(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】石炭系回収物の回収装置および吸引作業車両
(51)【国際特許分類】
B01D 46/00 20220101AFI20240226BHJP
B01D 45/08 20060101ALI20240226BHJP
B01D 50/00 20220101ALI20240226BHJP
B60P 3/22 20060101ALI20240226BHJP
C10B 45/00 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
B01D46/00 F
B01D45/08 Z
B01D50/00 501A
B01D50/00 501G
B60P3/22 B
C10B45/00 A
(21)【出願番号】P 2023150755
(22)【出願日】2023-09-19
【審査請求日】2023-10-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年12月13日、宝石油機工株式会社が日本製鉄株式会社名古屋製鉄所にて石炭系回収物の回収装置を搭載した吸引作業車両を用いて作業を行った。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502254626
【氏名又は名称】宝石油機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩下 明宏
(72)【発明者】
【氏名】左近 朋也
(72)【発明者】
【氏名】今井 聡
(72)【発明者】
【氏名】小原 隆治
(72)【発明者】
【氏名】白木 諒
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-002669(JP,A)
【文献】特開昭64-048705(JP,A)
【文献】特開昭59-184285(JP,A)
【文献】特開2006-248741(JP,A)
【文献】中国実用新案第218901164(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D45/00-47/18
B01D50/00
C10B1/00-57/18
B60P3/00-3/42
B65G69/00-69/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引装置を用いて吸引部を介して石炭系被回収物を吸引し、吸引した石炭系回収物を収容するレシーバタンクと、
前記レシーバタンクに接続され、前記レシーバタンク内部に収容されなかった未回収の前記石炭系回収物を捕集するフィルタと、を備えた石炭系回収物の回収装置であって、
前記吸引部に加水器を備え、前記加水器は、前記レシーバタンクに収容される前記石炭系回収物の含水率が2重量パーセントより多く20重量パーセント以下になるように、前記石炭系被回収物に加水する石炭系回収物の回収装置。
【請求項2】
前記加水器は、前記レシーバタンクに収容される前記石炭系回収物の含水率が6重量パーセント以上10重量パーセント以下になるように、前記石炭系被回収物に加水する請求項1に記載の石炭系回収物の回収装置。
【請求項3】
前記加水器は、前記石炭系被回収物と水分とが均一に混ざり合うように、前記石炭系被回収物に加水するように構成
され、
前記加水器は、前記吸引部の内周面に設けられた複数の噴射口から水を噴射する噴射型の加水器、および、前記吸引部の中央部に配置されたノズルから水を噴霧する噴霧型の加水器のいずれか一方である
請求項1または請求項2に記載の石炭系回収物の回収装置。
【請求項4】
前記フィルタは、樹脂焼結体からなる第1孔を有する母材の表面に、前記第1孔よりも小さな第2孔を有する樹脂コーティング層を施したフィルタである請求項1または請求項2に記載の石炭系回収物の回収装置。
【請求項5】
前記レシーバタンク内部の、前記吸引部から吸引された前記石炭系回収物が衝突する位置に、前記石炭系回収物の均一化分散機構を配置した請求項1または請求項2に記載の石炭系回収物の回収装置。
【請求項6】
前記均一化分散機構は、チェーンにより構成した
請求項5に記載の石炭系回収物の回収装置。
【請求項7】
前記レシーバタンクに、前記レシーバタンク内部のガス圧力が規定値を超えた場合に、前記レシーバタンク内部のガスを大気に開放する破裂盤を設けた請求項1または請求項2に記載の石炭系回収物の回収装置。
【請求項8】
前記レシーバタンクの外部に、前記レシーバタンクに衝撃を与えて前記レシーバタンクの内壁に付着した前記石炭系回収物を脱落させる払い落とし装置を備えた請求項1または請求項2に記載の石炭系回収物の回収装置。
【請求項9】
前記石炭系回収物の回収装置は、前記石炭系回収物の含水率が2重量パーセントより多く20重量パーセント以下になるように加水する場合と、前記石炭系回収物の含水率が20重量パーセントより多くなるように加水する場合とのいずれか一方を選択可能に構成され、
前記石炭系回収物の含水率が2重量パーセントより多く20重量パーセント以下になるように加水する場合は、前記加水器を使用すると共に前記レシーバタンク内部に収容されなかった未回収の前記石炭系回収物を前記フィルタを通すようにし、前記石炭系回収物の含水率が20重量パーセントより多くなるように加水する場合は、前記加水器を使用せずに前記レシーバタンク内部に収容されなかった未回収の前記石炭系回収物を前記フィルタを通さないようにする請求項1または請求項2に記載の石炭系回収物の回収装置。
