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特許7442323回転翼機用のコンパクトに取り付けられるサイクリック飛行制御部
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】回転翼機用のコンパクトに取り付けられるサイクリック飛行制御部
(51)【国際特許分類】
   B64C 13/46 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
B64C13/46
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020012428
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2020132141
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】16/284,232
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】トッド・エム・ワーラマー
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0205494(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0004270(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0254377(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/00
B64C 27/00
B64C 29/00
B64C 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転翼機のサイクリック制御のための装置であって、前記装置が、
サイクリックスティックと結合され、前記回転翼機のピッチおよびロールを制御するために取り付けフレームに対して回転するスティックベースアセンブリと、
サイクリックハウジングであって、前記回転翼機の前記ピッチを制御するための、ピッチ軸を中心とした前記サイクリックハウジングおよび前記スティックベースアセンブリの一緒の回転のために前記取り付けフレームと枢動可能に結合され、前記ピッチ軸を中心とした前記回転を補助するためのピッチアクチュエータと結合されており、前記ピッチアクチュエータと前記取り付けフレームとの間に結合されたピッチ力センサが、前記ピッチアクチュエータによる前記回転に加えられる抵抗を測定する、サイクリックハウジングとを備え、
前記サイクリックハウジングが、前記回転翼機の前記ロールを制御するための、ロール軸を中心とした前記スティックベースアセンブリの独立した回転のために前記スティックベースアセンブリを支持するように構成されており、前記スティックベースアセンブリが、前記ロール軸を中心とした前記独立した回転を補助するためのロールアクチュエータに結合し、前記ロールアクチュエータと前記サイクリックハウジングとの間に結合されたロール力センサが、前記ロールアクチュエータによる前記独立した回転に加えられる抵抗を測定し、
前記装置は、
前記ピッチ軸を中心に前記取り付けフレームに対して前記サイクリックハウジングを回転させるために前記取り付けフレームと前記サイクリックハウジングとの間に配置されたピッチベアリングと、
前記ロール軸を中心に前記サイクリックハウジングに対して前記スティックベースアセンブリを回転させるために前記サイクリックハウジングと前記スティックベースアセンブリとの間に配置されたロールベアリングと
をさらに備える、装置。
【請求項2】
前記ピッチアクチュエータが、前記ピッチの自動制御を提供するように構成され、前記ピッチ力センサが、前記ピッチの前記自動制御に基づいて前記サイクリックスティックに触覚フィードバックを提供するように構成されており、
前記ロールアクチュエータが、前記ロールの自動制御を提供するように構成され、前記ロール力センサが、前記ロールの前記自動制御に基づいて前記サイクリックスティックに触覚フィードバックを提供するように構成されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記サイクリックハウジングが、前記ピッチ軸に沿って前記ピッチアクチュエータを支持し、前記ピッチアクチュエータの上で、前記ピッチ軸に垂直な前記ロール軸に沿って前記ロールアクチュエータを支持する、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記サイクリックハウジングが、前記ピッチ軸を中心とした前記ピッチアクチュエータの回転を支持するための、前記取り付けフレームのハウジング結合部材と位置合わせされた第1の中空通路と、前記ピッチアクチュエータの上の位置で、前記ロール軸を中心とした前記ロールアクチュエータの回転を支持するための第2の中空通路とを含む、
請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記スティックベースアセンブリとロール接続部とを結合するためのウィッシュボーンリンク機構であって、前記ウィッシュボーンリンク機構が、前記スティックベースアセンブリの運動を前記ピッチアクチュエータの周りで変換するために前記ピッチアクチュエータの両側に配置されたアームを含む、ウィッシュボーンリンク機構
をさらに備える、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記サイクリックハウジングが、前記サイクリックスティックと前記回転翼機の既存の機械的リンク機構との間に配置されたライン交換可能ユニット(LRU)として前記ピッチアクチュエータ、前記ロールアクチュエータ、前記ピッチ力センサ、および前記ロール力センサを一体化するように構成されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記サイクリックハウジングが、前記スティックベースアセンブリと前記取り付けフレームとの間に前記ピッチアクチュエータ、前記ロールアクチュエータ、前記ピッチ力センサ、および前記ロール力センサのそれぞれを取り付けることを可能にするように構成されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
回転翼機のサイクリック制御装置を構築する方法であって、前記方法が、
取り付けフレームと、前記回転翼機のピッチおよびロールを制御するように構成されたサイクリックスティックとの間に配置されるサイクリックハウジングを製造するステップと、
ピッチ軸を中心とした前記サイクリックハウジングの回転のために前記サイクリックハウジングを前記取り付けフレームに回転可能に結合するステップと、
前記ピッチ軸を中心とした前記回転および前記ピッチの前記制御を補助するためにピッチアクチュエータを前記サイクリックハウジングに結合するステップと、
前記ピッチアクチュエータによる前記回転に加えられる抵抗を測定するために前記ピッチアクチュエータと前記取り付けフレームとの間にピッチ力センサを結合するステップと、
