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特許7442123繊維強化複合材料サンドイッチコア及び繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】繊維強化複合材料サンドイッチコア及び繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法
(51)【国際特許分類】
   D06M 17/00 20060101AFI20240226BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20240226BHJP
   B29C 65/48 20060101ALI20240226BHJP
   D04B 1/14 20060101ALI20240226BHJP
   D06M 17/04 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
D06M17/00 H
B29C70/06
B29C65/48
D04B1/14
D06M17/04
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019202555
(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公開番号】P2021075811
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】591045703
【氏名又は名称】利昌工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】506209422
【氏名又は名称】地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】豊川 安枝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 俊也
(72)【発明者】
【氏名】唐木 由佑
(72)【発明者】
【氏名】窪寺 健吾
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-060171(JP,A)
【文献】特開昭51-007076(JP,A)
【文献】国際公開第2000/018566(WO,A1)
【文献】特開2000-263668(JP,A)
【文献】特開平05-214652(JP,A)
【文献】特開平07-237272(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0194943(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M10/00-23/18
B32B 1/00-43/00
D04B 1/00-1/28
21/00-21/20
B29C41/00-41/36
41/46-41/52
70/00-70/88
B29C63/00-63/48
65/00-65/82
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシート、または、菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシートからなる繊維強化複合材料サンドイッチコアであって、
前記立体形状のシートは、よこ編みの編地からなる基材に熱硬化性樹脂が含浸されたプリプレグから形成されており、
前記基材は、ゴム編み、畦編み、パール編み、平編み、袋編み、両面編、ミラノリブ、鹿の子編みのいずれかの編地であることを特徴とし、
前記立体形状のシートは、隣接する複数の前記凸部によって凹部が形成されており、
2枚の前記立体形状のシートは、一方の前記立体形状のシートの凸部が、他方の前記立体形状のシートの凹部に篏合され、他方の前記立体形状のシートの凸部が、一方の前記立体形状のシートの凹部に篏合されて、互いに接着されて固定されていることを特徴とする繊維強化複合材料サンドイッチコア。
【請求項2】
前記立体形状のシートは、熱硬化性樹脂の含浸率が40~70%のプリプレグで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料サンドイッチコア。
【請求項3】
前記立体形状のシートは、熱硬化性樹脂の含浸率が50~65%のプリプレグで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料サンドイッチコア。
【請求項4】
圧縮強度が1MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料サンドイッチコア。
【請求項5】
前記基材の編地は、ウェール数が8~50目/2.54cm、コース数が12~80目/2.54cmであることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料サンドイッチコア。
【請求項6】
前記編地は、ガラス繊維の糸で形成されていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料サンドイッチコア。
【請求項7】
前記熱硬化性樹脂に難燃剤が含有されていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料サンドイッチコア。
【請求項8】
基材がゴム編み、畦編み、パール編み、平編み、袋編み、両面編、ミラノリブ、鹿の子編みのいずれかである編地に、熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグを形成するステップと、
切頂八面体または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置され、隣接する前記複数の凸部の間に凹部が形成された面を逆さにした面形状を有する第1の金型と、前記第1の金型と対になる第2の金型の間に前記プリプレグを配置するステップと、
前記第1の金型と前記第2の金型で前記プリプレグを挟んで加熱加圧成型し、切頂八面体または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置され、隣接する前記複数の凸部によって凹部が形成されている立体形状のシートを形成するステップと、
前記立体形状のシートを2枚形成し、一方の前記立体形状のシートの凸部を、他方の前記立体形状のシートの凹部に嵌合させ、他方の前記立体形状のシートの凸部を、一方の前記立体形状のシートの凹部に篏合させて、接着剤によって2枚の前記立体形状のシートを互いに接着するステップ
を有することを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法。
【請求項9】
前記立体形状のシートを形成するステップにおいて、前記第1の金型と前記第2の金型との間に前記プリプレグを配置する際に、前記プリプレグを前記第1の金型の窪みに押し込む予備工程を行い、その後、前記第1の金型と前記第2の金型とによって前記プリプレグの加熱加圧成型を行うことを特徴とする請求項に記載の繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法。
【請求項10】
基材がゴム編み、畦編み、パール編み、平編み、袋編み、両面編、ミラノリブ、鹿の子編みのいずれかの編地である編地で編み組織を形成する際に、切頂八面体または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置され、隣接する複数の前記凸部によって凹部が形成された立体形状の編地を形成するステップ
前記立体形状の編地に熱硬化性樹脂を含浸させて立体形状のプリプレグを形成するステップ
前記立体形状のプリプレグを逆さにした面形状を有する第1の金型と、前記第1の金型と対となる第2の金型との間に前記立体形状のプリプレグを凹凸が嵌合するように配置し、前記第1の金型と前記第2の金型で前記立体形状のプリプレグを挟んで加熱加圧成型し、切頂八面体または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置され、隣接する前記凸部によって凹部が形成されている立体形状のシートを形成するステップと、
