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特許7442223米含有樹脂組成物の製造方法および二軸混練装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】米含有樹脂組成物の製造方法および二軸混練装置
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/88 20060101AFI20240226BHJP
   B29B 7/48 20060101ALI20240226BHJP
   B29B 7/84 20060101ALI20240226BHJP
   B29C 48/29 20190101ALI20240226BHJP
   B29C 48/40 20190101ALI20240226BHJP
   B29C 48/53 20190101ALI20240226BHJP
   B29C 48/57 20190101ALI20240226BHJP
   B29C 48/76 20190101ALI20240226BHJP
【FI】
B29B7/88
B29B7/48
B29B7/84
B29C48/29
B29C48/40
B29C48/53
B29C48/57
B29C48/76
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022191220
(22)【出願日】2022-11-30
(62)【分割の表示】P 2022554745の分割
【原出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2023014217
(43)【公開日】2023-01-26
【審査請求日】2022-12-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507249247
【氏名又は名称】株式会社バイオマステクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】神谷 雄仁
(72)【発明者】
【氏名】坂口 和久
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-521432(JP,A)
【文献】特開2012-061831(JP,A)
【文献】特開昭58-056818(JP,A)
【文献】特開昭59-101318(JP,A)
【文献】特開2015-065829(JP,A)
【文献】特開2006-021502(JP,A)
【文献】特開2001-322154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/00- 7/94
B29C 48/00-48/96
B01F 27/00-27/96
A23P 10/00-30/40
A23N 1/00-17/02
A23L 3/00- 3/3598
A23B 7/00- 9/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気乾状態の米粉と、樹脂とを含む材料を、投入された水の存在下で混練させてなる米含有樹脂組成物の製造に使用される二軸混練装置であって、
前記材料と水を収容可能な第1収容空間を形成する第1収容部と、
前記第1収容空間において回転可能に配置され複数の回転部材を前記回転部材の回転軸に沿って並べて配置した回転部と、を有し、
前記回転部は、複数の前記回転部材が回転する前記回転軸を2軸設けており、
複数の前記回転部材は、螺旋形状を備え、第1スクリューと、前記第1スクリューよりも前記回転軸の下流に配置され前記第1スクリューよりも螺旋の溝が浅く形成された第2スクリューと、を備え、
複数の前記回転部材は、前記第2スクリューよりも前記回転軸の下流側に配置される板状の第2パドルと、前記第1収容空間において前記第2パドルよりも下流側に設けられる第4スクリューと、前記第1収容空間において前記第4スクリューよりも下流側に設けられる第6スクリューと、を備え、
前記第4スクリューの近傍には、前記第1収容部と接続され、前記第1収容空間で発生した気体を吸引により排出可能な機械と接続される第1脱気部が接続され、
前記第6スクリューの近傍には、前記第1収容部と接続され、前記第1収容空間で発生した気体を吸引により排出可能な機械と接続される第2脱気部が接続される二軸混練装置。
【請求項2】
前記第2スクリューと前記第2パドルの近傍には、前記第1収容部と接続され、前記第1収容空間で発生した水分を排出可能な開口部を設けた脱水部が接続される請求項1に記載の二軸混練装置。
【請求項3】
前記米粉の原料が、β構造である、精米、吟醸米または米ぬかである請求項1または請求項2に記載の二軸混練装置。
【請求項4】
気乾状態の米粉と、樹脂とを含む材料を、投入された水の存在下で混練することを有する、米含有樹脂組成物の製造方法であって、
前記混練が、請求項1~3のいずれか1項に記載の二軸混練装置によって行われる、米含有樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
前記米粉の原料が、β構造である、精米、吟醸米または米ぬかである請求項4に記載の米含有樹脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は米含有樹脂組成物の製造方法および二軸混練装置に関する。
【背景技術】
【0002】
木粉等のバイオマスをポリオレフィン等の合成樹脂に混練してなる複合材料を成形材料とした成形品は、二酸化炭素の増減に影響を与えにくいカーボンニュートラルの性質を持っているため、地球温暖化対策に繋がる等の理由から利用範囲が広がってきている。