ロール軸を中心とした前記サイクリックスティックのスティックベースアセンブリの独立した回転のために前記サイクリックスティックの前記スティックベースアセンブリを前記サイクリックハウジングに回転可能に結合するステップと、
前記ロール軸を中心とした前記独立した回転および前記ロールの前記制御を補助するためにロールアクチュエータを前記スティックベースアセンブリに結合するステップと、
前記ロールアクチュエータによる前記独立した回転に加えられる抵抗を測定するために前記ロールアクチュエータと前記サイクリックハウジングとの間にロール力センサを結合するステップと、を含み、
前記方法は、さらに、
前記ピッチ軸を中心として前記サイクリックハウジングを回転させるためにピッチベアリングを介して前記サイクリックハウジングを前記取り付けフレームに取り付けるステップであって、前記サイクリックハウジングは、前記取り付けフレームの近傍でかつ前記ピッチ軸と位置合わせして、前記ピッチアクチュエータを収容する、ステップと、
前記ピッチ軸に垂直な前記ロール軸を中心として前記スティックベースアセンブリを回転させるためにロールベアリングを介して前記スティックベースアセンブリを前記サイクリックハウジングに取り付けるステップであって、前記サイクリックハウジングは、前記ピッチアクチュエータの上でかつ前記ロール軸と位置合わせして、前記スティックベースアセンブリおよびそれに結合される前記ロールアクチュエータを収容する、ステップと、を含む、方法。
【請求項9】
前記サイクリックスティックと前記回転翼機の既存の機械的リンク機構との間に配置されたライン交換可能ユニット(LRU)として前記ピッチアクチュエータ、前記ロールアクチュエータ、前記ピッチ力センサ、および前記ロール力センサを一体化するステップ
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飛行制御システムに関し、特に、回転翼航空機の飛行制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘリコプターなどの典型的な回転翼航空機は、ピッチおよびロールを制御するためのサイクリックスティック、推力を制御するためのコレクティブレバー、ならびにヨーを制御するためのペダルの3つの飛行制御入力装置を含む。サイクリックスティックは、一般にパイロットの前に配置され、ヘリコプターの複雑さに応じて、補助動作およびパイロットに対する触覚フィードバックを実施する構成要素と結合され得る。しかしながら、既存の回転翼機では、このような特徴を可能にする構成要素は、パイロットの下の、コックピット内の貴重なスペースを占める。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書で説明されている実施形態は、回転翼機用のコンパクトに取り付けられるサイクリック飛行制御部を提供する。回転翼機のサイクリックスティックと結合するためのサイクリックハウジングが提供される。サイクリックハウジングは好適に、複数の高度な飛行制御構成要素をコンパクトな構成で取り付けることを可能にする。特に、サイクリックハウジングは、回転翼機の既存の機械的構成に設置/で交換され得るライン交換可能ユニット(Line Replaceable Unit:LRU)にスティックアクチュエータおよび力センサを一体化する。したがって、回転翼機は、コックピット内の利用可能なスペースを最大化し、設置および保守を簡単にする方法で補助動作および触覚フィードバックの操縦機能を装備し得る。
【0004】
一実施形態は、回転翼機のピッチおよびロールを制御するために取り付けフレームに対して回転するように構成され、かつサイクリックスティックと結合されるスティックベースアセンブリを含む装置である。本装置はまた、サイクリックハウジングであって、回転翼機のピッチを制御するための、ピッチ軸を中心としたサイクリックハウジングおよびスティックベースアセンブリの一緒の回転のために取り付けフレームと枢動可能に結合され、ピッチ軸を中心とした回転を補助するためのピッチアクチュエータと結合され、ピッチアクチュエータと取り付けフレームとの間に結合されたピッチ力センサが、ピッチアクチュエータによる回転に加えられる抵抗を測定する、サイクリックハウジングを含む。サイクリックハウジングは、回転翼機のロールを制御するための、ロール軸を中心としたスティックベースアセンブリの独立した回転のためにスティックベースアセンブリを支持するように構成され、スティックベースアセンブリは、ロール軸を中心とした独立した回転を補助するためのロールアクチュエータに結合し、ロールアクチュエータとサイクリックハウジングとの間に結合されたロール力センサは、ロールアクチュエータによる独立した回転に加えられる抵抗を測定する。
【0005】
別の実施形態は、回転翼機のサイクリック制御装置を構築する方法である。本方法は、取り付けフレームと、回転翼機のピッチおよびロールを制御するように構成されたサイクリックスティックとの間に配置されるサイクリックハウジングを製造するステップと、ピッチ軸を中心としたサイクリックハウジングの回転のためにサイクリックハウジングを取り付けフレームに回転可能に結合するステップと、ピッチ軸を中心とした回転およびピッチの制御を補助するためにピッチアクチュエータをサイクリックハウジングに結合するステップとを含む。本方法はまた、ピッチアクチュエータによる回転に加えられる抵抗を測定するためにピッチアクチュエータと取り付けフレームとの間にピッチ力センサを結合するステップと、ロール軸を中心としたスティックベースアセンブリの独立した回転のためにサイクリックスティックのスティックベースアセンブリをサイクリックハウジングに回転可能に結合するステップと、ロール軸を中心とした独立した回転およびロールの制御を補助するためにロールアクチュエータをスティックベースアセンブリに結合するステップと、ロールアクチュエータによる独立した回転に加えられる抵抗を測定するためにロールアクチュエータとサイクリックハウジングとの間にロール力センサを結合するステップとを含む。
【0006】
さらに別の実施形態は、取り付けフレームと回転可能に結合するための構造フレームを含むサイクリックハウジングを備える装置であって、構造フレームが、回転翼機のピッチを制御するためにピッチ軸を中心に回転するピッチアクチュエータを受け入れるようにサイズ決定された第1の中空通路をピッチ軸に沿って含む、取り付けフレームに回転可能に取り付けられる底部と、回転翼機のロールを制御するためにロール軸を中心に回転するロールアクチュエータを受け入れるようにサイズ決定される第2の中空通路をロール軸に沿って含む、底部の上に配置される上部とを含む、装置である。
【0007】
述べられた特徴、機能、および利点は、様々な実施形態において単独で達成されてもよいし、またはさらに他の実施形態では組み合わされてもよく、これらのさらなる詳細は、以下の説明および図面を参照して理解され得る。
【0008】
次に、添付の図面を参照して、単なる例としていくつかの実施形態が説明される。同じ参照番号は、すべての図面で同じ要素または同じタイプの要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】例示的な実施形態におけるヘリコプターを示す。
