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特許7442060電子部品セット、電子部品セットの製造方法、電子部品セット内の識別部の読取り方法、及び、電子部品セット内の識別部の読取り装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】電子部品セット、電子部品セットの製造方法、電子部品セット内の識別部の読取り方法、及び、電子部品セット内の識別部の読取り装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/86 20060101AFI20240226BHJP
   B65D 73/02 20060101ALI20240226BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20240226BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
B65D85/86 300
B65D73/02
H05K13/02 B
G05B19/418 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020527510
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2019024946
(87)【国際公開番号】W WO2020004326
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】P 2018123639
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 成太
(72)【発明者】
【氏名】石川 朋幸
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-165514(JP,A)
【文献】特開2004-165273(JP,A)
【文献】特開2013-180792(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101267727(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0036274(US,A1)
【文献】特開平6-156880(JP,A)
【文献】特開平3-178199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/86
B65D 73/02
G05B 19/418
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品と、
前記複数の電子部品を保持する包装材と、を備え、
前記複数の電子部品の各々は、前記複数の電子部品の各々を識別する識別情報を表す識別子である識別部が付されており
前記包装材は、基材部と、前記複数の電子部品の各々を収容する複数の収容部と、を有し、
前記基材部は帯形状であり、
前記複数の収容部の各々は、開口部と、該開口部の反対側に位置する底部と、該底部の外端縁から前記開口部に向けて立ち上がる側面部と、を有し、
前記基材部は、各々の前記開口部どうしを開口させた状態で繋ぐように構成されており、
前記側面部には、前記識別部に対応する位置に光透過性を有する窓部が設けられていて、
前記複数の電子部品は、各々の前記識別部が前記窓部を通して光学式読取り装置で読取り可能となるように前記包装材に保持されている、
電子部品セット。
【請求項2】
前記複数の電子部品は、各々の前記識別部が前記窓部と離間した状態で前記光学式読取り装置で読取り可能となるように前記包装材に保持されている、
請求項1に記載の電子部品セット。
【請求項3】
前記複数の収容部の各々は、前記複数の電子部品の各々を収容した状態で前記基材部の長手方向に並んで配置されており、
前記識別部は、前記長手方向と交わる方向から前記光学式読取り装置によって読取り可能な前記複数の電子部品の各々の領域に配置される、
請求項1又は2に記載の電子部品セット。
【請求項4】
前記窓部は平坦である、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子部品セット。
【請求項5】
前記複数の収容部の各々は、有底の四角筒状に形成されていて、前記開口部、該開口部の反対側に位置する底部、一対の前記側面部、前面部、及び、後面部を有しており、
前記一対の前記側面部は、前記底部の端から前記開口部に向けて立ち上がるとともに、前記基材部の短手方向において対向し、
前記前面部及び前記後面部は、前記底部の端から前記開口部に向けて立ち上がるとともに、前記基材部の長手方向において対向し、
前記複数の収容部の各々、前記前面部及び前記後面部の各々の外表面から外方に向けて突出するリブを有する、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子部品セット。
【請求項6】
前記複数の電子部品の各々は、座板と、該座板の側面から外方に突出するリード端子とをさらに有し、
前記側面部には、前記座板を側面側から収容する座板収容部と、前記リード端子を収容するように前記座板収容部よりも外方に突出している端子収容部とが設けられている、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子部品セット
【請求項7】
前記識別部は、二次元コード、一次元コード、記号、文字、ICチップ、及び、タグからなる群から選ばれる少なくとも1種である、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電子部品セット。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電子部品セットの製造方法であって、
前記包装材前記複数の電子部品を準備する工程と、
前記包装材に前記複数の電子部品を保持させる工程と、を含む、
