(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】健康管理支援システム、健康管理支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20240226BHJP
【FI】
G16H50/30
(21)【出願番号】P 2023574616
(86)(22)【出願日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 JP2023032974
【審査請求日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】P 2022192066
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】321008077
【氏名又は名称】一般財団法人LHS研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】福島 雅典
(72)【発明者】
【氏名】丹澤 和雅
(72)【発明者】
【氏名】菊池 貴幸
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-225175(JP,A)
【文献】特開2014-225176(JP,A)
【文献】特開2010-122901(JP,A)
【文献】特開2022-071523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザのそれぞれの歩行情報と前記複数のユーザのそれぞれの端末装置の利用状況を示す端末利用情報とである個人データを、前記ユーザの端末装置から所定の間隔で取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記複数のユーザのそれぞれの個人データを含む集団データを蓄積する記憶装置と、
所定期間、前記記憶装置に蓄積された前記複数のユーザのうちの一のユーザについての時系列の個人データから、集団データを経時的な変化を有する個人データに活かして予測する予測モデルを用いて、前記一のユーザが要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを予測する予測モデル部と、
予測された前記リスクに基づき作成された前記一のユーザに対する健康管理支援を示す提供情報を前記一のユーザの端末装置に出力する提供部と、を備える、
健康管理支援システム。
【請求項2】
前記予測モデルは、過去の所定期間、前記記憶装置に蓄積された所定数のユーザのそれぞれの歩行情報及び端末利用情報を含む集団データと、前記所定数のユーザが前記要介護状態または要支援状態の認定に至った診断データとから、構築される、
請求項1に記載の健康管理支援システム。
【請求項3】
前記予測モデルは、前記集団データから取り出された、前記所定数のユーザにおけるフィジカル状態を示すフィジカル情報、ソーシャルコンタクト状態を示すソーシャル情報及びメンタル状態を示すメンタル情報と前記診断データとから、構築される、
請求項2に記載の健康管理支援システム。
【請求項4】
前記フィジカル情報は、前記所定数のユーザについての歩行情報であり、
前記歩行情報は、一日の歩行時間、一日の歩数、歩行速度、歩幅、上った階段数、歩行距離のうちの少なくともいずれかの関係性を示す、
請求項3に記載の健康管理支援システム。
【請求項5】
前記ソーシャル情報は、前記所定数のユーザが前記端末装置を用いて行った相手とのやりとりに関する情報であり、
前記やりとりに関する情報は、前記所定数のユーザが前記端末装置を用いてメールを行う頻度、前記メールに含まれる文の長さ、前記メールをやりとりする相手の数、または、前記端末装置に含まれる各種ソフト、アプリの使用率のうちの少なくともいずれかを含む、
請求項3に記載の健康管理支援システム。
【請求項6】
前記メンタル情報は、前記所定数のユーザについての睡眠情報及び、マインドフル情報の少なくともいずれかを含む、
請求項3に記載の健康管理支援システム。
【請求項7】
さらに、
公共交通機関の利用状況を含む複数の人の行動情報と、複数の人が要介護状態または要支援状態であるかどうかを示す介護状態情報とを含む、行政が管理する行政データを取得して、取得した前記行政データを用いて、前記予測モデルを更新する更新部を備える、
請求項2~5のいずれか1項に記載の健康管理支援システム。
【請求項8】
前記提供部は、前記一のユーザについてのリスクと、前記一のユーザについての歩行情報及び端末利用情報とに基づき、前記一のユーザに対する健康管理支援を示す提供情報を作成して、前記一のユーザの端末装置へ出力する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の健康管理支援システム。
【請求項9】
前記健康管理支援は、フレイル、ロコモ及び認知症のうちの少なくとも一つへの進行を抑制させる対策であり、
前記対策には、前記少なくとも一つへ進行する原因となる傷病の治療もしくは管理、または、前記少なくとも一つへの進行を抑制させる運動行為を勧めることを含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の健康管理支援システム。
【請求項10】
前記提供部は、生成AI(Artificial Intelligence)を備え、
前記生成AIは、前記一のユーザから前記一のユーザの健康状態に関する質問を受け付けて、前記予測モデルを用いて前記質問に対する返答を作成して出力する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の健康管理支援システム。
【請求項11】
前記健康管理支援は、フレイル、ロコモ及び認知症のうちの少なくとも一つへの進行を抑制させる対策であり、
前記返答には、前記一のユーザの前記個人データの整理、前記一のユーザの将来の前記少なくとも一つへの進行の状態を示す予測結果、または、前記少なくとも一つへの進行を抑制させる前記対策を勧めることを含む、
請求項10に記載の健康管理支援システム。
【請求項12】
取得部と、記憶装置と、予測モデル部と、提供部とを備える健康管理支援システムにより実行される健康管理支援方法であって、
前記取得部が複数のユーザのそれぞれの歩行情報と前記複数のユーザのそれぞれの端末装置の利用状況を示す端末利用情報とである個人データを、前記ユーザの端末装置から所定の間隔で取得し、
前記取得部が取得した前記複数のユーザのそれぞれの個人データを含む集団データを
前記記憶装置に蓄積し、
前記予測モデル部が前記複数のユーザのうちの一のユーザについての端末利用情報であって所定期間、前記記憶装置に蓄積された時系列の個人データから、集団データを経時的な変化を有する個人データに活かして予測する予測モデルを用いて、前記一のユーザが要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを予測し、
前記提供部が予測された前記リスクに基づき作成された前記一のユーザに対する健康管理支援を示す提供情報を前記一のユーザの端末装置に出力する、
健康管理支援方法。
【請求項13】
複数のユーザのそれぞれの歩行情報と前記複数のユーザのそれぞれの端末装置の利用状況を示す端末利用情報とである個人データを、前記ユーザの端末装置から所定の間隔で取得し、
取得した前記複数のユーザのそれぞれの個人データを含む集団データを記憶装置に蓄積し、
前記複数のユーザのうちの一のユーザについての歩行情報及び端末利用情報であって所定期間、前記記憶装置に蓄積された時系列の個人データから、集団データを経時的な変化を有する個人データに活かして予測する予測モデルを用いて、前記一のユーザが要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを予測し、
