(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】患者情報管理装置、患者情報管理方法、及び患者情報管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20240226BHJP
【FI】
G16H10/60
(21)【出願番号】P 2020061096
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】503369495
【氏名又は名称】帝人ファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】月坂 学
(72)【発明者】
【氏名】畑田 宏貴
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-111665(JP,A)
【文献】特開2011-253322(JP,A)
【文献】特開2019-012385(JP,A)
【文献】特開2016-033795(JP,A)
【文献】特開2007-128202(JP,A)
【文献】特開2017-228099(JP,A)
【文献】特開2019-113982(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0063841(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0004762(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0091389(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0192137(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0180292(US,A1)
【文献】特許第6602452(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に関する情報であって、前記患者を観察する複数の観察者の間で共有する患者情報を記憶する患者情報記憶部と、
前記複数の観察者以外の者であって、前記患者を救急搬送する際に対応する救急医療関係者に付与された当該救急医療関係者の識別情報に基づいて前記患者情報へのアクセスを許可するアクセス許可部と、
前記救急医療関係者から前記患者情報へのアクセスを検知し、前記アクセスの履歴を記録するアクセス履歴記録部と、
前記複数の観察者の端末のそれぞれに、前記アクセスの履歴を通知するアクセス履歴通知部と、
を有
し、
前記アクセスを許可する際、前記救急医療関係者を自動的に前記観察者に加え、所定の時間経過後、前記救急医療関係者を前記観察者から自動的に削除する、
ことを特徴とする患者情報管理装置。
【請求項2】
前記アクセス履歴通知部は、前記複数の観察者の間で前記患者に関する情報を共有するための情報共有ツールに前記アクセスの履歴を登録する、請求項1に記載の患者情報管理装置。
【請求項3】
前記アクセス履歴通知部は、前記複数の観察者の端末のそれぞれに前記アクセスの履歴を記載したメールを送信する、請求項1に記載の患者情報管理装置。
【請求項4】
前記アクセスの履歴には、前記患者情報にアクセスした救急医療関係者の識別情報、前記患者の識別情報、アクセスした前記患者情報の種類、及び前記アクセスの日時が含まれる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の患者情報管理装置。
【請求項5】
前記救急医療関係者による前記患者情報へのアクセスの要否を判断するアクセス要否判断部をさらに有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の患者情報管理装置。
【請求項6】
前記アクセス要否判断部は、前記患者の主治医による判断、前記救急医療関係者が属する病院の責任者による判断、前記患者本人による判断、前記患者の家族による判断、前記患者が独自に所有する物による判断、及び前記救急医療関係者本人による判断のうちの少なくとも1つに基づいて、前記救急医療関係者による前記患者情報へのアクセスの要否を判断する、請求項5に記載の患者情報管理装置。
【請求項7】
前記アクセス許可部は、前記救急医療関係者が前記患者情報にアクセスする必要があると認めた場合には、前記アクセス許可部によるアクセス許可から所定時間の間、前記救急医療関係者に前記患者情報へのアクセスを許可する、請求項5または6に記載の患者情報管理装置。
【請求項8】
前記患者情報には、患者の基本情報、患者に関するメッセージ、健康情報、服用薬情報、及び予定表情報のうちの少なくとも1つが含まれる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の患者情報管理装置。
【請求項9】
前記アクセス許可部は、前記救急医療関係者が有する所定の認証に基づいて前記患者情報へのアクセスを許可する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の患者情報管理装置。
【請求項10】
患者情報記憶部が、患者に関する情報であって、前記患者を観察する複数の観察者の間で共有する患者情報を記憶し、
アクセス許可部が、前記複数の観察者以外の者であって、前記患者を救急搬送する際に対応する救急医療関係者に付与された当該救急医療関係者の識別情報に基づいて前記患者情報へのアクセスを許可し、