【請求項10】
請求項1または請求項2に記載の石炭系回収物の回収装置を搭載した吸引作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、石炭系回収物の回収装置および吸引作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、吸引ホースを用いて吸引作業現場にある回収物を吸引しレシーバタンクに収容する吸引装置と、吸引作業の状態を監視する複数のセンサと、前記センサおよび前記吸引装置に接続されて前記吸引装置の操作を行う操作装置と、前記操作装置と遠隔通信可能である遠隔操作装置とを備え、前記遠隔操作装置を振ることによって吸引動作を停止させることを特徴とする吸引作業車両があった(下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1においては、排出時の発塵を抑制するとともに、レシーバタンクに収容される石炭系回収物の再利用率を向上させる回収装置およびその回収装置を搭載した吸引作業車両の開示はなかった。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、排出時の発塵を抑制するとともに、レシーバタンクに収容される石炭系回収物の再利用率を向上させる石炭系回収物の回収装置およびその回収装置を搭載した吸引作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示による石炭系回収物の回収装置は、
吸引装置を用いて吸引部を介して石炭系被回収物を吸引し、吸引した石炭系回収物を収容するレシーバタンクと、
前記レシーバタンクに接続され、前記レシーバタンク内部に収容されなかった未回収の前記石炭系回収物を捕集するフィルタと、を備えた石炭系回収物の回収装置であって、
前記吸引部に加水器を備え、前記加水器は、前記レシーバタンクに収容される前記石炭系回収物の含水率が2重量パーセントより多く20重量パーセント以下になるように、前記石炭系被回収物に加水するものである。
本開示による吸引作業車両は、前記石炭系回収物の回収装置を搭載したものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示の石炭系回収物の回収装置および吸引作業車両によれば、排出時の発塵を抑制するとともに、レシーバタンクに収容される石炭系回収物の再利用率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態による石炭系回収物の回収装置を示す概略構成図である。
【
図2】実施の形態による石炭系回収物の回収装置のレシーバタンクを拡大した構成図である。
【
図3】実施の形態による石炭系回収物の回収装置による湿式吸引時、準乾式吸引時、回収物の圧送時の、バルブの開閉状態を示す図である。
【
図4】
図4Aは、実施の形態による噴射型の加水器の例を示す図であり、
図4Bは実施の形態による噴霧型の加水器の例を示す図である。
【
図5】実施の形態による石炭系回収物の均一化分散機構の一例としてのチェーンを取り付けた状態を示した図である。
【
図6】実施の形態による吸引作業車両において均一化分散機構であるチェーンの機能を説明した図である。
【
図7】
図7Aおよび
図7Bは、実施の形態によるレシ-バタンクに設けられた破裂盤を示す平面図および側面半断面図である。
【
図8】実施の形態によるフィルタの構成を示す概略図であり、
図8Aはフィルタを示す概略斜視図、
図8Bは
図8AのC部分の概略断面を示す図、
図8Cは
図8Bにおいて粉粒体がフィルタに捕集される様子を示す図である。
【
図9】実施の形態による準乾式吸引動作および湿式吸引動作の効果の相違を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の目的]
製鉄所コークス炉等においては、炉体またはコンベア等から発塵する石炭集塵粉を集塵機により回収している。そして、集塵機で回収した石炭集塵粉(以下、石炭系被回収物と呼ぶ)を回収するために、吸引作業車両が用いられている。この吸引作業車両は、吸引ホースを用いて石炭系被回収物を吸引し、レシーバタンクに石炭系回収物として収容する回収装置を搭載している。また、吸引作業車両は、レシーバタンクで回収できなかった粉粒体を回収するためのキャッチャーおよびフィルタを備えている。
【0010】
このような構成の吸引作業車両を用いて石炭集塵粉(石炭系被回収物)を回収する際に、発塵が発生して環境汚染の原因となっている。前述の集塵機で回収した石炭集塵粉(石炭系被回収物)は、例えば、含水率がほぼ2重量パーセント以下であるので、発塵が発生しやすい。これを防止するため、石炭系被回収物に水を加えて回収することが考えられる。発明者による実験の結果、吸引する石炭系被回収物と水との割合を3対7にすると発塵は抑制されるが、加えられた水と石炭系被回収物が均一に混ざらず、レシーバタンクに収容される石炭系回収物の再利用率が上がらないという課題があった。
【0011】