電子部品セットの製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電子部品セット内の識別部の読取り方法であって、
前記電子部品セットに含まれる前記複数の電子部品が前記包装材に保持されている状態で前記識別部を読取る、
電子部品セット内の識別部の読取り方法。
【請求項10】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電子部品セット内の識別部の読取り装置であって、
前記電子部品セットに含まれる前記複数の電子部品が前記包装材に保持されている状態で前記識別部を読取る読取り部を備える、
電子部品セット内の識別部の読取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電子部品セット、電子部品セットの製造方法、電子部品セット内の識別部の読取り方法、及、電子部品セット内の識別部の読取り装置に関し、より詳細には、複数の電子部品を備える電子部品セット、電子部品セットの製造方法、電子部品セット内の識別部の読取り方法、及、電子部品セット内の識別部の読取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の電子部品をエンボステープ本体に保持する電子部品包装用エンボステープが記載されている。この電子部品包装用エンボステープは、エンボステープ本体に複数のエンボス部を備え、各エンボス部に電子部品を収容している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平3-178199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品においては、例えば、実装等の使用する前に、各電子部品の情報を得たい場合がある。この場合、上記のような電子部品包装用エンボステープに収容された状態の電子部品おいては、各電子部品の情報を読取るために、一度、包装を解く必要があり、情報読取りの作業効率が低いという問題がある。
【0005】
本開示は、上記事由に鑑みてなされており、電子部品の情報読取りの作業効率の向上を図ることができる、電子部品セット、コンデンサ、電子部品セットの製造方法、読取り方法及び読取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電子部品セットは、複数の電子部品と、保持部材と、を備える。前記保持部材は前記複数の電子部品を保持している。前記複数の電子部品の各々は、識別部を有する。前記複数の電子部品は、前記複数の電子部品の各々の前記識別部が光学式の読取り装置で読取り可能なよう前記保持部材に保持されている
【0007】
本開示の一態様に係るコンデンサは、前記電子部品セットに、前記複数の電子部品の1つとして含まれる
【0008】
本開示の一態様に係る電子部品セットの製造方法は、前記電子部品セットの前記保持部材に前記複数の電子部品を保持させる工程を含む。
【0009】
本開示の一態様に係る電子部品の識別部の読取り方法は、前記電子部品セットから、前記複数の電子部品が前記保持部材に保持されている状態で前記識別部を読取る。
【0010】
本開示の一態様に係る電子部品の識別部の読取り装置は、前記電子部品セットから、前記複数の電子部品が前記保持部材に保持されている状態で前記識別部を読み取る読取り部を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、電子部品の情報読取りの作業効率の向上を図ることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1に係る電子部品セットの一部を示す下方からの斜視図である。
図2図2は、同上の上方からの斜視図である。
図3図3は、同上の電子部品セットに使用する電子部品を示す斜視図である。
図4図4は、同上の電子部品セットに使用する包装材の一部を示す斜視図である。
図5図5は、同上の電子部品セットから識別部を読取る読取り装置を示す概略の斜視図である。
図6図6は、同上の電子部品セットから識別部を読取る読取り方法を示すブロック図である。
図7図7Aは、同上の電子部品セットに使用する包装材の変形例の一部を示す斜視図である。図7Bは、同上の電子部品セットに使用する包装材の他の変形例の一部を示す斜視図である。
図8図8は、実施形態2に係る電子部品セットの一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る電子部品セット1は、図1及び図2に示すように、複数の電子部品2と、包装材3と、を備える。複数の電子部品2の各々は、例えば、チップ型のコンデンサ2aである。包装材3は、例えば、複数の電子部品2を搬送するために複数の電子部品2を包装している。包装材3は複数の電子部品2を保持している。ここで、「保持」とは、包装材3が移動しても、複数の電子部品2が容易に離脱しない状態を意味する。「保持」の具体的な態様としては、例えば、電子部品2が包装材3に収容された態様、電子部品2が包装材3に粘着された態様等がある。複数の電子部品2の各々は、それぞれを識別するための識別部21を有している。例えば、識別部21は、複数の電子部品2の各々を、区別し得る情報を含んでいる。ここで、包装材3は、特許請求の範囲における「保持部材」の一例である。
【0014】
そして、本実施形態に係る電子部品セット1は、複数の電子部品2が包装材3に保持されている状態で、識別部21は複数の電子部品2の各々において光学式の読取り装置4で読取り可能な位置にある。この場合、電子部品2を包装材3から取り出さなくても、識別部21を光学式の読取り装置4で読取ることができる。すなわち、複数の電子部品2を包装材3から個々に離脱させなくても、光学式の読取り装置4で識別部21を読取ることができる。したがって、電子部品2の各々を識別するにあたって、電子部品2の各々を包装材3から取り出す作業を不要にすることができる。また、例えば、一度、電子部品2を包装材3から離脱させると再包装できず、元の状態に戻せない場合であっても、識別部21を読取ることができるため、特に有効である。
【0015】
(2)詳細
