(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】ガス発生器の製造方法およびガス発生器
(51)【国際特許分類】
B60R 21/272 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
B60R21/272
(21)【出願番号】P 2019037474
(22)【出願日】2019-03-01
【審査請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大中 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】高柳 一重
(72)【発明者】
【氏名】藤 才浩
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-250523(JP,A)
【文献】特開平10-061893(JP,A)
【文献】特開2018-127115(JP,A)
【文献】特開2018-001782(JP,A)
【文献】特開2010-125892(JP,A)
【文献】特開2020-019311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/272
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一方端を少なくとも開口端として有する単一の部材からなる筒状部材
と、前記筒状部材の軸方向を向く連通孔が設けられた単一の部材からなる仕切り板、および、前記連通孔を閉鎖するように前記仕切り板に固定された破裂板を有するとともに、前記筒状部材の前記一方端から奥まった位置に配置され
た仕切り部
とを、ハウジングの一部として含んでなり、前記筒状部材の内部の空間であってかつ前記仕切り部から見て前記一方端側とは反対側の空間
をタンク室として
、この空間に圧縮ガスが封入され、前記タンク室に封入された圧縮ガスが、点火器が作動することで外部に向けて噴出するように構成されてなるガス発生器の製造方法であって、
前記筒状部材の前記一方端を越えて前記筒状部材の内部に入り込むように、
前記仕切り板を前記筒状部材に内挿して圧入することにより、前記筒状部材の前記一方端から奥まった前記位置に
前記仕切り板が組付けられる工程と、
前記連通孔を介して前記タンク室にガスが送り込まれることにより、前記タンク室が圧縮ガスにて満たされる工程と、
前記点火器の作動に起因して開裂が可能な
前記破裂板にて
前記連通孔が閉鎖されるように前記破裂板が
前記仕切り板に溶接されること
で固定されることにより、圧縮ガスにて満たされた状態にある前記タンク室が封止される工程とを備える、ガス発生器の製造方法。
【請求項2】
前記タンク室が圧縮ガスにて満たされる工程は、ガスを送り出すためのガス送出口が設けられた充填ヘッドを有するガス充填装置が用いられることによって行なわれ、
前記タンク室が封止される工程は、前記破裂板を
前記仕切り板に溶接するための溶接ヘッドを有する溶接装置が用いられることによって行なわれ、
前記タンク室が圧縮ガスにて満たされる工程が、
前記仕切り板と前記ガス送出口が設けられた部分の前記充填ヘッドとの間に閉空間が形成されるように、前記充填ヘッドに対して前記ハウジングが位置決めされて配置される工程と、
前記ガス送出口から送り出されたガスが前記閉空間を経由することで
前記連通孔から前記タンク室に送り込まれる工程とを含み、
前記タンク室が封止される工程が、
前記タンク室が圧縮ガスにて満たされる工程が完了した後において、予め前記閉空間の内部において前記溶接ヘッドによって保持されていた前記破裂板が前記溶接ヘッドが駆動されることで移動させられ、これにより前記破裂板によって
前記連通孔が覆われるように前記破裂板が
前記仕切り板に対して押し付けられる工程と、
前記仕切り板に対して押し付けられた状態にある前記破裂板が前記溶接ヘッドが稼働することで
前記仕切り板に溶接される工程とを含む、請求項1に記載のガス発生器の製造方法。
【請求項3】
前記溶接ヘッドによる前記破裂板の保持が、吸着によって行なわれる、請求項2に記載のガス発生器の製造方法。
【請求項4】
前記充填ヘッドに対して前記ハウジングが位置決めされて配置される工程において、前記ハウジングと前記充填ヘッドとが密着することで前記閉空間が形成されるように、前記筒状部材の前記一方端の端面が前記充填ヘッドに当接させられる、請求項2または3に記載のガス発生器の製造方法。
【請求項5】
前記破裂板が
前記仕切り板に対して押し付けられる工程
、および、前記破裂板が前記仕切り板に溶接される工程において、前記溶接ヘッドが前記筒状部材の内部に入り込むように駆動されることにより、前記破裂板が
、前記仕切り板の厚み方向に位置する一対の主面のうちの前記一方端側の主面に押し付けられて当該主面に溶接される、請求項2から4のいずれかに記載のガス発生器の製造方法。
【請求項6】
圧縮ガスが封入されたタンク室が内部に設けられてなるハウジングと、
前記ハウジングに組付けられた点火器とを備え、
前記ハウジングは、軸方向の一方端を少なくとも開口端として有する単一の部材からなる筒状部材と、前記筒状部材の前記一方端から奥まった位置に配置されることで前記筒状部材の内部の空間を仕切
る仕切り部とを
その一部として含み、
前記筒状部材の内部の空間であってかつ前記仕切り部から見て前記一方端側の空間が、前記点火器に面する点火室として構成され、
前記筒状部材の内部の空間であってかつ前記仕切り部から見て前記一方端側とは反対側の空間が、前記タンク室として構成され、
前記仕切り部
は、前記筒状部材の軸方向を向く
連通孔が設けられた単一の部材からなる仕切り板と、前記連通孔を閉鎖するように前記仕切り板に固定されるとともに、前記点火器の作動に起因して開裂が可能な破裂板とを有し、
前記破裂板が、
前記仕切り板の厚み方向に位置する一対の主面のうちの前記一方端側の主面に溶接され
ることで固定されている、ガス発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングの内部に設けられたタンク室に封入された圧縮ガスが、点火器が作動することで外部に向けて噴出するように構成されたガス発生器の製造方法ならびに当該ガス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の乗員保護装置であるエアバッグ装置に組み込まれるガス発生器は、車両等衝突時に車両に別途設けられたコントロールユニットからの通電によって点火器が着火し、これに起因して瞬時に多量のガスが外部に向けて放出されるように構成されたものであり、これによってエアバッグを膨張および展開させる機器である。当該ガス発生器は、そのガスの放出メカニズムに基づき、パイロ型ガス発生器と、ストアード型ガス発生器と、ハイブリッド型ガス発生器とに大別される。
【0003】
パイロ型ガス発生器は、ガス発生剤がハウジングの内部に収容されてなるものであり、ガス発生剤が点火器の作動によって着火されて燃焼し、これによって多量のガスが発生させられて外部に放出されるものである。
【0004】
ストアード型ガス発生器は、圧縮ガスがハウジングの内部に封入されてなるものであり、圧縮ガスを封止する破裂板が点火器の作動によって開裂し、これによって圧縮ガスが外部に放出されるものである。
【0005】
ハイブリッド型ガス発生器は、圧縮ガスがハウジングの内部に封入されるとともに、さらに発熱剤がハウジングの内部に収容されてなるものであり、圧縮ガスを封止する破裂板が点火器の作動によって開裂するとともに、発熱剤が点火器の作動によって着火されて燃焼し、これにより圧縮ガスが断熱膨張することで発生し得るエネルギーロスを当該発熱剤が燃焼することで生じる熱によって補いつつ、圧縮ガスが外部に放出されるように構成されたものである。
