(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】算出システム、算出方法、及び算出プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0201 20230101AFI20240226BHJP
【FI】
G06Q30/0201
(21)【出願番号】P 2023071515
(22)【出願日】2023-04-25
【審査請求日】2023-06-15
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522325919
【氏名又は名称】株式会社Godot
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】森山 健
(72)【発明者】
【氏名】住本 芽衣
【審査官】谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-119040(JP,A)
【文献】特開2018-156238(JP,A)
【文献】特開2021-108093(JP,A)
【文献】特開2019-008626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1対象者のそれぞれにおける、第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために要する意識負荷の程度を示す第1意識負荷量の分布に基づいて、前記第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれごとに、前記複数の第1対象者が通過可能な意識負荷の程度を示す第1意識帯域幅を算出する第1意識帯域幅算出部と、
第1カスタマージャーニーに含まれるステップ
からなる、第2対象者における第2カスタマージャーニーであって、前記第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを、前記第2カスタマージャーニーにおける順番と対応付けて取得するステップ取得部と、
前記第2カスタマージャーニーを構成する、前記第1カスタマージャーニーに含まれるステップの前記第1意識負荷量を、前記第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために要する意識負荷の程度を示す第2意識負荷量
として算出する第2意識負荷算出部と、
前記第1意識帯域幅に基づいて、前記第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれごとの、少なくとも1の第2対象者が通過可能な意識負荷の程度を示す第2意識帯域幅を算出する第2意識帯域幅算出部と、
を備える算出システム。
【請求項2】
前記第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれ、前記第2意識負荷量、及び前記第2意識帯域幅を、前記第2カスタマージャーニーにおける順番と対応付けて情報処理装置に表示するための表示情報を出力する表示情報出力部、をさらに備える、請求項1に記載の算出システム。
【請求項3】
前記表示情報出力部は、前記表示情報に応じて表示される表示画面における、前記第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップの少なくとも1つのステップを入れ替える操作に応じて、前記第2意識負荷量及び前記第2意識帯域幅の表示を切り替えた表示情報を出力する、請求項2に記載の算出システム。
【請求項4】
前記第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのうち、前記第2意識負荷量が前記第2意識帯域幅を上回る少なくとも1つのステップを特定するステップ特定部、をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の算出システム。
【請求項5】
前記第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために前記複数の第1対象者が参照する文字量若しくは文字サイズ、又は前記第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために要する時間の少なくともいずれかを、前記第1意識負荷量として算出する第1意識負荷算出部、をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の算出システム。
【請求項6】
前記第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップは、複数の行動ステップ、及び前記複数の行動ステップ間の少なくとも1つの遷移ステップを含み、
前記第1意識負荷算出部は、前記少なくとも1の第1対象者における、前記複数の行動ステップのそれぞれを通過するために前記複数の第1対象者が視認する文字量若しくは文字サイズ、又は前記第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために要する時間の少なくともいずれかを行動意識負荷量として算出し、前記少なくとも1つの遷移ステップを通過するため前記複数の第1対象者が参照する文字量若しくは文字サイズ、又は前記第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために要する時間の少なくともいずれかを遷移意識負荷量として算出する、請求項5に記載の算出システム。
【請求項7】
前記第2意識負荷量は、前記第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために要する時間を示す値を含み、
前記第2意識帯域幅は、前記第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれごとに、少なくとも1の第2対象者が通過のために投下可能な時間を示す値を含む、
請求項1~3のいずれかの一項に記載の算出システム。
【請求項8】
