IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

特許7442093照明制御装置、照明システム、端末装置、照明制御方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】照明制御装置、照明システム、端末装置、照明制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/155 20200101AFI20240226BHJP
   H05B 47/175 20200101ALI20240226BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20240226BHJP
【FI】
H05B47/155
H05B47/175
H05B47/105
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020135888
(22)【出願日】2020-08-11
(65)【公開番号】P2022032271
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 健太
(72)【発明者】
【氏名】石田 善彦
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-056723(JP,A)
【文献】国際公開第2020/085242(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/155
H05B 47/175
H05B 47/105
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源により全方位を照射可能な複数の照明装置のそれぞれの照明態様を制御する照明制御装置であって、
前記複数の照明装置が実際に配置された実空間及び配置位置に関する実空間情報を取得する取得部と、
表示画面に表示される前記実空間を模した仮想空間内の位置を示す座標データを含み、前記実空間情報に示される前記複数の照明装置のそれぞれの前記配置位置に応じて、前記仮想空間に仮想的に配置された複数の照明装置に関する大きさを相対的に調整した仮想空間情報を生成する処理部と、
前記仮想空間情報を出力する出力部とを備え
前記処理部は、前記実空間情報に示される前記実空間の大きさに対して実際に配置した前記複数の照明装置に関する大きさよりも、前記仮想空間情報に示される前記仮想空間の大きさに対して仮想的に配置された前記複数の照明装置に関する大きさを相対的に大きくするように調整する
照明制御装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記仮想空間情報に示される前記仮想空間に仮想的に配置された前記複数の照明装置に関するそれぞれの位置が重ならないように前記相対的な大きさを調整する
請求項1に記載の照明制御装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記仮想空間情報に示される前記仮想空間に仮想的に配置される前記複数の前記照明装置のうちの隣り合う2つの照明装置に関するそれぞれの位置が重ならないように、前記複数の前記照明装置に関する少なくとも一つの中心位置を調節する
請求項1又は2に記載の照明制御装置。
【請求項4】
前記仮想空間情報は、前記複数の照明装置のそれぞれから照射される光の輝度情報及び色情報を含む
請求項1~のいずれか1項に記載の照明制御装置。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の照明制御装置と、
前記複数の光源により全方位を照射可能な複数の照明装置とを備える
照明システム。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の照明制御装置と、
前記照明制御装置が調節した前記仮想空間情報を表示する表示画面と、
前記表示画面に表示される前記仮想空間情報に基づく照明態様の設定の入力を受け付ける入力部とを備える
端末装置。
【請求項7】
複数の光源により全方位を照射可能な複数の照明装置のそれぞれの照明態様を制御する照明制御方法であって、
前記複数の照明装置が実際に配置された実空間及び配置位置に関する実空間情報を取得し、
表示画面に表示される前記実空間を模した仮想空間内の位置を示す座標データを含む仮想空間情報を生成し、
前記仮想空間情報を出力し、
前記実空間情報に示される前記複数の照明装置のそれぞれの前記配置位置に応じて、前記仮想空間に仮想的に配置された複数の照明装置の相対的な大きさを調整した前記仮想空間情報を生成し、
前記実空間情報に示される前記実空間の大きさに対して実際に配置した前記複数の照明装置に関する大きさよりも、前記仮想空間情報に示される前記仮想空間の大きさに対して仮想的に配置された前記複数の照明装置に関する大きさを相対的に大きくするように調整することを含む
照明制御方法。
【請求項8】
請求項に記載の照明制御方法をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明制御装置、照明システム、端末装置、照明制御方法及び照明制御方法のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像して得られた広視野画像の一部範囲を表示手段に表示するように制御する表示制御手段と、入力手段に移動操作が入力された場合、広視野画像を回転させることにより、表示手段に表示される広視野画像の表示範囲を変更する制御を行う制御手段とを備える表示制御装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-174984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の表示制御装置では、表示画面に表示された仮想空間の照明態様を実空間の照明態様で再現することは困難である。
【0005】
そこで、本開示は、表示画面に表示された仮想空間の照明態様を実空間の照明態様で再現することができる照明制御装置、照明システム、端末装置、照明制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る照明制御装置は、複数の光源により全方位を照射可能な複数の照明装置のそれぞれの照明態様を制御する照明制御装置であって、前記複数の照明装置が実際に配置された実空間及び配置位置に関する実空間情報を取得する取得部と、表示画面に表示される前記実空間を模した仮想空間内の位置を示す座標データを含み、前記実空間情報に示される前記複数の照明装置のそれぞれの前記配置位置に応じて、前記仮想空間に仮想的に配置された複数の照明装置に関する大きさを相対的に調整した仮想空間情報を生成する処理部と、前記仮想空間情報を出力する出力部とを備え、前記処理部は、前記実空間情報に示される前記実空間の大きさに対して実際に配置した前記複数の照明装置に関する大きさよりも、前記仮想空間情報に示される前記仮想空間の大きさに対して仮想的に配置された前記複数の照明装置に関する大きさを相対的に大きくするように調整する。
