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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】卵検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20240226BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20240226BHJP
   A23L 15/00 20160101ALI20240226BHJP
   G01N 33/08 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
G01N21/85 A
G01N21/17 620
A23L15/00 Z
G01N33/08
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023141851
(22)【出願日】2023-08-31
【審査請求日】2023-09-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521082008
【氏名又は名称】株式会社日本選別化工
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾野 令奈
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-116762(JP,A)
【文献】特開2019-203701(JP,A)
【文献】特開2022-132878(JP,A)
【文献】特開2012-168133(JP,A)
【文献】国際公開第2014/037402(WO,A1)
【文献】特開2016-075660(JP,A)
【文献】特開2005-118628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/85
G01N 21/17
A23L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゆで卵の表面を検査する卵検査装置であって、
前記ゆで卵をローラで回転可能に支持して搬送するコンベアと、
前記コンベア上の前記ゆで卵から反射光と参照ミラーからの反射光を干渉させ、前記干渉によって前記ゆで卵の表層の画像を撮像するOCT手段と、
前記OCT手段で撮像した画像から前記ゆで卵の表面の異常を判定する画像判定手段と、を備え、
前記OCT手段は、前記コンベア上方と前記コンベア搬送方向の両側の3箇所に設置され、前記ゆで卵の胴体部分の全周と、前記ゆで卵の長手方向の両端部分を撮像し、
前記コンベアが間欠運転され、前記コンベアが一時停止すると、前記ローラに係合した駆動手段により前記ゆで卵が回転し、前記OCT手段が前記ゆで卵の胴体部分の全周を撮像し、回転が終了して前記コンベアが前記ゆで卵を搬送する搬送状態では、前記OCT手段が前記ゆで卵の長手方向の両端を撮像することを特徴とする卵検査装置。
【請求項2】
前記OCT手段は、広帯域光を出射する光源と、前記参照ミラーと、前記光源からの出射光を前記ゆで卵と前記参照ミラーの方向に分離し、また、前記ゆで卵からの反射光と前記参照ミラーからの反射光を干渉させる光カプラと、前記光カプラからの照射光を前記ゆで卵の表面に対して走査するスキャンミラーと、回折格子を介して前記光カプラで干渉させた光を入射光として受けるカメラと、からなることを特徴とする請求項1に記載の卵検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵の表面を検査する卵検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
卵の殻にひび割れがあると見栄えが良くないため、通常の卵と分けている。また、殻を剥いだゆで卵の表面(白身の表面)にひび割れがある場合も分けている。一般に、生卵やゆで卵の検査が行われている。
【0003】
特許文献1では、カラーCCDカメラ、照明部、搬送ローラ、画像処理装置及び画像の判定部を備えて生卵の殻の汚れを検査している。特許文献2では、殻を剥いだゆで卵に面状励起光を照射し、ゆで卵表面と殻の蛍光性の違いによって殻片の残存の有無を判定している。特許文献3では、殻を剥いだゆで卵に近赤外線を照射し、透過した画像に基づいて殻片の残存の有無を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-309678号公報
