(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E05D 5/06 20060101AFI20240226BHJP
E05D 3/02 20060101ALI20240226BHJP
E06B 3/36 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
E05D5/06 C
E05D3/02
E06B3/36
(21)【出願番号】P 2020042292
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】酒井 秀忠
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-218837(JP,A)
【文献】特開2010-116691(JP,A)
【文献】特開2018-127861(JP,A)
【文献】特開平9-177416(JP,A)
【文献】特開平9-177417(JP,A)
【文献】特開2009-287340(JP,A)
【文献】特開2016-130399(JP,A)
【文献】登録実用新案第3113489(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第110056274(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 3/02
E05D 5/06
E06B 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に配置される枠体と、
前記枠体の内側に配置される戸体と、
前記枠体を構成する縦枠の見込み面に取り付けられる枠体側羽根板と、該枠体側羽根板の室外側端部から上方に向かって突出する軸部と、前記戸体の吊元側の側面に取り付けられる戸体側羽根板と、該戸体側羽根板の前記軸部側の端部に設けられ前記軸部を受ける軸受け部と、を有し、前記戸体を開閉可能に前記枠体に連結する丁番と、を備える建具であって、
前記軸部及び前記軸受け部は、前記戸体が閉じた状態のときに、平面視で前記枠体側羽根板と前記戸体側羽根板との中間位置に対して、枠体側に前記戸体から離れる方向に偏芯して配置され、
前記枠体側羽根板は、前記軸部に接続されている軸部接続部と、前記軸部接続部に接続された軸部離間部とを有し、
平面視で、前記軸部離間部は、枠体側羽根板段部において前記軸部接続部に対して枠体側へオフセットされて接続されて、前記枠体側羽根板はクランク形状に形成され、
前記戸体側羽根板は、前記軸受け部に接続されている軸受け部接続部と、前記軸受け部接続部に接続された軸受け部離間部とを有し、
平面視で、前記軸受け部離間部は、戸体側羽根板段部において前記軸受け部接続部に対して枠体側へオフセットされて接続されて、前記戸体側羽根板はクランク形状に形成される建具。
【請求項2】
前記丁番は、カバー部材により覆われている
請求項1に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建具において、戸体は枠体の縦枠に丁番を介して接続され、丁番を回動させるとことで開閉されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の建具では、外観視で丁番が露出している。このため、この構造では、デザイン上丁番が目立っていた。
【0003】
丁番が露出せずに外観視で目立たない構造としては、例えば、ドア本体の吊り元端部にカバー部を設け、外観視で丁番が見えない構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-31207号公報
【文献】特開2018-127861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2の建具では、ドアの開閉角度が90°に制限されてしまい、有効開口の面で課題があった。
【0006】
本発明は、有効開口を90°よりも大きい角度とすることが可能な建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、建物の開口部に配置される枠体と、前記枠体の内側に配置される戸体と、前記枠体を構成する縦枠の見込み面に取り付けられる枠体側羽根板と、該枠体側羽根板の室外側端部から上方に向かって突出する軸部と、前記戸体の吊元側の側面に取り付けられる戸体側羽根板と、該戸体側羽根板の前記軸部側の端部に設けられ前記軸部を受ける軸受け部と、を有し、前記戸体を開閉可能に前記枠体に連結する丁番と、を備える建具であって、前記軸部及び前記軸受け部は、前記戸体が閉じた状態のときに、平面視で前記枠体側羽根板と前記戸体側羽根板との中心位置に対して、枠体側に前記戸体から離れる方向に偏芯して配置される建具を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】第一実施形態の建具の戸体の丁番の部分を示す横断面図である。
