(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】飲料容器
(51)【国際特許分類】
B65D 21/02 20060101AFI20240226BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
B65D21/02 500
B65D1/02 230
(21)【出願番号】P 2023029967
(22)【出願日】2023-02-28
【審査請求日】2023-03-06
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】523073127
【氏名又は名称】中川 泰彦
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 泰彦
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-537414(JP,A)
【文献】特開2000-153841(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0255000(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0319010(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/02
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間を有する飲料容器であって、
首部と、
前記首部に続く肩部と、
前記肩部に続く胴部と、
前記胴部の内側において上方に凹むように設けられる底部と、を備え、
前記胴部は、
前記飲料容器同士を連結するための連結爪と、
前記連結爪と係合するための爪受けと、を備え、
2つの前記飲料容器同士は、一方の前記底部に他方の前記首部が収容された状態で、一方の前記連結爪と他方の前記爪受けが係合すると連結し、
前記底部は、
上壁部と、
前記肩部に平行に延びる肩当接部と、
前記上壁部と前記肩当接部とをつなぐ中間部と、を有し、
2つの前記飲料容器同士の連結状態において、
一方の前記上壁部と他方の容器最上端との間に第1隙間を有し、
一方の前記中間部と他方の前記首部の最大外周の間に第2隙間を有し、
前記連結爪は、前記収容空間よりも下方となる位置に設けられ、
前記爪受けは、前記胴部の上端よりも下方となる位置に設けられ、
前記胴部は、前記収容空間を囲う本体から下方に延びる外壁部を備え、
前記連結爪は、前記外壁部の下端部の内周面に設けられ、
前記連結爪は、前記胴部の周方向に断続的に同間隔に2以上設けられ、
2以上の前記連結爪の周方向の合計長さが前記外壁部の外周の長さの1/3以上且つ3/4以下であ
り、
前記爪受けは、前記胴部の周方向に連続して一周設けられる
ことを特徴とする、飲料容器。
【請求項2】
前記胴部は、前記爪受けの上方に、前記肩部に続く縦壁部を備える
ことを特徴とする、請求項
1に記載の飲料容器。
【請求項3】
前記連結爪は、内側へ突出するように設けられ、
前記爪受けは、内側へ凹むように設けられ、
前記連結爪は、
内側下方へ傾斜する第1面部と、
前記第1面部に続く下方に延びる第2面部と、
前記第2面部に続く外側下方へ傾斜する第3面部と、を有し、
前記爪受けは、
内側下方へ傾斜する第1壁部と、
前記第1壁部に続く下方に延びる第2壁部と、
前記第2壁部に続く外側下方へ傾斜する第3壁部と、を有し、
縦断面において中心線に対する前記第1面部及び前記第1壁部の傾斜角度が60度で、前記第3面部及び前記第3壁部の傾斜角度が45度である
ことを特徴とする、請求項
1に記載の飲料容器。
【請求項4】
前記肩部及び前記胴部の合計容積である内容積は、185cm
3~205cm
3である
ことを特徴とする、請求項
1に記載の飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器同士を連結可能な飲料容器が提案されている。例えば、「筒状に延びる胴部、前記胴部の下端側を閉塞する底部、前記胴部の上端に連続して設けられた頂部、及び前記頂部の上端に連続して形成され前記胴部より小径の円筒状で上端側に開口を備える口部及び前記口部の外周面に形成された雄ネジを有する容器本体と、前記雄ネジに螺合させることで前記口部の開口を閉鎖する状態に取り付けられる蓋体とを有するボトル型容器において、前記容器本体の底部に前記口部の雄ネジと同じ雄ネジを螺合することが可能な雌ネジを形成したことを特徴とするボトル型容器。」が提案されている(特許文献1の請求項1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ボトル型容器は、底部に形成した雌ネジを用いて、容器同士を連結できる。しかし、連結状態において重なる部分が口部のみであるため、安定した構造とは言えない。例えば、頻繁に開閉する冷蔵庫で保管する場合や、携帯して外出する場合の使用には、向いていない。
