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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20240226BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20240226BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240226BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20240226BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20240226BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20240226BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240226BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/02
A61K8/34
A61K8/25
A61K8/29
A61K8/27
A61K8/19
A61Q19/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022183918
(22)【出願日】2022-11-17
(62)【分割の表示】P 2022154847の分割
【原出願日】2022-09-28
【審査請求日】2022-11-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】萩尾 利和
(72)【発明者】
【氏名】中村 将行
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-157793(JP,A)
【文献】特開2023-008295(JP,A)
【文献】国際公開第2023/112833(WO,A1)
【文献】特開2017-043588(JP,A)
【文献】特開2018-052906(JP,A)
【文献】特開2014-181192(JP,A)
【文献】特開2018-012683(JP,A)
【文献】特開2016-147810(JP,A)
【文献】特開2014-073977(JP,A)
【文献】特開2006-232712(JP,A)
【文献】特開平01-102013(JP,A)
【文献】UV Protection Gel SPF 30 PA+++, MINTEL GNPD [ONLINE], 2022.07,[検索日 2023.09.05],インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra>(Database accession no.9743672)
【文献】La Micro-Huile de Rose Advanced Serum, MINTEL GNPD [ONLINE], 2020.10,[検索日 2023.09.05],インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra>(Database accession no.8190985)
【文献】Cream, MINTEL GNPD [ONLINE], 2021.03,[検索日 2023.09.05],インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra>(Database accession no.8542821)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/73
A61K 8/02
A61K 8/34
A61K 8/25
A61K 8/29
A61K 8/27
A61K 8/19
A61Q 19/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピールオフタイプの皮膚外用剤を得るためのキットであって、第一剤がタマリンドガム、水、及び充填剤を含有する組成物であり、第二剤が多価アルコールを含有する組成物であり、充填剤がシリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、タルク、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンアルミニウムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするキット。
【請求項2】
タマリンドガム、水、充填剤及び多価アルコールを含有することを特徴とするピールオフタイプの皮膚外用剤であって、充填剤がシリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、タルク、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンアルミニウムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピールオフタイプの皮膚外用剤を得るためのキット、並びに、タマリンドガム及び充填剤を含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、スキンケアを目的として多様なパック剤が使用されている。パック剤は、一般的に不織布やバイオセルロースなどに有効成分や保湿成分を含侵させたシートマスク、ペーストやジェル、クリームを肌に乗せた後に洗い流して使用するパック、ペーストやジェルを肌に塗り、乾燥又は被膜化させて剥がすピールオフパックなどが使用されている。
