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特許7442176復習プリント生成システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】復習プリント生成システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 7/04 20060101AFI20240226BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
G09B7/04
G09B19/00 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020057442
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021157061
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】507313526
【氏名又は名称】株式会社教育同人社
(74)【代理人】
【識別番号】100096002
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 弘之
(74)【代理人】
【識別番号】100091650
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 規之
(72)【発明者】
【氏名】清水 悦幸
(72)【発明者】
【氏名】安藤 純一
(72)【発明者】
【氏名】柏木 太
【審査官】柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-256745(JP,A)
【文献】[中学受験]復習するなら欠かせない復習ノートの作り方と活用法1(丸の中に1),中学受験ナビ,2019年10月31日,https://chugaku-juken.com/review-note1/,[online], 2023年11月9日検索
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 7/00
19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の小問を含む大問が複数掲載されたテストに対応した復習プリントを生成するシステムであって、
少なくとも各学習者の小問毎の正答/誤答の採点結果を格納しておく採点結果記憶手段と、
上記小問を含んだ大問を表示するための問題画像を、大問毎に格納しておく問題画像記憶手段と、
上記採点結果記憶手段を参照し、学習者毎に各大問における小問の誤答率を算出する手段と、
上記誤答率が0%の大問以外の大問に係る問題画像を上記問題画像記憶手段から抽出する手段と、
抽出した問題画像を、所定の復習プリント用紙画像上に設定された問題掲載領域内に配置し、各学習者専用の復習プリントとして出力する手段とを備え、
上記問題掲載領域にはサイズの上限が設定されており、
上記問題画像にはそれぞれのサイズが定義されており、
各問題画像を所定の掲載優先順に従って上記問題掲載領域に配置した際に、問題掲載領域からはみ出る問題画像については復習プリントへの掲載が見送られ、以降の優先順で上記問題掲載領域内に収まるサイズの問題画像と入れ替えられることを特徴とする復習プリント生成システム。
【請求項2】
上記問題画像の掲載優先順が、各大問における小問の誤答率に基づいて設定されることを特徴とする請求項に記載の復習プリント生成システム。
【請求項3】
上記の各大問は複数のカテゴリに分類されており、
上記採点結果記憶手段には、各学習者のカテゴリ毎の得点に基づいて算出された到達度が格納されており、
各学習者のカテゴリ毎の到達度の組合せに基づいて、カテゴリ相互間に優先順を設定する手段を備え、
上記問題画像の掲載優先順が、上記カテゴリ間の優先順及び各大問における小問の誤答率に従って設定されることを特徴とする請求項に記載の復習プリント生成システム。
【請求項4】
各カテゴリに含まれる大問間には、予め難易度が設定されており、
同一カテゴリ内において小問の誤答率が等しい大問が複数存在する場合には、各学習者のカテゴリ毎の到達度の組合せに基づいて、難易度に基づく各大問の整列方向を特定すると共に、この整列方向に基づいて上記問題画像の掲載優先順が設定されることを特徴とする請求項に記載の復習プリント生成システム。
【請求項5】
上記の各大問には、上記テスト中における通番が付与されており、
