IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エイエムエックス − オートマトリックス・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータの特許一覧

特許7442208基板上の電子部品を焼結する焼結プレスのためのプレスグループ
<>
  • 特許-基板上の電子部品を焼結する焼結プレスのためのプレスグループ 図1
  • 特許-基板上の電子部品を焼結する焼結プレスのためのプレスグループ 図2
  • 特許-基板上の電子部品を焼結する焼結プレスのためのプレスグループ 図3
  • 特許-基板上の電子部品を焼結する焼結プレスのためのプレスグループ 図4
  • 特許-基板上の電子部品を焼結する焼結プレスのためのプレスグループ 図5
  • 特許-基板上の電子部品を焼結する焼結プレスのためのプレスグループ 図5a
  • 特許-基板上の電子部品を焼結する焼結プレスのためのプレスグループ 図5b
  • 特許-基板上の電子部品を焼結する焼結プレスのためのプレスグループ 図5c
  • 特許-基板上の電子部品を焼結する焼結プレスのためのプレスグループ 図6
  • 特許-基板上の電子部品を焼結する焼結プレスのためのプレスグループ 図7
  • 特許-基板上の電子部品を焼結する焼結プレスのためのプレスグループ 図7a
  • 特許-基板上の電子部品を焼結する焼結プレスのためのプレスグループ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】基板上の電子部品を焼結する焼結プレスのためのプレスグループ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20240226BHJP
   H01L 21/603 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/603 C
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021523104
(86)(22)【出願日】2019-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 IB2019055170
(87)【国際公開番号】W WO2020008287
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】102018000006846
(32)【優先日】2018-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521002822
【氏名又は名称】エイエムエックス - オートマトリックス・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】AMX - AUTOMATRIX S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・スキヴァロッキ
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-093838(JP,A)
【文献】特表2016-507164(JP,A)
【文献】特開2002-110744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/50-21/52
H01L 21/58
H01L 21/60-21/607
H05K 3/32- 3/34
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮チャンバ(26)を区画するフロントヘッド(22)とリアヘッド(24)とを有するマルチステムシリンダ(20)を備える基板(12)上で電子部品(10)を焼結させるための焼結プレス用のプレスグループ(14)であって、
前記フロントヘッドと前記リアヘッドの間に、圧縮チャンバ(26)の周りに配置された環状シール要素(25)が挿入され、
前記リアヘッド(24)には、加圧流体を圧縮チャンバに導入するための入口通路(32)が形成され、
前記フロントヘッド(22)には、プレスステム(28)がスライド支持され、互いに平行で独立し、プレスステムの後端が圧縮チャンバ(26)に突出し、