【0003】
ピールオフパックは、例えばポリビニルアルコールによる被膜化、タマリンドガムによる被膜化などが知られている。また、タマリンドガムを用いたパック剤は、ポリグリセリンによりゲル化する組成物を用いる方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、得られるゲルは膜強度が十分ではなく、剥離しにくいものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-254940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者らは、タマリンドガムを含有し、膜強度が高く剥がしやすい皮膚外用剤の提供を課題として、種々の検討を行った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その結果、本発明者らは、タマリンドガムと、水、充填剤、並びに多価アルコールを使用することにより、膜強度に優れ、剥がしやすい皮膚外用剤の開発に成功し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
<1>皮膚外用剤を得るためのキットであって、第一剤がタマリンドガム、水、及び充填剤を含有する組成物であり、第二剤が多価アルコールを含有する組成物であることを特徴とするキット。
<2>充填剤がシリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、タルク、疎水化デンプンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする<1>に記載のキット。
<3>第一剤又は第二剤のいずれか一方に酸を含有することを特徴とする<1>に記載のキット。
<4>第一剤又は第二剤のいずれか一方に炭酸ガス発生物質を含有することを特徴とする<1>に記載のキット。
<5>第一剤における充填剤の含有量が0.1質量%以上であることを特徴とする<1>に記載のキット。
<6>第二剤に水を含有することを特徴とする<1>に記載のキット。
<7>第二剤に酸を含有することを特徴とする<1>に記載のキット。
<8>第一剤に炭酸ガス発生物質を含有することを特徴とする<1>に記載のキット。
<9>タマリンドガム、水、充填剤及び多価アルコールを含有することを特徴とする皮膚外用剤。
<10>充填剤がシリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、タルク、疎水化デンプンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする<9>に記載の皮膚外用剤。
<11>ゲル状であることを特徴とする<9>に記載の皮膚外用剤。
<12>膜強度が1.5N以上であることを特徴とする<11>に記載の皮膚外用剤。
<13>タマリンドガム、水、充填剤、多価アルコール、酸、及び炭酸ガス発生物質を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
<14>充填剤がシリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、タルク、疎水化デンプンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする<13>に記載の皮膚外用剤。
<15>ゲル状であることを特徴とする<13>に記載の皮膚外用剤。
<16>膜強度が1.5N以上であることを特徴とする<15>に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タマリンドガムと共に充填剤及び多価アルコールを含有することにより、膜強度に優れるため剥がしやすく、保湿効果に優れた皮膚外用剤を得ることができる。また、本発明によれば、本発明のキットとすることにより使用時に混合しやすいため、容易に使用可能な皮膚外用剤を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の皮膚外用剤ついて詳細を説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0010】
<タマリンドガム>
タマリンドガムはタマリンドの種子の胚乳部分から得られる多糖類であり、タマリンドシードガムとも言う。本発明におけるタマリンドガムの含有量は特に制限はないが、第一剤の組成物中に0.01~40質量%が好ましく、0.05~35質量%がより好ましく、0.1~30質量%が特に好ましい。また、皮膚外用剤中に0.001~30質量%が好ましく、0.005~25質量%がより好ましく、0.01~20質量%が特に好ましい。
【0011】
<水>
