(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】太陽電池ストリング及び太陽電池ストリングの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/05 20140101AFI20240226BHJP
【FI】
H01L31/04 570
(21)【出願番号】P 2020069725
(22)【出願日】2020-04-08
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】福田 将典
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0102452(US,A1)
【文献】特開2009-130193(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0125391(US,A1)
【文献】特開2014-086510(JP,A)
【文献】国際公開第2015/152020(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0386164(US,A1)
【文献】中国実用新案第208256682(CN,U)
【文献】国際公開第2014/184982(WO,A1)
【文献】特開2014-103259(JP,A)
【文献】特表2012-525008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
H01L 31/18-31/20
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部がオーバーラップするように互いにシングリング接続される複数の太陽電池セルと、複数の太陽電池セルのうち隣り合う太陽電池セルをシングリング接続する導電性を有する接続部材と、を備える太陽電池ストリングであって、
前記複数の太陽電池セルの各々は、
受光面及び該受光面の裏側に位置する裏面を有する光電変換部と、
前記受光面のうち前記オーバーラップした領域である第一領域に設けられた受光面側集電電極と、
前記受光面の前記第一領域に、前記受光面側集電電極に隣接して設けられ不導体により形成された受光面側支持部と、
前記裏面のうち前記オーバーラップした領域である第二領域に設けられた裏面側集電電極と、
前記裏面の前記第二領域に、前記裏面側集電電極に隣接して設けられ不導体により形成された裏面側支持部と、を備え、
前記受光面に対して平面視した場合において、前記隣り合う太陽電池セルのうち一方の太陽電池セルの前記受光面側集電電極の少なくとも一部と、前記隣り合う太陽電池セルのうち他方の太陽電池セルの前記裏面側集電電極の少なくとも一部とが重なった状態で、前記接続部材を介して接続されるとともに、前記一方の太陽電池セルの前記受光面側支持部の少なくとも一部と、前記他方の太陽電池セルの前記裏面側支持部の少なくとも一部とが重なった状態で当接
しており、
前記受光面側支持部及び前記裏面側支持部を形成する不導体は、樹脂であり、
前記一方の太陽電池セルの前記受光面側支持部の前記少なくとも一部と、前記他方の太陽電池セルの前記裏面側支持部の前記少なくとも一部とが融着している、
太陽電池ストリング。
【請求項2】
前記受光面側集電電極は、前記受光面の第一領域のうち前記受光面側支持部の設けられていない部分にめっき法により形成され、
前記裏面側集電電極は、前記裏面の第二領域のうち前記裏面側支持部の設けられていない部分にめっき法により形成されている、請求項
1に記載の太陽電池ストリング。
【請求項3】
受光面及び該受光面の裏側に位置する裏面を有する光電変換部を準備する工程と、
前記受光面及び裏面に導電層を形成する工程と、
前記受光面に形成した導電層に、該導電層の一部が露出する開口を有する受光面側支持部を不導体により形成する工程と、
前記裏面に形成した導電層に、該導電層の一部が露出する開口を有する裏面側支持部を不導体により形成する工程と、
前記受光面側支持部の開口から露出した前記導電層に、めっき法により受光面側集電電極を形成する工程と、
前記裏面側支持部の開口から露出した前記導電層に、めっき法により裏面側集電電極を形成する工程と、
前記導電層、前記受光面側支持部、前記裏面側支持部、前記受光面側集電電極、及び、前記裏面側集電電極が形成された前記光電変換部を切断することで複数の太陽電池セルを得る工程と、
前記複数の太陽電池セルのうち隣り合う太陽電池セルを端部がオーバーラップするように、導電性を有する接続部材により互いにシングリング接続する工程と、
を含み、
前記受光面側支持部を形成する工程、前記裏面側支持部を形成する工程、前記受光面側集電電極を形成する工程、及び、前記裏面側集電電極を形成する工程は、前記受光面側支持部が前記受光面側集電電極に隣接し、前記裏面側支持部が前記裏面側集電電極に隣接するように行われ、
前記シングリング接続する工程は、受光面に対して平面視した場合において、前記隣り合う太陽電池セルのうち一方の太陽電池セルの前記受光面側集電電極の少なくとも一部と、前記隣り合う太陽電池セルのうち他方の太陽電池セルの前記裏面側集電電極の少なくとも一部とが重なった状態で、前記接続部材を介して接続されるとともに、前記一方の太陽電池セルの前記受光面側支持部の少なくとも一部と、前記他方の太陽電池セルの前記裏面側支持部の少なくとも一部とが重なった状態で当接するように行われる、