【0007】
また、本開示の一態様に係る照明システムは、照明制御装置と、前記複数の光源により全方位を照射可能な複数の照明装置とを備える。
【0008】
また、本開示の一態様に係る端末装置は、照明制御装置と、前記照明制御装置が調節した前記仮想空間情報を表示する表示画面と、前記表示画面に表示される前記仮想空間情報に基づく照明態様の設定の入力を受け付ける入力部とを備える。
【0009】
また、本開示の一態様に係る照明制御方法は、複数の光源により全方位を照射可能な複数の照明装置のそれぞれの照明態様を制御する照明制御方法であって、前記複数の照明装置が実際に配置された実空間及び配置位置に関する実空間情報を取得し、表示画面に表示される前記実空間を模した仮想空間内の位置を示す座標データを含む仮想空間情報を生成し、前記仮想空間情報を出力し、前記実空間情報に示される前記複数の照明装置のそれぞれの前記配置位置に応じて、前記仮想空間に仮想的に配置された複数の照明装置の相対的な大きさを調整した前記仮想空間情報を生成し、前記実空間情報に示される前記実空間の大きさに対して実際に配置した前記複数の照明装置に関する大きさよりも、前記仮想空間情報に示される前記仮想空間の大きさに対して仮想的に配置された前記複数の照明装置に関する大きさを相対的に大きくするように調整することを含む。
【0010】
また、本開示の一態様に係るプログラムは、照明制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る照明制御装置等は、表示画面に表示された仮想空間の照明態様を実空間の照明態様で再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施の形態に係る照明システムを示す図である。
図2図2は、実施の形態に係る照明システムの動作を示すフローチャートである。
図3A図3Aは、実空間情報としての実空間、実空間に配置される複数の照明装置及びその照明態様を示す図である。
図3B図3Bは、仮想空間情報として表示画面に表示される仮想空間及び仮想空間内の複数の照明装置の照明態様を示す図である。
図4A図4Aは、実空間情報としての実空間、実空間に配置される複数の照明装置及び別の照明態様を示す図である。
図4B図4Bは、仮想空間情報として表示画面に表示される仮想空間及び仮想空間内の別の照明態様を示す図である。
図5A図5Aは、実空間情報としての実空間、実空間に配置される複数の照明装置及びさらに別の照明態様を示す図である。
図5B図5Bは、仮想空間情報として、仮想空間及び仮想空間内の複数の照明装置のさらに別の照明態様を示す図である。
図6A図6Aは、実空間情報としての実空間、実空間に配置される複数の照明装置及びさらに別の照明態様を示す図である。
図6B図6Bは、仮想空間情報として、仮想空間及び仮想空間内の複数の照明装置のさらに別の照明態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明をするに至った知見)
例えば、デザイナ等のユーザは、自身がイメージしている照明態様を、照明装置を用いて具現化するものである。この場合、ユーザは、自身のイメージを具現化する前段階として、従来の照明制御装置の表示画面に表示される仮想空間上に、自身がイメージした所望の照明態様を仮想空間情報として表現する。そして、ユーザは、表示画面に表示された仮想空間情報に基づいて、実空間に配置される複数の照明装置を用いて、自身がイメージした所望の照明態様を具現化する。
【0014】
しかしながら、自身がイメージした所望の照明態様を従来の表示制御装置に仮想空間情報として表示する場合、仮想空間情報は実空間を模した空間情報に基づくため、表示手段としての表示画面に表示される複数の照明装置は実空間の大きさに準ずることになり、表示画面に表示される複数の照明装置も小さくなる。
【0015】
このため、表示画面に表示された仮想空間にユーザの所望の照明態様を実空間の配置される複数の照明装置を用いて具現化する場合、実空間の照明態様が表示画面に表示された仮想空間の照明態様に比べて、ユーザに与える印象が弱くなってしまうことがある。つまり、ユーザは表示画面を介して照明装置の照明態様を変更したりするが、ユーザが所望する照明態様(又は仮想空間情報)が、実空間での照明態様と乖離することで、ユーザに与える印象が弱くなってしまうことがある。
【0016】
そこで、本開示は、表示画面に表示された仮想空間の照明態様を実空間の照明態様で再現することができる照明制御装置、照明システム、端末装置、照明制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【0017】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ、ステップの順序等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0018】
各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されてはいない。したがって、例えば、各図において縮尺等は必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0019】
また、以下の実施の形態において、略球状等の表現を用いている。例えば、略球状は、真球であることを意味するだけでなく、実質的に球状である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略球状は、本開示による効果を奏し得る範囲において球形という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
【0020】
以下の実施の形態に係る照明制御装置、照明システム、端末装置、照明制御方法及びプログラムについて説明する。
【0021】
(実施の形態)
<構成:照明システム1>
まず、本実施の形態に係る照明制御装置20a、照明システム1及び端末装置20の構成について説明する。
【0022】
図1は、実施の形態に係る照明システム1を示す図である。
【0023】
図1に示すように、照明システム1は、制御情報に応じて、点消灯、照明(照射)方向、輝度(明るさ)又は光色等といった照明装置2の複数の光源11の点灯態様を制御することで実空間に配置された照明装置2の照明態様を制御することができる。具体的には、この照明システム1では、端末装置20を用いて、端末装置20の表示部24の表示画面24aに表示される仮想空間であって、実空間を模した仮想空間と、実空間に配置された照明装置2を模した仮想空間に配置された照明装置2とに基づいて、仮想空間に配置された照明装置2の照明態様を設定する。これにより、照明システム1は、実空間の照明装置2の照明態様を決定し、決定された制御情報に基づいて照明装置2を制御する。
