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特許7442265GWPがより低い若しくは低GWP冷媒又は冷媒ブレンドを使用して、電気(HEV、PHEV、EV)自動車空調/暖房システム、又は固定式空調/暖房システム、又は固定式冷凍システムの中にPOE潤滑剤を導入するための組成物、システム、及び方法
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  • 特許-GWPがより低い若しくは低GWP冷媒又は冷媒ブレンドを使用して、電気(HEV、PHEV、EV)自動車空調/暖房システム、又は固定式空調/暖房システム、又は固定式冷凍システムの中にPOE潤滑剤を導入するための組成物、システム、及び方法 図1
  • 特許-GWPがより低い若しくは低GWP冷媒又は冷媒ブレンドを使用して、電気(HEV、PHEV、EV)自動車空調/暖房システム、又は固定式空調/暖房システム、又は固定式冷凍システムの中にPOE潤滑剤を導入するための組成物、システム、及び方法 図2
  • 特許-GWPがより低い若しくは低GWP冷媒又は冷媒ブレンドを使用して、電気(HEV、PHEV、EV)自動車空調/暖房システム、又は固定式空調/暖房システム、又は固定式冷凍システムの中にPOE潤滑剤を導入するための組成物、システム、及び方法 図3
  • 特許-GWPがより低い若しくは低GWP冷媒又は冷媒ブレンドを使用して、電気(HEV、PHEV、EV)自動車空調/暖房システム、又は固定式空調/暖房システム、又は固定式冷凍システムの中にPOE潤滑剤を導入するための組成物、システム、及び方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】GWPがより低い若しくは低GWP冷媒又は冷媒ブレンドを使用して、電気(HEV、PHEV、EV)自動車空調/暖房システム、又は固定式空調/暖房システム、又は固定式冷凍システムの中にPOE潤滑剤を導入するための組成物、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   C10M 105/38 20060101AFI20240226BHJP
   C10M 169/04 20060101ALI20240226BHJP
   C09K 5/04 20060101ALI20240226BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240226BHJP
   B60H 1/22 20060101ALN20240226BHJP
   C10M 139/02 20060101ALN20240226BHJP
   C10M 155/02 20060101ALN20240226BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20240226BHJP
   C10N 40/30 20060101ALN20240226BHJP
【FI】
C10M105/38
C10M169/04
C09K5/04 F
F25B1/00 396Z
B60H1/22 651Z
C10M139/02
C10M155/02
C10N30:00 A
C10N30:00 Z
C10N40:30
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019009486
(22)【出願日】2019-01-23
(65)【公開番号】P2019127594
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】62/620,575
(32)【優先日】2018-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/745,449
(32)【優先日】2018-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/066607
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】WO
(73)【特許権者】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メアリー イー.コーバン
(72)【発明者】
【氏名】ニナ イー.グレイ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューバート メンツ ジュニア
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-516671(JP,A)
【文献】特表2010-534743(JP,A)
【文献】特開2014-211267(JP,A)
【文献】特表2013-529717(JP,A)
【文献】M. KOBAN,Automotive material investigation with low GWP refrigerant HFO-1234yf,Vehicle Thermal Management Systems Conference and Exhibition (VTMS10),2011年,pp.11-18
【文献】Thomas J. LECK,Evaluation of HFO-1234yf as a Potential Replacement for R-134a in Refrigeration Applications,3rd IIR Conference on Thermophysical Properties and Transfer Processes of Refrigerants, Boulder, CO,2009年,pp. 1-9,Paper No. 155
【文献】Byung-Moo LEE et al.,Miscibility of POE and PVE oils with low-GWP refrigerant R-1234ze(E),Science and Technology for the Built Environment,2016年,Vol. 22,pp.1263-1269
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M101/00-177/00
C09K5/04
F25B1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
50~80重量%のポリオールエステル(POE)潤滑剤と20~50重量%の冷媒とを含む組成物であって、前記冷媒が、HFO-1234yfを含み、150未満の地球温暖化係数(GWP)を示し、前記潤滑剤が、ASHRAE97:2007を使用して測定したときに、密閉された容器内で、160kPa~945kPaの圧力において-18℃~37℃の温度範囲にわたって前記冷媒と混和性であり、前記潤滑剤が、ASTM D445に準拠して40℃で測定したときに、75~110cStの動粘度と、ASTM D974に準拠して測定したときに、0.1mgKOH/g以下の全酸価と、ASTM E284に準拠して測定したときに、50ppm以下の含水量と、を有する、組成物。
【請求項2】
1~5重量%の酸掃去剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記酸掃去剤が、ヘキサメチルジシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、デカメチルシクロ-ペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、又はオクタメチルトリシロキサンからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
1~5重量%の性能強化剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
1~10重量%の火炎抑制剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
車両の空調システムに前記組成物を送達するように構成された、請求項1に記載の組成物を含む容器。
【請求項7】
前記容器内の圧力が、160kPa~945kPaである、請求項6に記載の容器。
【請求項8】
車両の空調システムにPOE潤滑剤を送達する方法であって、請求項1に記載の組成物を含む容器を前記車両の空調システムに接続する工程と、請求項1に記載の組成物を前記車両の空調システムの中に移動させる工程と、を含む方法。
【請求項9】
酸掃去剤、性能強化剤、又は火炎抑制剤を前記車両の空調システムの中に送達する工程を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
POE潤滑剤が冷媒と混和性である圧力及び温度条件下で実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記圧力が、315kPa~435kPaであり、前記温度が、-18℃~37℃である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物を自動車の空調システムに送達するシステムであって、請求項1に記載の組成物を含む容器と、電動圧縮機と、凝縮器と、乾燥機と、膨張弁と、蒸発器と、を含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、客室の空調(A/C)若しくは電気車両ヒートポンプシステム、又は固定式空調若しくは固定式冷凍システムを含む、従来の、ハイブリッドの、プラグインハイブリッドの、又は電動の車両の熱管理システムの中に、環境に優しい冷媒と共に機能するように設計された潤滑剤及び添加剤を導入するための組成物、システム、及び方法に関する。より具体的には、本発明は、HFO-1234yf、HFO-1234ze、HFO-1234ze、HFO-1233zd、HFO-1336mzzZ、HFO-1336mzzE、又はこれら冷媒若しくは他の低GWP冷媒ブレンド成分(すなわち、R-32、CO2などを含有するもの)を含有するブレンドを使用するシステムなどの環境に優しいシステムの中に、環境的に望ましい(低GWP)冷媒又は冷媒ブレンド組成物を使用して、潤滑剤及び特定の添加剤を充填する方法に関する。また、本発明は、HFO-1234yfを使用するA/Cシステムなどの環境に優しいA/Cシステムの中に、環境的に使用する潤滑剤及び特定の添加剤を含有する冷媒を充填する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