図2】例示的な実施形態においてコンパクトに取り付けられるサイクリック制御機器を可能にするサイクリックハウジングを示すブロック図である。
図3】例示的な実施形態におけるサイクリックハウジングを含む装置の斜視図である。
図4】例示的な実施形態における取り付けフレームの斜視図である。
図5】例示的な実施形態において取り付けフレームに取り付けられたサイクリックハウジングの第1の斜視図である。
図6】例示的な実施形態において取り付けフレームに取り付けられたサイクリックハウジングの第2の斜視図である。
図7】例示的な実施形態において取り付けフレームに取り付けられたサイクリックハウジングの第3の斜視図である。
図8】例示的な実施形態においてサイクリックハウジングに取り付けられたスティックベースアセンブリの斜視図である。
図9】別の例示的な実施形態における、回転翼機のサイクリック制御のための装置の斜視図である。
図10】例示的な実施形態においてサイクリック飛行制御部を第1の位置に動作させた斜視図である。
図11】例示的な実施形態においてサイクリック飛行制御部を第1の位置に動作させた別の斜視図である。
図12】例示的な実施形態においてサイクリック飛行制御部を第2の位置に動作させた斜視図である。
図13】例示的な実施形態においてサイクリック飛行制御部を第2の位置に動作させた別の斜視図である。
図14】例示的な実施形態においてサイクリック飛行制御部を第3の位置に動作させた斜視図である。
図15】例示的な実施形態においてサイクリック飛行制御部を第3の位置に動作させた別の斜視図である。
図16】例示的な実施形態における、回転翼機のサイクリック制御装置を構築する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図および以下の説明は、特定の例示の実施形態を示す。当業者は、本明細書で明示的に説明または図示されていないが、本明細書で説明されている原理を具体化し、かつこの説明に続く特許請求の範囲の企図される範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが理解されよう。さらに、本明細書で説明されている例は、本開示の原理を理解するのを助けることを意図されており、限定するものではないと解釈されるべきである。結果として、本開示は、以下に説明される特定の実施形態または例に限定されず、特許請求の範囲およびその均等物によって限定される。
【0011】
図1は、例示的な実施形態におけるヘリコプター100を示す。ヘリコプター100は、胴体102、テールブーム104、メインロータ106、およびテールロータ108を含む。ヘリコプター100は、パイロット飛行制御用のインセプタ112~116を有するコックピット110も含む。特に、サイクリックスティック112は、ヘリコプター100のピッチ(例えば、Y軸を中心とした縦方向の運動または回転)およびロール(例えば、X軸を中心とした横方向の運動または回転)を制御するために2つの軸を中心に動かすことができる。また、ロータの推力、したがってヘリコプター100の高さおよび速度を制御するためのコレクティブレバー114と、ヘリコプター100のヨー(例えば、Z軸を中心とした方向性の運動または回転)を制御するためのラダーペダル116とが設けられている。
【0012】
インセプタ112~116は、一連の機械的リンクおよびアクチュエータを使用してヘリコプターの運動を制御する。例えば、ヘリコプター100のピッチおよびロールを制御するために、サイクリックスティック112の運動は、スティックベースアセンブリ120、機械的リンク機構130、およびロータアクチュエータ140を介してメインロータ106の運動に変換される。既存の実施態様では、スティックベースアセンブリ120は、一連のベルクランクおよびクラッチを介して機械的リンク機構130に結合する。残念ながら、このハードウェアは、ヘリコプター100のパイロットの下の貴重なスペースを占有する。
【0013】
図2は、例示的な実施形態においてコンパクトに取り付けられるサイクリック制御機器を可能にするサイクリックハウジング200を示すブロック図である。既存のサイクリック制御構成と比較して、サイクリックハウジング200は、コンパクトな構成でサイクリックスティック112の動的制御に関連する機器を取り付けることを容易にする。特に、サイクリックハウジング200は、スティックベースアセンブリ120、1つ以上の力センサ222、および/または1つ以上のスティックアクチュエータ224を一体ユニットとして一緒に取り付けることを可能にする。したがって、ヘリコプターの、スペースが制約された領域に追加の利用可能なスペースを設けることに加えて、サイクリックハウジング200は好適に、ヘリコプター100の既存の機械的接続(例えば、機械的リンク機構130)を維持しながらライン交換可能ユニット(LRU)として機器を組み合わせることを可能にする。
【0014】
図3は、例示的な実施形態におけるサイクリックハウジング200を含む装置300の斜視図である。サイクリックハウジング200は一般に、スティックベースアセンブリ310と取り付けフレーム330との間に配置される構造を備える。サイクリックハウジング200は、ピッチ軸302を中心としたサイクリックハウジング200の回転のために取り付けフレーム330と枢動可能に結合される。サイクリックハウジング200は、ロール軸304を中心としたスティックベースアセンブリ310の回転のためにスティックベースアセンブリ310を回転可能に支持するようにスティックベースアセンブリ310とも結合される。
【0015】
スティックベースアセンブリ310は、サイクリックスティック112に結合し、回転翼機のパイロットによるサイクリック飛行制御のためにそれと共に枢動される。特に、スティックベースアセンブリ310は、管状本体312と、そこから突出し、かつサイクリックスティック112の基端316を受け入れるスティック受け入れ部材314とを含み得る。基端316から遠位の、サイクリックスティック112の上端318は、パイロット操作のためのパイロットグリップ320を含む。
【0016】
一般に、パイロットは、回転翼機のピッチおよびロールを制御するために2つの軸を中心にサイクリックスティック112を操作する。ピッチを制御するために、パイロットは、ピッチ軸302を中心に回転させるようにサイクリックスティック112を動作させる。ピッチ動作は、ピッチ軸302を中心にサイクリックスティック112、スティックベースアセンブリ310、およびサイクリックハウジング200を一緒に回転させる。言い換えれば、ピッチ軸302を中心としたサイクリックスティック112、スティックベースアセンブリ310、およびサイクリックハウジング200の回転は連係される。
【0017】
一方、ロールを制御するために、パイロットは、ピッチ軸302に垂直なロール軸304を中心に回転させるようにサイクリックスティック112を動作させる。ロール軸304に対して、サイクリックハウジング200は回転可能に固定される。したがって、ロール動作は、サイクリックハウジング200を回転させることなく、ロール軸304を中心にサイクリックスティック112およびスティックベースアセンブリ310を一緒に回転させる。言い換えれば、サイクリックハウジング200は、ロール軸304を中心にスティックベースアセンブリ310を独立して回転させるためにスティックベースアセンブリ310を回転可能に支持する。