【
図4】第一実施形態の建具の戸体が開閉する様子を示す拡大横断面図である。
【
図5】第二実施形態の建具の戸体が開閉する様子を示す拡大横断面図である。
【
図6】第三実施形態の建具の戸体が開閉する様子を示す拡大横断面図である。
【
図7】第四実施形態の建具の戸体が開閉する様子を示す拡大横断面図である。
【
図8】第五実施形態の建具の戸体が開閉する様子を示す拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、建具1の正面図である。
図2は、建具1の戸体を示す縦断面図である。
図3は、建具1の戸体2の丁番の部分を示す横断面図である。
図4は、建具1の戸体2が開閉する様子を示す拡大横断面図である。
本明細書において、建具1の奥行方向を見込み方向と言い、建具1の表面に沿う方向を見付け方向と言う。
図1に示すように、建具1は、戸体2と、枠体3と、丁番4と、カバー部材としての丁番カバー5と、を有する。
【0010】
建具1は、建物の開口部や建物内部の部屋の出入口等に設けられ、室内外を仕切るドアである。建具1は、玄関に設けられる片開きのドアである。
戸体2は、開口部等の出入口を開閉するように取り付けられる長方形の板体であり、戸体2の戸先側には取っ手6が設けられている。
枠体3は、開口部等の周囲に設けられる部材であり、開口部等の上方で幅方向に延びる上枠31及び下枠33と、上枠31及び下枠33の両端部を結ぶ一対の縦枠32と、により構成される。
【0011】
図2等に示すように、上枠31は、屋外側上枠部311と、躯体取付部312とを有する。躯体取付部312は、上側の建物躯体100の室外側の見付け面100bにねじ315によって取り付けられる。躯体取付部312の下部には、ブリッジ316を介して屋内側へ延出する躯体被固定部材313が設けられており、躯体被固定部材313はねじ315によって建物躯体100に固定されている。屋外側上枠部311は、躯体取付部312よりも室外側に、見込み方向に沿って室外側に延びるホロー構造を有する。
【0012】
下枠33は、屋外側下枠部331と、躯体取付部332とを有する。躯体取付部332は、ブリッジ336を介して屋外側下枠部331に接続されており、上側の建物躯体100の室外側の見付け面100bに取り付けられる。屋外側下枠部331は、躯体取付部332よりも室外側に、見込み方向に沿って室外側に延びて下方に開口する中空の構造を有する。上枠31と下枠33との間であって一対の縦枠32の間、即ち、枠体3の内側には、閉じた状態の戸体2が配置される。
【0013】
図3等に示すように、縦枠32は、屋外側縦枠部321と、躯体取付部322とを有する。躯体取付部322は、上側の建物躯体100の室外側の見付け面100bにねじ325によって取り付けられる。屋外側縦枠部321は、躯体取付部322よりも室外側に、見込み方向に沿って室外側に延びる、屋内側部3211と屋外側部3212とを有するホロー構造を有している。屋外側部3212は、屋内側部3211の屋外側に位置しており、屋外側部3212の見付け方向における左右方向の寸法が、屋内側部3211の見付け方向における左右方向の寸法よりも小さく構成されている。このため、
図3に示すように、屋外側部3212と屋内側部3211とによるL字形状の部分によって、丁番の軸受け部44及び軸部42が収容される収容空間327が形成される。躯体取付部322の下部には、ブリッジ326を介して屋内側へ延出する躯体被固定部材323が設けられており、躯体被固定部材323はねじ325によって建物躯体100に固定されている。
【0014】
丁番4は、戸体2を開閉可能に枠体3に連結する部品である。丁番4は、戸体2の長手方向に沿って、上限に間隔を空けて3箇所配置されている。
図4に示すように、丁番4は、枠体側羽根板41と、軸体45と、軸部42と、戸体側羽根板43と、軸受け部44と、を有する。丁番4は、枠体側羽根板41、軸体45、及び軸部42を有するオス丁番と、戸体側羽根板43及び軸受け部44を有するメス丁番により構成される。
【0015】