【0006】
ここで、上述した各種のガス発生器のうち、ストアード型ガス発生器の具体的な構造が開示された文献としては、たとえば特開2003-182506号公報(特許文献1)等があり、ハイブリッド型ガス発生器の具体的な構造が開示された文献としては、たとえば特開2009-51236号公報(特許文献2)や特開2016-68658号公報(特許文献3)等がある。
【0007】
このうち、上記特許文献1に開示のストアード型ガス発生器および上記特許文献2に開示のハイブリッド型ガス発生器は、一般にブローダウン構造と称される構造のものであり、圧縮ガスが封入されたタンク室と点火器が収容された点火室とを仕切る仕切り部に連通孔が設けられるとともに、タンク室を規定する部分のハウジングにガス噴出口が設けられてなるものである。当該ブローダウン構造のストアード型ガス発生器およびハイブリッド型ガス発生器においては、連通孔およびガス噴出口がいずれもタンク室に面するように設けられているため、上述した破裂板は、これら連通孔およびガス噴出口をそれぞれ個別に閉鎖するように一対設けられる。
【0008】
一方、上記特許文献3に開示のハイブリッド型ガス発生器は、一般にリバースフロー構造と称される構造のものであり、圧縮ガスが封入されたタンク室と点火器が収容された点火室とを仕切る仕切り部に連通孔が設けられるとともに、点火室を規定する部分のハウジングにガス噴出口が設けられてなるものである。当該リバースフロー構造のハイブリッド型ガス発生器においては、連通孔およびガス噴出口のうちの連通孔のみがタンク室に面するように設けられているため、上述した破裂板は、この連通孔を閉鎖するように設けられ、ガス噴出口は、点火室を外部から気密に封止する封止部材によって閉鎖されるのみである。
【0009】
上述したストアード型ガス発生器およびハイブリッド型ガス発生器においては、ハウジングに設けられたタンク室に圧縮ガスを封入することが必要になる。この圧縮ガスの封入方法としては、たとえば特開2000-227199号公報(特許文献4)に開示の方法が知られている。
【0010】
当該特許文献4に開示の圧縮ガスの封入方法は、ハウジングを構成する円筒状部材の周壁のうちのタンク室を規定する部分に予めガス注入口を設けておき、当該ガス注入口を介してガスをタンク室に送り込んだ後に、当該ガス注入口が封止ピンによって閉鎖されるように当該封止ピンを円筒状部材に溶接するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2003-182506号公報
【文献】特開2009-51236号公報
【文献】特開2016-68658号公報
【文献】特開2000-227199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献4に開示される如くの圧縮ガスの封入方法を採用してガス発生器を製造することとした場合には、ハウジングの所定部位に圧縮ガスの封入にのみ用いる構造部(すなわち、上述した円筒状部材の周壁に設けられたガス注入口および当該ガス注入部を閉鎖する封止ピンならびにその溶接部等)を設ける必要があり、ガス発生器自体の構成の複雑化、部品点数の増加、組立作業の煩雑化等を招来し、結果として製造コストが増大してしまう問題があった。
【0013】
したがって、本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、ハウジングの内部に圧縮ガスが封入されてなるガス発生器において、ガス発生器自体の構成の簡素化と組立作業の容易化とを図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に基づくガス発生器の製造方法は、軸方向の一方端を少なくとも開口端として有する単一の部材からなる筒状部材と、上記筒状部材の軸方向を向く連通孔が設けられた単一の部材からなる仕切り板、および、上記連通孔を閉鎖するように上記仕切り板に固定された破裂板を有するとともに、上記筒状部材の上記一方端から奥まった位置に配置された仕切り部とを、ハウジングの一部として含んでなり、上記筒状部材の内部の空間であってかつ上記仕切り部から見て上記一方端側とは反対側の空間をタンク室として、この空間に圧縮ガスが封入され、上記タンク室に封入された圧縮ガスが、点火器が作動することで外部に向けて噴出するように構成されてなるガス発生器を製造するための方法であって、上記筒状部材の上記一方端を越えて上記筒状部材の内部に入り込むように、上記仕切り板を上記筒状部材に内挿して圧入することにより、上記筒状部材の上記一方端から奥まった上記位置に上記仕切り板が組付けられる工程と、上記連通孔を介して上記タンク室にガスが送り込まれることにより、上記タンク室が圧縮ガスにて満たされる工程と、上記点火器の作動に起因して開裂が可能な上記破裂板にて上記連通孔が閉鎖されるように上記破裂板が上記連通孔に溶接されることで固定されることにより、圧縮ガスにて満たされた状態にある上記タンク室が封止される工程とを備えている。
【0015】
ここで、上述したハウジングには、ガス発生器を構成する各種の部材のうち、ガス発生器の骨格を成す各種の壁部を構成する部材が含まれ、より特定的には、圧力隔壁として機能する部位のすべてが含まれる。すなわち、上述したハウジングには、ガス発生器の外殻を構成する部材または部位のみならず、当該ガス発生器の内部の空間を仕切る部材または部位も含まれる。
【0016】
上記本発明に基づくガス発生器の製造方法にあっては、上記タンク室が圧縮ガスにて満たされる工程が、ガスを送り出すためのガス送出口が設けられた充填ヘッドを有するガス充填装置が用いられることによって行なわれるとともに、上記タンク室が封止される工程が、上記破裂板を上記仕切り板に溶接するための溶接ヘッドを有する溶接装置が用いられることによって行なわれることが好ましい。その場合には、上記タンク室が圧縮ガスにて満たされる工程が、上記仕切り板と上記ガス送出口が設けられた部分の上記充填ヘッドとの間に閉空間が形成されるように、上記充填ヘッドに対して上記ハウジングが位置決めされて配置される工程と、上記ガス送出口から送り出されたガスが上記閉空間を経由することで上記連通孔から上記タンク室に送り込まれる工程とを含んでいることが好ましく、また、上記タンク室が封止される工程が、上記タンク室が圧縮ガスにて満たされる工程が完了した後において、予め上記閉空間の内部において上記溶接ヘッドによって保持されていた上記破裂板が上記溶接ヘッドが駆動されることで移動させられ、これにより上記破裂板によって上記連通孔が覆われるように上記破裂板が上記仕切り板に対して押し付けられる工程と、上記仕切り板に対して押し付けられた状態にある上記破裂板が上記溶接ヘッドが稼働することで上記仕切り板に溶接される工程とを含んでいることが好ましい。
上記本発明に基づくガス発生器の製造方法にあっては、上記溶接ヘッドによる上記破裂板の保持が、吸着によって行なわれることが好ましい。
【0017】
上記本発明に基づくガス発生器の製造方法にあっては、上記充填ヘッドに対して上記ハウジングが位置決めされて配置される工程において、上記ハウジングと上記充填ヘッドとが密着することで上記閉空間が形成されるように、上記筒状部材の上記一方端の端面が上記充填ヘッドに当接させられてもよい。
【0019】
上記本発明に基づくガス発生器の製造方法にあっては、上記破裂板が上記仕切り板に対して押し付けられる工程、および、上記破裂板が上記仕切り板に溶接される工程において、上記溶接ヘッドが上記筒状部材の内部に入り込むように駆動されることにより、上記破裂板が、上記仕切り板の厚み方向に位置する一対の主面のうちの上記一方端側の主面に押し付けられて当該主面に溶接されることが好ましい。
