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特許7442127電力管理システム、電力管理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】電力管理システム、電力管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20240226BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20240226BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240226BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240226BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20240226BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J13/00 311U
H02J3/00 180
H02J3/32
H02J3/38 130
G06Q50/06
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020013886
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021121145
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健一
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-029414(JP,A)
【文献】特開2013-176182(JP,A)
【文献】特開2013-031236(JP,A)
【文献】特開2019-153275(JP,A)
【文献】特開2018-113839(JP,A)
【文献】特開2015-198555(JP,A)
【文献】特開2012-110170(JP,A)
【文献】特開2019-118203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J13/00
H02J3/00-5/00
G06Q50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の観測点における電力量に関する情報である電力量情報を取得する取得部と、
前記電力量情報について発電手段を区別可能とする区別情報を、前記電力量の出所に基づいて生成する区別部と、
前記電力量情報の少なくとも一部及び前記区別情報の少なくとも一部を通知する通知部と、を備え、
前記電力量情報は、複数の供給源の各々から出力される電力の合流点から電力系統に供給される逆潮流電力量に関する情報である逆潮流電力量情報を含み、
前記複数の供給源は、電力を得る手段が互いに異なる2以上の供給源を含み、
前記複数の供給源は、蓄電池を含み、
前記区別情報は、前記逆潮流電力量情報について前記発電手段を区別可能とする逆潮流区別情報を含み、
前記通知部は、前記蓄電池に充電された電力量についての前記発電手段ごとの比率に関する情報、及び、前記逆潮流区別情報を、ブロックチェーンを用いた台帳システムに記録する、
電力管理システム。
【請求項2】
前記区別情報は、前記電力量情報について前記発電手段を時間帯ごとに区別可能とする、
請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項3】
前記電力量情報は、前記電力系統から前記合流点に供給される潮流電力量に関する情報である潮流電力量情報を含み、
前記区別情報は、前記潮流電力量情報について前記発電手段を区別可能とする潮流区別情報を含む、
請求項1又は2に記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記電力量情報は、前記複数の供給源の各々の出力電力量に関する情報である出力電力量情報を含み、
前記区別情報は、前記出力電力量情報について前記発電手段を区別可能とする出力区別情報を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の電力管理システム。
【請求項5】
前記区別部は、前記出力電力量情報及び前記出力区別情報に基づいて、前記逆潮流区別情報を生成する、
請求項4に記載の電力管理システム。
【請求項6】
前記複数の供給源は、蓄電システムを含み、
前記電力量情報は、前記蓄電システムの入力電力量に関する情報である入力電力量情報を含み、
前記区別情報は、前記入力電力量情報について前記発電手段を区別可能とする入力区別情報を含む、
請求項4に記載の電力管理システム。
【請求項7】
前記区別部は、前記出力電力量情報及び前記出力区別情報と、前記入力電力量情報及び前記入力区別情報と、に基づいて、前記逆潮流区別情報を生成する、
請求項6に記載の電力管理システム。
【請求項8】
前記区別情報は、前記電力量が化石エネルギー由来の電力量であるか否かの情報を含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載の電力管理システム。
【請求項9】
前記区別部は、前記逆潮流電力量が化石エネルギー由来の電力量を含むか否かを判定し、前記逆潮流電力量が化石エネルギー由来の電力量を含むと判定した場合は、前記逆潮流区別情報として、前記逆潮流電力量が化石エネルギー由来の電力量であるという情報を生成する、
請求項8に記載の電力管理システム。
【請求項10】
前記逆潮流区別情報は、化石エネルギー由来の電力量と非化石エネルギー由来の電力量との比率に関する情報を含む、
請求項8に記載の電力管理システム。
【請求項11】
前記複数の供給源は、蓄電システムを含み、
前記電力管理システムは、前記蓄電システムの充放電制御を行うシステム制御回路を備える、
請求項1~10のいずれか一項に記載の電力管理システム。
【請求項12】
所定の観測点における電力量に関する情報である電力量情報を取得する取得処理と、
前記電力量情報について発電手段を区別可能とする区別情報を、前記電力量の出所に基づいて生成する区別処理と、
前記電力量情報の少なくとも一部及び前記区別情報の少なくとも一部を通知する通知処理と、を有し、
前記電力量情報は、複数の供給源の各々から出力される電力の合流点から電力系統に供給される逆潮流電力量に関する情報である逆潮流電力量情報を含み、
前記複数の供給源は、電力を得る手段が互いに異なる2以上の供給源を含み、
前記複数の供給源は、蓄電池を含み、
前記区別情報は、前記逆潮流電力量情報について前記発電手段を区別可能とする逆潮流区別情報を含み、
前記通知処理では、前記蓄電池に充電された電力量についての前記発電手段ごとの比率に関する情報、及び、前記逆潮流区別情報を、ブロックチェーンを用いた台帳システムに記録する、
電力管理方法。
【請求項13】
請求項12に記載の電力管理方法を、1以上のプロセッサに実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に電力管理システム、電力管理方法及びプログラムに関し、より詳細には、逆潮流電力量の情報を扱う電力管理システム、電力管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電力管理システムは、電力系統に接続された蓄電システムの充放電を制御する。蓄電システムは、太陽光発電システム及び燃料電池システム等の機器とともに各需要家に設置される。電力管理システムは、需要家における電力の消費量が大きい時間帯において蓄電システムを放電させたり、電力系統の電気料金が安価である夜間において蓄電システムを充電させたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-118203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境保護の観点から、化石エネルギーに由来しない電力(電力量)等を小売電気事業者が積極的に買い取る気運が高まりつつある。ところで、需要家が電力の供給源として太陽光発電システム及び蓄電システム等の複数の供給源を備え、各々の供給源から逆潮流が生じ得ることがある。この際に、需要家から電力系統への逆潮流電力量がいずれの発電手段により生じた電力量であるかを区別することができない場合があった。例えば、逆潮流電力量が太陽光発電システムのみにより生じた電力量であるのか、電力系統が備える発電手段により生じた電力量が蓄電システムに蓄電され、その後放電されることで生じた電力量を含むのか、区別することができない場合があった。