予測された前記リスクに基づき作成された前記一のユーザに対する健康管理支援を示す提供情報を前記一のユーザの端末装置に出力することを、
コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、健康管理支援システム、健康管理支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
日本における65歳以上の高齢者の割合は、2019年では約3割であったが、2060年には約4割に達すると予想されている。これに伴い、要支援状態または要介護状態に陥る人の増加が予想され、高齢者ケアの社会的負担の増大が危惧されている。
【0003】
このため、要支援状態または要介護状態に陥る高齢者の数を抑制することが求められている。
【0004】
例えば、将来に要介護状態になることを回避するために、ロコモ(ロコモティブシンドローム)の早期発見とともにロコモのリスクを評価することが重要であると言われている。
【0005】
これに対して、ロコモのリスクを、複数のウェアラブルセンサによって評価するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に開示されるシステムによれば、複数のウェアラブルなセンサを用いて取得した歩行動作の測定データのばらつきによってロコモのリスクを評価し、被験者にフィードバックすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されるシステムを用いる場合、計測装置は身体上の複数の特定の部位に装着する必要があったり、スマートフォンのような携帯端末にアプリケーションとして実装されたりする必要があるという制約がある。このため、当該システムを利用する人の数が抑制されてしまい、要支援状態または要介護状態に陥る前の段階の人の数も限定的となってしまう可能性が高い。この結果、将来、要支援状態または要介護状態に陥る高齢者の数を抑制することに繋がらない可能性が高い。また、将来に要介護状態になることを回避するためには、ロコモの早期発見だけでなく、フレイル、認知機能低下の早期発見も重要である。
【0009】
本開示は、上述の事情を鑑みてなされたもので、複数のユーザがそれぞれ将来に要支援状態または要介護状態になることを回避せしめる健康管理支援を行うことができる健康管理支援システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示の一形態に係る健康管理支援システムは、複数のユーザのそれぞれの歩行情報と前記複数のユーザのそれぞれの端末装置の利用状況を示す端末利用情報とである個人データを、前記ユーザの端末装置から所定の間隔で取得する取得部と、前記取得部が取得した前記複数のユーザのそれぞれの個人データを含む集団データを蓄積する記憶装置と、所定期間、前記記憶装置に蓄積された前記複数のユーザのうちの一のユーザについての時系列の個人データから、集団データを経時的な変化を有する個人データに活かして予測する予測モデルを用いて、前記一のユーザが要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを予測する予測モデル部と、予測された前記リスクに基づき作成された前記一のユーザに対する健康管理支援を示す提供情報を前記一のユーザの端末装置に出力する提供部と、を備える。
【0011】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示の健康管理支援システム等によれば、ユーザが有する携帯端末を特別なソフトウェアを入れることなく日常利用してもらうだけで、複数のユーザがそれぞれ将来に要支援状態または要介護状態になることを回避せしめる健康管理支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る健康管理支援方法を概念的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る健康管理支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る健康管理支援システムの健康管理支援方法の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施の形態1の実施例に係る健康管理支援方法を概念的に示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態2に係る健康管理支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2に係る健康管理支援システムの健康管理支援方法の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、携帯端末による入出力領域を説明する図である。
【
図8A】
図8Aは、一のユーザが携帯端末に質問を入力したときの携帯端末による入出力領域を説明する図である。
【
図8B】
図8Bは、生成AIが一のユーザの質問に対して返答をしたときの携帯端末による入出力領域を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態に係る構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0015】
(実施の形態1)
以下では、図面を参照しながら、実施の形態1に係る健康管理支援方法及び健康管理支援システムの説明を行う。
【0016】
[1 健康管理支援方法の概念図]
図1は、実施の形態1に係る健康管理支援方法を概念的に示す図である。
【0017】
図1に示すように、実施の形態1に係る健康管理支援方法では、複数のユーザ20のそれぞれが有する携帯端末21から、複数のユーザ20のそれぞれが携帯端末21を日常利用することで得られるデータを、例えばクラウド10上(DB12a)に日々蓄積する。クラウド10上(DB12a)に日々蓄積されるデータは、例えば複数のユーザ20のそれぞれの歩行情報等のデータ及び携帯端末の利用状況を示す端末利用情報である個人データが集められた集団データである。
【0018】
ここで、複数のユーザ20のそれぞれは、例えば高齢者であるが、これに限らず、一定の年齢以上の人であればよい。携帯端末21は、例えばスマートフォン、スマートウォッチなどユーザ20が携帯可能かつクラウド10と通信可能なウェアラブルデバイスなどである。なお、携帯端末21は、端末装置の1つである。端末装置は、据え置きのコンピュータであってもよい。具体的には、ウェアラブルデバイスが複数のユーザ20のそれぞれの歩行情報等のデータ及び携帯端末の利用状況を示す端末利用情報である個人データを記憶し、ウェアラブルデバイスから据え置きのコンピュータに個人データを送信してもよい。
【0019】
近年、多くの人がスマホなどの携帯端末を利用する状況にあり、スマホなどの携帯端末では、メールソフト、SNS(Social Networking Service)利用可能なソフト、Web利用可能なソフト、ヘルスケアアプリなどが簡単に利用できるようになっている。このため、多くの人は、スマホを用いて、メール及びヘルスケアアプリを日常的に利用しており、それにより得られる個人の日常生活データと言える個人データがスマホに保存されている状況である。
【0020】
実施の形態1では、多くの人である複数のユーザ20のそれぞれが自身の携帯端末21を用いて、メール、ヘルスケアアプリなどの既存のソフトを日常的に利用することで得られる個人データを、クラウド10上(DB12a)に日々蓄積する。ヘルスケアアプリを日常的に利用することで得られる個人データとしては種々想定されるが、一日の歩行時間、一日の歩数、歩行速度、歩幅、上った階段数、歩行距離等のうちの少なくともいずれかの関係性を示すデータ(歩行情報)があればよい。また、メールなどの既存のソフトを日常的に利用することで得られる個人データとしては、例えば、ユーザ20が携帯端末21を用いてメールを行う頻度、メールに含まれる文の長さ、メールをやりとりする相手の数、携帯端末21に含まれる各種ソフト、アプリの使用率のうちの少なくともいずれかを含むデータであればよい。なお、メールなどの既存のソフトを日常的に利用することで得られるデータ、使用するソフト、アプリの関連性は、ユーザ20が携帯端末21を用いて行った相手とのやりとりに関する情報であればよく、上記は一例である。また、クラウド10上(DB12a)に個人データが日々蓄積されるとしたが、これに限らず、隔日など所定の間隔で蓄積され、その短期的・長期的な変化量と変化の速度が確認できれば良い。