【0024】
なお、この照明システム1は、実空間の照明装置2の照明態様が設定された制御情報を、ネットワークを介して外部機器から取得することもでき、取得した制御情報に基づいて照明装置2を制御したり、制御情報に含まれる設定を変更することで、変更した制御情報に基づいて照明装置2を制御したりすることができる。外部機器は、照明システム1以外のシステム及び端末装置20である。
【0025】
照明システム1は、複数の照明装置2と、端末装置20とを備える。本実施の形態では、複数の照明装置2が例示されているが、それぞれの照明装置2は同様の構成であるため、特に言及しない場合は、1つの照明装置2について説明する。
【0026】
[照明装置2]
照明装置2は、例えば建物の室内の天井、床及び壁等に配置される。照明装置2の外形は、例えば、略球状、又は、略多面体状である。照明装置2は、複数の光源11を有する。複数の光源11は、照明装置2の全体にわたって配置される。このため、照明装置2は、複数の光源11により全方位を照射可能である。具体的には、照明装置2は、対応する方向を照明する複数の光源11により360°の全方位に光を照射(照明)する照明器具である。360°の全方位とは、照明装置2の中心から発光面2aの任意の点に向かう全ての方位のことであり、照明装置2の発光面2aを球面として極座標に見立てた場合、方位角(偏角)、及び、極角(天頂角)によって規定される任意の全ての方位である。これにより、照明装置2は、方位角(偏角)、及び、極角(天頂角)で規定した任意の方位に光をスポット的に照射することができる。本実施の形態では、照明装置2の発光面2aの一部からスポット的に光が照射される場合を主に例示して説明する。
【0027】
なお、本実施の形態では、照明装置2として、全方位に光を照射する照明器具を例示したが、これには限定されず、シーリングライト、ダウンライト等の照明器具であってもよい。
【0028】
照明装置2は、複数の光源11を選択的に発光させることで、照明装置2を中心として任意の方向に光を照射する。つまり、照明装置2から出射する光の照明方向は、任意である。例えば、照明装置2は、全ての光源11を同時に発光させることで360°の全方位に光を照射したり、複数の光源11のうちの一部の光源11を発光させることで一部の方向のみに光を照射したりする。つまり、照明装置2は、360°全方位ライトとして機能させるだけではなく、スポットライトとしても機能する。
【0029】
照明装置2は、スポットライトとして機能しており、照射される光が移動するように複数の光源11を選択的に発光させる。この場合、この照明装置2では、壁面での照射領域の形状が略円形となるように複数の光源11を選択的に発光させるが、これに限らない。例えば、照明装置2の照射領域の形状は、矩形状又は略楕円形等であってもよい。
【0030】
また、照明装置2は、調光制御機能及び調色制御機能を有する。具体的には、照明装置2は、照明装置2が出射する光について、輝度(明るさ)及び光色(色温度又はカラー)を変更する。本実施の形態において、照明装置2は、複数の光源11ごとに、光の輝度(明るさ)及び光色を変更する。
【0031】
また、本実施の形態における照明装置2は、壁面等の対象物に、ムラなくフルカラーで光を照射する。このため、各々の光源11としては、後述するように、RGBの3色光源を用いる。また、複数の光源11は、高い密度でムラなく均等に分散して配置される。これにより、照明装置2が照射する光を制御することによって、照明装置2が配置された空間の演出を行う。
【0032】
また、本実施の形態における照明装置2は、画像を表示するディスプレイとは異なり、壁面等を照らす必要があるため、光源11としては高い光出力が必要となる。このため、光源11の1個当たりの輝度は、液晶ディスプレイのバックライトで用いられるLED(Light Emitting Diode)光源、又は、LEDディスプレイに用いられるLED光源に比べて高くなる。
【0033】
照明装置2は、複数の光源11と、照明制御部12と、電源部13と、記憶部と、通信部14とを有する。
【0034】
複数の光源11の各々は、少なくとも1つの発光素子を有する発光モジュールである。本実施の形態において、各々の光源11は、複数の発光素子を有する。各々の光源11は、制御情報に基づく照明制御部12からの指示にしたがって発光する。
【0035】
複数の光源11は、照明装置2の全体にわたって配置される。つまり、複数の光源11は、照明装置2から全方位に光を照射可能に点在する。各々の光源11は、それぞれが対応する方向を照明する。各々の光源11が出射する光の方向は、それぞれ異なっていてもよい。複数の光源11の各々は、照明装置2の外方に向けて光を出射する。具体的には、各々の光源11の光軸は、複数の光源11を覆う球状の外装カバーの外面(発光面)の接線と直交する方向である。光軸は、各々の光源11が出射する主たる光に沿う直線である。
【0036】
また、各々の光源11は、2色以上の光を出射する。具体的には、各々の光源11は、RGBの3色光源であり、赤色光、青色光及び緑色光の3色の単色光を出射するとともに、これらの3色の単色光を調光することで得られるカラー光又は白色光を出射する。
【0037】
具体的には、各々の光源11は、LEDがパッケージ化された表面実装(SMD:Surface Mount Device)型のLED素子を有し、具体的には、容器(パッケージ)と、容器内に実装された複数のLEDチップと、複数のLEDチップを封止する封止部材とを有する。本実施の形態では、複数のLEDチップとして、赤色光を発する赤色LEDチップと、青色光を発する青色LEDチップと、緑色光を発する緑色LEDチップとが実装される。封止部材は、シリコーン樹脂等の透光性の絶縁性樹脂材料である。なお、封止部材には、シリカ等の光拡散材及びフィラー等が分散されていてもよい。
【0038】
照明制御部12は、照明装置2の各部の制御を行う制御回路である。照明制御部12は、例えば、プロセッサが記憶部に保持されたプログラムを実行することで、各種制御を行う。プロセッサは、MPU(Micro Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphical Processing Unit)、又は、SOC(System on a Chip)等によって構成される。
【0039】
照明制御部12は、複数の光源11を制御する。具体的には、照明制御部12は、照明制御装置20aから制御情報を取得(受信)し、取得した制御情報に応じた照明装置2の照明態様で光を照射するように、各々の光源11に含まれる所定の光源11が発する光の発光態様(照明態様)を制御する。つまり、照明制御部12は、照明装置2に含まれる全ての光源11が発する光の発光態様を個別に発光制御する。例えば、照明制御部12は、全ての光源11が出射する光について、点消灯(点灯、消灯)を制御したり、明るさを変えたり、光色を変えたりするように制御する。