1990年代半ばから、自動車の空調(A/C)システムでは、蒸気圧縮サイクルのために冷媒R-134aが使用されている。現在、環境及び社会的な圧力が原因で、世界的な自動車メーカは、車両A/C冷媒として低地球温暖化係数(global warming potential、GWP)冷媒であるHFO-1234yf(2,3,3,3-テトラフルオロプロペン)に移行しつつある。従来の蒸気圧縮A/Cシステムでは、冷却を達成するために、A/C圧縮機がA/Cシステムを通して冷媒を循環させる。したがって、A/C圧縮機は、A/Cシステムの動作にとって必須である。A/C圧縮機は、システム全体に作動流体を送り込むA/Cシステムの心臓部として機能する。A/C圧縮機が正しく動作しなければ、A/Cシステムは故障することになる。
【0003】
相応に動作させるために、A/C圧縮機は、正しい物理的パラメータ(粘度、水分、TANなど)を有する潤滑剤を必要とする。潤滑剤は、A/Cシステムを通して完全に循環しなければならない。潤滑剤は、システムのある部分から次の部分へと冷媒によって運ばれなければならず、また、潤滑剤は、圧縮機の内部にあるときには潤滑を提供しながら、システムのある部分からシステムの違う部分へと冷媒を運ぶことができなければならない。したがって、0℃~40℃のA/Cシステムの動作範囲にわたって冷媒/潤滑剤が相互に適合することが、システムの有効な動作にとって必須である。
【0004】
自動車産業は、ますます増大する環境目標を満たすよう努力しているので、車両のプラットフォームが変化しつつある。従来の車両は、車両の推進力のためにガソリン又はディーゼル内燃機関(internal combustion engines、ICE)を使用している。しかし、環境上の利点のため、車両の電化に向けての明確な転換が存在する。自動車のOEMは、推進力のニーズの全て又は一部を電動モータ及びバッテリで置き換える新たな車両を設計している。一部の車両は、依然としてICEを維持しており、ハイブリッド電気車両(hybrid electric vehicle、HEV)又はプラグインハイブリッド電気車両(plug-in hybrids electric vehicle、PHEV)又はマイルドハイブリッド電気車両(mild hybrids electric vehicles、MHEV)として知られている。他の車両は完全に電動であり、ICEは備えておらず、これらはフルEVと呼ばれている。
【0005】
HEV、PHEV、MHEV、及びEVは全て、ガソリン/ディーゼル駆動の車両でみられるベルト駆動式プーリーに取って代わる少なくとも1つの電動モータを使用する。HEV/PHEV/MHEV/EVシステムではポリアルキレングリコール(polyalkylene glycol、PAG)潤滑剤を使用することができないことが、様々な刊行物で知られている。PAGの使用によって、電動圧縮機の絶縁抵抗がゼロ近くまで低減する可能性がある。より具体的には、1%PAG潤滑剤を使用することによって、電動圧縮機の絶縁抵抗が10メガオーム超から1メガオーム未満まで低減する可能性がある。他方、ポリオールエステル又はPOEタイプの潤滑剤は、高い誘電特性を提供するので、圧縮機の電気巻線の完全性を維持するのに役立つ。自動車の相手先商標製品製造会社(original equipment manufacturers、OEM)は、典型的には、最初の車両A/C充填プロセス中にA/C潤滑剤を添加する。A/Cシステムは、A/Cシステムに支障を来す構成要素の故障(ホース又はラインの破断)又は車両事故が原因で修理を必要とする場合がある。典型的には、自動車のアフターマーケット又はサービス業界は、修理後にA/Cシステムの中に冷媒及び潤滑剤を再注入/再補充するために回収、再利用、再充填、すなわち「R/R/R」機を採用している。しかし、SAE J2843、特に上記SAE規格(参照によって本明細書に組み込まれる)のセクション8.9.5.1に基づいてHFO-1234yfと共に使用するために設計された現行のR/R/R機は、R/R/R機による修理後、システムの中に潤滑剤を自動的に注入することができない。潤滑剤は、「手動注入」又は「機械注入」しなければならない。これらの各選択肢の場合、潤滑剤を注入器の中に充填し、次いで、A/Cシステムの下側にホースを取り付ける。車両を作動させ、A/Cシステムを最高冷房に設定すると、これによってA/C圧縮機も起動する。A/C圧縮機がサイクル動作し始めたら、取り付けられた注入器を開位置に切り替え、ホースに沿って潤滑剤をA/Cシステムに搬送する。
【0006】
この方法を使用することもできるが、これは時間のかかるプロセスであり、潤滑剤を接続されたホースに押し込み、A/Cサービスポートに進める手動ポンプタイプの機構の使用を必要とする。潤滑剤は、A/C圧縮機によってシステムの中に引き込まれる。送達プロセス中に潤滑剤がホースの壁に付着する可能性があるので、適切な量の潤滑剤をシステムの中に送達することが困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、当該技術分野では、手動注入器を使用することなくA/C又は暖房システムの中に潤滑剤を搬送する迅速かつ便利なやり方に対するニーズがある。
【0008】
当該技術分野では、手動注入器も真空ポンプも使用することなく固定式A/C若しくは暖房システム又は冷凍の中に潤滑剤を搬送する迅速かつ便利なやり方に対するニーズもある。
【0009】
特定の用途については、この同じ搬送方法を使用して固定式A/Cシステムの中に冷媒、潤滑剤を含有する冷媒、又は他の性能向上添加剤を含有する冷媒を送達するために、類似の送達プロセスを使用することが有利である場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の特定の実施形態は、典型的なA/Cアフターマーケット再充填ホースを通した使用を含む、低GWP HFO-1234yf自動車A/Cシステムの中に潤滑剤を注入するために使用することができる低GWP冷媒を提供することによって、従来の組成物、システム、及び方法に関連する問題を解決する。手動注入器又は手動ポンプでは、潤滑剤の粘度及びA/C圧縮機の吸引によって潤滑剤の流れが制御される。本発明の方法では、冷媒を使用して、ホースに固着することなく潤滑剤及び/又は潤滑剤添加剤パッケージをA/Cホースに搬送し、それによって、確実により多くの潤滑剤又は潤滑剤/添加剤パッケージがA/Cシステムの中に導入されるようにし、それによって、材料の流れを改善する。
【0011】
手動注入器又は手動ポンプを使用すると、A/Cシステムに接続されているホースラインへの潤滑剤の付着を引き起こす可能性がある。潤滑剤をシステムに移動させるために冷媒を使用すると、手動又はポンプ注入器に比べて確実により多くの潤滑剤がA/Cシステムの中に導入されるが、その理由は、冷媒が潤滑剤を運び、潤滑剤をA/Cシステムの中に搬送するためである。潤滑剤又は潤滑剤/添加剤及び冷媒は、潤滑剤及び冷媒が混和性である条件下で従来の容器(例えば、缶)の中に共にパッケージ化される。小さな缶を放置すると、冷媒は、圧縮された液化ガスから冷媒ガスに状態が変化する。このプロセス中、潤滑剤と混和性である冷媒は、潤滑剤又は潤滑剤/添加剤混合物を霧化させ、そして、A/C再充填ホースの壁に潤滑剤又は潤滑剤/添加剤混合物が沈降することができるようになる前に、潤滑剤又は潤滑剤/添加剤混合物を更にホースに沿って、またA/Cシステムの中に搬送する。
【0012】
本発明の一態様は、約50~約80重量%のPOE潤滑剤と約20~約50重量%の低GWP冷媒とを含む組成物に関する。
【0013】
本発明の別の態様は、約60~約65重量%のPOE潤滑剤と約35~約40重量%の低GWP冷媒とを含む組成物に関する。
【0014】
本発明の別の態様は、約1~約5重量%の酸掃去剤を更に含む前述の組成物に関する。
【0015】
本発明の別の態様は、約1~約5重量%の性能強化剤を更に含む前述の組成物のいずれかに関する。
【0016】
更なる態様は、約1~約10重量%の火炎抑制剤を更に含む前述の組成物のいずれかに関する。
【0017】
本発明の一態様は、車両A/Cシステムの中に前述の組成物のいずれかを直接送達するために使用するために、この組成物を含む容器に関する。
【0018】
本発明の一態様は、前述の組成物又は容器のいずれかを使用して車両A/Cシステムの中にPOE潤滑剤を送達する方法に関する。
【0019】
本発明の別の態様は、前述の方法を含み、また車両A/Cシステムの中に酸掃去剤を送達する工程を更に含む。
【0020】
本発明の別の態様は、前述の方法を含み、また車両A/Cシステムの中に性能強化剤を送達する工程を更に含む。
【0021】
本発明の別の態様は、前述の方法を含み、また車両A/Cシステムの中に火炎抑制剤を送達する工程を更に含む。
【0022】
本発明の更なる態様は、潤滑剤が溶媒と混和性である圧力及び温度条件下で実施される前述の方法を含む。
【0023】
本発明の一態様は、前述の組成物を含む容器と、圧縮機と、凝縮器と、乾燥機と、膨張弁と、蒸発器とを含む、自動車のA/C又は暖房システムに当該組成物のいずれかを送達するためのシステム、方法、及び容器を含む。
【0024】
本発明の別の態様は、前述の組成物を含む容器と、圧縮機と、凝縮器と、乾燥機と、膨張弁と、毛細管付きの蒸発器とを含む、固定式のA/C/暖房システムに当該組成物のいずれかを送達するためのシステム、方法、及び容器を含む。
【0025】
そして最後に、本発明の別の態様は、前述の組成物を含む容器と、圧縮機と、凝縮器と、乾燥機と、膨張弁と、フラッシュタンクと、蒸発器とを含む、固定式冷凍システムに当該組成物のいずれかを送達するためのシステム、方法、及び容器を含む。
【0026】
本発明の別の態様は、約1~約15重量%のPOE潤滑剤と約85~約99重量%の低GWP冷媒とを含む組成物に関する。
【0027】
本発明の別の態様は、約1~約10重量%のPOE潤滑剤と約90~約99重量%の低GWP冷媒とを含む組成物に関する。
【0028】
本発明の更なる態様は、約1~約5重量%のPOE潤滑剤と約95~約99重量%の低GWP冷媒とを含む組成物に関する。
【0029】
本明細書に開示される様々な態様及び実施形態は、単独で又は互いに様々に組み合わせて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来のA/C車両システムに本発明の組成物を導入するためのシステムの概略図である。
図2】電気式の車両A/C又は暖房システムに本発明の組成物を導入するためのシステムの概略図である。