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一つを解決するためのものであり、連結でき且つ気軽に連結して保管や携帯できる飲料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する本発明の一態様は、収容空間を有する飲料容器であって、首部と、前記首部に続く肩部と、前記肩部に続く胴部と、前記胴部の内側において上方に凹むように設けられる底部と、を備え、前記胴部は、前記飲料容器同士を連結するための連結爪と、前記連結爪と係合するための爪受けと、を備え、2つの前記飲料容器同士は、一方の前記底部に他方の前記首部が収容された状態で、一方の前記連結爪と他方の前記爪受けが係合すると連結する。
【0007】
好ましくは、前記連結爪は、前記収容空間よりも下方となる位置に設けられ、前記爪受けは、前記胴部の上端よりも下方となる位置に設けられる。
【0008】
好ましくは、前記胴部は、前記収容空間を囲う本体から下方に延びる外壁部を備え、前記連結爪は、前記外壁部の下端部の内周面に設けられる。
【0009】
好ましくは、前記連結爪は、前記胴部の周方向に断続的に同間隔に2以上設けられる。
【0010】
好ましくは、前記爪受けは、前記胴部の周方向に連続して一周設けられる。
【0011】
好ましくは、前記胴部は、前記爪受けの上方に、前記肩部に続く縦壁部を備える。
【0012】
好ましくは、前記連結爪は、内側へ突出するように設けられ、前記爪受けは、内側へ凹むように設けられる。
【0013】
好ましくは、前記連結爪は、内側下方へ傾斜する第1面部と、前記第1面部に続く下方に延びる第2面部と、前記第2面部に続く外側下方へ傾斜する第3面部と、を有し、前記爪受けは、内側下方へ傾斜する第1壁部と、前記第1壁部に続く下方に延びる第2壁部と、前記第2壁部に続く外側下方へ傾斜する第3壁部と、を有する。
【0014】
好ましくは、前記底部は、上壁部と、前記肩部に平行に延びる肩当接部と、前記上壁部と前記肩当接部とをつなぐ中間部と、を有する。
【0015】
好ましくは、2つの前記飲料容器同士の連結状態において、一方の前記上壁部と他方の容器最上端との間に第1隙間を有し、一方の前記中間部と他方の前記首部の最大外周の間に第2隙間を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、連結でき且つ気軽に連結して保管や携帯できる飲料容器を提供することができる。
【0017】
上記した以外の課題、構成、及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る飲料容器の一例を示す、(a)斜視図、(b)透視図である。
【
図2】
図1の飲料容器を示す、(a)平面図、(b)正面図、(c)底面図である。
【
図3】
図1の飲料容器を重ねてなる多段容器を示す、(a)平面図、(b)正面図、(c)底面図である。
【
図4】
図3のAA線断面図で、(a)飲料未収容状態、(b)飲料収容状態の一例である。
【
図6】
図5の一部拡大図で胴部の下端寄りの部分を説明するためのものである。
【
図7】
図5の一部拡大図で胴部の上端寄りの部分を説明するためのものである。
【
図9】
図1の飲料容器の一実施例を示す断面図である。
【
図11】
図9の飲料容器を3段重ねてなる多段容器のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の例について、図面を参照して説明する。なお、下記実施形態(及び変形例)において共通する構成要素については、前出の符号と同様な符号を付し説明を省略することがある。また、構成要素等の形状、位置関係等に言及する場合は、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る飲料容器の一例を示す、(a)斜視図、(b)透視図である。