(2.1)電子部品
本実施形態に係る電子部品2の一例として、コンデンサ2aについて説明する。図3は、コンデンサ2aである電解コンデンサの斜視図である。本実施形態のコンデンサ2aは、表面実装タイプの電解コンデンサであり、電解質に導電性高分子と電解液とを融合させた、いわゆるハイブリッドタイプの電解コンデンサである。
【0016】
コンデンサ2aは、ケース(外装)23と、座板50と、陽極リード端子14と、陰極リード端子15と、を備えている。ケース23の内部には、コンデンサ素子(内部素子)と、封口部材と、電解質と、を備えている。コンデンサ素子は、陽極箔と、陰極箔と、セパレータと、を備えている。
【0017】
陽極箔は、例えば、エッチング処理等によって表面が粗面化された金属箔を備える。金属箔は、例えばアルミニウム箔である。金属箔の材料は、アルミニウム、タンタル若しくはニオブ等の弁作用を有する金属又はその合金であることが好ましい。陽極箔の表面には化成処理により誘電体層が形成されている。
【0018】
陰極箔は、例えば、金属箔を備える。金属箔は、例えばアルミニウム箔である。金属箔の材料は、アルミニウム、タンタル、ニオブ等の弁作用を有する金属又はその合金であることが好ましい。
【0019】
セパレータは、陽極箔と陰極箔との間に配置され、陽極箔と陰極箔との接触を防止する。セパレータは、絶縁性を有する材料により形成される。セパレータは、特に限定されないが、例えば、絶縁紙又は、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ビニロン、ポリアミド若しくはガラス質等を主成分とする不織布等であってもよい。
【0020】
陽極リード端子14は、陽極箔に接続されている。陽極リード端子14の材料は特に限定されず、導電性材料であればよい。陽極リード端子14は、その一部がケース23の内部で陽極箔に接続されている。また陽極リード端子14は、他の一部がケース23の外部に露出している。
【0021】
陰極リード端子15は、陰極箔に接続されている。陰極リード端子15の材料は特に限定されず、導電性材料であればよい。陰極リード端子15は、その一部がケース23の内部で陰極箔に接続されている。陰極リード端子15は、他の一部がケース23の外部に露出している。
【0022】
陽極リード端子14が接続された陽極箔と陰極リード端子15が接続された陰極箔とは、セパレータを挟んで対向して配置される。そして、これら陽極箔、陰極箔およびセパレータがロール状に巻き取られることで、コンデンサ素子(巻取り素子)が円筒形状に形成される。コンデンサ素子形成後に、修復化成処理を行うことにより誘電体層に生じた欠陥を修復してもよい。
【0023】
ケース23は、アルミニウム等の材料により下面が開口する円筒状に形成されている。コンデンサ素子は、陽極リード端子14の一部及び陰極リード端子15の一部が外部に露出するように、ケース23に収容される。
【0024】
コンデンサ2aでは、ケース23内において、陽極箔と陰極箔との間には、電解質が形成される。電解質として、液状電解質(電解液)及び固体電解質を含んでいる。電解液は、溶媒と、酸成分及び塩基成分とを含んでいる。固体電解質としては、導電性高分子、又はTCNQ(Tetracyanoquinodimethane)錯塩体等が用いられる。導電性高分子の材料は、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、及びそれらの誘導体等であってもよく、さらにドーパントが添加されていてもよい。導電性高分子は、例えば、陽極箔の誘電体皮膜の表面、陰極箔の表面、及びセパレータの表面のうちの、少なくとも一部に、膜状に付着していてもよい。また、ケース23内には、コンデンサ素子が収容された後に、電解液(電解質)が注入されてもよい。
【0025】
封口部材は、ゴム等の弾性材料により形成されている。封口部材は、ケース23の下面の開口を塞ぐようにケース23に取り付けられる。封口部材には、2つの貫通孔が形成されている。
【0026】
座板50は、絶縁性を有する材料により形成されている。座板50は、ケース23の下部に取り付けられる。座板50には、封口部材の貫通孔とそれぞれ対応する位置に、2つの貫通孔が形成される。また、座板50の底面(下面)には、各貫通孔の出口から外側へと延びる2つの収容凹部が形成されている。
【0027】
ケース23の内部から外部に突出した陽極リード端子14及び陰極リード端子15は、封口部材の貫通孔及び座板50の貫通孔に通され、外側に折れ曲がっている。陽極リード端子14の外側に折れ曲がった部分が、座板50の2つの収容凹部の一方に収容される。陰極リード端子15の外側に折れ曲がった部分が、座板50の2つの収容凹部の他方に収容される。
【0028】
ケース23の天面24には、コンデンサ2aの特性を示す表示部60が設けられてもよい。表示部60は、ケース23の天面24に印刷によって表示されている。表示部60の表示内容は、例えば、コンデンサ2aの極性(-極側)を示す黒塗りの極性表示と、静電容量の値(数値:単位はμF)と、定格電圧記号と、シリーズ記号と、鉛フリー対応品マーク(黒点)と、ロット番号(生産ロットを示す番号)と、を含む。本実施形態のコンデンサ2aでは、ケース23の天面24の第1領域(図3の左側)に、極性表示が付されている。
【0029】
また、図3に示すように、ケース(外装)23には、表示部60以外に、識別部21が付されている。識別部21は、表示によってケース23に付されている。より詳細には、識別部21は、ケース23に直接印刷されている。また、識別部21は、ケース23の側面22にある。言い換えれば、識別部21は、円筒状のケース23の外周面にある。本実施形態では、識別部21は、マトリックス型の二次元コードである。識別部21は陽極リード端子14又は陰極リード端子15に対応して位置している。すなわち、識別部21は、座板50の外側面に露出する陽極リード端子14又は陰極リード端子15の上方に位置している。
【0030】