【0003】
木粉樹脂を用いた複合材料には、木粉の含有率を50%以上とする技術がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-172147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、木粉に代わる材料を用いたバイオマスに米粉を用いる点に着目し、米含有の樹脂組成物の製造について鋭意検討を行っている。
【0006】
そこで本発明は、米粉を用いた米含有樹脂組成物の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の一態様に係る米含有樹脂組成物の製造方法は、気乾状態の米粉と、樹脂とを含む材料を、投入された水の存在下で混練することを有する。
【0008】
また、本発明の一態様に係る米含有樹脂組成物の製造装置は、気乾状態の米粉と、樹脂とを含む材料を、投入された水の存在下で混練させてなる。製造装置は、第1収容部と、投入部と、回転部と、を有する。第1収容部は、材料と水を収容可能な第1収容空間を形成する。投入部は、第1収容空間に材料および水を投入可能に構成している。回転部は、第1収容空間において回転可能に配置され複数の回転部材を回転部材の回転軸に沿って並べて配置している。回転部は、複数の回転部材が回転する回転軸を2軸設けている。複数の回転部材は、螺旋形状を備え、投入部の直下に配置された第1スクリューと、第1スクリューよりも回転軸の下流に配置され第1スクリューよりも螺旋の溝が浅く形成された第2スクリューと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る製造方法および製造装置によれば、米粉から米含有樹脂組成物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る米含有樹脂組成物の製造装置を示す斜視図である。
図2図1の正面図である。
図3図1の平面図である。
図4】米含有樹脂組成物の製造装置を構成する第1収容部の第1収容空間を示す図である。
図5図1の米含有樹脂組成物の製造装置を構成する第1収容部の第1収容空間に配置された複数の回転部材について示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る米含有樹脂組成物の製造方法を示すフローチャートである。
図7】実施例に係る米含有樹脂組成物の評価について示す画像である。
図8】実施例1、比較例1、2、3及び4の樹脂組成物を黒色紙の上で撮影した写真である。写真左側から順に、実施例1、比較例1、2、3及び4の樹脂組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。ここで示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、本発明を限定するものではない。よって、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、使用方法および運用技術などは全て本発明の範囲、要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で測定する。
【0012】
また、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状などについて、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0013】
図1図5は本発明の一実施形態に係る二軸混練装置100の説明に供する図である。本実施形態に係る米含有樹脂組成物は、スーパーマーケット等で手に入れることができるレジ袋等の包装用袋に利用することができる。米含有樹脂組成物は、インフレーション加工に適しており、図1図5に示す二軸混練装置100によって製造することができる。
【0014】
(米含有樹脂組成物)
本実施形態に係る二軸混練装置100により生成される米含有樹脂組成物は米粉と樹脂(好適にはポリオレフィン)と相溶化剤とを含む。
【0015】
ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)若しくはポリプロピレン(PP)又はエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のエチレン系の共重合体が挙げられる。中でも、融点とメルトテンションとの観点で直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が好適である。ここで、本発明の一実施形態において、LLDPEは、密度0.89~0.925の直鎖状ポリエチレンコポリマーである(JIS K6899-1:2000)。本発明の一実施形態において、LLDPEは、分岐鎖10~30を有する。LLDPEを構成するαオレフィンとして、例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチルペンテン-1、1-オクテン等が好適である。
【0016】
米粉の原料としては、β構造(結晶構造)である、精米、古米、吟醸米、米ぬか(中白粉)等が好適である。特に米ぬかは、精米される過程で廃棄されることが多いため、米粉として米ぬかを使用することは、環境負荷が低くエコロジーであり、ライフサイクルアセスメントの観点からも好適である。
【0017】
