(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】配送管理システムおよび配送管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20240226BHJP
【FI】
G06Q10/08
(21)【出願番号】P 2019206797
(22)【出願日】2019-11-15
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】508049329
【氏名又は名称】シーオス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】松島 聡
(72)【発明者】
【氏名】木村 尚文
(72)【発明者】
【氏名】西村 順
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-075289(JP,A)
【文献】特開2000-276688(JP,A)
【文献】特開2016-157169(JP,A)
【文献】特開2019-112226(JP,A)
【文献】特開2005-148830(JP,A)
【文献】特開2009-031945(JP,A)
【文献】特開2018-045633(JP,A)
【文献】特開2002-240913(JP,A)
【文献】特開2017-027214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送物が複数の配送拠点を経由して配送される配送処理を管理する配送管理システムであって、
各配送拠点Nにおいて、配送物を次の配送拠点N+1に配送するタイミングを判断する判断手段を有し、
前記判断手段は、各配送拠点Nから次の配送拠点N+1に配送する予定の配送物の総容量または総重量が所定の基準容量または
所定の基準重量を超えるまで当該配送拠点Nにおいて配送物を保管し、前記配送物の総容量または総重量が前記所定の基準容量または
前記所定の基準重量を超えた場合に当該配送拠点Nから次の配送拠点N+1への配送物の配送を許可する第1の条件を有
し、
前記第1の条件において、配送拠点Nと次の配送拠点N+1とを結ぶ拠点間ルートごとに、前記配送物の総容量または総重量が前記所定の基準容量または前記所定の基準重量を超えるか否かを判断し、前記拠点間ルートにおける前記配送物の総容量または総重量が前記所定の基準容量または前記所定の基準重量を超える場合に、当該拠点間ルートにおける配送物の配送を許可する、配送管理システム。
【請求項2】
さらに、読取端末で読み取り可能な識別子が付され、前記配送物が収容される、複数サイズの配送用ケースを備え、
前記第1の条件において、配送拠点Nと次の配送拠点N+1とを結ぶ拠点間ルートごとに、前記配送物の総重量が前記所定の基準重量を超えるか否かをサイズ毎に設定された配送用ケースの上限重量に基づき判断し、前記拠点間ルートにおける前記配送物の総重量が前記所定の基準重量を超える場合に、当該拠点間ルートにおける配送物の配送を許可する、請求項1に記載の配送管理システム。
【請求項3】
前記第1の条件において、配送拠点Nから次の配送拠点N+1まで配送物を配送する配送手段の荷台の空き容量または余裕重量に基づいて、前記所定の基準容量または
前記所定の基準重量を定める、請求項1
または2に記載の配送管理システム。
【請求項4】
前記判断手段は、各配送拠点Nから次の配送拠点N+1に配送する予定の配送物の配送期限時間と当該配送物の配送所要時間との差である滞留余裕時間が所定の基準時間未満であれば、当該配送物の配送を許可する第2の条件を有する、請求項1ないし
3のいずれかに記載の配送管理システム。
【請求項5】
前記第2の条件において、配送拠点Nと次の配送拠点N+1とを結ぶ拠点間ルートごとに、前記滞留余裕時間が前記基準時間未満である配送物が存在するか否かを判断し、前記滞留余裕時間が前記基準時間未満である配送物が存在する場合に、当該拠点間ルートにおける配送物の配送を許可する、請求項
4に記載の配送管理システム。
【請求項6】
前記第2の条件において、前記配送期限時間は、5日以上の日数である、請求項
4または
5に記載の配送管理システム。
【請求項7】
前記配送拠点は、送付者から配送物を受け取る受取場所、引渡者に配送物を引き渡す引渡場所、および前記受取場所と前記引渡場所との間に位置する保管場所である、請求項1ないし
6のいずれかに記載の配送管理システム。
【請求項8】
ネットワークを介して配送物の情報を受信する配送物情報受信手段と、
ネットワークを介して配送物の位置情報を特定の端末に配信する配送物位置情報配信手段と、を備え、
前記配送物情報受信手段は、各拠点で読取端末が読み取った前記識別子の情報と関連付けて送信する位置情報を受信することができる、請求項
2に記載の配送管理システム。
【請求項9】
前記識別子は、二次元情報コードおよびICタグを含んで構成される、請求項
8に記載の配送管理システム。
【請求項10】
請求項
8または
9に記載の配送管理システムとネットワークを介して通信可能な端末であって、
配送物の情報を入力する配送物情報入力手段と、
前記配送物情報受信手段に、ネットワークを介して配送物の情報を送信する配送物情報送信手段と、を備える端末。
【請求項11】
請求項
10に記載の端末で実行されるプログラムであって、
前記端末を、配送物の情報を入力する配送物情報入力手段と、
前記配送物情報受信手段に、ネットワークを介して配送物の情報を送信する配送物情報送信手段と、して機能させるためのプログラム。
【請求項12】
配送物が複数の配送拠点を経由して配送される配送処理を管理する配送管理方法であって、
各配送拠点Nにおいて、配送物を次の配送拠点N+1に配送するタイミングを判断する判断ステップを有し、
前記判断ステップにおいて、
各配送拠点Nから次の配送拠点N+1に配送する予定の配送物の総容量または総重量が所定の基準容量または基準重量を超えるまで当該配送拠点Nにおいて配送物を保管し、前記配送物の総容量または総重量が前記所定の基準容量または
前記所定の基準重量を超えた場合に当該配送拠点Nから次の配送拠点N+1への配送物の配送を許可する第1の条件
を有し、
前記第1の条件において、配送拠点Nと次の配送拠点N+1とを結ぶ拠点間ルートごとに、前記配送物の総容量または総重量が前記所定の基準容量または前記所定の基準重量を超えるか否かを判断し、前記拠点間ルートにおける前記配送物の総容量または総重量が前記所定の基準容量または前記所定の基準重量を超える場合に、当該拠点間ルートにおける配送物の配送を許可する、配送管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送管理システムおよび配送管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小口の宅配荷物を発送する場合には、コンビニエンスストアや宅配業者の営業所等に利用者が荷物を持参したり、宅配業者に集荷を依頼したりすることが行われている。たとえば、特許文献1では、宅配業者が荷物を受け取る場所で、運搬車両の積載量をオーバーしていないことを確認でき、荷物受取場所まで携行しても宅配業者の負担にならず、さらに受注荷物の送料を計算することができる宅配荷物集荷管理システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、宅配事業に従事する従業者の数が減少する一方、需要者からは宅配料金の値下げの要請がある。また、需要者の中には、配送に日数がかかっても、配送料金が安いサービスを利用したいとのニーズがある。しかしながら、従来の配送サービスでは、配送期間が比較的短期間(たとえば1~3日)に設定されて配送スピードを重視するため、トラックなどの積載率に関わらず順次配送を行う必要があり、その分、配送料金が高くなってしまい、このようなニーズに応えることができなかった。
【0005】
本発明は、配送に日数がかかっても、配送料金が安いサービスを利用したいとのニーズに応えることができる、配送管理システムおよび配送管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る配送管理システムは、配送物が複数の配送拠点を経由して配送される配送処理を管理する配送管理システムであって、各配送拠点Nにおいて、配送物を次の配送拠点N+1に配送するタイミングを判断する判断手段を有し、前記判断手段は、各配送拠点Nから次の配送拠点N+1に配送する予定の配送物の総容量または総重量が所定の基準容量または所定の基準重量を超えるまで当該配送拠点Nにおいて配送物を保管し、前記配送物の総容量または総重量が前記所定の基準容量または前記所定の基準重量を超えた場合に当該配送拠点Nから次の配送拠点N+1への配送物の配送を許可する第1の条件を有し、前記第1の条件において、配送拠点Nと次の配送拠点N+1とを結ぶ拠点間ルートごとに、前記配送物の総容量または総重量が前記所定の基準容量または前記所定の基準重量を超えるか否かを判断し、前記拠点間ルートにおける前記配送物の総容量または総重量が前記所定の基準容量または前記所定の基準重量を超える場合に、当該拠点間ルートにおける配送物の配送を許可する。
