(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】コンテナ形成用シート体およびコンテナ
(51)【国際特許分類】
B65D 5/22 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
B65D5/22 E
(21)【出願番号】P 2020130647
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】小林 昌弘
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-019768(JP,A)
【文献】実公昭40-013906(JP,Y1)
【文献】実公昭39-026668(JP,Y1)
【文献】実公昭42-015652(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収容物が載置される底板と、
前記底板の外周部の一部に互いに対向する位置にそれぞれ起立して設けられて前記被収容物の周囲を囲む側壁の一部を構成する一対の第1側壁と、
前記底板の外周部における前記一対の第1側壁の間に起立して設けられて前記被収容物の周囲を囲む側壁の他の一部を構成する第2側壁とを有して上方が開口した箱状のコンテナとして組み立てられる1枚のコンテナ形成用シート体であって、
前記一対の第1側壁のうちの少なくとも一方は、
前記底板に対して張り出して形成された第1側壁用外側壁と、
前記第1側壁用外側壁に対して前記底板とは反対側に張り出して形成された第1側壁用内側壁と、
前記第1側壁用外側壁に対して同第1側壁用外側壁の張り出し方向に直交する方向に張り出して形成された第2側壁構成片とを有し、
前記第2側壁構成片は、
前記第1側壁用外側壁に対して同第1側壁用外側壁の張り出し方向に直交する方向に張り出して形成されて前記コンテナの組立時に前記第1側壁用外側壁に対して折り曲げられて前記第2側壁の内側に配置される第1内側片と、
前記第1内側片から張り出して前記第1側壁用内側壁に隣接する位置に形成されて前記コンテナの組立時に前記第1内側片に対して折り曲げられて同第1内側片に対向配置される第2内側片とを有し、
前記第2内側片は、
前記第1側壁用内側壁に対して繋がっておらず分離して
おり、
前記第1側壁用内側壁に対向する対向辺が前記第1内側片側から外側に向かって前記第1側壁用内側壁から離れるように傾斜して形成されていることを特徴とするコンテナ形成用シート体。
【請求項2】
請求項1に記載したコンテナ形成用シート体において、
前記第2内側片は、
前記第1側壁用内側壁に対して離隔して形成されていることを特徴とするコンテナ形成用シート体。
【請求項3】
請求項1または
請求項2に記載したコンテナ形成用シート体において、
前記第2内側片は、
前記第1内側片とは反対側の外側辺に外側に張り出す係合突起を有しており、
前記底板は、
前記第2側壁に隣接する位置に前記係合突起が挿し込まれる係合貫通孔が形成されていることを特徴とするコンテナ形成用シート体。
【請求項4】
請求項1ないし
請求項3のうちのいずれか1つに記載したコンテナ形成用シート体において、
前記一対の第1側壁を構成する2つの前記第1側壁は、
それぞれ前記第1側壁用外側壁、前記第1側壁用内側壁および前記第2側壁構成片を有していることを特徴とするコンテナ形成用シート体。
【請求項5】
請求項4に記載したコンテナ形成用シート体において、
前記一対の第1側壁にそれぞれ形成された各前記第2側壁構成片は、
前記コンテナの組立時に互いに重なる長さに形成されており、かつ、
前記第1内側片と前記第2内側片との間で前記第1側壁用外側壁とは反対側の自由端側に形成されたロック部と、
前記第1内側片と前記第2内側片との間における前記ロック部に隣接して同ロック部よりも大きく開口する嵌合開口部とをそれぞれ有していることを特徴とするコンテナ形成用シート体。
【請求項6】
請求項5に記載したコンテナ形成用シート体において、
前記ロック部は、
前記コンテナの組立時において前記第1内側片と前記第2内側片との間で水平方向に延びる平面状に形成されていることを特徴とするコンテナ形成用シート体。
【請求項7】
請求項1ないし
請求項6のうちのいずれか1つに記載したコンテナ形成用シート体において、
前記第2側壁は、
前記コンテナの組立時に取っ手となる貫通孔状の取っ手部が形成されており、
前記第2側壁構成片は、
前記コンテナの組立時に前記取っ手部に重なる位置に同取っ手部と同じ大きさまたは同取っ手部よりも大きな大きさの貫通孔状の内側取っ手部が形成されていることを特徴とするコンテナ形成用シート体。
【請求項8】
被収容物が載置される底板と、
前記底板の外周部の一部に互いに対向する位置にそれぞれ起立して設けられて前記被収容物の周囲を囲む側壁の一部を構成する一対の第1側壁と、
前記底板の外周部における前記一対の第1側壁の間に起立して設けられて前記被収容物の周囲を囲む側壁の他の一部を構成する第2側壁とを有して上方が開口した箱状に形成されるコンテナであって、
前記コンテナは、
前記請求項1ないし
請求項7のうちのいずれか1つに記載したコンテナ形成用シート体によって構成されていることを特徴とするコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方が開口した箱状のコンテナとして組み立てられる1枚のコンテナ形成用シート体およびこのコンテナ形成用シート体によって組み立てられるコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上方が開口した箱状のコンテナとして組み立てられる1枚のコンテナ形成用シート体およびこのコンテナ形成用シート体によって組み立てられるコンテナがある。例えば、下記特許文献1には、被収容物の周囲を長方形状に囲む側壁のうちの長辺となる側壁に短辺となる側壁を構成する延長壁(2A,3A)を形成した折畳式トレーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された折畳式トレーは、長辺となる側壁が内壁と外壁の2つの側壁で構成されているため延長壁(2A,3A)についても2つの側壁で構成されており、長辺となる側壁に形成された延長壁(2A,3A)を恒久的に折り曲げるために強い力が必要になって作業負担が大きいという問題がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、組立時の作業負担を軽減することができるコンテナ形成用シート体およびこのコンテナ形成用シート体によって組み立てられるコンテナを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、被収容物が載置される底板と、底板の外周部の一部に互いに対向する位置にそれぞれ起立して設けられて被収容物の周囲を囲む側壁の一部を構成する一対の第1側壁と、底板の外周部における一対の第1側壁の間に起立して設けられて被収容物の周囲を囲む側壁の他の一部を構成する第2側壁とを有して上方が開口した箱状のコンテナとして組み立てられる1枚のコンテナ形成用シート体であって、一対の第1側壁のうちの少なくとも一方は、底板に対して張り出して形成された第1側壁用外側壁と、第1側壁用外側壁に対して底板とは反対側に張り出して形成された第1側壁用内側壁と、第1側壁用外側壁に対して同第1側壁用外側壁の張り出し方向に直交する方向に張り出して形成された第2側壁構成片とを有し、第2側壁構成片は、第1側壁用外側壁に対して同第1側壁用外側壁の張り出し方向に直交する方向に張り出して形成されてコンテナの組立時に第1側壁用外側壁に対して折り曲げられて第2側壁の内側に配置される第1内側片と、第1内側片から張り出して第1側壁用内側壁に隣接する位置に形成されてコンテナの組立時に第1内側片に対して折り曲げられて同第1内側片に対向配置される第2内側片とを有し、第2内側片は、第1側壁用内側壁に対して繋がっておらず分離しており、第1側壁用内側壁に対向する対向辺が第1内側片側から外側に向かって第1側壁用内側壁から離れるように傾斜して形成されていることにある。