前記少なくとも1の第1対象者及び前記少なくとも1の第2対象者は、同一又は類似の属性を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の算出システム。
【請求項9】
コンピュータが、
複数の第1対象者のそれぞれにおける、第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために要する意識負荷の程度を示す第1意識負荷量の分布に基づいて、前記第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれごとに、前記複数の第1対象者が通過可能な意識負荷の程度を示す第1意識帯域幅を算出し、
第1カスタマージャーニーに含まれるステップ
からなる、第2対象者における第2カスタマージャーニーであって、前記第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを、前記第2カスタマージャーニーにおける順番と対応付けて取得し、
前記第2カスタマージャーニーを構成する、前記第1カスタマージャーニーに含まれるステップの前記第1意識負荷量を、前記第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために要する意識負荷の程度を示す第2意識負荷量
として算出し、
前記第1意識帯域幅に基づいて、前記第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれごとの、少なくとも1の第2対象者が通過可能な意識負荷の程度を示す第2意識帯域幅を算出する、
算出方法。
【請求項10】
コンピュータに、
複数の第1対象者のそれぞれにおける、第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために要する意識負荷の程度を示す第1意識負荷量の分布に基づいて、前記第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれごとに、前記複数の第1対象者が通過可能な意識負荷の程度を示す第1意識帯域幅を算出する第1意識帯域幅算出部と、
第1カスタマージャーニーに含まれるステップ
からなる、第2対象者における第2カスタマージャーニーであって、前記第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを、前記第2カスタマージャーニーにおける順番と対応付けて取得するステップ取得部と、
前記第2カスタマージャーニーを構成する、前記第1カスタマージャーニーに含まれるステップの前記第1意識負荷量を、前記第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために要する意識負荷の程度を示す第2意識負荷量
として算出する第2意識負荷算出部と、
前記第1意識帯域幅に基づいて、前記第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれごとの、少なくとも1の第2対象者が通過可能な意識負荷の程度を示す第2意識帯域幅を算出する第2意識帯域幅算出部と、
を実現させるための算出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、算出システム、算出方法、及び算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顧客の行動パターンや顧客のカスタマージャーニーを評価する技術が知られていた。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されているマーケティング支援システムは、企業が有する顧客属性に係る情報項目からなる第1の顧客情報にアクセスし、また、情報項目と一部において重複し、顧客調査の結果に関する情報項目を含む第2の顧客情報を記録する。当該システムは、第2の顧客情報を解析し、その情報項目から顧客属性を導出し、その企業の提供する商品またはサービスに対する顧客行動パターンの数理モデルの作成を支援する。そして、当該システムは、顧客属性のうち、顧客行動パターンと所定値以上の相関のある顧客属性を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているシステムでは、蓄積された顧客情報に基づいて、顧客の行動パターンを予測しているため、顧客における意識負荷を考慮していない。そのため、カスタマージャーニーに含まれる各ステップと、顧客行動における顧客の意識負荷の程度との対応関係を評価することができない。
【0006】
そこで、本発明は、カスタマージャーニーの評価に際して、対象者の意識負荷を考慮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る算出システムは、少なくとも1の第1対象者における、第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために要する意識負荷の程度を示す第1意識負荷量に基づいて、第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれごとに、少なくとも1の第1対象者が通過可能な意識負荷の程度を示す第1意識帯域幅を算出する第1意識帯域幅算出部と、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを、第2カスタマージャーニーにおける順番と対応付けて取得するステップ取得部と、第1意識負荷量に基づいて、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために要する意識負荷の程度を示す第2意識負荷量を算出する第2意識負荷算出部と、第1意識帯域幅に基づいて、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれごとの、少なくとも1の第2対象者が通過可能な意識負荷の程度を示す第2意識帯域幅を算出する第2意識帯域幅算出部と、を備える。
【0008】