上記配送管理システムにおいて、さらに、読取端末で読み取り可能な識別子が付され、前記配送物が収容される、複数サイズの配送用ケースを備え、前記第1の条件において、配送拠点Nと次の配送拠点N+1とを結ぶ拠点間ルートごとに、前記配送物の総重量が前記所定の基準重量を超えるか否かをサイズ毎に設定された配送用ケースの上限重量に基づき判断し、前記拠点間ルートにおける前記配送物の総重量が前記所定の基準重量を超える場合に、当該拠点間ルートにおける配送物の配送を許可するように構成することができる。
上記配送管理システムにおいて、前記第1の条件において、配送拠点Nから次の配送拠点N+1まで配送物を配送する配送手段の荷台の空き容量または余裕重量に基づいて、前記所定の基準容量または前記所定の基準重量を定める構成とすることができる。
上記配送管理システムにおいて、前記判断手段は、各配送拠点Nから次の配送拠点N+1に配送する予定の配送物の配送期限時間と当該配送物の配送所要時間との差である滞留余裕時間が所定の基準時間未満であれば、当該配送物の配送を許可する第2の条件を有するように構成することができる。
上記配送管理システムにおいて、前記第2の条件において、配送拠点Nと次の配送拠点N+1とを結ぶ拠点間ルートごとに、前記滞留余裕時間が前記基準時間未満である配送物が存在するか否かを判断し、前記滞留余裕時間が前記基準時間未満である配送物が存在する場合に、当該拠点間ルートにおける配送物の配送を許可する構成とすることができる。
上記配送管理システムにおいて、前記第2の条件において、前記配送期限時間は、5日以上の日数である構成とすることができる。
上記配送管理システムにおいて、前記配送拠点は、送付者から配送物を受け取る受取場所、引渡者に配送物を引き渡す引渡場所、および前記受取場所と前記引渡場所との間に位置する保管場所である構成とすることができる。
上記配送管理システムにおいて、ネットワークを介して配送物の情報を受信する配送物情報受信手段と、ネットワークを介して配送物の位置情報を特定の端末に配信する配送物位置情報配信手段と、を備え、前記配送物情報受信手段は、各拠点で読取端末が読み取った前記識別子の情報と関連付けて送信する位置情報を受信することができるように構成することができる。
上記配送管理システムにおいて、前記識別子は、二次元情報コードおよびICタグを含んで構成されるように構成することができる。
【0007】
本発明に係る端末は、上記配送管理システムとネットワークを介して通信可能な端末であって、配送物の情報を入力する配送物情報入力手段と、前記配送物情報受信手段に、ネットワークを介して配送物の情報を送信する配送物情報送信手段と、を備える。
【0008】
本発明に係るプログラムは、上記端末で実行されるプログラムであって、前記端末を、配送物の情報を入力する配送物情報入力手段と、前記配送物情報受信手段に、ネットワークを介して配送物の情報を送信する配送物情報送信手段と、して機能させるためのものである。
【0009】
本発明に係る配送管理方法は、配送物が複数の配送拠点を経由して配送される配送処理を管理する配送管理方法であって、各配送拠点Nにおいて、配送物を次の配送拠点N+1に配送するタイミングを判断する判断ステップを有し、前記判断ステップにおいて、各配送拠点Nから次の配送拠点N+1に配送する予定の配送物の総容量または総重量が所定の基準容量または所定の基準重量を超えるまで当該配送拠点Nにおいて配送物を保管し、前記配送物の総容量または総重量が前記所定の基準容量または前記所定の基準重量を超えた場合に当該配送拠点Nから次の配送拠点N+1への配送物の配送を許可する第1の条件を有し、前記第1の条件において、配送拠点Nと次の配送拠点N+1とを結ぶ拠点間ルートごとに、前記配送物の総容量または総重量が前記所定の基準容量または前記所定の基準重量を超えるか否かを判断し、前記拠点間ルートにおける前記配送物の総容量または総重量が前記所定の基準容量または前記所定の基準重量を超える場合に、当該拠点間ルートにおける配送物の配送を許可する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、配送に日数がかかっても配送料金が安いサービスを利用したいとのニーズに応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る配送管理方法の概念図である。
【
図2】本実施形態に係る配送管理システムの構成図である。
【
図3】本実施形態に係る配送情報テーブルに記憶されるデータの一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る拠点間ルート別配送日数テーブルに記憶されるデータの一例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る配送拠点別保管日数テーブルに記憶されるデータの一例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る配送手段テーブルに記憶されるデータの一例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る配送用ケースの概要を示す斜視図である。
【
図8】本実施形態に係る配送用ケースのバリエーションを示す図である。
【
図9】本実施形態に係る受取処理を示すフローチャートである。
【
図10】本実施形態に係る配送管理処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る配送管理方法の概念図である。以下においては、まず、
図1に基づいて、本実施形態に係る配送管理方法について説明する。
【0013】
本実施形態に係る配送管理処理では、
図1に示すように、複数の配送拠点2~5がネットワーク状に接続されており、配送物Bは、各配送拠点2~5を順次経由して、受取場所2から引渡場所5まで配送される。
図1では、送付人Sが配送物Bを受取人Rに配送する場面を例示している。なお、以下においては、各配送拠点Nから次の配送拠点N+1までの大まかな配送方向(方面)を拠点間ルートと呼ぶ。たとえば、
図1に示す例においては、配送物Bは、受取場所2fから引渡場所5eまでを、受取場所2fから一次保管場所3bに向かう拠点間ルートC1fと、一次保管場所3bから二次保管場所4bに向かう拠点間ルートC2dと、二次保管場所4bから引渡場所5eに向かう拠点間ルートC3eとを経由して配送される。また、配送拠点Nから次の配送拠点N+1までの配送方面が複数ある場合、配送拠点Nを起点とする拠点間ルートは複数となる。たとえば
図1に示す例においては、一次保管場所3bを起点として、一次保管場所3bから二次保管場所4aに向かう拠点間ルートC2cと、一次保管場所3bから二次保管場所4b方面に向かう拠点間ルートC2dとがある。
【0014】
送付人Sは、配送物Bを配送する際に、ユーザ端末50にインストールした専用プログラムを起動し、配送物Bの配送情報を入力する。これにより、配送物Bの配送情報は、ユーザ端末50から配送管理サーバ10に送信され、配送管理サーバ10のデータベース11に記憶される。その後、送付人Sは、
図1に示すように、最寄りの受取場所2(たとえば
図1に示す例では受取場所2f)まで配送物Bを持参し、受取場所2に配送物Bを引き渡す。なお、受取場所2は、たとえば、新聞販売店、ガソリンスタンド、JA(農協)の支店、コンビニエンスストアなどである。
【0015】
受取場所2では、配送物Bを受け取ると、受取場所2に配備された読取端末42により、配送物Bの配送情報が取得される。たとえば、送付者Sがユーザ端末50の専用プログラムによりユーザ端末50のディスプレイに配送物Bの識別情報を表示し、配送物Bの識別情報を読取端末42で読み取ることで、読取端末42は配送物Bの配送情報を取得することができる。そして、読取端末42は、管理端末41を介して、配送物Bの識別情報を配送管理サーバ10に送信することで、配送管理サーバ10に記憶された配送物Bの配送状態が、たとえば「受取場所2で保管中」などに更新される。
【0016】
また、受取場所2において、1または複数の配送物Bは、配送用ケース60に収容される。配送用ケース60には、配送用ケース60の識別情報を記憶した二次元コード(たとえばQRコード(登録商標)61)およびICタグ(たとえばRFタグ62)が取り付けられており、ハンディ型の読取端末42によりQRコード61またはRFタグ62を読み取ることで、管理端末41を介して、配送用ケース60の識別情報が配送管理サーバ10に送信され、データベース11上で配送用ケース60とその中に収容された配送物Bとの関連付けが行われる。
【0017】
そして、配送物Bは、受取場所2において、拠点間ルートC1ごとに仕分けされ、各拠点間ルートC1で配送物Bを配送するトラックなどの配送手段により、拠点間ルートC1ごとに、受取場所2から一次保管場所3へと配送される。たとえば、
図1に示す例において、配送物Bは、拠点間ルートC1fを経由して、一次保管場所3bへと配送されるため、同じ拠点間ルートC1fを経由して一次保管場所3bへと配送される他の配送物と同じグループに仕分けられ、同じグループに仕分けられた他の配送物とともに拠点間ルートC1fを経由して一次保管場所3bへと配送される。なお、各配送拠点2~4では、配送物Bを出荷する際に、配送用ケース60のRFタグ62を読取端末42で非接触により一斉に読み取ることで、出荷される配送物に紐づけられた配送用ケース60の識別情報を配送管理サーバ10に送信することができ、これにより、配送管理サーバ10において、出荷される配送物の配送状態を「拠点間ルートC1を移動中」などに更新することができる。また、配送用ケース60のQRコード61を読取端末42で光学的に読み取ることで、出荷される配送物に紐づけられた配送用ケース60の識別情報を配送管理サーバ10に送信することもできる。
