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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】自立袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/16 20060101AFI20240226BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
B65D30/16 A
B65D33/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020071159
(22)【出願日】2020-04-10
(65)【公開番号】P2021167209
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】中川 みなみ
(72)【発明者】
【氏名】渕田 泰司
(72)【発明者】
【氏名】豊島 幸輔
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-056617(JP,A)
【文献】特開平11-236052(JP,A)
【文献】特開2016-011132(JP,A)
【文献】特開2001-018990(JP,A)
【文献】実開昭56-024643(JP,U)
【文献】実開昭60-035066(JP,U)
【文献】特表2016-537264(JP,A)
【文献】実公昭54-040326(JP,Y2)
【文献】実開昭60-010522(JP,U)
【文献】特開2007-168204(JP,A)
【文献】特開2007-021923(JP,A)
【文献】特開2002-362579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00-33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも外層と、ヒートシール層と、が積層された複合フィルムから、前記ヒートシール層が互いに熱融着されて形成される自立袋であって、
前記自立袋は、胴部と、底部と、を備えており、
前記底部は、前記底部を形成する底材が、前記胴部の内部に折り込まれた凸型形状を有し、
前記凸型形状の凸部の頂上に沿って前記自立袋の幅方向に延びる、少なくとも1本のハーフカットを有
前記ハーフカットが、前記複合フィルムの前記外層側から施されており、かつ前記ヒートシール層に到達していない、
自立袋。
【請求項2】
前記ハーフカットは、前記底部の幅全体に施されている、請求項1に記載の自立袋。
【請求項3】
前記凸型形状は、逆V字形である、請求項1又は2に記載の自立袋。
【請求項4】
前記胴部と前記底部とは、連続した前記複合フィルムの折り返しにより形成されている、請求項1~いずれか1項に記載の自立袋。
【請求項5】
前記ハーフカットは、前記外層のみに施されている、請求項1~いずれか1項に記載の自立袋。
【請求項6】
前記外層と、前記ヒートシール層との間に、中間層を有し、
前記中間層は、繊維構造体である、請求項1~いずれか1項に記載の自立袋。
【請求項7】
前記繊維構造体は、紙、不織布、及び織布からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項に記載の自立袋。
【請求項8】
前記ハーフカットは、前記複合フィルムの前記外層を通過して、前記中間層の略中心にまで到達している、請求項6又は7に記載の自立袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立袋に関する。更に詳しくは、内容物の必要量を充填することができ、内容物を排出後の自立性が維持された、自立袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物を充填した包装袋は、剛性が不足していることから、内容物が減少すると、側面が折れ曲がる等の変形により、自立性に問題が生じる場合があった。
【0003】
これに対して、特許文献1においては、袋の側面に、粘着剤を塗布した補強材を貼着することによって、自立袋の自立性を向上させる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-238796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された袋は、袋本体となる材料とは別に、補強材が必要となる。
【0006】
また、補強材により自立性は改善されるものの、自立性を付与するために剛性も高くなる。その結果、内容物を充填する際に袋が膨らみづらくなり、必要量の内容物が充填困難な状態となっていた。
【0007】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、袋本体となる材料とは別に補強材を必要とせず、内容物の必要量を容易に充填することができ、使用時に内容物が減少しても自立性を維持できる自立袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。そして、自立袋の底部に、ハーフカット加工を施せば、必要量の内容物を充填できるとともに、内容物を排出した後も自立性を維持できる自立袋が実現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