【0020】
本発明に基づくガス発生器は、圧縮ガスが封入されたタンク室が内部に設けられてなるハウジングと、上記ハウジングに組付けられた点火器とを備えている。上記ハウジングは、軸方向の一方端を少なくとも開口端として有する単一の部材からなる筒状部材と、上記筒状部材の上記一方端から奥まった位置に配置されることで上記筒状部材の内部の空間を仕切る仕切り部とをその一部として含んでいる。上記筒状部材の内部の空間であってかつ上記仕切り部から見て上記一方端側の空間は、上記点火器に面する点火室として構成されている。上記筒状部材の内部の空間であってかつ上記仕切り部から見て上記一方端側とは反対側の空間は、上記タンク室として構成されている。上記仕切り部は、上記筒状部材の軸方向を向く連通孔が設けられた単一の部材からなる仕切り板と、上記連通孔を閉鎖するように上記仕切り板に固定されるとともに、上記点火器の作動に起因して開裂が可能な破裂板とを有している。上記破裂板は、上記仕切り板の厚み方向に位置する一対の主面のうちの上記一方端側の主面に溶接されることで固定されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ハウジングの内部に圧縮ガスが封入されてなるガス発生器において、ガス発生器自体の構成の簡素化と組立作業の容易化とを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器の模式断面図である。
【
図2】
図1に示す仕切り部および点火器組立体近傍の拡大図である。
【
図3】
図1に示すノズル組立体近傍の拡大図である。
【
図4】実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法を示すフロー図である。
【
図5】円筒状部材へのノズル組立体および仕切り板の組付工程を示す模式断面図である。
【
図6】圧縮ガス封入装置のヘッド部に対する位置決め工程を示す模式断面図である。
【
図9】仕切り板への第1破裂板の組付工程を示す模式断面図である。
【
図10】円筒状部材への点火器組立体の組付工程を示す模式断面図である。
【
図11】変形例に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法におけるガス充填工程を示す模式断面図である。
【
図12】実施の形態2に係るストアード型ガス発生器の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、サイドエアバッグ装置に組み込まれるシリンダ型ガス発生器に本発明を適用した場合を例示するものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器の模式断面図である。
図2は、
図1に示すハイブリッド型ガス発生器の仕切り部および点火器組立体近傍の拡大図であり、
図3は、ノズル組立体近傍の拡大図である。まず、これら
図1ないし
図3を参照して、本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aの構成について説明する。なお、本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aは、いわゆるブローダウン構造を有するものである。
【0025】
図1に示すように、ハイブリッド型ガス発生器1Aは、全体として長尺略円柱状の外形を有している。ハイブリッド型ガス発生器1Aは、筒状部材としての円筒状部材10と、点火器組立体20と、ノズル組立体30と、仕切り部40と、発熱剤50と、図には現れない圧縮ガスとを備えている。
【0026】
ハイブリッド型ガス発生器1Aのハウジングは、円筒状部材10と、点火器組立体20と、ノズル組立体30と、仕切り部40とによって主として構成されている。発熱剤50および圧縮ガスは、これら円筒状部材10、点火器組立体20、ノズル組立体30および仕切り部40によって構成されたハウジングの内部に収容されている。
【0027】
点火器組立体20は、円筒状部材10の軸方向の一方端側に位置する開口端を閉塞するように円筒状部材10に組付けられており、ノズル組立体30は、円筒状部材10の軸方向の他方端側に位置する開口端を閉塞するように円筒状部材10に組付けられている。一方、仕切り部40は、円筒状部材10の内部の空間を当該円筒状部材10の軸方向において仕切るように円筒状部材10の内部の所定位置に組付けられている。
【0028】
これにより、ハウジングの内部の空間は、円筒状部材10、点火器組立体20および仕切り部40によって規定された点火室S1と、円筒状部材10、ノズル組立体30および仕切り部40によって規定されたタンク室S2とに区画されている。点火室S1には、発熱剤50が収容されており、タンク室S2には、圧縮ガスが収容されている。
【0029】
図1ないし
図3に示すように、円筒状部材10は、軸方向の一方端および他方端のみが開口した長尺円筒状の部材からなる。円筒状部材10は、その周壁にガスを注入するためのガス注入口を有しておらず、当然にこれを封止する封止ピンも有していない。
【0030】
円筒状部材10は、圧力隔壁として機能するものであり、たとえばステンレス鋼や鉄鋼等の金属製の部材にて構成される。ここで、円筒状部材10の一部は、長期間にわたって圧縮ガスに晒されることになるため、耐腐食性に優れたものとなるように、クロムやマンガン、モリブデン、ニオブ、ニッケル等が添加された鋼材にて構成されていることが好ましい。
【0031】
図1および
図2に示すように、点火器組立体20は、ホルダ21と、点火器22と、樹脂成形部23とを有している。点火器組立体20は、ホルダ21と点火器22とを樹脂成形部23を用いて固定してなるものであり、予め一体化された部品として構成されている。点火器組立体20は、上述したように円筒状部材10の軸方向の一方端側に位置する開口端を閉塞するように当該円筒状部材10に組付けられている。
【0032】
図2に示すように、ホルダ21は、外形が略円筒状の部材からなり、軸方向に沿って延びる貫通部21aを有している。貫通部21aは、点火器22が収容されるとともに樹脂成形部23が設けられる部位である。
【0033】
ホルダ21は、圧力隔壁として機能するものであり、たとえばステンレス鋼や鉄鋼等の金属製の部材にて構成される。
【0034】
点火器22は、火炎を発生させるためのものであり、一般にスクイブと称される火工品からなる。点火器22は、点火部22aと、一対の端子ピン22bとを有している。点火部22aは、その内部に、作動時において着火して燃焼することで火炎を発生する点火薬と、この点火薬を着火させるための抵抗体(ブリッジワイヤ)とを含んでいる。一対の端子ピン22bは、点火薬を着火させるために点火部22aに接続されている。
【0035】
より詳細には、点火部22aは、カップ状に形成されたスクイブカップと、当該スクイブカップの開口端を閉塞し、一対の端子ピン22bが挿通されてこれを保持する塞栓とを含んでおり、スクイブカップ内に挿入された一対の端子ピン22bの先端を連結するように上述した抵抗体が取付けられ、この抵抗体を取り囲むようにまたはこの抵抗体に近接するようにスクイブカップ内に点火薬が装填された構成を有している。
【0036】
ここで、抵抗体としては一般にニクロム線等が利用され、点火薬としては一般にZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、鉛トリシネート等が利用される。なお、上述したスクイブカップおよび塞栓は、一般に金属製またはプラスチック製である。