【0018】
一次保管場所3では複数の受取場所2から配送物が入荷され、次の配送拠点である二次保管場所4までの拠点間ルートC2ごとに配送物の仕分けが行われる。なお、各配送拠点3~5では、配送物を入荷すると、配送物を収容した配送用ケース60のRFタグ62を読取端末42で非接触により一斉に読み取ることで、入荷された配送物に紐づけられた配送用ケース60の識別情報を配送管理サーバ10に送信することができ、これにより、配送管理サーバ10において、入荷された配送物の配送状態を「配送拠点3~5で保管中」などに更新することができる。また、配送用ケース60のQRコード61を読取端末42で光学的に読み取ることで、入荷された配送物に紐づけられた配送用ケース60の識別情報を配送管理サーバ10に送信することもできる。
【0019】
一次保管場所3に保管されている配送物Bは、次のいずれかの条件を満たすと、二次保管場所4に配送される。なお、下記条件を満たしているかは、拠点間ルートごとに判断される。
条件1:配送物の総容量が、トラックなどの配送手段の空き容量に基づいて定められた所定の基準容量(たとえばトラックの荷台の空き容量の80%の容量など)を超えている。
条件2:配送物の配送期限日数と配送所要日数との差である滞留余裕日数が、所定の基準日数未満である配送物が存在する。
なお、条件2については、たとえば配送物Bの配送期限日数が20日であり、配送所要日数が18日である場合、残留余裕日数は2日となる。この場合、基準日数が3日の場合、配送物Bが「滞留余裕日数が所定の基準日数未満である配送物」となり、このような配送物Bが存在する拠点間ルートで配送される配送物(滞留余裕日数が所定の基準日数未満ではない配送物も含む)が配送されることとなる。
【0020】
さらに、二次保管場所4に配送された配送物Bは、拠点間ルートC3ごとに仕分けされ、引渡場所5まで配送される。また、配送物Bが引渡場所5に入荷されると、配送管理サーバ10から受取人Rに引渡場所5に配送物Bが配達された旨の通知が送信される。これにより、受取人Rは、引渡場所5まで赴いて配送物Bを受け取ることができる。また、配送物Bの配送に要した配送料金は、配送管理サーバ10により、送付人Sおよび/または受取人Rに課金されることとなる。
【0021】
本発明においては、各配送拠点2~5間において配送物を配送するトラックなどの配送手段は、配送業者が専用に手配したトラックだけではなく、印刷所から新聞配達所への新聞を配送した後のトラックの荷台、JAに食料などを納入した後のトラックの荷台、あるいは、ガソリンスタンドに灯油などを配達した後のトラックの荷台など、配送物の配送を専門としていない会社が手配したトラックなどの空きスペース(空き容量)も利用することで、配送コストを低く抑えることを可能としている。また、一次保管場所3から二次保管場所4への配送を行う配送手段は、トラックなどの自動車に限られず、二輪車、自転車、貨物列車、船舶などが用いられる場合もある。また、配送手段として、飛行機を用いる構成とすることもできるが、配送コストの観点から、飛行機を配送手段として用いない構成とすることが好ましい。
【0022】
《システム構成》
次に、本実施形態に係る配送管理システム1について説明する。
図2は、本実施形態に係る配送管理システム1の構成図である。本実施形態に係る配送管理システム1は、
図2に示すように、配送管理サーバ10と、WMS(Warehouse Management System、倉庫管理)サーバ20と、TMS(Transport Management System、輸配送管理)サーバ30と、各配送拠点2~5に配備された管理端末41および読取端末42と、ユーザが所有するユーザ端末50と、配送物を収容する配送用ケース60から構成される。以下に、各構成について説明する。
【0023】
配送管理サーバ10は、
図2に示すように、データベース11と、演算装置12と、記憶装置13と、通信装置14とを有する。
【0024】
データベース11は、本実施形態に係る配送管理処理に必要な情報を記憶した各種テーブルを格納する。具体的には、データベース11には、配送情報テーブル111、拠点間ルート別配送日数テーブル112、配送拠点別保管日数テーブル113および配送手段テーブル114が格納される。
【0025】
図3は、配送情報テーブル111に格納される情報の一例を示す図である。
図3に示すように、配送情報テーブル111には、配送物の識別情報(識別番号)、配送物の重量、配送物の大きさ、送付人の氏名や連絡先、引受人の氏名や連絡先、引渡場所など、配送物の配送に関する各種情報が記憶される。本実施形態において、配送物の大きさは、配送物が収容された配送用ケース60の大きさとすることができ、後述するように、最小の配送用ケース60を単位とした個数で定義される。また、配送情報テーブル111には、配送物がどの配送拠点2~5に保管されているか、あるいは、どの拠点間ルートC1~C3を配送されているかを表す配送状態(あるいは配送物の位置情報)も記憶される。さらに、配送物が収容されている配送用ケース60の識別情報(識別番号)も、各配送物に関連付けて、配送情報テーブル111に記憶される。
【0026】
図4は、拠点間ルート別配送日数テーブル112に格納される情報の一例を示す図である。
図4に示すように、拠点間ルート別配送日数テーブル112には、各拠点間ルートにおける配送日数が記憶される。配送日数とは配送手段(車両、船舶、鉄道など)が各拠点間ルートC1~C3を配送するために必要な日数であり、各配送拠点での滞留日数は含まれない。たとえば、拠点間ルートC1fにおいてトラックT1が配送物を配送するために1日かかる場合には、
図4に示すように、拠点間ルート別配送日数テーブル112には、拠点間ルートC1fの配送日数が「1日」と記憶される。本実施形態では、各拠点間ルートC1~C3の配送日数を予め調べておくことで、拠点間ルート別配送日数テーブル112に、各拠点間ルートC1~C3の配送日数が予め記憶されている。なお、配送日数は、各拠点間ルートC1~C3の距離や各拠点間ルートC1~C3を配送する配送手段の平均的な移動速度などに基づいて算出することもできる。
【0027】
また、
図5は、配送拠点別保管日数テーブル113に格納される情報の一例を示す図である。
図5に示すように、配送拠点別保管日数テーブル113には、配送拠点2~4ごと、拠点間ルートC1~C3ごとの配送物の保管日数が記憶されている。たとえば、
図5に示すように、一次保管場所3bからの拠点間ルートC2cについて保管日数が4日、拠点間ルートC2dについて保管日数が3日などのように、配送物の保管日数が記憶されている。本実施形態では、配送拠点2~4ごと、拠点間ルートC1~C3ごとに、配送物の保管日数の実績データを統計化し、保管日数の平均値、頻出値、中央値などを保管日数として算出し、配送拠点別保管日数テーブル113に予め記憶している。また、配送拠点別保管日数テーブル113は、周期的に、最新の実績データを用いて保管日数が更新される構成とすることができる。
【0028】
図6は、配送手段テーブル114に格納される情報の一例を示す図である。
図6に示すように、配送手段テーブル114には、各拠点間ルートC1~C3において配送物を配送可能な配送手段(たとえば車両、船舶、鉄道など)の情報が記憶される。ここで、本実施形態に係る配送管理システム1では、他社が手配したトラックなどの空きスペース(空き容量)も利用しており、1つの拠点間ルートにおいて複数の配送手段が存在する場合もあるし、1つの配送手段が複数の拠点間ルートを配送する場合もある。そのため、配送手段テーブル114には、拠点間ルートごと、配送手段ごとに、配送手段の情報が記憶される。
【0029】
また、配送手段テーブル114には、配送手段の位置情報や、配送手段の荷台の空き容量などのリアルタイムで変動する情報も記憶される。たとえば、配送手段が配送拠点で入荷手続または出荷手続を行っている場合は、その配送拠点の位置を配送手段の位置情報とし、配送手段が出荷手続を完了し配送拠点間を移動している場合は、配送拠点間を走行中などのように配送手段が走行する配送拠点間を示す位置を配送手段の位置情報として、配送手段テーブル114に記憶することができる。あるいは、配送管理サーバ10は、TMSサーバ30を介して、配送手段に設置された情報端末や配送手段の運転者が携帯する携帯端末から、配送手段のGPS位置情報(緯度経度情報)を取得することで、
図6に示すように、配送手段テーブル114における配送手段の位置情報をリアルタイムで更新することもできる。また、配送手段の荷物の空き容量は、たとえば最小の配送用ケース60で6個分、12個分、18個分の容量などの配送手段が配送可能な配送物の大きさ(容量)の情報である。本実施形態では、TMSサーバ30が配送手段の配送状況を把握しており、当該配送状況から、配送手段の荷台の空き容量を推測し、配送管理サーバ10に送信することで、配送手段テーブル114における配送物の荷台の空き容量の情報をリアルタイムで更新することができる。
