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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】印刷用リキッドインキ、及び印刷物
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/102 20140101AFI20240226BHJP
   C09D 11/107 20140101ALI20240226BHJP
   C09D 11/106 20140101ALI20240226BHJP
   B41M 1/30 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
C09D11/102
C09D11/107
C09D11/106
B41M1/30 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020116974
(22)【出願日】2020-07-07
(65)【公開番号】P2022014587
(43)【公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】310000244
【氏名又は名称】DICグラフィックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(72)【発明者】
【氏名】大橋 富宏
(72)【発明者】
【氏名】進藤 朋美
(72)【発明者】
【氏名】茂呂居 直
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-094411(JP,A)
【文献】特開2017-019991(JP,A)
【文献】特開2019-214669(JP,A)
【文献】特開平09-169953(JP,A)
【文献】特開2000-212493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
B41M 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー樹脂と、有機溶剤を含有し、バインダー樹脂として、ポリウレタン樹脂またはポリウレタンポリウレア樹脂のいずれか一種と、ロジン変性フマル酸樹脂を少なくとも含有することを特徴とする印刷用リキッドインキ。
【請求項2】
バインダー樹脂として、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、又は塩素化ポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも1種以上を更に含有する、請求項1に記載の印刷用リキッドインキ。
【請求項3】
前記ロジン変性フマル酸樹脂を、インキ100質量%に対して0.1~5質量%含有する、請求項1又は2に記載の印刷用リキッドインキ。
【請求項4】
プラスチック基材に、請求項1~3の何れかに記載の印刷用リキッドインキを印刷してなる印刷物。
【請求項5】
請求項1~3の何れかに記載のインキにより形成された印刷インキ層を有するプラスチック基材と、該印刷インキ層側に設けられた基材とが積層された積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟包装用グラビアインキやフレキソインキとして使用可能な印刷用リキッドインキに関する。
【背景技術】
【0002】
軟包装フィルムや紙の被印刷体に美粧性、機能性を付与させる目的で、グラビアインキ、フレキソインキが広く用いられている。グラビア、フレキソ印刷された被印刷体が、包装材料の中でも特に食品向けや衛生用品向けの軟包材として用いられる場合、商品の包装には、内容物との接触を防ぐべく内容物に触れる包材側に当たる裏側には印刷せず、包材の外側のみにデザイン印刷する表刷り印刷が行われる。又、飲料ラベル、集積包装、カップ麺のオーバーラップや食品外装フィルムなどの用途では透明フィルムに対して裏刷り印刷が行われる。
フィルム基材や紙への印刷に於いて表刷り、裏刷りのいずれの場合も、インキの印刷面にラミネート加工を施す場合がある。フィルム基材としてはOPPフィルム、PETフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンなどが使用され、紙基材としては耐酸紙、コート紙やポリエチレンコート紙などが基材として使用される。
これらの印刷用リキッドインキは、各種包装材料への接着性やラミネート強度が要求される。またグラビア印刷においては、画線部以外の箇所にドクターでインキが掻き切れない部分が「かぶり」となってフィルム基材に転移する「版かぶりの現象」や、グラビア刷版のセルにインキが詰まる「版詰まりの現象」によって起こる「転移不良」の問題がある。近年、印刷物の高意匠性が更に要求されており、これらの課題全てを満足するインキとして更なる改善が求められている。
【0003】
表刷り印刷用インキとしては、例えば、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ロジン、及びキレートを含む表刷り用グラビアインキや(例えば、特許文献1及び2)を用いた表刷り用グラビアインキ(例えば、特許文献3)が知られている。一方、裏刷り用インキとしては、ポリウレタン樹脂及びポリビニルピロリドンを含むラミネートインキ組成物が知られている。しかしながらこれらのインキであっても、基材との密着性や「版かぶり」等の減少の両方を兼備するに十分であるとはいえず、近年の包装材料の多様化に伴い、基材との密着性及び意匠性により良好なインキの開発が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-012597号公報
【文献】特開2013-256551号公報
【文献】特許第5627060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ラミネート強度に優れ、且つ印刷時の版かぶりや版詰まり現象による転移不良が生じにくい印刷用リキッドインキを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記した課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、バインダー樹脂として、ポリウレタン樹脂またはポリウレタンポリウレア樹脂 のいずれか一種と、ロジン変性フマル酸樹脂を少なくとも含有する印刷用リキッドインキが課題解決に有効であることを見出した。
【0007】
即ち本発明は、バインダー樹脂と、有機溶剤を含有し、バインダー樹脂として、ポリウレタン樹脂またはポリウレタンポリウレア樹脂のいずれか一種と、ロジン変性フマル酸樹脂を少なくとも含有する印刷用リキッドインキである。
また、本発明は、プラスチック基材に、バインダー樹脂と、有機溶剤を含有し、バインダー樹脂として、ポリウレタン樹脂またはポリウレタンポリウレア樹脂のいずれか一種と、ロジン変性フマル酸樹脂を少なくとも含有する印刷用リキッドインキを印刷してなる印刷物である。
また、バインダー樹脂と、有機溶剤を含有し、バインダー樹脂として、ポリウレタン樹脂またはポリウレタンポリウレア樹脂のいずれか一種と、ロジン変性フマル酸樹脂を少なくとも含有する印刷用リキッドインキにより形成された印刷インキ層を有するプラスチック基材と、該印刷インキ層側に設けられた基材とが積層された積層体である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ラミネート強度に優れ、且つ印刷時の版かぶりや版詰まり現象による転移不良が生じにくい印刷用リキッドインキを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(言葉の定義)