図3】固定式の住宅用暖房/冷房システムに本発明の組成物を導入するためのシステムの概略図である。
図4】固定式の商業用冷凍システムに本発明の組成物を導入するためのシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、一般的に、環境に優しい冷媒と共に機能するように設計された、潤滑剤及び添加剤を含む、これらから本質的になる、場合によってはこれらからなる組成物に関する。より具体的には、本発明は、約50~約80重量%、約55~約70重量%、又は約60~約65重量%のPOE潤滑剤と、約0~約5重量%の添加剤と、約20~約50重量%、約30~約45重量%、又は約35~約40重量の低GWP冷媒又は冷媒ブレンドとを含む、又はこれらから本質的になる組成物に関する。
【0032】
また、本発明は、約1~約15重量%、約1~約10重量%、又は約1~約5重量%のPOE潤滑剤と、約0~約5重量%の添加剤と、約85~約99重量%、約90重量%~約99重量%、又は約95重量%~約99重量%の低GWP冷媒又は冷媒ブレンドとを含む、又はこれらから本質的になる組成物にも関する可能性がある。
【0033】
潤滑剤
この組成物に用いられる潤滑剤は、好ましくは、当該潤滑剤が蒸発器から圧縮機に確実に戻ることができるように、車両のA/C冷媒に対して十分な溶解度を有する。更に、潤滑剤は、好ましくは、当該潤滑剤が蒸発器(例えば、低温蒸発器)を通過できるように、低温では比較的粘度が低い。一実施形態では、広い温度範囲にわたって潤滑剤とA/C冷媒とは混和性である。好ましい潤滑剤は、1つ以上のポリオールエステル型潤滑剤(POE)であってもよい。本明細書で使用するとき、ポリオールエステルは、約3~20個のヒドロキシル基を有するジオール又はポリオールと、約1~24個の炭素原子を有する脂肪酸とのエステルを含有する化合物を含み、好ましくは、ポリオールとして使用される。
【0034】
基油として使用することができるエステルは、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる欧州特許出願公開第2 727 980(A1)号に開示されているとおりである。
【0035】
ここで、ジオールの例としては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,7-ヘプタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオールなどが挙げられる。
【0036】
上記ポリオールの例としては、多価アルコール、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ(トリメチロールプロパン)、トリ(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ(ペンタエリスリトール)、トリ(ペンタエリスリトール)、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの二量体から二十量体)、1,3,5-ペンタントリオール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトール-グリセリン縮合体、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトールなど;多糖類、例えば、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、スクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトースなど;これらの部分的エーテル化生成物及びメチルグルコシドなどが挙げられる。これらの中でも、ヒンダードアルコール、例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ(トリメチロールプロパン)、トリ(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ(ペンタエリスリトール)、トリ(ペンタエリスリトール)などがポリオールとして好ましい。
【0037】
脂肪酸の炭素数は特に限定されないが、一般に、1~24個の炭素原子を有する脂肪酸が使用される。1~24個の炭素原子を有する脂肪酸では、潤滑特性の観点から、3個以上の炭素原子を有する脂肪酸が好ましく、4個以上の炭素原子を有する脂肪酸がより好ましく、5個以上の炭素原子を有する脂肪酸が更により好ましく、10個以上の炭素原子を有する脂肪酸が最も好ましい。更に、冷媒との適合性の観点から、18個以下の炭素原子を有する脂肪酸が好ましく、12個以下の炭素原子を有する脂肪酸がより好ましく、9個以下の炭素原子を有する脂肪酸が更により好ましい。
【0038】
更に、脂肪酸は、直鎖脂肪酸及び分枝鎖脂肪酸のいずれであってもよく、脂肪酸は、潤滑特性の観点からは直鎖脂肪酸が好ましく、一方、加水分解安定性の観点からは分枝鎖脂肪酸が好ましい。更に、脂肪酸は、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。
【0039】
具体的には、上記脂肪酸の例としては、直鎖又は分枝鎖脂肪酸、例えば、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、オレイン酸など;その炭素原子が四級であるいわゆるネオ酸などが挙げられる。より具体的には、その好ましい例としては、吉草酸(n-ペンタン酸)、カプロン酸(n-ヘキサン酸)、エナント酸(n-ヘプタン酸)、カプリル酸(n-オクタン酸)、ペラルゴン酸(n-ノナン酸)、カプリン酸(nデカン酸)、オレイン酸(cis-9-オクタデカン酸)、イソペンタン酸(3-メチルブタン酸)、2-メチルヘキサン酸、2-エチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸などが挙げられる。ちなみに、ポリオールエステルは、ポリオールのヒドロキシル基が完全にエステル化せずに残存している部分エステル;ヒドロキシル基の全てがエステル化している完全エステル;又は部分エステルと完全エステルとの混合物であってもよく、完全エステルが好ましい。
【0040】
ポリオールエステルにおいて、より優れた加水分解安定性の観点から、ヒンダードアルコール、例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ(トリメチロールプロパン)、トリ(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ(ペンタエリスリトール)、トリ(ペンタエリスリトール)などのエステルがより好ましく、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、又はペンタエリスリトールのエステルが更により好ましく;冷媒との特に優れた適合性及び加水分解安定性の観点から、ペンタエリスリトールのエステルが最も好ましい。
【0041】
ポリオールエステルの好ましい具体例としては、ネオペンチルグリコールと、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2-メチルヘキサン酸、2-エチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、及び3,5,5-トリメチルヘキサン酸から選択される1種又は2種以上の脂肪酸とのジエステル;トリメチロールエタンと、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2-メチルヘキサン酸、2-エチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、及び3,5,5-トリメチルヘキサン酸から選択される1種又は2種以上の脂肪酸とのトリエステル;トリメチロールプロパンと、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2-メチルヘキサン酸、2-エチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、及び3,5,5-トリメチルヘキサン酸から選択される1種又は2種以上の脂肪酸とのトリエステル;トリメチロールブタンと、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2-メチルヘキサン酸、2-エチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、及び3,5,5-トリメチルヘキサン酸から選択される1種又は2種以上の脂肪酸とのトリエステル;及びペンタエリスリトールと、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2-メチルヘキサン酸、2-エチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、及び3,5,5-トリメチルヘキサン酸から選択される1種又は2種以上の脂肪酸とのテトラエステルが挙げられる。
【0042】
ちなみに、2種以上の脂肪酸とのエステルは、1種の脂肪酸とポリオールとの2種以上のエステルの混合物、及びその2種以上の混合脂肪酸とポリオールとのエステルであってもよく、特に、混合脂肪酸とポリオールとのエステルは、低温特性及び冷媒との適合性において優れている。
【0043】
好ましい実施形態では、潤滑剤は、約0℃~約100℃、より好ましくは約0℃~約40℃の範囲内、更により具体的には5℃~40℃の温度で車両A/Cシステムの冷媒に可溶性である。別の実施形態では、圧縮機内で潤滑剤を維持しようとする試みは優先ではないので、高温可溶性は好ましくない。この実施形態では、潤滑剤は、約70℃超の温度、より好ましくは約80℃超の温度、最も好ましくは90~95℃の温度で可溶性である。
【0044】
電化自動車の空調用途のために使用される潤滑剤は、75~110cSt、理想的には約80cSt~100cSt、最も具体的には85cst~95cStの動粘度(ASTM D445に準拠して40℃で測定)を有してもよい。しかし、本発明を限定するものではないが、電化車両のA/C圧縮機のニーズに応じて、他の潤滑剤粘度が挙げられていてもよいことに留意すべきである。
【0045】
表1は、本発明の組成物と共に使用するための自動車用潤滑剤の好適な特徴を示す。
【0046】
【表1】
【0047】