【0007】
このように構成した本発明の特徴によれば、コンテナ形成用シート体は、第2内側片が第1側壁用内側壁に対して繋がっておらず分離して構成されているため、第2側壁構成片を第1側壁に対して折り曲げる際に少ない力で第2側壁構成片を折り曲げることができコンテナの組立時の作業負担を軽減することができる。また、本発明に係るコンテナ形成用シート体によれば、第1側壁用内側壁の第1側壁用外側壁に対する折り曲げ作業も容易化することができる。なお、第2内側片が第1側壁用内側壁に対して繋がっておらず分離した構成とは、第1側壁用内側壁と第2内側片との間に切込み(切断線)を形成した構成のほかに、第1側壁用内側壁と第2内側片との間に溝状の切欠きを形成した構成がある。また、本発明に係るコンテナ形成用シート体によれば、第2内側片における第1側壁用内側壁に対向する対向辺が第1内側片側から外側(自由端側)に向かって第1側壁用内側壁から離れるように傾斜して形成されているため、コンテナの組立作業時に第1側壁用内側壁に隣接配置される第2内側片の接触量を減らして第2内側片の配置作業を容易にすることができる。
【0008】
また、本発明の他の特徴は、前記コンテナ形成用シート体において、第2内側片は、第1側壁用内側壁に対して離隔して形成されていることにある。
【0009】
このように構成した本発明の特徴によれば、コンテナ形成用シート体は、第2内側片が第1側壁用内側壁に対して離隔して形成されているため、第1側壁用内側壁と第2内側片とが擦れることがないため、第1側壁用内側壁および第2側壁構成片の折り曲げ作業をより容易にすることができる。
【0010】
削除
【0011】
削除
【0012】
また、本発明の他の特徴は、前記コンテナ形成用シート体において、第2内側片は、第1内側片とは反対側の外側辺に外側に張り出す係合突起を有しており、底板は、第2側壁に隣接する位置に係合突起が挿し込まれる係合貫通孔が形成されていることにある。
【0013】
このように構成した本発明の特徴によれば、コンテナ形成用シート体は、底板における第2側壁に隣接する位置に係合突起が挿し込まれる係合貫通孔が形成されているため、コンテナの組立時において第2内側片を恒久的に精度良く位置決めして起立させることができる。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、前記コンテナ形成用シート体において、一対の第1側壁を構成する2つの第1側壁は、それぞれ第1側壁用外側壁、第1側壁用内側壁および第2側壁構成片を有していることにある。
【0015】
このように構成した本発明の特徴によれば、コンテナ形成用シート体は、一対の第1側壁を構成する2つの第1側壁がそれぞれ第1側壁用外側壁、第1側壁用内側壁および第2側壁構成片を有しているため、一対の第2側壁構成片によって第2側壁の強度を向上させることができるとともに一対の第2側壁構成片の組立作業負担を軽減することができる。
【0016】
また、本発明の他の特徴は、前記コンテナ形成用シート体において、一対の第1側壁にそれぞれ形成された各第2側壁構成片は、コンテナの組立時に互いに重なる長さに形成されており、かつ、第1内側片と第2内側片との間で第1側壁用外側壁とは反対側の自由端側に形成されたロック部と、第1内側片と第2内側片との間におけるロック部に隣接して同ロック部よりも大きく開口する嵌合開口部とをそれぞれ有していることにある。
【0017】
このように構成した本発明の特徴によれば、コンテナ形成用シート体は、一対の第1側壁にそれぞれ形成された各第2側壁構成片がコンテナの組立時に互いに重なる長さに形成されており、かつ、第1内側片と第2内側片との間で第1側壁用外側壁とは反対側の自由端側に形成された第1連結部と、この第1連結部に隣接して同第1連結部よりも大きく開口する嵌合開口部とをそれぞれ有している。これにより、コンテナ形成用シート体は、一対の第1側壁のうちの一方の第1側壁における第2側壁構成片を他方の第1側壁における第2側壁構成片上に重ねる際に互いの嵌合開口部に互いの連結部を嵌合させることができ、一対の第2側壁構成片を強固に連結して第2側壁の剛性を高めることができる。
【0018】
また、本発明の他の特徴は、前記コンテナ形成用シート体において、ロック部は、コンテナの組立時において第1内側片と第2内側片との間で水平方向に延びる平面状に形成されていることにある。
【0019】
このように構成した本発明の特徴によれば、コンテナ形成用シート体は、ロック部は、コンテナの組立時において水平方向に延びる平面状に形成されているため、第2側壁に対して面接触することで第2側壁の上面の変形および損傷を防止することができる。特に、コンテナ形成用シート体は、コンテナとして使用する際に段積みした場合における加重によって第2側壁がロック部に強く押し付けられた際の損傷を防止することができる。
【0020】
また、本発明の他の特徴は、前記コンテナ形成用シート体において、第2側壁は、コンテナの組立時に取っ手となる貫通孔状の取っ手部が形成されており、第2側壁構成片は、コンテナの組立時に取っ手部に重なる位置に同取っ手部と同じ大きさまたは同取っ手部よりも大きな大きさの貫通孔状の内側取っ手部が形成されていることにある。
【0021】
このように構成した本発明の特徴によれば、コンテナ形成用シート体は、コンテナ組立時に第2側壁構成片における取っ手部に重なる位置に同取っ手部と同じ大きさまたは同取っ手部よりも大きな大きさの貫通孔状の内側取っ手部が形成されているため、取っ手部が第2側壁と第2側壁構成片とで構成されることで強度を向上させることができる。また、コンテナ形成用シート体は、コンテナ組立時に第2側壁構成片における取っ手部に重なる位置に同取っ手部よりも大きな大きさの貫通孔状の内側取っ手部が形成されているため、取っ手部に対して内側取っ手部の位置を厳格に位置合わせする必要がなく作業効率を向上させることができる。
【0022】
また、本発明は、コンテナ形成用シート体の発明として実施できるばかりでなく、このコンテナ形成用シート体を組み立てたコンテナの発明としても実施できるものである。
【0023】