前記立体形状のシートを2枚形成し、一方の前記立体形状のシートの凸部を、他方の前記立体形状のシートの凹部に嵌合させ、他方の前記立体形状のシートの凸部を、一方の前記立体形状のシートの凹部に篏合させて、接着剤によって2枚の前記立体形状のシートを互いに接着するステップ
を有することを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法。
【請求項11】
基材がゴム編み、畦編み、パール編み、平編み、袋編み、両面編、ミラノリブ、鹿の子編みのいずれかの編地である編地で編み組織を形成する際に、切頂八面体または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置され、隣接する複数の前記凸部によって凹部が形成された立体形状の編地を形成するステップ
前記立体形状の編地を、前記立体形状の編地を逆さにした面形状を有する第1の金型または前記第1の金型と対になる第2の金型のいずれか一方に配置し、真空にしてから熱硬化性樹脂を含浸し加熱硬化させ
または、前記立体形状の編地を、前記立体形状の編地を逆さにした面形状を有する第1の金型および前記第1の金型と対となる第2の金型との間に、前記立体形状の編地を凹凸が嵌合するように配置し、前記第1の金型と前記第2の金型を組み合わせて内部に熱硬化性樹脂を注入し加熱硬化させて、
切頂八面体または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置され、隣接する前記凸部によって凹部が形成されている立体形状のシートを形成するステップ
前記立体形状のシートを2枚形成し、一方の前記立体形状のシートの凸部を、他方の前記立体形状のシートの凹部に嵌合させ、他方の前記立体形状のシートの凸部を、一方の前記立体形状のシートの凹部に篏合させて、接着剤によって2枚の前記立体形状のシートを互いに接着するステップ
を有することを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法。
【請求項12】
前記熱硬化性樹脂を含浸率40~70%で、前記編地に含浸させることを特徴とする請求項11のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法。
【請求項13】
前記熱硬化性樹脂を含浸率50~65%で、前記編地に含浸させることを特徴とする請求項11のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法。
【請求項14】
前記基材の編地を、ウェール数が8~50目/2.54cm、コース数が12~80目/2.54cmとなるように形成することを特徴とする請求項13のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化複合材料サンドイッチコア及び繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、サンドイッチパネル用コア材として、ハニカムコアが代表的なものとして使用されている。従来のサンドイッチパネルは、ハニカムコアの両端面にスキン材を接着して形成されていた。しかしながら、ハニカムコアのコストが高いために、様々な代替のサンドイッチパネル用コア材が提案されている。例えば、特許文献1には、平板状の板材をプレス成形法を用いて成形された、生産性の高い、切頂8面体、あるいは菱形12面体の凹凸形状を使用したサンドイッチパネル用コア材が開示されている。
【0003】
その他に、特許文献2には、強化用繊維および繊維型の熱可塑性マトリックス材料を含む深絞り可能な生地材料を一層以上積層して三次元形状シートを作製する方法が開示されており、特許文献3には、編地織物と樹脂を組み合わせた網目状繊維構造体が開示されている。
【0004】
特許文献1のサンドイッチパネル用コア材は、垂直に立ち上がる面を有しているために、垂直な面を成型するときに大きく引き伸ばされることから、成型性に優れる材料でないと成型が困難であるという問題があり、熱可塑性樹脂が用いられている。しかしながら、熱可塑性樹脂単体では強度特性も低く、難燃性が悪いという問題があった。このような問題を解決するためには、熱可塑性樹脂の代わりに熱硬化性樹脂と強化用繊維基材の複合材料を用いることが考えられるが、強化用繊維基材として、従来のように織物、紙などを用いると、成型時に基材の伸びが小さいため破れが発生し、強度特性が悪化する。そのため、特許文献1のようなサンドイッチパネル用コア材を作成する際に、織物、紙などの基材に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを用いることが考えられるが、プリプレグの基材が破れないように金型で成型するためには、プリプレグを金型の形状に合わせて細かく裁断して金型内で積層する工程が必要となり、製造コストが大幅に増加し、現実的ではなかった。
【0005】
特許文献2に記載の三次元形状シート状生地材料は、熱可塑性繊維および熱可塑性樹脂を用いて製造されているために、強度特性が低く、火災時に軟化、溶融するため難燃性が必要となる用途、例えば、車両など交通機械の構造材料には適しておらず、用途が制限されるという問題がある。特許文献3は、合成樹脂で含浸した編地織物繊維材料シートを深絞り加工して、網目状繊維構造体を形成しているが、前記網目状繊維構造体は、網目状の構造で開孔部が多数存在するために強度特性が低く、強度が必要となる構造部材には適さないという問題がある。そのため、引用文献3に記載の編地織物を、特許文献1に用いたとしても、織物であるために、成型不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6511242号公報
【文献】特開平05-214652号公報
【文献】特開平07-237272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は従来の問題点を鑑み、曲げ強度、曲げ剛性および圧縮強度が高く様々な用途で使用することができ、製造コストが安価であり、さらに、必要に応じて難燃性に優れた、繊維強化複合材料サンドイッチコア及び繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコアは、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシート、または、菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシートからなる繊維強化複合材料サンドイッチコアであって、前記立体形状のシートは、よこ編みの編地からなる基材に熱硬化性樹脂が含浸されたプリプレグから形成されており、前記立体形状のシートは、隣接する複数の前記凸部によって凹部が形成されており、2枚の前記立体形状のシートは、一方の前記立体形状のシートの凸部が、他方の前記立体形状のシートの凹部に篏合され、他方の前記立体形状のシートの凸部が、一方の前記立体形状のシートの凹部に篏合されて、互いに接着されて固定されていることを特徴とする。
【0009】
そして、前記立体形状のシートは、熱硬化性樹脂の含浸率が40~70%、好ましくは50~65%のプリプレグを用いて形成されている。
【0010】
前記繊維強化複合材料サンドイッチコアは、圧縮強度が1MPa以上である。
【0011】
前記基材としてゴム編みの編地を用いることが好ましい。
【0012】
前記基材の編地は、ウェール数が8~50目/2.54cm、コース数が12~80目/2.54cmとすることが好ましい。
【0013】
前記編地はガラス繊維の糸で形成されている、また、前記熱硬化性樹脂に難燃剤が含有されている。
【0014】