本発明の一実施形態において、米粉は気乾状態で装置内に投入される。ここで気乾状態とは、大気中におかれた材料(本願では米粉)が、自然乾燥によって水分を減じ、大気中の湿度と平衡を保つようになる状態である。本発明の一実施形態によれば、前記米粉の含水率は、8~16重量%、10~14重量%、あるいは、11~13重量%である。本発明の一実施形態では、製造装置に投入される気乾状態の米粉が、β構造(結晶構造)で構成されている。そして、β構造(結晶構造)の米粉が、製造装置の装置内で、(投入された)水の存在下で混練される。この水は製造装置内で加熱されることで飽和水蒸気となり米粉のα化を促進することに寄与する。他方、このように装置内に水を投入した場合、装置内での十分な脱水および脱気は通常難しく、特に大気開放部や真空脱気部で複合化した材料が水の突沸・脱気により不安定になり、ベントアップまたはフレークアップを起こし生産性が著しく低下する虞がある。これに対して後述する、本発明の一実施形態の製造装置は、好適には、1以上のサイドフィーダーおよびサイドベントヴァキュームスタッファー(SVS)を備える。このように構成することによって、製造における安定性を担保したまま、ポリオレフィンのマトリックス中に米を微細に均一に混合させた米配合ポリオレフィン樹脂組成物を得ることができる。
【0018】
本発明の一実施形態において、投入される米粉の好適な配合量(絶乾重量)は、製造装置内に投入される、水以外の材料(ポリオレフィン、相溶化剤、米粉等)の合計量100重量部に対し、40~60重量部、40~50重量部、あるいは、45~55重量部の範囲であることが適切である。
【0019】
先述のように、従来の米配合ポリオレフィン樹脂組成物を熱流動させて、延伸加工によりフィルム成形品を得ようとすると、このフィルム成形品のポリオレフィン樹脂のマトリックス中には、粒度の大きい配合米の粉末が不均一に分布している。このため、得られたフィルム成形品の膜厚が不均一であったり、延伸加工の途中で亀裂やピンホールが生じるため薄膜化に限度があったり、成形後のフィルムの機械的特性が著しく劣ったりして、良質なフィルム成形品を得ることができないという問題を有していた。これに対して、本技術によれば、ポリオレフィン樹脂に配合される米のデンプン構造がα構造を有するようにα化処理されていることにより、良質なフィルム成形品を得ることができる。
【0020】
相溶化剤は、飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸またはその誘導体が用いられる。飽和カルボン酸としては、無水コハク酸、コハク酸、無水フタル酸、フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水アジピン酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、無水ナジック酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ソルビン酸、アクリル酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、前記不飽和カルボン酸の金属塩、アミド、イミド、エステル等を使用することができる。また、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂を使用することができる。これは、ポリオレフィンと不飽和カルボン酸またはその誘導体と、ラジカル発生剤とを溶媒の存在下または不存在下に加熱混合することにより得られる。不飽和カルボン酸またはその誘導体の付加量は、0.1~15重量%、特に1~10重量%が好ましい。本発明で使用される相溶化剤としては、臭気が無く、酸性度が小さい不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したポリオレフィン樹脂が好ましい。本発明の一実施形態において、相溶化剤の好適な配合量は、製造装置内に投入される、水以外の材料(ポリオレフィン、相溶化剤、米粉等)の合計量100重量部に対し、0.2~20重量部、0.5~10重量部、あるいは、1~5重量部の範囲であることが適切である。
【0021】
相溶化剤は市販品を用いてもよく、具体的には、リケエイドMG-440P(理研ビタミン株式会社社製)、MG-441P(理研ビタミン株式会社製)、MG-250P(理研ビタミン株式会社製)、ユーメックス1001(株式会社三洋化成製)等が挙げられる。
【0022】
これら相溶化剤のうちの1種のみを用いてもよく、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
【0023】
本発明の一実施形態において、水(好適には蒸留水)の好適な配合量は、製造装置内に投入される、水以外の材料(ポリオレフィン、相溶化剤、米粉等)の合計量100重量部に対し、0.1~20重量部、1~20重量部、あるいは、3~15重量部の範囲であることが適切である(実施例:8重量部)。よって、本発明の一実施形態において、前記投入される水の量が、前記材料100重量部に対して、0.1~20重量部である。
【0024】
本発明においては、気乾状態の米粉と、樹脂とを含む材料を、投入された水の存在下で混練することによって、前記米粉を、米含有樹脂組成物の製造装置内で、アルファ化することを有する。製造装置外でアルファ化するのではなく、製造装置内でアルファ化することによって米粉がより均一に分散することになる。そのことで、材料中の凝集物を抑制することができ、且つ材料の着色も抑制することが可能となり、結果として、成形加工、特にインフレーション成形における加工特性が向上する。
【0025】
本発明の一実施形態において、米含有樹脂組成物中の水分は、2000重量ppm以下、1000重量ppm以下、あるいは、500重量ppm以下である。かかる水分の量は、カールフィッシャー水分測定装置における電量滴定方法で測定される値を言うものとする。
【0026】