アクセス履歴記録部が、前記救急医療関係者から前記患者情報へのアクセスを検知し、前記アクセスの履歴を記録し、
アクセス履歴通知部が、前記複数の観察者の端末のそれぞれに、前記アクセスの履歴を通知
し、
前記アクセスを許可する際、前記救急医療関係者を自動的に前記観察者に加え、所定の時間経過後、前記救急医療関係者を前記観察者から自動的に削除する、
ことを特徴とする患者情報管理方法。
【請求項11】
患者を観察する複数の観察者の端末のそれぞれと通信ネットワークを介して接続された患者情報管理装置を制御するコンピュータに、
患者に関する情報であって、前記患者を観察する複数の観察者の間で共有する患者情報を記憶する患者情報記憶処理と、
前記複数の観察者以外の者であって、前記患者を救急搬送する際に対応する救急医療関係者に付与された当該救急医療関係者の識別情報に基づいて前記患者情報へのアクセスを許可するアクセス許可処理と、
前記救急医療関係者から前記患者情報へのアクセスを検知し、前記アクセスの履歴を記録するアクセス履歴記録処理と、
前記複数の観察者の端末のそれぞれに、前記アクセスの履歴を通知するアクセス履歴通知処理と、
を実行さ
せ、
前記アクセスを許可する際、前記救急医療関係者を自動的に前記観察者に加え、所定の時間経過後、前記救急医療関係者を前記観察者から自動的に削除する、
ことを特徴とする患者情報管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者情報管理装置、患者情報管理方法、及び患者情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者数の増加に伴い、病院に通うことなく、在宅で診療を続ける在宅医療・介護が進んでいる。在宅医療において、患者に関わる医師、看護師、薬剤師、ケアマネージャ等の多職種に渡る利用者は、医療者・介護者間の情報共有システムやソーシャルネットワークを活用したシステムにより、在宅医療介護の患者の通常担当者が情報共有できるようになってきている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、患者の主治医が、ケアグループ(医師、看護師、理学療法士、ヘルパー、家族など)と連携して、ケア情報を共有し、担当する患者の診療を行う点が開示されている。
【0003】
在宅患者が救急搬送された際、救急医療関係者が情報共有システムを利用して患者情報を参照できるようにすると、病状や処方の迅速な把握や、適切な救急対応(患者の希望しない延命の防止等)が可能となり有益である。
【0004】
一方、同意書等により、救急医療関係者による患者情報へのアクセスは許容されるが、「救急時の情報収集」といった正当な目的以外での情報参照は望ましくない。
【0005】
そこで、救急時のみ、救急医による患者情報の参照を可能にすることが望ましい。例えば、救急搬送の都度、救急医療関係者に救急搬送患者の情報へのアクセス権を付与する方法が考えられる。しかしながら、この方法は手間が掛かるだけでなく、必要なタイミングでの情報収集が不可能となる恐れもある。
【0006】
さらに、救急医療関係者に常時、患者情報へのアクセス権を付与したうえで、救急医療関係者によるアクセスログを監査する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、監査をするまでアクセスの有無を把握できず、不適切なアクセスの把握や、アクセス権の剥奪等の対応が遅れ、情報参照の管理の点で不十分である。
【0007】
また、利用者端末から指令台に対して緊急通報を行ったときのみ、救急活動に関わる複数の異なる端末装置から利用者の救急情報の閲覧または活用が可能となるように、閲覧または活用判断フラグを書き換える救急情報管理システムが知られている(例えば、特許文献2)。これにより、個人の救急情報の漏洩を防止し、かつ、救急援護を行う救急隊員が関連する救急情報を迅速に閲覧できるというものである。
【0008】
また、救命士などの医療従事者が受診者の医療情報にアクセスする資格を有していることが認証されると、当該受診者の医療情報が表示手段に表示される個人医療情報集約システムが知られている(例えば、特許文献3)。これにより、集約して管理されている各個人の医療情報を、救急時にも用いることが可能になり、医療従事者が適切な対応を取り易く、救命率を向上させることができるというものである。
【0009】
さらに、事前に登録されている救命救急士、看護師、介護士などの医師以外の医療関係者が、緊急時に医療用移動車両で患者を搬送する際、患者記憶媒体に記録される医療情報を閲覧することができる医療情報システムが知られている(例えば、特許文献4)。これにより、救急医療機関の救命救急担当医師は、患者が緊急で搬送された場合であっても、患者の医療情報を閲覧することにより適切な治療を施すことができるというものである。
【0010】
しかしながら、特許文献2~4に記載された方法では、救命士などの医療従事者が受診者の医療情報にアクセスした事実を関係者に知られることがないため、誰にも気づかれないまま、患者の個人情報が流出したり、不正に利用されたりする恐れがあるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2017-073013号公報
【文献】特許第5488350号公報
【文献】特許第6570691号公報