前記圧縮チャンバ(26)は、作動フラットガスケット(30)が圧縮チャンバの前側に配置されてプレスステムの後端を越えて延び、圧縮チャンバ(26)が加圧されると、作動フラットガスケット(30)がプレスステムの後端に作用し、圧縮チャンバ内の圧力を各プレスステム(28)に伝達するように構成され
前記作動フラットガスケット(30)は、作動フラットガスケットの後側に配置されて作動フラットガスケット(30)の周辺部(30’)と係合する固定フレーム(34)によってフロントヘッドに固定され、
前記固定フレーム(34)が圧縮チャンバ内に完全に収容されているので、加圧流体が前記固定フレームにも作用する、プレスグループ(14)。
【請求項2】
前記圧縮チャンバ(26)は、圧縮チャンバの後側で前記作動フラットガスケット(30)と対向する側に底壁(27)を形成し、前記固定フレーム(34)は、前記底壁に対向し、分離した後面(34b)を有する、請求項1に記載のプレスグループ。
【請求項3】
前記圧縮チャンバ(26)は、側壁(29)によって半径方向に区切られ、前記固定フレームは、前記側壁に面し、前記側壁から分離された側面(34c)を有する、請求項1又は2に記載のプレスグループ。
【請求項4】
前記固定フレーム(34)は、固定フレーム(34)とフロントヘッド(22)の間に作動フラットガスケット(30)を挟んでフロントヘッド(22)に螺合されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のプレスグループ。
【請求項5】
前記作動フラットガスケット(30)は、圧縮チャンバを、前記プレスステムの後端が突出する前部(26')と、入口ダクト(32)と流体的に連通する後部(26'')とに分割する、請求項1から4のいずれか1項に記載のプレスグループ。
【請求項6】
前記圧縮チャンバの前部は、フロントヘッドの凹部(22a)に設けられている、請求項5に記載のプレスグループ。
【請求項7】
前記プレスステム(28)の前端側にマルチステムシリンダ(20)一体に設けられた加熱ブロック(40)と、加熱ブロック(40)にスライド可能に支持された加熱プレス部材(42)とをさらに備え、各加熱プレス部材(42)は、焼結される各電子部品(10)に作用するように各プレスステム(28)によって動作可能であり、加熱ブロック(40)は、加熱プレス部材(42)を加熱するための加熱手段(44)を備えている、請求項1から6のいずれか1項に記載のプレスグループ。
【請求項8】
前記各プレスステム(28)は、各加熱プレス部材(42)の平坦な端面と接触する円形端(28”)で終端する、請求項7に記載のプレスグループ。
【請求項9】
前記加熱プレス部材(42)は、焼結される各電子部品(10)のハウジングの面積にほぼ一致するか、又はそれよりも大きい断面を有するロッド状である、請求項8に記載のプレスグループ。
【請求項10】
前記加熱プレス部材(42)は、基板(12)によって形成された平面に対する電子部品(10)の任意の傾斜に適応するように、加熱ブロック(40)に軸方向に作製された加熱プレス部材(42)を受け入れる各軸方向シート(46)内で軸方向に対して横方向の遊びを持ってスライドする、請求項8又は9に記載のプレスグループ。
【請求項11】
PTFE製で、プレスステム(28)又は、加熱プレス部材(42)が存在する場合は加熱プレス部材(42)の前端を超えて延びる保護フィルム(52)を支持する周辺フレーム(50)と、保護フィルム(52)に対向し、前記前端に向かって、又は前記前端から前記保護フィルム(52)に接着又は除去に適した吸引又はブロー手段と、を備える、請求項1から10のいずれか1項に記載のプレスグループ。
【請求項12】
前記請求項1から11のいずれか1項に記載のプレスグループと、前記プレスグループ(14)に対向し、少なくとも1つの基板(12)を支持するのに適した支持ユニット(60)と、を備え、前記プレスグループ(14)及び支持ユニット(60)の少なくともいずれか一方は、格納された静止位置と前進したプレス位置との間で他方に対して軸方向に並進可能であり、前記電子部品(10)は、プレスステム(28)又は、加熱プレス部材(42)が存在する場合は加熱プレス部材(42)によって係合可能である焼結プレス。
【請求項13】
前記支持ユニット(60)は、固定反応ブロック(62)、各基板(12)を加熱するのに適した第2の加熱ブロック(64)、及び可動反応ブロック(66)を備える、請求項12に記載の焼結プレス。
【請求項14】