上記問題画像の掲載優先順に従って問題掲載領域に配置する問題画像が選定された後に、上記通番に従って大問を整列する手段を備えたことを特徴とする請求項の何れかに記載の復習プリント生成システム。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1~の何れかに記載の復習プリント生成システムとして機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は復習プリント生成システム及びプログラムに係り、特に、児童・生徒等の学習者がテストで間違えた問題を選択的に掲載した個別復習プリントを自動生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
授業で習った事柄の定着率を向上させるためには、単元ごとに実施される確認テストの終了後、まだ記憶が新しいうちに間違えた問題を再度解いてみることが極めて有効である。
【文献】モチベーションアカデミア/定期テストや模試の復習や解き直しの方法を教えてください。 インターネットURL:https://m-academia-s.com/faq/motivation/motivation-000149.html 検索日:令和2年3月5日
【0003】
しかしながら、返却されたテスト用紙には学習者自身の書き込みや教師による〇×等が記載されており、新鮮な気持ちで再挑戦するのはなかなか難しい。
同じテスト用紙を復習用に再度配るということも考えられるが、これには前回正解した問題も含まれているため、成績の良い学習者のやる気を削ぐ結果ともなりかねない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、このような現状を改善するために案出されたものであり、各学習者のテスト結果を反映させた、学習者毎に内容の異なる個別復習プリントの生成を可能とする技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載した復習プリント生成システムは、1または複数の小問を含む大問が複数掲載されたテストに対応した復習プリントを生成するシステムであって、少なくとも各学習者(児童・生徒・学生等)の小問毎の正答/誤答の採点結果を格納しておく採点結果記憶手段と、上記小問を含んだ大問を表示するための問題画像を、大問毎に格納しておく問題画像記憶手段と、上記採点結果記憶手段を参照し、学習者毎に各大問における小問の誤答率を算出する手段と、上記誤答率が0%の大問以外の大問に係る問題画像を上記問題画像記憶手段から抽出する手段と、抽出した問題画像を、所定の復習プリント用紙画像上に設定された問題掲載領域内に配置し、各学習者専用の復習プリントとして出力する手段を備えたことを特徴としている。
このように、学習者が全問正答した誤答率0%の大問については復習プリントの掲載対象外とすることにより、学習者のやる気を削ぐことを防止できる。
ここで「出力」とは、学習プリントを所定形式の画像ファイルとして記憶手段に格納することや、同画像ファイルをネットワーク経由で他のコンピュータに送信すること、同画像ファイルをプリンターで印刷すること、同画像ファイルをディスプレイに表示すること等を意味している。
【0006】
請求項2に記載した復習プリント生成システムは、請求項1のシステムであって、さらに、上記問題掲載領域にはサイズの上限が設定されており、上記問題画像にはそれぞれのサイズが定義されており、各問題画像を所定の掲載優先順に従って上記問題掲載領域に配置した際に、問題掲載領域からはみ出る問題画像については復習プリントへの掲載が見送られ、以降の優先順で上記問題掲載領域内に収まるサイズの問題画像と入れ替えられることを特徴としている。
この結果、復習プリントにスペース上の制約がある場合であっても、各学習者のテスト結果を反映させた復習プリントを有効に生成可能となる。
【0007】
請求項3に記載した復習プリント生成システムは、請求項2のシステムであって、さらに、上記問題画像の掲載優先順が各大問における小問の誤答率に基づいて設定されることを特徴としている。
この結果、学習者の苦手な問題を多く含む大問を復習プリントに優先的に掲載することが可能となる。
【0008】
請求項4に記載した復習プリント生成システムは、請求項3のシステムであって、さらに、上記の各大問は複数のカテゴリ(観点等)に分類されており、上記採点結果記憶手段には、各学習者のカテゴリ毎の得点に基づいて算出された到達度が格納されており、各学習者のカテゴリ毎の到達度の組合せに基づいて、カテゴリ相互間に優先順を設定する手段を備え、上記問題画像の掲載優先順が、上記カテゴリ間の優先順及び各大問における小問の誤答率に従って設定されることを特徴としている。
