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特許7442231クッション材、及びそのクッション材を有するマットレス、座布団、枕
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】クッション材、及びそのクッション材を有するマットレス、座布団、枕
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/00 20060101AFI20240226BHJP
   A47C 27/14 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
A47C27/00 K
A47C27/14 A
A47C27/14 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023021361
(22)【出願日】2023-02-15
【審査請求日】2023-02-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】302045602
【氏名又は名称】株式会社レーベン
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高部 篤
【審査官】瀧本 絢奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-167099(JP,A)
【文献】国際公開第2017/217195(WO,A1)
【文献】実開昭54-126808(JP,U)
【文献】特開2007-144100(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0038043(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00-27/22
A47C 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性素材を含んで形成され、押圧により凹む変形をするクッション材であって、
同じ材料で形成される第一の支持部材と第二の支持部材と、を有し、
前記第二の支持部材は、少なくとも押圧面において、前記第一の支持部材から独立しており、
前記第一の支持部材は、前記第二の支持部材を囲う第1周壁面を有し、
前記第二の支持部材の外周面と当該第二の支持部材を囲う前記第一の支持部材の第1周壁面が、高さが同等であり、
前記第二の支持部材は、間に前記第一の支持部材を挟むようにして複数並び、そのうちの一の内側の前記第二の支持部材に対する略同大の周囲の6つの前記第二の支持部材が、隣同士の間隔が、自身の幅より小さくなるように形成されている
ことを特徴とするクッション材。
【請求項2】
請求項1に記載のクッション材であって、
前記第1周壁面が、前記第一の支持部材の上面及び下面に至り、
前記第二の支持部材の外周面が、前記第1周壁面と同大同形状である
ことを特徴とするクッション材。
【請求項3】
弾性素材を含んで形成され、押圧により凹む変形をするクッション材であって、
同じ材料で形成される第一の支持部材と第二の支持部材と、を有し、
前記第二の支持部材は、少なくとも押圧面において、前記第一の支持部材から独立しており、
前記第一の支持部材は、前記第二の支持部材を囲う第1周壁面を有し、
前記第二の支持部材の外周面と当該第二の支持部材を囲う前記第一の支持部材の第1周壁面が、高さが同等であり、
前記第二の支持部材は、中心部に上下方向に貫通する補助孔部を有する
ことを特徴とするクッション材。
【請求項4】
弾性素材を含んで形成され、押圧により凹む変形をするクッション材であって、
同じ材料で形成される第一の支持部材と第二の支持部材と、を有し、
前記第二の支持部材は、少なくとも押圧面において、前記第一の支持部材から独立しており、
前記第一の支持部材は、前記第二の支持部材を囲う第1周壁面を有し、
前記第二の支持部材の外周面と当該第二の支持部材を囲う前記第一の支持部材の第1周壁面が、高さが同等であり、
前記第1周壁面が、前記第一の支持部材の上面に至り、
前記第二の支持部材の外周が、前記第一の支持部材の前記第1周壁面と直交する環状の第1底壁面の内周と同大同形状である
ことを特徴とするクッション材。
【請求項5】
請求項4に記載のクッション材であって、
前記第二の支持部材の根本は、前記第一の支持部材の根本と一体になっている
ことを特徴とするクッション材。
【請求項6】
請求項1に記載のクッション材であって、
前記第二の支持部材は、前記外周面に、上下方向に延びる第2溝部であって上面視内側に凹む第2溝部が設けられ、
前記第一の支持部材は、前記第1周壁面に、上下方向に延びる第1溝部であって上面視外側に凹む第1溝部が設けられている
ことを特徴とするクッション材。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のクッション材を有するマットレス。
【請求項8】
請求項1~6の何れか一項に記載のクッション材を有する座布団または枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クッション材、及びそのクッション材を有するマットレス、座布団、枕に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、身体を快適に支持するクッション材が開発されてきている。
【0003】
例えば特許文献1には、表面のクッション層に凸部を設けることで、体圧を分散する効果を狙ったクッション材が記載されている(図1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-63316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが上記のようなクッション材では、体圧によって凸部が倒れてしまうと、支持効果が十分に発揮されない可能性があった。一方で凸部が固すぎると、快適に使用できなくなる可能性もある。
【0006】
そこで本発明は、身体を快適に支持することが可能なクッション材及びその関連物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。上記の課題を解決する本発明の一態様に係るクッション材は、弾性素材を含んで形成され、押圧により凹む変形をするクッション材であって、同じ材料で形成される第一の支持部材と第二の支持部材と、を有し、前記第二の支持部材は、少なくとも押圧面において、前記第一の支持部材から独立しており、前記第一の支持部材は、前記第二の支持部材を囲う第1周壁面を有し、前記第二の支持部材の外周面と当該第二の支持部材を囲う前記第一の支持部材の第1周壁面が、高さが同等である。
【0008】
前記第1周壁面が、前記第一の支持部材の上面及び下面に至り、前記第二の支持部材の外周面が、前記第1周壁面と同大同形状であってもよい。
【0009】
前記第二の支持部材は、中心部に上下方向に貫通する補助孔部を有してもよい。