関連する変形センサ(70)を備えた少なくとも1つの変形シリンダ(68)が前記固定反応ブロック(62)に収容されている、請求項13に記載の焼結プレス。
【請求項15】
請求項12から14のいずれか1項に記載の焼結プレスを用いて基板上で電子部品を焼結する方法であって、以下のステップを記載順で含む方法。
焼結する全ての電子部品に適用される一定の焼結圧力を設定するステップ
プレスグループに、各電子部品のプレス面に応じた各スラストセクションを備えたプレスステムを装備するステップ
電子部品がプレスステム又は、加熱プレス部材が存在する場合は加熱プレス部材の前端と接触するように、焼結接着剤及び焼結される電子部品を備えた基板をプレス内に配置するステップ
プレス部材を所定の焼結温度に加熱するステップ
圧縮チャンバを予め設定された前記一定の焼結圧力まで加圧するステップ
所定の焼結時間の間、焼結圧力及び焼結温度を維持するステップ
焼結プレスから基板を取り外すステップ
【請求項16】
前記基板も焼結温度に加熱される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基板を配置するステップにおいて、前記基板を配置する前に、保護フィルムが、前記プレスステム又は、加熱プレス部材が存在する場合は加熱プレス部材の端部に接着される、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記基板を取り外すステップにおいて、前記基板を取り外した後、前記圧縮チャンバは、プレスステム又は、加熱プレス部材が存在する場合はプレスステムと加熱プレス部材とが圧力バーとして機能するように、焼結圧力よりも低いが大気圧よりも高い圧力になる、請求項15から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記圧縮チャンバを予め設定された一定の焼結圧力まで加圧するステップ中に、作動フラットガスケットが、プレスステムの後端と圧縮チャンバの前部の略平坦な底壁とに載置されように変形する、請求項15から18のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上の電子部品の焼結プレスに関するものであり、特に、そのようなプレスのためのプレスグループに関するものである。
【背景技術】
【0002】
いくつかの電子用途では、ダイオード、IGBT、サーミスタ、MOSFET等の統合された電子部品は、焼結接着剤層により基板に固定されることが公知である。
【0003】
各構成要素を正しく焼結するためには、その投影面に比例する力で押し付け、所定時間、所定温度としなければならない。基板上に固定される電子部品には、寸法すなわち相対的なケーシングの投影面と厚さがあり、互いに大きく相違することがあるため、基板の全ての部品に作用するように単一のプレス部材で加圧していたのでは、全ての部品に必要な強度を得ることができない。
【0004】
さらに、接着剤層が、全ての構成要素について、完全には同一で均一の厚さとはならないかもしれないという事実のため、さらなる複雑化を考慮する必要がある。
【0005】
同一出願人による特許出願PCT/IB2017/058520では、現在も秘密であるが、従来技術に係る装置の欠点及び限界を克服することができる、支持体上で電子部品を焼結するための焼結プレスが提案されている。そのようなプレスは、特に、圧縮チャンバを区画するフロントヘッド及びリアヘッドを有するマルチステムシリンダを含むプレスグループを備えている。
【0006】
フロントヘッドでは、互いに平行で独立したプレスステムが摺動支持されている。各プレスステムは、焼結される各電子部品と同軸であり、各電子部品に付与される力に比例するスラスト断面を有し、焼結される各電子部品の面積及び所定の焼結圧力のためであることが公知である。
【0007】
圧縮チャンバには、リアチャンバとフロントチャンバに密閉分離するシール膜が延在している。リアチャンバは、焼結圧力を得るための圧力下で、流体の入口通路と流体的に連通している。プレスステムの後端はフロントチャンバに突出している。シール膜はプレスステムの後端に接触配置され、リアチャンバが焼結圧力まで加圧されると、シール膜は、各プレスステムに焼結圧力を伝達するために後端に当接することにより変形する。
【0008】
したがって、そのような圧力は、各電子部品のためにプレスステムを使用することにより、表面に比例して焼結する各電子部品にスラスト力を作用させることを可能とし、前記プレスステムの断面は、圧力を付与される表面に応じて選択される。