この結果、学習者の苦手分野の大問を復習プリントに優先的に掲載することが可能となる。
【0009】
請求項5に記載した復習プリント生成システムは、請求項4のシステムであって、さらに、各カテゴリに含まれる大問間には予め難易度が設定されており、同一カテゴリ内において小問の誤答率が等しい大問が複数存在する場合には、各学習者のカテゴリ毎の到達度の組合せに基づいて、難易度に基づく各大問の整列方向(易しい順または難しい順)を特定すると共に、この整列方向に基づいて上記問題画像の掲載優先順が設定されることを特徴としている。
この結果、学習者のテスト結果に応じて、易しい問題を優先したり、難しい問題を優先したりすることが可能となる。
【0010】
請求項6に記載した復習プリント生成システムは、請求項2~5のシステムであって、さらに、上記の各大問には上記テスト中における通番が付与されており、上記問題画像の掲載優先順に従って問題掲載領域に配置する問題画像が選定された後に、上記通番に従って大問を整列する手段を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項7に記載したプログラムは、コンピュータを、請求項1~6に記載した復習プリント生成システムとして機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る復習プリント生成システムの場合、学習者のテスト結果を反映させた、当該学習者専用の復習プリントを自動生成することが可能となるため、学習者のモチベーションを下げることなく、テストの復習を通じて学習効率を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、この発明に係る復習プリント生成システム10の全体構成を示すブロック図であり、サーバ12と、インターネットを介してサーバ12と接続された複数のクライアント14を備えている。
各クライアント14は、Webブラウザを搭載したPC等のコンピュータよりなり、教師16によって操作されている。
【0014】
サーバ12は、サービス処理部20と、問題選定部22と、復習プリント生成部24と、採点結果DB26と、テスト構成DB28と、選定基準記憶部30と、問題画像記憶部32と、復習プリント記憶部34とを備えている。
【0015】
サービス処理部20、問題選定部22、復習プリント生成部24は、サーバ12のCPUが、OS及び専用のアプリケーションプログラムに従って動作することにより、実現される。
また、採点結果DB26、テスト構成DB28、選定基準記憶部30、問題画像記憶部32及び復習プリント記憶部34は、サーバ12の記憶装置内に設けられている。
【0016】
教師16はが自己が受け持っているクラスの児童に対して定期的にテストを行い、その採点結果をクライアント16からサーバ12にアップロードすると、サービス処理部20がこれを採点結果DB26に格納する。
【0017】
図2は、この採点結果DB26に格納された採点結果データを例示するものであり、出席番号、児童名、観点1到達度、観点2到達度、小問1、小問2、小問3、小問4、小問5…等のデータ項目を備えている。
図示は省略したが、各採点結果データには、単元コードや学年コード、教科コード、学校名等が関連付けられている。
【0018】
上記の「観点」とは、教科毎に設定された問題のカテゴリを意味しており、算数における観点1は「知識・技能」に対応し、観点2は「思考・判断・表現」に対応している。
図3及び図4はテストの具体例を示すものであり、図3の算数のテストにおいては、左半分に観点1の「知識・技能」に属する問題が掲載され、右半分に観点2の「思考・判断・表現」に属する問題が掲載されている。
図4の国語のテストにおいても「観点」が設けられており、上半分に観点1の「漢字」に属する問題が掲載されると共に、下半分に観点2の「言葉」に属する問題が掲載されている。
【0019】
上記の「小問」とは、テストにおいて児童が解答する具体的な問題を表している。
例えば、図3の算数のテストでいえば、個々の掛け算の問題や文章題等が該当する。また、図4の国語のテストでいえば、漢字の問題や言葉の選択問題等が該当する。
【0020】
また、テストには「大問」という概念も存在している。
これは、複数の小問をまとめる上位概念的な呼称であり、算数のテストにおける四角で囲まれた数字(角数字)が大問に相当し、丸で囲まれた数字(丸数字)が当該大問に属する小問を表している。
同様に、国語のテストにおいても、角数字によって大問の存在が示されており、丸数字によって当該大問に属する小問が示されている。
【0021】