【0037】
衝突を検知した際には、端子ピン22bを介して抵抗体に所定量の電流が流れる。抵抗体に所定量の電流が流れることにより、抵抗体においてジュール熱が発生し、点火薬が燃焼を開始する。燃焼により生じた高温の火炎は、点火薬を収納しているスクイブカップを破裂させる。抵抗体に電流が流れてから点火器22が作動するまでの時間は、抵抗体にニクロム線を利用した場合に一般に2[ms]以下である。
【0038】
樹脂成形部23は、射出成形(より特定的にはいわゆるインサート成形)によって形成された樹脂製の部位からなり、ホルダ21および点火器22の双方に固着している。この樹脂成形部23は、射出成形時において型を用いることにより、ホルダ21と点火器22の間の空間を充填するようにこれらの間に流動性樹脂材料を流し込んでこれを固化させることで形成することができる。これにより、ホルダ21の貫通部21aは、点火器22と樹脂成形部23とによって埋め込まれた状態となり、当該部分におけるシール性が樹脂成形部23によって確保できることになる。
【0039】
射出成形によって形成される樹脂成形部23の原料としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料が好適に選択されて使用される。その場合、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂に限られず、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂を利用することも可能である。
【0040】
樹脂成形部23には、外部に向けて露出する凹部23aが設けられている。凹部23aの内部には、点火器22の一対の端子ピン22bが配置されている。これにより、上述した円筒状部材10の一方端側の端面に、凹部23aおよび一対の端子ピン22bからなる雌型コネクタ部が設けられている。
【0041】
当該雌型コネクタ部は、点火器22とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れるための部位である。雌型コネクタ部は、ハウジングの外部に向けて露出しており、当該雌型コネクタ部に上述した雄型コネクタが挿し込まれることにより、ハーネスの芯線と端子ピン22bとの電気的導通が実現されることになる。
【0042】
なお、点火器22のホルダ21への固定方法は、上述した樹脂成形部23を用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
【0043】
点火器組立体20は、当該点火器組立体20が有するホルダ21が円筒状部材10の上述した一方端側の開口端に圧入されるとともに、ホルダ21と円筒状部材10との接触部またはその近傍においてこれらが接合されることで固定されている。ここで、ホルダ21と円筒状部材10との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、抵抗溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
【0044】
なお、点火器組立体20の円筒状部材10への固定方法は、上述した圧入および溶接を利用した固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
【0045】
図1および
図3に示すように、ノズル組立体30は、ノズル31と、第2破裂板32とを有している。ノズル組立体30は、ノズル31に第2破裂板32を接合することで予め一体化された部品として構成されている。ノズル組立体30は、上述したように円筒状部材10の軸方向の他方端側に位置する開口端を閉塞するように当該円筒状部材10に組付けられている。
【0046】
図3に示すように、ノズル31は、中央に貫通孔が設けられた略円盤状のベース部31aと、一端が閉塞された略円筒状のノズル部31bとを有している。ノズル部31bは、ベース部31aの中央から軸方向に沿って突設されており、これによりハウジングの外部に向けて延びるように位置している。
【0047】
ノズル31は、圧力隔壁として機能するものであり、たとえばステンレス鋼や鉄鋼等の金属製の部材にて構成される。ここで、ノズル31の一部は、長期間にわたって圧縮ガスに晒されることになるため、耐腐食性に優れたものとなるように、クロムやマンガン、モリブデン、ニオブ、ニッケル等が添加された鋼材にて構成されていることが好ましい。
【0048】
ノズル31は、その内部に中空状の流路部31cを有している。当該流路部31cは、ベース部31aに設けられた貫通孔と、ノズル部31bに設けられた中空部とによって構成されており、これにより当該流路部31cは、タンク室S2に向けて開口する開口部をその一端に有している。この流路部31cのタンク室S2側に設けられた開口部は、第2破裂板32によって閉鎖されている。
【0049】
ノズル部31bの周壁には、複数のガス噴出口31dが設けられており、当該複数のガス噴出口31dは、いずれも流路部31cに連通している。当該複数のガス噴出口31dは、ハイブリッド型ガス発生器1Aの作動時において、ガスを外部に向けて噴出するための部位であり、流路部31cを介して第2破裂板32によって閉鎖されている。
【0050】
第2破裂板32は、薄板状の外形を有しており、上述したように流路部31cのタンク室S2側に設けられた開口部を閉鎖するようにノズル31のベース部31aに固定されている。第2破裂板32は、点火器22の作動および後述する第1破裂板42の開裂に起因して開裂が可能なものであり、好適には金属製の部材にて構成される。
【0051】
ここで、第2破裂板32の一部は、長期間にわたって圧縮ガスに晒されるものであるため、第2破裂板32は、耐腐食性の観点からSUS316(JIS規格記号)やインコネル(登録商標)等の薄肉の金属板から形成されたニッケル合金製の部材にて構成されていることが望ましい。たとえば、第2破裂板32としては、耐熱性および耐腐食性を有する金属製の薄板(たとえば厚みが200[μm]程度)が好適に用いられ、Ni:10重量%、Cr:23重量%、Mn:6重量%、Mo:2重量%、C:0.01重量%、N:0.5重量%、その他、の成分割合からなるステンレス鋼やインコネル合金(インコネル625)からなる薄板が特に好適に用いられる。
【0052】
第2破裂板32は、たとえば電子ビーム溶接やレーザ溶接、抵抗溶接等によってノズル31に接合されることで固定される。
【0053】
ノズル組立体30は、当該ノズル組立体30が有するノズル31のベース部31aが円筒状部材10の上述した他方端側の開口端に圧入されるとともに、ノズル31と円筒状部材10との接触部またはその近傍においてこれらが接合されることで固定されている。ここで、ノズル31と円筒状部材10との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、抵抗溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
【0054】
なお、ノズル組立体30の円筒状部材10への固定方法は、上述した圧入および溶接を利用した固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
【0055】
図1および
図2を参照して、仕切り部40は、仕切り板41と、第1破裂板42とを有している。仕切り部40は、上述したように円筒状部材10の内部の空間を点火室S1とタンク室S2とに区画するように円筒状部材10の内部の所定位置に組付けられている。
【0056】