具体的には、コンテナは、被収容物が載置される底板と、底板の外周部の一部に互いに対向する位置にそれぞれ起立して設けられて被収容物の周囲を囲む側壁の一部を構成する一対の第1側壁と、底板の外周部における一対の第1側壁の間に起立して設けられて被収容物の周囲を囲む側壁の他の一部を構成する第2側壁とを有して上方が開口した箱状に形成されるコンテナであって、コンテナは、請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載したコンテナ形成用シート体によって構成されている。これによれば、コンテナは、上記コンテナ形成用シート体と同様の作用効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係るコンテナ形成用シート体の外観構成を展開した状態で示す平面図である。
【
図2】
図1に示すコンテナ形成用シート体の外観構成の概略的に示す斜視図である。
【
図3】
図2に示すコンテナ形成用シート体に対して組み立て過程を進めた状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3に示すコンテナ形成用シート体に対して組み立て過程を進めた状態を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示すコンテナ形成用シート体に対して組み立て過程を進めた状態を示す斜視図である。
【
図6】
図5に示すコンテナ形成用シート体に対して組み立て過程を進めた状態を示す斜視図である。
【
図7】
図6に示すコンテナ形成用シート体に対して組み立て過程を進めてコンテナを組み立てた状態を示す本発明に係るコンテナの斜視図である。
【
図8】(A),(B)は、本発明の変形例に係るコンテナ形成用シート体における一対の第2側壁構成片を示しており、(A)は一対の第2側壁構成片における一方の外観構成を展開した状態で示す部分平面図であり、(B)は一対の第2側壁構成片における他方の外観構成を展開した状態で示す部分平面図である。
【
図9】
図8に示したコンテナ形成用シート体における
図6に対応する組み立て過程の状態を示す斜視図である。
【
図10】本発明の他の変形例に係るコンテナ形成用シート体における一対の第2側壁構成片における一方の外観構成を展開した状態で示す部分平面図である。
【
図11】
図10に示したコンテナ形成用シート体における
図6に対応する組み立て過程の状態を示す斜視図である。
【
図12】本発明の他の変形例に係るコンテナ形成用シート体における一対の第2側壁構成片における一方の外観構成を展開した状態で示す部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係るコンテナ形成用シート体およびコンテナの一実施形態について図面を参照しながらそれぞれ説明する。
図1は、本発明に係るコンテナ形成用シート体100の外観構成を展開した状態で示す平面図である。また、
図2は、
図1に示すコンテナ形成用シート体100の外観構成の概略的に示す斜視図である。また、本実施形態および各変形例で参照する各図においては、折られていない状態の折り目を破線で示している。また、
図1を除く本実施形態および各変形例で参照する各図においては、理解を容易するために主要な符号のみを付して他の符号の表示を適宜省略している。このコンテナ形成用シート体100は、弁当またはパック詰めされた総菜などの被収容物(図示せず)を運搬または保管のために収容するコンテナ180を形成するものである。
【0026】
(コンテナ形成用シート体100の構成)
コンテナ形成用シート体100は、帯状に延びる1枚の段ボール材に、主として、1つの底板110、一対の第1側壁120,140および一対の第2側壁160,170をそれぞれ備えて構成されている。底板110は、被収容物が載置される部分であり、平面視で方形に形成されている。この場合、底板110は、本実施形態においては、平面視で長方形状に形成されているが長方形以外の形状、例えば、正方形または六角形などの多角形状であってもよい。なお、
図1において、底板110上に記載されている円は、コンテナ形成用シート体100を構成する段ボールのフルートの形成方向を示している。
【0027】
この底板110には、4辺からなる各外周部における一対の第1側壁120,140との各境界部分、および一対の第2側壁160,170との各境界部分にそれぞれ罫線111a,111bおよび罫線112a,112bがそれぞれ形成されている。罫線111a,111bは、底板110に対して一対の第1側壁120,140をそれぞれ正確に折り易くするための部分であり線状に形成されている。罫線112a,112bは、底板110に対して一対の第2側壁160,170をそれぞれ正確に折り易くするための部分であり線状に形成されている。これらの罫線111a,111bおよび罫線112a,112bの近傍には、第1側壁用係合貫通孔113および第2側壁用係合貫通孔114がそれぞれ形成されている。
【0028】
第1側壁用係合貫通孔113は、後述する第1側壁用内側壁126に形成される第1側壁用係合突起128が挿し込まれることで第1側壁用内側壁126の折り畳み状態を維持するための部分であり、平面視で長方形状の貫通孔によって構成されている。この第1側壁用係合貫通孔113は、罫線111a,111bにそれぞれ接した状態で2つずつ形成されている。また、これら各第1側壁用係合貫通孔113における第1側壁用内側壁126の厚さ方向の幅が、第1側壁用内側壁126の厚さの2倍以上かつ10倍以下の幅で形成されている。本実施形態においては、各第1側壁用係合貫通孔113の幅は、第1側壁用内側壁126の厚さの5倍の長さ(幅)で形成されている。これにより、第1側壁用係合貫通孔113は、第1側壁用内側壁126の第1側壁天井部124に対する屈曲角度の変化を許容するように構成されている。
【0029】
第2側壁用係合貫通孔114は、後述する第2側壁構成片130に形成される第2側壁用係合突起138が挿し込まれることで第2内側片137の折り畳み状態を維持するための部分であり、平面視で長方形状の貫通孔によって構成されている。この第2側壁用係合貫通孔114は、罫線112a,112bに対して底板110の中央部側に離隔した位置にそれぞれ2つずつ形成されている。また、これら各第2側壁用係合貫通孔114における第2側壁構成片130厚さ方向の幅が、第2側壁構成片130の厚さの2倍以上かつ10倍以下の幅で形成されている。本実施形態においては、各第2側壁用係合貫通孔114の幅は、第1側壁用内側壁126の厚さの2倍の長さ(幅)で形成されている。第1側壁用係合貫通孔113は、第2内側片137の連結部134およびロック部135に対する屈曲角度の変化を許容するように構成されている。
【0030】
また、各第2側壁用係合貫通孔114には、長手方向の両端部に底板110の中央部側に向かって切込み114aがそれぞれ形成されている。切込み114aは、第2側壁用係合貫通孔114の周辺部の一部を変形し易くして第2側壁用係合貫通孔114内に第2側壁用係合突起138を挿し込み易くするための部分であり、第2側壁用係合貫通孔114の短辺に繋がる直線状の切込みで形成されている。なお、第1側壁用係合貫通孔113および第2側壁用係合貫通孔114を形成する位置および数は、適宜設定されればよいことは当然である。
【0031】