また、レシーバタンク内部に含水率の高い石炭系回収物を収容すると、石炭系回収物の約1/4がレシーバタンク内部に固着し、人力作業で固着した物質を外部へ取り出す作業が必要であった。さらに、レシーバタンクから排出されキャッチャー等で回収できなかった未回収の粉粒体を捕集するフィルタは、一般的にバグフィルタを用いていたが、含水率の高い石炭系回収物を吸引すると、バグフィルタ濾布に固着し吸引力が極端に低下する課題があった。
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、以下、本開示の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
[実施の形態の説明]
(石炭系回収物の回収装置の構成)
図1は実施の形態による石炭系回収物の回収装置を示す概略構成図であり、
図2は実施の形態による石炭系回収物の回収装置のレシーバタンクを拡大した構成図である。
なお、後述する
図6に示すように、本実施の形態において、石炭系回収物の回収装置1000は、吸引作業車両2000に搭載される。
【0013】
まず、
図1において、実施の形態による石炭系回収物の回収装置の全体構成について説明する。
図に示すように、回収装置1000は、石炭系被回収物100(以下、被回収物100と呼ぶ)を吸引する吸引ホース2と、吸引ホース2が接続される吸引口310と、吸引ホース2または吸引口310に設置された加水器5と、吸引ホース2および吸引口310を介して吸引された石炭系回収物200(以下、回収物200と呼ぶ)を収納するレシーバタンク31と、レシーバタンク31の後段に配置され配管L1により接続される2次キャッチャー32と、2次キャッチャー32の後段に配置され配管L20、L21、L22、L23、L25により接続される3次キャッチャー33と、2次キャッチャー32と3次キャッチャー33との間に設置された第1フィルタ装置71および第2フィルタ装置72と、3次キャッチャー33の後段に配置され配管L3により接続される吸引装置4(ブロワ1段目41およびブロワ2段目42)と、吸引装置4の後段に配置され配管L5により接続される4次キャッチャー34を備えている。4次キャッチャー34には開放口34aが設けられ気体成分が排出される。
なお、本実施の形態では、吸引ホース2および吸引口310を、吸引部300と総称する。
【0014】
以上のように、吸引部300(吸引ホース2または吸引口310)には、加水器5が備えられ、後述するように吸引する被回収物100に所定量の水分を付与している。
2次キャッチャー32と3次キャッチャー33との間には、第1フィルタ装置71および第2フィルタ装置72が設置されており、レシーバタンク31内部に堆積されず未回収の石炭系回収物(粉粒体等)を回収する。
【0015】
次に、
図2において、回収装置のレシーバタンクの構成について説明する。
図に示すように、レシーバタンク31は本体部311と蓋部312から構成され、蓋部312は支点312Aを軸として上方に開閉する。
レシーバタンク31に堆積した回収物200を排出するときは、蓋部312を開け、図示しないシリンダーによって本体部311の蓋部側でない側(
図2の左側)を持ち上げて、レシーバタンク31を傾斜させて、回収物200を排出する。
【0016】
吸引ホース2は蓋部312の吸引口310に接続されており、吸引口310には吸引バルブV01が設けられている。吸引ホース2および吸引口310から吸引された回収物200は、当たり板330に衝突した後、複数本の金属製のチェーン7に衝突してレシーバタンク31の底部に均一かつ分散して堆積される。後述するように、複数本のチェーン7を回収物200の均一分散化機構と呼ぶ。
回収物200の比重が軽い場合、均一分散化機構としてのチェーン7がないと、レシーバタンク31の前方側(
図2の左側)に偏って堆積されやすいので、レシーバタンク31の中央部上方の位置に均一分散化機構としてのチェーン7をぶら下げることにより、邪魔板としての機能を発揮することができる。
【0017】
また、蓋部312は、レシーバタンク31内の回収物200をレシーバタンク31外に排出する排出口320を有しており、排出口320にはバルブV02が設けられている。
さらに、レシーバタンク31には、満量ボール340および破裂盤6を備えている。
【0018】
図1に戻って、回収装置の全体構成について説明する。
2次キャッチャー32は、配管L1を介してレシーバタンク31の下流側に接続されている。配管L1にはバルブV1が設けられている。配管L1からはブロワ2段目42の下流側に連結する配管L11が分岐しており、配管L11にはバルブV2が設けられている。
2次キャッチャー32は、サイクロン式集塵機からなり、レシーバタンク31に回収されなかった微細な固形分を捕捉する。
【0019】
2次キャッチャー32と3次キャッチャー33の間に、後述するように第1フィルタ装置71と第2フィルタ装置72を設置して、2次キャッチャー32に回収されなかった石炭系回収物(粉粒体)を回収する。
【0020】
2次キャッチャー32並びに第1フィルタ装置71および第2フィルタ装置72の下流側に、配管L25を介して3次キャッチャー33が接続されている。3次キャッチャー33は、配管L3を介してブロワ1段目41に接続され、さらに、配管L4を介してブロワ2段目42に接続される。ブロワ2段目42は、配管L5および吐出サイレンサS1を介して4次キャッチャー34に接続され、4次キャッチャー34の開放口34aより気体成分が排出される。