【文献】特開2004-233272号公報
【文献】特開2016-75660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、生卵やゆで卵の表面のひび割れを検査することが可能な卵検査装置を提供するものであり、殻を剥いだ状態のゆで卵でも検査が可能で、白身表面のひび割れや殻片が刺さっていないかを検査することが可能な卵検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による卵検査装置は、卵をローラで回転可能に支持して搬送するコンベアと、前記コンベア上の卵に白色光を照射するLED光源と前記コンベア上の卵を撮像するカラーカメラとを備えた撮像手段、または前記コンベア上の卵から反射光と参照ミラーからの反射光を干渉させ、前記干渉によって前記卵の表層の画像を撮像するOCT手段からなる検査手段と、前記カラーカメラで撮像した画像をグレースケール画像に変換し、各画素のグレースケール値を卵表面の凹凸と見なして判定する第1判定手段、または前記OCT手段で撮像した画像から前記卵の表面の異常を判定する第2判定手段からなる画像判定手段と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
前記検査手段は、前記コンベア上方と前記コンベア搬送方向の両側の3箇所に設置され、前記ゆで卵の胴体部分の全周と、前記ゆで卵の長手方向の両端部分を撮像することを特徴とする。
【0008】
前記OCT手段は、広帯域光を出射する光源と、前記参照ミラーと、前記光源からの出射光を前記ゆで卵と前記参照ミラーの方向に分離し、また、前記ゆで卵からの反射光と前記参照ミラーからの反射光を干渉させる光カプラと、前記光カプラからの照射光を前記ゆで卵の表面に対して走査するスキャンミラーと、回折格子を介して前記光カプラで干渉させた光を入射光として受けるカメラと、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、
(1)卵をローラで回転可能に支持して搬送するコンベアを設けたので、卵の胴体部分の全周を検査できる。
(2)検査手段が、カラーカメラを使用した撮像手段の場合、フルカラー画像をグレースケール画像に変換し、グレースケール値を殻表面の凹凸と見なす第1判定手段(画像判定手段)を設けたので、殻やゆで卵の表面のひび割れを検知できる。
(3)検査手段が、光干渉断層撮影を行なうOCT手段の場合、第2判定手段(画像判定手段)により、表面の断層写真(深さ数mm)から、殻やゆで卵の表面のひび割れを検知できる。
【0010】
コンベア上方とコンベア搬送方向の両側の3箇所に検査手段を設置したので、卵の胴体部分の全周と、卵の長手方向の両端部分を検査できる。検査手段は、実施例1では、フルカラーカメラを使用した撮像手段を指し、実施例2では、OCT手段を指す。
【0011】
OCT手段は、干渉可能な広帯域光を使用したので、卵表層の断層写真を得ることができ、卵のひび割れや殻片の突き刺さり等が検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の卵検査装置(100)の平面図である。
図2】ひび割れのある卵の写真である。
図3図1の撮像手段の内部構成図である。
図4図1の第2撮像手段と第3撮像手段の配置図である。
図5】卵の検査画像の説明図である。
図6】フルカラーの検査画像を示す図である。
図7】カラーの画素をグレースケールの画素に変換する例である。
図8】グレースケールに変換された検査画像を示す図である。
図9】検査ラインのグラフを示す図である。
図10図9の検査ラインを正規化したグラフである。
図11】実施例2の卵検査装置(200)の平面図である。
図12】第1光干渉断層撮影手段の正面図である。
図13】第1光干渉断層撮影手段の操作線と卵の回動方向を示す。
図14】第2光干渉断層撮影手段の平面図である。
図15】第2光干渉断層撮影手段の操作線と卵の搬送方向を示す。
図16】第3光干渉断層撮影手段の平面図である。
図17】第3光干渉断層撮影手段の操作線と卵の搬送方向を示す。
図18】光干渉断層撮影手段の構成を示す。
図19】広帯域光の説明図である。
図20】第1光干渉断層撮影手段で撮像される3D画像の例である。
図21】第2光干渉断層撮影手段と第3光干渉断層撮影手段で撮像される3D画像の例である。