図2は、
図1の飲料容器を示す、(a)平面図、(b)正面図、(c)底面図である。
図3は、
図1の飲料容器を重ねてなる多段容器を示す、(a)平面図、(b)正面図、(c)底面図である。
図4は、
図3のAA線断面図で、(a)飲料未収容状態、(b)収容状態の一例である。図中のOは中心線を示す。
【0021】
本形態の飲料容器1は、飲料を収容するための収容空間Pを備える包装容器である。飲料は、ここでは、水、炭酸水、ジュース、お茶、コーヒー、牛乳等のアルコールを含まない飲料、ビール、ワイン、日本酒等のアルコールを含む飲料など、幅広く含むものとする。
【0022】
飲料容器1は、首部2と、首部2に続く肩部3と、肩部3に続く胴部4と、胴部4の内側にある底部5と、を備える。なお、ここでは、内側は平面中心(平面視円形の場合は円心)に近い側、外側はその反対側を指す。飲料容器1は、材料(素材)等は特に限定されない。
【0023】
首部2は、飲み口や注ぎ口となる部分である。首部2は、略円筒状である。首部2は、胴部4より外周が小さい。首部2は、一例として、上端寄りの部分が壁厚に形成され、その外周面の一部に、後述のキャップ6の内周面の雌ねじと螺合するための雄ねじが設けられる。
【0024】
肩部3は、首部2と、首部2より外周が大きい胴部4をつなぐ壁部分である。肩部3は、一例として、図示のように、外周方向に所定角度で傾斜する漏斗状である。すなわち、肩部3は、首部2の下端から所定の鋭角で外周方向にテーパー状に広がる。肩部3は、一例として、外周方向に略水平に延びるものでもよい。この場合、肩部3は、首部2の下端から90度の角度で外周方向に広がるものとも言える。言い換えれば、肩部3は、首部2の下端から外周方向に90度以下の角度で広がる形状である。
【0025】
胴部4は、一例として、図示のように略円筒状である。胴部4は、角筒状や楕円筒状等他の形状でもよい。胴部4の詳細は、後述する。
【0026】
底部5は、胴部4の内側に位置する。底部5は、上方に凹む形状で、外周が胴部4とつながっている。底部5の詳細は、後述する。
【0027】
飲料容器1は、上記の構成により収容空間Pが形成され、収容空間Pに飲料を収容し、飲み口(注ぎ口)から飲める(注げる)ようになっている。
【0028】
本形態の飲料容器1は、さらに、2つの飲料容器1同士を連結する連結構造を備える。
【0029】
図1及び
図2に示すように、飲料容器1は、従来技術と異なり、胴部4に、連結構造が設けられる。胴部4は、具体的には、連結構造として、飲料容器1同士を連結するための連結爪41と、連結爪41と係合するための爪受け42とを備える。
【0030】
上記従来のボトル型容器は、口部(首部)で連結する口部連結構造である。上記従来のボトル型容器は、連結状態において重なる部分が口部のみであるため、安定した構造とは言えない。例えば、頻繁に開閉する冷蔵庫で保管する場合や外出時に携帯する場合等における使用には向いていない。
【0031】
これに対して、本形態の飲料容器1は、胴部4で飲料容器1同士を連結する胴部連結構造である。飲料容器1同士は、一方の底部5に他方の首部2が収容された状態で、一方の連結爪41と他方の爪受け42が係合すると連結する。これにより、
図3に示すように、飲料容器1を複数重ねてなる多段容器10は、あたかも一つの容器のように安定した形になる。そのため、頻繁な開閉で振動が加わることが予想される冷蔵庫等での保管や、不用意な移動が予想される外出時の携帯の場合等でも、連結して気軽に保管や携帯できる。
【0032】
好ましくは、
図4(a)に示すように、飲料容器1は、連結爪41が、収容空間Pよりも下方となる位置に設けられる。また、爪受け42が、胴部4の上端よりも下方となる位置に設けられる。
【0033】
図4(b)に示すように、このように構成することで、矢印Sで示す収容部分は、下段(第2段)飲料容器1の胴部4の一部であるにも関わらず、見掛け上、恰も上段(第1段)飲料容器1の胴部4の一部のようになっている(第2段及び第3段の飲料容器1同士も同様である)。言い換えれば、このように構成することで、収容飲料量を減らさずに、互いに重なる部分を大きくして、より安定した構造とすることができる。
【0034】
図5は、
図2のAA線断面拡大図である。
図6は、
図5の一部拡大図で胴部の下端寄りの部分を説明するためのものである。
図7は、
図5の一部拡大図で胴部の上端寄りの部分を説明するためのものである。各図において、Xは左右方向(横方向、水平方向)、Yは上下方向(縦方向、鉛直方向)を示す(