太陽電池ストリングの製造方法。
【請求項4】
前記シングリング接続する工程を経た状態で、前記受光面側支持部及び前記受光面側集電電極の前記受光面からの高さが同じであるとともに、前記裏面側支持部及び前記裏面側集電電極の前記裏面からの高さが同じである、請求項
3に記載の太陽電池ストリングの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シングリング接続された複数の太陽電池セルを備える太陽電池ストリング及び該太陽電池ストリングの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の構造を有する太陽電池が提案されている。このような太陽電池として、短冊状である複数の太陽電池セルを、例えば、屋根板を葺くようにして、隣接する太陽電池セルの長辺が互いに重なるように並んだ状態で太陽電池セルの端部同士を接続した太陽電池ストリングを備えたソーラーモジュールがある(特許文献1)。この太陽電池ストリングでは、太陽電池セルを重ねて配置することで、隣接する太陽電池セルの間の隙間を無くすことにより、太陽電池ストリング内における太陽電池セルの充填率を向上して、モジュール効率を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のように太陽電池セルを重ねて配置する太陽電池ストリング、即ち、シングリング接続(shingling connect)してなる太陽電池ストリングでは、隣り合う太陽電池セルは、例えば、導電性材料を用いて接続される。具体的に、一の太陽電池セルの裏面に位置する電極と他の太陽電池セルの受光面に位置する電極との間に設けた導電性を有する接着剤を用いて、これらの電極を接続することで、太陽電池セル間が電気的に接続される。このような太陽電池ストリングでは、電極間のみで太陽電池セル間が物理的に接続されているため、太陽電池セル同士の物理的な接続性が十分でなく、接続部に外力がかかった場合、電極間の導通不良が発生するおそれがあった。
【0005】
本発明は、互いにシングリング接続される複数の太陽電池セルを備える太陽電池ストリングであって、太陽電池セル同士の物理的な接続性を向上させた太陽電池ストリング及び該太陽電池ストリングの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の太陽電池ストリングは、端部がオーバーラップするように互いにシングリング接続される複数の太陽電池セルと、複数の太陽電池セルのうち隣り合う太陽電池セルをシングリング接続する導電性を有する接続部材と、を備える太陽電池ストリングであって、前記複数の太陽電池セルの各々は、受光面及び該受光面の裏側に位置する裏面を有する光電変換部と、前記受光面のうち前記オーバーラップした領域である第一領域に設けられた受光面側集電電極と、前記受光面の前記第一領域に、前記受光面側集電電極に隣接して設けられ不導体により形成された受光面側支持部と、前記裏面のうち前記オーバーラップした領域である第二領域に設けられた裏面側集電電極と、前記裏面の前記第二領域に、前記裏面側集電電極に隣接して設けられ不導体により形成された裏面側支持部と、を備え、前記受光面に対して平面視した場合において、前記隣り合う太陽電池セルのうち一方の太陽電池セルの前記受光面側集電電極の少なくとも一部と、前記隣り合う太陽電池セルのうち他方の太陽電池セルの前記裏面側集電電極の少なくとも一部とが重なった状態で、前記接続部材を介して接続されるとともに、前記一方の太陽電池セルの前記受光面側支持部の少なくとも一部と、前記他方の太陽電池セルの前記裏面側支持部の少なくとも一部とが重なった状態で当接している。
【0007】
かかる構成によれば、太陽電池セル間において、集電電極同士の接続に加えて、集電電極に隣接する支持部同士が当接しているため、太陽電池セルの物理的な接続性を向上できる。
【0008】
また、前記太陽電池ストリングでは、前記受光面側支持部及び前記裏面側支持部を形成する不導体は、樹脂であり、前記一方の太陽電池セルの前記受光面側支持部の前記少なくとも一部と、前記他方の太陽電池セルの前記裏面側支持部の前記少なくとも一部とが融着していてもよい。
【0009】
かかる構成によれば、集電電極に隣接する支持部同士が融着しているため、太陽電池セルの物理的な接続性をさらに向上できる。
【0010】
また、前記太陽電池ストリングでは、前記受光面側集電電極は、前記受光面の第一領域のうち前記受光面側支持部の設けられていない部分にめっき法により形成され、前記裏面側集電電極は、前記裏面の第二領域のうち前記裏面側支持部の設けられていない部分にめっき法により形成されていてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、支持部が、めっき法により集電電極を形成する際のマスクと、集電電極同士の物理的接続の補強材とを兼ねることができる。
【0012】
