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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】製品検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20240226BHJP
   G01N 21/892 20060101ALI20240226BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
G01N21/956 Z
G01N21/892
G01N21/27 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022162661
(22)【出願日】2022-10-07
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】591009705
【氏名又は名称】株式会社 東京ウエルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 寿浩
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 友貴
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-245071(JP,A)
【文献】特開2021-107779(JP,A)
【文献】特開平9-236487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
G01N 21/84-G01N 21/958
G01B 11/00-G01B 11/30
B65B 15/00-B65B 15/04
B65D 73/00-B65D 73/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティを有するキャリアテープと、キャビティ内に位置するチップデバイスと、前記チップデバイスを覆うように前記キャリアテープに取り付けられるトップテープと、を含むチップ製品を検査する製品検査装置であって、
鉛直線に対して第1角度を成す方向に第1検査光を出射する第1照明装置と、
鉛直線に対して、前記第1角度よりも大きな第2角度を成す方向に、前記第1検査光とは異なる波長を有する第2検査光を出射する第2照明装置と、
前記第1検査光及び前記第2検査光が照射された前記チップ製品の撮影画像を取得する撮像装置と、
前記撮影画像中の前記第1検査光の画像成分に基づいて前記チップデバイスの状態を検出し、前記撮影画像中の前記第2検査光の画像成分に基づいて前記キャリアテープの状態を検出し、前記撮影画像中の前記第1検査光の画像成分及び前記第2検査光の画像成分の両方に基づいて、前記トップテープのうちの少なくとも一部の状態を検出する画像処理を行う画像処理装置と、
を備え
前記トップテープは、前記キャリアテープに対して熱圧着されており、
前記画像処理装置は、
前記トップテープのうち前記キャリアテープに対して熱圧着されている部分の状態を、前記撮影画像中の前記第2検査光の画像成分に基づいて検出し、
前記トップテープのうち前記キャリアテープに対して熱圧着されていない部分の状態を、前記撮影画像中の前記第1検査光の画像成分及び前記第2検査光の画像成分の両方に基づいて検出する、
製品検査装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、前記撮影画像を基準画像と比較することで、前記チップデバイスの状態、前記キャリアテープの状態及び前記トップテープの状態のうちの少なくともいずれか1つ以上を検出する請求項1に記載の製品検査装置。
【請求項3】
前記画像処理において、
前記第1検査光の画像成分の前記基準画像に基づいて、前記チップデバイスの状態が検出され、
前記第2検査光の画像成分の前記基準画像に基づいて、前記キャリアテープの状態が検出され、
前記第1検査光の画像成分及び前記第2検査光の画像成分の両方の前記基準画像に基づいて、前記トップテープのうちの少なくとも一部の状態が検出される
請求項に記載の製品検査装置。
【請求項4】
外部からの外乱光を遮断するカバー本体部と、外部からの前記外乱光の通過を許容する開口部と、を有する光遮断カバーを更に備え、
前記撮像装置は、前記カバー本体部により包囲される前記チップ製品の前記撮影画像を取得し、
前記画像処理は、前記開口部を通過する前記外乱光が前記撮影画像に及ぼす影響を低減する処理を含む、