なお、本発明において、「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」又は装置が有する機能が2つ以上の物理的手段、装置、又はソフトウェアにより実現されても、2つ以上の「部」又は装置の機能が1つの物理的手段、装置、又はソフトウェアにより実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カスタマージャーニーの評価に際して、対象者の意識負荷を考慮することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態である算出システム100における処理の概要を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態である算出システム100の構成を示す図である。
【
図3】記憶部110に記憶される第1意識負荷量の例を示す図である。
【
図4】記憶部110に記憶される第1意識帯域幅の例を示す図である。
【
図5】記憶部110に記憶される第2意識負荷量の例を示す図である。
【
図6】記憶部110に記憶される第2意識帯域幅の例を示す図である。
【
図7】表示情報に応じて表示される表示画面の例を示す図である。
【
図8】算出システム100における処理の例を示すフローチャートである。
【
図9】コンピュータ900のハードウェア構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である算出システム100における処理の概要を示す図である。
【0012】
算出システム100は、算出プログラムによって実現される情報処理システムであり、カスタマージャーニーにおける対象者の意識負荷の程度を算出する情報処理システムである。
【0013】
ここで、カスタマージャーニーは、例えば、対象者(例えば、顧客、サービス利用者、国民若しくは住民)の行動や思考、感情の変化をステップごとに整理し、サービス提供者が想定するゴールまでの流れを可視化したものである。サービス提供者が想定するゴールは、例えば、商品若しくはサービスの利用、購入、若しくは契約、商品若しくはサービスを紹介するホームページ等への訪問、行政サービスの利用、又は検診若しくは予防接種等の利用を含む。サービスは、営利サービスであってもよく、公的サービスであってもよい。
【0014】
まず、算出システム100は、第1対象者における、第1カスタマージャーニーを通過するための意識負荷の程度を示す第1意識負荷量(101)を算出する。続いて、算出システム100は、第1意識負荷量に基づいて、第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれごとに、第1対象者が通過可能な意識負荷の程度を示す第1意識帯域幅(102)を算出する。
【0015】
そして、算出システム100は、第1意識負荷量に基づいて、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために要する意識負荷の程度を示す第2意識負荷量(103)を算出する。算出システム100は、第1意識帯域幅に基づいて、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれごとの、第2対象者が通過可能な意識負荷の程度を示す第2意識帯域幅(104)を算出する。
【0016】
さらに、算出システム100は、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれ、第2意識負荷量、及び第2意識帯域幅を、第2カスタマージャーニーにおける順番と対応付けて情報処理装置に表示するための表示情報を出力する。
【0017】
潜在顧客若しくは既存顧客、あるいは情報を引き出したい若しくは行動を促したい対象者の行動様式について理解を深め、効果的な施策を考案する目的で、カスタマージャーニーの設計を支援するための様々な手法若しくは技術が、主にマーケティング分野を中心に活用されている。カスタマージャーニーは、カスタマージャーニーマップ、ペルソナマップ若しくは行動プロセスマップとも称される。しかしながら、これらの手法では、作成者の感性に大きく依存したカスタマージャーニーの作成がなされるため、質の担保や再現性という観点から多くの問題を抱えている。また、基本的に定性的主観的なデータに基づく情報処理手法のため、科学的根拠に乏しい面があり、また、データサイエンスやAI(人工知能)技術との併用が困難である。
【0018】
さらに、従来のカスタマージャーニーは、対象者の時間的余裕、認知・知覚的制約(一定時間内における情報受容・処理可能量など)、又は行動特性を加味した設計にはなっていない。そのため、対象者は往々にしてサービス提供者側の設計に半ば強制的に付き合わされている状況にあるとも言える。つまり、現状では様々な主体によって「対象者の時間も注意資源も奪えるものなら奪ってしまえ」という荒っぽい論理のもとに、広告戦略や健康プロモーションなどが実施され対象者の貴重な時間と注意資源が浪費されている状況と考えられる。すなわち、従来のカスタマージャーニーの設計は、対象者が投下する意識負荷、特に時間を考慮していないものであった。
【0019】
そこで、算出システム100は、カスタマージャーニーにおける対象者の意識負荷を算出する。これにより、算出システム100は、対象者の意識負荷に基づいて、カスタマージャーニーを評価することができる。また、算出システム100は、カスタマージャーニーに含まれる各ステップにおいて、対象者の意識資源を適切に配分した、対象者の意識帯域幅(mental bandwidth)に負荷をかけ過ぎないサービス設計の実現を支援する。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態である算出システム100の構成を示す図である。算出システム100は、情報処理装置200とインターネット等のネットワークを介して通信可能に接続される。算出システム100の詳細については、後述する。
【0021】
情報処理装置200は、算出システム100のユーザが利用するコンピュータであり、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。
【0022】
情報処理装置200は、算出システム100から出力される表示情報を取得し、ユーザは、算出システム100における算出結果を参照する。
【0023】
なお、
図2において、情報処理装置200は、1つのみ示されているが、複数の情報処理装置200であってもよい。
