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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
A47L15/42 B
A47L15/42 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020116441
(22)【出願日】2020-07-06
(65)【公開番号】P2022014218
(43)【公開日】2022-01-19
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】則竹 克哉
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-069025(JP,A)
【文献】特開2006-180985(JP,A)
【文献】特開2011-206130(JP,A)
【文献】特開2000-275495(JP,A)
【文献】特開2013-158513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方が開放された筐体開口を有する筐体と、
前記筐体内に収容され、被洗浄物を収容可能な洗浄槽と、
前記洗浄槽の前方に設けられた扉体であって、前記筐体開口を閉鎖する閉鎖位置と、前記筐体開口を開放する開放位置との間で移動可能な前記扉体と、
前記扉体を前記閉鎖位置に保持するロック状態と、前記扉体を前記閉鎖位置に保持しないアンロック状態とに切り替わるロック手段と、
を備えた食器洗浄機であって、
前記ロック手段は、前記筐体開口の内周縁に設けられた被係合部と、
前記被係合部に係合可能な係合位置と、前記被係合部から離隔する離隔位置との間で直動可能に前記扉体に支持され、前記係合位置に向けて付勢された直動係合部と、
揺動軸心を中心として前記扉体に揺動可能に支持された揺動軸と、
前記揺動軸に接続し、前記ロック状態から前記アンロック状態に切り替えるための手動操作を受けて前記揺動軸心周りに揺動する操作部と、
前記揺動軸に接続して前記操作部と一体で揺動可能に設けられ、前記直動係合部に当接することによって前記操作部の揺動を前記直動係合部に伝達し、前記直動係合部を前記係合位置から前記離隔位置に直動させるカム部と、
を有していることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
前記直動係合部は、前記揺動軸心に沿う直動方向に直動し、
前記被係合部は、前記カム部よりも前記直動方向の一方に位置し、
前記カム部は、前記直動方向において前記被係合部とは反対側を向き、かつ前記揺動軸心の周方向に延びる曲面であって、前記揺動が進むにつれて前記直動方向において前記被係合部から離隔するように形成されたカム面を含み、
前記直動係合部は、前記直動方向において前記被係合部とは反対側から前記カム面に当接可能な当接部を含んでいる請求項1記載の食器洗浄機。
【請求項3】
前記被係合部は、前記筐体開口の前記内周縁のうちの左右方向の一方で上下方向に延びる側端縁に設けられ、
前記直動方向は、左右方向であり、
前記扉体は、前記閉鎖位置にある状態で前記被係合部に対向する側面に設けられた扉体開口を含み、
前記直動係合部は、前記係合位置に移動することにより、前記扉体開口から突出して前記被係合部と係合可能となる請求項2記載の食器洗浄機。
【請求項4】
前記直動係合部は、前記直動方向に延びる直動係合部本体であって、前記直動方向の前記一方の端部が前記被係合部と係合可能な前記直動係合部本体と、前記直動方向における前記被係合部とは反対側で前記直動係合部本体に接続して向きを変え、前記直動方向における前記被係合部側に向かって突出して前記カム面に当接可能な前記当接部と、が平板状に形成された平板部材を含み、
前記操作部及び前記カム部は、一体に形成されている請求項2又は3記載の食器洗浄機。
【請求項5】
前記ロック手段は、前記直動係合部との接離によって前記直動係合部が前記係合位置にあるか否かを検知するロック検知手段を有し、
前記扉体は、前記揺動軸を揺動可能に支持する支持フレームを有し、
前記支持フレームには、前記直動係合部を前記直動方向に案内する案内部と、前記ロック検知手段を保持する保持部と、が一体に形成されている請求項2乃至4のいずれか1項記載の食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の食器洗浄機の一例が開示されている。この食器洗浄機は、特許文献1の図1図4に図示されているように、筐体、洗浄槽、扉体及びロック手段を備えている。
【0003】
筐体は、前方が開放された筐体開口を有している。洗浄槽は、筐体内に収容され、被洗浄物を収容可能である。扉体は、筐体から引き出し可能な洗浄槽と一体であり、洗浄槽の前方に設けられている。扉体は、筐体開口を閉鎖する閉鎖位置と、筐体開口を開放する開放位置との間で移動可能である。ロック手段は、扉体を閉鎖位置に保持するロック状態と、扉体を閉鎖位置に保持しないアンロック状態とに切り替わる。
【0004】
より詳しくは、ロック手段は、被係合部、揺動軸、係合部及び操作部を有している。被係合部は、筐体開口の内周縁のうちの上端縁に設けられている。揺動軸、係合部及び操作部は、一体に形成されている。揺動軸は、扉体に揺動可能に支持されている。係合部は、被係合部に係合可能な係合位置と、被係合部から離隔する離隔位置との間で揺動軸周りに揺動可能であり、係合位置に向けて付勢されている。操作部は、ロック状態からアンロック状態に切り替えるための手動操作を受けて揺動軸周りに揺動し、係合部を係合位置から離隔位置に揺動させる。
【0005】