図2に示すように、仕切り板41は、外形が円環板状の部材からなり、その中央部に軸方向に沿って貫通する連通孔41aが設けられている。当該連通孔41aは、点火室S1とタンク室S2とを連通させるための部位である。この連通孔41aの点火室S1側に位置する開口部は、第1破裂板42によって閉鎖されている。
【0057】
ここで、上述した連通孔41aは、ハイブリッド型ガス発生器1Aの製造時において、タンク室S2にガスを注入するためのガス注入口としても機能する。なお、この点については、後において詳述することとする。
【0058】
仕切り板41は、圧力隔壁として機能するものであり、たとえばステンレス鋼や鉄鋼等の金属製の部材にて構成される。ここで、仕切り板41は、長期間にわたって圧縮ガスに晒されることになるため、耐腐食性に優れたものとなるように、クロムやマンガン、モリブデン、ニオブ、ニッケル等が添加された鋼材にて構成されていることが好ましい。
【0059】
第1破裂板42は、薄板状の外形を有しており、上述したように連通孔41aの点火室S1側に位置する開口部を閉鎖するように仕切り板41に固定されている。第1破裂板42は、点火器22の作動による点火室S1の圧力上昇に起因して開裂が可能なものであり、好適には金属製の部材にて構成される。
【0060】
ここで、第1破裂板42の一部は、長期間にわたって圧縮ガスに晒されるものであるため、第1破裂板42は、耐腐食性の観点からSUS316(JIS規格記号)やインコネル(登録商標)等の薄肉の金属板から形成されたニッケル合金製の部材にて構成されていることが望ましい。たとえば、第1破裂板42としては、耐熱性および耐腐食性を有する金属製の薄板(たとえば厚みが200[μm]程度)が好適に用いられ、Ni:10重量%、Cr:23重量%、Mn:6重量%、Mo:2重量%、C:0.01重量%、N:0.5重量%、その他、の成分割合からなるステンレス鋼やインコネル合金(インコネル625)からなる薄板が特に好適に用いられる。
【0061】
本実施の形態においては、後述するように、第1破裂板42が抵抗溶接によって仕切り板41に接合されることで固定される。ここで、第1破裂板42は、仕切り板41の厚み方向に位置する一対の主面のうちの点火室S1に面する方の主面に宛がわれて当該主面に溶接されている。なお、後において詳述するが、この仕切り板41への第1破裂板42の溶接は、仕切り板41が円筒状部材10に組付けられた後に行なわれる。
【0062】
仕切り板41は、円筒状部材10の内部に圧入されるとともに、仕切り板41と円筒状部材10との接触部またはその近傍においてこれらが接合されることで固定されている。ここで、仕切り板41と円筒状部材10との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、抵抗溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
【0063】
なお、仕切り板41の円筒状部材10への固定方法は、上述した圧入および溶接を利用した固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
【0064】
図1および
図2を参照して、上述したように、円筒状部材10、点火器組立体20および仕切り部40によって規定された点火室S1には、発熱剤50が収容されている。
【0065】
発熱剤50は、燃焼することによって高温の熱を発生させる薬剤からなる。発熱剤50は、ハイブリッド型ガス発生器1Aの動作時において、第1破裂板42および第2破裂板32が開裂することにより、圧縮ガスが断熱膨張することで生じ得るエネルギーロスを補うための熱を当該圧縮ガスに供給するものであり、たとえばB/KNO3、B/NaNO3、Sr(NO3)2等に代表される金属粉/酸化剤からなる組成物やこれに硝酸グアニジンまたはニトログアニジンを加えた組成物、水素化チタン/過塩素酸カリウムからなる組成物、B/5-アミノテトラゾール/硝酸カリウムからなる組成物、過塩素酸アンモニウム/過塩素酸カリウム/ニトログアニジンからなる組成物、Sr(NO3)2/ニトログアニジンからなる組成物等が用いられる。
【0066】
発熱剤50としては、粉状のものや、バインダによって所定の形状に成形されたもの等が利用できる。バインダによって成形された発熱剤50の形状としては、たとえば顆粒状、円柱状、シート状、球状、単孔円筒状、多孔円筒状、タブレット状など種々の形状が挙げられる。
【0067】
一方、
図1ないし
図3を参照して、上述したように、円筒状部材10、ノズル組立体30および仕切り部40によって規定されたタンク室S2には、圧縮ガスが収容されている。
【0068】
圧縮ガスは、ハイブリッド型ガス発生器1Aの動作時において、第2破裂板32が開裂することにより、これが外部へと放出されることで当該ハイブリッド型ガス発生器1Aに隣接して設けられたエアバッグを膨張および展開させるものである。圧縮ガスとしては、各種の不活性ガスが利用可能であり、たとえばヘリウムガス、アルゴンガス、ネオンガス、窒素ガス、炭酸ガス等を利用することができる。
【0069】
次に、上述した構成を有する本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aの動作について、前述の
図1ないし
図3を参照しつつ説明する。
【0070】
まず、上述したコントロールユニットからの通電を受けることにより、点火器22が作動する。点火器22が作動することにより、点火部22aに充填された点火薬が抵抗体によって加熱されることで着火され、当該点火薬が燃焼することで点火部22aが破裂する。これにより、点火室S1に収容された発熱剤50が点火器22によって着火されて燃焼する。
【0071】
この点火薬および発熱剤50の燃焼によって点火室S1の圧力および温度が上昇することになり、これに伴って第1破裂板42のうちの連通孔41aに面する部分に開裂が生じる。この第1破裂板42の開裂に伴い、点火室S1とタンク室S2とが連通孔41aを介して連通した状態となる。
【0072】
次に、点火室S1とタンク室S2とが連通孔41aを介して連通したことに伴い、タンク室S2の圧力および温度も上昇することになり、これに伴って第2破裂板32のうちの流路部31cに面する部分に開裂が生じる。この第2破裂板32の開裂に伴い、タンク室S2と複数のガス噴出口31dとが流路部31cを介して連通した状態となる。
【0073】
これにより、タンク室S2に収容されていた圧縮ガスが、流路部31cを介して複数のガス噴出口31dへと至り、その後、当該複数のガス噴出口31dから外部に向けて噴出することになる。
【0074】
なお、複数のガス噴出口31dからハイブリッド型ガス発生器1Aの外部へと噴出されたガスは、当該ハイブリッド型ガス発生器1Aに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開させる。
【0075】
以上において説明した本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aにあっては、圧縮ガスが封入されたタンク室S2を規定する部分のハウジングの壁部のうち、円筒状部材10の周壁に該当する部分に開口が設けられておらず、また、仕切り板41に設けられた連通孔41aを閉鎖するように当該仕切り板41に設けられた第1破裂板42が、円筒状部材10の上述した一方端(すなわち、点火器組立体20が組付けられた方の開口端)側に位置する部分の仕切り板41の主面に溶接されている。
【0076】