本発明の太陽電池ストリングの製造方法は、受光面及び該受光面の裏側に位置する裏面を有する光電変換部を準備する工程と、前記受光面及び裏面に導電層を形成する工程と、前記受光面に形成した導電層に、該導電層の一部が露出する開口を有する受光面側支持部を不導体により形成する工程と、前記裏面に形成した導電層に、該導電層の一部が露出する開口を有する裏面側支持部を不導体により形成する工程と、前記受光面側支持部の開口から露出した前記導電層に、めっき法により受光面側集電電極を形成する工程と、前記裏面側支持部の開口から露出した前記導電層に、めっき法により裏面側集電電極を形成する工程と、前記導電層、前記受光面側支持部、前記裏面側支持部、前記受光面側集電電極、及び、前記裏面側集電電極が形成された前記光電変換部を切断することで複数の太陽電池セルを得る工程と、前記複数の太陽電池セルのうち隣り合う太陽電池セルを端部がオーバーラップするように、導電性を有する接続部材により互いにシングリング接続する工程と、を含み、前記受光面側支持部を形成する工程、前記裏面側支持部を形成する工程、前記受光面側集電電極を形成する工程、及び、前記裏面側集電電極を形成する工程は、前記受光面側支持部が前記受光面側集電電極に隣接し、前記裏面側支持部が前記裏面側集電電極に隣接するように行われ、前記シングリング接続する工程は、受光面に対して平面視した場合において、前記隣り合う太陽電池セルのうち一方の太陽電池セルの前記受光面側集電電極の少なくとも一部と、前記隣り合う太陽電池セルのうち他方の太陽電池セルの前記裏面側集電電極の少なくとも一部とが重なった状態で、前記接続部材を介して接続されるとともに、前記一方の太陽電池セルの前記受光面側支持部の少なくとも一部と、前記他方の太陽電池セルの前記裏面側支持部の少なくとも一部とが重なった状態で当接するように行われる。
【0013】
かかる構成によれば、太陽電池セル間において、集電電極同士の接続に加えて、集電電極に隣接する支持部同士が当接していることにより、太陽電池セルの物理的な接続性を向上させた太陽電池ストリングを製造できる。
【0014】
また、前記太陽電池ストリングの製造方法では、前記シングリング接続する工程を経た状態で、前記受光面側支持部及び前記受光面側集電電極の前記受光面からの高さが同じであるとともに、前記裏面側支持部及び前記裏面側集電電極の前記裏面からの高さが同じであってもよい。
【0015】
かかる構成によれば、シングリング接続する工程を経た状態で、集電電極とこれに隣接する支持部との高さが同じであるため、集電電極同士を当接させた状態で、支持部同士を確実に当接させることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上より、本発明によれば、互いにシングリング接続される複数の太陽電池セルを備える太陽電池ストリングであって、太陽電池セル同士の物理的な接続性を向上させた太陽電池ストリング及び該太陽電池ストリングの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る太陽電池ストリングの模式断面図である。
【
図2】
図2は、前記太陽電池ストリングに含まれる太陽電池セルの模式図であって、
図2(a)は太陽電池セルの平面図であり、
図2(b)は太陽電池セルの底面図である。
【
図3】
図3は、
図2(a)のIII-III位置における断面図である。
【
図4】
図4は、前記太陽電池ストリングの材料となる集合セルの光電変換部を示す模式図であって、
図4(a)は光電変換部の平面図であり、
図4(b)は
図4(a)のIV-IV位置における拡大断面図である。
【
図5】
図5は、前記光電変換部に透明導電層が形成された状態を示す模式図であって、
図5(a)は透明導電層が形成された光電変換部の平面図であり、
図5(b)は透明導電層が形成された光電変換部の底面図である。
【
図6】
図6は、
図5(a)のVI-VI位置における拡大断面図である。
【
図7】
図7は、前記光電変換部に透明絶縁層が形成された状態を示す模式図であって、
図7(a)は透明絶縁層が形成された光電変換部の平面図であり、
図7(b)は透明絶縁層が形成された光電変換部の底面図である。
【
図8】
図8は、
図7(a)のVIII-VIII位置における拡大断面図である。
【
図9】
図9は、前記集合セルの模式図であって、
図9(a)は集合セルの平面図であり、
図9(b)は集合セルの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明につき、一実施形態を取り上げて、図面とともに以下説明を行う。なお、以下の説明における「太陽電池セル」とは、「太陽電池ストリング」を構成する個々の板状部分を指す名称である。また、図面は本実施形態の構成を略示したものであって設計図面とは異なる。このため、図中の寸法関係は必ずしも正しくない点がある。
【0019】
本実施形態の太陽電池ストリング101は、
図1に示すように、端部がオーバーラップするように互いにシングリング接続される複数の太陽電池セル1と、複数の太陽電池セル1,1のうち隣り合う太陽電池セル1,1をシングリング接続する接続部材6と、を有する。なお、シングリング接続とは、隣接する太陽電池セル1、1のうち一方の太陽電池セル1aの第一集電電極41と他方の太陽電池セル1bの第二集電電極42とが重なった状態で、隣接する太陽電池セル1、1を接続することである。
【0020】
複数の太陽電池セル1の各々は、
図2(a)、
図2(b)、及び
図3にも示すように、光電変換部2と、光電変換部2の主面20にそれぞれ設けられた第一バスバー電極(受光面側集電電極)441、受光面側支持部51、第二バスバー電極(裏面側集電電極)442、及び裏面側支持部52と、を備える。本実施形態の太陽電池セル1は、透明導電層3等を備える。
【0021】
本実施形態の太陽電池セル1では、各層は、
図1及び
図3におけるz軸方向において積層されている。また、本実施形態の太陽電池セル1は、平面視で短冊状(略長方形状)である(