【0021】
また、実施の形態1に係る健康管理支援方法では、クラウド10に日々蓄積される個人データから、予測モデル13aを用いて、要介護状態または要支援状態に将来なるリスクが予測され、予測されたリスクに基づき健康管理支援などを示す提供情報を作成する。予測モデル13aは、集団データを経時的な変化を有する個人データに活かすことにより、上記リスクを予測することができる。作成された提供情報は、クラウド10上(DB12b)に保存され、対応するユーザ20の携帯端末21に送信される。
【0022】
ここで、要介護状態または要支援状態に陥る前状態としては、フレイルの状態、ロコモの状態、認知機能低下の状態がある。フレイルの状態は、老化に伴い抵抗力が弱まり体力が低下した状態である。ロコモ(ロコモティブシンドローム)の状態は、関節など運動器の機能が低下して移動が困難になる状態である。認知機能低下の状態は、理解力、判断力、記憶力、言語理解能力など、認知機能に係る能力が低下している状態である。つまり、フレイル、ロコモ、認知機能低下の状態は、生活機能が低下し、健康寿命を損ねたり、介護が必要になる危険が高まったりする状態であると言える。ところで、フレイル、ロコモ、認知機能低下の状態には、その人が気づかないうちに陥り、進行していることが多いために予防または早期からの対応が大事であることが知られている。また、これらの状態に対して適切な対策をすることで要介護に至る危険度を下げたり、元の健常な状態に戻したりできることも知られている。そして、フレイル、ロコモ、認知機能低下の状態にある人に対してどのような対策をすれば、進行を遅らせたり、元の状態に戻せたりするのかも明らかになりつつある。
【0023】
実施の形態1では、要介護状態または要支援状態に将来なるリスクは、例えば、その人がロコモ、フレイルまたは認知症に陥る前兆があることを示す情報(リスク因子情報)であるが、これに限らない。当該リスクは、このままでは陥る可能性が高いことを示す情報(予測因子情報)であってもよい。また、当該リスクは、その人がロコモ、フレイルまたは認知機能低下の状態にあり、このまま進行すると要介護状態または要支援状態になる可能性が高いことを示す情報(予後因子情報)でもよい。
【0024】
また、健康管理支援は、フレイル、ロコモ及び認知症のうちの少なくとも一つへの進行を抑制させる対策を示す情報などである。この対策には、フレイル、ロコモ及び認知症のうちの少なくとも一つへ進行する原因となる傷病の治療もしくは管理、または、少なくとも一つへの進行を抑制させる運動行為を勧めることを含むが、これに限らない。この対策として、適切な食事と良質の睡眠をとる行為を勧めることなど適切な日常生活の改善を勧めることをさらに含めてもよい。なお、フレイル、ロコモ及び認知症の進行を防止するためには一人ひとりの相当な努力が必要であり、現時点では薬ではその進行を抑制できるものの進行を停止することができないことが知られている。また、フレイル、ロコモ及び認知症の進行を防止する方法としては、適切な運動行為、適切な食事と良質の睡眠とを取得するなど適切な日常生活の改善が不可欠であることが分かってきている。
【0025】
このように、実施の形態1に係る健康管理支援方法では、ユーザ20は、ユーザ20が有する携帯端末21に特別なソフトウェアを入れることなく、携帯端末21を日常利用するだけで、健康管理支援などの提供情報を得ることができる。これにより、ユーザ20は、提供情報を受け取ったことを契機に、リスクを回避するための行動変容の必要を自覚し、行動変容を行うことができるので、将来に要支援状態または要介護状態になることを回避することができる。
【0026】
[2 健康管理支援システムの構成]
図2は、実施の形態1に係る健康管理支援システム100の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示す健康管理支援システム100は、プロセッサ(マイクロプロセッサ)、メモリ、通信インターフェース等を備えるコンピュータ等で実現され、取得部11と、記憶装置12と、予測モデル部13と、提供部14と、更新部15とを備える。
図2に示す健康管理支援システム100は、その一部または全部の構成を用いて、例えば
図1に示すクラウド10を実現することができる。
【0027】
[2.1 取得部11]
取得部11は、例えば通信インターフェースであり、複数のユーザ20のそれぞれの携帯端末21と通信可能である。取得部11は、複数のユーザ20のそれぞれの歩行情報と複数のユーザ20のそれぞれの携帯端末21の利用状況を示す端末利用情報とである個人データを、ユーザ20の携帯端末21から所定の間隔で取得する。
【0028】
なお、上述したように、複数のユーザ20のそれぞれは、例えば高齢者であるが、これに限らず、一定の年齢以上の人であればよい。携帯端末21は、例えばスマートフォン、スマートウォッチなどであり、ユーザ20が携帯可能かつクラウド10と通信可能なウェアラブルデバイスであればよい。
【0029】
実施の形態1では、取得部11は、複数のユーザ20のそれぞれが携帯端末21を用いて、メール、ヘルスケアアプリなどの既存のソフトを日常的に利用することで得られる個人の日常生活データと言える個人データとして、歩行情報と端末利用情報を取得し、管理IDとともに記憶装置12に蓄積する。管理IDは、ユーザ20を一意に識別するための識別子などである。歩行情報と端末利用情報とについては上述した通りであるので、ここでの説明を省略する。
【0030】
[2.2 記憶装置12]
記憶装置12は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などにより実現される。記憶装置12は、取得部11が取得した複数のユーザ20のそれぞれの個人データを含む集団データを蓄積する。記憶装置12は、例えば
図1に示すクラウド10に設置され、DB12a、DB12bのように複数のDBを有していてもよい。この場合、例えばDB12aには、歩行情報と端末利用情報が管理IDとともに集団データとして蓄積され、DB12bには後述する提供情報などが管理IDとともに格納されるとよい。
【0031】
[2.3 予測モデル部13]
予測モデル部13は、例えば通信インターフェース、メモリ及びプロセッサ(マイクロプロセッサ)を備え、メモリに格納された所定のプログラムをプロセッサが実行することにより、予測モデル13aを用いた予測機能が実現され得る。予測モデル部13は、予測モデル13aを構築して用いてもよいし、構築された予測モデル13aを取得して用いてもよい。予測モデル部13は、予測モデル13aを用いて、所定期間、記憶装置12に蓄積された複数のユーザ20のうちの一のユーザ20についての時系列の個人データから、一のユーザ20が要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを予測する。
【0032】