本発明において印刷用リキッドインキとは、グラビアインキまたはフレキソインキ等の、印刷版を使用する印刷方法に適用されるリキッド状のインキを指し、好ましくはグラビアインキまたはフレキソインキである。また本発明の印刷用リキッドインキは活性エネルギー硬化性の成分を含んでおらず、即ち活性エネルギー線非反応性のリキッドインキである。
なお以下の説明で用いる「インキ」とは全て「印刷インキ」を示す。また「部」とは全て「質量部」を示し、「インキ全量」とは、有機溶剤等の揮発性成分をすべて含んだインキの全量を示し、「インキ固形分全量」とは、揮発性成分を含まない、不揮発性成分のみの全量を示す。
【0010】
(ポリウレタン樹脂)
本発明の印刷用リキッドインキで使用するポリウレタン樹脂としては、公知公用のポリウレタン樹脂を使用することができる一方で、ポリエーテル樹脂を反応原料とする事が好ましく、ポリウレタン樹脂全量に対してポリエーテル樹脂を1~50質量%の割合で使用したものが好ましい。より好ましくは3~30質量%である。
【0011】
尚、前記ポリエーテル樹脂の数平均分子量が100~3500のものであることが好ましい。ポリエーテルポリオールとしては、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類が挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど公知汎用のものでよい。ポリエーテル樹脂を上記の範囲で含有することにより、特に基材フィルム上での密着性が向上し、結果として耐スクラッチ性、耐ブロッキング性、耐摩耗性が優れるようになる。
前記ポリエーテル樹脂の数平均分子量が100以上であれば、ポリウレタン樹脂の皮膜が硬くならない傾向にあり基材フィルムへの接着性の低下を抑制できる。数平均分子量が3500以下であれば、ポリウレタン樹脂の皮膜が脆弱になることを抑制できインキ皮膜の耐ブロッキング性が向上する傾向となる。
また、ポリウレタン樹脂100質量部に対してポリエーテルポリオールが1質量部以上であれば、該ポリウレタン樹脂のケトン、エステル、アルコール系溶剤への溶解性が低下する事が抑制できる。またインキ皮膜の該溶剤への再溶解性が低下する事なく、印刷物の調子再現性が向上する傾向となる。また、ポリウレタン樹脂100質量部に対してポリエーテルポリオールが50質量部以下であれば、インキ皮膜が過剰に柔らかくなる事が抑制でき、耐ブロッキングが向上する傾向となる。
【0012】
本発明の印刷用リキッドインキで使用するポリウレタン樹脂に必要に応じて使用される併用ポリオールとしては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知のポリオールを用いることができ、1種または2種以上を併用してもよい。例えば、酸化メチレン、酸化エチレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類(1);エチレングリコール、1,2―プロパンジオール、1,3―プロパンジオール、2メチル-1,3プロパンジオール、2エチル-2ブチル-1,3プロパンジオール、1,3―ブタンジオール、1,4―ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4-ブチンジオール、1,4―ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールなどの飽和または不飽和の低分子ポリオール類(2);これらの低分子ポリオール類(2)と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸あるいはこれらの無水物とを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオール類(3);環状エステル化合物、例えばポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類、を開環重合して得られるポリエステルポリオール類(4);前記低分子ポリオール類(2)などと、例えばジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られるポリカーボネートポリオール類(5);ポリブタジエングリコール類(6);ビスフェノールAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類(7);1分子中に1個以上のヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロプル、アクリルヒドロキシブチル等、或いはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルとを共重合することによって得られるアクリルポリオール(8)などが挙げられる。
【0013】
尚、前記ポリエステルポリオール類(3)のなかで、ジオール類(グリコール類)と二塩基酸とから得られる高分子ジオールは、ジオール類のうち5モル%までを前記水酸基を3つ以上有する低分子ポリオール類(2)に置換することが出来る。
【0014】
本発明の印刷用リキッドインキにおけるポリウレタン樹脂に使用されるジイソシアネート化合物としては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。例えば、1,5―ナフチレンジイソシアネート、4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’―ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’―ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3―フェニレンジイソシアネート、1,4―フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン―1,4―ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4―トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン―1,4―ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン―4,4’―ジイソシアネート、1,3―ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、mーテトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビス-クロロメチル-ジフェニルメタン-ジイソシアネート、2,6-ジイソシアネート-ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。これらのジイソシアネート化合物は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0015】