【0009】
実際には平坦なガスケットによって形成されるシール膜は、全てのプレスステムのシール機能と、全てのプレスステムに作用してそれらの寸法に適応するようにそれ自体を変形させるピストン機能の両方を実行する。
【0010】
シール膜は、マルチステムシリンダのフロントヘッドとリアヘッドの間の周囲に保持される。したがって、フラットガスケットは、流体の圧力により変形するが、圧縮チャンバに対して軸方向には移動しない。
【0011】
しかしながら、時間の経過とともに、数百バールにさえ達することもあるマルチステムシリンダの2つのヘッドの間の非保持中心領域に作用する高圧により、フラットガスケットが本来の弾力性を失ったり、あるいは破れたりする傾向があることが分かっている。したがって、一定回数のプレスサイクルの後、フラットガスケットを交換しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、上記のタイプのプレスグループを提案することであるが、フラットガスケットについて上記欠点を克服することができるものである。
【0013】
前記目的は、請求項1に記載のプレスグループによって、及び請求項12に記載の焼結方法によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明に係るプレスグループの特徴及び利点は、添付図面を参照して、純粋に非限定的な例として提供される、その好ましい実施形態の以下の説明から容易に明らかになるであろう。
図1】焼結プレスを使用する焼結アイランドの概略平面図。
図2】プレスの正面図。
図3】基板支持ユニット上で閉じられたプレスのプレスグループの軸方向断面図。
図4】プレスの基板支持ユニットのみの軸方向断面図。
図5】フラット作動ガスケットと、フロントヘッドに固定するための相対フレームのないプレスグループのマルチステムシリンダのフロントヘッドの平面図。
図5a】フロントヘッドに配置されたフラットガスケットを作動させた状態での前図と同様な図。
図5b】作動するフラットガスケットをヘッドにブロックした固定フレームを備えた前図と同様の斜視図。
図5c】リアヘッドを透明に示した状態での組み立てられたマルチステムシリンダの斜視図。
図6】プレスのプレスグループのみの軸方向断面図。
図7】特に、非加圧圧縮チャンバと、基板の各電子部品と接触しているいくつかのプレスステムと、加熱プレス部材とを示すプレスグループの一部及び基板支持ユニットの拡大概略図。
図7a】圧縮チャンバが加圧された状態での前図と同様な図。
図8】基板の電子部品と接触しているいくつかのプレスステムと加熱プレス部材の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るプレスグループを有するプレス1を用いて、基板12上に電子部品10の焼結を行う焼結アイランドについて説明する。
【0016】
基板12は、例えば6つの基板12を含むように適合されたパレット2に含まれる焼結プレス1に至る。
【0017】
基板12は、パレット2に形成され、適切な突起で支持するように適合された各シートに配置されている。
【0018】
基板12は、焼結接着剤層に配置された、焼結される電子部品10(例えば、IGBT、ダイオード、サーミスタ、MOSFET)を搬送する。部品10は、予め決められた表面圧力、例えば30MPA、予め決められた温度、例えば、260℃で、180÷300秒間処理されなければならない。
【0019】
焼結されていない基板12を備えたパレット2は、電子部品10の位置を変更させないために、通常速度で衝撃を与えることのなくスムーズに取り扱わなければならない。
【0020】
電子部品10は、その厚さがファミリー毎に異なることを考慮して、それらの投影面に正比例する力で押圧しなければならない。
【0021】
さらに、基板-接着剤-電子部品アセンブリには、例えば、1μm/10mmの非平行性が補償されなければならない。
【0022】
図1に示すように、一実施形態では、焼結アイランドは、150℃までのパレット2の少なくとも1つ、好ましくは2つの予熱ステーション3、及び50℃までのパレット2の少なくとも1つ、好ましくは3つの冷却ステーション4を備える。
【0023】
一実施形態では、焼結アイランドは、例えば10kgの6軸タイプの6本爪のセルフセンタリンググリッパを備えた擬人化ロボット5を備える。
【0024】
ロボット5は、