第1側壁120,140は、底板110の外周部の一部に互いに対向した状態でそれぞれ起立して設けられて被収容物の周囲を囲む側壁の一部を構成する部分である。この第1側壁120と第1側壁140とは、底板110を挟んで線対称に形成されて両者は実質的に同一形状であるため、主として第1側壁120について説明する。
【0032】
第1側壁120は、主として、1つの第1側壁用外側壁121、1つの第1側壁天井部124、1つの第1側壁用内側壁126および一対の第2側壁構成片130をそれぞれ備えている。第1側壁用外側壁121は、コンテナ180の外側の側壁の一部を構成する部分であり、底板110に対して外側に張り出す平面視で長方形状に形成されている。この第1側壁用外側壁121には、4辺からなる各外周部における第1側壁天井部124との各境界部分、および一対の第2側壁構成片130との各境界部分には、それぞれ罫線122および罫線123がそれぞれ形成されている。
【0033】
罫線122は、第1側壁用外側壁121に対して第1側壁天井部124を正確に折り易くするための部分であり線状に形成されている。罫線123は、第1側壁用外側壁121に対して各第2側壁構成片130を正確に折り易くするための部分であり線状に形成されている。
【0034】
第1側壁天井部124は、第1側壁120の上面を構成する部分であり、第1側壁用外側壁121に対して外側に張り出す平面視で細長い略長方形状に形成されている。これにより、第1側壁120の上面は、細長い平面状に形成される。この第1側壁天井部124には、罫線125を介して第1側壁用内側壁126が形成されている。罫線125は、第1側壁天井部124に対して第1側壁用内側壁126を正確に折り易くするための部分であり線状に形成されている。
【0035】
第1側壁用内側壁126は、コンテナ180の内側の側壁の一部を構成する部分であり、第1側壁用外側壁121に対して第1側壁天井部124を介して外側に張り出す平面視で略長方形状に形成されている。この第1側壁用内側壁126には、第1側壁天井部124とは反対側の自由端の外側辺の長手方向の両端部に切欠き部127が形成されているとともに、同外側辺上に第1側壁用係合突起128が形成されている。
【0036】
切欠き部127は、後述する第2側壁160における引掛け部167が引っ掛けられる部分であり、第1側壁用内側壁126の角部が切り欠かれて形成されている。第1側壁用係合突起128は、前記第1側壁用係合貫通孔113に挿し込まれることで第1側壁用内側壁126の折り畳み状態を維持するための部分であり、第1側壁用内側壁126の外側辺から平面視で長方形状に張り出して形成されている。この場合、第1側壁用係合突起128の張出量は、第1側壁用係合貫通孔113を貫通して底板110から突出する長さに形成されている。この第1側壁用係合突起128は、本実施形態においては、第1側壁用内側壁126の外側辺の長手方向の両端部側にそれぞれ形成されているが、形成位置および形成数は適宜設定することができる。
【0037】
第2側壁構成片130は、第2側壁160の一部を構成する部分であり、第1側壁用外側壁121の長手方向の両端部からそれぞれ外側に張り出して形成されている。これら2つの第2側壁構成片130は、第1側壁用外側壁121を挟んで線対称に形成されて両者は実質的に同一形状であるため、一方(
図1における上側)の第2側壁構成片130について説明する。この第2側壁構成片130は、主として、第1内側片131、連結部134および第2内側片137をそれぞれ備えて構成されている。
【0038】
第1内側片131は、第2側壁160の内部に配置される部分であり、第1側壁用外側壁121の長手方向の両端部からそれぞれ外側に張り出して形成されている。この場合、第1内側片131における第2側壁160に対向する下辺131aは、先端側の部分が第2側壁160に対して離隔する方向に延びて形成されている。この第1内側片131には、内側取っ手部132および嵌合開口部139の一部がそれぞれ形成されているとともに、罫線133a,133bをそれぞれ介して連結部134およびロック部135が繋がって形成されている。
【0039】
内側取っ手部132は、コンテナ180を持ち上げる使用者が指先を挿入してコンテナ180を支持する部分であり、長孔状の貫通孔で構成されている。この内側取っ手部132は、このコンテナ形成用シート体100がコンテナ180として組み立てられた際に後述する取っ手部162に対向する位置に形成されている。この場合、内側取っ手部132は、取っ手部162よりも大きな大きさに形成されている。
【0040】
罫線133aは、第1内側片131に対して連結部134を正確に折り易くするための部分であり線状に形成されている。罫線133bは、第1内側片131に対しロック部135を正確に折り易くするための部分であり線状に形成されている。これらの罫線133a,133bは、段ボールを線状に押圧したものであってもよいが、折る際に反発力が強い部分であるため、より組み立て易くするために切断線を含むリード罫線が好ましい。
【0041】
連結部134は、第1内側片131と第2内側片137とを互いに連結するとともに第1側壁140の第2側壁構成片150に連結される部分であり、第1内側片131に対して外側に張り出す平面視で細長い略長方形状に形成されている。この連結部134は、嵌合開口部139に対して第1側壁天井部124側に形成されており、コンテナ180として組み立てられた際に水平方向に延びる平坦な平面状に形成される。
【0042】
ロック部135は、第1側壁120に対向する第1側壁140の第2側壁構成片150に形成される嵌合開口部159に嵌め込まれることで第2側壁構成片130と第2側壁構成片150とを互いに連結するための部分である。このロック部135は、嵌合開口部139に対して連結部134とは反対側の第2側壁構成片130の自由端側に形成されており、コンテナ180として組み立てられた際に水平方向に延びる平坦な平面状に形成される。これらの連結部134およびロック部135には、罫線136a,136bをそれぞれ介して第2内側片137が繋がって形成されている。
【0043】
罫線136aは、連結部134に対して第2内側片137を正確に折り易くするための部分であり線状に形成されている。罫線136bは、ロック部135に対して第2内側片137を正確に折り易くするための部分であり線状に形成されている。この場合、罫線133bと罫線136bとの間隔は、罫線133aと罫線136bとの間隔よりも広く形成されている。また、罫線133bと罫線136bと間の中心線は、罫線133aと罫線136bとの間の中心線と同一に形成されている。すなわち、対を構成する罫線133bと罫線136bとは、対を構成する罫線133aと罫線136aとに対して同芯で形成さている。これにより、ロック部135は、連結部134に対して同芯でかつ連結部134よりも幅広に形成されている。これらの罫線136a,136bは、段ボールを線状に押圧したものであってもよいが、折る際に反発力が強い部分であるため、より組み立て易くするために切断線を含むリード罫線が好ましい。
【0044】