【0030】
演算装置12は、本実施形態に係る配送管理処理を行うため、記憶装置13に記憶されている配送管理プログラムを実行することで、配送情報登録機能、滞留余裕日数算出機能、配送可否判断機能および配送指示機能の各機能を実行する。以下に、これらの機能について説明する。
【0031】
演算装置12の配送情報登録機能は、送付人Sがユーザ端末50から入力した配送物の配送情報を、配送情報テーブル111に記憶する。本実施形態では、送付人Sが配送物Bを配送する場合、まず、ユーザ端末50の専用プログラムを起動して、配送物の識別番号、送付人の氏名や連絡先、引受人の氏名や連絡先、引渡場所などの配送物Bの配送情報を入力し、配送管理サーバ10に配送物Bの配送情報を送信する。これにより、配送情報登録機能は、配送物の識別番号、送付人の氏名や連絡先、引受人の氏名や連絡先、引渡場所などの配送情報を、ユーザ端末50から通信装置14を介して受信し、データベース11の配送情報テーブル111に記憶する。また、本実施形態では、後述するように、受取場所2において、配送物の大きさや重量に基づいて、当該配送物を収容する配送用ケース60が決定され、配送物が対応する配送用ケース60に収容される。そのため、配送管理サーバ10は、配送物を収容した配送用ケース60の識別情報を管理端末41から受信した場合に、当該配送用ケース60のサイズに基づいて、配送物の重量(当該配送用ケース60の重量上限値とする)や配送物の大きさ(最小の配送用ケース60単位で何個分であるか)の配送情報を、データベース11の配送情報テーブル111に記憶する。
【0032】
また、本実施形態では、各配送拠点2~5における入荷手続または出荷手続において、配送物Bを収容する配送用ケース60のQRコード61またはRFタグ62の読み取りが読取端末42により行われると、配送物Bの配送状態を更新するための配送情報が、各配送拠点2~5の管理端末41から配送管理サーバ10へと送信される。配送情報登録機能は、配送物Bの配送状態を示す配送情報を各配送拠点2~5の管理端末41から受信した場合に、配送情報テーブル111における配送物の配送状態を、各配送拠点2~5の管理端末41から受信した配送物Bの配送状態に更新する。
【0033】
演算装置12の滞留余裕日数算出機能は、配送物ごとの滞留余裕日数を算出する。滞留余裕日数とは、配送物を配送拠点で滞留させることが可能な日数であり、配送物の配送期限と配送物の配送所要日数との差として求められる。具体的には、滞留余裕日数算出機能は、拠点間ルート別配送日数テーブル112から拠点間ルートC1~C3ごとの配送日数を取得するとともに、配送拠点別保管日数テーブル113から配送拠点2~4ごと、拠点間ルートC1~C3ごとの配送物の保管日数を取得する。そして、滞留余裕日数算出機能は、配送物Bごとに、配送物が現在保管されている配送拠点から引渡場所5までの間に経由する1または複数の拠点間ルートにおける配送日数の合計と、当該配送物が経由する1または複数の配送拠点における保管日数の合計とを足した日数を、配送所要日数として算出する。
【0034】
たとえば、
図1に示す例において、配送物Bが一次保管場所3bに保管されているものとする。今後、配送物Bは、拠点間ルートC2dを経由して二次保管場所4bに配送され、二次保管場所4bで保管された後に、拠点間ルートC3eを経由して引渡場所5eに配送される。この場合、拠点間ルートC2dの配送日数が3日、拠点間ルートC3eの配送日数が2日であり、二次保管場所4bにおける拠点間ルートC3eの配送物の保管日数が5日とする。この場合、残留余裕日数算出機能は、拠点間ルートC2dの配送日数の「3日」+二次保管場所4bの保管日数の「5日」+拠点間ルートC3eの配送日数の「2日」=10日を、配送所要日数として算出することができる。
【0035】
そして、滞留余裕日数算出機能は、配送物の配送期限日数と配送所要日数との差(配送期限日数-配送所要日数)を滞留余裕日数として算出する。なお、配送物の配送期限日数は、当初の配送期限日数ではなく、現時点での配送期限日数とする。たとえば、当初の配送期限日数が30日であり、現時点で10日経過している場合、滞留余裕日数算出機能は、配送期限日数を20日として算出する。また、滞留余裕日数算出機能は、一次保管場所3bに保管されている配送物Bの配送所要日数が10日であり、現時点での配送期限日数が20日である場合には、配送期限日数の20日-配送所要日数の10日=10日を、滞留余裕日数として算出する。なお、配送期限日数(当初の配送期限日数)は、特に限定されないが、本実施形態に係る配送管理システム1は配送に日数がかかっても配送料金が安いサービスを利用したいとのニーズに応えるものであるため、3日以上、好ましくは5日以上、より好ましくは10日以上の日数とされる。
【0036】
演算装置12の配送可否判断機能は、配送物を現在の配送拠点Nから次の配送拠点N+1に配送するタイミングか否かの判断を行う。具体的には、配送可否判断機能は、まず、配送手段テーブル114を参照し、配送拠点Nから次の配送拠点N+1に配送物を配送可能な配送手段の情報を抽出する。そして、配送可否判断機能は、抽出した配送手段の空きスペースの情報に基づいて、配送物を現在の配送拠点Nから次の配送拠点N+1に配送するか否かを判断するための基準容量を設定する。たとえば、配送可否判断機能は、配送手段の空きスペース(空き容量)に対して8割の容量を基準容量として設定することができる。この場合、配送手段の空きスペースが、配送用ケース60で10個分の空き容量である場合、配送可否判断機能は、配送用ケース60で8個分の容量を、基準容量として設定することができる。また、配送拠点Nから次の配送拠点N+1に配送物を配送可能な配送手段が複数ある場合には、配送可否判断機能は、各配送手段について、各配送手段の空きスペースに基づいた基準容量を設定することができる。
【0037】
そして、配送可否判断機能は、現在の配送拠点Nから次の配送拠点N+1までの拠点間ルートにおいて配送される配送物の総容量が、各配送手段の空き容量に基づいて設定された所定の基準容量を超える場合には、当該拠点間ルートについて配送物を配送することを許可する。たとえば、一次保管場所3bから二次保管場所4bに配送物を配送する場合、拠点間ルートC2dを配送可能な配送手段がトラックT1であり、このトラックT1の空き容量に基づいて設定された基準容量が配送用ケース60で8個分の容量であった場合、配送可否判断機能は、一次保管場所3bから二次保管場所4bまでの拠点間ルートC2dにおいて配送される配送物が、配送用ケース60で8個分を超えるか否かを判断する。そして、拠点間ルートC2dにおいて配送される配送物が配送用ケース60で9個以上である場合には、配送可否判断機能は、トラックT1により拠点間ルートC2dの配送物を配送することを許可する。一方、拠点間ルートC2dにおいて配送される配送物が配送用ケース60で8個以下である場合には、配送可否判断機能は、トラックT1による拠点間ルートC2dの配送は許可せず、配送物を一次保管場所3dでそのまま保管するように判断する。
【0038】
なお、本実施形態においては、後述するように、異なる複数のサイズの配送用ケース60が利用される(
図8参照)。複数のサイズの配送用ケース60を用いる場合、最もサイズが小さい配送用ケース60を単位として、配送物の容量、配送手段の空き容量、および基準容量が設定される。たとえば、一次保管場所3bから二次保管場所4bに配送物を配送する場合、拠点間ルートC2dを配送可能な配送手段の空き容量に基づいて設定された基準容量が、最もサイズが小さい60サイズの配送用ケース60で8個分の容量であった場合、配送可否判断機能は、一次保管場所3bから二次保管場所4bまでの拠点間ルートC2dにおいて配送される配送物が、60サイズの配送用ケース60で8個分を超えるか否かを判断する。そして、拠点間ルートC2dにおいて配送される配送物が、60サイズの配送用ケース60で9個以上である場合には、配送可否判断機能は、トラックT1により拠点間ルートC2dの配送物を配送することを許可することとなる。なお、この場合、配送可否判断機能は、配送拠点に60サイズの配送用ケース60が2つ入る80サイズ(詳細は後述する)の配送用ケース60が1個存在する場合には、2個の60サイズの配送用ケース60が配送拠点に存在するものとして、配送判断を行う。
【0039】
さらに、配送可否判断機能は、1つの拠点間ルートを配送可能な配送手段が複数ある場合には、各配送手段の空き容量に基づいて基準容量を配送手段ごとに設定し、配送物の総容量が基準容量を超えた配送手段に対して配送物を配送することを許可する構成とすることができる。また、配送可否判断機能は、複数の配送手段について配送物の配送が許可されている場合には、そのうち、荷台の空き容量が最も多い配送手段に配送を許可してもよいし、現在の配送拠点Nから最も近い配送手段により配送を許可する構成としてもよい。また、本実施形態において、配送可否判断機能は、TMSサーバ30からリアルタイムで各配送手段の荷台の空き容量の情報を取得することで、配送手段ごとに基準容量を設定する構成としたが、この構成に限定されず、たとえば、配送手段ごとに配送物を配送するための空き容量を予め確保しておく構成とすることができる。この場合、予め確保された空き容量に基づいて各配送手段の基準容量を予め配送手段テーブル114に記憶させておくことができ、配送手段テーブル114から配送手段ごとの基準容量を取得することで、配送物の配送を許可する配送手段を選択することができる。