請求項1又は2に記載の製品検査装置。
【請求項5】
前記画像処理によって検出される前記チップデバイスの状態、前記キャリアテープの状態及び前記トップテープの状態のうちの少なくともいずれか1つ以上が異常を示す場合にアラームを発するアラーム装置を更に備える請求項1又は2に記載の製品検査装置。
【請求項6】
前記第1検査光は、赤色光を含み、
前記第2検査光は、緑色光を含み、
前記第1角度は、0°~45°であり、
前記第2角度は、75°~90°である
請求項1又は2に記載の製品検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チップ製品を検査する製品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャリアテープ及びトップテープを使って複数のチップ部品の各々を個別的に梱包するテーピング装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-41118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トップテープ及びキャリアテープがお互いに接合されて、多数のチップ部品が個別的にトップテープ及びキャリアテープによって密閉されることで、チップ製品が作られる。
【0005】
このようにして製造されるチップ製品の状態は、チップ製品の撮影画像を解析することで検査可能である。このような検査において用いられるチップ製品の撮影画像は、白色光(例えば白色LED光)をチップ製品に照射しつつ当該チップ製品を撮像することで取得されることが多い。
【0006】
このようにして取得されるチップ製品の撮影画像は、チップ製品中の複数の対象(例えばチップ部品、キャリアテープ及びトップテープ(キャリアテープに対するトップテープの熱圧着部を含みうる))のすべての検査に適した照明環境で撮像されたものではない。一般に、チップ製品の撮影画像は、当該チップ製品中のチップ部品の検査に適した照明条件下で撮像取得されることが多い。この場合に得られるチップ製品の撮影画像は、チップ部品の検査には適しているが、チップ製品中のチップ部品以外の部分の検査には必ずしも適していない。
【0007】
例えば白~黒の濃度範囲で撮像取得されるチップ製品の撮影画像に基づいて、キャリアテープ、トップテープ(キャリアテープに熱圧着されていない部分及び熱圧着されている部分)、及びチップ部品の各々の検査を行うことがある。この場合、チップ製品の撮影画像がトップテープのシール状態の検査(熱圧着部分の検査)に適してない照明環境下で撮像取得されると、当該撮影画像を使ったシール状態検査において誤判定が多くなる傾向がある。
【0008】
またチップ製品が外乱光によって照らされている状態で撮像が行われる場合、撮影画像が外乱光の影響を受けるため、撮影画像の画質が安定せず、結果的に、検査での誤判定を招く。
【0009】
本開示は上述の事情に鑑みてなされたものであり、チップ製品中の複数の対象に関する検査を精度良く行うのに有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様は、キャビティを有するキャリアテープと、キャビティ内に位置するチップデバイスと、チップデバイスを覆うようにキャリアテープに取り付けられるトップテープと、を含むチップ製品を検査する製品検査装置であって、鉛直線に対して第1角度を成す方向に第1検査光を出射する第1照明装置と、鉛直線に対して、第1角度よりも大きな第2角度を成す方向に、第1検査光とは異なる波長を有する第2検査光を出射する第2照明装置と、第1検査光及び第2検査光が照射されたチップ製品の撮影画像を取得する撮像装置と、撮影画像中の第1検査光の画像成分に基づいてチップデバイスの状態を検出し、撮影画像中の第2検査光の画像成分に基づいてキャリアテープの状態を検出し、撮影画像中の第1検査光の画像成分及び第2検査光の画像成分の両方に基づいて、トップテープのうちの少なくとも一部の状態を検出する画像処理を行う画像処理装置と、を備える製品検査装置に関する。
【0011】
トップテープは、キャリアテープに対して熱圧着されていてもよく、画像処理装置は、トップテープのうちキャリアテープに対して熱圧着されている部分の状態を、撮影画像中の第2検査光の画像成分に基づいて検出してもよく、トップテープのうちキャリアテープに対して熱圧着されていない部分の状態を、撮影画像中の第1検査光の画像成分及び第2検査光の画像成分の両方に基づいて検出してもよい。
【0012】