図8及び
図9において同じ)。以下、飲料容器1の胴部4及び底部5について、詳細に説明する。
【0035】
飲料容器1の収容空間Pは、基本的には、胴部4及び底部5で形成される。言い換えれば、首部2は基本的には飲み口(注ぎ口)の機能を、肩部3は漏斗のような機能を果たす。飲料を肩部3まで収容すると、肩部3も収容空間Pの一部を形成するとも言えるが、肩部3まで収容するか否か、肩部3のどの位置まで収容するかは、飲料メーカや使用者により異なるので、収容空間Pは、基本的には、胴部4及び底部5で形成されるものと考えられる。
【0036】
先ず、胴部4について説明する。図示のように、本形態の胴部4は、肩部3の下端から底部5の下端までの本体40で収容空間Pを囲う。
【0037】
胴部4は、図示のように、収容空間Pを囲う本体40から下方に延びる外壁部43を備える。言い換えれば、外壁部43は、底部5よりも下方に位置する。連結状態では、この外壁部43の内側に下段(他方)の飲料容器1の胴部4の一部が収容される。
【0038】
外壁部43は、一例として、後述の連結爪41に対応して、胴部4の周方向に断続的に2以上設けられる。好ましくは、外壁部43は、胴部4の周方向に連続して一周設けられる。このように構成することで、強度を確保しやすくなる。また、外壁部43は、強度を確保する観点から、好ましくは、本体40の壁厚よりも厚く形成される。
【0039】
連結爪41は、この外壁部43の下端部の内周面に設けられる。内周面に設けることで、他の物に引っかかり難くなる。
【0040】
連結爪41は、周方向に連続して一周設けられてもよいが、爪受け42との係合が解除しにくくなる恐れもあるので、好ましくは、周方向に同間隔に断続的に2以上設けられる。例えば、
図5及び
図1(b)、
図2(c)に示すように、隣接の連結爪41同士の中心間間隔が90度となるよう4つ(2対)設けられる。
【0041】
連結爪41は、断続的に設ける場合、周方向の長さは、特に限定されない。連結爪41は、意図せず外れることがないように、一例として、合計長さが外壁部43(外壁部43が断続的に形成される場合は、本体40)の外周の長さの1/3以上となるように設けられる。また、取外しの容易さを考慮して、一例として、合計長さが外壁部43の外周の長さの3/4以下となるように設けられる。好ましくは、連結爪41の合計長さは、外壁部43の外周の長さの1/2程度である。
【0042】
連結爪41は、内側へ突出するように設けられる。内側へ突出することで、他の物に引っかかり難くなる。また、上段の飲料容器1を持ち上げても下段の飲料容器1が抜け落ちないようにすることができる。
【0043】
より具体的には、
図6に示すように、連結爪41は、断面視において、内側下方へ傾斜する第1面部411と、第1面部411に続く下方に略垂直に延びる第2面部412と、第2面部412に続く外側下方へ傾斜する第3面部413と、を有する。第2面部412と第3面部413の間の角部は、好ましくは、R面に形成される。これにより、飲料容器1同士を連結する際に押し被せ(押し込み)やすくなる。
【0044】
連結爪41は、さらに第3面部413に続く外側に略水平に延びる第4面部414を有してもよい。第4面部414は、好ましくは、外壁部43の下端と同じ平面上にあるように形成される。このように構成することで、後述の壁間隙間Eと対応しやすくなり、また載置する際の載置面を広くなる。
【0045】
爪受け42は、一例として、周方向に断続的に、連結爪41の数だけ、連結爪41の長さに応じて設けられる。より好ましくは、
図5及び
図1(b)、
図2(b)に示すように、爪受け42は、胴部4の周方向に連続して一周設けられる。爪受け42を一周設けることで、全周のどの位置でも連結爪41が引っかかるので、連結がより容易になる。
【0046】
爪受け42は、連結爪41に対応して、内側へ凹むように設けられる。より具体的には、
図7に示すように、爪受け42は、断面視において、内側下方へ傾斜する第1壁部421と、第1壁部421に続く下方に略垂直に延びる第2壁部422と、第2壁部422に続く外側下方へ傾斜する第3壁部423と、を有する。爪受け42は、第1壁部421の傾斜角度が連結爪41の第1面部411と略同等で、第3壁部423の傾斜角度が第3面部413と略同等である。好ましくは、第3壁部423の上下幅は、連結爪41の第3面部413よりも大きい。
【0047】
図5及び
