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  • 特許-低反射材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】低反射材
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20240226BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20240226BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20240226BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20240226BHJP
   G02B 7/02 20210101ALN20240226BHJP
   G03B 9/02 20210101ALN20240226BHJP
【FI】
G02B5/02 C
C09D7/61
C09D7/65
C09D201/00
G02B5/02 A
G02B7/02 D
G03B9/02 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020038589
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021140060
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000125978
【氏名又は名称】株式会社きもと
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100118991
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 聡二郎
(72)【発明者】
【氏名】長濱 豪士
(72)【発明者】
【氏名】野澤 和洋
(72)【発明者】
【氏名】富澤 秀造
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-47749(JP,A)
【文献】特開2012-2895(JP,A)
【文献】特開2011-64737(JP,A)
【文献】国際公開第2018/052044(WO,A1)
【文献】特開平10-268105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 7/00 - 7/80
C09D 201/00 -201/10
G02B 5/00 - 5/136
G02B 7/02 - 7/16
G03B 9/00 - 9/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー樹脂、前記バインダー樹脂中に分散した着色材、及び前記バインダー樹脂中に分散した樹脂粒子を少なくとも含有する、厚み3~100μmの低反射層を少なくとも備え、
前記低反射層は、一方の表面側の表面粗さRSmが80~180μmであり、同表面側の表面粗さRskが0.0以下である
ことを特徴とする、低反射材。
【請求項2】
前記低反射層の前記表面側の表面粗さRaが0.5~15.0μmであり、
前記低反射層の前記表面側の表面粗さRzが3~70μmである
請求項1に記載の低反射材。
【請求項3】
前記低反射層の前記表面側の表面粗さRaが0.8~10.0μmであり、
前記低反射層の前記表面側の表面粗さRzが6~60μmである
請求項1又は2に記載の低反射材。
【請求項4】
前記バインダー樹脂の含有割合が、前記低反射層に対して合計で1~30質量%であり、
前記着色材の含有割合が、前記低反射層の総量に対して合計で0.1~35質量%であり、
前記樹脂粒子の含有割合が、前記低反射層の総量に対して合計で50~95質量%である
請求項1~3のいずれか一項に記載の低反射材。
【請求項5】
前記樹脂粒子が、着色樹脂微粒子を含有する
請求項1~4のいずれか一項に記載の低反射材。
【請求項6】
前記樹脂粒子が、3~20μmの平均粒子径D50を有する
請求項1~5のいずれか一項に記載の低反射材。
【請求項7】
前記低反射層の前記表面側の85度鏡面光沢度(JIS-Z8741:1997)が、0.0%以上9.0%未満である
請求項1~6のいずれか一項に記載の低反射材。
【請求項8】
前記低反射層の前記表面側の550nm拡散反射率(正反射を含む)が、0.0%以上3.0%未満である
請求項1~7のいずれか一項に記載の低反射材。
【請求項9】
前記低反射層の前記表面側の905nm拡散反射率(正反射を含む)が、0.0%以上3.0%未満である
請求項1~8のいずれか一項に記載の低反射材。
【請求項10】
前記低反射層の前記表面側のCIE 1976 L***表色系におけるL*値が0~18である
請求項1~9のいずれか一項に記載の低反射材。
【請求項11】
前記低反射層が、0.5以上の光学濃度ODを有する
請求項1~10のいずれか一項に記載の低反射材。
【請求項12】
前記低反射層が、光透過性を有する
請求項1~11のいずれか一項に記載の低反射材。
【請求項13】
基材をさらに備え、
前記低反射層が前記基材の少なくとも一方の主面側に設けられた
請求項1~12のいずれか一項に記載の低反射材。
【請求項14】
基材フィルムをさらに備え、
前記低反射層が前記基材フィルムの一方の主面側及び他方の主面側にそれぞれ設けられた
請求項1~12のいずれか一項に記載の低反射材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面反射率及び表面光沢度が低減された低反射材等に関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフカメラ、コンパクトカメラ、ビデオカメラ、スマートフォン等の各種光学機器においては、不要な入射光や反射光を除去し、ハレーション、レンズフレア、ゴースト等の発生を抑制する等の観点から、遮光性が高く低光沢な遮光部材が用いられている。例えば、不要光をカットするための遮光板や遮光リング等をレンズ間に介在させたレンズユニットやカメラモジュール等が各種光学機器に搭載されている。また、一眼レフカメラ、コンパクトカメラ、ビデオカメラ等の各種光学機器のシャッターや絞り部材等においては、外光によるハレーションやゴーストの発生等を防止する等の観点から、遮光性のある部材が使用されている。
【0003】
一方、近年のセンシング技術の目覚ましい進歩により、自動車、列車、汽車、電車、船舶、貨物船、航空機、宇宙機、ロケット、輸送機器、乗り物等の各種の移動体(以下、「移動ビークル」と称する場合がある。)においては、高度なセンシング技術の導入が検討されている。一例を挙げると、自車両の前方に存在する障害物(例えば他車両、歩行者、ガードレール、家屋等)を検出するために、撮像素子を備えたレンズユニット(カメラモジュール)や赤外線センサ等の光学センサを車室内に設置した自動車の開発が進展している。
【0004】