【0024】
続いて、算出システム100の詳細について説明する。算出システム100は、記憶部110、ステップ取得部120、第1意識負荷算出部130、第1意識帯域幅算出部140、第2意識負荷算出部150、第2意識帯域幅算出部160、ステップ特定部170、表示情報生成部180、表示情報出力部190を備える。
図2に示す各部は、例えば、記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されたプログラムをプロセッサが実行したりすることにより実現することができる。
【0025】
記憶部110は、算出システム100において処理される情報を記憶する。記憶部110は、例えば、後述する、第1意識負荷量、第1意識帯域幅、第2意識負荷量、第2意識帯域幅を記憶することができる。
【0026】
ステップ取得部120は、カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを、当該カスタマージャーニーにおける順番と対応付けて取得する。
【0027】
ステップ取得部120は、第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを取得することができ、また、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを取得することができる。
【0028】
カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれは、複数の行動ステップ、及び複数の行動ステップ間の少なくとも1つの遷移ステップを含む。すなわち、カスタマージャーニーが2つの行動ステップを含む場合、当該2つの行動ステップ間の1つの遷移ステップを含み、カスタマージャーニーが3つの行動ステップを含む場合、当該3つの行動ステップ間の2つの遷移ステップを含む。
【0029】
具体的には、カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれは、例えば、メッセージの受領、メッセージの開封、メッセージの読了、メッセージに記載されているリンク先への訪問、リンク先での申込み等を含む。
【0030】
なお、カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれは、デジタルデバイスを用いたステップ(例えば、ホームページへのアクセス、二次元コードのスキャン、メッセージ送受信)であってもよく、現実世界で行われる、デジタルデバイスを用いないステップ(例えば、訪問、手書きでの記入等)であってもよい。
【0031】
第1意識負荷算出部130は、少なくとも1の第1対象者における、第1カスタマージャーニーに含まれる複数の行動ステップのそれぞれに要する行動意識負荷量、及び、第1カスタマージャーニーに含まれる少なくとも1つの遷移ステップに要する遷移意識負荷量に基づいて、第1意識負荷量を算出し、算出した第1意識負荷量を記憶部110に格納する。
【0032】
ここで、意識負荷(第1意識負荷量が示す意識負荷、後述する第2意識負荷量が示す意識負荷)は、例えば、カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために要する時間に応じた値を含んでもよい。また、意識負荷は、カスタマージャーニーを通過する対象者の属性に応じて、当該対象者に与える負荷(精神的負荷、注意資源)に応じた値を含んでもよい。当該対象者に与える負荷に応じた値は、生物学的に定められる負荷の量であってもよい。具体的には、当該対象者に与える影響に応じた値は、例えば、対象者が高齢であるほど、対象者に強い負荷がかかり、対象者が参照する文字量が多いほど又は文字サイズが小さいほど、対象者に強い負荷がかかるものであってもよい。
【0033】
また、意識負荷量は、いわば、対象者におけるアクセシビリティと捉えることもできる。すなわち、意識負荷量が小さいほど、対象者はより簡易にステップを通過することができることを示し、アクセシビリティが高いことを示す。
【0034】
第1意識負荷量は、少なくとも1の第1対象者における、第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために要する意識負荷の程度を示す。
【0035】
第1意識負荷量は、複数の第1対象者における意識負荷量であってもよい。この場合、第1意識負荷量は、複数の第1対象者のそれぞれの第1意識負荷量の分布であってもよい。
【0036】
第1意識負荷算出部130は、例えば、過去の類似事例、試行もしくはシミュレータの結果に基づいて、第1意識負荷量を算出することができる。
【0037】
図3は、記憶部110に記憶される第1意識負荷量の例を示す図である。記憶部110に記憶される第1意識負荷量は、例えば、カスタマージャーニーID、ステップID、第1意識負荷情報を含む。第1意識負荷情報は、さらに、例えば、所要時間情報を含む。
【0038】
ここで、カスタマージャーニーIDは、算出システム100において処理されるカスタマージャーニーを識別する情報である。ステップIDは、カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを識別する情報である。第1意識負荷情報は、第1意識負荷量を示す情報である。所要時間情報は、カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために要する時間に応じた値を示す情報である。
【0039】
第1意識帯域幅算出部140は、第1意識負荷量に基づいて、第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれごとに、少なくとも1の第1対象者が通過可能な意識負荷の程度を示す第1意識帯域幅を算出し、算出される第1意識帯域幅を記憶部110に格納する。
【0040】
ここで、意識帯域幅(第1意識帯域幅が示す意識帯域幅、後述する第2意識帯域幅が示す意識帯域幅)は、対象者(例えば、第1対象者、又は後述する第2対象者)がカスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過可能な意識負荷の程度を示す。すなわち、対象者は、意識帯域幅より小さい意識負荷を備えるステップを通過することができる一方、意識帯域幅より大きい意識負荷を備えるステップを通過することができない。