この食器洗浄機では、扉体が閉鎖位置にある状態で、付勢されて係合位置に揺動した係合部が被係合部に係合することにより、ロック手段がロック状態に切り替わる。その一方、操作部が手動操作を受けて揺動し、係合部が離隔位置に揺動することにより、ロック手段がアンロック状態に切り替わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-67615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の食器洗浄機では、係合部が係合位置と離隔位置との間で揺動するための占有スペースを小さくし難いため、ロック手段の省スペース化を実現することが難しい。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、ロック手段の省スペース化を実現できる食器洗浄機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の食器洗浄機は、前方が開放された筐体開口を有する筐体と、
前記筐体内に収容され、被洗浄物を収容可能な洗浄槽と、
前記洗浄槽の前方に設けられた扉体であって、前記筐体開口を閉鎖する閉鎖位置と、前記筐体開口を開放する開放位置との間で移動可能な前記扉体と、
前記扉体を前記閉鎖位置に保持するロック状態と、前記扉体を前記閉鎖位置に保持しないアンロック状態とに切り替わるロック手段と、
を備えた食器洗浄機であって、
前記ロック手段は、前記筐体開口の内周縁に設けられた被係合部と、
前記被係合部に係合可能な係合位置と、前記被係合部から離隔する離隔位置との間で直動可能に前記扉体に支持され、前記係合位置に向けて付勢された直動係合部と、
揺動軸心を中心として前記扉体に揺動可能に支持された揺動軸と、
前記揺動軸に接続し、前記ロック状態から前記アンロック状態に切り替えるための手動操作を受けて前記揺動軸心周りに揺動する操作部と、
前記揺動軸に接続して前記操作部と一体で揺動可能に設けられ、前記直動係合部に当接することによって前記操作部の揺動を前記直動係合部に伝達し、前記直動係合部を前記係合位置から前記離隔位置に直動させるカム部と、
を有していることを特徴とする。
【0010】
本発明の食器洗浄機では、扉体が閉鎖位置にある状態で、付勢されて係合位置に直動した直動係合部が被係合部に係合することにより、ロック手段がロック状態に切り替わる。その一方、操作部が手動操作を受けて揺動してカム部によって直動係合部が離隔位置に直動することにより、ロック手段がアンロック状態に切り替わる。
【0011】
ここで、この食器洗浄機では、カム部が操作部と一体で揺動し、これによって直動係合部が直動する。直動係合部が直動するための占有スペースは、上記従来の食器洗浄機に係る係合部が揺動するための占有スペースよりも小さくできる。
【0012】
したがって、本発明の食器洗浄機では、ロック手段の省スペース化を実現できる。
【0013】
直動係合部は、揺動軸心に沿う直動方向に直動することが望ましい。被係合部は、カム部よりも直動方向の一方に位置することが望ましい。カム部は、直動方向において被係合部とは反対側を向き、かつ揺動軸心の周方向に延びる曲面であって、揺動が進むにつれて直動方向において被係合部から離隔するように形成されたカム面を含んでいることが望ましい。そして、直動係合部は、直動方向において被係合部とは反対側からカム面に当接可能な当接部を含んでいることが望ましい。
【0014】
このような具体的構成により、直動係合部が係合位置と離隔位置との間で直動するための占有スペースを一層小さくできる。また、この構成により、直動係合部が被係合部に摺接して一時的に離隔位置に向けて直動する場合に当接部がカム面から離れるだけで操作部は揺動しないので、操作部から異音が発生することを抑制できる。
【0015】
被係合部は、筐体開口の内周縁のうちの左右方向の一方で上下方向に延びる側端縁に設けられていることが望ましい。直動方向は、左右方向であることが望ましい。扉体は、閉鎖位置にある状態で被係合部に対向する側面に設けられた扉体開口を含んでいることが望ましい。そして、直動係合部は、係合位置に移動することにより、扉体開口から突出して被係合部と係合可能となることが望ましい。
【0016】
ユーザは、扉体を開放位置に移動させたときに、扉体の側面に目を向け難い。このため、この構成によれば、扉体の側面に設けられた扉体開口と、その扉体開口から突出する直動係合部とがユーザから視認され難いので、意匠性の向上を実現できる。
【0017】
直動係合部は、直動方向に延びる直動係合部本体であって、直動方向の一方の端部が被係合部と係合可能な直動係合部本体と、直動方向における被係合部とは反対側で直動係合部本体に接続して向きを変え、直動方向における被係合部側に向かって突出してカム面に当接可能な当接部と、が平板状に形成された平板部材を含んでいることが望ましい。また、操作部及びカム部は、一体に形成されていることが望ましい。
【0018】
このような具体的構成により、直動係合部が係合位置と離隔位置との間で直動するための占有スペースをより一層小さくできる。
【0019】
ロック手段は、直動係合部との接離によって直動係合部が係合位置にあるか否かを検知するロック検知手段を有していることが望ましい。扉体は、揺動軸を揺動可能に支持する支持フレームを有していることが望ましい。そして、支持フレームには、直動係合部を直動方向に案内する案内部と、ロック検知手段を保持する保持部と、が一体に形成されていることが望ましい。
【0020】