図2(a)及び
図2(b)参照)。
【0022】
光電変換部2は、例えば、板状の部材である。また、光電変換部2は、一対の主面20として、受光面201及び該受光面201の裏側に位置する裏面202を有する。
【0023】
本実施形態の光電変換部2は、導電型結晶シリコン基板21(以下、「シリコン基板21」とも称する。)を有する(
図3参照)。また、光電変換部2は、シリコン基板21と導電型シリコン系薄膜22、23との間に設けられた真性シリコン系薄膜24、25も有する。
【0024】
また、本実施形態の光電変換部2では、n型単結晶シリコン基板であるシリコン基板21の第一主面211(
図3におけるシリコン基板21の上面)には、p型の第一導電型シリコン系薄膜22が設けられている。シリコン基板21の第二主面212(
図3におけるシリコン基板21の下面)には、n型の第二導電型シリコン系薄膜23が設けられている。第一導電型シリコン系薄膜22及び第二導電型シリコン系薄膜23の膜厚は、それぞれ、2nm以上20nm以下である。
【0025】
透明導電層3は、光電変換部2の受光面201側に設けられる第一透明導電層31と、光電変換部2の裏面202側に設けられる第二透明導電層32と、を含む。透明導電層3の材料は、例えば、ITO(酸化インジウム錫)等の導電性金属酸化物である。透明導電層3の膜厚は、例えば、20nm以上120nm以下である。
【0026】
集電電極4は、パターン状の金属電極である。本実施形態の集電電極4は、めっき層40で構成されている。また、本実施形態の集電電極4は、光電変換部2の受光面201(
図3における光電変換部2の上面)に設けられる第一集電電極41と、裏面202(
図3における光電変換部2の下面)に設けられる第二集電電極42と、を有する。
【0027】
例えば、集電電極4は、互いに平行に延びる複数のフィンガー電極43と、フィンガー電極43と交差する(具体的には、直交する)ように延びるバスバー電極44と、を有する(
図2(a)及び
図2(b)参照)。本実施形態の集電電極4では、フィンガー電極43及びバスバー電極44が、パターン電極を構成している。集電電極4の厚みは、例えば、10μm以上30μm以下である。第二集電電極42の形状は、例えば、第一集電電極41の形状と同じである。なお、第二集電電極42の形状は、第一集電電極41の形状と異なっていてもよい。
【0028】
第一集電電極41は、光電変換部2の受光面201のうち他の太陽電池セル1とオーバーラップした領域である第一領域201αに設けられた第一バスバー電極(受光面側集電電極)441を含む(
図1参照)。第二集電電極42は、光電変換部2の裏面202のうち他の太陽電池セル1とオーバーラップした領域である第二領域202αに設けられた第二バスバー電極(裏面側集電電極)442を含む。
【0029】
第一バスバー電極441は、光電変換部2の受光面201の第一領域201αのうち受光面側支持部51の設けられていない部分にめっき法により形成されている。また、第二バスバー電極442は、光電変換部2の裏面202の第二領域202αのうち裏面側支持部52の設けられていない部分にめっき法により形成されている。
【0030】
透明絶縁層5は、めっき層40を形成する際に、透明絶縁層5が設けられた部分にめっき層40を形成させないことにより、マスクとして機能する。また、透明絶縁層5は、太陽電池セル1の表面の保護層としても機能する。さらに、透明絶縁層5は、部分的に、集電電極4同士の物理的接続の補強材としても機能する。
【0031】
透明絶縁層5には、集電電極4の形成される領域を含む開口50が設けられている(
図3参照)。具体的に、透明絶縁層5には、透明導電層3の一部を露出する開口50が設けられている。なお、透明絶縁層5は、
図3におけるx軸方向における透明導電層3の両端部を被覆している。
【0032】
また、透明絶縁層5は、光電変換部2の受光面201の第一領域201αに、第一バスバー電極(受光面側集電電極)441に隣接して設けられ不導体により形成された受光面側支持部51を含む(
図1参照)。さらに、透明絶縁層5は、光電変換部2の裏面202の第二領域202αに、第二バスバー電極(裏面側集電電極)442に隣接して設けられ不導体により形成された裏面側支持部52と、を含む。透明絶縁層5のうち受光面側支持部51や裏面側支持部52が、集電電極4同士の物理的接続の補強材としても機能する。
【0033】
透明絶縁層5は、不導体により形成されている。本実施形態の透明絶縁層5を形成する不導体は、樹脂である。具体的に、受光面側支持部51及び裏面側支持部52を形成する不導体は、樹脂である。この樹脂は、光透過性を有することが好ましく、また、樹脂熱硬化性又は光硬化性を有することが好ましい。透明絶縁層5の厚みは、例えば、5μm以上30μm以下であることが好ましく、8μm以上20μm以下であることがより好ましい。なお、透明絶縁層5の厚みは、例えば、厚みが最も大きい場所における透明導電層3の表面から透明絶縁層5の表面までの距離とし、シリコン基板表面に微細凹凸構造を有する場合には、凹凸の谷部の部分から透明絶縁層5の表面までの距離とする。
【0034】
受光面側支持部51は、例えば、x軸方向における両側で第一バスバー電極441に隣接している。また、受光面側支持部51は、例えば、第一バスバー電極441に接触した状態で隣接している。
【0035】