【0009】
《態様1》
少なくとも外層と、ヒートシール層と、が積層された複合フィルムから、前記ヒートシール層が互いに熱融着されて形成される自立袋であって、
前記自立袋は、胴部と、底部と、を備えており、
前記底部は、前記底部を形成する底材が、前記胴部の内部に折り込まれた凸型形状を有し、
前記凸型形状の凸部の頂上に沿って前記自立袋の幅方向に延びる、少なくとも1本のハーフカットを有する、
自立袋。
《態様2》
前記ハーフカットは、前記複合フィルムの前記外層側から施されている、態様1に記載の自立袋。
《態様3》
前記ハーフカットは、前記底部の幅全体に施されている、態様1又は2に記載の自立袋。
《態様4》
前記ハーフカットは、前記外層のみに施されている、態様1~3いずれかに記載の自立袋。
《態様5》
前記凸型形状は、逆V字形である、態様1~4いずれかに記載の自立袋。
《態様6》
前記胴部と前記底部とは、連続した前記複合フィルムの折り返しにより形成されている、態様1~5いずれかに記載の自立袋。
《態様7》
前記外層と、前記ヒートシール層との間に、中間層を有し、
前記中間層は、繊維構造体である、態様1~6いずれかに記載の自立袋。
《態様8》
前記繊維構造体は、紙、不織布、及び織布からなる群より選ばれる少なくとも1種である、態様7に記載の自立袋。
【発明の効果】
【0010】
本発明の自立袋は、内容物を充填する際には袋が膨らみ易いことから、必要量の内容物の充填を容易に実施することができる。また、保形性を有するため、内容物を使用していく際には、その自立性を維持することができる。
【0011】
また、本発明の自立袋は、保形性が向上していることから、袋本体となる材料とは別に補強材を準備する必要がない。したがって、自立性を付与するための後加工が不要となり、袋の通常の製造工程のみで、自立性を有する袋を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る自立袋の展開図である。
図2】本発明の一実施形態に係る自立袋を構成する複合フィルムの断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る自立袋を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
《自立袋》
本発明の自立袋は、少なくとも外層と、ヒートシール層と、が積層された複合フィルムから、ヒートシール層が互いに熱融着されて形成される。自立袋は、胴部と、底部と、を備えており、底部は、底部を形成する底材が、胴部の内部に折り込まれた凸型形状を有しており、凸型形状の凸部の頂上に沿って、底材の厚み方向にハーフカットが施されている。
【0014】
本発明の自立袋は、上記の構成を有することにより、袋本体となる材料とは別に補強材を必要とせず、内容物を充填する際には袋が膨らみ易いことから、必要量の内容物の充填を容易に実施することができるとともに、保形性を有するため、内容物を使用していく際には、その自立性を維持することができる。
【0015】
理論に限定されるものではないが、これは、底部の凸型形状部にハーフカットラインが提供されていることによって、材料である複合フィルムの凸型形状部の応力が緩和され、底部の凸型形状部が広がり易くなることによると考えられる。
【0016】
なお、本発明の自立袋を構成する複合フィルムの厚さや形状等は、自立袋の形状や用途等に応じて、適宜決定することができる。
【0017】
<自立袋の構成>
以下に、図面を参照しながら、本発明の自立袋の構成について説明する。
【0018】
本発明の自立袋は、胴部と、底部と、を備えており、底部は、底部を形成する底材が、胴部の内部に折り込まれた凸型形状を有しており、凸型形状の凸部の頂上に沿って、自立袋の幅方向に延びる、少なくとも1本のハーフカットを有する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る自立袋100に用いられる複合フィルム10の展開図であり、図2は、図1に示される複合フィルム10のa-a’線における断面図である。図3は、図1の複合フィルム10から作製された自立袋100を示す図である。
【0020】
本発明の一実施形態に係る自立袋100は、図1に示される連続した1枚の複合フィルム10を折り返しすることで形成される。自立袋100を構成する複合フィルム10は、図2に示されるように、外層1と、外層1の内側に積層配置された中間層2と、中間層2の内側に積層配置されたヒートシール層3とを備える。
【0021】
図2に示される自立袋100に用いられる複合フィルム10は、外層1と、中間層2と、ヒートシール層3とを備える態様であるが、本発明の自立袋を構成する複合フィルムは、中間層2と、ヒートシール層3とを、必須の構成層として含んでいれば、これら以外の層が含まれていてもよい。例えば、外層1と中間層2との間や、中間層2とヒートシール層3との間に、接着剤層等のその他の層を配置することができる。
【0022】
図1に示される本発明の一実施形態に係る自立袋100は、複合フィルム10のヒートシール層3が互いに熱融着されて、立体的な構造体となる。具体的には、複合フィルム10のX線、及びZ線において、複合フィルム10を谷折りし、Y線において、複合フィルムを山折りする。その後、複合フィルム10の外周部を熱融着することにより、図3に示される自立袋100を作製することができる。