ただし、問題によっては大問中に解答対象となる具体的な問題が1つしか存在せず、「大問=小問」となっているケースもある。
また、大問中に丸数字の付かない複数の括弧(解答欄)が設定されているケースもあり、必ずしも「大問中に複数の小問が存在する場合には丸数字が用いられる」とは限らない。
【0022】
要するに、テスト用紙中の表現形式によらず、児童が実際に解答を記述すべき箇所が「小問」であり、各小問に対して教師は採点を行い、○や×の採点結果を付与することとなる。
因みに、図2に示した「小問『1』」や「小問『2』」は、テスト用紙中に表示された丸数字とは無関係に、各小問に対してテスト用紙の掲載順に付与された通番を表している。
【0023】
図2中の「観点1の到達度」や「観点2の到達度」は、各観点における「得点」のパーセンテージを意味している。
すなわち、各小問には配点が設定されており、正解した小問の合計得点の割合が「到達度」として表現される。
例えば、ある児童の観点1に属する小問の合計得点が、50点満点中の35点であった場合、「到達度:70(%)」と表現される。
配点は小問の難易度や重要度等に応じて異なるため、小問の正答率と到達度が必ずしも比例するものではない。
【0024】
テスト構成DB28には、個々の確認テストの構成が学年別/科目別に定義されている。
図5はその一例を示すものであり、単元コード、単元名、小問番号、大問番号、観点ID、難易度、問題画像、画像サイズのデータ項目を備えている。
図示の通り、単元毎に異なるテストが実施されることが前提となる。
また、各小問には対応する大問の番号が関連付けられている。
【0025】
難易度は、各観点における大問間の難易設定を表しており、数字が小さいほど難易度が低く、数字が大きくなるほど難易度が高くなる。
図5においては大問番号の順番(若い順)と難易度が対応するように設定されているため、このテストは初めの方の問題が易しく、後に行くに従って徐々に難しくなるように設計されている。
【0026】
「問題画像」のデータ項目には、各大問を表示するための画像ファイルが定義されている。
各画像ファイルには、対応する大問全体としての問題文や解説文、説明図(イラスト)等のほか、当該大問に属する全ての小問が記載されている。
「画像サイズ」のデータ項目には、各大問画像の「縦×横」の寸法がピクセル数で定義されている。
画像ファイル自体は、問題画像記憶部32に格納されている。
【0027】
図6及び図7は、このシステム10によって生成される復習プリントのイメージを示すものであり、確認テスト中の特定の大問画像を各児童の採点結果に合わせて選択的に抽出し、所定寸法の復習プリント用紙上に配置することにより、児童毎に内容の異なる複数パターンの復習プリントが生成される。
つまり、復習プリントには間違えた小問単位ではなく、間違えた小問を含む大問単位で問題が掲載されることとなる。これは、大問には配下の各小問に共通する説明文やイラスト等が記載されている場合が多いことに起因している。
【0028】
以下、図8のフローチャートに従い、復習プリント生成の処理手順について説明する。
まず、教師16はクライアント14からテストの採点結果データをサーバ12に送信する(S10)。
この採点結果データには、テストの教科コードや単元コード、学年コード、都道府県名、市町村名、学校名、クラス名等のほか、各児童の出席番号、名前、観点毎の到達度、小問毎の正誤コード(正=1/誤=0)等が含まれている。
この採点結果データは、サービス処理部20を介して採点結果DB26に格納される(S12)。
【0029】
つぎに教師16は、クライアント14を介して復習プリントの作成をサーバ12にリクエストする(S14)。
具体的には、図9に示すように、クライアント14のディスプレイに表示された復習プリントリクエスト画面40の右欄において必要な児童のチェックボックス42にチェックを入れ、PDF作成ボタン44をクリックする。
【0030】
サービス処理部20を介して児童の特定情報を取得した問題選定部22は、採点結果DB26から対象児童の採点結果データを取得すると共に(S16)、選定基準記憶部30から問題選定基準を取得し(S18)、またテスト構成情報をテスト構成DB28から取得し(S20)、これらに基づいて復習プリントに掲載する問題を選定する(S22)。
【0031】
以下、図10のフローチャートに従い、問題選定処理について詳説する。
まず問題選定部22は、対象児童の採点結果データにおける各観点の到達度を問題選定基準に当てはめることにより、観点間の優先順を決定する(S22-01)。
すなわち、選定基準記憶部30には、各観点の到達度の組合せパターン毎に優先すべき観点が定義されているため、これに対象児童の観点毎の到達度を適用することで優先順が自動的に決まる。