裏面側支持部52は、例えば、x軸方向における両側で第二バスバー電極442に隣接している。また、裏面側支持部52は、例えば、第二バスバー電極442に接触した状態で隣接している。
【0036】
接続部材6は、隣り合う太陽電池セル1,1をシングリング接続する際に、電極間を接続する部材である(
図1参照)。即ち、接続部材6は、隣接する太陽電池セル1,1の集電電極4同士を接続する。この接続部材6は、導電性を有する。よって、隣り合う太陽電池セル1,1の集電電極4同士が電気的に接続される。例えば、接続部材6は、金属微粒子が混合されたことにより導電性を有する熱硬化性樹脂や金属ペーストであり、具体的には、銀ペーストである。また、具体的に、接続部材6は、太陽電池セル1aの第一バスバー電極441と太陽電池セル1bの第二バスバー電極442とを接続する。
【0037】
以上の構成の太陽電池ストリング101では、受光面201に対して平面視した場合において、隣り合う太陽電池セル1,1のうち一方の太陽電池セル1aの第一バスバー電極441の少なくとも一部と、隣り合う太陽電池セル1,1のうち他方の太陽電池セル1bの第二バスバー電極442の少なくとも一部とが重なった状態で、接続部材6を介して接続されるとともに、一方の太陽電池セル1aの受光面側支持部51の少なくとも一部と、他方の太陽電池セル1bの裏面側支持部52の少なくとも一部とが重なった状態で当接している。本実施形態の太陽電池ストリング101では、受光面201に対して平面視した場合において、一方の太陽電池セル1aの第一バスバー電極441の全部と、他方の太陽電池セル1bの第二バスバー電極442の全部とが重なった状態で、接続部材6を介して接続されるとともに、一方の太陽電池セル1aの受光面側支持部51の全部と、他方の太陽電池セル1bの裏面側支持部52の全部とが重なった状態で当接している。また、本実施形態の太陽電池ストリング101では、一方の太陽電池セル1aの受光面側支持部51の少なくとも一部(例えば、全部)と、他方の太陽電池セル1bの裏面側支持部52の少なくとも一部(例えば、全部)とが融着している。
【0038】
さらに、本実施形態の太陽電池ストリング101では、受光面側支持部51及び受光面側集電電極441の受光面201からの高さが同じである。具体的に、受光面側支持部51の光電変換部2と反対側に位置する表面及び受光面側集電電極441の光電変換部2と反対側に位置する表面の受光面201からの高さが同じである。また、裏面側支持部52及び裏面側集電電極442の裏面202からの高さが同じである。具体的に、裏面側支持部52の光電変換部2と反対側に位置する表面及び裏面側集電電極442の光電変換部2と反対側に位置する表面の裏面202からの高さが同じである。
【0039】
なお、受光面側支持部51の光電変換部2と反対側に位置する表面及び受光面側集電電極441の光電変換部2と反対側に位置する表面の受光面201からの高さが同じであるとは、受光面側支持部51のこの表面の受光面201からの高さが、受光面側集電電極441のこの表面の受光面201からの高さと略同じである場合も含み、例えば、受光面側支持部51のこの表面の裏面202からの高さが、受光面側集電電極441のこの表面の裏面202からの高さよりも5μm程度まで低い場合も含む。裏面側支持部52及び裏面側集電電極442の高さの関係についても同様である。
【0040】
太陽電池ストリング101は、太陽電池の集合セル100から製造される。太陽電池の集合セル100(以下、単に「集合セル100」とも称する。)は、
図9(a)、
図9(b)、及び
図10に示すように、それぞれが分割されることで複数の太陽電池セル1となる複数の小区画10が集合した状態の集合セルである。複数の小区画10の各々は、集合セル100の一の辺100aに略平行な直線である画定線11により画定される。また、集合セル100では、画定線11がy軸方向に沿って延びるとともに、x軸方向に等間隔をあけて配置されている。
【0041】
太陽電池ストリング101の製造方法は、
図4(a)~
図10に示すように、受光面201及び該受光面201の裏側に位置する裏面202を有する光電変換部2を準備する工程と、受光面201及び裏面202に導電層として透明導電層3を形成する工程と、受光面201に形成した透明導電層3に、該透明導電層3の一部が露出する開口50を有する受光面側支持部51を不導体により形成する工程と、裏面202に形成した透明導電層3に、該透明導電層3の一部が露出する開口50を有する裏面側支持部52を不導体により形成する工程と、受光面側支持部51の開口50から露出した透明導電層3に、めっき法により受光面側集電電極として第一バスバー電極441を形成する工程と、裏面側支持部52の開口50から露出した透明導電層3に、めっき法により裏面側集電電極として第二バスバー電極442を形成する工程と、を含む。また、この製造方法は、透明導電層3、受光面側支持部51、裏面側支持部52、第一バスバー電極441、及び、第二バスバー電極442が形成された光電変換部2を切断することで複数の太陽電池セル1を得る工程と、複数の太陽電池セル1のうち隣り合う太陽電池セル1,1を端部がオーバーラップするように、導電性を有する接続部材6により互いにシングリング接続する工程と、を含む。
【0042】