従来、各種光学機器の遮光部材として、本出願人は、フィルム基材と、前記基材の少なくとも片面に形成された遮光膜とを有する光学機器用遮光部材であって、前記遮光膜は、バインダー樹脂、カーボンブラック、粒子状の滑剤、及び微粒子を含有し、前記バインダー樹脂及び前記滑剤の含有率が、それぞれ70重量%以上、5~15重量%であり、前記滑剤は、密度が前記微粒子よりも大きいことを特徴とする光学機器用遮光部材を提案している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-123255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、遮光膜中に70重量%以上のバインダー樹脂及び2~5重量%程度のシリカ等の微粒子を含有させるとともに、密度が疎な特定の滑剤5~15重量%をさらに含有させた処方とし、良好な遮光性を実現している。しかしながら、この処方では、遮光膜の表面の550nm拡散反射率及び905nm拡散反射率(905nm)がともに5%以上と大きく、低反射材として用いるには、表面反射率の点で改善の余地があった。しかも、特許文献1の技術では、60°鏡面光沢度が1.8~7.6%程度の艶消し性を実現しているものの、より低い鏡面光沢度を有する低反射材の実現が待たれている。とりわけ、特許文献1の技術では、広角度側の鏡面光沢度(例えば75度鏡面光沢度や85度鏡面光沢度)について何ら考慮されていないため、広角度側の鏡面光沢度による悪影響が依然として残っている。そのため、より高精度な撮影やセンシング等を行うにあたり改善が求められている。
【0007】
また近年においては、デザイン性の観点などから、高級感のある低光沢で黒々しいデザインに人気が高まりつつあり、それとの調和が求められてきている。しかしながら、特許文献1の技術では、例えばCIE 1976 L***表色系におけるL*値が25以上であり、黒色度の点でも、改善の余地があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち本発明は、表面反射率及び表面光沢度が小さな低反射材等を提供することにある。また、本発明の他の目的は、広角度側の鏡面光沢度が殊に低減された、新規な低反射材等を提供することにある。さらにまた、本発明は、これらの低反射材を用いた高性能な低反射部材、特にL*値が低く、黒々しいデザイン性を付与することができる低反射部材、光学機器用低反射部材等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために低反射層の表面形状や光学特性等を鋭意検討した結果、バインダー樹脂中に着色材及び樹脂粒子が分散した低反射スプレーコート層が、従来にない新規な表面形状を有することを見出し、この新規な表面形状によって、より低い表面反射率及びより低い表面光沢度がもたらされることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
〔1〕バインダー樹脂、前記バインダー樹脂中に分散した着色材、及び前記バインダー樹脂中に分散した樹脂粒子を少なくとも含有する、厚み3~100μmの低反射層を少なくとも備え、前記低反射層は、一方の表面側の表面粗さRSmが80~180μmであり、同表面側の表面粗さRskが0.0以下であることを特徴とする、低反射材。
【0011】
〔2〕前記低反射スプレーコート層の前記表面側の表面粗さRaが0.5~15.0μmであり、前記低反射スプレーコート層の前記表面側の表面粗さRzが3~70μmである上記〔1〕に記載の低反射材。
〔3〕前記低反射スプレーコート層の前記表面側の表面粗さRaが0.8~10.0μmであり、前記低反射スプレーコート層の前記表面側の表面粗さRzが6~60μmである上記〔1〕又は〔2〕に記載の低反射材。
【0012】
〔4〕前記バインダー樹脂の含有割合が、前記低反射スプレーコート層に対して合計で1~30質量%であり、前記着色材の含有割合が、前記低反射スプレーコート層の総量に対して合計で0.1~35質量%であり、前記樹脂粒子の含有割合が、前記低反射スプレーコート層の総量に対して合計で50~95質量%である上記〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の低反射材。
【0013】
〔5〕前記樹脂粒子が、着色樹脂微粒子を含有する上記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の低反射材。
〔6〕前記樹脂粒子が、3~20μmの平均粒子径D50を有する上記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の低反射材。
【0014】
〔7〕前記低反射スプレーコート層の前記表面側の85度鏡面光沢度(JIS-Z8741:1997)が、0.0%以上9.0%未満である上記〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の低反射材。
〔8〕前記低反射スプレーコート層の前記表面側の550nm拡散反射率(正反射を含む)が、0.0%以上3.0%未満である上記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の低反射材。
〔9〕前記低反射スプレーコート層の前記表面側の905nm拡散反射率(正反射を含む)が、0.0%以上3.0%未満である上記〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の低反射材。
〔10〕前記低反射スプレーコート層の前記表面側のCIE 1976 L***表色系におけるL*値が0~18である上記〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載の低反射材。
〔11〕前記低反射スプレーコート層が、0.5以上の光学濃度ODを有する上記〔1〕~〔10〕のいずれか一項に記載の低反射材。
〔12〕前記低反射スプレーコート層が、光透過性を有する上記〔1〕~〔11〕のいずれか一項に記載の低反射材。
【0015】
〔13〕基材をさらに備え、前記低反射スプレーコート層が前記基材の少なくとも一方の主面側に設けられた上記〔1〕~〔12〕のいずれか一項に記載の低反射材。
〔14〕基材フィルムをさらに備え、前記低反射スプレーコート層が前記基材フィルムの一方の主面側及び他方の主面側にそれぞれ設けられた上記〔1〕~〔12〕のいずれか一項に記載の低反射材。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、表面反射率及び表面光沢度が小さな低反射材等を実現することができ、例えば光学センサ類の撮像画像や検出精度の劣化ないしは低下を抑制することができる。また、より黒々しい外観を有する低反射材等を実現できるため、これを搭載する各種光学機器のデザイン性を向上することもできる。そしてさらに、本発明の好適態様によれば、広角度側の鏡面光沢度が殊に低減された、新規な低反射材等を提供することができ、撮像画像や検出精度をより一層高めることが可能になる。これらの低反射材等を用いることにより、例えば広角度側から見ても表面光沢度が小さな艶消し加工品を実現することができ、従来には存在しなかった新規な設計の低反射材、この低反射材を用いた高性能な低反射部材、特にL*値が低く、黒々しいデザイン性を付与することができる低反射部材、光学機器用低反射部材等を実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態の低反射材100を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。但し、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において、例えば「1~100」との数値範囲の表記は、その上限値「100」及び下限値「1」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
【0019】