【0010】
前記第1周壁面が、前記第一の支持部材の上面に至り、前記第二の支持部材の外周が、前記第一の支持部材の前記第1周壁面と直交する環状の第1底壁面の内周と同大同形状であってもよい。
【0011】
前記第二の支持部材の根本は、前記第一の支持部材の根本と一体になっていてもよい。
【0012】
前記第二の支持部材は、前記外周面に、上下方向に延びる第2溝部であって上面視内側に凹む半円形状である第2溝部が設けられ、前記第一の支持部材は、前記第1周壁面に、上下方向に延びる第1溝部であって上面視外側に凹む半円形状である第1溝部が、前記第2溝部と対向する位置に設けられていてもよい。
【0013】
上記の課題を解決する本発明の一態様に係るマットレスは、上記クッション材を有する。
【0014】
上記の課題を解決する本発明の一態様に係る座布団または枕は、上記クッション材を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、身体を快適に支持することが可能なクッション材及びその関連物を提供することができる。
【0016】
なお、上記以外の課題、構成および効果等は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第一実施形態に係るクッション材の一例を示す斜視図である。
図2図1のクッション材の(a)透視図、(b)断面図である。
図3】既存のクッション材の例の説明図である。
図4図1のクッション材を押圧体で押圧した場合の説明図である。
図5図1のクッション材を実際に押圧した場合の写真を示す。
図6】第一実施形態の変形例1のクッション材の例を示す図である。
図7】第一実施形態の変形例1のクッション材の例を示す図である。
図8】第一実施形態の変形例2のクッション材の例を示す図である。
図9】第一実施形態の変形例3のクッション材の例を示す図である。
図10】第一実施形態の変形例4のクッション材の例を示す図である。
図11】第一実施形態の変形例5のクッション材の例を示す図である。
図12】第一実施形態の変形例6のクッション材の例を示す図である。
図13】第一実施形態の変形例7のクッション材の例を示す図である。
図14】第一実施形態の変形例8のクッション材の例を示す図である。
図15】第一実施形態の変形例9のクッション材の例を示す図である。
図16】第一実施形態の変形例10のクッション材の例を示す図である。
図17】第二実施形態に係るマットレスの例を示す図である。
図18】第三実施形態に係るマットレスの断面図である。
図19】第三実施形態の変形例1のマットレスの例を示す図である。
図20】第三実施形態の変形例2のマットレスの例を示す図である。
図21】第三実施形態の変形例3の弾性体の例を示す図である。
図22】第三実施形態の変形例4の弾性体の例を示す図である。
図23】第三実施形態の変形例5の弾性体の例を示す図である。
図24】第三実施形態の変形例5の弾性体の例を示す図である。
図25】第三実施形態の変形例5の弾性体の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の例である各実施形態について図面を用いて説明する。
【0019】
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態に係るクッション材100の一例を示した斜視図、図2(a)は、クッション材100の透視図、図2(b)は、クッション材100の断面図である。各図において、Xは幅方向(水平方向)、Yは厚み方向(上下方向、高さ方向)、Zは奥行方向を示す。
【0020】
クッション材100は、弾性素材を含んで形成され、押圧により凹む変形をするものである。クッション材100は、同じ材料で形成される第一の支持部材と、複数の第二の支持部材と、を有する。図示するように、クッション材100は、第一の支持部材としての基部101と、第二の支持部材としての支柱部102と、を有するものである。第二の支持部材としての支柱部102は、少なくとも押圧面において、第一の支持部材としての基部101から独立している。なお、「押圧面」とは、クッション材100を凹ませる物体(押圧体)に押し付けられる面である。
【0021】
基部101は、概ね平らな上面と下面を有し、所定の厚みを有する。基部101は、一例として、支柱部102と同数であって所定間隔で設けられる第1周壁面103を有する。第1周壁面103は、基部101の一部であり、上面視無端状の連続の壁面である。支柱部102は、対応の第1周壁面103により囲われ、支柱部102の外周面と当該支柱部102を囲う第1周壁面103の高さが略同等である。
【0022】
支柱部102は、図示のように、平らな上面と底面(下面)を有し、基部101から突出しないようになっている。言い換えれば、支柱部102の上面は、概ね基部101の上面と共通の面(XZ面)上にあり、両者で略平らな押圧面を構成している。図示例では、支柱部102は、円柱状で、外周面が第1周壁面103と同大同形状である。すなわち、支柱部102は、第1周壁面103の内包する同大同形状の円柱状の空間内に、空隙Fが略ゼロの状態で嵌まり込んでいる。好ましくは、第1周壁面103は、基部101の上面及び下面に至っている。
【0023】
好ましくは、支柱部102は、上面の円中心部から下面の円中心部に至る補助孔部104を有してもよい。言い換えれば、好ましくは、図示例では、支柱部102は、更に中心部に、上下方向(軸方向)に貫通する、外周面と同心円状の補助孔部104を有する。
【0024】
基部101及び支柱部102は、弾性体で形成されている。弾性体は、例えば、ポリエチレンフォームやゴムスポンジ等の単泡や半連泡構造のフォーム材、ウレタンフォーム等の連泡構造のフォーム材である。もちろん、その他の通気性の高い素材を使用することもでき、例えば、ヤシガラ等のファイバーやポリエチレン製の極細繊維などのフォーム材である。
【0025】
好ましくは、基部101及び支柱部102は、同一の直方体状の原型材により形成される。例えばトムソン加工による打ち抜き等により、まず原型材から支柱部102を切り出し、残り部分を基部101とすることで簡便に製造することができる。すなわち、支柱部102は、基部101を含む素材から切れ込みにより切断された部分である。すなわち、第1周壁面103は、原型材から支柱部102を切り出した切断面であり、第1周壁面103の内包する空間は、支柱部102を切り出した切断孔(空洞)である。これにより、支柱部102と、その外周面と同大同形状の第1周壁面103を容易に形成できる。
【0026】
支柱部102の大きさは、クッション材100の用途や厚みに応じて、設定できる。支柱部102は、例えば、直径が1.5cm~12cm、好ましくは2cm~8cm、より好ましくは3cm~6cmである。
【0027】
ここで、クッション材100の機能を説明するために、既存のクッション材の押圧時の作用について説明する。図3(a)は、一体的に形成されたクッション材Aを、押圧体P(例えば人体)で押圧した場合の説明図である。図示するように、一体的に形成されているクッション材Aを押圧すると、クッション材Aの上側面(押圧面)が、押圧体の中心方向に引っ張られる。すると、押圧体Pはこれに反発するために外側方向への応力が生じる。このような応力は、例えばクッション材Aに利用者が座って使用する場合、臀部(押圧体P)への引っ張り感となって快適な使用を妨げる要因となってしまう。