【文献】特許第5112394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、救急医療関係者の患者情報へのアクセスを容易にし、かつ適時なアクセス監視や対応を可能とする患者情報管理装置、患者情報管理方法、及び患者情報管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の実施形態に係る患者情報管理装置は、患者に関する情報であって、患者を観察する複数の観察者の間で共有する患者情報を記憶する患者情報記憶部と、複数の観察者以外の者であって、患者を救急搬送する際に対応する救急医療関係者に付与された当該救急医療関係者の識別情報に基づいて患者情報へのアクセスを許可するアクセス許可部と、救急医療関係者から患者情報へのアクセスを検知し、アクセスの履歴を記録するアクセス履歴記録部と、複数の観察者の端末のそれぞれに、アクセスの履歴を通知するアクセス履歴通知部と、を有することを特徴とする。
【0014】
本開示の実施形態に係る患者情報管理装置において、アクセス履歴通知部は、複数の観察者の間で患者に関する情報を共有するための情報共有ツールにアクセスの履歴を登録することが好ましい。
【0015】
本開示の実施形態に係る患者情報管理装置において、アクセス履歴通知部は、複数の観察者の端末のそれぞれにアクセスの履歴を記載したメールやプッシュ通知を送信することが好ましい。
【0016】
本開示の実施形態に係る患者情報管理装置において、アクセスの履歴には、患者情報にアクセスした救急医療関係者の識別情報、患者の識別情報、アクセスした患者情報の種類、及びアクセスの日時が含まれることが好ましい。
【0017】
本開示の実施形態に係る患者情報管理装置において、救急医療関係者による患者情報へのアクセスの要否を判断するアクセス要否判断部をさらに有することが好ましい。
【0018】
本開示の実施形態に係る患者情報管理装置において、アクセス要否判断部は、患者の主治医の患者情報の管理責任者による判断、救急医療関係者が属する病院の責任者による判断、患者本人による判断、患者の家族による判断、患者が独自に所有する物による判断、及び救急医療関係者本人による判断のうちの少なくとも1つに基づいて、救急医療関係者による患者情報へのアクセスの要否を判断することが好ましい。
【0019】
本開示の実施形態に係る患者情報管理装置において、アクセス許可部は、救急医療関係者が患者情報にアクセスする必要があると認めた場合には、アクセス許可部によるアクセス許可から所定時間の間、救急医療関係者に患者情報へのアクセスを許可することが好ましい。
【0020】
本開示の実施形態に係る患者情報管理装置において、患者情報には、患者の基本情報、患者に関するメッセージ、健康情報、服用薬情報、及び予定表情報のうちの少なくとも1つが含まれることが好ましい。
【0021】
本開示の実施形態に係る患者情報管理装置において、アクセス許可部は、救急医療関係者が有する所定の認証に基づいて患者情報へのアクセスを許可することが好ましい。
【0022】
本開示の実施形態に係る患者情報管理方法は、患者に関する情報であって、患者を観察する複数の観察者の間で共有する患者情報を記憶し、複数の観察者以外の者であって、患者を救急搬送する際に対応する救急医療関係者に付与された当該救急医療関係者の識別情報に基づいて患者情報へのアクセスを許可し、救急医療関係者から患者情報へのアクセスを検知し、アクセスの履歴を記録し、複数の観察者の端末のそれぞれに、アクセスの履歴を通知する、ことを特徴とする。
【0023】
本開示の実施形態に係る患者情報管理プログラムは、患者を観察する複数の観察者の端末のそれぞれと通信ネットワークを介して接続された患者情報管理装置を制御するコンピュータに、患者に関する情報であって、患者を観察する複数の観察者の間で共有する患者情報を記憶する患者情報記憶処理と、複数の観察者以外の者であって、患者を救急搬送する際に対応する救急医療関係者に付与された当該救急医療関係者の識別情報に基づいて患者情報へのアクセスを許可するアクセス許可処理と、救急医療関係者から患者情報へのアクセスを検知し、アクセスの履歴を記録するアクセス履歴記録処理と、複数の観察者の端末のそれぞれに、アクセスの履歴を通知するアクセス履歴通知処理と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本開示の実施形態に係る患者情報管理装置、患者情報管理方法、及び患者情報管理プログラムによれば、救急医療関係者の患者情報へのアクセスを容易にし、かつ適時なアクセス監視や対応を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本開示の実施例1に係る患者情報管理システムの概念図である。
【
図2】本開示の実施例1に係る患者情報管理システムの構成図である。
【
図3】本開示の実施例1に係る患者情報管理方法の手順を説明するためのフローチャートである。
【
図4】本開示の実施例1に係る患者情報管理システムで作成された患者の基本情報の表示画面の例を示す図である。
【
図5】本開示の実施例1に係る患者情報管理システムにおいて、救急医療関係者が患者情報管理システムにログインする場合の表示画面の例を示す図である。
【
図6】本開示の実施例1に係る患者情報管理システムにおいて、救急医療関係者端末に表示した、救急医療関係者が特定の患者を検索する患者検索画面の例を示す図である。
【