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態の低反射材100の要部を示す断面図である。この低反射材100は、基材11と、この基材11の一方の主面11a側に設けられた厚み3~100μmの低反射スプレーコート層21と、基材11の他方の面11b側に設けられた粘着層31と、を備えている。すなわち、本実施形態の低反射材100は、低反射スプレーコート層21、基材11、及び粘着層31が、少なくともこの順に配列された積層構造(3層構造)を有する。なお、この積層構造において、低反射スプレーコート層21は表側の最表面に配置されるとともに粘着層31は裏側の最表面に配置されており、低反射スプレーコート層及び粘着層31は、表側及び裏側の最表面にそれぞれ露出した状態で配置されている。なお、低反射スプレーコート層21の表面21aには、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、必要に応じて、帯電防止層や保護層や防汚層や抗菌層や反射防止膜や印刷層等の任意の層が設けられていてもよい。また、低反射スプレーコート層21の表面21aは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、必要に応じて、帯電防止処理や防汚処理や抗菌処理や反射防止処理等の任意の表面処理が施されていてもよい。
【0020】
ここで本明細書において、「~の一方(他方)の面側に設けられた」とは、本実施形態のように基材11の表面(例えば主面11aや主面11b)に低反射スプレーコート層21や粘着層31が直接載置された態様のみならず、基材11の面11aと低反射スプレーコート層21との間や基材11の面11bと粘着層31との間に図示しない任意の層(例えばプライマー層、接着層等)が介在して、低反射スプレーコート層21や粘着層31が基材11から離間して配置された態様を包含する意味である。また、低反射スプレーコート層21及び粘着層31を少なくとも備える積層構造とは、低反射スプレーコート層21及び粘着層31のみが基材11上に直接積層した構造のみならず、3層構造の層間に上述したような任意の層をさらに設けた構造を包含する意味である。
【0021】
基材11は、低反射スプレーコート層21及び粘着層31を支持可能なものである限り、その種類は特に限定されない。基材11の具体例としては、例えば、金属、合金、樹脂成形体、樹脂フィルム、不織布、及びガラス等が挙げられるが、これらに特に限定されない。金属や合金としては、アルミニウム、マグネシウム、鉄、及びこれらの合金を含む金属材料が好ましく用いられる。また、寸法安定性、機械的強度及び軽量化等の観点からは、基材11としては、合成樹脂が好ましく用いられる。合成樹脂の具体例としては、ポリエステル;ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン);ポリイミド;ポリアミド;ポリアミドイミド;ポリスチレン;ポリカーボネート;(メタ)アクリル系;ナイロン系;ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系;カレボルネン類とα-オレフィンとの付加共重合体、ノルボルネン類の水素化開環メタセシス重合体、シクロペンテン、シクロヘキセン、3-メチルシクロヘキセン、シクロオクテン等のシクロオレフィン系;セルロース系;ポリスルホン系;ポリフェニレンスルフィド系;ポリエーテルスルホン系;ポリエーテルエーテルケトン系の樹脂が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル、メタクリルの双方を含む概念である。これらは1種を単独で用いることができ、また2種以上の任意の組み合わせで用いることもできる。また、これらを任意の組み合わせで用いた多層成形体(多色成形体)や積層フィルムも好適に用いることができる。これらの中でも、基材11としては、寸法安定性、機械的強度及び軽量化等の観点から、合成樹脂の基材フィルムが好ましく、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、(メタ)アクリル系フィルム、及びこれらを任意に組み合わせた積層フィルムがより好適に用いられる。とりわけ、一軸又は二軸延伸フィルム、特に二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的強度及び寸法安定性に優れるため、特に好ましい。また、耐熱用途には、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリアミドフィルムが特に好ましく、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルムが最も好ましい。
【0022】
基材11の厚みは、要求性能及び用途に応じて適宜設定でき、特に限定されない。基材11上に低反射スプレーコート層21を設けることで、例えば成形体である基材11に、又はフィルム状の基材11である基材フィルムに、膜状或いは層状の基材11に、表面反射率及び表面光沢度が小さな表面を付与することができる。なお、フィルム状の基材11である基材フィルムを用いる場合、軽量化及び薄膜化の観点からは、基材11の厚みは、0.5μm以上、250μm未満が目安とされる。強度や剛性等の観点からは、基材11の厚みは、36μm以上、250μm未満が好ましい。一方、さらなる軽量化及び薄膜化の観点からは、基材11の厚みは、1μm以上、50μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以上、25μm以下、さらに好ましくは4μm以上、10μm以下、特に好ましくは5μm以上、7μm以下である。なお、低反射スプレーコート層21や粘着層31との接着性を向上させる観点から、必要に応じて、基材11表面にアンカー処理やコロナ処理、帯電防止等の各種公知の表面処理を行うこともできる。
【0023】
なお、基材11の外観は、透明、半透明、不透明のいずれであってもよく、特に限定されない。例えば発泡ポリエステルフィルム等の発泡した合成樹脂フィルムや、各種顔料を含有させた合成樹脂フィルムを用いることもできる。例えば、黒色、灰色、紫色、青色、茶色、赤色、緑色等の暗色系の顔料又は染料を1種以上含有する合成樹脂フィルムを用いることにより、光学濃度の高い膜とすることができる。ここで用いる顔料や染料としては、当業界で公知のものから適宜選択して用いることができ、その種類は特に限定されない。例えば黒色系の顔料としては、黒色樹脂粒子、マグネタイト系ブラック、銅・鉄・マンガン系ブラック、チタンブラック、カーボンブラック等が挙げられる。これらの中でも、隠蔽性に優れることから、黒色樹脂粒子、チタンブラック、カーボンブラックが好ましい。これらは1種を単独で用いることができ、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。基材11が顔料又は染料を含有する場合、その含有割合は、要求性能及び用途に応じて適宜設定でき、特に限定されない。寸法安定性、機械的強度、軽量化等の観点から、顔料及び染料の合計の含有割合は、基材11の総量に対して、0.3~15質量%であることが好ましく、より好ましくは0.4~12質量%、さらに好ましくは0.5~10質量%である。
【0024】
本実施形態の低反射スプレーコート層21の表面21a側(本実施形態では外方に露出している表面21a)の表面粗さは、RSmが80~180μmであり、Rskが0.0以下であることが必要とされる。このような特殊な表面形状は、従来技術の低反射フィルムや遮光フィルムでは実現できなかったものであるか或いは知られていなかったものであり、これにより、より小さな表面反射率及び表面光沢度が実現され、また、広角度側の鏡面光沢度が殊に低減される。