【0028】
図3(b)に、このような応力を低減するために押圧面に凸部BPを設けたクッション材Bを示す。図示するように、クッション材Bを押圧すると、押圧面の凸部が外側方向へ倒れるように移動する。その際、押圧体に対しても外側に引く力が働く。これにより利用者は、臀部への引っ張り感が継続した状態での使用を余儀なくされる。
【0029】
図3(c)は、ビーズを利用したクッション材Cを押圧した場合の説明図である。クッション材Cは、袋状のカバー内にビーズCBを詰め込んだ、所謂ビーズクッションである。このようなクッション材Cを押圧体Pで押圧すると、袋の中でビーズが外側へと移動して全体が横に広がり、押圧体Pがクッション材Cに深く沈み込んで固定される。また、押圧体Pが動くとビーズCBが自由に移動してその力を吸収してしまい、例えばマットレスとした場合に寝返りや身動きがとりづらく、抵抗力が少なく体勢を変えるのにかなりの力が必要となる。
【0030】
図3(d)は、低反発のクッション材Dを押圧した場合の説明図である。クッション材Dは、反発力が低い素材を用いた、所謂低反発クッションである。このようなクッション材Dを押圧体Pで押圧すると、押圧体Pはクッション材Dに深く沈み込む。その際、クッション材Dの押圧面が、押圧体Pの中心方向に引っ張られ、押圧体Pはこれに反発するために外側方向への応力が生じる。このような応力は利用者に引っ張り感を感じさせ、快適な使用を妨げる。また反発力が低いために、立ち上がったり体勢を変えたりするのに力が必要となる。
【0031】
次に、本実施形態のクッション材100を上記と同様に押圧する場合について説明する。図4は、第一実施形態に係るクッション材100を押圧体Pで押圧した際の説明図である。図5に、22×22×6cmのウレタンフォーム材(原型材)を用いて、直径40mmの支柱部と、第1周壁面を設けたクッション材を、押圧体Pで押圧した際の写真を示す。
【0032】
図4および図5に示すように、押圧体Pによりクッション材100の押圧面Mに圧力がかかると、基部101と各支柱部102とが独立して変形し、両者間の空隙Fが変化し、圧を分散して、押圧体Pを支える。その際に、両者が同じ材料で形成され、同様な硬度や弾性を備えるため、使用者に違和感(凹凸感など)を与えずに済む。
【0033】
すなわち、中心部では支柱部102が基部101から独立して荷重を受け、主に下方向へと圧縮される。圧縮された支柱部102は、荷重を受けて中心への引き込みが生じる基部101が倒れ込まないよう支え、全体が中心に沈み込むのを抑制する。その際に、基部101及び支柱部102が同じ材料で形成され、支柱部102と第1周壁面103の高さが略同等であるので、エッジ部分が使用者に違和感を与えずに済む。
【0034】
一方、外側部分では、押し広げられて外方向に倒れようとする支柱部102を、中心方向へ引っ張られる周囲の基部101が支えて力を相殺する。その際に、基部101及び支柱部102が同じ材料で形成され、支柱部102と第1周壁面103の高さが略同等であるので、エッジ部分が使用者に違和感を与えずに済む。
【0035】
これにより、使用者に違和感を与えずに、支柱部102の倒れ込みや、基部101の引き込みを防ぐことができる。
【0036】
さらに、クッション材100は、支柱部102に補助孔部104が形成されていることで、支柱部102内で力が分散し、破断や亀裂が生じるのを防ぐことができる。言い換えれば、支柱部102は、補助孔部104を有することで、更に支柱部102において補助孔部104を隔てて相対的に分離して影響しにくい部分が生じて、上記作用効果を増長できる。補助孔部104は、このような観点から、好ましくは、直径が支柱部102の直径の1/15以上となるように形成される。また、支柱部102の硬度等に大きく影響を与えないという観点から、補助孔部104は、好ましくは、直径が支柱部102直径の1/5以下となるように形成される。
【0037】
さらに、クッション材は、連泡構造の素材の場合でも、圧力がかかった際に内部の空気が外部に抜けるのに時間がかかり、圧縮するまで時間がかかる。逆に、圧力を取り除いても元に戻るまで時間がかかる。この圧縮・復元までに要する時間は、空気が抜ける方向の肉厚に比例する。クッション材100は、基部101と支柱部102がそれぞれ独立しており、さらに支柱部102に補助孔部104を有するので、空気が抜ける方向の肉厚が低減している。そのため、空気が抜けるのが速く押圧に応じたクッション材の形状変化が速くなり、押圧体である使用者の動きに速く応じて、例えば寝返り等がしやすくなる。
【0038】
以上、本発明の第一実施形態について説明した。本実施形態によれば、クッション材100は、基部101と支柱部102がそれぞれ独立して荷重を受けることで、相互に支え合って一体的な変形を防ぎ、使用時に身体への負担が小さい。また、皮膚に引っ張り感のない快適な座り心地や寝心地を提供することができる。また、さらに、補助孔部104を備えることで、例えば寝返り等もしやすくなる。
【0039】
なお、基部101と支柱部102を異なる材料で形成することも考えられるが、この場合、硬度や弾性が異なるので刺激を与えるという面ではよいものの、長時間使用すると使用者によっては違和感(凹凸感)を覚え、不快感が生じる。本実施形態では、基部101と支柱部102を同じ材料で構成することで、上記作用効果を使用者に違和感を与えない範囲で実現でき、特に長時間の使用が想定される場合に好適である。
【0040】
また、基部101と支柱部102は同じ材料で形成されるため、相性がよく、基部101の第1周壁面103と支柱部102を同大同形状に形成すると、接着剤を使用しなくても支柱部102が簡単に落下することはない。
【0041】
また、クッション材100全体を、材料面で均一に形成できるので、温度や湿気の対策も容易である。また、異質部材や接着剤を使用しないため、経年劣化も少ない。
【0042】
クッション材100は、基部101及び支柱部102を覆うカバー105を備えてもよい。カバー105には、好ましくは、例えば布、皮、合皮等が使用される。カバー105を有する場合でも、特段に厚みや伸縮性が大きい場合を除き、上記の作用効果を奏するものと考えられる。クッション材100の表面は、平面を図示しているが、例えば、波状の表面のように、模様や、凹凸があっても良い。
【0043】
なお、さらに様々な変形例が考えられる。例えば、第1周壁面103と支柱部102は、図示例以外の形状でもよい。損壊しにくいという観点から、これらは丸みを有する形状、例えば、上記正円柱形状の他に、楕円柱形状や角丸の多角柱状形状などが好ましい。また、クッション材100は、上記図示例は略直方体形状であるが、他の形状でもよい。上記図示例は、支柱部102が直方体の辺に平行に整列する配置であるが、全体の形状に合わせて適宜配置してよい。
【0044】