【0018】
装置300におけるサイクリックハウジング200の構成は好適に、サイクリックスティック112の枢動点の近くにコンパクトな構成で、平行力補助を提供する機器を取り付けることを可能にする。特に、装置300は、1つ以上のスティックアクチュエータ342~344および/または1つ以上の力センサ362~364を一体ユニットとして取り付けフレーム330とスティックベースアセンブリ310との間にコンパクトに取り付けることによって技術的利益をもたらす。したがって、装置300は、一連のベルクランクおよびクラッチを介してサイクリックスティック112の枢動点から遠く離れた位置にスティックアクチュエータ342~344および力センサ362~364を取り付けることとは対照的に、容易にサイクリックスティック112の枢動箇所に設置/で交換され得るライン交換可能ユニット(LRU)として構成され得る。
【0019】
スティックアクチュエータ342~344は、サイクリックスティック112の回転を補助するように構成されたデバイスまたは構成要素の任意の組み合わせを含む。この点で、装置300は、回転翼機のピッチを補助するためのピッチアクチュエータ342と、回転翼機のロールを補助するためのロールアクチュエータ344とを含む。より詳細には、サイクリックハウジング200は、ピッチ軸302を中心とした回転を補助するためのピッチアクチュエータ342に結合し、スティックベースアセンブリ310は、ロール軸304を中心とした回転を補助するためのロールアクチュエータ344に結合する。スティックアクチュエータ342~344は、ピッチ/ロールの自動制御のためのサイクリックスティック112の自動バランス/動作、パイロットに対する触覚フィードバック、および巡航制御を含むが、これらに限定されない様々な高度な飛行制御機能を実施するために、回転翼機の機械システムと並列に結合し得る。スティックアクチュエータ342~344の例示の構成要素は、モーター、ギアボックス、クラッチ、およびレゾルバを含む。
【0020】
力センサ362~364は、スティックアクチュエータ342~344によって加えられる回転または回転力に対する抵抗を測定するように構成されたデバイスまたは構成要素の任意の組み合わせを含む。この点で、装置300は、ピッチアクチュエータ342によって加えられる、ピッチ軸302を中心とした回転に対する抵抗を測定するためにピッチアクチュエータ342と取り付けフレーム330との間に結合されるピッチ力センサ362を含む。装置300はまた、ロールアクチュエータ344によって加えられる、ロール軸304を中心とした回転に対する抵抗を測定するためにロールアクチュエータ344とサイクリックハウジング200との間に結合されるロール力センサ364を含む。力センサ362~364は、パイロットがサイクリックスティック112で受ける力の調整/制御など、さらに高度な飛行制御機能を実施し得る。力センサ362~364の例示の構成要素は、変位センサおよびばねを含む。
【0021】
サイクリックハウジング200は一般に、ピッチ軸302を中心に回転するように、ピッチ軸302に位置合わせしてピッチアクチュエータ342を取り付ける/収容する。したがって、ピッチアクチュエータ342は一般に、サイクリックハウジング200と取り付けフレーム330との間に配置される。加えて、サイクリックハウジング200は、ピッチ軸302を中心とした連係した回転のためにピッチアクチュエータ342と回転可能に結合される。したがって、ピッチアクチュエータ342は、回転翼機の自動ピッチ操作性のためにピッチ軸302を中心とした回転を制御し得る。さらに、ピッチ力センサ362は、ピッチ軸302を中心とした回転の自動制御を測定するために取り付けフレーム330およびピッチアクチュエータ342の外周に結合する。
【0022】
加えて、サイクリックハウジング200は、ロール軸304を中心に回転するように、ロール軸304に位置合わせしてロールアクチュエータ344を取り付ける/収容する。ロールアクチュエータ344は、ピッチアクチュエータ342の上かつサイクリックスティック112の下に配置される。したがって、サイクリックハウジング200は、回転翼機のサイクリックスティック112の下方に垂直構成でスティックアクチュエータ342~344を取り付けるように構成される。加えて、スティックベースアセンブリ310は、ロール軸304を中心とした回転のためにロールアクチュエータ344と回転可能に結合される。したがって、ロールアクチュエータ344は、回転翼機の自動ロール操作性のためにロール軸304を中心とした回転を制御し得る。また、ロール力センサ364は、ロール軸304を中心とした回転の自動制御を測定するためにサイクリックハウジング200およびロールアクチュエータ344の外周に結合する。
【0023】
装置300は、スティックアクチュエータ342~344が回転翼機の既存の機械システムに結合することを可能にする。すなわち、ピッチアクチュエータ342は、ピッチ接続部372と結合してこれを駆動し、ロールアクチュエータ344は、ロール接続部374と結合してこれを駆動する。ピッチ接続部372およびロール接続部374は、サイクリック制御部と回転翼機のロータアクチュエータ140およびメインロータ106とを機械的に結合する上で説明した機械的リンク機構130を含み得るか、またはこれと連結され得る。したがって、装置300は好適に、回転翼機の既存の機械設計を維持しながら、パイロットの下の限られたスペースを解放し、かつ回転翼機に出し入れして交換され得る一体ユニットとしてスティックアクチュエータ342~344および力センサ362~364を設置することを可能にする。
【0024】
図4は、例示的な実施形態における取り付けフレーム330の斜視図である。取り付けフレーム330は、上面412および底面414を有するベースプレート410を含む構造を備え、さらに、上面412から突出する1つ以上のハウジング結合部材422~424を含む。この例では、取り付けフレーム330は、ピッチ軸302に位置合わせされ、かつピッチ軸302に沿って離間された一対のハウジング結合部材422~424を含む。ハウジング結合部材422~424は、ピッチ軸302と位置合わせ/中心合わせし、ピッチアクチュエータ342(図4には図示せず)を受け入れるためのそれぞれのピッチアクチュエータ孔432~434を含む。ハウジング結合部材422~424の少なくとも1つ(例えば、図4のハウジング結合部材424)は、以下でより詳細に説明されるピッチガイド面442~444を含み得る。
【0025】
取り付けフレーム330のベースプレート410はまた、ハウジング結合部材422~424間のスペースに1つ以上の空隙部452~454を含む。この例では、第1の空隙部452は、ピッチアクチュエータ342とピッチ接続部372とを機械的に結合するためのスペースを提供し、第2の空隙部454は、ロールアクチュエータ344とロール接続部374とを機械的に結合するためのスペースを提供する(図4には図示せず)。さらに、ベースプレート410は、ピッチ力センサ362と結合するための、上面412から突出する取り付け点462を含む(例えば、図3を参照)。取り付け点462は、ピッチ力センサ362の端部と結合する、または枢動可能に結合するためのヒンジ、ジョイント、U字形かぎ、または他のタイプの取り付け点を含み得る。ベースプレート410はまた、回転翼機内に取り付けフレーム330を固定するための1つ以上の取り付け孔466を含む。したがって、以下でさらに詳細に説明されるように、取り付けフレーム330は、装置300の他の構成要素に対して固定され得る。