本発明の印刷用リキッドインキにおけるポリウレタン樹脂に使用される鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン―4,4’―ジアミンなどの他、2―ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2―ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2―ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2―ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
前記アミン等の鎖伸長剤を反応させたポリウレタン樹脂は、ウレア結合が生じることから、ポリウレタンポリウレア樹脂と称される。
また、反応停止を目的とした末端封鎖剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としてはたとえば、ジーnーブチルアミン等のジアルキルアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。更に、特にポリウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L-アラニン等のアミノ酸を反応停止剤として用いることができる。これらの末端封鎖剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0016】
本発明の印刷用リキッドインキにおけるポリウレタン樹脂は、例えば、ポリプロピレングリコールおよび併用ポリオールとジイソシアネート化合物とをイソシアネート基が過剰となる割合で反応させ、末端イソシアネート基のプレポリマーを得、得られるプレポリマーを、適当な溶剤中、すなわち、グラビアインキ用の溶剤として通常用いられる、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノールなどのアルコール系溶剤;トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤;あるいはこれらの混合溶剤の中で、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤と反応させる二段法、あるいはポリプロピレングリコールおよび併用ポリオール、ジイソシアネート化合物、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤を上記のうち適切な溶剤中で一度に反応させる一段法により製造される。これらの方法のなかでも、均一なポリウレタン樹脂を得るには、二段法によることが好ましい。また、ポリウレタン樹脂を二段法で製造する場合、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤のアミノ基の合計(当量比)が1/0.9~1.3の割合になるように反応させることが好ましい。イソシアネート基とアミノ基との当量比が1/1.3より小さいときは、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤が未反応のまま残存し、ポリウレタン樹脂が黄変したり、印刷後臭気が発生したりする場合がある。さらに近年、作業環境の観点から、トルエン、キシレンといった芳香族系溶剤やケトン系溶剤を用いないことがより好ましい。
【0017】
このようにして得られるポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、15,000~100,000の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは15,000~80,000の範囲である。ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が15,000以上であれば、得られる印刷用リキッドインキの耐ブロッキング性、印刷被膜の強度や耐油性などが低下する事が抑制でき、100,000以下であれば、得られる印刷用リキッドインキの粘度が高くなり過ぎる事なく、印刷被膜の光沢の低下を抑制できる傾向となる。
本発明の印刷用リキッドインキで使用するポリウレタン樹脂のインキにおける含有量は、インキの被印刷体への接着性を十分にする観点からインキ総質量に対して4質量%以上、適度なインキ粘度やインキ製造時・印刷時の作業効率の観点から25質量%以下が好ましく、更には6~15質量%の範囲が好ましい。
【0018】
(ロジン変性フマル酸樹脂)
本発明の印刷用リキッドインキで使用するロジン変性フマル酸樹脂として、特に限定なく公知のものを使用することができる。一般的には、ロジン、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸としてフマル酸、および必要により多価アルコールを、公知の方法で反応させて得る樹脂酸反応物を使用することができる。
前記ロジンとしては、例えば、トール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジン等の天然ロジンや、前記天然ロジンに水添処理、不均化処理、重合処理等を施した、水添ロジン、重合ロジン、不均化ロジン、強化ロジン、ロジンエステル等のロジン誘導体等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
フマル酸以外のα,β-不飽和カルボン酸類としては、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)シトラコン酸等を併用してもよい。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリエチロールエタン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の4価アルコール、或いは、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-イソブチルジエタノールアミン、N-ノルマルブチルジエタノールアミン等のアミノアルコールなどが挙げられる。
本発明のロジン変性フマル酸樹脂を用いることにより、インキの溶解性が向上し転移性、版かぶり等の印刷適性が改善し、また、ラミネート強度をより向上させることができる。
【0019】
本発明のロジン変性フマル酸樹脂としては、酸価は250mgKOH/g以下であることが好ましい。前記酸価が250mgKOH/g以下であれば加熱時に凝集力が低下しにくく、インキ皮膜を強靭に保つため、ボイル等の熱処理時にデラミネーションの発生を抑制できる傾向にある。更に酸価200mgKOH/g以下であればより好ましい。
ロジン変性フマル酸樹脂の軟化点は、100~170℃が好ましい。前記軟化点が100℃以上であれば、インキ塗膜が柔らかいために起こるブロッキング性の低下を抑制でき、軟化点が170℃以下であれば、溶剤に対する溶解性の低下傾向を回避でき、インキの貯蔵安定性も保持される傾向となる。
ロジン変性フマル酸樹脂の重量平均分子量は、500~10000であることが好ましく、500~5000であることが好ましく、1000~3000であることがより好ましい。フィルム基材への密着性向上のためには重量平均分子量500以上が好ましく、また、溶剤への溶解性の観点から3000以下であることが好ましい。
また、ロジン変性フマル酸樹脂のガラス転移温度(以下Tgと称する場合がある)は、0℃~200℃の範囲であることが好ましく、中でも30~150℃の範囲が好ましく、50~100℃の範囲がより好ましい。本発明においてガラス転移温度は、示差走査熱量計による測定により得られるものである。