このような特徴的な構成は、本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aが、以下において説明する本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法に従って製造されていることに起因するものであり、要約すれば、圧縮ガスをタンク室S2に封入する際に、仕切り板41に設けられた連通孔41aがガス注入口として利用されるとともに、圧縮ガスの注入後において当該連通孔41aが第1破裂板42によって閉鎖されることによる。
【0077】
以下、本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法を具体的に説明しつつ、上記の点についてより詳細に説明する。
図4は、本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法を示すフロー図であり、
図5ないし
図10は、
図4に示す各工程における模式断面図である。
【0078】
図4に示すように、本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aを製造するに際しては、まず、ステップST1において、点火器組立体20およびノズル組立体30がそれぞれ製作される。
【0079】
具体的には、ホルダ21に点火器22を樹脂成形部23を用いて固定することにより、一体の部品としての点火器組立体20が製作され、ノズル31に第2破裂板32がたとえば抵抗溶接等によって溶接されることにより、一体の部品としてのノズル組立体30が製作される。
【0080】
次に、
図4および
図5に示すように、ステップST2において、円筒状部材10にノズル組立体30および仕切り板41がそれぞれ組付けられる。
【0081】
具体的には、
図5に示すように、円筒状部材10の軸方向の上述した他方端側に位置する開口端に対して、ノズル組立体30のノズル31のベース部31aが内挿されることで圧入され、その後、ノズル31が円筒状部材10にたとえばレーザ溶接等によって溶接されることにより、ノズル組立体30が円筒状部材10に組付けられる。また、円筒状部材10の軸方向の上述した一方端側に位置する開口端から仕切り板41が当該一方端を越えて円筒状部材10の内部に入り込むように内挿されることで圧入され、その後、仕切り板41が円筒状部材10にたとえばレーザ溶接等によって溶接されることにより、仕切り板41が円筒状部材10に組付けられる。
【0082】
次に、
図4および
図6に示すように、ステップST3において、圧縮ガス封入装置100のヘッド部110に対する円筒状部材10の位置決めが行なわれる。
【0083】
図6に示すように、圧縮ガス封入装置100は、ガス充填装置と溶接装置とが組み合わされて構成されたものであり、ブロック状のヘッド部110を有している。ヘッド部110は、ガス充填ヘッド111と、溶接ヘッド112とを含んでおり、溶接ヘッド112は、摺動可能にガス充填ヘッド111に組み込まれている。
【0084】
ガス充填ヘッド111の内部には、図示しないガス供給源および負圧源に選択的に切り替え可能に接続された通気路111aが設けられており、当該通気路111aの一端は、ガス充填ヘッド111の主表面111bにおいて開口している。
【0085】
一方、溶接ヘッド112は、略円柱状の外形を有しており、上述したようにガス充填ヘッド111によって摺動可能に保持されている。溶接ヘッド112の内部には、図示しない負圧源に接続された吸引路112aが設けられており、当該吸引路112aの一端は、溶接ヘッド112の主表面112bにおいて開口している。
【0086】
ここで、ガス充填ヘッド111の主表面111bと溶接ヘッド112の主表面112bとは、互いに平行なるように配置されており、溶接ヘッド112が駆動されることにより、溶接ヘッド112の主表面112bは、ガス充填ヘッド111の主表面111bから突出するように移動することができる。なお、ガス充填ヘッド111の主表面111bにおいて開口する通気路111aの一端は、溶接ヘッド112を取り囲むように配置されている。
【0087】
溶接ヘッド112は、予め第1破裂板42を保持している。より詳細には、第1破裂板42は、予め溶接ヘッド112の主表面112bに宛がわれた状態とされ、この状態において上述した負圧源が駆動されることで吸引路112aに負圧が発生させられることにより、第1破裂板42が、当該溶接ヘッド112によって保持されている(図中においては、当該負圧源による吸引方向を模式的に矢印Aで示している)。
【0088】
この状態において、ステップST2においてノズル組立体30および仕切り板41が組付けられた円筒状部材10の軸方向の上述した一方端側の開口端が、ガス充填ヘッド111の主表面111bに当接するように押し当てられることにより、圧縮ガス封入装置100のヘッド部110に対する円筒状部材10の位置決めが行なわれる。
【0089】
このとき、円筒状部材10の上述した一方端側の端面がガス充填ヘッド111の主表面111bに当接させられることにより、ガス注入口としての連通孔41aが設けられた仕切り板41と、円筒状部材10と、ガス充填ヘッド111の主表面111bとによって閉空間が形成されることになる(
図7参照)。
【0090】
また、このとき、円筒状部材10の上述した一方端側の開口端によって第1破裂板42を保持した溶接ヘッド112の端部が覆われるようにすることにより、第1破裂板42が上述した閉空間の内部において溶接ヘッド112によって保持された状態となる(
図7参照)。
【0091】
なお、円筒状部材10の上述した一方端側の端面が押し当てられる部分のガス充填ヘッド111の主表面111bにパッキン等からなるシール部材を設けておけば、上述した閉空間と外部の空間との気密性を向上させることもできる。
【0092】
次に、
図4および
図7に示すように、ステップST4において、真空引きが行なわれる。この真空引きは、ガス充填ヘッド111を具備した上述のガス充填装置が用いられることで行なわれる。
【0093】
具体的には、
図7に示すように、ガス充填ヘッド111に設けられた通気路111aが上述した負圧源に接続されるとともに当該負圧源が駆動されることにより、上述した閉空間および当該閉空間と連通孔41aを介して連通するタンク室S2内の空気が吸引され、吸引された空気は、通気路111aを介して外部に排気される(図中においては、当該負圧源による吸引方向を模式的に矢印Bで示している)。当該真空引きは、タンク室S2の圧力が所定の真空度に達するまで実施される。
【0094】
次に、
図4および
図8に示すように、ステップST5において、ガス充填が行なわれる。このガス充填は、ガス充填ヘッド111を具備した上述のガス充填装置が引き続き用いられることで行なわれる。
【0095】
具体的には、
図8に示すように、ガス充填ヘッド111が設けられた通気路111aが、上述した負圧源から上述したガス供給源に切り替え接続されるとともに当該ガス供給源が駆動されることにより、上述した閉空間および当該閉空間と連通孔41aを介して連通するタンク室S2内にガスが送り込まれ、送り込まれたガスが圧縮されることにより、タンク室S2が圧縮ガスにて満たされる(図中においては、当該ガス供給源によって送り込まれるガスの供給方向を模式的に矢印Cで示している)。当該ガス充填は、タンク室S2の圧力が所定の高圧状態(たとえば、30[MPa]~90[MPa]程度)になるまで実施される。
【0096】
このとき、ガス充填ヘッド111の主表面111bにおいて開口する通気路111aの上記一端は、ガスを送り出すガス送出口として機能することになり、当該ガス送出口から送り出されたガスは、上述した閉空間を経由することでガス注入口としての連通孔41aからタンク室S2に送り込まれることになる。
【0097】
次に、
図4および