【0041】
また、意識帯域幅は、対象者が通過のために投下可能な時間に応じた値であってもよい。また、意識帯域幅は、対象者が通過のために投下可能な精神的負荷若しくは注意資源の程度に応じた値であってもよい。すなわち、意識帯域幅は、アンケート調査であれば5分間あるいは2000文字など、対象者の一定数以上の割合が時間を無駄にされていると不快に感じる水準や回答者の一定割合以上が脱落する水準を示すものであってもよい。
【0042】
意識帯域幅は、いわば、対象者が許容可能な意識負荷の程度を示すものとも言える。
【0043】
意識帯域幅は、対象者のロイヤリティ(Loyalty)に応じて異なりうる。具体的には、例えば、サービス提供者に好意的な対象者は、より負荷の高い意識負荷を備えるステップを通過することができるため、当該好意的な対象者の意識帯域幅は、高水準になる。
【0044】
意識帯域幅は、例えば、対象者の属性ごとに設定されてもよい。ここで、属性は、例えば、年齢、性別、住所、家族構成に応じた属性であってもよい。これにより、算出システム100は、対象者の属性ごとに、カスタマージャーニーを評価することができる。
【0045】
また、意識帯域幅は、対象者が許容可能な意識負荷の程度として、事前に(例えば、対象者の個性や生物学的特徴により)固定化された値であってもよく、また、所定の方法により変動する値であってもよい。具体的には、意識帯域幅は、例えば、対象者の成長若しくは老化、又は対象者がステップを通過するタイミング(例えば、時刻、年月日、季節、天気、温湿度)によって変動する値であってもよく、また、対象者に対する所定の処理(例えば、ナッジ等の行動科学的手法に基づく処理)により変動する値であってもよい。この場合、対象者に対する所定の処理は、いわば、意識帯域幅を個別に制御する「意識帯域幅(mental bandwidth)エンジニアリング」と捉えることもできる。
【0046】
第1意識帯域幅算出部140は、第1意識負荷量に基づいて、第1意識帯域幅を算出する。第1意識帯域幅は、1つの値を示す情報であってもよく、また、一定の値の範囲を示す情報であってもよい。
【0047】
具体的には、第1意識負荷量が1の第1対象者の意識負荷量である場合、第1意識帯域幅算出部140は、当該意識負荷量を、第1意識帯域幅とすることができる。
【0048】
また、第1意識負荷量が複数の第1対象者の意識負荷量である場合、第1意識帯域幅算出部140は、例えば、複数のステップのそれぞれごとに、最も高い第1意識負荷量又は第1意識負荷量の分布における平均値、中央値、若しくは最頻値を、第1意識帯域幅としてもよく、また、第1意識負荷量の分布における平均値プラスマイナス標準偏差により定まる範囲、又は第1四分位数から第3四分位数までの範囲を、第1意識帯域幅としてもよい。なお、第1意識帯域幅の算出方法は、これらに限られない。
【0049】
第1意識帯域幅算出部140は、例えば、過去の類似事例、試行若しくはシミュレータの結果に基づいて、第1意識帯域幅を算出することができる。
【0050】
図4は、記憶部110に記憶される第1意識帯域幅の例を示す図である。記憶部110に記憶される第1意識帯域幅は、例えば、カスタマージャーニーID、ステップID、第1意識帯域幅情報を含む、第1意識帯域幅情報は、さらに、例えば、時間幅情報を含む。
【0051】
ここで、第1意識帯域幅情報は、第1意識帯域幅を示す情報である。時間幅情報は、対象者がカスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過可能な時間の幅を示す情報である。
【0052】
第2意識負荷算出部150は、第1意識負荷量に基づいて、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために要する意識負荷の程度を示す第2意識負荷量を算出し、算出した第2意識負荷量を記憶部110に格納する。
【0053】
第2意識負荷量は、少なくとも1の第2対象者における、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを通過するために要する意識負荷の程度を示す。
【0054】
ここで、第1意識負荷量は、第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップごとに定められている。そこで、第2意識負荷算出部150は、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップと、第1意識負荷量に対応付けられている複数のステップとを比較して、第1意識負荷量に基づいて、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップそれぞれごとの第2意識負荷量を算出する。
【0055】
具体的には、第1カスタマージャーニーが、ステップA、ステップB、ステップC、及びステップDを含み、第2カスタマージャーニーが、ステップA及びステップDを含む場合を考える。この場合、第1及び第2カスタマージャーニーにおいて、ステップA及びステップDが共通する。また、第1意識負荷量は、ステップA、ステップB、ステップC、及びステップDのそれぞれの意識負荷量を示す。そこで、第2意識負荷算出部150は、ステップA及びステップDのそれぞれの第1意識負荷量を用いて、ステップA及びステップDのそれぞれの第2意識負荷量として算出する。なお、第2意識負荷量の算出方法はこれに限られない。
【0056】
また、ステップAからステップDに遷移する第2カスタマージャーニーにおける、ステップA及びステップDのそれぞれの第2意識負荷量と、ステップDからステップAに遷移する第2カスタマージャーニーにおける、ステップD及びステップAのそれぞれの第2意識負荷量と、は異なる値であってもよい。具体的には、意識負荷がだんだん高まっていくカスタマージャーニーと、負荷がだんだん下がっていくカスタマージャーニーとでは、対象者の負荷が異なる場合がある。そこで、第2意識負荷算出部150は、第2カスタマージャーニーにおける複数のステップのそれぞれの順番も考慮して、当該複数のステップのそれぞれの第2意識負荷量を算出することができる。これにより、第2意識負荷算出部150は、精度の高い第2意識負荷量を算出することができる。