本発明の一実施形態において、米含有樹脂組成物のMFR(メルトフローレイト(190℃・2.16kgf))は、1(g/10min)以上10(g/10min)未満、1~6(g/10min)、1~5(g/10min)、あるいは、1~3(g/10min)である。また、4~6(g/10min)であってもおおむね良好である。
【0027】
(二軸混練装置100)
上述した材料の混練は二軸混練装置100によって行われる。二軸混練装置100は、米含有樹脂組成物の製造装置に相当する。二軸混練装置100は、図1図5に示すように第1収容部10と、投入部20と、回転部30と、脱水部50と、第1脱気部60と、第2脱気部70と、排出部80と、冷却部90と、切断部110と、を有する。
【0028】
なお、二軸混練装置100の説明にあたり、図面には直交座標系を表記している。Xは後述する回転部30の回転軸の延在する方向であり、長手方向Xとする。Yは長手方向Xと交差する第1収容部10の幅方向に相当し、幅方向Yとする。Zは長手方向Xおよび幅方向Yと交差する方向であり、高さ方向Zとする。以下、詳述する。
【0029】
(第1収容部10)
第1収容部10は、気乾状態の米粉と、樹脂とを含む材料を、水とともに収容する第1収容空間S1を形成する。第1収容部10は、二軸混練装置100を設置する空間の長手方向Xに延在するように長尺に構成している。
【0030】
第1収容部10は、回転部30を構成する複数の回転部材31、32、33、34、35、36、37、38、39、41、42を収容する第1収容空間S1を形成するように構成している。第1収容部10によって形成される第1収容空間S1は投入部20の直下から第2脱気部70と接続される部位まで一続きになるように構成している。第1収容空間S1は、本実施形態において回転部30の回転部材の回転軸を二軸設けるように、図4に示すように断面の内周部分を、2つの円弧を合わせたような形状に構成している。第1収容部10には第1収容空間S1の温度を調整するためのヒーター等の加熱装置(図示省略)を設けることができる。上述したヒーターは第1収容部10の第1収容空間S1の長手方向Xにおいて後述する回転部材の特定の区間毎に温度を調整できるように例えば長手方向Xに複数配置することができる。
【0031】
(投入部)
投入部20は、図1に示すように第1収容空間S1に上述した材料と水を投入可能なホッパーを備える。投入部20のホッパーは、上述した米粉、樹脂、および水を投入できるように漏斗状に形成している。
【0032】
(回転部)
回転部30は、第1収容空間S1において回転可能に配置される。回転部30は、複数の回転部材31~39、41、42を長手方向Xに平行な方向を回転軸として回転軸に沿って並べて配置するように構成している。回転部材31~39、41、42は、図5に示すように幅方向Yに沿って2軸並べて設けている。回転部材31は、本明細書において第1スクリュー、回転部材32は第1パドル、回転部材33は第2スクリュー、回転部材34は第2パドル、回転部材35は第4スクリュー、回転部材41は第6スクリュー、回転部材42は第7スクリューに相当する。以下に各々の回転部材について詳述する。
【0033】
(回転部材31)
回転部材31は、第1収容部10の第1収容空間S1において投入部20のホッパーの直下に配置している。回転部材31は、スクリューを形成するように構成している。本明細書において回転部材31が配置される第1収容空間S1の部位は材料と水が投入される材料投入部と称する。
【0034】
(回転部材32、33)
回転部材32は、図5に示すように第1収容空間S1の回転部材31よりも下流側において回転部材31に隣接して設けている。回転部材32は、板状部材を回転軸に沿って並べて配置するように構成している。回転部材32は、回転部材31と回転部材33との間に配置している。
【0035】
回転部材33は、第1収容空間S1の回転部材32よりも下流側において回転部材32に隣接して設けている。回転部材33は、回転部材31と同様にスクリューを形成するように構成している。回転部材33は、回転部材31よりも螺旋の溝を浅く形成している。回転部材33は、回転部材31よりも螺旋の径方向における最外周と最内周の差が大きくなるように構成している。回転部材33は、回転部材31と最外周の大きさが同等で、最内周が回転部材31よりも小さくなるように構成している。回転部材32、33が配置される第1収容空間S1の部位は、投入部20から投入された樹脂を溶解させる樹脂溶解部と称することができる。
【0036】
(回転部材34)
回転部材34は、回転部材32と同様に板状部材を回転軸に沿って複数並べるように配置しており、第1収容空間S1において回転部材33よりも回転軸の下流側に配置するように構成している。回転部材34は、図5において板状部材の板厚が一種類となるように図示しているが、一種類でなくてもよい。回転部材34は、回転部材32よりも薄く形成することによってせん断応力をより発揮させて材料を分散させるとともに均一な撹拌を行うように構成している。回転部材34が配置される第1収容空間S1の部位は、投入部20から投入された材料を混練する混練部と称することができる。回転部材33と回転部材34との境界近傍には、上述した材料に加えられた水等の気液成分を排出するために脱水部50を接続するように構成している。詳細は後述する。
【0037】
(回転部材35)
回転部材35は、第1収容空間S1において回転部材34よりも下流側において回転部材34に隣接して設けている。回転部材35は、回転部材33と同様にスクリューを形成するように構成している。回転部材35は、螺旋の溝の深さが回転部材33と同等になるように構成している。回転部材35は、第1収容空間S1において混練された材料を脱気する第1脱気部60と接続される。詳しくは後述する。