この場合、操作部が支持フレームに支持されつつ、支持フレームに形成された案内部が直動係合部の直動方向への直動動作を案内するため、操作部と一体で揺動するカム部と直動係合部との位置関係のばらつきを抑制できる。その結果、カム部が操作部の揺動を直動係合部に伝達して直動係合部を直動させる動作を円滑に実施できる。また、支持フレームに案内部と保持部とが一体に形成されているため、仮に案内部及び保持部の一方が支持フレームに形成され、案内部及び保持部の他方が支持フレームとは異なる部材に形成され、それらが組み付けられる場合と比較して、案内部に案内される直動係合部と、保持部に保持されるロック検知手段との位置関係のばらつきを抑制できる。その結果、直動係合部が係合位置にあるか否かをロック検知手段が精度良く検知できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の食器洗浄機によれば、ロック手段の省スペース化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施例の食器洗浄機の模式断面図であって、洗浄槽が収容位置にあり、扉体が閉鎖位置にある状態を示す図である。
図2図2は、図1と同様の模式断面図であって、洗浄槽及び扉体が収容位置から前方にスライドし、扉体が開放位置にある状態を示す図である。
図3図3は、洗浄槽の前部分と、扉体の上部分と、筐体開口の被係合部とを示す部分斜視図である。
図4図4は、操作部、揺動軸及びカム部が一体に形成されたハンドルと、直動係合部と、それらを支持する支持フレームとを主に示す斜視図である。
図5図5は、ハンドル及び直動係合部を示す斜視図である。
図6図6(a)は、操作部が手動操作を受けておらず、直動係合部が係合位置にある状態を示す部分正面図であり、図6(b)は、操作部が手動操作を受けて揺動し、直動係合部が離隔位置に直動した状態を示す部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0024】
(実施例)
図1に示すように、実施例の食器洗浄機1は、本発明の食器洗浄機の具体的態様の一例である。食器洗浄機1は、システムキッチンの天板CT1の下方に設置された前面引き出し式のものである。
【0025】
本実施例では、システムキッチンを利用するユーザが筐体9と対向する側、すなわち図1の紙面左側を筐体9の前方と規定し、その反対側である図1の紙面右側を筐体9の後方と規定する。また、ユーザが筐体9に対向する状態で左に来る側、すなわち図1の奥側を筐体9の左方と規定し、右に来る側、すなわち図1の紙面手前側を筐体9の右方と規定する。そして、図2以降の各図に示す前後方向、左右方向及び上下方向は、全て図1に対応させて表示する。
【0026】
<筐体、洗浄槽、扉体及び蓋体>
図1に示すように、食器洗浄機1は、筐体9、洗浄槽7、扉体70及び蓋体8を備えている。
【0027】
筐体9は略箱状体である。筐体9の上は、天板CT1に覆われている。筐体9は、筐体開口9Hを有している。筐体開口9Hは、筐体9の前部の上端から下端までの広い範囲を開放しており、筐体9内と外部とを連通させている。
【0028】
図1図3に示すように、洗浄槽7は略箱状体であり、前壁7F、左右の側壁及び後壁によって食器TW1を洗浄するための内部空間を区画している。また、洗浄槽7は、その内部空間の上部を開放する開口7Hを有している。
【0029】
扉体70は、洗浄槽7の前壁7Fに対して前方から一体的に組み付けられることにより、洗浄槽7の前方に設けられている。扉体70の前面70Fは、上下方向及び左右方向に延びる平面であって、システムキッチンを利用するユーザの目に触れる意匠面を構成している。扉体70の上端には、扉体突出部78及び扉体上面カバー79が設けられている。
【0030】
扉体突出部78は、扉体70の前面70Fの上部分から前方かつ上方に張り出し、かつ左右方向に延びて扉体70の前面70Fの左端及び右端よりも左右方向に突出している。扉体突出部78の前面における左右方向の中央には、凹部78Dが後向きに凹むように形成されている。
【0031】
図4に示すように、扉体70は、扉体突出部78の内部に設けられた樹脂製の支持フレーム10を有している。支持フレーム10は、扉体突出部78の左面から右面まで左右方向に延びて扉体突出部78を補強している。
【0032】
図1図3に示すように、扉体上面カバー79は、扉体突出部78の後面の下端と、洗浄槽7の前壁7Fの上端とを接続するように前後方向に延び、かつ扉体70の左方の側面71の上端と右方の側面の上端とを接続するように左右方向に延びて扉体70を上から覆っている。
【0033】
洗浄槽7は、筐体9内に収容されている。図1に示す洗浄槽7の位置を収容位置とする。扉体70は、洗浄槽7が収容位置にある状態で、筐体開口9Hを閉鎖している。図1に示す扉体70の位置を閉鎖位置とする。
【0034】
洗浄槽7の左右の側壁と筐体9の左右の内壁面との間には、図示しないスライドレール機構が配置されている。図2に示すように、洗浄槽7及び扉体70は、そのスライドレール機構によって筐体9に対してスライド可能となっている。扉体70は、洗浄槽7と共に筐体9から前方にスライドすることにより、筐体開口9Hを開放する。
【0035】
図示は省略するが、洗浄槽7及び扉体70は、図2に示す位置からさらに筐体9の前方にスライドすることにより、洗浄槽7の開口7Hのほぼ全体が筐体9から露出する状態となり、扉体70が筐体開口9Hを広く開放する状態となる。図2に示す扉体70の位置、及び図2に示す位置からさらに前方にスライドした扉体70の位置を開放位置とする。
【0036】
図1及び図2に示すように、蓋体8は、筐体9内の上部に配置されており、洗浄槽7の開口7Hを閉塞及び開放可能である。蓋体8は、図示しない連動機構によって、洗浄槽7のスライドに連動して、図1に示す位置と、図1に示す位置から上昇して図2に示すように洗浄槽7のスライドを許容する位置との間で上下動するようになっている。
【0037】
図1に示すように、洗浄槽7は、収容位置にある状態で、筐体開口9Hを閉塞するとともに、開口7Hが蓋体8によって閉塞される。