枠体側羽根板41は、硬質で平坦な長方形の板体であり、板面が縦枠32の屋内側部3211の見込み面32aに沿って、図示しないねじにより固定されて取り付けられる。
【0016】
軸体45は、枠体側羽根板41の長手方向に延びる側部に沿って設けられる円柱状の部分である。軸体45の内部に、円柱状の芯棒45aが配置されている。
【0017】
軸部42は、枠体側羽根板41の室外側端部から上方に向かって突出する。軸部42は、軸体45の内部に配置された軸体45の芯棒45aが、軸体45の内部から上方へ外部に延出して形成されている。
【0018】
戸体側羽根板43は、硬質で平坦な長方形の板体であり、板面が戸体2の吊元側の側面に沿って、板状のスペーサ212を介して、図示しないねじにより戸体2に取り付けられる。戸体側羽根板43は、枠体側羽根板41と同じ幅、長さ及び厚さを有する。
【0019】
軸受け部44は、戸体側羽根板43の軸部側端部に長手方向に沿って設けられ、軸部42を受ける円柱状の部分である。軸受け部44には、内部に軸部42を収容可能な円筒状の筒孔が形成されている。軸受け部44の直径は、軸体45の直径と同一であり、軸部42が軸受け部44内の筒孔に挿通された状態で、軸体45と軸受け部44の向かい合う端部が一致し、一本の軸が連続して延びるように形成されている。この軸体45と軸受け部44で構成される軸が、丁番4のヒンジ部分を構成する。なお、軸受け部44と軸部42が配置される軸体45との間には、適宜リング状の図示しないスペーサが配置される。
【0020】
軸部42及び軸受け部44は、
図4等に示すように、軸部42の軸方向視で、枠体側羽根板41と戸体側羽根板43との中間位置M1に対して、戸体2の縦枠23側(
図4における左側)に偏芯して配置されている。より具体的には、
図4に示すように、戸体2が閉じた状態のときに、軸体45の軸心C1、及び、軸受け部44の軸心C2は、中間位置M1よりも、戸体2の縦枠23側(
図4における左側)に偏芯して配置されている。更に、軸体45の軸心C1、及び、軸受け部44の軸心C2は、縦枠23に当接している枠体側羽根板41の当接面411よりも戸体2の縦枠32側(
図4における左側)に偏芯する位置関係を有している。
【0021】
図3に示すように、丁番カバー5は、戸体2の吊元側端部に取り付けられ、戸体2の吊元側端部から、丁番4の室外側を覆うように見付け方向に延びる部材である。
図1に示すように、丁番カバー5は、戸体2の長手方向に沿って配置される。
図4に示すように、丁番カバー5は、取り付け部51と表面部52とを有し、取り付け部51と表面部52とは断面視でL字に屈曲するように形成されている。
【0022】
取り付け部51は、戸体2の吊元側の見込み面に沿って取り付けられる部分である。 表面部52は、取り付け部51から屈曲し、戸体2の室外側の見付け面に平行に延びる。表面部52の枠体3側の端部521は、見込み方向の室内側に向かってわずかに屈曲している。表面部52の枠体3側の端部521と、縦枠23の屋外側部3212との間の距離Lは、5mm程度であり、この部分における指挟みが防止される。
【0023】
上記構成による建具において、
図3に示すように戸体2が閉じた状態から、戸体2を開いてゆくと、表面部52の枠体3側の端部521の軌跡は、
図5において一点鎖線Tで示す円Tの一部を描くように構成されている。このため、
図4に示すように全開した状態では、全閉の状態に対して90°を超えて、110°程度まで開くように構成されている。全閉の状態から全開した状態に至るまでの間に、表面部52の枠体3側の端部521は、
図4に示す円Tの一部である円弧の軌跡を描き、端部521は、他の部材のいずれとも干渉しないように構成されている。
【0024】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、軸部42及び軸受け部44は、戸体2が閉じた状態のときに、枠体側羽根板41と戸体側羽根板43との中間位置M1に対して、枠体32側に戸体2から離れる方向に偏芯して配置されている。これにより、戸体2の開閉可能な角度を、90°よりも大きい110°程度とすることが可能となり、玄関ドアの出入りに十分な有効開口を確保することが可能となり、ドアである戸体2の屋内側の取っ手6が、出入りの邪魔にならない構成とすることが可能となる。
【0025】
また、本実施形態では、枠体側羽根板41と戸体側羽根板43とは、それぞれ平坦な板体により構成されている。このため、枠体側羽根板41を縦枠32の屋内側部3211の平坦な見込み面32aに容易に固定することができる。また、戸体側羽根板43を戸体2の吊元側の平坦な側面に容易に固定することができる。