ここで、識別部21は、例えば、複数の電子部品2の各々を識別する識別情報を表している。すなわち、コンデンサ2aのコンデンサ素子(内部素子)の生産ロットは、複数の小単位(集合体)を含んでおり、識別部21は、例えば、複数の小単位を識別する識別子である。言い換えれば、生産ロットは、各々が複数のコンデンサ2aを含む集合体(小単位)を、複数含んでいる。そして、識別部21は、複数のコンデンサ2aを一ロットとする生産ロットに含まれる複数の小単位のうちで、このコンデンサ2aが属する小単位を、特定することができる。
【0031】
1つの小単位に含まれるコンデンサ2aの最小数は、1である。複数の小単位の各々に含まれるコンデンサ2aの数は、互いに同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。例えば、複数の小単位の各々は、1~10個のコンデンサ2aを含んでもよい。複数の小単位の各々は、10個以上100個未満のコンデンサ2aを含んでもよい。複数の小単位の各々は、100個以上1000個未満のコンデンサ2aを含んでもよい。複数の小単位の各々は、1000個以上1万個未満のコンデンサ2aを含んでもよい。複数の小単位の各々は、1万個以上のコンデンサ2aを含んでもよい。
【0032】
本実施形態では、複数の小単位の各々に含まれるコンデンサ2aの数は、1個である。言い換えれば、本実施形態では、小単位は個片である。要するに、一つの生産ロットに含まれる複数のコンデンサ2aには、互いに異なる識別部21が付されている。特に、本実施形態では、全ての生産ロットに含まれる全てのコンデンサ2aには、互いに異なる識別部21が付されている。
【0033】
識別部21は、例えば、コンデンサ2aの製造時に、コンデンサ2aのケース(外装)23に付される。また、コンデンサ2aの製造時には、各コンデンサ2aの製造時における製造情報が、このコンデンサ2aに付されている識別部21と対応付けて、管理装置のデータベースに管理情報として記憶される。したがって、コンデンサ2aの識別部21を読み取り、データベースの管理情報と照合することで、コンデンサ2aの製造情報(製造時の情報)を個別に特定することが可能となる。
【0034】
一例において、製造情報は、コンデンサ2aの製造システムの状態を示す情報、コンデンサ2aの検査結果を示す情報等を含む。製造システムの状態の情報とは、例えば、製造システムに含まれる装置の駆動速度(モーターの回転速度)等の情報、修復化成装置の温度、電圧等の情報、電解質形成装置の温度等を含む。製造情報は、電解質の形成条件を含んでもよい。検査結果を示す情報は、例えば、検査結果の評価のランク(優・良・可の区別を示すランク等)を示す情報等を含む。つまり、本開示の製造情報とは、製品の一般的な仕様を示す情報というよりも、個々の製品の製造時の状態を示す情報を意味する。
【0035】
(2.2)包装材
本実施形態で例示する包装材3は、いわゆるエンボスキャリアテープである。包装材3は長尺である。言い換えれば、包装材3は帯形状のように細長く形成されている。図4に示すように、包装材3は基材部(テープ部)33と収容部(エンボス部)34とを備えている。
【0036】
基材部33はテープ状に形成されている。基材部33の幅寸法は収容部34の開口部38の幅寸法よりも大きくなっている。そして、基材部33の幅方向の中央部の位置と、収容部34の幅方向の中央部の位置とがほぼ一致している。したがって、基材部33の長手方向に沿った両方の側端部の各々が、収容部34の開口部38の両側に位置している。なお、「幅方向」とは、基材部33の短手方向である。基材部33の短手方向は基材部33の長手方向と直交する方向である。基材部33は複数の引掛け部39を有している。複数の引掛け部39は基材部33の短手方向の一方の端部にある。複数の引掛け部39は基材部33の長手方向に沿って所定の間隔で並んでいる。複数の引掛け部39の各々は、基材部33を厚み方向で貫通している孔である。複数の引掛け部39の各々は丸孔であるが、これに限定されず、例えば、四角孔又は長孔などの任意の形状である。複数の引掛け部39は電子部品セット1を長手方向に沿って移動(搬送)する際に使用される。すなわち、引掛け部39は歯車などの駆動体に引っ掛ける部分であり、これにより、駆動体から電子部品セット1に力が加えられて電子部品セット1が移動する。したがって、引掛け部39は駆動体に引っ掛かる形態であればよく、例えば、貫通していない孔であってもよいし、突起であってもよいし、切欠きであってもよい。
【0037】
収容部34は基材部33の厚み方向の両面のうちの一面に形成された窪みである。すなわち、収容部34は基材部33の上記面のうちの他の一面に突出している。収容部34が窪んでいる基材部33の一面は収容部34の開口部38を有している。包装材3は複数の収容部34を有している。複数の収容部34は基材部33の長手方向に沿って並んでいる。複数の収容部34は所定の間隔で連なっている。複数の収容部34の各々は、前面部35と後面部36と一対の側面部37と底部42とで有底の四角筒状に形成されている。前面部35と後面部36とは、基材部33の長手方向において対向している。一対の側面部37は、基材部33の短手方向において対向している。各収容部34の開口部38は四角形である。各収容部34は有底の円筒状であってもよく、その形状は任意である。各収容部34は、電子部品2が一つずつ収容可能な大きさである。
【0038】
各収容部34の一対の側面部37の各々は、窓部31と、端子収容部40と、座板収容部41とを備えている。窓部31は、端子収容部40及び座板収容部41よりも開口部38に近い部分である。また、端子収容部40は、基材部33の長手方向における座板収容部41の中央にある。窓部31の上端から下端までの寸法(開口部38側の端部から座板収容部41の上端までの寸法)は、コンデンサ2aの座板50よりも上側の部分の寸法よりもやや大きい。端子収容部40の前後方向の寸法(基材部33の長手方向に沿った方向の寸法)は、陽極リード端子14及び陰極リード端子15の幅寸法よりもやや大きい。座板収容部41の上端から下端までの寸法(座板収容部41の上端から底部42までの寸法)は、コンデンサ2aの座板50の厚さよりもやや大きい。
【0039】