【0038】
図2に示すように、洗浄槽7は、筐体9から前方にスライドした状態で、筐体9内に残る蓋体8によって、筐体9の外部に露出する開口7Hが開放される。これにより、ユーザは、開口7Hを介して、食器TW1を洗浄槽7に収容したり、食器TW1を洗浄槽7から取り出したりすることができる。
【0039】
食器TW1は、例えば、茶碗、皿、グラス等の飲食用器や、箸、スプーン、フォーク等の飲食用具等である。食器TW1は、本発明の「被洗浄物」の一例である。
【0040】
図1に示すように、筐体9内には、給水管P1、給水電磁弁69及び排水管P2が設けられている。給水管P1は、食器洗浄機1の外部に設けられた図示しない給水源から洗浄槽7に水を供給する。給水電磁弁69は、給水管P1を開閉して洗浄槽7への水の供給と停止とを切り替える。排水管P2は、洗浄槽7内の洗浄水を食器洗浄機1の外部に排水する。
【0041】
洗浄槽7内の底部には、洗浄水を貯める貯水部7Pが設けられている。また、洗浄槽7内には、食器かご7Cが配置されている。食器かご7Cには、食器TW1が載置される。
【0042】
洗浄槽7には、排気通路7Eが設けられている。排気通路7Eは、扉体70の前面70Fの上部分に開口しており、洗浄槽7の外部と連通している。洗浄槽7内の空気は、排気通路7Eを通過して機外に、すなわち筐体9の前方に排出される。
【0043】
<ロック手段>
図1図6に示すように、食器洗浄機1は、ロック手段5をさらに備えている。ロック手段5は、以下に詳しく説明する構成により、洗浄槽7が収容位置にある状態で扉体70を閉鎖位置に保持するロック状態と、扉体70を閉鎖位置に保持しないアンロック状態とに切り替わるようになっている。
【0044】
図1図3及び図6に示すように、ロック手段5は、被係合部95を有している。被係合部95は、筐体開口9Hの内周縁のうちの左方で上下方向に延びる側端縁91の上部に設けられている。
【0045】
より詳しくは、図3に示すように、筐体開口9Hの側端縁91は、断面略W字形状の金属部材からなっている。被係合部95は、側端縁91のうちの右端で後向きに突出し、かつ上下方向に延びる平板形状部分の後端かつ上端に形成されている。
【0046】
なお、図3に実線で示す洗浄槽7の一部と扉体70の一部とは、図2に示す洗浄槽7及び扉体70の位置に対応している。図3に二点鎖線で示す洗浄槽7の一部と扉体70の一部とは、図1に示す洗浄槽7及び扉体70の位置に対応している。
【0047】
扉体70は、扉体開口70Hを含んでいる。図3に二点鎖線で示すように、洗浄槽7が収容位置にあって扉体70が閉鎖位置にある状態で、扉体70の左方の側面71の上部が被係合部95に対向する。扉体開口70Hは、扉体70の左方の側面71の上部に設けられた略矩形状の穴である。
【0048】
また、ロック手段5は、図3図6に示す直動係合部20と、図4及び図6に示すロックセンサ38及び付勢バネ39と、図1図2及び図4図6に示すハンドル50とを有している。ロックセンサ38は、本発明の「ロック検知手段」の一例である。
【0049】
図4及び図5に示すように、直動係合部20は、直動係合部本体21及び当接部23が平板状に形成された平板部材を含んでいる。
【0050】
直動係合部本体21は、左右方向である直動方向に延びている。直動係合部本体21の左端は、樹脂製のキャップ25によって覆われている。キャップ25の左側面は、後方に進むにつれて右方に略円弧状に曲がる湾曲形状となっている。
【0051】
当接部23は、直動方向における被係合部95とは反対側で、直動係合部本体21に接続している。当接部23は、直動係合部本体21の右端から前向きに向きを変えるように延びている。さらに、当接部23は、前向きから左向きに向きを変えるように延びており、その左端には略半円形状の当接突起23Aが形成されている。
【0052】
また、直動係合部20は、センサ押圧部28及びバネ係止部29を含んでいる。センサ押圧部28は、直動係合部本体21における左右方向の中間部から分岐して前向きに突出する部分からさらに下向きに突出し、かつ前後方向に延びる板状片の下端に形成されている。バネ係止部29は、その板状片における上下方向の中間部に前後方向に並んで形成された穴及び切り欠きによって構成されている。
【0053】
直動係合部本体21、当接部23、センサ押圧部28及びバネ係止部29が形成された平板部材は、本実施例では金属製である。このため、その平板部材を鋼板等である金属板の打ち抜き加工やプレス加工等によって容易に製造できる。
【0054】
図4に示すように、支持フレーム10には、案内部12A、12Bが一体に形成されている。案内部12A、12Bは、支持フレーム10の左部分であって左右方向において互いに離れた位置からそれぞれ後向きに突出している。
【0055】
案内部12Aの上面には、門型のガイドが形成されている。直動係合部本体21は、キャップ25に近い部分が案内部12Aの門型のガイドに挿入されている。案内部12Bの上面には、前後一対の突起が形成されている。直動係合部本体21は、当接部23に近い部分が案内部12Bの一対の突起に挟まれている。案内部12A、12Bは、直動係合部20を直動方向に案内する。
【0056】
なお、図示は省略するが、扉体突出部78の内部には、案内部12A、12Bよりも上方から下向きに突出して直動係合部20の浮き上がりを規制する規制部材が設けられている。
【0057】
図3図4及び図6(a)に示す直動係合部20の位置は、最も左方に直動した位置である。図3図4及び図6(a)に示す直動係合部20の位置を係合位置とする。直動係合部20の係合位置は、被係合部95に係合可能な位置である。
【0058】