【0021】
3次キャッチャー33は湿式集塵槽からなり、所定量の水を貯留している。配管L25からのエアーが3次キャッチャー33内の水に吹き付けられ、2次キャッチャー32で捕捉されなかった微細な固形分が捕捉される。
【0022】
ブロワ1段目41は、配管L3により3次キャッチャー33の下流側に接続されている。ブロワ2段目42は配管L4によりブロワ1段目41の下流側に接続されている。配管L4からは後述する配管L5に連結する配管L41が分岐しており、配管L41には逆止弁NRVが設けられている。
ブロワ1段目41およびブロワ2段目42の駆動は、吸引作業車両2000の駆動エンジン、その他のエンジン、電源等によって行われる。
【0023】
4次キャッチャー34は、配管L5によりブロワ2段目42の下流側に接続されている。配管L5にはバルブV3が設けられている。配管L5では、バルブV3の上流側と下流側の2か所でプレッシャブレーカPBと繋がっており、所定圧力よりも高圧になると大気に解放される。
【0024】
4次キャッチャー34は湿式集塵槽からなり、所定量の水を貯留しており、3次キャッチャー33で捕捉されなかった微細な固形分が捕捉される。
4次キャッチャー34は開放口34aを有しており、ブロワ2段目42から送られたエアーは開放口34aから放出される。
4次キャッチャー34に接続される配管L5には、排気音を小さくするための吐出サイレンサS1が設けられている。
【0025】
(回収装置の動作の説明)
次に、本実施の形態の回収装置による吸引動作について説明する。
本実施の形態の回収装置は、準乾式吸引動作と湿式吸引動作とのいずれかが選択可能である。
ここで、準乾式吸引動作とは、レシーバタンクに収容される回収物の含水率が2重量パーセントより多く20重量パーセント以下になるように、吸引部に備えた加水器から被回収物に加水しながら、被回収物を吸引する動作をいう。
また、湿式吸引動作とは、レシーバタンクに収容される回収物の含水率が20重量パーセントより多くなるように、吸引部に備えた加水器から被回収物に加水しながら、被回収物を吸引する動作をいう。
本実施の形態では、準乾式吸引動作が主目的の吸引動作となり、湿式吸引動作は補助的な吸引動作となる。
【0026】
以下、本実施の形態の回収装置による湿式吸引動作および準乾式吸引動作について説明する。また、石炭系回収物の圧送動作および冷却水の流れについても説明する。
ここで、
図3は、本実施の形態の回収装置による湿式吸引時、準乾式吸引時、回収物の圧送時の、バルブの開閉状態を示す図である。
【0027】
(湿式吸引動作)
回収装置による湿式吸引時には、吸引バルブV01を開、バルブV1を開、バルブV2を閉、バルブV3を開、バルブV4を開、バルブV5を開から閉、バルブV6を閉、バルブV7を閉、バルブV8を閉、バルブV9を閉、バルブV10を閉として、ブロワ1段目41およびブロワ2段目42を駆動させる。
被回収物100は、吸引部300、レシーバタンク31、配管L1、2次キャッチャー32、配管L20、配管L22、配管L25、3次キャッチャー33、配管L3、ブロワ1段目41、配管L4、ブロワ2段目42、配管L5、4次キャッチャー34の順に送られる。
以上のように、湿式吸引時には、吸引した回収物200は、第1フィルタ装置71および第2フィルタ装置72を通過しない。
【0028】
(準乾式吸引動作)
回収装置による準乾式吸引時には、吸引バルブV01を開、バルブV1を開、バルブV2を閉、バルブV3を開、バルブV4を閉、バルブV5を開から閉、バルブV6を閉、バルブV7を開、バルブV8を開、バルブV9を開、バルブV10を開として、ブロワ1段目41およびブロワ2段目42を駆動させる。
被回収物100は、吸引部300、レシーバタンク31、配管L1、2次キャッチャー32、配管L20、配管L21、第1フィルタ装置71および第2フィルタ装置72、配管L23、配管L25、3次キャッチャー33、配管L3、ブロワ1段目41、配管L4、ブロワ2段目42、配管L5、4次キャッチャー34の順に送られる。
以上のように、準乾式吸引時には、吸引した回収物200は、第1フィルタ装置71および第2フィルタ装置72を通過する。
【0029】
(回収物の圧送動作)
回収物200の圧送時には、吸引バルブV01を閉、バルブV1を閉、バルブV2を開、バルブV3を閉、バルブV5を開、バルブV6を開として、ブロワ1段目41およびブロワ2段目42を駆動させる。
吸引サイレンサS2およびバキュームブレーカーVBから取り込まれたエアーは、バルブV5およびV6、3次キャッチャー33、配管L3、ブロワ1段目41、配管L4、ブロワ2段目42、配管L11、バルブV2を介してレシーバタンク31内に送り込まれ、レシーバタンク31内の回収物200を排出口320を介して、外部に送出する。
【0030】
(冷却水の流れ)
吸引装置4を冷却するための冷却水の流れは、4次キャッチャー34からの水が、配管L10を介して、ブロワ1段目41、配管L4、ブロワ2段目42、配管L5を流れ、4次キャッチャー34に戻ってくる。
【0031】
(加水器の説明)
次に、吸引部に配置される加水器の構造および効果について説明する。
本実施の形態の加水器5は、準乾式吸引時に使用され、レシーバタンク31に収容される回収物200の含水率が2重量パーセントより多く20重量パーセント以下、好ましくは6重量パーセント以上10重量パーセント以下になるように、かつ、回収物200と水分とが均一に混ざり合うように、被回収物100に加水するものである。