【0026】
図5は、例示的な実施形態における取り付けフレーム330に取り付けられたサイクリックハウジング200の第1の斜視図である。図6は、例示的な実施形態における取り付けフレーム330に取り付けられたサイクリックハウジング200の第2の斜視図である。図7は、例示的な実施形態における取り付けフレーム330に取り付けられたサイクリックハウジング200の第3の斜視図である。図5図7は、スティックベースアセンブリ310、スティックアクチュエータ342~344、および力センサ362~364の図示を省略して、サイクリックハウジング200および取り付けフレーム330の構造的構成を示す。
【0027】
最初に図5を参照すると、サイクリックハウジング200は一般に、ベースプレート410の上面412の上方、かつ取り付けフレーム330のハウジング結合部材422~424間に配置される構造フレーム500を備える。構造フレーム500は、ピッチ軸302に沿って延伸する第1の中空通路530と、ロール軸304に沿って延伸する第2の中空通路540とを含む。第1の中空通路530および第2の中空通路540は、それぞれピッチアクチュエータ342およびロールアクチュエータ344を受け入れるようにサイズ決定される。
【0028】
この例では、第1の中空通路530は、ピッチ軸302に沿って構造フレーム500の両側にある第1の対の支持孔532~534によって画定される。したがって、第1の中空通路530は、ピッチ軸302に位置合わせされ、かつピッチ軸302に沿って離間された第1の対の支持孔532~534間にサイクリックハウジング200を通って延伸する。支持孔532~534は、軸方向に互いに位置合わせされ、取り付けフレーム330のピッチアクチュエータ孔432~434と軸方向に位置合わせされる。例えば、図5に示されているように、支持孔532の外縁は、ハウジング結合部材422のピッチアクチュエータ孔432と同心の、これから半径方向内側の、および/またはこれの内部の位置で回転し得る。同じく、おそらく図7で最もよく見られるように、支持孔534は、ハウジング結合部材422のピッチアクチュエータ孔434に対して同様に配置され得る。この位置合わせは、ピッチ軸302を中心とした回転のためにサイクリックハウジング200を取り付けフレーム330に回転可能に取り付けることを可能にし、また、ピッチ軸302を中心にサイクリックハウジング200と共に回転するようにピッチアクチュエータ342を第1の中空通路530に挿入することを可能にする。
【0029】
第2の中空通路540は、ロール軸304に沿って構造フレーム500の両側にある第2の対の支持孔542~544によって同様に画定され得る。したがって、第2の中空通路540は、ロール軸304に位置合わせされ、かつロール軸304に沿って離間された第2の対の支持孔542~544間にサイクリックハウジング200を通って延伸する。第2の対の支持孔542~544は、軸方向に互いに位置合わせされ、以下でより詳細に説明されるように、スティックベースアセンブリ310の端縁と軸方向に位置合わせされる。この位置合わせは、ロール軸304を中心とした回転のためにスティックベースアセンブリ310をサイクリックハウジング200に回転可能に取り付けることを可能にし、また、サイクリックハウジング200から独立してロール軸304を中心に回転するようにロールアクチュエータ344を第2の中空通路540に挿入することを可能にする。
【0030】
次に図6を参照すると、サイクリックハウジング200の構造フレーム500は一般に、第2の対の支持孔542~544を含む上部650と、第1の対の支持孔532~534を含む底部660とを備える。したがって、第1の中空通路530は、ベースプレート410の近傍または付近の第1の平面上で、ピッチ軸302の方向にサイクリックハウジング200にわたって延伸する。また、第2の中空通路540は、第1の平面の上の第2の平面上で、ロール軸304の方向にサイクリックハウジング200にわたって延伸する。したがって、サイクリックハウジング200は、ピッチ軸302に沿って長手方向に配置されるようにピッチアクチュエータ342を、取り付けフレーム330のベースプレート410の近くまたは上に取り付け、ロール軸304に沿って配置されるようにロールアクチュエータ344を、ピッチアクチュエータ342の上に取り付ける。
【0031】
次に図7を参照すると、ピッチ軸302に沿った構造フレーム500の底部寸法は、取り付けフレーム330のハウジング結合部材422~424間の隙間770または距離に延伸または適合するようにサイズ決定され得る。例えば、底部660に沿った第1の対の支持孔532~534間の長さは、サイクリックハウジング200が取り付けフレーム330に取り付けられたときに第1の対の支持孔532~534がハウジング結合部材422~424のそれぞれの孔と隣接して位置合わせまたは共配置されるように、隙間770と一致または対応し得る。
【0032】
加えて、ロール軸304に沿った構造フレーム500の上部寸法780は、ロール軸304を中心とした回転のためにスティックベースアセンブリ310およびロールアクチュエータ344を支持するようにサイズ決定され得る。例えば、上部650に沿った第2の対の支持孔542~544間の長さは、スティックベースアセンブリ310がサイクリックハウジング200に取り付けられたときに第2の対の支持孔542~544がスティックベースアセンブリ310のそれぞれの縁端に隣接して位置合わせまたは共配置されるように、スティックベースアセンブリ310の管状本体312の長さと一致または対応し得る。また、図7に示されているように、構造フレーム500は、第2の対の支持孔542~544間に配置されるピッチガイド790であって、ピッチガイド790がハウジング結合部材424のピッチガイド面442~444に接触することでいずれの方向でもサイクリックハウジング200の回転の範囲を制限するように構成されたピッチガイド790をさらに含み得る。
【0033】
図8は、例示的な実施形態においてサイクリックハウジング200に取り付けられたスティックベースアセンブリ310の斜視図である。図8は、取り付けフレーム330、スティックアクチュエータ342~344、および力センサ362~364の図示を省略して、サイクリックハウジング200およびスティックベースアセンブリ310の構造的構成を示す。スティックベースアセンブリ310は、サイクリックハウジング200の第2の対の支持孔542~544間に延伸する。スティックベースアセンブリ310の管状本体312は、ロール軸304に位置合わせされ、かつロール軸304に沿って離間された端縁842~844を含む。端縁842~844は、軸方向に互いに位置合わせされ、サイクリックハウジング200の第2の対の支持孔542~544と軸方向に位置合わせされる。例えば、図8に示されているように、端縁844は、サイクリックハウジング200の第2の対の支持孔544と同心の、これから半径方向内側の、および/またはこれの内部の位置で回転し得る。端縁842は、第2の対の支持孔542に対して同様に配置され得る。