第2内側片137は、第1内側片131とともに第2側壁160の内部に配置される部分であり、第1側壁用内側壁126に隣接する位置に位置するように第1内側片131から連結部134およびロック部135を介して外側に張り出して形成されている。この場合、第2内側片137は、第1側壁用内側壁126に対して離隔して形成されている。また、第2内側片137における第1側壁用内側壁126に対向する対向辺137aは、第1側壁用内側壁126に対して第1内側片131側から外側に向かって離隔距離が増加するように傾斜して形成されている。この第2内側片137には、連結部134およびロック部135に隣接する位置に嵌合開口部139の一部が形成されているとともに、連結部134およびロック部135とは反対側の自由端の外側辺137b上に第2側壁用係合突起138が形成されている。
【0045】
第2側壁用係合突起138は、前記第2側壁用係合貫通孔114に挿し込まれることで第2内側片137の折り畳み状態を維持するための部分であり、第2内側片137の外側辺137bから平面視で長方形状に張り出して形成されている。この場合、第2側壁用係合突起138の張出量は、第2側壁用係合貫通孔114を貫通して底板110から突出する長さに形成されている。この第2側壁用係合突起138は、本実施形態においては、第2内側片137の外側辺137bの中央部より第1側壁用内側壁126側に1つ形成されているが、形成位置および形成数は適宜設定することができる。
【0046】
嵌合開口部139は、第1側壁120に対向する第1側壁140の第2側壁構成片150に形成されるロック部155が嵌め込まれることで第2側壁構成片130と第2側壁構成片150とを互いに連結するための部分である。この嵌合開口部139は、連結部134とロック部135との間の部分が平面視で方形に切り抜かれて構成されている。すなわち、第2側壁構成片130および第2側壁構成片150は、ロック部135が嵌合開口部159に嵌合するとともに嵌合開口部139にロック部155が嵌合するように第1側壁120と第1側壁140との間の距離、換言すれば、第2側壁160,170の幅の半分よりも長い長さの互いに重なる長さに形成されている。
【0047】
この第1側壁120と対を構成する第1側壁140は、第1側壁用外側壁121、罫線122,123、第1側壁天井部124、罫線125、第1側壁用内側壁126、切欠き部127、第1側壁用係合突起128および第2側壁構成片130と線対称な第1側壁用外側壁141、罫線142,143、第1側壁天井部144、罫線145、第1側壁用内側壁146、切欠き部147、第1側壁用係合突起148および第2側壁構成片150をそれぞれ備えて構成されている。
【0048】
この場合、第2側壁構成片150は、第1内側片131、下辺131a、内側取っ手部132、罫線133a,133b、連結部134、ロック部135、罫線136a,136b、第2内側片137、対向辺137a、外側辺137b、第2側壁用係合突起138および嵌合開口部139に線対称な第1内側片151、下辺151a、内側取っ手部152、罫線153a,153b、連結部154、ロック部155、罫線156a,156b、第2内側片157、対向辺157a、外側辺157b、第2側壁用係合突起158および嵌合開口部159をそれぞれ備えて構成されている。
【0049】
第2側壁160,170は、底板110の外周部の他の一部において互いに対向した状態でそれぞれ起立して設けられて被収容物の周囲を囲む側壁の他の一部を構成する部分である。この第2側壁160と第2側壁170とは、底板110を挟んで線対称に形成されて両者は実質的に同一形状であるため、主として第2側壁160について説明する。
【0050】
第2側壁160は、主として、第2側壁用外側壁161、第2側壁天井部164および第2側壁用内側壁166をそれぞれ備えている。第2側壁用外側壁161は、コンテナ180の外側の側壁の他の一部を構成する部分であり、底板110に対して外側に張り出す平面視で略長方形状に形成されている。この場合、第2側壁用外側壁161における長手方向の両端の2つの側辺161aは第2側壁用外側壁161の中央部側に向かって凹状に凹む曲線でそれぞれ構成されている。
【0051】
この第2側壁用外側壁161には、取っ手部162が形成されているとともに、罫線163を介して第2側壁天井部164が繋がって形成されている。取っ手部162は、コンテナ180を持ち上げる使用者が指先を挿入してコンテナ180を支持する部分であり、長孔状の貫通孔で構成されている。この取っ手部162は、第2側壁用外側壁161の中央部分より若干上側の位置に形成されている。また、取っ手部162は、このコンテナ形成用シート体100がコンテナ180として組み立てられた際に前記した内側取っ手部132が対向する。罫線163は、第2側壁用外側壁161に対して第2側壁天井部164を正確に折り易くするための部分であり線状に形成されている。
【0052】
第2側壁天井部164は、第2側壁160の上面を構成する部分であり、第2側壁用外側壁161に対して外側に張り出す平面視で細長い長方形状に形成されている。これにより、第2側壁160の上面は、細長い平面状に形成される。この第2側壁天井部164には、罫線165を介して第2側壁用内側壁166が形成されている。罫線165は、第2側壁天井部164に対して第2側壁用内側壁166を正確に折り易くするための部分であり線状に形成されている。
【0053】
第2側壁用内側壁166は、コンテナ180の内側の側壁の他の一部を構成する部分であり、第2側壁用外側壁161に対して第2側壁天井部164を介して外側に張り出す平面視で略長方形状に形成されている。この第2側壁用内側壁166には、第2側壁天井部164とは反対側の自由端の外側辺上の中央部に切欠き部166aが形成されているとともに、第2側壁用内側壁166の長手方向の両端の2つの側辺の各先端部には引掛け部167がそれぞれ形成されている。
【0054】
切欠き部166aは、コンテナ180を解体する際に使用者が指を引っ掛けて第2側壁用内側壁166を第1側壁120,140から取り外しし易くするための部分であり、半円状に窪んだ形状に形成されている。引掛け部167は、第1側壁120に形成された前記切欠き部127に引っ掛けられて第2側壁用内側壁166を折り畳んだ状態で固定するための部分であり、第2側壁用内側壁166の長手方向の両端の2つの側辺の各先端部に外側に張り出す鉤状にそれぞれ形成されている。
【0055】
また、第2側壁用内側壁166には、罫線168が形成されている。罫線168は、第2側壁用内側壁166を第1側壁120,140に取り付ける際、または取り外す際に第2側壁用内側壁166を変形させ易くするための部分である。具体的には、罫線168は、第2側壁用内側壁166における第2側壁天井部164側の2つの隅部近傍から切欠き部166aに向かってそれぞれ線状に延びて形成されている。なお、罫線168は、第2側壁用内側壁166を変形させ易くする弱め線機能を有すればよく、断続する切込み線、いわゆるミシン目等とすることも可能である。
【0056】