更に、この組成物で使用されるPOE潤滑剤は、典型的な車両A/Cシステムにおいて使用されるエラストマー及びプラスチックと材料適合性を有するべきである。使用されるPOE潤滑剤は、100℃で2週間、ASHRAE 97:2007「Sealed Glass Tube Method to Test the Chemical Stability of Materials for Use within Refrigerant Systems」によって測定したとき、例えば、Neoprene WRT(ポリクロロプレン/2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンコポリマー)、HNBR(水素化ニトリルブタジエンゴム)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)、シリコーン、及びブチルゴムと良好な材料適合性を有するべきである。同様に、使用されるPOE潤滑剤は、100℃で2週間、ASHRAE 97:2007「Sealed Glass Tube Method to Test the Chemical Stability of Materials for Use within Refrigerant Systems」によって測定したとき、プラスチック材料、すなわち、ポリエステル、ナイロン、エポキシ、ポリエチレン、テレフタレート、及びポリイミドと良好な材料適合性を有するべきである。上記POE潤滑剤及びHFO-1234yfを伴うプラスチック及びエラストマーは、デュロメータによって測定したとき、ゲインが約10重量%未満、約8重量%未満、若しくは約7重量%未満であるか、又は線状膨潤が約10%未満、約8%未満、若しくは約7%未満であるか、又は硬度変化が約10未満、約8未満、若しくは約7未満であるべきである。理想的には、プラスチック及びエラストマーは、デュロメータによって測定したとき、少なくとも2つの特性において、ゲインが10重量%未満であり、又は線状膨潤が10%未満であり、又は硬度変化が約10未満であり、好ましくは、3つの特性全てについて10%未満である。
【0048】
いくつかのPOE潤滑剤は、特定の低GWP冷媒、すなわち、HFO-1234yf(The Chemours CompanyからOpteon(商標)冷媒として入手可能)に対して必要な混和性を有し、所望の温度範囲にわたって所望の潤滑剤粘度を有し、そして、所望のエラストマー/プラスチック材料適合性を有することが見出された。具体的には、POEは、商業的には自動車型POE潤滑剤と呼ばれており、以下の商標「ND-11」及び「SE-10Y」によって知られている。固定式用途のための許容可能なPOE潤滑剤は、「Emkarate RL 32 3MAF」、「Emkarate RL32H」、及び「Solest 35」であった。
【0049】
冷媒
本発明の組成物の冷媒部分は、少なくとも1つのヒドロフルオロオレフィン、すなわちより一般的にはHFO型冷媒と呼ばれるものを含むが、これはある特定のHFO冷媒に限定されるものではない。ヒドロフルオロオレフィンは、地球温暖化係数(GWP)が低く、オゾン層破壊係数(ODP)がゼロである。気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change、IPCC)は、フルオロカーボンについてのGWPを定期的に調査し、確立している。本発明において具現化されるヒドロフルオロオレフィン冷媒は、約100GWP未満のGWPを有するが、典型的には、10未満、更にはわずか1GWPのGWPを有する。特に有用なヒドロフルオロオレフィンは、HFO-1234yfを含む。HFO-1234yfは、国連のIPCC第5次評価報告書(AR5)によると1未満のGWPを示す。
【0050】
地球温暖化係数(GWP)は、1キログラムの二酸化炭素の排出と比較した、1キログラムの特定の温室効果ガスの大気排出に起因する相対的な地球温暖化への寄与を推定するための指数である。GWPは、様々な対象期間について計算することができ、所与のガスの大気寿命の効果を示す。100年間という対象期間のGWPが、一般的に参照される値である。混合物については、各成分に関する個々のGWPに基づいて加重平均を計算することができる。
【0051】
Leckら(米国特許出願公開第2007/0187639号、段落10、参照によって本明細書に組み込まれる)は、本発明においてフルオロオレフィンとして使用してもよい不飽和フルオロカーボン冷媒の例を更に列挙している。Leckらの段落10に記載のとおり、代表的な不飽和フルオロカーボン冷媒又は蓄熱流体としては、1,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン、1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン、1,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、1,1,2,3-テトラフルオロ-1-プロペン、1,1,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、1,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、2,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、1,1,2-トリフルオロ-1-プロペン、1,1,3-トリフルオロ-1-プロペン、1,2,3-トリフルオロ-1-プロペン、1,3,3-トリフルオロ-1プロペン、1,1,1,2,3,4,4,4-オクタフルオロ-2-ブテン、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン、1,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン、1,1,1,2,3,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン、1,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル-2-プロペン、1,1,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン、1,1,2,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン、1,1,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン、2,3,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,3,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン、1,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2,3,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,3,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,2,3,3,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン、1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン、3,3,3-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン、1,1,1,2,4-ペンタフルオロ-2-ブテン、1,1,1,3,4-ペンタフルオロ-2-ブテン、3,3,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン、1,1,1,4,4-ペンタフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2,3-ペンタフルオロ-2-ブテン、2,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン、1,1,2,4,4-ペンタフルオロ-2-ブテン、1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-1-ブテン、1,1,2,3,4-ペンタフルオロ-2-ブテン、1,2,3,3,4ペンタフルオロ-1-ブテン、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-メチル-1-プロペン、2-(ジフルオロメチル)-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、3,3,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン、1,1,3,3-テトラフルオロ-2-メチル-1-プロペン、1,3,3,3-テトラフルオロ-2-メチル-1-プロペン、2-(ジフルオロメチル)-3,3-ジフルオロ-1-プロペン、1,1,1,2-テトラフルオロ-2-ブテン、1,1,1,3-テトラフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロ-2-ペンテン、1,1,2,3,3,4,4,5,5,5-デカフルオロ-1-ペンテン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン、1,1,1,2,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン、1,1,1,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン、1,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-1-ペンテン、1,1,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-1-ペンテン、1,1,2,3,3,4,4,5,5-ノナフルオロ-1-ペンテン、1,1,2,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン、1,1,1,12,3,4,4,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン、1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン、1,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