【0040】
また、照明制御部12は、照明制御装置20aから受信した制御情報に応じて各々の光源11の発光態様を個別に制御する。
【0041】
ここで、制御情報には、発光させるべき光源11の識別子、光源11が発光する色、光源11が発光する期間等が含まれる。つまり、制御情報には、各々の光源11を所定の発光態様(光源11が発光する色、光源11が発光する期間等)で点灯させるための情報が含まれる。また、制御情報には、各々の光源11を所定の発光態様で点灯させる複数の発光ステップが含まれる。
【0042】
電源部13は、照明装置2の各部に電力を供給する機能を有する。電源部13は、例えば、プリント基板に複数の電子部品が実装された電源回路である。電源部13は、例えば、複数の光源11の各々を発光させるための駆動電力を生成する。具体的には、電源部13は、光源11を発光させるための駆動電力を生成し、この駆動電力を各々の光源11に供給する。つまり、電源部13は、商用の交流電力を直流電力に変換し、この直流電力によって光源11を発光させるための駆動電力として各々の光源11に供給して、光源11を発光させる。
【0043】
通信部14は、端末装置20との通信を行う機能を有する。具体的には、通信部14は、実空間の照明装置2の照明態様を制御するための制御情報を端末装置20から受信する。通信部14で受信した制御情報は、照明制御部12に出力される。通信部14による通信方式は、例えば、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、電力線通信、赤外線通信、近距離無線通信(例えばBluetooth(登録商標)通信)、又は、携帯電話用のモバイル通信等の通信方式である。
【0044】
記憶部には、照明制御部12が取得した制御情報等が定期的に保存される。記憶部は、例えば、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等の一次記憶装置を含む。また、記憶部は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の二次記憶装置、光ディスク及びSDカード等の三次記憶装置を含んでいてもよい。
【0045】
[端末装置20]
端末装置20は、照明装置2が配置された実空間を示す実空間情報を取得することで、実空間情報に対応する仮想空間情報を表示部24に表示する。ここで、実空間情報は、照明装置2が配置された実際の空間(実空間又は現実の空間)の大きさ及び形等を示す情報、実空間に配置される照明装置2の配置位置(後述する座標データ)、大きさ及び形等を示す情報を含む。実空間は、実際に存在する現実の空間であり、例えば施設の部屋、舞台等である。また、実空間情報には、実空間の照明装置2の照明態様の大きさ、位置、輝度、光色等を含んでいてもよい。また、仮想空間情報は、実空間情報に対応し、実空間情報に示される実空間を模した仮想的な空間である仮想空間を示す情報、仮想空間に配置される複数の照明装置2のそれぞれの位置を示す情報、複数の照明装置2のそれぞれから照射される光の輝度情報及び色情報(複数の照明装置2のそれぞれの調光及び調色といった照明態様)を含む。端末装置20は、このような実空間情報を取得すると、実空間情報に基づいて仮想空間情報を生成し、仮想空間情報を表示部24に表示する。なお、仮想空間情報は、仮想空間を示す情報、仮想空間における複数の照明装置2のそれぞれの位置を示す情報、仮想空間の照明装置2の照明態様の大きさを示す情報を含むだけでもよい。
【0046】
端末装置20は、実空間における複数の照明装置2のそれぞれの照明態様を制御する照明制御装置20aと、図示しない電源部とを備える。
【0047】
照明制御装置20aは、取得部21と、入力部22と、処理部23と、表示部24と、通信部26と、記憶部25とを備える。なお、照明制御装置20aは、入力部22、表示部24、通信部26及び記憶部25を有していなくてもよく、これらは必須の構成要件ではない。
【0048】
取得部21は、複数の照明装置2が実際に配置された実空間及び配置位置に関する実空間情報を取得する。つまり、実空間情報は、複数の照明装置2が実際に配置された実空間と、複数の照明装置2が実際に配置された位置である配置位置とに関する情報である。取得部21は、ユーザから端末装置20への操作に応じた入力によって実空間情報を取得する。また、取得部21は、例えば、撮像装置、センサ等であり、実空間及び実空間に配置される複数の照明装置2を撮像又はセンシング等をすることで、撮像された画像データ又はセンシングされたセンサ値等である実空間情報を取得してもよい。なお、取得部21は、実空間の照明装置2の照明態様も含めて、操作に応じた入力、撮像又はセンシングすることで実空間情報を取得してもよい。取得部21は、取得した実空間情報を処理部23に出力する。なお、取得部21は、後述する入力部22への操作に応じて入力された情報を実空間情報等として取得してもよい。
【0049】
入力部22は、ユーザから端末装置20への操作に応じた入力を受け付ける操作部である。入力部22は、例えば、キーボード等の文字情報入力デバイス、マウス及びタッチパネル等のポインティングデバイス、ボタン、タッチセンサ、タッチパッド等である。入力部22は、操作によって入力された指示を処理部23に出力する。具体的には、入力部22は、仮想空間における複数の照明装置2の照明態様を変更するための指示が入力されると、入力された指示を処理部23に出力する。つまり、ユーザは、入力部22を介して、表示画面24aに表示される仮想空間情報に基づく複数の照明装置2の照明態様の設定を指示することで、表示部24の表示画面24aに表示される仮想空間情報における複数の照明装置2を設定する。
【0050】
処理部23は、表示画面24aに表示される実空間を模した仮想空間を含む仮想空間情報を生成する。つまり、処理部23は、取得部21から実空間情報を取得すると、実空間情報に示される実空間、及び、実空間に配置される複数の照明装置2の配置位置を示す座標データ等に基づいて、仮想空間情報を生成する。具体的には、処理部23は、取得した実空間情報に示される実空間の画像データ又はセンサ値等に基づいて、仮想空間を生成する。仮想空間は、実空間と実質的に同一の空間であるかのように表現されるが、仮想的な二次元平面又は三次元空間で表現される。処理部23は、実空間情報を変換して仮想空間情報を生成する場合、符号化処理、圧縮処理、デコード処理、拡大・縮小処理(リサイズ)、ノイズ低減処理、色変換処理等の画像処理を行う。また、処理部23は、仮想空間の照明態様の中から、仮想空間上に配置した複数の照明装置2のそれぞれの位置に基づいて、実空間の照明装置2に送信する制御情報を生成する。処理部23は、生成した制御情報を、通信部26を介して照明装置2に送信する。
【0051】