この第2側壁160と対を構成する第2側壁170は、第2側壁用外側壁161、側辺161a、取っ手部162、罫線163、第2側壁天井部164、罫線165、第2側壁用内側壁166、切欠き部166a、引掛け部167および罫線168と線対称な第2側壁用外側壁171、側辺171a、取っ手部172、罫線173、第2側壁天井部174、罫線175、第2側壁用内側壁176、切欠き部176a、引掛け部177および罫線178をそれぞれ備えて構成されている。
【0057】
(コンテナ形成用シート体100の作動)
次に、上記のように構成したコンテナ形成用シート体100の作動について説明する。まず、コンテナ形成用シート体100の使用者は、1枚のシート状の段ボール材に1つの底板110、一対の第1側壁120,140および一対の第2側壁160,170がそれぞれ形成されたコンテナ形成用シート体100を用意する(
図1および
図2参照)。この場合、コンテナ形成用シート体100は、シート状の段ボール材を任意の形状に裁断する公知の裁断装置を用いて成形することができる。
【0058】
次に、使用者は、コンテナ形成用シート体100をコンテナ180に組み立てる。具体的には、使用者は、
図3に示すように、第1側壁120における第1側壁用内側壁126を第1側壁用外側壁121上に重なるように罫線122および罫線125をそれぞれ折る。これにより、使用者は、第1側壁天井部124を形成した状態で第1側壁用内側壁126を第1側壁用外側壁121上に対向配置させることができる。この場合、使用者は、第1側壁用内側壁126と第2側壁構成片130における第2内側片137とが互いに分離しているため、第1側壁用内側壁126を容易に折ることができる。次いで、使用者は、第1側壁140における第1側壁用内側壁146についても第1側壁用内側壁126と同様に第1側壁用外側壁141上に折る。
【0059】
次に、使用者は、
図4に示すように、第1側壁120における第1側壁用外側壁121を底板110に対して垂直方向に起立するように罫線111aを折る。この場合、使用者は、第1側壁用内側壁126の先端部に形成された2つの第1側壁用係合突起128を底板110に形成された2つの第1側壁用係合貫通孔113にそれぞれ挿し込む。これにより、使用者は、第1側壁用内側壁126のスプリングバック(復元力)による跳ね返りを規制した状態で第1側壁120を底板110に対して起立させることができる。
【0060】
この場合、第2側壁構成片130は、第1側壁用外側壁121に繋がって形成されているため、第1側壁用外側壁121と同様に起立する。また、使用者が、この場合、第2側壁160の側辺161aが凹状に凹んで形成されているため、第2側壁160に対する擦れを抑えて第2側壁構成片130を起立させることができる。次いで、使用者は、第1側壁140における第1側壁用外側壁141についても第1側壁用外側壁121と同様に底板110に対して起立するように折る。
【0061】
次に、使用者は、
図5に示すように、2つの第2側壁構成片130について2つの罫線123でそれぞれ折って第1側壁用内側壁126側に回動させながら第2内側片137を罫線133a,133bおよび罫線136a,136bでそれぞれ折って第1内側片131に対向配置させる。この場合、使用者は、第2内側片137の先端部に形成された第2側壁用係合突起138を底板110に形成された第2側壁用係合貫通孔114内に挿し込む。これにより、使用者は、第1内側片131および第2内側片137の各スプリングバックによる跳ね返りを規制した状態で第2側壁構成片130を底板110に対して起立させることができる。この場合、第2側壁構成片130は、連結部134およびロック部135がそれぞれ形成された状態で第1側壁120に対して直交する向きに延びて起立している。
【0062】
この第2側壁構成片130の組み立て作業において、使用者は、第1内側片131の下辺131aが上方に向かって傾斜しているため、第2側壁160に対する擦れを抑えて第2側壁構成片130を回動させることができる。また、使用者は、第2内側片137における対向辺137aが第1側壁用内側壁126に対して離隔するように傾斜して形成されているため、第2内側片137の第1側壁用内側壁126への押圧を抑えて底板110上に位置決めできるとともに第2側壁用係合突起138の第2側壁用係合貫通孔114への挿し込みを容易にすることができる。また、使用者は、第2側壁用係合貫通孔114に切込み114aが形成されているため、第2側壁用係合貫通孔114の周囲を変形させることで第2側壁用係合突起138を容易に挿し込むことができる。
【0063】
次に、使用者は、
図6に示すように、第2側壁構成片130と同様に、2つの第2側壁構成片150について2つの罫線142でそれぞれ折って第1側壁用内側壁146側に回動させながら第2内側片157を罫線153a,153bおよび罫線156a,156bでそれぞれ折って第1内側片151に対向配置する。この場合、使用者は、第1内側片151と第2内側片157とで第2側壁構成片130における自由端側(第2側壁構成片150側)を挟んで覆うように第2側壁構成片150を底板110上に配置する。これにより、第2側壁構成片150は、嵌合開口部159内に第2側壁構成片130のロック部135が嵌合するとともに、ロック部155が第2側壁構成片130の嵌合開口部139内に嵌合する。
【0064】
そして、使用者は、第2内側片157の先端部に形成された第2側壁用係合突起158を底板110に形成された第2側壁用係合貫通孔114内に挿し込む。これにより、使用者は、第2側壁構成片150の一部を第2側壁構成片130の一部に嵌合させた状態で第1内側片151および第2内側片157の各スプリングバックによる跳ね返りを規制した状態として第2側壁構成片150を底板110に対して起立させることができる。この場合、使用者は、第2内側片157における対向辺157aが第1側壁用内側壁146に対して離隔するように傾斜して形成されているため、第2内側片157の第1側壁用内側壁146への押圧を抑えて底板110上に容易に位置決めして第2側壁用係合突起138を第2側壁用係合貫通孔114に容易に挿し込むことができる。
【0065】
なお、本実施形態においては、第2側壁構成片130を組み立てた後に第2側壁構成片150を組み立てたが第2側壁構成片150を組み立てた後に第2側壁構成片130を組み立てることもできる。また、第2側壁構成片130および第2側壁構成片150のうちの一方を内側に配置しつつこれらを同時に組み立てることもできる。
【0066】
次に、使用者は、
図7に示すように、第2側壁160を罫線112a、罫線163および罫線165でそれぞれ折り曲げて第2側壁構成片130および第2側壁構成片150をそれぞれ覆う。この場合、使用者は、2つの罫線168をそれぞれ少しだけ折り曲げることで2つの引掛け部167を第1側壁120,140の各切欠き部127内に引っ掛けることができる。これにより、使用者は、第2側壁天井部164を形成しつつ第2側壁用外側壁161と第2側壁用内側壁166とで第2側壁構成片130および第2側壁構成片150をそれぞれ挟んだ状態で第2側壁160を底板110上に起立させることができる。この場合、第2側壁160における取っ手部162は、第2側壁構成片130,150における内側取っ手部132,152に重なった状態で対向配置される。
【0067】