例えば図11(a)に示すように、対象児童の知識・技能の到達度が60で、思考・判断・表現の到達度が70であった場合、「知識・技能」が優先観点と認定される。
【0032】
この優先観点の選定基準は、各観点による全組合せパターン毎に設定されている。
図12はその一例を示すものであり、小学5年算数の選定基準の一部が示されている。また、図13は小学5年国語の選定基準の一部が示されている。
原則として到達度の低い観点が優先観点となるように選定基準が設定されているが、図12(b)や図13(b)のように各観点の到達度が等しい組合せについては、教育上の経験則に基づき、何れかの観点が優先観点として設定されている。
【0033】
また、問題選定部22は、対象児童の採点結果データにおける各観点の到達度を問題選定基準に当てはめることにより、各観点における問題掲載時の難易方向(大問を難しい順に並べるか、易しい順に並べるかの整列方向)を決定する(S22-02)。
すなわち、選定基準記憶部30には、各観点の到達度の組合せパターン毎に各観点の難易方向が定義されているため、これに対象児童の観点毎の到達度を適用することで難易方向が自動的に決まる。
【0034】
例えば図11(a)に示すように、対象児童の知識・技能の到達度が60で、思考・判断・表現の到達度が70であった場合、「知識・技能」の観点については「易→難(易しい順)」が、また「思考・判断・表現」の観点についても「易→難(易しい順)」が難易方向として認定される。
【0035】
この難易方向の選定基準も、各観点による全組合せパターン毎に設定されている(図12及び図13参照)。
この難易方向に関しては、原則として各観点の到達度が「80以上」で「難→易」(難しい順)となり、「80未満」で「易→難(易しい順)」となるように設定されている。
ただし、国語の観点「言葉」については問題毎に難易差がないため、難易方向の代わりに「問題番号順(大問番号の若い順)」が設定されている。
【0036】
つぎに問題選定部22は、大問単位で、当該大問に属する小問の誤答率を算出する(S22-03)。
図14はこの誤答率を説明するための図表であり、例えば大問1の場合には全3問中1問が誤答(×)であるため、誤答率は33%となる。
また、大問3の場合には全6問中3問が誤答(×)であるため、誤答率は50%となる。
これに対し、大問2、4、6の場合には誤答した小問がなく全問正答(〇)であるため、誤答率は0%となる。
ここで問題選定部22は、これら誤答率が0%(全小問正答)の大問を、復習プリントへの掲載対象から除外する(S22-04)。
【0037】
つぎに問題選定部22は、図11(b)及び(c)に示すように、観点単位で大問を誤答率の高い順に整列させる(S22-05)。
すなわち、ここでは観点「知識・技能」が「思考・判断・表現」に優先するため、先に「知識・技能」に属する大問が選定されることになるが、大問3の誤答率が大問1よりも高いことから、先頭に大問3が配置され、そのつぎに大問1が配置される。大問2及び大問4は共に誤答率が0%であるため、この段階で配置されることはない。
【0038】
つぎに観点「思考・判断・表現」に属する大問が選定されることになるが、この場合も誤答率が0%の大問6は対象外となるため、大問5及び7が選定対象となる。
ただし、大問5及び大問7の誤答率はそれぞれ33%で等しいため、それぞれの難易度に基づいて優先順が決定される。
すなわち、観点「思考・判断・表現」については「易→難」の難易方向が設定されており(図11(a)参照)、このテストでは問題番号順に難易度が高くなるように設計されていることから、問題番号の若い大問5が大問7に優先される。
【0039】
つぎに問題選定部22は、テスト構成DB28を参照し、選定された各大問3、1、5、7の画像サイズを取得し、予めサイズが設定された復習プリントの問題掲載領域内に収まるか否かを確認する(S22-06)。
ここで首尾よく収まれば全大問が復習プリントの掲載問題として採択されるが、はみ出る大問についてはつぎの大問との入れ替えが行われる(S22-07)。
【0040】
例えば、図11(c)においては大問5が問題掲載領域からはみ出るため、つぎの優先順位である大問7と入れ替えた結果、図11(d)に示すように問題掲載領域に収まったため、そのまま大問7が採択されている。
この結果、大問5は大問7よりも優先順位は上であるにもかかわらず、スペースの都合で破棄されることとなる。
なお、仮に大問7に入れ替えても問題掲載領域に収まらない場合には、大問1及び3のみが復習プリント掲載問題として採択され、以降の大問の掲載は断念される。この結果、復習プリントには大きな空きスペースが残されることとなる。