【0005】
本開示は、逆潮流電力量の発電手段を区別可能となる電力管理システム、電力管理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電力管理システムは、取得部と、区別部と、通知部と、を備える。前記取得部は、電力量情報を取得する。前記電力量情報は、所定の観測点における電力量に関する情報である。前記区別部は、前記電力量の出所に基づいて、区別情報を生成する。前記区別情報は、前記電力量情報について発電手段を区別可能とする。前記通知部は、前記電力量情報の少なくとも一部及び前記区別情報の少なくとも一部を通知する。前記電力量情報は、逆潮流電力量情報を含む。前記逆潮流電力量情報は、合流点から電力系統に供給される逆潮流電力量に関する情報である。前記合流点は、複数の供給源の各々から出力される電力の合流点である。前記複数の供給源は、電力を得る手段が互いに異なる2以上の供給源を含む。前記複数の供給源は、蓄電池を含む。前記区別情報は、逆潮流区別情報を含む。前記逆潮流区別情報は、前記逆潮流電力量情報について前記発電手段を区別可能とする。前記通知部は、前記蓄電池に充電された電力量についての前記発電手段ごとの比率に関する情報、及び、前記逆潮流区別情報を、ブロックチェーンを用いた台帳システムに記録する。
【0007】
本開示の一態様に係る電力管理方法は、取得処理と、区別処理と、通知処理と、を有する。前記取得処理は、電力量情報を取得する処理である。前記電力量情報は、所定の観測点における電力量に関する情報である。前記区別処理は、前記電力量の出所に基づいて、区別情報を生成する処理である。前記区別情報は、前記電力量情報について発電手段を区別可能とする。前記通知処理は、前記電力量情報の少なくとも一部及び前記区別情報の少なくとも一部を通知する処理である。前記電力量情報は、逆潮流電力量情報を含む。前記逆潮流電力量情報は、合流点から電力系統に供給される逆潮流電力量に関する情報である。前記合流点は、複数の供給源の各々から出力される電力の合流点である。前記複数の供給源は、電力を得る手段が互いに異なる2以上の供給源を含む。前記複数の供給源は、蓄電池を含む。前記区別情報は、逆潮流区別情報を含む。前記逆潮流区別情報は、前記逆潮流電力量情報について前記発電手段を区別可能とする。前記通知処理では、前記蓄電池に充電された電力量についての前記発電手段ごとの比率に関する情報、及び、前記逆潮流区別情報を、ブロックチェーンを用いた台帳システムに記録する。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記電力管理方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、逆潮流電力量の発電手段を区別可能となるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る電力管理システムを含む需要家設備のブロック図である。
図2図2は、一実施形態に係る電力管理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る電力管理システム1について、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0012】
(1)全体構成
図1に示すように、本実施形態の電力管理システム1は、取得部11と、区別部12と、を備える。取得部11は、電力量情報を取得する。電力量情報は、所定の観測点における電力量に関する情報である。区別部12は、電力量の出所に基づいて、区別情報を生成する。区別情報は、電力量情報について発電手段を区別可能とする。電力量情報は、逆潮流電力量情報を含む。逆潮流電力量情報は、合流点N1から電力系統9に供給される逆潮流電力量に関する情報である。合流点N1は、複数の供給源3の各々から出力される電力の合流点である。複数の供給源3は、電力を得る手段が互いに異なる2以上の供給源3を含む。区別情報は、逆潮流区別情報を含む。逆潮流区別情報は、逆潮流電力量情報について発電手段を区別可能とする。
【0013】
本実施形態の電力管理システム1によれば、逆潮流電力量の発電手段を区別可能となる。そのため、例えば、発電手段の違いによる逆潮流電力量の価値の高低を区別可能となる。
【0014】
電力管理システム1は、例えば、需要家設備C1に備えられる。需要家設備C1は、例えば、戸建て住宅及び集合住宅等の住宅、又は、オフィス、雑居ビル、工場及び公共施設等の非住宅である。需要家設備C1は、電力管理システム1と、複数の供給源3と、負荷4と、を備えている。ただし、電力管理システム1の少なくとも一部の構成は、需要家設備C1の外部に備えられていてもよい。つまり、電力管理システム1の少なくとも一部の構成は、複数の供給源3を備える設備とは別の設備あるいはサーバ上に備えられていてもよい。また、本実施形態では負荷4は1つであるが、電力管理システム1は、複数の負荷4を備えていてもよい。
【0015】
需要家設備C1は、システム制御回路2と、インバータ5と、分電盤6と、電力測定部7と、を更に備えている。複数の供給源3及び負荷4は、インバータ5を介して、分電盤6に電気的に接続されている。分電盤6は、電力系統9に電気的に接続されている。分電盤6と電力系統9との間には、責任分界点8が設けられている。分電盤6と責任分界点8との間には、電力測定部7が配置されている。
【0016】
複数の供給源3の各々は、電力の供給源である。複数の供給源3の一例は、太陽光発電システム、蓄電システム、及び、燃料電池発電システムである。
【0017】
複数の供給源3は、電力を得る手段が互いに異なる2以上の供給源3を含む。電力を得る手段を次のように様々な分類で分けたときに、2以上の供給源3の電力を得る手段が、少なくとも1つの分類において互いに異なる種類に分けられる場合、「2以上の供給源3は、電力を得る手段が互いに異なる」と言う。以下で説明する分類は、あくまで一例である。電力を得る手段は、蓄電と、発電(発電手段)と、の2種類に分けられる。発電手段は、化石エネルギー由来の発電、及び、非化石エネルギー由来の発電の2種類に分けられる。化石エネルギー由来の発電は、石炭火力発電、石油火力発電、及び、天然ガス火力発電等に分けられる。非化石エネルギー由来の発電は、再生可能エネルギーの発電、及び、原子力発電等に分けられる。再生可能エネルギーの発電は、太陽光発電、水力発電、風力発電、地熱発電、及び、バイオマス発電等に分けられる。また、再生可能エネルギーの発電は、FIT(Feed in Tariff)の適用を受けた発電手段による発電と、FITの適用を受けていない発電手段(期限切れ等によりFITの適用を解除された発電手段を含む)による発電と、に分けられる。また、電力を得る手段としての「蓄電」は、電力系統9からの供給電力の蓄電、化石エネルギー由来の電力の蓄電、及び、非化石エネルギー由来の電力の蓄電の3種類に分けられる。電力系統9からの供給電力の蓄電、化石エネルギー由来の電力の蓄電、及び、非化石エネルギー由来の電力の蓄電がそれぞれ、更に細分化されてもよい。また、発電手段は、燃料電池発電であるか否かにより分類されてもよい。燃料電池発電は、水素源によって分類されてもよい。例えば、燃料電池発電は、水素源が都市ガス又はLPガスであるか、バイオマスであるか、水であるかによって分類されてもよい。
【0018】
なお、複数の供給源3において、電力を得る手段が互いに異なる2以上の供給源3の組み合わせが存在することに加えて、電力を得る手段が同一である2以上の供給源3の組み合わせが存在してもよい。