窓部31は光透過性を有する。言い換えれば、窓部31は収容部34の内部が透けて見える程度に透明である。窓部31は光透過性を有すればよいので、半透明でもよく、例えば、すりガラスのような透明性であってもよい。また多少着色されていてもよい。窓部31は、収容部34に収容された電子部品2の識別部21を読取る部分である。したがって、窓部31は光の反射が少なくて光透過性が高いほうが好ましく、これにより、識別部21にまで光が届きやすくなり、また識別部21からの光が外部に取り出しやすくなり、識別部21の読取り性が向上する。
【0040】
窓部31は平坦である。言い換えれば、窓部31は凹凸、反り及び歪み等が殆ど無い面である。このように窓部31が平坦であると、窓部31で光の反射及び屈折等による損失等が生じにくくなり、窓部31の光透過性が向上する。したがって、識別部21にまで光が届きやすくなり、また、識別部21からの光が外部に取り出しやすくなり、識別部21の読取り性が向上する。
【0041】
包装材3は樹脂の成形品である。樹脂としては、光透過性、耐熱性及び強度などを考慮して、ポリカーボネート又はポリエチレンテレフタレートなどが使用可能である。つまり、包装材3は、読取り装置4での読取りに必要な光を透過すれば足りる。
【0042】
なお、本開示において、「光」は主に可視光であるが、赤外光及び紫外光を含んでいてもよい。
【0043】
窓部31の外面と端子収容部40の外面とは段差が無い状態(面一)で連続している。また窓部31の内面と端子収容部40の内面とは段差が無い状態(面一)で連続している。一方、座板収容部41の外面は、窓部31の外面及び端子収容部40の外面と段差がある状態で連続している。また座板収容部41の内面も、窓部31の内面及び端子収容部40の内面と段差がある状態で連続している。すなわち、窓部31及び端子収容部40は、座板収容部41よりも外側に張り出した状態である。
【0044】
なお、窓部31は、識別部21が対向する側面部37にのみ形成されていてもよい。
【0045】
(2.3)電子部品セット及びその製造方法
本実施形態に係る電子部品セット1は、電子部品2と包装材3とを備える。言い換えれば、包装材3が電子部品2を包装した状態で電子部品セット1が形成されている。複数の電子部品2は包装材3に保持されている。つまり、電子部品セット1が移動しても、複数の電子部品2が包装材3から離脱せず、複数の電子部品2と包装材3とが一体的に移動するように包装されている。各電子部品2は収容部34に収容された状態で保持されている。すなわち、各電子部品2は前面部35と後面部36と一対の側面部37及び底部42とで囲まれる空間に収容されることにより、包装材3に保持されている。
【0046】
複数の電子部品2は、包装材3の複数の収容部34に一つずつ収容されている。この場合、各電子部品2の座板50の下面が底部42の上面に載せられている。また座板50が座板収容部41に対応して位置している。すなわち、座板50の外周面が座板収容部41の内面に対向して位置している。また、陽極リード端子14が一方の側面部37の端子収容部40に対応して位置している。また、陰極リード端子15が他方の側面部37の端子収容部40に対応して位置している。すなわち、陽極リード端子14の先端面及び陰極リード端子15の先端面の各々が各側面部37の端子収容部40の内面に対向して位置している。さらに、ケース23が窓部31に対応して位置している。言い換えれば、ケース23の外周面が窓部31の内面に対向して位置している。
【0047】
複数の電子部品2が包装材3に保持されている状態の電子部品セット1において、各電子部品2の識別部21は、複数の電子部品2の各々において光学式の読取り装置4で読取り可能な位置にある。言い換えれば、複数の電子部品2の各々が各収容部34に収容されている状態において、各電子部品2の識別部21が収容部34を透して光学式の読取り装置4で認識できる位置にある。本実施形態に係る電子部品セット1では、包装材3の各収容部34の窓部31が、各収容部34に収容された電子部品2の識別部21に対応する位置にある。言い換えれば、各収容部34のそれぞれには電子部品2が収容されているが、一方の側面部37(引掛け部39が設けられている方の側面部37)の窓部31と識別部21とが対向するようにして、各収容部34に電子部品2が収容されている。このようにすると、識別部21が窓部31を透して光学式の読取り装置4で読取り可能となる。すなわち、光透過性を有する窓部31を透して識別部21からの光(反射光)が読取り装置4で受光されることにより、識別部21が読取り装置4で読み取られる。
【0048】
本実施形態に係る電子部品セット1では、複数の電子部品2は包装材3の長手方向に並んでいる。言い換えれば、複数の電子部品2の各々が、包装材3の長手方向に並ぶ複数の収容部34に収容された状態で並んでいる。また各電子部品2の識別部21が同じ側を向いている。すなわち、電子部品セット1の長手方向と直交する方向の一方側に、全ての電子部品2の識別部21が向いている状態である。これにより、識別部21は電子部品セット1の長手方向と交わる方向から読取り可能な位置にある。言い換えれば、識別部21は電子部品セット1の側方から読取り可能な位置にある。これにより、電子部品セット1の長手方向と交わる方向(側方)に読取り装置4を配置することにより、識別部21を読取り装置4で読取ることができる。
【0049】
収容部34に収容されている電子部品2は、陽極リード端子14の先端及び陰極リード端子15の先端がそれぞれ、各側面部37の端子収容部40に収容されている。したがって、電子部品2が収容部34内でケース23の軸方向を中心として回転しようとすると、陽極リード端子14の先端及び陰極リード端子15の先端がそれぞれ端子収容部40と座板収容部41との段差に接触することになる。よって、電子部品2が収容部34内で回転するのを規制することができる。この場合、電子部品2の識別部21が窓部31との対向位置から外れない(ずれない)ようにすることができ、読取り装置4で識別部21が読取りにくくなるのを低減することができる。
【0050】