【0057】
また、第2意識負荷算出部150は、対象者に提示されるメッセージ文面の情報量(例えば、文字数、データ容量)が同じである複数のステップについて、異なる意識負荷量が設定されてもよい。すなわち、第2意識負荷算出部150は、メッセージ文面読了後の意思決定の有無、意思決定の難易度あるいは複雑さ(選択肢の数)により情報的負荷は異なるため、文脈や情報収集の容易さに応じて異なる第2意識負荷量が算出されてもよい。
【0058】
また、第2対象者は、第1対象者と同一又は類似の属性を備える対象者であってもよい。これにより、第2意識負荷算出部150及び後述する第2意識帯域幅算出部160は、第1意識負荷量及び第1意識帯域幅に基づいて、高い精度で、第2意識負荷量及び第2意識帯域幅を算出することができる。
【0059】
図5は、記憶部110に記憶される第2意識負荷量の例を示す図である。記憶部110に記憶される第2意識負荷量は、例えば、カスタマージャーニーID、ステップID、第2意識負荷情報を含む。第2意識負荷情報は、さらに、例えば、所要時間情報を含む。ここで、第2意識負荷情報は、第2意識負荷量を示す情報である。
【0060】
第2意識帯域幅算出部160は、第1意識帯域幅に基づいて、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれごとの、少なくとも1の第2対象者が通過可能な意識負荷の程度を示す第2意識帯域幅を算出し、算出した第2意識帯域幅を記憶部110に格納する。
【0061】
ここで、第1意識帯域幅は、第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップごとに定められている。そこで、第2意識帯域幅算出部160は、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップと、第1意識帯域幅に対応付けられている複数のステップとを比較して、第1意識帯域幅に基づいて、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップそれぞれごとの第2意識帯域幅を算出する。
【0062】
具体的には、第1カスタマージャーニーが、ステップA、ステップB、ステップC、及びステップDを含み、第2カスタマージャーニーが、ステップA及びステップDを含む場合を考える。この場合、第1及び第2カスタマージャーニーにおいて、ステップA及びステップDが共通する。また、第1意識帯域幅は、ステップA、ステップB、ステップC、及びステップDのそれぞれの意識帯域幅を示す。そこで、第2意識帯域幅算出部160は、ステップA及びステップDのそれぞれの第1意識帯域幅を用いて、ステップA及びステップDのそれぞれの第2意識帯域幅として算出する。なお、第2意識帯域幅の算出方法はこれに限られない。
【0063】
また、ステップAからステップDに遷移する第2カスタマージャーニーにおける、ステップA及びステップDのそれぞれの第2意識帯域幅と、ステップDからステップAに遷移する第2カスタマージャーニーにおける、ステップD及びステップAのそれぞれの第2意識帯域幅と、は異なる値であってもよい。すなわち、第2意識帯域幅算出部160は、第2カスタマージャーニーにおける複数のステップのそれぞれの順番も考慮して、当該複数のステップのそれぞれの第2意識帯域幅を算出することができる。これにより、第2意識帯域幅算出部160は、精度の高い第2意識帯域幅を算出することができる。
【0064】
また、第2意識帯域幅算出部160は、対象者に提示されるメッセージ文面の情報量(例えば、文字数、データ容量)が同じである複数のステップについて、異なる意識帯域幅が設定されてもよい。すなわち、第2意識帯域幅算出部160は、メッセージ文面読了後の意思決定の有無、意思決定の難易度あるいは複雑さ(選択肢の数)により情報的負荷は異なるため、文脈や情報収集の容易さに応じて異なる第2意識帯域幅が算出されてもよい。
【0065】
図6は、記憶部110に記憶される第2意識帯域幅の例を示す図である。記憶部110に記憶される第2意識帯域幅は、例えば、カスタマージャーニーID、ステップID、第2意識帯域幅情報を含む。第2意識帯域幅情報は、さらに、例えば、時間幅情報を含む。ここで、第2意識帯域幅情報は、第2意識帯域幅を示す情報である。
【0066】
ステップ特定部170は、第2意識負荷量が第2意識帯域幅を上回る、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのうちの少なくとも1つのステップを特定する。
【0067】
第2意識負荷量が第2意識帯域幅を上回るステップは、当該ステップを通過することができない一定の対象者が存在することを示す。すなわち、当該ステップは、カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのうち、改善すべきステップと評価することができる。そこで、ステップ特定部170は、第2意識負荷量が第2意識帯域幅を上回る少なくとも1つのステップを特定する。これにより、算出システム100のユーザは、カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのうち、改善すべきステップを把握することができる。
【0068】
また、ステップ特定部170は、複数の対象者のそれぞれごとに、第2意識負荷量が第2意識帯域幅を上回る少なくとも1つのステップを特定することができる。これにより、算出システム100は、複数の対象者のそれぞれごとのアクセシビリティを考慮して、カスタマージャーニーを評価することができる。
【0069】
表示情報生成部180は、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれ、第2意識負荷量、及び第2意識帯域幅を、第2カスタマージャーニーにおける順番と対応付けて情報処理装置に表示するための表示情報を出力する。
【0070】
表示情報は、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれごとに、当該複数のステップのそれぞれ、第2意識負荷量、及び第2意識帯域幅を表示するためのデータである。