この製造方法において、受光面側支持部51を形成する工程、裏面側支持部52を形成する工程、第一バスバー電極441を形成する工程、及び、第二バスバー電極442を形成する工程は、受光面側支持部51が第一バスバー電極441に隣接し、裏面側支持部52が第二バスバー電極442に隣接するように行われる。また、シングリング接続する工程は、受光面201に対して平面視した場合において、隣り合う太陽電池セル1,1のうち一方の太陽電池セル1aの第一バスバー電極441の少なくとも一部と、隣り合う太陽電池セル1,1のうち他方の太陽電池セル1bの第二バスバー電極442の少なくとも一部とが重なった状態で、接続部材6を介して接続されるとともに、一方の太陽電池セル1aの受光面側支持部51の少なくとも一部と、他方の太陽電池セル1bの裏面側支持部52の少なくとも一部とが重なった状態で当接するように行われる。
【0043】
また、本実施形態の製造方法では、シングリング接続する工程を経た状態で、受光面側支持部51及び第一バスバー電極441の受光面201からの高さが同じとなるとともに、裏面側支持部52及び第二バスバー電極442の裏面202からの高さが同じになるように行われる。以下、各工程について具体的に説明する。
【0044】
例えば、光電変換部2を準備する工程は、光電変換部2を用意する工程である。この工程は、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、シリコン基板21上にシリコン系薄膜22、23を形成する工程を有する。具体的に、光電変換部2を準備する工程は、シリコン系薄膜22、23を形成する工程に加えて、シリコン系薄膜24、25を形成する工程を有する。シリコン系薄膜22、23、24、25は、例えば、プラズマCVD法により製膜される。より具体的には、光電変換部2を準備する工程では、n型単結晶シリコン基板であるシリコン基板21の受光面201に、真性シリコン系薄膜24、および、p型シリコン系薄膜22がシリコン基板21側からこの順で、プラズマCVD法により製膜されるとともに、裏面202に、真性シリコン系薄膜25、および、n型シリコン系薄膜23がシリコン基板21側からこの順で、プラズマCVD法により製膜される。
【0045】
透明導電層3を形成する工程は、
図5(a)、
図5(b)、及び、
図6に示すように、光電変換部2の受光面201に第一透明導電層31を形成する工程と、光電変換部2の裏面202に第二透明導電層32を形成する工程と、を有する。具体的に、透明導電層3を形成する工程は、第一導電型シリコン系薄膜22のシリコン基板21側(シリコン基板21と近い側)と反対側に、第一透明導電層31を形成する工程と、第二導電型シリコン系薄膜23のシリコン基板21側(シリコン基板21と近い側)と反対側に、第二透明導電層32を形成する工程と、を有する(
図6参照)。
【0046】
透明導電層3がパターニングして形成されることにより、透明導電層3は、y軸方向に延びる矩形状に形成される(
図5(a)及び
図5(b)参照)。また、透明導電層3は、x軸方向において互いに間隔をあけて配置されるよう形成される。透明導電層3は、例えば、その材料としては、酸化インジウム錫(ITO)や酸化亜鉛(ZnO)等の導電性金属酸化物であり、MOCVD法やスパッタ法により製膜される。
【0047】
本実施形態の製造方法では、受光面側支持部51及び裏面側支持部52を形成する工程は、透明絶縁層5を形成する工程に含まれる。透明絶縁層5は、不導体(例えば、樹脂)により形成される。具体的に、透明絶縁層5を形成する工程は、
図7(a)、
図7(b)、及び、
図8に示すように、樹脂溶液を透明導電層3上に印刷する工程と、印刷した樹脂層に開口50を設けることで透明絶縁層5を形成する工程と、を有する。この樹脂溶液は、例えば、アクリル系樹脂溶液である。このアクリル系樹脂溶液は、室温(25℃)における溶液粘度が70Pa・s以上120Pa・s以下となるよう調整されている。透明絶縁層5の厚みは、例えば、10~20μmである。
【0048】
なお、透明絶縁層5を構成する樹脂材料が、熱硬化性又は光硬化性を有する材料である場合、透明絶縁層5を形成する工程において、スクリーン印刷等により透明導電層3上に樹脂溶液を印刷した後に、集電電極4を形成する工程の前に透明絶縁層5を硬化することが好ましい。
【0049】
透明絶縁層5を形成する工程では、透明絶縁層5は、y軸方向に延びる矩形状に形成されている。また、透明絶縁層5は、x軸方向において互いに間隔(開口50)をあけて配置されるよう形成される。
【0050】
透明絶縁層5は、矩形状の透明導電層3の領域をほぼ覆うとともに、透明導電層3の一部を露出する開口50を有するように形成される。より具体的には、開口50は、受光面201の第一領域201αにy軸方向に延びる矩形状の領域と、その矩形領域の一の長辺に連結するとともに、その矩形領域の短辺に略平行な多数の幅細の開口領域とからなる、くしば状の領域である。ここで、第一領域201αの長手方向(y軸方向)に延びる矩形状の領域は、のちに第一バスバー電極441が形成される。また、多数の幅細の開口領域は、のちに第一バスバー電極441に接続されるフィンガー電極が形成される。透明絶縁層5を形成する工程により、受光面201の第一領域201αに、受光面201に形成された透明導電層3の一部が露出する開口50を有する受光面側支持部51が不導体により形成される。また、裏面202の第二領域202αに、裏面202に形成された透明導電層3の一部が露出する開口50を有する裏面側支持部52が不導体により形成される。
【0051】