【0034】
この位置合わせは、ロール軸304を中心とした独立した回転のためにスティックベースアセンブリ310をサイクリックハウジング200に回転可能に取り付けることを可能にし、また、ロール軸304を中心にスティックベースアセンブリ310と共に回転するようにロールアクチュエータ344を第2の中空通路540に挿入することを可能にする。この点に関して、スティックベースアセンブリ310は、連係した回転のためにロールアクチュエータ344と結合するための1つ以上の取り付け点862を含み得る。スティックベースアセンブリ310はまた、管状本体312上に配置され、かつロール軸304を中心としたスティックベースアセンブリ310の回転の範囲を制限するように構成された1つ以上のロールガイド890を含み得る。
【0035】
図9は、別の例示的な実施形態における、回転翼機のサイクリック制御のための装置900の斜視図である。先に説明した要素に加えて、装置900は、取り付けフレーム330とサイクリックハウジング200との間に配置される1つ以上のピッチベアリング930を含む。ピッチベアリング930は、取り付けフレーム330のピッチアクチュエータ孔432~434に取り付けられ得る。加えて、1つ以上のピッチベアリングマウント932は、ピッチベアリング930をサイクリックハウジング200に結合する。例えば、ピッチベアリングマウント932は、第1の対の支持孔532~534を一対のピッチベアリング930のそれぞれに結合し得る。したがって、サイクリックハウジング200は、取り付けフレーム330に取り付けられ、ピッチ軸302を中心に取り付けフレーム330に対して回転するように構成される。
【0036】
同様に、装置900は、サイクリックハウジング200とスティックベースアセンブリ310との間に配置される1つ以上のロールベアリング940を含む。ロールベアリング940は、サイクリックハウジング200の第2の対の支持孔542~544に取り付けられ得る。加えて、1つ以上のロールベアリングマウント942は、ロールベアリング940とスティックベースアセンブリ310とを結合する。例えば、ロールベアリングマウント942は、スティックベースアセンブリ310の端縁842~844をそれぞれのロールベアリング940に結合し得る。したがって、スティックベースアセンブリ310は、サイクリックハウジング200に取り付けられ、ロール軸304を中心にサイクリックハウジング200に対して回転するように構成される。
【0037】
さらに、装置900は、スティックベースアセンブリ310とピッチ接続部372およびロール接続部374とを結合するためのウィッシュボーンリンク機構(wishbone linkage)950を含む。ウィッシュボーンリンク機構950は、ピッチ軸302に沿ってピッチアクチュエータ342の両側に延伸するフォーク状アーム952を含む。したがって、スティックベースアセンブリ310が、ロールを制御するためにロール軸304を中心に回転されるとき、その運動は、スティックベースアセンブリ310の下のピッチアクチュエータ342の周りで変換される。したがって、ウィッシュボーンリンク機構950は、回転翼機の既存の機械的リンク機構と、コンパクトな構成で取り付けられる複数のスティックアクチュエータ342~344との結合を可能にする技術的利点をもたらす。
【0038】
図10は、例示的な実施形態においてサイクリック飛行制御部を第1の位置1000に動作させた斜視図である。第1の位置1000では、スティックベースアセンブリ310は、そのロールガイド890の一方が、サイクリックハウジング200に固定された第1のロール部材1010に接触してその方向へのさらなるロール回転を停止させるまで、ロールを制御するために回転されている。また、図10に示されているように、スティックベースアセンブリ310の取り付け点862は、ロールアクチュエータ344のハブ1044の対応する取り付け部材1090と結合される。同様に、サイクリックハウジング200は、ピッチアクチュエータ342のハブ1042の対応する取り付け部材1022と結合するための1つ以上の結合部材1020を含む。スティックアクチュエータ342~344がサイクリックハウジング200に配置された状態で、ハブ1042~1044は、サイクリックハウジング200の外側に突出する。したがって、ハブ1042は、取り付けフレーム330のハウジング結合部材422~424の1つをまたいでサイクリックハウジング200に結合し、ハブ1044は、サイクリックハウジング200の第2の対の支持孔542~544の1つをまたいでスティックベースアセンブリ310に結合される。
【0039】
図11は、例示的な実施形態においてサイクリック飛行制御部を第1の位置1000に動作させた別の斜視図である。図11に示されているように、第1の位置1000で、ロールガイド890の一方が第1のロール部材1010に接触する(図10に示されているように)とき、ロールガイド890の他方は、矢印によって示されているように、反対側で第2のロール部材1110から離れるように回転される。第2のロール部材1110は、サイクリックハウジング200のピッチガイド790上に配置され得る。また、図11に示されているように、第1の位置1000では、サイクリックハウジング200は、ピッチガイド790がピッチガイド面444に接触してその方向へのさらなるピッチ回転を停止させるまで、ピッチを制御するために回転されている。
【0040】
図12は、例示的な実施形態においてサイクリック飛行制御部を第2の位置1200に動作させた斜視図である。第2の位置1200では、スティックベースアセンブリ310は、矢印によって示されているように、そのロールガイド890の一方が第1のロール部材1010から離れるように回転されるよう、他方の方向にロールを制御するために回転されている。したがって、回転翼機は、第1の位置1000と比較して他方の方向にロールするように操作される。
【0041】
図13は、例示的な実施形態においてサイクリック飛行制御部を第2の位置1200に動作させた別の斜視図である。図13に示されているように、第2の位置1200では、ロールガイド890の他方が、それが第2のロール部材1110に接触して他方の方向へのさらなるロール回転を停止させるまで、反対側で第2のロール部材1110に向かって回転されている。したがって、ロール制御は、図12図13の矢印によって示されているようにロール接続部374を動作させ、その結果、回転翼機のロール姿勢を変更する。
【0042】
図14は、例示的な実施形態においてサイクリック飛行制御部を第3の位置1400に動作させた斜視図である。図15は、例示的な実施形態においてサイクリック飛行制御部を第3の位置1400に動作させた別の斜視図である。第2の位置1200から第3の位置1400への移行の際、スティックベースアセンブリ310、サイクリックハウジング200、ピッチアクチュエータ342、ロールアクチュエータ344、およびロール力センサ364は、図14の矢印によって示されているように、ピッチを制御するために一緒に回転される。したがって、図15に示されているように、第3の位置1400では、サイクリックハウジング200は、ピッチガイド790がピッチガイド面442に接触して他方の方向へのさらなるピッチ回転を停止させるまで、ピッチを制御するために回転されている。したがって、ピッチ制御は、図15の矢印によって示されているようにピッチ接続部372を動作させ、その結果、回転翼機のピッチ姿勢を変更する。