【0025】
表面粗さRSmは、表面凹凸の長さ方向(横方向)のパラメータであり、基準長さにおいて粗さ曲線要素の長さXsの平均を表す。これはすなわち、表面凹凸の平均波長として把握することができる。なお、表面凹凸の長さ方向は、表面粗さRSmの測定時に確定される低反射スプレーコート層21の面内の一方向を意味しており、例えば平面視で矩形状の低反射スプレーコート層21の場合は縦方向や面内の横方向のいずれであってもよく、その方向は特に限定されない。低反射スプレーコート層21の表面粗さRSmは80~180μmであり、従来技術の低反射フィルムや遮光フィルムの表面粗さRSmが約20~70μmであるのに比して、大きな値となっている。低反射スプレーコート層21の表面粗さRSmは、好ましくは90~170μm、より好ましくは100~160μmである。表面粗さRSmが大きいほど、表面反射率及び表面光沢度が小さくなり、また、広角度側の鏡面光沢度が小さくなる傾向にあり、その一方で、塗膜強度が低下する傾向にある。
【0026】
一方、表面粗さRskは、表面凹凸の高さ方向(深さ方向)のパラメータであり、基準長さにおいて粗さ曲線のスキューネス(歪度)を表す。これはすなわち、平均線を中心としたときの凸部と凹部の対称性を表すものとして把握することができる。低反射スプレーコート層21の表面粗さRskは0.0以下であり、従来技術の低反射フィルムや遮光フィルムの表面粗さRskが正の値(約3~7)であるのとは対照的に、極めて小さな値であるか負の値となっている。低反射スプレーコート層21の表面粗さRskは、さらに好ましくは-1.0以下であり、-7以上が好ましく、より好ましくは-5以上、さらに好ましくは-3以上である。表面粗さRskの絶対値が小さいほど、表面反射率及び表面光沢度が小さくなり、また、広角度側の鏡面光沢度が小さくなる傾向にある。
【0027】
以上のとおり、上記の表面粗さRsk及びRSmの条件を満たす表面形状を有する低反射スプレーコート層21は、表面凹凸の長さ方向の平均波長が比較的に大きく且高さ方向において凹部よりも凸部が比較的に多く存在する表面形状を有するものと概念的に捉えることができる。このような特殊な表面形状に制御することで、従来技術に比して、表面反射率及び表面光沢度が小さく、広角度側の鏡面光沢度が殊に小さい低反射材を実現できることが、本発明者らによって見出された。その理由は定かではないが、上記の表面粗さRsk及びRSmの条件を満たす表面形状は、内部拡散性及び外部拡散性が従来技術に比して十分に大きく維持でき、従来技術では対応困難であった広角度側からの入射光に対しても内部拡散性及び外部拡散性が有効に機能するためと考えられる。
【0028】
なお、低反射スプレーコート層21の表面粗さRa(算術平均粗さ)は、要求性能に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、表面反射率及び表面光沢度を小さくし、また、広角度側の鏡面光沢度を小さくする観点から、0.5~15.0μmが好ましく、0.6~14.0μmがより好ましく、0.7~12.0μmがさらに好ましく、0.8~10.0μmが特に好ましい。ここで、表面粗さRaは、当業界で周知のとおり、表面凹凸の高さ方向のパラメータであり、基準長さにおいて粗さ曲線の高さZxの絶対値の平均を表す。低反射スプレーコート層21の表面粗さRaは、従来技術の低反射フィルムや遮光フィルムの表面粗さRaと同程度であってもよいが、上述した表面粗さRsk及びRSmを有する特殊な表面形状を得るには、従来技術の低反射フィルムや遮光フィルムの表面粗さRaよりも比較的に大きな値になる傾向にある。
【0029】
また、低反射スプレーコート層21の表面粗さRz(最大高さ)は、要求性能に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、表面反射率及び表面光沢度を小さくし、また、広角度側の鏡面光沢度を小さくする観点から、3~70μmが好ましく、4~67μmがより好ましく、5~65μmがさらに好ましく、6~60μmが特に好ましい。なお、低反射スプレーコート層21の表面粗さRzは、当業界で周知のとおり、表面凹凸の高さ方向のパラメータであり、基準長さにおいて粗さ曲線の凸部高さZpと凹部深さZvの最大値の和を表す。低反射スプレーコート層21の表面粗さRzは、従来技術の低反射フィルムや遮光フィルムの表面粗さRzと同程度であってもよいが、上述した表面粗さRsk及びRSmを有する特殊な表面形状を得るには、従来技術の低反射フィルムや遮光フィルムの表面粗さRzよりも比較的に大きな値になる傾向にある。
【0030】
なお、上述した表面粗さRSm,Rsk,Ra及びRzは、JIS規格(JIS B 0601-2001、及びJIS B 0651-2001)に準拠して測定される値及び算出される値を意味する。具体的には、「製品の幾何学特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-用語,定義及び表面性状パラメータ,JIS B 0601:2001」に基づき、例えば触針式表面粗さ測定機(SURFCOM 1500SD2-3DF:東京精密社)等の3次元表面粗さ計を用いて測定することができ、また、表面粗さRSm等は必要に応じて付属の解析ソフトウェアや汎用の解析ソフトウェアを用いて算出することができる。より詳細な測定条件は、以下のとおりである。
測定長さ:4.0mm
カットオフ波長:0.8mm
測定速度:0.6mm/s
触針:先端半径2μm、頂角60°円錐型の単結晶ダイヤモンド製
【0031】
上述した特殊な表面形状を有する低反射スプレーコート層21は、バインダー樹脂と遮光材と樹脂粒子と分散媒とを少なくとも含む塗工液をスプレーコート法で製膜することにより形成することができる。このスプレー塗工においては、塗工液の微小な液滴が基材フィルム11の主面11a上に次々と付着し、それと同時進行で分散媒の一部が揮発ないしは除去され、最終的に分散媒が十分に揮発ないしは除去されることで、塗工液の微小な液滴から分散媒が除去された微小な塗粒(固形粒)が順次積み重なることにより、低反射スプレーコート層21が膜形成される。このように微小な塗粒が積み重なるようにして膜形成することにより、上述した表面形状(特定の表面粗さRsk及びRSm)を有する低反射スプレーコート層21が初めて得られる。表面凹凸の長さ方向の平均波長が比較的に大きく且高さ方向において凹部よりも凸部が比較的に多く存在する表面形状を有する表面形状は、従来技術のバーコート法では得ることができない。また、スプレーコート法によれば、例えば曲面、傾斜面、溝、突起等の、平面以外の表面であっても、低反射スプレーコート層21の形成が容易なため、表面反射率及び表面光沢度が小さな表面を任意の場所に形成できる。
【0032】