【0019】
本実施形態では、複数(2つ)の供給源3は、太陽光発電システム31及び蓄電システム32である。太陽光発電システム31の電力を得る手段は、非化石エネルギー由来の発電である。蓄電システム32の電力を得る手段は、蓄電である。なお、図1では1つのインバータ5に太陽光発電システム31及び蓄電システム32が接続されている例を示しているが、太陽光発電システム31及び蓄電システム32それぞれがインバータをもつような構成であってもよい。
【0020】
太陽光発電システム31は、例えば、太陽電池310と、第1の電力変換部と、を含んでいる。第1の電力変換部は、例えば、片方向DC-DCコンバータである。太陽電池310で発電された直流電力は、第1の電力変換部でDC-DC変換されて、インバータ5へ出力される。
【0021】
蓄電システム32は、例えば、蓄電池320と、第2の電力変換部と、を含んでいる。第2の電力変換部は、例えば、双方向DC-DCコンバータである。蓄電池320から放電された直流電力は、第2の電力変換部でDC-DC変換されて、インバータ5へ出力される。また、インバータ5から供給される直流電力は、第2の電力変換部でDC-DC変換されて、蓄電池320を充電する。
【0022】
インバータ5は、電力系統9から分電盤6を経由して供給される交流電力を直流電力に変換して、蓄電システム32に供給する。また、インバータ5は、太陽光発電システム31及び蓄電システム32から供給される直流電力を交流電力に変換して、分電盤6へ出力する。
【0023】
システム制御回路2は、インバータ5の動作を制御する。また、システム制御回路2は、所定の期間(例えば、10秒、30秒又は1分)ごとの太陽電池310の発電量、蓄電システム32(蓄電池320)の入力電力量、及び、蓄電システム32(蓄電池320)の出力電力量を、取得部11に通知する。
【0024】
太陽光発電システム31及び蓄電システム32から出力された電力は、インバータ5及び分電盤6を経由して、負荷4又は電力系統9に供給され得る。また、太陽光発電システム31から出力された電力は、蓄電システム32に供給され得る。
【0025】
電力系統9から分電盤6に入力された電力は、負荷4に供給され得る。また、電力系統9から分電盤6に入力された電力は、インバータ5を経由して、蓄電システム32に供給され得る。
【0026】
電力測定部7は、電力計を含む。電力計は、例えば、スマートメータである。電力測定部7は、電力系統9から需要家設備C1に供給される電力量である潮流電力量(買電量)、及び、需要家設備C1から電力系統9に供給される電力量である逆潮流電力量(売電量)を測定する。電力測定部7は、測定結果を取得部11に通知する。
【0027】
(2)電力管理システムの構成
電力管理システム1は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、電力管理システム1の少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0028】
電力管理システム1は、取得部11と、区別部12と、に加えて、通知部13を備えている。なお、取得部11と、区別部12と、通知部13とは、電力管理システム1によって実現される機能を示しているのであって、必ずしも実体のある構成を示しているわけではない。
【0029】
通知部13は、電力量情報の少なくとも一部及び区別情報の少なくとも一部を通知する。通知部13は、通信インタフェースを含んでいる。通信インタフェースは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、信号を授受する。通知部13は、例えば、通信インタフェースにより、電力量情報及び区別情報を外部装置101に送信する。外部装置101は、例えば、需要家設備C1の管理者又は電気事業者が所有する装置である。外部装置101は、電力量情報及び区別情報を記録する記憶装置を備える。記憶装置は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等である。
【0030】
また、通知部13は、逆潮流区別情報を台帳システム102に通知(送信)することで、逆潮流区別情報を台帳システム102に記録する。台帳システム102を実現するための技術として、ブロックチェーンが用いられている。ブロックチェーン(台帳システム102)を構成する複数のノードに、同一の内容が記録される。ノードとしては、例えば、複数の需要家設備C1にそれぞれ備えられた電力管理システム1及びその他の機器、並びに、ネットワークを介して電力管理システム1と通信するサーバのうち、少なくともいずれかが用いられる。台帳システム102(ノード)への記録は、所定の時間周期で(例えば、電力量情報が更新される間隔である10秒、30秒又は1分ごとに)行われる。なお、通知部13は、区別情報のうち、逆潮流区別情報以外の情報の少なくとも一部を台帳システム102に記録してもよい。また、通知部13は、電力量情報の少なくとも一部を台帳システム102に記録してもよい。
【0031】
取得部11は、所定の観測点における電力量に関する情報である電力量情報を取得する。電力量情報は、逆潮流電力量情報を含む。逆潮流電力量情報は、合流点N1から電力系統9に供給される逆潮流電力量に関する情報である。逆潮流電力量情報に対応する観測点は、合流点N1と電力系統9との間である。合流点N1は、複数の供給源3の各々から出力される電力の合流点である。つまり、複数の供給源3と電力系統9との間に設けられた、複数の供給源3間の接続点が、合流点N1に相当する。図1には、逆潮流電力量の流れを矢印A1で図示している。本実施形態の取得部11は、電力測定部7で測定された逆潮流電力量の測定値を、逆潮流電力量情報として取得する。
【0032】
また、電力量情報は、潮流電力量情報を含む。潮流電力量情報は、電力系統9から合流点N1に供給される潮流電力量に関する情報である。潮流電力量情報に対応する観測点は、合流点N1と電力系統9との間である。図1には、潮流電力量の流れを矢印A2で図示している。本実施形態の取得部11は、電力測定部7で測定された潮流電力量の測定値を、潮流電力量情報として取得する。
【0033】
また、電力量情報は、出力電力量情報を含む。出力電力量情報は、複数の供給源3(太陽光発電システム31及び蓄電システム32)の各々の出力電力量に関する情報である。出力電力量情報に対応する観測点は、例えば、複数の供給源3の各々の出力端子である。図1には、太陽光発電システム31の出力電力量の流れを矢印A3で図示し、蓄電システム32の出力電力量の流れを矢印A4で図示している。本実施形態の取得部11は、システム制御回路2からの通知を、出力電力量情報として取得する。すなわち、システム制御回路2から通知される太陽光発電システム31の発電量の情報は、太陽光発電システム31に関する出力電力量情報である。システム制御回路2から通知される蓄電システム32の出力電力量の情報は、蓄電システム32に関する出力電力量情報である。
【0034】
また、電力量情報は、入力電力量情報を含む。入力電力量情報は、蓄電システム32の入力電力量に関する情報である。入力電力量情報に対応する観測点は、例えば、蓄電システム32の入力端子である。図1には、蓄電システム32の入力電力量の流れを矢印A5で図示している。本実施形態の取得部11は、システム制御回路2からの通知を、入力電力量情報として取得する。すなわち、システム制御回路2から通知される蓄電システム32への入力電力量の情報は、入力電力量情報である。
【0035】
区別部12は、需要家設備C1の複数の観測点の各々における電力量に関して、電力量の出所に基づいて区別情報を生成する。電力量の出所の一例は、太陽光発電システム31、蓄電システム32及び電力系統9である。つまり、観測点に電力量を供給し得る設備が、電力量の出所となり得る。
【0036】