また、支柱部102同士の直径は、異なってもよい。この場合、基部101の第1周壁面103同士の内周直径もこれに応じて異なるように形成される。例えば、列毎に直径を変えたり、所定列置きに変えたりしてもよい。また、支柱部102の数と、基部101の第1周壁面103の数が異なってもよい。例えば、第1周壁面103に対して、支柱部102は適宜間引きされて、例えば、1列置きに嵌め込まれてもよい。また、支柱部102が嵌め込まれない第1周壁面103は、嵌め込まれるものより直径が小さく形成されてもよい。
【0045】
<第一実施形態の変形例1>
図6は、六方向に展開した支柱部102を有するクッション材100Aの上面図である。クッション材100Aは例えば上面視円形のクッションであり、円の内部に描かれた正六角形の6つの角方向に向けて支柱部102が並んでいる。また最も外側の支柱部102の間にもそれぞれ1つずつ設けられており、計19個の支柱部102が等間隔に並んでいる。すなわち、基部101は、複数の支柱部102の周囲に配されており、複数の支柱部102の周囲に渡って連結して枠を形成しているといえる。
【0046】
このような構成によれば、各支柱部102の周囲を他の支柱部102が等間隔に取り囲んでおり、その壁面が効率的に互いを支え合うことで変形が抑えられる。特に内側の支柱部102は周囲6方向を他の支柱部102に支えられるため、より緩衝性が高い。このような作用により、全体の変形や歪みが押えられ、長時間の利用においても身体への負担を減らすことができる。
【0047】
また、ここでは示さないが、クッション材100Aの周囲に、例えば、ゴムやプラスチック材、布、網、フィラメント(長繊維)やステープル(短繊維)の構造物(集合した繊維が互いに溶着した構造物を含む)、金属などやそれらの組み合わせによりリング状のフレームや補強部を設けたりする事により、より丈夫にする事が出来る。
【0048】
図7(a)および図7(b)は、クッション材100Aの支柱部102に、補助部材としてのピンを設けた例の断面図である。使用者が強い刺激や凹凸感を求める場合も対応できるように、図示するように、支柱部102の有する補助孔部104の上側開口(押圧面側)には上面ピン106Aを、補助孔部104の下側開口には下面ピン106Bを嵌め込めるようにしてもよい。上面ピン106Aは、円形表面がなだらかに盛り上がった頭部108Aと、頭部の裏面に設けられた突起である足部109とを有しており、当該足部109を補助孔部104に嵌め込むことで、支柱部102の上面に固定される。すなわち、上面ピン106Aは、支柱部102の押圧面側の表面の面積よりやや小さく、支柱部102の押圧面側の表面より盛り上がっている。また、上面ピン106Aは、基部101の押圧面側の表面より盛り上がっている。図7(a)に示す下面ピン106Bは、例えば床面に置いた時に安定するよう平らな円形の頭部108Bと、足部109とを有しており、当該足部109を下面側から補助孔部104の下側開口に嵌め込むことで、支柱部102の下面に固定される。
【0049】
図7(b)に示すように、複数の頭部を一体的に形成し、板状の頭部108Cに複数の足部109を有する下面ピン107を使用することも可能である。このような下面ピン107を利用することで、床面での安定性をさらに高めるとともに、全体が横方向へと広がるのを抑え元の形状を維持することができる。上面ピン106A及び下面ピン106Bは、支柱部102や基部101より硬い素材で形成することができる。このようなピンの材質は、弾性体であってもよいし、プラスチック材、フィラメント(長繊維)やステープル(短繊維)の構造物(上述の溶着した構造物を含む)、金属等の比較的変形しづらい部材であってもよい。また例えば、身体が接触する押圧面側に位置する上面ピンのみを弾性体で形成し、下面ピンには硬度の高い材質を利用することもできる。また、頭部のみを弾性体で形成し、足部に硬度の高い材質を利用してもよい。
【0050】
<第一実施形態の変形例2>
クッション材100を、他のクッション材と組み合わせて利用してもよい。図8(a)および図8(b)は、クッション材100を板状のクッション材110と組み合わせたクッション材100Bおよび100Cの断面図である。図8(a)に示すクッション材100Bは、板状クッション材110の上面にクッション材100を積層して2層構造とした例であり、図8(b)に示すクッション材100Cは、クッション材100で板状クッション材110を挟んで積層し、3層構造とした例である。
【0051】
クッション材110は、フィラメント(長繊維)やステープル(短繊維)の構造物(上述の溶着した構造物を含む)とすることで、通気性を保つことができる。さらに、通気性を良くするために、図示のものにおいて縦穴や横穴を設けても良い。
【0052】
また、クッション材110は、空気や水を入れた袋状としてよりクッション性を持たせても良い。さらに、これをクッション材100と組み合わせて複数層の積層とすることで、クッション性を高めたり、横に層単位で可動にして調整しやすくしても良い。なお、積層したクッションは、例えば形状に合わせたカバーによってずれないようにしてもよいし、貼り合わせ等や、別途設けた固定部材によって固定しても良い。このようなクッション材100Bおよびクッション材100Cによれば、組み合わせによって多様な使用感のクッション材を製造できる。これにより、使用者の体調や好みにより適した製品を提供することが可能である。
【0053】
<第一実施形態の変形例3>
図9(a)および図9(b)に、他の例の第1周壁面1131を設けた例を示す。第1周壁面1131は、クッション材100Dの上面に至り、支柱部112を押圧面において基部111から独立させるものではあるが、下面には至っていない。
【0054】
図9(a)に示すように、クッション材100Dには、円筒状の切れ込みである、切断溝113が設けられている。言い換えれば、クッション材100Dは、第1周壁面1131と、第1周壁面1131と直交する環状の第1底壁面1132と、第1底壁面1132の内周と同大同形状の外周を有する支柱部112の外周面とを画定する切断溝113を有する。切断溝113は、一例として、押圧面から基部111の中ほどまでの高さがある。ここでは、支柱部112は、基部111と連続した部分(図9(b)の破線で囲んで示す部分)である。すなわち、支柱部112の根本は、基部111の根本と一体になっている。なお、このような切れ込みは、弾性体を成形する際に予め切れ込みを形成してもよいし、成形した弾性体(原型材)を後から切断することで形成してもよい。
【0055】
このような構成によれば、支柱部112の外周面が基部111から切り離されているため、支柱部112と基部111が独立して変形して、支え合うことができる。このような観点から、第1周壁面1131の高さは、好ましくは、クッション材の全体の1/3以上で、より好ましくは1/2以上ある。
【0056】
本例では、第一実施形態の第1周壁面103が下面まで到達しているのに対して、第1周壁面1131が下面まで到達しておらず、支柱部112と基部111の独立性が相対的に低くなっていることから、更に第1底壁面1132を設けて調整している。このような観点から、第1底壁面1132の幅は、好ましくは、支柱部112の直径の1/10以下で、1/25以上である。