入口コンベヤ6と、2つの予熱ステーション3の読み取り機との間、
2つの予熱ステーション3と、焼結プレス1との間、
焼結プレス1と、3つの冷却ステーション4との間、及び
3つの冷却ステーション4と、出口コンベヤ7との間でパレット2を操作する。
【0025】
2つの予熱ステーション3は、各基板12の温度を150℃へと上昇させる。
【0026】
例えば、2つの予熱ステーション3は、PID及びPWM熱抵抗PT100によって制御される、外装された電気カートリッジによって加熱される。
【0027】
図2に全体を示された焼結プレス1は、少なくとも1つ、好ましくは図示されている例では6つの基板12のために、上部にプレスグループ14を支持し、下部に支持ユニット60を支持する垂直に延びるフレーム8を備える。
【0028】
フレーム8は、油圧または電気アクチュエータ80によって操作され、支持ユニット60がスライドする縦ガイド9を備える。
【0029】
一実施形態では、支持ユニット60は、均一に加速及び減速動作で、200mmの往復運動をする。
【0030】
特に、支持ユニット60の上部位置は、完全に不可逆的であり、移動することなく最大250KNの力に対抗するようにサイズを設定されている。
【0031】
一実施形態では、200mmの往復運動は、1Kwのブラシレスギア付きモータ80を用いて3秒で実行し、金型交換及びメンテナンス機能のために減速された速度で実行することができる。
【0032】
一実施形態では、フレーム8は、基板12と焼結中のプレスグループ14との間に挿入される、例えばPTFEの保護フィルム52の交換のために、例えばブラシレスギアモータを備えた電動ワインダ90及びアンワインダ92を支持する。
【0033】
一実施形態では、保護フィルム52は、周辺フレーム50によって支持されている。この周辺フレーム50は、一実施形態では、保護フィルム52に向けられた吸引/ブロー手段も支持する。
【0034】
さらに、プレス1は、PTFEフィルムとプレスグループ14との間の空気を吸引するための真空ポンプ(図示せず)を備える。
【0035】
一実施形態では、プレス1は、焼結領域内の静電荷を除去するためのブローイオン化装置(図示せず)も備える。
【0036】
一実施形態では、フレーム8は、支持ユニット60の交換を容易にするために、右手及び左手グリップ94で挿入及び除去することができる水平スライドガイドをも支持する。
【0037】
特に図3及び4に示す一実施形態では、支持ユニット60は、350℃で動作することができる、変形センサ70をそれぞれ有する6つの変形シリンダ68が収容される固定反応ブロック62を備える。
【0038】
支持ユニット60は、外装された加熱抵抗641が収容される加熱ブロック64をさらに備える。
【0039】
支持ユニットは、温度センサ662をそれぞれ備えた6つの可動反応ブロック66をさらに備える。
【0040】
プレスグループ14は、圧縮チャンバ26を一緒に区画するフロントヘッド22及びリアヘッド24を有するマルチステムシリンダ20を備える。
【0041】
フロントヘッド22とリアヘッド24との間には、圧縮チャンバ26の周りに配置された環状シール要素25が挿入されている。
【0042】
例えば、環状シール要素25は、フロントヘッド22の後端面22’の平坦部分と後部の前端面24’の平坦部分との間に形成された各シート25’に配置され、そのような平坦な部分は互いに対向して平行となっている。
【0043】
したがって、環状シール要素25は、圧縮チャンバ26内の圧力下で、流体の2つの並んだヘッド22、24の間の逃げを防止する機能を発揮する。
【0044】
例えば、環状シール要素25はOリングからなる。
【0045】
リアヘッド24には、加圧流体を圧縮チャンバ26に導入するための入口通路32が形成されている。
【0046】
フロントヘッド22では、互いに平行で独立したプレスステム28がスライド支持されている。そのようなプレスステム28の後端28’は、圧縮チャンバ26内に突出している。
【0047】
圧縮チャンバ26では、作動フラットガスケット30は、圧縮チャンバ26が加圧されると、そのような後端28'に作用して、圧縮チャンバ内の圧力を各プレスステム28に伝達するように、加圧ステム28の後端28’上に延びる。
【0048】
例えば、プレスステム28の各後端28’は、フラットガスケット30がプレスされる平坦面で終端する。
【0049】