例えば、予測モデル部13は、所定期間、記憶装置12に蓄積された一のユーザ20についての歩行情報及び端末利用情報から、フィジカル状態を示すフィジカル情報、ソーシャルコンタクト状態を示すソーシャル情報及びメンタル状態を示すメンタル情報を個人データとして取り出してもよい。そして、予測モデル部13は、取り出したフィジカル情報、ソーシャル情報及びメンタル情報から、予測モデル13aを用いて、一のユーザ20のリスクを予測してもよい。例えば、フィジカル情報は、一のユーザ20の歩行情報である。歩行情報は、一日の歩行時間、一日の歩数、歩行速度のうちの少なくともいずれかを含んでいてもよい。ソーシャル情報は、一のユーザ20が携帯端末21を用いて行った相手とのやりとりに関する情報である。やりとりに関する情報は、上述したように、例えば一のユーザ20が携帯端末21を用いてメールを行う頻度、メールに含まれる文の長さまたはメールをやりとりする相手の数のうちの少なくともいずれかを含んでもよい。また、メンタル情報は、一のユーザ20についての睡眠情報及び、マインドフル情報の少なくともいずれかを含んでもよい。
【0033】
将来なるリスクは、上述したように、例えば一のユーザ20がロコモ、フレイルまたは認知症に陥る前兆があることを示す情報(リスク因子情報)である。また、将来なるリスクは、例えば、このままではロコモ、フレイルまたは認知症に陥る可能性が高いことを示す情報(予測因子情報)であってもよい。また、当該リスクは、例えば一のユーザ20がロコモ、フレイルまたは認知機能低下の状態にあり、このまま進行すると要介護状態または要支援状態になる可能性が高いことを示す情報(予後因子情報)でもよい。
【0034】
なお、予測モデル部13は、取り出したフィジカル情報、ソーシャル情報及びメンタル情報と、予測モデル13aとを突合し、リスク因子情報、予測因子情報または予後因子情報を分析することで、一のユーザ20のリスクを予測してもよい。また、予測モデル部13は、さらに、予測モデル13aを用いて、所定期間、記憶装置12に蓄積された複数のユーザ20のうちの一のユーザ20についての時系列の歩行情報及び端末利用情報から、一のユーザ20についての統計情報を作成して、提供部14に出力してもよい。統計情報は、上述した例では、ユーザ20の日常生活状態、身体の状態、社会活動の状態、精神的なまたは心理的な状態がどのように経時的に変化(特に低下)しているかをグラフ化した情報であるが、これに限らない。
【0035】
ここで、予測モデル13aは、集団データを経時的な変化を有する個人データに活かして、個人のリスクを予測することができるモデルである。予測モデル13aは、過去の所定期間、例えば記憶装置12に蓄積された所定数のユーザ20のそれぞれの歩行情報及び端末利用情報を含む集団データと、所定数のユーザ20が要介護状態または要支援状態の認定に至った医療機関等における診断データとから、構築(作成)される。例えば、予測モデル13aは、集団データから取り出された、所定数のユーザにおけるフィジカル情報、ソーシャル情報及びメンタル情報と、診断データとから構築されてもよい。
【0036】
また、予測モデル13aは、所定数のユーザにおけるフィジカル情報、ソーシャル情報及びメンタル情報の経時的な変化を示す変数であり、診断データとの関連からリスク因子情報、予測因子情報または予後因子情報となる変数を示していてもよいが、これに限らない。予測モデル13aは、機械学習により構築されてもよいし、統計処理により得られた集団データを定式化したモデルとして構築されてもよい。つまり、予測モデル13aは、ユーザ20の歩行情報と端末利用情報とを含む一定期間の経時的なデータ(時系列データ)からユーザ20が要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを予測可能であれば、どのような方法で構築されてもよい。なお、予測モデル13aは、例えば複数のユーザの個人データが所定期間蓄積したビッグデータと言える集団データに、経時的な変化を有する一定期間の個人データをマッチングさせてもよい。この場合、予測モデル13aは集団データに含まれる当該個人データとマッチする他人の個人データの診断データから、当該個人が要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを予測できる。また、予測モデル13aを、機械学習させ、機械学習された予測モデル13aに、一定期間の個人データを入力することで、当該個人が要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを予測させてもよい。これらの予測方法は例示であり、予測モデル13aを用いた予測方法は、説明した場合に限らない。
【0037】
上述したように、多くのユーザ20は、スマホなどの携帯端末21を利用する状況にあり、多くのユーザ20は、携帯端末21を用いてメール及びヘルスケアアプリなどの既存ソフトを日常的に利用することで得られるデータがその携帯端末21に保存されている状況である。本発明者らは、鋭意検討の結果、携帯端末21のそれぞれには個々のユーザ20の日常生活状態、身体の状態、社会活動の状態、精神的なまたは心理的な状態に関する情報が潜在的に保存されていることを見出した。そして、本発明者らは、それらの情報を蓄積することで、それらの情報を時系列的に観測することが可能となり、グラフ化によって個々のユーザ20のそれらの状態がどのように経時的に変化(特に低下)しているかを見ることが可能になることも見出した。さらに、本発明者らは、蓄積した複数のユーザ20のそれらの情報を統計処理することで得られた集団データと、蓄積された個々のユーザ20(個人データ)とを照らし合わせる等して、身体の状態、社会活動の状態、精神的なまたは心理的な状態に関する情報を解析できることも見出した。この結果、歩行情報、メールのやりとりに関する情報等の端末利用情報が、要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを予測する際に重要な情報であることがわかった。例えば、ヘルスケアアプリを利用するユーザ20の日々の歩行時間、歩数または歩行速度の経時的な変化から身体機能の低下を解析する(見る)ことができることがわかった。また、例えばメールのやりとりの頻度などの経時的な変化を解析することで、ユーザ20のソーシャルコンタクトの低下を解析することができることがわかった。また、Webなどの検索を行う人については物事に対する関心の度合いを検索回数によって解析することもでき、さらに検索するキーワードの性質によってその関心の所在を知ることもできることがわかった。このように、蓄積されるそれらの情報のうちの重要な情報を解析することによって、例えば、フィジカルフレイル、メンタルフレイル、ソーシャルフレイルにつながるシグナルを、要介護状態または要支援状態に将来なるリスクとして検出することが可能となることがわかった。
【0038】
これにより、集団データを、経時的な変化を有する個人データに活かして、個人が要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを予測することができるモデル(予測モデル)を構築できることを見出した。
【0039】
なお、官民データ活用法が施行され多くの自治体で行政データが利用できる状況になろうとしている。このため、予測モデル13aを構築する際、行政が管理する行政データが利用可能である場合、行政データを用いて、予測モデル13aを構築してもよい。
【0040】
ここで、行政データは、個々人のアウトカムデータであり、例えば要支援認定もしくは要介護認定のデータ、死亡データ、健康診断データを含む。さらに、行政データに、行政が行っているサービスの利用状況についての情報が含まれている可能性がある。行政が行っているサービスの利用状況とは、例えば、公共交通機関の利用状況などが想定でき、複数の人の日常生活での行動情報として利用することができる。公共交通機関の利用状況は、例えば敬老パスなどの交通系ICカードを利用したときのバス、鉄道会社からの請求情報を取得し、行政データとして蓄積されることで利用可能になる。要支援認定もしくは要介護認定のデータは、複数の人が要介護状態または要支援状態であるかどうかを示す情報であり、要介護状態または要支援状態の認定に至った診断データを含むとしている。診断データとしては、医師の診断書だけでなく、日本版CHS(Cardiovascular Health Study)基準、フレイルチェックリスト、ロコモチェックリストなどによる基本チェックリストの総合点であってもよい。