【0041】
はみ出た大問の後続に複数の大問が控えている場合には、問題掲載領域に収まる大問が見つかるまで、上記の入れ替えが試行される。
後続の各大問が比較的小サイズの場合、問題掲載領域の空きスペースに複数の大問が挿入される可能性もある。
【0042】
最後に問題選定部22は、図11(e)に示すように、選定された大問をそれぞれの通番の若い順に並べ替える(S22-08)。
もちろん、ここで大問番号順に並べ替えることは必須ではなく、図11(d)の並び順を維持することにより、掲載された大問間の重要度を掲載順によって表現するようにしてもよい。
因みに、上記の問題掲載領域とは、復習プリントの用紙サイズ(例えば片面A4版)から上下左右のマージンスペースやタイトル表記領域を除いた領域を意味している。
【0043】
問題選定部22によって復習プリントに掲載する問題の選定が完了すると、復習プリント生成部24によって復習プリントが生成され、復習プリント記憶部34に格納される(図8のS24)。
すなわち、復習プリント生成部24は選定された各大問の画像ファイルを問題画像記憶部32から取得すると共に、これらを復習プリント用紙の画像上に順に配置し、PDF(登録商標)等の画像ファイル形式に変換することにより、復習プリントを生成する。
【0044】
生成された復習プリントは、サービス処理部20を介してクライアント14に送信される(S26)。
この結果、図9に示すように、クライアント14の復習プリントリクエスト画面40の左欄に復習プリントが表示される(S28)。
教師16は、この復習プリントをプリンターで印刷し(S30)、対象児童に配布する。
【0045】
つぎに、図15に基づき、算数の復習プリントに掲載する大問の選定処理(上記S22-05の処理)の具体例を説明する。
まず、図15(a)に示す通り、対象児童の観点「知識・技能」の到達度「80」と、観点「思考・判断・表現」の到達度「70」の採点結果から、優先観点「思考・判断・表現」が導出される。
同じく、両観点の到達度の組合せから、観点「知識・技能」の難易方向として「難→易」が導出されると共に、観点「思考・判断・表現」の難易方向として「易→難」が導出される。
図15(b)は、対象児童による各小問の正誤結果を示すテーブルである。
図15(c)は、対象児童の問題選定用テーブルを示している。
【0046】
ここで問題選定部22は、図15(c)の(1)に示すように、優先観点である「思考・判断・表現」に属する大問6~9に対して「0」を付与すると共に、劣後観点である「知識・技能」に属する大問1~5対して「10000」の数値を付与する。
【0047】
つぎに問題選定部22は、図15(b)の小問の正誤結果に基づいて大問単位の小問誤答率を算出し、図15(c)の(2)に格納する。
つぎに問題選定部22は、同一観点内において小問誤答率の高い順に「100、200、300…」の数値を図15(c)の(3)に充填する。ただし、観点「思考・判断・表現」の場合、大問6と大問7の小問誤答率が共に「0%」で等しいため、同じ「300」の数値が充当されている。
【0048】
つぎに問題選定部22は、同一観点内において各大問の難易度に基づく順位を表す数値を「1、2、3…」のように図15(c)の(4)に充填する。
この順位は、各観点の難易方向に従って割り振られる。
すなわち、「知識・技能」については先に「難→易」が特定されていたため、難易度の最も高い大問5に「1(位)」が付与されると共に、つぎに難易度の高い大問4に「2(位)」が、そのつぎに難易度の高い大問3に「3(位)」が、そのつぎに難易度の高い大問2に「4(位)」が付与され、最も難易度の低い大問1に「5(位)」が付与される。
また、「思考・判断・表現」については「易→難」が特定されていたため、難易度の最も低い大問6に「1(位)」が付与されると共に、つぎに難易度の低い大問7に「2(位)」が、そのつぎに難易度の低い大問8に「3(位)」が付与され、最も難易度の高い大問9に「4(位)」が付与される。
【0049】
つぎに問題選定部22は、(1)、(3)及び(4)の数値を加算し、図15(c)の(5)に合計値を充填する。
最後に、問題選定部22は(5)の合計値の低い順に大問を整列させると共に、誤答率が0%の大問4、6、7を除外する。
この結果、大問8→9→3→5→2→1の掲載優先順が導かれる。
【0050】
上記の(1)において、大問6~9に対して「0」を付与すると共に、大問1~5対して「10000」という十分に大きな数値を付与したことにより、「思考・判断・表現」の「知識・技能」に対する優位性が実質的に担保される。