本発明の一態様によれば、作動フラットガスケット30は、作動フラットガスケット30の周辺部30’と係合する固定フレーム34によってフロントヘッド22に固定される。
【0050】
言い換えれば、フラットガスケット30の周辺部分30’は、少なくとも一部が、フロントヘッド22と、固定フレーム34の基部又は前面34aとの間に挿入される。
【0051】
固定フレーム34は、圧縮チャンバ26内に完全に収容されているので、圧縮チャンバ26に導入される加圧流体は、フラットガスケット30と同様に、固定フレーム34にも作用する。
【0052】
前述のように、固定フレーム34によって所定位置に保持されたフラットガスケット30は、ガスケットを密封し、プレスステム28上の膜を作動させるという2つの機能を実行する。
【0053】
特に、圧縮チャンバ26が加圧されると、流体の圧力は、フラットガスケットの中央部分だけでなく、固定フレーム34を介して周辺部分30’にも作用する。この結果、フラットガスケット30は、その表面全体に亘って均一に応力が加えられ、同時に圧縮される。これにより、ガスケットの望ましくない変形が回避され、ガスケットの寿命が大幅に延びる。
【0054】
より詳細には、リアヘッド24は、圧縮チャンバ26のための底壁27を形成する。固定フレーム34は、そのような底壁27に対向し、その底壁27から離間した後面34bを有する。
【0055】
一実施形態では、圧縮チャンバ26は、側壁29によって半径方向に仕切られ、固定フレーム34は、前記側壁29に対向し、前記側壁29から分離した側面34cを有する。
【0056】
このようにして、加圧された流体は、移動又は変形を防止するように、固定フレーム34の全露出側に作用する。
【0057】
一実施形態では、固定フレーム34は、固定ネジ35によってフロントヘッド22に螺合される。
【0058】
しかしながら、固定フレーム34のフロントヘッド22への固定、例えば固定ネジ35による固定は、圧縮室26が加圧されているときに扁平ガスケット30を保持する機能を有するのではなく、圧縮室が加圧されていないときに扁平ガスケット30を正しい位置に保持する機能を有するだけであることを強調しておくべきである。実際、圧縮チャンバ26内に加圧流体がある場合、フラットガスケット30を所定位置にロックすることを可能にするのは、流体によって作用する圧力である。
【0059】
一実施形態では、フラットガスケット30は、圧縮チャンバ26を、プレスステム28の後端28’が突出する前部26’と、入口ダクト32と流体連通している後部26”とに分割する。
【0060】
一実施形態では、圧縮チャンバ26の前部26’は、フロントヘッド22の後端面22’の凹部22aに形成されている。
【0061】
圧縮チャンバ26内に圧力がない場合、フラットガスケット30はほぼ平坦な静止構成であり、プレスステム28の後端28’に僅かに接触するように配置される(図7)。
【0062】
後部26”が焼結圧力で加圧されると、フラットガスケット30が変形することにより、各プレスステム28に焼結圧力を伝達するために、プレスステム28の後端28'に隣接する(図7a)。
【0063】
より正確には、フロントヘッド22の凹部22aに対するプレスステム28の後端28’の突起、つまりフラットガスケット30と前記凹部22aとの間の距離は、後部26”が焼結圧力で加圧され、フラットガスケット30が変形したときに、特に、図6aに示すように、ガスケットがプレスステム28の後端28’に対してだけでなく、フロントヘッド22の凹部22aに対しても接触するように選択される。
【0064】
圧縮チャンバ26のこの構造により、フラットガスケット30は、制御流体が所望の焼結圧力でプレスステム28の各後端28’に直接作用するように振る舞う。換言すれば、フラットガスケット30は、複数の独立したシリンダ-ピストンシステムの挙動をシミュレートする。
【0065】
ここでプレスステム28に戻ると、各プレスステム28は、焼結される各電子部品10に対して同軸で重心が一致し、各電子部品10に加えられる力に比例するスラスト断面を有し、焼結される各電子部品の面積は公知であり、所定の焼結圧力のためのものである。
【0066】
「重心」という用語は、各プレスステム28が、各電子部品10の重心と一致するステム軸を有することを意味する。
【0067】
一実施形態では、プレスグループ14は、マルチステムシリンダ20と一体であり、加熱プレス部材42をスライド可能に支持する加熱ブロック40をさらに備える。各加熱プレス部材42は、焼結される各電子部品10に作用させるために、各プレスステム28によって作動させることができる。