【0041】
このような行政データをそのまま取得して用いることはプライバシーの観点からできないため、行政データの個々人が特定できる部分を匿名にした匿名データを、行政データとして取得すればよい。これにより、行政データに含まれる大規模な集団の各年齢層のデータ(診断データ、行動情報等)を集団データとして利用することができるので、要介護状態または要支援状態に将来なるリスクをより精度良く予測するために用いることができる予測モデル13aを構築できる可能性がある。
【0042】
[2.4 提供部14]
提供部14は、例えば通信インターフェースであり、複数のユーザ20のそれぞれの携帯端末21と通信可能である。提供部14は、予測モデル部13で予測されたリスクに基づき作成された一のユーザ20に対する健康管理支援を示す提供情報を一のユーザ20の携帯端末21に出力する。ここで、提供部14は、一のユーザ20についてのリスクと、一のユーザ20についての歩行情報及び端末利用情報とに基づき、一のユーザ20に対する健康管理支援を示す提供情報を作成して、一のユーザ20の携帯端末へ出力してもよい。
【0043】
なお、提供部14は、健康管理支援を示す提供情報に、予測モデル部13により取得した一のユーザ20についての短期的・長期的な変化量と変化の速度を含む、医療・統計情報を、一のユーザ20の携帯端末へ出力してもよい。
【0044】
[2.5 更新部15]
更新部15は、例えば通信インターフェース、メモリ及びプロセッサ(マイクロプロセッサ)を備え、メモリに格納された所定のプログラムをプロセッサが実行することにより、予測モデル13aを更新する更新機能が実現され得る。
【0045】
例えば、構築された予測モデル13aが予測モデル部13で利用開始された後に、記憶装置12に蓄積された複数のユーザ20のそれぞれの歩行情報及び端末利用情報を含む集団データに対する診断データが新たに取得できるようになる場合がある。この場合、更新部15は、新たな所定期間、記憶装置12に蓄積された所定数のユーザ20のそれぞれの歩行情報及び端末利用情報を含む集団データと、所定数のユーザ20が要介護状態または要支援状態の認定に至った診断データとを用いて、予測モデル13aを更新すればよい。これにより、更新部15は、要介護状態または要支援状態に将来なるリスクをより精度良く予測するために用いることができる予測モデル13aに更新できる。
【0046】
また、構築された予測モデル13aが予測モデル部13で利用開始された後に、行政が管理する行政データが利用可能になる場合もある。この場合、更新部15は、公共交通機関の利用状況を含む複数の人の行動情報と、複数の人が要介護状態または要支援状態であるかどうかを示す介護状態情報とを含む、行政が管理する行政データを取得すればよい。そして、更新部15は、取得した行政データを用いて、予測モデル13aを更新すればよい。これにより、予測モデル部13に、更新された予測モデル13aを用いて一のユーザ20が要介護状態または要支援状態に将来なるリスクをより精度よく予測させることができるようになる。
【0047】
さらに、企業等においては一人ひとりの検診データも保有しているし、その保険組合からの医療費等の支出も把握している。このため、構築された予測モデル13aが予測モデル部13で利用開始された後に、企業等が保有する検診データ及び保険組合からの医療費等の支出が利用可能になる場合もある。この場合、更新部15は、企業等が保有する検診データ及び保険組合からの医療費等の支出を取得すればよい。そして、更新部15は、取得した企業等が保有する検診データ及び保険組合からの医療費等の支出を用いて、予測モデル13aを更新すればよい。これにより、予測モデル部13に、更新された予測モデル13aを用いて一のユーザ20が要介護状態または要支援状態に将来なるリスクをより精度よく予測させることができるようになる可能性がある。
【0048】
なお、更新部15は、上記のように更新された後の予測モデル13aを取得し、予測モデル部13の予測モデル13aを更新するとしてもよい。
【0049】
[3 健康管理支援システム100の動作]
以上のように構成された健康管理支援システム100の動作の一例について以下説明する。
【0050】
図3は、実施の形態1に係る健康管理支援システム100の健康管理支援方法の処理の一例を示すフローチャートである。
【0051】
まず、健康管理支援システム100は、複数のユーザ20のそれぞれの歩行情報及び端末利用情報である個人データを、ユーザ20の携帯端末21から所定の間隔で取得する。(S1)。所定の間隔は日毎でもよいがこれに限らず隔日毎でもよいし数日毎でもよい。
【0052】
次に、健康管理支援システム100は、ステップS1で取得した複数のユーザ20のそれぞれの個人データを含む集団データを記憶装置12に蓄積する(S2)。蓄積される期間としては、例えば1年以上など、一定程度以上の期間であるとよいが、これに限らない。蓄積される期間は、歩行情報及び端末利用情報含む個人データの経時的な変化が解析できる期間であるとよい。
【0053】
次に、健康管理支援システム100は、予測モデル13aを用いて、所定期間、記憶装置12に蓄積された一のユーザ20についての時系列の個人データから、一のユーザ20が要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを予測する(S3)。予測モデル13aは、集団データを経時的な変化を有する個人データに活かして、個人の上記リスクを予測することができるモデルである。
【0054】
次に、健康管理支援システム100は、ステップS3で予測されたリスクに基づき作成された一のユーザ20に対する健康管理支援を示す提供情報を、一のユーザ20の携帯端末21に出力する(S4)。
【0055】
[4 効果等]
以上のように、実施の形態1によれば、ユーザ20のそれぞれ有する携帯端末21から得られ、蓄積された歩行情報、端末利用情報から、一のユーザ20が要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを予測することができる。そして、予測したリスクに基づき作成した一のユーザ20に対する健康管理支援を示す提供情報を一のユーザに提供できる。
【0056】
これにより、ユーザ20は、ユーザ20が有する携帯端末21に特別なソフトウェアを入れることなく、携帯端末21を日常利用するだけで、健康管理支援などの提供情報を得られることができる。この結果、ユーザ20は、提供情報を受け取ったことを契機に、リスクを回避するための行動変容の必要を自覚し、行動変容を行うことができるので、ユーザ20は将来に要支援状態または要介護状態になることを回避することができる。
【0057】
また、本実施の形態に係る健康管理支援システム100を稼働することによって、提供情報を契機に行動変容した複数のユーザ20のそれぞれの状態の変化のデータがさらに蓄積されることになる。予測されるリスクの精度はますます高まることが推定される。
【0058】
(実施例)
官民データ活用法が施行され多くの自治体で行政データが利用できる状況になろうとしている。しかし、行政データは、現時点では十分に利用または活用されているとは言えない。
【0059】
本実施例では、将来、行政データを利用または活用できるようになった場合の健康管理支援方法について説明する。
【0060】
図4は、実施の形態1の実施例に係る健康管理支援方法を概念的に示す図である。
【0061】
図4では、過去の所定期間、例えば記憶装置12(DB12a)に蓄積された所定数のユーザ20のそれぞれの歩行情報及び端末利用情報(集団データ)を利用して予測モデル13aを構築した後、行政データを利用して予測モデル13aを更新する場合の例が概念的に示されている。この場合、予測モデル13aは、
図4に示すように、事務局と呼ばれる所定の機関において構築され、更新される。