図7に示すように、胴部4は、爪受け42の上方に、肩部3に続く縦壁部44を備える。言い換えれば、縦壁部44は、肩部3の下端と爪受け42の上端の間の壁部分である。
【0048】
縦壁部44は、連結状態において外壁部43の内側に位置する。縦壁部44は、好ましくは、外壁部43と略平行に形成される。縦壁部44は、一例として、上下に略鉛直に延びるように形成される。縦壁部44の上下幅(高さ)は、特に限定されないが、好ましくは、爪受け42全体の上下幅(高さ)と同等またはやや大きい。
【0049】
底部5は、
図5に示すように、上方に凹むように設けられ、上壁部51と、肩当接部53と、上壁部51と肩当接部53をつなぐ中間部52とを有する。
【0050】
上壁部51は、首部2ないしキャップ6より外周が大きく、略水平に設けられる。上壁部51は、好ましくは、首部2の上端ないしキャップ6の上面と同心状に設けられる。
【0051】
中間部52は、一例として、肩当接部53より小さい角度で、外周方向下方に傾斜する形状である。
【0052】
肩当接部53は、肩部3に平行に延びる形状、言い換えれば、肩部3と同角度で外周方向下方に傾斜する漏斗状である。このように構成することで、上段の飲料容器1と下段の飲料容器1が、肩部3と肩当接部53で当接し、連結状態の多段容器10がより安定する。
【0053】
このように構成する飲料容器1は、
図5及び
図6に示すように、下端寄りの部分が略Y字状になっている。すなわち、底部5が内周側で胴部4の本体40の下端を閉塞し、外壁部43が外周側で本体40の下端に続き下方に延びる。
【0054】
本形態の飲料容器1は、このように構成することで、連結状態において、下段の飲料容器1の胴部4の一部を収容可能な下段収容空間Qを内側に包含するようになる。
【0055】
図8は、
図4のB部拡大図である。以下、連結状態について詳細に説明する。
【0056】
上段の飲料容器1を下段の飲料容器1に押し被せる、及び/又は、下段の飲料容器1を上段の飲料容器1に押し込むと、上段の連結爪41が下段の爪受け42に引っかかり、係合して、図示の連結状態となる。
【0057】
本形態の飲料容器1同士は、連結状態において、上段の飲料容器1の上壁部51の下面と下段の飲料容器1の容器最上端との間に第1隙間Cを有する。ここでは、容器最上端は、飲料容器1がキャップ6等を備える場合はキャップ6等の最上端、飲料容器1がキャップ6等を有しない場合は首部2の最上端を指す。すなわち、図示例では、飲料容器1は、中間部52の上下幅(高さ)が、キャップ6を取り付けた状態のキャップ6の上面から首部2の下端までの上下幅(高さ)より所定幅だけ大きい。
【0058】
また、飲料容器1同士は、連結状態において、上段の中間部52の内周面と下段の首部2の最大外周の間に第2隙間Dを有する。すなわち、飲料容器1は、中間部52の内周が、首部2の最大外周より所定幅だけ大きい。
【0059】
このように構成しているのは、飲料容器1同士の連結状態を解除するには、斜めにして先に取り外す側の連結爪41を浮かせる必要があるところ、第1隙間C及び第2隙間Dを設けることで、斜めに傾けるのに必要な空間を確保するためである。
【0060】
このように構成しても、上段の肩当接部53が下段の肩部3と同角度で傾斜し密着している(隙間が略ゼロである)とともに、連結爪41と爪受け42が係合しているため、飲料容器1同士ががたつくことはない。
【0061】
ここでは、一例として、肩部3及び肩当接部53の傾斜角度Gが60度程度である。連結爪41と爪受け42の爪係量Fは、好ましくは、本体40の壁厚以上で、例えば2倍程度である。
【0062】
本形態の飲料容器1は、このように、胴部4で連結し、首部2の周囲に隙間を設ける構造であるため、首部2やキャップ6の構成の制限を受けずに済む。
【0063】
言い換えれば、上記従来のボトル型容器が、下段のボトルがキャップを備えられないのに対して、本形態の飲料容器1は、キャップ6を設けることができる。もちろん、キャップ6を設けなくてもよい。また、キャップ6の代わりに、アルミ箔等のシール部材を設けることもできる。また、キャップ6の大きさや首部の大きさの違いにも対応しやすい。
【0064】
なお、キャップを介して連結するキャップ連結構造も考えられるが、そもそもキャップは首部と連結するためのものなので、連結構造が重なる。すなわち、この場合は、キャップの外側に雄ねじを設けることになり、これと底部の凹部との螺合と、キャップの内側と首部との螺合の2重螺合構造になるので、使用者が混乱してしまう恐れがある。また、ボトル同士の連結を解除する際に、方向や力加減によっては、意図せずにキャップが首部から外れてしまう恐れがある。