区別情報は、電力量情報について電力量の発電手段を区別可能とする。区別情報は、電力量が化石エネルギー由来の電力量であるか否かの情報を含む。言い換えると、区別情報は、電力量が化石エネルギーによる発電手段で生成されたか否かの情報を含む。化石エネルギーによる発電手段は、石炭火力発電、石油火力発電、及び、天然ガス火力発電等が該当する。本実施形態では、区別情報のうち少なくとも一部は、電力量が化石エネルギー由来であるか否かの情報に加えて、化石エネルギー由来の電力量と非化石エネルギー由来の電力量との比率に関する情報を含む。具体的には、逆潮流区別情報と、後述する入力区別情報及び蓄電システム32の出力区別情報とが、化石エネルギー由来の電力量と非化石エネルギー由来の電力量との比率に関する情報を含む。
【0037】
区別情報は、電力量情報について発電手段を時間帯ごとに区別可能とする。時間帯ごととは、例えば、1分ごと、30分ごと又は1時間ごとである。ここでは、区別情報は、1時間ごとの電力量情報について発電手段を区別可能とする。つまり、区別情報は、1時間ごとの電力量情報に対応して、電力量が化石エネルギー由来であるか否かを示す情報を含む。例えば、区別情報は、ある日の0時から1時までの電力量が化石エネルギー由来であるか否かを示す情報と、1時から2時までの電力量が化石エネルギー由来であるか否かを示す情報と、を含む。区別部12は、区別情報を毎日生成し、前日以前の区別情報は、新しい区別情報により上書きされることなく残る。ただし、記録されてから所定の保持期間が経過した区別情報は、新しい区別情報によって上書きされてもよい。
【0038】
区別情報は、逆潮流区別情報を含む。逆潮流区別情報は、逆潮流電力量情報について発電手段を区別可能とする。つまり、逆潮流区別情報は、逆潮流電力量が化石エネルギー由来であるか否かを示す情報を含む。区別部12が逆潮流区別情報を生成する過程については、後述する。
【0039】
また、区別情報は、潮流区別情報を含む。潮流区別情報は、潮流電力量情報について発電手段を区別可能とする。つまり、潮流区別情報は、潮流電力量が化石エネルギー由来であるか否かを示す情報を含む。ところで、潮流電力量の出所は、電力系統9であり、本実施形態の電力系統9から供給される電力量は、化石エネルギー由来の電力量を含む。そこで、本実施形態では、潮流電力量の扱いを簡略化するために、潮流区別情報は、予め決められていて、潮流電力量が化石エネルギー由来であることを示す情報である。つまり、潮流電力量の全量を化石エネルギー由来とみなす。
【0040】
また、区別情報は、出力区別情報を含む。出力区別情報は、出力電力量情報について発電手段を区別可能とする。つまり、出力区別情報は、複数の供給源3の各々の出力電力量が化石エネルギー由来であるか否かを示す情報を含む。太陽光発電システム31の出力電力量の出所は、太陽光発電システム31である。本実施形態では、太陽光発電システム31の出力電力量に対応する出力区別情報は、予め決められていて、出力電力量が非化石エネルギー由来であることを示す情報である。蓄電システム32の出力電力量の出所は、蓄電システム32である。区別部12が蓄電システム32の出力電力量に対応する出力区別情報を生成する過程は、後述する。
【0041】
区別情報は、入力区別情報を含む。入力区別情報は、蓄電システム32の入力電力量情報について発電手段を区別可能とする。つまり、入力区別情報は、蓄電システム32の入力電力量が化石エネルギー由来であるか否かを示す情報を含む。さらに、入力区別情報は、蓄電システム32の入力電力量のうち化石エネルギー由来の電力量と非化石エネルギー由来の電力量との比率(以下、「化石/非化石比」と称す)に関する情報を含む。
【0042】
以下では、化石エネルギー由来の電力量を「化石電力量」と略し、非化石エネルギー由来の電力量を「非化石電力量」と略する場合がある。
【0043】
区別部12は、各供給源3に対応する出力区別情報を参照することで、各供給源3の出力電力量が化石電力量であるか否かを区別する。また、区別部12は、潮流区別情報を参照することで、電力系統9から供給される潮流電力量が化石電力量であるか否かを区別する。そして、区別部12は、蓄電システム32の入力電力量について、化石電力量と非化石電力量との比を求め、求めた比を、入力区別情報としての化石/非化石比とする。本実施形態では、区別部12は、潮流電力量(化石電力量)と、太陽光発電システム31の出力電力量(非化石電力量)との比を、化石/非化石比とする。つまり、蓄電システム32の入力電力量の出所は、電力系統9及び太陽光発電システム31のうち少なくとも一方なので、区別部12は、電力系統9からの潮流電力量及び太陽光発電システム31の出力電力量に基づいて、入力区別情報を生成する。
【0044】
潮流電力量が0[kWh]である期間に蓄電システム32が充電している場合は、蓄電システム32が太陽光発電システム31の出力電力量により充電されていると判断できる。よって、区別部12は、入力区別情報としての化石/非化石比を0:1(つまり、非化石電力量が100%を占める)とする。
【0045】
また、太陽光発電システム31の出力電力量が0[kWh]である期間に蓄電システム32が充電している場合は、蓄電システム32が電力系統9の電力量により充電されていると判断できる。よって、区別部12は、入力区別情報としての化石/非化石比を1:0(つまり、化石電力量が100%を占める)とする。
【0046】
また、潮流電力量及び太陽光発電システム31の出力電力量がいずれも正の値である期間は、区別部12は、潮流電力量と太陽光発電システム31の出力電力量との比を求め、求めた比を、入力区別情報としての化石/非化石比とする。
【0047】
区別部12は、蓄電システム32の入力電力量情報及び入力区別情報に基づいて、蓄電池320の残存容量のうち化石電力量及び非化石電力量をそれぞれ算出する。また、区別部12は、算出した化石電力量及び非化石電力量に基づいて、蓄電池320の残存容量の化石/非化石比を算出する。
【0048】
すなわち、区別部12は、蓄電池320の残存容量が0[kWh]の時点を始点として、入力電力量と入力電力量に含まれる化石電力量の割合との積を時間積分することで、蓄電池320に蓄えられている化石電力量(単位は、[kWh])を算出する。また、区別部12は、蓄電池320の残存容量が0[kWh]の時点から、入力電力量と入力電力量に含まれる非化石電力量の割合との積を時間積分することで、蓄電池320に蓄えられている非化石電力量(単位は、[kWh])を算出する。
【0049】
また、蓄電池320が放電する際には、区別部12は、例えば、蓄電池320の化石電力量及び非化石電力量が、残存容量の化石/非化石比で出力されたとみなす。例えば、残存容量の化石/非化石比が1:3である場合に、蓄電池320が4[kWh]だけ放電した場合、区別部12は、蓄電池320の化石電力量の算出値を、蓄電池320が放電する前の時点の値から1[kWh]だけ引いた値に更新する。また、区別部12は、蓄電池320の非化石電力量の算出値を、蓄電池320が放電する前の時点の値から3[kWh]だけ引いた値に更新する。
【0050】
また、区別部12は、蓄電池320の残存容量の化石/非化石比を上述のように算出し、算出した値を、蓄電システム32の出力電力量に対応する出力区別情報とする。
【0051】
さらに、区別部12は、次のようにして逆潮流区別情報を生成する。すなわち、区別部12は、各供給源3の出力電力量情報及び出力区別情報と、蓄電システム32の入力電力量情報及び入力区別情報と、に基づいて、逆潮流区別情報を生成する。より詳細には、区別部12は、蓄電システム32の入力電力量情報及び入力区別情報に基づいて、上述の通り蓄電システム32の出力区別情報を生成する。区別部12は、この出力区別情報と、太陽光発電システム31の出力区別情報と、太陽光発電システム31及び蓄電システム32の各々の出力電力量情報と、に基づいて、逆潮流区別情報を生成する。つまり、逆潮流電力量の出所は、太陽光発電システム31及び蓄電システム32のうち少なくとも一方なので、区別部12は、これらの出力電力量情報に基づいて、逆潮流区別情報を生成する。
【0052】