【0040】
また、配送可否判断機能は、配送物ごとに、配送物の滞留余裕日数が所定の基準日数未満であるか否かを判断する。そして、配送可否判断機能は、滞留余裕日数が所定の基準日数未満である配送物が存在する場合には、その配送物が配送される拠点間ルートについて配送物の配送を許可する。これにより、現在の配送拠点Nから次の配送拠点N+1までの拠点間ルートにおいて配送される配送物の総容量が、各配送手段の空き容量に基づいて設定された所定の基準容量を超えていない場合でも、滞留余裕日数が所定の基準日数未満である配送物が存在する場合には、その配送物が配送される拠点間ルートについては、配送物の配送が許可される。一方、配送可否判断機能は、滞留余裕日数が所定の基準日数未満の配送物がない拠点間ルートについては、現在の配送拠点Nから次の配送拠点N+1までの拠点間ルートにおいて配送される配送物の総容量が、各配送手段の空き容量に基づいて設定された所定の基準容量を超えていない限り、配送物を現在の配送拠点Nで保管した状態のままとする。
【0041】
たとえば、一次保管場所3bに保管されている配送物のうち、拠点間ルートC2dで配送される1つの配送物B1について、滞留余裕日数が2日であり、所定の基準日数が3日であるとする。この場合、配送可否判断機能は、配送物B1について、滞留余裕日数の2日が基準日数の3日未満であると判断し、配送物B1だけではなく、一次保管場所3bに保管され拠点間ルートC2dで配送される配送物の配送を許可する。なお、所定の基準日数は、配送管理方法に合わせて適宜設定することができる。
【0042】
このように、配送可否判断機能は、拠点間ルートごとに、配送物の総容量が配送手段の基準容量を超えるか(条件1)、または、滞留余裕日数が所定の基準日数未満である配送物が存在するか(条件2)を判断する。そして、配送可否判断機能は、いずれか一方の条件でも満たす場合には、当該拠点間ルートにおいて配送物を配送することを許可し、いずれの条件も満たさない場合には、当該拠点間ルートにおいて配送物を配送することができないと判断して、当該拠点間ルートで配送する配送物を現在の配送拠点Nに保管したままとする。
【0043】
演算装置12の配送指示機能は、配送可否判断機能により許可された配送物を配送するための各指示を行う。具体的には、配送指示機能は、
図2に示すように、通信装置14を介して、TMSサーバ30に輸配送指示を送信する。TMSサーバ30は、輸配送指示を配送管理サーバ10から受信すると、通信装置33を介して、各配送手段に配送物の輸配送指示を送信する。たとえば、配送指示機能は、配送物の総容量が配送手段の基準容量を超えた拠点間ルートがある場合、当該拠点間ルートを配送する配送手段に対して配送物を配送するように、TMSサーバ30に輸配送指示を送信することができる。また、配送指示機能は、滞留余裕日数が所定の基準日数未満である配送物が存在する拠点間ルートがある場合、当該拠点間ルートを配送する配送手段に対して配送物を配送するように、TMSサーバ30に輸配送指示を送信することができる。なお、1つの拠点間ルートに配送物を配送可能な配送手段が複数存在する場合には、予め定めた優先順位などに基づいて、1つの配送手段に輸配送指示を行うように構成することもできる。
【0044】
また、配送指示機能は、通信装置14を介して、WMSサーバ20に対して、配送物の出荷元に対する出荷指示と、配送物の出荷先に対する入荷指示とを送信する。WMSサーバ20は、入荷指示を配送管理サーバ10から受信すると、通信装置23を介して、出荷元の配送拠点に配備された管理端末41に、配送物の出荷指示を送信する。これにより、出荷元の配送拠点において、受信した出荷指示に基づいて、配送物の仕分けや荷積みなどの出荷手続が行われる。また、WMSサーバ20は、入荷指示を配送管理サーバ10から受信すると、通信装置23を介して、出荷先の配送拠点に配備された管理端末41に、配送物の入荷指示を送信する。これにより、出荷先の配送拠点において、受信した入荷指示に基づいて、保管場所の確保、配送物の積み降ろし、配送物の保管などの入荷手続が行われる。
【0045】
なお、出荷元の配送拠点における出荷手続では、出荷する配送物を収容した配送用ケース60に取り付けられたRFタグ62を、出荷元の配送拠点に配備された読取端末42で一斉に読み取ることで、出荷する配送物を収容する配送用ケース60の識別情報が、管理端末41を介して配送管理サーバ10へと送信される。これにより、配送管理サーバ10において、受信した配送用ケース60の識別情報に基づいて出荷される配送物を特定することができ、出荷する配送物の配送状態が「次の拠点間ルートを移動中」などに更新される。たとえば、
図1に示す例において、配送物Bが一次保管場所3bから二次保管場所4bに出荷された場合、配送物Bの配送状態は「拠点間ルートC2dを移動中」などに更新される。また、出荷先の配送拠点における入荷手続では、入荷した配送物を収容した配送用ケース60に取り付けられたRFタグ62を、出荷先の配送拠点に配備された読取端末42で一斉に読み取ることで、入荷した配送物を収容する配送用ケース60の識別情報が、管理端末41を介して配送管理サーバ10に送信される。これにより、配送管理サーバ10において、受信した配送用ケース60の識別情報に基づいて入荷した配送物を特定することができ、入荷した配送物の配送状態が「出荷先の配送拠点で保管中」などに更新される。たとえば、
図1に示す例において、配送物Bが二次保管場所4bに入荷された場合、配送物Bの配送状態は「二次保管場所4bで保管中」などに更新される。
【0046】
次に、WMSサーバ20について説明する。WMSサーバ20は、
図2に示すように、演算装置21と、記憶装置22と、通信装置23とを有し、記憶装置22に記憶した倉庫管理プログラムを演算装置21により実行することで、以下に説明する倉庫管理処理を実行する。
【0047】
たとえば、配送管理サーバ10において配送物を配送する条件が満たされた場合、配送管理サーバ10は、出荷する配送物の情報と、出荷元の配送拠点の情報と、出荷先の配送拠点の情報とを含めた、出荷指示および入荷指示を、WMSサーバ20に送信する。WMSサーバ20は、通信装置23を介して、出荷元の配送拠点の出荷指示と、出荷先の配送拠点の入荷指示とを配送管理サーバ10から受信し、
図2に示すように、出荷元の配送拠点に配備された管理端末41に出荷指示を送信し、また、出荷先の配送拠点に配備された管理端末41に入荷指示を送信する。これにより、出荷元の配送拠点において配送物の出荷手続が行われ、出荷先の配送拠点において配送物の入荷手続が行われる。
【0048】
次に、TMSサーバ30について説明する。TMSサーバ30は、
図2に示すように、演算装置31と、記憶装置32と、通信装置33とを有する。TMSサーバ30も、記憶装置32に記憶した輸配送管理プログラムを演算装置31で実行することで、以下に説明する輸配送管理処理を実行する。
【0049】
たとえば、配送管理サーバ10において配送物を配送する条件が満たされた場合、配送管理サーバ10は、出荷する配送物の情報、出荷元の配送拠点の情報、出荷先の配送拠点の情報、配送物を配送する拠点間ルートの情報、あるいは、配送物を配送可能な配送手段の情報を含む配送物の輸配送指示を、TMSサーバ30に送信する。TMSサーバ30は、配送管理サーバ10から輸配送指示を受信すると、当該輸配送指示に基づいて、配送物を配送可能な配送手段を特定し、当該配送手段が配送物を配送するように、配送手段に輸配送指示を行う。なお、本実施形態では、配送手段に情報端末が設置されており、または、配送手段の運転者が携帯端末を有しており、TMSサーバ30から、配送手段の情報端末や運転者の携帯端末に輸配送情報を送信することで、各配送手段に輸配送手続(出荷元の配送拠点での配送物の引き取り、拠点間ルートにおける配送物の配送、出荷先の配送拠点での配送物の引き渡し)を行わせることができる。
【0050】
次に、本実施形態に係る管理端末41および読取端末42について説明する。配送管理システム1では、各配送拠点2~5に、管理端末41および読取端末42が配備されている。管理端末41と読取端末42とは、有線または無線により接続されており、読取端末42で読み取った情報は管理端末41に送信される。また、管理端末41は、電気通信回線を介して、配送管理サーバ10と接続しており、配送管理サーバ10と情報の授受が可能となっている。たとえば、送付人Sが配送物Bを受取場所2に持ち込むと、受取場所2の読取端末42により、配送物Bの識別情報(たとえば識別番号)が読み取られ、管理端末41へと送信される。これにより、管理端末41は、配送物Bの識別情報と、配送物Bの配送状態を示す「受取場所2で保管中」との情報を、配送管理サーバ10に送信する。その結果、配送管理サーバ10の配送情報テーブル111において、配送物Bの配送状態が「受取場所2で保管中」に更新される。なお、読取端末42で読み取った情報を、配送管理サーバ10に直接送信する構成とすることもできる。
【0051】