画像処理装置は、撮影画像を基準画像と比較することで、チップデバイスの状態、キャリアテープの状態及びトップテープの状態のうちの少なくともいずれか1つ以上を検出してもよい。
【0013】
画像処理において、第1検査光の画像成分の基準画像に基づいて、チップデバイスの状態が検出されてもよく、第2検査光の画像成分の基準画像に基づいて、キャリアテープの状態が検出されてもよく、第1検査光の画像成分及び第2検査光の画像成分の両方の基準画像に基づいて、トップテープのうちの少なくとも一部の状態が検出されてもよい。
【0014】
製品検査装置は、外部からの外乱光を遮断するカバー本体部と、外部からの外乱光の通過を許容する開口部と、を有する光遮断カバーを更に備えてもよく、撮像装置は、カバー本体部により包囲されるチップ製品の撮影画像を取得してもよく、画像処理は、開口部を通過する外乱光が撮影画像に及ぼす影響を低減する処理を含んでもよい。
【0015】
製品検査装置は、画像処理によって検出されるチップデバイスの状態、キャリアテープの状態及びトップテープの状態のうちの少なくともいずれか1つ以上が異常を示す場合にアラームを発するアラーム装置を更に備えてもよい。
【0016】
第1検査光は、赤色光を含んでもよく、第2検査光は、緑色光を含んでもよく、第1角度は、0°~45°であってもよく、第2角度は、75°~90°であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本開示の技術によれば、チップ製品中の複数の対象に関する検査を精度良く行うのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、ワーク処理システムの一例の概略構成を示す外観図である。
図2図2は、製品検査装置の一例の概略構成を示す図である。
図3図3は、製品検査装置の他の例の概略構成を示す図である。
図4図4は、製品検査方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本開示の一実施形態について説明する。各図面に示される各要素の形状及びサイズは、必ずしも実物の形状及びサイズとは一致せず、各図面に示される要素間の配置関係及び寸法比も、必ずしも実物の配置関係及び寸法比とは一致しない。
【0020】
図1は、ワーク処理システム1Aの一例の概略構成を示す外観図である。
【0021】
図1に示すワーク処理システム1Aは、パーツフィーダ1、リニアフィーダ2及びインデックステーブル3を備える。
【0022】
パーツフィーダ1は、供給される複数のワークを所望の向きにそろえ、当該複数のワークを整列した状態でリニアフィーダ2に送り出す。ここで言うワークの具体的な構成及び機能は限定されず、チップ型の電子部品(チップデバイス)全般がワーク処理システム1Aにおける処理対象となりうる。
【0023】
リニアフィーダ2は、パーツフィーダ1から送られてくる複数のワークを、一列の状態で、インデックステーブル3に向けて搬送する。
【0024】
インデックステーブル3は、円盤形状を有し、回転軸5を介して基台3Aにより回転可能に支持される。インデックステーブル3に取り付けられる回転軸5は、インデックステーブル3の中心に位置し、鉛直方向(高さ方向)に沿って延びる中心軸線を中心に回転可能に設けられる。インデックステーブル3は、モータ等の駆動部(図示省略)から回転軸5に伝えられる回転動力に応じて、回転軸5とともに間欠的に回転する。
【0025】
インデックステーブル3の外周部には、外側向きに開口する複数のワーク収納孔(図示省略)が、回転軸5を中心に等角度間隔に設けられる。複数のワーク収納孔は、インデックステーブル3の間欠回転に応じて、円軌道に沿って間欠的に移動し、当該円軌道上の複数の停止位置(後述の収容位置、検査位置及び移送位置を含む)において間欠的に順次停止する。リニアフィーダ2によって搬送されるワークは、分離供給部4を介して、各ワーク収納孔に個別に収容される。分離供給部4は、リニアフィーダ2からのワークを、収容位置において間欠的に停止しているワーク収納孔に移送して収容する。
【0026】
インデックステーブル3の外周に対応する位置(特に各ワーク収納孔が移動する円軌道(特に後述の検査位置及び移送位置)に対応する位置)に、ワーク検査部9及びワーク挿入部6が設けられる。ワーク検査部9は、検査位置において間欠的に停止しているワーク収納孔内のワークに電流を流すことで、当該ワークの電気的な検査を行う。ワーク挿入部6は、移送位置において間欠的に停止しているワーク収納孔内のワークを、当該ワーク収納孔からキャリアテープ7のキャビティに移送する。
