(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】洗浄液の浄化装置及び浄化方法
(51)【国際特許分類】
B04C 9/00 20060101AFI20240226BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20240226BHJP
B01F 23/20 20220101ALI20240226BHJP
B01F 25/40 20220101ALI20240226BHJP
B01D 17/032 20060101ALI20240226BHJP
B01D 17/00 20060101ALI20240226BHJP
B04C 5/04 20060101ALI20240226BHJP
C23G 3/00 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
B04C9/00
B08B3/02 A
B01F23/20
B01F25/40
B01D17/032 502A
B01D17/00 503A
B04C5/04
C23G3/00 B
(21)【出願番号】P 2019211581
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】上野 正浩
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-131153(JP,A)
【文献】特開2004-358417(JP,A)
【文献】特開2018-103090(JP,A)
【文献】特開2009-172453(JP,A)
【文献】特開2011-000516(JP,A)
【文献】実公昭58-008398(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04C 1/00-11/00
B08B 3/00-3/14
C02F 1/40
C02F 9/00-9/20
B01F 21/00-25/90
B01D 17/00-17/12
C23G 1/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属加工品を洗浄して汚濁した汚濁洗浄液を流通させることにより液体の分子集団を微細化する液体微細化装置と、
前記液体微細化装置により分子集団を微細化された洗浄液を遠心分離処理して前記洗浄液中の金属スラッジを回収し除去する遠心分離機と、
前記遠心分離機により処理された前記洗浄液中の油分を浮上回収する浮上油回収装置と、をこの順で洗浄液の処理経路に備え
、
前記液体微細化装置は、
前記汚濁洗浄液が流通する流路の上流側に配置され複数の金属製メッシュが装備された金属製メッシュ層と、前記流路の前記金属製メッシュ層よりも下流側に配置され複数のセラミックボールが装備されたセラミックボール層とが内装された処理容器と、
前記処理容器内に前記汚濁洗浄液を所定圧以上且つ所定速度以上で通過させる洗浄液圧送装置と、を有している
ことを特徴とする洗浄液の浄化装置
。
【請求項2】
前記液体微細化装置の上流側に、前記汚濁洗浄液を一次処理するバグフィルタが配置されている
ことを特徴とする請求項
1に記載された洗浄液の浄化装置。
【請求項3】
前記浮上油回収装置により処理された浄化洗浄液を貯留する浄化洗浄液タンクと、
前記浄化洗浄液タンク内の前記浄化洗浄液を使用して前記金属加工品を洗浄して汚濁した前記汚濁洗浄液を貯留する汚濁洗浄液タンクと、を備え、
洗浄液の循環経路が形成されている
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載された洗浄液の浄化装置。
【請求項4】
金属加工品を洗浄して汚濁した洗浄液を液体微細化装置に流通させて液体の分子集団を微細化する液体微細化工程と、
前記液体微細化工程により分子集団を微細化された洗浄液を遠心分離処理して前記洗浄液中の金属スラッジを回収し除去する遠心分離工程と、
前記遠心分離工程により処理された
前記洗浄液中の油分を浮上回収する浮上油回収工程と、
を備え
、
前記液体微細化工程では、
前記汚濁洗浄液が流通する流路の上流側に配置され複数の金属製メッシュが装備された金属製メッシュ層と、前記流路の前記金属製メッシュ層よりも下流側に配置され複数のセラミックボールが装備されたセラミックボール層とが内装された処理容器内に、洗浄液圧送装置によって、前記汚濁洗浄液を所定圧以上且つ所定速度以上で通過させる
