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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】卓上用清掃具
(51)【国際特許分類】
   A47L 13/20 20060101AFI20240226BHJP
   A47L 13/24 20060101ALI20240226BHJP
   A47L 13/38 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
A47L13/20 B
A47L13/24 A
A47L13/38 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022165804
(22)【出願日】2022-10-14
【審査請求日】2022-10-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2021年11月4日に卓上用清掃具を第56回熊本県発明工夫展に出展。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523308063
【氏名又は名称】村田 光
(72)【発明者】
【氏名】村田 光
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-049857(JP,U)
【文献】特開2021-115406(JP,A)
【文献】特開2002-112819(JP,A)
【文献】特開平11-346974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/20
A47L 13/24
A47L 13/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略棒状又は略細板状の複数の骨組部材と、厚さ方向に互いに束ねられた前記複数の骨組部材それぞれの長さ方向一方側の端部近傍を各骨組部材が回動可能となるように厚さ方向に貫通し、当該各骨組部材の回動中心となる貫通部材と、前記複数の骨組部材を、前記回動を可能としつつ互いに連結する連結部材と、を備え、前記回動により前記複数の骨組部材のうち周方向一方端の第1骨組部材と周方向他方端の第2骨組部材とのなす開き角を所定の最大角度となるまで開いた全開状態、及び、前記第1骨組部材と前記第2骨組部材とのなす前記開き角を所定の最小角度となるまで閉じた全閉状態であって前記第1骨組部材及び前記第2骨組部材を含む前記複数の骨組部材を厚さ方向にそれぞれ重ね合わせるようにした前記全閉状態、を実現可能な扇状体と、
前記扇状体の径方向外側部において周方向に沿って並ぶように配置され、それぞれが当該径方向外側部から突出して設けられた複数の可撓性線材又は房素材と、
を有する卓上用清掃具であって、
前記連結部材は、
前記複数の骨組部材を互いに連結して一体化するように、各骨組部材の一方側の面に貼られ、前記骨組部材の回動とともに折り畳み又は解き拡がり可能とするための山折り線及び谷折り線を備えた、略扇形又は略円弧状のシート部材であり、
前記骨組部材は接着剤により前記シート部材に接着されており、
前記複数の可撓性線材又は房素材のそれぞれは、
前記扇状体において、前記骨組部材に設けられることなく、前記シート部材のうち前記山折り線及び前記谷折り線以外の部位の前記径方向外側部に設けられており、
広幅の掃除対象領域に対しては、前記全開状態にした前記扇状体を用いて前記回動中心の軸心方向に平行な第1方向に略沿って前記卓上用清掃具を動かして卓上の掃き清掃を行い、
狭幅の掃除対象領域に対しては、前記全閉状態にした前記扇状体を用いて前記第1方向又は前記回動中心の軸心方向に直交する第2方向に略沿って前記卓上用清掃具を動かして卓上の掃き清掃を行い、
前記広幅と前記狭幅との中間である中間幅の掃除対象領域に対しては、前記第1骨組部材と前記第2骨組部材とのなす前記開き角を前記最大角度と前記最小角度との中間角度にした前記扇状体を用いて前記第1方向に略沿って前記卓上用清掃具を動かして卓上の掃き清掃を行うようにした、
ことを特徴とする卓上用清掃具。
【請求項2】
請求項1記載の卓上用清掃具において、
前記複数の可撓性線材又は房素材は、
互いに属性が異なる、第1線材又は第1房素材と第2線材又は第2房素材とを含み、
前記複数の骨組部材は、
前記第1骨組部材と前記第2骨組部材との間に配置された第3骨組部材を含み、