【0027】
キャリアテープ7は、任意の材料により構成可能であり、例えば全体が紙により構成されてもよい。紙製のキャリアテープ7が用いられる場合、パンチング処理装置(図示省略)を使ってキャリアテープ7にパンチング処理を施すことで、複数の所望形状のキャビティ(有底凹部)をキャリアテープ7において規則的に形成することが可能である。
【0028】
図1に示すワーク処理システム1Aにおいて、キャリアテープ7は、供給リール8から繰り出され、ワーク挿入部6によってインデックステーブル3のワーク収納孔からキャビティにワークが供給された後、ワークとともに熱圧着装置20に送られる。
【0029】
熱圧着装置20には、キャリアテープ7とともにトップテープ17が供給される。トップテープ17は、トップテープ供給部(図示省略)から第1案内ローラ18A及び第2案内ローラ18Bを介して熱圧着装置20に送られる。トップテープ17は、後述の検査光(第1検査光及び第2検査光)の少なくとも一部を透過可能な任意の材料により構成可能であり、例えば全体が透明の合成樹脂により構成されてもよい。熱圧着装置20は、キャリアテープ7のうちワークを収納する各キャビティを包囲する表面部分に対し、トップテープ17を熱圧着する。
【0030】
上述の一連の処理を経て、複数のキャビティを有するキャリアテープ7と、それぞれのキャビティ内に位置するワークと、それぞれのキャビティ内のワークを覆うようにキャリアテープ7に取り付けられるトップテープ17と、を含む複数のチップ製品Qが連続的に作られる。個々のチップ製品Qは、1つのキャビティ内に位置するワークと、当該ワークを取り囲むキャリアテープ7及びトップテープ17と、を含む。
【0031】
このようにして製造される多数のチップ製品Qは、直線的に等間隔に並べられ且つ一体的につながった状態のまま、熱圧着装置20から製品検査装置10に送られ、製品検査装置10において品質検査を受ける。
【0032】
図2は、製品検査装置10の一例の概略構成を示す図である。図2においてチップ製品Q(ワークW、キャリアテープ7及びトップテープ17)については、キャリアテープ7の各キャビティC内のワークWが透視的に示されている。
【0033】
図2に示す製品検査装置10は、第1照明装置11、第2照明装置12、撮像装置13及び画像処理装置14を備える。
【0034】
第1照明装置11は、鉛直線Lvに対して第1角度θ1を成す方向に第1検査光(ハイアングル検査光)を出射する。図2に示す例では、LEDデバイスにより構成される複数(2つ)の第1照明装置11が設けられ、第1検査光は赤色の拡散光であり、第1角度θ1は0°~45°の角度範囲のうちの任意の角度に設定可能である。第1角度θ1は、第1照明装置11が出射する第1検査光の主光線の方向(すなわち第1検査光出射方向DL1)によって表される。図2に示す例において、各第1照明装置11の第1検査光出射方向DL1は、検査位置P0に位置するチップ製品Q(特にキャリアテープ7のキャビティC内のワークW)を第1検査光の主光線が通過するように、方向づけられる。
【0035】
図2に示すワークWは、ワーク本体W0及び2つのワーク電極W1を含み、当該2つのワーク電極W1はワーク本体W0を挟むようにワーク本体W0に取り付けられる。キャリアテープ7の各キャビティCにおいて、ワーク本体W0及びワーク電極W1が水平方向に並ぶように、ワークWは各キャビティCに収容される。
【0036】
第2照明装置12は、鉛直線Lvに対して、第1角度θ1よりも大きな第2角度θ2を成す方向に、第1検査光とは異なる波長(波長帯域)を有する第2検査光(ローアングル検査光)を出射する。第1検査光及び第2検査光の波長は限定されず、第1検査光の波長は第2検査光の波長よりも長くてもよい。図2に示す例では、LEDデバイスにより構成される複数(2つ)の第2照明装置12が設けられ、第2検査光は緑色の拡散光であり、第2角度θ2は75°~90°の角度範囲のうちの任意の角度に設定可能である。第2角度θ2は、第2照明装置12が出射する第2検査光の主光線の方向(すなわち第2検査光出射方向DL2)によって表される。図2に示す例では、各第2照明装置12の第2検査光出射方向DL2は、第2検査光の主光線が水平に進むように、方向づけられる。
【0037】
各第1照明装置11及び各第2照明装置12からの検査光の出射態様は限定されない。例えば製品検査装置10が作動している間は常時、各第1照明装置11及び各第2照明装置12から検査光が継続的に出射されてもよい。或いは、各第1照明装置11及び各第2照明装置12は、制御装置50の制御下で、撮像装置13による撮影に応じて検査光の出射をオン/オフしてもよく、撮像装置13による撮影が行われない間は検査光を出射しなくてもよい。