図22】第1光干渉断層撮影手段により撮像された殻を剥いだゆで卵の写真である。(a)は表面写真である。(b)は断層写真である。
図23】殻片が、ゆで卵の内部に入り込んでいることを示す。
図24】第1光干渉断層撮影手段により撮像された生卵の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明による卵検査装置を詳しく説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、卵を検査する実施例1の卵検査装置100の平面図である。実施例1の卵検査装置100は、コンベア7と、コンベア7の上に設置される撮像手段20と、画像判定手段30と、を備える。撮像手段20は、コンベア7の上方に設置される第1撮像手段20aと、コンベア7の搬送方向の両側に設置される第2撮像手段20bと第3撮像手段20cからなる。画像判定手段30は、プロセッサとメモリと磁気ディスクを備えたコンピュータを使用できる。コンベア7は1レーンで、卵1を2本のローラ8で支持して搬送方向に所定の速度で搬送する。コンベア7は間欠運転され、コンベア7が一時停止するとローラ8、8に係合した駆動手段26により卵1が回転され、回転が終了するとコンベア7の搬送が再開される。
【0015】
駆動手段26は、モータとギアからなり、卵1を支持する2本のローラ8、8を回転させる。ローラ8、8の回転で卵1が360度回動でき、卵1の全周を撮像できる。実施例1では、卵を回転させる時、コンベアの搬送を一時停止したが、コンベア7の間欠運転をせず、全ローラ8、8に駆動手段を設け、コンベアの搬送中、常時、卵を回転させてもよい。その場合、搬送方向の複数箇所で撮像した画像が繋ぎ合わされ、全周360度の画像にできる。
【0016】
図2は、ひび割れのある卵1の写真である。検査する卵は、生卵であっても、ゆで卵(殻付き)でも、殻を剥いだゆで卵でもよい。鶏卵の場合、殻の厚さは約0.3mm程度である。殻にひび割れができると、深さが約0.3mm程度の筋状の谷(凹部)ができる。殻を剥いだゆで卵の表面に殻片が付着している場合、その部分は約0.3mm程度の高さの山(凸部)になる。
【0017】
図3は、図1の撮像手段20の内部構成図である。撮像手段20の構成を第1撮像手段20aの場合で示す。第2撮像手段20bと第3撮像手段20cの構成も第1撮像手段20aに同じである。撮像手段20は、卵1に白色光を照射するLED光源4と、搬送中の卵1を撮像するカラーカメラ5を備える。カラーカメラ5は、細かい凹凸を判定するのでエリアカメラよりは、ラインセンサカメラが好ましい。実施例1の卵表面の検査では、画像判定手段30は、照射した光の明暗によって卵1の表面の高低を判断する。このような画像判定手段30を第1判定手段とする。
【0018】
図3に示すように、LED光源4からの出射光14は、ハーフミラー10で折り返して、卵1への照射光15となる。卵1からの反射光16は、ハーフミラー10を通過して、カメラ5への入射光17となる。カメラ5はラインセンサカメラまたはエリアカメラが使用できる。ラインセンサカメラの場合、卵1は駆動手段26により回転しており、1ラインずつ撮像することになる。卵1に向かう照射光15とカメラ5へ向かう入射光17が同軸上にある構成となっているので、卵1の側面側は、反射光が真上に向かわない。そのため、真上面に比べて卵1の側面側はやや暗く撮像される。
【0019】
図4は、図1の撮像手段を構成する第2撮像手段20bと第3撮像手段20cと卵1との関係を示す配置図である。第2撮像手段20bと第3撮像手段20cの内部構造は、図3の第1撮像手段20aと同じなので説明は省略する。第2撮像手段20bと第3撮像手段20cにより、卵1の搬送方向と直交する側の側面が撮像できる。実施例1の第2撮像手段20bと第3撮像手段20cの位置では、卵1が回転していないので、ラインカメラでもラインセンサのどちらであっても撮像できる。
【0020】
図5は、卵1の検査画像11の説明図である。カラーカメラ5は、撮像範囲19に卵1全体が入るように撮像する。灰色部分は背景21である。エリアカメラの場合、卵1の外周側に位置する側面はやや暗く写るので、卵上部の明るい四角形サイズ部分を検査画像11とした。ラインセンサカメラの場合、スキャンの操作線は図5の上下方向に伸び、同様に操作線の上下端はやや暗く写る。エリアカメラの場合、卵1を回転させながら撮像した複数の検査画像11をつなぎ合わせることで、卵1の胴体部分の全周の画像にできる。ラインセンサカメラの場合、卵1を回転させて撮像した操作線を全周について集めると、卵1の胴体部分の画像ができる。