前記ロジン変性フマル酸樹脂は、インキ100質量%に対して0.1~5質量%含有することが好ましく、より好ましくは0.1~2.0質量%であり、最も好ましくは0.2~1.0質量%である。前記ロジン変性フマル酸樹脂の総計を0.1質量%以上添加する事でインキ皮膜の密着性、転移性を保持する傾向にあり、総計を5質量%以下とする事でインキのラミネート強度を保持する事ができる。また、インキ中の固形分重量比では、下限値が0.1質量%であることが好ましく、0.2質量%であることが好ましく、0.3質量%であることが好ましく、0.5質量%であることが好ましい。また、インキ中の固形分重量比の上限値は10質量%であることが好ましく、8質量%であることが好ましく、5質量%であることが好ましく、3質量%であることが好ましい。
【0020】
(その他のバインダー樹脂)
本発明の印刷用リキッドインキでは、バインダー樹脂として、前記ポリウレタン樹脂またはポリウレタンポリウレア樹脂と、ロジン変性フマル酸樹脂を使用する以外に、リキッドインキ技術分野において併用可能なバインダー樹脂を含有することができる。例えば、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、繊維素系樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アルキッド樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂などが挙げられる。
中でも、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、又は塩素化ポリプロピレン樹脂を含有することが好ましい。
【0021】
(塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂)
本発明において使用できる塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂としては、塩化ビニルと酢酸ビニルが共重合したものであれば、特段限定されない。分子量としては重量平均分子量で5,000~100,000のものが好ましく、10,000~70,000が更に好ましい。塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の固形分100質量%中、酢酸ビニルモノマー由来の構造は1~30質量%が好ましく、塩化ビニルモノマー由来の構造は70~95質量%であることが好ましい。この場合有機溶剤への溶解性が向上、更に基材への密着性、被膜物性、耐擦傷性等が良好となる。
また有機溶剤への溶解性の観点からビニルアルコール構造由来の水酸基を含むものも好ましい。水酸基価としては20~200mgKOH/gであることが好ましい。また、ガラス転移温度は50℃~90℃であることが好ましい。
また塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の添加量としては、インキ全量に対し0.15~40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.0~35質量%である。
【0022】
中でも、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の固形分100質量%中、酢酸ビニルモノマー由来の構造は1~30質量%が好ましく、塩化ビニルモノマー由来の構造は70~95質量%であることが好ましい。この場合有機溶剤への溶解性が向上し、更にフィルム基材への密着性、耐スクラッチ性、耐摩耗性等が良好となる。
また有機溶剤への溶解性の観点からビニルアルコール構造由来の水酸基を含むものも好ましい。水酸基価としては20~200mgKOH/gであることが好ましい。また、ガラス転移温度は50℃~90℃であることが好ましい。
【0023】
水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、二種類の方法で得ることができる。一つは塩化ビニルモノマー、酢酸ビニルモノマーおよびビニルアルコールを適当な割合で共重合して得られる。もう一つは、塩化ビニルと酢酸ビニルを共重合した後、酢酸ビニルを一部ケン化することにより得られる。水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、塩化ビニル、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのモノマー比率により樹脂被膜の性質や樹脂溶解挙動が決定される。即ち、塩化ビニルは樹脂被膜の強靭さや硬さを付与し、酢酸ビニルは接着性や柔軟性を付与し、ビニルアルコールは極性溶剤への良好な溶解性を付与する。
【0024】
(塩素化ポリオレフィン樹脂)
本発明において使用できる塩素化ポリオレフィン樹脂としては、水素原子の少なくとも一部が塩素原子により置換されたポリオレフィン樹脂であれば特に限定されない。塩素化ポリオレフィンの重量平均分子量は、5,000~100,000が好ましく5,000~70,000であることがなお好ましく7,000~50,000であることが更に好ましい。また、塩素化ポリオレフィン樹脂は基材への接着性向上するため、その塩素含有率が25~45質量%であることが好ましい。また有機溶剤への溶解性の観点から、塩素含有率は26~43質量%であることが更に好ましい。ここで、塩素含有率とは、塩素化ポリオレフィン樹脂100質量%中の塩素原子の含有質量%をいう。また、耐ブロッキング性とのバランスの観点から、塩素化ポリオレフィン樹脂はインキ100質量%中に0.1~2.5質量%含有し、好ましくは0.2~2.3質量%である。
【0025】
塩素化ポリオレフィン樹脂は、柔軟性を持つアルキル基を分枝構造として有するため、低温下でも柔軟な樹脂であり基材接着性の向上に寄与する。塩素化ポリオレフィン樹脂におけるポリオレフィン樹脂の構造は、特に制限はない。例えば、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテンなどのα-オレフィン系不飽和炭化水素の単独重合体又は共重合体を含有する樹脂が好ましい。中でもポリプロピレン構造(すなわち塩素化ポリプロピレン構造)を含むものが特に好ましい。
【0026】
(繊維素系樹脂)
繊維素系樹脂としては、例えばセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートその他のセルロースエステル樹脂、ニトロセルロース(硝化綿ともいう)、ヒドロキシアルキルセルロース、およびカルボキシアルキルセルロース等が挙げられる。セルロースエステル樹脂はアルキル基を有することが好ましく、当該アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、更にアルキル基が置換基を有していてもよい。 セルロース系樹脂としては、上記のうちセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、およびニトロセルロースが好ましい。特に好ましくはニトロセルロースである。分子量としては重量平均分子量で5,000~200,000のものが好ましく、10,000~50,000が更に好ましい。また、ガラス転移温度が120℃~180℃であるものが好ましい。本発明のポリウレタン樹脂(A)の併用では、耐ブロッキング性、耐擦傷性その他のインキ被膜物性が向上することが期待できる。