【0038】
図2に示す例において、第1照明装置11間の水平方向の最小距離L1は例えば65mmに設定され、各第1照明装置11とチップ製品Q(特にトップテープ17の上面(露出面))との間の高さ方向(鉛直方向)の最小距離L2は、例えば95mm~160mmに設定される。また各第2照明装置12(特に第2検査光を発光する範囲)の高さ方向の距離L3は、例えば15mm~20mmに設定される。
【0039】
なお従来の製品検査装置において、白色の検査光を2つのLED照明装置から出射する場合、当該2つのLED照明装置の水平方向の最小距離L1は例えば3mm~15mmに設定され、各LED照明装置の検査光(主光線)の出射角度θは鉛直線Lvに対して例えば0°~60°に設定され、各LED照明装置とチップ製品(特にトップテープ17の上面)との間の高さ方向(鉛直方向)の最小距離L2は例えば10mm~30mmに設定される。
【0040】
撮像装置13は、第1検査光及び第2検査光が照射されたチップ製品Qの撮影画像を取得する。本実施形態の撮像装置13の撮像方向Dc(光軸方向)は鉛直方向と一致し、撮像装置13の光軸が、検査位置P0に位置するキャビティC及びワークWを通過する。検査位置P0に位置するワークWを含む検査対象のチップ製品Qに対し、各第1照明装置11からの第1検査光及び各第2照明装置12からの第2検査光が照射されつつ、当該検査対象のチップ製品Qの画像が撮像装置13によって撮像取得される。
【0041】
画像処理装置14は、撮像装置13から送られてくるチップ製品Qの撮影画像の解析(画像処理)を行って、チップ製品Qの品質検査を行う。本実施形態の画像処理装置14は、チップ製品Qの撮影画像中の第1検査光(赤色光)の画像成分に基づいてワークWの状態を検出し、撮影画像中の第2検査光(緑色光)の画像成分に基づいてキャリアテープ7の状態を検出し、撮影画像中の第1検査光の画像成分及び第2検査光の画像成分の両方に基づいて、トップテープ17のうちの少なくとも一部の状態を検出する画像処理を行う。
【0042】
特にトップテープ17に関し、画像処理装置14は、トップテープ17のうちキャリアテープ7に対して熱圧着されている部分(シール部分17b)の状態を、チップ製品Qの撮影画像中の第2検査光の画像成分に基づいて検出し、トップテープ17のうちキャリアテープ7に対して熱圧着されていない部分(非シール部分17a)の状態を、撮影画像中の第1検査光の画像成分及び第2検査光の画像成分の両方に基づいて検出する。
【0043】
画像処理装置14において行われる画像処理の具体的なやり方は限定されず、画像処理装置14は、任意のアルゴリズムに従って各検査に必要とされる画像処理を実行する。一例として、画像処理装置14は、検査対象のチップ製品Qの撮影画像を、予め準備されている基準画像と比較することで、ワークWの状態、キャリアテープ7の状態及びトップテープ17の状態のうちの少なくともいずれか1つ以上を検出することが可能である。すなわち画像処理装置14が行う画像処理において、第1検査光の画像成分の基準画像に基づいてワークWの状態が検出されてもよく、第2検査光の画像成分の基準画像に基づいてキャリアテープ7の状態が検出されてもよく、第1検査光の画像成分及び第2検査光の画像成分の両方の基準画像に基づいて、トップテープ17のうちの少なくとも一部(非シール部分17a)の状態が検出されてもよい。
【0044】
図2に示す例では、画像処理装置14と、製品検査装置10の各部(各第1照明装置11、各第2照明装置12及び撮像装置13)を制御する制御装置50とが、共通のデバイスによって構成される。
【0045】
画像処理装置14及び制御装置50にはインターフェースデバイス25が接続され、画像処理装置14及び制御装置50とインターフェースデバイス25との間でデータ(コマンド(指示)を含む)の送受信が行われる。
【0046】
インターフェースデバイス25は入力デバイス(例えばキーボード、タッチパネル及び/又はマウスユーザ)を備え、ユーザは入力デバイスを操作して各種情報をインターフェースデバイス25に入力することが可能である。またインターフェースデバイス25は出力デバイス(例えばディスプレイ及び/又はスピーカ)を備え、ユーザは出力デバイスを介して各種情報を認識することが可能である。インターフェースデバイス25を介してユーザにより入力されるデータに基づいて、画像処理装置14は画像処理を行い、制御装置50はデバイス制御を行う。また画像処理装置14の画像処理に関する情報及び制御装置50のデバイス制御に関する情報が、インターフェースデバイス25を介してユーザに提供される。