また、処理部23は、実空間情報に示される複数の照明装置2のそれぞれの配置位置に応じて、仮想空間に仮想的に配置された複数の照明装置2に関する相対的な大きさを調整した仮想空間情報を生成する。つまり、処理部23は、実空間の大きさ、実空間に配置される複数の照明装置2のそれぞれの大きさ及び位置と、実空間における複数の照明装置2のそれぞれの照明態様の大きさ、位置、輝度、光色等とに応じて、仮想空間内に配置される複数の照明装置2に関するそれぞれの大きさ及び位置等を変更して調節する。このため、仮想空間情報における仮想空間の大きさに対する照明装置2に関する大きさ(第1相対的な大きさ)は、実空間情報の実空間における照明装置2に関する大きさ(第2相対的な大きさ)と異なる。ここで、仮想空間での照明装置2に関する大きさは、表示画面24aで見た場合の平面的な大きさであり、表示画面24aに表示される平面的な面積である。本実施の形態では、処理部23は、実空間情報の配置複数の照明装置2における第1相対的な大きさよりも、仮想空間上の複数の照明装置2における第2相対的な大きさを、相対的に大きくするように調整する。処理部23が生成した仮想空間情報を表示部24に出力することで、表示部24の表示画面24aには、仮想空間内で複数の照明装置2のそれぞれが誇張されたかのように、存在が主張された状態で表示される。
【0052】
また、処理部23は、複数の照明装置2に関するそれぞれの位置が重ならないように相対的な大きさを調整することもある。つまり、処理部23は、仮想空間内に配置された複数の照明装置2に関するそれぞれの大きさを大きくするように調節する場合、表示部24の表示画面24aに表示される複数の照明装置2に関するそれぞれの位置が重ならない程度の大きさに調節する。この複数の照明装置2に関するそれぞれの位置及び大きさは、仮想空間における複数の照明装置2のそれぞれの位置及び大きさと、仮想空間における複数の照明装置2のそれぞれの照明態様の位置及び大きさとを含む。このため、複数の照明装置2に関するそれぞれの位置が重なる場合は、隣接する照明装置2が重なる場合、仮想空間内で隣接する照明装置2の照明態様が重なる場合、所定の照明装置2が表示画面24aに表示された仮想空間における上下方向及び左右方向に移動したときに他の照明装置2又は照明装置2の照明態様と重なる場合、仮想空間において、所定の照明装置2の照明態様が表示画面24aにおける上下方向及び左右方向に移動したときに他の照明装置2又は照明装置2の照明態様と重なる場合である。処理部23は生成した仮想空間情報を表示部24に出力することで、表示部24の表示画面24aには、照明装置2に関する位置が重なっていない複数の照明装置2が表示される。
【0053】
さらに、処理部23は、仮想空間に配置される複数の照明装置2のうちの隣り合う2つの照明装置2に関するそれぞれの位置が重ならないように、仮想空間における複数の照明装置2及び複数の照明態様のうちの少なくとも一つの中心位置を調節することもある。つまり、処理部23は、仮想空間内に配置された複数の照明装置2に関するそれぞれの大きさを単に大きくするだけでなく、大きくした後に複数の照明装置2に関するそれぞれの位置が重なる場合、重なる照明装置2に関する中心位置を移動させることで、移動させた照明装置2に関する位置を調節する。照明装置2に関する中心位置とは、主に照明装置2の照明態様の中心の意味であるが、照明装置2の中心の意味を含んでいてもよい。表示部24の表示画面24aは二次元座標で表現されるため、処理部23は、二次元座標における重なる照明装置2に関する中心位置を移動させる。処理部23は、例えば、重なる複数の照明装置2において、少なくとも一つの照明装置2に関する中心位置を移動させればよい。処理部23が調節して生成した仮想空間情報を表示部24に出力することで、表示部24の表示画面24aには、配置位置が重なっていない、仮想空間における複数の照明装置2及び照明態様が表示される。
【0054】
表示部24は、仮想空間情報を表示する表示画面24aを有する。表示部24は、処理部23が生成した仮想空間情報を表示画面24aに表示する。表示部24は、入力部22及び表示画面24aとしての機能を有するタッチパネルで構成される。タッチパネルには、ユーザによるタッチ操作に適したGUI(Graphical User Interface)画面が表示される。なお、ユーザインタフェースは、タッチパネルに限らず、表示画面24a及び入力部22を個々に有したものであってもよい。表示画面24aは、液晶表示デバイス又は有機ELデバイス等の表示デバイスである。表示部24は、出力部の一例である。なお、表示部24は、照明制御装置20aの構成に含まれていなくてもよい。この場合、照明制御装置20aの出力インターフェイスが出力部の一例となる。
【0055】
通信部26は、端末装置20との通信を行う機能を有する。具体的には、通信部26は、処理部23から実空間の照明装置2の照明態様を制御するための制御情報を取得すると、取得した制御情報を照明装置2に送信する。通信部26による通信方式は、例えば、WAN、LAN、電力線通信、赤外線通信、近距離無線通信(例えばBluetooth(登録商標)通信)、又は、携帯電話用のモバイル通信等の通信方式である。
【0056】
記憶部25は、処理部23によって生成された仮想空間情報及び制御情報等が定期的に保存される。記憶部25は、入力部22に入力される操作に応じて、仮想空間情報を表示部24に出力したり、制御情報を出力したりする。記憶部25は、例えば、RAM及びROM等の一次記憶装置を含む。また、記憶部25は、HDD及びSSD等の二次記憶装置、光ディスク及びSDカード等の三次記憶装置を含んでいてもよい。
【0057】
電源部は、端末装置20の各部に電力を供給する機能を有する。電源部は、各部を駆動させるための駆動電力を生成する電源回路と、各動作に必要な電力を供給する電池とを有する。
【0058】
<動作>
次に、照明制御装置20a、照明システム1、端末装置20、照明制御方法及びプログラムの動作について説明する。
【0059】
[動作例1]
図2は、実施の形態に係る照明システム1の動作を示すフローチャートである。図3Aは、実空間情報としての実空間、実空間における複数の照明装置2及びその照明態様(破線で示す)を示す図である。図3Bは、仮想空間情報として表示画面24aに表示される仮想空間及び仮想空間内における複数の照明装置2の照明態様を示す図である。照明態様は、破線の円で示している。以降の図においても同様である。
【0060】
図2に示されるように、ユーザが端末装置20を操作して、実空間としての施設の部屋及び施設の部屋に配置される複数の照明装置2を撮像又はセンシング等をすることで、取得部21は、施設の部屋等の実空間、及び、実空間に配置されている複数の照明装置2を示す実空間情報を取得する(S11)。また、取得部21は、実空間の照明装置2の照明態様を実空間情報として取得してもよい。図3Aでは、複数の照明装置2から照射された光(照明)を白色で示し、複数の照明装置2のそれぞれから光が照射されていない箇所をドットのハッチングで示す。部屋の壁においては、複数の照明装置2のそれぞれが照明した状態を白色で示し、複数の照明装置2のそれぞれによって照明されていない箇所をドットのハッチングで示す。また、以降の図においても同様である。