なお、湿式吸引時には、本実施の形態の加水器5を取り外し、吸引部300に例えば水道に接続された加水ホースを取り付け、加水ホースから吸引部300の被回収物100に加水する。
【0032】
図4Aは、実施の形態に係る噴射型の加水器の例を示す図であり、噴射型の加水器の断面から上部から視た図である。
図4Aに示す噴射型の加水器5Aは、吸引口310の内周面に孔径φ5.5mmの噴射口50を有するノズルが複数箇所設けられている。そして、複数の噴射口50から中心部に向かって水50Aが噴射されて、吸引する被回収物100の含水量を増加させる。例えば、被回収物100の吸引速度が80.000(L/min)の場合、後述する
図9に示すように、加水量を15(L/min)にすることで回収物200の回収率が大幅に向上した。
【0033】
図4Bは実施の形態に係る噴霧型の加水器の例を示す平面図であり、噴霧型の加水器の噴霧状況を示した側面断面図である。
図4Bに示す加水器5Bは、噴霧型の空円錐ノズル51から構成され、空円錐ノズル51の噴霧口が吸引口310の孔径の中央部に位置するように配置される。この空円錐ノズル51は、液圧力の高低に関わらず噴霧が安定し、スプレーパターンが環状の比較的細かい粒子径の空円錐噴霧51Aを発生することができる。
本実施の形態の空円錐ノズル51の噴霧の向きは、被回収物100を吸引する方向100Aと同じ向きにしている。
本実施の形態に使用する空円錐ノズル51は、通常の水道水圧力(0.2MPa)で、水滴径(650μm)を最も細かくできることを確認した。
以上のように、噴霧型の加水器5Bを使用することにより、吸引する被回収物100と水分との結合機会が増え、被回収物100の含水量を均一に増加させることができる。
【0034】
湿式吸引による回収方法では、後述する
図9に示すように、140(L/min)の加水量で被回収物100に加水し、回収物200の含水率が56wt%の湿潤状態のスラリーを回収することになる。回収される湿潤状態の回収物200の含水率が高いため、石炭系回収物として再利用することが困難である。
これに対して、準乾式による回収方法では、
図4Aの噴射式の加水器または
図4Bの噴霧式の加水器を使用することにより、回収物200を発塵しない程度の湿った、取り扱いの容易な粉粒体とすることができる。
すなわち、
図4Aの噴射式の加水器または
図4Bの噴霧式の加水器を使用することにより、後述する
図9に示すように、被回収物100への加水量は、5L/min~50L/min(準乾式吸引)に低減され、回収される回収物200の含水率は2wt%~20wt%となり、発塵しない程度の湿った、取り扱いの容易な粉流体となる。特に、回収物200の含水率を6wt%~10wt%とすることにより、発塵しない湿った取り扱いの容易な粉流体となるとともに、回収物200の再利用率を高めることができる。
【0035】
(均一化分散機構の説明)
図5は、実施の形態による石炭系回収物の均一化分散機構の一例としてのチェーンを取り付けた状態を示した図である。
図6は、実施の形態による吸引作業車両において均一化分散機構であるチェーンの機能を説明した図である。
図5は、吸引部300から吸引した回収物200の均一化分散機構の一例として、レシーバタンク31内に複数本のチェーン7を取り付けた状態を示している。
図5および
図6において、吸引ホース2および吸引口310からレシーバタンク31内に吸引された回収物200は、レシーバタンク31の上部に配置した当たり板330に衝突した後、レシーバタンク31の上部から吊られた均一化分散機構であるチェーン7に衝突し、レシーバタンク31の底面に落下して回収される。この場合、回収物200は複数本の金属製等のチェーン7に衝突することにより、回収物200をレシーバタンク31の底部に均等にかつ分散して堆積させることができる。
また、
図6に示すように、回収物200の吸引時に、レシーバタンク31の吸引部300側の底部を下方向に傾斜させることにより、さらに、レシーバタンク31の底部に回収物200を均等にかつ分散して堆積させることができる。
【0036】
(破裂盤の説明)
次に、レシーバタンクに設置された破裂盤について説明する。
図7Aおよび
図7Bは、レシーバタンクに設置された破裂盤を示す平面図および側面半断面図である。
図7Aおよび
図7Bに示す破裂盤6は、破裂盤本体61と、破裂盤本体61を取り付けるフランジ60と、破裂盤本体61およびフランジ60を保護するカバー62を備えている。そして、破裂盤6は、ボルト等によりレシーバタンク31に取り付けられている。
図7Aおよび
図7Bに示す破裂盤6は、レシーバタンク31の内部のガス圧力が規定値を超えた場合に、破裂盤本体61が破壊されて、ガスを大気に開放する役割を果たす。
また、レシ-バタンク31には、図示していない専用アース線を設置している。回収物200が微粉炭等である場合、回収物200に起因する火花放電を専用アース線を通して電荷を外部に流すことができる。
【0037】
(フィルタの説明)
図8は、レシーバタンクから送出される未回収の回収物(粉粒体等)を捕集するフィルタを説明した図であり、当該フィルタは、
図1に示す第1フィルタ装置71および第2フィルタ装置72に設置される。
図8において、