【0047】
特に本実施形態のインターフェースデバイス25は、画像処理装置14における画像処理によって検出されるワークWの状態、キャリアテープ7の状態及びトップテープ17の状態のうちの少なくともいずれか1つ以上が異常を示す場合にアラームを発するアラーム装置15としても働く。ここで言うアラームは、ユーザの五感を通じて認識可能な任意の形態で発せられ、典型的には出力デバイスを介して視覚的表示及び/又は音声として発せられる。
【0048】
製品検査装置10は、チップ製品Qの撮影画像に対する外乱光の影響を抑えるための光遮断カバーを備えてもよい。
【0049】
図3は、製品検査装置10の他の例の概略構成を示す図である。図3において、キャリアテープ7の各キャビティC内のワークWが透視的に示されるとともに、光遮断カバー30の内側の状態が透視的に示されている。
【0050】
図3に示す製品検査装置10において光遮断カバー30以外の構成は、上述の図2に示す製品検査装置10と基本的に同様であり、図2に示す製品検査装置10と同様の構成についての詳細な説明は省略する。
【0051】
図3に示す光遮断カバー30は、外部からの外乱光を遮断するカバー本体部31と、外部からの外乱光の通過を許容する開口部32と、チップ製品Q(特にトップテープ17)に面する開放端部33と、を有する。開口部32及び開放端部33は、カバー本体部31によって区画される空間領域であり、カバー本体部31の内部と外部とを連通する。
【0052】
各第1照明装置11及び各第2照明装置12は、カバー本体部31の内側に位置づけられる。複数のチップ製品Q(キャリアテープ7、トップテープ17及びワークW)は、カバー本体部31の外側において、お互いにつながった状態で、搬送装置(図示省略)によって搬送方向Dt(図3の右向きの水平方向)へ間欠的に搬送される。
【0053】
撮像装置13は、カバー本体部31の外側に位置づけられ、開口部32及び開放端部33を介してチップ製品Q(特に検査位置P0に位置するキャビティC内のワークW)に対面する。検査対象のチップ製品Qの撮影光は、開放端部33及び開口部32を介し、撮像装置13の撮影レンズ及び撮像素子に入射する。このように図3に示す撮像装置13は、カバー本体部31の外部において、カバー本体部31により包囲される検査対象のチップ製品Q(すなわち検査位置P0に位置づけられるワークWを含むチップ製品Q)の撮影画像を取得する。
【0054】
図3に示す製品検査装置10の画像処理装置14によって行われる画像処理は、開口部32を通過する外乱光が撮影画像に及ぼす影響を低減する任意の処理を含んでもよい。
【0055】
次に、上述の製品検査装置10(図2及び図3参照)によって実施可能な製品検査方法の一例について説明する。
【0056】
図4は、製品検査方法の一例を示すフローチャートである。
【0057】
本例の製品検査方法では、まず、各第1照明装置11及び各第2照明装置12からの第1検査光及び第2検査光を検査対象のチップ製品Qに同時的に照射しつつ、当該検査対象のチップ製品Qの撮影画像が撮像装置13によって取得される(図4のS1)。撮像装置13は、検査対象のチップ製品Qが検査位置P0において間欠的に停止している状態で撮像を行ってもよいし、検査対象のチップ製品Qが移動している間に撮像を行ってもよい。
【0058】
検査対象のチップ製品Qの撮影画像は、撮像装置13から画像処理装置14に送られる。そして撮影画像が画像処理装置14による画像処理を受けることで、当該撮影画像から、検査対象のチップ製品Qの第1検査光画像、第2検査光画像、及び複合検査光画像が取得(抽出)される(S2)。
【0059】
ここで第1検査光画像は、撮影画像中の第1検査光の画像成分に基づく画像であり、本例では赤色成分画像である。また第2検査光画像は、撮影画像中の第2検査光の画像成分に基づく画像であり、本例では緑色成分画像である。また複合検査光画像は、撮影画像中の第1検査光の画像成分及び第2検査光の画像成分の両方に基づく画像であり、本例では赤色成分及び緑色成分の混合画像である。
【0060】
第1検査光画像、第2検査光画像及び複合検査光画像の取得方法は限定されない。一例として、撮影画像の色相及び彩度を赤色成分の色相及び彩度に合わせ込むことで第1検査光画像(赤色成分画像)が抽出され、撮影画像の色相及び彩度を緑色成分の色相及び彩度に合わせ込むことで第2検査光画像(緑色成分画像)が抽出される。また撮影画像の色相及び彩度を赤色成分及び緑色成分の双方の色相及び彩度に合わせ込むことで、複合検査光画像(赤色成分及び緑色成分の混合画像)が抽出される。