図3に示すように、係合位置に直動した直動係合部20における直動係合部本体21の左端は、キャップ25に覆われた状態で扉体開口70Hから突出する。図3に二点鎖線で示すように、洗浄槽7が収容位置にあって扉体70が閉鎖位置にある状態で、係合位置に直動した直動係合部20における直動係合部本体21の左端は、キャップ25を介在させた状態で被係合部95に係合する。図6(a)においても、直動係合部本体21の左端がキャップ25を介在させた状態で被係合部95に係合する状態を示している。
【0059】
洗浄槽7が収容位置にあって扉体70が閉鎖位置にある状態で、直動係合部20が係合位置に直動することにより、ロック手段5は、扉体70を閉鎖位置に保持するロック状態に切り替わる。
【0060】
図6(b)に示す直動係合部20の位置は、最も右方に直動した位置である。図6(b)に示す直動係合部20の位置を離隔位置とする。直動係合部20の離隔位置は、直動係合部20が被係合部95から離隔する位置である。
【0061】
直動係合部20が離隔位置に直動することにより、ロック手段5は、扉体70を閉鎖位置に保持しないアンロック状態に切り替わる。
【0062】
こうして、直動係合部20は、係合位置と離隔位置との間で直動可能に扉体70の支持フレーム10に支持されている。
【0063】
図4及び図6に示すように、支持フレーム10には、保持部18が一体に形成されている。保持部18は、案内部12Aから下向きに突出する板状片18Aと、その板状片から前向きに突出する左右一対の鍵爪18Bと、位置決め軸18Cとを含んで構成されている。
【0064】
図6に示すように、支持フレーム10の板状片18Aには、バネ係止部19が一体に形成されている。バネ係止部19は、板状片18Aの上部かつ左部から突出するリブと、そのリブに貫通するように形成された穴とによって構成されている。
【0065】
ロックセンサ38は、板状片18A、左右一対の鍵爪18B及び位置決め軸18Cによって、支持フレーム10の保持部18に保持されている。ロックセンサ38は、右側面に設けられた検知突起38Aが押し込まれることによって複数の内部接点を接続又は遮断するマイクロスイッチである。
【0066】
付勢バネ39は、一端39Aが直動係合部20のバネ係止部29に係止され、他端39Bが支持フレーム10のバネ係止部19に係止された引っ張りコイルバネである。付勢バネ39は、直動係合部20を係合位置に向けて左向きに付勢している。
【0067】
図6(a)に示すように、付勢バネ39に付勢された直動係合部20が係合位置に直動すると、直動係合部20のセンサ押圧部28がロックセンサ38の検知突起38Aを押し込む。これにより、ロックセンサ38は、直動係合部20が係合位置にあることを検知する。
【0068】
図6(b)に示すように、直動係合部20が付勢バネ39の付勢力に抗して離隔位置に直動すると、直動係合部20のセンサ押圧部28がロックセンサ38の検知突起38Aから離れる。これにより、ロックセンサ38は、直動係合部20が係合位置にないことを検知する。
【0069】
図4及び図5に示すように、ハンドル50は、操作部51、揺動軸52及びカム部53が一体に形成された樹脂製の一部材である。ハンドル50は、熱可塑性樹脂の射出成形等によって容易に製造できる。
【0070】
揺動軸52は、左右方向に延びる揺動軸心X50を中心とする円柱軸である。直動係合部20の直動方向は、揺動軸心X50に沿う方向である。
【0071】
図4に示すように、支持フレーム10における左右方向の中央には、壁部17A、17Bが上向きに突出し、かつ前後方向に平板状に延びるように形成されている。壁部17A、17Bの前部分は、扉体突出部78の凹部78Dの左右の内壁を構成している。壁部17A、17Bの後部分は、半円形状の凹みによって揺動軸52を揺動軸心X50周りに回動可能に支持している。
【0072】
支持フレーム10における壁部17A、17Bよりも左右方向の外側には、壁部17C、17Dが壁部17A、17Bと平行に形成されている。壁部17C、17Dは、左右方向において揺動軸52を挟むことにより、揺動軸52を位置決めする。
【0073】
なお、図示は省略するが、扉体突出部78の内部には、壁部17A、17Bよりも上方から壁部17A、17Bの半円形状の凹みに向かって下向きに突出して揺動軸52の浮き上がりを規制する規制部材が設けられている。
【0074】
こうして、揺動軸52に一体に形成された操作部51及びカム部53は、扉体70の支持フレーム10に揺動可能に支持されている。
【0075】
操作部51は、左右方向において支持フレーム10の壁部17A、17Bに挟まれた範囲において揺動軸52に接続している。操作部51は、揺動軸52から上向きかつ前向きに延びた後に下向きに向きを変える湾曲形状となっている。
【0076】
図1に示すように、操作部51は、扉体突出部78の凹部78D内に配置されている。そして、図2に示すように、操作部51は、ユーザがロック手段5をロック状態からアンロック状態に切り替えるための手動操作、すなわち凹部78Dに手を差し入れて、操作部51の前端を押し上げながら把持する操作を受けて、揺動軸心X50周りに操作方向R1に揺動するようになっている。
【0077】
図4及び図5に示すように、カム部53は、揺動軸52の左端に接続している。カム部53は、揺動軸52から下向きかつ後向きに突出しており、その先端に形成されたカム面53Aを含んでいる。
【0078】
図5及び図6に示すように、カム面53Aは、直動方向において被係合部95とは反対側、すなわち右方を向き、かつ揺動軸心X50の周方向に延びる曲面である。カム面53Aの後端53A2は、直動方向において被係合部95から離隔するように、カム面53Aの前端53A1に対して右方に離れている。
【0079】