【0043】
図16は、例示的な実施形態における、回転翼機のサイクリック制御装置を構築する方法1600を示すフローチャートである。このフローチャートのステップは、図2図15を参照して説明されるが、当業者は、本方法が他のシステムおよびデバイスを用いて実行され得ることを理解するであろう。本明細書で説明されているフローチャートのステップは、すべてを含むわけではなく、図示されていない他のステップを含み得、代替の順序で実行され得る。
【0044】
ステップ1602では、サイクリックハウジング200が、取り付けフレーム330と、回転翼機のピッチおよびロールを制御するように構成されたサイクリックスティック112との間に配置されるように製造される。ステップ1604では、サイクリックハウジング200が、第1の軸(例えば、ピッチ軸302)を中心としたサイクリックハウジング200の回転のために取り付けフレーム330に回転可能に結合される。ステップ1606では、ピッチアクチュエータ342が、第1の軸を中心とした回転およびピッチの制御を補助するためにサイクリックハウジング200に結合される。
【0045】
ステップ1608では、ピッチ力センサ362が、ピッチアクチュエータ342による回転に加えられる抵抗を測定するためにピッチアクチュエータ342と取り付けフレーム330との間に結合される。ステップ1610では、スティックベースアセンブリ310が、第2の軸(例えば、ロール軸304)を中心としたスティックベースアセンブリ310の独立した回転のためにサイクリックハウジング200に結合される。ステップ1612では、ロールアクチュエータ344が、第2の軸を中心とした独立した回転およびロールの制御を補助するためにスティックベースアセンブリ310に結合される。ステップ1614では、ロール力センサ364が、ロールアクチュエータ344による独立した回転に加えられる抵抗を測定するためにロールアクチュエータ344とサイクリックハウジング200との間に結合される。ステップ1616では、ピッチアクチュエータ342、ロールアクチュエータ344、ピッチ力センサ362、およびロール力センサ364が、サイクリックスティック112と回転翼機の既存の機械的リンク機構130との間に配置されたライン交換可能ユニット(LRU)としてサイクリックハウジング200で一体化される。
【0046】
さらに、本開示は、以下の条項による例を含む。
【0047】
条項1.回転翼機のサイクリック制御のための装置であって、装置が、サイクリックスティックと結合され、回転翼機のピッチおよびロールを制御するために取り付けフレームに対して回転するように構成されたスティックベースアセンブリと、サイクリックハウジングであって、回転翼機のピッチを制御するための、ピッチ軸を中心としたサイクリックハウジングおよびスティックベースアセンブリの一緒の回転のために取り付けフレームと枢動可能に結合され、ピッチ軸を中心とした回転を補助するためのピッチアクチュエータと結合されており、ピッチアクチュエータと取り付けフレームとの間に結合されたピッチ力センサが、ピッチアクチュエータによる回転に加えられる抵抗を測定する、サイクリックハウジングとを備え、サイクリックハウジングが、回転翼機のロールを制御するための、ロール軸を中心としたスティックベースアセンブリの独立した回転のためにスティックベースアセンブリを支持するように構成されており、スティックベースアセンブリが、ロール軸を中心とした独立した回転を補助するためのロールアクチュエータに結合し、ロールアクチュエータとサイクリックハウジングとの間に結合されたロール力センサが、ロールアクチュエータによる独立した回転に加えられる抵抗を測定する、装置。
【0048】
条項2.ピッチアクチュエータが、ピッチの自動制御を提供するように構成され、ピッチ力センサが、ピッチの自動制御に基づいてサイクリックスティックに触覚フィードバックを提供するように構成されており、ロールアクチュエータが、ロールの自動制御を提供するように構成され、ロール力センサが、ロールの自動制御に基づいてサイクリックスティックに触覚フィードバックを提供するように構成されている、条項1に記載の装置。
【0049】
条項3.サイクリックハウジングが、ピッチ軸に沿ってピッチアクチュエータを支持し、ピッチアクチュエータの上で、ピッチ軸に垂直なロール軸に沿ってロールアクチュエータを支持する、条項1に記載の装置。
【0050】
条項4.サイクリックハウジングが、ピッチ軸を中心としたピッチアクチュエータの回転を支持するための、取り付けフレームのハウジング結合部材と位置合わせされた第1の中空通路と、ピッチアクチュエータの上の位置で、ロール軸を中心としたロールアクチュエータの回転を支持するための第2の中空通路とを含む、条項3に記載の装置。
【0051】
条項5.スティックベースアセンブリとロール接続部とを結合するためのウィッシュボーンリンク機構であって、ウィッシュボーンリンク機構が、スティックベースアセンブリの運動をピッチアクチュエータの周りで変換するためにピッチアクチュエータの両側に配置されたアームを含む、ウィッシュボーンリンク機構をさらに備える、条項3に記載の装置。
【0052】
条項6.サイクリックハウジングが、サイクリックスティックと回転翼機の既存の機械的リンク機構との間に配置されたライン交換可能ユニット(LRU)としてピッチアクチュエータ、ロールアクチュエータ、ピッチ力センサ、およびロール力センサを一体化するように構成されている、条項1に記載の装置。
【0053】
条項7.サイクリックハウジングが、スティックベースアセンブリと取り付けフレームとの間にピッチアクチュエータ、ロールアクチュエータ、ピッチ力センサ、およびロール力センサのそれぞれを取り付けることを可能にするように構成されている、条項1に記載の装置。
【0054】
条項8.ピッチ軸を中心に取り付けフレームに対してサイクリックハウジングを回転させるために取り付けフレームとサイクリックハウジングとの間に配置されたピッチベアリングと、ロール軸を中心にサイクリックハウジングに対してスティックベースアセンブリを回転させるためにサイクリックハウジングとスティックベースアセンブリとの間に配置されたロールベアリングとをさらに備える、条項1に記載の装置。
【0055】
条項9.回転翼機のサイクリック制御装置を構築する方法であって、方法が、取り付けフレームと、回転翼機のピッチおよびロールを制御するように構成されたサイクリックスティックとの間に配置されるサイクリックハウジングを製造するステップと、ピッチ軸を中心としたサイクリックハウジングの回転のためにサイクリックハウジングを取り付けフレームに回転可能に結合するステップと、ピッチ軸を中心とした回転およびピッチの制御を補助するためにピッチアクチュエータをサイクリックハウジングに結合するステップと、ピッチアクチュエータによる回転に加えられる抵抗を測定するためにピッチアクチュエータと取り付けフレームとの間にピッチ力センサを結合するステップと、ロール軸を中心としたスティックベースアセンブリの独立した回転のためにサイクリックスティックのスティックベースアセンブリをサイクリックハウジングに回転可能に結合するステップと、ロール軸を中心とした独立した回転およびロールの制御を補助するためにロールアクチュエータをスティックベースアセンブリに結合するステップと、ロールアクチュエータによる独立した回転に加えられる抵抗を測定するためにロールアクチュエータとサイクリックハウジングとの間にロール力センサを結合するステップとを含む、方法。