【0061】
そして画像処理装置14は、第1検査光画像に基づく第1画像処理、第2検査光画像に基づく第2画像処理、及び複合検査光画像に基づく第3画像処理を実施して、検査対象のチップ製品Qの検査を行う(S3)。本実施形態では、第1検査光画像(赤色成分画像)に基づく第1画像処理によって、ワークWの状態が検出される。また第2検査光画像(緑色成分画像)に基づく第2画像処理によって、キャリアテープ7の状態と、トップテープ17のうちキャリアテープ7に熱圧着された部分(シール部分17b)の状態とが検出される。また複合検査光画像(赤色成分及び緑色成分の混合画像)に基づく第3画像処理によって、トップテープ17のうちキャリアテープ7に熱圧着されていない部分(非シール部分17a)の状態が検出される。
【0062】
例えば、第1検査光画像の画像処理を行うことで、ワークWのワーク電極W1のエッジを検出したり、ワーク電極W1の撮影画像濃度を検出したりすることができる。また第2検査光画像の画像処理を行うことで、キャリアテープ7の位置を検出したり、キャリアテープ7のエッジを検出したり、トップテープ17のシール部分17bのエッジを検出したり、シール部分17bの撮影画像濃度を検出したりすることが可能である。また複合検査光画像の画像処理を行うことで、トップテープ17の位置を検出したり、トップテープ17のエッジを検出したりすることが可能である。
【0063】
そして画像処理装置14は、チップ製品Qの各要素に関する上述の検出結果に基づいて、チップ製品Qが良品か否か(不良品か否か)を判定する。
【0064】
例えば、キャリアテープ7のエッジ検出の結果、トップテープ17のエッジ検出の結果、トップテープ17のシール部分17bのエッジ検出の結果、及びワークWのワーク電極W1のエッジ検出の結果に基づいて、チップ製品Qの個々の要素(ワークW、キャリアテープ7及びトップテープ17)の寸法検査が行われる。当該寸法検査の結果、チップ製品Qの個々の要素の寸法が予め定められる許容範囲内にあると判断される場合にはチップ製品Qは良品であると判定され、いずれか1つ以上の要素の寸法が許容範囲に含まれないと判断される場合にはチップ製品Qは不良品であると判定される。
【0065】
またトップテープ17のシール部分17bの撮影画像濃度の検出結果及びワークWのワーク電極W1の撮影画像濃度の検出結果に基づいて、チップ製品Qの良否検査が行われる。すなわちシール部分17bの撮影画像濃度及びワーク電極W1の撮影画像濃度が許容範囲内にあると判断される場合にはチップ製品Qは良品であると判定され、いずれかの撮影画像濃度が許容範囲に含まれないと判断される場合にはチップ製品Qは不良品であると判定される。
【0066】
上述の検査の結果、検査対象のチップ製品Qにエラーがあり当該チップ製品Qが不良品であると判定される場合(S4のY)、画像処理装置14からアラーム装置15(インターフェースデバイス25)にエラー信号が送られる。その結果、アラーム装置15からアラームが発せられ、チップ製品Qのエラーがユーザに報知される。例えばトップテープ17のシール部分17bにエラーが検出される場合、ユーザにワーク処理システム1A(例えば熱圧着装置20)の点検及び調整を促すような警告をアラーム装置15は発してもよい。
【0067】
一方、上述の検査の結果、検査対象のチップ製品Qにエラーはなく、当該チップ製品Qが良品であると判定される場合(S4のN)、当該チップ製品Qに関してアラーム装置15からのアラームは発せられない。
【0068】
上述の一連の処理(S1~S5)はチップ製品Q毎に繰り返し行われ、各チップ製品Qに関して検査が行われる。各チップ製品Qの検査の結果は記録されてもよい。例えば、制御装置50は、各チップ製品QのID(シリアル番号など)と検査結果とを互いに関連付けて保存部(記憶媒体)に記憶保存してもよい。このようにして保存部に記憶保存されるデータは、必要に応じて読み出されて各種処理に使われうる。
【0069】
以上説明したように上述の製品検査装置10及び製品検査方法によれば、波長(波長帯域)の異なる複数の検査光(第1検査光及び第2検査光)がチップ製品Qに対して同時的に照射されて、当該チップ製品Qの撮影画像が取得される。そのため撮影画像には複数の検査光成分が本質的に含まれることになる。そのような撮影画像から得られるそれぞれの検査光の成分画像及び複数の検査光の複合成分画像を利用することで、チップ製品Q中の複数の対象に関する検査を精度良く行うことができる。