-3(トリフルオロメチル)-1-ブテン、1,1,2,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-2-ブテン、1,1,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン、2,3,3,4,4,5,5,5-オクタフルオロ-1-ペンテン、1,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンテン、3,3,4,4,4-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ブテン、1,1,4,4,4-ペンタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン、1,3,4,4,4-ペンタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン、1,1,4,4,4-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ブテン、1,1,1,4,4,5,5,5-オクタフルオロ-2-ペンテン、3,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン、3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-1-ペンテン、2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロ-1-ペンテン、1,1,3,3,5,5,5-ヘプタフルオロ-1-ペンテン、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-3-メチル2-ブテン、2,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン、1,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン、1,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-2-ブテン、2,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-2-ブテン、3-(トリフルオロメチル)-4,4,4-トリフルオロ-2-ブテン、3,4,4,5,5,5-ヘキサフルオロ-2-ペンテン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-ブテン、3,3,4,5,5,5-ヘキサフルオロ-1-ペンテン、4,4,4-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ブテン、1,1,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6-ドデカフルオロ-1-ヘキセン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,6-ドデカフルオロ-3-ヘキセン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2,3-ビス(トリフルオロメチル)-2-ブテン、1,1,1,4,4,5,5,5-オクタフルオロ-2トリフルオロメチル-2-ペンテン、1,1,1,3,4,5,5,5-オクタフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン、1,1,1,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-4(トリフルオロメチル)-2-ペンテン、1,1,1,4,4,5,5,6,6,6-デカフルオロ-2-ヘキセン、1,1,1,2,2,5,5,6,6,6-デカフルオロ-3-ヘキセン、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロ-1-ヘキセン、4,4,4-トリフルオロ-3,3-ビス(トリフルオロメチル)-1-ブテン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-メチル-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン、2,3,3,5,5,5-ヘキサフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-1-ペンテン、1,1,1,2,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-3-メチル-2-ペンテン、1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-4(トリフルオロメチル)-2-ペンテン、3,4,4,5,5,6,6,6-オクタフルオロ-2-ヘキセン、3,3,4,4,5,5,6,6-オクタフルオロ-2-ヘキセン、1,1,1,4,4-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン、4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ペンテン、3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-2-メチル-1-ペンテン、1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7-テトラデカフルオロ-2-ヘプテン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,7,7,7-テトラデカフルオロ-2-ヘプテン、1,1,1,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-2-ヘプテン、1,1,1,2,4,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-2-ヘプテン、1,1,1,2,2,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-3-ヘプテン、1,1,1,2,2,3,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-3-ヘプテン、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-2-ヘキセン、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-1-ヘキセン、1,1,1,2,2,3,4-ヘプタフルオロ-3-ヘキセン、4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-1-ペンテン、1,1,1,2,5,5,5-ヘプタフルオロ-4-メチル-2-ペンテン、1,1,1,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロシクロブテン、3,3,4,4-テトラフルオロシクロブテン、3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンテン、1,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロシクロペンテン、1,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロシクロヘキセン、1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン、ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル、トリフルオロメチルトリフルオロビニルエーテル;又はこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0052】
更に、冷媒部分を含む1つ以上の非低GWP冷媒成分がある可能性がある。Minorら(米国特許出願公開第2007/0289317号、参照によって本明細書に組み込まれる)は、本発明においてフルオロアルカンとして使用してもよい飽和及び不飽和フルオロカーボン冷媒の例を更に列挙している。Minorらの段落81に記載のとおり、代表的なヒドロフルオロカーボンは、式CxH2x+2_yFy又はCxH2x_yFy(式中、xは3~8に等しくてよく、yは1~17に等しくてよい)によって表される場合がある。ヒドロフルオロカーボンは、直鎖、分枝鎖、又は環状の、約3~8個の炭素原子を有する飽和又は不飽和化合物であってよい。限定するものではないが、Minorらの段落47~78に記載されているとおり、使用してもよい例示的なフルオロアルカンとしては、1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン;1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン;1,1,3-トリフルオロプロパン;1,1,3-トリフルオロプロパン;1,3-ジフルオロプロパン;2-(ジフルオロメチル)-1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン;1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブタン;1,1,1,2,2,4-ヘキサフルオロブタン;1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン;1,1-ジフルオロブタン;1,3-ジフルオロ-2-メチルプロパン;1,2-ジフルオロ-2-メチルプロパン;1,2-ジフルオロブタン;1,3-ジフルオロブタン;1,4-ジフルオロブタン;2,3-ジフルオロブタン;1,1,1,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)ブタン;1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5-ウンデカフルオロペンタン;1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタン;1,1,1,2,2,3,3,5,5,5-デカフルオロペンタンが挙げられる。
【0053】