【0056】
条項10.サイクリックスティックと回転翼機の既存の機械的リンク機構との間に配置されたライン交換可能ユニット(LRU)としてピッチアクチュエータ、ロールアクチュエータ、ピッチ力センサ、およびロール力センサを一体化するステップをさらに含む、条項9に記載の方法。
【0057】
条項11.サイクリックスティックの枢動点で回転翼機にLRUを設置するステップをさらに含む、条項10に記載の方法。
【0058】
条項12.スティックベースアセンブリと取り付けフレームとの間にピッチアクチュエータ、ロールアクチュエータ、ピッチ力センサ、およびロール力センサのそれぞれを取り付けるステップをさらに含む、条項9に記載の方法。
【0059】
条項13.ピッチ軸を中心にサイクリックハウジングを回転させるためにピッチベアリングを介してサイクリックハウジングを取り付けフレームに取り付けるステップであって、サイクリックハウジングが、取り付けフレームの近傍で、ピッチ軸と位置合わせしてピッチアクチュエータを収容する、ステップと、ピッチ軸に垂直なロール軸を中心にスティックベースアセンブリを回転させるためにロールベアリングを介してスティックベースアセンブリをサイクリックハウジングに取り付けるステップであって、サイクリックハウジングが、ピッチアクチュエータの上で、ロール軸と位置合わせしてスティックベースアセンブリおよびそれに結合されるロールアクチュエータを収容する、ステップとをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【0060】
条項14.取り付けフレームと回転可能に結合するための構造フレームを含むサイクリックハウジングを備える装置であって、構造フレームが、回転翼機のピッチを制御するためにピッチ軸を中心に回転するピッチアクチュエータを受け入れるようにサイズ決定された第1の中空通路をピッチ軸に沿って含む、取り付けフレームに回転可能に取り付けられる底部と、回転翼機のロールを制御するためにロール軸を中心に回転するロールアクチュエータを受け入れるようにサイズ決定される第2の中空通路をロール軸に沿って含む、底部の上に配置される上部とを含む、装置。
【0061】
条項15.ピッチ軸を中心に取り付けフレームに対してサイクリックハウジングを回転させるために取り付けフレームとサイクリックハウジングとの間に配置されたピッチベアリングと、ロール軸を中心にサイクリックハウジングに対してスティックベースアセンブリを回転させるためにサイクリックハウジングとスティックベースアセンブリとの間に配置されたロールベアリングとをさらに備える、条項14に記載の装置。
【0062】
条項16.第1の中空通路が、ピッチアクチュエータを受け入れるために取り付けフレームのハウジング結合部材と位置合わせされ、第2の中空通路が、ロールアクチュエータを受け入れるためにスティックベースアセンブリの端縁と位置合わせされる、条項15に記載の装置。
【0063】
条項17.スティックベースアセンブリとロールアクチュエータとを結合するための取り付け点と、サイクリックハウジングとピッチアクチュエータとを結合するための取り付け部材とをさらに備える、条項15に記載の装置。
【0064】
条項18.ピッチアクチュエータの回転力を測定するためにピッチアクチュエータと取り付けフレームとの間に結合されたピッチ力センサをさらに備える、条項14に記載の装置。
【0065】
条項19.ロールアクチュエータの回転力を測定するためにロールアクチュエータとサイクリックハウジングとの間に結合されたロール力センサをさらに備える、条項14に記載の装置。
【0066】
条項20.サイクリックハウジングが、回転翼機のサイクリックスティックの下方に垂直構成でピッチアクチュエータおよびロールアクチュエータを取り付ける、条項19に記載の装置。
【0067】
シングルロータヘリコプターのサイクリック制御との関連で説明したが、本明細書で説明されている実施形態は、デュアルロータヘリコプターおよび他のタイプの航空機ならびに代替飛行制御構成にも適用され得る。加えて、本明細書では特定の実施形態が説明されたが、それらの特定の実施形態にその範囲は限定されない。正しくは、その範囲は、以下の特許請求の範囲およびその均等物によって規定される。
【符号の説明】
【0068】
100 ヘリコプター
102 胴体
104 テールブーム
106 メインロータ
108 テールロータ
110 コックピット
112 サイクリックスティック
114 コレクティブレバー
116 ラダーペダル
120 スティックベースアセンブリ
130 機械的リンク機構
140 ロータアクチュエータ
200 サイクリックハウジング
222 力センサ
224 スティックアクチュエータ
300 装置
302 ピッチ軸
304 ロール軸
310 スティックベースアセンブリ
312 管状本体
314 スティック受け入れ部材
316 基端
318 上端
320 パイロットグリップ
330 取り付けフレーム
342 ピッチアクチュエータ、スティックアクチュエータ
343 ピッチアクチュエータ、スティックアクチュエータ
344 ロールアクチュエータ、スティックアクチュエータ
362 ピッチ力センサ
364 ロール力センサ
372 ピッチ接続部
374 ロール接続部
410 ベースプレート
412 上面
414 底面
422 ハウジング結合部材
423 ハウジング結合部材
424 ハウジング結合部材
432 ピッチアクチュエータ孔
433 ピッチアクチュエータ孔
434 ピッチアクチュエータ孔
442 ピッチガイド面
443 ピッチガイド面
444 ピッチガイド面
452 第1の空隙部
454 第2の空隙部
462 取り付け点
466 取り付け孔
500 構造フレーム
530 第1の中空通路
532 第1の対の支持孔
533 第1の対の支持孔
534 第1の対の支持孔
540 第2の中空通路
542 第2の対の支持孔
543 第2の対の支持孔
544 第2の対の支持孔
650 上部
660 底部
770 隙間
780 上部寸法
790 ピッチガイド
842 端縁
843 端縁
844 端縁
862 取り付け点
890 ロールガイド
900 装置
930 ピッチベアリング
932 ピッチベアリングマウント
940 ロールベアリング
942 ロールベアリングマウント
950 ウィッシュボーンリンク機構
952 フォーク状アーム
1000 第1の位置
1010 第1のロール部材
1020 結合部材
1022 取り付け部材
1042 ハブ
1043 ハブ
1044 ハブ
1090 取り付け部材
1110 第2のロール部材
1200 第2の位置
1400 第3の位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16