本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法は、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシート、または、菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシートからなる繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法であって、
編み組織がよこ編みの平坦な編地に熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグを形成するステップ、
切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凹部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凹部が間隔を開けて配置された凹型と、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置された凸型との間に前記プリプレグを配置し、前記凹型と前記凸型で前記プリプレグを挟んで加熱加圧成型し、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置され、隣接する前記凸部によって凹部が形成されている立体形状のシートを形成するステップ、および、
前記立体形状のシートを2枚形成し、一方の前記立体形状のシートの凸部を、他方の前記立体形状のシートの凹部に嵌合させ、他方の前記立体形状のシートの凸部を、一方の前記立体形状のシートの凹部に篏合させて、接着剤によって2枚の前記立体形状のシートを互いに接着するステップ、を有することを特徴とする。
【0015】
前記立体形状のシートを形成するステップにおいて、前記凹型と前記凸型との間に前記プリプレグを配置する際に、前記プリプレグを前記凹型の凹部に押し込む予備工程を行い、その後、前記凹型と前記凸型とによって前記プリプレグの加熱加圧成形を行うことも可能である。
【0016】
本発明の別の形態の繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法は、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシート、または、菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシートからなる繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法であって、
よこ編みで編み組織を形成する際に、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置され、隣接する複数の前記凸部によって凹部が形成された立体形状の編地を形成するステップ、
立体形状の前記編地に熱硬化性樹脂を含浸させて立体形状のプリプレグを形成するステップ、
切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凹部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凹部が間隔を開けて配置された凹型と、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置された凸型との間に前記プリプレグを配置するために、前記プリプレグの凸部を前記凹型の凹部に挿入し、前記凹型と前記凸型で前記プリプレグを挟んで加熱加圧成型し、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置され、隣接する前記凸部によって凹部が形成されている立体形状のシートを形成するステップ、および、
前記立体形状のシートを2枚形成し、一方の前記立体形状のシートの凸部を、他方の前記立体形状のシートの凹部に嵌合させ、他方の前記立体形状のシートの凸部を、一方の前記立体形状のシートの凹部に篏合させて、接着剤によって2枚の前記立体形状のシートを互いに接着するステップ、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の別の形態の繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法は、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシート、または、菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシートからなる繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法であって、
よこ編みで編み組織を形成する際に、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置され、隣接する複数の前記凸部によって凹部が形成された立体形状の編地を形成するステップ、
立体形状の前記編地を、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凹部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凹部が間隔を開けて配置された凹形状の型、または、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置された凸形状の型に配置し、真空にしてから熱硬化性樹脂を含浸し加熱硬化させる、または、立体形状の前記編地を、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凹部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凹部が間隔を開けて配置された凹形状の型、および、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置された凸形状の型の間に配置し、前記凹形状の型と前記凸形状の型を組み合わせて内部に熱硬化性樹脂を注入し、加熱硬化させて、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置され、隣接する前記凸部によって凹部が形成されている立体形状のシートを形成するステップ、および、
前記立体形状のシートを2枚形成し、一方の前記立体形状のシートの凸部を、他方の前記立体形状のシートの凹部に嵌合させ、他方の前記立体形状のシートの凸部を、一方の前記立体形状のシートの凹部に篏合させて、接着剤によって2枚の前記立体形状のシートを互いに接着するステップ、を有することを特徴とする
【0018】
そして、前記熱硬化性樹脂を含浸率40~70%、好ましくは含浸率50~65%で、前記編地に含浸させる。
【0019】
前記編地をゴム編みで編み組織を形成する。
【0020】
前記基材の編地を、ウェール数が8~50目/2.54cm、コース数が12~80目/2.54cmとなるように形成する。
【0021】
前記編地を、ガラス繊維の糸を用いて形成する、また、前記熱硬化性樹脂に、難燃剤を含有させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコアは、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシート、または、菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシートからなる繊維強化複合材料サンドイッチコアであって、前記立体形状のシートは、よこ編みの編地からなる基材に熱硬化性樹脂が含浸されたプリプレグから形成されており、前記立体形状のシートは、隣接する複数の前記凸部によって凹部が形成されており、2枚の前記立体形状のシートは、一方の前記立体形状のシートの凸部が、他方の前記立体形状のシートの凹部に篏合され、他方の前記立体形状のシートの凸部が、一方の前記立体形状のシートの凹部に篏合されて、互いに接着されて固定されていることにより、曲げ強度、曲げ剛性および圧縮強度に優れた繊維強化複合材料サンドイッチコアを実現することができる。