【0068】
図8の斜視図は、異なる断面の各加熱プレス部材42に作用する、同じく異なる断面の4つのプレスステム28を示す。
【0069】
加熱プレス部材42は、支持ユニット60によって支持された基板12上にある各電子部品10に隣接して示されている。
【0070】
一実施形態では、プレスステム28は、加熱プレス部材42の平坦な表面42’と接触している丸みを帯びた前端28”を有する。例えば、プレスステム28の前端28”を球形に丸めて、焼結対象の対応する電子部品の重心点に圧縮力を集中させると同時に、プレスステム28とプレス部材42との間を断熱している。このように、加熱プレス部材42は、プレス及び加熱される電子部品の表面に容易に適応させることができる。
【0071】
一実施形態では、加熱プレス部材42は、焼結される各電子部品10のケーシングの面積にほぼ一致するか、それよりも大きい断面を有する棒状である。
【0072】
一実施形態では、マルチステムシリンダ20は、単一のプレスステム28にその断面に比例する力を与えて、全ての電子部品10に30MPAに相当する圧力を作用させることができる。
【0073】
一実施形態では、各基板12について、IGBT用の4つのプレスステム及び部材、ダイオード用のプレスステム及び部材、サーミスタ用のプレスステム及び部材、MOSFET用のプレスステム及び部材、合計48個のプレス部材と相対的なプレスステムが設けられ、これらは全て独立しており、発生するスラスト力に比例した差別化された断面を有する。
【0074】
一実施形態では、圧縮チャンバ26は、35MPA(350バール)まで加圧することができる。
【0075】
前述のように、加熱プレス部材42は、基板12上に焼結される電子部品10に圧縮力と熱を伝達する役割を担っている。
【0076】
一実施形態では、加熱ブロック40は、外装された抵抗器44及び温度センサ45を備える。
【0077】
プレス部材42は、基板上で焼結される対応する電子部品10に対して重心を押圧され、1μm/10mmの平行度に調整できるように、適切なクリアランスで加熱ブロック40内にスライドする。
【0078】
なお、電子部品10の厚さが変化しても、他の部品の焼結圧力は変化しない。
【0079】
また上述のように、各プレスステム28の軸は、各電子部品10の重心と一致しなければならないが、各プレスステム28の軸に対するプレス部材42の形状、断面及び位置は、電子部品10の形状及び/又は基板上の位置に応じて選択することができる。
【0080】
例えば、プレス部材28は、互いに非常に接近しているか、長方形ではないか、あるいは非常に異なるサイズである電子部品10を確実かつ正確に焼結するような方法で選択することができる。
【0081】
また、プレスグループ14の各プレス部材を、略球状の表面28"を介して接触配置されたプレスステム28及びプレス部材42の2つの別個の構成要素で実施することにより、マルチステムシリンダ20と加熱ブロック40との間の熱的ブレークを得ることができる。例えば、加熱ブロック40が300℃に到達可能な温度で動作する間、冷却回路に接続されたマルチステムシリンダ20は100℃以下に維持することができる。
【0082】
このように冷却されたマルチステムシリンダ20は、加熱ブロック40よりも摩耗が少なく、交換の頻度がはるかに少ない。
【0083】
一般的な実施形態では、上記のプレスを使用して基板上に電子部品を焼結するための方法は、
焼結する全ての電子部品に一定の焼結圧力を設定し、
各電子部品のプレス面に応じた各スラスト部を有するプレスステムをプレスグループに装備し、
電子部品がプレス部材の端脚と接触するように、焼結接着剤を備えたプレス基板、及び焼結される電子部品をプレス内に配置し、
プレス部材を所定の焼結温度に加熱し、
圧縮チャンバを所定の焼結圧力まで加圧し、
所定の焼結時間、焼結圧力及び焼結温度を維持し、
焼結プレスから基板を取り外す。
【0084】
一実施形態では、基板が配置される前に、保護フィルムがプレス部材の端部に接着される。
【0085】
一実施形態では、圧縮チャンバを所定の焼結圧力に加圧するステップ中、シール膜は、プレスステムの後端及び圧縮チャンバの前部の略平坦な底部の両方に接触するように変形される。
【0086】
次に、焼結サイクルをより詳細に説明する。
【0087】