本発明に使用される水は、化粧品、外用医薬品、医薬部外品等で使用できる水を使用することができ、精製水、蒸留水、膜濾過水、イオン交換水、が好ましい。本発明において、水の含有量は特に制限はなく、第一剤、第二剤のいずれにも配合できるが、第一剤に配合することが好ましい。第一剤における水の量は、第一剤の組成物中に1質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは5質量%以上であり、特に好ましくは10質量%以上である。第二剤に水を配合する場合は、第二剤の組成物中に0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が特に好ましい。また、皮膚外用剤中に0.1質量%以上が好ましく、1~85質量%がより好ましく、10~80質量%が特に好ましい。
【0012】
<充填剤>
本発明の皮膚外用剤は充填剤を含有することを特徴とする。充填剤を含有することにより、得られる組成物の膜強度が優れたゲルとなり、剥がしやすくなる。本発明で使用される充填剤としては、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、タルク、マイカ、セリサイト、窒化ホウ素、クレーなどの金属酸化物、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンアルミニウムなどの疎水化デンプンが挙げられ、好ましくはシリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、タルク、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンアルミニウムが挙げられる。
【0013】
本発明における充填剤としては粉末を使用することができる。本発明で使用できる充填剤の平均粒子径は特に制限はないが、例えば、0.0001μm以上100μm以下が好ましく、0.0005μm以上70μm以下が特に好ましく、分散性及び品質安定性の観点から0.001μm以上50μm以下が特に好ましい。充填剤の平均粒子径は、例えばレーザー回折法を用いて測定することができる。
【0014】
本発明における充填剤の含有量は特に制限はないが、第一剤の組成物中に0.01~40質量%が好ましく、0.05~35質量%がより好ましく、0.1~30質量%が特に好ましい。また、皮膚外用剤中に0.001~30質量%が好ましく、0.005~25質量%がより好ましく、0.01~20質量%が特に好ましい。なお、本発明において充填剤を2種以上配合する場合の含有量はその合計量である。
【0015】
<多価アルコール>
本発明の皮膚外用剤は多価アルコールを含有する。本発明に用いる多価アルコールとしては、1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有するものであり、通常化粧品、外用医薬品、医薬部外品等で使用できるものであれば特に限定されず、例えばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のポリグリセリン、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、エリトリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール等の糖アルコール、ポリグリセリン誘導体、スクロース、トレハロース等の糖類等が挙げられ、保存安定性や製造コスト、使用時の皮膚への刺激緩和の観点から、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールのうち少なくとも1種を使用することが好ましい。多価アルコールは1種又は2種以上を使用することができる。
【0016】
本発明において、多価アルコールの含有量は特に制限はなく、第一剤、第二剤のいずれにも配合できるが、第二剤に配合することが好ましく、第一剤、第二剤のいずれにも配合することが特に好ましい。多価アルコールは第二剤の組成物中に10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30~99質量%であることが特に好ましい。また、多価アルコールを第一剤に配合する場合は、第一剤の組成物中に1質量%以上が好ましく、3~50質量%がより好ましく、5~30質量%が特に好ましい。さらに、皮膚外用剤中の多価アルコールの含有量は5質量%以上であれば良く、10~90質量%が好ましく、20~80質量%以上がより好ましいく、30~70質量%が特に好ましい。なお、多価アルコールを2種以上配合する場合はその合計量である。
【0017】
<酸>
本発明の皮膚外用剤は酸を含有することが好ましい。本発明に用いられる酸としては、有機酸、無機酸のいずれでもよく、これらの1種又は2種以上が用いられる。
【0018】