なお、図1においては、複数の電子部品2は、識別部21が引掛け部39側に向くように包装材3に保持されているが、これに限られない。複数の電子部品2は、識別部21が引掛け部39と反対側に向くように包装材3に保持されていてもよい。
【0051】
上記のような電子部品セット1を製造するにあたっては、以下のようにして行う。
【0052】
まず、本実施形態に係る電子部品セット1の製造方法は、包装材3に複数の電子部品2を保持させる工程を含んでいる。言い換えれば、本実施形態に係る電子部品セット1の製造方法は、複数の収容部34のそれぞれに、電子部品2を一つずつ入れて収容する工程を有している。ここで、電子部品2は収容部34に開口部38から入れられる。また、電子部品2はケース23を上向きに、座板50を下向きにして収容部34に収容される。この場合、電子部品2の陽極リード端子14及び陰極リード端子15の方から収容部34に収容されていくことになる。陽極リード端子14の先端及び陰極リード端子15の先端は、それぞれ各側面部37の窓部31の位置を通過した後、各側面部37の端子収容部40に収容されていく。そして、この場合、窓部31と端子収容部40に段差がないために、陽極リード端子14の先端及び陰極リード端子15の先端をスムーズに端子収容部40に収容することができる。また陽極リード端子14の先端及び陰極リード端子15の先端がそれぞれ端子収容部40に収容されると、自然に、識別部21が一方の側面部37の窓部31と対向する位置に配置される。また電子部品2の天面24は開口部38よりも下側に位置している。
【0053】
図2に示すように、収容部34に電子部品2を収容した後、蓋材55で開口部38が塞がれる。蓋材55は、いわゆるカバーテープであって、長尺(帯形状)の樹脂フィルムである。この蓋材55は、開口部38を覆うようにして基材部33の表面に貼り付けられる。ここで、蓋材55の長手方向に沿う一方の端部で引掛け部39が覆われないようにする。したがって、蓋材55の幅寸法は基材部33の幅寸法よりも小さい。また蓋材55はポリプロピレンなどのポリオレフィン系の熱可塑性樹脂のフィルムである。このため、蓋材55は熱溶着により基材部33の表面に貼り付けることができる。一つの蓋材55で複数の開口部38を塞ぐようにしてもよいが、複数の蓋材55の各々で開口部38を一つずつ塞ぐようにしてもよい。蓋材55は、包装材3から電子部品2を取り出す際に、基材部33から剥がされる。これにより、開口部38が開放されて収容部34から電子部品2を取り出すことができる。
【0054】
(2.4)読取り装置及び読取り方法
本実施形態に係る読取り装置4は、電子部品セット1から、複数の電子部品2が包装材3に保持されている状態で識別部21を読み取る読取り部49を備える。言い換えれば、読取り装置4は、包装材3から電子部品2を個別に取り出さないでも識別部21を読取ることができる読取り部49を備える。
【0055】
図5に示すように、光学式の読取り装置4は、読取り部49と、一対のリール62、43を保持する軸部44、45とを備えている。また読取り装置4は、読取り部49で撮像した識別部21の画像から、情報を抽出する部分(抽出部)を備える。ただし、読取り装置4が抽出部を備える場合、抽出部は、読取り部49と別体であってもよい。例えば、抽出部は、インターネット等を介して接続されるサーバ等にあってもよい。
【0056】
読取り部49は筐体46の一つの外面に臨むように設けられていてもよい。読取り部49は識別部21を撮像可能であればよく、例えば、電荷結合素子(CCD)エリアセンサなどの受光センサ、結像レンズを有する結像光学部、発光ダイオード(LED)などの照明装置等を備えて構成される。
【0057】
一対のリール62、43はそれぞれ読取り部49が臨んでいる筐体46の外面に配置されている。一対のリール62、43はそれぞれ筐体46に対して着脱自在である。一方のリール62は送り側であって、リール62には電子部品セット1が巻かれている。他方のリール43は受け側であって、リール43には電子部品セット1が巻かれていない状態である。そして、リール62とリール43との間に電子部品セット1を架け渡した後、リール62を、軸部44を中心として回転させ、リール43を、軸部45を中心としてリール62と同じ方向に回転させる。これにより、電子部品セット1がリール62から解かれながらリール43へと移動(搬送)されて巻き取られる。そして、電子部品セット1がリール62からリール43へと移動する際に、読取り部49の前側を通過することになり、このときに、読取り部49で識別部21が撮像されて読取られる。
【0058】
本実施形態に係る読取り方法は、電子部品セット1から、複数の電子部品2が包装材3に保持されている状態で識別部21を読取る。言い換えれば、読取り方法は、包装材3から電子部品2を個別に取り出さないでも識別部21を読取ることができる。図6に読取り方法をフローチャートで示す。リールセット工程S10で、リール62及び43を回転させることにより、一つの電子部品2が読取り部49の前方に配置される。次に、撮像工程S11で、読取り部49の前方に配置された電子部品2の識別部21が撮像して読み取られる。次に、リール送り工程S12で、リール62及び43を回転させることにより、識別部21が撮像された電子部品2がリール43側に送られる。そして、この後、リール送り終了判定工程S13で、リール62に巻かれた電子部品セット1が終端にまで達した判定された場合は、識別部21の読取りを終える。一方、リール送り終了判定工程S13で、リール62に巻かれた電子部品セット1が終端にまで達していないと判定された場合は、リールセット工程S10に戻って読取り方法が繰り返される。このようにして、複数の電子部品セット1に保持された電子部品2の識別部21を一つずつ順番に連続して読取ることができる。
【0059】
なお、長尺(帯形状)の電子部品セット1はリールに巻かれた状態で出荷されてもよい。
【0060】
(3)変形例
以上説明した上記実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。また、上記実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態1の変形例のいくつかを列挙する。上記の実施形態及び下記の変形例は、適宜組み合わせ可能である。