図7】本開示の実施例1に係る患者情報管理システムにおいて、救急医療関係者端末に表示した、患者情報の表示画面の例を示す図である。
【
図8】本開示の実施例1に係る患者情報管理システムにおいて、救急医療関係者端末に表示した、患者に関するメッセージの表示画面の例を示す図である。
【
図9】本開示の実施例1に係る患者情報管理システムにおいて、救急医療関係者が患者情報にアクセスした旨の通知を観察者端末に表示した場合の表示画面の例を示す図である。
【
図10】本開示の実施例2に係る患者情報管理システムの構成図である。
【
図11】本開示の実施例2に係る患者情報管理方法の手順を説明するためのフローチャートである。
【
図12】本開示の実施例2に係る患者情報管理システムにおいて、救急医療関係者による患者情報へのアクセス要否確認を観察者端末で実行する場合の表示画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明に係る患者情報管理装置、患者情報管理方法、及び患者情報管理プログラムについて説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0027】
[実施例1]
図1に、本開示の実施例1に係る患者情報管理システムの概念図を示す。患者情報管理システム1001においては、1人の患者Pに対して、複数の観察者が連携してケアを行う。
図1に示した例では、患者Pに対して、主治医31、歯科医師32、介護士33、ケアマネージャ34がケアを行う例を示している。ただし、このような例には限られず、訪問看護師、薬剤師、かかりつけ医等の他の医療従事者が患者Pのケアを行うようにしてもよい。患者情報管理システム1001は、多くの職種の観察者間の相互の連携を行うものであり、「多職種連携情報共有システム」と呼ぶこともできる。患者情報管理システム1001は、複数の観察者(31~34)が患者Pに関する情報35をサーバにアップロードし、アップロードされた情報を複数の観察者(31~34)間で共有することにより、患者Pのケアを迅速かつ的確に行うことを目的としている。患者Pに関する情報(患者情報)35には、患者に関する基本情報や、患者に関するメッセージを複数の観察者(31~34)の間でやり取りするための連絡帳が含まれる。ここで、観察者(31~34)は、患者Pを含む複数の患者のそれぞれを担当する複数の担当者に関する担当者情報によって設定される。
【0028】
ここで、本実施例に係る患者情報管理システム1001においては、患者Pが救急病院2000に救急搬送される際に、救急医療関係者である救急医41や救急病院責任者42が患者情報管理システム1001に加わり、救急医41が在宅療養患者に関する多職種連携情報共有システムの情報である患者情報35を参照する。ここで、救急医療関係者は、複数の観察者(31~34)以外の者であって、患者Pを救急搬送する際に対応する医療関係者である。救急医41が患者情報35を参照することにより、救急搬送された患者Pに対して迅速かつ患者に適した処置を施すことができる。さらに、患者Pの意思に沿った処置を検討することもできる。
【0029】
図2に本開示の実施例1に係る患者情報管理システム1001の構成図を示す。患者情報管理システム1001は、患者情報管理装置101と、患者Pを観察する複数の観察者(31~34)(
図1参照)のそれぞれが情報をやり取りするための複数の観察者端末(301、302、・・・)と、救急医療関係者端末401と、これらの間で通信を行うための通信ネットワーク200と、を含む。
図1に示した複数の観察者(31~34)のそれぞれは、観察者端末(301、302、・・・)を用いて情報やメッセージを患者情報管理装置101にアップロードすることができる。また、救急医41は、救急医療関係者端末401を用いて患者情報35にアクセスしたり、連絡帳にメッセージをアップロードしたりすることができる。
【0030】
図2には、複数の観察者端末(301、302、・・・)のうちの一部のみが表示されているが、複数の観察者(31~34)のそれぞれが観察者端末を有している。患者情報管理装置101はサーバ装置であって、複数の観察者端末(301、302、・・・)及び救急医療関係者端末401からアップロードされる情報の管理を行う。
【0031】
患者情報管理装置101は、患者情報記憶部1と、制御部2と、通信インターフェース(I/F)3と、を有し、それぞれ内部バス4により接続されている。
【0032】
患者情報記憶部1は、患者に関する情報であって、患者を観察する複数の観察者の間で共有する患者情報を記憶する。図示しない記憶部には、患者情報管理装置101の制御を行なうための患者情報管理プログラムを格納する。患者情報記憶部1には、RAMやROM等の記憶装置、あるいは光ディスク等の記憶装置を用いることができる。
【0033】
制御部2は、CPUを含む。制御部2は、記憶部(図示せず)に格納された患者情報管理プログラムを実行することにより、患者情報管理装置101の制御を行なう。
【0034】
アクセス許可部21、アクセス履歴記録部22、及びアクセス履歴通知部23は、
図2に示した制御部2を構成するCPUにおいて、ソフトウェアまたはファームウェアにより実現することができる。
【0035】
アクセス許可部21は、複数の観察者以外の者であって、患者を救急搬送する際に対応する救急医療関係者(例えば、救急医)に付与された当該救急医療関係者の識別情報に基づいて患者情報へのアクセスを許可する。
【0036】