前記扇状体に備えられた前記シート部材のうち前記周方向の一方側の前記径方向外側部には、前記可撓性線材又は房素材として前記第1線材又は第1房素材が設けられており、
前記扇状体に備えられた前記シート部材のうち前記周方向の他方側の前記径方向外側部には、前記可撓性線材又は房素材として前記第2線材又は第2房素材が設けられている
ことを特徴とする卓上用清掃具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の卓上用清掃具において、
前記複数の可撓性線材又は房素材は、
前記扇状体の前記全開状態において当該複数の可撓性線材又は房素材それぞれの先端を結んだ軌跡が前記扇状体の径方向外側の縁部に沿う略円弧形状を形成するように、略放射状に配置されている
ことを特徴とする卓上用清掃具。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載の卓上用清掃具において、
前記複数の可撓性線材又は房素材は、
前記扇状体の前記全開状態において当該複数の可撓性線材又は房素材それぞれの先端を結んだ軌跡が略水平方向に沿う略一直線形状をと形成するように配置されている
ことを特徴とする卓上用清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卓上用清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デスクの上の消しゴムのカスやパソコン上のホコリを清掃する為の掃除用卓上ブラシとして、定規と一体化されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の図1図2等には、定規1の長手方向の一端部に卓上ブラシ2を設け、卓上の消しゴムカス等の被清掃物の掃き清掃を可能とする構成について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-251522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、卓上ブラシ2が定規1と同じ幅かつ同じ厚みとなるため、掃除対象領域が定規1とほぼ同じ幅であれば円滑に被清掃物を掃き出すことができるが、掃除対象領域が定規1の幅よりも広い場合は卓上ブラシ2を何度も往復させなければ被清掃物を掃き出すことができず不便である。また掃除対象領域が定規1の幅よりも狭い場合は、卓上ブラシ2でその領域内の被清掃物を掃き出すことはほぼ不可能となる。
【0005】
本発明の目的は、掃除対象領域の広狭に関係なく常に円滑に卓上の掃き清掃を行うことができる卓上用清掃具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、略棒状又は略細板状の複数の骨組部材と、厚さ方向に互いに束ねられた前記複数の骨組部材それぞれの長さ方向一方側の端部近傍を各骨組部材が回動可能となるように厚さ方向に貫通し、当該各骨組部材の回動中心となる貫通部材と、前記複数の骨組部材を、前記回動を可能としつつ互いに連結する連結部材と、を備え、前記回動により前記複数の骨組部材のうち周方向一方端の第1骨組部材と周方向他方端の第2骨組部材とのなす開き角を所定の最大角度となるまで開いた全開状態、及び、前記第1骨組部材と前記第2骨組部材とのなす前記開き角を所定の最小角度となるまで閉じた全閉状態であって前記第1骨組部材及び前記第2骨組部材を含む前記複数の骨組部材を厚さ方向にそれぞれ重ね合わせるようにした前記全閉状態、を実現可能な扇状体と、前記扇状体の径方向外側部において周方向に沿って並ぶように配置され、それぞれが当該径方向外周部から突出して設けられた複数の可撓性線材又は房素材と、
を有する卓上用清掃具であって、広幅の掃除対象領域に対しては、前記全開状態にした前記扇状体を用いて前記回動中心の軸心方向に平行な第1方向に略沿って前記卓上用清掃具を動かして卓上の掃き清掃を行い、狭幅の掃除対象領域に対しては、前記全閉状態にした前記扇状体を用いて前記第1方向又は前記回動中心の軸心方向に直交する第2方向に略沿って前記卓上用清掃具を動かして卓上の掃き清掃を行い、前記広幅と前記狭幅との中間である中間幅の掃除対象領域に対しては、前記第1骨組部材と前記第2骨組部材とのなす前記開き角を前記最大角度と前記最小角度との中間角度にした前記扇状体を用いて前記第1方向に略沿って前記卓上用清掃具を動かして卓上の掃き清掃を行うようにしたことを特徴としている。
【0007】
本願発明の卓上用清掃具によれば、広い掃除対象領域に対しては扇状体を全開状態にし、狭い掃除対象領域に対しては扇状体を全閉状態にすることで円滑に掃き清掃を行うことができる。