上記発明の冷媒又は冷媒ブレンド部分は、300未満のGWPを有するが、特異的には150GWP未満、より特異的には75GWP未満、理想的には5GWP未満である。GWP<1となるように冷媒を使用することが可能である。
【0054】
上記ブレンドの冷媒部分は、ASTM E-582によって測定したとき、少なくとも300MJ/kg、好ましくは1,000MJ/kg超、より特異的には1,000MJ/kg~5,000MJ、更により特異的には少なくとも5,000MJ/kgの最小点火エネルギー(minimum ignition energy、MIE)を有する。米国熱・冷凍空調工業会(American Society of Heating,Refrigeration and Air-conditioning Engineers、ASHRAE)のStandard 34によって計算される燃焼の熱は、19,000kJ/kg未満、より特異的には8~12kJ/kg未満、更により特異的には9.5~11.5kJ/kgでなければならない。冷媒部分の21℃における可燃下限は、ASTM E-681によって測定したとき、実際には不燃性であってよい。あるいは、冷媒部分が可燃限界を有する場合、可燃下限は、ASTM E-681によって測定したとき、少なくとも5体積%であってよいが、より特異的には少なくとも6体積%、更により特異的には少なくとも6.2体積%であってよい。
【0055】
得られた組成物全体、すなわち、本明細書に言及される潤滑剤及び冷媒は、A/Cシステムに「後添加」とすることができ、有利なことに、腐食性が比較的低いので、その結果、当該組成物と接触しているA/Cシステムの一部である金属(例えば、アルミニウム、銅、又は鉄)が経験する腐食は比較的少ない。更に、175℃で14日間試験した後、鋼の曇りもなく、金属クーポンの被膜又は目に見える腐食もなく、また試験中に形成される析出物も凝集塊もなかった。
【0056】
潤滑剤/冷媒組成物の比較的低い腐食性は、有利なことに、冷媒組成物部分が以下の特性のうちの1つ又は任意の組み合わせを示すようなものであってよい。175℃で14日間、ASHRAE 97:2007「Sealed Glass Tube Method to Test the Chemical Stability of Materials for Use within Refrigerant Systems」に従ってエージングした後の全酸価(TAN)が、ASTM D664-01に従って測定したとき、3.3mgKOH/g未満であり、1.5mgKOH/g未満であり、特異的には1.0mgKOH/g未満である。アルミニウム、銅、及び炭素鋼の金属ストリップでは、175℃で14日間、ASHRAE 97:2007「Sealed Glass Tube Method to Test the Chemical Stability of Materials for Use within Refrigerant Systems」に従ってエージングした後の全ハロゲン化物濃度(例えば、フッ素イオン濃度)が約100ppm未満、好ましくは50ppm未満、理想的には10ppm未満である。アルミニウム、銅、及び鉄の金属ストリップでは、イオンクロマトグラフィによって測定したとき、175℃で14日間、ASHRAE 97:2007「Sealed Glass Tube Method to Test the Chemical Stability of Materials for Use within Refrigerant Systems」に従ってエージングした後の全有機酸濃度が約300ppm未満である。
【0057】
冷媒及びA/Cの寿命並びに圧縮機の耐久性を改善することができる添加剤が望ましい。本発明の一態様では、本発明の冷媒を含有する組成物を使用して、A/Cシステムの中に潤滑剤、並びに他の添加剤、例えば、a)酸掃去剤、b)性能強化剤、及びc)火炎抑制剤を導入する。
【0058】
酸掃去剤
酸掃去剤は、シロキサン、活性化芳香族化合物、又は両方の組み合わせを含んでもよい。参照によって本明細書に組み込まれるSerranoら(段落38)には、シロキサンはシロキシ官能基を有する任意の分子であってよいことが開示されている。シロキサンは、アルキルシロキサン、アリールシロキサン、又はアリール及びアルキル置換基の混合物を含有するシロキサンを含んでもよい。例えば、シロキサンは、ジアルキルシロキサン又はポリジアルキルシロキサンを含むアルキルシロキサンであってよい。好ましいシロキサンとしては、2つのケイ素原子に結合した酸素原子、すなわち、構造:SiiOiSiを有する基が挙げられる。例えば、シロキサンは、式IV:R1[Si(R2R3)4O]nSi(R2R3)R4(式中、nは1以上である)のシロキサンであってよい。式IVのシロキサンは、好ましくは2以上、より好ましくは3以上(例えば、約4以上)であるnを有する。式IVのシロキサンは、好ましくは約30以下、より好ましくは約12以下、最も好ましくは約7以下であるnを有する。好ましくは、R4基はアリール基又はアルキル基である。好ましくは、R2基は、アリール基若しくはアルキル基、又はこれらの混合物である。好ましくは、R3基は、アリール基若しくはアルキル基、又はこれらの混合物である。好ましくは、R4基はアリール基又はアルキル基である。好ましくは、R1、R2、R3、R4、又はこれらの任意の組み合わせは水素ではない。分子内のR2基は、同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、分子内のR2基は同じである。分子内のR2基は、R3基と同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、分子内のR2基とR3基とは同じである。好ましいシロキサンとしては、R1、R2、R3、R4、R5、又はこれらの任意の組み合わせが、メチル、エチル、プロピル、若しくはブチル基、又はこれらの任意の組み合わせである式IVのシロキサンが挙げられる。使用されてもよい例示的なシロキサンとしては、ヘキサメチルジシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0059】
参照によって組み込まれるSerranoらの段落[0039]から、本発明の一態様では、シロキサンは、約1~約12個の炭素原子を含有するアルキルシロキサン、例えば、ヘキサメチルジシロキサンであることに留意する。また、シロキサンは、アルキル基がメチル、エチル、プロピル、ブチル、又はこれらの任意の組み合わせであるポリジアルキルシロキサンなどのポリマーであってもまたよい。好適なポリジアルキルシロキサンは、約100~約10,000の分子量を有する。非常に好ましいシロキサンとしては、ヘキサメチルジシロキサン、ポリジメチルシロキサン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。シロキサンは、ポリジメチルシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、又はこれらの組み合わせから本質的になっていてよい。
【0060】
活性化芳香族化合物は、フリーデル・クラフツ付加反応に向けて活性化された任意の芳香族分子、又はその混合物であってよい。フリーデル・クラフツ付加反応に向けて活性化された芳香族分子は、鉱酸と付加反応することができる任意の芳香族分子であると定義される。特に、適用環境(ACシステム)において又はASHRAE 97:2007「Sealed Glass Tube Method to Test the Chemical Stability of Materials for Use within Refrigerant Systems」の熱安定化試験中に鉱酸と付加反応することができる任意の芳香族分子である。このような分子又は化合物は、典型的には、以下の基、すなわちNH2、NHR、NRz、ADH、AD、NHCOCH3、NHCOR、4OCH3、OR、CH3、4C2H5、R、又はC6H5(式中、Rは炭化水素(好ましくは、約1~約100個の炭素原子を含有する炭化水素)である)のうちの1つで芳香環の水素原子を置換することによって活性化される。活性化された芳香族分子は、酸素原子(すなわち、アルコール又はエーテル基の酸素原子)が芳香族基に直接結合しているアルコール又はエーテルであってもよい。活性化された芳香族分子は、窒素原子(すなわち、アミン基の窒素原子)が芳香族基に直接結合しているアミンであってもよい。一例として、活性化された芳香族分子は、式ArXRn(式中、XはO(すなわち酸素)又はN(すなわち窒素)であり;X:Oであるときn:1であり、x:Nであるときn:2であり;Arは、芳香族基(すなわち、基C6H5)であり;RはH又は炭素含有基であってもよく;n:2であるとき、R基は同じであっても異なっていてもよい)を有してもよい。例えば、RはH(すなわち水素)、Ar、アルキル基、又はこれらの任意の組み合わせであってよく、本明細書における教示に係る冷媒組成物で使用されてもよい例示的な活性化された芳香族分子としては、ジフェニルオキシド(すなわち、ジフェニルエーテル)、メチルフェニルエーテル(例えば、アニソール)、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。フリーデル・クラフツ付加反応に向けて活性化された非常に好ましい一芳香族分子は、ジフェニルオキシドである。
【0061】
参照によって組み込まれるSerranoらの段落[0045]から、酸掃去剤(例えば、活性化された芳香族分子、シロキサン、又は両方)は、任意の濃度で存在してよく、その結果、全酸価が比較的低くなる、全ハロゲン化物濃度が比較的低くなる、全有機酸濃度が比較的低くなる、又はこれらの任意の組み合わせになる。好ましくは、酸掃去剤は、冷媒組成物の総重量に基づいて、約0.0050重量%超、より好ましくは約0.05重量%超、更により好ましくは約0.1重量%超(例えば、約0.5重量%超)の濃度で存在する。酸掃去剤は、好ましくは、冷媒組成物の総重量に基づいて、約3重量%未満、より好ましくは約2.5重量%未満、最も好ましくは約2重量%未満(例えば、約1.8重量%未満)の濃度で存在する。
【0062】
冷媒組成物中に含まれていてもよく、好ましくは冷媒組成物から除外される酸掃去剤の更なる例としては、Kaneko(米国特許出願整理番号第11/575,256号、米国特許出願公開第2007/0290164号として公開、段落42、参照によって本明細書に明示的に組み込まれる)によって記載されているもの、例えば、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキレングリコールグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド、オトレンオキシド、又はエポキシ化ダイズ潤滑剤などのエポキシ化合物のうちの1つ以上、及びSinghら(米国特許出願整理番号第11/250,219号、米国特許出願公開第2006/0116310号として公開、段落34~42、参照によって本明細書に明示的に組み込まれる)によって記載されているものが挙げられる。