【0021】
図6は、フルカラーの検査画像11を示す図である。検査画像11は、フルカラー画像からなり、n×m画素から構成されているとする。ここでnとmを1000画素とし、1000画素で20mmの長さを撮像した場合、1画素は約0.02mmのサイズとなる。カラーの画素2は、R、G、Bの3バイトからなり、RとGとBは、それぞれ0~255の諧調を表現できる。ここで諧調は色の濃さや明るさを示す数値である。卵1の胴体部分の全周の画像は、検査画像11を横に複数枚、つなぎ合わせたような形になる。
【0022】
図7は、カラーの画素2からグレースケールの画素3への変換例を示す図である。図7では、代表的なカラー色の変換例を5つ示している。カラーの画素2が(R、G、B)=(255、255、255)は白色で、グレースケールの画素3に変換した場合、白色のGs=255となる。黄色を示す(R、G、B)=(255、255、0)は、灰色のGs=170となる。赤色を示す(R、G、B)=(255、0、0)は、灰色のGs=85となる。青色を示す(R、G、B)=(0、0、255)は、灰色のGs=85となる。カラーで黒色を示す(R、G、B)=(0、0、0)は、グレースケールでは、黒色のGs=0となる。カラーの画素2から、グレースケールの画素3への変換には、上記のように(R+G+B)/3の変換式を使用した。これに限らず、重み付けをした変換式を使用してもよい。
【0023】
図8は、グレースケールに変換された検査画像11を示す図である。グレースケールの画素3は、1画素が0~255の諧調で表現できる。検査画像11のX座標kの位置(A-Aで示す)に検査ライン6を定める。検査ライン6の各画素をp~pとする。nは、例として1000とした。
【0024】
図9は、検査ライン6のグラフを示す図である。検査ライン6の各画素p~p1000をプロットすると、例として波線で示すようなジグザグ波形となる。右下がりになっているのは、図5に示すように、検査画像11を卵1の中央よりやや下側に設定したので、検査画像11の下側の明るさが低下していることを示す。グレースケールの画素の各数値は、殻表面の凹凸を反映した明るさになっている。検査ライン6の画素p~p1000の各数値の近似曲線は、太線で示すように求めることができる。近似曲線は、y=a1X+a2X+a3X+a1X+a5とした。a1~a5の係数を各画素の数値を基に求めると、a1が1.303e-、a2が-1.127e-、a3が0.000211、a4が-0.0505、a5が204.8を算出できた。Xが0の時はYが204.8なので、純粋な白(255)からは少し下がった値を示している。
【0025】
図10は、図9で近似曲線9からの偏差を水平な直線に変換したグラフである。検査ライン6の画素p~p1000の各数値が、近似曲線9からどれくらい離れているかをプロットした。近似曲線9は水平としている。このグラフは、凹凸を表す山と谷の数値と見なして、深い谷であれば卵1の表面のひび割れであると判定できる。
【0026】
実施例1の要約を以下に示す。(1)カメラで卵の表面を撮像してフルカラー画像を得る。(2)卵の胴体部分の全周と、卵の長手方向の両端部分の3カ所を撮像する。(3)カメラはエリアカメラまたはラインセンサカメラが可能で、精度的にはラインセンサカメラが好ましい。(4)撮像した画像から矩形状の検査画像を切り出す。(5)カラーの検査画像をグレースケール化する。(6)各画素のグレースケール値を卵表面の凹凸と見なして、深さのある谷や高さのある山の部分があれば、異常(ひび割れ等)と判定する。(7)卵は、生卵や殻を剥いだゆで卵が検査できる。
【0027】
以上の実施例1では、卵を撮像する手段としてカラーカメラを用いているが、モノクロカメラを用いても良い。モノクロカメラの場合には、図8に示すグレースケースが画像を直接に取得することができる。
【実施例2】
【0028】
図11は、本発明の卵検査装置200の平面図である。卵検査装置200は、殻を剥いだゆで卵201の白身部分のひび割れを検知する。検査装置200はゆで卵201を搬送するコンベア207と、コンベア207で搬送される殻を剥いだゆで卵201を撮像する光干渉断層撮影手段220と、を備えている。コンベア207は。ゆで卵201を2本のローラ208で支持しており、2本のローラ208を回転させる駆動手段226を有している。駆動手段226によりゆで卵201が360度回動するので、ゆで卵201の全周を撮像できる。光干渉断層撮影手段220は、コンベア207の上方に設置される第1光干渉断層撮影手段220aと、コンベア207の両側に設置される第2光干渉断層撮影手段220bと、第3光干渉断層撮影手段220cからなる。撮像した画像は、第2の判定手段としての画像判定手段219によりゆで卵201の表層に異常がないか判定される。画像判定手段219は、プロセッサとメモリと磁気ディスクを備えた処理装置である。