【0023】
前記基材がゴム編みの編地であることにより、破れなどがない、成形性に優れた繊維強化複合材料サンドイッチコアとすることができる。
【0024】
前記基材の編地は、ウェール数が8~50目/2.54cm、コース数が12~80目/2.54cmであることにより、曲げ強度、曲げ剛性および圧縮強度により優れた繊維強化複合材料サンドイッチコアを実現することができる。
【0025】
前記編地がガラス繊維の糸で形成されている、あるいは、前記熱硬化性樹脂に難燃剤が含有されていることよって、難燃性に優れた繊維強化複合材料サンドイッチコアを実現することができる。
【0026】
本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法は、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシート、または、菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシートからなる繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法であって、
編み組織がよこ編みの平坦な編地に熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグを形成するステップ、
切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凹部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凹部が間隔を開けて配置された凹型と、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置された凸型との間に前記プリプレグを配置し、前記凹型と前記凸型で前記プリプレグを挟んで加熱加圧成型し、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置され、隣接する前記凸部によって凹部が形成されている立体形状のシートを形成するステップ、および、
前記立体形状のシートを2枚形成し、一方の前記立体形状のシートの凸部を、他方の前記立体形状のシートの凹部に嵌合させ、他方の前記立体形状のシートの凸部を、一方の前記立体形状のシートの凹部に篏合させて、接着剤によって2枚の前記立体形状のシートを互いに接着するステップ、を有することにより、安価な製造コストで、曲げ強度、曲げ剛性および圧縮強度に優れた繊維強化複合材料サンドイッチコアを製造することが可能となる。
【0027】
さらに、前記立体形状のシートを形成するステップにおいて、前記凹型と前記凸型との間に前記プリプレグを配置する際に、前記プリプレグを前記凹型の凹部に押し込む予備工程を行い、その後、前記凹型と前記凸型とによって前記プリプレグの加熱加圧成形を行うことにより、前記立体形状のシートの編目の乱れを少なく成することができるようになる。
【0028】
本発明の別の形態の繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法は、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシート、または、菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシートからなる繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法であって、
よこ編みで編み組織を形成し、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置され、隣接する複数の前記凸部によって凹部が形成された立体形状の編地を形成するステップ、
立体形状の前記編地に熱硬化性樹脂を含浸させて立体形状のプリプレグを形成するステップ、
切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凹部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凹部が間隔を開けて配置された凹型と、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置された凸型との間に前記プリプレグを配置するために、前記プリプレグの凸部を前記凹型の凹部に挿入し、前記凹型と前記凸型で前記プリプレグを挟んで加熱加圧成型し、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置され、隣接する前記凸部によって凹部が形成されている立体形状のシートを形成するステップ、および、
前記立体形状のシートを2枚形成し、一方の前記立体形状のシートの凸部を、他方の前記立体形状のシートの凹部に嵌合させ、他方の前記立体形状のシートの凸部を、一方の前記立体形状のシートの凹部に篏合させて、接着剤によって2枚の前記立体形状のシートを互いに接着するステップ、を有することにより、予め編地を立体形状に編むことで、前記立体形状のシートを成型する際に編目が開くのを防止し、より曲げ強度、曲げ剛性および圧縮強度に優れた繊維強化複合材料サンドイッチコアを実現することができる。
【0029】
本発明の別の形態の繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法は、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシート、または、菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシートからなる繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法であって、
よこ編みで編み組織を形成する際に、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置され、隣接する複数の前記凸部によって凹部が形成された立体形状の編地を形成するステップ、
立体形状の前記編地を、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凹部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凹部が間隔を開けて配置された凹形状の型、または、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置された凸形状の型に配置し、真空にしてから熱硬化性樹脂を含浸し加熱硬化させる、または、立体形状の前記編地を、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凹部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凹部が間隔を開けて配置された凹形状の型、および、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部または菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置された凸形状の型の間に配置し、前記凹形状の型と前記凸形状の型を組み合わせて内部に熱硬化性樹脂を注入し、加熱硬化させて、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置され、隣接する前記凸部によって凹部が形成されている立体形状のシートを形成するステップ、および、
前記立体形状のシートを2枚形成し、一方の前記立体形状のシートの凸部を、他方の前記立体形状のシートの凹部に嵌合させ、他方の前記立体形状のシートの凸部を、一方の前記立体形状のシートの凹部に篏合させて、接着剤によって2枚の前記立体形状のシートを互いに接着するステップ、を有することにより、より低コストで繊維強化複合材料サンドイッチコアを製造することができるようになる。
【0030】