以下、実例を挙げて、さらに低反射スプレーコート層21の新規な表面形状がもたらす作用効果を説明する。ここでは、厚み25μmの基材フィルム上に、1~30質量%のバインダー樹脂と、0.1~35質量%の平均粒子径D50が25nmの着色材と、50~95質量%の平均粒子径D50が4μmの樹脂粒子と、必要に応じて配合する0.1~10質量%の硬化剤及び0.001~1質量%のレベリング剤と、必要量の分散液とを含む塗工液を用いてスプレーコート法により膜形成して新規な表面形状を有する低反射スプレーコート層21を設けたもの(例1~4)を例に挙げて説明する。また、比較として、20~30質量%のバインダー樹脂と、20~45質量%の平均粒子径D50が25nmの着色材と、30~45質量%の平均粒子径D50が9.5μmの不定形シリカ粒子と、必要に応じて配合する0.1~10質量%の硬化剤及び0.001~1質量%のレベリング剤と、必要量の分散液とを含む塗工液を用いてバーコート法により膜形成して従来技術の範疇にある表面形状を再現したもの(例5~例7)、並びに、20~30質量%のバインダー樹脂と、20~45質量%の平均粒子径D50が25nmの着色材と、30~45質量%の平均粒子径D50が4μmの樹脂粒子と、必要に応じて配合する0.1~10質量%の硬化剤及び0.001~1質量%のレベリング剤と、必要量の分散液とを含む塗工液を用いてバーコート法により膜形成して従来技術の範疇にある表面形状を再現したもの(例8)を例に挙げる。
【0033】
【表1】
【0034】
表1に示すとおり、例1~例8のいずれにおいても、当業界で好ましいと考えられている表面粗さRa(0.5~15.0μm)及び表面粗さRz(3~70μm)を満たす、光学濃度ODが0.5以上の塗膜が得られている。ここで、表面粗さRSmが80~180μm及び表面粗さRskが0.5μm未満の表面形状を有する例1~例4は、このような特定の表面形状を有さない例5~例8に比して、表面反射率や表面光沢度において遥かに上回る性能を示している。とりわけ、このような特定の表面形状を有する例1~例4では、広角度側の85°表面光沢度が殊に小さい値を示していることは特筆すべき点である。一方、このような特定の表面形状を有さない例5~例8においては、表面反射率や表面光沢度が従来技術の水準に留まっている。
【0035】
なお、本実施形態の低反射材100の表面反射率は、上記の例に限定されるものではなく、所望性能に応じて適宜設定することができる。具体的には、低反射スプレーコート層21の表面21a側の550nm拡散反射率(正反射を含む)は、3.0%未満が好ましく、2.5%未満がより好ましく、2.0%未満がさらに好ましく、1.8%未満が特に好ましい。ここで、同550nm拡散反射率の下限側は、特に限定されないが、低ければ低いほどよく、よって0.0%以上であればよい。また、低反射スプレーコート層21の表面21a側の905nm拡散反射率(正反射を含む)は、3.0%未満が好ましく、2.5%未満がより好ましく、2.0%未満がさらに好ましく、1.8%未満が特に好ましい。ここで、同905nm拡散反射率の下限側は、特に限定されないが、低ければ低いほどよく、よって0.0%以上であればよい。なお、本明細書において、550nm拡散反射率や905nm拡散反射率は、分光光度計(例えばSolidSpec-3700(島津製作所社製))を用い、それぞれの波長の光を入射したときにおける拡散反射率(%)を測定して得られる値を意味する。ここで、550nm拡散反射率や905nm拡散反射率は、表面粗さRSmや表面粗さRskを増減させることにより調整することができ、一般的には、表面粗さRSmが大きいほど、また、表面粗さRskのマイナスの値が小さいほど、550nm拡散反射率や905nm拡散反射率が小さくなる傾向にある。
【0036】
また、本実施形態の低反射材100の表面光沢度は、上記の例に限定されるものではなく、所望性能に応じて適宜設定することができる。具体的には、広角度領域の鏡面光沢を小さくし、より高い艶消し性及び低い光沢性等を実現する観点からは、低反射スプレーコート層21の表面21a側の85度鏡面光沢度(JIS-Z8741:1997)は、0.0%以上10.0%未満が好ましく、0.0%以上9.0%未満がより好ましく、0.0%以上8.0%未満がさらに好ましく、0.0%以上6.0%未満が特に好ましい。同様に、低反射スプレーコート層21の表面21a側の75度鏡面光沢度(JIS-Z8741:1997)は、0.0%以上5.0%未満が好ましく、0.0%以上4.5%未満がより好ましく、0.0%以上4.0%未満がさらに好ましく、0.0%以上3.0%未満が特に好ましい。また同様に、低反射スプレーコート層21の表面21a側の60度鏡面光沢度(JIS-Z8741:1997)は、0.0%以上1.0%未満が好ましく、0.0%以上0.5%未満がより好ましく、0.0%以上0.3%未満がさらに好ましく、0.0%以上0.2%未満が特に好ましい。
【0037】
このとき、低角度領域から広角度領域まで幅広い低光沢を実現する観点から、また、低光沢、低反射性、光吸収性等のバランスの観点から、本実施形態の低反射材100の低反射スプレーコート層21の表面21a側の鏡面光沢度は、20°鏡面光沢度、45°鏡面光沢度、60°鏡面光沢度、75°鏡面光沢度、及び85°鏡面光沢度の合計が、15.0%以下が好ましく、より好ましくは12.0%以下、さらに好ましくは11.0%以下、特に好ましくは10.0%以下、最も好ましくは8.0%以下である。なお、本明細書において、鏡面光沢度は、JIS-Z8741:1997に準拠し、デジタル変角光沢計(Gloss Meter VG7000:日本電色社)を用い、それぞれ規定の入射受光角(20°、45°、60°、75°、85°)における低反射スプレーコート層21の表面21a側の光沢度(鏡面光沢度)(%)を測定して得られる値を意味する。
【0038】
一方、本実施形態の低反射材100の低反射スプレーコート層21の表面21a側のCIE 1976 L***表色系におけるL*値は、要求性能に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。より黒々しい外観を求める観点から、また、低光沢、低反射性、光吸収性等のバランスの観点から、低反射スプレーコート層21の表面21a側のCIE 1976 L***表色系におけるL*値は、0~18が好ましく、より好ましくは16以下、さらに好ましくは14以下、特に好ましくは13以下である。なお、本明細書において、L***表色系におけるL*値は、JIS Z 8720:2012に準拠し、CIE標準イルミナントD65を使用し、分光測色計(例えばZE6000(日本電色社製))で測定される値を意味する。
【0039】
また、本実施形態の低反射材100の低反射スプレーコート層21の遮光性は、要求性能に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。より高い遮光性を具備する観点からは、低反射スプレーコート層21は、0.5以上の光学濃度ODを有することが好ましく、1.0以上の光学濃度ODを有することがより好ましく、1.7以上の光学濃度ODを有することがさらに好ましく、2.0以上の光学濃度ODを有することが特に好ましい。なお、本明細書において、光学濃度(OD)は、ISO 5-2に準拠し、光学濃度計(X-Rite361T:エックスライト社)及びオルソフィルタを用いて測定して得られた値とする。
【0040】
一方、本実施形態の低反射材100の低反射スプレーコート層21は、光透過性(透光性)を有していてもよい。光透過性を有する低反射スプレーコート層21を採用することで、調光機能を付与することができる。例えばLEDやバックライト等の光源の点灯時の光を、低反射スプレーコート層21を透過させることで、所望の照度で所望の文字、図形、模様等を表示可能となるため、表示体、表示パネル、又は照明パネル等の低反射部材として適用価値が増大する。低反射スプレーコート層21の光透過性は、要求性能に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。より高い光透過性を具備する観点からは、低反射スプレーコート層21は、2.0未満の光学濃度ODを有することが好ましく、1.7未満の光学濃度ODを有することがより好ましく、1.0未満の光学濃度ODを有することがさらに好ましく、0.5未満の光学濃度ODを有することが特に好ましい。