有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等の直鎖脂肪酸又はその塩類、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸又はその塩類、グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸又はその塩類、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、α-オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、サリチル酸、没食子酸、トロパ酸、アスコルビン酸、グルコン酸等のオキシ酸又はその塩類等が挙げられ、無機酸としては、リン酸、亜硫酸等の無機酸又はその塩類が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。なかでも、安全性、第二剤への溶解性の観点から、クエン酸又はその塩類、アスコルビン酸又はその塩類、リンゴ酸又はその塩類、コハク酸又はその塩類が好ましく、クエン酸又はその塩類、アスコルビン酸又はその塩類がより好ましい。
【0019】
本発明の皮膚外用剤において酸を配合する場合、その含有量は第一剤又は/及び第二剤の組成物中に0.01~40質量%が好ましく、0.05~35質量%がより好ましく、0.1~30質量%が特に好ましい。また、発泡性皮膚外用剤中に0.001~30質量%が好ましく、0.005~25質量%がより好ましく、0.01~20質量%が特に好ましい。
【0020】
本発明の皮膚外用剤を得るためのキットに酸を配合する場合、第一剤と第二剤のうち少なくとも片方に配合すればよいが、組成物の安定性の観点から第二剤に配合することが好ましい。
【0021】
<炭酸ガス発生物質>
本発明の皮膚外用剤は炭酸ガス発生物質を含有することが好ましい。本発明に用いられる炭酸ガス発生物質としては、様々なものが特に限定されることなく使用できる。また、使用する炭酸ガス発生物質は、固体状が好ましく、水又は保湿剤への溶解性の観点から、顆粒状、細粒状、粉末状がより好ましい。
【0022】
炭酸ガス発生物質としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、セスキ炭酸ナトリウム等の炭酸塩、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム等の炭酸水素塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。これらのうち、炭酸水素塩が好ましく使用でき、酸と反応して程よい発泡力を実現することができる点で炭酸水素ナトリウムがより好ましい。
【0023】
本発明の皮膚外用剤において炭酸ガス発生物質を配合する場合、その含有量は第一剤又は/及び第二剤の組成物中に0.05~40質量%が好ましく、0.1~35質量%がより好ましく、0.5~30質量%が特に好ましい。また、発泡性皮膚外用剤中に0.01~30質量%が好ましく、0.05~25質量%がより好ましく、0.1~20質量%が特に好ましい。
【0024】
本発明の皮膚外用剤を得るためのキットに炭酸ガス発生物質を配合する場合、第一剤と第二剤のうち少なくとも片方に配合すればよいが、組成物の安定性の観点から第一剤に配合することが好ましい。
【0025】
<その他成分>
本発明の皮膚外用剤には、上記成分以外に、必要に応じてその他の成分を配合することができる。その他の成分としては、増粘剤、タマリンドガム以外のゲル化剤、多価アルコール以外の保湿剤、分散剤、可塑剤、防腐剤、香料、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン界面活性剤などの界面活性剤、消臭剤、キレート剤、酸化防止剤、抗菌剤、防菌防かび剤、抗炎症剤、美白剤等の有効成分、動物エキス、植物エキスなどの美容成分や薬効成分等、通常皮膚外用剤に使用される成分の一種以上が挙げられる。
【0026】
本発明の皮膚外用剤に有効成分を配合する場合、その成分としては特に限定されることなく、化粧品、外用医薬品、医薬部外品等に用いられる薬剤や植物等を目的に応じ使用することができる。代表的なものとして、例えば、グリチルリチン酸及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、グリチルレチン酸及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、アラントイン、グアイアズレン等の抗炎症剤、アスコルビン酸及びその誘導体並びにそれらの塩、システイン及びその誘導体並びにその塩、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン、プラセンタ、ハイドロキノン及びその誘導体、レゾルシン及びその誘導体、グルタチオン等の美白剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤、サリチル酸、オウバク抽出物等の殺菌剤、トコフェロール及びその誘導体、甘草、アロエ、茶葉等の植物成分、エストラジオール等のホルモン等が挙げられる。なお、植物成分を使用する場合は、その全草、葉(葉身、葉柄等)、果実(成熟、未熟等)、種子、花(花弁、子房等)、茎、根茎、根、塊根等を、そのまま、切断、破砕、粉砕、搾取、抽出して用いるか、又はこれら処理されたものを乾燥若しくは粉末化して用いることができる。本発明に使用される有効成分は、第一剤、第二剤のいずれにも使用することができる。
【0027】
本発明において抽出物を用いる場合、抽出に用いる溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、エチルエーテル、アセトンなどの有機溶媒を挙げることができる。これらは1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。安全性等の点から、人体に無害な水、エタノール、1,3-ブチレングリコール、又はこれらの混合溶媒を抽出溶媒として用いることが好ましい。抽出は抽出溶媒の沸点以下であればよく、抽出温度によって適宜抽出時間は変更することができる。