【0070】
特に、上述の実施形態(図2図4参照)によれば、キャリアテープ7の各キャビティCにおけるワークWの有無に関する検査に加え、キャリアテープ7に対するトップテープ17のシール跡(シール部分17b)の適否に関する検査も安定的に行うことが可能である。
【0071】
また図3に示すような光遮断カバー30を利用することによって、チップ製品Qの撮影画像における外乱光の影響を抑えることができ、検査結果の精度を向上させることができる。特に、光遮断カバー30の開口部32を通過する外乱光が撮影画像に及ぼす影響を低減するための画像処理を、画像処理装置14が撮影画像に対して行うことで、検査結果の精度を更に向上させることができる。
【0072】
[変形例]
上述の実施形態では、第1検査光として赤色光を含み、第2検査光として緑色光を含むが、第1検査光及び第2検査光の波長(波長帯域)は限定されない。またお互いに異なる3以上の波長(波長帯域)の光が、検査光(例えば第1検査光~第3検査光)として、検査対象のチップ製品Qに照射されてもよい。
【0073】
また製品検査装置10によるチップ製品Qの検査のタイミングは限定されない。上述の実施形態では、一連の処理の中で、ワーク処理システム1Aにおけるチップ製品Qの製造及び製品検査装置10によるチップ製品Qの検査の両方が行われるが、チップ製品Qの製造及び検査はお互いに分離した処理として実施されてもよい。
【0074】
本明細書で開示されている実施形態及び変形例はすべての点で例示に過ぎず限定的には解釈されないことに留意されるべきである。上述の実施形態及び変形例は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態での省略、置換及び変更が可能である。例えば上述の実施形態及び変形例が全体的に又は部分的に組み合わされてもよく、また上述以外の実施形態が上述の実施形態又は変形例と組み合わされてもよい。また、本明細書に記載された本開示の効果は例示に過ぎず、その他の効果がもたらされてもよい。
【0075】
上述の技術的思想を具現化する技術的カテゴリーは限定されない。例えば上述の装置を製造する方法或いは使用する方法に含まれる1又は複数の手順(ステップ)をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムによって、上述の技術的思想が具現化されてもよい。またそのようなコンピュータプログラムが記録されたコンピュータが読み取り可能な非一時的(non-transitory)な記録媒体によって、上述の技術的思想が具現化されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 パーツフィーダ、1A ワーク処理システム、2 リニアフィーダ、3 インデックステーブル、3A 基台、4 分離供給部、5 回転軸、6 ワーク挿入部、7 キャリアテープ、8 供給リール、9 ワーク検査部、10 製品検査装置、11 第1照明装置、12 第2照明装置、13 撮像装置、14 画像処理装置、15 アラーム装置、17 トップテープ、17a 非シール部分、17b シール部分、18A 第1案内ローラ、18B 第2案内ローラ、20 熱圧着装置、25 インターフェースデバイス、30 光遮断カバー、31 カバー本体部、32 開口部、33 開放端部、50 制御装置、C キャビティ、Dc 撮像方向、DL1 第1検査光出射方向、DL2 第2検査光出射方向、Dt 搬送方向、Lv 鉛直線、P0 検査位置、Q チップ製品、W ワーク、W0 ワーク本体、W1 ワーク電極、θ1 第1角度、θ2 第2角度
【要約】
【課題】チップ製品中の複数の対象の検査を精度良く行うのに有利な製品検査装置を提供する。
【解決手段】第1照明装置11は、鉛直線Lvに対して第1角度θ1を成す方向に第1検査光を出射し、第2照明装置12は、鉛直線Lvに対して、第1角度θ1よりも大きな第2角度θ2を成す方向に、第1検査光とは異なる波長を有する第2検査光を出射する。撮像装置13は、第1検査光及び第2検査光が照射されたチップ製品Qの撮影画像を取得する。画像処理装置14は、撮影画像中の第1検査光の画像成分に基づいてチップデバイスWの状態を検出し、撮影画像中の第2検査光の画像成分に基づいてキャリアテープ7の状態を検出し、撮影画像中の第1検査光の画像成分及び第2検査光の画像成分の両方に基づいて、トップテープ17のうちの少なくとも一部の状態を検出する画像処理を行う。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4