【0057】
切断溝113は、図9(c)に示すように、上下両側に設けられてもよい。これにより、利用者がどちら側の面を押圧面として使用しても、変わらずに効果を発揮できる。ここでは、補助孔部104は、支柱部112のみを貫通するものでもよいし、図示のようにクッション材全体を貫通するものでもよい。
【0058】
<第一実施形態の変形例4>
このような切断溝を設けたクッション材においても、使用者が強い刺激や凹凸感を求める場合も対応できるように、補助部材を設けることができる。図10(a)は、クッション材100Eの補助孔部104に上面ピン106Aを嵌め込んだ例である。また、図10(b)に示すように、キャップ形状の上面ピン115を利用してもよい。上面ピン115は、円筒状の切断溝113に嵌め込むことが可能な足部114を有するキャップ形状になっており、より安定的に装着可能である。さらに、図10(c)に示すクッション材100Fのように、補助孔部104の周囲を盛り上げた凸部116を形成することで、ピンの代わりとしてもよい。また、図10(d)に示すクッション材100Gのように、凸部116を設けた上で、補助孔部104に上面ピン106Aを嵌め込むこともできる。なお、本例では上面側に行くに従ってその幅が大きくなる切断溝113が形成されており、押圧面側でより緩衝作用が大きくなるようになっている。上面ピン106Aは、クッション材以外に、ゴム、プラスチック材、フィラメント(長繊維)やステープル(短繊維)の構造物(上述の溶着した構造物を含む)、布、金属などで形成されても良い。
【0059】
<第一実施形態の変形例5>
図11に示すように、支柱部を入れ替えられるような構成としてもよい。図11(a)に、クッション材100の支柱部102を入れ替え可能に構成した場合の例を示す。図示するように、クッション材100の第1周壁面103に挿し込まれている支柱部102は、出し入れが可能に構成されており、基部101から支柱部102を引っ張り出し、別の支柱部に入れ替えることができる。このように支柱部102を入れ替え可能にすることで、弾性や形状を選択して好みの使用感のクッション材を構成したり、劣化した部品を新しいものに替えたりすることができる。
【0060】
なお、様々な選択ができるように、多様な支柱部を用意してもよい。ここではその一例として、図11(b)に、複数の層を積層して形成された支柱部120A、120B、120Cを示す。各支柱部120A~120Cの第一層は、頂部が凸状に形成されており、支柱部の上側に位置する。このような凸状の頂部は、ピンポイントに身体を押圧しマッサージ効果を提供することができる。第一層の下層には、各支柱部とも第二層が形成されている。第二層は、第一層からの圧力を受け止める役割をするため、当該第二層の材質を選択することによって、反発の強さや硬さ等を調整することができる。支柱部120Bおよび120Cには、さらに第二層の下層として第三層が形成されている。第三層は、第二層の中心部を貫いて第一層まで到達する軸としての役割と、底面で全体を支える役割を有している。このような第三層に硬度の高い材質を利用することで、強度と安定性の向上を図ることができる。また、図11(c)に示すように、高さが基部119の中ほどまでの支柱部118を独立して設け、入れ替え可能としたクッション材100Hとしてもよい。
【0061】
<第一実施形態の変形例6>
支柱部は必ずしも円柱状である必要はない。支柱部は、押圧面よりも内部に、押圧面に露出している部分よりも大きい部分がある形状であってもよい。図12(a)は、円柱の中心を球状に構成した支柱部122を備えるクッション材100Iの断面図である。このような支柱部122を収めるため、基部121に構成される第1周壁面123も同様の形状となっている。このような構成によれば、球状部分が第1周壁面123の壁面に引っ掛かって支柱部122の上下への移動が抑制され、支柱部が孔内でずれて表面に大きな凹凸が発生するのを防ぐことができる。なお、支柱部122は、押圧面側の上部がなだらかに盛り上がっており、硬めの材質を利用することでマッサージ効果を兼ね備えることも可能である。
【0062】
さらに、図12(b)は、球状の支柱部122Bを備えるクッション材100Jの断面図である。基部121Bの第1周壁面126は、このような支柱部の形状に合わせて一部が開口する球状となっており、支柱部122Bの球径が第1周壁面126の開口よりも大きいため、第1周壁面126から支柱部122Bが飛び出ないようになっている。また、このような支柱部122Bは、第1周壁面126内で回転させることが可能であり、長期間の使用で一方向に変形してしまった場合でも、回転させて弾性が残っている方向で使用を継続することができる。また、球面の一部が第1周壁面126の開口から飛び出ていることで、利用者に適度な刺激を与えることも可能である。
【0063】
<第一実施形態の変形例7>
複数の支柱部を組み合わせて使用してもよい。例えば、図13(a)は、球状の支柱部122Cを、基部101に複数詰め込んで使用するクッション材100Kの断面図である。なお、第1周壁面103の径は、支柱部124が飛び出したりしない程度に、球面の両側に密着し挟み込むよう形成されている。図13(b)は、上下面に保護部材125を設け、第1周壁面103に蓋をしたクッション材100Lの断面図である。なお、保護部材125には、例えば弾性体やシート等、どのようなものを用いてもよい。また保護部材125には、支柱部を交換するための取り出し口を設けてもよく、保護部材125そのものを取り外し可能に設けてもよい。
【0064】
<第一実施形態の変形例8>
図14(a)に、他の例に係る第1周壁面103の例を示す。
【0065】
本例の支柱部127は、外周面に、上下方向に延びる第2溝部であって上面視内側(上下方向に延びる中心線方向)に凹む半円形状である第2溝部が設けられ、基部は、第1周壁面103に、上下方向に延びる第1溝部であって上面視外側(上記内側の反対側)に凹む半円形状である第1溝部が、第2溝部と対向する位置に設けられている。
【0066】
この第1溝部及び第2溝部が合わさって、上下方向に延びる調整孔部128が構成される。なお、ここでは支柱部127の外周面において等分の位置に4箇所設ける構成としているが、どのような数、どのような配置で設けてもよい。このような調整孔部128を設けることにより、第1周壁面103と支柱部127の摩擦を低減し、弾性体の摩耗や破断を防ぐことができる。これは、単泡構造のフォーム材を利用する場合に特に有効である。
【0067】
なお、調整孔部128の円の直径は、例えば5mm~40mm、好ましくは、10mm~30mmである。また、クッション材の高さ(厚さ)は30mm~250mm、好ましくは25mm~180mmであることが望ましい。
【0068】
図14(b)に示すように、支柱部102の直径が第1周壁面103の直径より小さくてもよい。言い換えれば、第1周壁面103と支柱部102の間の空隙CLがゼロより大きくてもよい。このような空隙CLを設けることで、第1周壁面103と支柱部102の摩擦を低減することができる。なお、空隙CLの大きさは0.5mm~5mm、好ましくは0.5mm~3mmである。