【0041】
以上詳述したとおり、本実施形態の低反射材100は、特定の表面形状を有する低反射スプレーコート層21を備えることで、表面反射率及び表面光沢度が小さな低反射材として機能し、より好ましい態様では、広角度側の鏡面光沢度が殊に低減された新規な低反射材として機能し、例えばL*値が低く、黒々しいデザイン性を付与することができる低反射部材や光学機器用低反射部材等を実現できる。そのため、本実施形態の低反射材100を低反射部材は、そのまま、又は、この低反射部材と遮光部材とを組み合わせて、低反射遮光部材或いは光学機器用低反射遮光部材等として用いることで、例えば光学センサ類の撮像画像や検出精度の劣化ないしは低下を抑制することができる。なお、低反射スプレーコート層21を構成する素材としては、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。なお、上述した塗工液をスプレーコートすることにより得られる低反射スプレーコート層21(スプレーコート層)は、バインダー樹脂と、このバインダー樹脂中に分散した着色材と、このバインダー樹脂中に分散した樹脂粒子とを少なくとも含有するものと定義することができる。本実施形態では、着色材としてカーボンブラックやアニリンブラック等の黒色の顔料粒子が用いられており、樹脂粒子として黒色の着色有機樹脂粒子が用いられている。以下、低反射スプレーコート層21の構成要素について、さらに詳述する。
【0042】
バインダー樹脂としては、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン/ポリブタジエン樹脂、ポリウレタン系樹脂、アルキド樹脂、アクリル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリエーテルアクリレート系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂等の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等も用いることができる。これらは1種を単独で用いることができ、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。なお、バインダー樹脂は、要求性能及び用途に応じて、適宜選択して用いることができる。例えば、耐熱性が求められる用途においては、熱硬化性樹脂が好ましい。
【0043】
低反射スプレーコート層21中のバインダー樹脂の含有量(総量)は、膜形成に必要な程度で適宜設定することができ、特に限定されない。他の必須成分及び任意成分との配合バランスを考慮し、より優れた表面反射率及び表面光沢度を有する低反射スプレーコート層21を実現する観点から、バインダー樹脂の含有量(総量)は、低反射スプレーコート層21の総量に対して、合計で1~30質量%が好ましく、より好ましくは合計で2~25質量%、さらに好ましくは合計で3~20質量%であり、特に好ましくは合計で5~15質量%である。なお、着色材や樹脂粒子がバインダー樹脂成分を含む場合、これらのバインダー樹脂成分も、ここでいう含有割合において、バインダー樹脂の合計量に組み込むものとする。
【0044】
着色材としては、当業界で公知の顔料や染料を用いることができ、その種類は特に限定されない。着色材の種類、粒子サイズ、使用量を適宜選択することで、遮光性や光透過性を調整することができる。具体的には、マグネタイト系ブラック、銅・鉄・マンガン系ブラック、チタンブラック、カーボンブラック、アニリンブラック等が挙げられるが、これらに特に限定されない。着色材としては、遮光性、光透過性、色調等の調整の容易性等の観点から、黒色の無機顔料、黒色の有機顔料が好ましく用いられる。これらの中でも、着色材としては、無機顔料が望ましく、具体的には、チタンブラック、カーボンブラック、アニリンブラックが好ましく、より好ましくはカーボンブラック、アニリンブラックである。カーボンブラックとしては、オイルファーネスブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ガスファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラック等、各種公知の製法で作製されたものが知られているが、その種類は特に制限されない。着色材に導電性を付与し静電気による帯電を防止する観点から、導電性カーボンブラックが特に好ましく用いられる。カーボンブラックの歴史は古く、例えば三菱化学株式会社、旭カーボン株式会社、御国色素株式会社、レジノカラー工業株式会社、Cabot社、DEGUSSA社等から、各種グレードのカーボンブラック単体及びカーボンブラック分散液が市販されており、要求性能や用途に応じて、これらの中から適宜選択すればよい。これらは、1種を単独で用いることができ、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0045】
なお、着色材の粒子サイズは、使用する着色材の種類や、目的とする遮光性や光透過性、低光沢性等の要求性能等に応じて適宜設定でき、特に限定されない。例えば着色材がカーボンブラックである場合、平均粒子径D50は0.01~2.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.05~0.1μm、さらに好ましくは0.08~0.5μmである。なお、本明細書における平均粒子径D50とは、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、島津製作所社:SALD-7000等)で測定される、体積基準のメジアン径(D50)を意味する。
【0046】
低反射スプレーコート層21中の着色材の含有量(総量)は、目的とする遮光性や光透過性、低光沢性等の要求性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されない。他の必須成分及び任意成分との配合バランスを考慮し、より優れた表面反射率及び表面光沢度を有する低反射スプレーコート層21を実現する観点から、着色材の含有量(総量)は、低反射スプレーコート層21の総量に対して、合計で0.1~35質量%が好ましく、より好ましくは合計で1~30質量%、さらに好ましくは合計で3~20質量%であり、特に好ましくは合計で5~15質量%である。なお、樹脂粒子として着色された樹脂粒子を用いた場合の着色材の含有量は、上述した着色材の質量と樹脂粒子に含まれる着色材の質量との合計(組成物中の着色材総量)とする。
【0047】
樹脂粒子としては、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。具体的には、ポリメチルメタクリレート系、ポリスチレン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ゴム系等の樹脂粒子が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは1種を単独で用いることができ、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、樹脂粒子の外観は、透明、半透明、不透明のいずれであってもよく、特に限定されない。また、樹脂粒子は、無色でもよいが、着色されていてもよい。例えば、黒色、灰色、紫色、青色、茶色、赤色、緑色等に着色された樹脂粒子を用いることにより、着色材の使用量が比較的に少なくても光学濃度や色彩度の高い低反射スプレーコート層21を実現することができる。