図9に示すように、ステップST6において、仕切り板41に第1破裂板42が組付けられる。この第1破裂板42の組付けは、溶接ヘッド112を具備した上述の溶接装置が用いられることで行なわれる。
【0098】
具体的には、
図9に示すように、ステップST5においてタンク室S2が圧縮ガスにて満たされた後の状態において、予め上述した閉空間の内部において溶接ヘッド112によって保持されていた第1破裂板42が溶接ヘッド112が駆動されることで移動させられ、これにより第1破裂板42によってガス注入口としての連通孔41aが覆われるように第1破裂板42が仕切り板41に対して押し付けられる。
【0099】
この状態において、溶接ヘッド112が稼働させられる(すなわち、抵抗溶接のための電流が当該溶接ヘッド112に印可される)ことにより、仕切り板41に対して押し付けられた状態にある第1破裂板42が、当該仕切り板41に溶接される。これにより、連通孔41aを取り囲むように仕切り板41と第1破裂板42との接触部またはその近傍に溶接による接合部が形成されることになり、第1破裂板42が仕切り板41に固定される。
【0100】
そのため、仕切り板41に設けられたガス注入口としての連通孔41aが第1破裂板42によって閉鎖されることに伴い、圧縮ガスにて満たされたタンク室S2は、当該第1破裂板42によって封止されることになり、圧縮ガスがタンク室S2に封入されることになる。なお、上述した溶接が完了した後には、ガス充填装置のガス供給源によるガスの供給および溶接装置の負圧源による第1破裂板42の保持は、いずれも解除される。
【0101】
次に、
図4および
図10に示すように、ステップST7において、発熱剤50が充填され、その後、ステップST8において、円筒状部材10に点火器組立体20が組付けられる。
【0102】
具体的には、
図10に示すように、圧縮ガス封入装置100のヘッド部110から離脱させられた円筒状部材10の上述した軸方向の一方端側の内部に、当該一方端側の開口端から所定量の発熱剤50が投入され、その後、円筒状部材10の上述した一方端側に位置する開口端に対して、点火器組立体20のホルダ21が内挿されることで圧入され、さらにその後、ホルダ21が円筒状部材10にたとえばレーザ溶接等によって溶接されることにより、点火器組立体20が円筒状部材10に組付けられる。
【0103】
これらステップST1~ST8を経ることにより、上述した本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aの製造が完了することになる。
【0104】
以上において説明した本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法においては、圧縮ガスをタンク室S2に封入する際に、仕切り板41に設けられた連通孔41aがガス注入口として利用されるとともに、圧縮ガスの注入後において当該連通孔41aが第1破裂板42によって閉鎖されることとしている。そのため、当該製造方法を採用することにより、または、上述した本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aとすることにより、ハウジングに圧縮ガスの封入にのみ用いる構造部を設ける必要がなく、ガス発生器自体の構成の簡素化と組立作業の容易化とが実現できることになる。
【0105】
また、本実施の形態においては、ハイブリッド型ガス発生器1Aの製造時において、円筒状部材10の軸方向の上述した一方端側の端面が圧縮ガス封入装置100のヘッド部110に押し当てられる構成であるため、上述した閉空間の容積を大幅に狭小化することができる。そのため、真空引きの際に、短時間のうちに所定の真空度にまでタンク室S2の真空度を下げることができ、また、ガス充填の際に、短時間のうちに所定の高圧状態にまでタンク室S2の圧力を上げることができる。したがって、製造に要する時間を短縮することができ、製造コストの削減に繋がることにもなる。
【0106】
また、この点に関連し、本実施の形態においては、上述した如くの構成の小型のヘッド部110を備えた圧縮ガス封入装置100を用いてハウジングへの圧縮ガスの封入が可能になるため、従来の圧縮ガス封入装置に比べて製造設備を大幅に小型化することができるメリットも得られる。
【0107】
さらには、ガス充填の際には、ガスの圧縮に伴って熱が発生することになるが、上述したように、本実施の形態においては、上述した閉空間の容積が大幅に狭小化するため、この発熱量のばらつきを抑えることができる。したがって、製造した製品間において圧縮ガスの充填量にばらつきが発生することが抑制でき、所望のガス出力が得られるハイブリッド型ガス発生器をより歩留まりよく製造することができる。
【0108】
また、本実施の形態においては、ハイブリッド型ガス発生器1Aの製造時において、圧縮ガス封入装置100のヘッド部110に押し当てられる部分のハウジング(すなわち、円筒状部材10の軸方向の上述した一方端側の端面)の形状が平面形状であるため、円筒状部材10の湾曲した周壁にガス注入口を設ける場合よりも、上述した閉空間の気密性の確保が容易となり、より容易に高圧ガスの封入が行なえることにもなる。
【0109】
加えて、本実施の形態においては、ハイブリッド型ガス発生器1Aの製造時において、円筒状部材10の内部の所定位置に組付けられた仕切り板41に設けられた連通孔41aがガス注入口として利用されるものであるため、タンク室を規定する圧縮ガス充填部と、燃焼剤が収容される点火室を規定するとともに点火器組立体が組付けられた起爆部とを、それぞれ別ユニットとして製作した後に、これらを組み合わせる必要がなく、極めて容易にハイブリッド型ガス発生器を製造することが可能になる。
【0110】
(第1変形例)
図11は、上述した実施の形態1に基づいた変形例に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法におけるガス充填工程を示す模式断面図である。以下、この
図11を参照して、変形例に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法について説明する。
【0111】
上述した実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法においては、圧縮ガス封入装置100として、ヘッド部110の主表面(すなわち、ガス充填ヘッド111の主表面111b)に円筒状部材10の軸方向の上述した一方端側の端面が押し当てられるように構成されたものを用いた場合を例示して説明を行なったが、他の形状のヘッド部110を具備した圧縮ガス封入装置を用いることもできる。
【0112】
図11に示すように、本変形例に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法において用いられる圧縮ガス封入装置100’は、ガス充填ヘッド111の主表面111bに凹部111cが設けられてなるものであり、当該凹部111cの底面から突出するように溶接ヘッド112の端部が配置されてなるものである。また、凹部111cの周面には、内側に向けて突出するようにパッキン等からなるシール部材111dが配置されている。
【0113】
このように構成された圧縮ガス封入装置100’を用いた場合にも、ノズル組立体30および仕切り板41が組付けられた円筒状部材10の軸方向の上述した一方端側の開口端が、ガス充填ヘッド111の主表面111bに設けられた凹部111cに挿入されることにより、円筒状部材の上述した一方端側の外周面がシール部材111dを介してヘッド部110に当接することになり、これによって仕切り板41とヘッド部110との間に閉空間が形成されることになる。