ことを特徴とする洗浄液の浄化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にアルミ加工品の洗浄に用いる洗浄液の浄化に適した洗浄液の浄化装置及び浄化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属加工品(製品)を製造する場合、一般に、製品を加工し(加工工程)、加工した製品を洗浄し(洗浄工程)、洗浄後の製品を検査して(検査工程)、出荷する。洗浄工程では、洗浄液を用いて製品を洗浄するが、洗浄に用いられて汚濁した洗浄液は浄化処理をしたうえで循環して使用する。そこで、汚濁洗浄液を浄化する技術が開発されている。
【0003】
一般的な汚濁洗浄液の浄化手法としては、ダーティタンク内に回収された汚濁洗浄液をダーティタンク内から取り出してバグフィルタを通過させて浄化し、クリーンタンク内に回収する。その後、浄化された洗浄液をジェットポンプで吸引しノズルから吐出して製品を洗浄し、汚濁した洗浄液をダーティタンク内に回収する。
【0004】
しかし、汚濁洗浄液を単にバグフィルタに通過させるだけでは汚濁洗浄液中のスラッジや油分が残存し、汚濁洗浄液を十分に浄化することができない。特許文献1には、この点に着目して、洗浄に用いられて汚濁した洗浄液を、貯液槽で油水分離するともに浮遊スラジを遠心分離機で除去して汚濁洗浄液を浄化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、金属成分と油分とが分子間結合によって強固に結合されることがある。特にアルミ加工品(アルミニウム加工品)を洗浄した後の洗浄液では、アルミ成分と油分とが強固に結合される(分子間結合)傾向がある。このように金属成分と油分とが強固に結合されたものは、洗浄液の水分に近い比重となり洗浄液中に浮遊するため遠心分離機では十分に分離できないことがある。
【0007】
本発明は、このような課題に着目して創案されたもので、金属成分と油分とが強固に結合されたものが汚濁洗浄液に残存していても汚濁洗浄液を確実に浄化することができるようにした洗浄液の浄化装置及び浄化方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の洗浄液の浄化装置は、金属加工品を洗浄して汚濁した汚濁洗浄液を流通させることにより液体の分子集団を微細化する液体微細化装置と、前記液体微細化装置により分子集団を微細化された洗浄液を遠心分離処理して前記洗浄液中の金属スラッジを回収し除去する遠心分離機と、前記遠心分離機により処理された洗浄液中の油分を浮上回収する浮上油回収装置と、を備えていることを特徴としている。
前記液体微細化装置は、前記汚濁洗浄液が流通する流路の上流側に配置され複数の金属製メッシュが装備された金属製メッシュ層と、前記流路の前記金属製メッシュ層よりも下流側に配置され複数のセラミックボールが装備されたセラミックボール層とが内装された処理容器と、前記処理容器内に前記汚濁洗浄液を所定圧以上且つ所定速度以上で通過させる洗浄液圧送装置と、を有していることが好ましい。
前記液体微細化装置の上流側に、前記汚濁洗浄液を一次処理するバグフィルタが配置されていることが好ましい。
さらに、前記浮上油回収装置により処理された浄化洗浄液を貯留する浄化洗浄液タンクと、前記浄化洗浄液タンク内の前記浄化洗浄液を使用して前記金属加工品を洗浄して汚濁した前記汚濁洗浄液を貯留する汚濁洗浄液タンクと、を備え、洗浄液の循環経路が形成されていることが好ましい。
【0009】
本発明の洗浄液の浄化方法は、金属加工品を洗浄して汚濁した洗浄液を液体微細化装置に流通させて液体の分子集団を微細化する液体微細化工程と、前記液体微細化工程により分子集団を微細化された洗浄液を遠心分離処理して前記洗浄液中の金属スラッジを回収し除去する遠心分離工程と、前記遠心分離工程により処理された洗浄液中の油分を浮上回収する浮上油回収工程と、を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、金属成分と油分とが強固に結合されたものが汚濁洗浄液に残存していても、金属成分と油分との結合を効率的に分離させ、汚濁洗浄液を確実に浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る洗浄液の浄化装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る洗浄液の浄化装置の液体微細化装置を示す図であり、(a)は全体構成図、(b)は処理容器内の構成を示す断面図である。