【0028】
本発明の皮膚外用剤に増粘剤を配合する場合、使用できる増粘剤としては、化粧品、外用医薬品、医薬部外品等で使用できる水溶性成分であれば特に限定されるものでなく、合成高分子、半合成高分子、天然高分子、粘度鉱物等が使用できる。増粘剤は第一剤、第二剤のどちらにも使用できるが、第一剤に使用することが好ましい。
【0029】
合成高分子としては、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリレーツ/アクリル酸アルキルクロスポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミド/ポリアクリルアミドコポリマー、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロースをはじめとする親水性合成高分子が挙げられる。
【0030】
半合成高分子としては、セルロース誘導体としては例えば、カルボキシメチルセルロース又はその塩類、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スルホン化セルロース誘導体などが挙げられる。その他の半合成高分子として、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸エチレングリコールエステル、デキストリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0031】
天然高分子としては、多糖類及びその誘導体、例えば、キサンタンガム、サクシノグリカン、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、セルロース類、ガラクタン、アラビアガム、トラガントガム、寒天、アガロース、マンナン、カードラン、アルギン酸又はその塩類、アラビアゴム、ペクチン、クインシード、デンプン、アルゲコロイド、コンドロイチン硫酸又はその塩類、キトサン及びその誘導体などが挙げられる。その他の天然高分子としては、核酸又はその塩類、リボ核酸又はその塩類、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、フィブロイン、エラスチン、ケラチン、セリシン等の水溶性タンパク質、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸などのムコ多糖類などが挙げられる。
【0032】
粘土鉱物としては、ラポナイト、ベントナイト、スメクタイトカオリナイト、モンモリロナイト等が挙げられる。
【0033】
以上の増粘剤のなかでも、溶解性又は分散性が高いものを用いることが、増粘剤のダマを生じず均一に溶解又は分散でき、且つ、未溶解成分や未分散成分に起因する肌のざらつき感を緩和することができるため好ましい。
【0034】
このような増粘剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース又はその塩類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、サクシノグリカン、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、セルロース類、ガラクタン、アラビアガム、トラガントガム、寒天、マンナン、カードラン、アルギン酸又はその塩類、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン等を挙げる事ができ、カルボキシメチルセルロース又はその塩類、キサンタンガム、カラギーナン、アルブミンを用いることが好ましい。前記増粘剤は1種又は2種以上を使用できる。
【0035】
本発明の皮膚外用剤に界面活性剤を配合する場合、使用できる界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は合成界面活性剤、天然界面活性剤のいずれも使用できるが、皮膚への安全性の観点から、天然界面活性剤が好ましい。ここで言う天然界面活性剤とは、主に動物または植物の由来の界面活性効果を有する物質のことを言い、具体例としては、レシチンなどのリン脂質、糖脂質、ラノリン、コレステロール、サポニン、セラミドなどのスフィンゴ脂質、ペクチン、グリチルリチン酸塩、胆汁酸、植物抽出アミノ酸系界面活性剤等が挙げられる。その中でも、リン脂質、サポニン、スフィンゴ脂質、ペクチン、グリチルリチン酸塩を含む抽出物を含有していることが好ましく、サポニンを含む抽出物を含有していることが特に好ましい。サポニンを含む抽出物としては、植物由来の抽出物を用いることが好ましい。サポニンを含む植物の例としては、ダイズ、アズキ、インゲン、ホウレンソウ、サトウダイコン、ブドウ、キキョウ、甘草、セネガ、キラヤ、ムクロジ、サボンソウ、オタネニンジン、ヘチマ、茶種子、エンジュ、ユリ科植物や、ヤマノイモ科植物、チモ(知母)、バクモンドウ(麦門冬)などを挙げることができる。本発明においては、サポニンを含む抽出物として、これら植物のうち、ダイズ、アズキ、甘草、ムクロジ、ヘチマから選ばれる1種以上の植物の抽出物を含有することが好ましく、とりわけ、ムクロジの抽出物を含有することが好ましい。