【0071】
また、表示情報生成部180は、表示情報に応じて表示される表示画面における、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップの少なくとも1つのステップを入れ替える操作に応じて、第2意識負荷量及び第2意識帯域幅の表示を切り替えた表示情報を生成することができる。
【0072】
ここで、少なくとも1つのステップを入れ替える操作は、例えば、表示画面を参照する、算出システム100のユーザによる、情報処理装置200に対する操作(例えば、マウス操作、タッチ操作、キーボード操作)を含む。
【0073】
具体的には、算出システム100は、少なくとも1つのステップを入れ替える操作に応じて、当該操作に関する操作情報を取得する。続いて、ステップ取得部120が、入れ替え後の第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれを、入れ替え後の順番と対応付けて取得する。第2意識負荷算出部150及び第2意識帯域幅算出部160が、入れ替え後の第2カスタマージャーニーにおける第2意識負荷量及び第2意識帯域幅を算出する。そして、表示情報生成部180が、入れ替え後の第2カスタマージャーニーにおける第2意識負荷量及び第2意識帯域幅に基づいて、表示情報を生成する。
【0074】
表示情報出力部190は、表示情報を出力する。
【0075】
表示情報出力部190は、例えば、情報処理装置200に、表示情報を出力することができる。これにより、算出システム100のユーザは、表示情報を参照して、算出システム100による算出結果を直観的に把握することができる。
【0076】
図7は、表示情報に応じて表示される表示画面の例を示す図である。
【0077】
図7に示す画面は、例えば、第2カスタマージャーニーにおける第2意識負荷量及び第2意識帯域幅を表示する領域701、及び第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップを表示する領域702を含む。領域701では、例えば、第2意識負荷量及び第2意識帯域幅が、グラフ表示される。
図7に示す画面に表示されるカスタマージャーニーは、例えば、「意識負荷ジャーニーマップ」と言う。
【0078】
図7に示すとおり、表示情報に応じて表示される表示画面を参照するユーザは、例えば、第2意識負荷量及び第2意識帯域幅の推移、及び第2意識負荷量が第2意識帯域幅を上回っているステップ等を直観的に把握することができる。
【0079】
また、領域701に含まれる意識負荷グラフによって定められる面積(
図7における斜線部)は、定量化されたユーザビリティの程度と評価することができる。
【0080】
ユーザは、意識負荷ジャーニーマップを参照して、既存のカスタマージャーニーを改善することで、サービス及び対象者に対する理解が深まる。これにより、対象者(例えば、顧客)のコンバージョン率の予測の精度が向上し、改善がしやすくなるため、施策の投資効果が向上し、例えば、アンケートの回収率が向上する。
【0081】
また、マーケティング方法や予算配分が効率的になる。具体的には、例えば、デジタル通知だと詐欺と誤認されて対象者が脱落しやすい導線の入り口の部分に、あえてQRコード(登録商標)付き圧着ハガキなどのアナログ媒体を採用するなどの意思決定を合理的に行える。
【0082】
また、顧客推奨度(NPS:Net Promoter Score(登録商標))が向上する。具体的には、例えば、対象者の時間や注意資源の浪費が無くなることで、CXが向上し苦情者/批判者が減る。
【0083】
また、算出システム100における算出の方法は、意識資源に関する指標を追加するという考え方に立脚しているため、ユーザは、算出システム100を通じた評価と既存のフレームワークとを併用できる。
【0084】
また、意識資源のペース配分が施策設計者により体系的かつ意識的に行われることにより、対象者の時間を無駄に浪費するような広告汚染や行政手続きが無くなることが期待される。
【0085】
図8は、算出システム100における処理の例を示すフローチャートである。
【0086】
まず、ステップ取得部120が、第1カスタマージャーニーに含まれる複数のステップを取得する(S801)。第1意識負荷算出部130が、第1意識負荷量を算出し、第1意識帯域幅算出部140が、第1意識帯域幅を算出する(S802)。
【0087】
続いて、ステップ取得部120が、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップを取得する(S803)。第2意識負荷算出部150が、第2意識負荷量を算出し、第2意識帯域幅算出部160が、第2意識帯域幅を算出する(S804)。ステップ特定部170が、第2意識負荷量が第2意識帯域幅を上回る、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのうちの少なくとも1つのステップを特定する。
【0088】
表示情報生成部180が、意識負荷ジャーニーマップを表示するための表示情報を生成し、表示情報出力部190が、例えば情報処理装置200に、表示情報を出力する(S805)。
【0089】
次に、
図9を参照して、算出システム100をコンピュータ900により実現する場合のハードウェア構成の一例について説明する。
図9は、コンピュータ900のハードウェア構成の例を示す図である。
【0090】
図9に示すように、コンピュータ900は、例えば、プロセッサ901、メモリ902、記憶装置903、入力I/F部904、データI/F部905、通信I/F部906、及び表示装置907を含む。
【0091】
コンピュータ900は、例えば、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、タブレット等)、メディアコンピュータプラットホーム(例えば、ケーブル、衛星セットトップボックス、デジタルビデオレコーダ等)、ハンドヘルドコンピュータデバイス(例えば、PDA、電子メールクライアント等)、あるいは他種のコンピュータ、またはコミュニケーションプラットホームであってもよい。
【0092】