前記編地をゴム編みで編み組織を形成することにより、破れなどを生じさせずに繊維強化複合材料サンドイッチコアを製造することができるようになる。
【0031】
そして、前記基材の編地を、ウェール数が8~50目/2.54cm、コース数が12~80目/2.54cmとなるように形成することにより、曲げ強度、曲げ剛性および圧縮強度により優れた繊維強化複合材料サンドイッチコアを製造することができる。
【0032】
前記編地を、ガラス繊維の糸を用いて形成する、あるいは、前記熱硬化性樹脂に難燃剤を含有させることによって、より優れた難燃性を有する繊維強化複合材料サンドイッチコアを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコアの斜視図である。
図2】繊維強化複合材料サンドイッチコアの立体形状のシートの斜視図である。
図3】2枚の立体形状のシートを対向して配置した状態を示す斜視図である。
図4】本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコアの断面図である。
図5】(a)は凸部の形状を変更した場合のサンドイッチコアの斜視図であり、(b)は前記サンドイッチコアを2枚の立体形状のシートに分離した状態の斜視図である。
図6】本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコアの立体形状のシートの写真である。
図7】基材として織物を用いた場合の立体形状のシートの写真である。
図8】基材としてたて編みの編地をいた場合の立体形状のシートの状態の写真である。
図9】実施例1の繊維強化複合材料サンドイッチコアの立体形状のシートの写真である。
図10】実施例2のサンドイッチコアの立体形状のシートの写真である。
図11】比較例1のサンドイッチコアの立体形状のシートの写真である。
図12】比較例2のサンドイッチコアの立体形状のシートの写真である。
図13】比較例3のサンドイッチコアの立体形状のシートの写真である。
図14】繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法の第1の実施形態において、金型によって立体形状のシートを成型するステップを示す概略断面図であり、(a)は金型の凹型および凸型の断面図であり、(b)は凹型と凸型との間にプリプレグを配置した状態を示し、(c)は凹型および凸型によってプリプレグを加熱加圧成型している状態を示す。
図15】(a)は、繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法の第2の実施形態において使用する立体形状の編地の斜視図であり、(b)は立体形状のプリプレグの斜視図である。
図16】繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法の第2の実施形態において、金型によって立体形状のシートを成型するステップを示す概略断面図であり、(a)は凹型と凸型との間に立体形状のプリプレグを配置した状態を示し、(b)は、凹型に立体形状のプリプレグを配置した状態を示し、(c)は凹型および凸型によってプリプレグを加熱加圧成型している状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコア及び繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。まず初めに、本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコアについて説明する。
【0035】
本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコア1,1’は、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシート2、または、菱形12面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシート2’からなり、積層されてサンドイッチパネルとして、自動車、航空機、鉄道車両、建築物などの構造部材、あるいは机などの家具など様々な用途で使用される。
【0036】
まず初めに、図2に示すような、切頂八面体を正方形の面が頂面および底面となるように配置した際に赤道となる線上で等分割した形状の複数の凸部21が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシート2からなる、図1に示すような繊維強化複合材料サンドイッチコア1について説明する。前記立体形状のシート2は、基材としてよこ編みの編地を使用し、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が前記基材に含浸されたプリプレグを金型を用いて加熱加圧成型することによって形成されている。前記プリプレグは、熱硬化性樹脂が含浸率40~70%、好ましくは含浸率50~65%で含浸されている。前記基材の編地は、よこ編みで形成するが、よこ編みとしては、ゴム編み、畦編み、パール編み、平編み、袋編み、両面編(ゴム編み)、ミラノリブ、鹿の子編みなどがある。この中では、特にゴム編みを用いることが好ましい。また、前記編地の糸の材質としては、綿など一般的な材質を使用することができるが、難燃性を向上させるために、ガラス繊維の糸を用いることができる。
【0037】
前記立体形状のシート2は、図2に示すように、隣接する4つの前記凸部21によって囲まれた部分が1つの凹部22として形成されている。前記立体形状のシート2は、前記凸部21および前記凹部22によって、一方の面に凹凸が形成された立体形状となり、他方の面は、平坦な面に前記凸部21に対応する部分が窪みとして形成された状態となっているために突出する部分は存在していない。2枚の前記立体形状のシート2は、図3に示すように、前記凸部21および前記凹部22が形成された面を対向するように配置し、接着剤によって互いに固定されている。
【0038】
2枚の前記立体形状のシート2は同じ形状を有しており、前記凹部22は、4つの前記凸部21に囲まれて形成されていることにより、前記凸部21が前記凹部22に篏合可能な形状となっていることから、一方の前記立体形状のシート2(図3の上側)の凸部21が、他方の前記立体形状のシート2(図3の下側)の凹部22に篏合され、そして、他方の前記立体形状のシート2(図3の下側)の凸部21が、一方の前記立体形状のシート2(図3の上側)の凹部22に篏合された状態で、互いに接着剤によって接着されて固定されて、図1に示すような本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコア1が形成されている。2枚の前記立体形状のシート2を固定する際に、2枚の前記立体形状のシート2の編地が編まれた方向を、同一方向とするだけでなく、直交させて固定することも可能である。
【0039】
本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコア1は、基材としてよこ編みの編地を使用しているが、よこ編みの編地は成形時に基材が引き伸ばされても破れにくく、ピンホールが少ないことから、曲げ強度、曲げ剛性および圧縮強度が高くすることができる。前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1は、特に、基材として密なよこ編みの編地を用いることにより、成型後の目の開きをより小さくすることができるので、優れた強度特性を高めることができる。密な編地としては、ウェール数8~50目/2.54cm、コース数12~80目/2.54cmとすることが好ましい。また、よこ編みの中でも特にゴム編みを用いることにより、成形性に優れた前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1を実現することができる。
【0040】