【0036】
<皮膚外用剤を得るためのキット>
本発明の皮膚外用剤は、第一剤がタマリンドガム、水、及び充填剤を含有する組成物であり、第二剤が多価アルコールを含有する組成物から構成されるキットであることを特徴とする。本発明のキットは、酸と炭酸ガス発生物質を含有し、混合して炭酸ガスを発生させる皮膚外用剤を得るためのキットであることが好ましい。本発明の皮膚外用剤を得るためのキットに酸及び炭酸ガス発生物質を配合する場合、酸と炭酸ガス発生物質はそれぞれ別の剤に配合することが好ましく、組成物の安定性向上の観点から第一剤に炭酸ガス発生物質を配合し、第二剤に酸を配合することが好ましい。
【0037】
本発明のキットを構成する第一剤の組成物は粘度が高い粘性組成物であることが好ましい。具体的には、25℃における粘度が、好ましくは5,000mPa・s以上であり、より好ましくは6,000mPa・s以上であり、特に好ましく7,000mPa・s以上であり、とりわけ好ましいのは10,000mPa・s以上である。また、取扱いの観点、特に、混合し易さや混合後の塗りやすさの観点から100,000mPa・s以下が好ましく、70,000mPa・sがより好ましく、50,000以下が特に好ましく、とりわけ好ましいのは45,000mPa・s以下である。
【0038】
本発明のキットを構成する第二剤の組成物は粘度が低いことがより好ましい。具体的には、25℃における粘度が、好ましくは10,000mPa・s以下であり、より好ましくは5,000mPa・s以下であり、特に好ましくは3,000mPa・s以下である。また、本発明のキットを構成する第二剤の組成物液状の組成物であることが好ましく、増粘剤を含有する場合は2質量%以下であることが好ましく、実質的に増粘剤を含まないことがより好ましい。なお、本発明の皮膚外用剤(第一剤、第二剤含む)の粘度は、例えばB型粘度計(Brookfield回転粘度計、温度:25℃、回転数:4~20rpm)で測定することができる。
【0039】
本発明のキットは、皮膚外用剤を得るための使用に際し、第一剤と第二剤を適量容器内で混合する。第一剤と第二剤は1:0.1~1:30の割合で混合することが好ましく、1:0.5~1:10の割合で混合することがより好ましい。
【0040】
本発明のキットを構成する組成物を保存する方法としては、化粧品、外用医薬品、医薬部外品等を保存する方法を用いることができ、特に制限はない。使用される保存容器の形状は、目的に応じて適宜選択でき、カップ状、チューブ状、バッグ状、瓶状、スティック状、ポンプ状、ジャー状、缶詰状等が挙げられる。また、保存容器を構成する材料は、例えば、プラスチック、ガラス、アルミニウム、紙、各種ポリマー等を単独あるいは2種以上選択して用いることができるが、これらに限定されない。
【0041】
容器の具体例としては、密閉性、内容物の保存安定性、製造コスト等の点で、内面をポリエチレンテレフタレートでラミネートしたアルミスティック、アルミバッグ等の保存容器、チャック付きスタンドパウチ、内面をポリエチレンテレフタレートでラミネートしたアルミフィルム等で蓋をヒートシールしたポリエチレンテレフタレート製の保存容器等が好ましい。
【0042】
<皮膚外用剤>
本発明の皮膚外用剤は、タマリンドガム、水、充填剤及び多価アルコールを含有することを特徴とするものである。本発明の皮膚外用剤は、第一剤と第二剤を混合後に皮膚に塗布し、一定時間静置することによりゲル化することを特徴とするものである。本発明の皮膚外用剤は、例えばタマリンドガム、水、充填剤を含有する組成物と、多価アルコールを含有する組成物を混合することで得ることができる。本発明の皮膚外用剤は膜強度が優れたゲルとなり剥がしやすくなるため、パック剤としての使用に優れるものである。特に、本発明の皮膚外用剤は炭酸ガスを発生させて使用するパック剤としての使用に好適なものである。
【0043】
本発明の皮膚外用剤はゲル化後の膜強度に優れるものである。本発明において膜強度は例えばデジタルフォースゲージ(株式会社イマダ社製 ZP-500N)を用い、半径52mm、厚さ7mmに均一に広げて固化させたゲル状組成物を破断するのに要した力を測定することにより求めることができる。本発明の皮膚外用剤の膜強度は1.45N以上が好ましく、1.5N以上がより好ましく、1.55N以上が特に好ましく、1.6N以上がとりわけ好ましい。
【0044】
<皮膚外用剤の用途>
本発明の皮膚外用剤は、美白、肌質改善、そばかす改善、肌の若返り、肌の引き締め、部分痩せ、皮膚を清浄にする、肌を整える、肌のキメを整える、皮膚をすこやかに保つ、肌荒れを防ぐ、肌をひきしめる、皮膚にうるおいを与える、皮膚の水分,油分を補い保つ、皮膚の柔軟性を保つ、皮膚を保護する、皮膚に乾燥を防ぐ、肌を柔らげる、肌にはりを与える、肌にツヤを与える、肌を滑らかにする、日やけによるシミ・ソバカスを防ぐ、乾燥による小ジワを目立たなくすることを目的とした化粧品だけでなく、肌あれ、あれ性、あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびの予防、油症肌、かみそりまけの予防、日やけによるしみ・そばかすの予防、日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ、肌をひきしめる、肌を清浄にする、肌を整える、皮膚をすこやかに保つ、皮膚にうるおいを与える、皮膚を保護する、皮膚の乾燥を防ぐ等を目的とした、化粧品、医薬部外品、薬品等の医薬品のいずれにも好適に使用することができる。本発明の皮膚外用剤は、化粧品、医薬部外品としての使用が好ましく、乳液、クリーム、パック剤、ピーリング剤等の化粧品、薬用化粧品としての使用がより好ましい。特にその中でもパック剤として使用すると、使用感がよく、短時間で高い肌状態改善効果が得やすいため好ましい。