アクセス履歴記録部22は、救急医療関係者から患者情報へのアクセスを検知し、アクセスの履歴を記録する。
【0037】
アクセス履歴通知部23は、複数の観察者の端末(301、302、・・・)のそれぞれに、救急医療関係者による患者情報へのアクセスの履歴を通知する。
【0038】
通信I/F3は、通信ネットワーク200を介して、複数の観察者端末(301、302、・・・)及び救急医療関係者端末401と接続されて、患者情報や連絡帳メッセージ(以下、単に「メッセージ」ともいう)を含む情報のやり取りを行う。
【0039】
観察者端末301は、制御部301aと、通信インターフェース(I/F)301bと、記憶部301cと、入力部301dと、表示部301eと、を有し、それぞれ内部バス301fにより接続されている。観察者端末301として、パソコンやスマートフォン、タブレット端末等を用いることができる。他の観察者端末302も同様の構成を有する。
【0040】
制御部301aは、CPUを含む。制御部301aは、記憶部301cに格納された観察者端末用プログラムを実行することにより、観察者端末301の制御を行なう。
【0041】
通信I/F301bは、通信ネットワーク200を介して、患者情報管理装置101及び救急医療関係者端末401と接続されて、患者情報及びメッセージを含む情報のやり取りを行う。
【0042】
記憶部301cは、観察者端末301の制御を行なうための観察者端末用プログラムを格納する。記憶部301cには、RAMやROM等の記憶装置、あるいは光ディスク等の記憶装置を用いることができる。
【0043】
入力部301dとして、タッチパネル、マウス、あるいはタッチパッドやキーボード等の入力装置を用いることができる。入力部301dを用いることにより、観察者端末301から、患者情報やメッセージを含む、患者に関する情報を入力することができる。
【0044】
表示部301eとして、液晶表示装置や有機EL表示装置等を用いることができる。表示部301eに、患者に関する情報を入力するための画面を表示したり、患者情報管理装置101から送信された情報を表示したりすることができる。
【0045】
救急医療関係者端末401は、制御部401aと、通信インターフェース(I/F)401bと、記憶部401cと、入力部401dと、表示部401eと、を有し、それぞれ内部バス401fにより接続されている。救急医療関係者端末401として、パソコンやスマートフォン、タブレット端末等を用いることができる。救急医療関係者端末401における各構成は、観察者端末301における構成と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0046】
通信ネットワーク200は、患者情報管理装置101、複数の観察者端末(301、302、・・・)及び救急医療関係者端末401を有線通信により接続してもよいし、無線通信により接続してもよい。
【0047】
次に、実施例1に係る患者情報管理方法及び患者情報管理プログラムについて説明する。
図3に本開示の実施例1に係る患者情報管理方法の手順を説明するためのフローチャートを示す。患者情報管理プログラムは、患者P(
図1参照)を観察する複数の観察者(31~34)のそれぞれが閲覧可能な観察者端末(301、302、・・・)及び救急医41が閲覧可能な救急医療関係者端末401と通信ネットワーク200を介して接続された患者情報管理装置101を制御するコンピュータ(制御部2内のCPU)に、患者情報記憶処理と、アクセス許可処理と、アクセス履歴記録処理と、アクセス履歴通知処理と、を実行させるものである。
【0048】
まず、ステップS101において、患者情報管理装置101の患者情報記憶部1が、患者に関する情報であって、患者を観察する複数の観察者の間で共有する患者情報を記憶する(患者情報記憶処理)。
【0049】
図4に本開示の実施例1に係る患者情報管理システムで作成された患者の基本情報の表示画面51の例を示す。
図4には、患者情報として基本情報を表示した例を示しているが、後述するように、患者情報には、基本情報の他に、メッセージ、健康情報、服用薬情報、及び予定表情報のうちの少なくとも1つを含むようにしてもよい。患者情報の表示画面51には、患者の氏名51a、基本情報のアイコン51b、基本情報51cが表示される。基本情報51cには、患者の識別情報(ID)、性別、血液型、既往歴、主治医名、生年月日、住所、電話番号、緊急時の連絡先、臓器提供の意思、アレルギーに関する各情報を含むことができる。ただし、これらは一例であって、基本情報として、他の情報を含むようにしてもよい。
【0050】
基本情報51cを新規に登録する場合や、基本情報51cに含まれる各情報を修正する場合は、情報入力後に登録ボタン51dをクリックすることにより、基本情報51cの登録及び修正を行うことができる。
【0051】
次に、ステップS102において、救急医療関係者が患者情報管理システムにログインする。
図5に本開示の実施例1に係る患者情報管理システムにおいて、救急医療関係者が患者情報管理システムにログインする場合の表示画面の例を示す。救急医療関係者ログイン画面52には、アカウント入力部52a、パスワード入力部52b、ログインボタン52c及び医師資格証ログインボタン52dが表示される。ここで、医師資格証とは、保健医療福祉分野の公開鍵基盤(HPKI:Healthcare Public Key Infrastructure)による電子証明書が内蔵されたICカードであって、インターネットを介して医療情報等をやり取りする際に、利用者のなりすましや、文書やデータの改ざん等を防ぐために、保健医療福祉分野で使用される電子証明書である。