【0026】
また、本実施形態では、丁番4は、カバー部材としての丁番カバー5により覆われている。このため、丁番が露出せずに外観視で目立たない構造とすることが可能となる。
【0027】
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図5は、建具の戸体2Aが開閉する様子を示す拡大横断面図である。
第二実施形態においては、縦枠32Aの構成、及び戸体2Aの構成、戸体側羽根板43を戸体2Aに固定する構成が、第一実施形態の構成とは異なる。これ以外の点においては、第二実施形態の構成は、第一実施形態の構成と同一である。同一の構成については、同一の符号を付して説明する。
【0028】
図5に示すように、縦枠32Aの屋外側縦枠部321Aは、第一実施形態における2つのホロー構造の屋内側部3211(
図4参照)と屋外側部3212とを、
図5に示すように、1つのホロー構造とされた構成を有している。また、戸体2Aの吊元側の側面の屋外側の端部の部分には、戸体2Aの戸先側(
図5の右側)に向かって一段窪んだ切欠き201Aが形成されている。切欠き201Aを形成している戸体2Aの吊元側の側面の部分に取り付け部51がボルト211Aによって固定されている。また、戸体側羽根板43は、板状のスペーサ212Aを介して、戸体2Aに固定されている。
【0029】
表面部52の枠体3側の端部521と、縦枠32の屋外側縦枠部321Aとの間の距離LAは、第一実施形態における距離Lと同様に、5mm程度である。また、
図5に示すように全開した状態では、第一実施形態と同様に、全閉の状態に対して90°を超えて、110°程度まで開くように構成されている。全閉の状態から全開した状態に至るまでの間に、表面部52の枠体3側の端部521は、
図5に示す円TAの一部である円弧の軌跡を描き、端部521は、他の部材のいずれとも干渉しないように構成されている。
【0030】
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
図6は、建具の戸体2Aが開閉する様子を示す拡大横断面図である。
第三実施形態においては、戸体側羽根板43を戸体2Aに固定する構成が、第二実施形態の構成とは異なる。これ以外の点においては、第三実施形態の構成は、第二実施形態の構成と同一である。同一の構成については、同一の符号を付して説明する。
【0031】
戸体側羽根板43は、板状のスペーサ212A(
図5参照)を介さずに、直接戸体2Aに固定されている。これにより、軸部42及び軸受け部44の軸心の位置は、第二実施形態における軸部42及び軸受け部44の軸心の位置に対して、戸体2Aの戸先側且つ屋内側(
図6における右側且つ下側)に移動した位置関係を有している。
【0032】
この結果、
図6に示すように全開した状態では、全閉の状態に対して90°を超えて、110°程度まで開くように構成されているにもかかわらず、表面部52の枠体3側の端部521と、縦枠32Aの屋外側縦枠部321Aとの間の距離LBは、第一実施形態、第二実施形態における距離L、距離LAよりも短く、2mm程度である。このため、この部分における指挟みが確実に防止される。全閉の状態から全開した状態に至るまでの間に、表面部52の枠体3側の端部521は、
図6に示す円TBの一部である円弧の軌跡を描き、端部521は、他の部材のいずれとも干渉しないように構成されている。
【0033】
次に、本発明の第四実施形態について説明する。
図7は、建具の戸体2Cが開閉する様子を示す拡大横断面図である。
第四実施形態においては、縦枠32Cの構成、及び戸体2Cの構成、枠体側羽根板41、戸体側羽根板43の構成が、第二実施形態の構成とは異なる。これ以外の点においては、第四実施形態の構成は、第二実施形態の構成と同一である。同一の構成については、同一の符号を付して説明する。
【0034】
縦枠32Cの屋外側縦枠部321Cは、第二実施形態における屋外側縦枠部321Aと同様に、1つのホロー構造とした構成を有している。但し、平面視で軸部42及び軸受け部44に対向する縦枠32Cの屋外側縦枠部321Cの部分は、軸受け部44の周面に倣った円弧形状部3211Cを有している。
【0035】
枠体側羽根板41Cは、軸部42に一体成形されることにより接続されて屋内側へ延びる軸部接続部412Cと、軸部離間部413Cとを有しており、軸部離間部413Cは、枠体側羽根板段部414Cにおいて軸部接続部412Cに接続されている。軸部離間部413Cは、