【0038】
(回転部材36~39)
回転部材36、37は、第1収容空間S1の回転部材35の下流側において回転部材35に隣接して設けている。回転部材36、37は、回転部材32と同様に板状部材を並べるように構成している。回転部材36、37には起伏の小さい螺旋を形成しており、回転部材36と回転部材37の螺旋の回転方向は異なるように構成している。
【0039】
回転部材38、39は、第1収容空間S1の回転部材37よりも下流側において回転部材37に隣接して設けている。回転部材38、39は、回転部材33と同様にスクリューを形成するように構成している。回転部材38、39のスクリューは螺旋の溝の深さを回転部材33と同様に構成している。回転部材38と回転部材39は螺旋の回転方向が逆転するように構成している。
【0040】
このように回転部材36、38と回転部材37、39の螺旋の回転方向を逆転させることによって、回転部材35から送られる材料は回転部材37、39で回転軸の上流側に一時的に押し返されるようにしたうえで下流側に移動する。これにより、材料が回転部材36~39に比較的長く滞留し、材料の密度が向上するように圧縮が行われる。回転部材36~39が配置される第1収容空間S1の部位は材料の圧縮を行う圧縮部と称することができる。
【0041】
(回転部材41、42)
回転部材41は、第1収容空間S1の回転部材35、39よりも下流側において回転部材39に隣接して設けている。回転部材42は、第1収容空間S1の回転部材41よりも下流側において回転部材41に隣接して設けている。回転部材41、42は、回転部材33と同様にスクリューを形成するように構成しており、回転部材42は回転部材41よりも螺旋のピッチが短くなるように構成している。回転部材41、42は第1収容空間S1に収容された材料の脱気を行う第2脱気部70と接続される。
【0042】
(脱水部50)
脱水部50は、第1収容部10で混練される材料から発生する水分等の気液成分を排出(脱水)するように構成している。脱水部50は、図5に示すように回転部材33と回転部材34との境界近傍において回転部材33、34の回転軸と交差する方向から第1収容部10に接続している。第1収容空間S1における回転部材33と回転部材34の境界付近では、少なくとも混練の際の第1収容空間S1の内部圧力が飽和蒸気圧となるように構成できる。
【0043】
脱水部50は、図5に示すようにスクリュー51(第3スクリューに相当)と、第2収容部52と、駆動部53と、を備える。スクリュー51は、回転部材31~39、41、42と交差する方向に回転し、対になるように構成している。駆動部53は、スクリュー51を回転させるモーターを備えるように構成している。第2収容部52は、図5に示すように第1収容部10と接続され、スクリュー51を収容する第2収容空間S2を設けた筐体などを備える。第2収容部52は、第2収容空間S2から第1収容空間S1で発生した水分を排出する。第2収容部52には第1収容空間S1で発生した水分を排出可能な開口部(図示省略)を設けている。開口部は、第2収容部52の上部等に設けることができる。
【0044】
(第1脱気部60)
第1脱気部60は、第1収容部10において回転部材35が配置される近傍に接続するように構成している。第1脱気部60は、図5に示すようにスクリュー61(第5スクリューに相当)と、第3収容部62と、駆動部63と、を備える。スクリュー61は、回転部材31~39、41、42の回転軸と交差する方向に回転し、対になるように構成している。駆動部63は、脱水部50と同様にスクリュー61を回転駆動させるモーターなどを備えるように構成している。第3収容部62は、回転部材35の近傍で第1収容部10と接続され、スクリュー61を収容する第3収容空間S3を設けた筐体などを備える。第3収容部62は、第3収容空間S3を介して第1収容空間S1で発生した気液成分を吸引可能な真空ポンプなどと接続している。
【0045】
(第2脱気部70)
第2脱気部70は、第1収容部10において回転部材41が配置される近傍において接続するように構成している。第2脱気部70は、図5に示すようにスクリュー71(第8スクリューに相当)と、第4収容部72と、駆動部73と、を、備える。スクリュー71は、回転部材31~39、41、42の回転軸と交差する方向に回転し、対になるように構成している。駆動部73は、第1脱気部60と同様にスクリュー71を回転駆動させるモーターなどを備えるように構成している。第4収容部72は、回転部材41の近傍で第1収容部10と接続され、スクリュー71を収容する第4収容空間S4を設けた筐体などを備える。第4収容部72は、第4収容空間S4を介して第1収容空間S1で発生した気液成分を吸引可能な真空ポンプなどと接続している。なお、第2収容部52、第3収容部62、第4収容部72は、図5において便宜上、簡略化して図示している。
【0046】
(排出部80)
排出部80は、図1等に示すように第1収容部10の下流側における外側に隣接して設けている。排出部80は、第1収容部10の第1収容空間S1において脱気された材料を紐状に形成するために設けられる。排出部80は、本実施形態において第1収容部10の長手方向Xにおける端部であって第1収容部10の第1収容空間S1と外部とを繋ぐ部位に設けた複数の穴形状を設けた部材を備えるように構成している。排出部80は、第1収容部10に配置された回転部材31~39、41、42などと同様にヒーターなどの加熱装置を設けることによって加温することができる。
【0047】
(冷却部90)
冷却部90は、第1収容部10から排出された紐状の材料を冷却するために設けられる。冷却部90は、図1に示すようにコンベヤー91と、液体供給部92と、気体供給部93と、を備える。