さらに詳細には、区別部12は、複数の供給源3の各々の出力電力量に含まれる化石電力量の和(第1の値)と、複数の供給源3の各々の出力電力量に含まれる非化石電力量の和(第2の値)と、を算出する。すなわち、区別部12は、蓄電システム32の出力電力量と出力電力量に含まれる化石電力量の割合との積を、化石電力量の和(第1の値)として算出する。また、区別部12は、太陽光発電システム31の出力電力量に、蓄電システム32の出力電力量と出力電力量に含まれる非化石電力量の割合との積を加算した値を算出し、算出した値を、非化石電力量の和(第2の値)とする。区別部12は、算出した化石電力量の和(第1の値)及び非化石電力量の和(第2の値)との比を、逆潮流電力量の化石/非化石比として算出する。逆潮流区別情報は、区別部12で算出された、逆潮流電力量の化石/非化石比の情報を含む。
【0053】
(3)電力管理システムを用いる利点
非化石電力量は、化石電力量よりも買取価格が高い場合がある。本実施形態の需要家設備C1には、化石電力量を出力することがある供給源3(蓄電システム32)と、非化石電力量を出力する供給源3(太陽光発電システム31)とが存在し、各供給源3の出力電力量が合流点N1にて合流する。ここで、逆潮流電力量情報及び逆潮流区別情報を参照することで、逆潮流電力量の化石/非化石比が明らかになる。よって、逆潮流電力量を化石/非化石比に応じた買取価格で売買することが可能となる。つまり、逆潮流電力量を発電手段に応じた買取価格で売買することが可能となる。これにより、需要家設備C1の所有者は、逆潮流電力量の対価としてより多くの報酬を得られる可能性がある。
【0054】
また、逆潮流区別情報等の区別情報で示される発電手段に関する区別は、電力量が再生可能エネルギー由来か否かの区別であってもよい。電力量が再生可能エネルギー由来である場合に、発電手段に関する区別は、FITの適用を受けた発電手段由来か否かの区別であってもよい。つまり、区別情報は、これらを区別するための情報を含んでいてもよい。また、区別情報は、電力量のうち、再生可能エネルギー由来であり、かつ、FITの適用を受けていない発電手段由来の電力量の割合の情報を含んでいてもよい。再生可能エネルギー由来であり、かつ、FITの適用を受けていない発電手段由来の電力量は、それ以外の発電手段由来の電力量と買取価格が異なる場合がある。そこで、逆潮流区別情報を参照することにより、逆潮流電力量を発電手段に応じた買取価格で売買することが可能となる。
【0055】
逆潮流区別情報等の区別情報で示される発電手段に関する区別は、上述した区別に限定されない。発電手段に関する区別は、個別の発電手段の区別であってもよい。要するに、発電手段に関する区別は、例えば、発電手段が石炭火力発電、石油火力発電、天然ガス火力発電、燃料電池発電、太陽光発電及び水力発電等のうちいずれであるかの区別であってもよい。
【0056】
電力管理システム1を用いることで、需要家設備C1の構成によらずに、逆潮流電力量を発電手段により区別できる。例えば、本実施形態のように、需要家設備C1の構成が、太陽光発電システム31等の発電設備の発電と、蓄電システム32の放電と、を同時に行うことが可能な構成であっても、逆潮流電力量を発電手段により区別できる。
【0057】
(4)蓄電システムの制御
電力管理システム1は、蓄電システム32の充放電制御を行うシステム制御回路2とともに用いられる。また、システム制御回路2は、電力管理システム1の一構成であってもよい。以下では、システム制御回路2の機能を説明する。
【0058】
システム制御回路2は、太陽光発電システム31の発電量を予測する発電量予測情報を取得する。発電量予測情報は、例えば、天気予報等に基づいてシステム制御回路2等で求められる。また、システム制御回路2は、電気事業者等から発される制御指令の入力を受け付ける。制御指令は、電力系統9の需給調整に関する指令である。ここでは、一例として、制御指令が、所定の時刻において電力系統9からの買電量の抑制を指示する負荷抑制指令である場合について説明する。
【0059】
制御指令は、例えば、電力及び/又は電力量を抑制すべき日の前日までに発される。制御指令は、制御報酬の情報を含む。制御報酬とは、ある時間帯に需要家設備C1が電力系統9から供給を受ける電力及び/又は電力量を抑制した場合に、需要家設備C1の所有者が得られる報酬である。ここでは、システム制御回路2が制御指令に従って電力及び/又は電力量を抑制する場合について説明する。すなわち、システム制御回路2は、電力及び/又は電力量を抑制すべき期間(以下、「指令期間」と称す)よりも前に、蓄電システム32を充電し、指令期間に、蓄電システム32に放電させる。
【0060】
システム制御回路2は、発電量予測情報及び制御指令に基づいて、蓄電システム32を制御する。一例として、システム制御回路2は、以下の[表1]に従って、蓄電システム32を制御する。
【0061】
【表1】
【0062】
[表1]において、「当日」とは、任意の日であってよく、「前日」とは、「当日」の前日を指す。予測される太陽光発電システム31の発電量が所定の閾値以下の場合が、[表1]の「発電なし」に該当し、上記閾値を上回る場合が、[表1]の「発電あり」に該当する。
【0063】
制御報酬単価とは、指令期間に買電量を抑制した場合に得られる1[kWh]あたりあるいは1[kW]あたりの報酬である。蓄電システム32に対する制御の基本的な考え方は、次の通りである。すなわち、制御報酬単価が比較的高い場合は、電力系統9から供給される電力量を蓄電システム32に蓄電して、指令期間に放電させる。これにより、太陽光発電システム31が発電しない場合でも確実に充電し、指令に対応することが可能となる。一方で、制御報酬単価が比較的低い場合は、太陽光発電システム31の出力電力量を売電した方が、多くの報酬を得られることがある。そこで、電力系統9から供給される電力量ではなく、太陽光発電システム31の出力電力量(非化石電力量)を蓄電システム32に蓄電して、指令期間に放電させる。[表1]の制御では、太陽光発電システム31の発電及び蓄電システム32の放電が同時に実行される場合がある。それにも関わらず、区別部12で生成される逆潮流区別情報を参照することにより、逆潮流電力量の発電手段(例えば、化石エネルギー由来であるか否か)を区別可能である。
【0064】
[表1]に関する以下の説明で特に断りの無い場合、蓄電システム32が放電を開始すると、その後、蓄電システム32は、例えば、蓄電池320の残存容量が0[kWh]になるまで、放電を継続する。また、システム制御回路2は、[表1]における全ての場合に共通する制御として、次の制御をする。すなわち、システム制御回路2は、「当日」に対応する制御指令が発されている(以下、「制御指令あり」と称す)場合に、蓄電システム32の放電中における需要家設備C1から電力系統9への逆潮流を、少なくとも指令期間に許可する。なお、指令期間以外の期間に、蓄電システム32の放電中における需要家設備C1から電力系統9への逆潮流は、禁止されていてもよいし、許可されていてもよい。
【0065】
「発電なし」の場合は、「前日」の深夜(例えば、23時)から「当日」の朝(例えば、6時)まで、電力系統9から供給される電力量により蓄電システム32を充電する。そして、「当日」に対応する制御指令が発されていない(以下、「制御指令なし」と称す)場合は、「当日」の朝(例えば、6時)から深夜(例えば、23時)まで、蓄電システム32の放電を許可する。一方で、「制御指令あり」の場合は、「当日」の指令期間以前は、蓄電システム32の放電を制限し(例えば、放電を禁止又は放電量を所定値以下にする)、指令期間から深夜(例えば、23時)まで、蓄電システム32の放電を許可する。
【0066】
「発電あり」、かつ、「制御指令なし」の場合は、「当日」の日中(例えば、8時~18時)に、太陽光発電システム31の出力電力量により蓄電システム32を充電する。そして、「当日」の朝(例えば、6時)から深夜(例えば、23時)まで、蓄電システム32の放電を許可する。ただし、「前日」深夜~「当日」朝に電力系統9から供給される電力量により充電する方が経済的な場合は、「前日」深夜~「当日」朝に充電する。
【0067】