【0063】
性能強化剤
好ましい添加剤としては、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,152,926号、同第4,755,316号に記載されているものが挙げられる。特に、好ましい極圧添加剤としては、(A)トリルトリアゾール若しくはその置換誘導体と、(B)アミン(例えば、Jeffamine M-600)と、(C)(i)エトキシ化リン酸エステル(例えば、Antara LP-700型)若しくは(ii)リン酸アルコール(例えば、ZELEC 3337型)若しくは(iii)亜鉛ジアルキルジチオリン酸(例えば、Lubrizol 5139、5604、5178、又は5186型)若しくは(iv)メルカプトベンゾチアゾール若しくは(v)2,5-ジメルカプト-1,3,4-トリアジアゾール誘導体(例えば、Curvan 826)又はこれらの混合物である第3の成分との混合物が挙げられる。使用してもよい添加剤の更なる例は、米国特許第5,976,399号(Schnur、5:12~6:51、参照によって本明細書に組み込まれる)に与えられている。
【0064】
酸価は、ASTM D664-01に従ってmgKOH/gの単位で測定される。全ハロゲン化物濃度、フッ素イオン濃度、及び全有機酸濃度は、イオンクロマトグラフィによって測定される。冷媒系の化学安定性は、ASHRAE 97:2007「Sealed Glass Tube Method to Test the Chemical Stability of Materials for Use within Refrigerant Systems」に従って測定される。潤滑剤の粘度は、ASTM D-445に従って40℃で試験される。
【0065】
Mouliら(国際公開第2008/027595号)には、フルオロオレフィンを含有する冷媒組成物における安定剤としてのアルキルシランの使用が教示されている。特定の冷媒組成物では、リン酸塩、亜リン酸塩、エポキシド、及びフェノール系添加剤も使用されている。これらは、例えば、Kaneko(米国特許出願整理番号第11/575,256号、米国特許出願公開第2007/0290164号として公開)及びSinghら(米国特許出願整理番号第11/250,219号、米国特許出願公開第2006/0116310号として公開)によって記載されている。これら上述の出願は全て、参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。
【0066】
火炎抑制剤
好ましい火炎抑制剤としては、特許出願「Compositions containing fluorine substituted olefinsカナダ特許第2557873(A1)号」に記載され、参照によって本明細書に組み込まれるものに加えて、同様に参照によって本明細書に組み込まれ、特許出願「Compositions comprising fluoroolefins and uses thereof」国際公開第2009018117(A1)号に記載されているHFC-125及び/又はKrytox(登録商標)潤滑剤などのフッ素化生成物が挙げられる。
【0067】
混和性/パッケージ安定性
車両A/Cシステム用の主冷媒として使用されるとき、HFO-1234yfは一般的にポリオールエステル又はPOE型潤滑剤と適合性であることが見出されているが、特定の環境では、全てのPOE潤滑剤が、自動車A/CシステムにおいてHFO-1234yfと共に使用するのに好適であるための他の特徴の中でも特に、必要な混和性範囲、熱安定性、材料適合性、水分レベルを有する訳ではない。したがって、本発明の組成物は、前述の特徴を有しないPOE潤滑剤を実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、本発明の組成物がHFO-1234yfを含むとき、当該組成物が以下のPOE、すなわちDow RL244、Zerol 150、及び3GSを5重量%未満、典型的には3重量%未満、場合によっては0.5重量%未満しか含有しないことを意味する。A/C又は冷凍システムで典型的に使用される潤滑剤の量は、冷媒の量の約5~約10重量%の範囲である。例えば、600gの冷媒充填、60gの潤滑剤が使用される(90重量%冷媒/10重量%潤滑剤)。しかし、潤滑剤をシステムの中に移動させるために冷媒を使用するので、冷媒と合わせて使用されるPOE潤滑剤の量は比較的多く、およそ50~80重量%潤滑剤/20~50重量%冷媒(例えば、約60~約65重量%潤滑剤)である。
【0068】
本発明の組成物の主成分は潤滑剤を含むことができるが、微量成分(複数可)は、所望の性能特性を改善する何らかの少ない量(0~5重量%)の添加剤を有する冷媒を含む。すなわち、冷媒は、A/Cシステムの中に液体潤滑剤及び添加剤を搬送する又は移動させるために使用される。
【0069】
潤滑剤及び冷媒は、保管及び使用条件に起因してはるかに大きな範囲にわたって相互混和性を有していなければならない。37.5℃を超える温度を経験する多くの地球上の都市が存在する。更に、潤滑剤/冷媒組成物は、比較的高温の倉庫で保管されるか、又は70日間を超える期間温度が37.5℃にも達する場合がある高温の車庫で使用されることが予想される。
【0070】
また、正面衝突などの重大な車両システム障害の後、冬季に製品を使用される可能性があることも考えられる。したがって、潤滑剤/冷媒は、低温の倉庫に保管され、整備中のみ車庫に運ばれることになる。潤滑剤/冷媒組成物は、約-20、-30、-40、及び更には-50℃の温度で安定であり、これは、5日間などのより長期間にわたって-20℃の温度で当該組成物を保管するのに役立つはずである。
【0071】
本発明の組成物が広範囲にわたる温度及び圧力条件で混和性を維持することは驚くべきである(例えば、密閉された容器内で、160kPa~945kPaの圧力において-18℃~37℃の温度範囲にわたって混和性である20~50重量%冷媒/50~80重量%潤滑剤の組成物)。ASHRAE 97:2007「Sealed Glass Tube Method to Test the Chemical Stability of Materials for Use within Refrigerant Systems」法を使用して封管の中に所定の量の潤滑剤及び冷媒(以下の表を参照)をロードすることによって、POE潤滑剤/冷媒の混和性を行う。次いで、封管を水浴の中に置いて、混合物がある範囲の温度にわたって混和性であるかどうかを判定する。2つのセグメントで試験を実施し、次のセグメントを開始する前に当該管を室温に戻すために各セグメント間に24時間の期間をおく。コールドセグメントは、室温で開始し、5℃ずつ-50℃に温度をゆっくりと低下させ、各温度で10分間保持し、各保持温度で目視所見を記録する。ホットセグメントは、室温で開始し、5℃ずつ90℃又は試験される冷媒の臨界温度に温度をゆっくりと上昇させ、再度各温度で10分間保持し、各保持温度で目視所見を記録する。
【0072】
ASHRAE 97:2007「Sealed Glass Tube Method to Test the Chemical Stability of Materials for Use within Refrigerant Systems」を使用して、POE潤滑剤/冷媒組成物を熱安定性について評価した。また、潤滑剤/冷媒システムを、金属(Al、Cu、炭素鋼)クーポンを収容している封管内に入れ、175℃で2週間保持した。結果は、POE潤滑剤/低GWP冷媒が高温下で熱安定性であることを示し、これは、保管中に組成物が分解しないはずであることを示す。鋼の曇りもなく、金属の被膜又は目に見える腐食もなく、またフッ化物イオンの生成も酸の生成もなかった。試験中に析出物又は凝集塊は形成されなかった。冷媒/潤滑剤系の色は変化しなかった。
【0073】
「HFO-1234yfと混和性である」と従来記載されていた潤滑剤が、混和性範囲全体にわたって混和性を有する訳ではないということは予想外の結果であった。具体的には、POEは、86cSt型POE潤滑剤と呼ばれており、以下の商標、すなわち「ND-11」及び「SE-10Y」によって知られている。固定式使用のための許容可能なPOE潤滑剤は、「Emkarate RL32-3MAF」、「Emkarate RL32H」、及び「Solest 35」であった。
【0074】
理論又は説明に束縛されるものではないが、冷媒濃度が上昇して組成物の主な部分になると、潤滑剤/潤滑剤の混和性範囲が変化すると考えられる。例えば、30重量%潤滑剤/70重量%冷媒が、A/Cシステムにおいて使用するための限界であるが、潤滑剤をシステムの中に移動させるために冷媒を使用するのに十分な混和性を有していない。
【0075】
R-134aと共に使用される従来のPOE潤滑剤(Zerol 150及び3GS)は、R-1234yf(不飽和低GWP冷媒)と同じ混和性範囲を有しない。したがって、全てのPOE潤滑剤が低GWPシステムにとって有用である訳ではない。
【0076】
低GWP冷媒/POE潤滑剤組成物及び混和性範囲の例を表2に示し、表中、表の上部はA/Cシステムにおける製品の用途を示し、表の下部は製造及び保管温度を示す(表中「M」は混和性を意味し、「N」は不混和性を意味する)。
【0077】
【表2】
【0078】
本発明の一態様は、A/Cシステムの中に潤滑剤を導入する方法に関する。本発明の方法では、実質的にホースに付着することなく潤滑剤及び/又は潤滑剤添加剤パッケージをA/Cホースに搬送するために冷媒を使用し、それによって、A/Cシステムの中に確実により多くの潤滑剤又は潤滑剤/添加剤パッケージが導入されるようにする(例えば、手動注入器又は手動ポンプを使用すると、A/Cシステムに接続されているホースラインへの潤滑剤の付着を引き起こす可能性がある)。潤滑剤をシステムに移動させるために冷媒を使用すると、手動又はポンプ注入器に比べて確実により多くの潤滑剤がA/Cシステムの中に導入されるが、その理由は、冷媒が潤滑剤を運び、潤滑剤をA/Cシステムの中に搬送するためである。潤滑剤又は潤滑剤/添加剤及び冷媒は、潤滑剤及び冷媒が混和性であるという条件下で従来の容器又は缶の中に共にパッケージ化される。小さな容器を放置すると、冷媒は、圧縮された液化ガスから冷媒ガスに状態が変化する。このプロセス中、潤滑剤と混和性である冷媒は、潤滑剤又は潤滑剤/添加剤混合物を霧化させ、そして、A/C再充填ホースの壁上に潤滑剤又は潤滑剤/添加剤混合物が沈降する可能性が生じる前に、潤滑剤又は潤滑剤/添加剤混合物を更にホースに沿って、またA/Cシステムの中に搬送する。