【0023】
図1に示される、本発明の一実施形態に係る自立袋100を展開した複合フィルム10においては、領域Aが、自立袋100の胴部となり、領域Bが、底部となる。そして、自立袋100を作製する際には、複合フィルム10は、領域Aと領域Bの境界となるX線、及びZ線において谷折りされ、領域Bの中ではY線において山折りされることで、領域Aで形成される胴部の内部に、領域Bで形成される底部が折り込まれるとともに、領域Bの中に逆V字形の凸型形状が形成される。その後、両サイドのヒートシール層同士を熱融着して、自立袋を作製する。
【0024】
したがって、図1に示される複合フィルム10においては、図中に示されるHが、形成される自立袋100の高さとなり、Wが幅となり、Dが底部の折込み深さとなる。すなわち、図3にて参照されるように、図1に示される複合フィルム10からは、高さH、幅W、底部折込み深さDの自立袋100が作製される。
【0025】
本発明の一実施形態に係る自立袋100においては、連続した1枚の複合フィルム10から、胴部及び底部が形成される。しかしながら、本発明においては、胴部と底部を形成する材料は、不連続な別個の部品となっている形態であっても問題ない。
【0026】
不連続の独立した部品を用いて自立袋を作製する場合には、例えば、2枚の胴部用の複合フィルムと、1枚の底部用の複合フィルムとを準備する。自立袋の底部が胴部の内部に折り込まれて凸型形状を形成するように、胴部の下端部及び底部の端部にて、胴部用の複合フィルムと底部用の複合フィルムのヒートシール層同士を、互いに熱融着するとともに、胴部用の複合フィルムの両サイドのヒートシール層同士を熱融着して、自立袋を作製する。
【0027】
また、本発明の一実施形態に係る自立袋100においては、Y線において山折りされることで、底部に形成される凸型形状は、逆V字形となっている。しかしながら、本発明においては、底部を形成する底材が、胴部の内部に折り込まれた凸型形状となっていれば、どのような形状であっても問題ない。例えば、曲面によるアーチ型、多数の平面で形成される多角型、あるいは曲面と平面とが組み合わされたタイプ、更には、階段状に折り上げられたタイプ等が挙げられる。
【0028】
(ハーフカット)
本発明の自立袋は、底部の凸型形状の凸部の頂上に沿って、自立袋の幅方向に延びる、少なくとも1本のハーフカットを有する。
【0029】
ここで、ハーフカットとは、フィルムの厚さ方向に形成され、フィルムの厚さ方向に貫通しない切れ目をいう。
【0030】
本発明の自立袋において、ハーフカットは、胴部の内側に折り込まれた底部の凸型形状の凸部の頂上に沿って、自立袋の幅方向に延びるように施される。ここで、凸型形状の凸部の頂上に沿って、自立袋の幅方向に延びる、とは、凸部の頂上地点に位置して、自立袋の幅方向に延びる状態であってもよいし、頂上のラインに略並行に、自立袋の幅方向に延びる状態であってもよい。
【0031】
また、本発明の自立袋において、ハーフカットは、少なくとも1本が施されていればよく、その数は限定されない。複数本のハーフカットを備えさせる場合には、ハーフカット同士は、略並行であることが好ましい。
【0032】
本発明の一実施形態に係る自立袋100においては、底部を構成する逆V字形状の頂上に沿って、自立袋100の幅Wの方向に、すなわち、図1に示される複合フィルム10においては、自立袋100を形成する際に山折りされるY線上に、1本のハーフカットが施されている。
【0033】
図2に、図1に示される複合フィルム10のa-a’線における断面図を示す。複合フィルム10は、外層1と、外層1の内側に積層配置された中間層2と、中間層2の内側に積層配置されたヒートシール層3とを備える。自立袋100においては、底部の逆V字形の頂点となる、図1に示されるY線上に、1本のハーフカットCを有する。自立袋100におけるハーフカットCは、自立袋100の外側となる複合フィルム10の外層1側から施され、外層1を通過して中間層2の略中心にまで到達している。
【0034】
図1~3に示される本発明の一実施形態に係る自立袋100におけるハーフカットは、底部となる逆V字形の頂上に、1本のみ施される例であるが、本発明においては、底部となる凸型形状の凸部の頂上に沿って、自立袋の幅方向に延びていれば、その本数や、位置は、特に限定されるものではない。
【0035】
また、本発明において、自立袋に形成されるハーフカットの長さは、特に限定されるものではない。図1~3に示される自立袋100の場合には、底部の幅全体に施されている。底部の幅全体に施されていることで、袋の膨らみ易さと保形性において、最も高い効果を発揮することができる。しかしながら、形成される底部の形状によって、ハーフカットの長さは適宜選択することができる。
【0036】
また、ハーフカットの深さは、特に限定されるものではなく、底部を構成する複合フィルムの厚さ方向に、積層フィルムを貫通しない状況であればよい。図1~3に示される本発明の一実施形態に係る自立袋100においては、ハーフカットは、外層1を通過して中間層2の略中心にまで到達している。
【0037】
中では、ハーフカットは、最内層であるヒートシール層には到達しない深さであることが好ましい。ハーフカットがヒートシール層に到達すると、作製される自立袋の強度が低下する場合がある。特には、ハーフカットは、自立袋を構成する複合フィルムの外層のみに施されていることが好ましい。外層のみにハーフカットを施すことができれば、袋の膨らみ易さと保形性において、最も高い効果を享受することができる。