【0048】
コンベヤー91は、排出部80に隣接して設けている。コンベヤー91は、図2に示すように排出部80から排出された材料を切断部110まで搬送するように構成している。コンベヤー91は、本実施形態において図2に示すように長手方向Xから高さ方向Zの正の方向に向かって傾斜した斜め方向に沿って延在するように構成している。ただし、コンベヤー91の延在方向は一例であって材料を切断部110に搬送できれば、コンベヤーの具体的な搬送方向は図2等に限定されない。
【0049】
液体供給部92は、コンベヤー91上で搬送される材料に比較的温度の低い冷却水を供給するように構成している。液体供給部92は、ホース等によって冷却水の供給源と接続された噴射ノズルをコンベヤー91の搬送方向に複数配置することによって構成している。
【0050】
気体供給部93は、所定の温度に調整された空気等の気体をコンベヤー91上で搬送される材料に供給するように構成している。気体供給部93は、不図示のダクトと、ダクトに接続され、気体をコンベヤー91上の材料に向けて噴射可能なブロワーを備えるように構成している。
【0051】
(切断部110)
切断部110は、排出部80から排出され、冷却部90において冷却された材料を所定の長さにて切断するように構成している。切断部110は、図1に示すように材料を送る送りローラー111と、送られた材料を切断する刃物を備えた切断ローラー112と、を備えることができる。また、冷却された材料は、乾燥を行うチャンバー等の設備(乾燥部と呼ぶことができる)において乾燥工程を実施することができる。
【0052】
(米含有樹脂組成物の製造方法)
次に、本実施形態に係る米含有樹脂組成物の製造方法について説明する。図6は本発明の一実施形態に係る米含有樹脂組成物の製造方法を示すフローチャートである。
【0053】
まず、二軸混練装置100では投入部20のホッパーから気乾状態の米粉、上述した樹脂、相溶化剤および水が投入される(ST1)。投入される水の量は、米粉絶乾質量部(100重量部)に対して0.1~20重量部とすることができる。この時点で第1収容部10の第1収容空間S1に配置された回転部材31~39、41、42は所定の温度に加温した状態に設定することができる。
【0054】
次に、投入部20のホッパーから投入された樹脂と水は回転部材31に送られて樹脂溶解部に相当する回転部材32、33に搬送される。第1収容空間S1の樹脂溶解部の近傍は約200℃に加温された状態において回転部材32、33によって上述した材料が水分と混合され、溶解する(ST2)。この際に材料に含まれる米粉は加温された状態で水と混合されることにより、アルファ化が開始される。
【0055】
そして、材料は混練部に相当する回転部材34へと送られ、混練が行われる(ST3)。混練部に相当する回転部材34では、上述のように回転部材34が樹脂溶解部に相当する回転部材32よりも薄く構成されることによって材料の分散と撹拌が促進される。回転部材34を通過した材料はさらに回転部材35に送られる。
【0056】
また、材料が回転部材33から回転部材34へ送られる際に材料に含まれる水分は脱水部50によって脱水される。このとき、スクリュー51が脱水部50の入り口付近で回転することによって材料の固形成分は第1収容空間S1に残ったまま下流側に送られ、水分等の気液成分が第2収容部52の開口部からある程度排出される。
【0057】
回転部材35では、材料が回転部材35によって下流側に送られつつ、第1脱気部60によって材料の気液成分がさらに排出される(ST4)。第1脱気部60は、ポンプ等に接続されて材料の気液成分が吸引される一方で、スクリュー61によって材料の固形成分は第1収容空間S1に残り、圧縮部に相当する回転部材36~39に送られる。
【0058】
圧縮部に相当する回転部材36~39では回転部材37、39の位置において材料が上流側に送り戻されたうえで下流側に送られることによって、材料の密度が高くなるように圧縮の工程が行われる(ST5)。
【0059】
回転部材36~39を通過した材料は、回転部材41、42において排出部80に向けてさらに送られる。第2脱気部70では、ピッチの異なる回転部材41、42のうち、回転部材41の位置においてポンプ等によって材料の気液成分がさらに吸引されて脱気される(ST6)。材料は、回転部材42によって回転部材41よりも送り速度が上昇しつつ、排出部80において複数の紐形状になって第1収容空間S1の外部に排出される。
【0060】
冷却部90では、紐状の材料がコンベヤー91によって切断部110に向けて搬送される。この間に材料は、液体供給部92によって冷却水を吹きかけられて冷却され、その後、気体供給部93において冷却風に曝されることによって冷却される(ST7)。
【0061】
冷却部90を経た紐状の材料は、送りローラー111によって搬送され、切断ローラー112によって所定の長さに切断される(ST8)。切断部110によって切断された材料は平面状に引き延ばし、乾燥工程(ST9)を経ることによって、米含有樹脂組成物を上述したレジ袋等に好適に成形可能な形状に形成することができる。
【0062】
以上、説明したように本実施形態に係る米含有樹脂組成物の製造方法は、気乾状態の米粉と樹脂とを含む材料を投入された水の存在下で混練するように構成している。
【0063】
これにより、米粉を用いて環境に優しいバイオマスの樹脂組成物を製造することができる。
【0064】
また、上述した材料は相溶化剤を含む。これにより、米粉や樹脂などの材料を均一に混合することを促進できる。
【0065】
また、上述した材料はポリオレフィン樹脂であることによって米含有樹脂組成物を生成(製造)することができる。
【0066】