また、受取場所2においては、配送物Bが配送用ケース60に収容される。この配送用ケース60には、当該配送用ケース60の識別情報を記憶したQRコード61およびRFタグ62が取り付けられており、配送物Bと配送用ケース60とを対応付けることができる。すなわち、管理端末41は、QRコード61またはRFタグ62に記憶された、配送物Bを収容した配送用ケース60の識別情報と、当該配送物Bの識別情報とを関連付けて配送管理サーバ10に送信することができ、これにより、配送情報テーブル111において、配送物Bを収容した配送用ケース60の識別情報も、当該配送物Bの配送情報として記憶される。なお、読取端末42は、QRコード61および/またはRFタグ62を読み取るための装置であり、QRコード61および/またはRFタグ62を非接触にて読み取ることができる。読取端末42の読取範囲を数~十数メートルとすることで、読取端末42は、一度に複数の配送用ケース60の識別情報を読み取ることができる。本実施形態においては、読取端末42として、QRコード61およびRFタグ62の両方を1台で読取可能な端末を例示しているが、この構成に限定されず、QRコード61読み取り用の読取端末42と、RFタグ62読み取り用の読取端末42とをそれぞれ用いる構成としてもよい。また、スマートフォンを用いて読取端末42を構成してもよい。たとえば、カメラによりQRコード61を読み取り可能なスマートフォンに、RFタグ62を読取可能とするためのアタッチメントを取り付けることで、スマートフォンをQRコード61およびRFタグ62を読取可能な読取端末42として利用することができる。また、読取端末42は、ハンディタイプの端末装置であってもよいし、たとえば配送用ケース60が搬送されるコンベア上部などに固定された端末装置であってもよい。
【0052】
また、各配送拠点2~5の管理端末41は、配送物の入荷指示や出荷指示を、WMSサーバ20から受信する。各配送拠点2~5では、受信した入荷指示や出荷指示に基づいて、配送手段により配送された配送物を配送拠点に入荷する入荷手続や、配送手段に配送物を引き渡す出荷手続が行われる。また、本実施形態では、入荷手続を行う際に、入荷する配送物を収容する配送用ケース60の識別情報が読取端末42により一斉に読み取られる。管理端末41は、取得した配送用ケース60の識別情報に基づいて、各配送物の配送情報を配送管理サーバ10から受信することで、入荷した配送物を拠点間ルートごとに仕分けさせることができる。また、管理端末41は、配送用ケース60の識別情報を配送管理サーバ10へと送信することで、配送情報テーブル111において記憶される配送物の配送状態を、たとえば「拠点間ルートC1fを移動中」から「配送拠点3bで保管中」などに更新することができる。同様に、出荷手続を行う際に、出荷する配送物を収容する配送用ケース60の識別情報が読取端末42により一斉に読み取られる。これにより、管理端末41は、配送用ケース60の識別情報を配送管理サーバ10へと送信することで、配送情報テーブル111において記憶される配送物の配送状態を、たとえば「配送拠点3bで保管中」から「拠点間ルートC2dを移動中」などに更新することができる。
【0053】
次に、本実施形態に係るユーザ端末50について説明する。ユーザ端末50は、送付人Sや受取人Rがそれぞれ所有する情報端末であり、たとえばスマートフォンやタブレット、パーソナルコンピューターなどが挙げられる。ユーザ端末50は、電気通信回線を介して配送管理サーバ10と通信が可能であり、ユーザ端末50で配送物Bの配送情報を入力することで、配送物Bの配送情報を配送管理サーバ10に送信することができる。また、ユーザ端末50は、配送物の受取通知、配送物の引渡場所への出荷通知や到達通知などを、配送管理サーバ10から受信することもできる。なお、ユーザ端末50に、配送管理処理専用のプログラムをインストールし、当該プログラムを起動することで、配送物Bの配送情報を入力し、配送管理サーバ10に送信する構成とすることもできるし、ユーザ端末50でウェブブラウザを起動することで、ウェブブラウザ上で配送物Bの配送情報を入力し、配送物Bの配送情報を配送管理サーバ10に送信する構成とすることでもきる。また、ユーザ端末50は、本実施形態に係る配送管理システム1による配送に関する費用を支払う機能を有することもできる。
【0054】
配送用ケース60は、配送物Bの配送に際して、配送物Bを収容するための専用の梱包材であり、繰り返し利用される。ここで、
図7は、本実施形態に係る配送用ケース60の概要を示す斜視図である。
図7に示すように、配送用ケース60の外側表面には、QRコード61が描画されており、QRコード61を読取端末42で読取可能となっている。また、
図7に示すように、配送用ケース60には、RFタグ62も取り付けられており、RFタグ62に記憶された情報を読取端末42で読取可能となっている。QRコード61およびRFタグ62には、配送用ケース60の識別情報が記憶されており、読取端末42は、QRコード61およびRFタグ62を読み取ることで、配送用ケース60の識別情報を取得することができる。そのため、配送用ケース60に配送物Bを収容することで、配送物Bを配送用ケース60で識別することが可能となる。なお、読取端末42で読み取られた配送用ケース60の識別情報は、管理端末41を介して配送管理サーバ10に送信され、その配送用ケース60に収容された配送物Bの配送情報と関連付けて配送情報テーブル111に記憶される。
【0055】
また、本実施形態では、
図8に示すように、異なる複数のサイズの配送用ケース60が使用される。ここで、
図8(A)は、本実施形態に係る配送用ケース60のうち最も小さい60サイズの配送用ケースであり、高さ、幅、奥行きの合計が約60cmとなっている。また、
図8において、(B)は80サイズ(高さ、幅、奥行きの合計が約80cm)の配送用ケース60であり、60サイズの配送用ケース60が2つ入る大きさとなっている。同様に、(C)は100サイズ(高さ、幅、奥行きの合計が約100cm)で60サイズの配送用ケース60が4つ入る大きさの配送用ケース60であり、(D)は120サイズ(高さ、幅、奥行きの合計が約120cm)で60サイズの配送用ケース60が8つ入る大きさの配送用ケース60であり、(E)は140サイズ(高さ、幅、奥行きの合計が約140cm)であり、60サイズの配送用ケース60が16個入る大きさの配送用ケース60であり、(F)は160サイズ(高さ、幅、奥行きの合計が約160cm)であり、60サイズの配送用ケース60が24個入る大きさの配送用ケース60である。
【0056】
本実施形態では、原則として、60サイズの配送用ケース60に入れられる配送物は、60サイズの配送用ケース60に収容して配送され、60サイズの配送用ケース60に収容できない大きさの配送物は、その配送物が収容できる最も容量の小さい配送用ケース60に収容されることとなる。また、本実施形態では、配送用ケース60ごとに、収容可能な配送物の重量上限値が設けられている。たとえば、60サイズの配送用ケース60では2kg、80サイズの配送用ケース60では5kg、100サイズの配送用ケース60では10kgなどである。これにより、60サイズの配送用ケース60に収容可能な容量の配送物でも、その重量が3kgである場合、60サイズの配送用ケース60の重量上限値を超えるため、その配送物は80サイズの配送用ケース60に収容されることとなる。このように配送用ケース60のサイズごとに、収容可能な配送物の重量の上限値を設けることで、配送物を搬送する配送手段が過重積載となることを有効に防止することができる。
【0057】
次に、本実施形態に係る配送管理システム1の配送管理処理を、
図9および
図10に基づいて説明する。
図9は配送物の受取処理を示すフローチャートであり、
図10は配送管理処理を示すフローチャートである。なお、
図9に示す受取処理は、受取場所2において配送物Bを受け取る場合に実行される。また、
図10に示す配送管理処理は、各配送拠点2~4における配送物の配送可否を判断するものであり、拠点間ルートごとに配送物の配送が可能か否か、一定時間ごとに判断される。
【0058】
まず、
図9に示す受取処理について説明する。ステップS101では、ユーザ端末50により、配送物Bの配送情報が入力される。たとえば、送付人Sは、ユーザ端末50に専用プログラムを予めインストールしておき、当該専用プログラムを起動することで、ユーザ端末50から、配送物Bの配送に必要な配送情報を入力することができる。ユーザ端末50において入力される配送情報には、配送物Bの識別番号、受取場所2、引渡場所5、送付人Sの氏名や連絡先、受取人Rの氏名や連絡先などが含まれる。ユーザ端末50において入力された配送物Bの配送情報は、電気通信回線を介して配送管理サーバ10に送信され、データベース11の配送情報テーブル111に格納される。また、本実施形態においては、受取場所2での配送物Bの受取処理を促進するために、配送管理サーバ10に格納された配送物Bの配送情報を識別するための、配送物Bの識別番号が、ユーザ端末50に記憶される。そして、配送物Bの配送情報がデータベース11に登録された後に、配送人Sが配送物Bを最寄りの受取場所2に持ち込むことで、ステップS102に進む。
【0059】