【0069】
なお、第1周壁面や支柱部を他の形状(例えば六角柱などの多角柱状や楕円柱)としてもよい。図14(c)に、(内包空間が)六角柱の第1周壁面103と、楕円柱状の支柱部129を設けた例を示す。本例においては、第1周壁面103と支柱部129の間には当然に空隙が生じるため、両者の側面の摩擦を低減することができる。
【0070】
上記のクッション材は、座布団、マット、枕等に好適である。以下、健康器具等に好適なクッション材の例を説明する。
【0071】
<第一実施形態の変形例9>
図15(a)は、クッション材100Mを利用したストレッチポール130の分解図、図15(b)は、ストレッチポール130の斜視図である。なお、ストレッチポールとは、理学療法やストレッチ等に使用するフォームローラーの一種であり、主に身体に圧を加えるための健康器具である。
【0072】
図示するように、ストレッチポール130は、芯材131と、芯材131の外周面に装着するクッション材100Mとからなり、芯材131は、例えばプラスチック材、フィラメント(長繊維)やステープル(短繊維)の構造物(上述の溶着した構造物を含む)、や金属等からなる円筒状の部材である。
【0073】
クッション材100Mは、二つの半円柱状の基部132からなり、二分割したものを芯材131の周面に貼り付けてなる。基部132の表面には、複数の角丸四角形の切断部133が形成されている。このような構成により、利用者はストレッチポール130を身体に押し付けた際に、引っ張り感を感じにくく、快適な使用感で身体に圧を加えることができる。なお、クッション材100Mは、本例では二分割したものを芯材131の周面に貼り付ける構成であるが、分割せずに円筒状に形成し芯材131を差し込んでもよく、また更に細かく分割して貼り付けてもよい。
【0074】
なお、クッション材100Mを帯状に形成し、丸めて芯材131の外周面に巻き付けてもよい。また例えば、細い帯状に形成して斜め方向に巻き付けることも可能である。また、切断部133以外にも、支柱部を設けて同様の効果を得るようにしてもよい。さらに、カバーを装着することも可能である。
【0075】
<第一実施形態の変形例10>
図16は、クッション材100Nの斜視図である。クッション材100Nは、略球形をした器具であり、理学療法やストレッチ等に用いられる健康器具、所謂ストレッチボールである。クッション材100Nは、五角形平面と六角形平面を組み合わせて球状とした、サッカーボール様の形状となっている。また、五角形平面と六角形平面には様々な形状の切断部や孔が形成されている。図示するように、平面内に二重に切断部134を設けたり、切断部134内の様々な位置に孔135を設けたりすることができる。また、切断部や孔を設けない面を作ってもよい。このように、孔や切断部の形状や組み合わせは、使用感やデザイン性を考慮しながら自由に設計することができる。このような構成により、利用者は使用面を選ぶことで多様な使用感を得ることができる。
【0076】
なお、平面を組み合わせずに全体を完全な球状としてもよい。さらに、球内部に芯材を設けて、弾性力の有無や強弱を調整することで、利用者の好みの硬さや弾力を提供することができる。さらに、カバーを装着することも可能である。
【0077】
<第二実施形態>
図17は、第二実施形態のマットレス100Oの斜視図である。図示するように、マットレス100Oは一般的なベッドマットレスであり、長方体の基部101と、支柱部102と、基部101および支柱部102を支える基礎および枠として機能するフレーム210を有している。なお、ここでは3分割された部材を組み合わせてマットレス100Oを形成する例を示しているが、一体型に形成してもよく、折りたたみ可能としても良い。
【0078】
さらに、このようなマットレス100Oにアロマを含ませてリラックス効果を持たせたり、石やセラミック、炭等を内蔵して遠赤外線効果を持たせたりすることもできる。
【0079】
<第三実施形態>
図18は、第三実施形態に係るマットレス200の断面図である。図示するように、マットレス200は、上述のマットレス100Oと同様の形状をしたベッドマットレスであり、長方体の基部201と、基部201の底面一面に設けられている導電層205と、基部201の第1周壁面203に嵌め込まれた支柱部202と、基部201を支えるフレーム210を有している。また、基部201には、換気のための空気穴として、通気孔204が設けられている。また、通気穴は図上において縦方向になっているが、横方向や横方向と縦方向を組み合わせても良い。
【0080】
支柱部202は、押圧面が盛り上がった円柱形状の部材であり、基部201に設けられた第1周壁面203に嵌め込まれている。また支柱部202は、導電性ゴムや導電性スポンジ、例えば導電性ポリエチレン樹脂発泡体等の、導電性を有する弾性材からなる。なお、先端に別途、導電性の上面ピンを設けてもよい。
【0081】
導電層205は、支柱部202と同様に、導電性スポンジや電線や網線、電極箔等の導電性を有する素材から形成されており、両者は常に接触し電気的に接続されている。また導電層205は配線206によって大地アースされている。アースは、例えば予め設けられた三口のアースコンセントや、ネジ式コンセントにアースコードを繋いで行うことができる。
【0082】
ここで、このようマットレス200の作用について説明する。現在、生体に蓄積された静電気が、身体に様々な影響を及ぼすことが知られている。特に近年は電化製品の増加により、暴露する電磁波が増加して静電気が帯電し易い環境となっている。そこで本実施形態のマットレス200によれば、利用者がマットレスに横たわって支柱部202に接触すると、帯電した静電気が支柱部202から導電層205、配線206を介してアースへと放電され、生体の電位を下げるとともに、帯電を防ぐことができる。さらに、導電層205が電磁波を吸収、反射、防御する事で電磁波の暴露量を減少する事が出来る。
【0083】
また、ここでは、導電層205を設けたが、フレーム210を、例えば、導電性スポンジなどで構成し導電層205としても良い。さらに、フレーム210をアースしても良い。
【0084】
また、ここでは図示していないが、支柱部202の上部に、金属などの上面ピンを設けることでし、押圧刺激を高めるとともに導通を強化ことができる。
【0085】
本実施形態によれば、マットレス200は、支柱部102に導電性を持たせてアースすることで、睡眠時に自然に身体から放電させて健康的な生活をサポートすることができる。
【0086】
<第三実施形態の変形例1>
図19に、マットレス200Aの斜視図を示す。図示するように、マットレス200Aは、電源からの電流を生体に流すことが可能なクッション材である。マットレス200Aでは、各支柱部202に接する一定の範囲ごとに導電層205が区切られており、各区画が短絡しないよう、各区画の周囲は絶縁体からなるスペーサー207に囲まれている。スペーサー207によって区切られた各区画の導電層205は、それぞれが配線206によって電源208の正極または負極に接続されている。なお、配線は必ずしもこの限りではなく、使用時に正負各電極に繋がる支柱部202が少なくとも一つの正負極が対で同時に生体に接触する構成であれば、どのようなものであってもよい。