「発電あり」、かつ、「当日」の朝期間(例えば、6時~8時)が指令期間として予定されている場合は、制御報酬単価が閾値を超えているか否かによって、制御を変更する。制御報酬単価が閾値以下の場合は、「前日」の日中(例えば、8時~18時)に、太陽光発電システム31の出力電力量により蓄電システム32を充電する。一方で、制御報酬単価が閾値を超えている場合は、「前日」の深夜(例えば、23時)から「当日」の朝(例えば、6時)まで、電力系統9から供給される電力量により蓄電システム32を充電する。これにより、太陽光発電システム31が発電しない場合でも確実に充電し、指令に対応することが可能となる。制御報酬単価が閾値を超える場合も閾値以下の場合も、指令期間以前は、蓄電システム32の放電を制限し、指令期間から深夜(例えば、23時)まで、蓄電システム32の放電を許可する。
【0068】
「発電あり」、かつ、「当日」の日中(例えば、8時~18時)が指令期間として予定されている場合は、制御報酬単価が閾値を超えているか否かによって、制御を変更する。制御報酬単価が閾値以下の場合は、「前日」の日中(例えば、8時~18時)及び「当日」の日中(ただし、指令期間まで)に、太陽光発電システム31の出力電力量により蓄電システム32を充電する。一方で、制御報酬単価が閾値を超えている場合は、「前日」の深夜(例えば、23時)から「当日」の朝(例えば、6時)まで、電力系統9から供給される電力量により蓄電システム32を充電する。さらに、「当日」の日中(ただし、指令期間まで)に、太陽光発電システム31の出力電力量により蓄電システム32を充電する。制御報酬単価が閾値を超える場合も閾値以下の場合も、指令期間以前は、蓄電システム32の放電を制限し、指令期間から深夜(例えば、23時)まで、蓄電システム32の放電を許可する。
【0069】
「発電あり」、かつ、「当日」の夜間(例えば、18時~23時)が指令期間として予定されている場合は、「当日」の日中(例えば、8時~18時)に、太陽光発電システム31の出力電力量により蓄電システム32を充電する。より詳細には、朝(例えば、6時)から深夜(例えば、23時)まで蓄電システム32の放電を許可し、かつ、指令期間よりも前の所定時刻(例えば、18時)に蓄電池320の残存容量が所定量以上となるように、太陽光発電システム31の出力電力量により蓄電システム32を充電する。
【0070】
(変形例1)
以下、変形例1に係る電力管理システム1について説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
区別部12は、蓄電システム32の出力電力量が化石電力量を含むか否かを判定する。そして、区別部12は、蓄電システム32の出力電力量が化石電力量を含むと判定した場合は、蓄電システム32の出力電力量を化石電力量とみなす。つまり、蓄電システム32の出力電力量の全量を化石電力量とみなす。このとき、区別部12は、蓄電システム32の出力区別情報として、出力電力量が化石電力量であるという情報を生成する。
【0072】
より詳細には、区別部12は、蓄電池320の残存容量の化石/非化石比を参照し、残存容量に化石電力量が含まれている場合には、蓄電システム32の出力区別情報として、出力電力量が化石電力量であるという情報を生成する。一方で、区別部12は、残存容量に化石電力量が含まれていない場合には、蓄電システム32の出力区別情報として、出力電力量が非化石電力量であるという情報を生成する。
【0073】
本変形例1によれば、蓄電システム32の出力電力量に関する処理を実施形態と比較して簡略化できる。
【0074】
(変形例2)
以下、変形例2に係る電力管理システム1について説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0075】
本変形例2は、変形例1の更なる変形例である。区別部12は、逆潮流電力量が化石電力量を含むか否かを判定する。そして、区別部12は、逆潮流電力量が化石電力量を含むと判定した場合は、逆潮流電力量を化石電力量とみなす。つまり、逆潮流電力量の全量を化石電力量とみなす。このとき、区別部12は、逆潮流区別情報として、逆潮流電力量が化石電力量であるという情報を生成する。
【0076】
より詳細には、区別部12は、各供給源3の出力電力量情報及び出力区別情報を参照し、逆潮流電力量に化石電力量が含まれている場合には、逆潮流区別情報として、逆潮流電力量が化石電力量であるという情報を生成する。一方で、区別部12は、逆潮流電力量に化石電力量が含まれていない場合には、逆潮流区別情報として、逆潮流電力量が非化石電力量であるという情報を生成する。
【0077】
本変形例2によれば、逆潮流電力量に関する処理を実施形態及び変形例1と比較して簡略化できる。
【0078】
(変形例3)
以下、変形例3に係る電力管理システム1について説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
本変形例3は、変形例2の更なる変形例である。電力管理システム1は、逆潮流電力量の状態が、化石電力量が含まれている第1状態と、含まれていない第2状態との間で切り替わった時点を、逆潮流電力量の積分期間の終点とする。例えば、逆潮流電力量の状態が、0時から0時20分まで第1状態で、0時20分以降に第2状態である場合を想定する。電力管理システム1は、0時から0時20分までの間を積分期間とする逆潮流電力量情報と、この逆潮流電力量情報に対応する逆潮流区別情報(すなわち、逆潮流電力量が化石電力量であるという情報)と、を生成する。さらに、電力管理システム1は、0時20分を積分期間の始点とする逆潮流電力量情報と、この逆潮流電力量情報に対応する逆潮流区別情報(すなわち、逆潮流電力量が非化石電力量であるという情報)と、を生成する。
【0080】
本変形例3によれば、変形例2と比較して、逆潮流電力量に含まれる化石電力量及び非化石電力量を正確に求められる。
【0081】
(変形例4)
以下、変形例4に係る電力管理システム1について説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0082】
本変形例4では、蓄電システム32の出力電力量に対応する出力区別情報は、需要家設備C1の仕様に応じて予め決められている。一例として、蓄電システム32が電力系統9から供給される電力により充電可能に構成されている場合に、蓄電システム32の出力電力量に対応する出力区別情報は、出力電力量が化石電力量であることを示す情報に予め決められる。
【0083】
別の一例として、蓄電システム32が太陽光発電システム31から供給される電力のみにより充電可能に構成されている場合は、蓄電システム32の出力電力量に対応する出力区別情報は、出力電力量が非化石電力量であることを示す情報に予め決められる。
【0084】
本変形例4によれば、蓄電システム32の出力電力量に関する処理を実施形態と比較して簡略化できる。
【0085】
(実施形態のその他の変形例)
以下、実施形態のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。また、以下の変形例は、上述の各変形例と適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0086】
電力管理システム1と同様の機能は、電力管理方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0087】
図2に示すように、一態様に係る電力管理方法は、取得処理と、区別処理と、を有する。取得処理は、所定の観測点における電力量に関する情報である電力量情報を取得する処理である。区別処理は、電力量の出所に基づいて、区別情報を生成する処理である。区別情報は、電力量情報について発電手段を区別可能とする。電力量情報は、逆潮流電力量情報を含む。逆潮流電力量情報は、合流点N1から電力系統9に供給される逆潮流電力量に関する情報である。合流点N1は、複数の供給源3の各々から出力される電力の合流点である。複数の供給源3は、電力を得る手段が互いに異なる2以上の供給源3を含む。区別情報は、逆潮流区別情報を含む。逆潮流区別情報は、逆潮流電力量情報について発電手段を区別可能とする。
【0088】