さらに、本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコア1は、前記プリプレグを形成する際に熱硬化性樹脂に難燃剤を含有させる、あるいは、前記基材として、ガラス繊維の糸を用いて形成したよこ編みの編地を用いることにより、難燃性に優れた特性とすることができる。これにより、繊維強化複合材料サンドイッチコア1は、難燃性として、UL-94の垂直燃焼試験法に準拠したV-1、好ましくはV-0を満たすことができ、従来のサンドイッチコアよりも優れた難燃性を有することから、難燃性が求められる車両など様々な用途のサンドイッチパネルとして使用することができる。難燃剤については、リン窒素系難燃剤を、熱硬化性樹脂に10~30重量%で含有させることが好ましい。
【0041】
本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコア1は、凸部21および凹部22が形成された面を互いに接着して固定していることから、前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1の両面は平坦な部分と窪みだけが存在している。そのため、前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1を積層してサンドイッチパネルを形成する際に、前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1は十分な接着面を確保することが出来るので、より強度特性に優れたサンドイッチパネルを作成することができる。
【0042】
前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1は、立体形状として、切頂八面体を赤道上で分割した形状の凸部21を用いているが、図5(a)に示すように、菱形12面体を菱形の面が頂面および底面となるように配置した際に赤道となる線上で等分割した形状の凸部21’を用いた繊維強化複合材料サンドイッチコア1’とすることも可能である。前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1’は、図5(b)に示すような菱形12面体を赤道上で分割した形状の凸部21’および隣接する前記凸部21’によって形成された凹部22’が形成された2枚の立体形状のシート2’を互いに組み合わせて固定することによって形成されている。前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1’は、凸部21’および凹部22’の形状以外、材質などについては、前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1と同じであることから、詳細な説明は省略するが、前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1’は効果についても、前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1と同じ効果を得ることができる。
【0043】
次に、図を用いて、本発明のよこ編みの編地を基材として用いた繊維強化複合材料サンドイッチコアと、よこ編み以外の基材、織物を基材として用いたサンドイッチコアおよびたて編みの編地を基材として用いたサンドイッチコアとを比較して、成形性について説明する。図6に、本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコアの立体形状のシートの状態の写真を示す。前記繊維強化複合材料サンドイッチコアは、よこ編みのゴム編みによって形成した基材を用いており、凸部の高さが10mmとなるように形成している。
【0044】
図7に、基材として織物を用いた場合のサンドイッチコアの立体形状のシートの状態の写真を示す。図7に記載の織物を基材として用いた立体形状のシートは、本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコアの立体形状のシートと、基材以外は同じ条件で形成しているが、凸部の高さだけ5mmとなるように形成している。図8には、基材としてたて編みの編地をいた場合のサンドイッチコアの立体形状のシートの状態の写真を示す。図8に記載のたて編みの編地を基材として用いた場合の立体形状のシートは、本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコアの立体形状のシートと、基材以外は同じ条件で形成しており、凸部の高さも10mmとなるように形成している。
【0045】
図6の本発明の繊維強化複合材料サンドイッチ1は、垂直な面も垂直壁部分も破れることなく良好に成形できていることがわかる。これに対し、基材として織物を用いた立体形状のシートは、図7に示すように、基材の破れが発生しており、サンドイッチコアとして十分な性能を発揮することができない。また、基材としてたて編みの編地を用いた立体形状のシートは、図8に示すように、たて編みでも垂直壁部分で破れが発生し、さらに編目の開きによる大きなピンホールも多数確認できる。以上のことから、本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコアは、よこ編みの編地を基材として使用することによって、優れた成形性を備えていることがわかる。
【0046】
次に、本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコアのよこ編みの編地の編目を変更したことによる違いを、実施例および比較例を用いて説明する。実施例1の繊維強化複合材料サンドイッチコアは、綿糸を使用し、40S/2、2本引揃え、ループ長4.7mmの条件で、よこ編みのゴム編みで形成した編地を基材として使用し、前記基材にフェノール樹脂を含浸させてプリプレグを形成し、加熱加圧成型によって形成した、図9に示すような立体形状のシートを用いたものである。図9に示す、立体形状のシートを2枚用意し、互いに接着剤で固定することによって、実施例1の繊維強化複合材料サンドイッチコアとする。立体形状のシートを固定する際に、接着剤としては、エポキシ半硬化品のシート状の接着剤を用いており、2枚の前記立体形状のシートの編地が編まれた方向が直交するように配置して互いに固定している。
【0047】
実施例2の繊維強化複合材料サンドイッチコアは、市販のよこ編みのゴム編みの編地(一般肌着用の生地)を基材として使用し、前記基材にフェノール樹脂を含浸させてプリプレグを形成し、加熱加圧成型によって形成した、図10に示すような、立体形状のシートを用いたものである。図10に示すような立体形状のシートを2枚用意し、互いに接着剤で固定することによって、実施例2の繊維強化複合材料サンドイッチコアとする。2枚の立体形状のシートを固定する際に、2枚の立体形状のシートの編地が編まれた方向が同一方向となるように配置して、エポキシ半硬化品のシート状の接着剤によって互いに固定したものを実施例2-1とし、2枚の立体形状のシートの編地が編まれた方向が直交するように配置して互いに固定したものを実施例2-2とする。
【0048】
実施例3の繊維強化複合材料サンドイッチコアは、ガラス繊維の糸(AGY社:S-2グラスヤーン,G150 1/2 3.8S)を使用し、ループ長9.9mmで、よこ編みのゴム編みで形成した編地を基材として使用し、前記基材にフェノール樹脂を含浸させてプリプレグを形成し、加熱加圧成型によって形成した立体形状のシートを用いたものである。前記立体形状のシートを2枚用意し、2枚の前記立体形状のシートの編地が編まれた方向が直交するように配置して、エポキシ半硬化品のシート状の接着剤で互いに固定することによって、実施例3の繊維強化複合材料サンドイッチコアとする。
【0049】
比較例1は、綿糸を使用し、40S/2、1本、ループ長4.7mmの条件で、よこ編みのゴム編みで形成した編地、つまり、実施例1よりも密度の低い編地を基材として使用し、前記基材にフェノール樹脂を含浸させてプリプレグを形成し、加熱加圧成型によって形成した、図11に示すような立体形状のシートを用いたものである。前記立体形状のシートを2枚用意し、2枚の前記立体形状のシートの編地が編まれた方向が直交するように配置して、エポキシ半硬化品のシート状の接着剤で互いに固定することによって、比較例1のサンドイッチコアとする。