【0061】
処理部23は、取得部21から実空間情報を取得すると、実空間情報に示される実空間及び実空間に配置される複数の照明装置2の位置(画像データ又はセンサ値等)等を模した仮想空間、仮想空間における複数の照明装置2及びその照明態様2aを示す仮想空間情報を生成する(S12)。処理部23は、実空間情報に示される複数の照明装置2のそれぞれの配置位置に応じて、仮想空間における複数の照明装置2に関するそれぞれの大きさを調節(拡大・縮小)することで、仮想空間情報を生成する。図3A及び図3Bで示すように、処理部23は、図3Aの部屋の大きさに対して部屋に実際に配置した複数の照明装置2に関するそれぞれの大きさ(第1相対的な大きさ)よりも、図3Bの表示部24の表示画面24aに表示される仮想空間の大きさに対して仮想空間内の複数の照明装置2に関するそれぞれの大きさ(第2相対的な大きさ)を、相対的に大きくするように調整する。なぜならば、表示画面24aに表示される仮想空間の照明態様の大きさに対して仮想空間上に配置した複数の照明装置2に関するそれぞれの大きさを相対的に大きくしないと、ユーザが所望する照明態様としての制御情報を実空間の照明装置2で十分に表現できなくなる。つまり、実空間における複数の照明装置2に送信する照明態様に応じた制御情報が不十分となり、ユーザが所望する照明態様を十分に具現化することができなくなる恐れがある。このため、図3Bの破線で示すように、処理部23は、表示画面24aに単に縮小して表示された照明態様2bよりも仮想空間内の照明装置2の照明態様2aの相対的な大きさを大きくするように調整する。図3Bの二点鎖線で示す照明態様2bは、部屋に配置された照明装置2の照明態様の大きさを表示画面24aの大きさに合わせて縮小した場合である。
【0062】
また、照明態様の大きさは、例えば、表示画面24aの幅方向(縦又は横)に対して照明装置2の台数分で略均等に分割したときの最大の大きさとなることが好ましい。本実施の形態では、3台の照明装置2が例示されているため、表示画面24aの横幅を3等分した長さが照明態様の直径とすることで、照明態様の大きさを規定する。処理部23は、照明装置2の照明態様2aの大きさを、均等縮小された仮想空間内の照明装置2の大きさよりも最大で40倍程度まで大きくするが、好ましくは5倍から40倍までの範囲で拡大する。このため、表示部24の表示画面24aは、実空間及び実空間の複数の照明装置2を単にリサイズして表示しているのではない。処理部23は、図3Bに示すように、生成した仮想空間情報を表示部24に出力する。
【0063】
処理部23が生成した仮想空間情報を端末装置20の表示部24に出力することで(S13)、端末装置20の表示部24の表示画面24aには、仮想空間情報に示される仮想空間、仮想空間内における複数の照明装置2及び複数の照明装置2の照明態様が表示される。表示部24の表示画面24aには、図3Aの実空間及び実空間に配置された複数の照明装置2を模擬した、仮想空間及び仮想空間内に配置された複数の照明装置2を含む仮想空間情報として表示される。また、この表示画面24aでは、複数の照明装置2の照明態様も表現される。図3Bの表示画面24aでは、部屋の奥壁及び奥壁を照明している照明態様が表示された例を示しているが、これには限定されない。例えば、表示画面24aには、部屋の左右の横壁、天井、床を照明した照明態様が表示されてもよい。
【0064】
ユーザは、端末装置20の入力部22を操作することで、表示画面24aに表示された仮想空間情報に基づいて複数の照明装置2のそれぞれの照明態様を設定する。これによって、端末装置20の処理部23は、設定された照明態様に応じた制御情報を生成する。制御情報が生成されると、ユーザは、端末装置20の入力部22を操作することで、通信部26を介して生成した制御情報を複数の照明装置2のそれぞれに送信する。
【0065】
複数の照明装置2のそれぞれは、端末装置20から送信された制御情報を取得する(S14)。具体的には、複数の照明装置2のそれぞれが制御情報を受信すると、照明制御部12が受信した制御情報に応じた発光態様で点灯するように、各々の光源11に含まれる光源11が発する光の発光態様を制御する。つまり、複数の照明装置2のそれぞれは、制御情報に応じて部屋を照明する(S15)。これにより、部屋は、端末装置20で設定された制御情報に応じて照明される。そして、照明システム1では、処理を終了する。
【0066】
ここで、仮想空間内の複数の照明装置2に関する相対的な大きさを大きくすると、ある特定の演出時では、実空間に配置される複数の照明装置2によって、ユーザの意図しない演出がされ、別の違和感が生じてしまう場合がある。例えば、図3A及び図3Bではユーザの意図した演出がされ、違和感が生じ難くなっているが、図3A及び図3Bと別の演出の図4A及び図4Bでは、ユーザの意図しない演出がされ、実空間における複数の照明装置2の照明態様に違和感が生じてしまう場合がある。
【0067】
図4Aは、実空間情報としての実空間、実空間に配置される複数の照明装置2及び別の照明態様を示す図である。図4Bは、仮想空間情報として表示画面24aに表示される仮想空間及び仮想空間内の別の照明態様2aを示す図である。
【0068】
図4A及び図4Bでも、図3A及び図3Bと同様に仮想空間内の複数の照明装置2に関する相対的な大きさを大きくしている。図4Aにおける実空間情報を仮想空間情報として表示画面24aに表示した場合、例えば、図4Bの表示画面24aで示すように、複数の照明装置2の照明態様2aが表示画面24aの左右方向において重なっている。
【0069】
具体的には、図4Aに示すように、端末装置20の表示画面24aには、仮想空間内の複数の照明装置2が発した光が、表示画面24aの一辺から一辺と反対側の他辺まで延びるように設定した仮想空間情報が表示される。部屋に配置された複数の照明装置2は、この仮想空間情報の照明態様を実空間で実現するために、仮想空間情報に基づいて設定された制御情報に基づいて照明する。この場合、部屋に配置された複数の照明装置2が照明しても、図4Bに示すように、実際に照明された位置がズレてしまい、表示画面24aに表示された仮想空間情報と乖離する場合がある。
【0070】
このように、図3A及び図3Bで示す実空間の照明態様及び仮想空間の照明態様のように左右方向に対して傾斜した斜め方向の線で構成されている場合では、実空間に配置される複数の照明装置2の照明態様に違和感が生じ難いが、図4A及び図4Bで示す実空間の照明態様及び仮想空間の照明態様のように左右方向と略平行な線で構成されている場合では、実空間における複数の照明装置2の照明態様に違和感が生じてしまうことがある。
【0071】
[動作例2]