中間幅の掃除対象領域に対しても、第1骨組部材と第2骨組部材との開き角をその掃除対象領域の幅に合わせた適宜の角度とすることで、円滑に掃き清掃を行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、掃除対象領域の広狭に関係なく常に円滑に卓上の掃き清掃を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】全開状態の卓上用清掃具を表側から見た正面図である。
図2】全開状態の卓上用清掃具を表側から見た斜視図である。
図3】全閉状態の卓上用清掃具を裏側から見た正面図である。
図4図3に示す領域Zの拡大図である。
図5】全閉状態の卓上用清掃具の正面図及び側面図である。
図6】全開状態と全閉状態の中間にある卓上用清掃具の正面図である。
図7】広幅の掃除対象領域に対する清掃方法の一例を説明する概念図である。
図8】狭幅の掃除対象領域に対する清掃方法の一例を説明する概念図である。
図9】中間幅の掃除対象領域に対する清掃方法の一例を説明する概念図である。
図10】複数の可撓性線材それぞれの先端を結んだ軌跡が略水平方向に沿う変形例に係る卓上用清掃具の正面図である。
図11】互いに属性が異なる可撓性線材を含む場合変形例に係る卓上用清掃具の正面図である。
図12】可撓性線材の配置の仕方が異なる変形例に係る卓上用清掃具の正面図である。
図13】可撓性線材が一部配置されない変形例に係る卓上用清掃具の正面図及びその使用例を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本発明の技術的範囲を制限するものではない。したがって、当業者であれば下記の各構成要素を均等なものに置換した実施形態を採用することができ、それらについても本発明の技術的範囲に含まれる。また、以下の説明では、本発明の理解を容易にするため、重要でない公知の技術的事項の説明を適宜省略又は簡略化する。
【0011】
図1に全開状態の卓上用清掃具1を表側から見た正面図を示す。
卓上用清掃具1は、複数の骨組部材2と、貫通部材3と、連結部材4とを備える。骨組部材2は、例えば木材、プラスチック、金属等で構成され、形状は略棒状又は略細板状である。貫通部材3は、厚さ方向に互いに束ねられた複数の骨組部材2それぞれの長さ方向Lにおける一方側の端部近傍を各骨組部材2が回動可能となるように厚さ方向に貫通し、当該各骨組部材2の回動中心となっている。貫通部材3は例えばピン等である。なお、この例では、長さ方向Lは、回動する骨組部材2の径方向Wと一致する。
【0012】
連結部材4は、複数の骨組部材2を、前記回動を可能としつつ互いに連結する。連結部材4は、例えば紙、布、プラスチック等で構成された、略扇形又は略円弧状のシート部材9である。この例では、連結部材4は、樹脂製の布(クロス)で構成された、シート部材9である。なお、連結部材4は、シート部材9に限られず、各骨組部材2を接続するチェーン部材や、各骨組部材2をヒンジ接続する蝶番部材等であってもよい。
【0013】
複数の骨組部材2は、回動する骨組部材2の周方向Pにおける一方端(この図のP′側)の第1骨組部材5と、周方向Pにおける他方端(この図のP″側)の第2骨組部材6とを備える。また、複数の骨組部材2は、第1骨組部材5と第2骨組部材6との間に配置された、複数の第3骨組部材10を含む。この例では、16個の第3骨組部材10が第1骨組部材5と第2骨組部材6との間に配置されている。
【0014】
各骨組部材2は、シート部材9と重畳しない基部11と、シート部材9と重畳する梁部12とを含み、梁部12において骨組部材2は接着剤等によりシート部材9に接着されている。基部11は、各骨組部材2の径方向Wにおいて貫通部材3側に配置され、梁部12は、各骨組部材2の径方向Wにおいて可撓性線材8側に配置される。
【0015】
この図において、卓上用清掃具1は、前記回動により、第1骨組部材5と第2骨組部材6とのなす開き角θを所定の最大角度(例えば、略160°)となるまで開いた全開状態となっている。卓上用清掃具1は、前記全開状態を実現するための構成として扇状体7を有する。扇状体7は、複数の骨組部材2と、シート部材9と、貫通部材3とを含み、貫通部材3を回動中心として、一体化した骨組部材2がシート部材9と連動して回動する。
【0016】