次いで、使用者は、第2側壁170についても第2側壁160と同様に底板110に対して起立するように折る。これにより、使用者は、コンテナ形成用シート体100を上方が開口した箱状のコンテナ180として組み立てることができる。
【0068】
次に、使用者は、コンテナ180を容器として使用することができる。具体的には、使用者は、底板110上に被収容物を載置してコンテナ180を輸送または保管することができる。この場合、使用者は、取っ手部162内に指を挿し込んでコンテナ180を把持することができる。この場合、取っ手部162は、内側取っ手部132が連通して形成されているため、使用者は内側取っ手部132内にも指を挿し込んでコンテナ180を把持することができ、指に対する接触面積が増加することで指への圧迫および取っ手部162の損傷を防止することができる。
【0069】
次に、使用者は、コンテナ180を解体することができる。具体的には、使用者は、コンテナ形成用シート体100をコンテナ180に組み立てた手順とは逆の手順によってコンテナ180を展開してコンテナ形成用シート体100に戻すことができる。この場合、使用者は、第2側壁160,170の第2側壁用内側壁166,176に形成された切欠き部166a,176aに指を挿し込んで第2側壁用内側壁166,176を第1側壁120,140の第1側壁用内側壁126,146から取り外すことができる。
【0070】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、コンテナ形成用シート体100は、第2内側片137,157が第1側壁用内側壁126,146に対して繋がっておらず分離して構成されているため、第2側壁構成片130,150を第1側壁120,140に対して折り曲げる際に少ない力で折り曲げることができコンテナ180の組立時の作業負担を軽減することができる。また、コンテナ形成用シート体100は、第1側壁用内側壁126,146の第1側壁用外側壁121,141に対する折り曲げ作業も容易化することができる。
【0071】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、各変形例の説明においては、上記実施形態と同様の部分については同じ符号を付している。
【0072】
例えば、上記実施形態においては、コンテナ形成用シート体100は、第1側壁120における第2内側片137を第1側壁用内側壁126に対して分離して構成するとともに第1側壁140における第2内側片157を第1側壁用内側壁146に対して分離して構成した。しかし、コンテナ形成用シート体100は、第1側壁120および第1側壁140のうちの少なくとも一方について第2内側片137,157を第1側壁用内側壁126,146に対して分離して構成すればよい。
【0073】
また、上記実施形態においては、第2内側片137,157と第1側壁用内側壁126,146とを互いに離隔した状態で形成した。しかし、第2内側片137,157と第1側壁用内側壁126,146との間に切込みを形成して両者を接触した状態で形成することもできる。これによれば、コンテナ形成用シート体100は、第2内側片137,157と第1側壁用内側壁126,146とを互いに離隔して形成する場合に比べて製造負担を軽減することができる。
【0074】
また、上記実施形態においては、第2内側片137,157における対向辺137a,157aは、第1内側片131,151側から自由端である外側辺137b,157b側に向かって第1側壁用内側壁126,146に対して離隔するように傾斜して形成した。しかし、第2内側片137,157における対向辺137a,157aは、第1内側片131,151側から自由端である外側辺137b,157b側に向かって第1側壁用内側壁126,146に対して平行に形成することもできる。
【0075】
また、上記実施形態においては、ロック部135,155は、コンテナ180の組立時において第1内側片131と第2内側片137との間で水平方向に延びる平面状で互いに面一になるように形成した。これにより、コンテナ180は、段積みした場合における加重によって第2側壁160,170の第2側壁天井部164,174がロック部135,155に強く押し付けられた際の損傷を防止することができる。しかし、ロック部135,155は、上方に向かって尖った山形形状に形成することもできる。
【0076】
例えば、ロック部135は、
図8(A),(B)および
図9にそれぞれ示すように、嵌合開口部139,159における連結部134,154側の開口幅よりもロック部135,155側の開口幅を広く形成するとともに、このロック部135,155側の開口幅内で罫線133b,153bおよび罫線136b,156bのうちの一方を形成することでこの罫線133b,153bまたは罫線136b,156bを頂上部(稜線)とする山形に形成することができる。この場合、罫線133b,153bおよび罫線136b,156bのうちの他方は、嵌合開口部139,159におけるロック部135,155側の開口幅内に形成してもよいし開口幅外に形成してもよい。
【0077】
図8(A)に示した第2側壁構成片130においては、嵌合開口部139におけるロック部135側の開口幅内で罫線133bを形成している。また、
図8(B)に示した第2側壁構成片150においては、嵌合開口部159におけるロック部155側の開口幅内で罫線156bを形成している。これにより、ロック部135は、コンテナ180の組立時において罫線133bを頂上部として第1内側片131側に形成される。また、ロック部155は、コンテナ180の組立時において罫線156bを頂上部として第2内側片157側に形成される。なお、コンテナ180の組立時において互いに隣接するロック部135およびロック部155は、このように千鳥状に互いに異なる位置に形成してもよいが、頂上部が互いに同一直線上に位置するように形成されてもよい。
【0078】
また、
図8(A),(B)および
図9にそれぞれ示した第2側壁構成片130,150においては、第1内側片131,151と第2内側片137,157との間の一部に第2側壁構成片130,150の外周部に達した状態で切り欠いた溝状の分離部190を設けて両者を部分的に分離して構成した。これにより、第2側壁構成片130,150は、第2側壁構成片130,150の組立時において、罫線133b,153bおよび罫線136b,156bを折り易くすることができる。この分離部190は、切欠きに代えて直線状の切断線で構成することもできる。
【0079】
また、ロック部135は、例えば、
図10および
図11にそれぞれ示すように、嵌合開口部139における連結部134側の開口幅よりもロック部135側の開口幅を広く形成するとともに、このロック部135側の開口幅に対して同芯で一対の罫線133bおよび罫線136bを形成し、かつ対の罫線133bと罫線136bとの間に罫線191を形成することでこの罫線191を頂上部(稜線)とする山形に形成することができる。
【0080】
また、上記実施形態においては、第1側壁用内側壁126,146には、第2側壁160,170を構成する部分を形成しなかった。しかし、第1側壁用内側壁126および第1側壁用内側壁146のうちの少なくとも一方には、第2側壁160,170を構成する部分を形成することもできる。具体的には、第1側壁用内側壁126には、