【0045】
本発明のキットを用いて得られた皮膚外用剤をパック剤として使用する場合、所望の部位を覆うように0.2mm以上、好ましくは0.5mm以上の厚さに塗布すればよい。0.1mm以上の厚さに塗布することで、肌状態改善効果を得ることができる。また、使用時間は1分以上であれば良く、好ましくは3分以上、より好ましくは5分以上である。塗布終了後はゲル化するため、皮膚から剥がすことで除去できるが、必要に応じてゲルの剥離後に拭き取り、水などでの洗い流し、あるいはその両方を行ってもよい。
【0046】
本発明の皮膚外用剤は、通常の方法に従って製造することができる。すなわち、25℃程度の所定の温度において、各成分を撹拌する事により、本発明の皮膚外用剤用キットを構成する第一剤、第二剤を得ることができる。
【実施例
【0047】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。下記の各実施例及び参考例において、使用する原料は特にことわりのない限り、市販品を用いた。
【0048】
<皮膚外用剤の製造>
実施例1~3、比較例1
表1に示した組成に従い、本発明のキットを製造した。
【0049】
[第一剤]
ビーカーに精製水を加え、次いで第一剤に記載の原料を加えて撹拌し、第一剤を得た。
[第二剤]
ビーカーに精製水を加え、次いで第二剤に記載の原料を加えて撹拌し、第二剤を得た。
【0050】
<皮膚外用剤の特性評価>
下記要領に従い、前記実施例1~3及び比較例1で得られた皮膚外用剤の特性を評価した。
【0051】
<評価例1.粘度の評価>
表1に記載の実施例1~3及び比較例1の第一剤、第二剤の25℃における粘度を、粘度計(ブルックフィールド社製 RVT型)を用いて測定した。ローターNo.は4、回転数は4rpmで測定した。結果を表1に示す。
【0052】
<評価例2.膜強度の評価>
表1に記載の実施例1~3及び比較例1について、第一剤10g、第二剤5gを混合し、半径52mm、厚さ7mmに均一に広げて固化させたゲル状組成物を得た。得られたゲル状組成物を破断するのに要した力を測定した。具体的には、デジタルフォースゲージ(株式会社イマダ社製 ZP-500N)に、ゲル状組成物の一端を取り付け、垂直にゆっくりと引き、ゲル状組成物を破断するのに要した力を測定した。結果を表1に示す。
【0053】
<評価例3.脆さの評価>
前記実施例1~3及び比較例1で得られたキットを用いてパック剤を調製し、得られたパック剤を肌に塗布し、剥がす際の破れにくさ、及び肌への残留量について評価した。まず、被験者(20代男性1名、女性1名)の前腕内側測定部位(5×5cm)を洗顔料で洗浄し、15分間安静に過ごした。次に、測定部位に、第一剤:第二剤を2:1で混合した前記パック剤2gを塗布し、10分間静置した。次に、固化(ゲル化)したパック剤を除去する際のパック剤の破れにくさ及び肌への残留量についてアンケートを実施した。アンケートの評価は、比較例1を基準として1(とても悪い)~3(比較例1と同等)~5(とても良い)の5段階で評価し、平均点を算出した。尚、被験者は測定中、測定室にて安静に過ごした。結果を表1に示す。
【0054】
<評価例4.使用感の評価>
前記実施例1~3及び比較例1で得られた本発明のキットを用いてパック剤を調製し、得られたパック剤の使用時、及び使用後について、各項目の評価を行った。まず、被験者(20代男性1名、女性1名)の前腕内側測定部位(5×5cm)を洗顔料で洗浄し、15分間安静に過ごした。次に、測定部位に、第一剤:第二剤を2:1で混合した前記パック剤2gを塗布し、10分間静置した。次に、固化(ゲル化)したパック剤を除去し、軽く水で湿らせた布で拭き取った。その後、塗りやすさ及び除去後の保湿感についてアンケートを実施した。アンケートの評価は、表1の項目について、比較例1を基準として1(とても悪い)~3(比較例1と同等)~5(とても良い)の5段階で評価し、平均点を算出した。尚、被験者は測定中、測定室にて安静に過ごした。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
表1より、本発明のキットを用いて得られるタマリンドガム、水、充填剤及び多価アルコールを含有する皮膚外用剤は、比較例の皮膚外用剤と比べて膜強度が高く、適度な硬さを有することからパック剤として使用後に剥がしやすいものであった。また、塗りやすいため容易に使用可能であった。さらに、比較例の皮膚外用剤は保湿効果に優れることが知られているが、本発明の皮膚外用剤も比較例と同等に保湿感にも優れたものであった。
【0057】
<発泡性皮膚外用剤の製造>
実施例4~17、比較例2
表2に示した組成に従い、本発明のキットを製造した。
【0058】
[第一剤]
ビーカーに精製水を加え、次いで第一剤に記載の原料を加えて撹拌し、第一剤を得た。