卓上用清掃具1は、扇状体7の径方向W外側部において周方向Pに沿って並ぶように配置され、それぞれが当該径方向W外周部から突出して設けられた複数の可撓性線材8を有する。可撓性線材8としては、例えば、刷毛に用いられるような、プラスチック製や樹脂製の毛、ワイヤーブラシ、糸、針金等が挙げられる。樹脂以外の素材で構成された毛等であってもよい。この図では、周方向Pにおいて可撓性線材8同士の間隔を開けて図示しているが、実際には可撓性線材8はもっと密に配置されていてもよい。
【0017】
可撓性線材8のかわりに、房素材が用いられてもよい。前記房素材は、例えば複数の樹脂製等の毛素材が房状に束ねられたものや、1本1本の毛のそれぞれが、もしくはこれらが互いに絡み合った状態で、例えば網目状の繊維構造を有し、ある程度の太さを有する(例えば、前記可撓性線材8よりも太い)「房毛」状態の素材等を含む。また、前記房素材は、細板状等の布素材や毛素材、樹脂素材等を束ねたものであってもよい。これらの房素材は、静電気によりホコリを吸着する等の効果に優れる。
【0018】
複数の可撓性線材8又は房素材は、扇状体7の全開状態において複数の可撓性線材8又は房素材それぞれの先端を結んだ軌跡Kが扇状体7の径方向W外周側の縁部に沿う略円弧形状を形成するように、略放射状に配置されている
【0019】
図2に全開状態の卓上用清掃具1を表側から見た斜視図を示す。卓上用清掃具1のシート部材9は、骨組部材2の回動とともに折り畳み又は解き拡がりを可能とするための山折り線M及び谷折り線Vを備える。なお、この図において、複数の可撓性線材8又は房素材のそれぞれは、扇状体7に備えられたシート部材9のうち、山折り線M及び谷折り線V以外の部位の径方向W外側部に設けられている。
【0020】
なお、可撓性線材8又は房素材の材質が上記の阻害が生じないような材質や種類である場合、あるいは、多少の阻害が生じても清掃機能上それほど問題がない場合、等においては、山折り線Mや谷折り線Vの部位にも可撓性線材8又は房素材が配置されていてもよい。
【0021】
図3に全開状態の卓上用清掃具1を裏側から見た正面図を示す。シート部材9は、複数の骨組部材2を互いに連結して一体化するように、各骨組部材2の梁部12の一方側の面に貼られている。なお、この例では、図1図2図3から示されるように、第1骨組部材5及び第3骨組部材10においては表側の面にシート部材9が貼り付けられ、第2骨組部材6においては裏側の面にシート部材9が貼られている。
【0022】
図4図3に示した領域Zの拡大図を示す。複数の可撓性線材8の端部は、接着面12(灰色で示される領域)において、接着剤により、扇状体7の裏側の面に接着されている。
【0023】
図5に全閉状態の卓上用清掃具1の正面図及び側面図を示す。図5(a)は卓上用清掃具1を表面から見た正面図であり、図5(b)は図5(a)のA方向から見た側面図である。この図において、扇状体7により実現される卓上用清掃具1の全閉状態は、第1骨組部材5と第2骨組部材6とのなす開き角θを所定の最小角度(例えば、略0°)となるまで閉じた状態である。前記全閉状態において、第1骨組部材5及び第2骨組部材6を含む複数の骨組部材2は図5(b)に示す厚さ方向Dにそれぞれ重ね合わされた状態となっている。なお、厚さ方向Dは、各骨組部材2を貫通する、貫通部材3の軸心方向と略一致する。
【0024】
図6に全開状態と全閉状態の中間にある卓上用清掃具1の正面図を示す。図6(a)は表側から見た正面図であり、図6(b)は裏側から見た正面図である。図6において、卓上用清掃具1の扇状体7は、第1骨組部材5と第2骨組部材6とのなす開き角θが、最大角度と最小角度との中間の角度となっている。この状態において、複数の第3骨組部材10の少なくとも一部が前述した卓上用清掃具1の厚さ方向Dに重ね合わされた状態となっている。
【0025】
図7に広幅の掃除対象領域Sに対する清掃方法の一例を説明する概念図を示す。図7に示す方角は、鉛直方向に平行な上下方向、及び水平方向に平行な左右方向及び前後方向からなり、これらの方角は互いに直交する。同様の方角が、図8図9にも適宜適用される。
【0026】
図7(a)において、デスク13の上に、広幅の、言い換えれば相対的に左右方向の幅が広い掃除対象領域Sが示される。図7(b)に示すように、掃除対象領域Sに対しては、全開状態にした扇状体7を用いて、卓上用清掃具1の正面を前方に向け、図7(c)に示すように、骨組部材2の回動中心の軸心方向に平行な第1方向(この図では、前後方向)に沿って、例えば前方から後方へ卓上用清掃具1を動かして、複数の可撓性線材8により被清掃物14を掃くことで卓上の掃き清掃を行う。
【0027】