ニトロセルロース(硝化綿)は、天然セルロースと硝酸とを反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものが好ましい。
【0027】
ニトロセルロース(硝化綿)を使用する事で、顔料への高い分散性が得られる事から、特に表刷り用コーティング剤として使用すれば、印刷インキ塗膜の強度を向上させることができ好適である。前記ニトロセルロース(硝化綿)としては、窒素含有量が10~13質量%、平均重合度30~500が好ましく、より好ましくは窒素含有量が10~13質量%、平均重合度45~290である。
ニトロセルロース(硝化綿)の添加量としては、インキ全量に対し0.15~40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.0~35質量%である。
【0028】
(有機溶剤)
本発明の印刷用リキッドインキで使用する有機溶剤としては、特に制限はないが、たとえばトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の芳香族炭化水素系有機溶剤、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系の各種有機溶剤が挙げられる。また水混和性有機溶剤としてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロハキサノン等のケトン系、エチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、エチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル等のグリコールエーテル系の各種有機溶剤が挙げられる。これらを単独または2種以上を混合しても用いることができる。
【0029】
尚、印刷時の作業衛生性と包装材料の有害性の両面から、酢酸エチル、酢酸プロピル、イソプロパノール、ノルマルプロパノールなどを使用し、トルエン等の芳香族溶剤やメチルエチルケトン等のケトン系溶剤を使用しない事がより好ましい。
また、乾燥調整のためにインキ全量の10質量%未満であればグリコールエーテル類を添加する事も出来る。
【0030】
(着色剤)
本発明の印刷用リキッドインキとしては、着色剤を含まないインキの濃度調整用ニス及びオーバープリントニスとして使用することもでき、着色剤を含む美粧性等を付与する目的でデザイン印刷等に用いる着色剤を含むインキとして使用することもできる。
着色剤としては顔料が好ましく、一般のインキ、塗料、及び記録剤などに使用されている無機顔料、有機顔料を挙げることができる。有機顔料としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系などの顔料が挙げられる。また、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、昼光蛍光顔料等が挙げられる。また未酸性処理顔料、酸性処理顔料のいずれも使用することができる。以下に有機顔料として好ましいものの具体的な例を挙げる。
【0031】
黒色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピグメントブラック9、C.I.ピグメントブラック20等が挙げられる。
【0032】
藍色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー17:1、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー24:1、C.I.ピグメントブルー25、C.I.ピグメントブルー26、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー61、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー63、C.I.ピグメントブルー64、C.I.ピグメントブルー75、C.I.ピグメントブルー79、C.I.ピグメントブルー80などが挙げられる。
【0033】
緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン4、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン8、C.I.ピグメントグリーン10、C.I.ピグメントグリーン36などが挙げられる。
【0034】
赤色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド10、C.I.ピグメントレッド11、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド18、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド20、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド43、C.I.ピグメントレッド46、C.I.ピグメントレッド48、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド48:5、C.I.ピグメントレッド48:6、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド49:3、C.I.ピグメントレッド52、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド52:2、C.I.ピグメントレッド53、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド53:2、C.I.ピグメントレッド53:3、C.I.ピグメントレッド54、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド58、C.I.ピグメントレッド58:1、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:3、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド63:3、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド68、C.I.ピグメントレッド68、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド89、C.I.ピグメントレッド95、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド119、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド136、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド147、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド164、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド181、C.I.ピグメントレッド182、C.I.