【0061】
電子部品2は、上述した構成のコンデンサ2aに限られない。例えば、電子部品2は、電気二重層コンデンサ(EDLC:Electric double-layercapacitor)、セラミックコンデンサ等であってもよい。電子部品は、導電性高分子などの固体電解質を用いた固体電解コンデンサや、電解液を用いた電解コンデンサ、導電性高分子などの固体電解質および電解液(溶媒のみであってもよい)を用いた電解コンデンサであってもよい。コンデンサは、いわゆるスリーブタイプであってもよい。また、コンデンサ2aの陽極は、陽極箔に限らず、多孔質焼結体であってもよい。また、コンデンサ2aの陰極は、陰極として機能すればよく種々の形態をとることができる。
【0062】
実施形態1の製造方法において、いくつかの工程は適宜省略されてもよく、及び/又は他の工程が適宜追加されてもよい。
【0063】
電子部品2は、コンデンサに限られず、他の受動部品であってもよい。例えば、電子部品は、抵抗素子、インダクタ等であってもよい。
【0064】
電子部品2の外装は、ケースに限られない。外装は、例えば、樹脂モールドであってもよい。
【0065】
識別部21は、外装の側面に印刷された二次元コードに限らない。識別部21は、例えば一次元コード(バーコード)、記号、文字等であってもよい。また、識別部21は、白黒だけでなく、色を加えたカラー化により情報量を増加させてもよい。あるいは、識別部21は、ICチップ、タグなどであってもよい。識別部21は、印刷によって外装に付されていなくてもよく、例えば識別部21が記載されたシールを外装に貼り付けることで、外装に付されていてもよい。識別部21は、外装の側面以外の場所(例えば、天面や底面)に付されていてもよい。
【0066】
例えば、管理情報に、複数の装置を区別するための設備情報を含めるようにすれば、電子部品2がどの装置で製造されたかを判別することが可能となる。すなわち、識別部21を読み取るだけで、複数の装置のうちのどの装置で製造されたかを判別することが可能となる。識別部21を読み取ることでデータベースと照合可能な情報は、特に限定されないが、例えば、製造年月日、装置を区別するための設備情報及びシリアルナンバー等を含んでいてもよい。
【0067】
また識別部21を撮像する読取り部49の受光センサとしては、エリアセンサだけでなく、ラインセンサであってもよい。
【0068】
実施形態1では、収容部34の側面部37が窓部31と端子収容部40と座板収容部41とを有しているが、これに限られない。例えば、図7Aに示す変形例では、側面部37の全体が窓部31として形成されており、側面部37は端子収容部40と座板収容部41とを有していない。この場合、図1及び2のものに比べて、窓部31が大きくなり、識別部21が読取りしやすくなる。
【0069】
また図7Bに示す変形例では、図7Aに示す変形例において、窓部31以外の箇所にリブ32を有している。言い換えれば、この変形例の電子部品セット1は、識別部21の読取りが行われない箇所においてリブ32が設けられている。この変形例では、前面部35と後面部36とがそれぞれリブ32を有している。リブ32は、前面部35と後面部36とのそれぞれにおいて、包装材3の短手方向の中央に位置している。またリブ32は前面部35と後面部36とのそれぞれの表面に突出している。またリブ32は包装材3の厚み方向に長く、開口部38から底部42に至るように形成されている。そして、このリブ32により、収容部34が補強されて変形の発生が低減される。したがって、収容部34が変形することによる識別部21の読取り性の低下を少なくすることができる。またリブ32は陽極リード端子14及び陰極リード端子15の収容部としても使用することができる。この場合、電子部品2は、陽極リード端子14及び陰極リード端子15の上方に識別部21を有しておらず、陽極リード端子14及び陰極リード端子15から見て約90°ずれた位置に識別部21を有している。これにより、窓部31と対向する位置に識別部21が配置される。
【0070】
(実施形態2)
本実施形態に係る電子部品セット100は、電子部品2の構成及び粘着固定材30の構成が実施形態1に係る電子部品セット1と相違する。
【0071】
以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0072】
実施形態2で説明した構成は、実施形態1で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
【0073】
電子部品2は、スルーホール実装型のコンデンサ2bである。すなわち、ケース23の下方に細線の陽極リード端子14と陰極リード端子15とが突出している。ケース23の側面22は識別部21を有している。
【0074】
また、粘着固定材30は基材部70と粘着部71とを有している。基材部70は長尺(帯形状)であって、板状、シート状、フィルム状に形成されている。基材部70は、長手方向に沿って所定の間隔で並ぶ複数の引掛け部39を有している。図8では引掛け部39は基材部70を厚み方向で貫通する孔である。また、複数の引掛け部39は基材部70の短手方向の中央部に並んでいる。基材部70は、樹脂又は紙などの材質で形成される。ここで、粘着固定材30は、特許請求の範囲における「保持部材」の一例である。
【0075】
粘着部71は基材部70の片面の上側の半分にある。粘着部71は基材部70のほぼ全長にわたって設けられている。粘着部71は樹脂製の粘着剤を塗布するなどして形成されている。
【0076】
そして、粘着部71に陽極リード端子14と陰極リード端子15とを粘着させることにより、電子部品2が粘着固定材30に保持されている。電子部品セット100は、一つの粘着固定材30に複数の電子部品2を保持している。複数の電子部品2の各々の識別部21は、基材部70の長手方向と直交する方向において、一方側(同じ側)を向いている。したがって、電子部品セット100は粘着固定材30の長手方向と交わる方向から光学式の読取り装置4で識別部21を読取り可能である。尚、粘着部71は、長尺(帯形状)の蓋材で覆われていてもよい。