ステップS102では、受取場所2の読取端末42により、配送物Bの配送情報の読み取りが行われる。たとえば、本実施形態では、送付人Sのユーザ端末50に配送物Bの識別情報が記憶されており、たとえばQRコードなどの態様で、配送物の識別情報をユーザ端末50のディスプレイに表示することができる。この場合、読取端末42は、ユーザ端末50のディスプレイに表示されたQRコードをスキャンすることで、配送物Bの識別情報を取得し、管理端末41に送信する。管理端末41は、配送管理サーバ10にアクセスすることで、配送物Bの識別情報に基づいて、配送物の配送情報を取得することができる。また、受取場所2では、配送物の重量や大きさに基づいて、配送物を収容する配送用ケース60が決定される。具体的には、配送物を収容できる容量であり、かつ、配送物の重量が重量上限値を超えない配送用ケース60のうち最も小さいサイズの配送用ケース60が、当該配送物に対応する配送用ケース60として決定される。これにより、管理端末41は、配送物を収容する配送用ケース60の識別情報を配送管理サーバ10に送信することで、配送管理サーバ10において、配送用ケース60のサイズに基づいて、配送物の重量や配送物の大きさ(最小の配送用ケース60単位で何個分であるか)の配送情報が、配送情報テーブル111に記憶される。
【0060】
ステップS103では、配送管理サーバ10の配送情報登録機能により、配送物Bの識別情報と当該配送物Bを収容する配送用ケース60の識別情報との関連付けが行われる。配送用ケース60には、QRコード61が取り付けられており、読取端末42を用いて、配送物Bを収容した配送用ケース60に取り付けたQRコード61を読み取ることで、管理端末41は、配送用ケース60の識別情報も取得することができる。そして、管理端末41は、ステップS102で取得した配送物の識別情報と、このステップS103で取得した配送用ケース60の識別情報とを関連付けて、配送管理サーバ10に送信する。これにより、配送管理サーバ10では、配送物Bの配送情報に、当該配送物Bを収容する配送用ケース60の識別情報を関連づけて、配送情報テーブル111に記憶する。また、続くステップS104では、配送管理サーバ10により、配送情報テーブル111の配送物の配送状態が「受取場所2で保管中」に更新される。
【0061】
以上のように、本実施形態に係る受取処理が行われる。次に、
図10に基づいて、本実施形態に係る配送管理処理について説明する。
【0062】
まず、ステップS201では、配送管理サーバ10の配送可否判断機能により、配送拠点ごと、拠点間ルートごとの配送物の総容量が算出される。たとえば、配送可否判断機能は、配送情報テーブル111に記憶した各配送物の配送情報に基づいて、各配送拠点Nで管理している配送物を次の配送拠点N+1に配送する際の拠点間ルートを特定する。そして、配送可否判断機能は、配送物を拠点間ルートごとに分類し、各配送物の配送情報に基づいて、各拠点間ルートにおける配送物の総容量を算出する。
【0063】
続くステップS202~S205では、配送管理サーバ10の滞留余裕日数算出機能により、配送物ごとの滞留余裕日数を算出する処理が行われる。そのため、ステップS202~S205では、各処理が、配送物ごとに実施されることとなる。
【0064】
具体的には、ステップS202では、滞留余裕日数算出機能により、配送物ごとに、各拠点間ルートでの配送日数の合計値が算出される。たとえば、滞留余裕日数算出機能は、各配送物の配送情報に基づいて、各配送物の配送経路(現在の配送拠点から引渡場所までに経由する拠点間ルートおよび配送拠点)を特定する。そして、滞留余裕日数算出機能は、データベース11に格納されている拠点間ルート別配送日数テーブル112を参照し、各配送物が現在の配送拠点から引渡場所5までに経由する全ての拠点間ルートの配送日数の合計値を、配送物ごとに算出する。
【0065】
ステップS203では、滞留余裕日数算出機能により、配送物ごとに、各配送拠点での保管日数の合計値が算出される。たとえば、滞留余裕日数算出機能は、データベース11に格納されている配送拠点別保管日数テーブル113を参照し、各配送物が現在の配送拠点から引渡場所5までに経由する全ての配送拠点の保管日数の合計値を、配送物ごとに算出する。
【0066】
ステップS204では、滞留余裕日数算出機能により、各配送物の配送所要日数が算出される。具体的には、残留余裕日数算出機能は、ステップS202で算出した各拠点間ルートでの配送日数の合計値と、ステップS203で算出した各配送拠点での保管日数の合計値とを足し合わせた日数を、配送所要日数として、配送物ごとに算出する。
【0067】
ステップS205では、滞留余裕日数算出機能により、各配送物の残留余裕日数の算出が行われる。具体的には、残留余裕日数算出機能は、まず、各配送物の配送期限日数を取得する。なお、配送期限日数は、たとえば専用のテーブルに記憶しておいてもよいし、また配送情報テーブル111に配送情報として記憶しておいてもよい。そして、残留余裕日数算出機能は、各配送物の配送期限日数と、ステップS204で算出した各配送物の配送所要日数との差を、各配送物の残留余裕日数として算出する。
【0068】
続いて、ステップS206~S210では、拠点間ルートごとに処理が行われる。以下においては、処理が行われる拠点間ルートを対象拠点間ルートと称して説明する。
【0069】
まず、ステップS206では、配送管理サーバ10の配送可否判断機能により、ステップS101で算出した対象拠点間ルートにおける配送物の総容量が、配送手段の空き容量に基づいて設定された所定の基準容量を超えるか否かの判断が行われる。たとえば、本実施形態において、配送可否判断機能は、配送手段テーブル114を参照して、対象拠点間ルートにおいて配送が可能な配送手段を特定する。また、配送可否判断機能は、配送手段テーブル114に記憶された各配送手段の空き容量の情報に基づいて、対象拠点間ルートにおいて配送が可能な配送手段ごとに、基準容量(たとえば配送手段の荷台の空き容量の8割の容量)を設定する。そして、配送可否判断機能は、対象拠点間ルートにおける配送物の総容量が、設定した所定の基準容量を超える場合には、対象拠点間ルートにおける配送物の配送を許可する。なお、対象拠点間ルートについて複数の配送手段が存在し、そのうち一部の配送手段の空き容量に基づいて設定した基準容量のみを超える場合には、当該一部の配送手段による配送のみを許可してもよい。配送可否判断機能により配送物の配送が許可された場合、処理はステップS208に進む。一方、対象拠点間ルートにおける配送物の総容量が所定の基準容量以下である場合には、処理はステップS207に進む。
【0070】
ステップS207では、配送可否判断機能により、対象拠点間ルートにおいて、ステップS205で算出した滞留余裕日数が、所定の基準日数未満である配送物が存在するか否かの判断が行われる。滞留余裕日数が所定の基準日数未満である配送物が存在する場合には、対象拠点間ルートについて配送物を配送するため、ステップS208に進む。一方、滞留余裕日数が所定の基準日数未満である配送物が存在しない場合には、ステップS211に進む。
【0071】
ステップS208では、配送管理サーバ10の配送指示機能により、対象拠点間ルートにおける配送物の輸配送指示が行われる。具体的には、配送指示機能は、対象拠点間ルートにおいて配送物を配送させるための輸配送指示を、TMSサーバ30に送信する。これにより、TMSサーバ30は、配送物を配送するための配送手段を選択し、選択した配送手段に配送物の輸配送指示を送信する。その結果、配送手段が対象拠点間ルートにおいて配送物を配送することとなる。
【0072】
また、ステップS209およびステップS210では、配送指示機能により、対象拠点間ルートにおける配送物の入荷指示および出荷指示が、WMSサーバ20に送信される。WMSサーバ20は、出荷元の配送拠点に配備された管理端末41に、対象拠点間ルートに向けた配送物の出荷指示を送信し、これにより、出荷元の配送拠点において、対象拠点間ルートに向けた配送物の出荷手続が行われる。また、WMSサーバ20は、入荷先の配送拠点に配備された管理端末41に、対象拠点間ルートからの配送物の入荷指示を送信し、これにより、入荷先の配送拠点において、対象拠点間ルートからの配送物の入荷手続が行われる。その後、処理はステップS211に進む。
【0073】
ステップS211では、配送可否判断機能により、全ての拠点間ルートについてステップS206~S210の処理を行ったか否かの判断が行われる。全ての拠点間ルートについてステップS206~S210の処理を行っていない場合には、処理が行われていない拠点間ルートを対象拠点間ルートとして、ステップS206~S210の処理が行われる。また、全ての拠点間ルートについて、ステップS206~S210の処理が行われた場合には、ステップS201に戻り、再度、ステップS201から処理が繰り返される。
【0074】