図7に示すように、枠体側羽根板段部414Cにおいて、戸体2Cから離間する側である枠体3C側(
図7における左方向)へ、軸部接続部412Cに対してオフセットされて接続されている。これにより、枠体側羽根板41Cはクランク形状に形成されている。
【0036】
戸体側羽根板43Cは、軸受け部44に一体成形されることにより接続されて屋内側へ延びる軸受け部接続部432Cと、軸受け部離間部433Cとを有しており、軸受け部離間部433Cは、戸体側羽根板段部434Cにおいて軸受け部接続部432Cに接続されている。軸受け部離間部433Cは、
図7に示すように、戸体側羽根板段部434Cにおいて、戸体2Cから離間する側である枠体3C側(
図7における左方向)に、軸受け部接続部432Cに対してオフセットされて接続されており、これにより、戸体側羽根板43Cはクランク形状に形成されている。戸体側羽根板43Cは、板状のスペーサ212Cを介して、戸体2Cに固定されている。
【0037】
戸体2Cの吊元側の側面の屋外側の端部の部分に形成された切り欠き201Cは、第二実施形態における切欠き201Aよりも大きく形成されており、より具体的には切り欠き201Cにおいては、見込み方向屋内側の奥行が大きく構成されている。切り欠き201Cの屋内側の端部に形成された段部203Cには、枠体側羽根板段部414C、戸体側羽根板段部434Cがそれぞれ係合している。
【0038】
表面部52の枠体3側の端部521と、縦枠23Cの屋外側縦枠部321Cとの間の距離LCは、第一実施形態における距離Lと同様に、5mm程度である。全閉の状態から全開した状態に至るまでの間に、表面部52の枠体3側の端部521は、
図7に示す円TCの一部である円弧の軌跡を描き、端部521は、他の部材のいずれとも干渉しないように構成されている。
【0039】
次に、本発明の第五実施形態について説明する。
図8は、建具の戸体2Cが開閉する様子を示す拡大横断面図である。
第五実施形態においては、戸体側羽根板43Cを戸体2Cに固定する構成が、第四実施形態の構成とは異なる。これ以外の点においては、第五実施形態の構成は、第四実施形態の構成と同一である。同一の構成については、同一の符号を付して説明する。
【0040】
戸体側羽根板43Cの軸受け部離間部433Cは、板状のスペーサ212C(
図7参照)を介さずに、直接戸体2Cに固定されている。これにより、軸部42及び軸受け部44の軸心の位置は、第四実施形態における軸部42及び軸受け部44の軸心の位置に対して、戸体2Cの戸先側且つ屋内側(
図8における右側且つ下側)に移動した位置関係を有している。
【0041】
この結果、
図8に示すように全開した状態では、全閉の状態に対して90°を超えて、110°程度まで開くように構成されているにもかかわらず、表面部52の枠体3側の端部521と、縦枠32Cの屋外側縦枠部321Cとの間の距離LDは、第一実施形態、第二実施形態、第四実施形態における距離L、距離LA、距離LCよりも短く、2mm程度である。このため、この部分における指挟みが確実に防止される。全閉の状態から全開した状態に至るまでの間に、表面部52の枠体3側の端部521は、
図8に示す円TDの一部である円弧の軌跡を描き、端部521は、他の部材のいずれとも干渉しないように構成されている。
【0042】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、上記実施形態では、丁番4は戸体2の長手方向に沿って3箇所配置されているが、丁番の数や配置箇所は、戸体2の大きさや意匠によって変更される。また、丁番カバー5は、戸体2の長手方向に沿って上下に連続しているが、これに限られない。丁番4が設けられる位置に対応して部分的に設けられてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、玄関に設けられる建具1を例に説明しているが、これに限られない。建物の屋内に設けられ、室内外の境界に配置される建具であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 建具
2 戸体
3 枠体
4 丁番
5 丁番カバー(カバー部材)
32 縦枠
32a 見込み面
41 枠体側羽根板
42 軸部
43 戸体側羽根板
44 軸受け部
412C 軸部接続部
413C 軸部離間部
414C 枠体側羽根板段部
432C 軸受け部接続部
433C 軸受け部離間部
434C 戸体側羽根板段部
M1 中心位置