図8Aは本実施の形態のフィルタを示す概略斜視図、
図8Bは
図8AのC部分の概略断面を示す図、
図8Cは
図8Bにおいて粉粒体がフィルタに捕集される様子を示す図である。
【0038】
従来型のバグフィルタは、吸引対象物として乾粉等を対象としており、湿ったダスト等を吸引するとバグフィルタ濾布に固着して吸引力が低下する。
これを避けるため、本実施の形態では、樹脂焼結体からなる第1孔を有する母材の表面に、前記第1孔よりも小さな第2孔を有する樹脂コーティング層を施したフィルタを使用した。
特に、
図8に示すように、フィルタ90として、シンターラメラーフィルタ(日鉄鉱業株式会社の登録商標)を採用した。このシンターラメラーフィルタ(登録商標)は、数種の素材を焼結した波形形状の母材92の表面に、捕集粉94に対して剥離性が良く、含水率の高い石炭系回収物の付着を防止する疎水性を有し、優れた払い落とし機能を備えたフッ化樹脂コーティング層91が施されている。
シンターラメラーフィルタ(登録商標)の母材92は、高分子の焼結体で形成されており、内部には40μm程度の空隙が平均して並んでいる。フッ化樹脂コーティング層91は母材92の表面に施されており、コーティング層は3~4μmの空隙を形成し、粉粒体93は極めて高い効率で捕集されて捕集粉94となり、捕集粉94は払い落とされて、フィルタ内部には流入しない。
また、このフィルタ90は、自ら保持できる自立型であり、従来型のバグフィルタでは必要とされる濾過体保持用のリテーナー金具は不要である。
以上のように、本実施の形態のフィルタを採用することにより、湿った粉粒体93でも捕集可能となり、静電気の発生を抑制することができた。
なお、第1フィルタ装置71および第2フィルタ装置72に使用されるフィルタ90は、シンターラメラーフィルタ(登録商標)に限らず、捕集粉94に対して剥離性が良く、含水率の高い石炭系回収物の付着を防止する疎水性を有するフィルタであれば良い。
【0039】
(石炭系回収物の払い落とし装置)
本実施の形態では、
図1に示すように、レシーバタンク31の外部に、レシーバタンク31に衝撃を与えて、レシーバタンク31の内壁に付着した石炭系回収物200(湿った粉粒体)を脱落させるための払い落とし装置82を設置した。
ここで、払い落とし装置82として、例えば圧縮空気と磁力の力でピストンがレシーバタンク31に強烈な打撃を与え、その振動でレシーバタンク31の内壁に付着した石炭系回収物200を払い落とすエアー式ノッカーを使用した。
さらに、本実施の形態では、レシーバタンク31の内面に磨き(滑り)加工を施し、石炭系回収物200の排出時に、石炭系回収物200の滑りやすさを向上させた。そして、払い落とし装置82との組み合わせにより、石炭系回収物200の排出時のレシーバタンク31の内面の固着の問題は完全に解消され、レシーバタンク31内に立ち入っての人力掻き出し作業を省略することができるようになった。
【0040】
(実施の形態の効果)
次に、本実施の形態の石炭系回収物の回収装置における準乾式吸引動作および湿式吸引動作の効果の相違について説明する。
図9は、本実施の形態による準乾式吸引動作および湿式吸引動作の効果の相違を表した図である。
なお、
図9の数値および数量は、本実施の形態の石炭系回収物の回収装置を搭載した吸引作業車両1台における数値および数量である。
また、
図9の数値および数量は、石炭系被回収物を吸引する吸引速度が約80,000(L/min)の場合の数値および数量である。
図において、加水量(L/min)は、加水器5による被回収物100への加水量(L/min)を意味する。吸引時間(min)は、吸引部300による被回収物100の吸引時間(min)を意味する。加水量総量(kg)は、加水量(L/min)と回収時間(min)の積算量を意味する。総吸引量(kg)は、吸引した回収物200の総量(kg)と加水量総量(kg)を加えたものである。回収物の正味回収量(kg)は、総吸引量(kg)から加水量総量(kg)を差し引いたものである。回収物の含水率(wt/%)は、回収物200に含まれる水分量を重量パーセント(wt%)で表したものである。
【0041】
図9において、準乾式吸引動作として、加水量を5(L/min)、15(L/min)、25(L/min)、50(L/min)とした場合のデータを採集した。
加水量を5(L/min)、15(L/min)、25(L/min)、50(L/min)とした場合、回収物200の正味回収量は、約4900(kg)、約4700(kg)、約4500(kg)、約4000(kg)となり、回収物200の含水率は、2(wt%)、6(wt%)、10(wt%)、20(wt%)となった。
【0042】
一方、
図9において、湿式吸引動作として、加水量を140(L/min)とした場合、回収物200の正味回収量は約2200(kg)となり、回収物200の含水率は56(wt%)となった。
【0043】
図9において、準乾式吸引動作として加水量を5(L/min)、15(L/min)、25(L/min)、50(L/min)とした場合と、湿式吸引動作として加水量を140(L/min)とした場合とを比較して、加水量は、1/28、3/28、5/28、5/14と少なくなり、回収物200の正味回収量は、約(49/22)、約(47/22)、約(45/22)、約(40/22)と多くなった。
【0044】