図12に示すように、第1側壁用内側壁126の側辺から罫線191を介して第3内側片192を形成することができる。この第3内側片192は、コンテナ180の組立時において罫線191が折られることで第2内側片137に対して隣接配置されるものである。したがって、第2内側片137は、第3内側片192の大きさの分だけ小さく形成されるとともに、この第3内側片192に対して分離した状態で形成される。
【0081】
このような第3内側片192を備えたコンテナ180においては、第2側壁160,170が底板110に組み付けられることで第2側壁用内側壁166,176が第3内側片192を押さえ付ける。これにより、コンテナ180は、第1側壁用内側壁126が第2側壁160,170に固定されるため、第1側壁120,140の剛性を向上させることができる。
【0082】
また、上記実施形態においては、コンテナ形成用シート体100は、第1側壁用係合貫通孔113、第2側壁用係合貫通孔114、第1側壁用係合突起128,148、第2側壁用係合突起138,158をそれぞれ備えて構成した。しかし、コンテナ形成用シート体100は、第1側壁用係合貫通孔113、第2側壁用係合貫通孔114、第1側壁用係合突起128,148、第2側壁用係合突起138,158のうちの少なくとも1つを省略して構成することもできる。
【0083】
また、上記実施形態においては、第1側壁用係合貫通孔113の幅は、第1側壁用内側壁126,146の厚さの5倍の長さ(幅)で形成されている。これにより、作業者は、第1側壁用係合突起128,148を第1側壁用係合貫通孔113内に挿し込み易くなる。また、コンテナ180は、罫線125,145の復元力によって第1側壁用内側壁126,146が第2内側片137を押圧することでコンテナ180の剛性を高めることができる。しかし、第1側壁用係合貫通孔113の幅は、第1側壁用係合突起128,148を挿し込み可能な幅に形成されていればよく、少なくとも第1側壁用係合突起128,148の板厚以上の幅に形成されていればよい。
【0084】
また、上記実施形態においては、第2側壁用係合貫通孔114の幅は、第2側壁用内側壁166,176の厚さの2倍の長さ(幅)で形成されている。これにより、作業者は、第2側壁用係合突起138,158を第2側壁用係合貫通孔114内に挿し込み易くなる。また、コンテナ180は、罫線133a,133b,153a,153bの復元力によって第2内側片137が第2側壁用内側壁166,176を介して第1側壁用内側壁126,146を押圧することでコンテナ180の剛性を高めることができる。しかし、第2側壁用係合貫通孔114の幅は、第2側壁用係合突起138,158を挿し込み可能な幅に形成されていればよく、少なくとも第2側壁用係合突起138,158の板厚以上の幅に形成されていればよい。
【0085】
また、上記実施形態においては、第1側壁用係合突起128,148、第2側壁用係合突起138,158は、底板110を貫通する長さに形成した。これにより、コンテナ180は、コンテナ180を段積みした場合において、上側のコンテナ180の底板110の下面から突出した第1側壁用係合突起128,148、第2側壁用係合突起138,158が下側のコンテナ180の第1側壁用内側壁126,146および第2側壁用内側壁166,176の内側に配置されて段済みされたコンテナ180の位置ズレを防止することができる。しかし、第1側壁用係合突起128,148、第2側壁用係合突起138,158は、底板110を貫通しない長さに形成することもできる。
【0086】
また、上記実施形態においては、コンテナ形成用シート体100は、ロック部135,155を備えて構成した。しかし、コンテナ形成用シート体100は、ロック部135,155をそれぞれ省略して構成することもできる。この場合、第2側壁構成片130と第2側壁構成片150とは、コンテナ180の組立時において互いに重ならない長さに形成するとよい。また、コンテナ形成用シート体100は、嵌合開口部139,159を省略することができる。また、コンテナ形成用シート体100は、連結部134,154も省略することができる。
【0087】
また、上記実施形態においては、コンテナ形成用シート体100は、内側取っ手部132,152および取っ手部162,172をそれぞれ備えて構成した。しかし、コンテナ形成用シート体100は、内側取っ手部132,152および取っ手部162,172のうちの少なくとも1つを省略して構成することができる。
【0088】
また、上記実施形態においては、コンテナ形成用シート体100は、平面状に形成された第1側壁天井部124,144および第2側壁天井部164,174を備えて構成した。しかし、コンテナ形成用シート体100は、平面状ではなく尖った山形形状に形成された第1側壁天井部124,144および第2側壁天井部164,174を備えて構成することもできる。この場合、コンテナ形成用シート体100は、罫線122,142および罫線125,145の一方を省略するとともに、罫線163,173および罫線165,175の一方を省略して構成することができる。また、この場合、コンテナ形成用シート体100は、罫線133a,133b,153a,153bおよび罫線136a,136b,156a,156bの一方を省略して構成することもできる。
【0089】
また、上記実施形態においては、コンテナ形成用シート体100は、板状の段ボール材で構成した。しかし、コンテナ形成用シート体100は、人手によって屈曲させることができる板状体で構成することができる。したがって、コンテナ形成用シート体100は、段ボール材以外の紙材(例えば、ボール紙)または樹脂材(例えば、プラスチック段ボール)で構成することもできる。
【符号の説明】
【0090】
100…コンテナ形成用シート体、
110…底板、111a,111b…罫線、112a,112b…罫線、113…第1側壁用係合貫通孔、114…第2側壁用係合貫通孔、114a…切込み、
120,140…第1側壁、121,141…第1側壁用外側壁、122,142…罫線、123,143…罫線、124,144…第1側壁天井部、125,145…罫線、126,146…第1側壁用内側壁、127,147…切欠き部、128,148…第1側壁用係合突起、
130,150…第2側壁構成片、131,151…第1内側片、131a,151a…下辺、132,152…内側取っ手部,133a,133b,153a,153b…罫線、134,154…連結部、135,155…ロック部、136a,136b,156a,156b…罫線、137,157…第2内側片、137a,157a…対向辺、137b,157b…外側辺、138,158…第2側壁用係合突起、139,159…嵌合開口部、
160,170…第2側壁、161,171…第2側壁用外側壁、161a,171a…側辺、162,172…取っ手部、163,173…罫線、164,174…第2側壁天井部、165,175…罫線、166,176…第2側壁用内側壁、166a,176a…切欠き部、167,177…引掛け部、168,178…罫線、
180…コンテナ、
190…分離部、191…罫線、192…第3内側片。