【0087】
また、電源供給は、支柱部202に対し個別に供給しても、複数の支柱部202からなるグループごとに供給しても良い。また、複数の支柱部202に対する電源供給の順番を、支柱部202の配置に対して円を描く順番にしたり、直線を描く順番にしたり、ランダムに変化する順番にしたり、これらの順番で電流強度を徐々に変化したりすることで、生体に与える電気刺激を回転するように変化させたり、直線状に変化させたり、ランダムに変化させたり、それらの電流強度を徐々に変化させたりして、例えば撫でる様な刺激を与えることができる。また、構造は、例えば、スペーサー207と導電層205の下にさらに導電層を設け、配線板を巡らしても良い。また、支柱部202の縦列や横列ごと等にグループにわけて区画とし、各グループごとに配線して電源208に接続することも可能である。
【0088】
電源208は例えば、電流を発生させる電池や当該電池と接続される回路、またはコンセントから電源を供給可能な回路である。なお、電池は二次電池や太陽電池であってもよい。また、配線206を一時切断するためのスイッチを設けても良い。これにより、使用時に過剰に電流が流れるのを防止できる。また、電流量を制御する電流制限ダイオードや抵抗などを設けても良い。さらに、電流制限ダイオードや抵抗などによって電流量を制御する場合、それらを設けた制御回路を接続することで、電流量を制御できる。
【0089】
さらに、例えば、頭部、肩部、背中部、腰部、足部の様にブロック別に分けて、各ブロック部材が上述の基部および複数の支柱部を備え、ブロック単位でマットレス本体にはめ込む仕組みとし、回路を設けたブロック部材と回路を設けていないブロック部材を選択できる構成としても良い。
【0090】
またその波形は、低周波である基底波の上端にパルス波を重畳させたものであってもよい。波形は、波形の周期における立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一部が、緩慢に立ち上がる又は立ち下がるものであってもよい。パルス波の振幅が周期的に変動し、その振幅の変動周期が基底波の周期より大きいまたは小さくてもよい。
【0091】
また、電流に音声や音楽、およびその倍音を用いても良い。これにより、さらに生体を活性化させ、高いマッサージやリラックス効果を得ることができると考えられる。また、音声や音楽をスピーカーから出力し、同期をとって、電流としても良い。さらに、タイミングを少しずらすことで、スピーカーからの空気振動が体内に浸透する感覚を与えることもできる。さらには、例えばスピーカー音が音楽、電流を音声として同期するなどの操作を組み合わせても良い。
【0092】
例えば、1/fゆらぎや、愛の周波数と呼ばれている528Hz音楽などがある。また、波長によってδ波(0.5~3Hz)、θ波(4~7Hz)、α波(8~13Hz)、β波(14~30Hz)に分類され、δ波は深い睡眠時、θ波はまどろみ時、α波は安静時、β波は覚醒・興奮時に主に出現するといわれている。リラックスした状態のときは、α波が優位になるといわれている。これらの状態に導くために、波長をコントロールする制御装置を設けても良い。また、さらに、寝返りや呼吸、脈拍などを計測し睡眠状態を予測し、睡眠時間などから現状の状態を継続や変化の必要性を推測し、睡眠状態を誘導するように波長や電流、音声強度をコントロールしても良い。
【0093】
このようマットレス200Aによれば、利用者がマットレス200Aの上に横たわり、正極または負極と接続された支柱部202の両方が、同時に皮膚に接触すると、電源208の正極からの電流が、接続された区画の導電層205と支柱部202を介して生体へと流れ込む。その後、電流は負極に接続された区画の支柱部202と導電層205を介して、電源208の負極へと向かう。これにより、マットレス200Aの使用時に電流が生体へと流れ、生体活動を活性化させることができる。このような電気刺激では、身体の細胞組織のイオン配列を調整したり、交感神経を刺激することによって身体の調子を整えたり、病気の治癒や予防をしたりする効果が期待できる。なお、就寝時に導電性素材からなる服を着ることで、全身に電流を受けることができる。
【0094】
また、例えばパルス波は直接肌に触れなくとも、電磁波として体に刺激を与えることができる。
【0095】
<第三実施形態の変形例2>
次に、電位差のある補助部材を利用することで、生体に微弱電流を流すことが可能なマットレス200Bについて説明する。図20は、マットレス200Bの断面図である。図示するように、マットレス200Bは、支柱部209の押圧面側に、電極ピンが挿し込まれ固定されている。なお、電極ピンの足部211Pの先端は、支柱部209からの抜け落ち防止のために膨らんだアンカー状になっている。
【0096】
電極ピンは、互いに異なる金属で形成された、第一電極ピン211と、第二電極ピン212とからなる。具体的に、第一電極ピン211には、第二電極ピン212で選択された金属よりもイオン化傾向が小さい金属、例えば、金、白金、銀または銅などが用いられ、第二電極ピン212には、第一電極ピン211で選択された金属よりもイオン化傾向が大きい素材、例えば、亜鉛、チタン、アルミニウム、タングステン、ステンレス、銀または銅などが用いられる。なお、電極ピンとして利用できる物質は、金属に限られない。電位差(イオン化傾向)の違いを利用して、生体内に微弱電流を発生させることができる組合せであればどのようなものを用いてもよい。例えば異種金属に限らず、導電性高分子、導電性酸化物などを組み合わせてもよい。また、半導体と呼ばれるものであってもよい。
【0097】
さらに、第一電極ピン211と第二電極ピン212とは、支柱部209と導電層205を介して、相互に電気的に接続されている。接続方法はこれに限らず、例えば配線等で接続してもよい。また、本実施形態においては、ベッドマットレスの横方向に並ぶ列をひとつのグループとして同種の電極ピンが配置されており、列毎に第一電極ピン211と第二電極ピン212とが交互に並ぶ構成である。しかしながらこれに限らず、電気的に接続された両電極ピンが、同時に皮膚にあたる位置に存在すれば、どのような配置であってもよい。
【0098】
このようなマットレス200Bは、第一電極ピン211と第二電極ピン212とが電位差を有しているため、肌に当たると両電極と肌との間で電気的閉回路を形成して生体内に微弱電流を流すことができる。具体的には、第一電極ピン211と第二電極ピン212が接触した身体の一部が電池における電解質の役割を果たし、負極として機能する一方の電極ブラシ(ここでは、第二電極ピン212とする)から正イオンが電離し、電子が正極として機能するもう一方の電極ピン(ここでは、第一電極ピン211とする)に移動し、両電極ピンに電位差が生じる。この電位差により、生体内には微弱電流が流れる。微弱電流は、皮膚面の状況、外部環境(温度や湿度など)あるいは押圧強度などによって異なるが、例えば0.1μA~50μAであり、好ましくは0.3μA~20μAである。また、両極間に発生する電圧は、例えば100mV~3Vであり、好ましくは200mV~2.6Vである。