【0077】
なお、電子部品セット100は、九十九折の状態で箱に詰められて出荷されることが多い。
【0078】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る電子部品セット(1、100)は、複数の電子部品(2)と、保持部材(3、30)と、を備える。保持部材(3、30)は複数の電子部品(2)を保持している。複数の電子部品(2)の各々は、識別部(21)を有している。複数の電子部品(2)は、複数の電子部品(2)の各々の識別部(21)が光学式の読取り装置(4)で読取り可能なよう保持部材(3、30)に保持されている
【0079】
この態様によれば、電子部品(2)を保持部材(3、30)から取り出さなくても、識別部(21)を光学式の読取り装置(4)で読取ることができる。したがって、電子部品(2)の情報読取りの作業効率の向上を図ることができる、という利点がある。
【0080】
第2の態様に係る電子部品セット(1、100)は、第1の態様において、識別部(21)は複数の電子部品(2)の各々の側面(22)に位置する。
【0081】
この態様によれば、電子部品(2)の側面(22)と対向する位置に読取り装置(4)を配置することで、識別部(21)を光学式の読取り装置(4)で容易に読取ることができる、という利点がある。
【0082】
第3の態様に係る電子部品セット(1、100)は、第1又は2の態様において、保持部材(3、30)は帯形状である。複数の電子部品(2)は保持部材(3、30)の長手方向に並んで配置されている。識別部(21)は長手方向と交わる方向から読取り可能な位置にある。
【0083】
この態様によれば、電子部品セット(1)又は光学式の読取り装置(4)の少なくとも一方を保持部材(3、30)の長手方向に沿って移動させることによって、複数の電子部品(2)の各々の識別部(21)を連続的又は間欠的に読取ることができる。したがって、電子部品(2)の情報読取りの作業効率の向上を図ることができる、という利点がある。
【0084】
第4の態様に係る電子部品セット(1)は、第1ないし3のいずれか一つの態様において、保持部材(3、30)が、複数の電子部品(2)を包装する包装材(3)であり、包装材(3)は、包装材(3)の識別部(21)に対応する位置に、光透過性を有する窓部(31)を有する。
【0085】
この態様によれば、窓部(31)を透して識別部(21)を光学式の読取り装置(4)で容易に読取ることができる、という利点がある。
【0086】
第5の態様に係る電子部品セット(1)は、第4の態様において、窓部(31)は平坦である。
【0087】
この態様によれば、窓部(31)で光の乱反射が起こりにくくなり、窓部(31)を透して識別部(21)を光学式の読取り装置(4)で読取りやすくなる、という利点がある。
【0088】
第6の態様に係る電子部品セット(1)は、第4又は5の態様において、包装材(3)は窓部(31)以外の箇所にリブ(32)を有する。
【0089】
この態様によれば、窓部(31)の光透過性を損なうことなく、リブ(32)で包装材(3)を補強することができ、識別部(21)の読取り性を低下させないようにして包装材(3)の強度を向上できる、という利点がある。
【0090】
第7の態様に係る電子部品セット(1、100)は、第1ないし6のいずれか一つの態様において、識別部(21)は、複数の電子部品(2)の各々を識別する識別情報を表す
【0091】
この態様によれば、識別部(21)を光学式の読取り装置(4)で読取ることにより、複数の電子部品(2)の各々を識別する識別情報を容易に得ることができる、という利点がある。
【0092】
第8の態様に係るコンデンサ(2a、2b)は、第1ないし7のいずれか一つの態様の電子部品セット(1、100)に、複数の電子部品(2)の1つとして含まれる
【0093】
この態様によれば、コンデンサ(2a、2b)を包装材(3)から取り出す作業を不要にすることが可能であり、コンデンサ(2a、2b)の情報読取りの作業効率の向上を図ることができる、という利点がある。
【0094】
第9の態様に係る電子部品セット(1、100)の製造方法は、第1ないし7のいずれか一つの態様の電子部品セット(1)の保持部材(3、30)に複数の電子部品(2)を保持させる工程を含む。
【0095】
この態様によれば、電子部品(2)の情報読取りの作業効率の向上を図ることができる電子部品セット(1、100)を製造することができる、という利点がある。
【0096】
第10の態様に係る電子部品の識別部の読取り方法は、第1ないし7のいずれか一つの態様の電子部品セット(1)から、複数の電子部品(2)が保持部材(3、30)に保持されている状態で識別部(21)を読取る。
【0097】
この態様によれば、電子部品(2)を包装材(3)から取り出さなくても、識別部(21)を光学式の読取り装置(4)で読取ることができ、電子部品(2)の情報読取りの作業効率の向上を図ることができる、という利点がある。
【0098】
第11の態様に係る電子部品の識別部の読取り装置(4)は、第1ないし7のいずれか一つの態様の電子部品セット(1、100)から、複数の電子部品(2)が保持部材(3、30)に保持されている状態で識別部(21)を読み取る読取り部(49)を備える。
【0099】
この態様によれば、電子部品(2)を保持部材(3、30)から取り出さなくても、識別部(21)を読取り部(49)で読取ることができ、電子部品(2)の情報読取りの作業効率の向上を図ることができる、という利点がある。
【0100】
第1ないし7の態様に係る構成は、電子部品セット(1、100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0101】
1、100 電子部品セット
2 電子部品
2a コンデンサ
2b コンデンサ
21 識別部
22 側面
3 包装材
30 粘着固定材
31 窓部
32 リブ
4 読取り装置
49 読取り部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8