ピグメントレッド183、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド200、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド210、C.I.ピグメントレッド211、C.I.ピグメントレッド213、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド223、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド237、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド239、C.I.ピグメントレッド240、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド247、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド251、C.I.ピグメントレッド253、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド256、C.I.ピグメントレッド257、C.I.ピグメントレッド258、C.I.ピグメントレッド260、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド263、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド266、C.I.ピグメントレッド268、C.I.ピグメントレッド269、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド271、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントレッド279、などが挙げられる。
【0035】
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット3:1、C.I.ピグメントバイオレット3:3、C.I.ピグメントバイオレット5:1、C.I.ピグメントバイオレット13、C.I.ピグメントバイオレット19(γ型、β型)、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット25、C.I.ピグメントバイオレット27、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット31、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット38、C.I.ピグメントバイオレット42、C.I.ピグメントバイオレット50、などが挙げられる。
【0036】
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー42、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー86、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー125、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー137、C.I.ピグメント、イエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー148、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185およびC.I.ピグメントイエロー213等が挙げられる。
【0037】
橙色顔料としては、例えばC.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ37、C.I.ピグメントオオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントレンジ55、C.I.ピグメントオレンジ59、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、又はC.I.ピグメントオレンジ74などが挙げられる。
【0038】
茶色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、又はC.I.ピグメントブラウン26などが挙げられる。
【0039】
中でも、好ましい顔料として、黒色顔料としてC.I.ピグメントブラック7、
藍色顔料としてC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、
緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン7、
赤色顔料としてC.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド166、
紫色顔料としてC.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、
黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー139、
橙色顔料としてC.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ64、
等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも一種または二種以上を使用することが好ましい。
【0040】
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、リトボン、アンチモンホワイト、石膏などの白色無機顔料が挙げられる。無機顔料の中では酸化チタンの使用が特に好ましい。酸化チタンは白色を呈し、着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から好ましく、印刷性能の観点から該酸化チタンはシリカおよび/またはアルミナ処理を施されているものが好ましい。
【0041】
白色以外の無機顔料としては、例えば、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、ジルコンが挙げられ、アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングまたはノンリーフィングを使用するかは輝度感および濃度の点から適宜選択される。
【0042】
前記顔料は、印刷用リキッドインキの濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわちインキ総質量に対して1~60質量%、インキ中の固形分重量比では10~90質量%の割合で含まれることが好ましい。また、これらの顔料は単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0043】
本発明の印刷用リキッドインキでは更に必要に応じて、体質顔料、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。
例えば前記体質顔料としてシリカを適量添加すれば、より耐摩耗性が向上する傾向となる。
【0044】
(印刷用リキッドインキの製造方法)
本発明の印刷用リキッドインキは、バインダー樹脂、顔料などを有機溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができる。具体的には、顔料をバインダー樹脂により有機溶剤に分散させた顔料分散体を製造し、得られた顔料分散体に、必要に応じて他の化合物などを配合することによりインキを製造することができる。