つまり、カム面53Aは、揺動軸心X50に対して傾斜しながら揺動軸心X50の周方向に延びている。そして、図6(a)及び(b)に示すように、カム面53Aは、ユーザの手動操作を受けて操作部51の操作方向R1への揺動が進むにつれて直動方向において被係合部95から離隔するように形成されている。
【0080】
直動係合部20の当接突起23Aは、直動方向において被係合部95とは反対側から、すなわち右方からカム面53Aに当接可能である。
【0081】
図6(a)に示すように、操作部51が手動操作を受けておらず揺動していない状態で、係合位置にある直動係合部20の当接突起23Aは、カム面53Aの前端53A1に当接している。
【0082】
図6(b)に示すように、操作部51が手動操作を受けて操作方向R1に揺動すると、直動係合部20の当接突起23Aは、カム面53Aの前端53A1から後端53A2に向かって摺接しながら右方に押され、カム面53Aの後端53A2に当接する状態で止まる。こうして、カム部53は、操作部51の揺動をカム面53A及び当接部23の当接突起23Aを経由して直動係合部20に伝達し、直動係合部20を係合位置から離隔位置に直動させる。その結果、ロック手段5は、ロック状態からアンロック状態に切り替わる。
【0083】
また、図6(b)に示す状態で操作部51が手動操作を受けなくなると、図6(a)に示すように、付勢バネ39に付勢された直動係合部20が離隔位置から係合位置に直動する。その結果、ロック手段5は、アンロック状態からロック状態に切り替わる。この際、直動係合部20の当接突起23Aは、カム面53Aを左方に押しながらカム面53Aの後端53A2から前端53A1に向かって摺接し、カム面53Aの前端53A1に当接する状態で止まる。こうして、カム部53は、直動係合部20の係合位置への直動を当接部23の当接突起23A及びカム面53Aを経由して操作部51に伝達し、操作部51を元の位置に復帰させる。
【0084】
さらに、図3に実線で示すように洗浄槽7及び扉体70が筐体9から前方にスライドした状態から、操作部51を手動操作することなく洗浄槽7及び扉体70を筐体9の後方にスライドさせて、図3に二点鎖線で示すように洗浄槽7を収容位置に戻す場合、直動係合部20のキャップ25が側端縁91の右端に摺接しながら右方に押される。その結果、直動係合部20は、付勢バネ39の付勢力に抗して離隔位置に向けて直動し、キャップ25が被係合部95よりも後方に移動した後、付勢バネ39に付勢されて係合位置に復帰する。この際、当接部23の当接突起23Aがカム面53Aの前端53A1から右方に一時的に離れるだけであるので、操作部51は揺動しない。
【0085】
<ノズル及びポンプ>
図1に示すように、食器洗浄機1は、ノズル61及びポンプ62をさらに備えている。ノズル61及びポンプ62は、本発明の「洗浄装置」の一例である。ノズル61は、洗浄槽7内に配置されている。ポンプ62は、洗浄槽7の貯水部7Pの下部に組み付けられている。ノズル61及びポンプ62は、洗浄槽7が筐体9に対してスライドする際に洗浄槽7と共に移動する。
【0086】
ノズル61は、複数の吐出孔から洗浄槽7内に洗浄水を噴射可能である。ノズル61の噴射方向は、洗浄槽7内で重ねられた複数の食器TW1を確実に洗浄したり、洗浄槽7の内壁面や食器かご7Cを洗浄したりするために、様々な方向に変化するようになっている。
【0087】
ポンプ62は、正転作動時、洗浄槽7の貯水部7Pに貯められた洗浄水をノズル61に供給して洗浄槽7内に噴射させる。その噴射された洗浄水は貯水部7Pに貯められるので、ポンプ62によって繰り返しノズル61に供給される。また、ポンプ62は、逆転作動時、洗浄槽7内の洗浄水を残菜フィルタ67及び排水管P2を介して食器洗浄機1の外部に排水する。
【0088】
<ヒータ、温度センサ、乾燥ファン、及び水位センサ>
食器洗浄機1は、ヒータ63、乾燥ファン68、温度センサ31及び水位センサ34をさらに備えている。
【0089】
ヒータ63、乾燥ファン68、温度センサ31及び水位センサ34も洗浄槽7に組み付けられており、洗浄槽7が筐体9に対してスライドする際に洗浄槽7と共に移動する。
【0090】
ヒータ63は、貯水部7Pの底部に配置されている。ヒータ63は、洗浄槽7の貯水部7Pに貯められた洗浄水、又は洗浄槽7内の空気を加熱する。
【0091】
乾燥ファン68は、ヒータ63を作動させた状態で回転作動することにより、加熱された空気を洗浄槽7内に送り込んで食器TW1を乾燥させる。乾燥ファン68により洗浄槽7内に送り込まれた空気は、排気通路7Eを経由して食器洗浄機1の外部に排気される。
【0092】
温度センサ31は、貯水部7Pの底部におけるヒータ63に対して下方の位置に設けられている。温度センサ31は、洗浄槽7の貯水部7Pに貯められた洗浄水、又は洗浄槽7内の空気の温度をヒータ63の近傍において検知する。
【0093】
水位センサ34は、洗浄槽7の貯水部7Pの隣に配置された水位検知槽34A内に設けられたフロート式センサである。水位検知槽34Aは、連通管P3を介して洗浄槽7の貯水部7Pと接続されている。水位センサ34は、洗浄槽7内の洗浄水の水位を検知する。
【0094】
<制御部及び入出力部>
食器洗浄機1は、制御部C1及び入出力部40をさらに備えている。制御部C1は、扉体70における扉体突出部78及び扉体上面カバー79によりも下方に配置されている。入出力部40は、扉体突出部78の上面に配置されている。制御部C1及び入出力部40は、洗浄槽7が筐体9に対してスライドする際に洗浄槽7と共に移動する。
【0095】
制御部C1は、図示しないCPUと、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成されたメモリと、制御対象との間で信号の送受信を行うインターフェース回路と、制御対象への給電を制御する給電回路と、を含んで構成された電子回路ユニットである。メモリは、食器洗浄機1を動作させるためのプログラム及び設定情報等を記憶している。