【0052】
救急医療関係者のアカウントは、救急医療関係者に予め付与されているものとする。救急医療関係者は、アカウントをアカウント入力部52aに入力し、パスワードをパスワード入力部52bに入力してから、ログインボタン52cをクリックすることにより患者情報管理システムにログインすることができる。あるいは、医師資格証ログインボタン52dをクリックしてから、日本医師会電子認証センターによる外部認証において医師資格証(ICカード)を読み取らせることより患者情報管理システムにログインするようにしてもよい。
【0053】
救急医療関係者は、一般的には、救急医療に従事しているものであれば資格は問われない。ただし、ここでは資格を有する救急医療関係者を例にとって説明する。資格を有する救急医療関係者は、例えば、医師資格証による日医医療認証基盤システムでの外部認証を用いてログインおよび身分証明をするようにしてもよい。
【0054】
次に、ステップS103において、患者情報管理装置101のアクセス許可部21が、救急医療関係者の識別情報に基づいて患者情報へのアクセスを許可する(アクセス許可処理)。即ち、救急医療関係者に予め付与されたアカウント及びパスワードが正しく、救急医療関係者患者情報管理システムにログインすることができた場合に、救急医療関係者に患者情報へのアクセスを許可する。アクセス許可部21は、医師資格証等の救急医療関係者が有する所定の認証に基づいて患者情報へのアクセスを許可するようにしてもよい。
【0055】
次に、ステップS104において、患者情報管理装置101のアクセス履歴記録部22が、救急医療関係者から患者情報へのアクセスを検知し、アクセスの履歴を記録する(アクセス履歴記録処理)。
【0056】
図6に、本開示の実施例1に係る患者情報管理システムにおいて、救急医療関係者端末に表示した、救急医療関係者が特定の患者を検索する患者検索画面の例を示す。救急医療関係者は、患者検索画面53上で救急搬送された患者を検索する。患者検索画面53には患者の一覧53aを表示することができる。患者の検索にあたっては、氏名欄53bまたは施設・診療科欄53cにキーワードを入力し、検索ボタン53dをクリックする。入力したキーワードを消去する場合はクリアボタン53eをクリックすることにより消去することができる。検索結果として、例えば、写真53f、氏名53g、施設53h、診療科53i、主治医53jのそれぞれに関する情報が表示される。救急医療関係者は、これらの情報により、救急搬送された患者が検索した患者と一致していることを確認することができる。なお患者検索画面は、端末にインストールされた電子証明書のシリアル番号を用いて、特定の端末にのみ表示するように制御することもできる。
【0057】
患者検索画面53の最下段には患者情報ボタン53nが表示され、これをクリックすると患者情報画面が表示される。
【0058】
図7に、本開示の実施例1に係る患者情報管理システムにおいて、救急医療関係者端末に表示した、患者情報の表示画面の例を示す。患者情報表示画面54には、患者の顔写真54a、患者氏名54b、及び患者情報540が表示される。患者情報540は、基本情報54c、メッセージ54d、健康情報54e、服用薬情報54f、予定表情報54gを含む。ただし、これらは一例であって、このような例には限られない。
【0059】
患者の基本情報を表示させる場合は、基本情報54cのアイコンをクリックする。そうすると、
図4に示した患者の基本情報の表示画面51が表示される。
【0060】
患者に関するメッセージを表示させる場合は、メッセージ54dのアイコンをクリックする。
図8に、本開示の実施例1に係る患者情報管理システムにおいて、救急医療関係者端末に表示した、患者に関するメッセージの表示画面の例を示す。メッセージ表示画面541には、メッセージ55aを投稿した主治医のアイコン55bと、メッセージ本文55cと、メッセージを投稿した時刻55dと、が表示されている。
【0061】
救急医療関係者は、患者情報540のうちの健康情報54e、服用薬情報54f、予定表情報54gのそれぞれのアイコンをクリックすることにより、それぞれの情報を救急医療関係者端末に表示させることができる。健康情報54eのアイコンをクリックすると、患者の平常時における心拍数、呼吸数、血圧、体温等の各データが表示される。服用薬情報54fのアイコンをクリックすると、患者の薬剤服用歴、現在服用中の薬剤の名称、用法、用量等が表示される。予定表情報54gのアイコンをクリックすると、患者の診察予定、薬の支給予定等が表示される。
【0062】
以上のようにして、救急医療関係者が患者情報にアクセスすると、アクセス履歴記録部22は、救急医療関係者から患者情報へのアクセスを検知する。さらに、アクセス履歴記録部22は、アクセスの履歴を記録する。アクセス履歴記録部22が記録するアクセス履歴には、患者情報にアクセスした救急医療関係者の識別情報、患者情報がアクセスされた患者の識別番号、アクセスされた患者情報の種類、患者情報にアクセスした時間のそれぞれに関する情報を含むようにしてもよい。
【0063】
さらに、アクセス履歴記録部22は、救急医療関係者が患者情報にアクセスした時点における、救急医療関係者端末のGPS情報を記録し、メッセージに付与するようにしてもよい。このようにすることで、救急医療関係者端末がモバイル端末の場合に、救急医療関係者がどこで患者情報にアクセスしたかに関する情報を記録することができる。