以上のように、本実施の形態の準乾式吸引動作によれば、加水器により、レシーバタンクに収容される石炭系回収物の含水率が2重量パーセントより多く20重量パーセント以下になるように、石炭系被回収物に加水するようにしたので、排出時の発塵を抑制することができ、石炭系回収物の再利用率の高い回収装置および吸引作業車両を提供することができる。
ここで、石炭系回収物の含水率を2重量パーセントより多くしたのは、排出時の発塵を最低限抑制することができるためである。また、石炭系回収物の含水率を20重量パーセント以下としたのは、コークス製造用に適した低揮発性瀝青炭(Low Volatile Bituminous)の含水率が14重量%から22重量%である(米国試験材料協会の石炭分類(ASTMD-388))ことに基づくものである。
【0045】
さらに、レシーバタンクに収容される石炭系回収物の含水率が6重量パーセント以上10重量パーセント以下になるように、石炭系被回収物に加水するようにすれば、確実に排出時の発塵を抑制することができるとともに、発熱量が高い無煙炭の含水率に近くなるので、石炭系回収物の再利用率をより一層高くすることができる。
【0046】
今回、準乾式動作により回収された石炭系回収物は、5000(kcal/kg)以上の発熱量があり、燃料または材料などに資源として利用可能となった。なお、回収された石炭系回収物を加圧ペレット成形して、製鋼以外の用途にも適用できる。
【0047】
以上のように、本実施の形態の石炭系回収物の回収装置によれば、
吸引装置を用いて吸引部を介して石炭系被回収物を吸引し、吸引した石炭系回収物を収容するレシーバタンクと、
前記レシーバタンクに接続され、前記レシーバタンク内部に収容されなかった未回収の前記石炭系回収物を捕集するフィルタと、を備えた石炭系回収物の回収装置であって、
前記吸引部に加水器を備え、前記加水器は、前記レシーバタンクに収容される前記石炭系回収物の含水率が2重量パーセントより多く20重量パーセント以下になるように、前記石炭系被回収物に加水するようにしたので、
排出時の発塵を抑制するとともに、レシーバタンクに収容される石炭系回収物の再利用率を向上させることができる。
【0048】
また、前記加水器は、前記レシーバタンクに収容される前記石炭系回収物の含水率が6重量パーセント以上10重量パーセント以下になるように、前記石炭系被回収物に加水するようにしたので、
排出時の発塵を確実に抑制するとともに、レシーバタンクに収容される石炭系回収物の再利用率を向上させることができる。
【0049】
また、前記加水器は、前記石炭系被回収物と水分とが均一に混ざり合うように、前記石炭系被回収物に加水するように構成されているので、
排出時の発塵を確実に抑制するとともに、レシーバタンクに収容される石炭系回収物の再利用率を向上させることができる。
【0050】
また、前記加水器は、前記吸引部の内周面に設けられた複数の噴射口から水を噴射する噴射型の加水器、および、前記吸引部の中央部に配置されたノズルから水を噴霧する噴霧型の加水器のいずれか一方としたので、
石炭系回収物と水分との結合機会が増え、石炭系回収物の回収率が向上する。
【0051】
また、前記フィルタは、樹脂焼結体からなる第1孔を有する母材の表面に、前記第1孔よりも小さな第2孔を有する樹脂コーティング層を施したフィルタとしたので、
捕集粉に対して剥離性が良く、含水率の高い石炭系回収物の付着を防止することができ、石炭系回収物の回収率を向上させることができる。
【0052】
また、前記レシーバタンク内部の、前記吸引部から吸引された前記石炭系回収物が衝突する位置に、前記石炭系回収物の均一化分散機構を配置したので、
石炭系回収物をレシーバタンクの底部に均等に分散して堆積することができる。
【0053】
さらに、均一化分散機構はチェーンにより構成したので、簡単な構成で石炭系回収物をレシーバタンクの底部に均等に分散して堆積することができる。
【0054】
また、前記レシーバタンクに、前記レシーバタンク内部のガス圧力が規定値を超えた場合に、前記レシーバタンク内部のガスを大気に開放する破裂盤を設けたので、
レシーバタンク内部のガス圧力の上昇を防止することができる。
【0055】
また、前記レシーバタンクの外部に、前記レシーバタンクに衝撃を与えて前記レシーバタンクの内壁に付着した前記石炭系回収物を脱落させる払い落とし装置を備えたので、
レシーバタンクの内壁に付着した石炭系回収物を脱落させることができ、レシーバタンク内部の石炭系回収物を効率よく回収することができる。
【0056】
また、前記石炭系回収物の回収装置は、前記石炭系回収物の含水率が2重量パーセントより多く20重量パーセント以下になるように加水する場合と、前記石炭系回収物の含水率が20重量パーセントより多くなるように加水する場合とのいずれか一方を選択可能に構成され、
前記石炭系回収物の含水率が2重量パーセントより多く20重量パーセント以下になるように加水する場合は、前記加水器を使用すると共に前記レシーバタンク内部に収容されなかった未回収の前記石炭系回収物を前記フィルタを通すようにし、前記石炭系回収物の含水率が20重量パーセントより多くなるように加水する場合は、前記加水器を使用せずに前記レシーバタンク内部に収容されなかった未回収の前記石炭系回収物を前記フィルタを通さないようにしたので、
前記石炭系回収物の含水率が2重量パーセントより多く20重量パーセント以下になるように加水する場合は、排出時の発塵を抑制するとともに、レシーバタンクに収容される石炭系回収物の再利用率を向上させることができる。