より詳細には、取得処理では、取得部11は、電力測定部7及びシステム制御回路2から、電力量情報を取得する(ステップST1)。すなわち、取得部11は、電力測定部7で測定された逆潮流電力量及び潮流電力量の測定値を、逆潮流電力量情報及び潮流電力量情報として取得する。さらに、取得部11は、システム制御回路2からの通知を、入力電力量情報及び出力電力量情報として取得する。
【0089】
区別処理では、区別部12は、区別情報を生成する。より詳細には、区別部12は、逆潮流区別情報を生成する(ステップST2、ST3)。逆潮流区別情報は、逆潮流電力量の化石/非化石比の情報を含む。すなわち、区別部12は、複数の供給源3の各々の出力電力量に含まれる化石電力量の和(第1の値)を求める(ステップST2)。また、区別部12は、複数の供給源3の各々の出力電力量に含まれる非化石電力量の和(第2の値)を求める(ステップST2)。さらに、区別部12は、化石電力量の和(第1の値)と非化石電力量の和(第2の値)との比を、化石/非化石比として求める(ステップST3)。
【0090】
また、電力管理方法は、通知処理を更に有する。通知処理では、通知部13は、電力量情報の少なくとも一部及び区別情報の少なくとも一部を通知する。例えば、通知部13は、区別処理で生成された逆潮流区別情報を、台帳システム102に通知(記録)する(ステップST4)。
【0091】
一態様に係るプログラムは、上記の電力管理方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0092】
本開示における電力管理システム1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における電力管理システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0093】
また、電力管理システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは電力管理システム1に必須の構成ではなく、電力管理システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、電力管理システム1の少なくとも一部の機能、例えば、区別部12の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0094】
反対に、実施形態において、複数の装置に分散されている電力管理システム1等の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、電力管理システム1と外部装置101とに分散されている機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0095】
複数の供給源3は、太陽光発電システム31及び蓄電システム32に限定されない。また、これら以外の供給源3を用いる場合は、出力区別情報は、供給源3の種類に応じて決定されればよい。供給源3として化石エネルギー由来の発電設備(石炭火力発電設備、石油火力発電設備、及び、天然ガス火力発電設備等)を用いる場合は、出力区別情報は、例えば、出力電力量が化石エネルギー由来であることを示す情報であってよい。供給源3として非化石エネルギー由来の発電設備(再生可能エネルギーの発電設備等)を用いる場合は、出力区別情報は、例えば、出力電力量が非化石エネルギー由来であることを示す情報であってよい。
【0096】
潮流電力量情報及び出力電力量情報は、実際の潮流電力量及び出力電力量から、負荷4の消費電力量を引いた値を示す情報であってもよい。また、潮流電力量情報及び出力電力量情報は、実際の潮流電力量及び出力電力量から、負荷4の消費電力量に所定の係数を乗じた値を引いた値を示す情報であってもよい。
【0097】
電力管理システム1は、電力量情報の少なくとも一部及び区別情報の少なくとも一部を記録する記憶装置を備えていてもよい。通知部13は、電力量情報の少なくとも一部及び区別情報の少なくとも一部を記憶装置へ通知(出力)する。
【0098】
区別情報は、所定の評価ポイントの情報を含んでいてもよい。区別部12は、例えば、環境への負荷がより小さい発電手段で作られた電力量ほど高い評価ポイントに対応付けるように、評価ポイントの情報を生成してもよい。
【0099】
蓄電システム32の入力区別情報及び各供給源3の出力区別情報のうち少なくとも一部は、予め決められた情報であってもよい。例えば、供給源3の発電手段が再生可能エネルギーの発電である場合に、出力電力量がFITの適用を受けた発電手段由来か否かの情報が、出力区別情報として予め決められていてもよい。また、例えば、供給源3の発電手段が燃料電池発電である場合に、燃料電池発電の水素源の情報が、出力区別情報として予め決められていてもよい。また、電力管理システム1は、入力区別情報及び出力区別情報を設定するための設定部を備えていてもよい。設定部は、管理者を認証する認証システム等と併用されることで、管理者のみに入力区別情報及び出力区別情報の設定を許可する。また、潮流区別情報は、電力系統9から供給される電力量の化石/非化石比を示す情報を含んでいてもよい。電力系統9から供給される電力量の化石/非化石比を示す情報は、設定部により設定される情報であってもよい。
【0100】
逆潮流電力量情報及び潮流電力量情報としての電力量の観測点(つまり、電力測定部7の設置位置)は、分電盤6と電力系統9との間に限定されず、合流点N1と電力系統9との間であればよい。例えば、観測点は、分電盤6とインバータ5との間、又は、インバータ5と合流点N1との間であってもよい。また、観測点は、分電盤6又はインバータ5に設けられていてもよい。
【0101】
複数の需要家設備C1と電力系統9との間に、合流点N1が設けられていてもよい。そして、複数の需要家設備C1は、複数の需要家設備C1の各々の供給源3から出力される電力量が合流点N1にて合流してから電力系統9に逆潮流するように構成されていてもよい。つまり、複数の供給源3が、複数の需要家設備C1に分散して配置されていてもよい。
【0102】
需要家設備C1は、複数の合流点N1を備えていてもよい。この場合に、電力管理システム1は、合流点N1ごとに、合流点N1から電力系統9に供給される逆潮流電力量に関する情報である逆潮流電力量情報を取得し、逆潮流電力量情報に対応する逆潮流区別情報を生成してもよい。
【0103】
複数の供給源3が蓄電システム32を含まない場合は、区別部12は、入力電力量情報及び入力区別情報を用いずに逆潮流区別情報を生成すればよい。すなわち、区別部12は、出力電力量情報及び出力区別情報に基づいて、逆潮流区別情報を生成してもよい。
【0104】
蓄電システム32は、複数の蓄電池320を含んでいてもよい。さらに、複数の蓄電池320のうち一部の蓄電池320は、太陽光発電システム31等から出力される非化石電力量により充電され、別の一部の蓄電池320は、電力系統9等から出力される化石電力量を含む電力量により充電されてもよい。区別部12は、例えば、前者の蓄電池320からの出力電力量に対しては非化石電力量であるという情報を出力区別情報とする。区別部12は、例えば、後者の蓄電池320からの出力電力量に対しては化石電力量であるという情報を出力区別情報とする。なお、複数の蓄電池320を別の観点から使い分けてもよい。例えば、複数の蓄電池320のうち一部の蓄電池320は、FITの適用を受けた発電手段由来の電力量により充電され、別の一部の蓄電池320は、FITの適用を受けていない発電手段由来の電力量により充電されてもよい。
【0105】
蓄電池320は、電動車両に備えられていてもよい。また、電動車両は、蓄電池320が充電される度に、充電された電力量を記録してもよい。さらに、電動車両は、所定の認証を受けた充電用設備を用いて蓄電池320が充電される場合に、充電用設備から所定の情報を受信し、受信した情報を記録してもよい。上記情報は、上記認証を受けた充電用設備を用いて蓄電池320が充電されたことを証明する情報である。例えば、非化石電力量により蓄電池320を充電する充電用設備に、上記認証が与えられている場合を想定する。この場合に、区別部12は、電動車両に記録された情報を参照することで、電動車両の蓄電池320の出力電力量が非化石電力量であるか否かの情報、及び、化石/非化石比を得ることができる。別の一例として、区別部12は、電動車両の蓄電池320の出力電力量を、化石電力量とみなしてもよい。