【0064】
また、アクセス履歴記録部22は、患者情報にアクセスを行った端末を特定するために、電子証明書に関する情報を記録するようにしてもよい。患者情報にアクセスを行った端末を電子証明書によって確認することにより、不正なアクセスを防止することができる。
【0065】
次に、ステップS105において、患者情報管理装置101のアクセス履歴通知部23が、複数の観察者の端末のそれぞれに、アクセスの履歴を通知する(アクセス履歴通知処理)。
図9に、本開示の実施例1に係る患者情報管理システムにおいて、救急医療関係者が患者情報にアクセスした旨の通知を観察者端末に表示した場合の表示画面の例を示す。
図9は、観察者端末に表示された患者情報に重ねて、救急医療関係者が患者情報にアクセスした旨の通知56をアクセスした日時等の時刻情報56aと共に表示した表示画面542の例を示す。アクセスの履歴には、患者情報にアクセスした救急医療関係者の氏名等の識別情報、患者の氏名等の識別情報、アクセスした患者情報の種類を含むアクセスした旨の通知56、及びアクセスした日時等の時刻情報56aが含まれることが好ましい。例えば、アクセスした旨の通知56として、「救急医○○が、伊藤〇子さんの△△情報を参照しました。」とのメッセージを時刻情報56aと共に表示する。これにより、救急医療関係者の誰が、どの患者に関する、患者情報のうちの基本情報、メッセージ、健康情報、服用薬、予定表に関する各情報のいずれをいつ参照したか、について、複数の観察者が認識することができる。
【0066】
救急医療関係者が患者情報にアクセスすると、患者情報管理装置101のアクセス履歴通知部23は複数の観察者端末(301、302、・・・)に自動的に救急医療関係者が患者情報にアクセスした旨の通知を行う。ここでは、複数の観察者端末(301、302、・・・)にメッセージを送信することにより、通知を行う例を示したが、このような例には限られない。即ち、アクセス履歴通知部23は、複数の観察者端末(301、302、・・・)のそれぞれにアクセスの履歴を記載したメールを送信するようにしてもよい。あるいは、メールの代わりにプッシュ通知を行うようにしてもよい。
【0067】
さらに、アクセス履歴通知部23は、複数の観察者の間で患者に関する情報を共有するための情報共有ツールにアクセスの履歴を登録するようにしてもよい。即ち、情報共有ツールである連絡帳にメッセージと共にアクセスの履歴を登録するようにしてもよい。連絡帳のメッセージと共に時系列でアクセス履歴を表示することにより、アクセス履歴に関する情報をメッセージに含めて管理することができる。
【0068】
また、救急医療関係者は複数回、患者情報にアクセスする場合も考えられるが、その場合は、最初のアクセス履歴のみ通知するようにしてもよい。複数回のアクセスのたびに通知すると煩雑になるからである。ただし、救急医療関係者がアクセスした旨の通知がされた患者とは別の患者の患者情報に救急医療関係者がアクセスした場合は、複数の観察者にアクセス履歴を通知することが好ましい。
【0069】
[実施例2]
次に、本開示の実施例2に係る患者情報管理システムについて説明する。
図10に、本開示の実施例2に係る患者情報管理システム1002の構成図を示す。実施例2に係る患者情報管理システム1002を構成する患者情報管理装置102が、実施例1に係る患者情報管理システム1001を構成する患者情報管理装置101と異なっている点は、救急医療関係者による患者情報へのアクセスの要否を判断するアクセス要否判断部24をさらに有する点である。患者情報管理装置102における他の構成は、実施例1に係る患者情報管理装置101における構成と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0070】
図11に、本開示の実施例2に係る患者情報管理方法の手順を説明するためのフローチャートを示す。ステップS201及びS202は、
図3に示した実施例1に係る患者情報管理方法の手順を説明するためのフローチャートにおけるステップS101及びS102と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0071】
ステップS203において、アクセス要否判断部24は、救急医療関係者による患者情報へのアクセスが必要であるか否かを判断する。アクセス要否判断部24によるアクセス要否の判断は、救急医療関係者が患者情報管理システムにログインした際、あるいは、ログイン後に患者情報にアクセスしようとした際に実行することができる。
【0072】
アクセス要否判断部24は、患者の主治医による判断、救急医療関係者が属する病院の責任者による判断、患者本人による判断、患者の家族による判断、患者が独自に所有する物による判断、及び救急医療関係者本人による判断のうちの少なくとも1つに基づいて、救急医療関係者による患者情報へのアクセスの要否を判断することが好ましい。
【0073】