【0057】
また、前記石炭系回収物の回収装置を搭載した吸引作業車両によれば、排出時の発塵を抑制するとともに、レシーバタンクに収容される石炭系回収物の再利用率を向上させる吸引作業車両を提供することができる。
【0058】
本開示は、例示的な実施の形態が記載されているが、実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本開示の技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
【0059】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
吸引装置を用いて吸引部を介して石炭系被回収物を吸引し、吸引した石炭系回収物を収容するレシーバタンクと、
前記レシーバタンクに接続され、前記レシーバタンク内部に収容されなかった未回収の前記石炭系回収物を捕集するフィルタと、を備えた石炭系回収物の回収装置であって、
前記吸引部に加水器を備え、前記加水器は、前記レシーバタンクに収容される前記石炭系回収物の含水率が2重量パーセントより多く20重量パーセント以下になるように、前記石炭系被回収物に加水する石炭系回収物の回収装置。
(付記2)
前記加水器は、前記レシーバタンクに収容される前記石炭系回収物の含水率が6重量パーセント以上10重量パーセント以下になるように、前記石炭系被回収物に加水する付記1に記載の石炭系回収物の回収装置。
(付記3)
前記加水器は、前記石炭系被回収物と水分とが均一に混ざり合うように、前記石炭系被回収物に加水するように構成されている付記1または付記2に記載の石炭系回収物の回収装置。
(付記4)
前記加水器は、前記吸引部の内周面に設けられた複数の噴射口から水を噴射する噴射型の加水器、および、前記吸引部の中央部に配置されたノズルから水を噴霧する噴霧型の加水器のいずれか一方である付記3に記載の石炭系回収物の回収装置。
(付記5)
前記フィルタは、樹脂焼結体からなる第1孔を有する母材の表面に、前記第1孔よりも小さな第2孔を有する樹脂コーティング層を施したフィルタである付記1から付記4のいずれか1項に記載の石炭系回収物の回収装置。
(付記6)
前記レシーバタンク内部の、前記吸引部から吸引された前記石炭系回収物が衝突する位置に、前記石炭系回収物の均一化分散機構を配置した付記1から付記5のいずれか1項に記載の石炭系回収物の回収装置。
(付記7)
前記均一化分散機構は、チェーンにより構成した付記6に記載の石炭系回収物の回収装置。
(付記8)
前記レシーバタンクに、前記レシーバタンク内部のガス圧力が規定値を超えた場合に、前記レシーバタンク内部のガスを大気に開放する破裂盤を設けた付記1から付記7のいずれか1項に記載の石炭系回収物の回収装置。
(付記9)
前記レシーバタンクの外部に、前記レシーバタンクに衝撃を与えて前記レシーバタンクの内壁に付着した前記石炭系回収物を脱落させる払い落とし装置を備えた付記1から付記8のいずれか1項に記載の石炭系回収物の回収装置。
(付記10)
前記石炭系回収物の回収装置は、前記石炭系回収物の含水率が2重量パーセントより多く20重量パーセント以下になるように加水する場合と、前記石炭系回収物の含水率が20重量パーセントより多くなるように加水する場合とのいずれか一方を選択可能に構成され、
前記石炭系回収物の含水率が2重量パーセントより多く20重量パーセント以下になるように加水する場合は、前記加水器を使用すると共に前記レシーバタンク内部に収容されなかった未回収の前記石炭系回収物を前記フィルタを通すようにし、前記石炭系回収物の含水率が20重量パーセントより多くなるように加水する場合は、前記加水器を使用せずに前記レシーバタンク内部に収容されなかった未回収の前記石炭系回収物を前記フィルタを通さないようにする付記1から付記9のいずれか1項に記載の石炭系回収物の回収装置。
(付記11)
付記1から付記10のいずれか1項に記載の石炭系回収物の回収装置を搭載した吸引作業車両。
【符号の説明】
【0060】
2 吸引ホース、4 吸引装置、5,5A,5B 加水器、6 破裂盤、
7 チェーン、31 レシーバタンク、32 2次キャッチャー、
33 3次キャッチャー、34 4次キャッチャー、50 噴射口、
51 空円錐ノズル、71 第1フィルタ装置、72 第2フィルタ装置、
90 フィルタ、91 樹脂コーティング層、92 母材、100 石炭系被回収物、
200 石炭系回収物、300 吸引部、310 吸引口、1000 回収装置、
2000 吸引作業車両。
【要約】
【課題】排出時の発塵を抑制するとともに、レシーバタンクに収容される石炭系回収物の再利用率を向上させる石炭系回収物の回収装置および吸引作業車両を提供する。
【解決手段】吸引装置4を用いて吸引部300を介して石炭系被回収物100を吸引し、吸引した石炭系回収物200を収容するレシーバタンク31と、レシーバタンク31に接続され、レシーバタンク31内に収容されなかった未回収の石炭系回収物200を捕集するフィルタ90と、を備え、吸引部300に加水器5を備え、加水器5は、レシーバタンク31に収容される石炭系回収物200の含水率が2重量パーセントより多く20重量パーセント以下になるように石炭系被回収物100に加水する。
【選択図】
図1