【0079】
本発明の一態様では、本発明の組成物(潤滑剤又は潤滑剤/添加剤と冷媒)は、典型的には8オンス以下、より典型的には3~6オンス、更により特異的には3~4オンスである小さな密閉容器の中にパッケージ化することができる。
【0080】
一実施形態では、本発明の組成物は、典型的なアフターマーケット冷媒再充填ホースを使用して車両のA/Cシステムに接続することができる穴あけ式の缶ふた又は自己密封缶ふたを有する小さな容器にパッケージ化されてもよい。
【0081】
一実施形態では、缶のふたにおいて使用される継手は、左ねじでありかつオスCGA166型接続に適合するべきであるが、その理由は、この製品が、HFO-1234yfを含有する低GWP A/Cシステムで使用されることが意図されているためである。この製品を缶から車両のA/Cシステムに搬送するのに使用されるホースの型は、構築のためのSAE J2888規格を満たしているべきである。ホースは、2つの異なる継手を有するべきである。A/C再充填ホースの一端は、小さな缶に接続することができ、かつ容器内の製品を解放することができる穿刺針又は時に缶タップとも呼ばれるプランジャ型機構のいずれかを有するべきである。缶に接続される継手はメスCGA166型継手である。再充填ホースの他端は、HFO-1234yf用の指定されたSAE J639ローサイドクイックコネクトカップラーを有するべきであり、かつローサイドサービスポートを通して車両のA/Cシステムに取り付けることができなければならない。
【0082】
本発明の別の態様では、本発明の組成物(潤滑剤又は潤滑剤/添加剤と冷媒)は、典型的には8~12オンス以下である小さな密閉容器の中にパッケージ化することができる。本発明の組成物は、典型的なアフターマーケット冷媒再充填ホースを使用して固定式システムに接続することができる穴あけ式缶ふた又は自己密封缶ふたを有する小さな缶内にパッケージ化されるべきである。缶のふたにおいて使用される継手は、この製品が、可燃性冷媒システムに使用される低GWP A/Cシステムで使用されることを意図する場合、左ねじでありかつオスCGA164型接続に適合するべきである。缶のふたにおいて使用される継手は、この製品が、不燃性冷媒システムに使用される低GWP A/Cシステムで使用されることを意図する場合、左ねじでありかつオスCGA165型接続に適合するべきである。
【0083】
本発明の組成物をA/Cシステムの中に搬送するためには、まず、潤滑剤又は潤滑剤/添加剤及び冷媒を収容している缶を十分に振盪するべきである。車両のエンジンを起動させ、次いで、A/Cシステムを最高冷房に設定するべきである。次いで、上述のようにアフターマーケット再充填ホースを缶に取り付けるべきである。ホースの他端は、車両のA/Cシステムのローサイドサービスポートに接続するべきである。製品の分注を開始する準備が整ったとき、針又はプランジャ機構を使用して缶の内容物を解放するべきである。缶の内容物を解放するのを支援するために缶をわずかに左右に振盪するべきである。このプロセスは、約10~15分間かかるはずである。
【0084】
本組成物は、約0℃~約40℃の温度でA/Cシステムに潤滑剤又は潤滑剤/添加剤を添加するために使用することができ、より特異的には、この組成物は、約10℃及び約35℃、更により特異的には、約15℃~約30℃の温度で使用することができる。本発明の組成物は、最低約-20℃、最高約40~約45℃の温度で保管することができるが、典型的には、約10~約35℃の温度、より特異的には、約15~約30℃の温度で保管される。典型的には、A/Cシステムに接続されたとき、本発明の組成物は、約315kPa~約435kPaの圧力、又はより特異的には、約330kPa~約410kPa、又は更により特異的には、約360kPa~約400kPaの圧力でA/Cシステムに送達される。
【0085】
本発明の別の態様は、本発明の組成物を自動車のA/Cシステムなどの熱管理システムの中に導入するためのシステムに関する。ここで図1を参照すると、図1は、本発明の組成物を使用して潤滑剤を自動車のA/Cシステムの中に導入するためのシステム(100)を示す。本発明の組成物を自動車のA/Cシステムに送達するためのシステムは、当該組成物を含む容器(110)、圧縮機(120)、凝縮器(130)、乾燥機(140)、膨張弁(150)、及び蒸発器(160)を含む。システム(100)は、更に、ローサイドサービスポート(170)及びハイサイドサービスポート(180)を含む。本発明の組成物を収容している容器(110)又は缶は、ホース(190)を介して圧縮機(120)のローサイドサービスポート(170)に接続される。圧縮機、凝縮器、乾燥機、膨張弁、及び蒸発器を接続するホース(190)及びライン(195)は、当該技術分野において公知の材料及び方法を使用して構築され、組み立てられる。
【0086】
次に図2を参照すると、図2は、本発明の組成物を電気車両のA/Cシステムの中に導入するためのシステム(200)を含む本発明の別の態様を示す。潤滑剤組成物を導入するためのこのシステムは、当該組成物を含む容器(210)、電動圧縮機(220)、凝縮器(230)、乾燥機(240)、膨張弁(250)又はオリフィス管(251)、及び蒸発器(260)を含む。システム(200)は、更に、ローサイドサービスポート(270)及びハイサイドサービスポート(280)を含む。本発明の組成物の容器(210)は、ホース(290)を介して電動圧縮機(220)のローサイドサービスポート(270)に接続される。図2に示されるホース(290)及びライン(295)は、当該技術分野において公知の材料及び方法を使用して構築され、組み立てられる。
【0087】
次に図3を参照すると、図3は、本発明の組成物を住宅用固定式暖房/冷房システムの中に導入するためのシステム(300)を含む本発明の更なる態様を示す。潤滑剤組成物を導入するためのこのシステム(300)は、当該組成物を含む容器(310)、住居の外部(330)に配置された圧縮機/凝縮器(320)、及び住居の内部(350)に配置された蒸発器/毛細管(340)を含む。容器(310)は、ホース(370)を介して圧縮機/凝縮器(320)のローサイドサービスポート(360)に接続される。圧縮機/凝縮器(320)は、ハイサイドサービスポート(380)を更に含む。図3に示されるホース(370)及びライン(390)は、当該技術分野において公知の材料及び方法を使用して構築され、組み立てられる。
【0088】
次に図4を参照すると、図4は、商業用固定式冷房システム(400)を含む本発明の別の態様を示す。潤滑剤組成物を導入するためのこのシステム(400)は、当該組成物を含む容器(410)、圧縮機(420)、屋上凝縮器(430)、フラッシュタンク(440)、及び商業構造物(460)内の画定された冷蔵領域(450)(例えば、冷蔵ディスプレイキャビネット)を含む。容器(410)は、ホース(480)を介して画定された冷蔵領域(450)から離れて位置とすることができる圧縮機(420)のローサイドサービスポート(470)に接続される。図4に示されるホース(480)及びライン(490)は、当該技術分野において公知の材料及び方法を使用して構築され、組み立てられる。
【0089】
本発明で使用するとき、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、又はこれらの他の任意の変化形は、非排他的な包含を網羅することを意図する。例えば、列挙する要素を含む、組成物、プロセス、方法、物品、若しくは機器は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されない他の要素、又はそのような組成物若しくは、プロセス、方法、物品、若しくは機器などに内在する他の要素を包含し得る。更に、明示的にこれに反する記載がない限り、「又は」は、包括的な又はを指し、排他的な又はを指すものではない。例えば、条件A又はBは、以下、すなわち、Aが真であり(又は存在し)かつBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在しない)かつBが真である(又は存在する)、及びA及びBの両方が真である(又は存在する)のいずれか一つによって満たされる。
【0090】
移行句「からなる」は、特定されていないいかなる要素、工程、又は成分も除外する。特許請求の範囲における場合には、材料に通常付随する不純物を除き、このような句は、列挙された材料以外の材料の包含を特許請求項から締め出す。語句「からなる」がプリアンブルの直後ではなく請求項の本文の節内で現れるとき、この語句はその節の中に示される要素のみを制限するものであり、他の要素が特許請求の範囲全体から除外される訳ではない。
【0091】
移行句「から本質的になる」は、文字どおり開示されているものに加えて、材料、工程、特徴、成分、又は要素を含む、組成物、方法を定義するために使用されるが、ただし、これらの追加的に含まれる材料、工程、特徴、成分、又は要素は、請求される発明の基本的及び新規の特徴(複数可)、特に本発明のプロセスのいずれかの所望の結果を達成するための行動様式に実質的に影響を及ぼす。用語「から本質的になる」は、「含む」と「からなる」との間の中間の立場を占める。
【0092】
出願人らが、発明又はその一部分を、「含む」などの非限定的な用語で定義していた場合、(特に明記しない限り)その記載は、用語「から本質的になる」又は「からなる」を使用するような発明も含むと解釈すべきであることが容易に理解されるべきである。
【0093】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載される要素及び成分を記述するために採用される。これは、単に便宜上、及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるためのものである。この記載は、1つ又は少なくとも1つを含むものと解釈されるべきであり、単数形は、別の意味を有することが明白でない限り、複数形も含む。
【0094】
特定の態様、実施形態、及び原理を上に記載してきたが、本明細書は例示のためだけに作成されたものであり、本発明又は添付の特許請求の範囲の範囲を限定するものではないと理解される。
図1
図2
図3
図4