の処方箋区分が入力された内容となる患者を表示対象とすることができる。
処方病棟入力領域420fは、処方病棟を入力可能であり、処方箋の発行時に入院していた病棟が入力された内容となる患者を表示対象とすることができる。
【0172】
リスト表示領域421は、オーダ番号表示部421a、処方番号表示部421b、処方箋区分表示部421c、処理区分表示部421d、投薬日表示部421e、患者ID表示部421f、患者名表示部421gを有している。さらに、診療科表示部421h、医師名表示部421i、処方病棟表示部421j、現在病棟表示部421k、搬送病棟表示部421lを有している。
【0173】
オーダ番号表示部421a、処方番号表示部421b、処方箋区分表示部421c、処理区分表示部421dは、それぞれ対象となる患者に出された処方箋の「オーダ番号」、「処方番号」、「処方箋区分」、「処理区分」等を表示する部分である。
【0174】
投薬日表示部421eは、対象となる患者に出された薬剤の投薬日を示す情報が表示される部分である。なお、日付入力領域420aで「調剤日」が選択されている場合は、投薬日表示部421eに替わって調剤日表示部(図示しない)を表示してもよい。調剤日表示部は、対象となる患者に出された薬剤の調剤日を示す情報が表示される部分である。
【0175】
また、患者ID表示部421f、患者名表示部421gは、対象となる患者の「患者ID」、「患者名」を表示する部分である。
診療科表示部421h、医師名表示部421iは、それぞれ対象となる患者に処方箋を出した医師の所属する診療科と、その医師の医師名を表示する部分である。
【0176】
処方病棟表示部421jは、処方箋の発行時(処方データの作成時)に対象となる患者が入院している病棟、又は、入院予定の病棟を示す情報が表示される部分である。
現在病棟表示部421kは、対象となる患者が現在入院している病棟、又は、現在入院予定である病棟を示す情報が表示される部分である。
なお、処方病棟表示部421j、現在病棟表示部421kでは、対象となる病棟がない場合、入院病棟を特定する情報をする情報を表示しない。
【0177】
例えば、
図16の例では、患者名が「患者01」である患者は、処方箋の発行時に「南3病棟」に入院しており、その後転棟し、現在は「東3病棟」に入院していることが解る。また、患者名が「患者02」である患者は、処方箋の発行時に「北1病棟」に入院しており、その後転棟せず、現在も依然として「北1病棟」に入院していることが解る。また、患者名が「患者05」である患者は、処方箋の発行時に「北2病棟」に入院が予定されており、その後入院しなかったことが解る。
以上のことから、処方病棟表示部421jと現在病棟表示部421kを確認することで、患者が転棟したのか否か、現在入院している病棟がいずれであるのかを確認できる。また、過去に入院予定であった患者が、実際に入院したのか否かが確認できる。
【0178】
搬送病棟表示部421lは、調剤支援システム1で調剤を行った薬剤が搬送された病棟を特定する情報が表示される部分である。例えば、
図16の例では、患者名が「患者01」である患者に処方された薬剤が「東3病棟」に搬送されたことが解る。
すなわち、調剤支援システム1で調剤を行った薬剤を病棟に搬送する際には、外部機器等でその旨が入力される。そして、外部機器等から入力された内容を示す情報が、病棟情報管理装置402に送信され、病棟情報管理装置402で患者データベースの更新が行われる。すなわち、本実施形態の患者データベースには、実際に薬剤を搬送した病棟を特定する情報が、患者を特定する情報に関連付けて記憶される。
【0179】
以上のことから、調剤支援システム1で調剤した薬剤を病棟に搬送する前に、搬送者が病棟情報確認画面409を確認することで、患者の転棟先の病棟を把握でき、患者のいる病棟に薬品を搬送することができる。また、入院病棟に勤務の看護師等が調剤所から搬送された薬剤を受け取った際に病棟情報確認画面409を確認することで、患者の転棟先の病棟を簡単に把握することができる。
【0180】
上記した病棟情報管理システム401は、調剤支援システム1と一体化してもよい。
すなわち、上記した調剤支援システム1が複数のリスト表示装置408を備えた構造とし、上位制御装置2に病棟情報管理装置402と同様の情報を記憶させ、同様の動作を実行させてもよい。すなわち、調剤支援システム1は、患者データベースを記憶するものとし、患者データベースを更新する動作、関連付け動作、病棟情報表示動作を実行するものとしてもよい。
【0181】
また、病棟情報管理装置402とリスト表示装置408は、別途設けなくてもよく、病棟情報管理装置402で所定の操作を実行することで、病棟情報表示動作が実行される構成としてもよい。すなわち、病棟情報管理装置402の表示装置に病棟情報確認画面409を表示してもよい。したがって、病棟情報管理システム401と調剤支援システム1を一体化する場合も同様に、上位制御装置2の表示装置11に病棟情報確認画面409を表示してもよい。
【符号の説明】
【0182】
1;調剤支援システム、3;完全自動散薬分包機(散薬分包手段、自動散薬分包機)、4;手動散薬分包手段(散薬分包手段)、6;薬剤秤量装置(散薬秤量装置)、7;散薬分包機、30;薬剤容器、31;容器保管部、38;分配皿、45;薬剤包装装置(散薬包装装置)、50;操作表示部(表示装置)、92;二次元コード(識別表示)