【0029】
コンベア207は、間欠運転され、コンベア207が一時停止するとローラ208、2088に係合した駆動手段206により、ゆで卵201が回転させることができる。これに限らず、コンベア207を間欠運転せず、全ローラに駆動手段を設け、搬送中は、常時、ゆで卵201を回転させてもよい。ゆで卵201を搬送中、常時回転させる。その場合、搬送方向の複数箇所で撮像した画像を繋ぎ合わせて全周360度の画像にする。
【0030】
図12は、第1光干渉断層撮影手段220aの正面図である。第1光干渉断層撮影手段220aは、干渉可能なコヒーレント光を出射光214として出射する光源212と、参照ミラー225と、光源212からの出射光214をゆで卵201への照射光216と参照ミラー225への参照光215(行き)に分離し、ゆで卵201からの反射光217と参照ミラー225からの参照光218(戻り)を干渉させる光カプラ224と、光カプラ224からの照射光216をゆで卵201の表面に対して走査するスキャンミラー210(図18参照)と、回折格子202を介して光カプラ224で干渉させた光を入射光204として受けるカメラ205と、を備える。カメラ205はラインセンサ型の撮像素子からなる。ゆで卵201は、図12に示すように回動し、照射光216が、前後方向に延びる操作線に沿って操作され、撮像が進む。
【0031】
図13は、第1光干渉断層撮影手段220aの操作線とゆで卵201の回動方向を示す図である。ローラ208、208が回転すると、ゆで卵201が回動する。ゆで卵201の回動に合わせて、照射光216が操作線に沿って操作され、撮像が進行する。ゆで卵201が360度回動すると、ゆで卵201の胴体部の全周が撮像される。
【0032】
図14は、図11に示す第2光干渉断層撮影手段220bの平面図である。第2光干渉断層撮影手段220bの構成は、図12に示す第1光干渉断層撮影手段220aと同じなので詳しい説明は省略する。第2光干渉断層撮影手段220bは、コンベア207の前方側にあって、ゆで卵201の長手方向の前側を撮像する。
【0033】
図15は、第2光干渉断層撮影手段220bの操作線とゆで卵201の搬送方向を示す図である。ゆで卵201は、図15に示すように搬送方向に動くので、照射光216が、上下方向に延びる操作線に沿って操作され、撮像が進む。ゆで卵201の搬送に合わせて、照射光216が操作線に沿って操作され、撮像が進行する。
【0034】
図16は、図11に示す第3光干渉断層撮影手段220cの平面図である。第3光干渉断層撮影手段220cの構成は、図12に示す第1光干渉断層撮影手段220aと同じなので説明は省略する。第3光干渉断層撮影手段220cは、コンベア207の後方側に設置されて、ゆで卵201の長手方向の後側を撮像する。
【0035】
図17は、第3光干渉断層撮影手段220cの操作線とゆで卵201の搬送方向を示す図である。ゆで卵201は、図17に示すように搬送方向に動くので、照射光216が、上下方向に延びる操作線に沿って操作され、撮像が進行する。ゆで卵201の搬送に合わせて、照射光216が操作線に沿って操作され、撮像が進行する。
【0036】
図18は、第1光干渉断層撮影手段220aの構成図である。第1光干渉断層撮影手段220aの構成は、図12に示すが、図18では、スキャンミラー210の位置を明確にした。スキャンミラー210は、所定の角度で往復動して、照射光216をゆで卵201の表面に対して走査する。
【0037】
図19は、広帯域光の説明図である。光源212には、干渉可能なコヒーレントな広帯域光が使用される。これにより断層画像をより鮮明に撮像できる。
【0038】
図20は、第1光干渉断層撮影手段220aにより撮像した3D画像211の例である。光干渉断層撮影手段によれば、表面の画像だけでなく深さ方向の画像も得られる。そのため3D(3次元)の板のような立体画像が得られる。3D画像211は、スキャンにより撮像した断層の画像を集めたものである。操作方向での断面も見ることができる。図20は、ゆで卵1の胴体部分の撮像の一部分で、全周を撮像して繋ぎ合わせた場合、3D画像211は、縦方向に長い長方形となる。
【0039】