【0048】
上述した表面反射率及び表面光沢度を付与するために、樹脂粒子は比較的に粗大な粒径を有することが好ましい。より優れた表面反射率及び表面光沢度を有する低反射スプレーコート層21を実現する観点から、樹脂粒子の平均粒子径D50は、下限が1μm以上であることが好ましく、より好ましくは2μm以上であり、さらに好ましくは3μm以上であり、特に好ましくは4μm以上であり、最も好ましくは5μm以上である。また、上限としては、30μm以下、より好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下である。なお、塗工時において樹脂粒子の凝集を抑制し、或いは、仮に樹脂粒子が凝集した場合であっても凝集物の粒子径が過度に大きくならない程度の平均粒子径D50を有する樹脂粒子を用いることが、生産性や取扱性等の観点から求められることがある。
【0049】
低反射スプレーコート層21中の樹脂粒子の含有量(総量)は、遮光性や低光沢性等の要求性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されない。他の必須成分及び任意成分との配合バランスを考慮し、より優れた表面反射率及び表面光沢度を有する低反射スプレーコート層21を実現する観点から、樹脂粒子の含有量(総量)は、低反射スプレーコート層21の総量に対して、合計で50~90質量%が好ましく、より好ましくは合計で55~95質量%、さらに好ましくは合計で60~85質量%である。なお、樹脂粒子として着色された樹脂粒子を用いた場合の樹脂粒子の含有量は、樹脂粒子に含まれる着色材を含む樹脂粒子の質量を基準とする。
【0050】
なお、低反射スプレーコート層21は、色調をコントロールするために、上述した着色材以外の、公知の色材を含有していてもよい。この色材としては、ジアリールメタン系;トリアリールメタン系;チアゾール系;メロシアニン、ピラゾロンメチン等のメチン系;インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン等のアゾメチン系;キサンテン系;オキサジン系;ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノメチレン系;チアジン系;アジン系;アクリジン系;ベンゼンアゾ系;ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等のアゾ系;スピロピラン系;インドリノスピロピラン系;フルオラン系;ナフトキノン系;アントラキノン系;キノフタロン系等が挙げられるが、これらに特に限定されない。例えば黒色系、青色系、緑色系、黄色系、赤色系の公知の色材を1種単独で用いることができ、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。色材を用いる場合、色材の含有量(総量)は、要求性能に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、他の必須成分及び任意成分との配合バランスを考慮し、より優れた表面反射率及び表面光沢度を有する低反射スプレーコート層21を実現する観点から、低反射スプレーコート層21の総量に対して、合計で0.1~10質量%が好ましく、より好ましくは合計で0.5~5質量%、さらに好ましくは合計で1~3質量%である。
【0051】
また、低反射スプレーコート層21は、低反射スプレーコート層21の表面光沢度や色調を調整するために、公知のマット剤(艶消し剤)を含有していてもよい。マット剤としては、例えばカオリン、焼成カオリン、焼成クレー、未焼成クレー、シリカ(例えば天然シリカ、溶融シリカ、アモルファスシリカ、中空シリカ、湿式シリカ、合成シリカ、アエロジル等)、アルミニウム化合物(例えばベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、ハイドロタルサイト、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム等)、マグネシウム化合物(例えば、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等)、カルシウム化合物(例えば炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、ホウ酸カルシウム等)、モリブデン化合物(例えば酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛等)、タルク(例えば天然タルク、焼成タルク等)、マイカ(雲母)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸ナトリウム、窒化ホウ素、凝集窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、錫酸亜鉛等の錫酸塩等が挙げられるが、これらに特限定されない。これらは1種を単独で用いることができ、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。マット剤を用いる場合、マット剤の含有量(総量)は、要求性能に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、他の必須成分及び任意成分との配合バランスを考慮し、より優れた表面反射率及び表面光沢度を有する低反射スプレーコート層21を実現する観点から、低反射スプレーコート層21の総量に対して、合計で0.1~10質量%が好ましく、より好ましくは合計で0.5~5質量%、さらに好ましくは合計で1~3質量%である。
【0052】
さらに、低反射スプレーコート層21は、当業界で公知の各種添加剤を含有していてもよい。その具体例としては、滑剤、導電剤、難燃剤、抗菌剤、防カビ剤、酸化防止剤、可塑剤、樹脂硬化剤、硬化剤、硬化促進剤、レベリング剤、流動調整剤、消泡剤、分散剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。滑剤としては、ポリエチレン、パラフィン、ワックス等の炭化水素系滑剤;ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸系滑剤;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等のアミド系滑剤;ステアリン酸ブチル、ステアリン酸モノグリセリド等のエステル系滑剤;アルコール系滑剤;金属石鹸、滑石、二硫化モリブデン等の固体潤滑剤;シリコーン樹脂粒子;ポリテトラフッ化エチレンワックス、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂粒子等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、特に有機系滑剤が好ましく用いられる。また、バインダー樹脂として紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂を用いる場合には、例えばn-ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルホスフィン等の増感剤や紫外線吸収剤等を用いてもよい。これらは1種を単独で用いることができ、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの含有割合は、特に限定されないが、低反射スプレーコート層21中に含まれる全樹脂成分に対する固形分換算で、一般的にはそれぞれ0.01~5質量%であることが好ましい。