また、米粉は製造工程においてアルファ化するように構成している。これにより、米粉を上述した樹脂と混合して米含有樹脂組成物を生成(製造)することができる。
【0067】
また、上述した製造方法において投入される水の量は、材料100重量部に対して0.1~20重量部となるように構成している。このように構成することによって、米粉を樹脂と混練して米含有樹脂組成物を生成(製造)することができる。
【0068】
また、混練は二軸混練装置100を用いることによって、上述した米粉を含む材料を混練して樹脂組成物を生成(製造)することができる。
【0069】
また、二軸混練装置100は脱水を行う脱水部50を備える。これにより、米粉から樹脂組成物を生成(製造)する場合に不要な水分などの気液成分を取り除くことができる。
【0070】
また、脱水部50では飽和蒸気圧下において脱水を行うように構成している。そのため、米粉に大量の水分を投入しても不要な水分等の気液成分を取り除くことができる。
【0071】
また、二軸混練装置100は2つの脱気部として第1脱気部60と第2脱気部70を備えるように構成している。そのため、比較的量の多い水を用いて米粉と樹脂の混練を行った際に、第1脱気部60と第2脱気部70を用いることによって樹脂組成物に不要な水分等の気液成分を取り除くことができる。
【0072】
また、二軸混練装置100は第1収容部10と、投入部20と、回転部30と、を有する。第1収容部10は材料と水を収容可能な第1収容空間S1を形成する。投入部20は第1収容空間S1において材料および水を投入可能に構成している。回転部30は、第1収容空間S1において回転可能に配置され、複数の回転部材31~39、41、42を回転部材31~39、41、42の回転軸に沿って並べて配置している。回転部30は、回転部材31~39、41、42が回転する回転軸を2軸設けている。回転部材31~39、41、42は、螺旋形状を備え、投入部20の直下に配置された回転部材31と、回転部材31よりも回転軸の下流側に配置され、回転部材31よりも螺旋の溝が浅く形成された回転部材33を備える。このように構成することによって、米粉が通常、二軸混練装置ではスクリューによって下流側に送り難くても、回転部材31によって米粉を下流側に送るようにして混練を行うことによって米含有樹脂組成物を生成(製造)することができる
【0073】
また、回転部材31~39、41、42は、回転部材31と回転部材33の間に配置され、板状部材を回転軸に並べて配置した回転部材32と、回転部材33よりも回転軸の下流側に配置される板状の回転部材34と、を備える。回転部材33と回転部材34の近傍には、脱水部50を接続している。脱水部50は、スクリュー51と、第2収容部52と、を備える。スクリュー51は、回転軸と交差する幅方向Yに平行な方向を回転軸として回転し、対となるように構成している。第2収容部52は、スクリュー51を収容する第2収容空間S2を備えるとともに第1収容部10と接続され第1収容空間S1で発生した水分を排出可能な開口部を設けている。このように構成することによって、材料に含まれる固形成分を第1収容部10の第1収容空間S1に残しつつ、材料に含まれる不要な水分等の気液成分を取り除くことができる。
【0074】
また、回転部材31~39、41、42は、第1収容空間S1において回転部材34よりも下流側に設けられる回転部材35を備える。回転部材35の近傍には、第1脱気部60を接続している。第1脱気部60は、スクリュー61と、第3収容部62と、を備える。スクリュー61は、回転部材31~39、41、42の回転軸と交差する方向に平行な方向を回転軸として回転し、対になるように構成している。第3収容部62は、スクリュー61を収容する第3収容空間S3を備えるとともに第1収容部10と接続され、第1収容空間S1で発生した気体を吸引により排出可能なポンプなどと接続される。このように構成することによって、脱水部50と同様に材料の固形成分を第1収容空間S1に残しつつ、材料に含まれる不要な気液成分をさらに排出するようにできる。
【0075】
また、回転部材31~39、41、42は、第1収容空間S1において回転部材35よりも下流側に設けられる回転部材41と、回転部材41に隣接して設けられる回転部材42と、を備える。回転部材41の近傍には、第2脱気部70を接続している。第2脱気部70は、スクリュー71と、第4収容部72と、を備える。スクリュー71は、回転部材41の回転軸と交差する方向に平行な方向を回転軸として回転し、対になるように構成している。第4収容部72は、スクリュー71を収容する第4収容空間S4を備えるとともに第1収容部10と接続され、第1収容空間S1で発生した気体を吸引により排出可能なポンプと接続される。このように構成することによって、第1脱気部60と同様に材料の固形成分を第1収容空間S1に残しつつ、材料の不要な気液成分をさらに排出することができる。また、第2脱気部70を回転部材42ではなく、螺旋のピッチが比較的大きい回転部材41の近傍で接続することによって、不要な気液成分を第1収容空間S1から排出し易くすることができる。
【0076】
(実施例)
次に本発明に係る米含有樹脂組成物の性能について実験を行ったので、以下に説明する。図7は実施例の評価に関する画像である。図8は実施例1、比較例1、2、3及び4の樹脂組成物を黒色紙の上で撮影した写真であり、写真の左側から順に、実施例1、比較例1、2、3及び4の樹脂組成物である。
【0077】
本実験では後述する4つの仕様にて米含有樹脂組成物を生成した際のMFR(g/10min)、水分、および米含有樹脂組成物に含まれる澱粉の凝集の程度を確認した。本実験において米含有樹脂組成物は、A:LLDPE(プライムポリマー evolue(登録商標) sp4030)、B:無水マレイン酸変性ポリプロピレン(理研ビタミン MG-440P)、C:米粉(新潟ケンベイ 中白粉、含水率12%)、D:蒸留水を使用した。