【0038】
<複合フィルムの構成>
本発明の自立袋を構成する複合フィルムは、少なくとも外層と、ヒートシール層と、が積層された構成を有する。
【0039】
(外層)
外層は、複合フィルムから自立袋を形成したときに、袋体の外側の層となる。このため、耐熱性や耐水性を有することが好ましい。また、外層は、最内層となるヒートシール層を熱融着して自立袋を形成する際の、保護層となりうる。更に、内容物の表示等のための印刷を施すための、印刷層ともなりうる。
【0040】
外層を構成する材料としては、耐熱性、耐水性を有し、保護層となり、印刷が可能となる樹脂等であれば、特に限定されるものではない。一般的に用いられている樹脂を用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ-ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等のポリオレフィン、ナイロン-6、ナイロン-66等のポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)等が挙げられる。
【0041】
外層を構成する樹脂等は、1種のみならず、2種以上がブレンドされていてもよく、必要に応じて、機能性等を付与するための添加剤等が配合されていてもよい。
【0042】
なお、外層は、予め成形されたフィルムから作製されることが好ましい。外層となるフィルムは、上記の樹脂等から形成されたフィルムであればよく、未延伸であっても、一軸又は二軸延伸が施されていてもよい。中では、二軸延伸フィルムであることが好ましい。
【0043】
また、外層となるフィルムには、アルミニウム等の金属や、酸化珪素、酸化アルミニウム等の酸化物が蒸着されていてもよい。
【0044】
(ヒートシール層)
本発明の複合フィルムを構成するヒートシール層は、自立袋を形成する際に、互いに熱融着される層となる。このため、ヒートシール層は、複合フィルムの最内層となる。
【0045】
ヒートシール層を構成する材料としては、熱接着が可能であり、自立袋に十分なシール強度を付与できるものであれば、特に限定されるものではない。公知の材料を適用することができ、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン共重合体(EP)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、アイオノマー樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。
【0046】
ヒートシール層は、内容物を充填するための空間を形成する層となるため、自立袋に耐内容物性を付与したい場合には、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等を用いることが好ましい。
【0047】
また、ヒートシール層を構成する樹脂等は、1種のみならず、2種以上がブレンドされていてもよく、必要に応じて、機能性等を付与するための添加剤等が配合されていてもよい。
【0048】
本発明に用いられる複合フィルムを構成するヒートシール層は、上記の材料から予め成形されたフィルムから作製してもよいし、外層、及び必要に応じてその他の層が積層された積層体に、ヒートシール層を形成する材料を溶融して押出し、冷却固化させて形成してもよい。
【0049】
<中間層>
本発明の自立袋を構成する複合フィルムは、外層と、ヒートシール層と、を必須の構成層とするが、その他に更に、中間層を含む構成であることが好ましい。中間層を備える場合には、外層と、中間層と、ヒートシール層とは、順次積層されている態様となっていることが、更に好ましい。
【0050】
中間層を備えることにより、形成される自立袋には剛性が付与される。このため、本発明の自立袋においては、底部が有するハーフカットと、中間層との双方の効果により、保形性がより向上する。その結果、袋本体となる材料とは別に補強材を準備せずとも、十分に自立性を有する自立袋を作製することができる。
【0051】
中間層の材料は、自立袋の剛性を向上できるものであれば、特に限定されるものではない。中では、デッドホールド性があり保形性に優れていることから、繊維構造体であることが好ましい。
【0052】
繊維構造体としては、特に限定されるものではないが、例えば、紙、不織布、及び織布からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。不織布の場合には、ニードルパンチ不織布、ウォータージェットパンチ不織布、スパンボンド不織布等のいずれも使用することができる。また、織物の場合には、平織、平織バスケット織、綾織、朱子織、簾織、あるいは3軸織、4軸織、あるいは3次元織など何れのものであってもよい。
【0053】
中間層を繊維構造体とする場合には、その目付や厚みについては、特に限定されるものではなく、自立袋の用途に応じて適宜選択することができる。
【0054】
なお、中間層を繊維構造体とする場合には、繊維構造体は空隙を有しているため、当該空隙に樹脂等を含浸又は塗布することができる。そして、含浸又は塗布する樹脂等の種類や量を適宜選択することによって、複合フィルムの剛性等の物性を調整することができる。