以上のように、本実施形態に係る配送管理システム1は、各配送拠点を結ぶ拠点間ルートごとの配送物の総容量が配送手段の空き容量に基づいて定められた所定の基準容量を超えるか否かを判断し、配送物の総容量が所定の基準容量を超えた拠点間ルートにおける配送物の配送を指示する。これにより、本実施形態に係る配送管理システム1では、当該拠点間ルートにおける配送手段の積載率を高めることができ、配送料金を低くすることができる。すなわち、従来の配送管理システムでは、配送期間が比較的短く(たとえば2~3日程度で)設定されており、その配送期間を遵守するために配送手段の積載率が低い場合でも、配送物の配送を行っていた。そのため、従来は、配送期間は短いが、配送料金が割高となっており、配送に日数がかかっても配送料金が安いサービスを利用したいというニーズに応えることができなかった。これに対して、本実施形態に係る配送管理システム1では、拠点間ルートごとの配送物の総容量が配送手段の空き容量に基づいて定められた所定の基準容量を超えるまで配送拠点で保管し、拠点間ルートごとの配送物の総容量が所定の基準容量を超えた場合に配送を指示することで、配送手段の積載率を高めることができ、配送に日数がかかっても配送料金が安いサービスを利用したいとのニーズに応えることができる。
【0075】
また、本実施形態に係る配送管理システム1では、拠点間ルートごとに、滞留余裕日数が所定の基準日数未満である配送物が存在するか否かを判断し、滞留余裕日数が所定の基準日数未満である配送物が存在する拠点間ルートについては、配送物の総容量が所定の基準容量を超えていない場合でも、当該拠点間ルートにおいて配送物の配送を許可する。これにより、本実施形態に係る配送管理システム1では、配送物が当初定められた配送期限日数を超えて配送されてしまうことを有効に防止することができる。
【0076】
さらに、本実施形態に係る配送管理システム1では、送付人Sが受取場所2まで配送物Bを持ち込み、また、受取人Rが引渡場所5に配送物Bを引き取りに行く構成であるため、配送業務の全体的な業務量を低減させることができ、配送業に従事する人の数が減少している近年の状況に対応することができるとともに、安いサービスを利用したいとの顧客のニーズに応えることもできる。
【0077】
また、本実施形態に係る配送管理システム1では、配送業者は専門の配送業者に限定されず、他社が手配したトラックなどの空き積載スペースも利用することができ、配送コストを低く抑えることが可能となる。すなわち、本実施形態に係る配送管理システム1では、専門の配送業者の配送手段の他に、新聞配達所、JA、ガソリンスタンドなどに定期的に配送する配送手段を管理して、これら配送手段にも輸配送指示を行うことができるため、印刷所から新聞配達所への新聞を配送した後のトラックの荷台、JAに食料などを納入した後のトラックの荷台、あるいは、ガソリンスタンドに灯油などを配達した後のトラックの荷台などを利用して、配送物を配送することができる。このように、今まで活用されていなかった配送手段の荷台の空き容量を活用することで、より低コストで配送サービスを提供することが可能となる。
【0078】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0079】
たとえば、上述した実施形態では、各配送拠点Nから次の配送拠点N+1に配送する予定の配送物の総容量が所定の基準容量を超えるまで当該配送拠点Nにおいて配送物を保管し、配送物の総容量が所定の基準容量を超えた場合に当該配送拠点Nから次の配送拠点N+1への配送物の配送を許可する構成を例示したが、この構成に限定されず、各配送拠点Nから次の配送拠点N+1に配送する予定の配送物の総重量が所定の基準重量を超えるまで当該配送拠点Nにおいて配送物を保管し、配送物の総重量が所定の基準重量を超えた場合に当該配送拠点Nから次の配送拠点N+1への配送物の配送を許可する構成としてもよい。さらに、配送拠点Nと次の配送拠点N+1とを結ぶ拠点間ルートごとに、配送物の総重量が所定の基準重量を超えるか否かを判断し、拠点間ルートにおける配送物の総重量が所定の基準重量を超える場合に、前記拠点間ルートにおける配送物の配送を許可する構成としてもよいし。なお、この場合、配送物の総重量は、配送物と当該配送物を収容する配送用ケース60の重量の合計とすることが好ましい。また、このような場合に、たとえば、配送物を搬送するコンベアに重量計を設けるなどし、配送物の重量を実際に測定する構成とすることもできるが、配送物の重さを配送用ケース60に収容できる配送物の重量の上限値として、各配送用ケース60の重量を求める構成とすることが好ましい。たとえば、60サイズの配送用ケース60において、配送物の重量の上限値が2kgであり、配送用ケース60の重量が2kgである場合、この配送用ケース60に収容した配送物の重量が1kgであっても、配送物(配送用ケース60を含む)の重量を4kgとして求め、このように求めた配送物の総重量に基づいて、配送物を配送するか否かを判断する構成とすることができる。
【0080】
また、
図1に示す例では、一次保管場所3から二次保管場所4への配送のみにおいて、配送物を配送してよいか否かを判断する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、受取場所2から一次保管場所3へ配送する場合、または、二次保管場所4から引渡場所5に配送する場合にも、配送物の総容量が、トラックなどの配送手段の空き容量に基づいて定められた所定の基準容量(たとえばトラックの荷台の空き容量の80%の容量など)を超えているか(条件1)、または、配送物の配送期限日数と配送所要日数との差である滞留余裕日数が、所定の基準日数未満である配送物が存在するか(条件2)を判断し、いずれかの条件を満たした場合に、次の配送拠点に配送物を配送する構成とすることができる。
【0081】
さらに、上述した実施形態では、配送管理サーバ10は、配送物の配送が行える拠点間ルートをTMSサーバ30に送信することで、TMSサーバ30が当該拠点間ルートで配送物を配送する配送手段を特定し、当該配送手段に輸配送指示を行う構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、配送管理サーバ10が、配送手段テーブル114を参照し、拠点間ルートで配送物を配送する配送手段を特定し、拠点間ルートと配送手段とを輸配送指示に含めてTMSサーバ30に送信することで、TMSサーバ30は、受信した輸配送指示に含まれる配送手段に輸配送指示を行う構成としてもよい。
【0082】
また、上述した実施形態においては、配送管理サーバ10を、WMSサーバ20およびTMSサーバ30から独立に設ける構成を例示したが、WMSサーバ20が配送管理サーバ10の機能を有する構成としてもよいし、あるいは、TMSサーバ30が配送管理サーバ10の機能を有する構成としてもよい。また、WMSサーバ20およびTMSサーバを一体に設ける構成としてもよいし、配送管理サーバ10、WMSサーバ20およびTMSサーバを一体に設ける構成としてもよい。
【0083】
加えて、上述した実施形態においては、たとえば配送拠点Nから配送物を配送する場合には、配送拠点Nから次の配送拠点N+1までの拠点間ルートCnごとに配送物を仕分けし、拠点間ルートCnごとに、上述した条件1または条件2を満たすか否かを判断する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、配送拠点Nにおいて、次の配送拠点N+1からその次の配送拠点N+2までの拠点間ルートCn+1ごとに配送物を仕分けし、拠点間ルートCn+1ごとに、上述した条件1または条件2を満たすか否かを判断する構成としてもよい。
【0084】
また、上述した実施形態では、滞留余裕日数を日単位で求める構成を例示したが、滞留余裕時間として時間単位で求める構成とすることができる。すなわち、本発明において、「滞留余裕時間」とは、滞留余裕日数を含むものとすることができる。滞留余裕時間として時間単位で求める場合、データベース11には、拠点間ルートC1~C3ごとの配送時間を記憶する拠点間ルート別配送時間テーブル112と、配送拠点2~4ごと、拠点間ルートC1~C3ごとの配送物の保管時間を取得する配送拠点別保管時間テーブル113とが記憶される。そして、滞留余裕日数算出機能(滞留余裕時間算出機能)は、拠点間ルート別配送時間テーブル112から拠点間ルートC1~C3ごとの配送時間を取得するとともに、配送拠点別保管時間テーブル113から配送拠点2~4ごと、拠点間ルートC1~C3ごとの配送物の保管時間を取得する。そして、配送物Bごとに、配送物が現在保管されている配送拠点から引渡場所5までの間に経由する1または複数の拠点間ルートにおける配送時間の合計と、当該配送物が経由する1または複数の配送拠点における保管時間の合計とを足した時間が、配送所要時間として算出される。そして、予め設定されている配送物の配送期限時間と、配送所要時間との差(配送期限時間-配送所要時間)が滞留余裕時間として算出される。配送可否判断機能は、配送物ごとに、配送物の滞留余裕時間が所定の基準時間未満であるか否かを判断し、滞留余裕時間が所定の基準時間未満である配送物が存在する場合には、その配送物が配送される拠点間ルートについて配送物の配送を許可することができる。
【符号の説明】
【0085】
1…配送管理システム
10…配送管理サーバ
11…データベース
12…演算装置
13…記憶装置
14…通信装置
20…WMSサーバ
21…演算装置
22…記憶装置
23…通信装置
30…TMSサーバ
31…演算装置
32…記憶装置
33…通信装置
41…管理端末
42…読取端末
50…ユーザ端末
60…配送用ケース
61…QRコード
62…RFタグ
2…受取場所
3…一次保管場所
4…二次保管場所
5…引渡場所
S…送付人
R…受取人
B…配送物