【0096】
制御部C1は、ノズル61、ポンプ62、ヒータ63及び乾燥ファン68等を制御して作動させるとともに、温度センサ31、水位センサ34及びロックセンサ38から検知信号を受信する。また、制御部C1は、図示しないセンサ類、例えば、洗浄槽7が収容位置にあるか否かを検知する位置センサ等から検知信号を受信する。
【0097】
図3に示すように、入出力部40は、ユーザが入力操作を行うための複数のボタン等を有している。また、入出力部40は、ユーザに各種の情報を伝達するために数字や文字等を表示可能な表示パネルを有している。入出力部40は、ユーザの入力操作を制御部C1に伝達するとともに、制御部C1から伝達された情報を表示する。
【0098】
図1に示すように、洗浄槽7が収容位置にある状態では、入出力部40の全体がシステムキッチンの天板CT1によって隠蔽されている。このため、ユーザは、入出力部40を操作及び視認できないようになっている。図2に示すように、洗浄槽7及び扉体70が筐体9から前方にスライドして入出力部40の全体がシステムキッチンの天板CT1よりも前方に移動することにより、ユーザは、入出力部40を操作及び視認できるようになる。
【0099】
<洗浄動作>
上記構成である食器洗浄機1では、以下の手順で、洗浄動作が実行される。すなわち、洗浄対象の食器TW1を洗浄槽7に収容するため、ユーザが扉体突出部78の凹部78Dに手を差し入れて、操作部51の前端を押し上げながら把持する手動操作を行うと、直動係合部20が図6(a)に示す係合位置から図6(b)に示す離隔位置に直動し、ロック手段5がロック状態からアンロック状態に切り替わる。その結果、ユーザが洗浄槽7及び扉体70を筐体9から前方にスライドさせることができる。
【0100】
そして、ユーザが引き出された洗浄槽7に食器TW1を収容し、入出力部40を操作して洗浄動作の開始を指示した後に、扉体70を後向きに押して、洗浄槽7を図1に示す収容位置に向けてスライドさせる。
【0101】
すると、直動係合部20のキャップ25が側端縁91の右端に摺接しながら右方に押される。その結果、直動係合部20は、付勢バネ39の付勢力に抗して離隔位置に向けて直動し、キャップ25が被係合部95よりも後方に移動した後、付勢バネ39に付勢されて係合位置に復帰する。その結果、ロック手段5がアンロック状態からロック状態に切り替わる。この際、当接部23の当接突起23Aがカム面53Aから一時的に離れるだけで操作部51は揺動しないので、操作部51から異音が発生することを抑制できる。
【0102】
そして、制御部C1は、図示しない位置センサによって洗浄槽7が収容位置にあることが検知され、かつロックセンサ38によって直動係合部20が係合位置にあることが検知されたことを条件として、ノズル61及びポンプ62を作動させ、ノズル61から洗浄槽7内に洗浄水を噴射する洗浄動作を実行する。そして、制御部C1は、洗浄動作の進行に応じて、ヒータ63及び乾燥ファン68を適宜作動させて、洗浄槽7内の食器TW1を綺麗に洗浄した後、その食器TW1を乾燥させて、洗浄動作を終了する。
【0103】
<作用効果>
実施例の食器洗浄機1では、扉体70が図1に示す閉鎖位置にある状態で、図6(a)に示すように、付勢バネ39に付勢されて係合位置に直動した直動係合部20が被係合部95に係合することにより、ロック手段5がロック状態に切り替わる。その一方、図6(b)に示すように、操作部51が手動操作を受けて操作方向R1に揺動してカム部53によって直動係合部20が離隔位置に直動することにより、ロック手段5がアンロック状態に切り替わる。
【0104】
ここで、この食器洗浄機1では、カム部53が操作部51と一体で揺動し、これによって直動係合部20が直動する。直動係合部20が係合位置と離隔位置との間で直動するための占有スペース(特に前後方向及び上下方向における占有スペース)は、上記従来の食器洗浄機に係る係合部が係合位置と離隔位置との間で揺動するための占有スペースよりも小さくできる。
【0105】
具体的には、この食器洗浄機1では、図1図3に示すように、ロック手段5が扉体突出部78の後方かつ扉体上面カバー79の上方に張り出さない。
【0106】
したがって、実施例の食器洗浄機1では、ロック手段5の省スペース化を実現できる。また、直動係合部20が直動するための占有スペース(特に前後方向及び上下方向における占有スペース)を小さくできることによって、洗浄槽7に区画された食器TW1を洗浄するための内部空間を大きくすることができる。
【0107】
また、この食器洗浄機1では、図5及び図6に示すように、直動係合部20は、揺動軸心X50に沿う直動方向に直動する。カム部53は、一端53A1から他端53A2まで延びるカム面53Aを含んでいる。カム面53Aは、直動方向において被係合部95とは反対側、すなわち右方を向き、かつ揺動軸心X50の周方向に延びる曲面である。また、カム面53Aは、操作部51の操作方向R1への揺動が進むにつれて直動方向において被係合部95から右方に離隔するように形成されている。そして、直動係合部20は、当接部23を含んでいる。当接部23は、当接突起23Aによって、直動方向において被係合部95とは反対側、すなわち右方からカム面53Aに当接可能である。このような具体的構成により、直動係合部20が係合位置と離隔位置との間で直動するための占有スペースを一層小さくできる。また、この構成により、洗浄槽7を収容位置に戻すときにキャップ25が側端縁91に摺接して直動係合部20が一時的に離隔位置に向けて直動しても、当接部23の当接突起23Aがカム面53Aから一時的に離れるだけで操作部51は揺動しない。その結果、この食器洗浄機1では、操作部51から異音が発生することを抑制できる。