また上記の(3)において、「100、200、300…」のように「100」単位で増加する数値を、各大問に対して小問の誤答率が高い順に付与したことにより、小問の誤答率が高い大問の掲載優先度を高めることが実現される。
さらに上記の(4)において、「1、2、3…」のように「1」単位で増加する数値を、観点内の難易方向に応じて各大問に付与したことにより、大問の掲載優先順に難易方向を反映させることができる。
【0051】
つぎに、図16に基づき、国語の復習プリントに掲載する大問の選定方法の具体例を説明する。
まず、図16(a)に示す通り、対象児童の観点「漢字」の到達度「90」と、観点「言葉」の到達度「70」の採点結果から、優先観点「言葉」が導出される。
また、両観点の到達度の組合せから、観点「漢字」の難易方向として「難→易」が導出される。
一方、観点「言葉」に属する大問間には難易差が設定されていないため、難易方向の代わりに「問題番号順(若い順)」が認定される。
図16(b)は、対象児童による各小問の正誤結果を示すテーブルである。
図16(c)は、対象児童の問題選定用テーブルを示している。
【0052】
ここで問題選定部22は、図16(c)の(1)に示すように、優先観点である「言葉」に属する大問4~6に対して「0」を付与すると共に、劣後観点である「漢字」に属する大問1~3対して「10000」の数値を付与する。
【0053】
つぎに問題選定部22は、図16(b)の小問の正誤結果に基づいて大問単位の小問誤答率を算出し、図16(c)の(2)に格納する。
つぎに問題選定部22は、同一観点内において小問誤答率の高い順に「100、200、300…」の数値を図16(c)の(3)に充填する。
【0054】
つぎに問題選定部22は、同一観点内において各大問の難易度に基づく順位または問題番号を表す数値を「1、2、3」のように図16(c)の(4)に充填する。
つぎに問題選定部22は、(1)、(3)及び(4)の数値を加算し、図16(c)の(5)に合計値を充填する。
最後に、問題選定部22は(5)の合計値の低い順に大問を整列させると共に、誤答率が0%の大問6及び3を除外する。
この結果、大問4→5→2→1の掲載優先順が導かれる。
【0055】
上記の問題選定基準はあくまでも一例であり、例えば観点間に優劣を設けることなく、単純に各大問における小問誤答率の高さに応じて復習プリントへの掲載優先順を決定してもよい。
また、小問誤答率が同じ場合、観点毎の難易方向を考慮することなく、単純に問題番号順に優劣を決してもよい。
あるいは、復習プリントのスペースに制限を設けることなく、対象児童が誤答した小問を含む大問については、両面印刷や複数頁印刷、あるいは問題画像の縮小化等により、全問掲載するように運用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】この発明に係る復習プリント生成システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】採点結果DBに格納された採点結果データを例示する図である。
図3】算数の確認テストの具体例を示す図である。
図4】国語の確認テストの具体例を示す図である。
図5】テスト構成DBに格納されたテスト構成データを例示する図である。
図6】算数の確認テストと、算数の復習プリントとの対応関係を例示する図である。
図7】国語の確認テストと、国語の復習プリントとの対応関係を例示する図である。
図8】復習プリントの生成手順を示すフローチャートである。
図9】復習プリントリクエスト画面を例示する図である。
図10】問題選定の処理手順を示すフローチャートである。
図11】問題選定の処理手順を示す模式図である。
図12】算数の確認テストにおける観点毎の到達度の組合せに応じて優先観点及び観点毎の難易方向が導出される様子を示す図である。
図13】国語の確認テストにおける観点毎の到達度の組合せに応じて優先観点及び観点毎の難易方向が導出される様子を示す図である。
図14】誤答率の概念を示す図である。
図15】算数の復習プリントに掲載する大問の選定方法の具体例を説明する図である。
図16】国語の復習プリントに掲載する大問の選定方法の具体例を説明する図である。
【符号の説明】
【0057】
10 復習プリント生成システム
12 サーバ
14 クライアント
16 教師
20 サービス処理部
22 問題選定部
24 復習プリント生成部
30 選定基準記憶部
32 問題画像記憶部
34 復習プリント記憶部
40 復習プリントリクエスト画面
図1
図2
図3
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