【0045】
前記顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては、一般に使用される、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。
インキ中に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
【0046】
前記方法で製造されたインキ粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。尚、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、バインダー樹脂、顔料、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
【0047】
本発明の印刷用リキッドインキは、各種の基材と密着性に優れ、紙、合成紙、プラスチックフィルムやプラスチック製品等のプラスチック基材、鋼板等への印刷に使用することができるものであり、電子彫刻凹版等によるグラビア印刷版を用いたグラビア印刷用、又は樹脂版等によるフレキソ印刷版を用いたフレキソ印刷用のインキとして有用である一方で、版を使用せずインクジェットノズルからインキを吐出するインクジェット方式向けのインキを除くものである。
即ち、インクジェットインキの場合、ノズルから吐出したインク滴が、直接基材に密着し印刷物を形成するのに対し、本発明の印刷用リキッドインキは、印刷インキを一旦印刷版又は印刷パターンに密着・転写した後、インキのみを再度基材に密着させ、必要に応じて乾燥させ印刷物とするものである。
本発明の印刷用リキッドインキを用いてグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式から形成される印刷インキの膜厚は、例えば10μm以下、好ましくは5μm以下である。
【0048】
本発明で使用する基材としては特に限定は無くグラビア・フレキソ印刷分野で通常使用されている紙もしくはプラスチック基材、食品包装分野で使用される軟包装基材を使用すればよい。例えば紙であれば、化粧品や飲料、医薬品、おもちゃ、機器等の包材・パッケージ等の印刷に用いられる上質紙、クラフト紙、純白ロール紙、グラシンペーパー、パーチメント紙、マニラボール、白ボール、コート紙、アート紙、模造紙、薄紙、厚紙、ポリエチレンコート紙等の紙、各種合成紙、等が挙げられる。
【0049】
プラスチック基材として代表的なフィルム基材は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと称する場合がある)、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)等の脂肪族ポリエステル系樹脂などの生分解性樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂又はそれらの混合物等の熱可塑性樹脂よりなるフィルムやこれらの積層体が挙げられるが、中でも、PET、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンからなるフィルムが好適に使用できる。これらの基材フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよく、その製法も限定されるものではない。また、基材フィルムの厚さも特に限定されるものではないが、通常は1~500μmの範囲であればよい。
基材フィルムの印刷面には、コロナ放電処理がされていることが好ましく、アルミ、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよい。
【実施例
【0050】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」は、いずれも質量基準によるものとする。
なお、本発明におけるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR-Nを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:1.0ml/分。試料濃度:0.4質量%。試料注入量:100マイクロリットル。検出器:示差屈折計。
粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定した。
【0051】
〔合成実施例1〕:エーテル(ポリエチレングリコール)を用いたポリウレタン樹脂溶液Pu1の合成
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール62部(水酸基価:56.6mgKOH/g)とポリエチレングリコール38部(水酸基価:160mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート24.50部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率1.68質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル67.0部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン4.71部、ジ-n-ブチルアミン0.11部、酢酸エチル129.1部およびイソプロピルアルコール105.6部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液Pu1を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液Pu1は、樹脂固形分濃度30.3質量%、樹脂固形分の重量平均分子量(Mw)は54,000であった。
【0052】
〔合成実施例2〕:エーテルを用いないポリウレタン樹脂溶液Pu2の合成
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール80部(水酸基価:56.6mgKOH/g)とネオペンチルグリコールアジペートジオール20部(水酸基価:109.8mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート22.49部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.84質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル65.96部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン7.25部、ジ-n-ブチルアミン0.27部、酢酸エチル131.2部およびイソプロピルアルコール106.2部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液Pu2を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液Pu2は、樹脂固形分濃度30.4質量%、樹脂固形分の重量平均分子量(Mw)は50,000であった。
【0053】
(ロジン変性フマル酸樹脂溶液の調整)