本動作例では、図5A及び図5Bを用いて説明する。図5Aは、実空間情報としての実空間、実空間に配置される複数の照明装置2及びさらに別の照明態様を示す図である。図5Bは、仮想空間情報として、仮想空間及び仮想空間内のさらに別の複数の照明装置2の照明態様2aを示す図である。図5A及び図5Bでは、左側から右側に向かって次第に色が変化している照明態様(例えば虹色状の照明態様)を例示している。図5Bでは、表示画面24aの左端側から赤色、黄色、緑色、青色及び右端の紫色までの色の変化をドットのハッチングで例示している。
【0072】
本動作例では、図5A及び図5Bに示すように、処理部23は、複数の照明装置2に関するそれぞれの位置が重ならないように相対的な大きさを調整する。具体的には、処理部23は、仮想空間における複数の照明装置2の照明態様2aが重ならないように相対的な大きさを調整する。処理部23は、左右方向及び上下方向の格子状に配置した二点鎖線で示すように、表示画面24aに表示される仮想空間における複数の照明装置2の照明態様2aにおいて、隣接する照明装置2の照明態様2aが上下方向及び左右方向において重ならないように調節した仮想空間情報を生成する。これにより、処理部23は、隣接する照明装置2の照明態様2aが上下方向及び左右方向において重ならないように、表示画面24aに表示させる。このとき処理部23は、照明装置2の照明態様2aが上下方向及び左右方向において重ならない大きさで最大の大きさとなるように、照明装置2の照明態様2aの大きさを調節する。なお、処理部23は、照明装置2の大きさを調節してもよい。
【0073】
本動作例では、図4A及び図4Bのような違和感は生じていない。しかし、本動作例において、ある特定の演出時では、実空間に配置される複数の照明装置2によって、ユーザの意図しない演出がされ、さらに別の違和感が生じてしまう場合がある。例えば、図4A及び図4Bのような違和感が生じ難くなっているが、図5Aでは表示画面24aの左端側から黄色、緑色及び右端の青色までの変化しか、実空間における複数の照明装置2の照明態様に具現化されていない。つまり、図5A及び図5Bに示すように、表示画面24aに表示されている虹色状の照明態様が具現化されていない。このように、ユーザの意図しない演出がされているため、実空間における複数の照明装置2の照明態様にさらに別の違和感が生じてしまう場合がある。
【0074】
[動作例3]
本動作例では、図6A及び図6Bを用いて説明する。図6Aは、実空間情報としての実空間、実空間における複数の照明装置2及びさらに別の照明態様を示す図である。図6Bは、仮想空間情報として、仮想空間及び仮想空間内の複数の照明装置2のさらに別の照明態様を示す図である。
【0075】
本動作例では、図6A及び図6Bに示すように、処理部23は、仮想空間に配置される複数の照明装置2のうちの隣接する照明装置2に関するそれぞれの位置が重ならないように、複数の照明装置2に関するそれぞれの中心位置を調節する。具体的には、処理部23は、仮想空間において、複数の照明装置2のうちの隣接する照明装置2の照明態様2aのそれぞれの位置が重ならないように、複数の照明装置2の照明態様2aのそれぞれの中心位置を調節する。処理部23は、左右方向及び上下方向の二点鎖線で示すように、表示画面24aに表示される仮想空間内の照明装置2の照明態様2aにおいて、隣接する照明装置2の照明態様2aが上下方向及び左右方向において重ならないように、複数の照明装置2の照明態様2aうちの少なくとも一つの照明装置2の照明態様2aの中心位置を調節した仮想空間情報を生成する。これにより、処理部23は、隣接する照明装置2の照明態様2aが上下方向及び左右方向において重ならないように移動させた照明装置2の照明態様2aを表示画面24aに表示させる。このとき処理部23は、仮想空間において、照明装置2の照明態様2aが上下方向及び左右方向において重ならない大きさで最大の大きさとなるように、照明装置2及び照明装置2の照明態様2aの大きさを調節する。なお、処理部23は、照明装置2の大きさを調節してもよい。
【0076】
本動作例では、図5A及び図5Bのような違和感は生じていない。しかし、本動作例において、ある特定の演出時では、実空間に配置される複数の照明装置2によって、ユーザの意図しない演出がされ、さらに別の違和感が生じてしまう場合がある。例えば、図5A及び図5Bのような違和感が生じ難くなっているが、例えば図6Aの部屋の奥壁に照射された下方側の光L1の左右方向(又は水平方向)に対する角度は、図6Bの表示画面24aに表示された下方側の光L2の左右方向に対する角度よりも小さくなっている。仮想空間に配置される複数の照明装置2に関するそれぞれの中心位置を調節したことで、実空間における複数の照明装置2の照明態様において、図4Bに対する図4Aの違和感、図5Bに対する図5Aの違和感が生じ難くなる。しかし、図6A及び図6Bに示すように、アスペクト比のズレによる違和感が生じてしまう場合があり、ユーザの意図しない演出がされているため、実空間における複数の照明装置2の照明態様にさらに別の違和感が生じてしまう場合がある。
【0077】
これら動作例1~3において、ある特定の演出時において、ユーザが実際のイメージとの乖離、つまり照明態様2aの重なりによって違和感が生じてしまうことがある。また、ある特定の演出時において、表示画面24aにおけるアスペクト比が変化するため、表示画面24aに表示された仮想空間の照明態様が、実空間の照明態様では歪んで見えてしまう場合がある。しかし、動作例1~3を適宜組み合わせることで、ある特定の演出時において、ユーザが実際のイメージとの乖離、つまり照明態様2aの重なりによって違和感が生じても、照明制御装置20aが照明装置2の照明態様2aの大きさを調節して表示画面24aに表示するため、ユーザの違和感を抑制することが期待される。
【0078】
なお、仮想空間における複数の照明装置2の照明態様2aが表示画面24aの上下方向又は左右方向において、約30%未満の重なりが許容されてもよい。
【0079】
<作用効果>
次に、本実施の形態に係る照明制御装置20a、照明システム1、端末装置20、照明制御方法及びプログラムの作用効果について説明する。
【0080】
上述したように、本実施の形態に係る照明制御装置20aは、複数の光源11により全方位を照射可能な複数の照明装置2のそれぞれの照明態様を制御する照明制御装置20aであって、複数の照明装置2が実際に配置された実空間及び配置位置に関する実空間情報を取得する取得部21と、表示画面24aに表示される実空間を模した仮想空間内の位置を示す座標データを含み、実空間情報に示される複数の照明装置2のそれぞれの配置位置に応じて、仮想空間に仮想的に配置された複数の照明装置2に関する大きさを相対的に調整した仮想空間情報を生成する処理部23と、仮想空間情報を出力する表示部24とを備える。
【0081】
これによれば、表示画面24aには、実空間の大きさに対して実空間に配置される複数の照明装置2に関する大きさが相対的に調節されて、仮想空間内に表示される。このため、照明制御装置20aは、仮想空間の照明装置2の照明態様について、ユーザに対して印象的な表示をすることができる。また、照明制御装置20aは、仮想空間に配置される複数の照明装置2に関するそれぞれの大きさが調節されても、調節された仮想空間情報を出力することで、表示画面24aに表示される複数の照明装置2の照明態様を、実空間に配置された複数の照明装置2を用いて再現することができる。