焼結工程が進行している間、ロボット5は、入口コンベヤ6に到着したパレット2を管理し、それらをピックアップして、2つの自由な予熱ステーション3のうちの1つに裁置する。
【0088】
焼結工程中、ロボット5は、3つの冷却ステーション4に配置されたパレット2も管理する。プログラムされた冷却サイクルの終わりに、ロボットは、対応する冷却ステーションからパレットを取り出し、それを出口コンベヤ7に裁置する。
【0089】
焼結工程の最後に、以下の工程を連続して実施する。
【0090】
マルチステムシリンダ20は、約35MPAから約0.5MPAに減圧される。このようにして、加熱プレス部材42は、所定の力を有するブランクホルダとして機能する。
【0091】
マルチステムシリンダの減圧は、支持ユニット60の反応ブロックに含まれる圧力センサによって制御される。
【0092】
支持ユニットは、前進したプレス位置から、一様に加速及び減速されて下動し、200mmのストロークを完了する。
【0093】
周辺フレーム50は10mmだけ落下して保護フィルム52を解放する。
【0094】
次に、プレスグループ14の真空ポンプを穏やかにパルス加圧して、フィルムをプレス部材から切り離す。
【0095】
一体型フィルムの一部をプレスグループのプレス部材の下に配置するために、保護フィルムの巻き戻しリール及び巻き取りリールが作動される。この操作は、好ましくは、新たに焼結された基板を含むパレットがまだ存在する状態で実行されなければならない。これにより、接着剤又はフィルムの残留物が、支持ユニット60に、あるいはまだ焼結されていない基板上に落下することが防止される。
【0096】
ロボットは、プレスからパレットを取り出し、それを3つの冷却ステーションのフリーステーションに裁置する。
【0097】
ロボットは、150℃での予熱サイクルを完了し、焼結された基板を備えたパレットを持ち上げ、それを支持ユニット60に穏やかに裁置する。
【0098】
次に、プレスグループ14と保護フィルムとの間が真空引きされ、フィルムをプレスグループ14のプレス部材に付着させる。
【0099】
ロボットが衝突領域を離れるとすぐに、支持ユニット60は、均一に加速及び減速されて上昇する。特に、一実施形態では、支持ユニット60は、パレット及び関連する基板と共に移動する最後の15mmで、プレスグループ14の周辺フレーム50と衝突して持ち上げる。支持ユニット60の最後の2mmの移動で、パレットハウジングの中心に位置し、支持ユニット60の各可動反応ブロック上に直接裁置された基板が、保護フィルムで覆われたプレス部材と衝突する。
【0100】
このステップで僅かに加圧されるプレス部材42は収縮してブランクホルダとして機能する。
【0101】
支持ユニット60は、上ストローク終了位置に到達する。
【0102】
マルチステムシリンダは、プログラムされた圧力で加圧される。
【0103】
マルチステムシリンダの加圧は、各基板上のプレス部材によって付与される累積圧縮力を測定する、対応する変形センサによって制御される。
【0104】
一実施形態では、基板の焼結温度は、下部64及び上部40の加熱ブロックに含まれる外装カートリッジ抵抗によって生成される。
【0105】
一実施形態では、焼結温度は、プレスグループ内及び支持ユニット内で、例えば適切に配置された熱抵抗PT100を用いて独立して制御される。
【0106】
好ましくは、基板は、可動反応ブロックを介して下方から加熱され、プレス部材及び保護フィルムを介して情報から加熱される。加熱条件が異なるので、基板への熱伝達の違いを補うために、加熱温度を上下で異ならせることができる。
【0107】
一実施形態では、基板上の電子部品は、260℃の温度でプログラムされた時間(例えば、300秒)維持され、30MPAでプレスされて、基板上の部品の焼結を実行する。
【0108】
焼結時間が経過すると、マルチステムシリンダが減圧され、プレスが上記のように再び開く。
【0109】
当業者は、偶発的な必要性を満たすために、本発明に係るプレスグループ及び焼結プレスの実施形態に対して、要素を他の機能的に同等のものといくつかの変更、調整、適合、及び交換を行うことができる。 以下の特許請求の範囲から逸脱する。 可能な実施形態に属すると記載されている特徴のそれぞれは、記載されている他の実施形態とは独立して取得することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図5a
図5b
図5c
図6
図7
図7a
図8