【0062】
まず、事務局にある管理事務局(人)は、過去の所定期間の歩行情報及び端末利用情報の集団データを分析、解析することで、所定数のユーザにおけるフィジカル情報、ソーシャル情報及びメンタル情報を取り出す。次いで、管理事務局は、集団データから取り出した情報と、所定数のユーザが要介護状態または要支援状態の認定に至った診断データとを用いて、予測モデル13aを構築し得る。管理事務局は、構築した予測モデル13aをクラウド10に送信(提供)すればよい。
【0063】
次に、管理事務局は、行政データをそのまま取得して用いることはプライバシーの観点からできないため、管理事務局は、行政データの個々人が特定できる部分(氏名、生年月日等)を匿名にした匿名データを、行政データとして取得すればよい。次いで、管理事務局は、行政データに含まれる行動情報などの集団データを分析、解析することで、行政データに含まれるユーザにおけるフィジカル情報、ソーシャル情報及びメンタル情報を取り出すことができる。管理事務局は、要支援・要介護情報に含まれる要介護状態または要支援状態の認定に至った診断データをさらに用いて、予測モデル13aを更新し、クラウド10に送信(提供)すればよい。
【0064】
なお、将来的には、以下の行政データを活用して予測モデル13aの構築、更新を行うこともできると考える。例えば、医療レセプトデータ、介護レセプトデータ、介護認定調査票、健診/健診データ、被保護者調査(個別データ)、予防接種の接種状況、救急隊出動情報及び傷病者情報、転入・転出・死亡日等一覧表などである。さらに、上述した企業等が保有する健診データを活用して予測モデル13aの構築、更新を行うこともできると考える。
【0065】
(実施の形態2)
以下では、図面を参照しながら、実施の形態2に係る健康管理支援システムの説明を行う。
【0066】
[5 健康管理支援システムの構成]
図5は、実施の形態2に係る健康管理支援システム101の構成の一例を示すブロック図である。
図5に示す健康管理支援システム101は、実施の形態1に係る健康管理支援システム100に加えて、提供部14が生成AI(Artificial Intelligence)14aを備える。以下では、実施の形態2に係る健康管理支援システム101について、実施の形態1に係る健康管理支援システム100から追加された点(つまり、生成AI14a)を中心に説明し、同じ点については説明を省略する。なお、
図5に示す健康管理支援システム101は、その一部または全部の構成を用いて、例えば
図1に示すクラウド10を実現することができる。
【0067】
[5.1 生成AI14a]
生成AI14aは、例えば、OpenAIが開発したChatGPT(商標)4.0、Mataが開発したLLaMA及びGoogleが開発したBard等の生成AIエンジンである。生成AI14aは、一のユーザ20から一のユーザ20の健康状態に関する質問を受け付けて、予測モデル13aを用いて質問に対する返答を作成して携帯端末21に出力する。なお、生成AI14aが出力する返答は、一のユーザ20の質問に対する会話形式の返答が出力される。具体的な返答例については、後述で説明する。
【0068】
生成AI14aは、予測モデル13aを用いて一のユーザ20の個人データの整理、一のユーザ20の将来のフレイル、ロコモ及び認知症のうちの少なくとも一つへの進行の状態を示す予測結果の返答をする。さらに、生成AI14aは、予測モデル13aを用いて一のユーザ20のフレイル、ロコモ及び認知症のうちの少なくとも一つへの進行を抑制させる対策を勧める返答をする。
【0069】
個人データの整理とは、例えば、生成AI14aが日々蓄積した一のユーザ20のフィジカル情報、または、メンタル情報を示すグラフ等を作成することである。さらに、個人データの整理には、生成AI14aは、予測モデル13aが予測した未来の一のユーザ20のフィジカル情報及び、メンタル情報等をグラフ等に加えてもよい。
【0070】
[6 健康管理支援システム101の動作]
以上のように構成された健康管理支援システム101の動作の一例について以下説明する。
【0071】
図6は、実施の形態2に係る健康管理支援システム101の健康管理支援方法の処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図6に示される健康管理支援システム101が行うステップS1からステップS3のステップで行う処理は、
図3に示される健康管理支援システム100が行うステップS1からステップS3のステップと同じ処理であるため、説明は省略する。
【0072】
ステップS3の次に、一のユーザ20は、生成AI14aに向けて一のユーザ20の健康状態に関する質問を入力する(S5)。一のユーザ20が入力する質問は、複数の単語を並べた質問であってもよいし、長い文章で構成された質問であってもよい。
【0073】
次に、生成AI14aは、一のユーザ20の質問に基づき、予測モデル13aを用いて一のユーザ20の個人データの整理、将来の健康状態の予測結果、または、予測結果に対する対策を作成して一のユーザ20の携帯端末21に送信する(S6)。
【0074】
[7 携帯端末21による表示例]
図7は、携帯端末21による入出力領域を説明する図である。ここで、入出力領域とは、携帯端末21が有するディスプレイにおける領域であり、表示領域だけでなく、ディスプレイ上のタッチパネルによる入力領域も含まれる。
【0075】
図7に示されるように、携帯端末21は、入出力領域として、入力領域31、グラフ表示領域32、返答表示領域33及び対策表示領域34を有する。
【0076】
入力領域31は、一のユーザ20が一のユーザ20の健康状態に関する質問を入力する領域である。質問の入力の方法としては、一のユーザ20がキーボードやタッチパネル等を操作して入力する手入力による方法であってもよいし、一のユーザ20が質問を声に出して喋り、携帯端末21が一のユーザ20の音声を認識して入力する音声入力による方法であってもよい。
【0077】
グラフ表示領域32は、生成AI14aが一のユーザ20の健康状態に関する質問を受け付けて、予測モデル13aを用いて一のユーザ20の個人データの整理をして生成したグラフ等が表示される領域である。例えば、記憶部12が蓄積した一のユーザ20の一日の歩行時間、一日の歩数、または、歩行速度等のフィジカル情報及び、一のユーザ20の携帯端末21を用いてメールを行う頻度、または、睡眠情報等のメンタル情報等のグラフ等が表示される。さらに、グラフ表示領域32に表示されるグラフ等には、記憶部12が蓄積したデータだけではなく、予測モデル13aが予測した未来の一のユーザ20のフィジカル情報及び、メンタル情報等が含まれていてもよい。
【0078】
返答表示領域33は、生成AI14aが一のユーザ20の健康状態に関する質問を受け付けて、予測モデル13aを用いて作成した一のユーザ20の質問に対する返答が表示される領域である。返答の内容は、例えば、記憶部12が蓄積した一のユーザ20のフィジカル情報及び、メンタル情報等の変動に関する詳細な説明であってもよいし、記憶部12が蓄積した一のユーザ20のフィジカル情報及び、メンタル情報等の変動から予測される一のユーザ20の将来の健康状態に関する詳細な説明であってもよい。また、返答の内容は、グラフ表示領域32に表示されるグラフについての詳細な説明であってもよい。
【0079】
対策表示領域34は、生成AI14aが一のユーザ20の健康状態に関する質問を受け付けて、予測モデル13aを用いて予測した一のユーザ20の将来の健康状態についての対策が表示される領域である。対策は、例えば、フレイル、ロコモ及び認知症のうちの少なくとも一つへの進行を抑制させるために、一のユーザ20が行うべき行動を勧める返答である。
【0080】
[8 携帯端末21による具体的な表示例]
図8Aは、一のユーザ20が携帯端末21に質問を入力したときの携帯端末21による入出力領域を説明する図である。
【0081】