図21は、第2光干渉断層撮影手段220b及び第3光干渉断層撮影手段220cによって撮像される3D画像211の説明図である。光干渉断層撮影手段によれば、表面の画像だけでなく深さ方向の画像も得られる。そのため3D(3次元)の板のような立体画像が得られる。3D画像211は、スキャンにより撮像した断層の画像を集めたものである。操作方向での断面も見ることができる。図21は、ゆで卵201の長手方向の両端側の撮像を示す。
【0040】
図22は、第1光干渉断層撮影手段により撮像した3D画像の例である。(a)は表面の画像で、(b)はA-A線の断面写真である。灰色の部分がゆで卵201の白身である。
【0041】
図23は、殻片213が、ゆで卵201の内部に入り込んでいることを示す説明図である。(a)は、殻片213が白身の割れの内部に残留している場合を示す。(b)は、殻片213が白身の内部に刺さっている場合を示す。ゆで卵201の白身内部に刺さった殻片は外部に突出せず、目視や手の感触ではわかりにくい。光干渉断層撮影手段220によれば、ゆで卵201の表層の断層画像が得られるので、殻片213を検出できる。撮像可能な深さは数mmである。光干渉断層撮影は、断層画像が得られるので、殻片に限らず、白身の割れや亀裂、うす膜の取残し等も検出できる。黄身が白身の外郭付近まで接近して撮像される場合、黄身が偏っていることが検出できる。白身の亀裂は、両側が接触して開口していなくても検出できる。
【0042】
実施例2では、殻を剥いだゆで卵201で説明したが、実施例2の卵検査装置200は、生卵の検査も可能である。図24は、第1光干渉断層撮影手段220aにより撮像されたひび割れのある生卵の図面である。図24(a)に示すようにひび割れが見え、図24(b)に示すように殻に亀裂入り、左右に割れていることが検出できる。
【0043】
2本のローラによる卵の回転は、1秒程度である。卵の回転中にコンベアの搬送を一時停止した場合、例えば撮像に1秒かかり、コンベアの送り出しに1秒かかるとすると、卵1個の処理に2秒かかるので、1時間あたりの処理性能は1800個/時となる。一方、コンベアの搬送中、常時、卵を回転させる場合は、コンベアの速度で性能が決まる。コンベアの速度を6m/分として、10cmの搬送で卵1個が排出されるとすると、処理性能は3600個/時となる。性能を向上させたことに対応して、ラインの複数箇所にカメラを設置するからカメラの台数が増え、ライン長も長くなる。
【符号の説明】
【0044】
1 卵
2 画素(カラー)
3 画素(グレースケール)
4 LED光源
5 カラーカメラ
6 検査ライン
7 コンベア
8 ローラ
9 近似曲線
10 ハーフミラー
11 検査画像
14 LEDからの出射光
15 卵への照射光
16 卵からの反射光
17 カメラへの入射光
19 撮像範囲
20 撮像手段
20a 第1撮像手段
20b 第2撮像手段
20c 第3撮像手段
26 駆動手段(ローラ駆動のモータなど)
30 画像判定手段(第1判定手段)
100、200 卵検査装置
201 (殻を剥いだ)ゆで卵
202 回折格子
203 レンズ
204 入射光
205 カメラ
207 コンベア
208 ローラ
209 ゆで卵の白身
210 スキャンミラー
211 3D画像
212 光源
213 殻片
214 出射光
215 参照光(行き)
216 照射光
217 反射光
218 参照光(戻り)
219 画像判定手段(第2判定手段)
220 光干渉断層撮影手段
220a 第1光干渉断層撮影手段
220b 第2光干渉断層撮影手段
220c 第3光干渉断層撮影手段
224 光カプラ
225 参照ミラー
226 駆動手段(ローラ駆動のモータなど)
【要約】
【課題】ひび割れを検査することができる卵検査装置を提供する。
【解決手段】本発明の卵検査装置は、卵をローラで回転可能に支持して搬送するコンベアと、コンベア上の卵に白色光を照射するLED光源とコンベア上の卵を撮像するカラーカメラとを備えた撮像手段、またはコンベア上の卵から反射光と参照ミラーからの反射光を干渉させ、干渉によって卵の表層の画像を撮像するOCT手段を備える検査手段と、カラーカメラで撮像した画像をグレースケール画像に変換し、各画素のグレースケール値を卵表面の凹凸と見なして判定する第1判定手段、またはOCT手段で撮像した画像から卵の表面の異常を判定する第2判定手段を備える画像判定手段と、から構成される。
【選択図】図1
図1
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