【0050】
比較例2は、綿糸を使用し、40S/2、1本、ループ長8.4mmの条件で、よこ編みのゴム編みで形成した編地、つまり、比較例1よりも密度の低い編地を基材として使用し、前記基材にフェノール樹脂を含浸させてプリプレグを形成し、加熱加圧成型によって形成した、図12に示すような立体形状のシートを用いたものである。前記立体形状のシートを2枚用意し、2枚の前記立体形状のシートの編地が編まれた方向が直交するように配置して、エポキシ半硬化品のシート状の接着剤で互いに固定することによって、比較例2のサンドイッチコアとする。
【0051】
比較例3は、綿糸を使用し、40S,1本の条件で、よこ編みのスムース編みで形成した編地を基材として使用し、前記基材にフェノール樹脂を含浸させてプリプレグを形成し、加熱加圧成型によって形成した、図13に示すような立体形状のシートを用いたものである。前記立体形状のシートを2枚用意し、2枚の前記立体形状のシートの編地が編まれた方向が直交するように配置して、エポキシ半硬化品のシート状の接着剤で互いに固定することによって、比較例3のサンドイッチコアとする。表1に、実施例1~3、比較例1~3の条件などを記載している。
【0052】
【表1】
【0053】
図9,10に示すように、実施例1,2の立体形状のシートは、破れなどは生じておらず、良好に成形できている。実施例3についは図示していないが、実施例1,2と同様に良好に成形できる。これに対し、比較例1,2は、編地の密度が低いために、成形時に樹脂が不足し、図11,12に示すように、ピンホールが大きくあいた編目状になる。その結果、凸部が変形した際に、多面体のそれぞれの面の張力が発生しないため、容易に変形するという問題がある。比較例3は、図13に示すように、穴は開いていないが、破れが生じでおり、成形性に問題がある。以上のことから、本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコアは、成形性を考慮すると、よこ編みのゴム編みを用いること、また、編地の密度を高くすることが好ましいことがわかる。
【0054】
次に、実施例1,2-1,2-2、比較例1,2,3について、4点曲げ試験(ASTM C393準拠 ハニカムパネルの4点曲げ試験の規格)によって、曲げ強度および曲げ弾性率について試験を行い、さらに、圧縮強度試験を行った。表2に、試験結果を示す。
【0055】
【表2】
【0056】
表2を参照すると、本発明の実施例2-1,2-2は、曲げ強度、曲げ弾性率、および、圧縮強度について、全てがバランスよく優れている。実施例1は圧縮強度が特に優れている。比較例1~3は、一部の項目は実施例と同等であるが、全てをバランスよく満たすことはできない。特に、比較例3は、曲げ強度および圧縮強度については、本発明の実施例と同等あるいはそれ以上の結果であるが、上記のように成形性に問題があり、実用するには難しい。
【0057】
次に、実施例2,3について、3点曲げ試験によって、曲げ強度および曲げ弾性率について試験を行い、さらに、圧縮強度試験を行った結果を、表3に示す。また、難燃性について、UL-94の垂直燃焼試験法に準拠した方法で試料を作成し、10秒間の接炎を2回行った結果についても表3に記載している。
【0058】
【表3】
【0059】
表2を参照すると、ガラス繊維を用いた実施例3は、実施例2と比べて、曲げ強度、曲げ弾性率、および、圧縮強度が非常に高いことがわかる。また、難燃性については、ガラス繊維を用いることにより、難燃剤を用いないでも十分な難燃性を有していることがわかる。
【0060】
以上のことから、本発明の繊維強化複合材料サンドイッチは、基材として使用する編地の編み方は、よこ編みとするだけでなく、ゴム編みとすることが好ましく、さらに、密度を高くすることが好ましいことがわかる。編地の密度を高くする条件には、様々な条件の組み合わせが考えられるが、その一つとして、上述のように、ウェール数およびコース数によって密度を特定することが考えられる。また、難燃性については、難燃剤を用いなくても、ガラス繊維の糸を用いて編地を形成することで、必要な難燃性を満たすことができることがわかる。そして、用途などに応じて、よこ編みおよび糸などの種類を適宜選択することが好ましい。
【0061】
次に、本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法について、図を用いて説明する。まず初めに、第1の実施形態の繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法について説明するが、製造する繊維強化複合材料サンドイッチコアは、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部が間隔を開けて配置されている2枚の立体形状のシート2からなる前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1とする。
【0062】
初めに、よこ編みで編地を形成し、前記編地を基材とする。この際に、よこ編みの中でもゴム編みを用いることが好ましい。また、度目が細かい密度の高いよこ編みの編地を形成することが好ましい。材質については綿糸などを用いることができるが、ガラス繊維の糸を用いることも可能であり、特にガラス繊維を用いることにより、難燃性に優れた繊維強化複合材料サンドイッチコア1を製造することができる。
【0063】
次に、前記基材に熱硬化性樹脂を含浸させ、半硬化させてプリプレグ3を形成する。前記熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などを用いており、含浸率40~70%、好ましくは含浸率50~65%で前記基材に含浸させる。また、前記熱硬化性樹脂に難燃剤を含有させることも可能であり、これにより、前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1の難燃性を確保することも可能である。
【0064】
次に、前記プリプレグ3を加熱加圧成型して、立体形状のシート2を形成するが、初めに、前記プリプレグ3の加熱加圧成型に使用する金型について説明する。前記金型は、図14(a)に示すように、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凹部41が間隔を開けて配置された凹型4と、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部51が間隔を開けて配置された凸型5とから構成され、前記凹型4の凹部41と前記凸型5の凸部51とは一対一で対向するように配置されており、前記凹型4と前記凸型5を組み合わせた時に、前記凹部41内に前記凸部51が挿入される。本実施形態では、前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1を対象としているために、前記凹部41および前記凸部51は、切頂八面体を赤道上で分割した形状を用いているが、前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1’の製造に使用する場合は、前記凹部41および前記凸部51は、菱形12面体を赤道上で分割した形状を用いればよい。
【0065】
前記金型に前記プリプレグ3を配置し、前記金型で加熱加圧成型を行う。この時、例えば、温度は130~150℃、圧力は5~10kgf/cm2とする。図14(b)に示すように、前記プリプレグ3を前記凹型4の上に載せて前記凹型4と前記凸型5との間に配置し、図14(c)に示すように、前記凹型4と前記凸型5とを組み合わせると、前記凸型51が前記凹型41に挿入され、これにより、前記プリプレグ3は前記凹型41および前記凸型51によって凸部の形状に変形され、この状態で加熱加圧成型すると、前記プリプレグ3から複数の凸部が形成された立体形状のシート2が形成される。このようにして前記金型で前記プリプレグ3を加熱加圧成型した後、前記金型から成形されたシートを取り外すと、図2に示すような、立体形状のシート2が形成される。