[第二剤]
ビーカーに精製水を加え、次いで第二剤に記載の原料を加えて撹拌し、第二剤を得た。
【0059】
<発泡性皮膚外用剤の特性評価>
下記要領に従い、前記実施例4~17及び比較例2で得られた発泡性皮膚外用剤の特性を評価した。
【0060】
<評価例1.粘度の評価>
表2に記載の実施例4~17及び比較例2の第一剤、第二剤の25℃における粘度を、粘度計(ブルックフィールド社製 RVT型)を用いて測定した。ローターNo.は4、回転数は4rpmで測定した。結果を表2に示す。
【0061】
<評価例2.膜強度の評価>
表2に記載の実施例4~17及び比較例2について、第一剤10g、第二剤5gを混合し、半径52mm、厚さ7mmに均一に広げて固化させたゲル状組成物を得た。得られたゲル状組成物を破断するのに要した力を測定した。具体的には、デジタルフォースゲージ(株式会社イマダ社製 ZP-500N)に、ゲル状組成物の一端を取り付け、垂直にゆっくりと引き、ゲル状組成物を破断するのに要した力を測定した。結果を表2に示す。
【0062】
<評価例3.脆さの評価>
前記実施例4~17及び比較例2で得られたキットを用いてパック剤を調製し、得られたパック剤を肌に塗布し、剥がす際の破れにくさ、及び肌への残留量について評価した。まず、被験者(20代男性1名、女性1名)の前腕内側測定部位(5×5cm)を洗顔料で洗浄し、15分間安静に過ごした。次に、測定部位に、第一剤:第二剤を2:1で混合した前記パック剤2gを塗布し、10分間静置した。次に、固化(ゲル化)したパック剤を除去する際のパック剤の破れにくさ及び肌への残留量についてアンケートを実施した。アンケートの評価は、比較例2を基準として1(とても悪い)~3(比較例1と同等)~5(とても良い)の5段階で評価し、平均点を算出した。尚、被験者は測定中、測定室にて安静に過ごした。結果を表2に示す。
【0063】
<評価例4.使用感の評価>
前記実施例4~17及び比較例2で得られた本発明のキットを用いてパック剤を調製し、得られたパック剤の使用時、及び使用後について、各項目の評価を行った。まず、被験者(20代男性1名、女性1名)の前腕内側測定部位(5×5cm)を洗顔料で洗浄し、15分間安静に過ごした。次に、測定部位に、第一剤:第二剤を2:1で混合した前記パック剤2gを塗布し、10分間静置した。次に、固化(ゲル化)したパック剤を除去し、軽く水で湿らせた布で拭き取った。その後、塗りやすさ及び除去後の保湿感についてアンケートを実施した。アンケートの評価は、表2の項目について、比較例1を基準として1(とても悪い)~3(比較例1と同等)~5(とても良い)の5段階で評価し、平均点を算出した。尚、被験者は測定中、測定室にて安静に過ごした。結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
表2より、本発明のキットを用いて得られるタマリンドガム、水、充填剤、多価アルコール、酸及び炭酸ガス発生物質を含有する発泡性皮膚外用剤は、比較例の発泡性皮膚外用剤と比べて膜強度が高く、適度な硬さを有することからパック剤として使用後に剥がしやすいものであった。また、塗りやすいため容易に使用可能であった。さらに、比較例の発泡性皮膚外用剤は保湿効果に優れることが知られているが、本発明の皮膚外用剤も比較例と同等に保湿感にも優れたものであるか、比較例よりもより保湿感に優れたものであった。
【0066】
以上の結果より、本発明の皮膚外用剤はタマリンドガムと共に充填剤及び多価アルコールを含有することにより、膜強度に優れるため剥がしやすく、塗布しやすく、保湿効果に優れたものであることがわかる。特に、タマリンドガムと共に充填剤、多価アルコール酸及び炭酸ガス発生物質を含有することにより、膜強度に優れるため剥がしやすく、塗布しやすく、保湿効果が従来と同等か、より向上した組成物であることがわかる。また、本発明のキットとすることにより使用時に混合しやすいため、容易に使用可能な皮膚外用剤を得ることができることがわかる。
【0067】
[製造例]
表3に示す組成に従い、本発明のキットを製造した。得られたキットを第一剤:第二剤を2:1で混合し、パック剤を調製した。第一剤の粘度は10,000mPa・s~45,000mPa・sであり、第二剤の粘度は3,000mPa・s以下であった。得られたパック剤を塗布部に応じて適量を皮膚に塗布した。10分静置後に固化したパック剤を除去し、軽く水で湿らせた布で拭き取った。パック剤は膜強度に優れるため剥がしやすく、塗布しやすいものであった。また、使用後は高い保湿効果が得られた。
【0068】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の皮膚外用剤は、タマリンドガム、水、充填剤及び多価アルコールを含有することにより、膜強度が高く剥がしやすい皮膚外用剤を提供することができ、産業上の利用の可能性が高いものである。
【要約】      (修正有)
【課題】膜強度が高く剥がしやすい皮膚外用剤を得るためのキットおよび皮膚外用剤を提供すること。
【解決手段】本発明は、皮膚外用剤を得るためのキットであって、第一剤がタマリンドガム、水、及び充填剤を含有する組成物であり、第二剤が多価アルコールを含有する組成物であることを特徴とするキットである。また、本発明は、タマリンドガム、水、充填剤及び多価アルコールを含有することを特徴とする皮膚外用剤である。
【選択図】なし