【0099】
このようなマットレス200Bによれば、微弱電流が皮膚の表面の組織を損傷させずに皮膚の真皮層に入り、身体の細胞組織のイオン配列を整える。また、交感神経を刺激することによって身体の調子を整えたり、病気の治癒や予防したりする効果が期待できる。さらに、金属材料の抗菌・抗ウイルス作用により、皮膚を健康に保つことができる。
【0100】
上記はマットレスの例であるが、皮膚と直接接するものに応用してもよい。
【0101】
<第三実施形態の変形例3>
図21は、弾性体200Cの断面図である。弾性体200Cは、例えば靴の中敷き等に使用する薄手の弾性体である。図示するように、弾性体200Cは、基部217に形成される孔216に嵌め込むことが可能な導電性の支柱部215を有する。なお、孔216は,ここでは基部217を貫通しないものとする。
【0102】
支柱部215には、少なくとも1つずつの第一電極ピン211と第二電極ピン212とが、離れた位置に挿し込んで固定されている。なお、第一電極ピン211と第二電極ピン212との間には、両ピンが接触して短絡するのを防止するための溝214が形成されている。なお、溝部分に絶縁体からなる部材を設けてもよい。
【0103】
このような弾性体200Cによれば、靴底に使用した際に、足裏等が両電極ピンに接触することで、生体内に微弱電流を流すことができる。なお、裸足で利用したり、導電性の素材を用いた靴下を利用したりすることで、より効果が高まる。また、必ずしも靴底に使用する必要はなく、例えば靴下や手袋、レーシングパンツのクッションとして利用したり、ポケット、下着、手袋等の内部に入れて身に付けることも可能である。
【0104】
<第三実施形態の変形例4>
図22は、弾性体200Dの断面図である。弾性体200Dは、例えば首や腕、胴体、足等に巻くためのバンド状の弾性体である。図示するように、弾性体200Dは,バンド状の基部218に設けられた孔219に嵌め込むことが可能な導電性の支柱部220を有する。また、支柱部220には貫通孔である差込孔221Aが少なくとも2つ設けられており、基部218にも、孔219の底面から基部218の底面を貫通する差込孔221Bが設けられている。支柱部220を孔219に嵌め込むと、これら差込孔221Aおよび差込孔221Bの開口がぴったり合うように構成されており、両孔を貫くようにして第一電極ピン211と第二電極ピン212を固定することができる。なお、1つの支柱部220に対し、第一電極ピン211と第二電極ピン212とが少なくとも1つずつ設けられている。
【0105】
このような弾性体200Dによれば、バンドを身体に巻いて使用した際、身体が両電極ピンに接触することで、生体内に微弱電流を流すことができる。なお、利用法としては、例えば時計のバンドや、ブレスレット、ネックレス、ベルト、コルセット、アンクレット等、身体に巻き付ける様々なものに応用できる。
【0106】
<第三実施形態の変形例5>
図23は、弾性体200Eの断面図である。図示するように弾性体200Eは、上記の弾性体200Dの支柱部220が少なくとも1つ含まれる一片であり、これを貼付テープ222で身体に貼り付けて使用するものである。
【0107】
このような弾性体200Eによれば、貼付テープで身体のあらゆる位置に貼り付けることができ、生体内に微弱電流を流す押圧器具として使用することができる。
【0108】
なお、図24(a)に示すように、支柱部220に代わり、切断部224を設けた基部223を使用してもよい。図示するように、身体の曲面に貼付テープ222を貼付した場合、弾性体200Fは肌に押し付けられて曲がろうとするが、切断部224が屈曲方向への力を緩衝することで、基部223が過度に折れ曲がるのを防ぐことができる。これにより、両電極ピンが接触しづらくなり短絡が防止されるとともに、利用者は突っ張り感なく快適な使用が可能となる。また、弾性体を使用することで、軽量な押圧器具とすることができるとともに、収縮性があるため肌に密着させやすい。これらにより、例えば、器具貼り付けテープにて貼り付ける時において、筋肉などの伸び縮み時の肌の収縮による器具貼り付けテープのテンション増強から、肌に刺激が発生し肌障害を起こすことを防止できる。
【0109】
さらに、図24(b)~図25(d)に示すような弾性体を設けてもよい。図24(b)に示す弾性体200Gは、電極ピンの差込孔226と、基部227を縦方向に貫通する切断部225を設けた例である。なお、切断部225は基部227を完全に切り離すものではなく、図示しない部分で基部227は連続しているものとする。また、図24(c)に示すように、基部228の途中部分までの切断部225Aを設けた弾性体200Hとしてもよいし、図24(d)に示すように、基部229に電極ピンの頭部231が収まる大きさの差込孔230を設け、電極ピンの出っ張り部分を下げた弾性体200Iとしてもよい。電極ピンの頭部231を差込孔230に収めることで、短絡防止効果がさらに高まる。
【0110】
また、図25に示すように、電極ピン232に電流を流す電源208を備えた弾性体200Gとしてもよい。なお、電極ピン232は印加を前提としているため別素材を使用する必要はなく、基部223の内部には、各電極ピン232に接続される電源208が設けられている。なお、電源208と電極ピン232との接続には、例えば金属箔や金属筒等の通電部材233を用いるとよい。互いが接触するように通電部材233で足部234の周囲を囲み、通電部材233に電源208を接続することで、足部234が大きく動いた場合でも接続が途切れるのを防止することができる。このような弾性体200Gは、簡単な電気治療だけでなく、EMS等やその他の病院内外の救命器具に用いることも可能である。
【0111】
以上、本発明に係る生体電気刺激具について説明したが、これらは本発明の一例に過ぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明には、上記の各実施形態や変形例を組み合わせた形態や、さらに様々な変形例が含まれる。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0112】
100 クッション材
101 基部
102 支柱部
103 第1周壁面
113 切断溝
200 マットレス
【要約】
【課題】 身体を快適に支持することが可能なクッション材を提供する。
【解決手段】 弾性素材を含んで形成され、押圧により凹む変形をするクッション材であって、同じ材料で形成される第一の支持部材と第二の支持部材と、を有し、前記第二の支持部材は、少なくとも押圧面において、前記第一の支持部材から独立しており、前記第一の支持部材は、前記第二の支持部材を囲う第1周壁面を有し、前記第二の支持部材の外周面と当該第二の支持部材を囲う前記第一の支持部材の第1周壁面が、高さが同等である、クッション材。
【選択図】図1
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