攪拌機、温度計、還流冷却器、分水器及び窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコ内で、溶融したガムロジン1000部を仕込んで加熱溶融させた。その後、フマル酸70部を加えて200℃まで1時間かけて昇温した。
次いで、そのままの温度で2時間反応させた後、冷却してフマル酸変性ロジンを得た後、イソプロピルアルコールに溶解した。得られたフマル酸変性樹脂溶液は、樹脂固形分濃度50.0質量%、樹脂固形分の重量平均分子量(Mw)は1200であった。
(ロジン変性マレイン酸樹脂溶液の調整)
攪拌機、温度計、還流冷却器、分水器及び窒素ガス導入管を具備したの四つ口フラスコ内で、溶融したトール油ロジン1000部を仕込み、160℃で無水マレイン酸100部を加えて200℃まで1時間かけて昇温した。
次いで、そのままの温度で2時間反応させた後、冷却してマレイン酸変性ロジンを得た後、イソプロピルアルコールに溶解した。得られたマレイン酸変性樹脂溶液は、樹脂固形分濃度40.0質量%、樹脂固形分の重量平均分子量(Mw)は2000であった。
【0054】
(塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂溶液の調整)
水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(樹脂モノマー組成が質量%で塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=92/3/5、水酸基価(mgKOH)=64)を酢酸エチルで固形分15%溶液とし、これを塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂溶液Evとした。
【0055】
(塩素化ポリオレフィン溶液の調整)
日本製紙株式会社製の「スーパークロン 814HS」を酢酸エチルで固形分30%溶液とし、これを塩素化ポリオレフィン(塩素化PP)溶液とした。
【0056】
〔実施例1〕
得られたポリウレタン樹脂溶液Pu1の固形分を15部、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液Evを10部、酸化チタンJR-780(テイカ(株)社製)34部、酢酸エチル:酢酸プロピル:イソプロピロアルコールの質量比率が4:4:2の混合有機溶剤19部の計78部を練肉して顔料分散体を作製した。
次いで、顔料分散体に更にポリウレタン樹脂溶液Pu1を10部、塩素化ポリオレフィン溶液を2部、ロジン変性フマル酸樹脂溶液を0.4部、酢酸エチルを9.6部加え攪拌し、白色印刷用リキッドインキを作製した。
【0057】
〔実施例2~14、及び比較例1~6〕
表1~4に示した配合に従って、実施例1と同様の手順にて各印刷用リキッドインキを作製した。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】

表3及び表4中の「SYMULER FAST YELLOW 4418」は、C.I.Pigment Yellow 14黄色顔料(DIC(株)社製)である。
【0062】
(フィルムへの密着性試験)
表1~4に記載のインキを、インキ作成に使用した同一比率の混合有機溶剤で希釈し、離合社製ザーンカップNo3で16秒になるように希釈した。それを、版深度22μmを有するグラビア版を取り付けたグラビア印刷機(DICエンジニアリング株式会社製)を用いて、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績株式会社製 P2161 厚さ20μm)と二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製 E-5100 厚さ12μm)の処理面に印刷を行った。印刷直後の印刷面にセロテープ(登録商標)(ニチバン製12mm幅)を貼り付け、これを急速に剥がした時のインキ皮膜の外観の状態を次の3段階で評価した。
(密着性試験の評価)
〇:インキ皮膜の70%以上がフィルムに残った。
△:インキ皮膜の40%以上~70%未満がフィルムに残った。
×:インキ皮膜の30%未満しか残らなかった。
【0063】
(印刷適性試験:転移性試験)
表1~4に記載のインキを、インキ作成に使用した同一比率の混合有機溶剤で希釈し、離合社製ザーンカップNo3で16秒になるように希釈した。それを、版深度3μmを有するグラビア版を取り付けたグラビア印刷機(DICエンジニアリング株式会社製)を用いて、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製 E-5100 厚さ12μm)の処理面に印刷を行った。印刷物の印刷部分へのインキの転移度(カスレ度)を評価した。カスレ試験は、グラビア版の円周600mmφで300m/minの印刷速度での評価を行った。
(評価)
5:カスレなし
4:ごく僅かにカスレ発生
3:少しカスレ発生、実用範囲
2:カスレが顕著に確認できる
1:カスレが多発している
【0064】
(印刷適性試験:版かぶり試験)
上記カスレ試験の条件で印刷した時の印刷物の中で、非印刷部の汚れ具合(版かぶり度)を評価した。
(評価)
5:印刷汚れ 無し
4:印刷汚れ ごく僅かに確認できる
3:印刷汚れ 僅かに確認できる、実用範囲
2:印刷汚れ 顕著に発生している
1:印刷汚れ 甚だしい
【0065】
(ラミネート強度)
実施例1~14、比較例1~6のインキをフィルム密着試験と同様に二軸延伸ポリエステルフィルムに印刷した上記印刷物にエーテル系接着剤のドライラミネート接着剤ディックドライLX-401A/SP-60(DIC製)を使用し、ドライラミネート機(DICエンジニアリング製)によって無延伸ポリエチレンフィルム(三井化学東セロ製 TUX-HC 60μm)を積層した。この積層物を40℃で5日間エージング後、15mm幅に切り出し、引っ張り速度300mm/分、180度剥離の条件で剥離強度を測定した。
また、実施例1、2、8、9、及び比較例1~6のインキを用いた上記と同様の印刷物に、ウレタン系接着剤を使用し、ドライラミネート機(DICエンジニアリング製)によってアルミ箔(9μm)、無延伸ポリプロピレンフィルム(東レ合成フィルム製 ZK-75 50μm)を積層した。なお、印刷物とアルミ箔間の接着剤はLX-963/KW-75(DIC製)をアルミ箔と無延伸ポリプロピレンフィルム(東レ合成フィルム製 ZK-75 50μm)間の接着剤にはLX-520/KO-40(DIC製)を使用した。この積層物を40℃で5日間エージング後、15mm幅に切り出し、引っ張り速度300mm/分、180度剥離の条件で剥離強度を測定した。なお判定基準は次の通りとした。
(評価)
○:ラミネート強度が400(g/15mm)以上であり強度充分。
△:ラミネート強度が200以上~400(g/15mm)未満でありやや強度不足。
×:ラミネート強度が200(g/15mm)未満であり強度不充分。
【0066】
表1及び表2の結果より、実施例に示す本発明の印刷用リキッドインキは、密着性、ラミネート強度、及び印刷適性のいずれにおいても実用上問題無い優れた特性を示し、バランスのとれたインキであることがわかった。シーラントが1層(PET/PE)よりも2層(PET/AL/R-CPP)の方がラミネート強度は通常弱くなるが、本発明のリキッドインキは、比較例に比べて強いラミネート強度を維持できることから、より実用性に優れたインキを得られることがわかった。
また、実施例2と比較例3の対比、及び実施例10と比較例6の対比より、ロジン変性フマル酸樹脂を用いることにより、ラミネート強度をより向上できることがわかった。