プロセッサ901は、メモリ902に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ900における各種の処理を制御する制御部である。
【0093】
メモリ902は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ902は、プロセッサ901によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0094】
記憶装置903は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置903は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。
【0095】
入力I/F部904は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部904は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等である。入力I/F部904は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインターフェースを介してコンピュータ900に接続されてもよい。
【0096】
データI/F部905は、コンピュータ900の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部905は、例えば、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等である。データI/F部905は、コンピュータ900の外部に設けられてもよい。データI/F部905がコンピュータ900の外部に設けられる場合、データI/F部905は、例えば、USB等のインターフェースを介してコンピュータ900に接続される。
【0097】
通信I/F部906は、コンピュータ900の外部の装置と有線又は無線により、インターネット等のネットワークを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部906は、コンピュータ900の外部に設けられてもよい。通信I/F部906がコンピュータ900の外部に設けられる場合、通信I/F部906は、例えば、USB等のインターフェースを介してコンピュータ900に接続される。
【0098】
表示装置907は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置907は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等である。表示装置907は、コンピュータ900の外部に設けられてもよい。表示装置907がコンピュータ900の外部に設けられる場合、表示装置907は、例えば、ディスプレイケーブル等を介してコンピュータ900に接続される。また、入力I/F部904としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置907は、入力I/F部904と一体化して構成されてもよい。
【0099】
以上、本発明の一実施形態について説明した。算出システム100は、第1意識負荷量に基づいて、第1意識帯域幅を算出し、第2カスタマージャーニーにおける複数のステップのそれぞれを取得し、第1意識負荷量に基づいて、第2意識負荷量を算出し、第1意識帯域幅に基づいて、第2意識帯域幅を算出することができる。これにより、算出システム100は、カスタマージャーニーの評価に際して、対象者の意識負荷を考慮することできる。
【0100】
また、算出システム100は、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのそれぞれ、第2意識負荷量、及び第2意識帯域幅を、第2カスタマージャーニーにおける順番と対応付けて情報処理装置に表示するための表示情報を出力することができる。これにより、算出システム100のユーザは、算出システム100における算出結果を、直観的に把握することができる。
【0101】
また、算出システム100は、表示情報に応じて表示される表示画面における、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップの少なくとも1つのステップを入れ替える操作に応じて、第2意識負荷量及び第2意識帯域幅の表示が切り替えた表示情報を出力することができる。これにより、算出システム100のユーザは、ステップを入れ替えた後の算出結果を、動的に把握することができる。
【0102】
また、算出システム100は、第2意識負荷量が第2意識帯域幅を上回る、第2カスタマージャーニーに含まれる複数のステップのうちの少なくとも1つのステップを特定することができる。これにより、算出システム100は、第2カスタマージャーニーにおいて改善すべきステップを特定することができる。
【0103】
なお、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0104】
100 算出システム、110 記憶部、120 ステップ取得部、130 第1意識負荷算出部、140 第1意識帯域幅算出部、150 第2意識負荷算出部、160 第2意識帯域幅算出部、170 ステップ特定部、180 表示情報生成部、190 表示情報出力部、200 情報処理装置
【要約】
【課題】カスタマージャーニーの評価に際して、対象者の意識負荷を考慮する。
【解決手段】算出システムは、第1対象者における、第1カスタマージャーニーの複数のステップのそれぞれを通過するために要する意識負荷の程度を示す第1意識負荷量に基づいて、第1カスタマージャーニーの複数のステップのそれぞれごとに、第1対象者が通過可能な意識負荷の程度を示す第1意識帯域幅を算出する第1意識帯域幅算出部と、第2カスタマージャーニーの複数のステップのそれぞれを取得するステップ取得部と、第1意識負荷量に基づいて、第2カスタマージャーニーの第2意識負荷量を算出する第2意識負荷算出部と、第1意識帯域幅に基づいて、第2カスタマージャーニーの第2対象者が通過可能な意識負荷の程度を示す第2意識帯域幅を算出する第2意識帯域幅算出部と、を備える。
【選択図】
図1