【
図3】一実施形態にかかる洗浄液の浄化装置の遠心分離機の構成を示す断面図である。
【
図4】一実施形態にかかる洗浄液の浄化装置の浮上油回収装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明にかかる洗浄液の浄化装置及び洗浄液の浄化方法の実施形態を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。かかる実施形態を部分的に用いて実施したり、一部を変更して実施したり、同等の機能を有する他の機構や装置に置き換えて実施したりすることができるものである。
【0013】
〔洗浄液の浄化装置の全体構成〕
本実施形態にかかる洗浄液の浄化装置は、アルミ加工品等の金属加工品(以下、製品ともいう)を製造する際に、製品を加工する加工工程と、製品を検査する検査工程との間で、加工した製品を洗浄する洗浄工程で使用するもので、金属加工品を洗浄して汚濁した汚濁洗浄液を浄化して再利用できるようにするものである。なお、洗浄液は、例えば水に所要の洗浄剤を溶解させたものである。
【0014】
図1に示すように、この浄化装置10は、汚濁洗浄液タンク(ダーティタンクともいう)1と、バグフィルタ2と、液体微細化装置(微細水装置ともいう)3と、遠心分離機4と、浮上油回収装置5と、浄化洗浄液タンク(クリーンタンクともいう)6とを、洗浄液の処理経路9の上流側から下流側へ向けてこの順で配備されており、洗浄液の循環経路が形成されている。
図1では、ダーティタンク1からクリーンタンク6に至る浄化装置10における洗浄液の処理経路9を太線矢印で示している。
【0015】
クリーンタンク6に貯留された浄化洗浄液は、ジェットポンプ7によって吸い上げられて洗浄ノズル8から製品に向けて噴射されて、製品の洗浄に用いられる。
洗浄に用いられた浄化洗浄液は、製品の金属加工時に付着した油や金属バリ等の金属クズが混入して汚濁する。この汚濁した洗浄液(汚濁洗浄液)はダーティタンク1に回収されて本浄化装置10によって処理される。
なお、
図1では、クリーンタンク6からダーティタンク1に至る製品の洗浄にかかる洗浄液の移動経路11を細線矢印で示している。
以下、浄化装置10の要部構成を説明する。
【0016】
〔バグフィルタ〕
バグフィルタ2は、公知のものであり、所定の粗さ(ここでは10μ)のフィルタエレメントを備えており、ダーティタンク1内の汚濁洗浄液をこのバグフィルタ2に通過させてろ過することで、汚濁洗浄液中の一定以上のサイズの固形分を除去することができる。このバグフィルタ2による処理を一次処理という。
【0017】
〔液体微細化装置〕
液体微細化装置3は、公知のものであり、
図2に示すように、処理容器30と、上流側タンク31と、上流側タンク31内の汚濁洗浄液を吸引して処理容器30に圧送するポンプ(洗浄液圧送装置)32と、処理容器30で処理された洗浄液を一時貯留する下流側タンク33とを備えている。なお、上流側タンク31内の汚濁洗浄液は、ダーティタンク1内の汚濁洗浄液をバグフィルタ2で一次処理されたものである。
【0018】
処理容器30内には、汚濁洗浄液が流通する流路30aの上流側に配置され複数の金属製メッシュ(ここでは、ステンレス鋼(SUS)製のメッシュ)が装備された金属製メッシュ層34と、流路30aの金属製メッシュ層34よりも下流側に配置され複数のセラミックボールが装備されたセラミックボール層35とが内装されている。
【0019】
ポンプ32による圧送によって、一定以上の圧力と速度をもって処理容器30内に液体を通過させると、液体が通過する際に、SUSメッシュ及びセラミックボールの周りでキャビテーションやコアンダ効果が繰り返し発生し、この結果として液体中に大量のナノバブル(ナノレベルの気泡)が発生する。なお、この装置によって発生したナノバブルは、空気を強制的に液体に溶け込ませる方式の通常のナノバブルよりも長く液体中に留まって効果を発揮する特性がある。
【0020】