図8Aに示されるように、一のユーザ20が入力領域31に「将来の健康状態と対策は?」と入力すると、生成AI14aは、「将来の健康状態と対策は?」を受け付ける。
【0082】
図8Bは、生成AI14aが一のユーザ20の質問に対して返答をしたときの携帯端末21による入出力領域を説明する図である。
【0083】
図8Bに示されるように、生成AI14aは、一のユーザ20からの「将来の健康状態と対策は?」を受け付けると、予測モデル13aを用いて質問に対する返答を作成して、グラフ表示領域32、返答表示領域33及び対策表示領域34に返答を表示する。例えば、グラフ表示領域32には、記憶部12が蓄積した一のユーザ20の一日の平均歩行数及び一日の平均メール数を実線で描いたグラフが表示される。さらに、それぞれのグラフには、予測モデル13aが予測した一のユーザ20の将来の一日の平均歩行数及び一日の平均メール数が点線で表示される。また、返答表示領域33には、「2020年から2022年にかけて一日の平均歩行数が減少傾向です。この傾向が続くと、5年後には一人での歩行が困難になる可能性があります。」等の一のユーザ20の質問に対する返答が表示される。さらに、対策表示領域34には、「対策としましては、次の内容を提案します。(1)1日に10分の散歩の時間を作る。(2)ストレッチやラジオ体操をする。」等の一のユーザ20の質問に対する対策が表示される。
【0084】
[9 効果等]
以上のように、実施の形態2によれば、健康管理支援システム101は、一のユーザ20からの個人的な健康状態に関する質問を受け付け、一のユーザ20に対してアドバイスを行うことができる。この結果、一のユーザ20は、健康管理支援システム101からのアドバイスを実行することができるので、一のユーザ20が将来に要支援状態または要介護状態になることを回避させることができる。
【0085】
(付記)
以上の実施の形態等の記載により、下記の技術が開示される。
【0086】
(技術1)複数のユーザのそれぞれの歩行情報と前記複数のユーザのそれぞれの端末装置の利用状況を示す端末利用情報とである個人データを、前記ユーザの端末装置から所定の間隔で取得する取得部と、前記取得部が取得した前記複数のユーザのそれぞれの個人データを含む集団データを蓄積する記憶装置と、所定期間、前記記憶装置に蓄積された前記複数のユーザのうちの一のユーザについての時系列の個人データから、集団データを経時的な変化を有する個人データに活かして予測する予測モデルを用いて、前記一のユーザが要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを予測する予測モデル部と、予測された前記リスクに基づき作成された前記一のユーザに対する健康管理支援を示す提供情報を前記一のユーザの端末装置に出力する提供部と、を備える、健康管理支援システム。
【0087】
このようにして、ユーザ20のそれぞれが有する携帯端末21から得られ、蓄積された歩行情報、端末利用情報(つまり個人データ)から、一のユーザ20が要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを予測することができる。よって、複数のユーザ20がそれぞれ将来に要支援状態または要介護状態になることを回避せしめることができる。
【0088】
より詳細には、ユーザ20のそれぞれが有する携帯端末21から得られ、蓄積された経時的な個人の日常生活データと言える個人データから、予測モデルを用いて、一のユーザ20が要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを予測することができる。そして、予測したリスクに基づき作成した一のユーザ20に対する健康管理支援を示す提供情報を一のユーザに提供できる。
【0089】
一方、ユーザ20は、ユーザ20が有する携帯端末21に特別なソフトウェアを入れることなく、携帯端末21を日常利用して得られる歩行情報及び端末利用情報を健康管理支援システムに提供するだけでよい。これにより、ユーザ20は、要介護状態または要支援状態に将来なるリスクに基づき作成された健康管理支援を示す提供情報を受け取ることができる。ユーザ20は、提供情報を受け取ったことを契機に、要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを回避するための行動変容の必要を自覚することができ、行動変容を行うことができる。ユーザ20は、自分自身のことがよく見えないのが実際であるから、とりわけ徐々に進行する活力の低下、日常生活動作、精神的心理的活力の低下、社会活動の低下等々を自覚できない。しかし、ユーザ20は、提供情報を受け取ったことを契機にこれらを自覚でき、行動変容の必要性を自覚することができるようになるからである。
【0090】
この結果、ユーザ20は将来に要支援状態または要介護状態になることを回避することができる。つまり、本開示の一形態に係る健康管理支援システムによれば、ユーザ20がそれぞれ将来に要支援状態または要介護状態になることを回避せしめることができる。そして、このような行動変容を複数のユーザ20に促すことができるので、将来、要支援状態または要介護状態に陥る高齢者の数を抑制することに繋げることができる。
【0091】
(技術2)前記予測モデルは、過去の所定期間、前記記憶装置に蓄積された所定数のユーザのそれぞれの歩行情報及び端末利用情報を含む集団データと、前記所定数のユーザが前記要介護状態または要支援状態の認定に至った診断データとから、構築される、技術1に記載の健康管理支援システム。
【0092】
このようにして、所定数のユーザ20について蓄積された歩行情報、端末利用情報から集団データを得ることができる。そして、得られた集団データと、診断データとから、予測モデルを構築することができる。これにより、集団データを経時的な変化を有する個人データに活かして個人が要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを予測する予測モデルを得ることができる。
【0093】
(技術3)前記予測モデルは、前記集団データから取り出された、前記所定数のユーザにおけるフィジカル状態を示すフィジカル情報、ソーシャルコンタクト状態を示すソーシャル情報及びメンタル状態を示すメンタル情報と前記診断データとから、構築される、技術2に記載の健康管理支援システム。
【0094】
このように、集団データから、フィジカル情報、ソーシャル情報及びメンタル情報を取り出して用いることで予測モデルを構築することができる。
【0095】
(技術4)前記フィジカル情報は、前記所定数のユーザについての歩行情報であり、前記歩行情報は、一日の歩行時間、一日の歩数、歩行速度、歩幅、上った階段数、歩行距離のうちの少なくともいずれかの関係性を示す、技術3に記載の健康管理支援システム。
【0096】
(技術5)前記ソーシャル情報は、前記所定数のユーザが前記端末装置を用いて行った相手とのやりとりに関する情報であり、前記やりとりに関する情報は、前記所定数のユーザが前記端末装置を用いてメールを行う頻度、前記メールに含まれる文の長さ、前記メールをやりとりする相手の数、または、前記端末装置に含まれる各種ソフト、アプリの使用率のうちの少なくともいずれかを含む、技術3または技術4に記載の健康管理支援システム。
【0097】
(技術6)前記メンタル情報は、前記所定数のユーザについての睡眠情報及び、マインドフル情報の少なくともいずれかを含む、技術3~技術5のいずれかに記載の健康管理支援システム。
【0098】
(技術7)さらに、公共交通機関の利用状況を含む複数の人の行動情報と、複数の人が要介護状態または要支援状態であるかどうかを示す介護状態情報とを含む、行政が管理する行政データを取得して、取得した前記行政データを用いて、前記予測モデルを更新する更新部を備える、技術2~技術6のいずれかに記載の健康管理支援システム。
【0099】