【0066】
本実施形態では、前記凹型4と前記凸型5との間に前記プリプレグ3を配置する際に、前記プリプレグ3を前記凹型4の表面に配置し、手作業で前記プリプレグ3を前記凹型4の凹部41に押し込んで変形させる予備工程を行うことも可能である。予備工程の後に、前記凹型4と前記凸型5とを組み合わせて前記プリプレグ3を加熱加圧成型すると、前記立体形状のシート2が形成される。このように予備工程を用いた場合、前記プリプレグ3を予め凹型4の凹部41に合わせて手作業で変形させることから、製造コストは増加するが、加熱加圧成型する際に前記プリプレグ3の編物が不規則に変形し、前記立体形状のシート2の強度が低下するのを防止することができ、さらに、外観上はより綺麗に仕上がった繊維強化複合材料サンドイッチコア1を製造することができる。
【0067】
このようにして形成した前記立体形状のシート2を2枚用意する。そして、前記立体形状のシート2の凸部21および凹部22が形成された面に接着剤を塗布し、図3に示すように、2枚の前記立体形状のシート2を、凸部21および凹部22が形成された面が対向するように配置し、そして、一方の前記立体形状のシート2の凸部21を、他方の前記立体形状のシート2の凹部22に嵌合させ、他方の前記立体形状のシート2の凸部21を、一方の前記立体形状のシート2の凹部22に篏合させて、互いに固定し、接着剤が乾燥すると、前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1が完成する。
【0068】
2枚の前記立体形状のシート2を固定する際に使用する接着剤としては、液状の接着剤またはシート状の接着剤(例えば、エポキシ半硬化品)を使用することができる。また、2枚の前記立体形状のシート2を互いに固定する際に、前記立体形状のシート2の編地の編目が編まれた向きを同一方向に揃えて固定するだけでなく、互いに直交するように配置して固定することもできる。
【0069】
次に、第2の実施形態の繊維強化複合材料サンドイッチコア1の製造方法について説明する。本実施形態は、第1の実施形態と同様に、基材としてよこ編みの編地を使用するが、予め立体形状に編んだ編地6を使用する。本実施形態では、前記編地6を編む際に、よこ編みで、切頂八面体を赤道上で分割した形状の複数の凸部61が間隔を開けて配置されている立体形状に編む。この時、前記編地6には隣接する4つの凸部61によって1つの凹部62が形成されている。本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、よこ編みの中でもゴム編みを用いることが好ましい。また、度目が細かい密度の高いよこ編みの編地を形成することが好ましい。材質については綿糸などを用いることができるが、ガラス繊維の糸を用いることも可能である。
【0070】
このようにして編んだ立体形状の前記編地6を基材とし、前記基材に熱硬化性樹脂を含浸させ、半硬化させて立体形状のプリプレグ3’を形成する。前記熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができ、含浸率40~70%、好ましくは含浸率50~65%で前記基材に含浸させる。また、第1の実施形態と同様に、前記熱硬化性樹脂に難燃剤を含有させることも可能である。
【0071】
このようにして立体形状のプリプレグ3’を形成したら、図16に示すように、第1の実施形態と同じ凹型4と凸型5とからなる金型を用いて前記立体形状のプリプレグ3’を加熱加圧成型する。図16(a),(b)に示すように、前記金型に前記立体形状のプリプレグ3’を配置する際に、前記立体形状のプリプレグ3’の凸部31を前記凹型4の凹部41内に挿入する。このようにして、前記立体形状のプリプレグ3’を前記金型の凹型4に配置した後、図16(c)に示すように、前記凹型4と前記凸型5とを組み合わせて加熱加圧成型すると立体形状のシート2が形成できる。
【0072】
その後、第1の実施形態と同様に、図3に示すように、2枚の前記立体形状のシート2を用意し、前記立体形状のシート2に接着剤を塗布し、一方の前記立体形状のシート2の凸部21を、他方の前記立体形状のシート2の凹部22に嵌合させ、他方の前記立体形状のシート2の凸部21を、一方の前記立体形状のシート2の凹部22に篏合させて、互いに固定し、接着剤が乾燥すると、図1,4に示すように、前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1が完成する。
【0073】
さらに、第3の実施形態の繊維強化複合材料サンドイッチコア1の製造方法について説明する。本実施形態は、第2の実施形態と同様に、基材として、予め立体形状に編んだ編地6を使用する。前記編地6の形成方法については、第2の実施形態と同じであることから、詳細な説明は省略する。
【0074】
次に、立体形状の前記編地6に熱硬化性樹脂を含浸させるが、この時、前記編地6を型に配置し、その後、熱硬化性樹脂を前記編地6に含浸させる。前記型は、VaRTM法(真空樹脂含浸製造法)で使用する型であり、第1,2の実施形態で使用する型の凹型4と同じ凹形状の型または凸型5と同じ凸形状の型であり、凹形状の型または凸形状の型のいずれかを用いる。前記凹形状の型または凸形状の型に、立体形状の前記編地を配置し、真空にしてから熱硬化性樹脂を含浸し加熱硬化させるVaRTM法によって、立体形状のシート2を形成する。
【0075】
前記立体形状のシート2を形成する別の方法として、前記凸形状の型および前記凹形状の型の両方を用意し、立体形状の前記編地6を、前記凸形状の型と前記凹形状の型の間に配置し、前記凸形状の型と前記凹形状の型とを組み合わせ、その内部に、熱硬化性樹脂を注入し、その後、加熱硬化させるRTM法を用いて、立体形状のシート2を形成することも可能である。
【0076】
VaRTM法またはRTM法によって立体形状のシート2を形成した後、第1,2の実施形態と同様に、図3に示すように、2枚の前記立体形状のシート2を用意し、前記立体形状のシート2に接着剤を塗布し、一方の前記立体形状のシート2の凸部21を、他方の前記立体形状のシート2の凹部22に嵌合させ、他方の前記立体形状のシート2の凸部21を、一方の前記立体形状のシート2の凹部22に篏合させて、互いに固定し、接着剤が乾燥すると、図1,4に示すように、前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1が完成する。
【0077】
第3の実施形態の繊維強化複合材料サンドイッチコア1の製造方法は、プリプレグを使用しないことから、製造コストを低減させることができる。
【0078】
第1~第3の実施形態の繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法のいずれを用いても、前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1を製造することが可能であり、用途、製造コストなどを考慮して、製造方法を適宜、選択することが可能である。そして、第1および第2の実施形態において使用する金型の凹型4の凹部41および凸型5の凸部51の形状、および、第3の実施形態で使用する凹状の型の形状および凸状の型の形状を、菱形12面体を赤道上で分割した形状に変更することにより、前記繊維強化複合材料サンドイッチコア1’を製造することができる。
【0079】
本発明の繊維強化複合材料サンドイッチコアの製造方法は、よこ編みで基材となる編地を形成し、凹型4および凸型5からなる金型を使用することによって、曲げ強度、曲げ剛性および圧縮強度が高い繊維強化複合材料サンドイッチコアを低コストで製造することができる。
【符号の説明】
【0080】
1,1 繊維強化複合材料サンドイッチコア
2,2 立体形状のシート
21,21’ 凸部
22,22’ 凹部
3 プリプレグ
3’ 立体形状のプリプレグ
31 凸部
4 凹型
41 凹部
5 凸型
51 凸部
6 編地
61 凸部
62 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図16