【0055】
<その他の層>
本発明の複合フィルムは、外層と、ヒートシール層とを、必須の構成層として含んでいれば、これら以外の層が含まれていてもよい。中間層を含む場合には、外層と、中間層と、ヒートシール層とが、順次積層されている態様が好ましく、その他の層は、例えば、外層と中間層との間や、中間層とヒートシール層との間に、配置することができる。
【0056】
その他の層としては、特に限定されるものではなく、例えば、自立袋にバリア性を付与するためのバリア層や、自立袋の強度を補強するための補強層、あるいは、層と層との間を接着するための接着層等が挙げられる。
【0057】
自立袋にバリア性を付与するためのバリア層としては、例えば、酸素や水蒸気等のガスを遮断する機能を発現する、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ナイロン(NY)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、又はポリアクリロニトリル(PAN)からなる層等が挙げられる。
【0058】
自立袋の強度を補強するための補強層の材料としては、例えば、紙、合成紙、不織布等が挙げられる。これらには、隣接する層との接着性を付与するための接着剤が塗布されていてもよい。また、上記の外層を構成する材料による層を、外層とは別に、補強層として備えさせることも可能である。
【0059】
層と層との間を接着するための接着層としては、例えば、エチレン-アクリル酸共重合体(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、アイオノマーからなる層等が挙げられる。
【0060】
また、その他の層は、外層と中間層、又は中間層とヒートシール層等を、ドライラミネート又はホットメルトラミネートする際に使用する、接着剤からなる層であってもよい。
【0061】
その他の層を構成する樹脂等は、1種のみならず、2種以上がブレンドされていてもよい。また、必要に応じて、機能性等を付与するための添加剤等が配合されていてもよい。
【0062】
《自立袋の製造方法》
本発明の自立袋の製造方法は、特に限定されるものではない。底部を構成する底材となる部分に、自立袋の幅方向に延びる、少なくとも1本のハーフカットを有する材料を用いて、公知の方法によって、ヒートシール層を互いに熱融着して作製することができる。
【実施例
【0063】
以下、実施例及び比較例等により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0064】
<実施例1、比較例1>
(材料)
実施例及び比較例においては、層を構成する材料として、以下を準備した。
(1)外層
・PET#12:PETフィルム(エンブレット(登録商標)PET-12、ユニチカ株式会社)
・Ny#15:ナイロンフィルム(RX、興人フィルム&ケミカルズ株式会社、厚み:15μm)
・VM-PET#12:アルミ蒸着PETフィルム(VM-PET BR-1012、東レフィルム加工株式会社、厚み:12μm)
(2)中間層
・紙40g:両更クラフト紙(W40Y、日本製紙株式会社、40g/m
(3)ヒートシール層
・LL♯50:LLDPEフィルム(SE625L、タマポリ株式会社、厚み:50μm)
・LL♯95:LLDPEフィルム(SE620A、タマポリ株式会社、厚み:95μm)
【0065】
(複合フィルムの製造)
表1に記載した積層順となるように、ドライラミネートにより、各基材を貼り合わせることで、複合フィルムを作製した。なお、接着剤としては、三井化学社製ポリウレタン(主剤:タケラック(登録商標)A-525、硬化剤:タケネート(登録商標)A-52)を用いて、塗工量3.5g/mとした。
【0066】
(ハーフカットの作製)
実施例1となる複合フィルムに、ロータリーダイカッターを用いて、図1のY線に沿うように、複合フィルムの外層側から、ヒートシール層には到達しない深さのハーフカット加工を施した。比較例1となる複合フィルムには、ハーフカットは作製しなかった。
【0067】
(自立袋の作製)
製袋充填機(OnPack13000US、オリヒロ株式会社)を用いて、水が充填された、パウチ寸法が、高さ130mm×幅90mm×底部折込み深さ25mmの、図3に示される形状のスタンディングパウチを作製した。なお、作製条件は、ヒートシール温度135℃、超音波出力250J、圧力0.55Mpaとした。
【0068】
(柔軟性の評価)
作製した、水が充填されたスタンディングパウチ全体の質量を測定した。結果を、表1に示す。
【0069】
(自立性の評価)
パウチのトップシール部中央に、幅15mmの開口部を作製して、内容物である水を、一気に排出した。排出直後のパウチについて、胴部と底部の膨らみ寸法を、ノギスを用いて計測した。結果を表1に示す。
【0070】
表1に示されるように、底部にハーフカットを有する実施例1で作製した自立袋は、ハーフカットを有さない比較例1で作製した自立袋と比較して、多量の内容物を充填することができ、また、内容物の排出後においても、保形されていた。
【0071】
【表1】
【符号の説明】
【0072】
100 自立袋
10 複合フィルム
1 外層
2 中間層
3 ヒートシール層
A 胴部
B 底部
C ハーフカット
H 高さ
W 幅
D 折込み深さ
図1
図2
図3