本実施形態の製造方法では、第一バスバー電極441及び第二バスバー電極442を形成する工程は、集電電極4を形成する工程に含まれる。集電電極4を形成する工程は、透明絶縁層5の開口50下に露出した透明導電層3上に、めっき法によりめっき層40を形成する工程を有する(
図9(a)、
図9(b)、及び
図10参照)。この工程により、第一バスバー電極441は、受光面側支持部51に隣接する位置に形成される。また、第二バスバー電極442は、裏面側支持部52に隣接する位置に形成される。また、第一バスバー電極441は、受光面201の第一領域201αのうち透明導電層3が設けられており、かつ、受光面側支持部51の設けられていない部分にめっき法により形成される。さらに、第二バスバー電極442は、裏面202の第二領域202αのうち透明導電層3が設けられており、かつ、裏面側支持部52の設けられていない部分にめっき法により形成される。
【0052】
なお、本実施形態の製造方法では、第一バスバー電極441の受光面201からの高さが受光面側支持部51の受光面201からの高さより低くなるよう、第一バスバー電極441は形成される。また、第二バスバー電極442の裏面202からの高さが裏面側支持部52の裏面202からの高さより低くなるよう、第二バスバー電極442は形成される。
【0053】
具体的に、めっき層40を形成する工程は、透明絶縁層5の開口50下に露出した透明導電層3上に、電解めっきにより第一めっき層を析出させる工程と、第一めっき層上に電解めっきにより第二めっき層を析出させる工程と、を有する。第一めっき層の析出の際には、例えば、Niが用いられ、第二めっき層の析出の際には、例えば、Cuが用いられる。なお、めっき層40の形成直後の高さは、例えば、5~10μmである。
【0054】
光電変換部2を切断することで複数の太陽電池セル1を得る工程は、集合セル100を切断することにより、太陽電池セル1を製造する工程である。具体的に、太陽電池セル1を得る工程は、画定線11にレーザーを当てることにより、集合セル100を切断する工程を含む。
【0055】
シングリング接続する工程は、例えば、一方の太陽電池セル1aの第一バスバー電極441の少なくとも一部、及び、他方の太陽電池セル1bの第二バスバー電極442の少なくとも一部に接続部材6を塗布した後、この第一バスバー電極441を第二バスバー電極442に重ねることで行われる。この工程は、受光面201に対して平面視した場合において、隣り合う太陽電池セル1,1のうち一方の太陽電池セル1aの第一バスバー電極441の少なくとも一部と、隣り合う太陽電池セル1,1のうち他方の太陽電池セル1bの第二バスバー電極442の少なくとも一部とが重なった状態で、接続部材6を介して接続されるとともに、一方の太陽電池セル1aの受光面側支持部51の少なくとも一部と、他方の太陽電池セル1bの裏面側支持部52の少なくとも一部とが重なった状態で当接するように行われる。より具体的に、一方の太陽電池セル1aの受光面側支持部51の前記少なくとも一部と、他方の太陽電池セル1bの裏面側支持部52の前記少なくとも一部とは、融着している。
【0056】
本実施形態のシングリング接続する工程は、一方の太陽電池セル1aの第一バスバー電極441の表面の全部、及び、他方の太陽電池セル1bの第二バスバー電極442の表面の全部に接続部材6として銀ペーストを塗布した後、塗布された銀ペースト同士を当接した状態で加熱し、一方の太陽電池セル1aの第一バスバー電極441と他方の太陽電池セル1bの第二バスバー電極442とを当接し、且つ、一方の太陽電池セル1aの受光面側支持部51と他方の太陽電池セル1bの裏面側支持部52とを当接した状態で加熱状態を維持して、太陽電池セル1a、1bの重なり方向(z軸方向)において圧力をかけることで、第一バスバー電極441と第二バスバー電極442とを接続する工程を含む。なお、この加熱状態において圧力をかける工程により、受光面側支持部51や裏面側支持部52を構成する樹脂が溶融し、受光面側支持部51と裏面側支持部52とが融着して一体化する。この加熱温度は、受光面側支持部51や裏面側支持部52を構成する樹脂に応じて設定すればよい。
【0057】
さらに、シングリング接続する工程の際に、受光面側支持部51や裏面側支持部52を構成する樹脂が加熱溶融されて、受光面側支持部51の表面の受光面201からの高さが第一バスバー電極441の表面の受光面201からの高さと揃い、裏面側支持部52の表面の裏面202からの高さが第二バスバー電極442の表面の裏面202からの高さと揃う。そのため、シングリング接続する工程を経た状態で、受光面側支持部51及び第一バスバー電極441の受光面201からの高さが同じとなるとともに、裏面側支持部52及び第二バスバー電極442の裏面202からの高さが同じとなる。
【0058】
以上の太陽電池ストリング101によれば、太陽電池セル1,1間において、第一バスバー電極441と第二バスバー電極442との接続に加えて、第一バスバー電極441や第二バスバー電極442に隣接する受光面側支持部51と裏面側支持部52とが当接しているため、太陽電池セル1,1の物理的な接続面積を、第一バスバー電極441及び第二バスバー電極442だけで接続している構成に比べて大きくすることができる。よって、太陽電池セル1,1の物理的な接続性を向上できる。
【0059】
本実施形態の太陽電池ストリング101によれば、受光面側支持部51や裏面側支持部52が樹脂で構成され、第一バスバー電極441や第二バスバー電極442に隣接する受光面側支持部51と裏面側支持部52とが融着しているため、太陽電池セル1,1の物理的な接続性をさらに向上できる。