患者の主治医がアクセス要否を判断する場合、救急医療関係者による患者情報へのアクセスの要否について、主治医に対して、メールを送信するか、あるいはプッシュ通知を行うことにより、要否確認を依頼することができる。具体的には、救急医療関係者が患者検索画面上で選択した患者の主治医に対し、患者情報管理装置102から必要性の確認通知(メール、プッシュ通知等)が送信される。確認通知には、救急医療関係者の氏名、所属、患者氏名(及び年齢、性別等)、主治医氏名が含まれる。主治医は、通知に含まれるURL等から、システム画面を開き、必要性の有無を確認する。主治医による確認の結果が「必要性有」であれば、救急医療関係者は患者情報を参照できるようになる。救急医療関係者の操作端末が、電話での通話が可能な端末の場合、救急医療関係者端末から自動的に主治医に電話がかかるようにしてもよい。救急病院責任者及び患者家族も同様に救急医療関係者による患者情報へのアクセスの要否を確認することができる。
【0074】
患者が独自に所有する物によって、アクセス要否を判断する場合、患者本人のみが有する(家族が預かっている場合を含む)ICカード、またはQRコード(登録商標)を読み取ることで、救急医療関係者による患者情報へのアクセスの要否を確認するようにしてもよい。具体的には、患者の搬送中の救急車内で、救急医療関係者がICカード、またはQRコード(登録商標)を読み取ることで、患者情報参照の必要性の有無の確認するようにしてもよい。
【0075】
上記とは異なり、救急医療関係者による患者情報へのアクセスの要否を確認するための画面を観察者端末に表示させて、要否確認を行うようにしてもよい。
図12に、本開示の実施例2に係る患者情報管理システムにおいて、救急医療関係者による患者情報へのアクセス要否確認を観察者端末で実行する場合の表示画面の例を示す。救急医療関係者による患者情報へのアクセス要否確認画面61には、患者情報へのアクセス要否の判断対象である患者の氏名61aと、患者情報へアクセスしようとする救急医療関係者の氏名61bが表示される。
【0076】
アクセス要否確認の確認者または確認方法の欄62には、主治医62a、救急病院責任者62b、患者本人62c、患者家族62d、患者本人のみが有する物62e、救急医療関係者本人62fのそれぞれのチェックボックスが表示されており、いずれかのチェックボックスをクリックすることにより確認者または確認方法を決定する。
【0077】
次に、確認ボタン63をクリックすることにより、アクセスの要否の判断に進むことができる。
【0078】
アクセス要否の確認者が主治医の場合、主治医の端末を用いて主治医がアクセスの要否を決定することができる。
【0079】
アクセス要否の確認者が救急病院責任者の場合、例えば、救急病院の救急医療関係者が、救急病院責任者の同意を得て、救急医療関係者の端末を用いてアクセスの要否を決定することができる。
【0080】
アクセス要否の確認者が患者本人または患者家族の場合、例えば、介護士が、患者または患者家族の同意を得て、介護士の端末を用いてアクセスの要否を決定することができる。その際、端末画面上で患者本人もしくは患者家族による手書きのサインを入力させるようにしてもよい。
【0081】
アクセス要否の確認を患者本人のみが有する物を用いて行う場合、例えば、介護士が、患者本人のみが有する物を確認して、介護士の端末を用いてアクセスの要否を決定することができる。
【0082】
上記のように、救急医療関係者以外の者がアクセス要否の確認を行うことが難しい場合は、救急医療関係者本人がアクセス要否の確認を実行するようにしてもよい。
【0083】
ステップS203において、アクセスの必要有り、と判断された場合は、ステップS204において、アクセス許可部21は、救急医療関係者に患者情報へのアクセスを許可する。その後のステップS205及びS206は、
図3に示した実施例1に係る患者情報管理方法の手順を説明するためのフローチャートにおけるステップS104及びS105と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0084】
アクセス許可部21は、救急医療関係者が患者情報にアクセスする必要があると認めた場合には、アクセス許可部21によるアクセス許可から所定時間の間(例えば、48時間)、救急医療関係者に患者情報へのアクセスを許可することが好ましい。あるいはアクセス許可の際、当該救急医療関係者を自動的に観察者に加え、所定の時間経過後、当該救急医療関係者を観察者から自動的に削除することとしてもよい。救急医療関係者は、所定時間の間、患者の処置にあたると考えられるため、患者の処置が完了するまではアクセスの要否判断を不要として患者情報へのアクセスを許可することが好ましい。ただし、別の患者についての情報参照時は、情報参照必要性確認が改めて必要である。
【0085】
ステップS203において、アクセスの必要無し、と判断された場合は、一連の処理を終了する。
【0086】
以上のようにして、救急医療関係者に患者情報へのアクセスを許可する前に、アクセスの必要性を判断することにより、不必要な患者情報へのアクセスを抑制することができる。
【0087】
以上説明したとおり、本開示の実施例に係る患者情報管理装置、患者情報管理方法、及び患者情報管理プログラムによれば、救急医療関係者による患者情報へのアクセスが容易になり、かつ適時なアクセス監視や対応が可能となる。具体的には、主治医等が、当該救急医療関係者にアクセスの目的を確認したり、アクセスを不可にしたりするといった対応が可能となる。
【符号の説明】
【0088】
1 患者情報記憶部
2 制御部
3 通信I/F
4 内部バス
21 アクセス許可部
22 アクセス履歴記録部
23 アクセス履歴通知部
24 アクセス要否判断部
101、102 患者情報管理装置
200 通信ネットワーク
301 観察者端末
401 救急医療関係者端末
1001、1002 患者情報管理システム