【0114】
したがって、当該構成の圧縮ガス封入装置100’を用いてハイブリッド型ガス発生器1Aを製造した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0115】
なお、上記変形例の他にも、ハウジングとヘッド部とを直接的に当接させることなく上述した如くの閉空間をこれらの間に形成することも可能である。たとえば、チャンバを具備するとともに当該チャンバ内に溶接ヘッドが配置された圧縮ガス封入装置を用い、チャンバ内にノズル組立体および仕切り板が組付けられた円筒状部材を配置して、チャンバ内を圧縮ガスで満たすことによりタンク室を圧縮ガスにて満たし、その上で溶接ヘッドを用いて第1破裂板を仕切り板に溶接することで圧縮ガスをタンク室に封入することとしてもよい。
【0116】
(実施の形態2)
図12は、実施の形態2に係るストアード型ガス発生器の模式断面図である。まず、この
図12を参照して、本実施の形態に係るストアード型ガス発生器1Bの構成について説明する。なお、本実施の形態に係るストアード型ガス発生器1Bは、いわゆるリバースフロー構造を有するものである。
【0117】
図12に示すように、本実施の形態に係るストアード型ガス発生器1Bは、上述した実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器1Aと近似の構成を有しており、当該ハイブリッド型ガス発生器1Aと比較した場合に、主としてタンク室S2を規定する部分のハウジングの構成が相違しており、またこれに加えて、ノズル組立体30および発熱剤50(いずれも
図1等参照)を具備していない点、複数のガス噴出口の形成位置や複数のガス噴出口近傍の構成、単一の破裂板42のみを備えている点等においてその構成が相違している。
【0118】
具体的には、ストアード型ガス発生器1Bにおいては、円筒状部材10が、軸方向の一方端を開口端として有するとともに軸方向の他方端を閉塞端として有する長尺有底円筒状の部材にて構成されており、その軸方向の上述した一方端側の開口端に点火器組立体20が組付けられている。また、円筒状部材10の内部の空間の所定位置には、仕切り部40が組付けられており、これにより円筒状部材10の内部の空間が、点火室S1とタンク室S2とに区画されている。
【0119】
点火室S1を規定する部分の円筒状部材10には、複数のガス噴出口10aが設けられている。当該複数のガス噴出口10aは、ストアード型ガス発生器1Bの作動時において、ガスを外部に向けて噴出するための部位である。
【0120】
また、点火室S1を規定する部分の円筒状部材10の内周面には、複数のガス噴出口10aを閉鎖するように金属製のシールテープ10bが貼付されている。このシールテープ10bとしては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が好適に利用でき、当該シールテープ10bによって点火室S1の気密性が確保されている。
【0121】
ここで、本実施の形態に係るストアード型ガス発生器1Bにおいても、仕切り板41に設けられた連通孔41aの点火室S1側に位置する開口部が、破裂板42によって閉鎖されている。すなわち、破裂板42は、仕切り板41の厚み方向に位置する一対の主面のうちの点火室S1に面する方の主面に宛がわれて当該主面に溶接されている。
【0122】
次に、上述した構成を有する本実施の形態に係るストアード型ガス発生器1Bの動作について、引き続き
図12を参照して説明する。
【0123】
まず、上述したコントロールユニットからの通電を受けることにより、点火器22が作動する。点火器22が作動することにより、点火部22aに充填された点火薬が抵抗体によって加熱されることで着火され、当該点火薬が燃焼することで点火部22aが破裂する。
【0124】
この点火薬の燃焼によって点火室S1の圧力および温度が上昇することになり、これに伴って破裂板42のうちの連通孔41aに面する部分に開裂が生じる。この破裂板42の開裂に伴い、点火室S1とタンク室S2とが連通孔41aを介して連通した状態となる。
【0125】
次に、点火室S1とタンク室S2とが連通孔41aを介して連通したことに伴い、圧縮ガスが連通孔41aを介して点火室S1に流れ込み、その後複数のガス噴出口10aから外部に向けて噴出することになる。
【0126】
なお、複数のガス噴出口10aからストアード型ガス発生器1Bの外部へと噴出されたガスは、当該ストアード型ガス発生器1Bに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開させる。
【0127】
以上において説明した本実施の形態に係るストアード型ガス発生器1Bにあっても、圧縮ガスが封入されたタンク室S2を規定する部分のハウジングの壁部のうち、円筒状部材10の周壁に該当する部分に開口が設けられておらず、また、仕切り板41に設けられた連通孔41aを閉鎖するように当該仕切り板41に設けられた破裂板42が、円筒状部材10の上述した一方端(すなわち、点火器組立体20が組付けられた方の開口端)側に位置する部分の仕切り板41の主面に溶接されている。
【0128】
このような特徴的な構成は、上述した実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法に準じた製造方法に従ってストアード型ガス発生器を製造することで実現できるものである。したがって、本実施の形態に係るストアード型ガス発生器1Bとした場合にも、ハウジングに圧縮ガスの封入にのみ用いる構造部を設ける必要がなく、ガス発生器自体の構成の簡素化と組立作業の容易化とが実現できることになる。
【0129】
(その他の形態等)
上述した本発明の実施の形態1,2およびそれらの変形例においては、圧縮ガス封入装置のガス充填ヘッドに設けられた通気路がガス供給源および負圧源に選択的に切り替え可能に接続されるように構成された場合を例示して説明を行なったが、ガス供給源および負圧源にそれぞれ独立して接続された通気路をガス充填ヘッドに設け、ガス供給源および負圧源がそれぞれ異なるタイミングで駆動されるように構成することとしてもよい。
【0130】
また、上述した本発明の実施の形態1,2およびそれらの変形例においては、本発明をサイドエアバッグ装置に組み込まれるシリンダ型ガス発生器に適用した場合を例示して説明を行なったが、本発明の適用対象はこれに限られるものではなく、カーテンエアバッグ装置やニーエアバッグ装置、シートクッションエアバッグ装置等に組み込まれるシリンダ型ガス発生器や、シリンダ型ガス発生器と同様に長尺状の外形を有するいわゆるT字型ガス発生器等にもその適用が可能である。
【0131】
このように、今回開示した上記実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0132】
1A ハイブリッド型ガス発生器、1B ストアード型ガス発生器、10 円筒状部材、10a ガス噴出口、10b シールテープ、20 点火器組立体、21 ホルダ、21a 貫通部、22 点火器、22a 点火部、22b 端子ピン、23 樹脂成形部、23a 凹部、30 ノズル組立体、31 ノズル、31a ベース部、31b ノズル部、31c 流路部、31d ガス噴出口、32 第2破裂板、40 仕切り部、41 仕切り板、41a 連通孔(ガス注入口)、42 第1破裂板(破裂板),50 発熱剤、100 圧縮ガス封入装置、110 ヘッド部、111 ガス充填ヘッド、111a 通気路、111b 主表面、111c 凹部、111d シール部材、112 溶接ヘッド、112a 吸引路、112b 主表面、S1 点火室、S2 タンク室。