このように、行政データを取得して、予測モデルを更新することができる。これにより、要介護状態または要支援状態に将来なるリスクをより精度良く予測するために用いことができる予測モデルに更新される。
【0100】
(技術8)前記提供部は、前記一のユーザについてのリスクと、前記一のユーザについての歩行情報及び端末利用情報とに基づき、前記一のユーザに対する健康管理支援を示す提供情報を作成して、前記一のユーザの端末装置へ出力する、技術1~技術7のいずれかに記載の健康管理支援システム。
【0101】
これにより、提供情報を受け取ったユーザ20に、要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを回避するための行動変容の必要を自覚させることができる。この結果、ユーザ20に行動変容を行わせることができるので、ユーザ20が将来に要支援状態または要介護状態になることを回避させることができる。
【0102】
(技術9)前記健康管理支援は、フレイル、ロコモ及び認知症のうちの少なくとも一つへの進行を抑制させる対策であり、前記対策には、前記少なくとも一つへ進行する原因となる傷病の治療もしくは管理、または、少なくとも一つへの進行を抑制させる運動行為を勧めることを含む、技術1~技術8いずれかに記載の健康管理支援システム。
【0103】
これにより、提供情報を受け取ったユーザ20に、フレイル、ロコモ、認知症の進行を抑制させる治療、管理、運動行為の必要を自覚させることができる。この結果、ユーザ20に治療、管理、運動行為を行わせることができるので、ユーザ20が将来に要支援状態または要介護状態になることを回避させることができる。
【0104】
(技術10)前記提供部は、生成AI(Artificial Intelligence)を備え、前記生成AIは、前記一のユーザから前記一のユーザの健康状態に関する質問を受け付けて、前記予測モデルを用いて前記質問に対する返答を作成して出力する、技術1~9のいずれかに記載の健康管理支援システム。
【0105】
これにより、健康管理支援システム101は、一のユーザ20からの個人的な健康状態に関する質問を受け付け、一のユーザ20に対してアドバイスを行うことができる。この結果、一のユーザ20は、健康管理支援システム101からのアドバイスを実行することができるので、一のユーザ20が将来に要支援状態または要介護状態になることを回避させることができる。
【0106】
(技術11)前記健康管理支援は、フレイル、ロコモ及び認知症のうちの少なくとも一つへの進行を抑制させる対策であり、前記返答には、前記一のユーザの前記個人データの整理、前記一のユーザの将来の前記少なくとも一つへの進行の状態を示す予測結果、または、前記少なくとも一つへの進行を抑制させる前記対策を勧めることを含む、請求項10に記載の健康管理支援システム。
【0107】
これにより、健康管理支援システム101は、一のユーザ20からの個人的な健康状態に関する質問を受け付け、一のユーザ20に対してより丁寧な説明形式または対話形式でアドバイスを行うことができる。この結果、一のユーザ20は、健康管理支援システム101からのアドバイスを実行することができるので、一のユーザ20が将来に要支援状態または要介護状態になることを回避させることができる。
【0108】
(技術12)複数のユーザのそれぞれの歩行情報と前記複数のユーザのそれぞれの端末装置の利用状況を示す端末利用情報とである個人データを、前記ユーザの端末装置から所定の間隔で取得し、取得した前記複数のユーザのそれぞれの個人データを含む集団データを記憶装置に蓄積し、予測モデルを用いて、前記複数のユーザのうちの一のユーザについての端末利用情報であって所定期間、前記記憶装置に蓄積された時系列の個人データから、集団データを経時的な変化を有する個人データに活かして予測する予測モデルを用いて、前記一のユーザが要介護状態または要支援状態に将来なるリスクを予測し、予測された前記リスクに基づき作成された前記一のユーザに対する健康管理支援を示す提供情報を前記一のユーザの端末装置に出力する、健康管理支援方法。
【0109】
(他の実施態様の可能性)
以上、上記の実施の形態及び実施例において本開示の健康管理支援システム及び健康管理支援方法について説明したが、各処理が実施される主体や装置に関しては特に限定しない。ローカルに配置された特定の装置内に組み込まれたプロセッサなどによって処理されてもよい。またローカルの装置と異なる場所に配置されているクラウド(クラウドサーバ)などによって処理されてもよい。
【0110】
なお、本開示は、上記実施の形態等に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本開示の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本開示の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本開示に含まれる。
【0111】
また、本開示は、さらに、以下のような場合も含まれる。
【0112】
(1)上記の装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。前記RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0113】
(2)上記の装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0114】
(3)上記の装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0115】
(4)また、本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0116】
(5)また、本開示は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータで読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
【0117】
また、本開示は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0118】
また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
【0119】
また、前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、または前記プログラムまたは前記デジタル信号を、前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本開示は、スマートフォンなど個々のユーザが使用する携帯端末から得られるデータを用いて、ユーザ個人の健康管理を支援するための健康管理支援システム、健康管理支援方法、及びプログラムに利用できる。
【符号の説明】
【0121】
10 クラウド
11 取得部
12 記憶装置
12a、12b DB
13 予測モデル部
13a 予測モデル
14 提供部
14a 生成AI
15 更新部
20 ユーザ
21 携帯端末
31 入力領域
32 グラフ表示領域
33 返答表示領域
34 対策表示領域
100、101 健康管理支援システム
【要約】
複数のユーザのそれぞれのフィジカル情報、ソーシャル情報、メンタル情報と複数のユーザのそれぞれの端末装置の利用状況を示す端末利用情報とである個人データを、ユーザの端末装置から所定の間隔で取得する取得部(11)と、複数のユーザのそれぞれの個人データを含む集団データを蓄積する記憶装置(12)と、複数のユーザのうちの一のユーザについて所定期間、記憶装置(12)に蓄積された時系列の個人データから、集団データを経時的な変化を有する個人データに活かして予測する予測モデル(13a)を用いて、一のユーザが将来なるリスクを予測する予測モデル部(13)と、予測されたリスク等に基づき作成された健康管理支援を示す提供情報を一のユーザの端末装置に出力する提供部(14)と、を備える。