こうして発生したナノバブルは、液体の分子集団を微細化する作用を発揮する。これは、セラミックボールが励起されて特殊な波長の微弱電位を発生し、分子間結合の分離が促進されるものと考えられる。例えば液体としての水を処理容器30内に流通させてナノバブルが発生すると、水の分子集団を微細化する。このため、液体微細化装置3を微細水装置ともいう。
【0021】
液体微細化装置3で処理される汚濁洗浄液には、バグフィルタ2では除去できなかったスラッジや油分が残存し、スラッジの中には、金属成分と油分とが強固に結合(分子間結合)された状態で残存したものがある。特に、アルミ成分と油分とは分子間結合によってより強固に結合される傾向がある。金属成分と油分とが強固に結合するとこれらを容易に分解することはできないため、汚濁洗浄液の浄化の妨げになっている。
【0022】
液体微細化装置3は、このような金属成分と油分とを分離させる作用も有している。これは、上記同様にセラミックボールが励起されて特殊な波長の微弱電位を発生し、分子間結合の分離が促進されるものと考えられる。金属成分と油分とが分離すると、遠心分離によって汚濁洗浄液から金属成分を分離して回収することができ、浮上回収によって汚濁洗浄液中の油分を分離して回収することができる。
【0023】
〔遠心分離機〕
遠心分離機4は、公知のものであり、
図3に示すように、略円筒状で縦長の処理容器40を備えている。処理容器40の上部には、拡径した旋回室41が設けられ、旋回室41の外周には、旋回室41の軸心から偏心した位置に液体(ここでは、液体微細化装置3で処理された洗浄液)を高速で圧送する入口部42が設けられている。これにより、旋回室41内では、供給された液体が高速旋回しながら、液体(水分及び油分)と、液体に対して比重の大きい金属スラッジ等の固形分とが分離されるようになっている。
【0024】
処理容器40の上下方向中間部には、固形分が沈降していく空間である沈降空間43が設けられ、沈降空間43の下方の処理容器40の下部には、固形分が沈殿する空間である沈殿室44が設けられる。
また、処理容器40の下端部には沈殿室44内に沈殿した固形分を回収する下部回収出口45が設けられ、処理容器40の上端部には旋回室41内で固形分を除去された液体成分(水分及び油分)を回収する上部回収口46が設けられている。
こうして、液体微細化装置3で処理された洗浄液を遠心分離機4に導入することで、洗浄液から金属スラッジ等の固形分を除去することができる。
【0025】
〔浮上油回収装置〕
浮上油回収装置5は、公知のものであり、
図4に示すように、洗浄液〔固形分を除去された液体成分(水分及び油分)〕が貯留される処理タンク51と、処理タンク51内の洗浄液中の液面付近に回収口52aを配置された油回収ダクト52と、油回収ダクト52に接続されて回収口52aから洗浄液中の液面付近に浮上した油分を吸引回収する吸引ポンプ53と、回収した油分が貯留される油回収タンク54とを備えている。油回収ダクト52はフレキシブルであり、回収口52aにはフロート52bが装備され、回収口52aが常時、洗浄液の液面直下に位置するようになっている。
【0026】
また、処理容器51内の底部付近に吸引口55aを配置された洗浄液吸引ダクト55と、洗浄液吸引ダクト55に接続されて吸引口55aから、処理容器51内で油分を分離された洗浄液を吸引する吸引ポンプ56と、吸引した洗浄液が貯留される回収タンク57とを備えている。回収タンク57にはクリーンタンク6を直接用いてもよい。
このように浮上油回収装置5では、洗浄液の液体成分のうちの油分を分離して残存した水分(洗浄剤を含む)を回収する。
【0027】
〔作用及び効果〕
本実施形態にかかる洗浄液の浄化装置10は、上記のように構成されているので、金属加工品を洗浄して汚濁した汚濁洗浄液(つまり、洗浄液(洗浄剤を含んだ水)に油分と金属スラッジ等の固定分とが含有した液体)を流通させることにより、洗浄液を確実に浄化して再利用することができるようになる(効果1)。
【0028】
つまり、汚濁洗浄液をバグフィルタ2に通過させてろ過することで、汚濁洗浄液中の一定以上のサイズの固形分を除去する(一次処理)。この段階では、一次処理した洗浄液には、水分および油分からなる液体成分に微小なサイズの固形分(金属スラッジ)が含まれる。また、固形分には、金属成分と油分とが強固に結合(分子間結合)された状態で残存した結合体(特に、アルミ成分と油分とが分子間結合によってより強固に結合された結合体)が含まれる。
【0029】