【0053】
低反射スプレーコート層21の厚みは、要求性能及び用途に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、高い光学濃度、軽量化及び薄膜化のバランスの観点からは、3μm以上が好ましく、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上、特に好ましくは20μm以上であり、上限側は100μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは40μm以下である。
【0054】
なお、本明細書において、スプレーコート法とは、上述したとおり、微小な塗粒が積み重なるようにして膜形成する塗膜形成原理を採用している塗工方法(すなわち、微小な液滴を吹き付ける塗工方法)の総称として用いており、エアスプレー法、エアレススプレー法、超音波スプレー法、静電スプレー法(静電噴霧法)、インクジェット法、静電インクジェット法等を包含する用語である。なお、ここで使用可能な分散媒としては、特に限定されないが、水;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のエーテル系溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、並びにこれらの混合溶媒等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、基材11と低反射スプレーコート層21との接着を向上させるため、必要に応じて、基材11表面にアンカー処理やコロナ処理等の各種公知の表面処理を行ってもよい。また、必要に応じて、基材11上に接着層等の中間層を予め設けておき、この中間層上に低反射スプレーコート層21を形成してもよい。このように製膜した後に、必要に応じて電離放射線処理、熱処理、及び/または加圧処理する等して低反射スプレーコート層21を形成してもよい。
【0055】
粘着層31は、上述した基材11の面11b側に設けられ、図示しない被着品と粘着接合する層である。このように粘着層31側を被着品に粘着接合することにより、被着品に低反射率且つ低光沢な表面を付与することができる。粘着層31を構成する素材は、当業界で公知のものを用いることができ、また、被着品の表面素材(樹脂成形体、この樹脂成形体を用いた多層積層体、不織布、及び表皮材等、金属、合金等)に応じて適宜選択すればよく、その種類は特に限定されない。例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、オレフィン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤が好ましく用いられる。
【0056】
粘着層31の厚みは、要求性能及び用途に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、軽量化及び薄膜化のバランスの観点からは、0.1μm以上が好ましく、より好ましくは0.2μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上、特に好ましくは1.0μm以上、最も好ましくは3.0μm以上であり、上限側は40μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは25μm以下、特に好ましくは20μm以下、最も好ましくは10μm以下である。
【0057】
低反射材100全体の光学濃度(OD)は、遮光部材としての高い遮光性を具備する観点からは、1.5以上であることが好ましく、より好ましくは2.0以上、さらに好ましくは2.5以上、特に好ましくは3.0以上、最も好ましくは4.0以上である。なお、光学濃度(OD)の上限値は、言うまでもないが6.0である。このような低反射材100は、例えば上述したように光学濃度(OD)が高い低反射スプレーコート層21を採用することで、及び/又は、例えば好ましくは1.0以上、より好ましくは2.0以上、さらに好ましくは3.0以上、特に好ましくは4.0以上、最も好ましくは5.0以上の基材11(遮光性基材)を採用することで、容易に実現することができる。また、光学濃度(OD)が高い他の遮光層或いは遮光フィルムと低反射材100とを組み合わせることで、高い遮光性を実現することもできる。
【0058】
一方、光透過性を具備させる観点からは、低反射材100全体の光学濃度(OD)は、5.0未満であることが好ましく、より好ましくは4.0未満、さらに好ましくは3.0未満、特に好ましくは2.0未満、最も好ましくは1.0未満である。なお、光学濃度(OD)の下限値は、言うまでもないが0である。このような低反射材100は、上述したように光学濃度(OD)が低い低反射スプレーコート層21を採用したり、例えば光透過性が高い基材11を採用することで、容易に実現することができる。
【0059】
(変形例)
なお、上記第一実施形態では、基材11上に低反射スプレーコート層21を設けた積層構造の低反射材100を示したが、本発明は、基材11や粘着層31を省略した態様でも実施可能である。例えば、上述した基材11を剥離させて、低反射スプレーコート層21のみからなる単層構造の低反射材等として実施可能である。また同様に、粘着層31を設けずに、基材11上に低反射スプレーコート層21を設けた2層積層構造の低反射材等として実施可能である。さらに、上記第一実施形態では、基材11上に低反射スプレーコート層21を1層のみ設けた態様を示したが、基材11の一方の主面11a側及び他方の面11b側に低反射スプレーコート層21をそれぞれ設けた態様でも実施可能である。
【0060】
また、上記第一実施形態では、フィルム状の基材11の表面11aに低反射スプレーコート層21を適用した例を示したが、本発明の低反射スプレーコート層21を適用する対象物は、上述した基材11のみに限定されない。例えば、カメラモジュール、レンズ台座マウント、バレル等の各種光学機器の表面(例えば、開口端面、外周面、内周面等)や、遮光板、遮光リング、シャッター、絞り部材等の遮光部材の表面(例えば表面、裏面、外周端面、内周端面等)に、低反射スプレーコート層21を設けることで、上述したのと同様に、これらの表面が金属或いは合金又は樹脂成形体或いは多色成形体又はガラスなどであることを問わずに、表面反射率及び表面光沢度が小さな表面を付与することができ、また、好ましい態様では、L*値が低く、黒々しいデザイン性を付与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、低反射率及び低光沢度な表面が要求される用途、例えば精密機械分野、半導体分野、光学機器分野等において、或いは車載用途やシアタールーム用途において、高性能な低反射材として広く且つ有効に利用可能である。とりわけ、高性能一眼レフカメラ、コンパクトカメラ、ビデオカメラ、携帯電話、スマートフォン、PDA情報端末、プロジェクタ等の各種光学機器の低反射遮光部材(例えば遮光板や遮光リング等)や低反射遮光性摺動部材(例えばシャッターや絞り部材等)として、殊に有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0062】
100 ・・・低反射材
11 ・・・基材
11a・・・面(主面)
11b・・・面(主面)
21 ・・・低反射スプレーコート層
21a・・・表面
31 ・・・粘着層
図1