【0082】
したがって、照明制御装置20aは、表示画面24aに表示された仮想空間の照明態様を実空間の照明態様で再現することができる。
【0083】
また、本実施の形態に係る照明システム1は、照明制御装置20aと、複数の光源11により全方位を照射可能な複数の照明装置2とを備える。
【0084】
この照明システム1においても上述と同様の作用効果を奏する。
【0085】
また、本実施の形態に係る端末装置20は、照明制御装置20aと、照明制御装置20aが調節した仮想空間情報を表示する表示画面24aと、表示画面24aに表示される仮想空間情報に基づく照明態様の設定の入力を受け付ける入力部22とを備える。
【0086】
この端末装置20においても上述と同様の作用効果を奏する。
【0087】
また、本実施の形態に係る照明制御方法は、複数の光源11により全方位を照射可能な複数の照明装置2のそれぞれの照明態様を制御する照明制御方法であって、複数の照明装置2が実際に配置され実空間及び配置位置に関する実空間情報を取得し、表示画面24aに表示される実空間を模した仮想空間内の位置を示す座標データを含む仮想空間情報を生成し、仮想空間情報を出力し、実空間情報に示される複数の照明装置2のそれぞれの配置位置に応じて、仮想空間に仮想的に配置された複数の照明装置2の相対的な大きさを調整した仮想空間情報を生成することを含む。
【0088】
この照明制御方法においても上述と同様の作用効果を奏する。
【0089】
また、本実施の形態に係るプログラムは、照明制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0090】
このプログラムにおいても上述と同様の作用効果を奏する。
【0091】
また、本実施の形態に係る照明制御装置20aにおいて、処理部23は、実空間情報に示される実空間の大きさに対して実際に配置した複数の照明装置2に関する大きさよりも、仮想空間情報に示される仮想空間の大きさに対して仮想的に配置された複数の照明装置2に関する大きさを相対的に大きくするように調整する。
【0092】
これによれば、表示画面24aでは、実空間の大きさに対して実空間に配置される複数の照明装置2に関するそれぞれの大きさが大きくされて仮想空間内に表示される。つまり、照明制御装置20aは、例えば仮想空間において複数の照明装置2及び複数の照明装置2のそれぞれの照明態様を誇張して表示画面24aに表示させるため、ユーザに対して印象的な表示をすることができる。このため、ユーザは、実空間に配置される複数の照明装置2が照明した状態を容易にイメージすることができる。
【0093】
また、ユーザが仮想空間における複数の照明装置2の照明態様を設定する際に、複数の照明装置2に関するそれぞれの大きさが誇張されて表示画面24aに表示されるこことなるため、ユーザは、仮想空間における複数の照明装置2のそれぞれの照明態様を設定し易くなる。
【0094】
また、本実施の形態に係る照明制御装置20aにおいて、処理部23は、仮想空間情報に示される仮想空間に仮想的に配置された複数の照明装置2に関するそれぞれの位置が重ならないように相対的な大きさを調整する。
【0095】
これによれば、複数の照明装置2に関するそれぞれの位置が重ならない程度に、複数の照明装置2に関するそれぞれの大きさを調節することができる。このため、複数の照明装置2に関するそれぞれの大きさを調節することで、表示画面24aに表示される仮想空間内の複数の照明装置2の設定を適切行うことができる。このため、ユーザは、表示画面24aに表示された仮想空間内の照明装置2及び照明装置2の照明態様に違和感が生じ難くなる。
【0096】
また、本実施の形態に係る照明制御装置20aにおいて、処理部23は、仮想空間情報に示される仮想空間に仮想的に配置される複数の照明装置2のうちの隣り合う2つの照明装置2に関するそれぞれの位置が重ならないように、複数の照明装置2に関する少なくとも一つの中心位置を調節する。
【0097】
これによれば、複数の照明装置2に関するそれぞれの位置が重ならない程度に、複数の照明装置2に関するそれぞれの中心位置を調節ことができる。仮想空間における、複数の照明装置2に関するそれぞれの位置を調節することで、表示画面24aに表示される仮想空間内の複数の照明装置2に関するそれぞれの位置を適切に配置することができる。このため、ユーザは、表示画面24aに表示された仮想空間内の照明装置2及び照明装置2の照明態様に違和感が生じ難くなる。
【0098】
また、本実施の形態に係る照明制御装置20aにおいて、仮想空間情報は、複数の照明装置2のそれぞれから照射される光の輝度情報及び色情報を含む。
【0099】
これによれば、複数の照明装置2のそれぞれの調光及び調色を設定することができるため、ユーザは、設定した仮想空間情報に基づいて、実空間に配置された複数の照明装置2を用いて演出照明を行うことができる。
【0100】
(その他の変形例)
以上、本開示に係る照明制御装置、照明システム、端末装置、照明制御方法及びプログラムについて、上記各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態に施したものも、本開示の範囲に含まれてもよい。
【0101】
例えば、上記実施の形態に係る照明制御装置、照明システム、端末装置、照明制御方法及びプログラムに含まれる各部は典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0102】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0103】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記憶媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0104】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態は例示された数字に制限されない。
【0105】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0106】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0107】
なお、上記の各実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0108】
1 照明システム
2 照明装置
11 光源
20 端末装置
20a 照明制御装置
21 取得部
23 処理部
24 表示部(出力部)
24a 表示画面
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B