次に、一次処理した洗浄液を液体微細化装置3に流通させて液体の分子集団を微細化する(液体微細化工程)。つまり、液体微細化装置3は、SUSメッシュを有する金属製メッシュ層34とセラミックボールを有するセラミックボール層35とが内装された処理容器30と、洗浄液圧送装置32とを有しているので、一定以上の圧力と速度をもって処理容器30内に液体を通過させると、液体が通過する際に、SUSメッシュ及びセラミックボールの周りでキャビテーションやコアンダ効果が繰り返し発生し、この結果として液体中に大量のナノバブルが発生する。液体微細化装置3により液体中に発生するこのナノバブルによって洗浄液中の液体同士や液体と固体との分子間の結合を分離する。これにより、金属成分と油分とが強固に結合された状態で残存した結合体(特に、アルミ成分と油分との結合体)を分解することができる(効果2)。
【0030】
次に、こうして液体微細化工程で金属成分と油分との結合体が分解された洗浄液を遠心分離機4により遠心分離処理して前記洗浄液中の金属スラッジを回収し除去する(遠心分離工程)。
遠心分離工程では、洗浄液から金属スラッジ等の固形分(金属スラッジ)が除去される。金属成分と油分との結合体は、比重が水に近く、遠心分離のみでは、この結合体の金属成分を洗浄液(洗浄剤を含んだ水)から分離することが困難であるが、本装置では予め金属成分と油分との結合体が分解されているのでこのようなことはない。
【0031】
次に、遠心分離工程により処理された洗浄液中の油分を浮上油回収装置5によって浮上回収する(浮上油回収工程)。
浮上油回収工程では、洗浄液から油分が除去される。金属成分と油分との結合体は、比重が水に近く、浮上油回収といった静的な比重分離では、結合体を洗浄液(洗浄剤を含んだ水)から分離することが困難であるが、本装置では予め金属成分と油分との結合体が分解されているのでこのようなことはない。
【0032】
このようにして、本実施形態にかかる洗浄液の浄化装置又は洗浄液の浄化方法によれば、アルミ成分と油分との結合体をはじめとする金属成分と油分との結合体が、汚濁洗浄液に残存していても、液体微細化装置3(液体微細化工程)で金属成分と油分との結合を分離して結合体を分解することができるので、その後の遠心分離機4(遠心分離工程)、浮上油回収装置5(浮上油回収工程)によって汚濁洗浄液を確実に浄化することができる。
【0033】
また、本実施形態では、液体微細化装置3の上流側にバグフィルタ2が配置され、汚濁洗浄液を、バグフィルタ2に通過させてろ過することで汚濁洗浄液中の一定以上のサイズの固形分を除去(一次処理)してから、液体微細化装置3で処理するので、液体微細化装置3では、結合体を効率よく分解することができる(効果3)。
【0034】
さらに、浮上油回収装置5により処理された浄化洗浄液を貯留する浄化洗浄液タンク6と、浄化洗浄液タンク6内の浄化洗浄液を使用して金属加工品を洗浄して汚濁した汚濁洗浄液を貯留する汚濁洗浄液タンク1と、を備え、汚濁洗浄液タンク1と、バグフィルタ2と、液体微細化装置3と、遠心分離機4と、浮上油回収装置5と、浄化洗浄液タンク6とから、洗浄液の循環経路が形成されているので、洗浄液を循環させながら連続的に使用することができる(効果4)。
【0035】
〔その他〕
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲でかかる実施形態を種々変更して実施することができる。
例えば、上記の実施形態で説明した液体微細化装置3,遠心分離機4,浮上油回収装置5は一例であり、それぞれの機能を有するものであれば種々の装置を適用することができる。特に、液体微細化装置3は、液体の分子集団を微細化する、すなわち、液体分子間や液体分子と固体分子間の結合(特に、汚濁洗浄液中に含有される金属成分と油分の間の分子結合)を分離することができるものであればよい。
【符号の説明】
【0036】
1 汚濁洗浄液タンク(ダーティタンク)
2 バグフィルタ
3 液体微細化装置(微細水装置)
4 遠心分離機
5 浮上油回収装置
6 浄化洗浄液タンク(クリーンタンク)
7 ジェットポンプ
8 洗浄ノズル
9 洗浄液の処理経路
10 洗浄液の浄化装置
11 洗浄液の移動経路
30 処理容器
30a 洗浄液の流路
31 上流側タンク
32 ポンプ(洗浄液圧送装置)
33 下流側タンク
34 金属製メッシュ層
35 セラミックボール層