図8に狭幅の掃除対象領域S′に対する清掃方法の一例を説明する概念図を示す。図8(a)において、2個のファイル立て15の間に、狭幅の、言い換えれば、相対的に左右方向の幅が狭い掃除対象領域S′が示される。図8(b)に示すように、掃除対象領域S′に対しては、全閉状態にした扇状体7を用いて、図7(c)に示すように、骨組部材2の回動中心の軸心方向に平行な第1方向(この図では、前後方向)に沿って、例えば前方から後方へ卓上用清掃具1を動かして、複数の可撓性線材8により被清掃物14を掃くことで卓上の掃き清掃を行う。
【0028】
また、図8(c)では、卓上用清掃具1の正面を前方に向けた状態で、掃き清掃を行っているが、図8(d)に示すように、卓上用清掃具1の側面を前方に向けた状態で、骨組部材2の回動中心の軸心方向に直交する第2方向(この図では、前後方向)に沿って、例えば前方から後方へ卓上用清掃具1を動かして、卓上の掃き清掃を行ってもよい。
【0029】
図9に中間幅の掃除対象領域S″に対する清掃方法の一例を説明する概念図を示す。図9(a)において、2個のファイル立て15の間に、前記広幅と前記狭幅との中間である中間幅の掃除対象領域S″が示される。図9(a)及び図9(b)に示すように、掃除対象領域S″に対しては、前記θを中間角度にした扇状体7を用いて、卓上用清掃具1の正面を前方に向け、骨組部材2の回動中心の軸心方向に平行な第1方向(この図では、前後方向)に沿って、例えば前方から後方へ卓上用清掃具1を動かして、複数の可撓性線材8により被清掃物14を掃くことで卓上の掃き清掃を行う。
【0030】
<実施形態の効果>
本実施形態の卓上用清掃具1によれば、広い掃除対象領域Sに対しては扇状体7を全開状態にし、狭い掃除対象領域S′に対しては扇状体7を全閉状態にすることで円滑に掃き清掃を行うことができる。
中間幅の掃除対象領域S″に対しても、第1骨組部材5と第2骨組部材6との開き角θをその掃除対象領域S″の幅に合わせた適宜の角度とすることで、円滑に掃き清掃を行うことができる。
【0031】
また、本実施形態では特に、複数の骨組部材2をシート部材9で一体化した構成とし、かつそのシート部材9に山折り線M及び谷折り線Vを設けることで、扇状体7の開閉時に、扇子のようにシート部材9が円滑に解き拡がったり折りたたまれたりする構造を実現することができる。
【0032】
また、骨組部材2の回動とともにシート部材9が上記のように解き拡がったり折り畳まれたりする際、仮に山折り線Mや谷折り線Vの部位に可撓性線材8又は房素材が存在していると、シート部材9の解き拡がり動作や折り畳み動作を阻害する可能性がある。
本実施形態では特に、山折り線Mや谷折り線V以外の部位に可撓性線材8又は房素材を設けることで、解き拡がり動作や折り畳み動作を阻害しない。
【0033】
また、本実施形態では特に、扇状体7の全開状態において複数の可撓性線材8それぞれの先端を結んだ軌跡Kが略放射状に配置されていることで、通常の扇子と同様、必要最小限の寸法となる構成、かつ、扇状体7の開き動作及び閉じ動作を円滑にできる構成、での卓上用清掃具1を実現できる。
【0034】
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0035】
(1)複数の可撓性線材8′それぞれの先端を結んだ軌跡K′が略水平方向に沿う場合
図10に本変形例の卓上用清掃具1Aを表側から見た正面図を示す。卓上用清掃具1Aにおいて、複数の可撓性線材8′は、扇状体7の全開状態において複数の可撓性線材8′それぞれの先端を結んだ軌跡K′が略水平方向に沿う略一直線形状を形成するように配置されている。なお、この例では、複数の可撓性線材8′が用いられているが、房素材を用いて、上述の構成を実現してもよい。
【0036】
本変形例によれば、卓上用清掃具1Aを上下逆さまにして複数の可撓性線材又は房素材8′又は房素材の先端を下に向けて掃除対象領域に対して清掃動作をするとき、毛先が略一直線になるので掃き洩らしが生じにくい。
【0037】
(2)互いに属性が異なる可撓性線材8″を含む場合
図11に本変形例に係る卓上用清掃具1Bを表側から見た正面図を示す。卓上用清掃具1Bにおいて、複数の可撓性線材8″は、互いに種類、材質、太さ、硬さ、長さ等の属性が異なる、第1線材16と第2線材17とを含む。なお、複数の可撓性線材8″のかわりに、複数の房素材が、互いに属性の異なる第1房素材と第2房素材とを含む構成となっていてもよい。
【0038】