【0065】
これに対して、本形態の飲料容器1同士は、連結爪41と爪受け42との係合構造であり、この係合構造と、キャップ6と首部2の螺合構造とは、着脱部分及び着脱操作が全く異なるので、使用者が子供の場合も混乱することはない。また、一方の操作で、他方が外れる心配もない。
【0066】
本形態の飲料容器1同士は、図示のように、連結状態で、外壁部43の内側に縦壁部44がある。外壁部43と縦壁部44との間の壁間隙間Eは、連結爪41の着脱のバランスを考慮して、ゼロよりは大きく本体40の壁厚よりは小さく設けられる。なお、本体40の素材等によっては、壁間隙間Eがゼロであってもよいことは言うまでもない。
【0067】
外壁部43と縦壁部44は、一例として、縦壁部44が本体40の他の部分と同径(左右幅が同等)に構成され、外壁部43が大径に構成される。より好ましくは、図示のように、連結状態において胴部4の外周面に段差がないように、外壁部43が本体40と同径に構成され、縦壁部44が小径に構成される。
【0068】
図9は、
図1の飲料容器の一実施例を示す断面図である。
図10は、
図9の飲料容器を示すイメージ図である。
図11は、
図9の飲料容器を3段重ねてなる多段容器のイメージ図である。
【0069】
本例の飲料容器1は、ペットボトルである。本例の飲料容器1を3つ重ねてなる多段容器(3段容器)10は、通常の500mlのペットボトルに相当する。飲料容器1は、3段で飲料を500ml程度収容できるように、内容積Hが185cm3~205cm3で、図示例は200cm3程度である。キャップ6を含む3段容器10の全体の高さは、例えば275mm程度で、キャップ6を含む各飲料容器1の高さは、例えば、120mm程度である。
【0070】
胴部4は、円筒状で、最大径Iが65mm程度である。連結爪41は、第1面部411が60度程度で傾斜し、第3面部413が45度程度で傾斜している。これに応じて、爪受け42の第1壁部421が60度程度で傾斜し、第3壁部423が45度程度で傾斜している。
【0071】
本例の飲料容器1は、特に炭酸水等の収容に好適である。炭酸水は、500mlの量は、短時間で飲みきれず、炭酸が抜けてしまう。一方で、小容量の容器をいくつも保管したり、携帯したりすることは、煩雑であり、余分なスペースが取られる。
【0072】
本例の飲料容器1を3段重ねた多段容器10は、1本ずつ炭酸の爽快感が封切りと同じように味わえるにもかかわらず、1本の500mlの容器と同様なスペースで冷蔵庫のドアポケット等に保管でき、外出時も1本の500mlの容器と同感覚で携帯できる。
【0073】
以上、ペットボトルを例に説明したが、アルミ等の金属や草木に由来する材料等他の素材の飲料容器にも適用できる。
【0074】
上記構成は、首部を有しない飲料容器や、肩部を有しない飲料容器に適用してもよい。言い換えれば、上記連結構造は、胴部及び底部を有する飲料容器であれば、適用できる。
【0075】
上記構成は、飲料を収容する包装容器以外に適用してもよいことは言うまでもない。
【0076】
以上、本発明に係る飲料容器の実施形態について説明したが、これらは本発明の一例に過ぎず、本発明はこれらに限定されない。本発明には、以上の各実施形態やその変形例を組み合わせた形態や、さらに様々な変形例が含まれる。請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0077】
1…飲料容器、2…首部、3…肩部、4…胴部、40…本体、41…連結爪、411…第1面部、412…第2面部、413…第3面部、414…第4面部、42…爪受け、421…第1壁部、422…第2壁部、423…第3壁部、43…外壁部、44…縦壁部、5…底部、51…上壁部、52…中間部、53…肩当接部、6…キャップ、10…多段容器。
【要約】
【課題】 連結でき且つ気軽に連結して保管や携帯できる飲料容器を提供する。
【解決手段】 収容空間を有する飲料容器であって、首部と、前記首部に続く肩部と、前記肩部に続く胴部と、前記胴部の内側において上方に凹むように設けられる底部と、を備え、前記胴部は、前記飲料容器同士を連結するための連結爪と、前記連結爪と係合するための爪受けと、を備え、2つの前記飲料容器同士は、一方の前記底部に他方の前記首部が収容された状態で、一方の前記連結爪と他方の前記爪受けが係合すると連結する、飲料容器。
【選択図】
図1