【0106】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0107】
第1の態様に係る電力管理システム(1)は、取得部(11)と、区別部(12)と、を備える。取得部(11)は、電力量情報を取得する。電力量情報は、所定の観測点における電力量に関する情報である。区別部(12)は、電力量の出所に基づいて、区別情報を生成する。区別情報は、電力量情報について発電手段を区別可能とする。電力量情報は、逆潮流電力量情報を含む。逆潮流電力量情報は、合流点(N1)から電力系統(9)に供給される逆潮流電力量に関する情報である。合流点(N1)は、複数の供給源(3)の各々から出力される電力の合流点である。複数の供給源(3)は、電力を得る手段が互いに異なる2以上の供給源(3)を含む。区別情報は、逆潮流区別情報を含む。逆潮流区別情報は、逆潮流電力量情報について発電手段を区別可能とする。
【0108】
上記の構成によれば、逆潮流電力量の発電手段を区別可能となる。そのため、例えば、発電手段の違いによる逆潮流電力量の価値の高低を区別可能となる。
【0109】
また、第2の態様に係る電力管理システム(1)では、第1の態様において、区別情報は、電力量情報について発電手段を時間帯ごとに区別可能とする。
【0110】
上記の構成によれば、電力量の発電手段が時間帯ごとに区別可能となるので、電力管理システム(1)の利便性が向上する。
【0111】
また、第3の態様に係る電力管理システム(1)では、第1又は2の態様において、電力量情報は、潮流電力量情報を含む。潮流電力量情報は、電力系統(9)から合流点(N1)に供給される潮流電力量に関する情報である。区別情報は、潮流区別情報を含む。潮流区別情報は、潮流電力量情報について発電手段を区別可能とする。
【0112】
上記の構成によれば、逆潮流電力量だけではなく、潮流電力量についても、発電手段を区別可能となる。
【0113】
また、第4の態様に係る電力管理システム(1)では、第1~3の態様のいずれか1つにおいて、電力量情報は、出力電力量情報を含む。出力電力量情報は、複数の供給源(3)の各々の出力電力量に関する情報である。区別情報は、出力区別情報を含む。出力区別情報は、出力電力量情報について発電手段を区別可能とする。
【0114】
上記の構成によれば、逆潮流電力量だけではなく、出力電力量についても、発電手段を区別可能となる。
【0115】
また、第5の態様に係る電力管理システム(1)では、第4の態様において、区別部(12)は、出力電力量情報及び出力区別情報に基づいて、逆潮流区別情報を生成する。
【0116】
上記の構成によれば、逆潮流区別情報の精度を高めることができる。
【0117】
また、第6の態様に係る電力管理システム(1)では、第4の態様において、複数の供給源(3)は、蓄電システム(32)を含む。電力量情報は、入力電力量情報を含む。入力電力量情報は、蓄電システム(32)の入力電力量に関する情報である。区別情報は、入力区別情報を含む。入力区別情報は、入力電力量情報について発電手段を区別可能とする。
【0118】
上記の構成によれば、逆潮流電力量だけではなく、入力電力量についても、発電手段を区別可能となる。
【0119】
また、第7の態様に係る電力管理システム(1)では、第6の態様において、区別部(12)は、出力電力量情報及び出力区別情報と、入力電力量情報及び入力区別情報と、に基づいて、逆潮流区別情報を生成する。
【0120】
上記の構成によれば、逆潮流区別情報の精度を高めることができる。
【0121】
また、第8の態様に係る電力管理システム(1)では、第1~7の態様のいずれか1つにおいて、区別情報は、電力量が化石エネルギー由来の電力量であるか否かの情報を含む。
【0122】
上記の構成によれば、電力量が化石エネルギー由来の電力量であるか否かを区別可能となる。
【0123】
また、第9の態様に係る電力管理システム(1)では、第8の態様において、区別部(12)は、逆潮流電力量が化石エネルギー由来の電力量を含むか否かを判定する。区別部(12)は、逆潮流電力量が化石エネルギー由来の電力量を含むと判定した場合は、逆潮流区別情報として、逆潮流電力量が化石エネルギー由来の電力量であるという情報を生成する。
【0124】
上記の構成によれば、化石エネルギー由来の電力量を含まない逆潮流電力量を、化石エネルギー由来の電力量を含む逆潮流電力量とは区別可能となる。
【0125】
また、第10の態様に係る電力管理システム(1)では、第8の態様において、逆潮流区別情報は、化石エネルギー由来の電力量と非化石エネルギー由来の電力量との比率に関する情報を含む。
【0126】
上記の構成によれば、逆潮流電力量における化石エネルギー由来の電力量と非化石エネルギー由来の電力量との比率が明らかになる。
【0127】
また、第11の態様に係る電力管理システム(1)は、第1~10の態様のいずれか1つにおいて、通知部(13)を備える。通知部(13)は、電力量情報の少なくとも一部及び区別情報の少なくとも一部を通知する。
【0128】
上記の構成によれば、需要家設備(C1)の管理者等が電力量情報の少なくとも一部及び区別情報の少なくとも一部を利用できる。
【0129】
また、第12の態様に係る電力管理システム(1)では、第11の態様において、通知部(13)は、逆潮流区別情報を、ブロックチェーンを用いた台帳システム(102)に記録する。
【0130】
上記の構成によれば、逆潮流区別情報が改ざんされる可能性を低減できる。
【0131】
また、第13の態様に係る電力管理システム(1)では、第1~12の態様のいずれか1つにおいて、複数の供給源(3)は、蓄電システム(32)を含む。電力管理システム(1)は、蓄電システム(32)の充放電制御を行うシステム制御回路(2)を備える。
【0132】
上記の構成によれば、電力管理システム(1)にて、発電手段の区別と蓄電システム(32)の制御とを一体的に行うことができる。
【0133】
第1の態様以外の構成については、電力管理システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0134】
また、第14の態様に係る電力管理方法は、取得処理と、区別処理と、を有する。取得処理は、電力量情報を取得する処理である。電力量情報は、所定の観測点における電力量に関する情報である。区別処理は、電力量の出所に基づいて、区別情報を生成する処理である。区別情報は、電力量情報について発電手段を区別可能とする。電力量情報は、逆潮流電力量情報を含む。逆潮流電力量情報は、合流点(N1)から電力系統(9)に供給される逆潮流電力量に関する情報である。合流点(N1)は、複数の供給源(3)の各々から出力される電力の合流点である。複数の供給源(3)は、電力を得る手段が互いに異なる2以上の供給源(3)を含む。区別情報は、逆潮流区別情報を含む。逆潮流区別情報は、逆潮流電力量情報について発電手段を区別可能とする。
【0135】
上記の構成によれば、逆潮流電力量の発電手段を区別可能となる。そのため、例えば、発電手段の違いによる逆潮流電力量の価値の高低を区別可能となる。
【0136】
また、第15の態様に係るプログラムは、第14の態様に係る電力管理方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0137】
上記の構成によれば、逆潮流電力量の発電手段を区別可能となる。そのため、例えば、発電手段の違いによる逆潮流電力量の価値の高低を区別可能となる。
【0138】
上記態様に限らず、実施形態に係る電力管理システム(1)の種々の構成(変形例を含む)は、電力管理方法及びプログラムにて具現化可能である。
【符号の説明】
【0139】
1 電力管理システム
2 システム制御回路
3 供給源
9 電力系統
11 取得部
12 区別部
13 通知部
32 蓄電システム
102 台帳システム
N1 合流点
図1
図2