この例では、扇状体7に備えられたシート部材9のうち、周方向Pの一方側(この図のP′側)の径方向W外周部には、可撓性線材8″として第1線材16が設けられており、周方向Pの他方側(この図のP″側)の径方向W外周部には、可撓性線材8″として第1線材16よりも径方向Wにおける長さが短い第2線材17が設けられている。
【0039】
なお、この例では、第3骨組部材10′を境として、第3骨組部材10′よりも周方向Pにおける一方側に第1線材16が設けられ、第3骨組部材10′よりも周方向Pの他方側に第2線材17が設けられている。
【0040】
なお、扇状体7に備えられたシート部材9のうち周方向Pの一方側の径方向W外周部に第1房素材が設けられ、周方向Pの他方側の径方向W外周部に第2房素材が設けられていてもよい。
【0041】
なお、第1線材16又は第1房素材は必ずしも周方向P一方側の第1骨組部材5のところまで設けられなくてもよい。第2線材17又は第2房素材は必ずしも周方向P他方側の第2骨組部材6のところまで設けられなくてもよい。
【0042】
この例では可撓性線材8″の属性を異ならせる領域について、所定の第3骨組部材10′を境界とし、2分割して異ならせているが、例えば3つ以上の領域に分割して毛質等を異ならせてもよい。
【0043】
本変形例によれば、扇状体7において、第3骨組部材10′よりも周方向P一方側と周方向P他方側とで可撓性線材8″又は房素材の属性を異ならせることができる。その結果、清掃用途や被清掃物の属性等に応じて、別々の可撓性線材又は房素材を使い分けることができ、さらに利便性が向上する。
【0044】
(3)可撓性線材8の配置の仕方が異なる場合
図12に本変形例の卓上用清掃具1Cを裏面から見た正面図を示す。卓上用清掃具1Cにおいては、扇状体7の周方向Pに沿って、可撓性線材8が密に配置されている領域Uと、配置されていない領域U′とが、交互に配置されている。なお、ここでは、各骨組部材2同士の略中間領域にのみ、可撓性線材8が複数本束ねられ、接着領域12′により、シート部材9に接着されて、配置されている。
【0045】
本変形例によれば、ある程度の大きさの塵14の清掃を目的としている場合等に、異なる使い勝手の清掃具として、適用できる。
【0046】
(4)可撓性線材8が一部配置されない場合
図13(a)に本変形例の卓上用清掃具1Dを表面から見た正面図を、図13(b)にその使用例を示す。図13(a)に示すように、卓上用清掃具1Dにおいては、扇状体7の周方向Pに沿って、可撓性線材8が一部配置されていない領域U″が配置されている。
【0047】
本変形例の卓上用清掃具1Dによれば、図13(b)に示すように、可撓性線材8を鉛直方向下側に向けた状態で、領域U″を利用して例えばスタンド18等に卓上用清掃具1Dを引っ掛けて収納することができる。この時、卓上用清掃具1Dは全開状態でなく、例えば、扇状体7の、領域U″に対応する部分以外を適宜閉じた状態で、収納される。
【0048】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0049】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0050】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0051】
1 卓上用清掃具
2 骨組部材
3 貫通部材
4 連結部材
5 第1骨組部材
6 第2骨組部材
7 扇状体
8 可撓性線材
9 シート部材
10 第3骨組部材
11 基部
12 梁部
13 デスク
14 被清掃物
15 ファイル立て
16 第1線材
17 第2線材
18 スタンド
【要約】
【課題】掃除対象領域の広狭に関係なく常に円滑に卓上の掃き清掃を行うことができる。
【解決手段】
複数の骨組部材2と、各骨組部材2の回動中心となる貫通部材3と、複数の骨組部材2を、回動を可能としつつ互いに連結する連結部材4とを備え、開き角θが最大角度となる全開状態、及び開き角θが最小角度となる全閉状態を実現可能な扇状体7と、扇状体7の径方向W外側部において周方向Pに沿って並ぶように配置され、径方向W外周部から突出して設けられた複数の可撓性線材8又は房素材とを有する卓上用清掃具1であって、広幅の掃除対象領域Sに対しては、全開状態にて卓上の掃き清掃を行い、狭幅の掃除対象領域S′に対しては、全閉状態にて卓上の掃き清掃を行い、前記広幅と前記狭幅との中間である中間幅の掃除対象領域S″に対しては、開き角θを中間角度にして卓上の掃き清掃を行う。
【選択図】図1
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