【0108】
さらに、この食器洗浄機1では、図3に示すように、被係合部95は、筐体開口9Hの内周縁のうちの左方で上下方向に延びる側端縁91に設けられている。直動係合部20の直動方向は、左右方向である。扉体70は、閉鎖位置にある状態で被係合部95に対向する側面71に設けられた扉体開口70Hを含んでいる。そして、直動係合部20は、係合位置に移動することにより、扉体開口70Hから突出して被係合部95と係合可能となる。ユーザは、扉体70を開放位置に移動させたときに、扉体70の側面71に目を向け難い。このため、この構成によれば、扉体70の側面71に設けられた扉体開口70Hと、その扉体開口70Hから突出する直動係合部20とがユーザから視認され難いので、意匠性の向上を実現できる。
【0109】
また、この食器洗浄機1では、直動係合部20は、直動係合部本体21と当接部23とが平板状に形成された平板部材を含んでいる。また、操作部51及びカム部53は、一体に形成されている。このような具体的構成により、直動係合部20が係合位置と離隔位置との間で直動するための占有スペースをより一層小さくできる。さらに、直動係合部本体21と当接部23とが形成された平板部材が金属製であることにより、強度が必要な直動係合部20を金属板の打ち抜き加工やプレス加工等によって容易に製造できる。また、操作部51及びカム部53が樹脂製の一部材であることにより、形状が複雑な操作部51及びカム部53を射出成形等によって容易に製造できる。それらの結果、製造コストの低廉化を実現できる。
【0110】
さらに、この食器洗浄機1では、図4及び図6に示すように、ロック手段5は、ロックセンサ38を有している。扉体70は、支持フレーム10を有している。そして、支持フレーム10には、直動係合部20を直動方向に案内する案内部12A、12Bと、ロックセンサ38を保持する保持部18と、が一体に形成されている。この構成により、操作部51が支持フレーム10に支持されつつ、支持フレーム10に形成された案内部12A、12Bが直動係合部20の直動方向への直動動作を案内するため、操作部51と一体で揺動するカム部53と直動係合部20との位置関係のばらつきを抑制できる。その結果、カム部53が操作部51の揺動を直動係合部20に伝達して直動係合部20を直動させる動作を円滑に実施できる。また、支持フレーム10に案内部12A、12Bと保持部18とが一体に形成されているため、仮に案内部12A、12B及び保持部18の一方が支持フレーム10に形成され、案内部12A、12B及び保持部18の他方が支持フレーム10とは異なる部材に形成され、それらが組み付けられる場合と比較して、案内部12A、12Bに案内される直動係合部20のセンサ押圧部28と、保持部18に保持されるロックセンサ38の検知突起38Aとの位置関係のばらつきを抑制できる。その結果、直動係合部20が係合位置にあるか否かをロックセンサ38が精度良く検知できる。さらに、操作部51を支持する樹脂製の支持フレーム10に案内部12A、12B、保持部18及びバネ係止部19が一体に形成された構成により、部品点数を削減できるので、製造コストの低廉化を実現できる。
【0111】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0112】
実施例では、操作部51及びカム部53が一部材であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、操作部に対して、別部材であるカム部が組み付けられていてもよい。
【0113】
実施例では、直動係合部20の直動方向が左右方向であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、直動係合部の直動方向が上下方向であってもよい。
【0114】
実施例では、ロック手段5において、被係合部95は、筐体開口9Hの内周縁のうちの左方で上下方向に延びる側端縁91に設けられており、その被係合部95に対応して、1組の直動係合部20及びカム部53が設けられているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、筐体開口9Hの内周縁のうちの右方で上下方向に延びる側端縁にも被係合部を被係合部95と同様に設け、その被係合部に対応して、別の1組の直動係合部及びカム部を直動係合部20及びカム部53と同様に設けてもよい。
【0115】
実施例では、食器洗浄機1は、扉体70を洗浄槽7と共に筐体9から前方にスライドさせる引き出し式であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、扉体のみを前方に引き倒すフロントオープン式の食器洗浄機も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は例えば、食器洗浄機又は厨房設備等に利用可能である。
【符号の説明】
【0117】
1…食器洗浄機
9H…筐体開口
9…筐体
TW1…被洗浄物(食器)
7…洗浄槽
70…扉体
5…ロック手段
95…被係合部
20…直動係合部
X50…揺動軸心
51…操作部
53…カム部
53A…カム面
23…当接部
91…筐体開口の側端縁
71…扉体における閉鎖位置にある状態で被係合部に対向する側面
70H…扉体開口
21…直動係合部本体
38…ロック検知手段(ロックセンサ)
39…付勢バネ
39A…付勢バネの一端
10…支持フレーム
12A、12B…案内部
18…保持部
39B…付勢バネの他端
19…バネ係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6