【0078】
装置としては同方向に回転する二軸混練装置100、または第1脱気部60と第2脱気部70を備えない真空脱気装置を使用した。回転部材のL/Dは50とした。回転部30の回転部材は上述した回転部材31~39、41、42を用いた。回転部材31~39、41、42の長手方向Xの全体長さに対する回転部材32、34の比率(ニーディングブロック比率)は25%とした。また、蒸留水は投入部20のホッパーからチューブポンプを用いて第1収容空間S1に供給した。
【0079】
回転部材31~39、41、42の回転数は、280rpmとした。そして、第1収容空間S1における投入部に相当する部位を80℃、樹脂溶解部に相当する部位を160℃、混練部に相当する部位を200℃に加温した。また、第1収容空間S1における第1脱気部60と第2脱気部70との接続部を180℃、圧縮部に相当する部位を190℃、排出部80を190℃に加温した。
【0080】
本実験では比較対象として実施例1と比較例1、2、3、4を用意した。実施例1は上述した二軸混練装置100を用い、蒸留水を上述した材料に添加しつつ、樹脂組成物を生成した。
【0081】
比較例1は上述した二軸混練装置100を用いる一方で蒸留水を添加せずに材料を複合化するようにした。
【0082】
比較例2は上述した二軸混練装置100を構成する第1脱気部60と第2脱気部70を備えない真空脱気装置を用いて材料を複合化した。
【0083】
比較例3は、材料Cにアルファ化米を用い、その他は実施例1と同様である。
【0084】
比較例4は、特開2005-330402の実施例1に準拠し、蒸留水添加を行わず、蒸留水で30分浸漬した精米を米粉の代わりに用い、その他は実施例1と同様である。
【0085】
本実験では上述した実施例1、比較例1、2においてメルトフローレート(MFR:g/10min)と、樹脂組成物の水分(ppm)と、樹脂組成物における澱粉の凝集の程度を確認した。MFRは4~6をおおむね良好とし、それ以外を不良と考えた。水分は、500~1000ppmをおおむね良好とし、それ以外を不良と考えた。澱粉の凝集は、切断部110から送られた樹脂組成物を170℃でホットプレスによる熱圧成形にて平面状に引き延ばしたものを目視で観察し、澱粉の凝集が見られるか確認した。参考として、図7における左側のシートが澱粉の凝集が観察されない仕様であり、右側のシートが澱粉の凝集が観察された仕様である。
【0086】
上述したA,B,C,Dの組成、MFR、水分、および澱粉凝集の確認結果を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
<澱粉凝集>
○:観察されない。
【0089】
△:多くはないが観察される。
【0090】
×:若干多く観察される。
【0091】
××:多く観察される。
【0092】
×××:非常に多く観察され、凝集過多である。
【0093】
<ペレット着色透過性>
○:着色が非常に少なく、透過性も良好である。
【0094】
△:凝集が観察される分、着色が若干観察され、透過性も「〇」と比較して劣化している。
【0095】
×:着色の度合いが強く、透過性が低い。
【0096】
××:着色の度合いが非常に強く、透過性が非常に低い。
【0097】
×××:ほぼ完全に着色し、不透明である。
【0098】
表1に示すように比較例1では上述した材料の二軸混練装置100における食い込みが不良となり、米粉のアルファ化が不足して材料の凝集が解消せず、不均一な状態のままとなった。また、比較例1では、炭化および熱による分解で生成水の発生が多く、水分の安定的な計測ができず、十分に組成物を乾燥させることができなかった。
【0099】
比較例2では、蒸留水を加えることでMFRが比較的高くなった。また、比較例2におけるMFRの計測時には混練不十分の樹脂成分のみが流出し、熱流動が不安定となっていた。また、図8からも明らかなとおり、比較例2は、凝集過多である。また、比較例3ではMFRがおおむね良好であったものの、水分が多く、澱粉の凝集も比較例1、2に比べれば少ないものの、観察された。また、図8からも明らかなとおり、比較例4は、比較例1、2、3と比較して凝集が少ないが、凝集がある分、白くなる箇所が増え、結果的に透明性も劣化している。
【0100】
実施例1はMFRおよび水分が良好と考える範囲内に入っており、澱粉の凝集も観察されなかったことから、本実施形態に係る方法により製造した米含有樹脂組成物が良好な仕様となっていることを確認できた。
【0101】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0102】
100 二軸混練装置(米含有樹脂組成物の製造装置)、
10 第1収容部、
20 投入部、
30 回転部、
31 回転部材(第1スクリュー)、
32 回転部材(第1パドル)、
33 回転部材(第2スクリュー)、
34 回転部材(第2パドル)、
35 回転部材(第4スクリュー)、
41 回転部材(第6スクリュー)、
42 回転部材(第7スクリュー)、
50 脱水部、
51 スクリュー(第3スクリュー)、
52 第2収容部、
60 第1脱気部、
61 スクリュー(第5スクリュー)、
62 第3収容部、
70 第2脱気部、
71 スクリュー(第8スクリュー)、
72 第4収容部、
S1 第1収容空間、
S2 第2収容空間、
S3 第3収容空間、
S4 第4収容空間、
X 長手方向、
Y 幅方向(回転軸と交差する方向)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8