【0060】
また、本実施形態の太陽電池ストリング101によれば、第一バスバー電極441や第二バスバー電極442が、受光面201や裏面202のうち受光面側支持部51や裏面側支持部52の設けられていない部分にめっき法により形成されているため、第二バスバー電極442は、めっき法により第一バスバー電極441や第二バスバー電極442を形成する際のマスクと、第一バスバー電極441と第二バスバー電極442との物理的接続の補強材とを兼ねることができる。
【0061】
以上の太陽電池ストリング101の製造方法によれば、太陽電池セル1,1間において、第一バスバー電極441と第二バスバー電極442との接続に加えて、第一バスバー電極441や第二バスバー電極442に隣接する受光面側支持部51と裏面側支持部52とが当接していることにより、太陽電池セル1,1の物理的な接続性を向上させた太陽電池ストリング101を製造できる。
【0062】
また、本実施形態の太陽電池ストリング101の製造方法によれば、シングリング接続する工程を経た状態で、第一バスバー電極441や第二バスバー電極442とこれに隣接する受光面側支持部51や裏面側支持部52との高さが同じであるため、第一バスバー電極441と第二バスバー電極442とを当接させた状態で、受光面側支持部51と裏面側支持部52とを確実に当接させることができる。
【0063】
尚、本発明の太陽電池ストリングや太陽電池ストリングの製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0064】
上記実施形態の太陽電池ストリング101では、受光面側支持部51及び第一バスバー電極441の受光面201からの高さが同じであったが、異なってもよい。裏面側支持部52及び第二バスバー電極442の裏面202からの高さも同様に、異なってもよい。この場合、例えば、受光面側支持部51の受光面201からの高さが、第一バスバー電極441の受光面201からの高さよりも高いことが考えられる。この構成では、受光面側支持部51と裏面側支持部52とが当接した状態で第一バスバー電極441と第二バスバー電極442との間に生じる隙間を、接続部材6により埋めた上で、第一バスバー電極441と第二バスバー電極442とを接続部材6を用いて接続することが考えられる。
【0065】
また、上記実施形態の太陽電池ストリング101では、第一バスバー電極441の全部と第二バスバー電極442の全部とが接続していたが、第一バスバー電極441や第二バスバー電極442の一部同士が接続していてもよい。さらに、受光面側支持部51の全部と裏面側支持部52の全部とが接続していたが、受光面側支持部51や裏面側支持部52の一部同士が接続していてもよい。
【0066】
太陽電池セル1を構成する各層の材料や形状は上記実施形態のものに限らない。例えば、第一バスバー電極441や第二バスバー電極442のめっき層40は、二層構造であったが、Cuからなる第二めっき層の上に、電解めっきや無電解めっき(置換めっきを含む)により形成された第三めっき層が設けられてもよい。また、第一バスバー電極441や第二バスバー電極442は、めっき層40に加えて、めっき法以外で形成される電極層を含んでもよい。なお、第一バスバー電極441や第二バスバー電極442は、めっき層40を含まなくてもよい。例えば、第一バスバー電極441や第二バスバー電極442は、銀ペーストを焼成して形成される銀製の電極であることが考えられる。
【0067】
受光面側支持部51は、x軸方向における両側で第一バスバー電極441に隣接していたが、x軸方向における一方側で第一バスバー電極441に隣接してもよい。また、受光面側支持部51は、第一バスバー電極441に接触した状態で隣接していたが、第一バスバー電極441に離間した状態で(隙間をあけた状態で)隣接していてもよい。裏面側支持部52及び第二バスバー電極442についても同様である。
【0068】
例えば、シングリング接続前の太陽電池セル1において、受光面側支持部51や裏面側支持部52が第一バスバー電極441や第二バスバー電極442と離間した状態で隣接し、且つ、受光面側支持部51や裏面側支持部52の厚みが薄い場合、シングリング接続をする工程の際に、太陽電池セル1,1の加熱状態での圧着を行ったとしても、受光面側支持部51や裏面側支持部52を構成する樹脂が少ない。そのため、第一バスバー電極441と受光面側支持部51との間や、第二バスバー電極442と裏面側支持部52との間に隙間が生じたままとなることが考えられる。
【符号の説明】
【0069】
1、1a、1b…太陽電池セル、2…光電変換部、3…透明導電層、4…集電電極、5…透明絶縁層、6…接続部材、10…小区画、11…画定線、20…主面、21…導電型結晶シリコン基板(シリコン基板)、22…第一導電型シリコン系薄膜(導電型シリコン系薄膜)、23…第二導電型シリコン系薄膜(導電型シリコン系薄膜)、24…真性シリコン系薄膜、25…真性シリコン系薄膜、31…第一透明導電層、32…第二透明導電層、40…めっき層、41…第一集電電極、42…第二集電電極、43…フィンガー電極、44…バスバー電極、50…開口、51…受光面側支持部、52…裏面側支持部、100…集合セル、100a…辺、101…太陽電池ストリング、201…受光面、201α…第一領域、202…裏面、202α…第二領域、211…第一主面、212…第二主面、441…第一バスバー電極(受光面側集電電極)、442…第二バスバー電極(裏面側集電電極)